(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091656
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】新規抗体およびヌクレオチド配列、ならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240628BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240628BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240628BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240628BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240628BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240628BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240628BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240628BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240628BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N7/01
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/08
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/12
A61K35/76
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024059450
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2021512914の分割
【原出願日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】18192311.1
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520031025
【氏名又は名称】バイオインベント インターナショナル アクティエボラーグ
(71)【出願人】
【識別番号】521091985
【氏名又は名称】トランジェヌ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン フレンデウス
(72)【発明者】
【氏名】イングリッド テイゲ
(72)【発明者】
【氏名】モニカ センリヒ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ モルテンソン
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ ホルムコビスト
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-バティスト マルシャン
(72)【発明者】
【氏名】ナタリ シルベストル
(57)【要約】
【課題】新規抗CTLA-4抗体分子、ならびにそのような抗体分子をコードするヌクレオチド配列およびウイルスなどの発現ベクターが記載される。
【解決手段】新規抗体分子はTreg枯渇抗体分子であり、これらはイピリムマブと比較して、TregなどのCTLA-4陽性細胞に対する改善された枯渇効果を有する。固形腫瘍などの癌の治療などの医薬におけるそのような抗体分子またはヌクレオチド配列またはウイルスの使用も記載される。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTLA-4に特異的に結合し、イピリムマブと比較してCTLA-4陽性細胞に対する改善された枯渇効果を有する抗体分子。
【請求項2】
イピリムマブと比較して、CD4陽性細胞に対する改善された枯渇効果を有する、請求項1に記載の抗体分子。
【請求項3】
イピリムマブと比較して、Tregに対する改善された枯渇効果を有する、請求項1または2に記載の抗体分子。
【請求項4】
前記抗体分子が、
(i)CD16-158V対立遺伝子をGFPとともに発現するように安定的にトランスフェクトされたNK-92細胞株を使用して実行されるインビトロADCC試験であって、前記ADCC試験が、以下の連続したステップ:
1)標的細胞としての、CTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞、またはTregを、健康なドナーの末梢血から単離するステップ、
2)次に、前記標的細胞をCD3/CD28およびrhIL-2で刺激するステップ、
3)次に、前記標的細胞を前記抗体分子とプレインキュベートし、次いでNK細胞と混合するステップ、
4)次に、前記標的細胞を、1つのHEPESバッファー、ピルビン酸ナトリウム、およびFBS低IgGを含有するRPMI 1640+GlutaMAX培地でインキュベートするステップ、
5)溶解をフローサイトメトリーによって決定するステップ、
6)ステップ3で前記抗体分子の代わりに使用されるイピリムマブを用いて、ステップ1~5を繰り返すか、または並行して実行するステップ、
7)前記抗体分子の前記溶解の結果をイピリムマブの溶解の結果と比較し、イピリムマブと比較して前記抗体分子の改善された溶解が、前記抗体分子が、CTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞および/またはTregに対する改善した枯渇効果を有することを示しているステップ、を含む、インビトロADCC試験、ならびに/あるいは
(ii)PBMC-NOG/SCIDモデルにおけるインビボ試験であって、前記インビボ試験は以下の連続したステップ:
1)ヒトPBMCを単離し、洗浄し、滅菌PBSに再懸濁するステップ、
2)NOGマウスにステップ1)からの細胞懸濁液を静脈内注射するステップ、
3)前記NOGマウスから脾臓を単離し、単一細胞懸濁液にするステップ、
4)ステップ3)からの前記細胞懸濁液を滅菌PBSに再懸濁するステップ、
5)SCIDマウスにステップ4からの懸濁液を腹腔内注射するステップ、
6)次に、前記SCIDマウスを前記抗体分子、イピリムマブ、またはアイソタイプ対照モノクローナル抗体のいずれかで処理するステップ、
7)処理された前記SCIDマウスの腹腔内液を収集するステップ、
8)ヒトT細胞サブセットを、次のマーカー:CD45、CD4、CD8、CD25、CD127を使用してFACSによって同定および定量化するステップ、
9)前記抗体分子で処理された前記マウスからの前記T細胞サブセットの同定および定量化の結果を、イピリムマブで処理された前記マウスからの前記T細胞サブセットの同定および定量化の結果、ならびにアイソタイプ対照モノクローナル抗体で処理された前記マウスからの前記T細胞サブセットの同定および定量化の結果と比較し、イピリムマブで処理されたマウスの前記腹腔内液中のCTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞および/またはTregの数と比較して試験対象の前記抗体分子で処理されたマウスの前記腹腔内液中のCTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞、および/またはTregの数が少ないことが、前記抗体分子がイピリムマブと比較してCTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞および/またはTregに対する改善した枯渇効果を有することを示しているステップ、を含む、PBMC-NOG/SCIDモデルでのインビボ試験、において改善された枯渇が示される場合に、イピリムマブと比較して、CTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞および/またはTregに対する改善された枯渇効果を有するとみなされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項5】
前記抗体分子が、配列番号3、6、8、10、12および14からなる群から選択される1~6個のCDRを含む抗体分子からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項6】
前記抗体分子が、CDR、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1およびVL-CDR3のうちの1~6個を含む抗体分子からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR1は、配列番号15、22、29および35からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR2は、配列番号16、23、30、および36からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR3は、配列番号17、24、31および37からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR1は、配列番号10および38からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR2は、配列番号18、25、32および39からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR3は、配列番号19、26および40からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項7】
前記抗体分子が、配列番号15、16、17、10、18および19を有する6個のCDRまたは配列番号22、23、24、10、25および26を有する6個のCDRを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項8】
CTLA-4に特異的に結合する抗体分子であって、前記抗体分子は、配列番号15、16、17、10、18および19を有する6個のCDRまたは配列番号22、23、24、10、25および26を有する6個のCDRを含む、抗体分子。
【請求項9】
前記抗体分子が、配列番号20および27からなる群から選択される可変重鎖ならびに/または配列番号21および28からなる群から選択される可変軽鎖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項10】
前記抗体分子が、配列番号43の重鎖定常領域および/または配列番号44の軽鎖定常領域を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項11】
前記抗体分子が、請求項7~10のいずれか一項に記載の抗体分子と、CTLA-4への結合について競合することができる抗体分子である、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項12】
前記抗体分子が、フルサイズ抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab、Fv、scFv、Fab’、および(Fab’)2からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項13】
ヒトCTLA-4(hCTLA-4)に、および/またはカニクイザルCTLA-4(cmCTLA-4)に、および/またはマウスCTLA-4(mCTLA-4)に、結合する、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項14】
ヒトCD28に結合しない、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項15】
前記抗体分子が、ヒトIgG抗体、ヒト化IgG抗体、およびヒト由来のIgG抗体からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項16】
前記抗体分子がヒトIgG1抗体である、請求項15に記載の抗体分子。
【請求項17】
前記抗体分子がモノクローナル抗体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子をコードする、単離されたヌクレオチド配列。
【請求項19】
配列番号45~52からなる群から選択される配列を含む、またはそれからなる、請求項18に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項20】
請求項18または19に記載のヌクレオチド配列を含む、プラスミド。
【請求項21】
請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、または請求項20に記載のプラスミドを含む、ウイルス。
【請求項22】
腫瘍溶解性ウイルスであり、好ましくは腫瘍溶解性ポックスウイルスである、請求項21に記載のウイルス。
【請求項23】
前記ポックスウイルスが、コードポックスウイルス(Chordopoxviridae)亜科に属し、より好ましくは、ワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、エクトロメリアウイルスおよび粘液腫ウイルスからなる群から好ましくは選択される、オルソポックスウイルス属に属する、請求項22に記載のウイルス。
【請求項24】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、チミジンキナーゼ(TK)および/またはリボヌクレオチドレダクターゼ(RR)の両方の活性に欠陥があり、配列番号20および配列番号21、または配列番号53および配列番号54をコードするヌクレオチド配列を含む、ワクシニアウイルスである、請求項23に記載のウイルス。
【請求項25】
前記腫瘍溶解性ワクシニアウイルスが、GM-CSFをコードするヌクレオチド配列、特に好ましくはヒトGM-CSF(例えば、配列番号55もしくは配列番号56を有する)またはマウスGM-CSF(例えば、配列番号57もしくは配列番号58を有する)をコードするヌクレオチド配列、をさらに含む、請求項24に記載のウイルス。
【請求項26】
重鎖をコードするカセットが、J2R遺伝子座に挿入され、軽鎖をコードするカセットが、I4L遺伝子座に挿入される、請求項21~25のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項27】
請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、または請求項20に記載のプラスミド、または請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルスを含む、細胞。
【請求項28】
医薬において使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子、請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、請求項20に記載のプラスミド、請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルス、または請求項27に記載の細胞。
【請求項29】
癌の治療において使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子、請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、請求項20に記載のプラスミド、請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルス、または請求項27に記載の細胞。
【請求項30】
癌の治療において使用するための薬学的組成物の製造のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子、請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、請求項20に記載のプラスミド、請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルス、または請求項27に記載の細胞の使用。
【請求項31】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子、請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、請求項20に記載のプラスミド、請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルスまたは請求項27に記載の細胞、ならびに任意選択で、薬学的に許容される希釈剤、担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含むかまたはそれらからなる薬学的組成物。
【請求項32】
癌の治療において使用するための請求項31に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
対象における癌の治療方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体分子、請求項18もしくは19に記載のヌクレオチド配列、請求項20に記載のプラスミド、請求項21~26のいずれか一項に記載のウイルス、請求項27に記載の細胞、または請求項31に記載の薬学的組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記癌が固形癌である、請求項24に記載の使用のための抗体分子、請求項29に記載の使用のためのヌクレオチド配列、請求項29に記載の使用のためのプラスミド、請求項29に記載の使用のためのウイルス、請求項29に記載の使用のための細胞、請求項30に記載の使用、請求項32に記載の薬学的組成物、または請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規抗CTLA-4抗体分子、癌療法においてそれを使用するためのそのような抗体分子をコードするヌクレオチド配列および発現ベクター(例えば腫瘍溶解性ウイルス)に関する。新規抗体は、イピリムマブと比較して改善したTregの枯渇を有する。
【背景技術】
【0002】
CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4またはCTLA4)は、T細胞の活性化を遮断するB7/CD28ファミリーのメンバーである。CTLA-4は活性化T細胞で発現し、抑制シグナルをT細胞に伝達する。これはT細胞共刺激タンパク質CD28と相同であり、CTLA-4およびCD28の両方がCD80(B7-1とも表示)およびCD86(B7-2とも表示)に結合する。CTLA4は調節性T細胞(Treg)にも見られ、その抑制機能に寄与している。CTLA-4タンパク質には、細胞外Vドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部が含有されている。
【0003】
CTLA-4とそのリガンドB7.1およびB7.2との相互作用を遮断する抗体は、免疫応答を増強することができ、強力な抗腫瘍免疫を刺激できることが示されている(Korman et al 2006,Checkpoint blockade in cancer immunotherapy,Adv Immunol.90:297-339)。
【0004】
免疫調節性モノクローナル抗体(mAb)を用いた有望な臨床結果によって、免疫系が癌制御の鍵を握っているとの考えが復活している。これらのmAbの、チェックポイントブロッカー(アンタゴニスト)または共刺激分子の活性化因子(アゴニスト)への分類は最近、両方のタイプの例が、抑制性調節性T細胞(Treg)の枯渇を通じて腫瘍と闘う可能性があるという発見により、疑問視されている。
【0005】
イピリムマブや他の抗CTLA4抗体などの免疫調節性mAbは、少数の患者ではあるが、治療が困難な悪性腫瘍で試験した場合に肯定的な結果を示した(Hodi,F.S.,et al.2010,N Engl J Med 363(8):711-723、Beatty,G.L.,et al.2011,Science 331(6024):1612-1616、Brahmer,J.R.,et al.2012,N Engl J Med 366(26):2455-2465、Topalian,S.L.,et al.2012 N Engl J Med 366(26):2443-2454)。これらの有望な結果は、免疫系が癌制御の鍵を握り得るという考えの再活性化を助長している。これらのmAbは、T細胞または抗原提示細胞(APC)の重要な分子調節因子を標的とし、抑制シグナルの遮断(チェックポイントブロッカー)、または共刺激シグナルの送達(アゴニスト)を通じて、抗癌免疫を増強するために生成された。最近、この二項分類は、すべてT細胞を標的とする抗CTLA4抗体、抗GITR抗体、および抗OX40抗体の治療活性が、活性化FcγRの共関与に依存する抑制性CD4+T調節性細胞の欠失を伴うことが明らかになった際に疑問視されている(Bulliard,Jolicoeur et al.2013、Marabelle,A.,et al.2013,J Clin Invest 123(6):2447-2463;、Simpson,T.R.,et.J Exp Med 210(9):1695-1710)。
【0006】
モノクローナルCTLA-4抗体である、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、以前は10D1、BMS-734016、MDX 101、MDX-010、MDX-CTLA-4、MDX-CTLA4と表記)は、黒色腫の治療のためにいくつかの国で承認されており、他の適応症について臨床試験が行われている(Weber 2008,Overcoming immunologic tolerance to melanoma:targeting CTLA-4 with ipilimumab(MDX-010)Oncologist,13(Suppl 4):16-25)。イピリムマブは、組換えDNA技術によってチャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される完全ヒト抗CTLA-4モノクローナル抗体(IgG1κ)である。それには477202-00-9および6T8C155666がある。イピリムマブは、US9789182でさらに定義されており、イピリムマブの重鎖および軽鎖の配列(それぞれ配列番号17および18として)、VHおよび/またはVL領域の配列(それぞれ配列番号19および配列番号20として)ならびにCDR配列(配列番号21、22、および23に記載の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3、ならびに配列番号24、25、および26に記載の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3)も示している。
【0007】
いくつかの臨床試験で検査されている第2の完全ヒトモノクローナル抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(以前のチシリムマブ、CP-675,206)である(Ribas 2008,Overcoming immunologic tolerance to melanoma:targeting CTLA-4 with tremelimumab(CP-675,206)Oncologist,13(Suppl 4):10-5、Callahan et al 2010,Anti-CTLA-4 Antibody Therapy:Immune Monitoring During Clinical Development of a Novel Immunotherapy.Semin Oncol.37(5):473-484.、Blank et al 2015,Therapeutic use of anti-CTLA-4 antibodies..International Immunology,27(1):3-10)。
【0008】
抗CTLA-4抗体は、以下を含むいくつかの特許出願および特許に記載されている。
【0009】
WO93/00431は、CTLA4受容体タンパク質、CTLA4Ig融合タンパク質、およびそのような融合タンパク質またはモノクローナル抗体を使用して細胞相互作用を調節するための方法に言及している。
【0010】
WO97/20574は、CTLA-4シグナル伝達に関連するTリンパ球の下方調節の遮断、および抗原性の刺激に対する哺乳類T細胞の応答を増加させるかまたは哺乳類の宿主における腫瘍細胞の増殖を減少させるCTLA-4の細胞外ドメインに対する抗体以外のCTLA-4遮断剤、に言及している。
【0011】
WO00/37504は、ヒト抗CTLA-4抗体および癌の治療におけるそのような抗体の使用に言及している。WO00/37504はさらに、上記のヒトモノクローナル抗体トレメリムマブに言及しており、これは、その特許出願では11.2.1と示されている。WO01/14424はまた、ヒトCTLA-4に特異的に結合するヒト抗体、および癌などのヒトの疾患および感染症の治療におけるその使用に言及している。WO01/14424はさらに、上記したかつさらに後述するヒトモノクローナル抗体イピリムマブに言及しており、これは、その特許出願では10D1と示されている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、CTLA-4に特異的に結合し、イピリムマブと比較してCTLA-4陽性細胞に対する改善された枯渇効果を有する抗体分子に関する。
【0013】
さらに、本発明は、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子に関し、この抗体分子は、配列番号15、16、17、10、18および19を有する6個のCDRまたは配列番号22、23、24、10、25および26を有する6個のCDRを含む。
【0014】
さらに、本発明は、上記の抗体分子をコードする単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0015】
さらに、本発明は、上記のヌクレオチド配列を含むプラスミドに関する。
【0016】
さらに、本発明は、上記のヌクレオチド配列または上記のプラスミドを含む腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルスに関する。
【0017】
さらに、本発明は、上記のヌクレオチド配列または上記のプラスミドを含む、CAR T細胞などの細胞に関する。
【0018】
さらに、本発明は、医薬において使用するための上記の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミドおよび/または細胞に関する。
【0019】
さらに、本発明は、癌の治療において使用するための上記の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞に関する。
【0020】
さらに、本発明は、癌の治療において使用するための薬学的組成物の製造のための上記の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞の使用に関する。
【0021】
さらに、本発明は、上記の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞のうちの少なくとも1つ、および任意選択で薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0022】
