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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091599
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電気手術用発電機の動作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216837
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/435,081
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン シュトップ
(72)【発明者】
【氏名】アンネ クウィク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気手術用発電機に接続された電気手術用器具を制御するための電気手術用発電機を制御するための方法を提供する。
【解決手段】電気手術用発電機100は、複数の相互接続された正規モジュールを含み、該複数の相互接続された正規モジュールは、電気手術用器具を接続するための少なくとも1つのソケットモジュール104、106と、ソケットモジュールに接続された少なくとも1つの電気手術用器具のために高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも1つの第1のインバーターモジュール112、114と、を含み、ここで、各正規モジュールは、少なくとも別の正規モジュールもしくは通信モジュールと通信し、各正規モジュールは、通信フレームを個々の繰り返し周波数で送信し、各正規モジュールの個々の繰り返し周波数は、他の正規モジュールの少なくとも1つ、複数、またはすべての繰り返し周波数と異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術用発電機に接続された電気手術用器具を制御するための電気手術用発電機を制御するための方法であって、
前記電気手術用発電機は、複数の相互接続された正規モジュールを含み、
前記複数の相互接続された正規モジュールは、
-前記電気手術用器具を接続するための少なくとも1つのソケットモジュールと、
-ソケットモジュールに接続された少なくとも1つの電気手術用器具のために高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも1つの第1のインバーターモジュールと、
を含み、
-各正規モジュールは、少なくとも別の正規モジュールもしくは通信モジュールと通信し、
-各正規モジュールは、通信フレームを個々の繰り返し周波数で送信し、
-前記各正規モジュールの個々の繰り返し周波数は、他の正規モジュールの少なくとも1つ、複数、またはすべての繰り返し周波数と異なる、
方法。
【請求項2】
前記電気手術用発電機は、前記正規モジュールとの通信を制御するための通信モジュールをさらに含み、ならびに/あるいは
-各正規モジュールは、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で前記通信モジュールおよび/または別の正規モジュールに頻繁に送信する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記正規モジュールのうちの少なくとも1つの繰り返し周波数は、前記通信モジュールによって与えられ、
-前記通信モジュールは、個々の繰り返し周波数設定を前記正規モジュールに送信し、前記正規モジュールは、受信した繰り返し周波数設定を記録し、または
-前記通信モジュールは、繰り返し周波数で通信フレームを前記正規モジュールに送信し、即時応答を要求し、それによって前記正規モジュールに繰り返し周波数で応答することを強制することにより、正規モジュールの繰り返し周波数を制御する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記正規モジュールのうちの少なくとも1つは、
-前記個々の繰り返し周波数を個々の繰り返し周波数設定としてメモリに記録し、
-前記個々の繰り返し周波数を前記通信モジュールに提供し、かつ/または
-前記個々の繰り返し周波数を他の正規モジュールに提供し、
-前記正規モジュールまたは前記通信モジュールは、送信された前記個々の繰り返し周波数がチェックルーチンに準拠しているか否かをチェックする、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記個々の繰り返し周波数は、対応する正規モジュールの反応性をチェックするために使用され、
-前記反応性をチェックするために、テスト信号がテストされる正規モジュールに送信され、前記正規モジュールが少なくとも前記繰り返し周波数で前記テスト信号に応答するか否かが監視される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
-前記正規モジュールの個々の繰り返し周波数は、変更され、特に
-個々の繰り返し周波数は、前記通信モジュールによって変更され、かつ/または
-個々の繰り返し周波数は、前記電気手術用発電機および/または対応する前記正規モジュールの動作条件に依存して変更される、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
-前記個々の繰り返し周波数は、
-前記正規モジュールの種類、特に前記正規モジュールが前記電気手術用発電機に接続された前記電気手術用器具のエネルギーの制御に関与しているか否かに依存して、かつ/または
-前記正規モジュールの動作条件、特に前記正規モジュールが動作中であるかまたは待機中であるかに依存して選択される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
-前記複数の相互接続された正規モジュールは、
-少なくとも1つのインバーターモジュールから少なくとも1つのソケットモジュールへのエネルギー供給を制御するためのエネルギー分配モジュールと、
-ユーザーのために情報を表示するためのディスプレイモジュールと、
-ユーザーからの要求を受け取るための入力モジュールと、
-少なくとも1つの電気手術用器具のために前記第1のインバーターモジュールとは異なる信号周波数を有する高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも第2のインバーターモジュールと、
によって定義されるリストのうちの少なくとも1つのさらなるモジュールを含み、かつ/または
-前記電気手術用発電機は、前記通信モジュールが適切に動作するかを監視するための監視モジュールを含む、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
-前記正規モジュールおよび前記通信モジュールは、バスシステム、特にシリアルバスシステムおよび/または差動バスシステムを使用して相互接続される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
-各正規モジュールは、少なくとも
-動作モジュールを識別する識別コードと、
-前記正規モジュールの動作状態を特徴付ける動作コードと、任意選択的に
-立ち上げ情報、エラー情報、待機情報、および/またはビジー状態情報を含む付加的情報と、
を含むフレームを送信する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
-エラー信号は、
-正規モジュールが、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で頻繁に送信するモードにあり、
-前記正規モジュールが、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で送信することから予め定められた最小許容周波数だけ逸脱している場合に生成され、かつ/または
-反応性をチェックするために、テスト信号がテストされる正規モジュールに送信され、
-前記テスト信号に対する前記正規モジュールの応答が、テストされた正規モジュールの繰り返し周波数の逆数値によって定義される時間よりも最小のタイムラグだけ長くかかっている場合に生成される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
電気手術用発電機に接続された電気手術用器具を制御するための電気手術用発電機であって、
-前記電気手術用発電機は、複数の相互接続された正規モジュールを含み、前記複数の相互接続された正規モジュールは、
-電気手術用器具を接続するための少なくとも1つのソケットモジュールと、
