(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091651
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】中空繊維膜用耐熱埋込材料
(51)【国際特許分類】
B01D 63/00 20060101AFI20240628BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20240628BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240628BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B01D63/00 500
B01D63/02
C08G18/00 K
C08G18/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058827
(22)【出願日】2024-04-01
(62)【分割の表示】P 2020568224の分割
【原出願日】2019-06-12
(31)【優先権主張番号】102018209444.6
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム マヌエル
(57)【要約】
【課題】高い耐熱性を有する埋込化合物に中空繊維膜を埋め込む方法を提供すること。
【解決手段】本発明の方法により、イソシアネート成分は、無機粒子及びポリオール成分と共に埋込塊体に加工され、中空繊維膜は、埋込化合物が凝固する間に少なくとも1つの埋込ゾーンで埋込化合物によって密封的に包み込まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空繊維膜を埋め込む方法であって、
(i)複数の中空繊維膜を与える工程と、
(ii)少なくとも1つのジイソシアネート化合物を含有するイソシアネート成分を、ヒドロキシ基を含有する無機粒子と反応させて、イソシアネート基含有付加物を含む化合物を形成する工程であって、
イソシアネート成分のイソシアネート基が、ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基に対して化学量論的に過剰に存在し、ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の少なくとも一部が、イソシアネート成分のイソシアネート基の少なくとも一部と反応してウレタン結合になる前記工程と、
(iii)前記工程において得られた、イソシアネート基含有付加物を含有する化合物を、少なくとも1つのジオール化合物を含有するポリオール成分と混合して埋込化合物にする工程と、
(iv)少なくとも1つの埋込ゾーンで前記埋込化合物を用いて前記中空繊維膜を埋め込む工程と、
(v)前記埋込ゾーンで前記埋込化合物を硬化してポリウレタン樹脂にする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシ基含有無機粒子が、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は2nm又はそれよりも大きく、又は5nm又はそれよりも大きい質量平均粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシ基含有無機粒子の百分率が、前記埋込化合物の全質量に対し、2.3質量%又はそれよりも低く、好ましくは1.3質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.75質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.6質量%又はそれよりも低く、及び0.01質量%又はそれよりも高く、好ましくは0.05質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.1質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.15質量%又はそれよりも高くなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシ基含有無機粒子が、二酸化珪素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、又は酸化アルミニウム(Al2O3)を含有する粒子であるか、又はこれら粒子の混合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシ基含有無機粒子が、ヒドロキシ基含有無機粒子の質量に対し、1x10-5mol/gから1x10-2mol/g、好ましくは5x10-4mol/gから1x10-2mol/gのヒドロキシ基数を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシ基含有無機粒子を、イソシアネート成分との反応の前に、100℃から150℃の温度で一定質量まで乾燥することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、少なくとも100対1、好ましくは少なくとも1000:1の、イソシアネート成分イソシアネート基対ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基のモル比を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
(0.9-1.1)対(1.1-0.9)、好ましくは(0.99-1.01)対(1.01-0.99)の化学量論モル比、更に好ましくは1対1のモル比が、前記ポリオール成分のヒドロキシ基と前記イソシアネート基含有付加物を含有する化合物の遊離イソシアネート基とに対して設定されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの埋込ゾーンでポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数の中空繊維膜を含む中空繊維膜フィルタであって、
前記ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を介してポリウレタン樹脂内で結合された無機粒子を、ポリウレタン樹脂の全質量に対し、少なくとも0.01質量%から2.3質量%含む、
ことを特徴とする中空繊維膜フィルタ。
【請求項10】
ウレタン結合によってポリウレタン樹脂に結合された前記無機粒子が、二酸化珪素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は二酸化チタン(TiO2)の粒子であるか、又はこれら粒子の混合物であることを特徴とする請求項9に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項11】
前記無機粒子が、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は2nm又はそれよりも大きく、又は5nm又はそれよりも大きい質量平均粒径を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項12】
