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特開2024-91625無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスセンサおよびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091625
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスセンサおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20240627BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20240627BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20240627BHJP
   H01L 33/30 20100101ALN20240627BHJP
   H01L 27/146 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
H01L33/48
H01S5/323
H01L31/04 500
H01L33/30
H01L27/146 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024059041
(22)【出願日】2024-04-01
(62)【分割の表示】P 2020542832の分割
【原出願日】2019-02-08
(31)【優先権主張番号】62/628,190
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/740,326
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドロ ジェイ. コルテセ
(72)【発明者】
【氏名】アリョーシャ シー. モルナー
(72)【発明者】
【氏名】ポール エル. マキューアン
(72)【発明者】
【氏名】ソンウ リ
(57)【要約】
【課題】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスセンサおよびデバイスの提供。
【解決手段】本特許文献に開示された技術は、感知および識別用途のためのオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを構築し、生体および他の用途における展開のための非テザリングデバイスを提供し、かつこのようなデバイスを商用生産のために作製するための製造技術を提供するために使用され得る。本明細書に開示される特定の実施例によって例示されるように、開示された技術は、光学的に電力が供給されかつ光学的に読み出される無線、無機の細胞スケールのセンサおよび識別システムを可能にする製造方法、基板、およびデバイスを提供するように実装され得る。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張および関連特許出願
本特許文献は、(1)2018年2月8日に出願され、「WIRELESS,OPTICALLY-POWERED OPTOELECTRONIC SENSORS」と題する米国仮特許出願第62/628,190号(代理人整理番号078554-8084.US00)、および(2)2018年10月2日に出願され、「WIRELESS,OPTICALLY-POWERED OPTOELECTRONIC SENSORS」と題する米国仮出願第62/740,326号(代理人整理番号078554-8084.US01)の優先権および利益を主張する。上記の出願の全ては、参照により本特許文献の開示の一部として組み込まれる。
【0002】
本特許文献は、感知技術およびオプトエレクトロニクスデバイス、システムおよび用途に関する。
【背景技術】
【0003】
化学物質または生物物質を感知するためのセンサは、様々な構成で設計され得る。いくつかの設計では、センサは、導電配線を介して電子デバイスまたはプロセッサにテザリングされる電極を含み得る。このような配線は、望ましくない効果を有することがある。例えば、神経活動を監視するためのテザリングインプラントは、脳が動くとニューロンと電極との間の残留運動を引き起こすことがあり、したがって、動物、特にゼブラフィッシュまたはミズバエなどのより小さな生物における末梢神経からの測定能力を制限することがある。これらおよび他の用途には、非テザリングの無線センサが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本特許文献に開示された技術は、感知および識別用途のためのオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを構築し、生体および他の用途における展開のための非テザリングデバイスを提供し、かつこのようなデバイスを商用生産のために作製するための製造技術を提供するために実装され得る。本明細書に開示される特定の例によって例示されるように、開示された技術は、光学的に給電され、光学的に読み出される無線、無機、細胞スケールのシステムを可能にする製造方法、基板、およびデバイスを提供するように実装され得る。
【0005】
一態様では、例えば、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールと、を含むオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができ、センサモジュールは、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構築される。センサモジュールは、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている。このデバイスは、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールを含む。発光モジュールは、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている。
【0006】
別の態様では、例えば、開示された技術は、標的対象物を感知するための方法を提供するように実装することができる。この方法は、センサと物理的接続を有さずに標的対象物にセンサを移植することと、標的対象物に移植されたセンサに照明光を方向付けることであって、センサ内の光起電モジュールにセンサを動作させるための電力を生成させ、これにより、生成された電力が、(1)標的対象物に対して感知動作を実施して、標的対象物の特性を示す電気センサ信号を生成するセンサモジュールと、(2)センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合され、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成するように動作可能である発光モジュールとに電力供給するようになる、方向付けることと、出力光を使用して電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信することと、を含む。
【0007】
別の態様では、例えば、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合された識別モジュールと、を含むオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができ、識別モジュールは、識別情報を示す電気センサ信号を生成するように構成されている。このデバイスは、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、識別モジュールから電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールを含む。発光モジュールは、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている。
【0008】
また別の態様では、例えば、開示された技術は、オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを構築するための方法を提供するように実装することができる。この方法は、半導体基板上に半導体剥離層を形成することと、半導体剥離層上にフォトエレクトロニクス半導体構造体を製造することと、半導体剥離層上に製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体上にポリマー層を形成して、製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を形成されたポリマー層に埋め込むことと、半導体剥離層を除去するエッチング処理を実施して、ポリマー層に埋め込まれたポリマー層および製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を絶縁することと、ポリマー層に埋め込まれたポリマー層および製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を新しい基板に転写することと、を含む。
【0009】
さらに別の態様では、例えば、開示された技術は、基板と、入射光学波長での入射光を電気に変換し、入射光波長とは異なる出力光波長を出力光を放出するために、パターン化された半導体層を含むように基板上に形成されたヘテロ構造体モジュールと、を含むオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができる。センサモジュールは、基板に係合され、かつヘテロ構造体モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、センサモジュールが、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている。このデバイスは、ヘテロ構造体モジュールおよびセンサモジュールに結合された回路であって、ヘテロ構造体モジュールによって生成された電気からヘテロ構造体モジュールに電力を供給して、出力光の放出を引き起こし、かつセンサモジュールから電気センサ信号を受信するように動作可能であり、ヘテロ構造体モジュールが、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、回路をさらに含む。
【0010】
さらに別の態様では、例えば、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成される電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、センサモジュールは、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、センサモジュールと、40ミクロン未満の寸法を有するように基板上にフォトリソグラフィで形成され、かつ光起電モジュールによって生成される電気から電力を受信し、センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールと、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を含むオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができる。
【0011】
さらに別の態様では、開示された技術は、電磁放射線を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、光起電モジュールによって生成された電力を受信するために光起電モジュールに結合され、かつ感知素子および通信素子を含むように構造化されたセンサモジュールであって、感知素子が、標的物質に応答して応答を生成し、通信素子が、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するように構成されている、センサモジュールと、電気を受信するように光起電モジュールに結合され、かつ電気センサ信号を受信し、電気センサ信号を変換して、標的物質の特性を示す電磁放射線を出力するようにセンサモジュールに結合された発光モジュールと、を含む、光無線センサデバイスを提供するように実装することができる。
【0012】
さらに別の態様では、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合された識別モジュールであって、デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成された識別モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、識別モジュールから電気識別信号を受信するように結合された発光モジュールであって、発光モジュールが、電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化された発光モジュールと、を備える、オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができる。
【0013】
さらに別の態様では、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化されたフォトエレクトロニクスモジュールと、基板に係合され、かつフォトエレクトロニクスモジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合された識別モジュールであって、デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成されている、識別モジュールと、を備え、フォトエレクトロニクスモジュールは、識別モジュールから電気識別信号を受信し、電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構成されている。
【0014】
さらに別の態様では、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ入力光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールであって、光起電モジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、光起電モジュールが、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、光起電モジュールから電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールであって、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を備える、オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができる。
【0015】
さらに別の態様では、開示された技術は、基板と、基板に係合され、かつ入力光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように構造化された光電気信号変換モジュールであって、光電気信号変換モジュールが、標的物質に応答して標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成し、光電気信号変換モジュールが、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、光電気信号変換モジュールと、を備える、オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができる。
【0016】
開示された技術の上記および他の態様および実装形態は、図面、説明および特許請求の範囲でより詳細に説明される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ入力光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、前記センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、前記センサモジュールが、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、センサモジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信し、前記センサモジュールから前記電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールであって、前記発光モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を備える、デバイス。
(項目2)
前記発光モジュールを前記光起電モジュールおよび前記センサモジュールに電気的に接続するように構成された1つ以上の電気相互接続部をさらに備え、前記1つ以上の電気相互接続部が、10ミクロン未満の寸法を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスが、1mm未満の体積を有するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合された識別モジュールをさらに備え、前記識別モジュールが、前記デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成されており、前記発光モジュールが、前記電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気識別信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構成されている、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記出力光が、パルス位置変調(PPM)符号化方式を使用して変調される、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記デバイスが、所定の入力光の受信時に、前記電気識別信号を搬送するように変調された前記出力光のみを出力するように構成されている、項目4に記載のデバイス。
