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特開2024-91601モジュール式電気外科用発電機システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091601
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】モジュール式電気外科用発電機システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240627BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B17/00 700
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216969
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/434,982
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クヴィク,アンネ
(72)【発明者】
【氏名】ラミン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フェージング,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プレツェヴォースキー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シッデル,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】アーノルト,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】アラス-クレンピン,ロッコ
(72)【発明者】
【氏名】キューネ,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】デイクストラ,イェレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニヒ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトップ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】マルヒョー,イムケ
(72)【発明者】
【氏名】ハンドリック,ヴェローニカ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ11
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK22
4C160KK23
4C160KK25
4C160KL05
4C160MM33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の発電機コンポーネントから構成されており、装備及び/又は機能に関して異なる少なくとも2つの発電機タイプの電気外科用発電機を備えたモジュール式発電機システムを提供する。
【解決手段】発電機コンポーネントは、電気外科用器具を接続するための少なくとも1つの出力接続部に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部31と、電力供給部によって給電されるインバータ34とを含む。発電機タイプはそれぞれ、複数のモジュール、すなわちモジュール間通信のための通信ユニット40を含む少なくとも1つの統一的な基本モジュール2、及び発電機タイプに応じて異なる少なくとも1つの個別モジュール3を用いてモジュール方式で設計されている。個別モジュールは、例えば電力供給部のモジュール、インバータのモジュール、出力接続部のモジュール35として設計されている。様々な発電機タイプは、個別モジュール装備の点で異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装備及び/又は機能の点で異なる少なくとも2つの発電機タイプの電気外科用発電機(1)を備えたモジュール式発電機システムであって、前記発電機タイプはそれぞれ、少なくとも1つの電気外科用器具(99)に給電するように形成されており、かつ前記電気外科用器具(99)を接続するための少なくとも1つの出力接続部(19)に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部(31)と、前記電力供給部(31)によって給電されるインバータ(34)とを含む複数の発電機コンポーネントから構成されている、モジュール式発電機システムにおいて、
前記発電機タイプがそれぞれ、複数のモジュールを用いてモジュール方式で設計されており、前記複数のモジュールが、
-モジュール間通信のための少なくとも1つの通信ユニット(40)を含む、様々に異なる発電機タイプに統一的な少なくとも1つの基本モジュール(2)と、
-発電機タイプに応じて異なる少なくとも1つの個別モジュール(3)とを含み、前記1つ又は複数の個別モジュール(3)は、少なくとも前記電力供給部(31)のモジュールとして、及び/又は前記インバータ(34)のモジュールとして、及び/又は前記出力接続部(19)のための少なくとも1つのモジュール(35)として設計されており、
前記少なくとも1つの基本モジュール(2)は、前記様々に異なる発電機タイプに対して同じに形成されており、前記様々に異なる発電機タイプは個別モジュール装備の点で異なる、モジュール式発電機システム。
【請求項2】
ディスプレイ制御モジュール(26)、内部分配モジュール(20)、及び/又は外部への通信のための外部通信モジュール(23)が基本モジュール(2)として設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項3】
機能的に異なる、したがって個別モジュールの種類を形成する複数の異なる個別モジュール(3)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項4】
少なくとも1種類の個別モジュール(3)内に異なった変種(3’、3”)、特に異なるサイズの電力供給部及び/又はインバータが設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項5】
電力供給部(31)、インバータ(34)、接続部(35)、特に電気外科用器具(99)のためのプラグ接続部、及び/又はフロントパネル(23)のための、特に表示器及び/又はディスプレイ(36)を含めた個別モジュール(3)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項6】
個別モジュール(3)が個々に交換可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項7】
追加の機能性を有し、自由選択的に付加できる少なくとも1つの任意モジュール(14)が更に設けられており、殊に組み付けられた状態において、電源及び他のモジュール(2、3)との通信接続が自動的に確立されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項8】
前記モジュール式発電機システムが複数の異なる型式(I、II、III)の発電機タイプを含み、前記複数の異なる型式の発電機タイプに対して、別の型式の個別モジュールとは異なるそれぞれ固有の個別モジュール(3)が設けられることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項9】
前記基本モジュール(2)は、全型式に使用可能であることを特徴とする、請求項8に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項10】
前記基本モジュール(2)のうちの少なくとも1つは、別のモジュール(2、3)のための電源分配ユニット及び/又は前記出力接続部(19)のための前記少なくとも1つのモジュール(35)のためのコネクタ(22)を有することを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項11】
前記コネクタ(22)に、通信ネットワーク(4)、電源網(5)及び/又は、殊に出力エネルギーライン(9)のための接続部を有することを特徴とする、請求項10に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項12】
前記モジュール(2、3)は、それぞれ固有の通信ユニット(40)を有し、前記固有の通信ユニットは、組み付けられた状態において、別のモジュール(2、3)の前記通信ユニットと共に、モジュール間通信のための、殊に自己構成する通信ネットワーク(4)を形成することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項13】
少なくとも前記個別モジュール(3)が、通信ユニット(40)及び電源に関して、他のモジュール(2、3)に向けて外部への統一的なインターフェースを有することを特徴とする、請求項12に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項14】
前記基本モジュール(2)のために、殊に前記基本モジュール(2)のように前記出力エネルギーのための高電圧を送る任意的な拡張ユニット(29)が設けられていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項15】
機能に関して異なる少なくとも2つ発電機タイプの電気外科用発電機(1)を備えたモジュール式発電機システムであって、
前記発電機タイプがそれぞれ、
