(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091607
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】照射システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240627BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20240627BHJP
A61N 5/02 20060101ALI20240627BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20240627BHJP
A61N 7/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61N5/067
A61N5/06 Z
A61N5/06 B
A61N5/06 A
A61N5/02
A61N5/10 M
A61N7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217163
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2022207232
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006091
【氏名又は名称】Meiji Seikaファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】吉原 雅也
(72)【発明者】
【氏名】山下 正明
(72)【発明者】
【氏名】金川 達彦
【テーマコード(参考)】
4C082
4C160
【Fターム(参考)】
4C082AC02
4C082AC03
4C082AE01
4C082AJ01
4C082MA01
4C082MC03
4C082MJ04
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082RA02
4C082RC09
4C082RE17
4C082RE23
4C082RL02
4C160JJ22
4C160MM32
(57)【要約】
【課題】新規な照射システムを提供すること。
【解決手段】レーザ光照射システム(100)は、レーザ光源(10)、照射ユニット(12)、および、自在アーム(2)を備え、照射ユニット(12)は、自在アーム(2)に対して可動に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射種を発生させる照射種源、
前記照射種を患部に照射する照射ユニット、および、
一方の端部が接続部材を介して前記照射ユニットと接続されている自在アームを備え、
前記照射ユニットは、前記自在アームに対して可動に接続されている、
ことを特徴とする照射システム。
【請求項2】
前記接続部材は、雲台構造を有し、
当該雲台構造は、前記照射ユニットの3以上の軸周りにおける角度を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の照射システム。
【請求項3】
前記接続部材は、さらにXYステージを有し、
前記雲台構造は、前記XYステージを介して前記照射ユニットと接続され、
前記XYステージは、前記照射ユニットの直交する2軸における位置を調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載の照射システム。
【請求項4】
前記接続部材には、前記照射種の照射位置近傍を撮像する撮像装置が接続されており、
前記雲台構造は、前記照射ユニットおよび前記撮像装置の前記角度を一体的に調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載の照射システム。
【請求項5】
前記照射種の照射位置近傍を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像を表示する表示装置と、をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の照射システム。
【請求項6】
前記自在アームには、前記一方の端部を水平方向および鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構が備えられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の照射システム。
【請求項7】
前記自在アームの他方の端部は、カート、ガートル、天井および手術台の少なくとも一つに固定される、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を患部に照射するレーザ治療法の一態様である光線力学的療法(Photodynamic therapy:以下、「PDT」と記載する)は、光感受性物質が蓄積されたがん細胞に対して、該光感受性物質特有の励起波長のレーザ光を照射することでがん細胞を死滅させる治療法である。
【0003】
PDTにおいてレーザ光を照射する装置としては、特許文献1に記載されているような手術用顕微鏡の鏡筒部にレーザ光照射部を取り付けて使用するレーザ光照射装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように手術用顕微鏡にレーザ光照射部を取り付けた場合、種々の問題が生じる。例えば、手術の度にレーザ光照射部の着脱作業が生じ、煩雑である。また、レーザ光の照射範囲は、手術用顕微鏡の可動範囲によって限定される。また、レーザ光の照射範囲を、顕微鏡の視野と独立して調整することができないという制約もある。さらに、手術用顕微鏡を常に患者に向ける必要があるため、術者の作業範囲が限定されるという問題も存在する。