(項目7)
前記所定の入力光が、所定の周波数を有する光を含む、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
前記所定の入力光が、所定の一連の光パルスを含む、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
前記センサモジュールが、CMOS回路を含み、
前記発光モジュールが、III-V族またはII-VI族化合物半導体を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記光起電モジュールが、SiもしくはAlGaAs、または他のものを伴う、もしくは伴わないSiおよびAlGaAsの組み合わせを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記センサモジュールが、前記標的物質の温度を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
前記センサモジュールが、前記標的物質中の生物物質もしくは化学物質、または前記標的物質の電気的特性、または他のものを伴う、もしくは伴わない前記標的物質中の前記生物物質、前記標的物質中の前記化学物質、および前記標的物質の前記電気的特性のうちの任意の2つ以上を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
前記感知素子が、感知電極を含み、
前記センサモジュールが、前記感知電極を介して、前記標的物質としての1つ以上のニューロンと相互作用することから、前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目14)
前記センサモジュールが、前記感知素子を介して、前記標的物質としての流体と相互作用することから前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
前記センサモジュールが、前記感知素子を介して、前記標的物質としての組織と相互作用することから前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
前記光起電モジュール、前記センサモジュール、および前記発光モジュールをカプセル化して、前記デバイスが生体対象物に移植されることを可能にする、1つ以上のカプセル化構造体をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目17)
前記基板に係合され、かつ前記デバイスの動作に関連付けられた情報を搬送する入力光通信信号を受信するように動作可能な光受信器をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
前記感知素子が、感知電極もしくは感知抵抗器もしくは感知ナノ構造体、または他のものを伴う、もしくは伴わない感知電極、感知抵抗器、および感知ナノ構造体のうちの任意の2つ以上の組み合わせを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合された識別モジュールであって、前記識別モジュールが、前記デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成されている、識別モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信し、前記識別モジュールから前記電気識別信号を受信するように結合された発光モジュールであって、前記発光モジュールが、前記電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気識別信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を備える、デバイス。
(項目20)
前記発光モジュールを前記光起電モジュールおよび前記識別モジュールに電気的に接続するように構成された1つ以上の電気相互接続部をさらに備え、前記1つ以上の電気相互接続部が、10ミクロン未満の寸法を有する、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
前記オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスが、1mm未満の体積を有する、項目19に記載のデバイス。
(項目22)
前記デバイスが、所定の入力光の受信時に、前記電気識別信号を搬送するように変調された前記光を出力するように構成されている、項目19に記載のデバイス。
(項目23)
前記デバイスが、前記出力光のスペクトルに基づいて識別される、項目19に記載のデバイス。
(項目24)
前記出力光が、パルス位置変調(PPM)符号化方式を使用して変調される、項目19に記載のデバイス。
(項目25)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化されたフォトエレクトロニクスモジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記フォトエレクトロニクスモジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合された識別モジュールであって、前記識別モジュールが、前記デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成されている、識別モジュールと、を備え、
前記フォトエレクトロニクスモジュールが、前記識別モジュールから前記電気識別信号を受信し、前記電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気識別信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構成されている、デバイス。
(項目26)
前記フォトエレクトロニクスモジュールを前記識別モジュールに電気的に接続するように構成された1つ以上の電気相互接続部をさらに備え、前記1つ以上の電気相互接続部が、10ミクロン未満の寸法を有する、項目25に記載のデバイス。
(項目27)
前記オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスが、1mm未満の体積を有する、項目25に記載のデバイス。
(項目28)
前記デバイスが、所定の入力光の受信時に、前記電気識別信号を搬送するように変調された前記光を出力するように構成されている、項目25に記載のデバイス。
(項目29)
前記デバイスが、前記出力光のスペクトルに基づいて識別される、項目25に記載のデバイス。
(項目30)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ入力光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールであって、前記光起電モジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、前記光起電モジュールが、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、光起電モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信し、前記光起電モジュールから前記電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールであって、前記発光モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を備える、デバイス。
(項目31)
前記発光モジュールを前記光起電モジュールに電気的に接続するように構成された1つ以上の電気相互接続部をさらに備え、前記1つ以上の電気相互接続部が、10ミクロン未満の寸法を有する、項目30に記載のデバイス。
(項目32)
前記オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスが、1mm未満の体積を有する、項目30に記載のデバイス。
(項目33)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ入力光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように構造化された光電気信号変換モジュールであって、前記光電気信号変換モジュールが、標的物質に応答して前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成し、前記光電気信号変換モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、光電気信号変換モジュールと、を備える、デバイス。
(項目34)
前記発光モジュールを前記光起電モジュールに電気的に接続するように構成された1つ以上の電気相互接続部をさらに備え、前記1つ以上の電気相互接続部が、10ミクロン未満の寸法を有する、項目33に記載のデバイス。
(項目35)
前記オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスが、1mm未満の体積を有する、項目33に記載のデバイス。
(項目36)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを構築するための方法であって、
第1の半導体基板上に半導体剥離層を形成することと、
前記半導体剥離層上にフォトエレクトロニクス半導体構造体を製造することと、
前記半導体剥離層上の前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造上にポリマー層を形成して、前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を前記形成されたポリマー層に埋め込むことと、
前記ポリマー層および前記ポリマー層に埋め込まれた前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体から前記半導体剥離層を除去するためのエッチング処理を実施し、これにより前記ポリマー層および前記ポリマー層に埋め込まれた前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体が絶縁された集合体になるようにすることと、
前記ポリマー層および前記ポリマー層に埋め込まれた前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を第2の半導体基板に転写することと、を含む、方法。
(項目37)
前記半導体剥離層を除去するための前記エッチング処理を実施する前に、キャリア基板[AJCl]に剥離層を形成して、前記半導体剥離層がエッチングされた後に前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体を一時的に保持することをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体が、近赤外線GaAsレーザ、または赤色AlInP発光ダイオード、またはAlGaAs光起電、または赤外線InPレーザ、またはAlGaAs/GaAs高電子移動度トランジスタ(HEMT)、または他のものを伴う、もしくは伴わない近赤外線GaAsレーザ、赤色AlInP発光ダイオード、AlGaAs光起電、赤外線InPレーザ、およびHEMTのうちの任意の2つ以上の組み合わせを含む、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体が、AlGaAsヘテロ構造体を含み、
前記剥離層が、AlGa1-yAsを含み、式中、yは0~1である、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記第1の半導体基板がGaAsを含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記第2の半導体基板が、前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体の前記転写の前に、回路で製造されたシリコン基板または絶縁体オンシリコン基板を含み、
前記方法が、前記回路を前記製造されたフォトエレクトロニクス半導体構造体に結合して、前記第2の基板上にデバイスを形成することをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目42)
前記第2の基板上に形成された前記デバイスが、
前記新しい基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記新しい基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、前記センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、前記センサモジュールが、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するように構成されている、センサモジュールと、
前記新しい基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信し、前記センサモジュールから前記電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールであって、前記発光モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を含む、項目36に記載の方法。
(項目43)
前記感知素子が、感知電極もしくは感知抵抗器もしくは感知ナノ構造体、または他のものを伴う、もしくは伴わない感知電極、感知抵抗器、および感知ナノ構造体のうちの任意の2つ以上の組み合わせを含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記半導体剥離層を除去するための前記エッチング処理を実施する前に、前記半導体基板を除去するための第1のエッチング処理を実施することを含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
標的対象物を感知するための方法であって、
前記センサへの物理的接続を有することなく、標的対象物にセンサを移植することと、
前記センサ内の光起電モジュールに前記センサを動作させるための電力を生成させるために、前記標的対象物に移植された前記センサに照明光を方向付けることであって、これにより、前記生成された電力が、(1)前記標的対象物に対して感知動作を実施して、前記標的対象物の特性を示す電気センサ信号を生成するセンサモジュールと、(2)前記センサモジュールから前記電気センサ信号を受信するように結合され、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成するように動作可能である発光モジュールとに電力供給するようになる、方向付けることと、
前記出力光を使用して、前記デバイスから前記電気センサ信号を無線でかつ光学的に送信することによって、前記標的対象物の前記特性を示す情報を受信することと、を含む、方法。
(項目46)
前記センサの動作に関連付けられた情報を前記光通信信号を介して前記センサに無線でかつ光学的に送信するために、前記光通信信号を前記センサに方向付けること、を含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記光通信信号の光波長が、前記照明光の光波長とは異なる、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記光通信信号の光波長が、前記発光モジュールによって生成された前記出力光の光波長とは異なる、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記センサモジュールが、ナノスケール材料に対して感知動作を実施するように動作される、項目45に記載の方法。
(項目50)
前記ナノスケール材料が、金属電極、トンネル接合部、カーボンナノチューブ、またはグラフェン構造体を含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記センサによって感知される前記標的対象物の前記特性が、前記標的対象の、またはその中の流体の生物学的特性、化学的特性、温度、または流動特性を含む、項目45に記載の方法。
(項目52)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
入射光学波長での入射光を電気に変換し、前記入射光学波長とは異なる出力光波長を出力光を放出するために、パターン化された半導体層を含むように前記基板上に形成されたヘテロ構造体モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記ヘテロ構造体モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、前記センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、前記センサモジュールが、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、センサモジュールと、
