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特開2024-91595ロープ壁を有する履物ソールおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091595
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ロープ壁を有する履物ソールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/02 20220101AFI20240627BHJP
【FI】
A43B13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216661
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】22383264.3
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522329272
【氏名又は名称】プロインベックス アーバン エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ マニュエル,アーバン ブルー
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA31
4F050HA56
4F050LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、ロープ壁を有する履物ソールおよびその製造方法に関し、編組ジュートまたはエスパルトロープから作成された種類の履物のための完成ソール(1)に関し、通常はエスパドリルおよび同様の履物に使用され、設計に応じて、より大きいまたはより小さい厚みを有することができ、同様に、高さが可変であるヒールウェッジにも関する。
【解決手段】本発明の完成ソール(1)は、他の利点の中でも、軽量であることに加えて、今日使用されている他の充填材よりも高い柔軟性を与える内側ポリウレタンコア(4)を備えるという特徴と、濡れたときに浸漬されず、重量を増加させない能力とを提供する。本発明の第2の態様は、前記ソール(1)を得られる製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープ壁を有する履物ソールであって、
少なくとも1つ以上のロープ(2)周壁と、
前記ソール(1)の下部支持底部(3)と、
1つ以上の前記周壁の内側の充填材コア(4)と、から構成される構造を備え、
つま先が載置される前部と、足のかかとが載置される後部とを決定しており、
前記内側充填材コア(4)は、少なくともポリウレタン(PU)から作成され、
前記ポリウレタン(PU)コア(4)と、前記支持底部(3)との間に、前記ポリウレタン(PU)コア(4)と前記支持底部(3)との間の接合部として作用する、多孔質材料の中間シート(6)を有することを特徴とする、履物ソール。
【請求項2】
前記中間シート(6)は、前記ポリウレタン(PU)コア(4)および前記支持底部(3)に一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記支持底部(3)は、ゴムまたは同様の材料から作成されていることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項4】
前記ソールは、くさび形であり、
前記後部は、前記前部に対して隆起していることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項5】
前記コア(4)は、充填物全体にわたって第1均一密度のポリウレタン(PU)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項6】
前記コア(4)は、
第1密度を有する少なくとも1つの第1ポリウレタン(PU)と、
第2密度を有する少なくとも1つの第2ポリウレタン(PU)と、を含み、
前記コア(4)における異なる密度の領域(4a、4b、4c)を決定していることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項7】
前記ポリウレタン(PU)コア(4)は、