【0006】
特に、原発性悪性脳腫瘍等に対するPDTにおいては、広がりを有するレーザ光を一定のエネルギー密度で患部に照射する必要があるため、レーザ光照射部は、当該レーザ光照射部とレーザ光が照射される照射位置との距離が予め定められた距離に位置する状態でレーザ光を照射する必要がある。そのため、レーザ光照射部の位置決めを厳密に行う必要があるが、手術用顕微鏡を細かく位置調整することは困難である。
【0007】
一方で、近年は、大規模な手術用顕微鏡ではなく、CCD等の撮像素子を内蔵したカメラユニット部を用い、映像をモニタ上で確認する外視鏡が用いられる場合もある。しかしながら、このようなカメラユニット部は小型化されており、レーザ光照射部を取り付けることが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上述した問題の少なくとも一つを改善した新規な照射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る照射システムは、照射種を発生させる照射種源、前記照射種を患部に照射する照射ユニット、および、一方の端部が接続部材を介して前記照射ユニットと接続されている自在アームを備え、前記照射ユニットは、前記自在アームに対して可動に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、新規な照射システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】レーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの水平方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図3】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの水平方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図4】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの鉛直方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図5】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの鉛直方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図6】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの構造の一例を示す三面図である。
【
図7】レーザ光照射システムが備えている接続部材の構造の一例を示す模式図である。
【
図8】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第1の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図9】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第1の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図10】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第2の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図11】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第2の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図12】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第3の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図13】レーザ光照射システムが備えている照射ユニットの第3の軸周りにおける角度調整の一例を示す模式図である。
【
図14】レーザ光照射システムの一使用例を示す模式図である。
【
図15】レーザ光照射システムの一変形例を示す模式図である。
【
図16】レーザ光照射システムの変形例における一操作例を示す模式図である。
【
図17】レーザ光照射システムの変形例における一操作例を示す模式図である。
【
図18】レーザ光照射システムの変形例における一使用例を示す模式図である。
【
図19】レーザ光照射システムの一変形例を示す模式図である。
【
図20】レーザ光照射システムが備えているXYステージの構造の一例を示す平面図および側面図である。
【
図21】レーザ光照射システムが備えているXYステージのX軸方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図22】レーザ光照射システムが備えているXYステージのY軸方向における位置調整の一例を示す模式図である。
【
図23】実施形態2に係るレーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図24】実施形態3に係るレーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図25】実施形態4に係るレーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図26】レーザ光照射システムの一実施例における被照射部モデルを示す模式図である。