前記ヘテロ構造体モジュールおよび前記センサモジュールに結合された回路であって、前記ヘテロ構造体モジュールによって生成された前記電気から前記ヘテロ構造体モジュールに電力を供給して、前記出力光の放出を引き起こし、かつ前記センサモジュールから前記電気センサ信号を受信するように動作可能であり、前記ヘテロ構造体モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、回路と、を備える、デバイス。
(項目53)
前記ヘテロ構造体モジュールが、前記動作時間の大部分の間に入射光を電気に変換する一方、前記動作時間の小部分の間に出力光を放出するように、前記回路によって制御される、項目52に記載のデバイス。
(項目54)
オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスであって、
基板と、
前記基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールであって、前記センサモジュールが、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されており、前記センサモジュールが、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている、センサモジュールと、
前記基板に係合され、かつ前記光起電モジュールによって生成された前記電気から電力を受信し、前記センサモジュールから前記電気センサ信号を受信するように、10ミクロン未満の寸法を有する電気的な1つ以上の相互接続部を通じて前記光起電モジュールおよび前記センサモジュールに結合された発光モジュールであって、前記発光モジュールが、前記電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、前記電気センサ信号を前記デバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている、発光モジュールと、を備える、デバイス。
(項目55)
前記センサモジュールが、前記標的物質の温度を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目54に記載のデバイス。
(項目56)
前記センサモジュールが、前記標的物質内の生物物質を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目54に記載のデバイス。
(項目57)
前記センサモジュールが、前記標的物質内の化学物質を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目54に記載のデバイス。
(項目58)
前記センサモジュールが、前記標的物質の電気的特性を示す前記電気センサ信号を生成するように構造化されている、項目54に記載のデバイス。
(項目59)
光無線センサデバイスであって、
電磁放射線を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、
前記光起電モジュールによって生成された前記電力を受信するために前記光起電モジュールに結合され、かつ感知素子および通信素子を含むように構造化されたセンサモジュールであって、前記感知素子が、標的物質に応答して応答を生成し、前記通信素子が、前記感知素子からの前記応答に基づいて、前記標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するように構成されている、センサモジュールと、
前記電気を受信するように前記光起電モジュールに結合され、かつ前記電気センサ信号を受信し、前記電気センサ信号を変換して、前記標的物質の前記特性を示す電磁放射線を出力するように前記センサモジュールに結合された発光モジュールと、を備える、光無線センサデバイス。
(項目60)
前記光起電モジュールによって生成される前記電気が、前記センサモジュールおよび前記発光モジュールに電力を供給するために使用される、項目59に記載のデバイス。
(項目61)
前記光起電モジュールによって生成される前記電気が、前記センサモジュールおよび前記発光モジュールを制御するための電気制御信号を生成するために使用される、項目59に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写方法を示す。
図1B】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写方法を示す。
図1C】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写方法を示す。
図1D】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写方法を示す。
図1E】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写方法を示す。
図2A】転写に使用されるAlGaAsヘテロ構造体発光ダイオードの例を示す。
図2B】転写に使用されるAlGaAsヘテロ構造体発光ダイオードの例を示す。
図3】AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写の例示的な平面整列方法を例示する。
図4】AlGaAs発光ダイオードをシリコン基板に転写させ、薄いコンフォーマル酸化物を使用して表面に接着した例を示す。
図5A】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図5B】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図5C】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図5D】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図5E】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図5F】光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的なリソグラフィ集積を示す。
図6】剥離可能なシリコンおよびAlGaAsヘテロ構造体の集積を可能にする基板および例示的な製造を示す。
図7A】同じ基板上に製造されたシリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを含むミクロンスケールの例示的な構成の光学画像および性能を示す。
図7B】同じ基板上に製造されたシリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを含むミクロンスケールの例示的な構成の光学画像および性能を示す。
図7C】同じ基板上に製造されたシリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを含むミクロンスケールの例示的な構成の光学画像および性能を示す。
図7D】同じ基板上に製造されたシリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを含むミクロンスケールの例示的な構成の光学画像および性能を示す。
図8-1】例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図8-2】例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図9A】剥離可能なサブmmデバイスの斜視図を示す例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図9B】剥離可能なサブmmデバイスの斜視図を示す例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図9C】剥離可能なサブmmデバイスの斜視図を示す例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図9D】剥離可能なサブmmデバイスの斜視図を示す例示的な基板および製造方法の概略図を示す。
図10A】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積の例を示す。
図10B】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積の例を示す。
図10C】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積の例を示す。
図10D】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積の例を示す。
図11A】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図11B】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図11C】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図11D】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図11E】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図11F】GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。
図12A】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図12B】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図12C】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図12D】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図12E】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図12F】剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示す。
図13A】例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示す。
図13B】例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示す。
図13C】例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示す。
図13D】例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示す。
図13E】例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示す。
図14-1】集積されたCMOSおよびAlGaAsヘテロ構造体の細胞スケールのセンサのための例示的な代替の剥離方法を示す。
図14-2】集積されたCMOSおよびAlGaAsヘテロ構造体の細胞スケールのセンサのための例示的な代替の剥離方法を示す。
図15A】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積を使用することによって作製されたセンサの例を示す。
図15B】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積を使用することによって作製されたセンサの例を示す。
図15C】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積を使用することによって作製されたセンサの例を示す。
図15D】剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積を使用することによって作製されたセンサの例を示す。
図16A】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16B】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16C】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16D】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16E】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16F】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図16G】無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示す。
図17A】約150μm離間された2つの感知電極間の差動信号を高めて、近傍ニューロンによって生成される電界をサンプリングするアンプのシステムブロック図および概略図を示す。
図17B】約150μm離間された2つの感知電極間の差動信号を高めて、近傍ニューロンによって生成される電界をサンプリングするアンプのシステムブロック図および概略図を示す。
図18A】アンプがパルス位置エンコーダを駆動する一方、10KHzの緩和発振器が周期的なパルスを生成し、コンデンサC1をVDDに充電することを示す。
図18B】アンプがパルス位置エンコーダを駆動する一方、10KHzの緩和発振器が周期的なパルスを生成し、コンデンサC1をVDDに充電することを示す。
図18C】アンプがパルス位置エンコーダを駆動する一方、10KHzの緩和発振器が周期的なパルスを生成し、コンデンサC1をVDDに充電することを示す。
図18D】アンプがパルス位置エンコーダを駆動する一方、10KHzの緩和発振器が周期的なパルスを生成し、コンデンサC1をVDDに充電することを示す。
図19A】光出力パルス(図19A)、および関連する再構築された1KHz波形(図19B)の例示的な測定を示す。
図19B】光出力パルス(図19A)、および関連する再構築された1KHz波形(図19B)の例示的な測定を示す。
図19C】周波数(図19C)および振幅(図19D)の関数としての信号利得を示す。
図19D】周波数(図19C)および振幅(図19D)の関数としての信号利得を示す。
図20A】起動を示し、光学パルス(図20A)および復号信号(図20B)の開始を示す。
図20B】起動を示し、光学パルス(図20A)および復号信号(図20B)の開始を示す。
図20C】ベースライン(図20C)を提供するために商用アンプを通じて並列に測定され、かつ本システムを使用して光学的に給電されて通信する機械的刺激時の、ミミズ腹部神経上の神経記録を示す(図20D)。
図20D】ベースライン(図20C)を提供するために商用アンプを通じて並列に測定され、かつ本システムを使用して光学的に給電されて通信する機械的刺激時の、ミミズ腹部神経上の神経記録を示す(図20D)。
図21】消費電力およびSi領域別の設計の詳細を示す。
図22】開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線集積回路センサの例を示す。
図23】開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線センサデバイスの例を示す。
図24】開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線センサデバイスの例を示す。
図25】開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線識別デバイスの例を示す。
図26】パルス位置変調(PPM)符号化の例を示す。
図27】標的対象物を感知するための例示的な方法を示す。
図28】開示された技術に基づく無線光学識別デバイスの例示的なレイアウトおよび実装形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
感知、作動、および識別のための無線デバイスは、スマートパッケージング、医療センサ、および追跡のためにますます望まれる。無線システムのいくつかの既存の実装形態は、主にRFコイルまたは超音波によって給電され、それと通信する。このような電源に対するサイズスケールの要件は、生産され得るサイズを根本的に制限する。さらに、いくつかの実装形態では、このような無線センサを構築するための技術は、典型的には、ダイシングソーを使用して材料をダイシングすること、材料系を手動でまたは連続的に積層すること、および/またはワイヤ接合もしくはフリップチップ接合を使用して、またははんだマイクロバンプを使用して電気相互接続を確立することを含む。これらの技術は、デバイスのサイズスケールおよび並列生産を制限することがあり、このような技術を使用して、1mmより著しく小さいものなどの小型デバイスを生産することは困難である。
【0019】
本特許文献に開示された技術は、デバイスに電力を供給するために光を電気に変換し、このようなセンサデバイスが無線デバイスを使用して汎用的な感知および識別用途のためにセンサデバイス(例えば、ワイヤまたはケーブル)の外側の任意の物理的接続にリンクされないように、センサ動作から情報を搬送するように変調される出力光を生成するオプトエレクトロニクス回路を有する無線センサまたは/および無線デバイスを構築するために使用され得る。例えば、開示された技術のいくつかの実施形態では、個々の細胞レベルで電気信号および化学信号を監視するための無線方法は、脳内の神経活動のマッピングから神経伝達物質の放出の検出に至るまでの様々なセンサ測定の無線光学出力を提供するために、オプトエレクトロニクス回路を有する無線デバイスの使用を可能にするであろう。例は、光学的に給電され、光学的に読み出され、電気および化学信号を監視することが可能な無線、無機、細胞スケールのセンサシステムを可能にする転写方法、基板、およびデバイスについて開示される。
