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特開2024-91593解剖学的構造に基づく経中隔針湾曲の推奨
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091593
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】解剖学的構造に基づく経中隔針湾曲の推奨
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240627BHJP
   A61B 18/14 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216609
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】18/146,139
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビー・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】ホアキン・クルツ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF49
4C160KK02
4C160KK13
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】測定された患者の解剖学的構造に基づいて標的位置への所望のアプローチを提供するために、穿刺前の針形状を決定するためのツールを提供すること。
【解決手段】穿刺前の針形状を決定するために、アクセス血管の出口と心房中隔上の所望の穿刺部位との間の解剖学的関係が、使用される。ツールは、所定の針形状(例えば、市販の針形状)の集合から推奨される好ましい針形状を提供するため、及び/又は医師が適合するように所定の針形状を修正し得る屈曲形状を推奨するために使用され得る。更に、又は代替として、ツールは、推奨される好ましい針形状を製造業者に提供し、所与の患者のための特注針形状及び/又はコホート内に同様の解剖学的構造を有する患者コホートのための推奨される好ましい針形状を作成するために使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
プロセッサと、
命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて、経中隔針の湾曲を判定させる、非一時的コンピュータ可読媒体と、を含む、システム。
【請求項2】
前記アクセス血管が下大静脈を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アクセス血管が上大静脈を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令が、前記システムに、
前記アクセス血管と前記標的穿刺位置との間の前記空間的関係を決定させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記命令が、前記システムに、
解剖学的マップを生成することであって、前記解剖学的マップが、右心房に近接する前記アクセス血管と、前記右心房の心房中隔の少なくとも一部分とを含む、ことと、
前記解剖学的マップに基づいて、前記右心房に近接する前記アクセス血管の位置及び前記標的穿刺位置を特定することと、
前記アクセス血管と前記標的穿刺位置との間の前記空間的関係を決定することと、を行わせるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記空間的関係が、心内蛍光透視法及び/又は超音波データによって確認される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記命令が、前記システムに、
電磁マッピングに少なくとも部分的に基づいて前記解剖学的マップを生成させるように更に構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
ディスプレイを更に備え、
前記命令が、前記システムに、
前記経中隔針の推奨される湾曲を前記ディスプレイ上に表示させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記命令が、前記システムに、
複数の所定の針形状のうちの1つの所定の針形状を示す針選択の指示を受信させ、
前記針選択の指示に少なくとも部分的に基づいて前記湾曲を決定させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記命令が、前記システムに、
前記所定の針形状の近位点が前記アクセス血管に配置され、前記所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、前記所定の針形状の展開位置を決定させ、
回転行列を使用して前記湾曲を決定させ、前記近位点を固定したまま前記遠位点を前記標的穿刺位置に移動させるように更に構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記針選択の指示を受信するように構成された針識別モジュールを更に含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記針識別モジュールが、
前記システムと通信する針の電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)から針識別子を受信し、
前記針識別子に少なくとも部分的に基づいて前記針選択の指示を決定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記命令が、前記システムに、
前記経中隔針の前記湾曲に少なくとも部分的に基づいて、複数の所定の針形状から好ましい針形状を選択させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記命令が、前記システムに、
前記システムのユーザに、前記好ましい針形状を推奨させるように更に構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記命令が、前記システムに、
前記湾曲に少なくとも部分的に基づいて、経中隔針設計を推奨させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
経中隔穿刺のための方法であって、前記方法が、
下大静脈の出口における、患者の解剖学的マップ上の第1の位置を識別することと、
卵円窩上の所望の穿刺部位における、解剖学的マップ上の第2の位置を識別することと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の曲線を推定することと、
ディスプレイ上に、推定された前記曲線に少なくとも部分的に基づいて、針形状テンプレートを提供することと、を含む、方法。
【請求項17】