【
図27】レーザ光照射システムの一実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図22を参照しながら詳細に説明する。以下では、本実施形態に係る照射システムの一例として、照射種としてレーザ光を用いるレーザ光照射システムについて説明するが、本実施形態はこれに限定されない。本明細書において、照射種とは、照射治療のために患部に照射されるものを意味しており、照射治療のために患部に照射されるものであれば、電磁波(光を含む)であってもよいし、音波(超音波を含む)であってもよい。例えば、これらに限定されないが、照射種は、レーザ光、γ線/X線等の放射線、紫外線/可視光線/赤外線等の光線、マイクロ波等の電波を含む電磁波、超音波、音波等であり得る。換言すれば、以下に説明するレーザ光照射システムにおいて、レーザ光に代えてγ線/X線等の放射線、紫外線/可視光線/赤外線等の光線、マイクロ波等の電波を含む電磁波、超音波、音波等を照射種として用いるようにした照射システムも本実施形態の範疇である。
【0013】
(レーザ光照射システム100の概要)
本開示の一実施形態に係るレーザ光照射システム(照射システム)100は、対象者W1の患部にレーザ光を照射する治療の一態様であるPDTにおいて使用されるレーザ光照射システムである。なお、レーザ光照射システム100は、がん細胞に集積している光に反応する抗体と光感受性物質との複合体に対してレーザ光を照射する光免疫療法においても、その他のレーザ光を生体に照射して治療する治療においても使用することができる。
【0014】
本明細書において、「対象者」とは、典型的には、手術台等に臥床する患者であり、レーザ光照射システムによる治療を受ける者である。「手術者」とは、対象者に対して治療を実施する者であり、典型的には、医療関係者(例えば、医師)である。
【0015】
本明細書において、「レーザ光」とは、がん細胞に蓄積されている光感受性物質を励起させ得るエネルギー密度を有していればよく、典型的には指向性や収束性の高い単一波長光であるが、例えば、可視光、赤外線、紫外線などであってもよい。レーザ光は、その指向性等も含め、がん細胞に蓄積されている光感受性物質に適していれば任意に選択することができる。また、エネルギーが光である場合には、光源は発光ダイオード(LED)などの半導体も選択しうる。
【0016】
従来のレーザ光照射装置は、手術用顕微鏡の鏡筒部に取り付けられて使用されるため、レーザ光の照射可能範囲が手術用顕微鏡の可動域により制限される、また、手術用顕微鏡は大型であるため、手術者W2および手術補助者の作業範囲が限られる、手術用顕微鏡によってはレーザ光照射部が取り付け困難、という問題点が生じていた。
【0017】
これに対して、レーザ光照射システム100は、レーザ光を照射する照射ユニット12を自在アーム2に取り付ける構成を採用することで、手術用顕微鏡に取り付けることなく使用することができるレーザ光照射システムを実現する。また、照射ユニット12と自在アーム2とを接続する接続部材4の構成を工夫することで、従来のレーザ光照射装置と比較して照射ユニット12の可動範囲およびレーザ光の照射範囲の拡大という効果を奏するレーザ光照射システムを実現する。
【0018】
(レーザ光照射システム100の構成)
レーザ光照射システム100の概略構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、レーザ光照射システムの構成の一例を示す概念図である。
【0019】
図1に示すように、レーザ光照射システム100は、レーザ光照射装置(照射装置)1、自在アーム2、カート3、および撮像装置5を備えている。
【0020】
[レーザ光照射装置1]
レーザ光照射装置1は、レーザ光源(照射種源)10、ケーブル11、および照射ユニット12からなる。
【0021】
レーザ光源10は、レーザ光を発生させる。一例として、レーザ光源10は、PDTにおいて使用される光感受性物質特有の励起波長のレーザ光を発生させる。光感受性物質の具体例としては、タラポルフィンナトリウムが挙げられる。この場合、レーザ光源10は、664nmのレーザ光を発生させる。
【0022】
ケーブル11は、レーザ光を伝送する。一例として、ケーブル11は、レーザ光源10と照射ユニット12とを接続するケーブルであり、レーザ光源10において発生されたレーザ光(例えば、664nmのレーザ光)を照射ユニット12に導光する。ケーブル11の具体例としては、光ファイバが挙げられる。なお、本実施形態においては、光ファイバと電気ケーブルとからなるケーブルをケーブル11として採用した。これにより、レーザ光源10の操作による照射ユニット12の制御が可能になる。
【0023】
照射ユニット12は、レーザ光を照射する。一例として、照射ユニット12は、レーザ光源10が発生させ、ケーブル11により伝送されたレーザ光を対象者W1の患部に照射する。また、照射ユニット12は、接続部材4(
図1では図示せず)を介して自在アーム2の一方の端部201に接続されている。照射ユニット12および接続部材4の詳細については、図面を代えて後述する。
【0024】
[自在アーム2]
自在アーム2は、一方の端部201を水平方向および鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構を備えている。一例として、一方の端部201には、照射ユニット12が接続され、当該照射ユニット12を水平方向および鉛直方向における任意の位置で保持固定する。
【0025】