【0020】
インビボでの活動動物における神経活動を記録することは、いくつかの課題をもたらす。電気技術は、典型的には、電極をワイヤを介して直接、または電極自体よりはるかに大きいRFコイルを介して間接的に外部世界にテザリングすることを必要とする。テザリングされたインプラントは、脳が動くとニューロンと電極の間に残留運動をもたらし、動物、特にゼブラフィッシュまたはミズバエなどのより小さな生物における末梢神経からの測定能力を制限する。一方、ますます強力になりつつある光学技術の様々な実装形態は、それにもかかわらず、しばしば、任意の所与の生物におけるニューロンのサブセットに限定され、励起光および発出される蛍光の散乱によって阻害され、低時間分解能に限定される。本特許文献は、光学技術の多くの利点と電気信号の高い時間分解能の記録とを組み合わせた、微小規模の光インターフェースを介して電力を供給し、通信する非テザリング電極ユニットのためのエレクトロニクスの設計例を開示する。
【0021】
開示された技術のいくつかの実施形態を使用して、AlGaAs系ヘテロ構造体を、以下の固有の機能のうちの1つ以上を有する他の基板に転写および接着することができる。第1に、開示された技術は、AlGaAs材料系ヘテロ構造体をより広範な種類の基板に転写するために使用することができる。シリコン、ガラス、III-V族、金属、可撓性材料(PET、PDMS)などの基板に加えて、開示された技術は、ミクロンスケールの針、光ファイバ、マイクロレンズなどの高曲率の物体を、所望の最終基板に転写するために使用することができる。第2に、メサ構造体が各転写について同じまたは類似の形状およびサイズであることを必要とする様々な他の転写方法とは異なり、AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写の開示された方法は、同じ転写プロセスにおいて、様々なサイズ(例えば、ナノメートルから1ミリメートル)の任意の形状の複数のヘテロ構造体を転写し得る。第3に、マイクロLEDおよび他の光学ヘテロ構造体の転写のための広く使用される方法である転写印刷のいくつかの実装形態とは異なり、本特許文献に開示された技術の下で転写を実装する際に、ピックアップおよび転写のための転写スタンプの剥離速度を調整する必要はない。これらのパラメータの一貫した結果および高収率のための調整は困難であり得る。加えて、1ミクロン未満の厚さの光学ヘテロ構造体、または放物線形状のマイクロLEDなどの非矩形形状の光学ヘテロ構造体を転写することも非常に困難であり得る。AlGaAs系ヘテロ構造体のポリマー支援型転写方法の開示された例は、例えば、900nmほど薄い構造体を含む、薄い構造体におけるそのような光学ヘテロ構造体の転写を可能にし得る。さらに、光学ヘテロ構造体は、コンフォーマル誘電体を使用してシリコンおよび他の基板に接着される。これらの誘電体は、多くの接着剤材料よりも薄くすることができ、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、および他の誘電体は、原子層堆積を使用してナノメートルのスケールおよび精度で堆積することができる。これらの誘電体は、高温(例えば、摂氏数百度)でも安定している。これらの固有の特徴は、多くの半導体プロセスと高温処理規格に対応していない厚いエポキシの特徴と対照的である。
【0022】
開示された技術のいくつかの実施形態は、シリコンエレクトロニクス(MOSFET、光起電、抵抗器、コンデンサ、JFET、BJTなど)と前述の転写されたAlGaAsヘテロ構造体との集積を、剥離可能な無線の細胞スケールのデバイスのためにミクロンスケールで可能にする基板および製造方法を提供するように実装することができる。基板および製造方法は、以下の固有の特徴のうちの1つ以上で実装することができる。まず、PN接合部またはPNP接合部は、光学ヘテロ構造体の転写の前に絶縁体基板上のシリコンのデバイス層内で作製および活性化される。これは、典型的には、標準的なシリコンエレクトロニクス製造方法をAlGaAs系との互換性をなくす熱予算の不適合性を回避する。これにより、高性能、ナノメーターまたはミクロンスケールのシリコンエレクトロニクスが、同じ製造プロセスでAlGaAsヘテロ構造体に整列してパターン化されることも可能になる。第2に、本特許文献に開示された基板および製造方法は、AlGaAsヘテロ構造体をシリコン製造プロセスとは別に最適化することを可能にする。シリコン上で成長したガリウムアセナイドを使用するデバイスの集積プロセスは、別々に最適化されて成長したAlGaAs系ほど効率的ではなく、典型的には、2つの構成要素の性能が損なわれる。さらに、開示された技術に基づく方法は、製造された構造体またはデバイスを剥離するための技術またはプロセスなどの様々な既知の製造技術またはプロセスを使用することによって、解決しにくい製造問題に対する技術的解決策を提供することができる。第3に、III-V族ヘテロ構造体をシリコンCMOSデバイス上に転写して、より優れた性能を有する集積デバイスを作製することは可能であるが、AlGaAs系ヘテロ構造体のポリマー支援型転写は、細胞スケールで剥離可能なデバイスを可能にする様式で行うことができるため、AlGaAs系ヘテロ構造体のポリマー支援型転写の方法は、既存の方法よりも優れている。さらに、本特許文献に開示された様々なセンサおよび/または識別デバイスの設計は、全てのチップに数万個の集積回路(IC)を有するシリコンおよびAlGaAs系を集積する多くの異なる設計を使用して形成されてもよい。
【0023】
開示された技術のいくつかの実施形態は、情報を光学的に受信し、情報を光学的に通信することができる細胞スケールのデバイスのための無線の光学的に動力供給される無機のオプトエレクトロニクスを提供するために実装することができる。開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される光学的に給電されるデバイスは、前述の方法および基板によって可能にされてもよい。光学的に給電されるデバイスは、以下を含む1つ以上の固有の特徴を含むように構造化されてもよい。例えば、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される光学的に給電されるデバイスは、ミクロンスケールの光起電を使用して光学電力を有する無線および無機の細胞スケールのデバイスであり得る。これらのデバイスはまた、マイクロLED(または他の光学ヘテロ構造体)を使用して電気信号を光学読み出し信号に変換する構造であってもよい。さらに、光学的に給電される無線、無機、細胞スケールのデバイスは、符号化光読み出しを使用し、ミクロンスケールの光起電を使用して、非テザリング無線光通信を可能にするように構成することができる。いくつかの実装形態では、開示された技術に基づく光学的に給電される無線、無機のシステムは、特定の用途に適した細胞スケールまたは他の所望のスケールで作製することができる。細胞スケールまたは小型化されたスケールを使用して、生物系のために意図されている場合、組織損傷をほとんど与えずに、デバイスの注入を可能にすることができる。光学的に給電されるデバイスはまた、細胞スケールで作製することができる無線システムを使用して、光学的に信号の高速(kHzよりも大きい)検出を可能にする。この特徴は、他の撮像技術、例えば、細胞のカルシウム撮像とは対照的である。本特許文献に開示された製造方法を使用することによって、互いに固定された相対距離を伴わずに、任意の位置に数千~数百万のデバイスを移植することができる。加えて、通信出力の時間および出力信号の光キャリア波長における信号多重化により、潜在的に多数のセンサおよび/または識別デバイス(例えば、1000を超えるセンサデバイス)を同時に監視することを可能にし、したがって、並列センサ測定および処理を実現する。
【0024】
ミリメートルスケールの非テザリングセンサおよび識別のための開示された技術に基づくいくつかの方法は、例えば、RFコイル電力、オンボード電池、または圧電を使用した超音波電力を含む、好適な電力技術を実装し得る。開示された技術は、細胞スケールでなされる光学的な給電、光学的な読み出しを可能にする方法として、ミクロンスケールの光起電をLEDと集積するために使用され得る。開示された技術のこの態様は、光を使用して外部に電力を供給すること、光を使用してセンサに情報を供給すること、およびデバイスが光を介して情報を通信することなどのいくつかの特徴を可能にする。電磁放射線を使用することによって、膨大な電力をナノスケールまでの非常に小さな体積に集中させることができ、可能な最速での通信を実現することができる。さらに、デバイス、それらの通信、およびそれらの給電は、所望される場合、システムから電気的に切り離すこともできる。
【0025】
開示された技術に基づくセンサおよび/または識別デバイスは、光学的に給電され、光学的に制御され、光学的に読み出される電流源、電圧源、電圧センサ、および電流センサを、同一の剥離可能なシステムに集積することを可能にするために使用され得る。開示された技術は、流体内にセンサシステムを有する細胞サイズの体積の流体内で実施することができるサイクリックボルタンメトリー(ファストスキャンサイクリックボルタンメトリー、超微小電極ボルタンメトリーなど)を可能にする。これにより、個々の細胞スケールでの神経伝達物質検出などの使用が可能になる。さらに、小さな体積の化学種を検出することによって、少量のサンプルは、症例においてより多くの試験に十分な材料を提供することができる。これは、サンプル体積が制限されている場合に大いに役立ち得る。また、開示された技術は、個々のニューロン、心臓細胞などからの電気信号を検出するために作製することができる細胞スケールの電圧センサを提供する。開示された技術は、細胞膜、ナノ収縮、または微小流体チャネルを介して細胞スケールのイオン電流を検出するためにさらに実装され得る。また、開示された技術は、電圧および電流を溶液に印加して、細胞スケールのシステムを使用して細胞またはニューロンを刺激することを可能にし得る。
【0026】
製造における転写方法の例
効率的な発光構造体に使用される材料は、高性能なエレクトロニクスデバイスに使用される材料と同じでないことが多い。開示された技術の一実施形態では、シリコンを使用して、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される構造体を形成する高性能トランジスタ(例えば、MOSFET、BJT、JFETなど)を構築することができる。しかしながら、シリコンの間接的なバンドギャップは、光を放出するための材料として非効率的になることがある。開示された技術の別の実施形態では、AlGaAs発光ダイオードヘテロ構造体が転写に使用されてもよい。AlGaAs系は、現代のエレクトロニクスでは、典型的には、トランジスタを生成するために使用されないが、それらを使用して高効率発光ダイオード(LED)およびレーザを生成することができる。実施形態は、より具体的には、共振空洞LED(RCLED)および垂直空洞表面発光レーザ(VCSEL)も含み得る。
【0027】
開示されたヘテロ構造体は、高性能エレクトロニクスおよび効率的な発光構成要素を利用したハイブリッドオプトエレクトロニクスを可能にするために、シリコンおよびAlGaAsなどの2つの材料系をミクロンスケールで組み合わせることによって実装することができる。この所望の目標に対処する試みのために、転写印刷、ウェハ接合、ボール接合、およびエピタキシャルリフトオフを含む多くの方法が存在する。転写のための各方法には、他の方法に比べて独自の長所および短所がある。これらの既存の技術の様々な実装形態は、細胞スケールで無線センサを構築することができていなかった。
【0028】
開示された技術の様々な実施形態は、図1A図1Eに概略的に示されるように、AlGaAs系ヘテロ構造体を他の基板に転写する新規な方法を提供する。図1A図1Eは、AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写の例示的な方法を示す。開示された技術の実装形態では、AlGaAs系(またはAlGaAs、AlGaInP、GaP、およびGaAsPなどの任意の他の十分にGaAs格子整合された系)を様々な基板に転写する方法は、AlGa1-yAsの剥離層上の様々なAlGaAs層から構成されるパターン化されたまたはパターン化されていないヘテロ構造体から始まり、ここで、yは0~1であり、離型層は、転写されるデバイスのエッチングに対して十分な選択性を有し、かつ基板のエッチングに対して十分な選択性を有してエッチングされ得るようなものである。図1Aは、ポリマーのフィルム(例えば、ポリメチルメタクリレート:PMMA)を回転および硬化させ、転写するデバイスを被覆していることを示している。図1Bは、AlGa1-yAs剥離層よりも速くGaAs基板を選択的にエッチングする比率で、GaAs基板をクエン酸と過酸化水素との混合物中でエッチングすることを示している。剥離層およびポリマーは、転写されるデバイスがエッチングされないように保護する。図1Cは、次いで、AlGaAsヘテロ構造体のエッチングに対して選択的であるフッ化水素酸(HF)の希釈混合物中で剥離層をエッチングすることを示している。図1Dは、任意の汚染物質を除去するために、ポリマー封入デバイスをDI浴を通じて転写した後、ポリマーフィルムを新しい基板に転写ができることを示している。必要に応じて、図1Eに示すように、次いで、酸素プラズマを使用した反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングでポリマーを除去することができる。基板への接着のために、SiO2などのコンフォーマル誘電体を堆積することができる。別の実施形態では、AlGa1-yAs剥離層は、GaAs基板をエッチングする必要なく、選択性エッチング(例えば、HFで)することができる。これは、GaAs基板の再使用が所望される特定の用途に対して利点を有し得る。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、転写に使用されるAlGaAsヘテロ構造体発光ダイオードの例を示している。具体的には、図2Aは、発光ダイオードを生成するために使用されるAlGaAs系層の材料、厚さ、ドーパント、および濃度を詳細に示す表を示している。開示された技術のいくつかの実施形態は、AlGaAs系ヘテロ構造体(発光ダイオード、レーザ、トランジスタなど)を任意の基板(シリコン、ガラス、PET、光ファイバなど)に転写するために使用され得る。例として、限定するものではないが、開示された技術は、AlGaAsマイクロLEDをシリコン基板に転写するために使用され得る。
【0030】
図2Bは、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された中間剥離層およびGaAs基板上のAlGaAs発光ダイオードの層の断面図を示している。まず、AlGaAsヘテロ構造体を、金属有機化学蒸着(MOCVD)によって成長させる。一連の層は、基板、剥離層、およびヘテロ構造体を含む3つの根本的な部分に分割することができる。実装形態では、基板は、数百ミクロンの厚さの内在性GaAsのウェハであり、剥離層は、数百ナノメートルの薄さのAl0.9Ga0.1Asの層である。実装形態では、ヘテロ構造体は、接触層、包覆層、および電子ホール対が結合して光を放出する放出領域からなる剥離層の上に成長した一連の層である。この場合、光学ヘテロ構造体は、電子正孔再結合の効率を増加させるために、複数の量子井戸を有するLEDである。
【0031】
剥離層上の光学ヘテロ構造体の成長後、AlGaAsヘテロ構造体を次いで、アノードおよびカソードへの電気相互接続のための金属接点を有する様々なサイズおよび形状のミクロンスケールLED(マイクロLED)にパターン化する。ポリマーの薄い層をマイクロLED上に回転させ、標準的なフォトリソグラフィ技術を使用して硬化させる。開示された技術の一実施形態では、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の厚さ1.5ミクロンの層が、マイクロLEDを被覆する、基板の上側に回転される。製造のこの段階では、図1Aに示すようにポリマーの薄い層でコーティングされた、Al0.9Ga0.1As剥離層上にパターン化されたマイクロLEDのアレイが存在する。薄いポリマー層は、エッチングステップ中にマイクロLEDを保護し、マイクロLEDの相対的な位置を固定するフレームを提供する役割を果たす。
【0032】
開示された技術のいくつかの実施形態では、次のステップは、xが0~1にあるAlGa1-xAsの異なる組成物の様々なエッチング速度の変化を利用する。AlGa1-xAsの組成物に応じて、異なる化学溶液中のエッチング速度は、オーダーの大きさによって変化し得る。例えば、Al0.9Ga0.1Asは、4:1のクエン酸:過酸化水素ではGaAsよりもはるかに遅くエッチングする一方、フッ化水素酸ではAl0.9Ga0.1AsはGaAsよりもはるかに速くエッチングする。PMMAで被覆された基板を、4:1クエン酸:過酸化水素の混合物中に長期間(例えば、500ミクロン厚の基板の場合は約20時間)置く。エッチングは、基板全体をエッチングするのに必要な時間内に、Al0.9Ga0.1As層の大部分が残るように、GaAsおよびAl0.9Ga0.1Asに対して非常に選択的である。このステップは、図1Bに概略的に示される。Al0.9Ga0.1As剥離層およびPMMAの両方は、このエッチング中にAlGaAs光学ヘテロ構造体を保護する役割を果たす。
【0033】