所定の針形状に少なくとも部分的に基づいて、前記針形状テンプレートを決定することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の針形状の近位点が前記第1の位置に配置され、前記所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、前記所定の針形状の展開位置を決定することと、
回転行列を使用して前記針形状テンプレートの曲率を決定し、前記近位点を固定したまま前記遠位点を前記所望の穿刺部位に移動させることと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
所定の針形状を推奨することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
経中隔穿刺を容易にするための方法であって、前記方法が、
解剖学的マップ上で、アクセス血管の出口における第1の位置を識別することと、
前記解剖学的マップ上で、卵円窩上の所望の穿刺部位における第2の位置を識別することと、
経中隔針のテンプレート湾曲を表示することであって、前記テンプレート湾曲が、前記第1の位置と前記第2の位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づく、ことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、カテーテルベースの治療に関し、具体的には、心臓における経中隔穿孔に関する。
【背景技術】
【0002】
経中隔穿刺(TP)技術は、心臓弁手術のために患者を選択するための診断ツールとして、1950年代後半に臨床診療に導入された。TPの有用性は、左心電気生理学アブレーション、経皮的僧帽弁修復/移植、卵円孔開存閉鎖、左心耳閉塞、パラプロテーゼ弁漏出修復、及び左心室補助デバイス位置付けを含むように、進化してきた。
【0003】
TPを実施するための方法は、典型的には、心房中隔(IS)の画像化を伴う処置前評価を含む。卵円窩は、心外性空間に入ることなく横断され得る領域であるISの部分内にあり、薄い線維組織のその組成に起因して所望の穿孔位置である。解剖学的構造は患者間で異なり、TPを実行するための機器は、患者の特定の解剖学的構造に基づいて選択され得る。機器は、典型的には、針、拡張器、及びシースを含む。本明細書で使用される「針」は、血管を介して標的組織にアクセスし、機械的な力によって又はエネルギー(例えば、パルス場アブレーションで用いられるような高周波(RF)又はパルス高電圧エネルギー)の印加によって標的組織を穿刺するように構成された任意のデバイスを意味する。予め湾曲した遠位端を有する種々の針及びシースが、そこから選択するために利用可能であり、所望の湾曲を有する針及び/又はシースは、患者の解剖学的構造に基づいて選択され得る。シースは、上大静脈(SVC)又は下大静脈(IVC)等のアクセス血管を通して右心房に進入するように誘導される。拡張器及び針は、シースを通してISに送達される。針は、ISを穿刺するために使用され、拡張器及びシースは、針の後にISを横断する。次いで、針が除去され、カテーテルがシースを通してISを横断して送達される。針の湾曲は、ISへの針の接近に影響を及ぼし得る。いくつかの治療では、医師は、拡張器及びシースを通して針を送達する前に、針を手で屈曲させ、ISへの所望の進入角度を達成することを試みてもよい。このベンディングは手で行われ、事前にイメージングガイダンス又は電磁マッピングジオメトリのいずれかに依存し、これは少なくともある程度ブラインドで主観的なプロセスである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に示される実施例は、概して、測定された患者の解剖学的構造に基づいて標的位置への所望のアプローチを提供するために、穿刺前の針形状を決定するツールを提供する。本明細書に示される例は、具体的には、穿刺前の針形状を決定するために、アクセス血管の出口とIS上の所望の穿刺サイトとの間の解剖学的関係に依存する。ツールは、所定の針形状(例えば、市販の針形状)の集合から推奨される好ましい針形状を提供するため、及び/又は医師が適合するように所定の針形状を修正し得る屈曲形状を推奨するために使用され得る。更に、又は代替として、ツールは、推奨される好ましい針形状を製造業者に提供し、所与の患者のための特注針形状及び/又はコホート内に同様の解剖学的構造を有する患者コホートのための推奨される好ましい針形状を作成するために使用され得る。
【0005】
例示的なシステムは、プロセッサ及び非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的コンピュータ可読媒体はその命令を含み得、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて経中隔針の湾曲を決定させる。
【0006】
アクセス血管は、下大静脈を含み得る。
【0007】
アクセス血管は上大静脈を含み得る。
【0008】
命令は更に、システムに、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係を判定させるように構成されてもよい。
【0009】
命令は更に、システムに解剖学的マップを生成させるように構成され得る。解剖学的マップは、右心房に近接するアクセス血管と、右心房の心房中隔の少なくとも一部分とを含み得る。命令は更に、システムに、解剖学的マップに基づいて、右心房に近接するアクセス血管の位置及び標的穿刺位置を識別させるように構成され得る。命令は更に、システムに、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係を判定させるように構成され得る。空間的関係は、心内蛍光透視法及び/又は超音波データを用いて確認され得る。
【0010】
命令は更に、システムに、電磁マッピングに少なくとも部分的に基づいて解剖学的マップを生成させるように構成され得る。
【0011】
本システムは、ディスプレイを更に含み得る。命令は更に、システムに経中隔針の推奨される湾曲をディスプレイ上に表示させるように構成されてもよい。
【0012】
命令は更に、システムに、複数の所定の針形状のうちの1つの所定の針形状を示す針選択の指示を受信させるように構成されてもよい。命令は更に、システムに、針選択の指示に少なくとも部分的に基づいて、湾曲を判定させるように構成されてもよい。
【0013】
命令は更に、システムに、所定の針形状の近位点がアクセス血管に位置付けられ、所定の針形状の遠位点が心房中隔に位置付けられるように、所定の針形状の展開位置を決定させるように構成されてもよい。命令は更に、システムに、回転行列を使用して湾曲を判定させ、近位点を固定したまま遠位点を標的穿刺位置に移動させるように構成されてもよい。
【0014】
システムは、針選択の指示を受信するように構成された針識別モジュールを更に含むことができる。
【0015】
針識別モジュールは、システムと通信する針の電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)から針識別子を受信するように構成されてもよく、針識別子に少なくとも部分的に基づいて針選択の指示を決定するように構成されてもよい。
