(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091598
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイス、電気外科用ジェネレータ、検出方法、および動作方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240627BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216836
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/434,992
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ラミン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フェーシング
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770DA01
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770HA19Z
5H770JA06Z
5H770JA17Z
(57)【要約】
【課題】器具切替手段の状態を監視するために使用される電気回路の複雑さを低減する。
【解決手段】少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段で構成され、測定電流を生成するための電力変換器と、第1および第2の器具切替手段とは、第1の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、第1の測定電流が第1の電流経路に沿って確立され、第1の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されず、第2の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、第2の測定電流が第2の電流経路に沿って確立され、第2の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されないように接続される。評価デバイスは、測定電流が第1または第2の電流経路に沿って確立されているかを検出するように適合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスであって、
測定電流を生成するための電力変換器であって、少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段で構成される前記電力変換器と、
前記電力変換器の前記少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段を作動させるための制御デバイスと、
前記電力変換器に電気的に接続される第1および第2の器具切替手段と、
前記生成された測定電流を評価するための評価デバイスと、
を備え、
前記電力変換器と前記第1および第2の器具切替手段とは、
(i)前記第1の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段が導通しているとき、第1の測定電流が前記第1の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段を通る第1の電流経路に沿って確立され、前記第1の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されず、
(ii)前記第2の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段が導通しているとき、第2の測定電流が前記第2の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段を通る第2の電流経路に沿って確立され、前記第2の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されない
ように接続され、
前記評価デバイスは、前記生成された測定電流が前記第1の電流経路に沿って確立されているか、または前記第2の電流経路に沿って確立されているかを検出するように適合される
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記第1の器具切替手段および前記第2の器具切替手段は、並列に電気的に接続され、前記第1の器具切替手段は、前記第2の器具切替手段とは異なる導通方向を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の器具切替手段は、第1の作動可能なスイッチおよび第1の導通方向を有する第1のダイオードで形成され、前記第2の器具切替手段は、第2の作動可能なスイッチおよび第2の導通方向を有する第2のダイオードで形成され、前記第1および第2の導通方向は、異なっており、前記第1の器具切替手段は、第1の特定の抵抗もしくは抵抗器で形成され、および/または前記第2の器具切替手段は、第2の特定の抵抗もしくは抵抗器で形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電力変換器は、少なくとも4つの制御可能な切替手段を有するHブリッジで形成され、少なくとも前記第1の器具切替手段および前記第2の器具切替手段は、前記Hブリッジの中点に導電的に接続される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記制御デバイスは、クロック制御される前記電力変換器の前記少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段を作動させるように構成され、第1の切替段階で少なくとも前記第1の制御可能な切替手段を作動させ、第2の切替段階で少なくとも前記第2の制御可能な切替手段を作動させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御デバイスは、第1の切替段階で前記第1の制御可能な切替手段および第4の制御可能な切替手段を同時に作動させ、第2の切替段階で前記第2の制御可能な切替手段および第3の制御可能な切替手段を同時に作動させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御デバイスは、200Hzまたは250Hzのクロック周波数でクロック制御される前記電力変換器の前記少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段を作動させるように配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記評価デバイスは、前記電力変換器の前記少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段の現在の切替段階の評価と前記測定電流とに基づいて、前記第1の器具切替手段の前記起動を検出し、かつ/もしくは前記第2の器具切替手段の前記起動を検出するように構成され、および/または
前記評価デバイスは、第1の切替段階における測定された測定電流と第2の切替段階における測定された測定電流との間の差を計算するように適合され、前記計算された差が所定の閾値を超える場合、前記第1または第2の器具切替手段の起動は、前記評価デバイスを用いて決定され、および/または
前記評価デバイスは、前記電気外科用器具のバイパスを形成する基準切替段階における基準電流を計算するように適合され、前記第1の切替段階における前記測定された測定電流と前記基準電流との間の差、および/もしくは前記第2の切替段階における前記測定された測定電流と前記基準電流との間の差を計算し、それによって高周波ノイズを低減または排除するように適合される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