さらに、本発明は、治療有効量の上記の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞および/または薬学的組成物のうちの少なくとも1つを対象に投与することを含む、対象における癌の治療のための方法に関する。
【0023】
さらに、本発明は、詳細な説明、実施例および/または図を参照して本明細書に記載される、抗体分子、使用するための抗体分子、単離されたヌクレオチド配列、使用するための単離されたヌクレオチド配列、プラスミド、使用するためのプラスミド、ウイルス、使用するためのウイルス、細胞、使用するための細胞、使用、薬学的組成物または治療方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
CTLA-4陽性細胞は、調節性T細胞、Treg細胞、TregまたはTreg(以前は抑制性T細胞として既知であり、時には抑制性調節性T細胞とも称される)を含み、通常の免疫環境下および病理学的な免疫環境下で他の免疫細胞を抑制することが可能なT細胞の亜集団である。Tregは、CD4陽性細胞(CD4+細胞)である。Tregではない他のCD4+T細胞があるが、ただし、非Treg CD4+細胞は、FOXP3陰性(FOXP3-)であるのに対し、TregはまたFOXP3陽性(FOXP3+)であるという点で、Tregは非Treg CD4+細胞から分離できる。
【0025】
イピリムマブと同様に、本明細書に記載の抗CTLA-4抗体分子は、少なくとも部分的に、TregなどのCTLA-4陽性細胞を枯渇させることによって作用する。さらに、イピリムマブと同様に、本明細書に記載の抗CTLA-4抗体分子は、CTLA-4とB7.1およびB7.2との相互作用を遮断する。したがって、これらの抗体は、結果として、エフェクターT細胞増殖に対するCTLA-4誘導抑制効果を克服するのに役立つ。
【0026】
本明細書では、Tregの枯渇、またはTreg枯渇とは、細胞の物理的クリアランスを通じたTregの枯渇、欠失、または排除を指す。具体的には、腫瘍内Tregの枯渇を指す。Tregの枯渇は、ADCC、すなわち抗体依存性細胞媒介性細胞傷害または抗体依存性細胞傷害、および/またはADCP、すなわち抗体依存性細胞食作用を介して達成され得る。これは、本明細書に記載の抗体分子がヒトなどの対象に投与されると、それがTregの表面に発現されるCTLA-4に特異的に結合し、この結合がTregの枯渇をもたらすことを意味する。いくつかの実施形態では、CTLA-4は、腫瘍微小環境における腫瘍浸潤リンパ球または腫瘍細胞に優先的に発現される。
【0027】
ADCCは、Fc受容体を有するエフェクター細胞が、腫瘍由来の抗原、すなわちこの場合はCTLA-4、を表面に発現している抗体でコーティングされた標的細胞を認識して死滅させることができる免疫機構である。ADCPも同様の機構であるが、細胞傷害性ではなく食作用によって標的細胞を死滅させる。
【0028】
抗体は、免疫学および分子生物学分野の当業者には公知である。通常は、抗体は、2つの重鎖(H)と、2つの軽鎖(L)と、を含む。本明細書では、時には、この完全な抗体分子をフルサイズ抗体または完全長抗体と称する。抗体の重鎖は、1つの可変領域(VH)および3つの定常領域(CH1、CH2、CH3)を含み、抗体分子の軽鎖は、1つの可変領域(VL)および1つの定常領域(CL)を含む。可変領域(時にFV領域と総称される)は、抗体の標的、または抗原に結合する。各可変領域は、相補性決定領域(CDR)と称される3つのループを含み、これらのループが標的の結合に関与する。定常領域は、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、種々のエフェクター機能を呈する。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体または免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの主要なクラスがあり、ヒトでは、これらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4;IgA1およびIgA2に分割される。抗体の別の部分は、Fcドメイン(あるいは断片結晶性ドメインとしても知られている)であり、抗体の重鎖の各々の2つの定常ドメインを含む。Fcドメインは、抗体とFc受容体との間の相互作用に関与する。
【0029】
Fc受容体は、多くの場合、免疫系の細胞の細胞表面上に見られる膜タンパク質である(すなわち、Fc受容体は、標的細胞膜上に見られる-あるいは形質膜または細胞質膜としても知られている)。Fc受容体の役割は、Fcドメインを介して抗体に結合し、抗体を細胞内に取り込むことである。免疫系では、これによって、抗体媒介性食作用、および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害をもたらし得る。
【0030】
本明細書で用いる場合、抗体分子という用語は、完全長抗体またはフルサイズ抗体、ならびに完全長抗体の機能的フラグメントおよびこのような抗体分子の誘導体を包含する。
【0031】
フルサイズ抗体の機能的フラグメントは、対応するフルサイズ抗体と同じ抗原結合特徴を有し、対応するフルサイズ抗体と同じ可変領域(すなわち、VH配列およびVL配列)および/または同じCDR配列のいずれかを含む。機能的フラグメントが、対応するフルサイズ抗体と同じ抗原結合特徴を有するということは、標的上のフルサイズ抗体と同じエピトープに結合することを意味する。このような機能的フラグメントは、完全サイズ抗体のFv部分に対応し得る。あるいは、このようなフラグメントは、Fc部分を含有しない、一価の抗原結合フラグメントであるF(ab)とも表されるFab、またはジスルフィド結合によって一緒に連結された2つの抗原結合Fab部分を含有する二価の抗原結合フラグメントであるF(ab’)2、またはF(ab’)、すなわちF(ab’)2の一価の変異体であり得る。このようなフラグメントは、一本鎖可変フラグメント(scFv)でもあり得る。
【0032】
機能的フラグメントは、対応するフルサイズ抗体の6個のCDRのすべてを常に含有するわけではない。3つ以下のCDR領域(場合によっては、単一のCDRだけまたはその一部)を含有する分子は、そのCDR(複数可)に由来する抗体の抗原結合活性を保持することが可能であることが理解される。例えば、全VL鎖(3個のCDRをすべて含む)がその基質に対して高い親和性を有することが、Gao et al.,1994,J.Biol.Chem.,269:32389~93に記載されている。
【0033】
2個のCDR領域を含有する分子については、例えば、Vaughan&Sollazzo 2001,Combinatorial Chemistry&High Throughput Screening,4:417~430に記載されている。418頁(右欄-3(Our Strategy for Design))に、フレームワーク領域内に散在するH1およびH2 CDR超可変領域のみを含むミニボディについて記載されている。ミニボディは、標的に結合することが可能であると記載されている。Pessi et al.,1993,Nature,362:367~9、およびBianchi et al.,1994,J.Mol.Biol.,236:649~59は、Vaughan&Sollazzoによって参照され、H1およびH2ミニボディ、ならびにその特性についてより詳細に記載している。Qiu et al.,2007,Nature Biotechnology,25:921~9では、2つの結合されたCDRからなる分子が抗原に結合することが可能であることが示されている。Quiocho 1993,Nature,362:293~4は、「ミニボディ」技術の概要を提供している。Ladner 2007,Nature Biotechnology,25:875~7は、2個のCDRを含有する分子が抗原結合活性を保持することが可能であると見解を述べている。
【0034】
単一のCDR領域を含有する抗体分子については、例えば、Laune et al.,1997,JBC,272:30937~44に記載されており、ここでは、CDRに由来するさまざまなヘキサペプチドが抗原結合活性を表すことが示され、完全な単一のCDRの合成ペプチドが強力な結合活性を示すことに言及している。Monnet et al.,1999,JBC,274:3789~96では、さまざまな12量体ペプチドおよび関連するフレームワーク領域が、抗原結合活性を有することが示されており、CDR3様ペプチド単独で抗原に結合することが可能であると見解を述べている。Heap et al.,2005,J.Gen.Virol.,86:1791~1800では、「マイクロ抗体」(単一のCDRを含有する分子)は抗原に結合することが可能であることが報告されており、抗HIV抗体からの環状ペプチドが、抗原結合活性および機能を有することが示されている。Nicaise et al.,2004,Protein Science,13:1882~91では、単一のCDRが、そのリゾチーム抗原に対する抗原結合活性および親和性を付与し得ることが示されている。
【0035】
したがって、5個、4個、3個またはそれ以下のCDRを有する抗体分子は、それらが由来する完全長抗体の抗原結合特性を保持することが可能である。
【0036】
抗体分子は、完全長抗体の誘導体またはそのような抗体のフラグメントであってもよい。誘導体が、対応する完全サイズ抗体と同じ抗原結合特徴を有するということは、完全サイズ抗体と同じ標的上のエピトープに結合することを意味する。
【0037】
したがって、本明細書で使用する場合、「抗体分子」という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、組換えて生成された抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、可変フラグメント(Fv)、二価一本鎖可変フラグメント(di-scFv)およびジスルフィド連結可変フラグメントを含む一本鎖可変フラグメント(scFvフラグメント)、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖のホモ二量体、抗体軽鎖のホモ二量体、抗体重鎖のヘテロ二量体、抗体軽鎖のヘテロ二量体、そのようなホモおよびヘテロ二量体の抗原結合機能的フラグメントを含む、すべてのタイプの抗体分子、ならびにそれらの機能的フラグメントおよびそれらの誘導体を含む。
【0038】
さらに、本明細書で使用される場合、「抗体分子」という用語は、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgD、およびIgEを含む、すべてのクラスの抗体分子および機能的フラグメントを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG1である。当業者は、マウスIgG2aおよびヒトIgG1が、活性化Fcガンマ受容体と生産的に結合し、例えばADCPおよびADCCによる、活性化Fcガンマ受容体を担持する免疫細胞(例えばマクロファージおよびNK細胞)の活性化を通じて、標的細胞の欠失を活性化する能力を共有していることを認識している。このように、マウスIgG2aは、マウスでの欠失に好ましいアイソタイプである一方で、ヒトIgG1は、ヒトにおける欠失に好ましいアイソタイプである。逆に、TNFRスーパーファミリーのアゴニスト受容体、例えば4-1BB、OX40、TNFRII、CD40の最適な共刺激は、抑制性FcγRIIの抗体結合に依存することが知られている。マウスでは、抑制性Fcガンマ受容体(FcγRIIB)に優先的に結合し、活性化Fcガンマ受容体に弱くのみ結合するIgG1アイソタイプは、mAbを標的とするTNFRスーパーファミリーの共刺激活性に最適であることが知られている。ヒトでのマウスIgG1アイソタイプの直接的な同等物については記載されていないが、活性化ヒトFcガンマ受容体を上回る抑制性ヒトFcガンマ受容体への同様に向上した結合を示すように抗体を操作することができる。そのような操作されたTNFRスーパーファミリー標的化抗体はまた、ヒト活性化および抑制性Fcガンマ受容体を発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて、インビボでの共刺激活性を改善している(Dahan et al,2016,Therapeutic Activity of Agonistic,Human Anti-CD40 Monoclonal Antibodies Requires Selective FcγR Engagement.Cancer Cell.29(6):820-31)。
【0040】
上記で概説したように、抗体分子の異なるタイプおよび形態が本発明に含まれ、免疫学当業者には既知であろう。治療目的に使用される抗体は、多くの場合、抗体分子の特性を修正する追加の構成成分を用いて改変されることが公知である。
【0041】
したがって、本発明の抗体分子または本発明に従って使用される抗体分子(例えば、モノクローナル抗体分子、および/またはポリクローナル抗体分子、および/または二重特異性抗体分子)は、検出可能な部分および/または細胞傷害性部分を備える場合を含む。
【0042】
「検出可能な部分」とは、酵素、放射性原子、蛍光部分、化学発光部分、生物発光部分で構成される群からの1つ以上を含む。検出可能な部分により、抗体分子をインビトロ、および/またはインビボ、および/またはエクスビボで視覚化することが可能になる。
【0043】
「細胞傷害性部分」とは、放射性部分および/または酵素が挙げられ、例えば、酵素はカスパーゼおよび/または毒素であり、例えば毒素は細菌毒素または毒液であり、細胞傷害性部分は細胞溶解を誘導することが可能である。
【0044】
さらに、抗体分子は、単離された形態および/または精製された形態であってよく、ならびに/またはPEG化されてもよいことを含む。
【0045】
上述のように、抗体のCDRは、抗体標的に結合する。本明細書に記載の各CDRへのアミノ酸の割り当ては、Kabat EAら、1991、“Sequences of Proteins of Immulogical Interest」Fifth Edition,NIH Publication No.91-3242,pp xv-xviiによる定義に従う。
【0046】
当業者が認識するように、アミノ酸を各CDRに割り当てるための他の方法も存在する。例えば、International ImMunoGeneTics information system(IMGT(商標))(http://www.imgt.org/およびAcademic Press,2001により出版のLefranc and Lefranc“The Immunoglobulin FactsBook”published by)。
【0047】
さらなる実施形態では、本発明のまたは本発明に従って使用される抗体分子は、配列番号15、16、17、10、18および19または配列番号22、23、24、10、25および26を含む抗体分子などの、本明細書に記載の特定の抗体と競合することができる抗体分子である。
【0048】
「競合することが可能である」とは、競合抗体が、本明細書で定義される抗体分子の特定の標的への結合を少なくとも部分的に抑制またはその他の方法で干渉する能力があることを意味する。
【0049】
例えば、そのような競合抗体分子は、本明細書に記載の抗体分子の結合を、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、または少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%抑制可能であり得るか、かつ/あるいは本明細書に記載の抗体の特定の標的への結合能力を抑制可能であり得、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%防止または低減し得る。
【0050】
競合結合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの当業者に公知の方法によって決定することができる。
【0051】
ELISAアッセイを使用して、エピトープ修飾抗体または遮断抗体を評価することができる。競合抗体を同定するために好適な追加の方法は、参照により本明細書に組み込まれるAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow&Laneに開示されている(例えば、567~569頁、574~576頁、583頁、および590~612頁、1988,CSHL,NY,ISBN0-87969-314-2を参照されたい)。
【0052】
抗体が定義された標的分子または抗原に特異的に結合すること、かつ、これは、抗体が、標的ではない分子ではなく、その標的に優先的かつ選択的に結合することを意味することはよく知られている。
【0053】
本発明による抗体の、または本発明に従って使用される抗体の、標的CTLA-4は、細胞の表面で発現し、すなわち、それらは抗体にとっての、エピトープ(あるいは、これに関連して細胞表面エピトープとして既知である)を含む、細胞表面抗原である。細胞表面抗原およびエピトープは、免疫学または細胞生物学の当業者によって容易に理解される用語である。
【0054】
「細胞表面抗原」とは、本明細書に記載の抗体分子が細胞膜の細胞外側に露出している細胞表面抗原または少なくともそのエピトープを含む。
【0055】
タンパク質の結合を評価する方法は、生化学および免疫学の当業者には既知である。当業者であれば、それらの方法を使用して、抗体の標的への結合および/または抗体のFcドメインのFc受容体への結合、ならびにそれらの相互作用の相対的な強度、または特異性、抑制、または防止、または低減を評価することができることを理解するであろう。タンパク質の結合を評価するために使用され得る方法の例は、例えば、イムノアッセイ、BIAcore、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)がある(抗体特異性に関する考察については、Fundamental Immunology 第2版,Raven Press,New York、332~336頁(1989)を参照されたい)。
【0056】
したがって、本明細書において、「CTLA-4に特異的に結合する抗体分子」および「抗CTLA-4抗体分子」の両方は、標的CTLA-4に特異的に結合するが非標的に結合しない、または標的よりも弱く(親和性が低いなど)非標的に結合する抗体分子を指す。
【0057】
いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子(または抗CTLA-4抗体分子)は、CTLA-4の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体分子を指す。
【0058】
いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子(または抗CTLA-4抗体分子)は、CD28と交差反応しない。いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子(または抗CTLA-4抗体分子)は、CTLA-4のCD80および/またはCD86への結合を遮断し、それにより、CLTA-4シグナル伝達を阻害する。
【0059】
また、抗体が標的CTLA-4に、非標的よりも、少なくとも2倍強く、または少なくとも5倍強く、または少なくとも10倍強く、または少なくとも20倍強く、または少なくとも50倍強く、または少なくとも100倍強く、または少なくとも200倍強く、または少なくとも500倍強く、または少なくとも約1000倍強く、特異的に結合するという意味を含む。
【0060】
加えて、抗体が標的CTLA-4に、少なくとも約10-1Kd、または少なくとも約10-2Kd、または少なくとも約10-3Kd、または少なくとも約10-4Kd、または少なくとも約10-5Kd、または少なくとも約10-6Kd、または少なくとも約10-7Kd、または少なくとも約10-8Kd、または少なくとも約10-9Kd、または少なくとも約10-10Kd、または少なくとも約10-11Kd、または少なくとも約10-12Kd、または少なくとも約10-13Kd、または少なくとも約10-14Kd、または少なくとも約10-15KdのKdで結合する場合、抗体が標的CTLA-4に特異的に結合するという意味を含む。
【0061】
上記のように、本明細書に記載のCTLA-4に特異的に結合する抗体分子(または抗CTLA-4抗体分子)は、イピリムマブと比較して、CTLA-4陽性細胞に対する改善された枯渇効果を有する。
【0062】
抗体分子がCTLA-4陽性細胞に枯渇効果を有するということは、ヒトなどの対象に投与すると、そのような抗体がCTLA-4陽性細胞の表面に発現するCTLA-4に特異的に結合し、この結合がそのような細胞の枯渇をもたらすことを意味する。
【0063】
いくつかの実施形態では、CTLA-4陽性細胞は、CD4陽性(CD4+)細胞、すなわち、CD4を発現する細胞である。
【0064】
いくつかの実施形態では、CTLA-4陽性細胞は、CD4陽性およびFOXP3陽性の両方であり、すなわち、CD4およびFOXP3の両方を発現する。これらの細胞はTregである。CD8陽性T細胞もCTLA-4を発現するが、TregはCD8陽性T細胞よりも有意に高いレベルのCTLA-4を発現する。これにより、Tregは、発現の少ないCD8+細胞と比較して枯渇しやすくなる。
【0065】
状況によっては、CTLA-4は腫瘍微小環境の免疫細胞(腫瘍浸潤細胞、TILS)に優先的に発現する。
【0066】
したがって、腫瘍微小環境では、TregはCTLA-4の発現が最も高い細胞となり、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子(または抗CTLA-4抗体分子)がTreg枯渇効果を有することとなる。これについては、以下、例えば実施例4で、
図13に関連して詳しく説明する。
【0067】
いくつかの実施形態では、CTLA-4陽性細胞は、固形腫瘍におけるTregである。そのようなTregは、CTLA-4の非常に高い発現を有するため、CTLA-4に特異的に結合する抗体分子を投与すると、そのようなTregの枯渇を優先的にもたらす。
【0068】
上記のように、本明細書に記載の抗CTLA-4抗体分子は、Treg枯渇抗体分子であり、これは、ヒトなどの対象に投与すると、そのような抗体分子が、Tregの表面に発現するCTLA-4に特異的に結合し、この結合がTregの枯渇をもたらすことを意味する。
【0069】
抗体分子が、本明細書で言及されるイピリムマブと比較してCTLA-4陽性細胞に対する改善した枯渇効果を有する抗体分子であるかどうかを決定するために、インビトロ抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)アッセイまたはPBMC-NOG/SCIDモデルでのインビボ試験を使用することが可能である。
【0070】
CD16-158V対立遺伝子をGFPとともに発現するように安定的にトランスフェクトされたNK-92細胞株を使用して実行されるインビトロADCC試験であって、ADCC試験は以下の連続した7つのステップを含む:
1)標的細胞としての、CTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞、またはTregを、健康なドナーの末梢血から単離するステップ。この単離は、Miltenyi Biotecの市販キットなどのCD4+T細胞単離キットを使用して行うことができる。
2)次に、標的細胞をCD3/CD28で、例えば、CD3/CD28 Dynabeads(登録商標)およびrhIL-2、例えば、50ng/mlのrhIL-2を使用して、例えば48時間刺激するステップ。刺激は37℃で行うことができる。
3)次に、標的細胞を、試験される抗体分子と、例えば、10μg/mlで、4℃で30分間プレインキュベートし、次にNK細胞と混合するステップ。
4)次に、標的細胞を、HEPESバッファー、ピルビン酸ナトリウム、およびFBS低IgGを含有するRPMI 1640+GlutaMAX培地で、適切な時間、例えば4時間インキュベートするステップ。RPMI 1640+GlutaMAX培地には、10mM HEPESバッファー、1mMピルビン酸ナトリウムおよび10%FBS低IgGを含有してよく、エフェクター:標的細胞の比率は2:1であってよい。
5)溶解をフローサイトメトリーによって決定するステップ。
6)ステップ3で試験された抗体分子の代わりに使用されるイピリムマブを用いて、ステップ1~5を繰り返すか、または並行して実行するステップ。
7)試験した抗体分子の溶解結果を、イピリムマブの溶解結果と比較するステップ。イピリムマブと比較して試験された抗体分子の改善された溶解は、この試験された抗体分子が、使用された標的細胞に応じて、CTLA-4陽性細胞、CD4陽性細胞またはTregに対してそれぞれ改善された枯渇効果を有することを示している。
【0071】
いくつかの実施形態では、上記のステップ7)における改善された枯渇効果は、有意に改善された枯渇効果である。
【0072】
このアッセイは、
図12と組み合わせて、以下の実施例4でより詳細に示されている。
【0073】
インビボ試験は、本明細書ではPBMC-NOG/SCIDモデルと呼ばれる、PBMCマウスおよびNOG/SCIDマウスの併用に基づいている。PBMCマウスおよびNOG/SCIDマウス両方とも公知のモデルである。PBMC-NOG/SCIDモデルにおけるインビボ試験は、次の9つの連続したステップで構成される。
1)ヒトPBMC(末梢血単核細胞)を単離し、洗浄し、滅菌PBSに再懸濁するステップ。いくつかの実施形態では、PBMCは、75×106細胞/mlでPBSに再懸濁される。
2)NOGマウスに、ステップ1)からの細胞懸濁液の適切な量、例えば200μlを、i.v.(静脈内)注射するステップ。200μLを注射している場合は、これは15×106細胞/マウスに相当する。
3)注射後、適切な時期に例えば2週間、NOGマウスから脾臓を単離し、単一細胞懸濁液にするステップ。任意選択で、単一細胞懸濁液から少量の試料を採取して、CTLA-4の発現を確認するために、FACSによってヒトT細胞上のCTLA-4の発現を決定する。
4)ステップ3)の細胞懸濁液を滅菌PBSに再懸濁するステップ。いくつかの実施形態では、懸濁液は、50×106細胞/mlで滅菌PBSに再懸濁される。任意選択のCTLA-4発現決定がステップ3に含まれている場合、残りの細胞懸濁液はステップ4で再懸濁される。
5)SCIDマウスに、ステップ4からの懸濁液の適切な量、例えば200μlを、i.p.(腹腔内)注射するステップ。200μLを注射している場合は、これは10×106細胞/マウスに相当する。
6)ステップ5)の注射後、適切な時間に例えば1時間、SCIDマウスを、試験される抗体分子、イピリムマブまたはアイソタイプ対照モノクローナル抗体のいずれかの適切な量、例えば10mg/kgで処理するステップ。
7)処理されたSCIDマウスの腹腔内液を、ステップ6)の処理後、適切な時間例えば24時間で収集するステップ。
8)ヒトT細胞サブセットを、CD45、CD4、CD8、CD25および/またはCD127のマーカーを使用してFACSによって同定および定量化するステップ。
9)試験された抗体分子で処理したマウスからのT細胞サブセットの同定および定量化の結果を、イピリムマブで処理したマウスからのT細胞サブセットの同定および定量化の結果、ならびにアイソタイプ対照モノクローナル抗体で処理したマウスからのT細胞サブセットの同定および定量化の結果と比較するステップ。イピリムマブで処理されたマウスの腹腔内液中のCTLA-4陽性細胞の数と比較して、試験された抗体分子で処理されたマウスの腹腔内液中のCTLA-4陽性細胞の数が少ないことは、この抗体分子がイピリムマブと比較してCTLA-4陽性細胞に対する改善した枯渇効果を有することを示している。イピリムマブで処理されたマウスの腹腔内液中のCD4陽性細胞の数と比較して、試験された抗体分子で処理されたマウスの腹腔内液中のCD4陽性細胞の数が少ないことは、この抗体分子がイピリムマブと比較してCD4陽性細胞に対する改善した枯渇効果を有することを示している。イピリムマブで処理されたマウスの腹腔内液中のTregの数と比較して、試験された抗体分子で処理されたマウスの腹腔内液中のTregの数が少ないことは、この抗体分子がイピリムマブと比較してTregに対する改善した枯渇効果を有すること示している。