【0016】
命令は更に、システムに、経中隔針の湾曲に少なくとも部分的に基づいて、複数の所定の針形状から好ましい針形状を選択させるように構成されてもよい。
【0017】
命令は更に、システムに、システムのユーザに好ましい針形状を推奨させるように構成されてもよい。
【0018】
命令は更に、システムに、湾曲に少なくとも部分的に基づいて経中隔針設計を推奨させるように構成されてもよい。
【0019】
経中隔穿刺のための例示的な方法は、当業者によって理解されるように、様々な順序で、インターリーブステップで実行される以下のステップを含むことができる。本方法は、患者の解剖学的マップをディスプレイ上に表示することを含み得る。本方法は、ユーザインターフェースから、下大静脈の出口における解剖学的マップ上の第1の位置を受信することを含み得る。本方法は、ユーザインターフェースから、卵円窩上の所望の穿刺部位における、心臓マップ上の第2の位置を受信することを含み得る。本方法は、第1の位置と第2の位置との間の曲線を推定することを含み得る。本方法は、ディスプレイ上に、推定された曲線に少なくとも部分的に基づいて、針形状テンプレートを提供することを含み得る。
【0020】
本方法は、所定の針形状に少なくとも部分的に基づいて、針形状テンプレートを判定することを含み得る。
【0021】
本方法は、所定の針形状の近位点が第1の位置に配置され、所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、所定の針形状の展開位置を決定することを含み得る。本方法は、回転行列を使用して針形状テンプレートの湾曲を決定し、近位点を固定したまま遠位点を所望の穿刺部位に移動させることを含み得る。
【0022】
本方法は、所定の針形状を推奨することを含み得る。
【0023】
経中隔穿刺を容易にするための例示的な方法は、当業者によって理解されるように、様々な順序で、インターリーブステップで実行される以下のステップを含むことができる。本方法は、解剖学的マップ上で、アクセス血管の出口における第1の位置を識別することを含んでもよい。本方法は、解剖学的マップ上で、卵円窩上の所望の穿刺部位における第2の位置を識別することを含み得る。本方法は、経中隔針のテンプレート湾曲を表示することを含み得、テンプレート湾曲は、第1の位置と第2の位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づく。
【0024】
別の例示的な方法は、患者の心臓のアクセス血管の出口と患者の卵円窩上の所望の穿刺部位との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて、患者の患者固有の経中隔針湾曲を決定することを含み得る。
【0025】
別の例示的な方法は、アクセス血管のそれぞれの出口とそれぞれの卵円窩との間の複数の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて経中隔針湾曲を決定することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
図1】本発明の態様による、例示的なカテーテルに基づく電気生理学的マッピング及びアブレーションシステムの図である。
図2】本発明の態様による、心臓の部分の例示的な解剖学的マップの図である。
図3】経中隔針及び所定の針形状の図である。
図4】本発明の態様による、図3の所定の針形状を使用した可能な穿刺位置及び標的穿刺位置を示す心臓の図である。
図5A】本発明の態様による、2つの異なる所定の針形状と比較した、針形状の推奨される湾曲の図である。
図5B】本発明の態様による、2つの異なる所定の針形状と比較した、針形状の推奨される湾曲の図である。
図6】本発明の態様に係る経中隔穿孔処置の図である。
図7】本発明の態様に係る経中隔穿刺のための例示的な方法に関する方法のステップを含むフロー図である。
図8】本発明の態様に係る経中隔穿刺を容易にするための例示的な方法に関する方法のステップを含むフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0028】
更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、操作者に近い方の位置を示す一方、「遠位部」は、操作者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0029】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0030】
図1は、例示的なカテーテルに基づく電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム10を示す図である。システム10は、患者の血管系を通じて、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12内の所望の位置付近の左心房46又は右心房44に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーション双方を実施し得るカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成されている例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0031】
図示されたカテーテル14は、遠位先端部28において複数のスパイン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0032】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14の遠位端28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されている。
【0033】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含み得る。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量し得る。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0034】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心拍リズムをペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0035】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ又は2つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含み得る。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極又は双極高電圧DCパルスを含む、無線周波数(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0036】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテル、電気生理学的機器、電源、及びシステム10の動作を制御するためのワークステーション55の間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、場所パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの場所のリアルタイム計算を実施するため、かつECG計算を実行するための処理能力を含む。