-ソケットモジュールに接続された少なくとも1つの電気手術用器具のために供給信号として高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも1つの第1のインバーターモジュールと、
を含み、
-各正規モジュールは、少なくとも通信モジュールと通信するために構成され、
-前記各正規モジュールは、通信フレームを個々の繰り返し周波数で送信するように構成されており、
-前記個々の繰り返し周波数は、前記電気手術用発電機の状態に依存して変更され、特に
-前記電気手術用発電機は、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、
電気手術用発電機。
【請求項13】
前記電気手術用発電機は、前記正規モジュールとの通信を制御するための通信モジュールをさらに含み、ならびに/あるいは
-各正規モジュールは、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で前記通信モジュールおよび/または別の正規モジュールに頻繁に送信するように構成されている、
請求項12記載の電気手術用発電機。
【請求項14】
-前記複数の相互接続された正規モジュールは、
-少なくとも1つのインバーターモジュールから少なくとも1つのソケットモジュールへのエネルギー供給を制御するためのエネルギー分配モジュールと、
-ユーザーのために情報を表示するためのディスプレイモジュールと、
-ユーザーからの要求を受け取るための入力モジュールと、
-少なくとも1つの電気手術用器具のために前記第1のインバーターモジュールとは異なる信号周波数を有する高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも第2のインバーターモジュールと、
によって定義されるリストのうちの少なくとも1つのさらなるモジュールを含み、かつ/または
-前記電気手術用発電機は、前記通信モジュールが適切に動作するかを監視するための監視モジュールを含む、
請求項12または13記載の電気手術用発電機。
【請求項15】
-前記正規モジュールおよび前記通信モジュールは、バスシステム、特にシリアルバスシステムおよび/または差動バスシステムを使用して相互接続されている、
請求項12から14までのいずれか1項記載の電気手術用発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気手術用発電機を動作させるための方法に関する。また本発明は、そのような電気手術用発電機にも関する。
【背景技術】
【0002】
電気手術用発電機は、そのような発電機に接続された電気手術用器具を制御する。特に、電気手術用発電機に接続された電気手術用器具に供給するために、高周波供給信号を生成するための少なくとも1つのインバータが存在する。
【0003】
そのような発電機における安全用途のためにも、発電機では、コンポーネントが測定などの入力に適正な出力で反応することができるようにすること、特に供給信号の制御、すなわち、提供される高周波エネルギーの時宜を得た制御が保証されるべきであろう。これを可能にするために、インバーターモジュールなどのコンポーネントは反応性をテストすることができる。コンポーネントが動かなくなるかまたは誤動作している場合は、頻繁なテストルーチンによってこれを検出することができる。そのような関連するコンポーネント毎の頻繁なテストルーチンでは、コンポーネントがまだ適切に動作しているか否か、少なくとも頻繁性に基づいて確認信号がまだ送信されているか否かがチェックされる。そのような頻繁なテストは、特定のコンポーネントがまだ動作しているか否かを頻繁にチェックするため、鼓動システムと呼ぶことができる。
【0004】
そのような障害時の反応時間は、障害許容時間(FTT)として定義することができる。
【0005】
最悪のケースのシナリオでは、発電機は、制御不能な最大HFエネルギー出力を出力する。患者の組織では、このエネルギーによって熱が発生し、組織が燃焼し、結果として炭化が生じる。障害許容時間では、この障害シナリオが取り上げられ、それ以上は組織が不可逆的な損傷を受けてしまうまでの時間が計算される。障害シナリオでは、安全システムは、この時間フレーム内で発電機を停止できなければならない。単独の障害条件において2500Wを出力できる発電機の例では、障害許容時間は、約200ms、一例では189msと計算することができる。
【0006】
鼓動システムでは、監視時間は、誤動作しているサブコンポーネントが検出され、HFエネルギー出力を停止するための十分な時間の存在も残されることが保証されるように障害許容時間を十分に下回るべきであろう。しかしながら、これは、大量の通信トラフィックを引き起こす。なぜなら、通信ネットワークに接続されているコンポーネントまたはモジュールを表すことができるあらゆるノードは、この時間フレーム内に少なくとも1回以上データを送信する必要があるからである。したがって、上記の例によれば、接続されている各コンポーネント、特にモジュールは、少なくとも200ms毎にデータを送信する。これは最小値であり、前記の時間フレーム内で2回送信するならば、データは100ms毎に送信される。したがって、1つのモジュールだけでなく、前記ネットワークに接続されているすべてのモジュールがこの時間フレーム内に送信する可能性があり、その結果として、大量の通信トラフィックが生じる。
【0007】
ノードがCANに接続されているシステムなどの分散通信システムでは、このことは、この通信のためのバス負荷を高めることにつながる可能性がある。
【0008】
1つの従来技術によれば、発電機の制御ソフトウェアは、様々なモジュールに分散される場合がある。中央モジュールは、予め定められた時間内に応答する必要がある他のすべてのモジュールに、鼓動信号と呼ばれ得る信号を送信することができる。それ以外の場合、発電機は、エラー状態に切り替わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、上記で説明した問題の少なくとも1つに対する解決手段を提供することである。特に、ここでは、高い安全性レベルを請け負うと同時に通信システム、特に通信ネットワークの過負荷を回避する解決手段が提案され、少なくとも既知の解決手段に代わる代替的解決手段が提案されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1記載の方法が提案される。したがって、電気手術用発電機を動作させるための方法が提案される。そのような電気手術用発電機は、電気手術用発電機に接続された電気手術用器具を制御するために構成されている。特に、発電機は、少なくとも1つの電気手術用器具にHFエネルギーを提供する。さらに、そのような発電機により、ユーザーからの入力の受信および転送、ならびに発電機の状態の表示などの制御タスクが実行される。
【0011】
使用される電気手術用発電機は、電気手術用器具を接続するための少なくとも1つのソケットモジュールを含んだ複数の相互接続された正規モジュールを含む。そのようなソケットモジュールは、出力モジュールとも呼ばれる。電気手術用器具は、そのようなソケットモジュールに差し込まれてよい。ソケットモジュールは、電気手術用器具が接続されているか否か、また場合によってはどのような種類の電気手術用器具が接続されているかを示すセンサを含むことができる。ソケットモジュールは、供給信号の振幅をチェックするセンサを有することもできる。ソケットモジュールは、接続された電気手術用器具の動作状態に関する情報を受信する情報接続部を有することもできる。受信された任意のそのような情報は、電気手術用発電機内で当該発電機内の他のモジュールおよび/または通信モジュールに通信することができる。それらはソケットモジュールとインバーターモジュールとの間で通信されてよく、このインバーターモジュールは、ソケットモジュールに、したがって、接続された電気手術用器具に供給信号を提供する。
【0012】
正規モジュールは、ソケットモジュールに接続された少なくとも1つの電気手術用器具のために高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも1つの第1のインバーターモジュールも含む。したがって、そのようなインバーターモジュールは、パルス幅変調を使用することによって、特定の周波数を有する電圧信号を生成し、その結果として、対応する電流信号がソケットモジュールに、したがって接続された電気手術用器具に引き渡される。したがって、高周波エネルギーは、20kHz~500kHzの範囲の周波数を有する供給信号によって提供されるエネルギーである。
【0013】