前記ポリウレタン樹脂が、ポリウレタン樹脂の全質量に対し、前記無機粒子の1.3質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.75質量%又はそれよりも低く、好ましくは0.6質量%又はそれよりも低く、及び0.05質量%又はそれよりも高く、好ましくは0.1質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.15質量%又はそれよりも高いものになることを特徴とする請求項9~11のいずれか1項記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項13】
前記ポリウレタン樹脂が、ウレタン結合無機粒子を含まないが、同じイソシアネート成分及び同じポリオール成分から生成された同等のポリウレタン樹脂よりも、3℃よりも高く、好ましくは5℃よりも高く、更に好ましくは7℃よりも高く、又は好ましくは12℃まで高く、更に好ましくは14℃まで高いガラス転移温度を有することを特徴とする請求項9~12のいずれか1項記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項14】
前記中空繊維膜が、請求項1から請求項8の少なくとも1項に従って前記ポリウレタン樹脂に埋め込まれていることを特徴とする請求項9に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項15】
少なくとも1つのジイソシアネート化合物を含有する少なくとも1つのイソシアネート成分とヒドロキシ基含有無機粒子とを反応させることによって得られてなるイソシアネート基含有付加物であって、
前記ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の少なくとも一部が、イソシアネート成分のイソシアネート基の少なくとも一部と反応してウレタン結合になり、
遊離イソシアネート基が、前記得られた付加物に存在することを特徴とする前記イソシアネート基含有付加物。
【請求項16】
前記無機粒子と前記ジイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基との間のウレタン結合のモル比が、1対100から1対10000まで、好ましくは1:1000から1:10000までになることを特徴とする請求項15に記載のイソシアネート基含有付加物。
【請求項17】
前記無機粒子が、二酸化珪素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は二酸化チタン(TiO2)から構成される粒子であるか、又はこれら粒子の混合物であることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のイソシアネート基含有付加物。
【請求項18】
前記無機粒子が、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は2nm又はそれよりも大きく、又は5nmの質量平均粒径を有することを特徴とする請求項15~17のいずれか1項記載のイソシアネート基含有付加物。
【請求項19】
前記イソシアネート成分と前記無機粒子との間のウレタン結合の数が、前記ヒドロキシ基含有無機粒子の質量に対し、1x10-5mol/gから1x10-2mol/g、好ましくは5x10-4mol/gから1x10-2mol/gになることを特徴とする請求項15~18のいずれか1項記載のイソシアネート基含有付加物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂から構成された埋込ゾーンを生成するために複数の中空繊維膜を埋込化合物で埋め込む方法に関する。本発明は、更に、少なくとも1つの埋込ゾーンでポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数の中空繊維膜を含む中空繊維膜フィルタに関する。本発明は、更に、ポリウレタン樹脂を生成するためのイソシアネート基含有付加物に関する。本発明は、更に、中空繊維膜を埋め込む方法におけるイソシアネート基含有付加物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中空繊維膜フィルタは、水処理における及び医療分野における、例えば、腎臓病患者の体外血液治療における濾過手順に使用される。中空繊維膜フィルタの生成中に、通常は中空繊維膜バンドルに組み合わされる複数の中空繊維膜は、フィルタモジュールハウジングの中に置かれ、ハウジングの内側の中空繊維膜の端部は、埋込化合物で埋め込まれる。そのような中空繊維膜フィルタの生成は、従来技術で公知である。
【0003】
室温で流動性である埋込化合物は、通常は中空繊維膜の端部を埋め込むのに使用される。そのような埋込化合物は、複数の成分、特に、プレポリマー成分の混合物から通常は構成される。成分は、混合後にかつ化学反応によってある一定の時間内に硬化して樹脂になるように設計される。埋込化合物が流動性かつ加工可能に留まっている時間は、ポットライフと呼ばれる。中空繊維膜を埋め込むための埋込化合物は、従って、埋込の直前に個々の成分から互いに混合される。それによって埋込化合物は、成分が互いに混合された後に初期には流動状態にあり、すなわち、中空繊維膜を埋め込むのに使用することができる。中空繊維膜の埋込での特に重要なことは、流動性埋込化合物が中空繊維膜バンドルを通して分散することができること、及び個々の中空繊維膜が埋込ゾーン内で埋込化合物によって埋め込まれることである。
【0004】
埋込化合物は、中空繊維膜バンドルの埋込のために特別に設計される必要がある。水処理及び医療に使用する中空繊維膜フィルタは、15,000又はそれよりも多い中空繊維膜から構成することができる中空繊維膜バンドルを含む。単一中空繊維膜は、それによって通常は150から350μmの直径を示す。中空繊維膜バンドルの充填密度は、60%及びそれよりも高い可能性がある。適切な埋込化合物は、従って、埋込ゾーン内に各個々の中空繊維膜を包み込むために十分に流動性でなければならない。しかし、更に、埋込化合物は、硬化樹脂が例えば熱応力によって引き起こされる機械的負荷を補償するのに十分な機械的強度を有するように硬化することもできなければならない。
【0005】
硬化してポリウレタン樹脂になる埋込化合物は、中空繊維膜バンドルを埋め込むのに通常は使用される。ポリウレタン樹脂は、特に医学的観点から、例えば、透析フィルタに化合物を埋め込むのに使用される時に無害として分類される。更に、ポリウレタン樹脂で埋め込まれた中空繊維膜を有する中空繊維膜フィルタは、短期間にわたる加熱殺菌の熱的条件に耐えるのにも適している。
【0006】
ポリウレタン樹脂に加工される一般的な埋込化合物は、2つの成分から実質的に作られる。第1の成分は、有機ポリオール化合物を含有する。ポリオールを含有する化合物は、例えば、多価アルコール、糖化合物、又はヒドロキシ末端基を有するポリマー化合物とすることができる。例えば、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールは、高分子ポリオールとして使用される。ジイソシアネート成分は、更に別の成分として使用される。