【0037】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能とを含む。ワークステーション55は、複数の機能を提供するように構成されてもよく、任意選択で、(1)三次元(3D)で心内膜解剖学的構造をモデル化することと、(2)表示装置27上に表示するためにモデル又は解剖学的マップ20をレンダリングすることと、(3)表示デバイス27上に、記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的印又は画像で表示することと、(4)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの場所及び配向を表示することと、(5)アブレーションエネルギーが印加されたところなどの関心部位を表示デバイス27上に表示することとを含む。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.31A Technology Drive,Irvine,CA,92618から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0038】
表示装置27は、ワークステーション55へのユーザインターフェースを提供するタッチスクリーンを含み得る。システム10は、当業者によって理解されるように、キーボード、マウス、ジョイスティック、ハンドヘルドコントロール、ボタンインターフェースなどのワークステーション55に対する他のユーザインターフェースデバイスを更に含み得る。
【0039】
ワークステーション55は更に、測定された患者の解剖学的構造に基づいて標的位置への所望のアプローチを提供するために、経中隔針の穿刺前の針形状を決定するように構成され得る。
【0040】
図2は、図1に示される心臓12の一部の例示的な解剖学的マップ20の図である。図1のカテーテル14の遠位先端28は、右心房44、下大静脈42、及び上大静脈43内の組織を横断して移動されてもよく、カテーテル14の電極26及び/又はセンサ29からの信号は、ワークステーション55によって使用されて、図2に図示される解剖学的マップ20を生成し得る。システム10は、追加的に又は代替的に、リアルタイム心臓マップとマージするために静的蛍光透視画像を使用し得る。システム10は、追加的に又は代替的に、解剖学的マップ20を向上させるために3D超音波技術を使用してもよい。マップ20は、右心房44の心房中隔上にある卵円窩45を示す、アクセス血管42、43と右心房44との間の関係を示す。マップ20は、参考のために三尖弁輪49を示す。図2に示される解剖学的マップ20は、図1に示されるディスプレイ27上に表示され得る。
【0041】
現在の治療経中隔穿刺処置では、電気生理学者は、撮像前ガイダンス、又は電気解剖学的マップ、解剖学的モデル、若しくは撮像データ(例えば、2D、3D、若しくは4D超音波データ)のいずれかに基づいて、経中隔針の湾曲を選択し、それらの全ては、本明細書では、「マップ」又は「撮像」と互換的に称される。例示的な電気解剖学的マップ20を図2に示す。これらの処置のうちのいくつかでは、電気生理学者は更に、事前撮像ガイダンス又は電気解剖学的マップを上回る多くの追加的情報を伴わずに、穿刺前に経中隔針を成形する。医師の手は、経中隔穿刺のために卵円窩上の最良の位置を標的とする試みにおいて、心房に適合するように経中隔針を成形する。
【0042】
本発明の一態様は、測定された患者の解剖学的構造に基づいて標的位置への所望のアプローチを提供するために、経中隔針の好ましい穿刺前の針形状を決定するツールを提供する。図1に示されるシステム10を使用して、医師24は、ワークステーション55へのユーザインターフェースを使用して、(1)右心房44への下大静脈42の出口47、及び(2)マップ20上の卵円窩45上の標的穿刺位置64をマークするか、又は別様に示してもよい。ワークステーション55は、下大静脈の出口47と標的穿刺位置64との間の曲線80を推定するように構成されてもよい。推定された曲線80は、経中隔針の湾曲を決定するために使用されてもよい。
【0043】
下大静脈42の出口47は、より高い精度を提供するために図示されるように楕円形で、又は医師24によるマーキング及びワークステーション55による計算を簡略化するために点でマーキングされてもよい。標的穿刺位置64の出口は、より高い精度のため、並びにマーキング及び計算を簡略化するために、図示されるように点でマーキングされることが好ましいが、所定の針選択においてより多くの選択肢を提供するために(図3及び図4)、及び/又は修正された針形状の推奨される湾曲を簡略化するために(図5A及び図5B)、楕円形若しくは他の形状又は視覚的表示でマーキングされてもよい。
【0044】
本明細書に提示される実施例は、下大静脈42を通り、右心房44を通り、卵円窩45を横切って針を挿入することを伴う、最も一般的な経中隔針穿刺実践を修正することに焦点を当てているが、ツールは、他の処置のために修正されてもよい。例えば、アクセス血管は上大静脈43であってもよく、その場合、ワークステーション55は、下大静脈42の出口47の代わりに上大静脈43の出口41をマークするか、又は別様に示すように構成され得る。ワークステーション55は、アクセス血管及び標的穿刺位置との間の空間的関係を判定するように構成され得る。
【0045】
ツールは、内腔内医療装置の遠位端を組織に対して位置決めするために所望の予め成形された湾曲が必要とされる場合のために修正されてもよく、医療装置のシャフトは、より大きな腔への血管又は他の身体内腔の出口などの限られた空間内に固定されるように近似されてもよい。
【0046】
マップ20を表示し、医師24がアクセス血管の出口(例えば、下大静脈42の出口47)及び標的穿刺位置64をマークすることを可能にする代替として、ワークステーション55は、電極26(図1)から収集されるIEGMデータに基づいて、及び/又は超音波又は組織に対する力の検出等の他の手段によって判定される心臓12の一般的解剖学的形状に基づいて、これらの特徴の位置を自動的に判定するように構成され得る。ワークステーション55がアクセス血管の出口及び標的穿刺位置64の位置を決定するとき、ワークステーション55は、針湾曲を決定する目的でディスプレイ27上にマップ20を提供する必要はないが、処置中の他の必要性のためにディスプレイ27上にマップ20を提供してもよい。