さらに、各正規モジュールは、少なくとも別の正規モジュールもしくは通信モジュールと通信することが提案される。したがって、これらのすべての正規モジュールは、少なくとも通信のために構成されている。正規モジュールは、相互に直接通信することおよび/または通信モジュールを介して通信することが可能である。したがって、集中型ならびに分散型の通信、すなわちネットワークアーキテクチャを可能にすることができる。インバーターモジュールがソケットモジュールと通信することが提案されている。ソケットモジュールは、接続された電気手術用器具からのレバーもしくはスイッチから、供給エネルギーの提供のための要求または供給エネルギーの供給停止のための要求を受信することができる。したがって、この情報は、対応するインバーターモジュールと通信される。したがって、インバーターモジュールは、求められた高周波供給信号を生成する。同様に、供給停止のための要求は、ソケットモジュールによって受信され、インバーターモジュールに通信され得る。
【0014】
さらに、各正規モジュールは、少なくとも別の正規モジュールおよび/または通信モジュールと通信することが提案される。この通信の目的のために、正規モジュールおよび/または通信モジュールの各々は、通信に参加するための、特にネットワークバスシステムなどのネットワークシステムに参加するためのノードを有することができる。この通信を用いることにより、正規モジュールの動作を制御することができる。この目的のために、正規モジュールの各々は、自身の制御モジュールを有することができ、したがって各正規モジュールは、情報を受信し、情報を送信し、そのような情報に基づいて自身の動作を制御することができるインテリジェントモジュールとして提供されてよい。
【0015】
さらに、各正規モジュールは、通信フレームを個々の繰り返し周波数で送信することが提案される。したがって、1つの正規モジュールは、100ms毎に通信フレームを送信することができ、それに対して、別の正規モジュールは、そのような通信フレームを1秒毎に送信することができる。したがって、さらに各正規モジュールの個々の繰り返し周波数は、他の正規モジュールの少なくとも1つ、複数、またはすべての繰り返し周波数とは異なることが提案される。
【0016】
したがって、すべての正規モジュールは、異なる繰り返し周波数を有することができ、そのため、5つの正規モジュールのケースでは、5つの繰り返し周波数が存在する。しかしながら、同様の正規モジュールおよび/または同様の動作モードにある正規モジュールが、同じもしくは同様の繰り返し周波数を有する可能性もある。繰り返し周波数は、鼓動周波数もしくは鼓動フレーム周波数と呼ばれることもある。
【0017】
したがって、上記で説明した既知のシステムに関して、発電機は、発電機が起動状態にない場合に、高い障害許容時間に関連する鼓動フレーム周波数をより低い周波数に変更できるように修正される。患者との接触がなく、何らかのHF出力もないときに発生する障害にはほとんどリスクが含まれないことが判明した。これらのケースでは、サブコンポーネントの停止、すなわち正規モジュールの停止は、例えばユーザーインターフェイスのフリーズ時または遅延した起動時の反応時間の低下につながる可能性がある。したがって、そのような安全性への関連性を有さない正規モジュールは、そのような安全性への高い関連性を有する正規モジュールよりも低い繰り返し周波数を有する可能性がある。特に、現下で高周波供給信号を生成し、したがって電気手術用器具に高周波エネルギーを供給しているインバーターモジュールは、高い繰り返し周波数を有するべきである。そのようなインバーターモジュールは、障害もしくは他のエラーが発生したケースでは、迅速にその動作を停止する必要がある。そのようなインバーターモジュールは、患者に有害なエネルギーを提供する可能性があり、したがって、何らかの問題が発生したケースでは迅速に停止する必要がある。
【0018】
電気手術用器具が接続される出力モジュールも、10Hzもしくは20Hzなどの高い繰り返し周波数を使用する可能性がある。そのようなソケットモジュールは、接続された電気手術用器具の障害もしくは停止信号の何らかの情報を受け取ることができる。そのような信号は、対応するインバーターモジュールに迅速に転送される必要がある。したがって、ソケットモジュールは、安全性関連の機能を提供することもできる。
【0019】
それゆえ、そのようなソケットモジュールおよび/またはそのようなインバーターモジュールの適正な動作機能をチェックすることも提案される。これは、これらのモジュールの各々が定期的に、すなわち繰り返し周波数でデータフレームを送信しているか否かを評価することによって行うこともできる。したがって、そのようなモジュールの繰り返し周波数が10Hzであるならば、特定のモジュールがまだ動作しているか否かが100ms毎にチェックされる。
【0020】
他方において、これも正規モジュールであるディスプレイモジュールは、1Hzだけの繰り返し周波数、または場合によってはそれよりも低い繰り返し周波数を使用することができる。任意の情報を1秒の遅延で表示することは大きな問題ではない。また、1秒後にディスプレイモジュールの障害を識別することも、このことが患者を傷つけることにはつながらないため、問題にはならないであろう。また、そのことが患者もしくは電気手術用発電機または取り付けられた電気手術用器具にとって何らかの別の重大な問題につながることもない。
【0021】
しかしながら、各モジュールもしくは少なくともいくつかのモジュールの繰り返し周波数が、それらの動作状態に依存して変化する可能性があってもよいであろう。インバーターモジュールが動作している場合は、上記で説明したように、より高い繰り返し周波数が推奨される。しかしながら、インバーターモジュールが動作しておらず、特に電気手術用器具さえも接続されていない場合には、より低い繰り返し周波数で十分な場合もある。
【0022】
同時に、これらは、電気手術用発電機が1より多いインバーターモジュールおよび1より多いソケットモジュールを含む場合、別の電気手術用器具に積極的に供給する別のインバーターモジュールに接続されてもよいであろう。
【0023】
したがって、デバイスの待機中の通信もしくはバスの負荷が低減される。したがって、より低い通信負荷の利点がある。また、待機中に発電機は、モードの選択や設定の構成、写真のロードもしくはログの保存などのユーザー入力の準備ができている利点もある。これは、タスク間通信が低減したり、鼓動周波数が低減したりした場合には格段にスムーズになる可能性がある。したがって、通信に参加するすべてのモジュールの繰り返し周波数が高いケースでは、対応するネットワークが過負荷となるかもしれず、それによってはいくつかの機能の動作が遅延する場合もあることが判明した。したがって、一例を挙げれば、ユーザーが設定を構成する場合、ユーザーは対応するインターフェース、場合によってはタッチスクリーンを有するインターフェースを使用することになる。ユーザーが設定の変更を試みた場合、そのような設定の変更は、インターフェースモジュールから通信モジュールに通信され、場合によっては、ユーザーによって与えられた入力の確認が必要になるかもしれないものとしてさらに他のモジュールにも通信され、かつ/またはタッチスクリーン上のサブメニューに対する変更のときには、サブメニューは、発電機の通信モジュールからもしくは別のモジュールから最初の場所にロードされることが必要になるかもしれない。これにも通信ネットワークの通信容量が必要であり、この通信ネットワークが過負荷になるとそのような通信は遅延するかもしれず、これはユーザーによってサブメニューのロードにおける遅延として認識される可能性がある。ただし、これは単なる一例であり、ユーザーの全体的な印象は、システムがスムーズに作動していないことになるかもしれない。
【0024】
一態様によれば、電気手術用発電機は、正規モジュールとの通信を制御するための通信モジュールをさらに含み、ならびに/あるいは各正規モジュールは、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で通信モジュールおよび/または別の正規モジュールに頻繁に送信する。通信モジュールは監視機能を有している場合もあるので、監視通信モジュールとも呼ばれ得る。
【0025】
したがって、通信モジュールは、電気手術用発電機内の通信を制御するために使用される。このようにして、通信の集中型コントローラを確立することができ、通信モジュールは、1つの監視ノードとして機能し、それに対して、1つ以上の正規モジュールが正規ノードとして監視ノードに接続される。したがって、通信ネットワーク、特にバスシステムへの通信モジュールの接続ポイントまたは接続インターフェースは、監視ノードと呼ぶことができる。同様に、通信ネットワーク、特にバスシステムへの正規モジュールの接続ポイントまたはインターフェースは、正規ノードと呼ぶことができる。