【0074】
このインビボ試験では、いくつかの実施形態では、ステップ7でのTreg枯渇を調べることが最も興味深い。
【0075】
このアッセイは、
図14と組み合わせて、以下の実施例4でより詳細に示されている。
【0076】
Treg枯渇はまた、当業者に知られているように、抗体依存性細胞貪食(ADCP)アッセイにおいて評価され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗体分子は、Yervoyと比較して、B7.1およびB7.2リガンドとのCTLA-4相互作用に対して同様の遮断効果を有する。これは、ELISA(
図10に示す)によって、または抗CTLA-4抗体がSEBによるPBMCの刺激に応答してT細胞によるIL-2産生を増強するより機能的なアッセイによって評価することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、ヒト抗体分子である。
【0079】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、ヒト化抗体分子である。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、ヒト由来の抗体分子であり、これは、それが、その後修飾されたヒト抗体分子に由来することを意味する。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、ヒトIgG1抗体である。
【0082】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体はまた、1つまたはいくつかの活性化Fc受容体への結合の改善を示す、かつ/あるいは1つまたはいくつかの活性化Fc受容体への結合の改善のために操作されたヒトIgG1抗体の形態の抗体であり、したがって、いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、Fc操作されたヒトIgG1抗体である。
【0083】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、マウスまたはヒト化マウスIgG2a抗体である。
【0084】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、ヒトCTLA-4と交差反応性であるマウス抗体である。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、モノクローナル抗体である。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、ポリクローナル抗体である。
【0087】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、以下の表1に示される、3つの選択的VH-CDR1配列のうちの1つ、3つの選択的VH-CDR2配列のうちの1つ、2つの選択的VH-CDR3配列のうちの1つ、2つのVL-CDR1配列のうちの1つ、2つのVL-CDR2配列のうちの1つ、および/または2つの選択的VL-CDR3配列のうちの1つを含む抗体分子である。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号3、6、8、10、12および14からなる群から選択される1~6個のCDRを含む抗体分子からなる群から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号3、6、8、10、12および14を有するCDRを含む抗体分子からなる群から選択される。
【0090】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、CDR、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、およびVL-CDR3のうちの1~6個を含む抗体分子からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR1は、配列番号15、22、29および35からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR2は、配列番号16、23、30、および36からなる群から選択され、
存在する場合、VH-CDR3は、配列番号17、24、31および37からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR1は、配列番号10および38からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR2は、配列番号18、25、32および39からなる群から選択され、
存在する場合、VL-CDR3は、配列番号19、26および40からなる群から選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、以下からなる群から選択される6個のCDRを含む抗体分子からなる群から選択される:
配列番号15、16、17、10、18および19;
配列番号22、23、24、10、25および26;
配列番号29、30、31、10、32および26;および
配列番号35、36、37、38、39および40。
【0092】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号15、16、17、10、18および19を有する6個のCDRを含む抗体分子である。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号22、23、24、10、25および26を有する6個のCDRを含む抗体分子である。
【0094】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号20、27、33および41からなる群から選択されるVHを有する抗体分子からなる群から選択される抗体分子である。
【0095】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号21、28、34および42からなる群から選択されるVLを有する抗体分子からなる群から選択される抗体分子である。
【0096】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号20~21、27~28、33~34および41~42、からなる群から選択されるVHおよびVLを有する抗体分子からなる群から選択される抗体分子である。
【0097】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号20を有するVHおよび配列番号21を有するVLを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体分子は、配列番号27を有するVHおよび配列番号28を有するVLを含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA-4抗体分子はまた、以下の表3に示される定常領域の一方または両方を含み得る。
【表3】
【0100】
イクツカノ実施形態デハ、抗CTLA-4抗体分子ハ、以下ノ表4ニ示サレルヌクレオチド配列ノウチノ1ツニヨッテコードサレル分子デアル。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0101】
いくつかの実施形態では、抗体分子が、ヒトCTLA-4(hCTLA-4)およびカニクイザルCTLA-4(cmCTLA-4またはcynoCTLA-4)の両方に結合することが有利である。カニクイザル(crab-eating macaqueまたはMacaca fascicularis)とも呼ばれるカニクイザル(cynomolgus monkey)の細胞に発現するCTLA-4との交差反応性は、特に忍容性に焦点を当てた代理抗体を使用せずにサルにおける抗体分子の試験を可能にするため、有利である可能性がある。
【0102】
いくつかの実施形態では、抗体分子がヒトCTLA-4(hCTLA-4)およびマウスCTLA-4(mCTLA-4)の両方に結合することが有利である。これは、代理抗体を使用する必要なしに、効果および薬力学に特に焦点を合わせて、マウスにおける抗体分子の試験を可能にするため、これは有利である可能性がある。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗体分子は、3つすべてのhCTLA-4、cmCTLA-4およびmCTLA-4に結合する。
【0104】
いくつかの実施形態では、マウスの関連するインビボモデルにおいて抗体分子の機能的活性を試験するには、代理抗体を使用する必要がある。ヒトにおける抗体分子の効果とマウスにおける代理抗体のインビボ結果との間の比較可能性を確実にするために、ヒト抗体分子と同じインビトロ特性を有する機能的に同等の代理抗体を選択することが不可欠である。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗体分子は、ヒトCD28に結合しない。
【0106】
例えば、薬剤が体に吸収される速度を変更するように、薬剤は、異なる添加物で改変することができ、例えば身体への特定の投与経路を可能にするように異なる形態で改変することができることは、医薬当業者には既知であろう。
【0107】
したがって、本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞を、薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、ビヒクルおよび/またはアジュバントと組み合わせて薬学的組成物にすることができることを含む。この文脈において、薬学的組成物という用語は、薬学的調製物、薬学的製剤、治療組成物、治療調製物、治療製剤、および治療実体(therapeutic entity)という用語と交換可能に使用することができる。
【0108】
本明細書に記載の薬学的組成物は、抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスまたは細胞を含み得るか、またはいくつかの実施形態ではそれらからなる。
【0109】
本明細書に記載の薬学的組成物は、いくつかの実施形態では、上記の抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含むかまたは上記のヌクレオチド配列を含む、プラスミドからなるか、またはそれを含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、細胞またはウイルスゲノムまたはビリオーム(viriome)に組み込まれた、本明細書に記載の抗体分子の一部または完全な抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含み得る。そして、薬学的組成物は、本発明の抗体の送達ビヒクル(または本発明の抗体をコードするヌクレオチド配列の送達ビヒクル)としての細胞またはウイルスを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ウイルスは、本明細書に記載される抗体分子の少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列を含む治療的腫瘍溶解性ウイルスの形態であってよい。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、完全長ヒトIgG抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、scFv、FabまたはF(ab’)2抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0111】
添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明は、一実施形態では、本発明のヌクレオチド配列または本発明のプラスミドを含むウイルスに関する。好ましくは、ウイルスは、治療的腫瘍溶解性ウイルスなどの腫瘍溶解性ウイルスである。本明細書で使用される場合、「腫瘍溶解性」という用語は、非分裂中の(例えば正常または健康)細胞内での複製を全くなくまたは最小限にしながら、インビトロまたはインビボでのいずれかで、分裂中の細胞(例えば癌細胞などの増殖細胞)において、増殖を遅らせ、および/または当該分裂中の細胞を溶解する目的で、選択的に複製するウイルスの能力を指す。「複製(Replication)」(または「複製する(replicate)」および「複製すること(replicating)」などの任意の形態の複製)は、核酸のレベルで、または好ましくは感染性ウイルス粒子のレベルで起こり得るウイルスの重複(duplication)を意味する。このような腫瘍溶解性ウイルスは、現時点で同定されているウイルスの任意のメンバーから入手することができる。それは、自然に腫瘍溶解性であるか、またはDNA複製、核酸代謝、宿主向性、表面付着、病原性、溶解および拡散に関与するものなどの分裂細胞における腫瘍選択性および/または優先的複製を増加させるように1つ以上のウイルス遺伝子を改変することによって操作され得る天然ウイルスであり得る(例えば、Wong et al.,2010,Viruses 2:78-106を参照されたい)。また、1つ以上のウイルス遺伝子(複数可)をイベントまたは組織特異的調節エレメント(例えばプロモータ)の制御下に置くことを想定することもできる。例示的な腫瘍溶解性ウイルスには、レオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、水胞性口内炎ウイルス(VSV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、モルビリウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、麻疹ウイルス、泡沫状ウイルス、アルファウイルス、レンチウイルス、インフルエンザウイルス、シンビス(Sinbis virus)ウイルス、粘液腫ウイルス、ラブドウイルス、ピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、パルボウイルスなどが含まれるが、これらに限定されない。腫瘍溶解性ウイルスは、医薬およびウイルス学の当業者に既知である。
【0112】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、ヘルペスウイルスから得られる。ヘルペスウイルス科は、すべて共通の構造を共有するDNAウイルスの大きなファミリーであり、脂質二重層膜に包まれた正二十面体キャプシド内にキャプシド形成されている、100~200個の遺伝子をコードする比較的大きな二本鎖の線形DNAゲノムで構成されている。腫瘍溶解性ヘルペスウイルスはさまざまな種類のHSVに由来する可能性があるが、HSV1とHSV2が特に好ましい。ヘルペスウイルスは、腫瘍内でウイルス複製を制限したり、非分裂細胞内での細胞傷害性を低下させたりするように遺伝子改変することができる。例えば、チミジンキナーゼ(Martuza et al.,1991,Science 252:854-6)、リボヌクレオチドレダクターゼ(RR)(Mineta et al.,1994,Cancer Res.54:3363-66)、またはウラシル-N-グリコシラーゼ(Pyles et al.,1994,J.Virol.68:4963-72)など、核酸代謝に関与する任意のウイルス遺伝子を不活性にすることができる。別の態様は、ICP34.5遺伝子などの病原性因子をコードする遺伝子の機能に欠損があるウイルス変異体を含む(Chambers et al.,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:1411-5)。腫瘍溶解性ヘルペスウイルスの代表的な例には、NV1020(例えば、Geevarghese et al.,2010,Hum.Gene Ther.21(9):1119-28)およびT-VEC(Harrington et al.,2015,Expert Rev.Anticancer Ther.15(12):1389-1403)が含まれる。
【0113】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルスから得られる。腫瘍溶解性アデノウイルスを操作するための方法が当技術分野で利用可能である。有利な戦略には、ウイルスプロモーターを腫瘍選択的プロモーターに置き換えるか、またはE1アデノウイルス遺伝子産物(複数可)を改変して、腫瘍細胞で変更されるp53または網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質とのそれらの結合機能を不活性化することが含まれる。自然な状況では、アデノウイルスE1B55kDa遺伝子は、別のアデノウイルス産物と協力してp53を不活性化し(p53は癌細胞で頻繁に調節不全になる)、アポトーシスを防止する。腫瘍溶解性アデノウイルスの代表的な例には、ONYX-015(例えば、Khuri et al.,2000,Nat.Med 6(8):879-85)およびOncorineとも呼ばれるH101(Xia et al.,2004,Ai Zheng 23(12):1666-70)が含まれる。
【0114】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスはポックスウイルスである。本明細書で使用される場合、「ポックスウイルス」という用語は、ポックスウイルス科に属するウイルスを指し、コードポックスウイルス(Chordopoxviridae)亜科、より好ましくはオルソポックスウイルス属に属するポックスウイルスが特に好ましい。ワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、エクトロメリアウイルス、粘液腫ウイルスは、本発明に関連して特に適切である。そのようなポックスウイルスのゲノム配列は、当技術分野および専門のデータベースで入手可能である(例えば、それぞれ受入番号NC_006998、NC_003663またはAF482758.2、NC_005309、NC_004105、NC_001132でのGenbank)。
【0115】
特定の好ましい実施形態では、そのような腫瘍溶解性ポックスウイルスは、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスである。ワクシニアウイルスは、ウイルスが宿主細胞機構から独立して複製することを可能にする多数のウイルス酵素および因子をコードする200kbの二本鎖DNAゲノムを特徴とするポックスウイルスファミリーのメンバーである。ワクシニアウイルス粒子の大部分は、細胞内にあり(細胞内成熟ビリオンの場合はIMV)、単一の脂質エンベロープを有し、溶解するまで感染細胞のサイトゾルに留まる。他の感染形態は、感染した細胞を溶解せずに発芽する二重エンベロープ粒子(細胞外エンベロープビリオンのEEV)である。ワクシニアウイルス株に由来する可能性があるが、エルストリー(Elstree)、ワイス(Wyeth)、コペンハーゲン(Copenhagen)、リスター(Lister)、ウエスタンリザーブ(Western Reserve)株が特に好ましい。本明細書で使用される遺伝子命名法は、特に明記しない限り、コペンハーゲンワクシニア株の命名法である。ただし、コペンハーゲンと他のワクシニア株との対応は、一般的に文献で入手できる。
【0116】
好ましくは、そのような腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つ以上のウイルス遺伝子(複数可)を変更することによって改変される。当該改変(複数可)は、好ましくは、合成の欠如、または未改変遺伝子によって通常の条件下で産生されるタンパク質の活性を保証することができない欠陥ウイルスタンパク質の合成をもたらす。例示的な改変は、DNA代謝、宿主毒性、IFN経路(例えばGuse et al.,2011,Expert Opinion Biol.Ther.11(5):595-608)などに関与するウイルス遺伝子を改変することを目的とする文献に開示されている。ウイルス遺伝子座を変更するための改変は、ウイルス遺伝子またはその調節エレメント内の1つ以上のヌクレオチド(複数可)(隣接しているかどうかにかかわらず)の欠失、変異および/または置換を包含する。改変(複数可)は、従来の組換え技術を使用して当業者に知られているいくつかの方法によって行うことができる。
【0117】
より好ましくは、そのような腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼをコードする遺伝子(遺伝子座J2R)を変更することによって改変される。チミジンキナーゼ(TK)酵素は、デオキシリボヌクレオチドの合成に関与している。TKは、正常細胞でのウイルス複製に必要であり、それはこれらの細胞が一般にヌクレオチド濃度が低いためであり、一方、高いヌクレオチド濃度を含有する分裂細胞では不要である。
【0118】
その代わりに、または組み合わせて、そのような腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、リボヌクレオチドレダクターゼ(RR)をコードする少なくとも1つの遺伝子または両方の遺伝子を変更することによって改変される。自然な状況では、この酵素はリボヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドへの還元を触媒し、これは、DNA生合成の重要なステップを表している。ウイルス酵素は、サブユニット構造が哺乳類の酵素と類似しており、I4LおよびF4L遺伝子座によってそれぞれコードされるR1およびR2として設計された2つの異種サブユニットで構成されている。本発明の関連では、I4L遺伝子(R1大サブユニットをコードする)またはF4L遺伝子(R2小サブユニットをコードする)のいずれかまたは両方が不活化され得る(例えば、WO2009/065546およびFoloppe et al.,2008,Gene Ther.,15:1361-71に記載されるもの)。J2R、I4LおよびF4L遺伝子の配列と、さまざまなポックスウイルスのゲノムにおけるそれらの位置は、公開データベースで入手できる。
【0119】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表2に示される配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表2に示される配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表2に示される配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表2に示される配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号20および配列番号21をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号27および配列番号28をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号33および配列番号34をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号41および配列番号42をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表4に示される配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表4に示される配列と少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表4に示される配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、上記の表4に示される配列と少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号45および46を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号47および48を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号49および50を含む。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号51および52を含む。
【0123】
一部の腫瘍溶解性ウイルスは、完全長のヒト抗体配列の統合に対応するのに十分な大きさのDNA挿入を受け入れるする能力を持っている。弱毒化ワクシニアウイルスおよび単純ヘルペスウイルスは、そのゲノムが完全長IgG抗体配列の組み込みを可能にするのに十分に大きい、治療用腫瘍溶解性ウイルスの例である(Chan,W.M.et al 2014 Annu Rev Virol 1(1):119-141、Bommareddy,P.K.,et al.2018 Nat Rev Immunol 18(8):498-513)。完全長IgG抗体は腫瘍溶解性ワクシニアウイルスにうまく組み込まれ、ウイルス感受性宿主細胞、例えば癌細胞の感染時に完全長IgG抗体の発現と細胞外放出(産生)をもたらす(Kleinpeter,P.,et al.2016,Oncoimmunology 5(10):e1220467)。アデノウイルスはまた、細胞感染時に機能的に産生および分泌される完全長IgG抗体をコードするように操作することもできる(Marino,N.,et al.2017 J Clin Invest 123(6):2447-2463)。
【0124】
好ましい実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、TK活性に欠陥がある(J2R遺伝子座の変化に起因する)またはTKおよびRRの両方の活性に欠陥がある(J2R遺伝子座と、RRをコードするI4Lおよび/またはF4L遺伝子座の少なくとも1つの、両方の変化に起因する)、ならびに(a)配列番号20および配列番号21をコードするヌクレオチド配列、または(b)配列番号27および配列番号28をコードするヌクレオチド配列、または(c)配列番号33および配列番号34をコードするヌクレオチド配列、または(d)配列番号41および配列番号42をコードするヌクレオチド配列を含む、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス)である。
【0125】
適切な場合、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスに挿入されたヌクレオチド配列(複数可)が、発現、輸送および生物学的活性を促進するための追加の調節エレメントを含むことが有利であり得る。例えば、シグナルペプチドは、プロデューサー細胞(例えば、感染細胞)の外側への分泌を促進するために含まれ得る。シグナルペプチドは通常、Metイニシエーターの直後にコードされたポリペプチドのN末端に挿入される。シグナルペプチドの選択は広く、当業者が利用できる。例えば、別の免疫グロブリン(例えば、重鎖IgG)に由来するシグナルペプチドを本発明の状況下で使用して、本明細書に記載の抗CTLA4抗体をプロデューサー細胞の外に分泌させることができる。説明のために、IgG由来ペプチドシグナルを備えた本明細書に記載の4-E03抗体の軽鎖および重鎖を含む配列番号53および配列番号54を参照することができる。