【0007】
ポリオール成分及びイソシアネート成分は、混合されて埋込化合物になり、かつ初期にはポットライフ内で流動性かつ加工可能に留まる。そのような埋込化合物は、中空繊維膜フィルタの生成中に中空繊維膜バンドルを埋め込むのに通常は使用される。そのような中空繊維膜フィルタの生成は、従来技術で公知である。EP 2 024 067 A1は、中空繊維膜フィルタハウジングの一部に中空繊維膜を埋め込む方法を説明している。この方法では、流動性埋込化合物は、回転下で中空繊維膜の末端部分の中に導入される。回転力は、流動性埋込化合物を中空繊維膜の末端部分内に分散させ、中空繊維膜は、埋込化合物に埋め込まれる。埋込化合物は、中空繊維膜が最後に埋込ゾーンによってハウジング部に固定されるように、引き続きポリウレタン樹脂まで硬化される。
【0008】
しかし、埋込化合物の使用は、それらが透析フィルタ及び水処理のためのフィルタの生成に使用される時に全ての濾過用途に対して全体的に満足のいくものではないことが示されている。特に、水性液体の工業処理又は国内用途は、高温での長期の濾過を必要とする。高温では、濾過用途は、硬化してポリウレタン樹脂になった埋込化合物に対するより低い硬度、及びポリウレタン樹脂が加水分解を受けるという問題を有する。これは、ハウジングの各部分へのかつ中空繊維膜への埋込化合物の接着に悪影響を与え、中空繊維膜フィルタ内の漏出が結果的に予想される可能性がある。
【0009】
EP 1 992 399 A1は、埋込材料クローリング高さが改善された中空繊維膜フィルタ内の充填材を有する埋込材料を説明している。埋込材料内の充填材の百分率は、それによって約3%の濃度よりも下であり、これは、埋込材料粘性の急峻過ぎる増加に関連付けられる。シリカが充填材として指定される。改善されたクローリング高さは、埋込の緊密性を改善する。
【0010】
EP 2 644 662 A1は、蒸気滅菌及び常に安定した濾過特性に関して十分に安定な中空繊維膜モジュールを説明している。中空繊維膜モジュールは、埋込材料としてポリウレタン樹脂を含み、その引張強度の減少は、24時間にわたって121℃での飽和蒸気とのその後の接触で25%未満である。充填材の追加は、埋込中の熱の放散に寄与し、材料収縮及び亀裂を防止する。シリカ、炭酸カルシウム、及びガラス繊維が充填材料として挙げられている。
【0011】
US 4,359,359は、埋込材料の硬度の程度及び反応時間を改善するためにポリウレタンからの埋込材料の生成を説明している。埋込材料は、芳香族ジイソシアネート、ヒマシ油、及びトリメチロールプロパンの反応によって生じる。レオロジー特性を改善するために、シリカ酸ベースのチキソトロピー添加物を埋込材料に追加することができる。
【0012】
US2014/0217023は、熱硬化性埋込材料に埋め込まれた複数の中空繊維膜を有する濾過システムを説明している。埋込材料は、引張強度を改善して材料収縮を防止するために充填材、例えば、シリカを含有するウレタン樹脂から構成することができる。
【0013】
基礎となる従来技術は、中空繊維膜を埋め込むこと及び硬化状態で熱安定性の増大を示すことに関して液体状態で良好な加工可能性特質を有する埋込化合物を開示していない。ポリウレタン樹脂まで硬化した公知の埋込化合物は、従って、熱安定性に関して改善の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】EP 2 024 067 A1
【特許文献2】EP 1 992 399 A1
【特許文献3】EP 2 644 662 A1
【特許文献4】US 4,359,359
【特許文献5】US2014/0217023
【特許文献6】PCT/EP2017/081955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の第1の態様では、本発明のタスクは、増大した熱安定性の埋込ゾーンを得るためにポリウレタン樹脂まで硬化する埋込化合物に中空繊維膜を埋め込む方法を提供することである。
【0016】
本発明の更に別の態様では、本発明のタスクは、埋込ゾーンでポリウレタン樹脂に埋め込まれて耐熱性の改善によって特徴付けられる複数の中空繊維膜を有する中空繊維膜フィルタを提供することである。
【0017】
本発明の更に別の態様では、本発明のタスクは、ポリオール成分と反応し、硬化してポリウレタン樹脂になった後に耐熱性の増加を示すイソシアネート基含有付加物を提供することである。
【0018】
第4の態様では、本発明のタスクは、耐熱性の増加を示すフィルタモジュールの生成における複数の中空繊維膜を埋め込む方法でのイソシアネートを含有する付加物の使用を指定することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様では、本発明のタスクは、請求項1に記載の中空繊維膜を埋め込む方法によって解決される。請求項2から8は、優先実施形態を構成する。
【0020】
本発明の第2の態様では、本発明のタスクは、請求項9に記載の中空繊維膜フィルタによって解決される。請求項10から14は、優先実施形態を構成する。
【0021】
本発明の第3の態様では、本発明のタスクは、請求項15に記載のイソシアネート基含有付加物によって解決される。請求項16から19は、優先実施形態を構成する。
【0022】
本発明の第4の態様では、本発明のタスクは、ナノ濾過、限外濾過、又は精密濾過のためのフィルタモジュールを生成する時に複数の中空繊維膜を埋め込む方法での請求項16から19の少なくとも1つに記載のイソシアネート基含有付加物の使用によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】DSCを用いてガラス転移点を決定するためのグラフを示す図である。グラフは、温度依存曲線の開始の決定を示している。開始は、対応する曲線セクションにタンジェントを適用することによって決定される。
【
図2】中空繊維膜が中空繊維膜フィルタ(示していない)の埋込材料(この場合はポリウレタン樹脂)に埋め込まれた埋込領域の前部セクションを示す図である。この図は、ポリウレタン樹脂が個々の膜を緊密に包み込むことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の態様では、本発明は、
(i)複数の中空繊維膜を与える工程と、
(ii)少なくとも1つのジイソシアネート化合物を含有するイソシアネート成分を、ヒドロキシ基を含有する無機粒子と反応させてイソシアネート基含有付加物を含む化合物を形成し、それによってイソシアネート成分のイソシアネート基がヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基に対して化学量論的に過剰に存在し、それによってヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の少なくとも一部がイソシアネート成分のイソシアネート基の少なくとも一部と反応してウレタン結合になる工程と、
(iii)イソシアネート基含有付加物を含有する得られた化合物を少なくとも1つのジオール化合物を含有するポリオール成分と混合して埋込化合物にする工程と、
(iv)少なくとも1つの埋込ゾーンで、埋込化合物を用いて中空繊維膜を埋め込む工程と、