図1Cに示すように、GaAs基板のエッチング後、残りのPMMA/ヘテロ構造体/剥離層系を、希釈フッ化水素酸(HF):脱イオン水(DI)混合物(50:1 HF:DI)に転写する。これにより、マイクロLEDよりもはるかに高い速度でAl0.9Ga0.1As剥離層を選択的にエッチングし、マイクロLEDが任意の顕著な量をエッチングされる前に剥離層を完全に除去することができる。
【0034】
次いで、マイクロLEDを含有する残りのPMMAフィルムは、図1Dに示すように、シリコン基板に転写される前に、汚染物質を除去するために、例えば、脱イオン(DI)水を使用した洗浄プロセスを通過する。この場合、転写基板は、先行文中に記載される絶縁体基板上のPN接合部含有シリコンである。次いで、サンプルをホットプレート上で少し高い温度で空気中で乾燥させる。
【0035】
図3は、AlGaAs系ヘテロ構造体の他の基板へのポリマー支援型転写の例示的な整列方法を示す。転写基板へのAlGaAsヘテロ構造体の整列が必要な場合、転写方法は、整列転写に適合させることができる。一実施形態では、ポリマー、例えば、PMMAは、AlGaAs光学ヘテロ構造体上に回転され、硬化される(310)。AlGaAs光学ヘテロ構造体は、上述のように、GaAs基板上で成長したAlGaAs剥離層上にある。熱剥離層をPMMA上に回転させ、GaAs基板を担体基板(320)に結合するために使用する。担体基板は、可視光またはIR光に対して部分的に透明な任意の剛性構造体であり得る。熱剥離層は、PMMAを除去または溶融させない温度で材料を除去することができるように選択される。このような材料の例としては、PMMAの摂氏160度の融点をはるかに下回る温度で除去することができるポリプロピレンカーボネート(PPC)が挙げられる。別の実施形態では、この熱剥離剤層は、半導体ウェハダイシングプロセスに多く使用される熱または紫外線(UV)剥離テープによって置き換えられるように修正され得る。このようなテープはまた、熱またはUV光に曝された後の接着力を低下させる。結合した基板を上述の湿式エッチング内に配置して、GaAs基板およびAlGaAs剥離層を除去する(330)。剛性担体基板を使用することにより、PMMA中のAlGaAs光学ヘテロ構造体は、所望の転写基板に整列および結合することができる(340)。整列後に系を十分な高温に加熱することによって、熱剥離層を除去し、PMMAまたはAlGaAs光学ヘテロ構造体を除去することなく、担体基板を除去することを可能にする(350)。
【0036】
このプロセスのこの時点で、ポリマーは、標準的な乾式または湿式エッチング技術によって完全に除去され得るか、またはパターン化され得る(360)。例えば、酸素プラズマを使用する反応性イオンエッチングは、マイクロLEDを損傷することなくPMMAを除去する役割を果たすことができる。乾式エッチング技術を使用することにより、マイクロLEDは、ファンデルワールス相互作用によって基板に接着して、それらの相対的な位置を維持することが可能になる。
【0037】
さらなる接着が必要な場合、図1Eにも概略的に示すように、マイクロLEDを基板に接着する絶縁材料のコンフォーマル層を堆積することができる(360)。一実施形態では、原子層堆積(ALD)は、二酸化ケイ素などの誘電体を使用して実施されて、マイクロLEDを基板に接着することができる。別の実施形態では、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)を実施して、二酸化ケイ素および窒化ケイ素などの誘電体を生成することができる。
【0038】
さらなる接着が所望される場合、SU8の薄層(10ミクロンを下回る厚さで堆積することができる)を堆積させ、転写前にパターン化することができる。SU8層は、堆積しているときに、または少量の熱の下で、発光素子と基板との間の接合層として機能することができる。
【0039】
別の実施形態では、さらなる接着が所望される場合、ローズ金属などの低融解温度金属、またはパラジウムなどのAlGaAsへの強い接合特性を有する金属を使用して、接着を促進することができる。
【0040】
図4は、AlGaAs発光ダイオードをシリコン基板に転写させ、薄いコンフォーマル酸化物を使用して表面に接着した例を示している。様々なサイズおよび形状のLEDを、同じ転写中に転写した。左下に表示されるスケールバーは200ミクロンである。示されるマイクロLEDは、厚さ900nmおよび様々な形状およびサイズである。上述の方法は、シリコン、ガラス、金属、プラスチック、ポリマー、およびミクロンスケールの針を含む様々な基板にマイクロLEDを転写するために使用され得る。様々なサイズのマイクロLEDをシリコン基板に転写し、ALD二酸化ケイ素を使用して接着することができる。
【0041】
図5A図5Fは、光学的に給電されるセンサおよび光学的に読み出されるニューロンセンサのためのシリコンCMOS回路およびAlGaAsヘテロ構造体の例示的な集積を示す。具体的には、図5Aは、上述の方法によって可能になる用途の概略図を示す。図5Aのセンサデバイスは、ワイヤが取り付けられていない器官または組織に埋め込まれていることが示され、拡大図に示されるように、受信した照明光を電気に変換してCMOSセンサ回路を1つ以上のアンプおよび信号エンコーダで給電するための照明光を受信するための光起電モジュールと、センサデータを搬送するために変調される光出力を生成するための光送信器と、を含む。センサデバイスが位置する組織の領域を照明するために、光学照明光源が組織の外側に配置される。この具体例では、光学ビームスプリッタは、組織と照明光源との間の光路に設けられ、照明光をモニタビームに分割して、光ダイオード(PD)および組織への照明ビームなどの光学モニタにする。光学モニタは、モニタビームに基づいて照明光の強度を調節するために使用され、それによってセンサデバイス内の光起電モジュール上で照明される光の強度を調節する。光学ビームスプリッタから出力される照明ビームは、光ビームスプリッタと組織との間に位置する光投影モジュールを使用して組織に方向付けられる。センサデバイス内の光起電モジュールは、受信した照明光を電気に変換し、電気は、例えば、センサ信号の形態で所望の測定値を取得するために組織と相互作用するセンサ、センサ信号を、光送信器によって生成された出力光上に変調されるために適切な形態に符号化するために使用される信号エンコーダを含む、センサデバイス内の様々な構成要素を通電するために使用される。センサは、組織の外側の光学検出モジュールがセンサ信号を検出できるように、センサ信号を搬送するように変調される出力光を組織から光学的に送出することができる。一実装形態では、照明光は、出力光よりも短い波長を有する連続波を含んでもよい。開示された技術のいくつかの実施形態は、脳の組織内に注入され、1つの波長を介して光学的に給電され、別の波長を使用して光学的に読み出されることによって、ニューロンからの電気信号を監視することができる細胞スケールのセンサを提供するために実装され得る。開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される特定のGaAsヘテロ構造体は、二重目的の光起電およびLED(PVLED)であることが可能である。したがって、一旦集積されると、光起電は電力を提供し、シリコン回路は信号を測定し、増幅し、符号化し、最後に、PVLEDのLED機能を使用して信号を光学的に通信する。
【0042】
図5Bは、カスタム、二重機能のAlGaAs光起電/発光ダイオード(PVLED)ユニットのI-V曲線を有する、そのPVおよびLEDモードにおける、二重目的PVLEDの性能を示している。CMOSダイの上に取り付けられると、約98%の時間、PVLEDは電源として機能し、入射光を電力に変換し、約0.9Vで少なくとも1μAを提供する。残りの2%の時間の間、PVLEDは光送信器として機能し、測定データをより長い波長で外部受信器に送信するために光学パルスを放出する。これにより、システムは、以前報告されたRFおよび超音波アプローチよりもよりコンパクトにすることができる。
【0043】
図5Cは、シリコンCMOS回路の電気相互接続部の上にAlGaAs PVLEDが転写された集積デバイスの光学画像を示し、基礎となるCMOS回路が、電力および通信を調停するための記録電極、増幅、パルス位置符号化、およびPVLEDインターフェースを組み込む、180nmCMOS上のPVLEDの集積を示している。開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される二重目的PVLEDは、AlGaAs光起電/発光ダイオード、AlGaAs光起電/発光ダイオードのアノードおよびカソード、ならびにCMOSダイ上に形成されたCMOS回路のプラス入力およびマイナス入力を含む。開示された技術のいくつかの実施形態では、金属相互接続部は、AlGaAs光起電/発光ダイオードのアノードおよびカソードをCMOS回路の対応する接続部に電気的に接続するようにパターン化される。特に、金属相互接続部は、金属相互接続部が10ミクロン未満の最小寸法を有することができ、電極間の距離が40ミクロン未満であるように、フォトリソグラフィで形成され得る。開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された二重目的PVLEDは、開示された方法を使用してAlGaAs光学ヘテロ構造体をCMOS回路に転写することによって形成することができる。神経組織は主に(吸収とは対照的に)散乱しているため、このようなシステムは、原則として、撮像の深さを大きく上回る深さで機能することができるが、ほとんどの電極によって要求されるテザリングは必要とされない。次いで、デバイスは標準的なフォトリソグラフィを使用して電気的に接続される。図5Dは、入力VIN-およびVIN+、アンプ、絶対温度電流PTATに比例する回路、起動用回路STARTUP、パルス生成器PULSE GEN、MOSコンデンサMOS CAP、LEDドライバLED DRIVER、および符号化回路ENCODERなどの構成要素を含む、上部金属接点の下にあるCMOS回路のレイアウトを示している。図5Eおよび図5Fは、一緒に配線されたシリコン-PVLEDシステムに対する商用アンプの比較性能を示す。
【0044】
この転写方法の使用範囲の別の例示として、本特許文献は、二重目的光起電/発光ダイオード(PVLED)が、図5Cおよび図5Dに示す複雑なシリコン相補的金属酸化物半導体(CMOS)回路に整列、転写、および集積される例を提供する。この転写方法によって可能になった集積デバイスは、神経活動を監視することができる、無線の光学的に給電され、かつ光学的に読み出される無機、細胞スケールのセンサの第1の例である。
【0045】
パターン化されていないシリコンと完全CMOSシリコン基板との両方に転写されるAlGaAsヘテロ構造体の転写は、限定ではなく例として本特許文献に開示されており、したがって、転写方法は、多くの異なる実施形態を可能にする。同じ転写方法を使用して、ヘテロ構造体のタイプと基板の両方を変化させることができる。この方法を使用して転写することができるヘテロ構造体の可能性としては、発光ダイオード、レーザ、光起電、およびトランジスタが挙げられるが、これらに限定されない。転写可能なヘテロ構造体のいくつかの例としては、近赤外線GaAsレーザ、赤色AlInP発光ダイオード、AlGaAs光起電、赤外線InPレーザ、およびAlGaAs/GaAs高電子移動度トランジスタ(HEMT)が挙げられる。
【0046】
AlGaAsヘテロ構造体が転写され得る基板もまた、様々であり得る。この方法を使用してAlGaAsヘテロ構造体が転写され得る基板の可能性としては、半導体(シリコン、AlGaAs、炭化ケイ素、サファイアなど)、金属(金、白金、アルミニウムなど)、誘電体(二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素など)、可撓性基板(PMMA、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレートなど)、および高曲線物体(マイクロニードル、光ファイバ、マイクロレンズなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
上記で開示された製造方法の例は、AlGaAs材料系に関するものであるが、開示された方法は、GaNおよびInGaNなどの他のIII-V族半導体材料系によるデバイス製造に適合させることができる。上記の方法は、剥離層として使用することができる材料を使用することによって実装され、剥離層は、(1)その上で成長させる材料系に対して十分に格子整合され、(2)それに接触する光学ヘテロ構造体層に対して選択的にエッチング可能である。上記に開示される例では、Al0.9Ga0.1Asは、格子整合された剥離層として機能し、Al0.9Ga0.1Asと接触したn型GaAsに対してフッ化水素酸で選択的にエッチングされた。別の実施形態では、GaNまたはInGaN光学ヘテロ構造体を、水酸化カリウムを使用して選択的にエッチングすることができる(111)シリコン剥離層上で成長させることが可能である。別の実施形態では、GaNまたはInGaN光学ヘテロ構造体を、電気バイアスを印加した、高濃度でドープされたGaN層上で成長させることができ、シュウ酸、または水酸化カリウムもしくは塩酸などの他の電解質溶液における選択的エッチングを可能にする。したがって、開示された方法は、オプトエレクトロニクス回路の製造が、例えば、GaAs、AlGaAs、GaP、InGaP、InGaAsP、GaN、AlGaN、またはInGaNを含むIII-V族材料系を使用して発光モジュールを含むことを可能にする。
【0048】
製造で使用される基板の例
AlGaAs光学ヘテロ構造体およびシリコンエレクトロニクスを集積し、細胞スケールのセンサのための無線の光学的に給電される無機のオプトエレクトロニクスを可能にする基板および製造方法の例を以下に説明する。開示された技術のいくつかの実施形態を使用して製造された例示的なセンサからの光学画像およびデータは、以下にも記載される。
【0049】
細胞スケールのセンサのための無線の光学的に給電される無機のオプトエレクトロニクスのために、AlGaAs光学ヘテロ構造体およびシリコンエレクトロニクスをミクロンスケールで集積することには、3つの主な課題がある。第1に、シリコンおよびAlGaAsの2つの材料系は、格子整合されておらず、したがって、高効率な光学ヘテロ構造体および高性能なシリコンエレクトロニクスを、同じ基板上で容易に成長させることができない。第2に、典型的にシリコンエレクトロニクスに必要とされる高温は、ほとんどのAlGaAs光学ヘテロ構造体に損傷を与える。第2の課題は、シリコン中のドーパントのドーパント活性化を検討するときに最も顕著である。現代のシリコンエレクトロニクスでは、イオン移植および拡散を含む様々な技術を使用してn型およびp型の両方のドーパントをシリコン基板に移植する。これらのドーパントの移植後、典型的には、ドーパントは、摂氏1000度を上回る温度で活性化されなければならない。二酸化ケイ素およびケイ素のような材料は、これらの高温に損傷を伴わずに耐えることができるが、AlGaAs光学ヘテロ構造体は、しばしば、これらの温度で劣化する。例えば、600℃を上回る温度では、AlGaAsマイクロLEDに拡散が発生し、放出領域の量子井戸を損傷し、効率が低下する可能性がある。基板から剥離することができる典型的なシリコンおよびAlGaAs基板上で、無線の細胞スケールの集積オプトエレクトロニクス回路を作製することができる確立された方法は存在しない。
【0050】
第1の課題に対する解決策は、別の基板に転写する前に別々のGaAs(または同様に格子整合された)基板上のAlGaAs光学ヘテロ構造体の成長を可能にする転写方法を含む、本特許文献で取り上げられている。第2および第3の課題は、高性能のシリコンエレクトロニクスを可能にするが、AlGaAs光学ヘテロ構造体の転写後に摂氏600度を上回る温度で追加のアニールを必要としない基板を使用することによっても克服することができる。さらに、基板および製造方法は、最終的に集積された細胞スケールのデバイスがハンドル基板から剥離されることを可能にすることができる。
【0051】
基板の一実施形態において、厚さ500ミクロンのシリコンハンドル、薄さ500ナノメートルの埋設酸化物(ボックス)、および2ミクロン薄いp型シリコンデバイス層からなる絶縁体上のシリコン(SOI)基板から始める。リン珪酸ガラス(PSG)の薄い500ナノメートルの層をシリコンデバイス層上に堆積させ、次いで、基板を摂氏1050度で約5分間アニールする。このアニールは、両方とも、部分的にシリコンデバイス層を通ってリンドーパント内を駆動し、それらを活性化する。次いで、残りのPSGガラスを緩衝酸化物エッチング(BOE)で除去する。この時点で、基板は、シリコンデバイス層に形成されたPN接合部を有するSOIウェハからなる。
【0052】
上記に開示された転写方法を使用して、AlGaAsヘテロ構造体を転写し、PN接合部含有SOIウェハに接着することができる。PN接合部は、基板の表面上のあらゆる場所に形成されているため、基板の表面は水平対称であり、したがって、基板への整列転写は必要ない。
【0053】
図6は、剥離可能なシリコンおよびAlGaAsヘテロ構造体の集積を可能にする基板および例示的な製造を示しており、以下を含む:エッチングおよび金属接触前のAlGaAsヘテロ構造体を有するPN接合部SOIウェハ(610);エッチングおよび金属接触後のAlGaAsヘテロ構造体およびシリコンエレクトロニクスを有するPN接合部SOIウェハ(620)(示される可能性のあるシリコンエレクトロニクスの例としては、光起電(PV)、nMOS MOSFET、NPN BJT、nチャネルJFET、MOSコンデンサ、およびシリコン抵抗器が挙げられる);エッチングおよび金属接触前のAlGaAsヘテロ構造体を有するNPN接合部SOIウェハ(630);ならびにエッチングおよび金属接触後のAlGaAsヘテロ構造体およびシリコンエレクトロニクスを有するNPN接合部SOIウェハ(640)(示される可能性のあるシリコンエレクトロニクスの例としては、光起電(PV)、nMOS MOSFET、pMOS MOSFET、NPN BJT、PNP BJT、nチャネルJFET、pチャネル、JFET、MOSコンデンサ、およびシリコン抵抗が挙げられる)。