前記前部に対応し、第1密度を有する第1ポリウレタン(PU)を有する第1領域(4a)と、
前記後部に対応し、第2密度を有する第2ポリウレタン(PU)を有する第2領域(4b)と、を有することを特徴とする、請求項4または6に記載のソール。
【請求項8】
前記第2ポリウレタンの密度は、前記第1ポリウレタンの密度よりも高いことを特徴とする、請求項7に記載のソール。
【請求項9】
前記かかとが載置される、前述のソール(1)の前記後部において、
第1ポリウレタン(PU)の前記コア(4)は、第1ポリウレタン(PU)の密度よりも低い密度を有する第2ポリウレタン(PU)が充填された空間(4c)を組み込んでいることを特徴とする、請求項8に記載のソール。
【請求項10】
多孔質材料の前記中間シート(6)は、軽量、低密度、および柔軟性を備える布から作成されていることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項11】
前記中間シートは、不織布であることを特徴とする、請求項10に記載のソール。
【請求項12】
前記ポリウレタン(PU)コア(4)の上側にトップカバー(5)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のソール。
【請求項13】
少なくとも、
(a)ゴム材料から作成された1つ以上の構成要素を、履物ソール(1)として成形された型に導入することで、前記ソール(1)の支持底部(3)を作成する工程と、
(b)前記型の周壁の内側にロープ/ジュート(2)のストライプを配置することで、前記ソール(1)の1つ以上のロープ/ジュート(2)壁を作成する工程と、
(c)1つ以上の前記構成要素に多孔質材料のシート(6)を配置することで、前記ソール(3)を作成する工程と、
(d)前記型に導入された前述の要素のセットを、いかなるタイプの接着剤を用いることなく押圧することで、3つの前記要素、すなわち前記多孔質材料のシート(6)、前記ロープ(2)および前記支持底部(3)の1つ以上の構成要素をそのままにし、押圧中に溶融した前記支持底部(3)の材料によって接合されて、前記ロープ(2)周壁と、多孔質材料の内側シート(6)との間に間隙を有する構造を形成する工程と、
(e)第1密度を有する少なくとも1つのポリウレタン(PU)を、液体状態で、中空構造の前記間隙の内側に導入する工程と、
(f)少なくとも1つの前記ポリウレタンを冷却することにより、膨張し始め、前記中空構造の前記ロープ(2)周壁と多孔質材料の前記シート(6)との間に包含され、前記壁の前記ロープ(2)および多孔質材料の前記シート(6)に接合された充填材コア(4)を形成し、支持底部(3)、ロープ(2)周壁、充填材コア(4)、および、コア(4)とソール(3)との間の多孔質材料のシート(6)を有する履物ソールを形成する工程と、を含むことを特徴とする、ロープ壁を有する履物ソールの製造方法。
【請求項14】
少なくとも1つの前記ポリウレタンを導入する前記工程の後に、第2密度を有する第2ポリウレタンもまた液体状態で導入され、これにより、前記ソール(1)において、少なくとも2つの異なる密度を有する少なくとも2つの領域(4a、4b、4c)を決定することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ポリウレタンを導入する前記工程において、接着剤なしで前記充填材コア(4)に接合されるトップカバー(5)が提供されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の目的〕
本発明は、ロープ壁を有する履物ソールおよびその製造方法であって、編組ジュートまたはエスパルトロープから作成された種類の履物のための完成ソールに関し、通常はエスパドリルおよび同様の履物に使用され、設計に応じて、より大きいまたはより小さい厚みを有することができる。また、高さが可変であるヒールウェッジにも関する。本発明の完成ソールは、他の利点の中でも、軽量であることに加えて、今日使用されている他の充填材よりも高い柔軟性を与える内側ポリウレタンコアを備えるという特徴と、濡れたときに浸漬されず、重量を増加させない能力とを提供する。本発明の第2の態様は、前記ソールを得られる製造方法である。
【0002】
本発明の適用分野は、特にロープ/ジュートソールを有する履物を製造する分野に焦点を当てた履物産業の分野に属する。
【0003】
〔背景技術〕