【0047】
ツールは更に、推定された曲線80に近似する湾曲を有する新しい経中隔針を設計するために使用されてもよい。例えば、経中隔針は、処置の前に患者のために特注されてもよく、及び/又は経中隔針は、類似解剖学的構造を伴う複数の患者からの推定された曲線80に基づいて設計され、複数の患者の必要性を満たすように平均化され得る。ワークステーション55は、患者の心臓のアクセス血管の出口と患者の卵円窩上の所望の穿刺部位との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて、患者の患者固有の経中隔針湾曲を決定するように構成され得る。更に、又は代替として、ワークステーション55は、アクセス血管のそれぞれの出口及びそれぞれの卵円窩との間の複数の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて、経中隔針湾曲を決定するように構成され得る。
【0048】
図3は、経中隔針60及び所定の針形状60a、60b、60cの図である。図示されるように、左側の所定の針形状60aは、最小の湾曲半径を有し、最もきつく曲がっている。中央の所定の針形状60bは、左形状60aと比較して湾曲半径が大きく、屈曲が少なく、右側の所定の針形状60cは、左形状60a及び中央形状60bと比較して湾曲半径が最も大きく、屈曲が最も少ない。
【0049】
図示される所定の針形状は、製造時のものであってもよく、ワークステーション55は、医師24がアクセスし得る所定の針形状のカタログを用いて構成されてもよい。ワークステーション55は、下大静脈の出口47とマーキングされた標的穿刺位置64との間の推定された曲線に基づいて、カタログ内の所定の針形状から好ましい針形状を選択するように構成され得る。好ましい針形状は、針のシャフトが下大静脈42の出口47を通して配置されるときに、所望の穿刺部位64と密接に整列される遠位先端を有してもよい。これを達成するために、好ましい針形状は、推定された曲線と比較して同様の湾曲半径又は同様の全体的な屈曲形状を有してもよい。
【0050】
ワークステーション55(図1)は、製品名及びカタログ番号をディスプレイ27上に表示することによって、又は当業者によって理解されるような好ましい針形状の指示を別様に提供することによって、好ましい針形状を医師24に推奨するように構成され得る。
【0051】
図4は、図3の所定の針形状60a、60b、60c及び標的穿刺位置64を使用した可能な穿刺位置70a、70b、70cを示す心臓12の図である。左の所定の針形状60a(図3)のきつい湾曲は、標的穿刺位置64の下方で、卵円窩45の縁部上の可能な穿刺位置70aをもたらす。中央の所定の針形状60b(図3)は、卵円窩45上の可能な穿孔位置70b及び標的穿孔部位位置64の上方をもたらす。右側の所定の針形状60c(図3)の大きな湾曲半径は、卵円窩45の上方の可能な穿刺位置70cをもたらす。
【0052】
ワークステーション55(図1)は、下大静脈42の出口47の位置及び標的穿刺位置64(図2)に基づいて、所定の針形状60a、60b、60cの可能な穿刺位置70a、70b、70cを予測するように構成され得る。各針60が展開位置にあるとき、所定の針形状の近位点はアクセス血管に位置決めされ、所定の針形状の遠位点は心房中隔に位置決めされる。
【0053】
ワークステーション55(図1)は、可能な穿刺位置70a、70b、70cの位置に基づいて好ましい針形状を選択するように構成され得る。ワークステーション55は、可能な穿刺位置70a、70b、70c間の距離に基づいて好ましい針形状を選択するように構成され得る。ワークステーション55はまた、卵円窩45に対する可能な穿刺位置70a、70b、70cの位置を考慮して、卵円窩45上にある所定の針形状を優先するように構成され得る。
【0054】
図示の例では、ワークステーション55(図1)は、中央の所定の針形状60bを推奨するように構成され得る。理由は、この針形状が、左の所定の針形状60a及び右の所定の針形状60c(図3)の可能な穿刺位置70a、70cと比較して、標的穿刺位置64にほぼ近い、又は更に近い可能な穿刺位置70bを有すると決定され、中央の所定の針形状60bの可能な穿刺位置70bは、左の所定の針形状60aの可能な穿刺位置70aと比較して、卵円窩45上のより中心に位置するからである。
【0055】
図5A及び図5Bは、2つの異なる所定の針形状60a、60bと比較した、針形状の推奨湾曲66a、66bの図である。ツールのいくつかの実装では、ワークステーション55は、最適針形状のためのテンプレートを画面27(図1)上に提供してもよい。推奨される湾曲66a、66bは、ディスプレイ27上に縮尺通りに表示されてもよく、それにより、医師24は、処置に使用される針をディスプレイに保持して、針の修正された湾曲を推奨される湾曲66a、66bと比較してもよい。ワークステーション(図1)は、所定の針形状の近位点がアクセス血管(例えば、図2の下大静脈42の出口47)に位置付けられ、所定の針形状の遠位点が心房中隔(例えば、図2の標的穿刺位置64)に位置付けられるように、所定の針形状の展開位置を決定するように構成され得る。
【0056】
ワークステーション55は、回転行列を使用して修正された針形状の湾曲を決定し、近位点を固定したまま遠位点を標的穿刺位置64に移動させるように構成されてもよい。例えば、ワークステーション55は、医師24によって使用される針の所定の針形状60a、60bに関する情報を有してもよく、穿刺位置64(図4)は、位置センサを含むデバイスによって位置特定され得る。ワークステーション55は、入口ポート47、例えばIVC 42の位置を示す情報を有し得る。これが計算の開始位置である。針60の形状は、少数の剛性部分、最小2つ、最大6つ、好ましくは3つ又は4つの剛性部分によってモデル化されてもよい。剛性部分はジョイントによって接続される。各セクションは、入口点47に対して画定される最初の最も近位のセクションを除いて、それが接続される最後のセクション(近位方向に隣接するセクション)に対して画定される。各セクションは、入口点47によって画定される第1のセクションを除いて、各セクションに対して1つの回転行列のセットによって決定される。最後のセクションの標的は、標的穿刺位置64(図4)である。
【0057】
例えば、医師24(図1)は、所定の針形状60a、60bを成形して、その針の可能な穿刺位置70a、70bを修正し、標的穿刺位置64(図4)に接近させることを所望し得る。これは、図3及び図4に関連してより詳細に説明されるように、ワークステーション55が好ましい所定の針形状の推奨を提供した後に行われてもよい。医師24は、所定の針形状を選択し、それを更に修正することを選び得る。代替として、医師24は、いくつかの他の所定の針形状を使用してもよく、他の針形状を修正することを選択し得る。例えば、医師24は、推奨された針にアクセスできない場合があり、利用可能なものに基づいて異なる針を選択し得る。この場合、図示された例を使用して、ワークステーション55は、所定の針形状について追加のオプションを提供するように構成されてもよく、可能な穿刺位置70aが残りのオプションよりも好ましいので、左側の所定の針形状60a(図5A及び図3)を推奨し得る。図示される実施例では、治療に使用される針が図5Aに示されるような湾曲60aを有する場合、推奨される湾曲66aは、上述の針形状に対して決定され、比較のためにディスプレイ27上に上述の針形状に対して表示され得る。同様に、使用される針が図Bに示されるような湾曲60bを有する場合、図5Bに示される推奨される湾曲66b及び所定の針湾曲60bがディスプレイ27上に表示され得る。