【0054】
SOIウェハを含有するPN接合部へのAlGaAsヘテロ構造体の転写および接着後、様々なシリコンエレクトロニクスは、シリコンデバイス層を所望の深さにエッチングし、デバイス層内のn型および/またはp型シリコンに電気的に接触させることによって、AlGaAsヘテロ構造体にナノスケールまで整列させて製造することができる。図6に示すように、AlGaAsヘテロ構造体と集積され得るシリコンデバイスには、光起電、nMOS MOSFET、nチャネルJFET、NPN BJT、MOSコンデンサ、および薄膜抵抗器(610、620)が挙げられるが、これらに限定されない。より一般的に、シリコンデバイス層中にNPN接合部を有する基板の一実施形態は、さらに、より高度なCMOSデバイスに有用な構成要素であるpMOS MOSFET、pチャネルJFET、およびPNP BJTを可能にする。AlGaAsヘテロ構造体(630、640)に損傷を与えることなく、AlGaAsヘテロ構造体の転写後の標準的なCMOS製造方法では、上記は不可能であろう。
【0055】
PN接合部、またはPNP接合部が形成され、AlGaAsヘテロ構造体の転写前にドーパントが活性化されるため、AlGaAsは、上述の第2の課題に対処して、それらの上昇した温度に露出されない。
【0056】
図7Aは、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された方法を使用して基板上に製造されたシリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを含む例示的な構成を示す。左上隅のスケールバーは100ミクロンである。例示的な構成はまた、シリコンMOSFET、シリコン光起電、およびAlGaAs LEDを互いにおよび/または図7Aに示されていない他の構成要素に電気的に接続する金属相互接続部も含む。開示された技術のいくつかの実施形態では、金属相互接続部は、金属相互接続部が10ミクロン未満の最小寸法を有することができ、電極間の距離が40ミクロン未満であるように、フォトリソグラフィで形成され得る。図7Bは、シリコンnMOS MOSFETのミクロンスケールの光学画像および性能を示し、図7Cは、シリコン光起電のミクロンスケールの光学画像および性能を示し、図7Dは、AlGaAs LEDのミクロンスケールの光学画像および性能を示す。性能プロットでは、uAは、マイクロアンプの略称として使用される。
【0057】
集積デバイスを剥離するという残りの第3の課題に対処するために、本特許文献は、上記の基板を使用して、細胞スケールのセンサのための無線の光学的に給電される無機のオプトエレクトロニクスを生成する製造方法を提示する。
【0058】
図8は、例示的な基板および製造方法の概略図を示す。802において、開示された転写方法を使用して、SOIウェハを含有するPN接合部に転写されるAlGaAs光学ヘテロ構造体。804において、シリコンデバイス層は、臭化水素(HBr)を使用した誘導結合プラズマ(ICP)ベースの反応性イオンエッチングで様々な深さにエッチングされる。このステップは、シリコンnMOS MOSFETおよび光起電のメサ構造体を形成する。806において、絶縁層とゲート誘電体との両方としてのALDを使用して薄い誘電体が堆積される。この材料は、二酸化ケイ素、酸化ハフニウムのような高K誘電体、または他の所望の誘電体であり得る。808において、n型およびp型シリコンへの金属接点が堆積される(堆積前に接触開口部で酸化物が除去される)。次いで、デバイスは、アルゴン中で摂氏350度でアニールされ、シリコンへのオーム接点を形成する。他の金属またはシリサイド接点を代替として使用してもよい。810において、ゲート金属および金属相互接続部が堆積される。例えば、チタン(40ナノメートル)およびプラチナ(60ナノメートル)を含む一連の層をゲート金属として使用する。金、クローム、アルミニウム、および銅を含むがこれらに限定されない他の金属を代替として使用してもよい。ポリシリコンおよび非晶質シリコンを含むがこれらに限定されない、ゲートに他の半導体材料を使用することができる。
【0059】
812において、SOIウェハのBOX内の開口部は、反応性イオンエッチングを使用してエッチングされる。814において、剥離タグが堆積される。これらのタグは、アルミニウムまたはフォトレジストなどの材料であり得るが、デバイスの剥離が所望されるまで、デバイスを浮遊させて所定の位置に保持するのに役立つであろう。816において、SU8フォトレジスト層は、カプセル化層として機能するようにパターン化される。開口部は、感知の目的のために、またはその他の目的のために、所望の場所に金属または他の材料を露出させるようにすることができる。二酸化ケイ素、パリレン、または他の絶縁体などの材料は、代替のカプセル化層として使用され得る。818において、デバイスの下のシリコンハンドルは、二フッ化キセノン(XeF2)を使用してエッチングされて除去される。この等方性エッチングは、露出した他の材料(白金、SU8、および二酸化ケイ素)のいずれよりもシリコンに対して非常に選択的である。このステップにおいて、カプセル化されたデバイスは空気中に浮遊され、小さなアルミニウム剥離タグによってのみ所定の位置に保持される。他のSF6/O2などの乾式エッチング、または水酸化カリウムなどの湿式エッチングを代替として使用することができる。820において、デバイスは、タグに対して選択的なエッチング剤中で剥離される。アルミニウム剥離タグを有する一実施形態では、塩酸(HCl)などの希釈酸エッチングまたは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの別の溶液エッチング剤を使用することができ、これは、アルミニウム剥離タグを選択的にエッチングするが、他の露出材料を任意の実質的な量だけエッチングしない。露出したフォトレジスト剥離タグを有する別の実施形態では、希釈塩基またはアセトンのいずれかを使用して、他の露出した材料をエッチングすることなくデバイスを剥離することができる。次いで、溶液を脱イオン水に交換し、次いで任意の他の所望の溶液に交換することができる。
【0060】
図9A図9Dは、斜視図を示す例示的な基板および製造方法の概略図を示す。図9Aは、n型およびp型ドープ領域を含むSi基板上に形成されたAlGaAs LEDを示し、n型およびp型ドープ領域を囲むSiO2ボックスと、AlGaAs LED、n型およびp型ドープ領域ならびにSiO2ボックスの下に位置するSiハンドルと、を含む。図9Bは、基板上に配設されたSi MOSFET、AlGaAs LEDのSi光起電を示す。図9Cは、剥離タグを有さない例を示し、図9Dは、剥離タグを有する別の例を示す。開示された基板および製造方法は、無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサまたは識別デバイスの大量の並列剥離を可能にする。センサおよび識別デバイスは、2D材料(グラフェン、MoS2など)、カーボンナノチューブ、および遷移金属ダイカルコゲナイドを含むがこれらに限定されない、標準的なシリコンエレクトロニクス、AlGaAs光学ヘテロ構造体、および他の適合性材料の任意の所望の構成から形成され得る。以下のセクションでは、上記の開示によって可能にされたデバイスを詳細に説明する。
【0061】
上記の観点から、開示された技術は、基板と、基板に係合され、光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合されたセンサモジュールと、を含むオプトエレクトロニクス回路を有するデバイスを提供するように実装することができ、センサモジュールは、標的物質に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化される。センサモジュールは、感知素子からの応答に基づいて、標的物質の特性を示す電気センサ信号を生成するようにさらに構成されている。このデバイスは、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合された発光モジュールを含む。発光モジュールは、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化されている。実装形態では、感知素子は、1つ以上の感知電極、シリコン抵抗器またはナノチューブ抵抗器などの1つ以上の抵抗器、または他の感知素子設計を含む様々な構成であり得る。
【0062】
開示された技術は、集積、パッケージング、およびアセンブリが、平面フォトリソグラフィまたは電子ビームリソグラフィを通じて大規模な並列で行われる、リソグラフィで形成された無線センサおよびデバイスを製造する方法を提供するために実装されてもよい。1)異なる材料の集積、2)デバイスの絶縁、3)パッケージング、および4)集合体のための無線デバイスを分厚くまたは直列に作成する技術のための以前の方法。開示された技術を可能にしないこれらの従来の技術の例としては、ワイヤ接合、フリップチップ接合、はんだバンプ、ダイシング、ダイスビフォアグラインド、ピックアンドプレース、スタッキング、およびカプセル化のためのディップコーティングが挙げられる。このような従来の方法とは異なり、本書に開示された方法は、(i)発光素子モジュール、(ii)光起電モジュール、および(iii)感知または識別モジュールを備えるデバイスの作製を可能にし、全ての構成要素は、リソグラフで形成された電気相互接続部を有する。加えて、方法は、(i)発光素子モジュール、(ii)光起電モジュール、および(iii)感知または識別モジュールを備えるデバイスの並列生産を可能にする。
【0063】
開示された技術に基づいて、電気接点のフォトリソグラフィまたはeビームリソグラフィ形成は、それ以外の方法では実現できないであろう電気相互接続部のサイズスケールおよび寸法を可能にする。いくつかの実施形態では、可能にされた無線オプトエレクトロニクスデバイスは、40ミクロン、30ミクロン、20ミクロン、15ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、3ミクロン、または1ミクロン以下の寸法を有する電気相互接続部を有することができる。他の実施形態では、異なる材料を接続する電気相互接続部間のピッチは、40ミクロン、30ミクロン、20ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、または3ミクロン以下であってもよい。
【0064】
開示された技術に基づいて、(i)リソグラフィ集積、(ii)相互接続、(iii)組み立て、(iii)パッケージング、および(iv)それらが構築された基板からのデバイスの剥離のための全ての平面技術の使用は、それ以外の方法では達成できないであろう完全に集積された独立型のデバイスのサイズスケールおよび寸法を可能にする。いくつかの実施形態では、可能にされた無線オプトエレクトロニクスデバイスは、1mm、(500μm)、(400μm)、(300μm)、(200μm)、または(100μm)を下回る寸法を有し得る。
【0065】
開示された技術に基づいて、センサとの物理的接続を有することなく、標的対象物にセンサを移植することによって標的対象物を感知することを達成することができる。この方法では、照明光は、センサ内の光起電モジュールにセンサを動作させるための電力を生成させるために、標的対象物に移植されたセンサに方向付けられ、これにより生成された電力が、(1)標的対象物に対して感知動作を実施して、標的対象物の特性を示す電気センサ信号を生成するセンサモジュールと、(2)センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合され、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成するように動作可能である発光モジュールとに電力供給するようになる。出力光は、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するために使用される。
【0066】
開示された技術の別の実施形態では、オプトエレクトロニクス回路を有するデバイスは、基板と、基板に係合され、かつ光を電気に変換するように構造化された光起電モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信するように結合された識別モジュールであって、デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成された識別モジュールと、基板に係合され、かつ光起電モジュールによって生成された電気から電力を受信し、識別モジュールから電気識別信号を受信するように結合された発光モジュールであって、発光モジュールが、電気識別信号を搬送するように変調される出力光を生成して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構造化された出力光モジュールと、を含む。
【0067】
開示された技術のいくつかの実施形態では、出力光は、パルス位置変調方式を使用して変調され得る。例えば、センサモジュールまたは識別モジュールから測定される信号は、パルス間のタイミングで符号化される。
【0068】
無線で自己給電するセンサデバイスの実施例
図10A図10Dは、剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積の例を示す。具体的には、図10Aは、数千個のGaAsマイクロLEDがシリコンハンドルに形成されたPN接合部を有するシリコンオン絶縁体基板に転写された18×18ミリメートルのチップの光学画像を示す。次いで、シリコンエレクトロニクスをGaAsマイクロLEDに整列させて製造した。チップ上の例示的なダイは、GaAs LEDの転写後が図10Bに示されているが、シリコンエレクトロニクスが製造される前である。図10Cは、シリコンエレクトロニクスが集積された後の例示的なダイを示す。図10Dに示されるデバイスは、シリコン光起電で光学的に給電され、GaAsマイクロLEDで光学的に読み出されるミクロンスケールの電圧センサを含む。
【0069】
上記で開示された転写方法、基板、および製造方法を使用して、シリコンハンドルから剥離することができるオプトエレクトロニクス集積回路(IC)を定期的に生産する。図10Aは、AlGaAsマイクロLEDとシリコンエレクトロニクスとが集積された18ミリメートルチップ上の一例を示し、光学的に給電される細胞スケールのセンサおよび識別システムを含む。このようなチップでは、約50種類の異なるIC設計および数千種類の個々のICがある。開示された技術のいくつかの実施形態では、チップ上に集積されたAlGaAsマイクロLEDおよびシリコンエレクトロニクスは、金属相互接続部が10ミクロン未満の最小寸法を有することができ、AlGaAsマイクロLEDの電極間の距離が40ミクロン未満であるように、フォトリソグラフィで形成された金属相互接続部を通じて互いに電気的に接続される。
【0070】
図11A図11Fは、GaAs LEDおよびシリコンMOSFETの例示的な集積回路を示す。具体的には、図11Aは、GaAs LEDとSi MOSFETとが直列の状態の集積デバイスの概略図である。図11Bは、ゲート-ソース間バイアスなしで集積LED/MOSFETシステムの近赤外光を監視することができるCCDカメラで撮影した光学画像を示している。示されるシリコンMOSFET、ならびに画像に示される他の全てのシリコンエレクトロニクスは、GaAs LEDの転写後に製造された。図11Cは、LEDから放出されている光を示す正のゲート-ソース間バイアスを印加した同じデバイスの光学画像を示している。図11Dは、ゲート-ソースバイアスを1102から1106に増加させる順序で集積デバイスのより高い倍率で撮影された光学画像1102、1104、1106を示している。スケールについて、シリコンMOSFETのチャネル長は約2ミクロンである。図11Eおよび図11Fは、集積LED/MOSFETシステムの性能を示している。AlGaAsマイクロLEDとシリコンエレクトロニクスとの集積の一例として、図11A図11Fは、直列に接続されたAlGaAs LEDおよびシリコンnMOS MOSFETからの光学画像およびデータを示す。MOSFETのゲートに入力された電気信号は、CCDカメラまたは他の光検出器を使用して読み出すことができるマイクロLEDからの光信号に変換される。
【0071】
図12A図12Fは、剥離対応基板上の光学的に給電される電圧センサ製造の例を示している。具体的には、図12Aは、光学的に給電される無線の細胞スケールの電圧センサの回路概略図を示している。図12Bは、剥離対応基板上のデバイスの光学画像を示している。図12Cは、ゲート電圧の関数としてのマイクロLEDの電力出力を示している。デバイスは、1ミクロン平方照明あたり当たり25ナノワット未満であり、回路に電力を提供する。図12D図12Eは、異なる入力電圧パルスに対するマイクロLEDおよび入力電圧信号の電力出力を示す。これらのプロットは、入力電気信号を光信号出力に変換することを示している。図12Fは、光学的に給電される電圧センサの給電および監視のための測定設定の一例を示している。
【0072】