(v)埋込ゾーンで埋込化合物を硬化してポリウレタン樹脂にする工程と、
を含む中空繊維膜を埋め込む方法に関する。
【0025】
本発明により、より高い熱安定性を示すポリウレタン樹脂に中空繊維膜を埋め込むことが可能である。ヒドロキシ基含有無機粒子及びイソシアネート成分からのイソシアネート含有付加物の形成は、硬化してポリウレタン樹脂になった埋込化合物の熱安定性の改善を達成することが見出された。ガラス転移温度は、熱安定性の尺度と見なされるものである。ポリウレタン樹脂のより高いガラス転移温度は、従って、より高い温度でのより高い材料強度も表すものである。特に、本発明の方法は、同じポリオール及びイソシアネート化合物を使用するが本発明の方法によって生成されないポリウレタン樹脂のガラス転移温度よりも3℃、特に5℃、更に特に8℃高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂埋込ゾーンが生成されることを可能にする。中空繊維膜と中空繊維膜フィルタハウジングの各部分との間の埋込ゾーン内のポリウレタン樹脂の安定性は、それによってより高い温度で改善され、ポリウレタン樹脂の緊密性の全体的により高い信頼性をもたらす。
【0026】
本発明の方法は、最初は複数の中空繊維膜から進み、それによって中空繊維膜が埋込に対して与えられる。複数の中空繊維膜は、好ましくは、中空繊維膜バンドルである。中空繊維膜をバンドルにして中空繊維膜バンドルにすることは、従来技術において及び中空繊維膜フィルタモジュールの生成において公知である。好ましくは、中空繊維膜バンドルは、ハウジングの一部に、特に中空繊維膜フィルタモジュールのためのハウジングの一部に本発明の方法に対して与えられる。「複数」の中空繊維膜によって理解されることは、中空繊維膜フィルタモジュールの生成の工程中に一般的に使用されるような多くの中空繊維膜である。この点に関して公知であるのは、100から55,000の中空繊維膜を数える中空繊維膜フィルタモジュールである。しかし、比較すると、10まで又はそれよりも少ないより少数の中空繊維膜を有する実験モジュールも開発目的で埋め込まれた。
【0027】
本発明の方法は、更に、最初はイソシアネート成分から進む。本発明の意味での「イソシアネート成分」は、二官能性、三官能性、及び多官能性有機イソシアネート化合物の化合物として理解されるものとする。本質的なことは、イソシアネート成分が、ウレタン結合を形成することによってポリオール成分との重付加の下でポリマーに対して反応することができるジイソシアネート化合物を含有することである。より低い程度までは、モノイソシアネート化合物及び多官能性イソシアネートも、イソシアネート成分に存在することができる。イソシアネート成分がイソシアネート基官能性プレポリマーの化合物に依存することも本発明の意味で可能である。そのようなプレポリマーは、ジイソシアネートモノマーの重合によって得ることができる。ポリマーイソシアネートの一例は、PMDI(ポリマージフェニルメタンジイソシアネート)である。本発明の方法によって使用されるイソシアネート成分は、イソシアネート基含有プレポリマー及びモノマーイソシアネート基含有化合物の混合物を含むことが更に可能である。適切なモノマーイソシアネートの例は、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、TDI(トルイレンジイドシアネート)、MDI(メチレンジフェニレンジイソシアネート)、NDI(ナフチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、及びH12MDI(4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート)である。イソシアネート成分は、イソシアネート成分のポリオール成分との反応をサポートする又はポリウレタン樹脂の経年劣化に対する耐性に寄与する更に別の添加物を含むことができる。
【0028】
好ましくは、イソシアネート成分は、室温で液体状態にある。イソシアネート成分が何らかの百分率の液体ジイソシアネート化合物を含むことは特に有利である。イソシアネート成分はまた、それら自体が固体、ろう質、又は粘性であるジイソシアネート化合物を含有することができる。この場合に、そのようなジイソシアネート化合物を何らかの百分率の液体ジイソシアネート化合物に溶解することは有利である。特に、液体イソシアネート成分は、本発明の方法に対して与えられる。本発明の方法に従って使用される液体イソシアネート成分は、Haake社製「MV1(MV-DIN)」回転子を使用してレベルr.3(30rpm)(剪断速度38.7/s)でドイツのHaake社製VT550粘度計を使用して25℃で測定された50から1000mPa*s、好ましくは500から1000mPa*sの粘性を有利に有する。イソシアネート成分に対する低粘性は、ポットライフ中の埋込化合物の良好な加工、特に埋込化合物内への中空繊維膜の完全な埋込を可能にする。
【0029】
ヒドロキシ基含有無機粒子は、更に、本発明の方法に使用される。ヒドロキシ基含有無機粒子は、粉末の形態又は最初は圧密又は多孔質形態の粒状物としての形態とすることができる。粉砕工程は、ヒドロキシ基含有粒子を望ましい粒径にもたらすことができる。しかし、好ましくは、無機粒子は、ゾルゲル工程で沈殿によって得られるか又は発熱工程で生成され、その理由は、そうすることが特に小さい粒径の粒子を形成することができるからである。無機粒子のヒドロキシ基は、無機粒子生成工程で事前に形成することができる。これに代えて、ヒドロキシ基はまた、無機粒子の面を官能化することによって得ることができる。ヒドロキシ基も周囲条件下で保管された直後に発熱生成物に形成することを経験は示している。
【0030】
イソシアネート基含有付加物を含有する化合物へのヒドロキシ基含有無機粒子を有するイソシアネート成分の変換は、好ましくは、容器内で及び攪拌下で起こる。ヒドロキシ基含有粒子は、それによってイソシアネート成分の液体調製物に追加され、適用可能な場合に同じく超音波の追加効果の下で攪拌される。本発明の意味では、「変換」は、化学結合の形成をもたらす反応として理解されるものとする。本発明の意味では、「化学結合」は、共有結合及び配位結合を指す。生成されたイソシアネート成分内のイソシアネート基の数は、それにより、ヒドロキシ基含有無機粒子によって生成されたヒドロキシ結合に対して化学量論的に過剰に存在する。変換は、それにより、遊離イソシアネート基が変換後のイソシアネート基含有付加物に存在するように保証する。「遊離イソシアネート基」は、ヒドロキシ基含有粒子のヒドロキシ基に結合せず、従って、ポリオール成分のヒドロキシ基と反応することができる反応性イソシアネート基として理解されるものとする。本発明の意味では、「イソシアネート基含有付加物」は、化学反応によってイソシアネート成分及びヒドロキシ基含有無機粒子から形成する化合物として理解されるものとする。
【0031】