本実施形態において、自在アーム2は、照射ユニット12を任意の位置で保持固定出来ればよく、任意の位置で保持固定する機構は、限定されない。本実施形態においては、自在アーム2は、1または複数の関節を有し、当該関節が自在アーム2の屈曲具合を調整し、かつ、保持する機構を採用している。
【0026】
また、自在アーム2の他方の端部202は、アーム固定部21に固定される。なお、本実施形態においては、アーム固定部21としてカート3に取り付け可能な支柱を採用し、当該支柱にモニタ6を固定しているが、モニタ6の設置場所は限定されず、任意の場所に設置することができる。
【0027】
<自在アーム2における照射ユニット12の位置調整>
自在アーム2の制御による照射ユニット12の位置調整について、
図2~
図5を参照して説明する。
図2および
図3は、照射ユニット12の水平方向における位置調整の一例を示す図であり、
図4および
図5は、照射ユニット12の鉛直方向における位置調整の一例を示す図である。
【0028】
図2および
図3に示すように、自在アーム2は、対象者W1が臥床している手術台に平行な水平方向における照射ユニット12の位置調整をする。また、
図4および
図5に示すように、自在アーム2は臥床している対象者W1と照射ユニット12との距離を増減させる方向である鉛直方向における照射ユニット12の位置調整をする。
【0029】
[カート3]
カート3は、手術器具等を運ぶための可動式の台である。一例として、カート3には、アーム固定部21が取り付けられ、レーザ光源10が載置される。
【0030】
[撮像装置5]
撮像装置5は、画角に含まれる被写体を撮像する。一例として、撮像装置5は、レーザ光の照射位置近傍を撮像する。撮像装置5は、公知のカメラであってもよい。撮像した画像は、手術者W2がリアルタイムで閲覧しながら、レーザ光照射システム100を操作してもよいし、手術の記録画像として保存してもよい。
【0031】
また、レーザ光照射システム100は、撮像装置5が撮像した画像を表示する表示装置を備えていてもよい。例えば、本実施形態では、モニタ6が、撮像装置5が撮像した画像を表示する表示装置となる。
【0032】
(照射ユニット12の構成)
照射ユニット12の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、レーザ光照射システムが備えている照射ユニット12の構成を示す三面図である。具体的には、
図1に示すAの視点から照射ユニット12を見た左側面図、Bの視点から照射ユニット12を見た平面図、およびCの視点(紙面手前から奥行方向の視点)から照射ユニット12を見た正面図である。
【0033】
図6に示すように、照射ユニット12は、貫通孔TH、レーザ光照射部111、およびガイド光照射部112を備えている。
【0034】
貫通孔THは、照射ユニット12の一方の底面から他方の底面まで貫通する貫通孔である。なお、ここで一方の底面とは、2底面のうち対象者W1に近い方の底面とし、他方の底面は、接続部材4および撮像装置5に近い方の底面とする。撮像装置5は、他方の底面から貫通孔THを介してレーザ光およびガイド光の照射位置近傍を撮像する。
【0035】
レーザ光照射部111は、レーザ光を照射する。一例として、レーザ光照射部111は、貫通孔THの円周上に備えられており、レーザ光源10において発生されたレーザ光を対象者W1の患部に照射する。
【0036】
ガイド光照射部112は、ガイド光を照射する。ガイド光はレーザ光照射部111の位置に対応するレーザ光の照射位置を示す。レーザ光を使用する治療において、レーザ光は、安全性および治療効果の面から一定のエネルギー密度で患部に照射される必要がある。すなわち、レーザ光照射部111とレーザ光の照射位置とは、予め定められた所定の距離を保つ必要がある。本実施形態において、ガイド光は、レーザ光照射部111とレーザ光の照射位置との距離を予め定められた距離に調整するために使用される。一例として、ガイド光照射部112は、貫通孔THと外接する2箇所であって、直線距離が直径と一致する2箇所に設けられている。ガイド光照射部112の各々から照射されるガイド光は、レーザ光照射部111とレーザ光の照射位置との距離が所定の値である場合に一点で交わる。よって手術者W2は、ガイド光の各々が対象者W1の患部における所望の位置で交わるように照射ユニット12の位置を調整し、レーザ光を照射する。なお、所定の値は、レーザ光が照射される患部において治療に必要なエネルギー密度に基づいて任意に決定され得る。
【0037】
(接続部材4の構成)
接続部材4の構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、レーザ光照射システムが備えている接続部材4の構成の一例を示す模式図である。
【0038】
図7に示すように、接続部材4は、治具41および雲台42で構成されており、自在アーム2の一方の端部201と、照射ユニット12とを接続している。
【0039】
治具41は、雲台42と照射ユニット12とを接続している。一例として、治具41は、L字型であり、L字型の長辺に雲台42および照射ユニット12が接続されている。また、治具41のL字型の短辺には、ガイド光およびレーザ光の照射位置近傍を撮像する撮像装置5が接続されている。
【0040】
雲台42は、治具41および自在アーム2の一方の端部201と接続されている。雲台42は、自在アーム2の一方の端部201と接続されている可動接続部421と、ボール422と、グリップ423からなる。ボール422とグリップ423とは、グリップ423の動きに対応してボール422が自在に回転するように構成されている。また、可動接続部421とボール422とは、可動に接続されており、ボール422は、可動接続部421に対して自在に回転し、任意の位置で保持することができる。すなわち、治具41を介して雲台42に接続されている照射ユニット12は、自在アーム2に対して可動に接続されている。