電気外科用器具(99)に給電するように形成されており、かつ前記電気外科用器具(99)を接続するための少なくとも1つの出力接続部(19)に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部(31)と、前記電力供給部(31)によって給電されるインバータとを含む複数の発電機コンポーネントから構成されている、モジュール式発電機システムにおいて、
前記モジュール式発電機システムは、
・複数の異なるインバータモジュール(34、34’)であって、そこから1つがそれぞれの前記発電機タイプのために選択され組み付けられる、複数の異なるインバータモジュールと、
・複数の異なる出力接続部(19)であって、前記複数の異なる出力接続部のうちの少なくとも1つが選択されてフロントパネルに機械的に収容され、かつ組み付けられた前記インバータモジュール(34)に電気的に接続されている、複数の異なる出力接続部と、を備え、
各電気外科用発電機(1)がモジュール検出器(6)を有し、前記モジュール検出器は、組み付けられ接続されたモジュール(2、3)を認識するように形成されており、そこから、現実に存在するモジュール構成が検知されることを特徴とするモジュール式発電機システム。
【請求項16】
前記モジュール(2、3)が固有の自己構成ユニット(61)を有し、前記自己構成ユニットは、前記検知された現実に存在するモジュール装備に応じてそれぞれの前記モジュール(2、3)を構成するように形成されていることを特徴とする、請求項15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項17】
前記モジュール検出器(6)は、それぞれの前記電気外科用発電機のための中央ユニットとして設計されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項18】
前記モジュール検出器は、それぞれの前記モジュール(2、3)に分散させて設計されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項19】
前記現実に存在するモジュール構成に応じて許可された機能を検知するように、及びそれに対応するイネーブル信号を前記モジュール(2、3)に伝送するように形成されているイネーブルユニット(7)が更に設けられていることを特徴とする、請求項15~18のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項20】
前記イネーブルユニット(7)は、それぞれの前記電気外科用発電機(1)のための中央ユニットとして設計されていることを特徴とする、先行する請求項19に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項21】
前記イネーブルユニットは、それぞれの前記モジュール(2、3)に分散させて設計されていることを特徴とする、請求項19に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項22】
前記モジュール(2、3)は、前記組み付けられた状態において、前記モジュール(2、3)の通信接続及び電源が自動的に確立されるように形成されていることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項23】
前記通信接続が通信ネットワーク(4)であり、殊に、前記モジュール(2、3)の動作に関する許可信号のために、追加の信号接続が設けられていることを特徴とする、請求項22に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項24】
前記モジュール(2、3)はそれぞれ、固有の制御プログラムを含む固有のプロセッサユニット(80)をそれぞれの前記モジュール(2、3)のための独立した局所的な動作制御部として有し、前記モジュールが、発電機内部の電源網(5)及び通信ネットワーク(4)に接続されていることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項25】
少なくとも前記インバータモジュール(34)及び/又は任意的な超音波モジュール(38)が追加の高周波出力接続部を有する(39)ことを特徴とする、請求項24に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項26】
複数の異なる電力供給部モジュール(31、31’、31”)が更に設けられ、そこから1つがそれぞれの前記発電機タイプのために選択され組み付けられることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項27】
現実に存在するモジュール構成を一意の、かつ固定的に格納された前記モジュール構成の目標装備特徴(83)と比較するように、及び異なる場合には、殊に動作ブロックを操作するエラー信号を出力するように形成されている安全ユニット(82)が設けられていることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項28】
アップグレードユニット(84)が設けられており、前記アップグレードユニットは、外部から、安全な通信接続(85)を介して制御可能であり、かつ前記格納された目標装備識別特徴(83)に認められた変更を施すため、及び/又は追加の機能を有効化するために、前記安全ユニット(82)、及び前記モジュール(2、3)の自己構成ユニット(61)と協働することを特徴とする、請求項27に記載のモジュール式発電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの発電機タイプの電気外科用発電機を備えるモジュール式発電機システムに関する。発電機タイプはその装備と機能の点で異なり、それぞれ少なくとも1つの電気外科用器具に給電するように設計されている。
【背景技術】
【0002】
電気外科又は高周波外科では、電気メスなどの電気外科用器具を用いて、高周波交流の形のエネルギーが人体の組織に導入される。この場合、特に200kHz以上4000kHz以下の周波数、通例400kHzの周波数が使用される。それによって引き起こされる加熱により、特に組織が切断又は切除される。この場合の利点の1つは、関係する血管を閉じることで切断と同時に止血も行うことができるということであり、電気外科用器具は、例えば凝固など、他の種類の用途にも考慮される。
【0003】
患者の様々な適応症に必要に応じて対処するためには、意図される使用分野に応じて装備され、それに対応して様々な機能を有する電気外科用発電機が必要である。領域、一般領域及び内臓外科、特殊領域では耳鼻咽喉科学、泌尿器科学、婦人科学、消化器病学、泌尿器科学、呼吸器科学、更には静脈学などにおける使用のために様々な型式の電気外科用発電機がある。これらの型式にはまた、より小型及びより大型の発電機、性能がより高い及び性能がそれほど高くない発電機、並びに機能がより多いか又は少ない発電機といった等級がある。これは患者と手術者にとってはそれぞれの適応症にぴったり合わせた、それぞれ所望のサイズとそれぞれ所望の機能範囲を有する電気外科用発電機という点で有利である一方で、製造業者にとってこれは膨大な数の様々な変種の存在を意味する。
【発明の概要】
【0004】
このような多様な変種の電気外科用発電機を提供することは、非常に手間がかかる。この多大な手間は、類似ではあるが異なる形状の様々な型式やサイズに対してそれぞれ個別にかける必要があるため、発電機の最新化や更新の妨げにもなる。広範囲な発電機システムの利用には多様な変種が有利であるが、多様な変種によって適合と最新化が困難になるため、これは技術の進歩という点では不利であり得る。
【0005】
本発明は、これらの欠点を回避する改良された発電機システムを提供するという課題に基づいている。
【0006】
本発明による解決策は、独立請求項の特徴にある。有利な発展形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
装備及び/又は機能に関して異なる少なくとも2つの発電機タイプの電気外科用発電機を備えた発電機システムであって、発電機タイプはそれぞれ、少なくとも1つの電気外科用器具に給電するように形成されており、かつ電気外科用器具を接続するための少なくとも1つの出力接続部に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部と、電力供給部によって給電されるインバータとを含む複数の発電機コンポーネントから構成されている、モジュール式発電機システムにおいて、本発明によれば、発電機タイプがそれぞれ、複数のモジュールを用いてモジュール方式で設計されており、複数のモジュールが、他のモジュールとの少なくとも1つの通信ユニットを含む、様々に異なる発電機タイプに統一的な少なくとも1つの基本モジュールと、発電機タイプに応じて異なる少なくとも1つの個別モジュールとを含み、1つ又は複数の個別モジュールは、少なくとも電力供給部のモジュール、及び/又はインバータのモジュール、及び/又は出力接続部のための少なくとも1つのモジュールとして設計されており、少なくとも1つの基本モジュールは、様々に異なる発電機タイプに対して同じに形成されており、様々に異なる発電機タイプは個別モジュール装備の点で異なることが企図されている。
【0008】
本発明は、発電機タイプをそれぞれモジュール方式で設計する、及びそれによりモジュールコンセプトを提供するという思想に基づいており、このモジュールコンセプトは様々なモジュール、しかし様々な種類のモジュールも含む。モジュールの種類の1つとして基本モジュールがあり、これは様々な発電機タイプに統一的に使用される。この場合、「統一的に」とは、これらの発電機タイプが、特にハードウェア構造に関して実質的に同じに形成されていることを意味し、その際、不可避の、又はわずかな適合が施される可能性はあり、識別情報(シリアル番号など)に関するIDデバイス又はコーディングデバイスが異なることも排除されない。他のモジュールの種類として、個別モジュール、厳密に言えば、少なくとも1つの個別モジュールがあり、1つ又は複数の個別モジュールは異なる発電機タイプの間で異なり得る。本発明が認識したように、モジュールコンセプトを統一的な基本モジュールと異なった個別モジュールとに2分化することで、可能な限り多くの異なった発電機タイプを製造するために、最小数の異なったモジュールで最大数の変種を達成することができる。