【0026】
好適には、各ノードまたはモジュールは、少なくとも2つの情報、詳細には対応するノードの自身のノードIDの情報、および第2の情報として動作の内部状態を有するCANフレームを送信することができる。そのような内部動作状態は、例えば、単にいくつかの例を挙げれば、ブートアップ、エラー情報、モジュールが待機中であるという情報、またはモジュールがビジー状態であるという情報である。
【0027】
エラーコードまたは詳細なエラー情報などの付加的情報は、CANフレームの一部となり得るので、各ノードによって送信される可能性がある。
【0028】
また発電機の動作中も、各ノードは定期的に鼓動フレームを監視ノードに送信する。したがって、そのような鼓動フレームは、繰り返し周波数で頻繁に送信されるフレームである。送信されるフレームは、フレームを送信する特定のモジュールにエラーがないことを示す情報を単に含むことができる。これらのフレームが送信される頻度は、発電機の現下の状態、特に発電機自体が待機中であるのかまたは動作中であるのかそれとも別のモードであるのかに依存し、あるいは前述した動作の可能な内部状態に従った特定のモジュールの状態に依存する場合もある。
【0029】
このようにして、発電機または特定のモジュールの安全性関連の動作に対して高い繰り返し周波数が可能である。他のすべてのモジュールおよび/または状況については、より低い繰り返し周波数が使用され、したがって、通信システム、特にバスシステムの負荷を低減させることができる。
【0030】
一態様によれば、正規モジュールのうちの少なくとも1つの繰り返し周波数は、通信モジュールによって与えられ、ここで、通信モジュールは、個々の繰り返し周波数設定を正規モジュールに送信し、正規モジュールは、受信した繰り返し周波数設定を記録することが提案される。
【0031】
代替的に、通信モジュールは、繰り返し周波数で通信フレームを正規モジュールに送信し、即時応答を要求し、それによって正規モジュールに繰り返し周波数で応答することを強制することにより、正規モジュールの繰り返し周波数を制御する。
【0032】
どちらのやり方に従っても、通信モジュールは、モジュールの特定の繰り返し周波数を制御することで全体の動作を制御することができ、したがって、通信ネットワークの負荷も制御することができる。
【0033】
繰り返し周波数設定を送信する場合、これは、繰り返し周波数を含む対応するフレームを送信することによって行うことができよう。このケースでは、フレームには、対応する正規モジュールのノードIDと使用されるべき繰り返し周波数とがさらに含まれる場合もある。正規モジュールはこのデータフレームを受信し、そのようにして提供された繰り返し周波数を格納する。したがって、特定の正規モジュールは、単に格納されたこの繰り返し周波数で少なくとも鼓動フレームを送信する。これは、通信モジュールが新しい個々の繰り返し周波数設定をその正規モジュールに送信するまで行うことができる。次いで、この新しい繰り返し周波数は、先に格納された繰り返し周波数の代わりに格納され、したがって、正規モジュールはこの新しい繰り返し周波数で送信する。
【0034】
通信モジュールが、特定の正規モジュール通信フレームの特定の繰り返し周波数でこの特定のモジュールに送信する場合、モジュールはほぼ瞬時に反応して応答する必要がある。このようにして、正規モジュールも、通信モジュールによって提供される繰り返し周波数で送信するが、そのような繰り返し周波数は記録されない。この繰り返し周波数は、通信モジュールが新しい繰り返し周波数で前記通信フレームを送信するたびに簡単に変更することもできる。
【0035】
どちらのケースでも、通信モジュールと特定の正規モジュールとの間の通信トラフィックは制御することができる。通信モジュールは、このようにしてすべての正規モジュールを制御できるため、通信モジュールは、通信システム、特にバスシステム上の全体的な情報トラフィックも制御する。
【0036】
したがって、CANノードを備えたCANバスシステムが使用されている場合、すなわち正規モジュールの鼓動レートが制御される場合、通信モジュール、したがって通信ノードは、他のすべてのCANノードの鼓動レートを制御する。したがって、1つの可能性が与えられ、詳細には、通信モジュールまたは通信ノードが、周波数設定を正規モジュールのノードに送信し、このノードは監視ノードが新しい変更、すなわち新しい周波数設定を送信するまでこの設定をセーブする。
【0037】
他の可能性によれば、通信モジュールは、少なくとも5ms~100ms、好適には5ms~20msの範囲であり得る所与の許容可能な時間フレーム内で即座に応答しなければならないフレームを送信する。このフレームにはノードから即座に応答する必要があり、このようにして通信モジュールが各ノードの鼓動レートを直接制御する。
【0038】
正規モジュールの繰り返し周波数を通信モジュールによって設定することは、以下のような利点を有し得る。モジュール特有の処理と特有のリスクとを実現することができる。例えば、温度センサは、障害が直ちに危機的な状況を引き起こすわけではないため、非常に迅速に監視する必要はない。別の利点は、モジュール式のアプローチである。各モジュールの独自仕様を用いた独立的開発が可能である。また、これらのモジュールは個々の繰り返し周波数を有しており、したがって、モジュールを交換することは、独自の繰り返し周波数を有し得る別のモジュールを取り入れることにつながるため、そのようなモジュールの交換の可能性が開かれ、または容易になる。
【0039】
別の利点は、そのような解決手段の実装が容易なことにある。実装の1つの可能性によれば、任意の新しいもしくは交換された正規モジュールは、その繰り返し周波数を通信モジュールによって単に受信することができ、したがって、これは、通信モジュールにより集中的なやり方で制御することができる。
【0040】
しかしながら、特定の鼓動周波数、すなわち特定の繰り返し周波数に関する情報は、通信モジュールまたは通信ノードにおいてプログラミングすることができ、したがって、モジュールの変更のケースにおいて、例えば新しいモジュールが取り付けられた場合には、通信モジュールまたは少なくとも通信ノードの変更が要求される場合がある。しかしながら、そのような変更は、予めプログラミングして、通信モジュールに格納されている対応する構成ファイルに格納することができる。
【0041】
一態様によれば、正規モジュールのうちの少なくとも1つ、特に複数の正規モジュールまたはすべての正規モジュールは、個々の繰り返し周波数設定としてメモリに記録されたその個々の繰り返し周波数を有し、その個々の繰り返し周波数を通信モジュールに提供し、かつ/またはその個々の繰り返し周波数を他の正規モジュールに提供し、これにより、正規モジュールまたは通信モジュールは、送信された個々の繰り返し周波数がチェックルーチンに準拠しているか否かをチェックする。
【0042】
この態様によれば、各正規モジュールは、格納された独自の繰り返し周波数を有している。通信モジュールおよび/または少なくとも1つの他の正規モジュールは、前記正規モジュールがその繰り返し周波数で送信するか否かをチェックすることができる。したがって、これをチェックできるようにするために、各正規モジュールの繰り返し周波数が他のモジュールに、すなわち通信モジュールおよび/または1つ以上の他の正規モジュールに送信される。基礎となる考察は、特に、正規モジュールのタイプが、その繰り返し周波数と密接につながっていることである。したがって、各正規モジュールをその繰り返し周波数で適正に構成することが可能である。ただし、繰り返し周波数を変更することも可能である。また、繰り返し周波数の変更は、各正規モジュール自体によって実行されてもよいが、次いで、他の正規モジュールおよび/または通信モジュールに報告される。
【0043】
一態様によれば、個々の繰り返し周波数は、対応する正規モジュールの反応性をチェックするために使用され、ここで、反応性をチェックするために、テスト信号がテストされる正規モジュールに送信され、正規モジュールが少なくともその繰り返し周波数でテスト信号に応答するか否かが監視される。
【0044】
したがって、正規モジュール毎に何の問題もないことを保証することができる。これは、各正規モジュールが対応するテスト信号に反応するか否かをチェックすることによって行われる。そのようなテスト信号は、応答を送信する命令を含む各正規モジュールに送信されるデータフレームであり得る。そのような応答は、前記正規モジュールが適正に動作している場合、特定の正規モジュールの繰り返し周波数内で送信される。したがって、特定の繰り返し周波数が10Hzであるならば、そのようなテスト信号に対する応答は、100ms以内にあるべきである。また、送信される前記テスト信号、特に前記データフレームが、頻繁に応答を送信する命令を含む可能性があってもよい。換言すれば、1つのテスト信号を送信して複数の応答を受信する可能性があってよく、それに対して、複数の応答は、個々の繰り返し周波数で送信される。