【0041】
(照射ユニット12における角度調整)
上述したように、照射ユニット12と自在アーム2とは、雲台42を含む接続部材4によって接続されているため、自在アーム2の一方の端部201の位置を固定した状態で、照射ユニット12を可動することができる。このように、雲台42によって、照射ユニット12の3以上の軸周りにおける角度を調整することができる。当該3以上の軸周りにおける角度の調整の具体例を
図8~
図13を参照して説明する。
【0042】
[第1の軸周りにおける角度調整]
第1の軸周りにおける角度調整の具体例について、
図1、
図8および
図9を参照して説明する。
図8および
図9は、照射ユニット12の第1の軸周りにおける角度調整の一例を示す図である。
【0043】
第1の軸とは、
図1においてAで示す方向(照射ユニット12の左側面から右側面に向かう方向)の軸であり、
図8および
図9において紙面に対して垂直な方向の軸である。第1の軸は、縦軸と呼称してもよい。
【0044】
第1の軸周りにおける角度調整とは、
図8および
図9に示すように、照射ユニット12の向きを、第1の軸を中心に変化させることを指す。第1の軸周りにおける角度は、ロール角と呼称してもよい。
【0045】
[第2の軸周りにおける角度調整]
第2の軸周りにおける角度調整の具体例について、
図1、
図10および
図11を参照して説明する。
図10および
図11は、照射ユニット12の第2の軸周りにおける角度調整の一例を示す図である。
【0046】
第2の軸とは、
図1においてBで示す方向(照射ユニット12から対象者Wに向かう方向)の軸であり、
図10および
図11において紙面に対して垂直な方向の軸である。第2の軸は、垂直軸と呼称してもよい。
【0047】
第2の軸周りにおける角度調整とは、
図10および
図11に示すように、照射ユニット12の向きを、第2の軸を中心に変化させることを指す。第2の軸周りにおける角度は、ヨー角と呼称してもよい。
【0048】
[第3の軸周りにおける角度調整]
第3の軸周りにおける角度調整の具体例について、
図1、
図12および
図13を参照して説明する。
図12および
図13は、照射ユニット12の第3の軸周りにおける角度調整の一例を示す図である。
【0049】
第3の軸とは、
図1においてCで示す方向(紙面に対して垂直な方向)の軸であり、
図12および
図13において紙面に対して垂直な方向の軸である。第3の軸は、横軸と呼称してもよい。
【0050】
第3の軸周りにおける角度調整とは、
図12および
図13に示すように、照射ユニット12の向きを、第3の軸を中心に変化させることを指す。第3の軸周りにおける角度は、ピッチ角と呼称してもよい。
【0051】
また、
図8~
図13に示すように、雲台42は、照射ユニットおよび撮像装置5の、3以上の軸周りにおける角度を一体的に調整してもよい。換言すれば、雲台42は、照射ユニット12および撮像装置5を一体として角度を調整することができる。これにより、撮像装置5は、照射ユニット12の角度が任意の方向に調整された状態において、レーザ光の照射位置近傍を撮像することができる。
【0052】
(レーザ光照射システム100の使用例)
実際の手術においてレーザ光照射システム100を使用する場合の使用例について、
図14を参照して説明する。
図14は、レーザ光照射システム100の一使用例を示す模式図である。
【0053】
図14に示すように、レーザ光照射システム100は、自在アーム2、接続部材4、撮像装置5、および照射ユニット12がドレープ101に覆われている。ドレープ101は、滅菌されており、自在アーム2、接続部材4、撮像装置5、および照射ユニット12等の付着物により、対象者W1が感染症等を引き起こす危険性を低減するために使用する。また、手術中に対象者W1の血液等がレーザ光照射システム100に付着する場合でも、ドレープ101に覆われていれば、ドレープの交換のみで済むため、保守管理が簡易化される。なお、ドレープ101において撮像装置5の視野に対応する箇所は、窓102が設けられている。
【0054】
窓102は、撮像装置5によるレーザ光照射位置の撮像を妨げないために設けられる。よって窓102としては、レーザ光および可視光の波長を透過する光学部材が好適である。なお、窓102の形状および材料は、撮像装置5による撮像を妨げなければ任意に決定してよい。
【0055】
(レーザ光照射システム100の効果)
レーザ光照射システム100によれば、手術用顕微鏡に取り付けることなく使用でき、且つ、操作性が高いレーザ光照射システムを実現することができる。
【0056】
特に、自在アーム2、または、雲台42、または、より好ましくは、自在アーム2および雲台42の組み合わせを用いることにより、照射ユニット12の可動域や照射範囲を拡大することができる。これにより、手術用顕微鏡に取り付けていた場合には照射が困難であった位置や範囲にレーザ光を照射することが可能となり、光線力学的療法の効果を高めることができる。
【0057】
また、レーザ光照射システム100は、大型である手術用顕微鏡を用いることなくPDTを実施することができるため、上述した効果に加えて、手術者W2および手術補助者(例えば、医療関係者等)の作業範囲および移動範囲の自由度が広がるという効果を有する。
【0058】
(レーザ光照射システム100の変形例1)
以下、レーザ光照射システム100の変形例1(以下、「レーザ光照射システム100a」と記載する)について、
図15~
図17を参照して説明する。