今日、ロープまたはジュートソールは、ロープの線が重畳して視認され、壁を形成し、通常はゴムで作成された履物の支持底部に載置した、目に見える外周を有する。ソールの前記壁および前記底部は、中空構造またシェルを形成し、その内部は、剛性コルクまたはロープ自体が充填され得る。
従って、これらのソールは重く剛性があり、換言すると、非常に柔軟性が無く、結果として歩行時に不快感を伴う。加えて、雨が降りソールが濡れると、ソール壁の外側ロープに浸透し、浸漬するだけでなく、内部にもロープ壁を通って浸透し、底部の重量が増加する。
【0004】
したがって、本発明の目的は、ジュートまたはロープソールを軽く、かつより柔軟にし、ユーザの快適性を高め、濡れたときのロープまたはゴム充填物を有するソールの課題を予防するための、新規な履物ソールの開発である。そのために、ポリウレタン(以下、PU)を充填材として使用することが提案されているが、それはポリウレタンが濡れたときに、浸漬されまたは重量が増加しない軽量の柔軟な材料であるためである。
【0005】
〔先行技術文献〕
〔特許文献1〕仏国特許第 1 070 014 A 号明細書
〔特許文献2〕英国特許第 969 241 A 号明細書
〔特許文献3〕仏国特許第 3 068 867 A1号明細書
〔特許文献4〕仏国特許第 2 609 874 A1号明細書
しかしながら、PUを充填材として使用することは、PUのキャスティング中にこのタイプのソールのゴム支持底部にPUをうまく接合することなどの課題をもたらす。これを達成するため、支持底部のゴムは、支持底部の上部または内側を研磨し、その後、接着剤を使用することによって作成されなければならない。支持底部のゴムの研磨は複雑であり、ソールのシェルまたは中空構造の内側のゴムに外側からアクセスしなければならないが、支持底部の内面がソール壁によって制限され、したがってアクセスを困難にする。
【0006】
前述の問題に鑑みて、本発明は、ロープ壁を有するソールの製造中に中空構造またはシェルをPUで充填することを可能にする解決策を提案する。
【0007】
〔発明の説明〕
本発明の態様であるロープを有する履物ソールおよびその製造方法は、前述の課題に対する解決策を提案する。したがって、本発明の第1の態様は、請求項1に記載のロープ壁を有する完成した履物ソールである。
【0008】
具体的には、ロープ壁を有する履物ソールは、少なくともロープ周壁と、履物の支持体として作用する下部底部と、周壁の内側の充填材コアと、から構成される構造を備え、つま先が載置される前部と、足のかかとが載置される後部とを決定しており、内側充填材コアは、少なくともポリウレタン(PU)から作成され、ポリウレタン(PU)コアと支持底部との間に、ポリウレタンコアとソールの支持底部との間の接合部として作用する多孔質材料の中間シート、好ましくは布、を有する。ソールの製造方法の中でゴムが加硫される場合、およびポリウレタン(PU)が前記シート上に(好ましくはキャスティングによって)組み込まれるかまたは導入される場合、その液体状態のゴムおよびポリウレタンの両方がシートの気孔内に導入されるように、多孔質材料の前記中間シートは十分な多孔度を有さなければならない。
【0009】
好ましくは、ロープは編組ジュートまたはエスパルトロープであり、支持底部はゴムまたは同様の材料から作成される。
【0010】
したがって、ロープ壁を有する履物ソールは通常、エスパドリルおよび同様の履物に使用され、それらは様々な厚さを有してもよく、また、ゴム支持底部および内側ポリウレタン充填材コアを組み込んだ、様々な高さのヒールウェッジを有しても、有しなくてもよい。したがって、本発明の底部ソールの態様は、現在使用されているようなロープ自体またはコルクのような充填材から構成される代わりに、その充填材コアがポリウレタンコアであるという要因によって、そのソールにロープを有するコアエスパドリルおよび同様の履物とは、本質的に区別される。このように、このポリウレタンは非常に軽量であることに加えて、底部により大きな柔軟性を与え、濡れたときにそれが浸漬されることを防止し、したがって、その重量を増加させない。
【0011】