【0126】
特に好ましい腫瘍溶解性ウイルスは、TKおよびRR活性(J2R遺伝子座とI4L遺伝子座の両方の変化に起因する)の両方に欠陥があり、配列番号20および配列番号21または配列番号53および配列番号54をコードするヌクレオチド配列を含む、ワクシニアウイルス(例えば、コペンハーゲン株)である。
【0127】
いくつかの実施形態では、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、免疫調節性ポリペプチド(複数可)(すなわち、直接的または間接的に免疫応答を刺激することに関与するポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列(複数可)などの治療上の関心の追加のヌクレオチド配列(複数可)をさらに含むことができる。適切な免疫調節性ポリペプチドの代表的な例には、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、特にヒト、非ヒト霊長類またはマウスGM-CSFが特異的に好ましいサイトカインおよびケモカインが含まれるが、これらに限定されない。追加のヌクレオチド配列は、当技術分野でアクセス可能な配列データおよび本明細書で提供される情報を使用して、標準的な分子生物学技術(例えば、PCR増幅、cDNAクローニング、化学合成)によって容易に得ることができる。特に好ましい腫瘍溶解性ウイルスは、TKおよびRRの両方の活性に欠陥があり(J2R遺伝子座およびI4L遺伝子座の両方の変化に起因する)、配列番号20および配列番号21または配列番号53および配列番号54をコードするヌクレオチド配列ならびにヒトGM-CSF(例えば、配列番号55または配列番号56を有する)またはマウスGM-CSF(例えば、配列番号57または配列番号58を有する)が特に好ましい、GM-CSFをコードするヌクレオチド配列を含む、ワクシニアウイルス(例えば、コペンハーゲン株)である。
【0128】
さらに、そのような腫瘍溶解性ウイルスに挿入されるヌクレオチド配列は、1つ以上のコドン(複数可)を改変することによって、特定の宿主細胞または対象において高レベルの発現を提供するために最適化することができる。コドン使用頻度の最適化に加えて、集中領域に存在するまれな非最適コドンのクラスター化を防止するため、および/または発現レベルに悪影響を与えると予想される「負の」配列要素を抑制または改変するために、さまざまな改変も想定され得る。このような負の配列要素には、非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含量を有する領域;ATリッチまたはGCリッチの配列ストレッチ;不安定な直接または逆方向反復配列;RA二次構造;および/または内部TATAボックス、カイ(chi)部位、リボソーム進入部位、および/またはスプライシング供与/受容部位などの内部潜在的調節エレメント、が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列(複数可)は、宿主細胞または対象におけるそれらの適切な発現のための適切な調節エレメントの制御下に置かれる。本明細書で使用される場合、「調節エレメント」という用語は、その複製、重複、転写、スプライシング、翻訳、安定性、および/または発現細胞内外の輸送を含む、所与の宿主細胞または対象におけるコード化ヌクレオチド配列(複数可)の発現を可能にし、寄与し、または調節する任意のエレメントを指す。調節エレメントの選択は、ヌクレオチド配列自体、それが挿入されるウイルス、宿主細胞または対象、所望の発現レベルなどのような因子に依存し得ることが当業者によって理解されるであろう。プロモーターは特に重要である。本発明の状況において、それは、多くの種類の宿主細胞で制御するか、または特定の宿主細胞に特異的であるか、または特定の事象または外因性因子(例えば、温度、栄養添加物、ホルモンなどによる)に応答して、またはウイルスサイクルの段階(例えば後期または初期)に従って調節されるヌクレオチド配列の構成的指示発現であり得る。ウイルス媒介性発現に適応したプロモーターは当技術分野で知られている。腫瘍溶解性ポックスウイルスによる発現の代表的な例には、ワクシニアp7.5K、pH5.R、p11K7.5、TK、p28、p11、pB2R、pA35R、K1LおよびpSE/Lプロモーター(Erbs et al.,2008,Cancer Gene Ther.15(1):18-28、Orubu et al.2012,PloS One 7:e40167)、初期/後期キメラプロモーターおよび合成プロモーター(Chakrabarti et al.,1997,Biotechniques 23:1094-7、Hammond et al,1997,J.Virol Methods 66:135-8、およびKumar and Boyle,1990,Virology 179:151-8)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、本明細書に記載の抗体の軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列は、それぞれ、同じ転写強度を有するプロモーターの制御下に置かれ、好ましくは、同じプロモーター(例えば、配列番号59に記載されているようなp7.5Kまたは配列番号60に記載されているようなpH5.R)の制御下に置かれて、両方の鎖で同様のレベルの発現を取得し、したがって、ヘテロ四量体タンパク質としての抗体の最適な組み立てを取得する(つまり、会合していない鎖の過剰を回避する)。追加のヌクレオチド配列(例えば、GM-CSFをコードする)は、異なるプロモーター(例えば、配列番号61に記載されているようなpSE/L)の下に置くことができる。
【0130】
そのような腫瘍溶解性ウイルスのゲノムへのヌクレオチド配列(複数可)(おそらく適切な調節エレメントを備えている)の挿入は、適切な制限酵素を使用するか、または好ましくは相同組換えによる、従来の手段によって行われる。ヌクレオチド配列(複数可)は、ウイルスゲノムの任意の場所に独立して挿入することができる。さまざまな挿入部位は、例えば、そのような腫瘍溶解性ウイルスのゲノムの、非必須ウイルス遺伝子、遺伝子間領域、または非コード部分を考慮することができる。J2R遺伝子座および/またはI4L遺伝子座は、ポックスウイルスである腫瘍溶解性ウイルス(例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルス)に特に適している。ヌクレオチド配列(複数可)のウイルスゲノムへの挿入する、挿入部位のウイルス遺伝子座が少なくとも部分的に欠失させられ得る。一実施形態では、この欠失または部分的欠失は、完全にまたは部分的に欠失した遺伝子座によってコードされるウイルス遺伝子産物の抑制された発現をもたらし、当該ウイルス機能の欠損ウイルスをもたらし得る。特に好ましい腫瘍溶解性ウイルスは、J2R遺伝子座に挿入された重鎖をコードするカセットおよびI4L遺伝子座に挿入された軽鎖をコードするカセットを含む、TKおよび/またはRR欠損ワクシニアウイルスである。追加のGM-CSFをコードするヌクレオチド配列をコードするカセットは、ウイルスゲノムの別の場所、またはJ2RまたはI4L遺伝子座に挿入でき、I4L遺伝子座への挿入が好ましい。
【0131】
本発明はまた、本明細書に記載のそのような腫瘍溶解性ウイルス、特に腫瘍溶解性ポックスウイルスを適切な宿主細胞(プロデューサー細胞)に生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、そのような方法は、ウイルスゲノムと、挿入部位の上流および下流にそれぞれ存在するウイルス配列の5’および3’に隣接して挿入されるヌクレオチド配列(おそらく調節エレメントを有する)を含むトランスファープラスミドとの間の相同組換えの1つ以上のステップを含む。当該トランスファープラスミドは、日常的な技術によって(例えばトランスフェクションによって)宿主細胞に生成し、導入することができる。ウイルスゲノムは、感染によって宿主細胞に導入され得る。各隣接ウイルス配列のサイズは、ヌクレオチド配列の各側で少なくとも100bpから最大で1500bpまで変化し得る(好ましくは200~550bp、より好ましくは250~500bp)。そのような腫瘍溶解性ウイルスの生成を可能にする相同組換えは、好ましくは、培養細胞株(例えば、HeLa、Vero)または発育卵から得られたニワトリ胚性線維芽細胞(CEF)細胞において行われる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列およびおそらく追加のヌクレオチド配列(例えば、GM-CSF)をコードする抗CTLA4を組み込んだ腫瘍溶解性ウイルスの同定は、選択および/または検出可能な遺伝子の使用によって容易にできる。好ましい実施形態では、トランスファープラスミドは、選択培地(例えば、ミコフェノール酸、キサンチンおよびヒポキサンチンの存在下)での増殖を可能にするGPT遺伝子(グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする)またはGFP、e-GFP、mCherryなどの検出可能な遺伝子産物コードする検出可能な遺伝子が特に好ましい、選択マーカーをさらに含む。さらに、当該選択または検出可能な遺伝子において二本鎖切断を提供することができるエンドヌクレアーゼの使用も考慮され得る。当該エンドヌクレアーゼは、タンパク質の形態であり得るか、または発現ベクターによって発現され得る。
【0133】
一旦生成されると、そのような腫瘍溶解性ウイルスは、感染性粒子の産生および回収を可能にするために、適切な条件下でトランスフェクトまたは感染した宿主細胞を培養することを含む従来の技術を使用して、適切な宿主細胞内で増幅することができる。
【0134】
本発明はまた、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスを産生するための方法に関する。好ましくはこの方法は、a)プロデューサー細胞株を調製するステップと、b)調製したプロデューサー細胞株に腫瘍溶解性ウイルスをトランスフェクトまたは感染させるステップと、c)トランスフェクトまたは感染したプロデューサー細胞株を適切な条件下で培養してウイルスの産生を可能にするステップと、d)当該プロデューサー細胞株の培養物から産生されたウイルスを回収するステップと、任意選択でe)当該回収されたウイルスを精製するステップと、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞は、HeLa細胞(例えば、ATCC-CRM-CCL-2(商標)またはATCC-CCL-2.2(商標))、HER96、PER-C6(Fallaux et al.,1998,Human Gene Ther.9:1909-17)などの哺乳類(例えば、ヒトまたは非ヒト)細胞、BHK-21(ATCC CCL-10)などのハムスター細胞株およびWO2005/042728、WO2006/108846、WO2008/129058、WO2010/130756、WO2012/001075に記載されているような鳥類細胞、ならびに受精卵から得られたニワトリ胚から調製された初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)からなる群から選択される。プロデューサー細胞は、必要に応じて、血清および/または適切な増殖因子(複数可)を補充してもよいしまたはしなくてもよい(例えば、動物またはヒト由来の産物を含まないことが好ましい既知組成培地)適切な培地で培養することが好ましい。適切な培地は、プロデューサー細胞に応じて当業者によって容易に選択され得る。そのような培地は市販されている。プロデューサー細胞は、感染前に、+30~+38℃(より好ましくは約+℃37℃)の温度で1~8日間培養することが好ましい。必要に応じて、細胞の総数を増やすために、1~8日の継代を数回行うことができる。
【0136】
ステップb)では、プロデューサー細胞の生産的な感染を可能にするために、適切な感染多重度(MOI)を使用して、プロデューサー細胞を適切な条件下で腫瘍溶解性ウイルスに感染させる。説明のために、適切なMOIは10-3~20の範囲であり、特に好ましいMOIは、0.01~5、より好ましくは0.03~1を含む。感染ステップは、プロデューサー細胞の培養に使用される培地と同じであっても異なっていてもよい培地で実施される。
【0137】
次に、ステップc)では、感染したプロデューサー細胞を、子孫ウイルス粒子が産生されるまで、当業者に周知の適切な条件下で培養する。感染したプロデューサー細胞の培養はまた、好ましくは、プロデューサー細胞の培養および/または感染ステップに使用される培地/培地(複数)と同じまたは異なっていてもよい培地で、+32℃~+37℃の温度で1~5日間行われる。
【0138】
ステップd)では、ステップc)で生成されたウイルス粒子を、培養上清および/またはプロデューサー細胞から収集する。プロデューサー細胞からの回収には、プロデューサー細胞膜の破壊を可能にしてウイルスの遊離を可能にするステップが必要な場合がある。プロデューサー細胞膜の破壊は、凍結/解凍、低張溶解、超音波処理、マイクロフルイダイゼーション、高剪断(高速とも呼ばれる)均質化または高圧均質化を含むがこれらに限定されない、当業者に周知のさまざまな技術によって誘発することができる。
【0139】
回収された腫瘍溶解性ウイルスは、用量で分配され、本明細書に記載されるように使用される前に、少なくとも部分的に精製され得る。清澄化、酵素処理(例えば、エンドヌクレアーゼ、プロテアーゼなど)、クロマトグラフィーおよびろ過ステップを含む、膨大な数の精製ステップおよび方法が当技術分野で利用可能である。適切な方法が当技術分野で説明されている(例えば、WO2007/147528、WO2008/138533、WO2009/100521、WO2010/130753、WO2013/022764を参照されたい)。
【0140】
一実施形態では、本発明はまた、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスに感染した細胞を提供する。
【0141】
本発明はまた、上記の腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス、ならびに薬学的に許容される希釈剤、ビヒクルおよび/またはアジュバントを含む薬学的組成物を包含する。
【0142】
薬学的組成物は、いくつかの実施形態では、そのキメラ抗原T細胞受容体をコードする配列の一部として本明細書に記載の部分または完全な抗体配列を有するCAR-T細胞の形態であり得る。
【0143】
本発明はまた、上記のCAR-T細胞ならびに薬学的に許容される希釈剤、ビヒクルおよび/またはアジュバントを含む薬学的組成物を包含する。
【0144】
本発明はまた、抗体薬物コンジュゲート、融合タンパク質などの他の治療法、または薬物の「形状」、およびそのような治療法を含む薬学的組成物を含む。
【0145】
本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞および/または薬学的組成物は、抗酸化剤、および/もしくはバッファー、および/もしくは静菌剤、および/もしくは、意図するレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有し得る水性および/もしくは非水性滅菌注射溶液;ならびに/または懸濁剤および/もしくは増粘剤を含み得る水性および/もしくは非水性滅菌懸濁液を含み、非経口投与に好適であり得る。本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、細胞および/または薬学的組成物は、単位用量または複数用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル内に存在させてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。
【0146】
即時注射液および懸濁液剤は、前述の種類の滅菌散剤、および/または顆粒剤、および/または錠剤から調製され得る。
【0147】
ヒト患者への非経口投与では、抗CTLA-4抗体分子の1日投与量レベルは通常、患者の体重で1mg/kg~20mg/kgであり、あるいは場合によっては、最大100mg/kgを単回または分割用量で投与するであろう。特別な状況下、例えば長期投与と組み合わせて、より低い用量を使用してもよい。いずれにしても、医師は個々の患者に最も好適であろう実際の投与量を決定し、それは特定の患者の年齢、体重、および反応によって変動するであろう。上述の投与量は平均的な場合の例示である。当然ながら、より高いかまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の症例があり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
【0148】
典型的には、抗体分子を含む本明細書に記載の薬学的組成物(または医薬)は、約2mg/ml~150mg/mlまたは約2mg/ml~200mg/mlの濃度で抗CTLA-4抗体分子を含有するであろう。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、10mg/mlの濃度で抗CTLA-4抗体分子を含有するであろう。
【0149】
典型的には、薬学的組成物(または医薬)は、ウイルスおよび定量的技術に依存して約103~1012vp(ウイルス粒子)、iu(感染単位)またはPFU(プラーク形成単位)の濃度で、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスを含有する。試料中に存在するpfuの量は、許容細胞(例えばCEFまたはVero細胞)の感染後のプラーク数を数えてプラーク形成単位(pfu)の力価を取得することによって決定でき、vpの量はA260吸光度を測定することによって決定でき、iuの量は、例えば抗ウイルス抗体を使用する、定量的免疫蛍光法によって、決定できる。一般的なガイダンスとして、腫瘍溶解性ポックスウイルスを含む薬学的組成物に好適な個々の用量は、約103~約1010pfu、有利には約103pfu~約109pfu、好ましくは約104pfu~約108pfu、より好ましくは約104pfu~約107pfuの範囲である。
【0150】
一般に、ヒトでは、本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞、および/または薬学的組成物の経口または非経口投与が好ましい経路であり、最も便利である。獣医学的使用のために、本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞、および/または薬学的組成物は、通常の獣医学的診療に従って適宜許容される薬剤処方として投与され、獣医師は、ある特定の動物にとって最も適切であろう投与計画および投与経路を決定するであろう。したがって、本発明は、(上述および以下でさらに説明する)さまざまな状態を治療するのに有効な、本発明の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞の量を含む薬学的製剤を提供する。好ましくは、本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞、および/または薬学的組成物は、静脈内、腫瘍内、筋肉内、皮下を含む群から選択される経路による送達に適合される。投与は、単回注射または複数回の反復注射の形態で行うことができる(例えば、同じまたは異なる用量で、同じまたは異なる経路で、同じまたは異なる投与部位で)。例示の目的のために、腫瘍溶解性ポックスウイルス(例えば、本明細書に記載のTKおよびRR欠損ワクシニアウイルス)の約104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、109、5×109または1010pfuを含む個々の用量が、腫瘍内投与に特に適している。
【0151】
本発明はまた、本発明のポリペプチド結合部分の薬学的に許容される酸または塩基付加塩を含む、本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルス、細胞および/または薬学的組成物を含む。本発明で有用な前述の塩基化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩を調製するために使用される酸は、とりわけ、非毒性の酸付加塩、すなわち塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモエート[すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3ナフトエート)]塩などの薬理学的に許容可能なアニオンを含有する塩を形成するものである。また、薬学的に許容される塩基付加塩を使用して、本発明による薬剤の薬学的に許容される塩の形態を生成してもよい。本質的に酸性である本薬剤の薬学的に許容される塩基塩を調製するための試薬として使用され得る化学塩基は、そのような化合物と非毒性塩基塩を形成するものである。そのような非毒性塩基塩には、これらに限定されないが、とりわけ、アルカリ金属カチオン(例えばカリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えばカルシウムおよびマグネシウム)、アンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、例えばN-メチルグルカミン-(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウム、ならびに他の薬学的に許容される有機アミンの塩基塩などのそのような薬理学的に許容されるカチオンに由来するものが挙げられる。本明細書に記載の抗体分子、ヌクレオチド配列、プラスミド、ウイルスおよび/または細胞は、保存のために凍結乾燥され、使用前に適切な担体中で元にもどすことができる。任意の好適な凍結乾燥法(例えば、噴霧乾燥、ケーキ乾燥)、および/または再構成技法を用いてもよい。凍結乾燥および再構成によって、抗体活性低下の程度の変動に至る場合があり(例えば、従来の免疫グロブリンでは、IgM抗体はIgG抗体よりも活性が大きく低下する傾向を有する)、使用レベルを上方調節して補う必要があり得ることを当業者は理解するであろう。一実施形態では、凍結乾燥(フリーズドライ)ポリペプチド結合部分は、再水和されるとき、(凍結乾燥前の)その活性のうちの約20%未満、または約25%未満、または約30%未満、または約35%未満、または約40%未満、または約45%未満、または約50%未満を損失する。
【0152】
いくつかの実施形態では、ウイルス組成物は、生理学的またはわずかに塩基性のpH(例えば、約pH7~約pH9であり、7~8.5の間、より具体的には8に近いpHが特に好ましい)で適切に緩衝される。適切な浸透圧を確保するために、ウイルス組成物に一価の塩を含めることも有益である可能性がある。当該一価塩は、特に、NaClおよびKClから選択することができ、好ましくは、当該一価塩は、好ましくは10~500mM(例えば、50mM)の濃度のNaClである。適切なウイルス組成物は、サッカロース50g/L、NaCl 50mM、トリス-HCl 10mMおよびグルタミン酸ナトリウム10mM、pH8を含む。組成物はまた、低い保存温度で腫瘍溶解性ウイルスを保護するための凍結防止剤を含むように製剤化され得る。適切な凍結防止剤には、好ましくは0.5~20%(w/vとも称される、gによる重量/Lによる体積)の濃度でのスクロース(またはサッカロース)、トレハロース、マルトース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールならびにデキストランもしくはポリビニルピロリドン(PVP)などの高分子量ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
本明細書に記載の抗CTLA-4抗体分子、ヌクレオチド配列および薬学的組成物は、対象における癌の治療での使用に、使用することができる。
【0154】
対象は、哺乳類または非哺乳類である場合を含む。好ましくは、馬、または牛、または羊、または豚、またはラクダ、または犬、または猫などの哺乳類対象はヒトであるか、あるいは非哺乳類である。最も好ましくは、哺乳類対象はヒトである。
【0155】
「呈する」とは、対象が、癌症状および/もしくは癌診断マーカーを表すこと、ならびに/または癌症状および/もしくは癌診断マーカーを測定、および/または評価、および/または定量化できる場合を含む。
【0156】
医薬当業者であれば、癌症状および癌診断マーカーがどのようなものであるか、ならびに癌症状の重症度に低減または増加があるかどうか、または癌診断マーカーに低減もしくは増加があるかどうかを測定および/もしくは評価および/もしくは定量化する方法、ならびに癌症状および/もしくは癌診断マーカーを使用して、癌に関する予後診断を形成することができる方法は、容易に明らかであろう。
【0157】
癌治療は、多くの場合、一連の治療として投与される、すなわち治療剤は、ある期間にわたって投与される。一連の治療の時間的な長さは、他の理由のなかでもとりわけ、投与される治療剤のタイプ、治療される癌のタイプ、治療される癌の重篤度、ならびに対照の年齢および健康状態を含む多数の要因に依存する。
【0158】
「治療中」とは、対象が現在一連の治療を受けていること、および/または治療剤を受けていること、および/または一連の治療剤を受けていることを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明に従って治療される癌は、固形腫瘍である。
【0160】
いくつかの実施形態では、癌は、進行性固形腫瘍、黒色腫および他の皮膚の悪性新生物、滑膜肉腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、膀胱癌、前立腺癌、中皮腫、卵巣癌、乳癌、腎細胞癌、肝細胞癌、頭頸部癌、結腸直腸癌からなる群から選択される。
【0161】
上述の癌のいずれもが公知であり、症状および癌診断マーカーは、それらの癌を治療するのに使用される治療剤であるため、十分に説明されている。したがって、上記の種類の癌を治療するために用いられる症状、癌診断マーカーおよび治療剤は、医薬当業者には既知であろう。
【0162】
大多数の癌の診断、予後診断、進行の臨床的定義は、ステージ分類として既知である、ある特定の分類による。それらのステージ分類システムは、多くの異なる癌診断マーカーおよび癌症状を照合して、癌の診断、および/または予後診断、および/または進行の概要を提供するように機能する。ステージ分類システムを使用して、癌の診断、および/または予後診断、および/または進行を評価する方法、ならびにそのためにどの癌診断マーカーおよび癌症状を使用すべきかということは、腫瘍学当業者には既知であろう。
【0163】
「癌のステージ分類」とは、ステージ0、ステージI、ステージII、ステージIII、およびステージIVを含む、Raiステージ分類、ならびに/またはステージA、ステージB、およびステージCを含むBinetステージ分類、ならびに/またはステージI、ステージII、ステージIII、およびステージIVを含む、Ann Arbourステージ分類が挙げられる。
【0164】
癌は、細胞の形態に異常を引き起こし得ることが既知である。これらの異常は、多くの場合、ある特定の癌で再現性よく生じ、これは形態におけるこれらの変化の検査(あるいは組織学的検査としても既知である)が、癌の診断または予後診断に使用することができることを意味する。細胞の形態を検査するために試料を視覚化し、視覚化用に試料を準備するための技法は、例えば、光学顕微鏡法または共焦点顕微鏡法など、当技術分野で公知である。
【0165】