ヒドロキシ基含有無機粒子とイソシアネート成分の反応によって得られる化合物は、様々な化合物の混合物である。無機粒子は、それにより、化学反応によるイソシアネート成分の1又は2以上のイソシアネート化合物に対するヒドロキシ基の反応及びウレタン結合の形成によって結合することができる。化学反応によって無機粒子に結合されないイソシアネート化合物は、これに加えて、化合物に存在する可能性がある。反応中の利点は、ヒドロキシ基含有無機粒子の全ての可能な反応性ヒドロキシ基が化学反応によって変換されることである。ヒドロキシ基の変換の継続は、この点に関して、分析方法及びそれから決定されるヒドロキシ基含有無機粒子とのイソシアネート成分反応の終点によって連続的にモニタすることができる。本発明により、イソシアネート基含有付加物への変換は、室温で0.5h又は1h又は5h又は1日又は2日以内に起こる。それによって重要なことは、イソシアネート基含有付加物が他にポリオール成分と適度に混合することができないので、イソシアネート成分とのイソシアネート基含有付加物を含有する化合物の反応が巨視的架橋に至らないことである。その結果、硬化の更に別の工程及び中空繊維膜の徹底的な埋込も妨げられることになる。本発明の意味では、「巨視的架橋」は、ポリマー沈殿物又はゲルの可視形成として理解されるものとする。
【0032】
低分子及び高分子ポリオール化合物は、イソシアネート基含有付加物を含有する化合物とのポリオール成分の混合に使用することができる。適切な低分子ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタノール又は1,4-ブタンジオールである。ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリカプロラクタンポリオール、及び直鎖又は分岐ヒマシ油と共に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオールのような適切な高分子ポリオールである。上述のポリオールの混合物は、ポリオール成分として使用することもできる。本質的なことは、ポリオール成分がポリウレタンを形成するように重付加の下でジイソシアネート化合物と反応することができるジオール化合物を含むことである。モノヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物、及びポリヒドロキシ化合物は、より少ない程度でポリオール成分内に存在することができる。モノ、トリ、及びポリヒドロキシ化合物は、埋込化合物の硬化によって得られるポリウレタン樹脂の鎖長及び分岐の程度を調整するのに使用される。
【0033】
好ましくは、ポリオール成分は室温で液体状態にある。ポリオール成分が何らかの百分率の液体ジオール化合物を含むことは特に有利である。ポリオール成分はまた、それら自体が固体、ろう質、又は粘性であるジオール化合物を含有することができる。この場合に、そのようなジオール化合物を何らかの百分率の液体ジオール化合物に溶解させることは有利である。本発明の方法に従って使用されるポリオール成分は、Haake社製「MV1(MV-DIN)」回転子を使用してレベルr.3(30rpm)(剪断速度38.7/s)でドイツのHaake社製VT550粘度計を使用して25℃で測定された200-5500mPa*s、好ましくは300-5000mPa*sの粘性を有する。ポリオール成分に対する低粘性は、ポットライフ中の埋込化合物の良好な加工、特に埋込化合物内への中空繊維膜の完全な埋込を可能にする。
【0034】
イソシアネート基含有付加物を含有する化合物は、攪拌されながら容器内でポリオール成分と好ましくは混合されて埋込化合物を形成する。混合は、埋込化合物を硬化してポリウレタン樹脂にする工程を開始する。最初に、まだ液体の埋込化合物の粘性は、反応が始まる時に温度が上昇するので低下する。しかし、反応が更に進むと、粘性は、温度が更に上昇しても完全な硬化に対して急激に増加する。粘性最小点を超えることで、良好な加工性を保証し、それによって埋込化合物内にイソシアネート含有付加物があるにも関わらず埋込工程が中空繊維膜を完全に埋め込むことを可能にする。中空繊維膜の充填密度は、それによって考慮に入れなければならず、すなわち、特に高い充填密度の可能性は、より低い埋込化合物粘性を必要とする可能性があり、これは、この場合に、埋込化合物内の適用可能な付加物濃度を制限する可能性がある。中空繊維膜は、好ましくは、浸漬成形工程又は回転工程で埋め込まれる。「浸漬成形工程」では、与えられた中空繊維膜のセクションは、液体埋込化合物の中に浸漬されてその後に硬化される。液体埋込化合物は、それによって毛細管現象によって中空繊維膜の間に広がる。「回転工程」では、与えられた中空繊維膜バンドルが回転する。回転中に、埋込化合物は、中空繊維膜のセクションに給送され、埋込ゾーンを形成する。液体埋込化合物は、毛細管現象及び遠心力によって中空繊維膜の間に広がる。回転工程に関して、本出願人の欧州特許出願EP 2 024 067 A1を参照されたい。
【0035】
埋込化合物は、混合直後に重付加によって自己硬化してポリウレタン樹脂になり、従って、埋込化合物は、典型的には室温で1h内に硬化する。これに代えて、80℃まで又は70℃まで又は60℃まで、特に45℃までの温度は、硬化を容易にすることができ、20分よりも短い硬化時間の短縮をもたらすことができる。
【0036】
第1の態様の一実施では、本発明の方法は、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は5nm又はそれよりも大きい質量平均粒径を有するヒドロキシ基含有無機粒子によって特徴付けられる。質量平均粒径は、例えば、レーザ回折によって公知の方法によって決定することができる。しかし、それは、透過型電子顕微鏡によって決定することもできる。粒子のサンプルは、その目的で透過型電子顕微鏡で測定され、それによって細長い粒子に対する直径及びアスペクト比は、多数の粒子(約1000)に関して決定される。粒径分布は、それから決定することができる。本方法は、50nmよりも下の小粒径に関して特に好ましい。
【0037】
低質量平均粒径のヒドロキシ基含有無機粒子は、それらがより高い百分率のヒドロキシ基を有することができ、従って、得られるイソシアネート基含有付加物においてより多数のウレタン基を可能にすることができるので優先的である。しかし、粒径が小さすぎるヒドロキシ基含有粒子は、生じる凝集に起因して作業が困難であり、潜在的にガラス転移点の僅かに低い増加が得られることになるようなヒドロキシ基の最も完全な可能な飽和をもはや十分に保証することができなくする。
【0038】
本発明の第1の態様の更に別の実施では、中空繊維膜を埋め込む本方法は、埋込化合物の全質量に関連して2.3質量%又はそれよりも低く、好ましくは1.3質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.75質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.6質量%又はそれよりも低く、及び0.01質量%又はそれよりも高く、好ましくは0.05質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.1質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.15質量%又はそれよりも高く、又は2.3質量%又はそれよりも低くかつ0.01質量%又はそれよりも高く、好ましくは1.3質量%又はそれよりも低くかつ0.05質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.75質量%又はそれよりも低くかつ0.01質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.6質量%又はそれよりも低くかつ0.15質量%又はそれよりも高くなるヒドロキシ基含有無機粒子の百分率によって特徴付けられる。