図15は、レーザ光照射システム100aの構成の一部を示す模式図である。なお、説明の便宜上、レーザ光照射システム100にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
レーザ光照射システム100aは、
図15に示すように、撮像装置5に代えて撮像装置5aを備えており、撮像装置5aは、接続部材4を介して照射ユニット12と接続されていない点においてレーザ光照射システム100と異なる。本実施形態においては、撮像装置5aとして手術用顕微鏡を使用するが、外視鏡を使用してもよい。また、レーザ光照射システム100aにおいて、撮像装置5aは照射ユニット12と接続されないため、撮像装置5aの種類は限定されず、従来技術では、レーザ光照射部の取り付けが困難であった手術用顕微鏡を撮像装置5aとして使用することも可能である。
【0060】
(レーザ光照射システム100aの操作例)
レーザ光照射システム100aの操作例について、
図16および
図17を参照して説明する。
図16および
図17は、レーザ光照射システム100aの操作例を示す模式図である。
【0061】
上述したように、レーザ光照射システム100aにおいては、撮像装置5aと照射ユニット12とが接続されていない。よって撮像装置5aは、照射ユニット12から独立して自在に移動させることができる。よって、
図16に示すように撮像装置5aの視軸が照射ユニット12の貫通孔THを通過するような位置で操作されてもよいし、
図17に示すように、撮像装置5aの視軸が照射ユニット12の貫通孔THを通過しない位置で操作されてもよい。
【0062】
(レーザ光照射システム100aの使用例)
実際の手術においてレーザ光照射システム100aを使用する場合の使用例について、
図18を参照して説明する。
図18は、レーザ光照射システム100aの一使用例を示す模式図である。
【0063】
レーザ光照射システム100aは、
図18に示すように、撮像装置5aがドレープ101に覆われていない点においてレーザ光照射システム100と異なる。これは、上述のように、照射ユニット12と撮像装置5aとが独立して移動させることができるためである。よって、ドレープ101には、撮像装置5aによる撮像を妨げないために上窓103が新たに設けられる構成を採用している。
【0064】
(レーザ光照射システム100aの効果)
レーザ光照射システム100aによれば、手術用顕微鏡を使用する手術の場合においても、レーザ光照射システム100と同様に、照射ユニット12の可動域や照射範囲を拡大することができるため、手術用顕微鏡に取り付けていた場合には照射が困難であった位置や範囲にレーザ光を照射することが可能となり、光線力学的療法の効果を高めることができる。
【0065】
(レーザ光照射システム100の変形例2)
以下、レーザ光照射システム100の変形例2(以下、「レーザ光照射システム100b」と記載する)について、
図19~
図22を参照して説明する。
図19は、レーザ光照射システム100bの構成の一部を示す模式図である。なお、説明の便宜上、レーザ光照射システム100にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
レーザ光照射システム100bは、接続部材4に代えて接続部材4aを備える点においてレーザ光照射システム100と異なる。接続部材4aは、接続部材4と同様に雲台構造を有し、さらにXYステージ7を有する。ここで、接続部材4aにおける雲台構造は、例えば、治具41および雲台42を備えていてもよい。接続部材4aにおいて、雲台構造は、XYステージ7を介して照射ユニット12と接続されている。
【0067】
(XYステージ7の構成)
XYステージ7の構成について、
図20を参照して説明する。
図20は、接続部材4aが有するXYステージ7の構造の一例を示す平面図および側面図である。具体的には、
図19に示すDの視点からXYステージ7を見た平面図、およびEの視点からXYステージ7を見た側面図である。
【0068】
XYステージ7は、照射ユニットの直交する2軸(すなわち、X軸およびY軸)における位置を調整する。本実施形態において、X軸およびY軸は、XYステージ7と照射ユニット12との接合面内に規定された直交する2軸である。
図20に示すように、XYステージ7では、紙面左右の方向にX軸方向が、紙面上下の方向にY軸方向がそれぞれ設定されている。
【0069】
XYステージ7は、一例として、X送りねじ71、Y送りねじ72、ステージ73、およびステージ74を備えている。X送りねじ71は、ステージ73に対するステージ74のX軸方向の位置調整のために使用されるねじである。Y送りねじ72は、ステージ74に対するステージ73のY軸方向の位置調整のために使用されるねじである。
【0070】
ステージ73とステージ74とは互いに移動可能に接続されている。ステージ73は、ステージ74に対してY軸方向に移動可能である。ステージ74は、ステージ73に対してX軸方向に移動可能である。また、ステージ73は、照射ユニット12とも接続されている。また、ステージ74は、雲台構造とも接続されている。
【0071】
(XYステージ7による照射ユニット12の位置調整)
XYステージ7による照射ユニット12の位置調整の具体例について、
図21および
図22を参照して説明する。
図21は、
図20で示されるXYステージ7のX軸方向における位置調整の一例を示す図であり、
図22は、
図21で示されるXYステージ7のY軸方向における位置調整の一例を示す図である。
【0072】
ステージ74は、一例として、X送りねじ71を回転させるなどの操作を受けて、ステージ73に対してX軸方向に移動する。
【0073】