【0009】
この場合、基本モジュールというコンセプトは、個別モジュールを常に同じ様に関連付けることができる共通の、かつ根本的には変わらない基礎をもたらす。これは特に、必要なモジュールの通信に該当し、基本モジュールは、この通信のために常に通信ユニットを提供する。したがって、個別モジュールの種類及び機能、或いはサイズ及び性能に全く関係なく、個別モジュールは、基本モジュールの形態の既知の統一的な基礎と協働し、基本モジュールとの、及び存在する場合には他の個別モジュールとの通信に参加できることが確保されている。この場合、それぞれの個別モジュールがどのようなものであるか、又はどの機能を果たすのかは重要でない。出力エネルギーを生成するためのインバータの場合のように、個別モジュールが電気エネルギーを必要とするのかどうか、又は個別モジュールとしての電源の場合のように電気エネルギーを提供するのかどうかということも問題ではない。このようにして、異なった個別モジュールを装着することによって異なった発電機タイプをほぼ自在に製造することができる。したがって、あまり手間をかけずに多くの変種を作り出して提供することができる。
【0010】
まず、使用されるいくつかの用語について説明しておく。
【0011】
電気外科用発電機は、少なくとも1つの電気外科用器具にエネルギーを供給するように設計されている。これは通常、高周波交流電圧を使用して行われる。典型的な周波数帯域は200kHz~4000kHzの範囲である。高周波交流電圧は、場合によっては、通例10kVまで、殊に最大4000Vまでの高電圧範囲の振幅を有することができる。
【0012】
電気外科用発電機によって提供される電力は、通例1~500ワットの範囲であるが、負荷インピーダンスが大きく変動する可能性があり、それに対応して出力電圧とエネルギー出力も同様に大きく、かつ急速に変化する可能性がある。したがって、高い動的な電力変動が生じるが、様々に異なる発電機タイプの間では、通例、ほんの数ワットから数100Wの電力要求に対して静的な電力変動も生じる。
【0013】
出力エネルギーを生成するために使用されるインバータとは、より広い意味で、それ自体任意の高電圧発電機と理解される。これは、特にシングルエンデッドコンバータとして設計された自由発振発電機、又は、狭い意味で、所定の周波数の(高周波の)出力エネルギーと(高電圧の)振幅とを生成することができる制御されたインバータでもあり得る。生成されたエネルギーは、通例、出力エネルギーラインを介して電気外科用器具の接続部に送られる。
【0014】
装備及び/又は機能の点で異なる電気外科用発電機は、異なるタイプの発電機とみなされる。これは特に、電気外科用器具の接続部(これらの接続部は専門用語では「ソケット」とも呼ばれる)の種類と数の点で発電機タイプが異なること、及び/又は動作の種類若しくは切断の種類(専門用語では「モード」とも呼ばれる)の点で異なり得ることを意味する。更に、発電機は、例えば出力エネルギーを生成するためのインバータの点で異なる場合があり、インバータは、特に、これらによって出力される電力と、更に(高)電圧生成の種類の点で異なり得る。これは、発電機タイプが、物理的にもその電力に関しても様々な大きさであり得ることを意味する。
【0015】
通例、モジュールはそれ自体でそれぞれ1つの物理的ユニットを形成する。これは、モジュールが個々に取り扱い可能な(単一部品型又は複数部品型の)体を形成することと理解され、したがって、この体を容易に取り扱うこと、及び組み付けることができる。これに対して、モジュールがそれを必要としないため、モジュールは通例、固有のハウジングを有していないが、それはモジュールが電気外科用発電機の固有のハウジング内に設置され、このハウジングによって保護されるからである。モジュール上又はモジュールに設けられた遮蔽されるべき領域は、それとは区別する必要があり、これらの領域は、通例、高周波コンポーネントがそうであるようにボックスのように設計されていてもよい相応の遮蔽体を用いて形成することができる。したがって、有利には、ハウジングもモジュール式に形成され、様々なサイズ(小型、中型、大型など)で提供され、したがって(特殊な)個別モジュールと同様に扱うことができるということを企図することができる。
【0016】
一般的な用語「モジュール」は、個別モジュールと基本モジュール(又は、複数の基本モジュールがある場合はこれらも)の両方を指す。
【0017】
有利には、基本モジュール、或いは複数の基本モジュールが設けられている場合には、基本モジュールのうちの少なくとも1つは、通信ユニットの他に電源分配ユニットを有する分配モジュールとして設計されている。この基本モジュールは、モジュールの動作に必要な電力をそれぞれの接続されたモジュールに分配するように、及びそれに対応して通信ユニットを介して他のモジュールと通信するように設計されている。しかしながら、基本モジュールは必ずしも分配モジュールとして設計される必要はなく、他の及び/又は追加の基本モジュールを追加的又は代替的に提供することもできる。これは、例えば、表示制御モジュール、内部分配モジュール、及び/又は外部への通信のための外部通信モジュールであり得る。
【0018】
個別モジュールの場合、有利には、機能的に異なり、したがって個別モジュールの種類を形成する、複数の異なる個別モジュールが設けられている。個々のモジュールの種類の例は、電気外科用発電機の電源、出力エネルギー(高電圧)を生成するためのインバータ、接続部(「ソケット」、したがってソケットモジュールとも呼ばれる)、特に電気外科用器具のプラグ接続部、及び/又は、通例、前側に配置され、たいていはディスプレイを含むオペレータモジュールを有するフロントパネルモジュールである。
【0019】
個別モジュールの種類(例えば、個別モジュールの種類「インバータ」)の範囲内で、殊に機能的に異なる様々な変種を設けることができる。その違いは、追加機能、及び/又はより大型若しくはより強力な設計と寸法にある。個別モジュールの種類「インバータ」の場合、選択的に、インバータの基本バージョンの他に、例えば複雑な曲線形状(「モード」)又は追加の選択可能な曲線形状による追加の種類の高電圧生成を行う、或いはより高い高電圧を有するか、場合いによっては単により多くの出力エネルギーを生成する高度なインバータが設けられることを企図することができる。電力供給に関する個別モジュールの種類にも同じことが当てはまり、この種類のモジュールの範囲内で、より小さい電力又はより大きい電力の変種を設けることができ、これらには、インバータ又は電気外科用発電機の他のモジュールに供給するために、例えば固定電圧又は可変電圧が送出される。
【0020】
合目的的には、個別モジュールが個別に交換可能であることが企図されている。これは、個別モジュールを用いて更なる構成を容易に作成できるため、個別モジュールを用いたモジュール方式の重要な利点である。したがって、製造業者は、少ない手間で様々な要求及び適用分野に適合させた多くの異なる構成を作成できる。
【0021】
殊に、追加の機能性を有する少なくとも1つの任意モジュールが更に設けられている。この任意モジュールは自由選択的に付加でき、すなわち付加されてもよいし、されなくてもよい。殊に、この任意モジュールは、組み付けられた状態において、電源及び他のモジュールとの通信接続が確立されるように設計されている。このようにして、任意の追加機能をモジュールとして本発明によるモジュールシステムに組み込むことができる。その一例は、特に、外科用超音波器具のための超音波発生器を有するモジュール、又は希ガスを供給するためのモジュール、例えばアルゴンモジュールである。
【0022】
合目的的には、モジュール式発電機システムは、複数の異なる型式の発電機タイプを含み、これらの複数の異なる型式の発電機タイプに対して、別の型式の個別モジュールとは異なる固有の個別モジュールが設けられている。このようにして、個別モジュールによって、様々な型式間の差別化を行うこともできる。このことは、複雑さに応じてクラス分けされた型式を設けることも可能にする。特定数の個別モジュールを有する単純な型式を設けることができ、かつ追加の個別モジュールや追加の種類の個別モジュールを設ける、若しくは組み付けることができるハイレベルな型式を設けることもできる。このようにして、複雑さを不必要に増大させることなく、本発明による発電機システムの製品ラインを細分化することが可能になる。更に、これにより、もう一方の側でモジュールシステムの豊かな多様性を断念することなしに、コスト効率の高いエントリーレベルシリーズを提供することも可能になる。この場合、基本モジュールを全型式に使用できる場合が特に有利である。それにより、中心的かつ決定的に重要なところで規格統一が実現され、それにより堅固な基礎が築かれ、次いで、それを基礎として個別モジュールにより差別化を図ることができる。
【0023】