閾値が、前記第1の測定電流および/または前記第2の測定電流に対して実装され、前記評価デバイスは、前記閾値に達したときに前記第1の器具切替手段および/または前記第2の器具切替手段が起動していると評価する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つのさらなる器具切替手段が、前記第1および第2の器具切替手段に並列に接続され、前記さらなる器具切替手段は、前記第2の器具切替手段および/または前記第1の器具切替手段とは異なる電流通過方向を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを備える電気外科用ジェネレータであって、前記デバイスは、請求項1に記載のデバイスであることを特徴とする、電気外科用ジェネレータ。
【請求項12】
電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するための検出方法であって、前記器具切替手段は、少なくとも第1および第2の器具切替手段を備え、前記第1および第2の器具切替手段は、電力変換器に電気的に接続され、
第1の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段が導通しているとき、第1の測定電流が前記第1の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段を通る第1の電流経路に沿って確立され、前記第1の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されず、
第2の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段が導通しているとき、第2の測定電流が前記第2の制御可能な切替手段および前記第2の器具切替手段を通る第2の電流経路に沿って確立され、前記第2の制御可能な切替手段および前記第1の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されず、前記検出方法は、
少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段で構成される前記電力変換器によって測定電流を生成するステップと、
制御デバイスによって前記電力変換器の前記制御可能な切替手段を作動させるステップと、
前記生成された測定電流が、前記生成された測定電流を評価するための評価デバイスによって前記第1の電流経路に沿って確立されているか、または前記第2の電流経路に沿って確立されているかを検出するステップと
を含む、検出方法。
【請求項13】
前記電力変換器の前記少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段の現在の切替段階の評価と前記測定電流とに基づいて、前記第1の器具切替手段の前記起動を検出するステップ、および/または前記第2の器具切替手段の前記起動を検出するステップ
を含む、請求項12に記載の検出方法。
【請求項14】
電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを動作させるための動作方法であって、前記デバイスは、請求項1に記載のデバイスであり、前記動作方法は、
すべての制御可能な切替手段が非導通状態に設定されているとき、測定電流としてアイドル電流を測定するステップと、
すべての制御可能な切替手段が導通状態に設定されているとき、測定電流としてノイズ電流を測定するステップと、
前記電力変換器の順モードと逆モードとの切替を繰り返すステップと
を含み、
前記順モードでは、前記電力変換器の少なくとも前記第1の制御可能な切替手段は、導通し、
前記逆モードでは、前記電力変換器の少なくとも前記第2の制御可能な切替手段は、導通する、動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスに関する。本発明はまた、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを備える電気外科用ジェネレータに関する。本発明はまた、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するための検出方法に関する。本発明はまた、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを動作させるための動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科用器具を動作させるための電気外科用ジェネレータが、一般に知られている。そのようなジェネレータは、ジェネレータに接続されたハンドヘルド電気外科用器具用の電源として使用される。そのようなジェネレータはまた、接続された電気外科用器具の正しい動作を監視するために使用される。電気外科用ジェネレータはまた、ジェネレータ自体でのユーザ対話を監視するように適合され、または電気外科用器具もしくはフットスイッチなどのジェネレータに結合された他のユーザ対話手段でのユーザ対話を監視するように適合される。
【0003】
例えば、電気外科用器具は、プッシュボタンまたはハンドスイッチなどの器具切替手段を含むことが知られている。これらの切替手段は、例えば切断モードと凝固モードとを切り替えるために使用される。切断モードでは、電気外科用ジェネレータは、組織を切断するための特定の高周波電流を電気外科用器具に供給する。凝固モードでは、電気外科用ジェネレータは、組織を凝固させるための特定の高周波電流を電気外科用器具に供給する。したがって、電気外科用ジェネレータに接続された電気外科用器具は、切断または凝固などの器具の異なる動作モードを起動するためのプッシュボタンまたはハンドスイッチを有することが多い。
【0004】
器具切替手段は、ジェネレータとの個々の(接続)線、例えば切替手段ごとに1つの線によってジェネレータに接続されることが知られている。あるいは、器具切替手段は、ジェネレータとの器具コネクタを介して共通(接続)線によってジェネレータに接続される。第2の変形例では、共通線が使用される場合、どの切替手段がユーザによって起動されたかを検出するための回路を実装する必要がある。その目的のために、順方向または逆方向に器具の各プッシュボタンまたはハンドスイッチの前にダイオードを実装することが知られている。順方向は、順バイアスとしても知られている。逆方向は、逆バイアスとしても知られている。共通線は、(電気)共通接続線として理解することもできる。
【0005】
器具の切替手段を区別するために、および器具の切替手段が起動されているかどうかを監視するために、既知の解決策では交流電圧が共通線に印加される。例えば、200ヘルツ程度の周波数で共通線に印加される方形波信号を監視することが知られている。この信号は、基準点としてのグランドに対して正または負の極性を有する。印加される信号の極性が変化することに起因して、かつ各切替手段の前のダイオードの特定の導通方向に起因して、器具のそれぞれの切替手段がユーザによって押圧されると、切替手段への割り当て可能な電流の流れが確立される。
【0006】
例えば、2つの異なる切替手段が器具の一部であり、各切替手段が異なる導通方向を有するダイオードを含む場合、印加された交流信号が正の極性を有するとき、および順バイアスダイオードを有するそれぞれの切替手段がユーザによって起動されたとき、第1の電流の流れが確立される。順バイアスダイオードを有する切替手段を通る電流の流れは、印加された交流信号がダイオードの遮断効果のために負の極性を有するときには確立されない。逆もまた同様であり、印加された交流信号が負の極性を有するとき、および逆バイアスダイオードを有するそれぞれの切替手段がユーザによって起動されたとき、第2の電流の流れが確立される。逆バイアスダイオードを有する切替手段を通る電流の流れは、印加された交流信号がダイオードの遮断効果のために正の極性を有するときには確立されない。