【0039】
使用されるヒドロキシ基含有無機粒子の容積も、イソシアネート成分に存在するイソシアネート基の容積に依存する。特に、ヒドロキシ基含有粒子の百分率が高すぎる時に、過度の巨視的架橋のリスクがある。更に、埋込化合物の粘性が非常に急激に増加し、従って、特に高い充填密度の中空繊維膜フィルタは、もはや圧密方式で確実に生成することはできない。他方で、低すぎる百分率は、本発明の方法によって得られるポリウレタン樹脂のガラス温度のより少ない上昇を潜在的にもたらす可能性がある。
【0040】
本発明の第1の態様の一実施では、中空繊維膜を埋め込む方法は、二酸化珪素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は二酸化チタン(TiO2)を含有する粒子、又はそれらの粒子の混合物であるヒドロキシ基含有無機粒子によって特徴付けられる。シリコン、アルミナ、又は二酸化チタンで作られたヒドロキシ基含有粒子は、それらが面結合ヒドロキシ基に関して安定であるので特に有利であり、ヒドロキシ基の数は、十分な精度で決定することができる。ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の数を正確に知ることは、イソシアネート成分のイソシアネート基とポリオール成分内のヒドロキシ基との必要な化学量論比を埋込化合物の生成に適応させることを可能にするのに寄与する。更に、シリコン、アルミナ、及び二酸化チタン粒子は、容易にかつ経済的に入手可能である。
【0041】
本発明の第1の態様の更に別の実施では、中空繊維膜を埋め込む本方法は、ヒドロキシ基含有無機粒子の質量に対して1x10-5mol/gから1x10-2mol/g、好ましくは5x10-4mol/gから1x10-2mol/gのヒドロキシ基数を有するヒドロキシ基含有無機粒子によって特徴付けられる。ヒドロキシ基含有粒子の面上のヒドロキシ基に対するそれらの濃度比では、ガラス転移温度の関連の増加と共に付加物形成が特に有利である。
【0042】
第1の態様の更に別の実施では、本発明の方法は、ヒドロキシ基含有無機粒子が、イソシアネート成分との反応前に100℃から150℃の温度で一定質量まで乾燥させられることによって特徴付けられる。ヒドロキシ基含有粒子を乾燥させることで、粒子の面に吸着した水の除去をもたらす。水は、イソシアネート成分との副反応に至り、埋込化合物の生成及び硬化工程に悪影響を与える。100℃よりも高く粒子を乾燥させることは、吸着された水を除去するのに有効である。過度に高い乾燥温度は、面結合ヒドロキシ基の開裂をもたらす可能性があり、従って、回避しなければならない。
【0043】
本発明の第1の態様の更に別の実施では、中空繊維膜を埋め込む本方法は、少なくとも100対1、好ましくは少なくとも1000:1のイソシアネート成分のイソシアネート基対ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基のモル比を有する化合物によって特徴付けられる。そのようなモル比は、それが粒子のヒドロキシ基の十分な飽和を保証し、従って有利であることを示している。同様に、事前選択したモル比は、ポリウレタン樹脂のその後の成長を担うのに十分な数の遊離イソシアネート基を残す。これに加えて、低すぎるモル比は、ジイソシアネート分子が、ヒドロキシ基とのウレタン結合を形成するためにイソシアネート基と反応し、同時に更に別のヒドロキシ基を解除する第2のイソシアネート基と反応することに至ることが見られた。モル比が維持される場合に、ガラス転移温度の特に高い増加をもたらす。
【0044】
本発明の第1の態様の更に別の実施では、本発明の方法は、ポリオール成分のヒドロキシ基及びイソシアネート基含有付加物を含有する化合物の遊離イソシアネート基に関して(0.9-1.1)対(1.1-0.9)、好ましくは(0.99-1.01)対(1.01-0.99)のほぼ化学量論的なモル比の設定によって特徴付けられる。特に優先的なものは、モル比の正確に1対1の設定である。イソシアネート含有付加物を含有する化合物とのポリオール成分の高い変換は、モル比設定によって達成することができる。これは、それにより、例えば埋め込まれた中空繊維膜の濾過によって溶出する可能性があるポリウレタン樹脂内への埋込化合物の硬化での残留モノマー含有量を防止することになる。
【0045】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの埋込ゾーンでポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数の中空繊維膜を含む中空繊維膜フィルタに関連し、ポリウレタン樹脂の全質量に対してウレタン結合を通じてポリウレタン樹脂内で結合された無機粒子の少なくとも0.01質量%から2.3質量%を含むポリウレタン樹脂によって特徴付けられる。無機粒子の容積は、無機粒子とポリウレタン樹脂の間に形成することができるウレタン結合の容積にも依存する。特に、本発明の第1の態様の一実施に関してヒドロキシ基含有無機粒子の場合に起こる可能性がある無機粒子百分率が高すぎると、ポリウレタン樹脂に変換することができない埋込化合物のリスクがある。百分率が低すぎると、ポリウレタン樹脂のガラス温度の上昇は低すぎる。
【0046】
本発明の第2の態様の一実施では、中空繊維膜フィルタは、ウレタン結合が二酸化珪素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は二酸化チタン(TiO2)の粒子である又はそれらの粒子の混合物であることによるポリウレタン樹脂に結合された無機粒子によって特徴付けられる。シリカ含有及び二酸化チタン含有粒子は、粒径及びウレタン結合が十分な精度で決定することができるので特に有利である。粒子がポリウレタン樹脂に埋め込まれたウレタン結合の数を知ることは、ポリウレタン樹脂の熱安定性を調整するのに重要である。
【0047】
本発明の第2の態様の更に別の実施では、中空繊維膜フィルタは、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は2nm又はそれよりも大きく、又は5nm又はそれよりも大きい質量平均粒径を有する無機粒子によって特徴付けられる。より小さい平均粒径は、それらの粒子がより多くのヒドロキシ基を示すので優先的である。小さすぎる粒径は、凝集に起因して不利である可能性がある。
【0048】
本発明の第2の態様の更に別の実施では、中空繊維膜フィルタは、1.3質量%又はそれよりも低く、好ましくは0.75質量%又はそれよりも低く、更に好ましくは0.6質量%又はそれよりも低く、及び0.05質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.1質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.15質量%又はそれよりも高く、又は1.3質量%又はそれよりも低くかつ0.05質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.75質量%又はそれよりも低くかつ0.1質量%又はそれよりも高く、更に好ましくは0.6質量%又はそれよりも低くかつ0.15質量%であることになるポリウレタン樹脂によって特徴付けられ、ここで、質量パーセントは、ポリウレタン樹脂の全質量に基づいている。