【0045】
このようにして、各正規モジュールの機能性を保証することができ、このことは、電気手術用発電機にとって極めて重要である。なぜなら、そのような発電機は、モジュールの何らかの誤動作や電気手術用発電機の相応の誤動作が患者に重大な傷害を引き起こす可能性があり、高い安全要求を伴うものだからである。
【0046】
一態様によれば、正規モジュールの個々の繰り返し周波数は、変更され、特に、個々の繰り返し周波数は、通信モジュールによって変更され、かつ/または個々の繰り返し周波数は、電気手術用発電機および/または対応する正規モジュールの動作条件に依存して変更される。したがって、上記で説明したように、個々の繰り返し周波数は、特定の状況に構成させることができる。個々の繰り返し周波数は、特定の正規モジュールが待機動作中である場合、または電気手術用発電機全体が待機状況である場合は低くなる可能性がある。正規モジュールが動作している場合、個々の繰り返し周波数は、何らかの待機状況に比べて高くなるように選択することができる。
【0047】
上記でも略述したように、変更は通信モジュールによって行うことができる。このようにして、個々の繰り返し周波数が集中方式で制御され、このようにして、電気手術用発電機のすべてのモジュールの繰り返し周波数が集中方式で制御可能になり、相互に構成可能になる。
【0048】
付加的または代替的に、個々の繰り返し周波数は、全体として電気手術用発電機の動作条件または対応する正規モジュールの動作条件のいずれかに依存して変更される。それでもなお、これは通信モジュールによって集中方式で実行可能である。
【0049】
一態様によれば、個々の繰り返し周波数は、正規モジュールの種類、特に正規モジュールが電気手術用発電機に接続された電気手術用器具のエネルギーの制御に関与しているか否かに依存して、かつ/または正規モジュールの動作条件、特に正規モジュールが動作中であるのかまたは待機中であるのかに依存して選択される。
【0050】
正規モジュールの種類は、どの特定の正規モジュールに使用されるのかに基づいて特定することができ、すなわち単にいくつかの例を挙げれば、それがインバーターモジュール、ソケットモジュール、入力インターフェースモジュール、またはディスプレイモジュールに使用されるのか否かに基づいて特定することができる。上記で説明したように、ディスプレイモジュールは、インバーターモジュールよりも安全性関連が低くてよいことが期待されるため、ディスプレイモジュールは、インバーターモジュールよりも小さい繰り返し周波数を有することができる。
【0051】
正規モジュールの動作条件に依存して繰り返し周波数を選択することは既に上記で説明した。特に、正規モジュールが動作中である場合には、より高い繰り返し周波数が使用され、それに対して、正規モジュールが待機中である場合には、より小さな繰り返し周波数が使用される。
【0052】
一態様によれば、複数の相互接続された正規モジュールは、以下のような少なくとも1つのさらなるモジュールを備える。1つの正規モジュールは、少なくとも1つのインバーターモジュールから少なくとも1つのソケットモジュールへのエネルギー供給を制御するためのエネルギー分配モジュールであってよい。そのようなエネルギー分配モジュールについては、少なくとも1つのインバーターモジュールから少なくとも1つのソケットモジュールに供給されるエネルギーは、分配モジュールを通過することができ、このようにして制御することができる。しかしながら、エネルギー、すなわちインバーターモジュールによって生成される供給信号は、ソケットモジュールに直接供給されること、すなわちワイヤによって前記インバーターモジュールと前記ソケットモジュールとに直接接続されることも可能である。しかしながら、このケースでも、分配モジュールは、特定のインバーターモジュールを制御することができ、かつ/またはインバーターモジュールとソケットモジュールとの間の経路上に設けられた任意のスイッチを制御することができる。
【0053】
分配モジュールは、通信モジュールと組み合わせることができる。このケースでは、この組み合わされたモジュールの一部、特にエネルギー分配を物理的に制御する部分は、正規モジュールを形成することができ、それに対して、通信モジュールは、分配モジュールに取り付けられたサブモジュールとして理解することができる。
【0054】
別の正規モジュールは、ユーザーのために情報を表示するためのディスプレイモジュールであってよい。そのようなディスプレイモジュールは、通信モジュールに接続されてよく、この通信モジュールから表示される必要がある任意の情報を受信する。表示される任意の情報は、電気手術用発電機がビジー状態であるかまたは待機中である場合に表示されてよい。別の情報は、ユーザーによって事前に入力された電気手術用発電機の構成であってよい。ディスプレイモジュールは、同様に発電機、特に発電機の正規モジュールの温度を表示することもできる。表示される別の情報は、接続された電気手術用器具の状態であってよい。
【0055】
明らかに、これらのすべての情報は、異なるモジュールに関連付けることができ、したがって、これらのすべての情報は、通信モジュールによって収集することができ、さらに通信モジュールによってディスプレイモジュールに提供することができる。しかしながら、分散型構造では、情報は、対応する正規モジュールおよび通信モジュールによってディスプレイモジュールに同様に直接送信されてもよいし、あるいは他の手法で提供されてもよい。
【0056】
別の正規モジュールは、ユーザーからの要求を受け取るための入力モジュールであってよい。入力モジュールは、入力インターフェースと呼ばれてもよい。そのような入力モジュールは、ユーザーが要求もしくは他の情報を入力するためのスイッチまたはタッチスクリーンを含むことができる。入力モジュールまたは入力インターフェースモジュールは、オン/オフスイッチを含むこともできる。そのようなオン/オフスイッチは、独自の物理的デバイスである可能性も、またはタッチスクリーンの一部である可能性もある。
【0057】
別の正規モジュールは、第1のインバーターモジュールと比較して異なる信号周波数を有する少なくとも1つの電気手術用器具のために高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも第2のインバーターモジュールであってもよい。特に、第1および第2のインバーターモジュールのうちの一方は、対応する超音波式電気手術用器具に供給するための超音波周波数信号を生成するためのインバーターモジュールであってよい。他方のインバーターモジュールは、さらに高い周波数の供給信号を生成することができる。そのようなインバータは、その出力周波数を変化させることができるものではあるが、超音波式電気手術用器具を制御するための供給信号を生成するタスクは、患者の体内の組織を切断および/または焼くための電流を提供するために使用される、より高い周波数の供給信号を生成することとは大きく異なる。
【0058】
これらすべての正規モジュールは、通信のために直接および/または通信モジュールを介して相互接続されてよい。
【0059】
一態様によれば、電気手術用発電機は、通信モジュールが適切に動作するかを監視するための監視モジュールを含む。特に、通信モジュールは、すべての正規モジュールが適切に動作するか否かを監視することができる。これは、特に、各正規モジュールがその個々の繰り返し周波数で応答するか否かをチェックすることによって行われる。しかしながら、通信モジュールが適切に作動することも重要であり、これを行うために、そのような監視モジュールを使用することが提案される。この監視モジュールは、通信モジュールを監視するだけの目的を有することができる。通信モジュールは、監視モジュールが適切に作動するか否かを監視することができる。このやり方で両方のモジュールが適切に作動しないことを回避できるようにすることはもちろん困難であるが、この監視モジュールを使用することによって少なくとも冗長性を提供することは可能である。
【0060】
一態様によれば、正規モジュールおよび通信モジュールは、バスシステム、特にシリアルバスシステムおよび/または差動バスシステムを使用して相互接続される。特に、シリアルバスシステムであるCANバスが使用される。そのようなバスシステム、特にシリアルバスシステムおよびCANバスシステムは、複数のノード、すなわち複数の正規モジュールを十分な伝送レート内で相互接続する可能性を提供するが、それと同時にノイズに対する耐性もあることが判明した。このことは、使用されるインバーターモジュールが高周波信号を生成するそれらの動作に起因してそのようなノイズを発生する可能性があるために重要である。