【0007】
したがって、印加された交流信号が正の極性を有するときに電流が検出された場合、順バイアスダイオードを有する切替手段がユーザによって起動されたと結論付けることができる。印加された信号が負の極性を有するときに電流が検出された場合、逆バイアスダイオードを有する切替手段がユーザによって起動されたと結論付けることができる。これにより、1つの共通線を介して接続されているにもかかわらず、2つの手動切替手段を互いに独立して照会することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第4101406号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この原理のための負の電圧の生成および提供は、回路の複雑さを増大させる必要がある。加えて、負の電流または電圧を評価しなければならず、これも回路の労力を増大させる。加えて、評価は、正確に調整および較正されなければならないアナログオプトカプラによって部分的に実施される。
【0010】
要約すると、生成される負の電圧は、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するのに不利である。したがって、電気外科用器具の切替手段の起動を検出するための検出プロセスにおいて、そのような負の電圧または電流の供給を回避することが望ましい。
【0011】
したがって、本発明の目的は、器具切替手段の状態を監視するために使用される電気回路の複雑さを低減する解決策を提供することである。特に、本発明の目的は、器具切替手段の監視プロセスにおいて負の電圧または電流を使用しない解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスが提案される。
【0013】
デバイスは、監視ユニットまたは検出システムとして理解することもできる。デバイスは、電気外科用ジェネレータに結合された電気外科用器具の器具切替手段が起動されたかどうかを検出するために使用される。器具切替手段は、例えば、電気外科用器具に配置されたプッシュボタンまたはハンドスイッチである。器具切替手段を用いて、ユーザは、例えば器具の異なる動作モードを選択することができる。したがって、デバイスは、どの特定のスイッチまたはボタンがユーザによって押圧されたかを検出するように構成される。デバイスは、接続線を介して、例えば上述のように共通接続線を介して電気外科用ジェネレータに結合されることが理解される。電気外科用ジェネレータは、電気外科用器具を駆動するために使用される。電気外科用ジェネレータは、例えば、電力供給網から、またはバッテリなどの蓄電デバイスから前記電気外科用器具に電力を供給する。
【0014】
デバイスは、測定電流を生成するための電力変換器を備え、電力変換器は、少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段で構成される。電力変換器は、一般に、制御可能なスイッチによって電気エネルギーを変換するための電気的または電気機械的デバイスとして理解される。例えば、DC-DC、DC-AC、AC-DC、およびAC-ACは、既知の電力変換器である。提案された電力変換器は、制御スイッチとしても理解することができる少なくとも2つの制御可能な切替手段を含む。電力変換器は、例えば、Hブリッジトポロジーなどを有するDC-AC変換器である。制御可能な切替手段は、例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、BJT(バイポーラ接合トランジスタ)、または他の電子スイッチである。電力変換器によって生成される電流は、テスト電流、試験電流、被測定電流、または測定電流として理解することもできる。生成された測定電流に基づいて、少なくとも第1または第2の器具切替手段がユーザによって起動されたかどうかを決定することができる。電力変換器は、好ましくは電気外科用ジェネレータに配置される。電力変換器は、電圧源または電流源によって供給を行われることも理解される。電圧源または電流源は、例えば整流DC電圧である。電力変換器は、好ましくは12ボルト以下の電圧で動作する。
【0015】
デバイスは、電力変換器の制御可能な切替手段を作動させるための制御デバイスをさらに備える。制御デバイスは、制御ユニット、ゲートドライバ、ドライバ回路、またはトリガ回路などとして理解することもできる。制御デバイスは、電力変換器の制御可能な切替手段を作動させるための制御信号を提供するように適合される。制御デバイスは、制御信号によって個々に電力変換器の切替手段の各々を制御するように構成される。制御デバイスは、1つまたは複数の共通制御信号を電力変換器の切替手段の1つまたは複数に提供することも可能である。制御デバイスは、クロック制御方式で電力変換器の制御可能なスイッチを作動させる。例えば、第1の制御可能な切替手段は、第1の切替段階で制御デバイスによって作動され、第2の制御可能な切替手段は、異なる時間に第2の切替段階で作動される。切替段階という用語は、クロックサイクルとして理解することもできる。通常動作における制御可能な切替手段のクロック制御中、短絡が回避されるべきであることが理解される。しかしながら、ノイズ電流を決定するために短絡動作が望まれる場合がある。
【0016】
デバイスは、少なくとも第1および第2の器具切替手段をさらに備え、第1および第2の器具切替手段は、電力変換器に電気的に接続される。したがって、電気外科用器具は、少なくとも2つの器具切替手段、例えば電気外科用器具のハンドルに配置された2つの異なるハンドスイッチを含むことが提案される。前述のように、2つの異なる器具切替手段を用いて、例えば、器具のユーザまたはオペレータによって異なる動作モードを選択することができる。好ましくは、器具の切替手段は、共通接続線によって電力変換器と電気的に結合される。
【0017】
デバイスは、生成された測定電流を評価するための評価デバイスをさらに備える。評価デバイスは、測定ユニットまたは測定システムとして理解することもできる。評価デバイスは、電力変換器により生成される電流または電圧を測定または監視するように構成される。
【0018】
本発明の本質的な態様は、前述の構成要素がどのように電気的に相互接続されるかである。
【0019】
電力変換器および器具切替手段は、第1の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、第1の測定電流が第1の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段を通る第1の電流経路に沿って確立され、第1の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されないように接続されることが提案される。
【0020】
したがって、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、電力変換器の第1の制御可能な切替手段および電気外科用器具の第2の器具切替手段が導通しているが、測定電流が確立されないように第1の電流経路を介して配線されることが提案される。このような挙動を達成する1つの可能性は、例えば、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段が並列に電気的に接続され、第1の器具切替手段が第2の器具切替手段とは異なる導通方向を有することである。したがって、第1の電流経路に沿って流れる第1の測定電流は、電力変換器の第1の制御可能な切替手段および器具の第1の器具切替手段が導通している場合にのみ確立される。このようにして、電力変換器の第1の制御可能なスイッチが導通しているときに測定電流が検出または測定されると、第1の器具切替手段が起動したと結論付けることができる。