【0049】
本発明の第2の態様の更に別の実施では、中空繊維膜フィルタは、いずれのウレタン結合無機粒子も含まないが、それでも同じイソシアネート成分及び同じポリオール成分から生成された同等のポリウレタン樹脂よりも3℃又はそれよりも高く、好ましくは5℃又はそれよりも高く、更に好ましくは7℃又はそれよりも高く、又は好ましくは12℃まで、更に好ましくは14℃まで高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂によって特徴付けられる。ガラス転移温度は「DSC測定方法」に従って決定される。ウレタン結合無機粒子を含有するポリウレタン樹脂は、より高い耐熱性を有することが示された。これは、より高い温度で作動される水フィルタに対して特に重要である。この場合の本発明の中空繊維膜フィルタは、特に良好な安定性、特に耐加水分解性を示している。
【0050】
本発明の第2の態様の更に別の実施形態では、中空繊維膜フィルタは、第1の態様による実施形態のうちの少なくとも1つに従ってポリウレタン樹脂に埋め込まれる中空繊維膜によって特徴付けられる。
【0051】
本発明の第2の態様の更に別の実施形態では、中空繊維膜フィルタは、50から70%、特に60から70%、更に特に55から65%になる中空繊維膜フィルタのハウジング内の中空繊維膜の空間充填の充填密度によって特徴付けられる。同じ直径の中空繊維膜を有する円筒形中空繊維膜フィルタの場合に、充填密度は、ハウジングの直径に対する中空繊維膜の直径の二乗からもたらされる:
【0052】
【0053】
ここで、
nは、中空繊維の数を示し、
d(fiber)は、外側膜面から測定された直径(外径)である中空繊維膜の直径を示し、
d(housing)は、ハウジングの内側幅として測定されたハウジングの直径(内径)を示す。
そのような高い充填密度の場合に、中空繊維膜フィルタの中空繊維の圧密及び水密埋込を提供することは特に困難である。一方で、埋込化合物は、繊維間隔が特に近いので、硬化する前に特に低い粘性を有する必要があり、他方で、熱及び温水に対する良好な抵抗性が望ましく、これは、低粘性の埋込化合物が多くの場合に達成することができないことである。本発明のポリウレタン樹脂を含む中空繊維膜フィルタは、圧密方式で埋め込まれ、高い耐熱性を示すものである。
【0054】
本発明の第3の態様は、少なくとも1つのジイソシアネート化合物を含有する少なくとも1つのイソシアネート成分とヒドロキシ基含有無機粒子とを反応させることによって得られるイソシアネート基含有付加物に関連し、ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の少なくとも一部は、イソシアネート成分のイソシアネート基の少なくとも一部と反応してウレタン結合になり、遊離イソシアネート基は、得られる付加物に存在する。イソシアネート基含有付加物は、ポリオール成分と共に混合されて硬化可能な埋込化合物になることができるという利点を有するポットライフにわたる良好な加工性及び埋込化合物内への中空繊維膜の完全な埋込を保証する。更に、イソシアネート基含有付加物は、より高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂、及びそれによって高温で濾過用途での熱安定性を改善した硬化してポリウレタン樹脂になる埋込化合物の利点を提供する。
【0055】
第3の態様の一実施形態では、イソシアネート基含有付加物は、ウレタン結合に変換する無機粒子の全反応性ヒドロキシ基の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも98%によって特徴付けられる。これに関連して、「反応性」は、ウレタン結合への変換の観点からイソシアネート基に対する反応性として理解されるものとする。無機粒子ヒドロキシ基に対する良好な飽和は、ガラス転移点の高い増加及び従って良好な耐加水分解性を有するポリウレタン樹脂を発明的に達成する。
【0056】
第3の態様の一実施形態では、イソシアネート基含有付加物は、1対100から1対10000まで、好ましくは1:1000から1:10000までになる無機粒子ウレタン結合対遊離イソシアネート基のモル比によって特徴付けられる。それらのモル比は、それらが粒子のヒドロキシ基の十分な飽和を保証し、従って有利であることを示している。同様に、事前選択したモル比は、ポリウレタン樹脂のその後の成長を担うのに十分な数の遊離イソシアネート基を残す。これに加えて、低すぎるモル比は、ジイソシアネート分子が、ヒドロキシ基とのウレタン結合を形成するためにイソシアネート基と反応し、同時に更に別のヒドロキシ基を解除する第2のイソシアネート基と反応することに至ることが見られた。モル比が維持される場合に、特にガラス転移温度の高い増加がもたらされる。
【0057】
本発明の第3の態様の更に別の実施形態では、イソシアネート基含有付加物は、二酸化珪素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は二酸化チタン(TiO2)から構成される粒子、又はそれらの粒子の混合物である無機粒子によって特徴付けられる。シリコン、アルミナ、又は二酸化チタンで作られたヒドロキシ基含有粒子は、それらが面結合ヒドロキシ基に関して安定であるので特に有利であり、ヒドロキシ基の数は、十分な精度で決定することができる。ヒドロキシ基含有無機粒子のヒドロキシ基の数を正確に知ることは、イソシアネート成分のイソシアネート基とポリオール成分内のヒドロキシ基との必要な化学量論比を埋込化合物の生成に適応させることを可能にするのに寄与する。更に、シリコン、アルミナ、及び二酸化チタン粒子は、容易にかつ経済的に入手可能である。
【0058】
本発明の第3の態様の更に別の実施形態では、イソシアネート基含有付加物は、200nm又はそれよりも小さく、好ましくは150nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは100nm又はそれよりも小さく、更に好ましくは50nm又はそれよりも小さく、及び少なくとも1nm又はそれよりも大きく、又は2nm又はそれよりも大きく、又は5nm又はそれよりも大きい質量平均粒径を有する無機粒子によって特徴付けられる。
【0059】
本発明の第3の態様の更に別の実施形態では、イソシアネート基含有付加物は、ヒドロキシ基含有無機粒子の質量に対して1x10-5mol/gから1x10-2mol/g、好ましくは5x10-4mol/gから1x10-2mol/gになるイソシアネート成分と無機粒子の間のウレタン結合の数によって特徴付けられる。ヒドロキシ基含有粒子の面上のヒドロキシ基に対するそれらの濃度比では、ガラス転移温度の関連の増加と共に付加物形成が特に有利である。
【0060】
第4の態様では、本発明は、複数の中空繊維膜を埋め込む方法での第3の態様による少なくとも1つの実施形態に関連するイソシアネート含有付加物の使用に関連する。