【0061】
一態様によれば、各正規モジュールは、少なくとも正規モジュールの動作モードを識別する識別コードと、正規モジュールの動作状態を特徴付ける動作コードと、任意選択的に、立ち上げ情報、エラー情報、待機情報、ビジー状態情報を含む付加的情報と、を含むフレームを送信する。
【0062】
そのようなフレームは、他の正規モジュールおよび/または通信モジュールと情報を交換するために使用することができる。そのようなフレームは、特定の繰り返し周波数を送信または受信するために使用されてもよい。
【0063】
一態様によれば、正規モジュールが、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で頻繁に送信すべきモードにあるが、正規モジュールが通信フレームをその個々の繰り返し周波数で送信することから予め定められた最小許容周波数だけ逸脱している場合、エラー信号が生成される。そのような正規モードは、特定の正規モジュールに何らかのエラーまたは誤動作がないか否かをテストすることに通信が集中するテストモードまたは反応性テストモードである可能性がある。
【0064】
これをチェックするために、予め定められた最小許容周波数を設けることができ、これは繰り返し周波数の10%~50%の範囲にすることができる。正規モジュールが、通信フレームをこの繰り返し周波数で送信することから逸脱している場合、エラーが表示される。そのようなエラーは、繰り返し周波数が、予め定められた最小許容周波数から逸脱している場合に示される。しかしながら、個々の繰り返し周波数からのそのような逸脱は、何らかの応答がまったく送信されないこともよくある。しかしながら、そのようなチェックアルゴリズムをより良好にプログラミングし、そのような誤動作を即座に識別するために前記の最小許容周波数は使用することができる。
【0065】
付加的または代替的に、反応性をチェックするために、テスト信号がテストされる正規モジュールに送信され、テスト信号に対する正規モジュールの応答が応答時間よりも長くかかる場合、エラーが推定される。応答時間は、テストされた正規モジュールの繰り返し周波数の逆数値によって定義されてよい。応答が最小タイムラグだけ応答時間よりも長くかかる場合、エラーが想定される。そのケースでは、エラー信号も生成される。この種類のテストは、第1の可能性に類似しているが、応答のタイムラグを直接比較しており、考慮される最小タイムラグは、予め定められた最小許容周波数の逆数値であってよい。最小タイムラグは、繰り返し周波数の逆数の10%~30%の範囲であってよい。
【0066】
本発明によれば、電気手術用発電機に接続された電気手術用器具を制御するための電気手術用発電機も提案されており、この電気手術用発電機は、
-複数の相互接続された正規モジュールを含み、前記複数の相互接続された正規モジュールは、
-電気手術用器具を接続するための少なくとも1つのソケットモジュールと、
-ソケットモジュールに接続された少なくとも1つの電気手術用器具のために供給信号として高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも1つの第1のインバーターモジュールと、を含み、ここで、
-各正規モジュールは、少なくとも通信モジュールと通信するために構成され、
-各正規モジュールは、通信フレームを個々の繰り返し周波数で送信するように構成されており、
-個々の繰り返し周波数は、電気手術用発電機の状態に依存して変更される。
【0067】
好適には、電気手術用発電機は、上述の態様のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている。
【0068】
したがって、電気手術用発電機は、上記で説明したように、そのような電気手術用発電機を制御するための方法の任意の態様に関連して動作する。電気手術用発電機によって本方法を実行するために、そのような方法は、電気手術用発電機の制御モジュール上に実装することができる。そのような制御モジュールは、通信モジュールであってよい。しかしながら、多くのステップは電気手術用発電機内の異なるモジュール上で実行されるため、対応するステップはそれぞれのモジュールに実装することができる。したがって、電気手術用発電機の各正規モジュールは、制御モジュールを有することができる。この制御モジュールは、正規モジュールに接続されたソフトウェアもしくはプロセッサであってもよいし、あるいはそのようなプロセッサ上に実装されたソフトウェアであってもよいであろう。特定の方法ステップは、前記のそれぞれの正規モジュールもしくはその制御モジュール、または通信モジュール上に実装することができる。
【0069】
一態様によれば、電気手術用発電機は、正規モジュールとの通信を制御するための通信モジュールをさらに含み、ならびに/あるいは各正規モジュールは、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で通信モジュールおよび/または別の正規モジュールに頻繁に送信するように構成されている。
【0070】
したがって、電気手術用発電機は、上記で説明したように、正規モジュールとの通信を制御するための中心要素として使用できるそのような通信モジュールを含む。各正規モジュールは、その個々の繰り返し周波数を格納している場合があり、このようにして、通信フレームをその個々の繰り返し周波数で頻繁に送信するように構成されている。その上さらに、そのような正規モジュールは、特に、バスシステムを使用して通信するように構成されており、このバスシステムを介して通信フレームをその個々の繰り返し周波数で送信することができる。
【0071】
一態様によれば、複数の相互接続された正規モジュールは、
-少なくとも1つのインバーターモジュールから少なくとも1つのソケットモジュールへのエネルギー供給を制御するためのエネルギー分配モジュールと、
-ユーザーのために情報を表示するためのディスプレイモジュールと、
-ユーザーからの要求を受け取るための入力モジュールと、
-少なくとも1つの電気手術用器具のために第1のインバーターモジュールとは異なる信号周波数を有する高周波エネルギーを提供するための供給信号を生成するための少なくとも第2のインバーターモジュールと、
によって定義されるリストのうちの少なくとも1つのさらなるモジュールを含む。
【0072】
付加的または代替的に、電気手術用発電機は、通信モジュールが適切に動作するかを監視するための監視モジュールを含む。
【0073】
したがって、言及したこれらのすべての正規モジュールは、それらの独自の繰り返し周波数を有することができるが、いくつかのモジュールは、同様の繰り返し周波数を有することもできる。特に、ディスプレイモジュールおよび入力モジュールは、格段に小さな繰り返し周波数、特に第1のインバーターモジュール、第2のインバーターモジュール、および/またはソケットモジュールの繰り返し周波数よりも少なくとも5倍~10倍小さい繰り返し周波数を有することができる。エネルギー分配モジュールは、第1および/または第2のインバーターモジュールおよび/またはソケットモジュールの繰り返し周波数と同様の高い繰り返し周波数を有することもできる。
【0074】
監視モジュールは、高い繰り返し周波数、特に第1のインバーターモジュール、第2のインバーターモジュール、および/またはソケットモジュールと同じくらい高い繰り返し周波数を有し得る。
【0075】
一態様によれば、正規モジュールおよび通信モジュールは、バスシステム、特にシリアルバスシステムおよび/または差動バスシステムを使用して相互接続されることが提案される。したがって、電気手術用発電機内の通信ネットワークは、そのようなバスシステム、特にCANバスシステムを使用して構築される。これは、電気スモッグに強い通信をもたらせる。
【0076】
本発明によれば、モジュール、特に正規モジュールの異なる要件を考慮すると、一定の鼓動周波数は柔軟性に欠けることが認識された。したがって、上記で説明した以下の解決手段も判明した。
【0077】
各正規モジュールは、独自の繰り返し周波数を有する独自の鼓動を送信する。モジュールの繰り返し周波数は、相互に異なる可能性がある。繰り返し周波数は、単一の正規モジュール毎に中央モジュールとも呼ばれる通信モジュールによる立ち上げフェーズにおいて提示される場合がある。代替的に、各正規モジュールは、独自の繰り返し周波数を有し、これを通信モジュール、すなわち中央モジュールに通信する。
【0078】
したがって、そのような通信モジュールは、鼓動周波数、すなわち個々の繰り返し周波数が予め定められた値に対応する場合、他の正規モジュールが監視される。第2のモジュール、すなわち監視モジュールは中央モジュールを監視する。中央モジュールは、他の正規モジュールに、より高いまたはより低い周波数で鼓動を送信するようにアドバイスする場合がある。