【0021】
さらに、電力変換器および器具切替手段は、第2の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、第2の測定電流が第2の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段を通る第2の電流経路に沿って確立され、第2の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されないように接続されることが提案される。
【0022】
したがって、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、電力変換器の第2の制御可能な切替手段および電気外科用器具の第1の器具切替手段が導通しているが、測定電流が確立されないように第2の電流経路を介して配線されることが提案される。前述したように、このような挙動を達成する1つの可能性は、例えば、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段が並列に電気的に接続され、第1の器具切替手段が第2の器具切替手段とは異なる導通方向を有することである。したがって、第2の電流経路に沿って流れる第2の測定電流は、電力変換器の第2の制御可能な切替手段および器具の第2の器具切替手段が導通している場合にのみ確立される。このようにして、電力変換器の第2の制御可能なスイッチが導通しているときに測定電流が検出または測定されると、第2の器具切替手段が起動したと結論付けることができる。
【0023】
生成された測定電流が第1の電流経路に沿って確立されているか、または第2の電流経路に沿って確立されているかを区別するために、評価デバイスが使用される。評価デバイスは、生成された測定電流が第1の電流経路に沿って確立されているか、または第2の電流経路に沿って確立されているかを検出するように適合されることが提案される。
【0024】
生成された測定電流が第1の電流経路に沿って確立されているか、または第2の電流経路に沿って確立されているかを区別する1つの可能な方法は、電力変換器の制御可能なスイッチの切替段階またはクロックサイクルおよび測定電流を評価することである。例えば、電力変換器の第1の制御可能なスイッチがアクティブであるときに測定電流がクロックサイクルにおいて検出される場合、上述の配線および器具切替手段の異なる導通方向に起因して、第1の器具切替手段が起動されたと結論付けることができる。逆もまた同様であり、電力変換器の第2の制御可能なスイッチがアクティブであるときに測定電流がクロックサイクルにおいてのみ検出される場合、第2の器具切替手段が起動されたと結論付けることができる。
【0025】
前述のような配線トポロジーでは、負の電圧を使用せずに2つの器具切替手段の起動を検出することが可能である。提案されたデバイスは、回路の複雑さを少なくして実装することができ、加えて、負の電圧および電流に適した複雑なアナログ回路を回避することができる。したがって、負の電圧に適した構成要素を回避することができる。
【0026】
好ましくは、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、並列に電気的に接続され、第1の器具切替手段は、第2の器具切替手段とは異なる導通方向を有する。導通方向は、順方向または逆方向である。両方の方向は、一般に知られている。順方向は、順バイアスとしても知られている。逆方向は、逆バイアスとして知られている。したがって、2つの器具切替手段を、並列であるが異なる導通方向で接続することが提案される。所定の方向の電圧が2つの並列器具切替手段に印加されると、一方の器具切替手段にのみ電流が流れることが理解される。
【0027】
好ましくは、第1の器具切替手段は、第1の作動可能なスイッチおよび第1の導通方向を有する第1のダイオードで形成され、第2の器具切替手段は、第2の作動可能なスイッチおよび第2の導通方向を有する第2のダイオードで形成され、第1および第2の導通方向は、異なっている。第1の作動可能なスイッチおよび/または第2の作動可能なスイッチは、例えば、トグルスイッチ、プッシュボタン、ハンドスイッチなどである。ダイオードが、一般に知られている。ダイオードは、主に一方向に電流を伝導する電子構成要素である。一方の方向は低抵抗であり、他方の方向は高抵抗である。したがって、第1の導通方向を有する第1のダイオードが第1の器具切替手段に直列に配置され、異なる導通方向を有する第2のダイオードが第2の器具切替手段に直列に配置されることが提案される。例えば、第1のダイオードは順方向に電流を伝導し、第2のダイオードは逆方向に電流を伝導する。
【0028】
加えて、または代替的に、第1の器具切替手段は、第1の特定の抵抗もしくは抵抗器で形成され、および/または第2の器具切替手段は、第2の特定の抵抗もしくは抵抗器で形成される。さらなる器具切替手段が、第1および第2の切替手段と同じ方法で、したがって作動可能なスイッチ、ダイオード、および/または特定の抵抗もしくは抵抗器で形成されることも提案される。特定の抵抗器によって、同じ導通方向を有するダイオードを有する器具切替手段を区別するために、器具切替手段ごとに固有の電流の流れを提供することができる。
【0029】
好ましくは、評価デバイスは、測定電流の電流振幅を評価するように適合される。このようにして、電流振幅を評価し、同じ導通方向を有する器具切替手段を区別することができる。異なる電流振幅を、前記抵抗器で設定することができる。
【0030】
好ましくは、電力変換器は、少なくとも4つの制御可能な切替手段を有するHブリッジで形成される。Hブリッジは一般に知られており、ブリッジ回路と同義であると理解することができる。Hブリッジまたはブリッジ回路は、2つの回路分岐(通常は互いに並列)が、それらに沿ったいくつかの中間点で第1の2つの分岐の間に接続された第3の分岐によって「架橋」される電気回路のトポロジーである。Hブリッジは、負荷に印加する電圧の極性を切り替える電子回路である。この場合の負荷は、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段である。Hブリッジは、4つの制御可能な切替手段を含む。これらの4つの制御可能な切替手段を用いて、一般に5つの異なる切替状態、すなわち、第1および第4の制御可能な切替手段がアクティブである順モード、第2および第3の制御可能な切替手段がアクティブである逆モード、すべての制御可能な切替手段が非アクティブであるか、または4つの制御可能な切替手段のうちの1つのみがアクティブであるアイドルモード、第2および第4の制御可能な切替手段または第1および第3の制御可能な切替手段がアクティブであるブリッジ短絡モード、ならびに第1および第2の制御可能な切替手段ならびに/または第3および第4の制御可能な切替手段がアクティブである短絡モードを設定することができる。
【0031】
したがって、順モードでは、正の電圧を第1および第2の器具切替手段にわたって印加することができ、逆モードでは、負の電圧を第1および第2の器具切替手段にわたって印加することができる。第1および第2の器具切替手段の異なる導通方向に起因して、電流は、器具切替手段の一方にわたってのみ流れる。逆もまた同様であり、Hブリッジの他の2つのスイッチが閉じられているとき、反転された電圧が第1および第2の器具切替手段にわたって印加される。やはり、第1および第2の器具切替手段の異なる導通方向に起因して、電流は、切替手段の一方にわたってのみ流れる。
【0032】
Hブリッジを使用することによって、正および負の電圧が第1および第2の器具切替手段にわたってのみ印加される。残りの回路は、正の電圧のみで動作する。このようにして、第1および第2の器具切替手段およびダイオードのみが正および負の電圧を受け取るため、負の電圧に対する複雑な回路を回避することができる。