開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される電圧センサは、シリコン光起電、シリコンMOSFET、およびAlGaAsマイクロLEDを含み得る。一実装形態では、約50ミクロン×200ミクロンの電圧センサは、その周囲の電圧の変化を検出し、次いで、集積されたマイクロLEDを使用してこれらの変化を光学的に通信することができる。この実施形態では、信号は、LEDの強度の変化で符号化される。より複雑な実施形態は、図5A図5Fに示すように、他の符号化方式を使用してノイズを低減し、出力信号を符号化するための追加の機能を有することができ、ここで、電圧センサは、約10ナノボルト/Hz1/2に感受性があり、信号は、パルス位置変調を通じて通信される。無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサの両方を、個々の細胞レベルでの神経活動の記録などの用途に使用することができる。
【0073】
図13A図13Eは、例示的な無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムおよび用途を示している。具体的には、図13Aは、使用中の無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムの概略図を示す。上述の電圧センサを生成するために使用される同じ技術は、無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムの様々な実施形態を可能にすることができる。このようなセンサシステムの概略図を図13Aに示す。光学電力λ1は、λ2内の任意の光通信とともにシステムに供給される。供給される電力および任意の通信を使用して、細胞スケールのセンサシステムは、必要に応じて信号を印加することができる。次いで、センサシステム環境からの信号入力は、光学的にλ3で通信される。センサシステムは、電圧源、電流源、電圧を測定するセンサ、および電流を測定するセンサを使用して作成することができる。
【0074】
図13B図13Eは、例示的な本開示によって可能にされる無線の光学的に給電される細胞スケールのセンサシステムの実施形態および用途を詳細に示している。図13Bは、電圧センサの例示的な用途として、個々のニューロンからの電気信号を測定することができるデバイスを示しており、(b.i)回路、(b.ii)ニューロン活動を検出する例示的な用途、および(b.iii)λ3から再構築された信号入力の概略図を含む。図13Cは、λ2で制御された電圧源を有する電流センサの例示的な用途として、例えば、細胞から放出されたドーパミンの存在を決定するために、小さい体積の流体中でサイクリックボルタンメトリーを実施および測定することができるデバイスを示しており、例えば、(c.i)回路、(c.ii)サイクリックボルタンメトリーを実施する例示的な用途、および(c.iii)λ3から再構築されたサイクリックボルタンメトリーの概略図を含む。図13Dは、λ2で制御される電圧源を有するグラフェンセンサの例示的な用途として、DNAの存在に対するグラフェンまたはカーボンナノチューブの応答を測定することができるデバイスを示しており、(d.i)回路、(d.ii)検出DNAの例示的な用途、および(d.iii)λ3から再構築された信号入力の概略図を含む。図13Eは、λ2で制御された電圧源を有するシリコンセンサの例示的な用途として、流体中の流れおよび乱流の監視を可能にする温度変化に対するシリコン抵抗器の応答を測定することができるデバイスを示しており、(e.i)回路、(e.ii)流体の流れまたは温度変化の検出の例示的な用途、および(e.iii)λ3から再構築された信号入力の概略図を含む。
【0075】
本特許文献の開示された技術は、細胞スケールでの電気信号および化学信号の監視に使用することができる。監視方法の例としては、ニューロン、神経細胞、心筋細胞、および他の生物系からの電気信号を監視することが挙げられる。いくつかの実装形態では、神経活動の脳マッピングのために、多数のデバイスを並列に使用することができる。監視方法の例としては、細胞もしくは他の生物系の化学信号もしくは化学組成物の監視、またはその近傍の監視も挙げられる。ここで、脳内の化学的放出のマッピング(または化学組成の変化のマッピング)に、多くのデバイスを並列に使用することができる。監視方法の例としては、グルコースレベル、酸素含有量、A1C検査、PH、妊娠、感染症、および薬物乱用の化学検出が挙げられる。監視方法の例としては、溶液中の特定の化学種に感受性のあるナノスケール材料(金属電極、トンネル接合部、カーボンナノチューブ、グラフェン、他の2D材料など)からの電気信号の変化を監視することが挙げられる。監視方法の例としては、ナノスケールまたはマイクロスケール流体チャネル内の電気信号、化学信号、温度、または流量を監視することも挙げられる。マイクロ流体チャネルの流れ、乱流、または溶液伝導率をマッピングするために、多くのデバイスを並列に使用することができる。監視方法の例としては、転写方法を使用して、光生成学のために集積されたAlGaAs LEDでマイクロシャンクを作成することができる。
【0076】
製造で使用される代替の方法の例
図14は、集積CMOSおよびAlGaAsヘテロ構造体の細胞スケールのセンサのための例示的な代替の剥離方法を示している。1402において、AlGaAs光学ヘテロ構造体は、開示された方法を使用してCMOS回路に転写されて接着する。1404において、金属相互接続部は、CMOS入力を通じて、AlGaAs光学ヘテロ構造体のアノードおよびカソードをCMOS回路の対応する接続部に電気的に接続するようにパターン化される。1406において、デュアルクロームおよびアルミナマスク層は、CMOS誘電体層および下部バルクシリコン基板を通じたエッチング中に回路および光学ヘテロ構造体を保護するために堆積され、パターン化される。他のマスク層は、後続のエッチングに十分選択的である限り、使用することができる。他のこのような組み合わせは、フォトレジスト、アルミナ、酸化タンタル、二酸化チタン、クローム、およびニッケルの組み合わせを含むことができる。1408において、CMOS誘電体を通じた反応性イオンエッチング(RIE)を使用して、剥離される細胞スケールのデバイスの所望のサイズおよび形状をエッチングする。このようなエッチングに好適で例示的なRIE化学は、CHFおよびOからなる誘導結合プラズマRIEである。1410において、クロームは、クロームエッチング剤中で選択的に除去され、残りのアルミナを使用して、シリコン内への深部反応性イオンエッチング(DRIE)中に回路および光学ヘテロ構造体をマスクする。シリコンへのエッチング深さは、シンギュレーションされたデバイスまたはダイの最終的な厚さを決定するために使用される。1412において、アルミナは、例えば、BClRIE化学で選択的に除去され、コンフォーマルカプセル化層は、デバイスをコーティングし、次いでCMOS回路の所望の入力で開かれる。SU8、パリレン、二酸化ケイ素、および他の絶縁材料は、カプセル化層として使用され得る。1416において、保護および接着の両方のために、デバイスは、デバイス側を下にして転写基板に接合される。接着/保護層は、他の露出材料に対して選択的にエッチングすることができるように選択される。この層に使用することができる材料の例としては、フォトレジスト、PMMA、およびダイニングソーテープが挙げられるが、これらに限定されない。シリコン、サファイア、または他の基板を転送基板に使用することができる。1416において、深部反応性イオンエッチング(DRIE)またはウェハ研削を使用して、所望のデバイス厚さまでエッチングする。この時点で、デバイスは、接着/保護層を介して転写基板に保持されるのみである。1418において、次いで、デバイスは、接着/保護層に対して選択的な湿式または乾式エッチングを使用することによって剥離され得る。
【0077】
一実施形態では、UVダイニングソーテープを、接着/保護層に使用することができる。次いで、テープをUV光に露出することによって、デバイスを剥離することができる。
【0078】
一実施形態では、二酸化ケイ素をカプセル化層として使用することができ、フォトレジストを接着/保護層として使用することができ、デバイスの剥離は、アセトン溶液を使用して達成することができる。この代替の方法は、SOI基板または標準的なCMOS基板の両方からの細胞スケールのデバイスの剥離を可能にする。
【0079】
記載される製造方法の例は、いくつかの他のダイシング方法よりも、ダイまたはデバイスのシンギュレーションのための新規の方法を表す。ダイシングレーションのためのそれらの他のダイシング技術のいくつかの実装形態は、例えば、以下のような1つ以上の側面で制限されている傾向がある:(1)ダイシングは完全に並列のプロセスではないことがあり、(2)ダイシングソーの厚さは、作製される溝または切断物の最小サイズを決定することがあり、(3)利用可能な形状は、刃のサイズおよび方向によって幾何学的に制限されることがある。上記の方法は、これらの制限のいずれにも該当しない。(1)に関しては、平面リソグラフィ法を通じて、上述のプロセスを完全に並列に達成することができる。ウェハ全体を一度のプロセスで処理することができ、シンギュレーションの時間とコストを削減する。(2)に関して、エッチングの厚さは、リソグラフィおよび使用されるRIE技術で可能なアスペクト比によってのみ制限される。40ミクロン、30ミクロン、20ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、2ミクロン、および1ミクロン以下の寸法を有する溝は、開示された方法を使用して達成可能である。(3)に関して、幾何学的形状は、基板上でどのような形状をリソグラフィで生成することができるかに限定される。各個々のダイは、同じウェハ上に独自の任意の形状を有することができる。
【0080】
本明細書に開示された方法は、無線オプトエレクトロニクスデバイスのシンギュレーションに使用することができるが、これらの方法は、プロセス中に失われるデバイス間にエッチングされたスペース、すなわちカーフをはるかに少なくしたCMOSまたは他の半導体ダイのシンギュレーションにも使用することができる。開示された技術で可能なカーフのサイズスケールは、従来の技術を通じて達成可能なものからの逸脱を表している。例えば、CMOSプロセスにおいて、40ミクロンの厚さを有するダイシングソーを使用して200μmのダイにシンギュレーションする場合、ウェハの約40パーセントがダイニングによって失われることになる。比較して、開示された方法で達成可能な2ミクロンの溝を使用して、ダイを200μmのダイにシンギュレーションする場合、シンギュレーション中にウェハの約2パーセントしか失われない。
【0081】
追加センサの例
図15A図15Dは、剥離可能なデバイスのためのミクロンスケールシリコンならびにIII-V族エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスの大規模な集積を使用することによって作製されたセンサの例を示す。具体的には、図15Aは、シリコン光起電およびAlGaAsマイクロLEDを有する温度センサを示す。図15Bは、温度センサの関数としての線形光学応答(上)、温度センサ(挿入部)の回路概略図、および温度センサの隣の抵抗素子を使用したパルス加熱の高速温度感知(下)のを示す、図15Aの温度センサの温度感知のサンプル特性を示している。図15Cは、シリコン光起電、シリコンMOSFET、AlGaAsマイクロLED、および入力電極を有する電圧センサを示している。図15Dは、図15Cのセンサの入力電圧の関数として出力される電力によって表されるサンプル電圧センサ特性(上)、および光学電圧センサ(下)からの高速電圧感知データを示している。ここに示すデバイスは、基板から剥離し、カプセル化することができる。GaAsマイクロLEDのための相互接続部は、ワイヤ接合法またはフリップチップ法とは対照的にフォトリソグラフィを使用して作製された。
【0082】
図16A図16Gは、無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞スケールのセンサの例を示している。具体的には、図16Aは、フォトリソグラフィで定義された相互接続部で集積された、数千個の剥離可能な無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスの細胞サイズのセンサを含む18mm×18mmのチップを示している。図16Bは、デバイスの剥離構造体を示す例示的なダイを示している。図16Cは、上記の材料に記載されているように、溝の上に浮遊している光学的に給電される無線のオプトエレクトロニクス電圧および温度センサを示している。図16Dは、剥離タグの選択的化学エッチングによって溶液中に剥離される無線デバイスを示している。図16Eは、心臓細胞の隣に剥離された無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスデバイスを示している。図16Fは、ヒトの指の稜線上に剥離された無線の光学的に給電されるオプトエレクトロニクスデバイスを示している。図16Gは、マウスの脳にインビボに移植された無線の光学的に給電される光電温度センサを示している。
【0083】
上記および開示される他の技術的特徴は、光学構成要素(発光ダイオードなど)をフォトリソグラフィで定義された相互接続部を集積しながら、40μmピッチよりも大きい相互接続部を形成するためのかさばるワイヤ結合またはフリップチップ接合を回避することによって、いくつかのmmスケールのセンサよりも体積が10,000倍小さい小さなスケールで、光学的に給電される無線センサを構築するために使用することができる。フォトリソグラフィで定義された相互接続部を使用することによって、本明細書に開示された技術は、例えば、全ての電気相互接続部が10ミクロン未満の寸法を有する場合、より小さなサイズの集積を達成することができる。
【0084】
いくつかの例示的な用途では、AlGaAs系ヘテロ構造体を転写する方法は、ヘテロ構造体と基板との間に「中間選択的エッチング層」を有する基板上にAlGaAs系ヘテロ構造体を生成することと、光学ヘテロ構造体上にポリマー層を堆積することと、基板を化学混合物(クエン酸および過酸化水素)中でエッチングすることと、異なる化学混合物(希釈HF)中で中間選択的エッチング層をエッチングすることと、ポリマー/光学ヘテロ構造体系を転写基板に転写することと、を含み得る。一実施形態では、AlGaAs系ヘテロ構造体を転写する方法は、乾式エッチング法を介してポリマーを除去することと、コンフォーマル絶縁材料(ALD、PECVDなど)を堆積することによって、デバイスを転写基板に接着することと、を含み得る。代替の実施形態では、AlGaAs系ヘテロ構造体を転写する方法は、光学ヘテロ構造体と基板との間に「中間選択的エッチング層」を有する基板上にAlGaAs系ヘテロ構造体を生成することと、光学ヘテロ構造体上にポリマー層を堆積させ、異なる化学混合物(希釈HF)中に中間選択的エッチング層をエッチングすることと、ポリマー/光学ヘテロ構造体系を転写基板に転写することと、を含み得る。
【0085】
開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される例示的な基板として、シリコンエレクトロニクスとAlGaAs系の光学ヘテロ構造とを集積するための基板は、光学ヘテロ構造体をシリコンオン絶縁体基板に転写したものと、100ミクロン未満の厚さを有するシリコンハンドルと、を含み得る。ドーパントを作動させたシリコンハンドルにPN接合部が形成され、シリコンデバイス層がエッチングされ、n型シリコンの少なくとも1つの領域に電気接点が作製され、p型シリコンの少なくとも1つの領域に電気接点が作製されている。
【0086】
開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装される例示的なデバイスとして、エレクトロニクスおよび光学デバイスは、基板と、少なくとも1つのミクロンスケールのAlGaAs系光学ヘテロ構造体、少なくとも1つのトランジスタ、および少なくとも1つの光起電を備えるデバイスと、を含み得る。3つの構成要素は、電磁放射線の照射下で、電流が3つの構成要素を通過し、トランジスタになされた接続における電圧または電流の変化が、AlGaAs光学ヘテロ構造体を通過する電流の変調をもたらし、当該電流の変調が、AlGaAs系光学ヘテロ構造体から放出される光の量の変化をもたらすような構成で電気相互接続部に接続されている。デバイスの構成要素の寸法は、全て1000ミクロン未満である。
【0087】
開示された例では、「無線」は、デバイスから発せられる電気相互接続部を有さないデバイスを説明するために使用される。電気相互接続部は、デバイス内部にある。デバイスが、全ての寸法が100ミクロン未満の無線であると言われる場合、デバイスを境界とする100ミクロンの境界の外に延びる電気相互接続部は存在しない。「細胞スケールの」、「細胞スケール」、および「細胞サイズ」は、全ての側面に500ミクロン未満の寸法を有する物体を記述するために互換的に使用される。「マイクロLED」という用語は、全ての側面に1ミリ未満の寸法を有する発光ダイオードを説明するために使用される。「ヘテロ構造体」という用語は、光学デバイスまたはエレクトロニクスデバイスを生成するために基板上で成長した任意の一連の材料層を説明するために使用される。「光学ヘテロ構造体」という用語は、光を放出または吸収する能力を有する基板上で成長した材料の構造体または層を説明するために使用される。これには、発光ダイオード、レーザ、光起電、ならびに他の光学素子が含まれる。「AlGaAs材料系」、「AlGaAs系」、「AlGaAs/GaAs」、および「AlGaAs/GaAs系」という用語は、光学ヘテロ構造体が生成されることを可能にするために、GaAsに十分に格子整合されている任意の材料または材料層を説明するために互換的に使用される。これには、光学ヘテロ構造体を生成するために全て同じ基板上で成長させることができるGaAs、AlGaAs、AlGaInP、GaAsP、AlInP、および/またはGaPなどの材料系が含まれる。「AlGaAsヘテロ構造体」という用語は、AlGaAs系からの材料から作製されるヘテロ構造体または光学ヘテロ構造体を説明するために使用される。「製造」、「マイクロ製造」、および「ナノ製造」は、ナノメートルからミリスケールでのデバイスの製造または生産を説明するために互換的に使用される。「光」と「電磁波放射線」とは、互換的に使用される。「BJT」は、双極性接合トランジスタの略である。「JFET」は、接合ゲート電界効果トランジスタの略である。