多孔質材料の中間シートの狙いは、ロープ/ジュート周壁、多孔質材料の中間シート(好ましくは布)、およびゴム底部によって形成された中空構造の内側に、好ましくはキャスティングによって導入されるポリウレタンと接合することを可能にすることであり、その結果、多孔質材料の中間シートは、ポリウレタンコアおよび支持底部の両方に一体化される。ポリウレタンはまた、ロープまたはジュート壁を有する履物ソールにおいて最新技術で使用される材料であるロープおよび/またはコルクで作成された内部を有するソールと比較して、ソールの総重量を低減し、その柔軟性を増加させることを可能にする。ポリウレタンはまた、雨が降ったときに履物に浸透することを防止し、ロープ/ジュートならびにロープおよび/またはコルク充填材を有する既知の履物に関する重量の増加を制限する。
【0012】
その好ましい材料はゴムまたはソールの支持底部と同じ性質のものであり、すでに述べたように、ソールの壁のために絡み合わされたエスパルトまたはジュート糸によって形成されたロープであり、多孔質材料の中間シートは好ましくは軽量で、低密度で、柔軟性の布であり、より好ましくは、不織布である。代替として、中間シートは厚紙などの紙ベースの材料であってもよく、一般に、ポリウレタンおよびゴムと適合性のある任意の多孔質柔軟材料であってもよい。
【0013】
履物ソールは前部と、前部と同じ高さであってよい後部とを有することができ、または、ソールの後部が前部に対して隆起するような、すなわち、かかとがつま先に対して隆起するような、くさび形であってもよい。この場合、ソールの充填材コアは、前部と後部との間に傾斜を有する。
【0014】
充填剤コアに関しては、充填物全体にわたって均一性を有する第1密度の単一のポリウレタンを含むことができ、または、第1密度を有する少なくとも1つの第1ポリウレタンおよび第2密度を有する少なくとも1つの第2ポリウレタンを有することができ、その結果、異なる領域は、異なる密度を有する充填剤コアにおいて決定される。
【0015】
例えば、ソールのポリウレタンコアは、前部に対応し、第1密度を有する第1ポリウレタンを有する第1領域と、後部に対応し、第2密度を有する第2ポリウレタンを有する第2領域を有している。このようにして、ユーザは足を載置させたときに、踵と足の先端との間の異なる感覚を知覚する。好ましくは、第2ポリウレタンの密度が第1ポリウレタンの密度よりも高く、これにより、歩くとき、かかとが載置されているソールの後部は、柔軟なソールの前部よりも硬い。この構成は、ロープ/ジュート壁を有する履物ソールがくさび形である場合、言い換えれば、後部が前部よりも高い場合に、特に興味深い。同様に、かかとが載置されるソールの後部において、第1ポリウレタンで作成されたソールのコアは、第1ポリウレタンの密度よりも低い密度を有する第2ポリウレタンで充填された空間を組み込むことができ、その結果、ソールのかかと支持領域はより柔らかくなる。
【0016】
履物の要件に応じて、異なる密度を有する異なる構造を使用することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、請求項13に記載のロープ壁を有する履物ソールを製造する方法である。前記製造方法は、以下の工程を含む。
【0018】
(a)前記ソールの支持底部を構成する1つ以上の構成要素を、履物ソールとして成形された型に導入する工程である。前記構成要素は、予め加硫されたゴム層でよく、または、ゴム材料の粒子、削り屑またはペレットであってよい。
【0019】
(b)型の周壁の内側にロープ/ジュートの一片を配置する工程である。
【0020】
(c)多孔質材料のシート、好ましくは低密度で柔軟性かつ断熱性のある不織布を、ソール底部を構成する1つの構成要素(予加硫層)または複数の構成要素(粒子、削り屑、もしくはペレット)に配置する工程である。
【0021】
(d)型に導入された前述の要素のセットを、いかなるタイプの接着剤を用いることなく押圧することで、3つの要素、すなわち多孔質材料のシート、ロープ、および支持底部材料をそのままにし、押圧中に溶融した支持底部の材料によって接合されて、ロープで作成されたソールの周壁と多孔質材料の内側シートとの間に間隙を有する中空構造を形成する工程である。この工程はいかなるタイプの接着剤も必要とせずに実施され、その結果、中間シート材料(好ましくは不織布)およびロープ材料の多孔度によって、全てが下部底部のゴムに接合されたままとなり、前述の構造を形成する。
【0022】
(e)好ましくはキャスティングによって、第1密度を有する少なくとも1つのポリウレタンを、液体状態で中空構造の内側に導入する工程である。多孔質材料のシートを構成する糸とロープを構成する糸との間に当該ポリウレタンを導入する。