【0079】
次に、本発明を添付の図面に基づいて例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】電気手術用発電機を示した概略図である。
図2】繰り返し周波数を処理する1つの制御概念を示した図である。
図3】繰り返し周波数をどのように処理するかについての別の制御概念を示した図である。
図4】繰り返し周波数をどのように処理するかについてのさらなる制御概念を示した図である。
図5】通信バスを使用した電気手術用発電機のチェックルーチンと負荷状況とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、三重線によって示されたケーシング102を有する電気手術用発電機100を概略図の方式で示す。ケーシング102には、第1および第2のソケットモジュール104および106、ならびに入力モジュール108およびディスプレイモジュール110が取り付けられてよい。それにより、これらの4つのモジュールは、ケーシング102内で電気手術用発電機100の前面プレートに取り付けられてよいであろう。
【0082】
これらの4つのモジュールは正規モジュールである。さらなる正規モジュール、すなわち第1のインバーターモジュール112および第2のインバーターモジュール114ならびに分配モジュール116も存在している。付加的に、通信モジュール118および監視モジュール120が存在する。
【0083】
付加的に、変圧器として示され、電気プラグ124を有している電源122も存在する。
【0084】
描写上の理由から、モジュールもしくは他のコンポーネントを接続する二重線は、エネルギーを伝送する電気線路のための象徴として使用されており、それに対して、単線は情報線路であり、したがって、通信ネットワーク、特にバスシステムを構築することができる。
【0085】
したがって、電源122は、電気エネルギーをすべてのモジュールに直接または間接的に供給する。入力モジュール108およびディスプレイモジュール110は、単に図面を複雑化させないために示されていないが、電気エネルギーを取得することも可能である。
【0086】
第1のインバーターモジュール112は、第1のソケットモジュール104に差し込むことができる対応する電気手術用器具に超音波供給信号を提供するインバーターモジュールであってよい。したがって、第1のインバーターモジュール112は、動作中の場合は第1のソケットモジュール104にエネルギーを直接提供する。
【0087】
第2のインバーターモジュール114は、制御されて分配モジュール116を介して第2のソケットモジュール106に案内される電気的高周波供給信号を提供することができる。この第2のソケットモジュール106には、異なる電気手術用器具を差し込むことができる。
【0088】
通信のために、通信モジュール118は、正規モジュールの各々を制御する。すなわち第1および第2のソケットモジュール104および106、入力モジュール108、ディスプレイモジュール110、第1および第2のインバーターモジュール112および114、ならびに分配モジュールを制御する。このことは、各単一の正規モジュールを通信モジュール118に接続している単一の線路によって示される。基本的にはこれらの単一の線路を介して通信ネットワークが構築され、それらはCANバスなどのシリアルバスシステムもしくはその一部であり得る。付加的に、分配モジュール116と、第1および第2のインバータ112および114と、の間にも通信接続が存在する。しかしながら、この通信線路は必要ないかもしれず、これらのモジュール間の任意の通信は、通信モジュール118を介して行ってもよいであろう。
【0089】
したがって、これらの正規モジュールのすべては、ある種のインテリジェンス、すなわちこれらの正規モジュールの各々のプロセッサ上に実装することができる制御モジュールを有している。このようにして、これらの正規モジュールのすべては、それらの状態、特にエラーが存在するか否か、あるいはそれらが動作中であるのかまたは待機中であるのかを示す信号を送信することも可能である。
【0090】
正規モジュールがエラーを有していないことを示すために、各正規モジュールから通信モジュール118に送信される鼓動信号が存在する。そのような鼓動信号は、ノードID、詳細には特定の正規モジュールとモジュール状態とを識別する識別コードを含むデータフレームであり得る。モジュール状態は、単に正常であるもしくは正常でないことだけを含む場合もあるであろう。また、特定の正規モジュールが待機中であるのかまたは動作中であるのかに関する情報を有していてもよく、エラーが発生した場合には、そのようなエラーコードが提供されてもよいであろう。
【0091】
しかしながら、そのようなデータフレームは、各正規モジュールから通信モジュール118に繰り返し周波数で送信される。各正規モジュールは、個々の繰り返し周波数を有し、したがって、別の正規モジュールに関しては異なる繰り返し周波数を有し得る。特に、繰り返し周波数は2Hzまたは12Hzにすることができる。もちろん、他の値が同様に使用されてもよく、場合によっては3つ以上の異なる繰り返し周波数が存在していてもよいであろう。
【0092】
付加的に、通信モジュール118を単に監視している監視モジュール120が存在する。通信モジュール118は、すべての正規モジュールについてそれらが適切に動作しているかもしくはエラーを有していないか否かをチェックする。すなわち、それらがいわゆる鼓動信号を繰り返し周波数で送信している場合、もちろんすべてが正常であるという情報を提供しているか否かがチェックされる。このようにして、すべての正規モジュールは、それらが適切であったか否かをチェックされる。
【0093】
電気手術用発電機100は高い安全要求を満たさなければならないので、通信モジュールだけがそれ自体をチェックすることはない。したがって、正規モジュールが適切に動作しているか否かのようなチェックが必要であり、さらに付加的に、この監視モジュール120には、通信モジュール118が適切に動作しているか否かをチェックさせるような冗長性も持たせるべきであろう。これは、正規モジュールの場合と同様のやり方で行うこともできる。すなわち通信モジュール118は、鼓動信号を監視モジュール120に送信することができる。次いで、監視モジュールは、この鼓動信号が期待繰り返し周波数で受信されるか否かをチェックする。監視モジュールの繰り返し周波数は、10Hz以上であってよく、特に12Hzであってよい。
【0094】
図2は、繰り返し周波数をどのように処理するかについての制御概念を示す。この図は、監視ノード202およびCANノード204を示す。監視ノード202は、通信モジュール118もしくは通信モジュール118の対応するノードを表す。CANノード204は、CANバスシステムが使用されていることを示し、CANノードは、任意の正規モジュールを表す。すなわち、これは図1に関連して説明した正規モジュールの任意の正規モジュールや他の正規モジュールであってもよいであろう。
【0095】
したがって図2は、監視ノード202、したがって通信モジュール118が、鼓動周波数とも呼ばれる繰り返し周波数を設定値としてCANノード204、したがって1つの正規モジュールに送信することを示す。図2に示されている値は12Hzであるが、別の値であってもよく、またこの値が送信される正規モジュール間で変動していてもよいであろう。
【0096】
監視ノードから受信した繰り返し周波数に基づいて、CANノード204は、この繰り返し周波数でデータフレームを監視ノード202に送信する。そのようなデータフレームは、図2に示されているテーブル206によって示される。
【0097】
したがって、このデータフレームはノードIDを有し、したがって特定のCANノード、したがって正規モジュールの識別番号を有し、モジュール状態を有する。モジュール状態は、単に正常であってもよいし、あるいはエラーであってもよいであろうが、特定の正規モジュールが動作中であるのかまたは待機中であるのかを示す表示であってもよいであろう。
【0098】
したがって、テーブル206によって示される前記データフレームは、CANノード204から送信され、したがって、正規モジュールから監視ノード202に、したがって、図1による通信モジュール118であってよい通信モジュールに送信される。このデータフレームが繰り返し周波数で送信され、少なくとも状態が正常であることも提供されると、監視ノード202は、特定の正規モジュールにエラーが存在しないことを識別する。
【0099】