【0058】
代替実施例では、ワークステーション55は、好ましい所定の針形状を提供するように構成される必要はなく、ワークステーション55は、医師24が選択する可能性が高い広範囲の所定の針形状に対して一般的に推奨湾曲66a、66bを決定するように構成され得る。推奨湾曲66a、66bは、比較のために所定の針形状なしで表示され得る。
【0059】
別の代替実施例では、ワークステーション55は、好ましい所定の針形状を提供するように構成される必要はなく、ワークステーション55は、ワークステーション55への所定の針形状選択入力に基づいて推奨される湾曲66a、66bを決定するように構成され得る。例えば、ワークステーション55は、可能な針のリストを医師24に提供するように構成されてもよく、医師24は、リストから針を選択してもよく、ワークステーション55は、選択された針の所定の針形状60a、60bに基づいて、推奨湾曲66a、66bを決定し得る。追加的又は代替的に、ワークステーション55は、当業者によって理解されるように、例えば、クイックリード(QR)コード、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、無線周波数識別(RFID)などを使用することによって、ワークステーション55に記憶された針のカタログから選択された針を自動的に識別するように構成され得る。例えば、ワークステーション55は、針選択の指示を受信するように構成された針識別モジュールを含み得る。針識別モジュールは、システムと通信する針の電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)から針識別子を受信するように構成されてもよく、針識別子に少なくとも部分的に基づいて針選択の指示を決定するように構成され得る。
【0060】
ワークステーション55に選択された針に関する情報が提供されると仮定すると、ワークステーション55は、選択された針の形状及び長さに関する情報を用いて事前に構成され得る。針の寸法、標的穿刺位置64、及び下大静脈42(図2)の出口47の位置を用いて、下大静脈42を通過する針シャフトの点は、定位置に固定されてもよく、選択された針曲線に適合するための変化の角度は、針の遠位先端が標的穿刺位置64又はその近傍にあるように決定され得る。一実施例では、針の新しい遠位端は、回転行列を実装して、針の最遠位点を標的穿刺位置64における所望の位置にシフトさせ、他の点を針に沿って下大静脈42の出口47に固定されたシャフトまで近位に平行移動させることによって計算され得る。算出された湾曲は、推奨湾曲66a、66bとして表示されてもよい。
【0061】
湾曲80(図2)が医師24からの入力なしにワークステーション55によって自動的に決定される状況では、解剖学的マップ20(図2)は、針選択又は形状決定の目的のためにディスプレイ上に表示される必要はなく、医師24が選択された針を成形することができるように推奨される湾曲66a、66bを表示することで十分であり得る。
【0062】
図6は、図1に示されるシステム10を使用する経中隔穿刺処置の図である。シース40は、大腿動脈、下大静脈42を通って右心房44内に送達される。シース40は、針60によって作られた心房中隔48の開口部を通して配置される。カテーテルが左心房46に送達されることを可能にするために、シース40の遠位端が左心房46内にある間に、針60を後退させてもよい。
【0063】
図7は、経中隔穿刺のための例示的な方法700のステップを概説するフロー図である。方法700は、図1及び図6に図示されるシステム10、本明細書に開示されるそれらの変形、及び当業者によって理解されるようなそれらの代替を使用して実施され得る。特に、方法700を実行するための命令は、ワークステーション55のメモリに記憶されてもよく、システム10に方法700のステップを実行させるためにワークステーション55のプロセッサによって実行され得る。
【0064】
ブロック702において、患者の心臓マップがディスプレイ上に表示され得る。当業者に理解されるように、結果として得られる心臓マップは、図1及び図2に示す心臓マップ20、それらの変形形態、並びにそれらの代替形態と同様に構成され得る。ディスプレイは、当業者に理解されるように、図1に示されるディスプレイ27、その変形例、及びそれらの代替形態と同様に構成され得る。
【0065】
ブロック704において、心臓マップ上の、下大静脈の出口における第1の位置が、ユーザインターフェースから受信され得る。
【0066】
ブロック706において、卵円窩上の所望の穿刺部位における心臓マップ上の第2の位置が、ユーザインターフェースから受信され得る。
【0067】
ブロック708において、第1の位置と第2の位置との間の曲線が推定され得る。
【0068】
ブロック710において、針形状テンプレートがディスプレイ上に提供され得る。針形状テンプレートは、推定された曲線及び(任意選択で)所定の針形状に少なくとも部分的に基づき得る。
【0069】
針形状テンプレートが所定の針形状に基づくとき、所定の針形状の展開位置は、所定の針形状の近位点が第1の位置に配置され、所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように決定され得る。針形状テンプレートの湾曲は、回転行列を使用して決定され、近位点を固定したまま遠位点を所望の穿刺部位に移動させ得る。方法700は、所定の針形状を推奨することを更に含んでもよい。
【0070】
図8は、経中隔穿刺を容易にするための例示的な方法800のステップを概説するフロー図である。方法800は、図1及び図6に図示されるシステム10、本明細書に開示されるそれらの変形、及び当業者によって理解されるようなそれらの代替を使用して実施され得る。特に、方法800を実行するための命令は、ワークステーション55のメモリに記憶されてもよく、システム10に方法800のステップを実行させるためにワークステーション55のプロセッサによって実行され得る。
【0071】
ステップ802では、下大静脈の出口における第1の位置が、心臓マップ上で識別されてもよい。当業者に理解されるように、結果として得られる心臓マップは、図1及び図2に示す心臓マップ20、それらの変形形態、並びにそれらの代替形態と同様に構成され得る。第1の位置は、医師24からワークステーション55へのユーザ入力に基づいて、及び/又は下大静脈の出口を自動的に識別するためにワークステーション55のメモリに記憶された命令に基づいて識別されてもよい。
【0072】