【0033】
特に好ましくは、少なくとも第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、Hブリッジの中点に導電的に接続される。したがって、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段を負荷としてHブリッジに接続することが提案される。したがって、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、Hブリッジのブリッジ経路に配置される。前述のように、Hブリッジまたはブリッジ回路は、2つの回路分岐(通常は互いに並列)が、それらに沿ったいくつかの中間点で第1の2つの分岐の間に接続された第3の分岐によって架橋される電気回路のトポロジーである。前述の専門用語が使用される場合、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段は、2つの他の分岐の間に接続された第3の分岐に配置される。この配置では、制御可能な切替手段のみを作動させることによって、第1の器具切替手段および第2の器具切替手段にわたって正および負の電圧を確立することができる。したがって、負の電圧源は不要である。
【0034】
好ましくは、制御デバイスは、クロック制御される電力変換器の制御可能な切替手段を作動させるように構成され、制御デバイスは、第1の切替段階で少なくとも第1の制御可能な切替手段を作動させ、第2の制御可能な切替段階で少なくとも第2の制御可能な切替手段を作動させる。したがって、制御デバイスは、電力変換器の制御可能な切替手段を繰り返し作動させ、第1の切替段階では電力変換器の少なくとも第1の制御可能な切替手段を、第2の切替段階では電力変換器の第2の制御可能な切替手段を交互に起動させることが提案される。切替段階は、クロックサイクルまたはクロック段階として理解することもできる。
【0035】
好ましくは、制御デバイスは、第1の切替段階で第1の制御可能な切替手段および第4の制御可能な切替手段を同時に作動させ、第2の切替段階で第2の制御可能な切替手段および第3の制御可能な切替手段を同時に作動させるように構成される。したがって、制御デバイスは、順モードと逆モードとの間で電力変換器の4つの制御可能な切替手段を切り替えることが提案される。このようにして、特定の電流の流れ方向を有する第1および第2の器具切替手段にわたって正の電圧が交流的に印加される。したがって、2つのモードを常に交互にすることが提案される。好ましくは、制御デバイスは、経時的に繰り返し電力変換器の制御可能な切替手段を作動させる。したがって、制御デバイスによって電力変換器の順モードと逆モードとの経時的に連続的な切替を適用することが提案される。
【0036】
好ましくは、制御デバイスは、50Hz~1kHzの範囲のクロック周波数、特に好ましくは200Hzまたは250Hzのクロック周波数でクロック制御される電力変換器の制御可能な切替手段を作動させるように適合される。提案された周波数範囲のクロッキング周波数で電力変換器の制御可能な切替手段をクロック制御することは、スイッチの起動の高速検出と良好な電磁両立性(EMC)との間の良好なトレードオフを提供する。
【0037】
好ましくは、評価デバイスは、電力変換器の制御可能な切替手段の現在の切替段階の評価と測定電流とに基づいて、第1の器具切替手段の起動を検出し、かつ/または第2の器具切替手段の起動を検出するように構成される。測定電流が電力変換器の特定の切替段階でのみ繰り返し発生する場合、評価デバイスは、どの器具切替手段が起動されたかを結論付けることができる。例えば、第1および第4の制御可能な切替手段がアクティブであり、したがって順モードが設定され、測定電流が検出されると、評価デバイスは、順バイアスダイオードを有する器具切替手段が起動されたと結論付ける。また、評価デバイスは、測定電流が逆モードでのみ流れる場合、逆バイアスダイオードを有する器具切替手段が起動されたと結論付ける。閾値は、デバイスに記憶することができ、または例えば評価デバイスにプログラムすることができる。
【0038】
加えて、または代替的に、評価デバイスは、第1の切替段階における測定された測定電流と第2の切替段階における測定された測定電流との間の差を計算するように適合され、計算された差が所定の閾値を超える場合、第1または第2の器具切替手段の起動は、評価デバイスを用いて決定されることが好ましい。電流についての閾値は、デバイスに記憶することができ、または例えば評価デバイスにプログラムすることができることが理解される。第1の切替段階は、例えば、電力変換器が順モードに設定される切替段階であり、第2の切替段階は、例えば、電力変換器が逆モードに設定される切替段階であり、またはこれらはその逆である。したがって、計算された差が所定の閾値を超える場合、第1の器具切替手段が押圧されるか、または第2の器具切替手段が押圧される。
【0039】
一態様によれば、評価デバイスは、電気外科用器具のバイパスを形成する基準切替段階における基準電流を計算するように適合され、特に、評価デバイスは、第1の切替段階における測定された測定電流と基準電流との間の差、および/または第2の切替段階における測定された測定電流と基準電流との間の差を計算し、それによって高周波ノイズを低減または排除するように適合される。
【0040】
ノイズが発生し得ることが分かった。同様のノイズを有する基準電流との差を計算することによって、ノイズまたはノイズに起因するより高いレベルが低減され、所望の信号がより明確に突出する。
【0041】
好ましくは、閾値が、第1の測定電流および/または第2の測定電流に対して実装され、評価デバイスは、閾値に達したときに第1の器具切替手段および/または第2の器具切替手段が起動していると評価する。器具切替手段の起動の正しく誤りのない検出を保証するために、測定電流閾値が定義される。測定電流が閾値に達するかまたは閾値を超える場合、器具切替手段の起動が想定される。このようにして、回路への寄生電流または電磁結合を抑制することができる。
【0042】
好ましくは、少なくとも1つのさらなる器具切替手段が、第1および第2の器具切替手段に並列に接続され、さらなる器具切替手段は、第2の器具切替手段および/または第1の器具切替手段とは異なる電流通過方向を有する。したがって、器具切替手段は、3つ以上の器具切替手段を含むことが提案される。さらなる器具切替手段は、第1および第2の器具切替手段に並列に接続され、前述のように第1および第2の器具切替手段と同様に構成される。したがって、カスケード回路が提案される。
【0043】
加えて、または代替的に、各々が第1および第2の器具切替手段を通る電流を特定の方向に制限する任意のダイオードは、電気外科用器具における第1および第2の器具切替手段の近くに位置することができ、または電気外科用器具が接続される電気外科用ジェネレータに位置することができる。
【0044】
本発明の第1のさらなる態様によれば、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを備える電気外科用ジェネレータが提案され、デバイスは、先行する実施形態のうちの1つに従って形成される。このさらなる態様およびその好ましい実施形態の利点、好ましい実施形態、および詳細に関しては、上述の対応する利点、好ましい実施形態、および詳細が参照される。電気外科用ジェネレータは、電気外科用ジェネレータに接続された電気外科用器具用の電源として使用される。電気外科用ジェネレータは、電気外科用器具を接続し電気的に供給を行うための器具端子を備える。器具端子は、コネクタまたはポートとして理解することができる。動作中、電気外科用器具は、電気外科用器具と電気外科用ジェネレータとの間に電気的接続を提供するために端子に接続される。電気外科用ジェネレータは、電気外科用器具に電気的に電流または電圧を供給するように構成される。電気外科用ジェネレータは、その目的のために、例えば電力供給網と接続され、電気外科用器具の電力供給のための電力変換器を含む。