【0088】
開示された技術のいくつかの実施形態では、光起電は電力を提供し、シリコン回路は信号を測定し、増幅し、符号化し、最後に、PVLEDのLED機能を使用して信号を光学的に通信する。
【0089】
図17Aおよび図17Bは、約150μm離間された2つの感知電極間の差動信号を高めて、近傍ニューロンによって生成される電界をサンプリングするアンプのシステムブロック図および概略図を示す。具体的には、図17Aは、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装されるシステムのブロック図を示している。図17Bは、起動回路およびフィルタリング回路を含む増幅器の概略図を示している。PVLEDからの全電流の約2分の1(1μAの500nA)を使用して、入力差動対(M1とM2)を通じて低ノイズ増幅を提供する。一対のNFET(M3とM4)は、ハイパスアクティブ負荷として機能する:アンプ出力は、疑似抵抗器として機能し、MOSコンデンサによってシャントされるトランジスタを通じてゲートにフィードバックされる。したがって、M3およびM4は、低周波数(<<1Hz)における低インピーダンスを提供するが、対象となる神経帯域(>10Hz)における高抵抗を提供する。最後に、一対のダイオード接続PFET(M5とM6)は、高次のエイリアシング項を抑制するために約10KHzでローパスコーナーを設定する並列MOSコンデンサで、制御された中域利得のために一致した負荷を提供する。ハイパス負荷は、照明が一過性のものであり得る間に極めて長い起動時間をもたらすため、ハイパス抵抗器は、VDD起動時に一時的に低抵抗状態に設定され、通常の高抵抗状態に切り替える前に、DCオフセットとバイアス状態とを迅速に較正する。照明変動時または出力光学パルス生成時のVDDの変動に対しても耐性を提供するために、増幅器および全ての他の回路を電源不変のPTAT様電流源からバイアスする。
【0090】
開示された技術のいくつかの実施形態は、光子効率当たりのその高い情報の信号符号化のためにパルス位置変調(PPM)を使用することができる。図18A図18Dは、アンプがパルス位置エンコーダを駆動する一方、10KHzの緩和発振器が周期的なパルスを生成し、コンデンサC1をVDDに充電することを示している。具体的には、図18Aおよび図18Bは、PPMエンコーダおよび関連するタイミング図を示し、図18Cおよび図18Dは、パルス生成器およびその関連するタイミング図を示している。このリセットの後、コンデンサは、アンプの出力から生成された2つの差動電流のうちの1つによって放電される。その結果は、そのデューティサイクルが測定電圧の逆を反映する方形波である。固定電流では、デューティサイクルを20%~80%の範囲に制限された。Tフリップフロップは、2つの相補電流のどちらがコンデンサを放電するかを選択し、クロックサイクル間で交互に、このように切断することで、変化の遅い光レベルによる変動から信号を分離することができる。得られた方形波は、電流の少ないインバータの遅延ラインを通過し、エッジを組み合わせて方形波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方にパルスを生成する。これらの信号のタイミングは、図18Bおよび18Dに示されている。より広いパルスは、VDDをPVLEDから1μs切断し、他の2つのパルスは3コンデンサ(各1.2pF)の充電ポンプを切り替え、並列構成から直列構成に切り替え、PVLEDに接続して鋭い(<100ns)電流パルスを送達する。緩和発振器の各サイクルでは、PVLEDを通じて2つの光パルスを生成し、1つはサイクルの開始時であり、もう1つは20μs~80μs後であり、この時間差は入力電圧を示す。パルスイベント中(PVLEDから切断した場合)にVDDが過度に低下しないように、16pFのデカップリング容量を設置する。さらに、PVLEDは、限られた量の瞬間電流のみを供給することができ、過剰な供給波動を回避するために、充電ポンプコンデンサは、約10μsにわたってゆっくりと充電される。20μsの最小パルス間隔は、各パルスの前に充電ポンプが完全に充電されることを保証する。最後に、PVLEDとCMOSの組み立てを容易にするために、クロスカップル整流器(極性補正器)が実装されており、そのパッド上のPVLEDの極性に関係なくシステムの機能を確保する。
【0091】
図19Aおよび図19Bは、光出力パルス(図19A)、および関連する再構築された1KHz波形(図19B)の例示的な測定を示している。図19C図19Dは、周波数(図19C)および振幅(図19D)の関数としての信号利得を示している。CMOS回路は、180nmのCMOSで作製され、活性面積は210μmx90μmである。試験のために、CMOSはPVLEDに結合され得る。脳組織の安全限界の約6分の1である約50nW/μm2の帯域通過白光(380nm~720nm)で照明すると、図19Aに示すように、光パルスを予想通り測定する。電圧信号で入力電極を駆動すると、パルスのタイミングが変調され、ここに示すように1KHzの試験信号のために入力が正常に再構築される。システムは、1Hz~10KHzにわたる140ns/μVの変換利得を有し、3mVPP(1.1VRMS)を超える大きな入力に対して利得圧縮を行うが、入力参照ノイズフロアは約21μVRMSである。パルス動力環境におけるその潜在的な使用のためのシステムのウェイクアップ特性(図5Aに示すような連続露光とは対照的に)は、システムが1ms未満でウェイクアップすることを可能にし得る。
【0092】
図19Aはまた、20kHz近くで通信するが、多くの小数点以下、例えば、19,857.12Hzまで精密に測定することができる特定の周波数で通信するデバイスの例を示している。この情報は、個々のセンサの識別情報を提供する。デバイス間の製造上のわずかな違いにより、クロックサイクルがわずかに異なる。したがって、19,857.12Hzのクロックサイクルで動作する例示的なデバイスは、18,354.47Hzのクロックサイクルを有するデバイスと区別することができる。このシステムの特徴は、光学的にかつ無線で通信される固有の識別情報をデバイスに付与する。
【0093】
図28は、デバイスの識別情報を示す所定の電気識別信号を生成するように構成された完全に集積された独立型の無線の光学デバイスの一実施形態を示している。光起電モジュールは、供給電圧VDDで識別モジュールに電力を供給するように構成されている。この電力は、回路のクロックとして機能する周期的なパルスを提供する緩和発振器(例えば、CLOCKとラベル付けされたクロック生成器)をオンにする。一組のカウンタ、例えば、リングカウンタ、ラベル付けされたX COUNTERおよびY COUNTERは、電気信号を、ラベル付けされたX DECODERおよびY DECODERの一組のデコーダに提供し、これは、メモリ素子(例えば、MEMORYとラベル付けされたメモリ)に供給される。メモリ素子の出力は、低電圧、接地、または高電圧VDDのいずれかでの一連の電圧である。メモリ素子の出力は、電気識別信号を搬送するように発光モジュールの出力光を変調して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信するように構成されている。一実施形態では、発光モジュールからの出力光パルスのタイミングは、デバイスの識別信号を送信する。別の実施形態では、発光モジュールからの一連の光パルス(LIGHT EMITTING MODULEとラベル付けされている)は、デバイスの識別情報を送信する。識別モジュールはさらに、デバイスのメモリをリセットし、任意のメモリ素子を放電するカウンタおよびリセット(例えば、COUNTER AND RESETとラベル付けされた機能ブロック)を有するように構成されている。
【0094】
図20Aおよび図20Bは、起動を示し、光学パルス(図20A)および復号信号(図20B)の開始を示している。図20C図20Sは、ベースライン(図20C)を提供するために商用アンプを通じて並列に測定され、かつ本システムを使用して光学的に給電されて通信する機械的刺激時の、ミミズ腹部神経上の神経記録を示す(図20D)。システムが実際の神経信号を符号化する能力を実証するために、入力電極は、プローブを使用してミミズの腹部神経コードに接続され得、商用の神経アンプは並列に接続されて、参照ベースラインを提供する。図20C図20Sは、通信および電源が純粋に光学であっても、複合スパイクが出力光学パルス内で正確に符号化されていることを明確に示している。
【0095】
図21は、消費電力(左上)とSi領域(右上)別の設計の詳細を示している。先に強調したように、消費電力は主にメインアンプおよび充電ポンプで占められている。領域はアンプ(フリッカノイズ低減のため)、LEDドライバ、およびデカップリングが中心となっている。図6の下部は、従来技術との比較表を示している。
【0096】
図22は、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線集積回路センサの例を示している。上述のように、このような光学無線集積回路センサは、神経活動のための移植可能な医療診断、癌細胞増殖のための温度監視、または他のもののために使用することができる。開示された技術の様々な実施形態は、マイクロ流体、ラボオンアチップ、小型サンプル材料の熱特性などのミクロンスケールのシステムまたは材料においてシステム監視を実装するために使用することができる。
【0097】
図23は、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線センサデバイス2300の例を示す。光学無線センサデバイス2300は、光起電モジュール2302と、センサモジュール2304と、発光モジュール2306と、を含んでもよい。光起電モジュール2302は、光L1を電気に変換するように構造化されている。センサモジュール2304は、光起電モジュール2302によって生成された電気から電力を受信するために、光起電モジュール2302に結合されている。センサモジュール2304は、標的物質2310に応答して応答を生成する感知素子を含むように構造化されている。センサモジュール2304はまた、感知素子からの応答に基づいて、標的物質2310の特性を示す電気センサ信号を生成してもよい。発光モジュール2306は、光起電モジュール2302によって生成された電気から電力を受信し、センサモジュール2304から電気センサ信号を受信するように結合されている。発光モジュール2306は、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光L2を生成して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信することもできる。
【0098】
図24は、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線センサデバイス2400の例を示す。光無線センサデバイス2400は、電磁放射線L1およびL2を電気に変換するように構造化された光起電モジュール2402を含む。光学無線集積回路センサ2400はまた、光起電モジュールによって生成された電気を受信するために、光起電に結合されたセンサモジュール2404も含む。センサモジュール2404は、感知素子2406と、通信素子2405と、を含む。感知素子2406は、標的物質2410に応答して応答を生成し、通信素子2405は、感知素子2406からの応答に基づいて、標的物質2410の特性を示す電気センサ信号を生成するように構造化されている。光学無線センサデバイス2400はまた、電気を受信するように光起電モジュール2402に結合され、かつ電気センサ信号を受信し、電気センサ信号を変換して、標的物質2410の特性を示す電磁放射線L3を出力するようにセンサモジュール2404の通信素子2305に結合された発光モジュール2408も含む。光起電モジュールによって生成された電気は、センサモジュール2404および発光モジュール2408に電力を供給するために使用される。開示された技術の一実施形態では、光起電モジュールによって生成された電力はまた、センサモジュール2404および発光モジュール2408を制御するための電気制御信号を生成するために使用することもできる。開示された技術の一実施形態では、放射線L1は、センサモジュール2404および発光モジュール2408を動作させるための電力に変換され、放射線L2は、センサモジュール2404および/または発光モジュール2408を制御するための命令などの、センサモジュール2404および/または発光モジュール2408の動作に関連する情報に変換される。ここで、放射線L2の光学波長は、放射線L1とは異なっていてもよい。
【0099】
図25は、開示された技術のいくつかの実施形態に基づいて実装された光学無線識別デバイス2500の例を示す。光学無線識別デバイス2500は、光起電モジュール2502と、識別モジュール2504と、発光モジュール2506と、を含み得る。光起電モジュール2502は、光L1を電気に変換するように構造化されている。識別モジュール2504は、光起電モジュール2502によって生成された電気から電力を受信するために、光起電モジュール2502に結合されている。識別モジュール2504は、デバイスの識別情報を示す電気識別信号を生成するように構成されている。発光モジュール2506はまた、電気識別信号を搬送するように変調される出力光L2を生成して、電気識別信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信することもできる。
【0100】
図26は、パルス位置変調(PPM)符号化の例を示しており、VPDおよびΔtが光検出器出力およびパルス間隔(一次側と二次側との間)をそれぞれ示している。開示された技術のいくつかの実施形態では、出力光は、パルス位置変調方式を使用して変調され得る。例えば、センサモジュールまたは識別モジュールから測定される信号は、図26に示すように、パルス間のタイミングで符号化される。1セットのパルス、「一次ピーク」は、いくつかの規則的な周波数で発生する。別のパルスのセット(他のパルスごと)である「二次ピーク」は、入力信号を符号化する。この実装形態では、パルス間の時間は電圧を符号化する。このようにして、電気センサ信号または電気識別信号を搬送するように出力光を変調して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信することができる。
【0101】
図27は、標的対象物を感知するための例示的な方法を示す。方法は、2702において、センサと物理的接続を有さずに標的対象物にセンサを移植することと、2704において、標的対象物に移植されたセンサに照明光を方向付けることであって、センサ内の光起電モジュールにセンサを動作させるための電力を生成させ、これにより生成された電力が、(1)標的対象物に対して感知動作を実施して、標的対象物の特性を示す電気センサ信号を生成するセンサモジュールと、(2)センサモジュールから電気センサ信号を受信するように結合され、電気センサ信号を搬送するように変調される出力光を生成するように動作可能である発光モジュールとに電力供給するようになる、方向付けることと、2706において、出力光を使用することによって、標的対象物の特性を示す情報を受信して、電気センサ信号をデバイスから無線でかつ光学的に送信することと、を含む。
【0102】
本特許文献には多くの詳細が含まれるが、これらは、任意の発明の範囲または特許請求され得るものの制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈において本特許文献に記載されるある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈に記載される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、または任意の好適な部分的な組み合わせで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用し、最初に特許請求されたものとしても上述され得るが、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから抜粋されてもよく、特許請求された組み合わせは、部分的な組み合わせの部分的な組み合わせまたは変形に向けられてもよい。
【0103】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されるが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序で、または順番に実施されること、または図示される全ての動作が実施されることを必要とするものとして理解されるべきではない。さらに、本特許文献に記載の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではない。
【0104】
いくつかの実装形態および実施例のみを説明し、本特許文献に記載および例示される内容に基づいて他の実装、改良および変形を行うことができる。
【0105】
特許請求の範囲は、以下を含む、記載および図示されるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8-1】
図8-2】
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14-1】
図14-2】
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【外国語明細書】