ここで再び基本モジュールの態様を参照すると、殊に、基本モジュール又は基本モジュールのうちの少なくとも1つは、他のモジュールのための電源分配ユニット及び/又は出力接続のための少なくとも1つのモジュールのためのコネクタを有することが企図されている。このようにして、モジュールに目的にかなった電源を提供することができ、その際、追加的にコネクタにより、出力接続部モジュールのための収容可能性も提供されている。確かに、コネクタが1つだけ設けられていれば基本的に十分ではあるが、その場合、基本モジュールは、出力接続部のモジュールが1つだけの発電機タイプに限定されることになる。したがって、基本モジュールが複数のコネクタを有することにより、出力接続部モジュールのための収容場所が複数でき、そのことが複数の出力接続部を有する変種も、厳密には同じ基本モジュールを用いて可能にする。1つ又は複数のコネクタは、殊に、それぞれ1つの差込場所若しくは複数の差込場所として設計されている。合目的的には、コネクタに通信ネットワーク、電源網、及び殊に出力エネルギーラインのための各接続部を有することが企図されている。これにより、コネクタに接続された個別モジュールの、厳密には、電気エネルギーの供給に関して、及びデータ通信のための、及び電気信号への接続のための他のモジュールとの通信網への結合に関して、完全な供給と結合が達成される。インバータにより特に高電圧として生成される出力エネルギーもコネクタに印加される場合が好ましい。当然のことながら、発電機の動作安全性とユーザにとって危険な、出力エネルギーのために必要な(時には高い)出力電圧の不都合なフラッシュオーバを回避するため、及び出力電圧の高周波に基づく妨害的な干渉を最小化するために、このような出力エネルギーラインは通信ネットワーク及び電源から空間的に遠ざけて、かつ電気的に絶縁して行われる。
【0024】
有利には、モジュールがそれぞれ固有の通信ユニットを有し、通信ユニットが組み付けられた状態において、他のモジュールの通信ユニットとのモジュール間通信のための、殊に自己構成する通信ネットワークを形成することが企図されている。モジュール間通信とは、モジュール間、すなわちあるモジュールから別のモジュールへの通信と理解される。インターフェースユニットによって、モジュールが他のモジュールとの独立した通信のための装備と能力を得ることが確保されている。モジュールは、このようにして形成された通信ネットワークを介して通信の大部分を独立して実行でき、それにより基本モジュールには各モジュールとの通信及びモジュール間の通信全体を提供及び実行する負荷が必ずしもかからない。特に、モジュール間の直接通信が可能であり、そのことが基本モジュールの負荷を相応に軽減する。基本モジュールも通信ネットワークに参加する場合が極めて合目的的である。有利には、基本モジュールが通信ネットワークに参加するだけでなく、通信の主要タスクを引き受け、その意味でマスタとして機能し得ることさえ企図することができる。有利には、通信ネットワークは、自己構成するように設計されている。これは、通信ネットワークが、通信ネットワークを形成するために、通信ネットワークへの個々の参加者の構成を行うか、若しくは通信ネットワークにおける通信を監視及び制御するマスタの存在を必ずしも必要としないことを意味する。
【0025】
合目的的には、少なくとも個別モジュールに関しては、通信ユニット及び電源に関して、他のモジュールに向けた外部への統一的なインターフェースを有することが企図されている。したがって、個別モジュールは外部へ、すなわち他のモジュールに向けて、インターフェースに関して同じである。これにより、機能が同一でない別の個別モジュールとの交換が容易になる。なぜなら、この別の個別モジュールは、種類が違うにもかかわらず、外部への、すなわち他のモジュールに向けて同じインターフェースを有するからである。ただし、以下で説明するように、通信インターフェースは、その速度の点で異なり得る。
【0026】
有利には、通信ネットワークは、より高速なネットワークと別個のより低速なネットワークとを含むように設計されている。高速通信ネットワークには、殊に基本モジュール及び電気外科用発電機の動作のために重要なすべての個別モジュールが接続される。殊に、より高速なデータネットワークは、リアルタイム対応のデータネットワークとして設計されている。より低速なネットワークには、殊に、電気外科用発電機の動作のために、又はタイムクリティカルでない少ないデータトラフィックのみを必要とする、重要でないか、若しくはあまり重要でないモジュールが配置されている。より低速のデータネットワークは、サブユニットをモジュールに接続するため、若しくは空間的に分離された2つ以上のユニットに分割されたモジュールの場合には、モジュール同士の通信にも適している。より高速なデータネットワークがCANネットワークとして設計されている場合が合目的的である。これは、リアルタイム性のある高レベルの通信を可能にする。より低速のデータネットワークを(より低速の)CANネットワークとして設計することもできる。
【0027】
オプションで基本モジュールには任意的に拡張ユニットを設けることができる。この拡張ユニットは、合目的的には追加のコネクタを有する。これにより、特に電気外科用発電機に追加の出力接続部モジュールを装備できるようにするため、追加のコネクタに追加のモジュールを収容するために必要な前提を提供することができる。これは、特に、単極ソケット、双極ソケット、ユニバーサルソケット、及び場合によってはいわゆる中性ソケットなどの多数の出力接続部が設けられた、より価値の高い装備の発電機タイプに有利である。特にソケットの場合、場合によっては(たいていは高い)出力エネルギーのための電圧も基本モジュールを介して直接供給でき、したがって追加の手間、若しくは電気外科用発電機における絶縁が困難な配線がないため、拡張ユニットを有する基本モジュールの利点が効果を発揮する。殊に、このために、拡張ユニットは、基本モジュールと全く同様に、出力エネルギーのための高電圧を送るように形成された出力エネルギーラインを有する。
【0028】
既に述べたように、基本モジュールは様々に設計することができる。ディスプレイ制御モジュールとしての基本モジュールの実施形態は、有利にはディスプレイ表示とディスプレイ制御モジュールとの分離がそれによって可能にされるという考えに基づいている。したがって、表示制御モジュールを基本モジュールとして設計できる一方で、装備に応じてより小さいか、又はより大きいディスプレイを表示器として組み込むことができる。ユーザに向いた外部には差別化が達成される一方で、技術面では、ディスプレイを制御するために使用される基本モジュールとしてのモジュール(ディスプレイ制御モジュール)が同一であり、そのことが構造と、通信ネットワーク及び構成への結合とを簡素化する。
【0029】
本発明は更に、機能に関して異なる少なくとも2つ発電機タイプの電気外科用発電機を備えたモジュール式電気外科用発電機システムも対象とし、発電機タイプがそれぞれ、電気外科用器具に給電するように形成されており、かつ電気外科用器具を接続するための少なくとも1つの出力接続部に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部と、電力供給部によって給電されるインバータとを含む複数の発電機コンポーネントから構成されており、本発明によれば、モジュール式発電機システムは、(i)複数の異なるインバータモジュールであって、そこから1つがそれぞれの発電機タイプのために選択され組み付けられる、複数の異なるインバータモジュールと、(ii)複数の異なる出力接続部であって、複数の異なる出力接続部のうちの少なくとも1つが選択されてフロントパネルに機械的に収容され、かつ組み付けられたインバータに電気的に接続されている、複数の異なる出力接続部とを備え、各電気外科用発電機がモジュール検出器を有し、モジュール検出器は、組み付けられ接続されたモジュールを認識するように形成されており、そこから、現実に存在するモジュール構成が検知される。この場合、フロントパネルを同様にモジュール(フロントパネルモジュール)として設計することができるがこれは必須ではない。
【0030】
本発明のこの態様は、少なくとも異なるインバータモジュール及び異なる出力接続部が属する複数の異なるモジュールが存在し、それぞれ少なくとも1つが選択され、相応に組み付けられるという考えに基づいている。更に、特に上述したように、他のモジュールを基本モジュール及び/又は個別モジュールとして設けることができる。このようにして、電気外科用発電機へのモジュールの非常に多様な組み付け若しくは装着が可能にされている。しかし、電気外科用発電機の動作のために決定的に重要なのは、現在のモジュール装備(モジュール構成)に関して明確であるということである。この目的で、組み付けられた、及び接続されたモジュールを認識するように形成され、そこから現実に存在するモジュール構成を検知するモジュール検出器が設けられている。これは合目的には自動的に行われる。これにより、組み付け時には、顧客の特定の要求に応じて、又は製造業者の型式要求に基づいて、基本的に自由にモジュールから選択でき、モジュール検出器は、使用開始時若しくは動作中に、どのモジュールが実際に存在するのか、及びモジュールを電気外科用発電機の動作のためにどの構成で利用できるのかを検出する。これにより、セルフコントロールとセルフモニタリングが行われる。
【0031】
当然のことながら、モジュール認識は、電子認識のための対応する手段を有する連携モジュールとの関係でしか機能しない。例えばハウジングなど、そのような電子手段を持たない受動部品は検出できず、その必要もない。
【0032】
更に、これを有利には自己構成のために利用できる。このために、モジュールは、検知された現実に存在するモジュール装備に応じてそれぞれのモジュールを構成するように形成されている固有の自己構成ユニットを有する。現実に存在するモジュール装備とは、実際に物理的に存在するモジュールと理解される一方で、モジュールがそれぞれアクティブ化される範囲とも理解される。後者は、ハードウェアの点では同一又は類似しているが、異なるファームウェアが存在するか、若しくはファームウェアが異なる程度でアクティブ化されるモジュールでは、様々な機能性(通常、1つの小さな機能セットと1つの大きな機能セット)を可能にするため、及び的確に呼び出すことができるようにするために特に重要である。自己構成ユニットはこれを検知し、それに対応してモジュールの構成を自動的に設定する。これにより、モジュールの構成が実際に存在し、アクティブ化されたモジュール装備と常に一致するか、若しくはそれに合致することが達成される。これにより、誤構成のリスクとそれによって生じる動作障害、或いは装置の損傷又は患者への危害のリスクが最小限に抑えられる。