また、ステージ73は、一例として、Y送りねじ72を回転させるなどの操作を受けて、ステージ74に対してY軸方向に移動する。
【0074】
上述したように、雲台構造とXYステージ7を介して接続された照射ユニット12は、一例として、XYステージ7における、X送りねじ71およびY送りねじ72を介した操作を受けて、雲台構造に対してX軸およびY軸の各方向に移動する。このように、XYステージ7は、照射ユニット12の直交する2軸における位置を調整することができる。
【0075】
例えば、ガイド光照射部112から照射されたガイド光を使用して照射ユニット12の位置を調整するにあたり、自在アーム2と雲台42とを操作して照射ユニット12のおおよその位置を調整し、XYステージ7を操作して照射ユニット12の位置を微調整してもよい。
【0076】
また、例えば、照射ユニット12を用いて第1の箇所にレーザ光を照射したのち、第1の箇所の近傍に位置する第2の箇所に対してレーザ光を照射する際に、自在アーム2及び雲台42の位置を変えることなく、XYステージ7における操作のみで照射ユニット12の位置を調整してもよい。
【0077】
なお、XYステージ7は、上述したように送りねじを手動で操作して位置を調整するものであってもよいが、モータ駆動等により位置を調整するものであってもよい。ここで、XYステージ7における位置調整のために使用されるモータは、ジョイスティック等のコントローラを介して操作してもよい。
【0078】
(レーザ光照射システム100bの効果)
レーザ光照射システム100bによれば、光線力学的療法において、照射ユニット12の位置調整が容易になり、光線力学的療法の治療時間を短縮することができる。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0080】
(レーザ光照射システム100cの構成)
実施形態2に係るレーザ光照射システム100cの構成について、
図23を参照して説明する。
図23は、レーザ光照射システム100cの構成の一例を示す模式図である。
【0081】
図23に示すように、レーザ光照射システム100cは、アーム固定部21に代わりアーム固定部21bを備える点においてレーザ光照射システム100と異なる。一例として、アーム固定部21bは、キャスター等の移動用部品が取り付けられている支柱である。アーム固定部21bの具体例としては、点滴を行う際に薬剤等をいれたバッグを吊り下げるために使用するガートル等が挙げられる。これにより、レーザ光照射システム100cは、アーム固定部21bとカート3とを別々に移動させることができるため、レーザ光照射システム100cの手術室内における配置の自由度が高くなる。
【0082】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0083】
(レーザ光照射システム100dの構成)
実施形態3に係るレーザ光照射システム100dの構成について、
図24を参照して説明する。
図24は、レーザ光照射システム100dの構成の一例を示す模式図である。
【0084】
図24に示すように、レーザ光照射システム100dは、アーム固定部21に代わりアーム固定部21cを備える点においてレーザ光照射システム100と異なる。一例として、アーム固定部21cは、手術室の天井に備え付けられる。すなわち、レーザ光照射システム100dは、自在アーム2が手術室の天井から吊り下げられる。これにより、手術室の床上に配置される機材を減らすことができるため、他の手術機材との干渉を低減することができる。
【0085】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0086】
(レーザ光照射システム100eの構成)
実施形態4に係るレーザ光照射システム100eの構成について、
図25を参照して説明する。
図25は、レーザ光照射システム100eの構成の一例を示す模式図である。
【0087】
図25に示すように、レーザ光照射システム100eは、アーム固定部21に代わりアーム固定部21dを備える点においてレーザ光照射システム100と異なる。一例として、アーム固定部21dは、対象者W1が臥床している手術台に備え付けられる。これにより、レーザ光照射システム100eは、上述のレーザ光照射システム100dと同様に手術室の床上に配置される機材を減らすことができるため、他の手術機材との干渉を低減することができる。
【0088】
〔他の適用例〕
上述したように実施形態1~4ではレーザ光を照射する照射システムについて説明したが、レーザ光以外を照射する照射システムにも本発明を適用可能であることは明らかである。その場合、例えば、レーザ光源10に代えて所定の照射種を発生させる照射種源を用い、ケーブル11が当該照射種を伝送するように構成してもよいし、照射種源は照射ユニット12に設け、ケーブル11を介して電力を照射ユニット12に供給することにより、照射ユニット12において照射種を発生させるように構成してもよい。
【0089】
〔実施例〕
本発明の実施例について、以下に説明する。
【0090】
(レーザ光照射システム100の実施例)
以下、レーザ光照射システム100の一実施例について、
図26および
図27を参照して説明する。
【0091】
レーザ光照射システム100を評価するために、既存の手術用顕微鏡と照射範囲、操作性、安定性等を比較する実験を机上で実施した。
【0092】
原発性悪性脳腫瘍摘出跡を模擬した被照射部モデルを準備した。
図26は、レーザ光照射システム100の当該実施例における被照射部モデルRMを示す模式図である。
図26は、被照射部モデルRMを間口側から見た平面図と、間口面および底面に対して垂直な面における被照射部モデルRMの断面図とを示す。