【0045】
本発明の第2のさらなる態様によれば、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するための検出方法が提案され、器具切替手段は、少なくとも第1および第2の器具切替手段を備え、第1および第2の器具切替手段は、電力変換器に電気的に接続され、第1の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、第1の測定電流が第1の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段を通る第1の電流経路に沿って確立され、第1の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されず、第2の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段が導通しているとき、第2の測定電流が第2の制御可能な切替手段および第2の器具切替手段を通る第2の電流経路に沿って確立され、第2の制御可能な切替手段および第1の器具切替手段が導通しているとき、測定電流は確立されない。
【0046】
検出方法は、少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段で構成される電力変換器によって測定電流を生成する第1のステップを含む。
【0047】
検出方法は、制御デバイスによって電力変換器の制御可能な切替手段を作動させるさらなるステップを含む。
【0048】
検出方法は、生成された測定電流が、生成された測定電流を評価するための評価デバイスによって第1の電流経路に沿って確立されているか、または第2の電流経路に沿って確立されているかを検出するさらなるステップを含む。
【0049】
このさらなる態様およびその好ましい実施形態の利点、好ましい実施形態、および詳細に関しては、上述の対応する利点、好ましい実施形態、および詳細が参照される。
【0050】
好ましくは、検出するステップは、電力変換器の制御可能な切替手段の現在の切替段階の評価と測定電流とに基づいて、第1の器具切替手段の起動を検出するステップ、および/または第2の器具切替手段の起動を検出するステップを含む。
【0051】
本発明の第3のさらなる態様によれば、電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスを動作させるための動作方法が提案され、デバイスは、先行する実施形態のうちの1つに従って形成される。第1のステップでは、すべての制御可能な切替手段が非導通状態に設定されているとき、測定電流としてのアイドル電流の測定が実施される。このステップは、故障回路を除外するために実施される。アイドル電流は、アイドル電流についての所定の閾値を超えてはならず、そうでなければ回路は故障する。
【0052】
第2のステップでは、すべての制御可能な切替手段が導通状態に設定されているとき、測定電流としてのノイズ電流の測定が実施される。このステップでは、電力変換器のすべての制御可能な切替手段、したがって電力変換器のすべての経路がグランドに引っ張られる。このようにして、ノイズ電流を決定することができる。ノイズ電流が決定された場合、この電流は、より良好な測定結果のためにフィルタリングすることができる。
【0053】
さらなるステップでは、電力変換器の順モードと逆モードとの繰り返しの切替が実施され、順モードでは、電力変換器の少なくとも第1の制御可能な切替手段は、導通し、逆モードでは、電力変換器の少なくとも第2の制御可能な切替手段は、導通する。このさらなる態様およびその好ましい実施形態の利点、好ましい実施形態、および詳細に関しては、上述の対応する利点、好ましい実施形態、および詳細が参照される。
【0054】
ここで、添付の図を参照して、好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】一実施形態による電気外科用ジェネレータおよび電気外科用ジェネレータに接続された電気外科用器具を示す図である。
【
図2】本発明による電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスの概略回路図である。
【
図3】器具切替手段の起動が検出されない場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図である。
【
図4】第1の器具切替手段SW1が起動された場合の概略回路図および第1の電流経路を示す図である。
【
図5】第1の器具切替手段SW1の起動が検出される場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図である。
【
図6】第2の器具切替手段SW2が起動された場合の概略回路図および第2の電流経路を示す図である。
【
図7】第2の器具切替手段SW2の起動が検出される場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図である。
【
図8】さらなる器具切替手段SW3が起動された場合の概略回路図およびさらなる電流経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、電気外科用ジェネレータ10、および電気外科用ジェネレータ10に接続された電気外科用器具20を示す。電気外科用器具20は、接続線13によって器具端子12で電気外科用ジェネレータ10と接続される。接続線13は、
図1には示されていない供給線およびデータ転送線を含んでもよい。接続線13は、電気外科用器具20と電気外科用ジェネレータ10を接続するための共通線である。電気外科用ジェネレータ10はまた、いくつかの器具端子、例えば、中性器具端子、ユニポーラ器具端子、およびバイポーラ器具端子などを含むことができる。電気外科用器具20はシャフト15を含み、シャフト15はその端部に活性電極16を有する。シャフト15は、電気外科用器具20のハンドル14に取り付けられる。電気外科用ジェネレータ10は、例えば光学的警告または動作パラメータを表示するために、テキストおよび/またはシンボルおよび/またはグラフィックを表示するためのディスプレイ11を含む。電気外科用ジェネレータ10はまた、ディスプレイ11の下に3つのボタンとして示されている動作デバイスを含む。動作デバイスは、ディスプレイ11などと組み合わされたタッチディスプレイであってもよい。電気外科用ジェネレータ10は、電気外科用器具20を動作させるために使用される。
【0057】
図1はまた、本発明による電気外科用器具の器具切替手段の起動を検出するためのデバイスの部分の配置を示している。
図1に見られるように、デバイス100は、電力変換器110と、制御デバイス120と、評価デバイス130とを含み、これらは以後、例えば以下の
図2~
図8でより詳細に説明される。電気外科用器具20は、第1の器具切替手段SW1と、第2の器具切替手段SW2とを含む。第1の器具切替手段SW1または第2の器具切替手段SW2を起動(押圧)することによって、電気外科用器具20の切断モードまたは凝固モードを設定し、器具切替手段の目的の例を示すことができる。
【0058】
図2は、電気外科用器具20の第1の器具切替手段SW1または第2の器具切替手段SW2の起動を検出するためのデバイス100の概略回路図を示す。
【0059】
デバイス100は、電力変換器110と、制御デバイス120と、評価デバイス130と、少なくとも第1の器具切替手段SW1および第2の器具切替手段SW2とを含む。
【0060】
電力変換器110は、測定電流IMを生成するために使用され、少なくとも第1および第2の制御可能な切替手段、すなわち第1、第2、第3、および第4の制御可能な切替手段M1、M2、M3、およびM4で構成される。
【0061】