「組織学的検査」とは、小さな成熟リンパ球の存在、および/または細胞質の境界が狭い小さな成熟リンパ球の存在、識別可能な核小体が欠如する密な核を有する小さな成熟リンパ球の存在、および/または細胞質の境界が狭く、識別可能な核小体が欠如する密な核を有する小さな成熟リンパ球の存在、および/または異型細胞、および/もしくは切断細胞、および/もしくは前リンパ球の存在が挙げられる。
【0166】
癌は、細胞のDNAの変異の結果であり、これによって細胞の細胞死回避、または制御不能な増殖に至り得ることは公知である。したがって、これらの変異の検査(細胞遺伝学的検査としても既知である)は、癌の診断および/または予後診断を評価するための有用なツールであり得る。この例は、慢性リンパ球性白血病の特徴である染色体上の位置13q14.1の欠失である。細胞内の変異を検査するための技法は、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)など、当技術分野で公知である。
【0167】
「細胞遺伝学的検査」とは、細胞内のDNA、具体的には染色体の検査を含む。細胞遺伝学的検査を使用して、難治性癌および/または再発した癌の存在に関連し得る、DNAの変化を同定することができる。そのようなものとしては、13番染色体の長腕の欠失、および/または染色体位置13q14.1の欠失、ならびに/または12番染色体のトリソミー、および/または12番染色体の長腕の欠失、ならびに/または11番染色体の長腕の欠失、および/または11qの欠失、ならびに/または6番染色体の長腕の欠失、および/または6qの欠失、ならびに/または17番染色体の短腕の欠失、および/または17pの欠失、ならびに/またはt(11:14)転座、ならびに/または(q13:q32)転座、ならびに/または抗原遺伝子受容体再配列、ならびに/またはBCL2再配列、ならびに/またはBCL6再配列、ならびに/またはt(14:18)転座、ならびに/またはt(11:14)転座、ならびに/または(q13:q32)転座、ならびに/または(3:v)転座、ならびに/または(8:14)転座、ならびに/または(8:v)転座、ならびに/またはt(11:14)および(q13:q32)転座を挙げることができる。
【0168】
癌を有する対象は、ある特定の身体的症状を呈することが知られており、これは多くの場合、癌が身体に負担をかけている結果である。これらの症状は、多くの場合、同じ癌で再発するため、疾患の診断、および/または予後、および/または進行の特徴であり得る。医薬当業者であれば、どの身体症状がどの癌に関連しているか、ならびにそれらの身体系の評価が疾患の診断、および/または予後診断、および/または進行とどのように相関し得るかを理解するであろう。「身体的症状」としては、肝腫大および/または脾腫が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
以下の実施例では、次の図を参照している。
【0170】
【
図1-1】本発明の抗体はCTLA-4に特異的に結合する 抗体はELISAにより、ヒトおよびカニクイザル(cynomolgous)のCTLA-4に結合するが、ヒトCD28タンパク質には結合しないことが示された。2-C06(
図1A)、4-E-03(
図1B)、5-B07(
図1C)の結合をYervoy(
図1D)と比較した。
【
図2-1】抗CTLA-4mAbのhCTLA-4トランスフェクト細胞への用量依存的結合 抗CTLA-4mAb(
図2A~2D)は、Yervoy(
図2E)と同様にCTLA-4を発現する293T細胞に強い結合を示す。
【
図3】抗CTLA-4mAbはインビトロで活性化されたヒトCD4+T細胞に結合する 末梢ヒト血液から得られたCD4+T細胞はインビトロで刺激された。抗CTLA-4mAb(実線、上段)の結合をFACSで分析し、Yervoy(点線、上段)および市販のFACS抗体(下段)と比較した。
【
図4】インビトロで活性化されたCD4+T細胞の結合遮断 インビトロで活性化されたヒトCD4+T細胞は、Alexa647標識抗CTLA-4mAbで染色された(黒線)。抗体の結合はrhCTLA-4-Fcタンパク質によって遮断された(灰色線)。
【
図5】インビトロで活性化されたカニクイザル(cynomologous)CD4+T細胞への結合 末梢カニクイザル血から得られたCD4+T細胞は、CD3/CD28ダイナビーズ(dynabeads)によりインビトロで刺激された。抗CTLA-4mAb(実線、上段)の結合をFACSで分析し、Yervoy(点線、上段)および市販のFACS抗体(下段)と比較した。
【
図6】ヒトおよびカニクイザルCTLA-4タンパク質による細胞結合の遮断 293T-CTLA-4細胞をAlexa647標識抗CTLA-4mAbで染色した(黒線)。抗体の結合はrhCTLA-4-Fcタンパク質(薄灰色線)およびrcmCTLA-4-Fcタンパク質(濃灰色線)によって遮断された。
【
図7】カニクイザルCTLA-4を発現する293T細胞への結合 293T細胞にカニクイザルCTLA-4を一過性にトランスフェクトし、さまざまな濃度の抗CTLA-4mAbの結合をFACSで分析した。
【
図8】休止ヒト/カニクイザルPBMCへの結合の予想される欠如 4-E03ならびに2-C06、5-B07および2-F09(データは表示しない)は、FACSで分析した場合、ヒト(上段)およびカニクイザル(下段)PBMCの異なる細胞サブセットへの非特異的結合を示さない。
【
図9-1】直接的なアゴニスト活性の予想される欠如 健康なドナーからのCFSE標識CD4+T細胞は、コーティングされた抗CD3と可溶性抗CTLA-4mAbまたは抗CD28で刺激された。%分裂細胞(CFSElow CD25+細胞)は、FACSによって3日後に決定された。(A)1つの代表的な実験のFACSプロット(B)6人のドナーのグラフを要約したもの。
【
図10】CD80/CD86遮断活性 抗CTLA-4mAbは、ELISAによって示されるように、そのリガンドCTLA-4へのCD80(
図8A)およびCD86(
図8b)の結合を遮断する。
【
図11】インビトロでの機能的リガンド遮断 PBMCを、SEBと増減調整用量(titrating dose)の抗CTLA-4抗体で刺激した。上清中分泌されたIL-2の量はMSDによって決定された。この図には、6人中1人の代表的なドナーが示されている。
【
図12】インビトロ活性化されたCD4+T細胞のADCCアッセイ 10μg/mlの抗CTLA-4mAbで事前にオプソニン化された健康ドナーからのインビトロ活性化CD4+T細胞を、2:1の比でNK細胞(NK-92細胞株)と共培養した。ADCC活性を、以下に記載するようにFACSによって評価した。この図は、4~8人のドナーの平均+SDを示している。
【
図13】CTLA-4は腫瘍に存在するTreg細胞で最も多く発現している。 手術で切除したばかりの卵巣腫瘍、血液の試料を患者から入手した。腹水は、さまざまな癌の兆候を有する患者から収集された。この患者材料でのCTLA発現を健康なPBMCと比較した。腫瘍試料を細かく刻み、消化した。遠心分離によって末梢血単核細胞を分離した。フローサイトメトリーによって、CD4+CD25+CD127-Treg細胞、CD4+非Treg細胞、およびCD8+エフェクターT細胞上でのCTLA-4発現を評価した。データは、個々の患者/ドナーを表し、健康なPBMCではn=12、腹水ではn=20、腫瘍ではn=9、および患者の血液ではn=5である。 CTLA-4の発現は、インビボでNOGマウスにおいて活性化され、これらのマウスの脾臓から単離されたヒトT細胞でも分析された(
図14を参照)。
【
図14】抗CTLA-4mAbはインビボでTregの枯渇を媒介する。 ヒトPBMCをNOGマウスに静脈内注射した。約2週間後、脾臓を採取し、ヒトTreg細胞およびCD8+T細胞でのCTLA-4の発現をFACSで分析した。NOGマウスから単離された脾臓細胞を腹腔内でSCIDマウスに移植した。1時間後、マウスをCTLA-4hIgG1または対照mAbで腹腔内処理した。腹腔内液を24時間後に収集し、ヒトT細胞サブセット(14A:Tregおよび14B:CD8+T細胞)の頻度をフローサイトメトリーで測定した。
【
図16-1】
図16:マウス代理抗CTLA-4mAbの特性評価
図16A~B:リガンド遮断特性を評価するために、m5-B07を使用して遮断ELISAを実行した。抗体は、
図16A)CD80および
図16B)CD86のそのリガンドCTLA-4への結合を用量依存的に遮断する。
図16C~D:マウスIgG2aフォーマット5-B07はCT26腫瘍モデルにおけるTreg欠失を媒介した。Balb/cマウスは、1×10
6CT26細胞を皮下注射し、約7×7mmの腫瘍サイズで処理を開始した。10mg/kg抗体を3回注射した後、腫瘍単一細胞懸濁液をFACSによって免疫細胞含有量について分析した。
図16C:リガンド遮断代理抗体5-B07はTregの枯渇を引き起こす。これにより、
図16Dに示すように、CD8
+/TregT細胞比がシフトする。
【
図17】COPTG19384とCOPTG19385の生成 この研究で使用したCOPTG19384およびCOPTG19385の概略図。COPTG19385は、p7.5Kによって駆動される抗CTLA-4の重鎖に置き換えられたTK遺伝子座のJ2R遺伝子の欠失およびp7.5Kによって駆動される抗CTLA-4の軽鎖に置き換えられたRR遺伝子座のI4L遺伝子の欠失を、含有する。COPTG19384は、p7.5Kによって駆動される抗CTLA-4の重鎖に置き換えられたTK遺伝子座のJ2R遺伝子の欠失ならびにp7.5Kによって駆動されおよびpSE/Lによって駆動されるGM-CSFによって、抗CTLA-4の軽鎖に置き換えられたRR遺伝子座のI4L遺伝子の欠失を、含有する。
【
図18】COPTG19384に感染したCEF細胞の上清中の4-E03モノクローナル抗体の発現解析 A)ウエスタンブロットによる:CEF細胞をMOI0.05でCOPTG19384に三連で感染させた。48時間後に細胞上清を回収し、非還元条件での電気泳動後、抗Ig(左ブロット)または抗軽鎖(右ブロット)HRPコンジュゲート抗体を使用してWBで分析した。 B)ELISAによる:CEF細胞をMOI0.05でCOPTG19384に三連で、またはVVTG17137に感染させた。48時間後に細胞上清を回収し、4-E03モノクローナル抗体のいずれかの検出のためELISAによって分析した。
【
図19】COPTG19384に感染したCEF細胞の上清中のGM-CSFのELISAによる発現解析 CEF細胞をMOI0.05で、COPTG19384一次研究ストックを三連で(triplicate)またはVVTG17137で感染させた。細胞上清を48時間後に回収し、GM-CSFの検出のためにELISAによって分析した。
【
図20-1】正常肝細胞と腫瘍肝細胞におけるCOP WT、COPTG19384(2バッチ)、VVTG17137(2バッチ)の複製研究 A)正常なヒト肝細胞での複製率。 B)悪性HepG2の複製率。 C)HepG2および肝細胞で測定された複製率から計算された治療指数。
【
図21】再構成ヒト皮膚におけるCOPTG19384とVVTG17137の複製 COPTG19384とVVTG17137の複製は、7日後に、10~10
5pfuで変化させる接種量で評価した。結果は、3回の測定の平均とSEMである。
【
図22-1】MIA PaCa-2(A)、LoVo(B)、HepG2(C)の3つのヒト腫瘍細胞株におけるCOPTG19384およびVVTG17137の腫瘍溶解活性
【
図23-1】(A)感染HepG2およびLoVoの上清ならびに(B)5つの異なる感染ヒト腫瘍細胞株の上清における、4-E03モノクローナル抗体とGM-CSFの両方の発現レベル A)4-E03およびGM-CSFの発現レベルは、5日間のインキュベーション後、COPTG19384では10
-5から10
-2のMOIで、陰性対照として使用したVVTG17137では10
-2のMOIで評価した。 B)4-E03およびGM-CSFの発現レベルは、感染の48時間後にMOI0.05でCOPTG19384により評価した。
【
図24】4-E03の異なるバッチのCTLA-4タンパク質への結合 CHO(4-E03研究バッチ)またはHEK(4-E03 toxバッチ)細胞によって組換え生産された4-E03の(A)ヒトおよび(B)カニクイザル組換えタンパク質への結合を、ELISAにより、感染したMIA PaCa-2腫瘍細胞(4-E03TG)の上清から精製された4-E03の結合と比較した。
【
図25】4-E03の異なるバッチのCTLA-4発現細胞への結合 CHO(4-E03研究バッチ)またはHEK(4-E03 toxバッチ)細胞によって組換え産生された4-E03の(A)ヒトおよび(B)カニクイザルCTLA-4発現細胞への結合を、フローサイトメトリーにより、感染したMIA PaCa-2腫瘍細胞(4-E03TG)の上清から精製された4-E03の結合と比較した。
【
図26】LoVo異種移植された腫瘍におけるウイルス蓄積の動態 2つの異なる用量(10
4または10
5pfu)でCOPTG19384またはVVTG17137のいずれかの単回の腫瘍内注射後のLoVoの異種移植された腫瘍におけるウイルスの蓄積の動態を評価した。実線または破線は、各時点で決定された3つの値の中央値を表す。
【
図27】LoVo異種移植された腫瘍における4-E03mAbとGM-CSFの蓄積の動態 A)LoVo異種移植された腫瘍における4-E03mAb蓄積の動態を、2つの異なる用量(10
4または10
5pfu)でのCOPTG19384またはVVTG17137のいずれかの単回の腫瘍内注射後に、または3mg/kgの4-E03モノクローナル抗体の単回腹腔内注射後に評価した。実線または破線は、3つの値の中央値を表す。 B)LoVo異種移植された腫瘍におけるGM-CSFの蓄積の動態を、2つの異なる用量(104または10
5pfu)でのCOPTG19384またはVVTG17137(10
5pfu)のいずれかの単回の腫瘍内注射後に、評価した。実線は、各時点で決定された3つの値の中央値を表す。
【
図28】LoVo異種移植されたマウスの血清中の4-E03mAbおよびGM-CSF濃度の動態 A)血清中の4-E03mAb濃度の動態は、2つの異なる用量(10
4または10
5pfu)でのCOPTG19384またはVVTG17137のいずれかのLoVo異種移植された腫瘍への単回腫瘍内注射後に、または3mg/kgの4-E03モノクローナル抗体の単回腹腔内注射後に評価した。実線は、3つの値の中央値を表す。 B)2つの異なる用量(10
4または10
5pfu)でのCOPTG19384またはVVTG17137(10
5PFU)のいずれかでのLoVo異種移植された腫瘍への単回腫瘍内注射後の血清中のGM-CSF濃度の動態。破線は、各時点で決定された3つの値の中央値を表す。
【
図29】CT26腫瘍におけるウイルス蓄積の動態 VVTG18058、COPTG19421、またはCOPTG19407のいずれかの、10
7pfu/注射での3回の腫瘍内注射(D0、D2、およびD4)後のCT26腫瘍におけるウイルス蓄積の動態。
【
図30A】CT26腫瘍におけるm5-B07mAbおよびmGM-CSF蓄積の動態 A)VVTG18058、COPTG19421、またはCOPTG19407(10
7pfu/注射)の3回の腫瘍内注射中および注射後、または3mg/kgのm5-B07モノクローナル抗体の1回の腹腔内注射後の、CT26腫瘍におけるm5-B07mAb濃度の動態。実線は、3つの値の中央値を表す。
【
図30B】B)VVTG18058、COPTG19421、またはCOPTG19407(10
7pfu/注射)の3回の腫瘍内注射中および注射後、または3mg/kgのm5-B07モノクローナル抗体の1回の腹腔内注射後の、CT26腫瘍におけるmGM-CSF濃度の動態。実線は、各時点で決定された3つの値の中央値を表す。
【
図31】CT26モデルの血清中のm5-B07mAb濃度の動態 VVTG18058、COPTG19421、またはCOPTG19407のいずれかのCT26腫瘍への3回の腫瘍内注射後(10
7pfu/注射)、または3mg/kgのm5-B07モノクローナル抗体の単回腹腔内注射後の、血清中のm5-B07mAb濃度の動態。実線は、各時点で決定された3つの値の中央値を表す。
【
図32】CT26モデルにおける抗腫瘍活性:CT26腫瘍増殖(A)およびマウス生存(B)に対するCOPTG19347+/-抗PD1の効果 CT26細胞をD-7でBalB/cマウスに皮下注射した。COPTG19347(10
7pfu)、VVTG18058(10
7pfu)、VVTG18058またはバッファーをD0、D2、およびD4に腫瘍内注射し、続いて250μg/マウスの抗PD1 RMPI-14をD7、D10、D14、D17およびD21に腹腔内注射した。
【
図33】CT26モデルにおける用量効果評価(COPTG19407、COPTG19421およびVVTG18058の処理後に観察された生存データの編集)
【
図34-1】CT26腫瘍モデルにおけるVVTG18058プラスm5-B07と比較したCOPTG19407の抗腫瘍活性 CT26細胞をBalB/cマウスに皮下注射した。腫瘍が約100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。マウスに、COPTG19407(8.5×10
6pfu腫瘍内)、VVTG18058(8.5×10
6pfu腫瘍内)、m5-B07(10mg/kg腹腔内)、またはVVTG18058(8.5×10
6pfu腫瘍内)とm5-B07(10mg/kg腹腔内)の組み合わせをD0、D2、およびD5に注射した。
図30A~D:腫瘍増殖および
図16E:生存を経時的に追跡した。
【
図35-1】皮下A20腫瘍を有するBALB/cマウスの個々の腫瘍体積曲線。A20細胞をBalB/cマウスに皮下注射した。腫瘍が80~100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。マウスに、ビヒクル(腫瘍内)、COPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)、VVTG18058(4.75×10
6pfu腫瘍内)、RMP1-14(抗mPD-1)(250μg/マウス腹腔内)またはCOPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)とRMP1-14(250μg/マウス腹腔内)の組み合わせをD0、D2、およびD4に注射した。 A)ビヒクルで処理されたグループ1の動物 B)VVTG18058で処理されたグループ2の動物 C)COPTG19407で処理されたグループ3の動物 D)マウス抗PD1で処理されたグループ4の動物 E)COPTG19407とマウス抗PD1で処理されたグループ5の動物
【
図36】皮下A20腫瘍を有するBALB/cNマウスの平均腫瘍体積曲線。 各点は、グループごとに記録された腫瘍体積の平均を表す。すべての動物の腫瘍体積を64日間にわたって監視した。マウスを、ビヒクル(グループ1)、VVTG18058(グループ2)、COPTG19407(グループ3)、マウス抗PD1抗体RMP1-14(BioXCell)(グループ4)およびCOPTG19407とRMP1-14(グループ5)で処理した。動物はD7で無作為化され、D7~D31の期間中に処理された。最後マウスをD61でと殺した。
【
図37】A20モデルにおける抗腫瘍活性:A20腫瘍増殖(A)およびマウス生存(B)に対するCOPTG19407+/-抗PD1の効果 A20細胞をBalB/cマウスに皮下注射した。腫瘍が80~100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。マウスを、ビヒクル(腫瘍内)(グループ1)、抗PD-1(グループ2)、アイソタイプ(グループ3)、VVTG18058(10
5pfu腫瘍内)(グループ4)、VVTG18058(10
5pfu腫瘍内)+アイソタイプ(グループ5)、VVTG18058(10
5pfu腫瘍内)+抗PD-1(グループ6)、VVTG19407(10
5pfu腫瘍内)(グループ7)、VVTG19407(10
5pfu腫瘍内)+アイソタイプ(グループ8)およびVVTG19407(10
5pfu腫瘍内)+抗PD-1(グループ9)で処理した。
【
図38-1】皮下C38腫瘍を有するC57BL/6マウスの個々の腫瘍体積曲線。 C38細胞をC57bl/6マウスに皮下注射した。腫瘍が80~100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。マウスに、ビヒクル(腫瘍内)、COPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)、VVTG18058(4.75×10
6pfu腫瘍内)、RMP1-14(抗mPD-1)(250μg/マウス腹腔内)またはCOPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)とRMP1-14(250μg/マウス腹腔内)の組み合わせをD0、D2、およびD4に注射した。 A)ビヒクルで処理されたグループ1の動物 B)VVTG18058で処理されたグループ2の動物 C)COPTG19407で処理されたグループ3の動物 D)マウス抗PD1で処理されたグループ4の動物 E)COPTG19407とマウス抗PD1で処理されたグループ5の動物
【
図39】皮下C38腫瘍を有するC57BL/6マウスの平均腫瘍体積曲線。 各点は、グループごとに記録された腫瘍体積の平均を表す。すべての動物の腫瘍体積を61日間にわたって監視した。マウスをビヒクル(グループ1)、VVTG18058(グループ2)、COPTG19407(グループ3)、マウス抗PD1抗体RMP1-14(BioXCell)(グループ4)、およびCOPTG19407とRMP1-14(グループ5)で処理した。動物はD7で無作為化され、D7~D31の期間中に処理された。最後マウスをD61でと殺した。
【
図40-1】皮下EMT6腫瘍を有するBALB/cマウスの個々の腫瘍体積曲線。 EMT6細胞をBalB/cマウスに皮下注射した。腫瘍が80~100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。マウスに、ビヒクル(腫瘍内)、COPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)、VVTG18058(4.75×10
6pfu腫瘍内)、RMP1-14(抗mPD-1)(250μg/マウス腹腔内)またはCOPTG19407(4.75×10
6pfu腫瘍内)とRMP1-14(250μg/マウス腹腔内)の組み合わせをD0、D2、およびD4に注射した。 A)ビヒクルで処理されたグループ1の動物 B)VVTG18058で処理されたグループ2の動物 C)COPTG19407で処理されたグループ3の動物 D)マウス抗PD1で処理されたグループ4の動物 E)COPTG19407とマウス抗PD1で処理されたグループ5の動物
【
図41】皮下EMT6腫瘍を有するBALB/cマウスの平均腫瘍体積曲線。 各点は、グループごとに記録された腫瘍体積の平均を表す。すべての動物の腫瘍体積を61日間にわたって監視した。マウスをビヒクル(グループ1)、VVTG18058(グループ2)、COPTG19407(グループ3)、マウス抗PD1抗体RMP1-14(BioXCell)(グループ4)、およびCOPTG19407とRMP1-14(グループ5)で処理した。動物はD7で無作為化され、D7~D31の期間中に処理された。最後マウスをD56でと殺した。20%以上のマウスが死亡した後、曲線を停止した。
【実施例0171】
ここで、本発明のいくつかの態様を具体的に示す、特定の非限定的な実施例を説明する。実施例では、rhタンパク質は、ヒト組換えタンパク質を示し(例えばrhIL-2は、ヒト組換えIL-2タンパク質を示す)、rcmタンパク質は、カニクイザル(cynomologous)組換えタンパク質を示す(例えばrcmCTLA4は、カニクイザル組換えCTLA-4タンパク質を示す)。
【0172】
上記の配列に加えて、いくつかの追加の配列が実施例で使用されており、これらは以下の表5に設定される。
【表5】
【0173】
実施例1-CTLA-4特異的抗体の生成
scFv抗体フラグメントの単離
n-CoDeR(登録商標)scFvライブラリ(BioInvent;Soderlind E,et al Nat Biotechnol.2000;18(8):852-6)を使用して、ヒトCTLA-4を認識するscFv抗体フラグメントを単離した。
【0174】
ファージライブラリは、組換えヒトタンパク質に対する3回の連続パニングで使用された。ファージのインキュベーション後、細胞を洗浄して未結合のファージを除去した。結合ファージをトリプシンで溶出し、E.coliで増幅した。得られたファージストックをscFvフォーマットに変換した。E.coliをscFv保有プラスミドで形質転換し、個々のscFvクローンを発現させた。
【0175】
固有なCTLA-4結合scFvの同定
3回目のパニングからの変換されたscFvを、ホモジニアスFMAT分析(Applied Biosystems、Carlsbad、CA、USA)を使用して、ヒトCTLA-4または非標的タンパク質を発現するトランスフェクトされた293FT細胞への結合についてアッセイした。
【0176】
簡単に説明すると、トランスフェクトされた細胞を、発現プレートからのscFv含有上清(1:7に希釈)、マウス抗His Tag抗体(0.4μg/ml、R&D Systems)、およびAPCコンジュゲートヤギ抗マウス抗体(0.2μg/ml、カタログ番号115-136-146、Jackson Immunoresearch)とともに透明底プレートに添加した。FMATプレートを室温(約20~25℃)で9時間インキュベートした後、読み取った。標的特異的細菌クローンを活性物質として分類し、cherryを96ウェルプレートに採取した。
【0177】
ELISAにおけるCTLA-4へのIgGの結合
96ウェルプレート(Lumitrac 600 LIAプレート、Greiner)を、1pmol/ウェルの組換えヒトCTLA-4-Fcタンパク質(R&D Systems)、1pmol/ウェルのカニクイザル(cm)CTLA-4-Fcタンパク質(R&D Systems)、0.3pmol/ウェルの組換えマウスCTLA-4-Fcタンパク質(R&D Systems)、1℃pmol/ウェルの組換えヒトCD28-Fcタンパク質(R&D Systems)または0.3pmol/ウェルの組換えマウスCD28-Fcタンパク質(R&D Systems)で4で一晩コーティングした。洗浄後、0μg/ml~0.06ng/ml(66nM~0.3pM)の増減調整した用量(titrated dose)の抗CTLA-4mAbを1時間結合させた。次にプレートを再度洗浄し、結合した抗体を50ng/mlに希釈した抗ヒトF(ab)-HRP二次抗体(Jackson ImmunoResearch)で検出した。Super Signal ELISA Pico(Thermo Scientific)を基質として使用し、Tecan Ultra Microplate readerを使用してプレートを分析した。
【0178】
ELISAでアッセイしたところ、すべての抗体はヒトおよびカニクイザルCTLA-4タンパク質に結合するが、ヒトCD28タンパク質には結合しないことが示された。さらに、5-B07はマウスCTLA-4に結合するが、マウスCD28には結合しないことが示された(
図1を参照)。
【0179】
フローサイトメトリーにおけるCTLA-4発現293T細胞へのIgGの結合
変換されたIgGクローンを、CTLA-4発現293T細胞(Crownbioから購入)への結合について分析した。細胞を異なる濃度(