【0033】
モジュール検出器は、合目的的には、それぞれの電気外科用発電機の中央ユニットとして便設計されている。これには、モジュール装備に関する情報が中央局で検知され、そこで呼び出すことができるという利点がある。これにより、個々のモジュールを構成する際に不整合が発生するリスクが防がれる。有利には、モジュール検出器は、基本モジュール又は基本モジュールのうちの1つに配置される。ただし、これは必須ではない。
【0034】
しかしながら、モジュール検出器が、厳密には、殊にそれぞれのモジュールに分散させて設計されることも企図することもできる。これは、個々のモジュールがそれぞれ、どのモジュール環境で使用されるのかを自分自身で決定でき、モジュールのそれぞれの構成がこの情報に基づいて決定されることを意味する。
【0035】
有利には、現実に存在するモジュール構成に応じて許可された機能を検知するように、及びそれに対応するイネーブル信号をモジュールに伝送するように形成されているイネーブルユニットが更に設けられている。このようにして、個々のモジュールの機能性及び/又は機能性の範囲を、現実に存在するモジュール構成に応じて決定及び設定することができる。これにより、各モジュールがそれぞれの電気外科用発電機とそこに組み付けられたモジュールに適合するように構成されることが確保されている。これにより、従来の構成方法では通例は発生する可能性のあった誤構成のリスクが効果的に防止される。
【0036】
この場合、イネーブルユニットを、モジュールの相応の有効化を中央で引き受ける中央ユニットとして設計することができる。しかしながら、イネーブルユニットがそれぞれのモジュールに分散させて設計されていることも可能である。利点と欠点は、モジュール検出器の中央設計若しくは分散設計に関して既に述べたものに相当する。
【0037】
合目的的には、個々のモジュールは、組み付けられた状態において、モジュールの通信接続及び電源が自動的に確立されるように形成されることが企図されている。このようにして、モジュールの本来の組み付け以外には、通信接続若しくは電源の確立に関するモジュールの独立した動作は必要でない。このことは、モジュールの使用と動作開始若しくは初期構成を簡素化する。自動の実行により、手動介入によって発生する可能性のあるエラーの原因が事実上排除される。
【0038】
通信接続は、たいていの場合、データネットワークであり、殊にモジュールの動作に関するイネーブル信号のために追加の信号接続が設けられる。モジュールが、通信接続に向けて殊に独立して構成されることにより、このようにしてデータネットワークへのモジュールの参加、したがって基本モジュール及び/又は個別モジュールなどの他のモジュールとのデータ交換は、何も行わなくても自動的に確保されている。これは構成を簡素化し、エラーの原因となるリスクを軽減する。イネーブル信号により、特定のモジュールがアクティブであるか、若しくはアクティブ化されるか、したがって、そもそも関与するかどうかを更に制御することができる。このことは、特定のモジュール又はモジュールの機能性が許可されるか、若しくは許可されないかにより機能装備の簡単な差別化を可能にする。したがって、追加の更なるモジュールを必要とせずに、モジュールシステムを細かさ(Granularitaet)に関してより細かくすることができる。更に、それに属さない、又は欠陥があると認識されたモジュールは有効化されず、したがって電気外科用発電機の動作に関与しないことにより安全面が追加される。
【0039】
有利には、モジュールはそれぞれ、固有の制御プログラムを含む固有のプロセッサユニットをそれぞれのモジュールのための独立した局所的な動作制御部として有し、モジュールが、発電機内部の電源網及び通信ネットワークに接続されている。固有のプロセッサ及び制御プログラムを有し、その意味でモジュールは自律的であり、例えば中央ユニットなどのモジュール外部の制御部を必要としない。モジュールがこれを自身で自律的に処理することにより、データトラフィックが削減され、処理速度が向上する。更に、このようにして、モジュール若しくはモジュールの複雑さに応じて、適切なプロセッサを設けることができ、それによりプロセッサの能力がそれぞれのモジュールの要求に常に適合させられる。
【0040】
少なくとも高電圧発生モジュール及び/又は任意的な超音波モジュールは、追加の高周波出力接続部を有する。この特別な出力エネルギー(高電圧若しくは超音波)のための追加の接続部を有することで、対応するモジュールも出力に関して自律的である。これにより、この特別な出力エネルギーの接続経路が短縮され、場合によっては他のモジュールから遠ざけられる。更に、これらのモジュールは、厳密には、出力接続部が既に他のところで使われているものも含め、既存の電気外科用発電機を追加装備するのにも適している。
【0041】
更に、合目的的には、複数の異なる電源モジュールが設けられ、そこから1つがそれぞれの発電機タイプのために選択され組み付けられる。このようにして、既に述べたインバータモジュールと同様に、それぞれの電気外科用発電機の機器のサイズ及び装備範囲に適合した電力供給部を簡単に選択して提供することができる。モジュールコンセプトに電力供給部を含めることによって、モジュール化の範囲の大幅な拡大が達成される。
【0042】
場合によっては独立した保護に値する特に合目的的な実施形態では、現実に存在するモジュール構成を一意の、かつ固定的に格納されたモジュール構成の目標装備特徴と比較するように、及び異なる場合には、殊に動作停止を操作するエラー信号を出力するように形成されている安全ユニットが設けられている。固定的に格納された目標装備特徴は、通例は製造業者自身によって決定され、固定的に格納されるデータセットである。このデータセットは、製造業者により意図されるモジュールの構成を表す。後から、動作開始時、若しくは顧客のもとで電気外科用発電機の安全ユニットの通常動作の範囲で現実に存在するモジュール構成が使用され(これは通例、モジュール検出器により決定される)、格納された目標装備特徴と比較される。現実に存在するモジュール構成が目標装備特徴によるものと一致する場合、動作が許可される。一致しない場合は、電気外科用発電機若しくはそのモジュールの1つに欠陥があるか、又はモジュール若しくはその構成が操作されたかのいずれかであり、その場合、エラー信号が出力され、その結果、安全のために電気外科用発電機の動作が有利にもブロックされる。場合によっては、ブロックは部分的にのみ行われ、その意味で基本動作を引き続き行うことができる。
【0043】
有利には、更に、アップグレードユニットが設けられており、アップグレードユニットは、外部から、安全な通信接続を介して制御可能であり、かつ格納された目標装備識別特徴に認められた変更を施すため、及び/又は追加の機能を有効化するために、安全ユニット、及びモジュールの自己構成ユニットと協働する。このようにして、承認された方法でモジュール構成に関して適合を行うことができ、更に、追加の機能を有効化するができる。これは、電気外科用発電機の製造後でも追加のモジュールを結合すること、及び利用すること、若しくは既存のモジュールの機能性を場合によっては拡張することを可能にする。安全な通信接続は、安全なリモートアクセスであり得る。これにより、モジュール構成の適合も、例えば電気外科用発電機の製造業者によって遠隔で行うことができることが達成される。これは、例えばモジュールのファームウェアのアップデートの範囲で、又はアップグレードの範囲で行うことができ、それにより追加の機能が許可され、及び/又は追加で組み込まれたモジュールが有効化される。
【0044】
本発明は、有利な実施形態をもとに添付の図面を参照しながら以下に例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】電気外科用器具が接続された例示的な実施形態による電気外科用発電機の概略図を示す。
図2図1による電気外科用発電機のブロック図を示す。
図3】基本モジュールの例を用いた他の機能ユニットの概略図を示す。
図4】(a)~(c)は、異なるハウジングにおけるモジュールの配置の概略図を示す。
図5】(a)~(c)は、異なるハウジングにおけるモジュールの配置の異なる例示的な実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に、本発明の一実施形態による電気外科用発電機が示される。全体が参照番号1で示される電気外科用発電機は、電気外科用器具99のための出力接続部19を具備するハウジング12を備え、図示の例示的な実施形態では、これは電気メスである。これは、高電圧接続ケーブル98の接続プラグ90を介して電気外科用発電機1の出力接続部19に接続されている。
【0047】
電気外科用発電機1が電源網接続ケーブル11を具備しており、それを介して電気外科用発電機を公共電力網に接続し、そこから給電することができる。給電のために他の電源、例えば主にDC電圧源を有する車両又は他の環境において使用される12V又は48VのDC電圧供給源も電気外科用発電機1に使用できることに言及しておく。電源網接続ケーブル11(又はDC電圧源などの他の種類の電源)が電力供給部モジュール31に付設され、電力供給部モジュールは、そこから電気外科用発電機1のコンポーネント及びモジュールの動作に必要な電圧を提供し、電源網5を介して個々のモジュールに分配する。更に、インバータ34は、電気外科用器具99に送出される出力エネルギー(高電圧)を生成するために電力供給(モジュール)31により給電される。
【0048】