ステップ804において、卵円窩上の所望の穿刺部位における第2の位置を特定し得る。第2の位置は、医師24からワークステーション55へのユーザ入力に基づいて、及び/又は所望の穿刺部位を自動的に識別するためにワークステーション55のメモリに記憶された命令に基づいて識別されてもよい。
【0073】
ステップ806において、経中隔針のテンプレート湾曲を表示し得る。テンプレート湾曲は、第1の位置と第2の位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づき得る。テンプレート湾曲は、図5A及び図5Bに図示されるものと同様に、所定の針形状にわたって表示されてもよい。
【0074】
本発明に含まれる主題の例示的な実施形態について図示及び説明したが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合は、特許請求の範囲から逸脱することなく適切な修正によって達成することができる。更に、上記の方法及びステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、特定のステップは、説明された順序で実行される必要はなく、ステップが、実施形態がそれらの意図された目的のために機能することを可能にする限り、任意の順序で実行されることが意図される。したがって、本開示の趣旨の範囲内であるか、又は特許請求の範囲に見出される本発明と同等である本発明の変形例が存在する限り、本特許はそれらの変形例も包含することが意図されている。一部のそのような修正は、当業者には明らかであるはずである。例えば、上述の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは、例示的なものである。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び操作の特定の詳細に限定されるべきではない。
【0075】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
条項1.システムであって、プロセッサと、命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令がプロセッサによって実行されると、システムに、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて経中隔針の湾曲を決定させる、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備えるシステム。
【0076】
条項2.アクセス血管が下大静脈を含む、条項1に記載のシステム。
【0077】
条項3.アクセス血管が上大静脈を含む、条項1に記載のシステム。
【0078】
条項4.命令が、システムに、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係を決定させるように更に構成されている、条項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【0079】
条項5.命令が、システムに、解剖学的マップを生成することであって、解剖学的マップが、右心房に近接するアクセス血管と、右心房の心房中隔の少なくとも一部とを含む、ことと、解剖学的マップに基づいて、右心房に近接するアクセス血管の位置及び標的穿刺位置を識別することと、アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係を決定することと、を行わせるように更に構成されている、条項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0080】
条項6.空間的関係が、心内蛍光透視法及び/又は超音波データによって確認される、条項5に記載のシステム。
【0081】
条項7.命令が、システムに、電磁マッピングに少なくとも部分的に基づいて解剖学的マップを生成させるように更に構成されている、条項5又は6に記載のシステム。
【0082】
条項8.ディスプレイを更に備え、命令が、システムに、経中隔針の推奨される湾曲をディスプレイ上に表示させるように更に構成されている、条項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【0083】
条項9.命令が、システムに、複数の所定の針形状のうちの1つの所定の針形状を示す針選択の指示を受信させ、針選択の指示に少なくとも部分的に基づいて湾曲を決定させるように更に構成されている、条項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【0084】
条項10.命令が、システムに、所定の針形状の近位点がアクセス血管に配置され、所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、所定の針形状の展開位置を決定させ、回転行列を使用して、近位点を固定したまま遠位点を標的穿刺位置に移動させるように、湾曲を決定させるように更に構成されている、条項9に記載のシステム。
【0085】
条項11.針選択の指示を受信するように構成された針識別モジュールを更に備える、条項9又は10に記載のシステム。
【0086】
条項12.針識別モジュールが、システムと通信する針の電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)から針識別子を受信し、針識別子に少なくとも部分的に基づいて針選択の指示を決定するように構成されている、条項11に記載のシステム。
【0087】
条項13.命令が、システムに、経中隔針の湾曲に少なくとも部分的に基づいて、複数の所定の針形状から好ましい針形状を選択させるように更に構成されている、条項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【0088】
条項14.命令が、システムに、システムのユーザに、好ましい針形状を推奨させるように更に構成されている、条項13に記載のシステム。
【0089】
条項15.命令が、システムに、湾曲に少なくとも部分的に基づいて経中隔針設計を推奨させるように更に構成されている、条項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【0090】
条項16.経中隔穿刺のための方法であって、方法が、下大静脈の出口における、患者の解剖学的マップ上の第1の位置を識別することと、卵円窩上の所望の穿刺部位における解剖学的マップ上の第2の位置を識別することと、第1の位置と第2の位置との間の曲線を推定することと、ディスプレイ上に、推定された曲線に少なくとも部分的に基づいて針形状テンプレートを提供することと、を含む方法。
【0091】
条項17.所定の針形状に少なくとも部分的に基づいて針形状テンプレートを決定することを更に含む、条項16に記載の方法。
【0092】
条項18.所定の針形状の近位点が第1の場所に配置され、所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、所定の針形状の展開位置を決定することと、回転行列を使用して、近位点を固定したまま遠位点を所望の穿刺部位に移動させるように、針形状テンプレートの湾曲を決定することとを更に含む、条項17に記載の方法。