図2に示す)の抗CTLA-4mAbとともに4で20分間インキュベートした後、洗浄し、APC標識ヤギ抗ヒト二次抗体(カタログ番号109-℃136-088、Jackson ImmunoResearch)で染色した。死細胞は、Fixable Viability Dye eFluor780(eBiosciences)を使用する分析から除外された。FACSVerse(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)でデータ収集を実行し、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR)で分析した。
【0180】
抗CTLA-4mAbは、Yervoyと同様のEC50値で、用量依存的にヒトCTLA-4発現293T細胞に結合することが示された(
図2)。
【0181】
ヒトCTLA-4で安定的にトランスフェクトされた293T細胞、カニクイザルCTLA-4で一過性にトランスフェクトされた293T細胞、ナイーブなヒトまたはカニクイザルPBMC、インビトロで活性化されたヒトまたはcyno℃CD4+T細胞を、示された濃度の抗CTLA-4mAbとともに4で20分間インキュベートした後、洗浄し、APC標識抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch)で染色した。
【0182】
実施例2-抗CTLA-4mAbは、ヒトおよびカニクイザルのCTLA-4発現(初代)細胞に特異的に結合する
CTLA-4特異的mAbは、初代ヒトおよびカニクイザルのインビトロ活性化CD4+T細胞に結合するが、健康なドナーから単離されたナイーブなPBMCには結合しない。
PBMCをバフィーコートから単離した。簡単に説明すると、バフィーをPBSで1:3に希釈し、Ficoll-Paque Plus(Amersham)クッションにロードした。試料を800xgで20分間20℃にて遠心分離した。上部の血漿含有相を除去し、血漿/フィコール相間の明確な白いバンドから単核細胞を単離した。
【0183】
ヒト末梢CD4+T細胞を、MACS CD4T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用する陰性選択によって精製した。CD4+T細胞を、R10培地(2mMグルタミン、1mMピルビン酸塩、100IU/mlペニシリンおよびストレプトマイシンならびに10%FBSを含有するRPMI(Life TechnologiesのGIBCO)中、CD3/CD28ダイナビーズ(Life Technologies)と50ng/ml rhIL-2(R&D Systems)で3日間インビトロで活性化させ、CTLA-4の発現を上方調節した。カニクイザルCD4+T細胞は、非ヒトCD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して単離し、50ng/ml PMA(Sigma-Aldrich)および100ng/mlイオノマイシン(Sigma-Aldrich)と3日間インキュベートした。
【0184】
ナイーブなヒトまたはカニクイザルPBMC、インビトロで活性化されたヒトまたはcynoCD4+T細胞を、示された濃度の抗CTLA-4mAbとともに4℃で20分間インキュベートした後、洗浄し、APC標識抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch)で染色した。抗CTLA-4mAbの結合を、BD FACS Verseを使用するFACSによって分析した。
【0185】
抗体は、インビトロで活性化されたヒト(
図3)およびカニクイザル(
図5)のCD4+T細胞に結合するが、休止PBMCには結合しないことが示された(
図8)。内因的にCTLA-4を発現するT細胞への結合は、Yervoyによる染色(
図3、上段、点線)、および陽性対照としての、市販のBD Biosciencesの抗CTLA-4FACS抗体(クローンBNI3、
図3、下段)よる染色と同様である。
【0186】
図4に示すように、ヒトインビトロで活性化されたCD4+T細胞(黒線)の染色は、rhCTLA-4-Fc(灰色線)によって完全に遮断され、抗体の特異性を示している。この競合結合アッセイでは、2μg/mlのAlexa647標識抗CTLA-4mAbを組換えヒトCTLA-4-Fcタンパク質(50μg/ml)と混合してから、CTLA-4発現細胞とインキュベーションした。IgG結合はFACSによって検出された。
【0187】
ヒトおよびカニクイザルCTLA-4を発現するトランスフェクトされた293T細胞は、試験された抗体のcyno交差反応性を確認する
抗体のcyno交差反応性は、トランスフェクトされたCTLA-4発現293T細胞でさらに確認された。
【0188】
図6に示すように、CTLA-4特異的抗体のヒトCTLA-4発現トランスフェクト細胞への結合は、ヒトおよびカニクイザル組換えタンパク質(どちらもR&D Systems)によって阻害される。抗体は、カニクイザルCTLA-4を発現するトランスフェクト細胞に結合することも示された(
図7、上段)。この結合は、カニクイザル組換えタンパク質によって再び遮断される(下段、灰色線)。
【0189】
実験は、
図4に関連する実施例2で上述した競合アッセイと同様に実行された。
【0190】
予想される直接的なアゴニスト活性の欠如
予期しない直接的なアゴニスト活性(例えば、非特異的結合による)を除外するために、インビトロ増殖アッセイを実行した。
【0191】
ヒト末梢血CD4+T細胞は、MACS CD4T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用する陰性選択により、健康なPBMCから精製され、その後CFSE(2μM、Molecular Probes)で標識された。抗体を、室温で1時間、IgG:F(ab’)2のモル比=1.5:1で、F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG、Fcγフラグメント特異性またはF(ab’)2ヤギ抗マウスIgG、Fcγフラグメント特異性と架橋させた。1×105個の精製ヒトCD4+T細胞を、プレート結合した抗CD3(0.5μg/ml、クローンUCHT1、R&D Systems)および4μg/mlの可溶性、架橋抗CTLA-4または架橋抗CD28(クローンCD28.2、BioLegend)を用いて37℃で72時間刺激した。細胞を洗浄し、BV421コンジュゲート抗CD25抗体(クローンM-A251、BD Biosciences)で染色した。CD25+/CFSElow分裂細胞のパーセンテージをFACSによって分析した。
【0192】
図9は、試験した抗CTLA-4mAbのいずれも、抗CD28刺激とは対照的にT細胞増殖を誘導しないことを示している。
【0193】
実施例3-抗CTLA-4mAbはCD80/CD86のリガンド結合を遮断する
リガンド遮断ELISA
抗CTLA-4 IgGのリガンド遮断活性を、ELISAによって評価した。この目的のために、組換えヒトCTLA-4-Fcタンパク質(R&D Systems)を1pmol/ウェルで96ウェルプレート(Lumitrac 600 LIAプレート、Greiner)にコーティングした。洗浄後、増減調整した用量の抗CTLA-4mAbを1時間結合させた。Hisタグ付きリガンドをそれぞれ200nMおよび100nMで添加し(rhCD80およびrhCD86、R&D Systems)、プレートをさらに15分間インキュベートした。洗浄後、結合したリガンドをHRP標識抗His抗体(R&D Systems)で検出した。Super Signal ELISA Pico(Thermo Scientific)を基質として使用し、Tecan Ultra Microplate readerを使用してプレートを分析した。
【0194】
図10に示すように、試験した抗CTLA-4抗体は、Yervoyと同様のリガンド遮断活性を示す。
【0195】
インビトロでの機能的リガンド遮断
SEB PBMCアッセイでは、健康なドナーからの全PBMCを96ウェルプレート(1×105細胞/ウェル)に播種し、増減調整した用量の抗-CTLA-4 IgGの存在下で、1μg/mlのスタフィロコッカスエンテロトキシンB(SEB、Sigma Aldrich)で刺激した。IL-2分泌を、3日目に製造業者の指示に従ってMSD(メソスケール)によって測定した。
【0196】
抗体4-E03および2-C06はIL-2産生を増強することが示され、それらの効力はYervoyと同様であることが示された。
図11には、6人のうち1人の代表的なドナーが示されている。
【0197】
実施例4-抗CTLA-4mAbはインビトロおよびインビボでCTLA-4発現細胞を枯渇させる
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)
ADCCアッセイは、CD16-158V対立遺伝子をGFPと一緒に発現するように安定的にトランスフェクトされたNK-92細胞株を使用して実行した(Conkwest、San Diego、CAから購入;Binyamin,L.,et al.,2008,Blocking NK cell inhibitory self-recognition promotes antibody-dependent cellular cytotoxicity in a model of anti-lymphoma therapy.Journal of immunology 180,6392-6401)。CD4+T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用して、健康なドナーの末梢血からCD4+標的T細胞を単離した。細胞を、CD3/CD28ダイナビーズ(Life Technologies,Thermo Fisher)および50ng/mlのrhIL-2(R&D Systems)で、37℃で48時間刺激した。標的細胞を0.1~10μg/mlのmABと、4℃で30分間プレインキュベートし、その後NK細胞と混合した。細胞を、2:1のエフェクター:標的細胞比で、10mMのHEPESバッファー、1mMのピルビン酸ナトリウム、および10%のFBS低IgGを含有するRPMI1640+GlutaMAX培地(Invitrogen)で4時間培養した。溶解は、フローサイトメトリーによって決定した。簡単に説明すると、インキュベーションの最後に、細胞懸濁液を、10nMのSYTOX Red死細胞染色剤(Invitrogen)またはFixable Viability Dye eFluor780(eBioscience)とともに、BV510コンジュゲート抗CD4(クローンRPA-T4,BD Biosciences)で、4℃の暗所で20分間染色し、次いで細胞をFACSVerse(BD Biosciences)を使用して分析した。
【0198】
4-E03は、Yervoyと比較して、インビトロでCTLA-4+T細胞の除去が有意に改善されたことを示した(
図12)。
【0199】
一次患者材料でのCTLA-4発現
抗CTLA-4mAbの枯渇活性に関する上記の発見の翻訳可能性を検証するために、CTLA-4発現を一次患者材料で調べた。
【0200】
臨床試料の使用に関する倫理的承認は、Skane大学病院の倫理委員会から取得した。インフォームドコンセントは、ヘルシンキ宣言に従って提供した。試料は、LundのSkane大学病院の婦人科および腫瘍科を通じて入手した。単離した単一細胞懸濁液として腹水を評価した。腫瘍材料を小片に切断し、DNase I(Sigma Aldrich)およびリベラーゼ(商標)(Roche Diagnostics)とともにR10で、37℃で20分間インキュベートした。残りの組織は、機械的に破壊し、細胞懸濁液と一緒に70μmのセルストレーナーを通過させた。腹水および腫瘍から単離した細胞を染色した。異なるT細胞サブセットを同定するために、以下の抗体を使用した:CD4-BV510(RPA-T4)、CD25-BV421(M-A251)、抗CD127-FITC(HIL-7R-M21)、CTLA-4-PE(BNI3)、CD8-PeCy7(RPA-T8)、CD3-APC(UCHT1)、CD45-PercP-Cy5.5(HI30)、マウスIgG2aアイソタイプ、κコントロール-PE(G155-178、すべてBD Biosciences製)。FACSVerseを使用してデータ収集を実行し、FlowJoを使用してデータを分析した。
【0201】
図13に示すように、CTLA-4は腫瘍内Treg細胞で最も発現が高く、CTLA-4特異的抗体を枯渇させるための優れた標的となる。
【0202】
PBMC-NOG/SCIDモデル
CTLA-4特異的抗体の枯渇活性に関するインビトロの所見を確認するために、インビボでのPBMC-NOG/SCIDモデルにおける抗CTLA-4mAbの枯渇能力を分析した。このモデルは、確立したhu-PBMC-NOGモデルに基づいており(Sondergaard H.et al.,Clin Exp Immunol.2013 May;172(2):300-10.doi:10.1111/cei.12051、Cox J H et al.,PLoS One.2013 Dec 23;8(12):e82944.doi:10.1371/journal.pone.0082944.eCollection 2013)、以下に説明するように社内で変更された。
【0203】
マウスは、ホームオフィスのガイドラインに従って、地元の施設で飼育および維持した。8週令の雌C.B.17scid(Bosma GC et al.,Nature.1983 Feb 10;301(5900):527-30)およびNOG(NOD/Shi-scid/IL-2Rγ
null;Ito M et al,2002,NOD/SCID/γ
【化1】
mouse:an excellent recipient mouse model for engraftment of human cells.Blood 100(9):3175-3182)マウスは、Taconic(Bomholt、Denmark)から供給され、地元の動物施設で飼育された。PBMC-NOG/SCID(初代ヒト異種移植)モデルの場合、ヒトPBMCを、Ficoll Paque PLUSを用いて単離し、洗浄した後、細胞を75×10
6細胞/mlで滅菌PBSに再懸濁した。NOGマウスに、15×10
6細胞/マウスに相当する200μlの細胞懸濁液を静脈内注射した。注射の2週間後、脾臓を単離し、単一細胞懸濁液にした。その後、少量の試料を採取して、FACSによってヒトT細胞におけるCTLA-4の発現を測定した。
図13に示すように、CTLA-4は、ヒト患者の状況を反映して、他のT細胞と比較してTreg細胞でより高く発現している。細胞の大部分は、50×10
6細胞/mlで滅菌PBSに再懸濁した。SCIDマウスに、10×10
6細胞/マウスに相当する200μlの懸濁液を腹腔内注射した。1時間後、マウスを10mg/kgの抗CTLA-4hIgG1、Yervoy、またはアイソタイプ対照mAbのいずれかで処理した。マウスの腹腔内液を24時間後に収集した。ヒトT細胞サブセットは、以下のマーカー:CD45、CD4、CD8、CD25、CD127(すべてBD Biosciences製)を使用するFACSによって同定および定量化された。
【0204】
試験したすべての抗体は、Yervoyと同等またはそれ以上のTreg枯渇活性を示した。CD8+エフェクターT細胞などの他のT細胞集団は影響を受けなかった(
図14)。
【0205】
実施例5-選択された代理抗体m5-B07は、4-E03と同じ機能的特徴を示す
いくつかの例、特にインビボの例では、mIgG2aフォーマットの抗体クローン5-B07が使用されている(m5-B07としても示されている)。これは、本明細書に開示されるヒト抗体の代理抗体であるマウス抗体である。マウスCTLA-4に結合し、それによってリガンド結合を遮断するため、代理抗体として選択されている(
図16A~B)。さらに、Treg枯渇活性も示している(
図16C~D)。
【0206】
リガンド遮断ELISA
5-B07のリガンド遮断活性をELISAで評価した。この目的のために、組換えマウスCTLA-4-Fcタンパク質(Sino Biologocal Inc.)を1pmol/ウェルで96ウェルプレート(Lumitrac 600 LIAプレート、Greiner)にコーティングした。洗浄後、増減調整した用量の抗CTLA-4mAbを1時間結合させた。Hisタグ付きリガンドをそれぞれ200nMおよび100nMで添加し(rmCD80およびrmCD86;Sino Biological Inc.)、プレートをさらに15分間インキュベートした。洗浄後、結合したリガンドをHRP標識抗His抗体(R&D Systems)で検出した。Super Signal ELISA Pico(Thermo Scientific)を基質として使用し、Tecan Ultra Microplate readerを使用してプレートを分析した。
【0207】
図16に示すように、抗体は(A)CD80および(B)CD86のリガンドCTLA-4への結合を遮断する。
【0208】
インビボでのTreg枯渇活性
インビボでの腫瘍のT細胞サブセットに対するCTLA-4特異的抗体の効果を、以下に記載するようにCT26腫瘍モデルで調査した。
【0209】
マウスは、ホームオフィスのガイドラインに従って、地元の施設で飼育および維持した。6~8週齢のメスのBalb/Cは、Taconic(Bomholt、Denmark)から供給され、地元の動物施設で飼育された。CT26細胞(ATCC)を、10%FCSを添加したグルタマックス緩衝RPMIで増殖させた。細胞が半コンフルエントになったとき、それらをトリプシンで剥離させ、10×106細胞/mlで滅菌PBSに再懸濁した。マウスに1×106細胞/マウスに相当する100μlの細胞懸濁液を皮下注射した。腫瘍が約7×7mmに達したとき、図に示されるように、マウスを週2回腹腔内に10mg/kgの示された抗体で処理した。3回目の投与後、腫瘍を解剖し、機械的に小片に分割し、100μg/mlのリベラーゼ(Roche)および100μg/mlのDnase(Sigma)の混合物を使用して、37℃で2×5分間、ボルテックスを間にいれて消化した。次に、細胞懸濁液を、10%FBSを含むPBSで洗浄した(400gで10分間)。その後、細胞をMACSバッファーに再懸濁し、CD45、CD3、CD8、CD4、およびCD25(すべてBD Biosciences製)を染色する抗体パネルで染色した。染色する前に、100μg/mlのIVIGを使用して非特異的結合について細胞を遮断した。FACS Verse(BD Biosciences)を使用して細胞を分析した。マウスTreg細胞は、CD45+CD3+CD4+CD25+細胞として同定された。
【0210】
図16Cに示すように、マウスIgG2aフォーマットの5-B07は、他のCTLA-4特異的n-CoDeR抗体および十分に説明されている市販のクローン9H10と比較して、D)増加したCD8/Treg比に関連する腫瘍のTreg除去を媒介する。
【0211】
実施例6-抗CTLA4mAb(COPTG19385)または抗CTLA4mAbおよびGM-CSF(COPTG19384)を発現するウイルスの生成、導入遺伝子の発現および遺伝的安定性の特性評価
COPTG19384およびCOPTG19385は、モノクローナル抗体抗CTLA4(4-E03)をコードするワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)である。COPTG19384はさらにヒトGM-CSFをコードする。より具体的には、COPTG19384およびCOPTG19385は、どちらもチミジンキナーゼ(TK、J2R遺伝子座)およびリボヌクレオチドレダクターゼ(RR、I4L遺伝子座)の活性に欠陥がある。
図17に示すように、p7.5Kプロモーター(配列番号59)の制御下にある4-E03重鎖(HC、配列番号54)をコードする発現カセットはJ2R遺伝子座に挿入され、p7.5Kプロモーター配列番号59)の制御下にある4-E03 IgGの軽鎖(LC、配列番号53)をコードする発現カセットはI4L遺伝子座に配置された。COPTG19384の場合、pSE/Lプロモーター(配列番号61)の制御下にあるヒトGM-CSF(配列番号56)をコードする発現カセットもI4L遺伝子座に配置された。
【0212】
同じプロモーター(p7.5K)を使用して、HCおよびLCの発現を制御し、両方の鎖で同じレベルの発現を得て、したがって、ヘテロ四量体タンパク質としての抗体の最適な組み立てを取得した(すなわち、関連付けられていない鎖の過剰を回避するため)。ただし、抗体の両方の鎖に同じプロモーターがあると、それらを同じ遺伝子座に挿入することを妨げる(DNA配列が同一であると、組換えのリスクが高まり、導入遺伝子が排除される)。したがって、4-E03HCをコードするカセットがJ2R遺伝子座に挿入され、4-E03LCをコードするカセットがI4L遺伝子座に挿入された。GM-CSF導入遺伝子をコードしているが、異なるプロモーター(pSE/L)の下にあるカセットも、抗体軽鎖のようにI4L遺伝子座に挿入された。
【0213】
COPTG19384の生成
ワクシニアウイルス転移プラスミドpTG19339およびpTG19341は、それぞれワクシニアウイルスゲノムのJ2RおよびI4L遺伝子座での相同組換えによるヌクレオチド配列の挿入を可能にするように設計された。それらは、J2R(pTG19339)またはI4L(pTG19341)遺伝子座を取り巻く隣接配列(BRGおよびBRD)がクローン化されたプラスミドpUC18に由来する。各プラスミドは、p7.5Kプロモーターも含有している。
【0214】
4-E03抗体のHC遺伝子を含有する1436bpの「フラグメントHC」という名前の合成フラグメントを作製した。4-E03抗体のLC遺伝子およびpSE/Lの制御下にあるhGM-CSF遺伝子を含有するフラグメント「LCフラグメント」を合成法により生成し、プラスミドベクターに挿入した。コード配列はヒトのコドン使用頻度に合わせて最適化され、ATG開始コドンの前にコザック(Kozak)配列(ACC)が追加され、終止コドンの後に転写ターミネーター(TTTTTNT)が追加された。さらに、いくつかのパターンは除外された:TTTTTNT、GGGGG、CCCCC、これらはポックスウイルスでの発現に有害である。
【0215】
HCフラグメントは、相同組換えによってPvuIIで制限されたpTG19339に挿入され、pTG19367を生じさせた。LCを運ぶプラスミドはSnaB1によって制限され、得られたフラグメント「LC-GMCSF」は、PvuIIで制限されたpTG19341に相同組換えによって挿入され、pTG19384を生じさせた。このプラスミドでは、発現カセットが組換えアームの間に頭から尾まで挿入され、ワクシニアウイルスゲノムのI4L遺伝子座での相同組換えを可能にした。
【0216】
COPTG19384は、I4LおよびJ2R遺伝子座への連続挿入のための2つの連続相同組換えによって、および親ウイルスとしてのCOPTG19156と2つのトランスファープラスミドpTG19367およびpTG19384を使用することによって、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)で、生成された。CEFは、12日齢の発育SPF卵(Charles River)から単離された。胚を機械的に引き裂き、Tryple Select溶液(Invitrogen)に可溶化し、5%FCS(Gibco)および2mM L-グルタミンを添加したMBE(Eagle Based Medium、Gibco)で培養した。
【0217】
トランスファープラスミドと親ワクシニアウイルスとの間の相同組換えにより、GFPおよびmCherry発現カセットを失い、抗体およびGM-CSF発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスの生成が可能になる。COPTG19156には、I4L遺伝子座にmCherry遺伝子の発現カセットが含有され、J2R遺伝子座にGFP遺伝子の発現カセットが含有されている。トランスファープラスミドpTG19367と親COPTG19156の間の相同組換えにより、GFP発現カセットを失い、4-E03重鎖発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスの生成が可能になり、赤色蛍光プラークの単離によって選択が行われた。この中間組換えウイルス(COPTG19367)は、mCherry発現カセットを失い、4-E03軽鎖とGM-CSF発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスを生成するためのトランスファープラスミドとしてのpTG19384との2回目の相同組換えの親ウイルスとして使用された。COPTG19384(
図17)の選択を、白い非蛍光プラークを単離することによって実行した。
【0218】
COPTG19384のウイルスストックを2つのF175フラスコ内のCEFで増幅し、適切なウイルスストックを生成したが、これらのウイルスは分注して、使用するまで-80℃で保存できる。ウイルスストックをCEF細胞で増減調整し、感染力価をpfu/mLで表して、以下の式で計算した:溶解領域の数x希釈係数x4。説明のために、生成されたウイルスストックは6.8x106pfu/mLで増減調整された。このストックをPCRで分析し、適切なプライマーペアを使用して発現カセットと組換えアームの完全性を検証した。両方の発現カセットの配列決定により、ストックも分析した。配列決定結果のアラインメントは、理論的に予想される配列と100%の相同性を示した。必要に応じて、ウイルス調製物を従来の技術を使用して精製した(例えばWO2007/147528に記載されているように)。
【0219】
COPTG19385の生成
ワクシニアウイルス転移プラスミドpTG19339およびpTG19341は、それぞれワクシニアウイルスゲノムのJ2RおよびI4L遺伝子座での相同組換えによるヌクレオチド配列の挿入を可能にするように設計された。それらは、J2R(pTG19339)またはI4L(pTG19341)遺伝子座を取り巻く隣接配列(BRGおよびBRD)がクローン化されたプラスミドpUC18に由来する。各プラスミドは、p7.5Kプロモーターも含有している。
【0220】
4-E03抗体のHC遺伝子を含有する1436bpの「フラグメントHC」という名前の合成フラグメントを作製した。コード配列はヒトのコドン使用頻度に合わせて最適化され、ATG開始コドンの前にコザック配列(ACC)が追加され、停止コドンの後に転写ターミネーター(TTTTTNT)が追加された。さらに、いくつかのパターンは除外された:TTTTTNT、GGGGG、CCCCC、これらはポックスウイルスでの発現に有害である。
【0221】
HCフラグメントは、相同組換えによってPvuIIで制限されたpTG19339に挿入され、pTG19367を生じさせた。
【0222】
4-E03軽鎖のみをコードする発現カセットを含有するプラスミドは、プラスミドpTG19384(上記)中のpSE/Lの制御下でhGM-CSF遺伝子をコードするカセットを除去することにより得られた。pTG19384はNheIおよびXbaI(互換性ある付着末端)で制限され、再結合されて(religated)pTG19385が生成された。
【0223】
COPTG19385は、J2RおよびI4L遺伝子座への連続挿入のための2つの連続相同組換えによって、および親ウイルスとしてのCOPTG19156と2つのトランスファープラスミドpTG19367およびpTG19385を使用することによって、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)で、生成された。CEFは、12日齢の発育SPF卵(Charles River)から単離された。胚を機械的に引き裂き、Tryple Select溶液(Invitrogen)に可溶化し、5%FCS(Gibco)および2mM L-グルタミンを添加したMBE(Eagle Based Medium、Gibco)で培養した。
【0224】