インバータ34は、電力(供給)ジュール31により供給されるエネルギーから出力エネルギーとして高周波交流電圧を生成する。この電圧は、通例は高電圧範囲であるが、数10V~4000Vの範囲の振幅を有することができる。出力エネルギーを生成するためのインバータ34の形態の種類は、例えばシングルエンドコンバータ又は狭い意味でのインバータなど、既知のコンセプトのうちのそれ自体任意のものという限りで自由である。重要なのは、インバータが、高周波及び同様に高電圧に関して、電気外科用器具99に必要な出力エネルギーを生成することである。生成されたこの出力エネルギーは、出力エネルギーライン9により分配モジュール20を介して、電気外科用器具99を接続するための出力接続部19に送られる。
【0049】
動作形式を設定し、特定の機能を表示するためにディスプレイ制御モジュール26が設けられており、このディスプレイ制御モジュールは、操作ボタンを有するユーザインターフェースと共に図に象徴的に示されており、ユーザは、このユーザインターフェースを介して電気外科用発電機1をユーザの希望に応じて設定できる。インターフェースは、ディスプレイモジュール36として形成されたディスプレイと協働する。
【0050】
その点では、設けられるコンポーネント及びこれらのコンポーネントの機能は基本的に既知である。本発明の独自性は、特に、電気外科用発電機のコンポーネントがモジュール方式で形成されているということである。これについては図2を参照されたい。そこには様々なモジュールの例が示されており、装備及び機能の点で異なる発電機タイプの電気外科用発電機1を作成するためにこれらのモジュールから選択することができる。下の列に基本モジュール2が示され、これらの基本モジュールのうちの少なくとも1つが存在する必要があり、基本モジュールは、通例はある型式の様々な電気外科用発電機1に対して同一である。
【0051】
基本モジュール2には、特に分配モジュール20が属し、この分配モジュールは、電源分配ユニット25と通信ユニット40を有し、動作に必要な電力を他のモジュールに分配し、それに対応して、通信ユニット40及び通信ユニットに接続された通信ネットワーク4を介して他のモジュールと通信する。多くの場合、分配モジュール20の形態の単一の基本モジュール2が設けられているならば十分である。しかしながら、これは必須ではなく、特に複雑な、殊に他の型式の発電機1に別の基本モジュール2を具備することを企図することもできる。更なる基本モジュールは、特に、ディスプレイ制御モジュール26、又は通信のために設けられた後ろ側モジュール27、又は同様に通信するように設定された前側モジュール23であり得る。任意的に、分配モジュール20に拡張ユニット29を設けることもでき、電気外科用発電機1の追加的モジュールのための更なる接続場所を提供するために、この拡張ユニットを分配モジュール20と連結しさえすればよい。このようにして、非常に広範囲な装備と多数の個別モジュール3を有する発電機タイプも、同じ基本モジュール2を使用して構築することができる。
【0052】
図2の上の列には、通例は電気外科用発電機1を動作させるために同様に必要とされるが選択できる個別モジュールが示される。このようにして、様々に異なる個別モジュール3を選択することによって、装備と機能に関して異なる様々な発電機タイプを作成できる。個別モジュールには、特に、電力供給部モジュール31及びインバータ34の他に、フロントパネルモジュール32、接続ソケット19のための少なくとも1つの接続モジュール35、及びディスプレイモジュール36が属する。
【0053】
基本モジュール2及び個別モジュール3はそれぞれ通信ユニット40を具備する。通信ユニットを介してそれぞれのモジュールが通信ネットワーク4に機能的に接続されている。通信ネットワーク4は、CANネットワークとして設計されており、厳密には高速ネットワークと低速ネットワークに2分化されている。
【0054】
ここで再び図1を参照すると、分配モジュール20が基本モジュール2として示されている。基本モジュールは、任意的なベースプレート21上に電源分配ユニット25と通信ユニット40を備えている。更に、分配モジュール20には、基本モジュール2と個別モジュール3を接続するための接続プラグ54、55が設けられている。
【0055】
電力供給部モジュール31は、供給プラグ51を介して接続されている。この供給プラグを介して、電力供給部モジュール31により提供される電力が分配モジュール20に送られ、次いで、分配モジュールは、電源分配ユニット25を介して基本モジュール2及び個別モジュール3に電力を転送する。
【0056】
インバータ34は、それ自体知られているように、電力供給(モジュール)31により供給される電力から交流電圧を生成し、交流電圧は出力エネルギーとして外科用器具99に向けて送出される。このために、インバータ34により送出される、通例は高電圧である交流電圧が、高電圧ライン接続58を介して分配モジュール20、厳密にはそこに配置された高電圧接続部59に向けて送られる。高電圧接続部59から、分配モジュール20に組み込まれた出力エネルギーライン9を介して高電圧が印加される。高電圧は、とりわけ、分配モジュール20における複数のコネクタ22に送られ、その場合、収容場所として設計されたコネクタ22に電気外科用器具99のための接続モジュール35をそれぞれ収容できる。
【0057】
すなわち、このようにして、少なくとも1つ、及び任意的に複数の接続モジュール35に、すなわち単にこれらの接続モジュール35がそれぞれのコネクタ22に挿入されることにより、インバータ34によって生成された高電圧を供給することができる。例えば、別の発電機タイプの電気外科用発電機1が追加の出力接続部19’を有する場合、そのために単に追加の接続モジュール35を設けさえすればよく、この追加のモジュールは単にコネクタ22の1つに挿入され、次いで自動的に、厳密にはインバータ34により生成された高電圧も供給される。このようにして、複数の異なる接続部19を有する複雑な電気外科用発電機1もモジュール式で簡単に、すなわち、対応する数又は異なる接続モジュール35が、設けられたコネクタ22のうちの1つ又は複数に差し込まれることにより実現することができる。
【0058】
当然のことながら、コネクタ22も、電源分配ユニット25及び通信ユニット40に接続され、それに対応して供給される(図1には図示せず)。
【0059】
したがって、接続モジュール35を含めた、接続される様々な種類の個別モジュール3に関連した、通常の電源、データ通信接続、及び出力エネルギーとしての高電圧の三重の電源が形成される。後者は、上述の例示的な実施形態では、分配モジュール20に直接挿入され、次いで、出力エネルギーライン9で高電圧として送られる出力エネルギーに直接接続され、かつ電源分配ユニット25及び通信ユニット40に接続される。残りの個別モジュール3は、通例はケーブル接続を介して電源分配ユニット25及び通信ユニット40に接続される。このために、これらは通信ネットワーク4を介して通信ユニット40に、若しくは接続プラグ55を介して分配モジュール20の電源分配ユニット25に接続されている。これは、特に個別モジュール3の空間的配置の点で高い柔軟性を保証し、とりわけこれは様々なサイズのハウジング12、したがって様々な取付位置若しくは距離に関して有利である。
【0060】
電気外科用発電機1は、モジュール検出器6を更に有する。このモジュール検出器は、電気外科用発電機1に組み付けられ接続されたモジュール及びそれらの構成を検知するように形成されている。モジュール検出器6をそれぞれのモジュール2、3に分散させて配置することができる。しかしながら、示される例示的な実施形態では、モジュール検出器6は中央に、厳密には基本モジュール2の分配モジュール20に配置されている。モジュール検出器6は、(図1には図示されない)ラインを介して電源網5及び通信ネットワーク4に接続されている。モジュール検出器6は自動化されている。モジュール検出器6は、通信ネットワーク4を介して電気外科用発電機1の様々なモジュール2、3と通信する。その場合、モジュール検出器6は、どのモジュール2、3が組み付けられ、アクティブであるかを検知する。したがって、モジュール検出器6は、どのモジュール2、3が実際に存在するか、及びこれらのモジュール2、3がどのように構成されているのかを特定する。このようにして、モジュール検出器6は、電気外科用発電機1のモジュール装備を認識する。これを、例えば電気外科用発電機1の実際装備を識別するために利用することができる。
【0061】
モジュール検出器6は、更に、モジュール2、3における自己構成ユニット61と協働する。このために、モジュール2、3はそれぞれ自己構成ユニット61を有する。自己構成ユニット61によって、それぞれのモジュール2、3は自動的に、厳密にはそれぞれ検知された実際装備、すなわち電気外科用発電機1の現実に存在するモジュール装備に応じて構成できる。例えば、電気外科器具99のための高電圧を生成するインバータのモジュール34は、出力接続部19及びその出力モジュール35の種類に応じて構成され得る。出力エネルギー又は出力電圧の出力の種類、特にその曲線形状、したがってインバータ34の「モード」を、供給される出力接続部19及びその接続モジュール35に応じて自動的に構成することができる。インバータ34に給電する電力供給部31のモジュールもまた、上述したように、インバータ34の設定された構成に応じてこのモジュールの固有の自己構成ユニット61により出力される電圧若しくはエネルギーに関して構成される。このようにして、電気外科用発電機1のモジュール2、3の事実上完全な自己構成を達成することができる。自己構成ユニット61を分散させて配置することで、これは、モジュール2、3が交換されるか、又は新しい個別モジュール3が付加される場合にも可能である。
【0062】