制御デバイス120は、電力変換器110の制御可能な切替手段M1、M2、M3、およびM4を作動させるために使用される。
図2では、制御デバイス120は、4つの制御信号GM1、GM2、GM3、およびGM4を制御可能な切替手段M1~M4に提供するための4つの出力を有することが分かる。制御デバイス120は、クロック制御される電力変換器110の制御可能な切替手段M1、M2、M3、M4を作動させるように構成され、例えば
図3、
図5、または
図7に示すように、第1の切替段階SP1で少なくとも第1の制御可能な切替手段M1を作動させ、第2の切替段階SP2で少なくとも第2の制御可能な切替手段M2を作動させる。
【0062】
制御デバイス120は、第1の切替段階SP1(順モード)で第1の制御可能な切替手段M1および第4の制御可能な切替手段M4を同時に作動させ、第2の切替段階SP2(逆モード)で第2の制御可能な切替手段M2および第3の制御可能な切替手段M3を同時に作動させるように構成される。
【0063】
制御デバイス120は、
図3、
図5、または
図7に示すように、50Hz~1kHzの範囲のクロック周波数f、特に200Hzのクロック周波数fでクロック制御される電力変換器110の制御可能な切替手段M1、M2、M3、M4を作動させるように配置される。
【0064】
制御デバイス120の制御原理およびクロック制御を、より詳細に
図3、
図5、および
図7に示す。
【0065】
デバイス100はまた、少なくとも第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2を含み、第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2は、電力変換器110に電気的に接続される。第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2は、例えば、
図1に示すように、接続線13を介して接続される。抵抗器R4は、接続線13の線抵抗を示している。
【0066】
デバイス100はまた、生成された測定電流I
Mを評価するために使用される評価デバイス130を含み、これは測定電流I
Mを測定するための測定ユニットとして理解することができる。評価デバイス130は、抵抗器R6および容量C1で形成された任意選択の信号フィルタ回路を含む。評価デバイス130は、生成された測定電流I
M、I
M1、I
M2が第1の電流経路140に沿って確立されているか、または第2の電流経路150に沿って確立されているかを検出するように適合される。第1の電流経路140は、より詳細に
図4に示されている。第2の電流経路150は、より詳細に
図6に示されている。
【0067】
評価デバイス130は、電力変換器110の制御可能な切替手段M1、M2、M3、M4の現在の切替段階SP1もしくはSP2の評価と測定電流I
Mとに基づいて、第1の器具切替手段SW1の起動を検出し、かつ/または第2の器具切替手段SW2の起動を検出するように構成される。この原理は、例えば
図3、
図5、および
図7に示されている。
【0068】
評価デバイス130は、第1の切替段階SP1における測定された測定電流I
M1と第2の切替段階SP2における測定された測定電流I
M2との間の差を計算するように適合され、計算された差が所定の閾値V1を超える場合、第1または第2の器具切替手段SW1またはSW2の起動は、評価デバイス130を用いて決定される。この原理は、例えば
図3、
図5、および
図7に示されている。
【0069】
電力変換器110および器具切替手段SW1、SW2は、第1の制御可能な切替手段M1、第4の制御可能な切替手段M4、および第1の器具切替手段SW1が導通しているとき、第1の測定電流IM1が第1の制御可能な切替手段M1および第4の制御可能な切替手段M4ならびに第1の器具切替手段SW1を通る第1の電流経路140に沿って確立されるように接続される。図示の実施形態では、ダイオードD1が直列に順方向に配置され、器具切替手段SW1の一部であるボタンまたはプッシュボタンT1を切り替える。
【0070】
第1の制御可能な切替手段M1、第4の制御可能な切替手段M4、および第2の器具切替手段SW2が導通しているとき、図示の実施形態では、プッシュボタンまたはハンドスイッチT2が起動されて導通していても、ダイオードD2が直列に配置され、第2の器具切替手段SW2の電気経路内の電流を遮断するプッシュボタンまたはハンドスイッチT2を切り替えるので、測定電流IMは確立されない。
【0071】
電力変換器110および器具切替手段SW1、SW2はまた、第2の制御可能な切替手段M2、第3の制御可能な切替手段M3、および第2の器具切替手段SW2が導通しているとき、第2の測定電流IM2が第2の制御可能な切替手段M2、第3の制御可能な切替手段M3、および第2の器具切替手段SW2を通る第2の電流経路150に沿って確立されるように接続される。
【0072】
第2の制御可能な切替手段M2、第3の制御可能な切替手段M3、および第1の器具切替手段SW1が導通しているとき、図示の実施形態では、プッシュボタンまたはハンドスイッチT1が起動されて導通していても、ダイオードD1が直列に配置され、第1の器具切替手段SW1の電気経路内の電流を遮断するプッシュボタンまたはハンドスイッチT1を切り替えるので、測定電流IMは確立されない。
【0073】
第1の器具切替手段SW1および第2の器具切替手段SW2は、並列に電気的に接続され、第1の器具切替手段SW1は、第2の器具切替手段SW2とは異なる導通方向を有する。
図2では、第1の器具切替手段SW1は、ダイオードD1と、プッシュボタンまたはハンドスイッチT1とを含み、第2の器具切替手段SW2は、ダイオードD2と、プッシュボタンまたはハンドスイッチT2とを含む。したがって、第1の器具切替手段SW1は、第1の作動可能なスイッチT1および第1の導通方向を有する第1のダイオードD1で形成され、第2の器具切替手段SW2は、第2の作動可能なスイッチT2および第2の導通方向を有する第2のダイオードD2で形成され、第1および第2の導通方向は、異なっている。
【0074】
図2の電力変換器110は、4つの制御可能な切替手段M1、M2、M3、M4を有するHブリッジで形成され、少なくとも第1の器具切替手段SW1および第2の器具切替手段SW2は、Hブリッジの中点に導電的に接続される。
【0075】
図3は、器具切替手段の起動が検出されない場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図を示す。
【0076】
図3の上の図には、制御可能な切替手段M1~M4に提供される複数の制御信号またはゲート信号GM1~GM4が示されている。信号GM1~GM4は、制御デバイス120により生成される。信号の矩形形状および経過は、制御可能な切替手段M1~M4がスイッチをオンにするために高レベル信号を提供されることを表すにすぎない。制御信号GM1~GM4は、デジタル信号として形成することもでき、高レベルは、例えば論理「1」として理解することができる。したがって、上の図は、第1の切替段階SP1において、第1および第4の制御可能な切替手段M1およびM4に高レベル信号GM1およびGM4が提供されることを示している。したがって、第1の切替段階SP1では、第1および第4の制御可能な切替手段M1およびM4は導通している。第2および第3の制御可能な切替手段M2およびM3は、第1の切替段階SP1において導通していない。信号GM1およびGM4または信号GM2およびGM3についての単一の信号のみが示されているが、制御設計に応じて、信号GM1およびGM4は、4つの信号または2つの共通信号で個々に第1および第4の制御可能な切替手段M1およびM4または第2および第3の制御可能な切替手段M2およびM3に提供され得ることが理解される。したがって、