トランスファープラスミドと親ワクシニアウイルスとの間の相同組換えにより、GFPおよびmCherry発現カセットを失い、抗体発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスの生成が可能になる。COPTG19156には、I4L遺伝子座にmCherry遺伝子の発現カセットが含有され、J2R遺伝子座にGFP遺伝子の発現カセットが含有されている。トランスファープラスミドpTG19367と親COPTG19156の間の相同組換えにより、GFP発現カセットを失い、4-E03重鎖発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスの生成が可能になり、赤色蛍光プラークの単離によって選択が行われた。この中間組換えウイルス(COPTG19367)は、mCherry発現カセットを失い、4-E03軽鎖発現カセットを獲得した組換えワクシニアウイルスを生成するためのトランスファープラスミドとしてのpTG19385との2回目の相同組換えの親ウイルスとして使用された。COPTG19385の選択を、白い非蛍光プラークを単離することによって実行した。
【0225】
COPTG19385のウイルスストックを2つのF175フラスコのCEFで増幅して、適切なウイルスストックを生成したが、これらのウイルスストックは、分注して使用するまで-80℃で保存できる。ウイルスストックをCEF細胞で増減調整し、感染力価をpfu/mLで表して、以下の式で計算した:溶解領域の数x希釈係数x4。説明のために、生成されたウイルスストックは1.04×107pfu/mLで増減調整された。このストックをPCRで分析し、適切なプライマーペアを使用して発現カセットと組換えアームの完全性を検証した。両方の発現カセットの配列決定により、ストックも分析した。配列決定結果のアラインメントは、理論的に予想される配列と100%の相同性を示した。必要に応じて、ウイルス調製物を従来の技術を使用して精製した(例えばWO2007/147528に記載されているように)。
【0226】
導入遺伝子の発現
4-E03モノクローナル抗体のウイルス媒介発現はウエスタンブロット(WB)によってCOPTG19384に感染したCEF細胞の上清で評価され、組換え産生抗体(40ngの4-E03)と比較された。WBを使用すると、CTLA4に結合しない非機能性分子(例えば、鎖の組み立てが不完全な分子、凝集体)の存在を視覚化できる。CEF細胞は、MOI0.05でCOPTG19384ウイルスストックに三連で感染させた。48時間後に細胞上清を回収し、非還元条件での電気泳動後、抗Ig(左ブロット)または抗軽鎖(右ブロット)HRPコンジュゲート抗体を使用してWBで分析した。
図18Aに示す結果は、感染したCEFによって生成されたmAbの非還元状態でのWBプロファイルが精製された4-E03のプロファイルに近く、100~150kDaの同様の見かけのサイズであり、正しい鎖の折り畳みと組み立てを示している。
【0227】
機能的に分泌された4-E03抗体およびGM-CSFの上清中の定量化をELISAで行った。ELISAは、細胞上清で産生された機能的ポリペプチドの量を定量的に測定することを可能にした。VVTG17137を陰性対照として使用した。これは、自殺遺伝子FCU1をコードするJ2RおよびI4L遺伝子座で欠失させられたワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)である(WO2009/065546に記載)。
【0228】
4-E03抗体を推定するために、マイクロプレートをウェルあたり100μLの、0.25μg/mLのCTLA4-Fcと4℃で一晩インキュベートすることにより、コーティングした。インキュベーション後、コーティング溶液を廃棄し、遮断溶液を加え、プレートを室温で1~2時間インキュベートした後、洗浄した。4-E03キャリブレーション標準(0.097~100ng/mL)、または遮断溶液で希釈した試料(3連で)をウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした後、洗浄した。遮断溶液で希釈したHRPコンジュゲート抗体を各ウェルに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートしてから洗浄した。暗所で室温で30分間TMB溶液とインキュベートした後、H
2SO
4 2M(停止溶液)を添加して酵素反応を停止した。マイクロプレートリーダーで450nmの吸光度を読み取った。吸光度をキャリブレーション標準の抗体濃度に対してプロットした。
図18Bに示すように、機能的な4-E03mAbは、COPTG19384に感染した細胞で産生され、1μg/mLに近い濃度に達した。
【0229】
Quantikine(登録商標)ELISA(R&D Systems Ref SGM00)を使用して、同じ上清でGM-CSFのウイルス媒介発現も評価した。簡単に説明すると、このアッセイは2つの抗hGM-CSF抗体を使用している。試料中のhGM-CSFを捕捉するために使用された最初の抗体を、96ウェルプレートのウェル表面にコーティングした。第2の抗体はコンジュゲートされ、溶液中のプレートに加えられて、捕捉されたhGM-CSFを検出する。次に、試料中のhGM-CSFの濃度は、キットによって提供されるいくつかの精製されたhGM-CSFで確立された検量線からの内挿によって計算される。
図19に示すように、GM-CSFの発現レベルは約6μg/mLであった。
【0230】
結論として、1μg/mL以上の濃度が両方の導入遺伝子で検出され、満足のいくレベルの発現を示している。
【0231】
遺伝的安定性:
遺伝的安定性試験は、感染多重度(MOI)が10-4の無血清培地でCEF上でウイルスを5回継代した後に実行された。継代P5を希釈し、60mm培養皿のCEF細胞に接種して、皿あたり20~40個のウイルスプラークを得た。100個のウイルスプラークが単離され、継代培養された。1回の増幅サイクルの後、単離されたウイルスプラークをCEF細胞に接種し、PCRおよびELISAによって試験した。PCR分析と導入遺伝子の発現は、90%以上のクローンが正しいプロファイルを持っていることを示した。製品の臨床開発の受け入れ基準は90%以上の遺伝的安定性であるため、COPTG19384は遺伝的に安定しているとみなされた。
【0232】
実施例7-COPTG19384のインビトロ特性評価
肝細胞における複製研究:抗CTLA4mAbおよびGM-CSFを発現するウイルスの腫瘍選択性
COPTG19384は、ヌクレオチド代謝に関与するウイルス酵素(TKおよびRR)をコードする2つの遺伝子欠失を持っている。機能している場合、これらの酵素は、ウイルスが休止状態の細胞を含むほとんどの細胞の細胞質で複製することを可能にする(すなわち、利用可能なヌクレオチドプールが少ない)。J2RおよびI4L遺伝子座への異なる導入遺伝子の挿入が宿主範囲の選択性を変更しないことを確認するために、宿主範囲の研究が初代および悪性細胞で実行された。COPTG19384の複製は、正常な初代ヒト細胞(肝細胞、Biopredicによって調製)および同じ臓器の腫瘍細胞(肝細胞癌由来のHepG2、ATCC(登録商標)HB-8065(商標))で評価された。複製率と治療指数を計算し、非選択的ワクシニアウイルスの参照として野生型コペンハーゲンワクシニア(COP WT、欠失のないウイルス)と組換え二重欠失VVTG17137ウイルス(J2Rの代わりに自殺FCU1遺伝子が挿入されたJ2RおよびI4L遺伝子が欠失させられた)の両方のそれらとそれぞれ比較した。研究バッチ(バッチ1)とGMP生成バッチ(バッチ2)の2つのバッチを分析した。複製率は、インキュベーション終了時の総感染粒子/最初の感染粒子(接種量)の比率として決定された。各ウイルスの治療指数は、HepG2細胞での複製率/肝細胞での複製率の比率として決定された。比率が高いほど、腫瘍細胞に対するウイルスの選択性が高くなる。
【0233】
初代肝細胞は、肝細胞培地用の1.6%添加剤を添加した肝細胞用基本培地(Basal Hepatic cell medium)で増殖させた。HepG2細胞は、4E+05細胞/ウェルで12ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。感染前に培地を除去し、肝細胞用のPBSまたはHepG2用のFCS補充PBSのいずれか中の70pfu/ウェルのウイルスを各ウェルに加えた。感染した細胞を37℃、5%CO2で30分間インキュベートした後、1.5mL/ウェルの培地を添加した。プレートを37℃、5%CO2で3日間インキュベートした後、-80℃で保存した。次に、プレートを解凍し、ウェルを30秒間40%の振幅で超音波処理後、Vero細胞で力価測定した。
【0234】
正常なヒト肝細胞における複製率:
これらの初代細胞は、ドナーから直接定期的に入手できるため、正常なヒト細胞でのCOPTG19384の能力を監視するために正常な肝細胞を選択した。これらの細胞では、COP WTは50,000を超える複製率で良好に拡散した(
図20A)。言い換えれば、最初の感染ウイルス粒子ごとに、約50,000個の新しいウイルスが生成された。2つの組換え二重欠失ウイルス(すなわち、VVTG17137およびCOPTG19384)の場合、この複製率は、ウイルスまたはウイルスのバッチに応じて5~15に劇的に減少した(
図20A)。この最後の結果は、2つの欠失によってもたらされる正常細胞への弱毒化された複製がVVTG17137とCOPTG19384の間で保存されたことを示している。
【0235】
腫瘍細胞HepG2の複製率:
HepG2細胞は、正常な肝細胞の悪性対応物であるため、腫瘍性ヒト細胞で複製するCOPTG19384の能力を監視するために選択された。これらの細胞では、試験された5つのウイルスの複製率は非常に似ており、最初に試験されたウイルスが何であれ、約100,000の新しいウイルスに達した(
図20B)。したがって、VVTG17137とCOPTG19384の両方での二重欠失と導入遺伝子のベクター化は、悪性細胞で複製する能力を損なうことはなかった。
【0236】
治療指数:
図20Cに示すように、計算された指数はCOP WTに対して2つだけであり、腫瘍細胞と正常細胞に対するCOP WTの選択性が低いことを示している。逆に、VVTG17137とCOPTG19384の両方(および試験されたウイルスの両方のロット)の場合、この指数は8.2E+03~1.8E+04で変化する。このことは、2つの組換えウイルスが腫瘍細胞と正常細胞に対して同じ良好な選択性を持っていることを確認する。
【0237】
これらの結果は、COPTG19384とVVTG17137が腫瘍細胞と健康な細胞の両方で非常に類似した複製特性を有することを示した。COP WTと比較すると、腫瘍性Hep G2での複製は類似しているが、健康な肝細胞では非常に損なわれている。したがって、2つの遺伝子(J2RおよびI4L)の欠失は、欠失させられたウイルスの複製を、腫瘍細胞を含む増殖細胞(つまり、ヌクレオチドプールが高い)に制限する。導入遺伝子の発現と複製は密接に関連しているため、COPTG19384は治療用タンパク質を腫瘍に選択的に送達するための効率的なベクターである。
【0238】
CEFおよびLoVoでの複製アッセイ:
COPTG19384の複製は、11日または12日齢の特定病原体フリー卵(Charles Rivers)から単離されたCEF(プロデューサー細胞)および腫瘍性ヒト細胞株(LoVo、ATCC(登録商標)CCL-229(商標))で評価された。CEFおよびLoVo細胞は懸濁液で調製され、MOIがCEFの場合は10-3、およびLoVoの場合は10-2で感染させた(細胞ごとおよび時点ごとに3つのウェル)。異なる時間のインキュベーションの後、Vero細胞(CCL-81(商標))でウイルス力価測定を行った。COPTG19384複製は、ベンチマークとしてVVTG17137複製と比較された。結果は、COPTG19384およびVVTG17137の複製がCEFおよびLoVoの両方で類似していたことを示している(データは示さず)。
【0239】
再構成ヒト皮膚での複製アッセイ:
COPTG19384の複製は、再構成ヒト皮膚(T-Skin(商標)/ヒト全層皮膚モデル)でも評価された。(EPISKIN SA)から入手した36個のT-Skin(商標)試料を6ウェルプレートで培養し、新鮮な培地で維持した。処理する最終濃度(すなわち、10
1~10
5pfu/ウェル)を得るためにVVTG17137とCOPTG19384を各ウェルに(三連で)分配した。ウイルスを含まない培地に対応する陰性対照も試験した(モック(Mock))。プレートを37℃、5%CO
2で7日間インキュベートし、T-Skin(商標)試料を収集して2つに切断した。感染力価を、ウイルス力価測定にVero細胞を使用して、2つのピースのうちの1つで決定した。
図21は、COPTG19384がベンチマークVVTG17137と同程度に再構成皮膚で複製することを示し、GM-CSFと4-E03mAbの両方のベクター化がヒトの再構成皮膚でのワクシニアウイルスの複製挙動を変更しなかったという事実を裏付けている。
【0240】
腫瘍溶解アッセイ
腫瘍溶解活性は、腫瘍細胞に対する試験されたウイルス試料の溶解活性の代表的なものである。それは異なる腫瘍細胞株:ヒト結腸直腸腺癌細胞株LoVo(ATCC(登録商標)CCL-229(商標))、ヒト膵臓腫瘍細胞株MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CCL-1420)およびヒト肝細胞癌細胞株HepG2(ATCC(登録商標)HB-8065(商標))での5日間のインキュベーション後の細胞生存率の定量化によって評価された。COPTG19384の腫瘍溶解活性を、ベンチマークとしてVVTG17137の腫瘍溶解活性と比較した。非感染細胞に対応する陰性対照もプレーティングした(モック感染細胞)。
【0241】
細胞を調製し、エッペンドルフチューブ(1.2×10
6細胞/チューブ)に分配してから、10
-5~10
-2のMOIでウイルスに感染させ、37℃で30分間インキュベートした。適切な完全培地をエッペンドルフチューブに加え、この懸濁液のアリコートを、2mLの適切な完全培地を含有する6ウェルプレートの各ウェルに(3連ずつ)加えた。プレートを37℃、5%CO
2で5日間インキュベートし、細胞生存率をVi-Cellカウンターで測定した。結果を、モック感染細胞の細胞生存率のパーセンテージとして表した。4-E03mAbおよびGM-CSFの濃度を測定するために、細胞上清も回収した。
図22は、COPTG19384およびVVTG17137の腫瘍溶解活性が、評価した3つの腫瘍細胞株で類似していることを示している。
【0242】
導入遺伝子の発現レベル
腫瘍崩壊活性測定(可変MOIでの感染の5日)後に回収されたHepG2およびLoVo細胞の培養上清において、4-E03モノクローナル抗体およびGM-CSFの両方の発現レベルをELISA(実施例6に記載)によって測定した。
【0243】
4-E03およびGM-CSFの発現レベルを、それぞれ以下の条件で培養された5つの細胞株、ヒト胃癌細胞株Hs-746 T(ATCC(登録商標)HTB-135(商標))、ヒト卵巣腫瘍細胞株SK-OV-3(ATCC(登録商標)HTB-77(商標))、ヒト膵臓腫瘍細胞株MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CCL-1420)、ヒト結腸直腸腺癌細胞株LoVo(ATCC(登録商標)CCL-229(商標))およびヒト結腸直腸癌細胞株HCT116(ATCC(登録商標)CCL-247(商標))の上清においてELISA(実施例6を参照)によって測定した。各細胞株を6ウェルプレート(10
6細胞/ウェル)で(3連ずつ)培養し、37℃、5%CO
2で24時間インキュベートした後、MOI 0.05で感染させた。次に、4-E03mAbおよびGM-CSFの濃度を決定するために、感染の48時間後に細胞上清を回収した。予想通り、MOI、感染後の時間、細胞株は、感染細胞の上清における導入遺伝子の発現レベルに影響を与える重要なパラメーターである。
図23Aは、COPTG19384に感染した場合、複製を許容する(HepG2)および耐性を示す(LoVo)腫瘍細胞株が、培養上清中にほぼ同量の4-E03mAbおよびGM-CSFを産生できることを示している。ただし、HepG2の最大発現は、LoVoの10分の1のMOIで到達する。さらに、試験した5つの腫瘍細胞株では、導入遺伝子の発現は、4-E03mAbおよびGM-CSFでそれぞれ0.1および1μg/mLを超えていた(
図23B)。4-E03mAbの濃度を測定するために使用されるELISAアッセイは、抗原CTLA4を使用して抗体を捕捉することに注意するべきである。言い換えれば、このアッセイによって測定された抗体は、少なくとも部分的に機能的である(すなわち、それらの抗原を認識し、抗体の他の機能は、Fc部分によって運ばれる)、
【0244】
4-E03mAbの精製とグリコシル化プロファイル分析
感染細胞から4-E03mAbのかなり大量に製造するために、約4.7 107Mia-PACA細胞/フラスコを含有する15個のF175フラスコをMOI 0.01でCOPTG19384に感染させ、72時間インキュベートした。MIA Paca-2細胞培養上清(ELISAで測定した場合、670μgのmAb 4-E03を含有する約450mL)を回収し、プールし、遠心分離によって清澄化して、ほとんどの細胞破片を除去した。清澄化した上清を0.2μmフィルターでろ過し、2mM EDTA(推定金属プロテアーゼを阻害するため)および20mM Tris pH7.5(pHを上げるため)を添加した。次に、ろ過した上清をprotA Hitrapカラム(GE healthcare、参照17-5079-01)に通した。カラムを移してPurifierFPLC(GE Healthcare)に接続し、精製プログラム(THM/ProtA 1mL注射loop frac bleu)を適用した。mAbを含む溶出画分を、mAbのジスルフィド結合を還元するかしないためにベータメルカプトエタノールを含有するか含有しないLaemlliバッファー(Biorad)を添加した後、4~12%(Thermo NP0323)のNuPageBis-Trisゲルにロードした。ゲルはInstantBlue(Expedeon、ISB1L)で染色した。溶出のメインピークに対応する3つの画分をプールし、配合バッファーに対して透析した後、抗体濃度を280nmでの吸光度によって決定した。精製mAbの最終濃度は0.29mg/mLであった。
【0245】
最初の特性評価は、還元および非還元条件での電気泳動による鎖組み立ての評価であった。非還元条件では、2つの軽鎖と2つの重鎖を組み立てて、天然の機能的な抗体を形成する。感染したMIA PaCa-2から精製された4-E03と組換えによって生成された4-E03は、還元条件と非還元条件の両方で区別できない電気泳動プロファイルを持っているように見えた。言い換えれば、感染したMIA PaCa-2から精製された4-E03は、軽鎖と重鎖の予想される比率を持ち、2つの軽鎖と2つの重鎖のヘテロ四量体に正しく組み立てられる。このヘテロ四量体の存在は、質量分析によっても確認された。精製されたmAbは、グリコシル化分析のために質量分析にかけられた。簡単に説明すると、mAbは、ヒンジでIgGを特異的に切断する(F(ab’)2およびFc部分が生じる)IdeSプロテアーゼで消化されたか、または消化されなかった。N-グリコシル化を有する抗体全体またはFc部分の質量を決定し、各質量にFcの一次配列から計算された理論質量とグリコシル化パターンを適合させた。感染MIA PaCa-2から精製した4-E03mAbのグリコシル化プロファイルを、クリニックで使用されるヒトIgG1のベンチマークとして組換えにより生成および精製された4-E03およびMabTheraのプロファイルと比較した。結果は、感染したMIA PaCa2から生成された4-E03のグリコシル化プロファイルが、G0Fの大部分(88%)を持つ2つの抗体参照とは異なるグリコシル化プロファイルを有していたのに対し、組換え4-E03とMabTheraはどちらも典型的なG0F、G1FおよびG2F分布と同様のグリコシル化プロファイルを有していることを示している。ただし、MIA PaCa-2は、ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1転写産物のレベルが低いため、精製された4-E03mAbのG1FおよびG2F種が低い原因であると疑われ、これは、MIA PaCa-2で発現した4-E03のガラクトシル部分(したがってG1fおよびG2Fの欠失)の原因である可能性がある。
【0246】
CEFで生成されたCOPTG19384の精製中に回収されたパーミエートからも、同じタイプの精製とそれに続く質量分析が実行された。結果は、感染したCEFからの4-E03のグリコシル化プロファイルが、MabTheraまたは組換え4-E03のものと非常に類似していたことを示している。この最新の結果は、抗体のグリコシル化プロファイルが、感染自体よりも使用される細胞株によってより影響を受けることを示唆している。
【0247】
感染したMIA PaCa-2細胞(4-E03TG)の上清から精製された4-E03も、CHO(研究バッチ)またはHEK(toxバッチ)細胞によって組換え生産された4-E03と同じ結合特性を呈する(
図24および25)。これは、組換え(
図24A)ヒトおよび(
図24B)カニクイザルCTLA-4タンパク質への結合を試験するためのELISA(実施例1に記載)によって示された。(
図25A)ヒトおよび(
図25B)カニクイザルCTLA-4発現細胞への結合を試験したFACS分析(実施例1および2を参照)により、異なる4-E03バッチに対して同様の交差反応性および結合親和性が確認された。
【0248】
GM-CSFのグリコシル化とジスルフィド結合のパターン
グリコシル化パターンといくつかのジスルフィド結合の存在を調査するために、異なるヒト腫瘍細胞株をCOPTG19384に感染させ、それらの上清を同じWB法で分析した。MIA-Paca-2、LoVo、HepG2およびHCT116細胞をMOI 0.01で感染させ、血清を含まない培地で72時間インキュベートした。培養上清を回収し、遠心分離により清澄化し、0.2μmフィルターでろ過した。上清は分析まで-20℃で保存した。それらは、8μlのRapid PNGase F Buffer 5Xを添加し、続いて75℃で5分間インキュベートすることにより処理された。次に、1μLのPNGase Fを添加し(糖タンパク質からN-グリカンを除去するため)、混合物を50℃で30分間インキュベートした。ウエスタンブロッティングに供する前に、ベータメルカプトエタノール(還元および非還元条件)を含むまたは含まない5μLのLaemmli bufferx4を添加することにより、25μLの試料を調製した。Amersham ECL Primeウエスタンブロッティングを使用して免疫複合体を検出し、Molecular Imager ChemiDOC XRS(Biorad)を使用して化学発光を記録した。
【0249】
感染したHCT116、LoVo、およびMIA PaCa-2からのGM-CSFは同じパターンのグリコシル化を表したが、感染したHepG2によって生成されたGM-CSFは非N-グリコシル化分子として移動した。これらの結果は、COPTG19384に感染したヒト腫瘍細胞によって産生されたGM-CSFが、予想される翻訳後修飾(すなわち、ジスルフィド結合およびN-グリコシル化)を有することを示している。ただし、これらの修飾は、感染に使用される腫瘍細胞株とそれらの特定の代謝状態によっておそらく異なる。
【0250】
実施例8:COPTG19384の腫瘍内注射後の薬物動態
LoVo異種移植モデルにおけるワクシニアウイルスの腫瘍内(i.t.)注射後の抗CTLA4抗体、GM-CSFおよびウイルスの腫瘍および血流における発現の動態。
プロトコル
5×106細胞のLoVo細胞をスイスヌードマウス(Swiss nude mice(Charles River,France))の右側腹部に移植した。腫瘍体積が約120mm3に達した約2週間後、マウスを無作為化し、15匹の動物からなる6グループに分けた。
●グループ1のマウスは、D0(処理初日)に1x104pfu/マウスの用量でCOPTG19384の腫瘍内投与を受けた。
●グループ2のマウスは、D0に1x105pfu/マウスの用量でCOPTG19384の腫瘍内投与を受けた。
●グループ3のマウスは、D0に1x104pfu/マウスの用量でVVTG17137の腫瘍内投与を受けた。
●グループ4のマウスは、D0に1x105pfu/マウスの用量でVVTG17137の腫瘍内投与を受けた。
●グループ5のマウスは、D0に3mg/kgの用量で4-E03の腹腔内(i.p.)投与を受けた。
●グループ6のマウスは、D0で3mg/kgの用量でイピリムマブ(Yervoy)の腹腔内投与を受けた。
【0251】
3匹の動物からの腫瘍および血液を1、3、6、10および20日目に収集した。腫瘍は、即時処理のために加重および均質化された。ホモジナイズした腫瘍の4分の1をウイルス力価測定のために収集し、残りの懸濁液を遠心分離し、使用するまで上清を-20℃で保存した。血液を2つの部分に分けた:1つは力価測定アッセイのためにヘパリンチューブ(25IU/100μLの血液)に加え、分析まで-80℃で凍結した。清澄化した血清を他の部分から生成し、使用するまで-20℃で保存した。ウイルス力価は、Vero細胞での力価測定によって腫瘍および血液試料で決定された。
【0252】
LoVoモデルにおけるウイルス複製の速度論:
COPTG19384は、2つの用量(1×10
4または1×10
5pfu)で1回注射されたLoVoモデルでは、ウイルス複製が監視され、同じ条件で注射したVVTG17137のものと比較された。
図26に表示された結果は、各時点で測定されたウイルス力価の3つの値の重要な分散を示している。とにかく、結果はまた、両方のウイルスおよび両方の用量で腫瘍内で複製し、注射後3日目から最大20日まで腫瘍のかなり高い力価/gを維持することを示している。所与の時点で、2回のウイルス投与間または使用した2つのウイルス間でウイルス力価に明らかな違いはない。興味深いことに、13pfu/mLしか検出されなかった1つの試料(VVTG17137、10日目で用量:1×10
7pfu)を除いて、すべての血液試料がウイルス検出に対して陰性であった(データは示さず)。
【0253】
一緒にこれらの結果は、1×104または1×105PFUのいずれかの1回の腫瘍内注射後、ウイルスの複製は、LoVo腫瘍において少なくとも20日間維持され、血流中にはほとんど検出されない存在であることを示している。LoVo異種移植モデルは、寛容なヒト腫瘍細胞と、免疫系が著しく損なわれ、したがって抗ウイルス活性が制限されているスイスヌードマウスを使用するため、ウイルス複製に非常に有利であることに注意する必要がある。
【0254】
LoVoモデルにおける導入遺伝子発現の動態:
予想通り、腫瘍における導入遺伝子発現の動態は、4-E03mAbに(
図27A)およびGM-CSF(
図27B)の両方で6日目または10日目に最大濃度(Cmax)でウイルス複製の動態に従った。4-E03mAb(またはイピリムマブ)の単回注射の場合、腫瘍および血液中のCmaxが最初の時点(1日目)で観察され、その後測定されたmAbの濃度は、マウスにおけるヒトIgG1の薬物動態と一致していた(
図28)。
【0255】
さらに、Cmax以降(すなわち注射後6~10から20日)の腫瘍への4-E03の濃度は、COPTG19384処理後(両方の用量)、3mg/kgの処理用量での4-E03mAbの単回注射後よりも約10倍高かった(
図27A)。対照的に、COPTG19384処理後のmAbの血中濃度は、3mg/kgの4-E03の腹腔内注射後に測定された濃度よりも常に劣っていた(
図28A)。この結果は、mAbのベクター化が、mAbの処理的投与で得られる血中濃度を超えたり、到達したりすることなく、腫瘍内に高濃度に到達できることを示している。
【0256】
COPTG19384処理後のGM-CSFの発現動態は、4-E03で観察されたものに従う(