更に、イネーブルユニット7が設けられている。イネーブルユニットは、図示の例示的な実施形態では、中央に、厳密には分配モジュール20に配置されている。イネーブルユニット7は、(例えば、モジュール検出器6によって特定される)現実に存在するモジュール構成に応じて許可される機能を検知するように、及びそれに対応するイネーブル信号をモジュール2、3に伝送するように形成されている。このようにして、個々のモジュール2、3の機能性を全体としてアクティブ化若しくはブロックすることができ、及び/又は個々のモジュールのそれぞれの機能性の範囲を、厳密には現実に存在するモジュール構成に応じて決定及び設定することができる。このために、イネーブルユニット7は、対応するイネーブル信号を通信ネットワーク4を介してモジュール2、3に伝送する。これにより、それぞれの電気外科用発電機1及びそこに組み込まれたモジュール2、3の構成に適合するモジュール2、3若しくはその機能性のみが有効化及びアクティブ化されることが確保されている。
【0063】
次に、モジュール2、3に配置することができる他の機能ユニットを概略的に示す図3を参照されたい。これは、図3の基本モジュール2を用いて例示的に説明され、これは個別モジュール3にも当てはまる。基本モジュール2は、固有のプログラムを具備するプロセッサユニット80を更に備えている。制御プログラムは記憶装置81に格納されている。したがって、基本モジュール2は、基本モジュール2と同様に、発電機内部電源網5及び通信ネットワーク4に接続される独立した局所的な動作制御部を有する。これは、同様に装備されている個別モジュール3にも当てはまる。固有プロセッサユニット80及び格納された制御プログラムを有し、その意味でモジュール2、3は自律的であり、外部制御を必要としない(「外部」という用語は、「それぞれのモジュールの外部」という意味で、それぞれのモジュールとの関係である)。
【0064】
更に、モジュール2、3の1つ(中央)又は複数(分散)に局所的に配置できる更なる機能ユニットを設けることができる。図3において、これが基本モジュール2を用いて例示的に示され、個別のモジュール3についても同じことが当てはまる。したがって、モジュール構成に関して安全ユニット82が更に設けられている。安全ユニット82は、例えばモジュール検出器6により検知される現実に存在するモジュール構成を目標装備特徴83と比較するように形成されている。目標装備特徴83は、製造業者により設けられたモジュール2、3の構成のためのデータセットである。使用開始時、若しくはユーザのもとで通常動作の範囲で、安全ユニット82は、特にモジュール検出器6により検知された現実に存在するモジュール構成を格納された目標装備特徴83と比較する。それらが一致する場合、電気外科用発電機1の構成に問題がなく、意図したとおりに動作を行うことができる。しかし、不一致がある場合、モジュール2、3のいずれかに欠陥があるか、又はモジュール2、3の少なくとも1つの誤構成が存在する。対応するエラー信号が、好ましくはデータ通信ネットワーク4を介して出力され、ユーザにディスプレイ36上に表示され、その結果、安全のために電気外科用発電機1の動作がブロックされる。不一致に応じて、このブロックを完全又は部分的とすることができ、それにより場合によっては特定の機能がブロックされ、電気外科用発電機1を関係しない機能若しくは基本機能で引き続き動作させることができる。これらすべては安全ユニット82によって自動的に行われる。
【0065】
更に、安全な通信接続85と協働するアップグレードユニット84を設けることができる。アップグレードユニットは、通信接続を介して外界と通信することができ、特に、権限が与えられた外部の機関(例えば製造業者)によって制御され得る。アップグレードユニットは、目標装備特徴83を場合によっては権限が与えられた変更を施すために安全ユニット82及び記憶装置81と協働する。このようにして、追加の機能を有効化するか、又は後から組み付けられた他の追加のモジュール3を電気外科用発電機1の動作について許可することができ、電気外科用発電機に結合することができる。
【0066】
図4(a)~図4(c)において、様々な発電機タイプがそれぞれの機能ブロックと共に示されている。図4(a)に示される発電機タイプは、基本形態である。この基本形態は、分配モジュール20、ディスプレイ制御モジュール26、前側モジュール23を基本モジュール2として含む。更に、電力供給部のモジュール31、インバータのモジュール34、後ろ側モジュール27、及びフロントパネルに配置されるディスプレイモジュール36が個別モジュール3として設けられている。フロントパネルには電気外科器具99のための出力接続部19が更に配置されている(図1を参照)。図4(b)には、より強力な電力供給部モジュール31’、より大型でより強力なインバータのモジュール34’、及び第2の出力接続部19’の点で図4(a)により示されるものとは実質的に異なる別の発電機タイプが示されている。2つの出力接続部19、19’については、これらの出力接続部のそれぞれの出力モジュール35(図4には図示せず)を収容するために、分配モジュール20に拡張ユニット29が追加され、それによりコネクタ22(図4には図示せず)を有する少なくとも1つの追加の収容場所が提供される。このための十分な空間を提供するために、より大きなハウジング12’が設けられている。中央に空き空間が残っていることが認識され、モジュールコンセプトであることで、この空き空間を場合によっては選択的に個別モジュール3又は任意的モジュール14(それぞれ図4(b)には図示せず)の他の装備のために利用できる。図4(c)にもまた別の発電機タイプが示されている。これは、超音波モジュール38の形態の追加の個別モジュール3が設けられているという点で、図4(b)に示されるものとは実質的に異なる。このモジュールにも十分な電力を供給するために、電力供給部の別のモジュール、すなわち増幅電力供給部31”が設けられている。
【0067】
図5(a)~図5(c)には、3つのそれぞれ異なる型式の発電機タイプI、II、及びIIIが斜視図で示されている。これらは、異なるハウジングにおけるモジュールの配置を示すために用いられる。図5(a)に示される第1の型式Iは、基本形態である。やや小さいハウジング12において、一方の側に電力供給のモジュール31が配置され、他方の側に個別モジュール3としてインバータモジュール34が配置され、それらの間に基本モジュール2として分配モジュール20が配置されている。前側には、ディスプレイモジュール36を備えたモジュール式に設計されたフロントパネルが配置されている。ディスプレイモジュール36の後ろ側にはディスプレイ制御モジュール26が配置されている(図5(a)~図5(c)には見えない、図4(a)~図4(c)を参照)。ハウジング12の後壁には、外部コンポーネントを接続するための後ろ側モジュール27が設けられている。分配モジュール20には接続モジュール35が差し込まれており、接続モジュールは、インバータにより生成された出力エネルギーを出力接続部19を介して出力する。
【0068】
図5(b)には中間の型式IIが示されている。この型式は、型式Iと比較して、別のインバータの個別モジュール、すなわちより強力なインバータ34’を有する個別モジュールを有する。更に、ディスプレイ制御モジュール26により制御されるより大きなディスプレイモジュール36’が設けられている。これらはすべて、比較的大きいハウジング12’を前提とする。基本モジュール2には追加的に更なる接続モジュール35が差し込まれ、この接続モジュールは、更なる出力接続部19’を介して出力エネルギーを出力する。
【0069】
図5(c)には、型式IIと類似であるが、更なる出力接続部19”を有するより高価値の型式IIIが示される。このために、基本モジュール2の拡張ユニット29に差し込まれる更なる接続モジュール35が設けられている。更に、任意的モジュール14として超音波モジュール38が設けられており、この超音波モジュールは、電力供給部のモジュール31’とインバータモジュール34’との間の空き空間に配置されている。この超音波モジュールは、ケーブル接続(図示せず)を介して通信ネットワーク4及び電力供給網5に接続されている。これらはすべて、大型ハウジング12”を前提とする。このハウジングの後ろ側には、超音波エネルギーを出力するために追加のHF出力接続部39が設けられ、このHF出力接続部には超音波エネルギーを出力するために超音波モジュール38が接続される。
【0070】
これらの例から認識されるように、少ないモジュール2、3とわずかな変更とで多数の異なる発電機タイプと型式を作成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装備及び/又は機能の点で異なる少なくとも2つの発電機タイプの電気外科用発電機(1)を備えたモジュール式発電機システムであって、前記発電機タイプはそれぞれ、少なくとも1つの電気外科用器具(99)に給電するように形成されており、かつ前記電気外科用器具(99)を接続するための少なくとも1つの出力接続部(19)に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部(31)と、前記電力供給部(31)によって給電されるインバータ(34)とを含む複数の発電機コンポーネントから構成されている、モジュール式発電機システムにおいて、
前記発電機タイプがそれぞれ、複数のモジュールを用いてモジュール方式で設計されており、複数の前記モジュールが、
-モジュール間通信のための少なくとも1つの通信ユニット(40)を含む、様々に異なる発電機タイプに統一的な少なくとも1つの基本モジュール(2)と、
-発電機タイプに応じて異なる少なくとも1つの個別モジュール(3)とを含み、前記1つ又は複数の個別モジュール(3)は、少なくとも前記電力供給部(31)のモジュールとして、及び/又は前記インバータ(34)のモジュールとして、及び/又は前記出力接続部(19)のための少なくとも1つのモジュール(35)として設計されており、
前記少なくとも1つの基本モジュール(2)は、前記様々に異なる発電機タイプに対して同じに形成されており、前記様々に異なる発電機タイプは個別モジュール装備の点で異なる、モジュール式発電機システム。