図3は、図2と同様であり、監視ノード302およびCANノード304も示している。これらは、基本的に、図2による監視ノード202およびCANノード204と同一であり得る。基本的に、図3に示される制御概念における唯一の相違は、CANノード304、したがってこのCANノード304が表す正規モジュールが、既にその繰り返し周波数を有し、この繰り返し周波数を監視ノード302に送信することである。したがって、監視ノード302は、どの繰り返し周波数が期待されるかを知っている。
【0100】
それに基づいて、この概念は図2に示されているように作動する。すなわちCANノード304は、繰り返し周波数を有するデータフレームを送信し、このデータフレームはテーブル306によって示される。
【0101】
したがって、監視ノード302は鼓動周波数を制御できない。ノード自体、すなわち正規モジュールは、鼓動フレームが送信される頻度を報告する。これは、モジュール特有の処理とリスクとが存在するという利点を有する。例えば、障害が直ちに危機的な状況を引き起こさないため、送信された温度を非常に迅速に監視する必要はない。モジュール式のアプローチの可能性も存在する。これは、各モジュールをそれら自身の仕様で独自に開発することが可能であることを意味し、これはそのようなモジュールの互換性を可能にする。ただし、それらには過剰なバス負荷の集中制御を可能にさせないという利点があるかもしれない。
【0102】
図4に、繰り返し周波数を処理する別の制御概念が示されている。図4も、監視ノード402およびCANノード404を有する。
【0103】
この概念によれば、監視ノードは、繰り返し周波数をCANノードに送信せず、CANノードもその繰り返し周波数を監視ノードに送信しない。その代わりに、繰り返し周波数は、電気手術用発電機の状態に依存する。すなわち、それが起動時であるのかまたは待機中であるのかに依存する。これらの異なる状態には、異なる繰り返し周波数が割り当てられている。所与の例では、起動時については12Hz、待機中には2Hzが存在する。これは、第1のルックアップテーブル408に示されている。
【0104】
それに基づいて、CANノード404は、繰り返し周波数を有するデータフレームを監視ノード402に送信する。これらの2つのノードの一般的な機能およびそれらが何を表しているのかについては、図2および図3で説明されている。したがって、CANノード404は、任意の正規モジュールを表し、監視ノード402は通信モジュールを表す。送信されるデータフレームについてもテーブル406によって示されており、これは、図2のテーブル206に関連して説明されたものである。
【0105】
しかしながら、使用される繰り返し周波数は、第1のルックアップテーブル408に依存し、したがって、テーブル406によって表される前記データフレームは、発電機が待機中である場合には2Hzの繰り返し周波数で送信され、発電機が起動状態である場合には12Hzの繰り返し周波数で送信される。
【0106】
監視ノード402は、第2のルックアップテーブル410を有している。この第2のルックアップテーブル410には、期待鼓動周波数、したがって期待繰り返し周波数が記録されている。したがって、第2のルックアップテーブル410による期待鼓動周波数は、第1のルックアップテーブル408による所与の鼓動周波数に対応する。
【0107】
それゆえ、監視ノード402は、CANノード404がテーブル406に従って適正な繰り返し周波数で、すなわち第2のルックアップテーブル410に従って適正な鼓動周波数でデータフレームを送信したか否かをチェックする。
【0108】
図4を要約すると、モジュールは、モジュール毎の鼓動周波数のためのルックアップテーブルを有し、それらは以下の2つの変形形態である。すなわち、
-ルックアップテーブルはすべてのモジュール間で固定されている。したがって、これはすべてのノード上で同一の固定された特定のテーブルである。すべての動作モードは、グローバルに同一である。特に、モードもしくは状態は、起動時や待機中であり得る。
-ルックアップテーブルは、例えば立ち上げ中にモジュール特有のパラメータとともに通信される。
【0109】
このテーブルは、鼓動周波数とモジュールの動作モードとの間のリンクである。動作モードは以下のとおりであってよい。すなわち、
-グローバルなシステム状態に基づいて、例えば発電機は、起動モードであるかまたは待機中である。
-モジュールに依存する。例えば、機器が現下では接続されていないため、繰り返し周波数、すなわち鼓動周波数は低減可能である。
【0110】
利点は、図2および図3を参照して説明したとおりである。付加的に、監視時間の非常に細かい選択をプログラミングすることができる。モジュール式のアプローチの可能性も存在する。すなわち、互換性を可能にする独自の仕様を有する各モジュールの独立した開発も可能である。ルックアップテーブルにはメモリと監視ノードによる管理とが必要であるという小さな欠点があるかもしれず、上記で説明した他の可能性に関して実装がより複雑になるかもしれない。
【0111】
図5は、通信バスを使用した電気手術用発電機のチェックルーチンと負荷状況とを示している。ここでは、共有通信バス、すなわち通信モジュール504と3つの正規モジュール506,508および510とが接続されたバス502を有するバスシステム500が示されている。通信ならびに正規モジュールのいずれかに誤動作がないか否かの図示されたチェックは、通信モジュール504によって調整される。通信モジュール504は、中央ノードと呼ぶこともできる。この通信モジュールは、これらの3つの正規モジュールから情報信号を頻繁に受信し、もちろん、存在する場合にはさらなるモジュールからも同様に情報信号を受信する。この図では、通信モジュールにより、すべての正規モジュールが40msの繰り返し時間内にデータフレームに応答することもしくはデータフレームを送信することを期待していることが想定されている。したがって、この40msの繰り返し時間内に各正規モジュール506,508および510からメッセージを受信するか否かがチェックされる。
【0112】
それに基づいて、第1の正規モジュール506がその最後のメッセージ後10ms以内にそのメッセージを送信すると想定される状況が存在する。したがって、この10msは40msの最大繰り返し時間内にある。
【0113】
第2の正規モジュール508は、最後のメッセージ後30ms以内にそのメッセージを送信し、それも繰り返し時間の40msの制限内にある。
【0114】
しかしながら、任意のさらなる正規モジュールを表すものであってもよい第3の正規モジュールは、100ms後にそのメッセージを送信している。したがって、これらの100msは、40msの繰り返し時間よりも長く、したがって、40msの最大繰り返し時間よりも長くなる。したがって、第3の正規モジュール510については、エラーが識別され、したがって、次のステップにおいて何らかのエラー信号もしくは安全措置が行われる。
【0115】
本発明の背景として、相互に通信する複数のハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントを備えた分散システムでは、システム全体の完全性が保証されなければならないことも判明した。重要なコンポーネントに障害が発生すると、システムのセキュリティや重要な機能が保証できなくなる。それゆえ、発電機のすべてのコンポーネントには、すべてのソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントが適切に作動し、所与の出力で反応することを監視する機構が組み込まれている場合がある。
【0116】
基本的に、監視システムは、鼓動、ハードウェア信号、またはデジタルメッセージであってよいメッセージを、コンポーネントから、つまり正規モジュールから定期的なベースで受信する。メッセージが、タイムアウトを使用して監視されてよい所与の/特定の時間フレーム内で受信されない場合、監視部は、システムが停止していることを予想し、安定したシステム状態に戻るためのさらなるアクションを組み込む必要がある。これは、システムリセットまたはエラー処理であり得る。
【0117】
現下のシステムでは、ソフトウェアコンポーネント(「タスク」と呼ばれる)がこのシステムを使用している。すべてのタスクは、メッセージをシステム監視部に送信する。システム監視部は、通信モジュールに実装されてよく、タスク監視部と呼ばれてよい。これらのメッセージは、少なくとも60ms毎に送信されてよい。タスクが所与の時間フレーム内にメッセージを送信しない場合、システムは再度立ち上げられる。外部のウォッチドッグ回路は、タスク監視部とCPUとを監視する。タスク監視が外部ウォッチドッグをリセットしない場合、CPUのハードウェアリセットがトリガーされてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】