図27B)。興味深いことに、腫瘍で測定されたGM-CSFのレベルは、同じ試料の4-E03のレベルを下回っているが、COPTG19384に感染したインビトロLoVoは、4-E03の約2倍のGM-CSFを発現する。GM-CSFの血中濃度も4-E03のものと比較して非常に低かった(
図28B)。この結果は、ヒトIgG1の半減期と比較して非常に短いGM-CSFのインビボ半減期と一致している。
【0257】
これらの結果は、ベクター化された抗体およびGM-CSFが、最小限の全身曝露でCOPTG19384を腫瘍内注射した後、主に腫瘍で発現されることを示している。これらの結果は、ベクター化が毒物学的(例えば抗CTLA4)または薬物動態(例えばGM-CSF)の問題を伴う導入遺伝子に特に適していることを確認する。
【0258】
CT26同系モデルにおけるワクシニアウイルスの腫瘍内注射後の抗CTLA4抗体、GM-CSFおよびウイルスの腫瘍および血流における発現の動態
CT26免疫適格性マウスモデルにおけるウイルス活性の評価には、マウスGM-CSFの有無にかかわらず、マウス抗mCTLA4をコードするいくつかの代理ウイルスの生成が必要である。
●COPTG19407は、J2R遺伝子座のp7.5プロモーター下にマウスm5-B07 IgG2(配列番号63)の重鎖をコードする発現カセットとI4L遺伝子座のp7.5プロモーター下にm5-B07(配列番号62)およびpSE/Lプロモーター下にマウスGM-CSF(配列番号58)の軽鎖をコードする発現カセットを含有するワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)である。
●COPTG19421は、J2R遺伝子座のp7.5プロモーター下にm5-B07重鎖をコードする発現カセットと、I4L遺伝子座のp7.5プロモーター下にm5-B07の軽鎖をコードする発現カセットを含有するワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)である。
●ベンチマークとして使用されているVVTG18058は、J2RおよびI4L遺伝子が欠失させられたワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)であり、導入遺伝子(「空の」ウイルス)は含まれていない。
【0259】
これらのワクシニアウイルスは、実施例6に記載のプロセスに従って、J2R(TK)および次にI4L(RR)遺伝子座での2つの連続した相同組換えによって、ヒト対応物に関して生成された。m5-B07抗体およびmGM-CSFを定量化するためのELISA法は、マウスCTLA4-Fc抗原を使用してマウス抗体を捕捉し、QuantikineELISAキットマウスGM-CSF(R&D Systems)を使用してmGM-CSFを定量したことを除いて、上述したものと同様であった(実施例6、4-E03およびGM-CSFの「導入遺伝子の発現」)。これらのウイルスの腫瘍溶解活性は、さまざまな細胞株(1つの肉腫:MCA205および2つの結腸癌CT26およびMC38)でも評価され、VVTG18058の腫瘍溶解活性と同様であり、mGM-CSFの有無にかかわらずマウス抗体のベクター化がワクシニアウイルスの腫瘍溶解能力に影響を与えなかったことを示している(データは示していない)。
【0260】
プロトコル:CT26細胞(2×105細胞)をBalb/cマウス(Charles River,France)の右側腹部に移植した。腫瘍体積が25~50mm3に達した約1週間後、マウスを無作為化し、20匹の動物からなる3つのグループ(グループ1~3)と10匹からなる1つのグループ4に分けた。腫瘍と血液は、最初の3つのグループでは1、4、8、10日目に、グループ4では1日目に収集されたことを除いて、LoVoモデルで説明されているように収集および処理された。
●グループ1のマウスは、D0、D2、およびD4に1×107pfu/マウスの用量でVVTG18058の腫瘍内投与を受けた。
●グループ2のマウスは、D0、D2、およびD4に1×107pfu/マウスの用量でCOPTG19407の腫瘍内投与を受けた。
●グループ3のマウスは、D0、D2、およびD4に1×107pfu/マウスの用量でCOPTG19421の腫瘍内投与を受けた。
●グループ4のマウスは、D0に3mg/kgの用量でm5-B07の腹腔内投与を受けた。
【0261】
CT26モデルにおけるウイルス複製の速度論:
2つの代理ウイルスが3回注射されたCT26モデル(1×10
7pfu/注入)では、ウイルス複製が監視され、同じ条件で注射されたVVTG18058のものと比較された。
図29に表示された結果は、LoVoモデルに関して、各時点で測定されたウイルス力価の3つの値の重要な分散を示している。ただし、3つのウイルスの力価は、時間にわたって最大10日間まで維持され、少なくともこの時間枠では、2つの導入遺伝子がウイルスのクリアランスまたは複製に影響を与えなかったことを示している。いずれの血液試料でもウイルス感染性粒子は検出されなかった(データは示さず)。
【0262】
CT26モデルにおける導入遺伝子発現の動態
LoVoモデルと同様に、腫瘍への導入遺伝子の発現はウイルス複製を反映している。言い換えれば、m5-B07抗体(
図30A)とmGM-CSF(
図30B)は、監視の10日間にわたってかなり一定のレベルで腫瘍で検出された。
【0263】
モノクローナル抗体の場合、COPTG19421またはCOPTG19407のいずれかの注射後に到達したCmaxは、3mg/mLのm5-B07抗体の単回腹腔内注射で観察されたCmaxよりも約10倍低かった(
図30A)。血清では、3mg/kgのm5-B07注射と比較して、ウイルス処理後のm5-B07の循環濃度が約100分の1になると、その差はさらに顕著になった(
図31)。
【0264】
GM-CSFの場合、COPTG19407による治療のみが、CT26腫瘍で測定可能な濃度のmGM-CSFをもたらし、測定されたサイトカインが内因性ではなく組換え由来であることを示している。LoVoモデルと同様に、腫瘍で測定されたmGM-CSF濃度は、m5-B07の濃度よりも低かった(
図30B)。さらに、腫瘍によって産生されたmGM-CSFは、おそらく全身蓄積を妨げる分子の短い半減期のために、どの血清試料でも検出できなかった。
【0265】
実施例9:抗腫瘍活性研究
COPTG19347は、J2RおよびI4L遺伝子が欠失させられ、マウスCTLA4抗原を認識するマウス抗体全体(すなわち、m5-B07、重鎖および軽鎖)をコードするワクシニアウイルス(コペンハーゲン株)である。COPTG19421対COPTG19347では、m5-B07の両方を発現したが、異なるプロモーター、すなわちそれぞれp7.5KとpH5.R下で発現した。m5-B07の定量化は、MOI 10-1の感染CT26では約1μg/mL、MOI 10-2の感染MCA205細胞では約4μg/mLに達する感染細胞の上清で評価された。CT26と比較したMCA205でのより高い発現は、COPTG19407に感染した細胞の培養上清中のmGM-CSFでも観察された(データは示さず)。
【0266】
抗PD1と組み合わせたCT26モデルを有するマウスにおける抗腫瘍活性
プロトコル:
CT26細胞(2×105細胞)をBalb/cマウス(Charles River,France)の右側腹部に移植した。腫瘍の体積が25~50mm3に達したとき、マウスを10匹の動物からなる5つのグループに無作為に分けた。簡単に説明すると、マウスを2日間隔で3回腫瘍内投与し、続いてマウス抗PD1(RMP1-14 BioXcell)を週2回、3週間腹腔内処理した。すなわち、
●グループ1のマウスはビヒクルを受けた。
●グループ2のマウスはD0、D2およびD4に1×107pfuのCOPTG19347の腫瘍内投与を受けた。
●グループ3のマウスはD0、D2、およびD4に1×107pfuのCOPTG19347の腫瘍内投与を受け、およびD7、D11、D14、D18およびD22に250μg/マウスのRMP1-14のi.p.腹腔内投与を受けた。
●グループ4のマウスはD7、D11、D14、D18およびD22に250μg/マウスのRMP1-14の腹腔内投与を受けた。
●グループ5のマウスはD0、D2およびD4に1×107pfuのVVTG18058の腫瘍内投与を受けた。
【0267】
腫瘍の寸法をキャリパーで週に2回測定し、その体積を式(п/6)(長さx幅2)を使用して計算した。動物は、それらの腫瘍体積が2000mm3に達したとき、安楽死させた。
【0268】
CT26モデルにおけるCOPTG19347の抗腫瘍活性:
図32に示すように、COPTG19347処理は、腫瘍増殖阻害(
図32A)だけでなく、腫瘍の退縮ももたらし、最終的には100日まで生存する腫瘍のないマウスになる(
図32B)。COPTG19347による処理は100日目に60%腫瘍のないマウスをもたらした。抗PD-1抗体との併用処理は、腫瘍増殖阻害または長期生存マウスのパーセンテージを有意に改善しなかった(100日目で約70%の腫瘍のないマウス)。比較すると、RPMI-14処理は抗腫瘍効果を提供しなかった(未治療マウスと同じ挙動(最初の40日以内にすべて死亡)が、VVTG18058は低い活性を有した(100日目で約10%の腫瘍のないマウス)。
【0269】
CT26モデルにおける用量効果評価:
3つの代理ウイルスを比較し(m5-B07を駆動するための異なるプロモーターおよびm-GM-CSFの有無にかかわらず)、COPTG19407とVVTG18058の用量漸増を実行した(7.5×104、7.5×105、または7.5×106pfu)。実験条件は、抗PD1との同時処理を省略したことを除いて、上記の条件とまったく同じであった。
【0270】
2つの独立した実験の結果は、3種のウイルスの試験したCOPTG19407、COPTG19421とCOPTG19347が、7.5×10
6pfuの用量で強力な抗腫瘍活性を有することを明確に示した。これは、COPTG19407でコード化されたmGM-CSFも、COPTG19421およびCOPTG19407で最も弱いプロモーターの使用も、武装化ウイルス(armed virus)の抗腫瘍活性を損なうことはなかったことを確認する。次の表に要約するように、試験した最高用量(すなわち7.5×10
6pfu)では、80日での腫瘍のないマウスの数はウイルスと実験に応じて5/10から7/10の間であったが、空のウイルスで処理したマウスでは0/10であった。
【表6】
【0271】
さらに、「空の」ウイルス(VVTG18058)とCOPTG19384代理体(COPTG19407)の両方で実行された用量漸増は、次の表に示すように、同じ低用量でのVVTG18058による治療の0/10に対して、比較的低用量(7.5×10
4pfu)でも、80~98日で4/10および2/10の腫瘍のないマウスで抗体発現ウイルスが明確な抗腫瘍活性を有することを示した。
【表7】
【0272】
生存データの編集(2つの独立した研究から編集された全生存プロット)を
図33に示す。ログランク検定を使用した統計分析を実行して、各グループの生存に有意差があったかどうかを調べた。
【0273】
VVTG18058とm5-B07の組み合わせと比較したCOPTG19407の抗腫瘍活性
CT26担癌マウスを以前に記載されたように設定した(実施例5)。簡単に説明すると、CT26細胞をBalB/cマウスに皮下注射した。腫瘍が約100mm
3に達したときにマウスの処理を開始した。次に、マウスに、COPTG19407(8.5×10
6pfu腫瘍内)、VVTG18058(8.5×10
6pfu腫瘍内)、m5-B07(10mg/kg腹腔内)、またはVVTG18058(8.5×10
6pfu腫瘍内)とm5-B07(10mg/kg腹腔内)の組み合わせをD0、D2およびD5に注射した。腫瘍の寸法をその後週に2回測定し、腫瘍が2000mm
3に達した時点でマウスを安楽死させた。
図34Aから34Dに示すように、マウスを抗CTLA-4およびGM-CSFを発現するウイルスCOPTG19407で処理した場合、腫瘍増殖は有意に阻害されたが、非武装ウイルス(unarmed virus)と抗CTLA4m5-B07の組み合わせでは単剤使用と比較しで改善した療法をもたらさなかった。m5-B07のみ、ウイルスVVTG18058のみ、またはm5-B07とVVTG18058の両方の組み合わせで治療したグループでは、70日後に生存したマウスはわずか20%であった(
図34E)。対照的に、マウスの90%は、COPTG19407の投与後100日以上生存し、ベクター化戦略の効力を示している。
【0274】
A20皮下マウスB細胞リンパ腫を有するマウスにおける抗CTLA-4およびGM-CSFをコードするVVTK-RRの抗腫瘍活性
A20細胞株は、老BALB/cAnNマウス(ATCC TIB-208(商標))に見られる自発的な細網細胞新生物に由来するBALB/cB細胞リンパ腫株である。
【0275】
プロトコル(1):
腫瘍は、雌のBalb/cNマウス(Charles River,France)の右側腹部に5×106個のA20細胞を皮下注射することによって誘発された。腫瘍が平均体積95mm3に達したとき、50匹のマウスを10匹の動物からなる5つのグループに無作為に分けた。
●グループ1のマウスは、D0、D2およびD4にビヒクルの腫瘍内投与を受け、
●グループ2のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与を受け、
●グループ3のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を受け、
●グループ4のマウスは、D7、D10、D14、D17、D21、D24に250μgの用量の抗PD-1抗体の腹腔内投与を受け、
●グループ5のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407を腫瘍内投与と、D7、D10、D14、D17、D21およびD24に250μgの用量の抗PD-1抗体を腹腔内投与を受けた。
【0276】
抗腫瘍活性:
すべての動物の腫瘍体積は、研究を通して監視された。処理の抗腫瘍活性は、腫瘍倍加時間、腫瘍増殖遅延、および腫瘍増殖阻害(T/C%)の基準の評価に基づいている。
【0277】
腫瘍倍加時間は、5.14日(グループ1)から6.37日(グループ2)の範囲のグループ1、2、および4で同様であった。グループ3の場合、腫瘍が指数関数的に増殖しなかったため、腫瘍倍加時間を正確に計算できず、これは、グループ1、2、および4と比較して処理の有効性が高いことを示している。同様に、腫瘍倍加時間は、グループ5の1匹の動物のみを使用して計算された。グループ3の10匹のマウスのうち9匹は、D15で退縮し、D25からD64での研究が終了するまで実質的に体積が増加しなかった腫瘍を有していた。D64では、これらの9匹のマウスの腫瘍体積を4mm
3(腫瘍検出の技術的限界)~59.77mm
3の範囲であった。同様に、グループ5では、処理開始後9匹のマウスにおいて腫瘍が退縮し、D64の研究の終了時に7.24~63.21mm
3の範囲の値に到達した。処理の各グループ(
図35A~Eに対応するグループ1~5)の個々の腫瘍体積曲線を示す
図35に見られるように、COPTG19407を投与されたグループ3および5の動物では腫瘍は増殖せず、抗PD1の有無にかかわらず、抗体発現ウイルスの強力な抗腫瘍活性を確認する。
【0278】
腫瘍増殖遅延は、腫瘍が300mm3の平均目標体積に達するまでにかかる時間を推定することによって計算した。このパラメーターは、目標体積300mm3に達した腫瘍に対してのみ計算できたため、グループ3および5の大多数の動物には当てはまらず、結果は腫瘍倍加時間で得られた結果と同様であった。グループ1、2、および4の平均腫瘍増殖遅延は、それぞれ16、21、および17日であり、互いに有意差はなかった。さらに、グループ3(n=2)の平均腫瘍遅延は14日であり、このグループで増殖した腫瘍はグループ1、2、4と同じ速度で増殖したが、これらの腫瘍は実際には両方の動物で退縮したことを示している。比較すると、増殖したグループ5(n=1)の単一の腫瘍は、他のすべてのグループよりも有意に(p≦0.0026)長い43日間の腫瘍増殖遅延を示した。
【0279】
腫瘍増殖阻害(T/C%)は、ビヒクルで処理したグループ1の腫瘍体積の中央値を他の処理グループと比較することによって計算した。グループ2の最適T/C%はD22で34%であり、一過性の限界抗腫瘍活性を示しているが、この値はD31までに71%まで増加した。中程度の抗腫瘍活性(10~30%T/C%)がグループ4で観察された。比較すると、グループ3と5は両方とも、D27~D31(T/C%の最後の計算可能な値)で顕著な抗腫瘍活性(T/C%が10%未満)を示した。
【0280】
図36は、皮下A20腫瘍を有するBALB/cNマウスの平均腫瘍体積曲線を示しており、腫瘍増殖に対し抗PD1の有無にかかわらず抗CTLA4およびGm-CSF発現ウイルスCOPTG19407の劇的な効果を示している。
【0281】
プロトコル(2):
腫瘍は、雌のBALB/cNマウスの右側腹部に5×106個のA20細胞を皮下注射することによって誘発された。腫瘍の平均体積が80~100mm3に達したとき、90匹の動物を10匹の動物からなる9つのグループに無作為に分けた。
●グループ1のマウスは、D0、D2およびD4にビヒクルの腫瘍内投与を受けた
●グループ2のマウスは、D0、D4、D7、D10、D14およびD17に250μg/マウス/注射の用量の抗PD-1抗体の腹腔内投与を受けた
●グループ3のマウスは、D0、D4、D7、D10、D14およびD17に250μg/マウス/注射の用量のアイソタイプの腹腔内投与を受けた
●グループ4のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与を受けた
●グループ5のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与と、D0、D4、D7、D10、D14およびD17に250μg/マウス/注射の用量のアイソタイプの腹腔内投与を受けた
●グループ6のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与とD0、D4、D7、D10、D14およびD17に250μg//マウス/注射の用量の抗PD-1抗体の腹腔内投与を受けた
●グループ7のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を受けた
●グループ8のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を、D0、D4、D7、D10、D14、D17およびD24に250μg/マウス/注射の用量のアイソタイプの腹腔内投与と組み合わせて受けた。
●グループ9のマウスは、D0、D2およびD4に1×105pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を、D0、D4、D7、D10、D14およびD17に250μg/マウス/注射の用量の抗PD-1抗体の腹腔内腫瘍投与と組み合わせて受けた。
【0282】
抗腫瘍活性:
COPTG19407の投与量は最適ではなく、腫瘍の体積とマウスの生存の点で、抗PD-1処理と同様の軽度の抗腫瘍活性を示した。
【0283】
対照的に、COPTG19407と抗PD-1の組み合わせは、強力な抗腫瘍活性を示し、
図37Aに示すように他のグループと比較して腫瘍体積が小さくなり(抗PD-1単独またはCOPTG19407単独を投与されたマウスの24日目でそれぞれ約630mm
3および750mm
3であるのに対し、36日目で約290mm
3)、
図37Bに示すように動物の生存がはるかに良好である(グループ9の57日目に7匹の動物がまだ生存しているのに対し、グループ2または7ではそれぞれ2匹または1匹のみ)。
【0284】
C38皮下結腸腫瘍細胞を有するマウスにおける抗CTLA-4およびGM-CSFをコードするVVTK-RRの抗腫瘍活性研究
C38は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC CRL-2779(商標))に由来するマウス結腸腺癌である。
【0285】
プロトコル:
腫瘍断片(30~50mg)を、雌のC57BL/6Jマウス(Janvier,France)の右側腹部に皮下移植した。腫瘍が約60mm3の平均体積に達したとき、50匹の動物を10匹の動物からなる5つのグループに無作為に分けた。
●グループ1のマウスは、D0、D2およびD4にビヒクルの腫瘍内投与を受けた。
●グループ2のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与を受け、
●グループ3のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を受け、
●グループ4のマウスは、D7、D10、D14、D17、D21、D24に250μgの用量のマウス抗PD-1抗体の腹腔内投与を受け、
●グループ5のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与と、D7、D10、D14、D17、D21およびD24に250μgの用量で抗PD-1抗体の腹腔内投与を受けた。
【0286】
抗腫瘍活性:
以前のように、すべての動物の腫瘍体積は、研究を通して監視された。腫瘍倍加時間は、グループ1と2で約6.7日で同様であった。グループ4(n=5)は、腫瘍倍加時間(10.4日)が長かったが、グループ間に有意差はなかった。グループ3および5の場合、腫瘍倍加時間は計算可能であったが、これらのグループのマウスの腫瘍の大部分が指数関数的に増殖しなかったため、動物の数は少なくなっており(n=2)、グループ1、2、および4と比較して処理の有効性が高いことを示している。
図38からわかるように、グループ3の10匹のマウスのうち8匹は、D15から退縮し、実質的に体積が増加しなかった腫瘍を有しており、5匹のマウスはD61の研究終了時に検出可能な腫瘍を有していなかった。同様に、グループ5では、治療の開始後8匹のマウスで腫瘍が退縮し、D61の研究終了時に0(n=2)~47.82mm
3の範囲の値に達した。
【0287】
腫瘍増殖遅延は、腫瘍が300mm3の平均目標体積に達するまでにかかる時間を推定することによって計算した。このパラメーターは、目標体積300mm3に達した腫瘍に対してのみ計算できたため、グループ3および5の大多数の動物には当てはまらず、結果は腫瘍倍加時間で得られた結果と同様であった。グループ間に有意差はなかった。グループ1、2、および4(n=5)の平均腫瘍増殖遅延は、それぞれ23~27日であった。さらに、グループ3(n=2)と5(n=3)の平均増殖遅延は、それぞれ18日と24日であった。これは、これら2つのグループで増殖した腫瘍が、グループ1、2、および4と同様の速度で増殖したことを示している。
【0288】
腫瘍増殖阻害(T/C%)は、ビヒクルで処理したグループ1の腫瘍体積の中央値を他の処理グループと比較することによって計算した。研究期間中、T/C%が100%を超えたままであったため、グループ2は腫瘍増殖阻害を示さなかった。比較すると、グループ3、4、および5はすべて、D31(グループ3のみ)~D42(T/C%の最後の計算可能な値)で顕著な抗腫瘍活性(T/C%が10%未満)を示した。
【0289】
図39は、皮下C38腫瘍を有するC57BL/6マウスの平均腫瘍体積曲線を示しており、腫瘍増殖に対し抗PD1の有無にかかわらず抗CTLA4/GM-CSF発現ウイルスCOPTG19407の劇的な効果を示している。
【0290】
EMT6皮下乳腺腫瘍細胞を有するマウスにおける抗CTLA-4およびGM-CSFをコードするVVTK-RRの抗腫瘍活性研究
EMT6は、ATTC(ATCC CRL-2755(商標))に由来するマウス乳癌である。
【0291】
プロトコル:
腫瘍は、雌のBALB/cByJマウスに1×106個のEMT6細胞(Charles River,France)を皮下注射することによって誘発された。腫瘍が約51mm3の平均体積に達したとき、個々の腫瘍体積によって50匹のマウスを10匹の動物からなる5つのグループに無作為に分けた。
●グループ1のマウスは、D0、D2およびD4にビヒクルの腫瘍内投与を受け、
●グループ2のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のVVTG18058の腫瘍内投与を受け、
●グループ3のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407の腫瘍内投与を受け、
●グループ4のマウスは、D7、D10、D14、D17、D21およびD24に250μgの用量の抗PD-1抗体の腹腔内投与を受け、
●グループ5のマウスは、D0、D2およびD4に4.75×106pfuの用量のCOPTG19407を腫瘍内投与と、D7、D10、D14、D17、D21およびD24に250μgの用量の抗PD-1抗体を腹腔内投与を受けた。
【0292】
すべての動物の腫瘍体積は、腫瘍倍加時間、腫瘍増殖遅延、および腫瘍増殖阻害(T/C%)の基準を評価することにより、研究全体を通して監視された。
【0293】
抗腫瘍活性:
腫瘍倍加時間は、グループ1、2、および4で約5.4日で同様であった。グループ3の場合、腫瘍の大部分が指数関数的に増殖しなかったため、腫瘍倍加時間を計算できず、これはグループ1、2、および4と比較して治療の有効性が高いことを示している。同様の効果がグループ5で観察され、腫瘍倍加時間の計算に1匹の動物のみが使用された。個々の腫瘍体積のグラフ(
図40)に見られるように、グループ3の10匹のマウスのうち8匹は、D15から退縮し、体積が実質的に増加しなかった腫瘍を有し、7匹のマウスはD61の研究終了時に検出可能な腫瘍を有していなかった。同様に、グループ5では、処理開始後9匹のマウスで腫瘍が退縮し、D56の研究終了時に0(n=8)~13.24mm
3の範囲の値に達した。
【0294】
腫瘍増殖遅延は、腫瘍が200mm3の平均目標体積に達するまでにかかる時間を推定することによって計算した。このパラメーターは、目標体積200mm3に達した腫瘍に対してのみ計算できたため、グループ3および5の大多数の動物には当てはまらず、結果は腫瘍倍加時間で得られた結果と同様であった。グループ1、2、および4の平均腫瘍増殖遅延は約19日であった。さらに、グループ3と5(両方のグループでn=2)の平均増殖遅延は、それぞれ24日と12日であった。これは、これら2つのグループで増殖した腫瘍が、グループ1、2、および4と同様の速度で増殖したことを示している。グループ間に有意差はなかった。
【0295】
腫瘍増殖阻害(T/C%)は、ビヒクルで処理したグループ1の腫瘍体積の中央値を他の処理グループと比較することによって計算した。グループ2は、D28で一過性の辺縁性腫瘍増殖阻害を示したが、D31で79%に増加した。グループ4は抗腫瘍活性を示さず、研究期間中のT/C%>60%であった。比較すると、グループ3と5は両方とも、D24~D31(T/C%の最後の計算可能な値)で顕著な抗腫瘍活性(T/C%が10%未満)を示した。
【0296】
図41は、皮下EMT6腫瘍を有するBALB/cByJマウスの平均腫瘍体積曲線を示しており、腫瘍増殖に対し抗PD1の有無にかかわらず抗CTLA4/GM-CSF発現ウイルスCOPTG19407の劇的な効果を示している。
【0297】
CT26の再チャレンジ
特定の抗腫瘍免疫反応が発生したかどうかを研究するため、10
4、10
5または10
6pfuのCOPTG1942または10
6pfuのCOPTG19407処理後に生存したCT26腫瘍細胞でチャレンジされたBALB/cマウスを、CT26腫瘍細胞で再チャレンジするかまたはRenca細胞(腎臓腺癌細胞:対照)でチャレンジした。
【表8】
【0298】
表8に示される結果は、COPTG19421またはCOPTG19407を投与された0/8マウスは、RenCaチャレンジ後に腫瘍がなかったのに対し、COPTG19421またはCOPTG19407を投与された7/10マウスは、CT26再チャレンジ後に腫瘍がなかったことを示している。これは、COPTG19421とCOPTG19407がCT26細胞に対して特定の免疫記憶を高めたことを示している。