【請求項2】
ディスプレイ制御モジュール(26)、内部分配モジュール(20)、及び/又は外部への通信のための外部通信モジュール(23)が基本モジュール(2)として設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項3】
機能的に異なる、したがって個別モジュールの種類を形成する複数の異なる個別モジュール(3)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項4】
少なくとも1種類の個別モジュール(3)内に異なった変種(3’、3”)、特に異なるサイズの電力供給部及び/又はインバータが設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項5】
電力供給部(31)、インバータ(34)、接続部(35)、特に電気外科用器具(99)のためのプラグ接続部、及び/又はフロントパネル(23)のための、特に表示器及び/又はディスプレイ(36)を含めた個別モジュール(3)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項6】
個別モジュール(3)が個々に交換可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項7】
追加の機能性を有し、自由選択的に付加できる少なくとも1つの任意モジュール(14)が更に設けられており、殊に組み付けられた状態において、電源及び他のモジュール(2、3)との通信接続が自動的に確立されることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項8】
前記モジュール式発電機システムが複数の異なる型式(I、II、III)の発電機タイプを含み、前記複数の異なる型式の発電機タイプに対して、別の型式の個別モジュールとは異なるそれぞれ固有の個別モジュール(3)が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項9】
前記基本モジュール(2)は、全型式に使用可能であることを特徴とする、請求項8に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項10】
前記基本モジュール(2)のうちの少なくとも1つは、別のモジュール(2、3)のための電源分配ユニット及び/又は前記出力接続部(19)のための前記少なくとも1つのモジュール(35)のためのコネクタ(22)を有することを特徴とする、請求項2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項11】
前記コネクタ(22)に、通信ネットワーク(4)、電源網(5)及び/又は、殊に出力エネルギーライン(9)のための接続部を有することを特徴とする、請求項10に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項12】
前記モジュール(2、3)は、それぞれ固有の通信ユニット(40)を有し、前記固有の通信ユニットは、組み付けられた状態において、別のモジュール(2、3)の前記通信ユニットと共に、モジュール間通信のための、殊に自己構成する通信ネットワーク(4)を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項13】
少なくとも前記個別モジュール(3)が、通信ユニット(40)及び電源に関して、他のモジュール(2、3)に向けて外部への統一的なインターフェースを有することを特徴とする、請求項12に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項14】
前記基本モジュール(2)のために、殊に前記基本モジュール(2)のように前記出力エネルギーのための高電圧を送る任意的な拡張ユニット(29)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項15】
機能に関して異なる少なくとも2つ発電機タイプの電気外科用発電機(1)を備えたモジュール式発電機システムであって、
前記発電機タイプがそれぞれ、
電気外科用器具(99)に給電するように形成されており、かつ前記電気外科用器具(99)を接続するための少なくとも1つの出力接続部(19)に送られる出力エネルギーを生成するために、電力供給部(31)と、前記電力供給部(31)によって給電されるインバータとを含む複数の発電機コンポーネントから構成されている、モジュール式発電機システムにおいて、
前記モジュール式発電機システムは、
・複数の異なるインバータモジュール(34、34’)であって、そこから1つがそれぞれの前記発電機タイプのために選択され組み付けられる、複数の異なるインバータモジュールと、
・複数の異なる出力接続部(19)であって、前記複数の異なる出力接続部のうちの少なくとも1つが選択されてフロントパネルに機械的に収容され、かつ組み付けられた前記インバータモジュール(34)に電気的に接続されている、複数の異なる出力接続部と、を備え、
各電気外科用発電機(1)がモジュール検出器(6)を有し、前記モジュール検出器は、組み付けられ接続されたモジュール(2、3)を認識するように形成されており、そこから、現実に存在するモジュール構成が検知されることを特徴とするモジュール式発電機システム。
【請求項16】
前記モジュール(2、3)が固有の自己構成ユニット(61)を有し、前記自己構成ユニットは、前記検知された現実に存在するモジュール装備に応じてそれぞれの前記モジュール(2、3)を構成するように形成されていることを特徴とする、請求項15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項17】
前記モジュール検出器(6)は、それぞれの前記電気外科用発電機のための中央ユニットとして設計されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項18】
前記モジュール検出器は、それぞれの前記モジュール(2、3)に分散させて設計されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項19】
前記現実に存在するモジュール構成に応じて許可された機能を検知するように、及びそれに対応するイネーブル信号を前記モジュール(2、3)に伝送するように形成されているイネーブルユニット(7)が更に設けられていることを特徴とする、請求項15または16に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項20】
前記イネーブルユニット(7)は、それぞれの前記電気外科用発電機(1)のための中央ユニットとして設計されていることを特徴とする、先行する請求項19に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項21】
前記イネーブルユニットは、それぞれの前記モジュール(2、3)に分散させて設計されていることを特徴とする、請求項19に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項22】
前記モジュール(2、3)は、組み付けられた状態において、前記モジュール(2、3)の通信接続及び電源が自動的に確立されるように形成されていることを特徴とする、請求項1または15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項23】
前記通信接続が通信ネットワーク(4)であり、殊に、前記モジュール(2、3)の動作に関する許可信号のために、追加の信号接続が設けられていることを特徴とする、請求項22に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項24】
前記モジュール(2、3)はそれぞれ、固有の制御プログラムを含む固有のプロセッサユニット(80)をそれぞれの前記モジュール(2、3)のための独立した局所的な動作制御部として有し、前記モジュールが、発電機内部の電源網(5)及び通信ネットワーク(4)に接続されていることを特徴とする、請求項1または15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項25】
少なくとも前記インバータモジュール(34)及び/又は任意的な超音波モジュール(38)が追加の高周波出力接続部を有する(39)ことを特徴とする、請求項24に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項26】
複数の異なる電力供給部モジュール(31、31’、31”)が更に設けられ、そこから1つがそれぞれの前記発電機タイプのために選択され組み付けられることを特徴とする、請求項1または15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項27】
現実に存在するモジュール構成を一意の、かつ固定的に格納された前記モジュール構成の目標装備特徴(83)と比較するように、及び異なる場合には、殊に動作ブロックを操作するエラー信号を出力するように形成されている安全ユニット(82)が設けられていることを特徴とする、請求項1または15に記載のモジュール式発電機システム。
【請求項28】
アップグレードユニット(84)が設けられており、前記アップグレードユニットは、外部から、安全な通信接続(85)を介して制御可能であり、かつ前記格納された目標装備識別特徴(83)に認められた変更を施すため、及び/又は追加の機能を有効化するために、前記安全ユニット(82)、及び前記モジュール(2、3)の自己構成ユニット(61)と協働することを特徴とする、請求項27に記載のモジュール式発電機システム。
【外国語明細書】