【0061】
第4の態様の更に別の実施は、ナノ濾過、限外濾過、又は精密濾過のためのフィルタモジュールの生成での複数の中空繊維膜を埋め込むための第3の態様による少なくとも1つの実施形態に関連するイソシアネート含有付加物の使用に関連する。
【0062】
例示的実施形態及び方法
使用する材料
ポリオール成分:Huntsman社製Arathane CW 5631
イソシアネート成分:Huntsman社製Arathane HY 5610
ヒドロキシ基含有無機粒子:
(1)Huntsman社製TiO2UV100
nm2粒子面当たり2.5-5ヒドロキシ基
質量平均粒径10nm
BET面330±15m2/g
(2)Evonik社製TiO2P25
nm2粒子面当たり4-5ヒドロキシ基
質量平均粒径20-25nm
BET面55m2/g
(3)Crystal社製TiO2AT-1
nm2粒子面当たり1.4ヒドロキシ基
質量平均粒径200nm
BET面9m2/g
(4)Evonik社製SiO2Aerosil 300
nm2粒子面当たり1.9ヒドロキシ基
質量平均粒径7nm
BET面300m2/g
【0063】
粒径を決定するための測定方法
50nmよりも小さい微粒子のそれぞれ粒径分布又は質量平均粒径は、透過型電子顕微鏡により決定される。粒子のサンプルは、それによって透過型電子顕微鏡の下で測定され、それによって細長い直径及びアスペクト関係が、多数の粒子(1000)に対して決定される。粒径分布及び従ってまた質量平均粒径は、それから計算することができる。レーザ回折法は、より大きい質量平均粒径のサンプルに対して使用される。
【0064】
ガラス転移温度を測定する測定方法-DSC
ガラス温度は、Netsch社製DSC 200F3計器を使用して決定される。硬化されてポリウレタン樹脂になった埋込化合物の5mgサンプルが使用される。収集されたサンプルは、DSCユニットのサンプルホルダのアルミニウムのるつぼに位置決めされる。サンプルホルダの区域は、連続的に窒素で洗い流される。サンプルは、-5℃から120℃の温度範囲内で加熱された。加熱速度は10℃/分であった。その後に、サンプルは、10℃/分の冷却速度で冷却された。サンプルは、-5℃から120℃の温度範囲内で再加熱された。第2の熱曲線が分析に使用された。ガラス転移は、記録された温度曲線のガラス転移範囲の開始から決定された。
図1は、ポリウレタン例に対するDSC曲線のグラフを示している。開始は、それが温度上昇下でこれらの変化の始まりを示すことができるので、熱加水分解特性を決定するのに特に有意なパラメータである。例示的実施形態では、比較例1(基線)が開始点として使用され、ガラス転移点の開始での℃変化が決定された。
【0065】
圧密性を測定するための測定方法
圧密性を決定するために、埋込ゾーンの前縁が視覚的に調べられる。前縁は、埋込ゾーンの端部を切り開くことによって生成される。これは、それによって埋込ゾーンでの中空繊維膜の内腔側開口部を露出する。視覚分析は、埋込ゾーン内の中空繊維膜がポリウレタン樹脂によって密に包み込まれるか否かを検査する。
図2は、このようにして生成された埋込ゾーン前縁の例示的な図を示している。
【0066】
比較例1
ポリオール成分の100gが、イソシアネート成分の25gと混合されて埋込化合物になる。ポリスルホン及びポリビニルピロリドンから構成される10752中空繊維膜を含む中空繊維膜バンドルは、34mmの内径を有する円筒形フィルタハウジングの中に挿入される。同じ膜が全ての実施例に使用される。そのような膜の生成は、PCT/EP2017/081955に説明されている。繊維の外径は255μm、壁厚は35μmになった。充填密度は60.5%であった。フィルタハウジングが、中空繊維膜の埋込に提供される。埋込ゾーンは、中空繊維膜の繊維端部を含む。22mmの埋込高さを保証することができると考えられるまでポリウレタン樹脂が追加される。埋込化合物は、EP 2 024 067 A1に説明されている方法に従って回転下でフィルタハウジング内の埋込ゾーンの中に導入され、45℃でポリウレタン樹脂まで硬化される。圧密に埋め込まれた中空繊維を有するフィルタハウジングは、30分後に抽出される。硬化されてポリウレタン樹脂になった埋込化合物の約5mgサンプルが採取され、ガラス転移温度がDSC分析によって決定された。決定されたガラス転移温度(開始点)は、更に別の試験に対して基線として使用される。
【実施例0067】
Aerosil 300を110℃で一定質量まで乾燥させる。Aerosil 300の23gが、イソシアネート成分の977gと混合され、室温で24hにわたって攪拌される。Aerosil 300のイソシアネート含有付加物とイソシアネート成分とを含有する化合物が得られる。ポリオール成分の100gとイソシアネート含有付加物を含有する得られる化合物の25.6gとが混合されて埋込化合物になる。10752中空繊維膜を含む中空繊維膜バンドルは、34mmの内径を有する円筒形フィルタハウジングの中に挿入される。繊維の外径は255μm、壁厚は35μmになった。充填密度は60.5%であった。フィルタハウジングが中空繊維膜の埋込に提供される。埋込ゾーンは、中空繊維膜の繊維端部を含む。22mmの埋込高さを保証することができると考えられるまでポリウレタン樹脂が追加される。埋込化合物は、EP 2 024 067 A1に説明されている方法に従って回転下でフィルタハウジング内の埋込ゾーンの中に導入され、45℃でポリウレタン樹脂まで硬化される。中空繊維膜が圧密方式でポリウレタン樹脂によって包み込まれた埋込が形成された。埋込材料内のSiO2粒子の百分率は、0.5質量%になった。硬化されてポリウレタン樹脂になった埋込化合物の約5mgサンプルが採取され、ガラス転移温度がDSC分析によって決定された。比較例1によって生成されたポリウレタン樹脂と比較したポリウレタン樹脂のガラス転移温度の上昇は、6.3℃になった。
UV100を110℃で一定質量まで乾燥させる。UV100の53gが、イソシアネート成分の947gと混合され、室温で24hにわたって撹拌される。UV100のイソシアネート含有付加物とイソシアネート成分とを含有する化合物が得られる。ポリオール成分の100gとイソシアネート含有付加物を含有する得られる化合物の26.5gとが混合されて埋込化合物になる。10752中空繊維膜を含む中空繊維膜バンドルは、34mmの内径を有する円筒形フィルタハウジングの中に挿入される。繊維の外径は255μm、壁厚は35μmになった。充填密度は60.5%であった。フィルタハウジングが中空繊維膜の埋込に提供される。埋込ゾーンは、中空繊維膜の繊維端部を含む。22mmの埋込高さを保証することができると考えられるまでポリウレタン樹脂が追加される。埋込化合物は、EP 2 024 067 A1に説明されている方法に従って回転下でフィルタハウジング内の埋込ゾーンの中に導入され、45℃でポリウレタン樹脂まで硬化される。中空繊維膜が圧密方式でポリウレタン樹脂によって包み込まれた埋込が形成された。埋込材料内の無機粒子の百分率は、合計1.2質量%になった。硬化されてポリウレタン樹脂になった埋込化合物の約5mgサンプルが採取され、ガラス転移温度がDSC分析によって決定された。比較例1によって生成されたポリウレタン樹脂と比較したポリウレタン樹脂のガラス転移温度の上昇は、7.1℃になった。