【0023】
(f)好ましくはキャスティングによって導入された後、少なくとも1つのポリウレタンを冷却することにより、約5~10秒の間で、ポリウレタンが膨潤し始め、ロープ壁と布シートとの間に包含され、周壁のロープおよび多孔質材料のシートに取り付けられたソールの充填材コアを形成し、支持底部、1つ以上のロープ周壁、充填材コア、およびコアとソールの支持底部との間の多孔質材料のシートを有する履物ソールを形成する。
【0024】
上述のように、充填材コア中に2つの密度を有するソールを達成するために、ポリウレタンを導入する工程において、好ましくはキャスティングによって、第2密度を有する第2ポリウレタンを導入することが可能であり、従って、ソール中に少なくとも2つの異なる密度を有する少なくとも2つの上述の領域を決定することが可能である。同様に、ポリウレタンを導入する工程において、接着剤を使用する必要なく、ソールのトップカバーを同じ充填材コアに接合するように配置することが可能であり、したがって、ロープ壁を有するこのタイプの履物ソールを製造する従来の方法に関する追加の工程を排除することが可能である。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
この説明を完成させ、理解を容易にするために、図のセットは、全体の一部として含まれ、例示的かつ非限定的な方法で描写される。
【0026】
図1は、本発明の履物のためのロープ底部の一例である概略側面図および断面図を示し、履物が備える様々な部品ならびにその配置を表す。
【0027】
図2は、最初の製造工程における底部の上面斜視図を示し、ロープシェル、および、ゴムソールとポリウレタンコアとの間に含まれる軽量な布のシートを示す。
【0028】
図3は、ポリウレタンコアがすでに中空ロープ構造に組み込まれている中間製造工程における底部の上面斜視図を示す。
【0029】
図4は、レザーカバーが組み込まれた別の製造工程における底部の上面斜視図を示す。
【0030】
〔本発明を実施するための形態〕
前述の図において、かつ符号に従って、ロープ壁を有する履物ソールの例示的な実施形態が、その製造工程のうちのいくつかにおいて以下に説明される。
【0031】
したがって、前記図に示されるように、本発明のソール(1)は本質的に、
ソール(1)の少なくとも1つ以上の周壁を組み込む中空ロープ(2)構造と、
履物が表面に載置される、好ましくはゴム製の下側支持底部(3)と、
ソールの中空構造の内側充填材コア(4)と、好ましくは、
履物のユーザの足が載置される、レザー、布またはプラスチック製のトップカバー(5)と、を備えるタイプである。
【0032】
このカバー(5)はソール(1)上に存在することが好ましいが、必須ではなく、ソール(1)の製造後の工程においてソール(1)上に配置することができ、または配置されなくてもよい。このようにして、本発明のソール(1)の態様は、このカバー(5)を有していても、有していなくてもよい。
【0033】
ソールの内側充填材コア(4)は、ポリウレタン(PU)で作成され、さらに、前記ポリウレタン(PU)コア(4)とゴム支持底部(3)との間に、多孔質材料の中間シート(6)、好ましくは布、が組み込まれる。これは、前記多孔質材料のシートが前記コア(4)のポリウレタン(PU)に一体化され、同時に支持底部(3)に接合されるとき、ポリウレタン(PU)コア(4)とゴム支持底部(3)との間の接合部として作用する。好ましくは、多孔質材料の前記中間シート(6)は、軽量、低密度、高い柔軟性、および断熱性のある布地、より好ましくは不織布から作成される。
【0034】
さらに、一実施形態において、ソール(1)のポリウレタン(PU)コア(4)は、画定される充填材全体にわたって均一な密度を有するが、前記コア(4)は任意選択的に、異なる密度の領域(4a、4b、4c)を含む。
【0035】
したがって、図1を見ると、非限定的な実施形態において、本発明のソール(1)は、くさびを有し、ポリウレタン(PU)コア(4)を含む様子を確認することができる。次に、ポリウレタン(PU)コア(4)が、ポリウレタンの第1密度を有し、ソール(1)の前部に対応する第1領域(4a)と、ポリウレタンの第2密度を有し、ソール(1)の後部に対応する第2領域(4b)とを有する様子を確認することができる。この第2密度は、ポリウレタンの第1密度よりも高い。