【0093】
条項19.所定の針形状を推奨することを更に含む、条項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
条項20.経中隔穿刺を容易にするための方法であって、方法が、解剖学的マップ上で、アクセス血管の出口における第1の位置を識別することと、解剖学的マップ上で、卵円窩上の所望の穿刺部位における第2の位置を識別することと、経中隔針のテンプレート湾曲を表示することであって、テンプレート湾曲は、第1の位置と第2の位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づくことと、を含む方法。
【0095】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
プロセッサと、
命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
アクセス血管と標的穿刺位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づいて、経中隔針の湾曲を判定させる、非一時的コンピュータ可読媒体と、を含む、システム。
(2) 前記アクセス血管が下大静脈を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記アクセス血管が上大静脈を含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記命令が、前記システムに、
前記アクセス血管と前記標的穿刺位置との間の前記空間的関係を決定させるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記命令が、前記システムに、
解剖学的マップを生成することであって、前記解剖学的マップが、右心房に近接する前記アクセス血管と、前記右心房の心房中隔の少なくとも一部分とを含む、ことと、
前記解剖学的マップに基づいて、前記右心房に近接する前記アクセス血管の位置及び前記標的穿刺位置を特定することと、
前記アクセス血管と前記標的穿刺位置との間の前記空間的関係を決定することと、を行わせるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0096】
(6) 前記空間的関係が、心内蛍光透視法及び/又は超音波データによって確認される、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記命令が、前記システムに、
電磁マッピングに少なくとも部分的に基づいて前記解剖学的マップを生成させるように更に構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(8) ディスプレイを更に備え、
前記命令が、前記システムに、
前記経中隔針の推奨される湾曲を前記ディスプレイ上に表示させるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記命令が、前記システムに、
複数の所定の針形状のうちの1つの所定の針形状を示す針選択の指示を受信させ、
前記針選択の指示に少なくとも部分的に基づいて前記湾曲を決定させるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記命令が、前記システムに、
前記所定の針形状の近位点が前記アクセス血管に配置され、前記所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、前記所定の針形状の展開位置を決定させ、
回転行列を使用して前記湾曲を決定させ、前記近位点を固定したまま前記遠位点を前記標的穿刺位置に移動させるように更に構成されている、実施態様9に記載のシステム。
【0097】
(11) 前記針選択の指示を受信するように構成された針識別モジュールを更に含む、実施態様9に記載のシステム。
(12) 前記針識別モジュールが、
前記システムと通信する針の電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)から針識別子を受信し、
前記針識別子に少なくとも部分的に基づいて前記針選択の指示を決定するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記命令が、前記システムに、
前記経中隔針の前記湾曲に少なくとも部分的に基づいて、複数の所定の針形状から好ましい針形状を選択させるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(14) 前記命令が、前記システムに、
前記システムのユーザに、前記好ましい針形状を推奨させるように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記命令が、前記システムに、
前記湾曲に少なくとも部分的に基づいて、経中隔針設計を推奨させるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0098】
(16) 経中隔穿刺のための方法であって、前記方法が、
下大静脈の出口における、患者の解剖学的マップ上の第1の位置を識別することと、
卵円窩上の所望の穿刺部位における、解剖学的マップ上の第2の位置を識別することと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の曲線を推定することと、
ディスプレイ上に、推定された前記曲線に少なくとも部分的に基づいて、針形状テンプレートを提供することと、を含む、方法。
(17) 所定の針形状に少なくとも部分的に基づいて、前記針形状テンプレートを決定することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記所定の針形状の近位点が前記第1の位置に配置され、前記所定の針形状の遠位点が心房中隔に配置されるように、前記所定の針形状の展開位置を決定することと、
回転行列を使用して前記針形状テンプレートの曲率を決定し、前記近位点を固定したまま前記遠位点を前記所望の穿刺部位に移動させることと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 所定の針形状を推奨することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 経中隔穿刺を容易にするための方法であって、前記方法が、
解剖学的マップ上で、アクセス血管の出口における第1の位置を識別することと、
前記解剖学的マップ上で、卵円窩上の所望の穿刺部位における第2の位置を識別することと、
経中隔針のテンプレート湾曲を表示することであって、前記テンプレート湾曲が、前記第1の位置と前記第2の位置との間の空間的関係に少なくとも部分的に基づく、ことと、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【外国語明細書】