図3の上の図は、制御信号GM1、GM4が第1の切替段階SP1で生成されることを示す。その後、制御信号GM2、GM3が第2の切替段階SP2で生成され、以下同様である。したがって、第1の切替段階SP1では、以下の制御パターンが制御可能な切替手段に提供される:M1=1、M2=0、M3=0、M4=1。第2の切替段階SP2では、制御パターンは、M1=0、M2=1、M3=1、M4=0である。したがって、第1の切替段階SP1では、電力変換器110は、順モードに設定される。第2の切替段階SP2では、電力変換器110は、逆モードに設定される。このパターンは、経時的に繰り返される。したがって、制御デバイス120は、順モードと逆モードとの間で電力変換器110を時計回りに切り替えることが提案される。この制御パターンは、経時的に制御可能な切替手段に連続的に交互に提供される。
図3のx軸は、文字「t」で示される時間軸である。制御信号またはゲート信号GM1~GM4は、例えば200Hzの周波数で経時的に繰り返し生成される。
【0077】
図3の下の図には、時間tにわたって測定された測定電流I
Mが示されている。閾値V1が測定電流I
Mに対して実装され、評価デバイス130は、測定された測定電流I
Mを実装された閾値V1と比較することによって、第1の器具切替手段SW1または第2の器具切替手段SW2が起動されたかどうかを評価する。
図3の下の図に見られるように、測定電流I
Mは検出されず、したがって、例えば
図2に示すように、両方の器具切替手段SW1およびSW2は起動されていない(開いている)。
【0078】
図4は、第1の器具切替手段SW1が起動された場合の概略回路図および第1の電流経路140を示す。
図4では、電圧源または電流源VDDが、M1(第1の制御可能な切替手段)、R4(線抵抗)、D1(第1のダイオード)、T1(第1の作動可能なスイッチ)、M4(第4の制御可能な切替手段)、およびR3(測定抵抗器)を介して破線の電流経路140に沿ってグランドに対して引っ張られることが分かる。
図4はまた、制御デバイス120が、高レベル制御信号GM1およびGM4で第1および第4の制御可能な切替手段M1およびM4を設定し、低レベル制御信号GM2およびGM3で第2および第3の制御可能な切替手段M2およびM3を設定することを示し、括弧内に「1」および「0」で示されている。抵抗器R3の上に黒矢印で示される測定電流I
M1は、第1の電流経路140に沿って確立される。
【0079】
基準電流を測定するために、第3および第4の制御可能な切替手段M3およびM4を同時に作動することができる。第1の制御可能な切替手段M1または第2の制御可能な切替手段M2のいずれかが作動されることに加えて、電気外科用器具、特に両方の第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2はバイパスされ、基準電流につながる。第1の電流経路140で測定された電流とこのような基準電流との間の差を計算することで、ノイズレベルが低減された信号がもたらされる。
【0080】
図5は、第1の器具切替手段SW1の起動が検出される場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図を示す。
図5は、
図4の制御原理を示している。
図3に関して説明したように、
図4では、制御可能な切替手段M1~M4には、経時的に制御信号GM1~GM4が繰り返し提供される。第1の器具切替手段SW1が押圧されるため、第1の測定電流I
M1は、第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2の異なる導通方向に起因して、1つまたは複数の切替段階SP1でのみ発生する。電流I
M1が閾値V1に達することにより、評価デバイスは、このようにして第1の器具切替手段SW1の起動を検出する。
【0081】
図6は、第2の器具切替手段SW2が起動された場合の概略回路図および第2の電流経路150を示す。
図6では、電圧源または電流源VDDが、M2(第2の制御可能な切替手段)、T2(第2の作動可能なスイッチ)、D2(第2のダイオード)、R4(線抵抗)、M3(第3の制御可能な切替手段)、およびR3(測定抵抗器)を介して破線の電流経路150に沿ってグランドに対して引っ張られることが分かる。
図6はまた、制御デバイス120が、高レベル制御信号GM2およびGM3で第2および第3の制御可能な切替手段M2およびM3を設定し、低レベル制御信号GM1およびGM4で第1および第4の制御可能な切替手段M1およびM4を設定することを示し、括弧内に「1」および「0」で示されている。抵抗器R3の上に黒矢印で示される測定電流I
M2は、第2の電流経路150に沿って確立される。
【0082】
基準電流を測定するために、第3および第4の制御可能な切替手段M3およびM4を同時に作動することができる。第1の制御可能な切替手段M1または第2の制御可能な切替手段M2のいずれかが作動されることに加えて、電気外科用器具、特に両方の第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2はバイパスされ、基準電流につながる。第2の電流経路150で測定された電流とこのような基準電流との間の差を計算することで、ノイズレベルが低減された信号がもたらされる。
【0083】
図7は、第2の器具切替手段SW2の起動が検出される場合の制御信号が原理的に示される図および電流測定が原理的に示される図を示す。
図7は、
図6の制御原理を示している。
図3に関して説明したように、
図7では、制御可能な切替手段M1~M4には、経時的に制御信号GM1~GM4が繰り返し提供される。第2の器具切替手段SW2が押圧されるため、第2の測定電流I
M2は、第1および第2の器具切替手段SW1およびSW2の異なる導通方向に起因して、1つまたは複数の切替段階SP2でのみ発生する。電流I
M2が閾値V1に達することにより、評価デバイスは、このようにして第2の器具切替手段SW2の起動を検出する。
【0084】
図8は、さらなる器具切替手段SW3が起動された場合の概略回路図およびさらなる電流経路155を示す。
図8は、少なくとも1つのさらなる器具切替手段SW3および/またはSW4が、第1および第2の器具切替手段SW1、SW2に並列に接続され、さらなる器具切替手段SW3、SW4は、第2の器具切替手段SW2および/または第1の器具切替手段SW1とは異なる電流通過方向を有することを示す。器具切替手段SW3およびSW2または器具切替手段SW4およびSW1の起動を区別するために、特定の抵抗器が、
図8には示されていない器具切替手段SW1~SW4の一部であってもよい。したがって、特定の量または電流の振幅が生成され、これは評価デバイスによって監視することができる。よって、一般に、評価デバイスは、測定電流I
Mの電流振幅を評価するように適合される。したがって、電流の振幅または大きさによって切替手段を区別することが提案される。
【符号の説明】
【0085】
10 電気外科用ジェネレータ
11 ディスプレイ
12 器具端子
13 接続線
14 ハンドル
15 シャフト
16 活性電極
20 電気外科用器具
100 デバイス
110 電力変換器
120 制御デバイス
130 評価デバイス
140 第1の電流経路
150 第2の電流経路
155 さらなる電流経路
f クロック周波数
t 時間
C1 容量
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
M1 第1の制御可能な切替手段
M2 第2の制御可能な切替手段
M3 第3の制御可能な切替手段
M4 第4の制御可能な切替手段
R3 測定抵抗器
R4 抵抗器
R6 抵抗器
T1 第1の作動可能なスイッチ
T2 第2の作動可能なスイッチ
V1 閾値
GM1,GM2,GM3,GM4 制御信号
SP1 第1の切替段階
SP2 第2の切替段階
SW1 第1の器具切替手段
SW2 第2の器具切替手段
SW3,SW4 さらなる器具切替手段
IM 測定電流
IM1 第1の測定電流
IM2 第2の測定電流
VDD 電圧源/電流源