【0036】
さらに、代替的に、ユーザの足のかかとが載置されるソール(1)の後部の上部において、ソール(1)のポリウレタン(PU)コア(4)は、さらに低密度のポリウレタン(PU)で充填された空間(4c)を組み込む。
【0037】
最後に、本発明のソール(1)の別の任意選択的な特徴によれば、トップカバー(5)は接着剤を必要とすることなく、ソールの形成中にポリウレタン(PU)コア(4)の上面に接合することができ、前記カバー(5)は好ましくはレザーカバーであり、一方でプラスチックまたは布で作成してもよい。
【0038】
本発明の態様であるソール(1)の製造方法は、その一部について、少なくとも以下の工程を含む。
【0039】
(a)好ましくはゴムのような材料で作成された1つ以上の構成要素を、履物ソール(1)として成形された型に導入することで、ソール(1)の支持底部(3)を作成する工程である。この構成要素は、支持底部として作用し得る予め加硫されたゴム層であってよく、または、底部(1)の支持底部(3)を形成し得るゴム材料の粒子、削り屑またはペレットであってよい。
【0040】
(b)型の周壁の内側にロープ/ジュート(2)の一片を配置することで、ソール(1)の1つ以上の壁として作用させる工程である。
【0041】
(c)多孔質材料のシート(6)(好ましくは布)を、支持底部(3)を構成し得る1つ以上の構成要素に配置する工程である。
【0042】
(d)型に導入された前述の要素のセットを、いかなるタイプの接着剤を用いることなく押圧することで、3つの要素、すなわち多孔質材料のシート(6)、ロープ(2)、および支持底部材料(3)をそのままにし、押圧中に溶融した支持底部(3)の材料によって接合されて、図2に示されるように、ソール(1)の1つ以上のロープ(2)周壁と多孔質材料の内側シート(6)との間に間隙を有する構造を形成する工程である。
【0043】
(e)好ましくはキャスティングによって、第1密度を有する少なくとも1つのポリウレタン(PU)を、液体状態でソール(1)の構造の間隙内に導入する工程である。
【0044】
(f)少なくとも1つのポリウレタンを冷却することにより、ポリウレタンが膨張し始め、1つ以上のロープ(2)の壁と、布シート(6)との間に包含され、1つ以上の周壁のロープ(2)および多孔質材料のシートに取り付けられたソール(1)の充填材コア(4)を形成し、ロープ/ジュート(2)壁、支持底部(3)、充填材コア(4)、およびコア(4)と支持底部(3)との間の多孔質材料のシート(6)を有する履物ソール(1)を形成する工程である。図3はポリウレタン(PU)を構造に導入し、一旦PUが膨張した後に1つ以上の壁のロープ(2)に一体化した結果を示す。
【0045】
任意選択的に、ポリウレタン(PU)を組み込む工程において、異なる密度を有する2つのポリウレタンは、ロープ(2)および圧縮された多孔質材料のシート(6)によって形成された中空構造の内側で支持底部(3)と組み合わされ、充填材コア(4)内に異なる密度を有する異なる領域(4a、4b、4c)を画定する。
【0046】
続いて、本方法は、任意の従来の固定システムを使用して接合することができるトップカバー(5)を組み込む後工程をさらに含むことができる。しかしながら、好ましくは、本発明の方法は、好ましくはキャスティングによって、ポリウレタン(PU)を導入する工程において、前記トップカバー(5)を組み込む工程を含み、結果として接着剤なしで前記ポリウレタン(PU)に接合される。前記トップカバー(5)は、好ましくはレザーまたは布カバーである。図4は、ソール(1)に適用され、前記ソール(1)の内側コア(4)および1つ以上のロープ/ジュート(2)壁に配置された前述のもの(トップカバー(5))の実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の履物のためのロープ底部の一例である概略側面図および断面図を示し、履物が備える様々な部品ならびにその配置を表す。
図2】最初の製造工程における底部の上面斜視図を示し、ロープシェルおよび、ゴムソールとポリウレタンコアとの間に含まれる軽量な布のシートを示す。
図3】ポリウレタンコアがすでに中空ロープ構造に組み込まれている中間製造工程における底部の上面斜視図を示す。
図4】レザーカバーが組み込まれた別の製造工程における底部の上面斜視図を示す。
図1
図2
図3
図4