図26に示すように、被照射部モデルRMは、間口面および底面のいずれもが円形である、凹形のモデルであった。当該実施例においては、被照射部モデルRMについて、間口径d1は6cmに、底面径d2は5cmに、深さhを7cmに、それぞれ設定した。また、
図26に示すように、当該実施例においては、被照射部モデルRM内の9箇所に照射ターゲットRTを配置した。
【0093】
レーザ光照射システム100の当該実施例において、被照射部モデルRM内に配置した照射ターゲットRTに対して、ガイド光を使用したレーザ光照射位置の決定が可能か確認した。
図27は、レーザ光照射システム100の当該実施例を示す模式図である。
【0094】
レーザ光を照射する照射ユニットを、レーザ光照射システム100および手術用顕微鏡のいずれに取り付けた場合においても、調整範囲、操作性については、全ての照射ターゲットRTに対して同水準で、ガイド光を使用したレーザ光照射位置の決定が可能であることを確認した。また、レーザ光を照射する照射ユニットを、レーザ光照射システム100および手術用顕微鏡のいずれに取り付けた場合においても、ガイド光位置の安定性については、レーザ光を照射した3分間において、ガイド光位置が保持されることを確認した。
【0095】
上述したように、当該実施例における机上の実験では、レーザ光照射システム100と手術用顕微鏡との間で、調整範囲、操作性、および安定性はいずれも同水準であった。
【0096】
また、実臨床現場において手術用顕微鏡を使用するときは、主に双眼部を見ながら操作されることから、レーザ光を照射する角度が大きい場合は作業者の体勢に負担がかかっていた。一方、実臨床現場においてレーザ光照射システム100を使用するときは、撮像装置5とモニタ6とを使用しつつ、ガイド光を使用してレーザ光照射位置を決定するため、レーザ光照射位置の決定が容易であり、作業者の負担を低減することができた。
【0097】
〔付記事項〕
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
〔まとめ〕
本実施形態の態様1に係る照射システムは、照射種を発生させる照射種源、前記照射種を患部に照射する照射ユニット、および、一方の端部が接続部材を介して前記照射ユニットと接続されている自在アームを備え、前記照射ユニットは、前記自在アームに対して可動に接続されている。
【0099】
上記の構成によれば、照射システムは、照射種を照射する照射ユニットが自在アームに対して可動に接続されている。これにより、照射システムは、照射範囲および作業範囲の少なくとも一つを改善することができる。
【0100】
本実施形態の態様2に係る照射システムは、上記態様1において、前記接続部材は、雲台構造を有し、当該雲台構造は、前記照射ユニットの3以上の軸周りにおける角度を調整する。
【0101】
上記の構成によれば、照射システムは、照射ユニットの3以上の軸周りにおける角度を調整することができる。これにより、操作性の向上、かつ、照射種の照射範囲が拡大できる。
【0102】
本実施形態の態様3に係る照射システムは、上記態様1において、前記接続部材は、さらにXYステージを有し、前記雲台構造は、前記XYステージを介して前記照射ユニットと接続され、前記XYステージは、前記照射ユニットの直交する2軸における位置を調整する。
【0103】
上記の構成によれば、照射システムは、照射ユニットの直交する2軸における位置を調整することができる。これにより、照射システムの操作性を向上させることができる。
【0104】
本実施形態の態様4に係る照射システムは、上記態様2または3において、前記接続部材には、前記照射種の照射位置近傍を撮像する撮像装置が接続されており、前記雲台構造は、前記照射ユニットおよび前記撮像装置の前記角度を一体的に調整する。
【0105】
上記の構成によれば、照射システムの撮像装置は、照射種の照射位置を常に撮像することができる。
【0106】
本実施形態の態様5に係る照射システムは、上記態様1~4の何れか1つにおいて、前記照射種の照射位置近傍を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像を表示する表示装置と、をさらに備えている。
【0107】
上記の構成によれば、照射システムは、撮像装置5とモニタ6とを使用して、レーザ光照射位置を決定することができる。これにより、作業者の負担を低減させることができる。
【0108】
本実施形態の態様6に係る照射システムは、上記態様1~5の何れか1つにおいて、前記自在アームには、前記一方の端部を水平方向および鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構が備えられている。
【0109】
上記の構成によれば、照射システムの自在アームは、手術者の任意の位置で保持固定することができる。これにより操作性が向上し、照射種を患部に精度良く照射することができる。
【0110】
本実施形態の態様7に係る照射システムは、上記態様1~6の何れか1つにおいて、前記自在アームの他方の端部は、カート、ガートル、天井および手術台の少なくとも一つに固定される。
【0111】
上記の構成によれば、照射システムは、自在アームの他方の端部の固定場所を選択することができる。これにより、病院等の手術室の状況に合わせて固定場所を選択することができる。
【符号の説明】
【0112】
100、100a、100b、100c、100d、100e レーザ光照射システム(照射システム)
1 レーザ光照射装置(照射装置)
10 レーザ光源(照射種源)
11 ケーブル
12 照射ユニット
2 自在アーム
21、21b、21c、21d アーム固定部
3 カート
4、4a 接続部材
41 治具
42 雲台
5 撮像装置
6 モニタ
7 XYステージ