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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091671
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20220101AFI20240628BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G06F3/0488
B60R16/02 630B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060793
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2023001629の分割
【原出願日】2016-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正和
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩平
(57)【要約】
【課題】操作性の向上を図った入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置は、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部1と、操作入力部からの信号に基づいて、電子機器20を制御する制御部10aと、を備え、制御部は、第1の接触状態で、第1領域11から該第1領域11に並置された第2領域12へ移動した際、第2領域12にて第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、第1領域11から第2領域12に選択対象を切り替える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、
前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、
前記制御部により、第1領域が、第1方向に選択候補が並んで表示され、
第2領域が、前記第1領域の前記第1方向に並置して表示され、
前記制御部は、第1の接触状態のままで、第1領域から該第1領域に並置された第2領域へ移動した際、前記選択候補のうち最端部に位置する前記選択候補が選択され、かつ、前記第2領域にて前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合にのみ、前記第1領域から前記第2領域に選択対象を切り替えることを特徴とする入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のステアリング部分に搭載され、操作者が表示部としてのナビゲーション装置のディスプレイやヘッドアップディスプレイに表示された画像を見ながら操作するためにタッチセンサを備えた入力装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。図9は、従来の入力オブジェクトを表示した図である。
【0003】
特許文献1に開示された入力用オブジェクト100は、図9に示すように、例えば音量調節を行うなど、可変量を変化させる入力を受け付ける際に用いるスライドバー200を含んで構成される。このスライドバー200は、例えば左端を最小値として、また右端を最大値として、操作者が可変量を変化させる操作入力を受け付ける。スライドバー200上にあるノブ300は、可変量の現在の値を示している。このように入力用オブジェクト100は、操作者が入力デバイスを用いてノブ300の位置を移動させることにより、所定の可変量を調整する入力を行うように制御されている。
【0004】
例えば、室内の温度設定を操作する場合があるが、操作者がスライドバー200上にあるノブ300の位置を、スライドバー200の端部に位置させようとした際に、誤って隣のアイコンをアクティブにしてしまうことがある。即ち、操作者が意図しない操作が入力されてしまう、という問題が一例として挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-048832
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点に対処することを課題の一例とするものである。即ち、本発明は、操作性の向上を図った入力装置を課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、第1領域が、第1方向に選択候補が並んで表示され、第2領域が、前記第1領域の前記第1方向に並置して表示され、前記制御部は、第1の接触状態のままで、第1領域から該第1領域に並置された第2領域へ移動した際、前記選択候補のうち最端部に位置する前記選択候補が選択され、かつ、前記第2領域にて前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合にのみ、前記第1領域から前記第2領域に選択対象を切り替えることを特徴とする入力装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の入力装置が搭載された自動車の室内を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示された入力装置を含むナビゲーションシステムの機能ブロック図である。
図3図2に示された制御部の動作の第1実施例を示すフローチャートである。
図4】電子機器により表示される表示の一例を示す図である。
図5】電子機器により表示される表示の一例を示す図である。
図6図2に示された制御部の動作の第2実施例を示すフローチャートである。
図7】電子機器により表示される表示の一例を示す図である。
図8図2に示された制御部の動作の第3実施例を示すフローチャートである。
図9】従来の入力オブジェクトを表示した図である。
【0009】
以下、本発明の一実施の形態にかかる入力装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかる入力装置において、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1の接触状態で、第1領域から該第1領域に並置された第2領域へ移動した際、前記選択候補のうち最端部に位置する前記選択候補が選択され、かつ、前記第2領域にて前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合にのみ、前記第1領域から前記第2領域に選択対象を切り替える。
【0010】
これにより、操作者は、指等の接触体を接触面に接触させた状態で、第1領域から第2領域まで指を移動した際に、操作者が意図せずに、第2領域に選択対象が切り替わることを抑制できる。このように操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することで、操作性の向上を図ることができる。
【0011】
また、第1領域が、第1方向に選択候補が並んで表示され、第2領域が、第1領域の第1方向に並置されていてもよい。このように、第1領域が、第1方向に並んで表示された選択候補を有し、第2領域が、第1領域の第1方向に並置する位置にある場合には、操作者が意図しない操作が入力され易いため、本実施形態は有効である。
【0012】
また、本発明の一実施の形態にかかる入力装置において、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、選択候補が並んで表示され、前記制御部は、第1の接触状態で、前記選択候補が並ぶ方向の一方の最端部へ移動した際、前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合にのみ、前記一方の最端部に位置する選択候補から他方の最端部に位置する選択候補へ、前記選択候補を切り替える。
【0013】
これにより、操作者は、指等の接触体を接触面に接触させた状態で、指を移動した際に、操作者が意図せずに、選択候補が切り替わることを抑制できる。このように操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することで、操作性の向上を図ることができる。
【0014】
また、第1領域が、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付けるスライドバーであってもよい。これによれば、スライドドバーのノブの位置を変更する際には、操作者が意図しない操作が入力され易いため、本実施形態は有効である。
【0015】
一方、本発明の他の実施形態に係る入力装置は、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、複数の選択項目が循環表示され、前記制御部は、第1の接触状態でのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が最後尾に位置する選択項目まで到達するのを検知した際、前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、先頭に位置する選択項目に選択対象を切り替える。
【0016】
これにより、操作者は、指等の接触体を接触面に接触させた第1の接触状態で、所定の方向へスライド移動した際、そのスライド移動量が最後尾に位置する選択項目まで到達するのを検知した場合に、操作者が意図せずに、最後尾に位置する選択項目から先頭に位置
する選択項目に選択対象が切り替わることを抑制できる。
【0017】
他方、本発明の他の実施形態に係る入力装置は、接触したことを検知する接触面が設けられた操作入力部と、前記操作入力部からの信号に基づいて、電子機器を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、複数の選択項目が循環表示され、前記制御部は、第1の接触状態でのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が先頭に位置する選択項目まで到達するのを検知した際、前記第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、最後尾に位置する選択項目に選択対象を切り替える。
【0018】
これにより、操作者は、指等の接触体を接触面に接触させた第1の接触状態で、所定の方向へスライド移動した際、そのスライド移動量が先頭に位置する選択項目まで到達するのを検知した場合に、操作者が意図せずに、先頭に位置する選択項目から最後尾に位置する選択項目に選択対象が切り替わることを抑制できる。
【0019】
また、第2の接触は、第1の接触状態から一旦非接触となり、再度の接触であってもよい。これによれば、操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することができる。
【0020】
また、第2の接触は、第1の接触状態で接触面が検知する第1押圧力よりも、第2の接触状態で接触面が検知する第2押圧力が大きいことであってもよい。これによれば、操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することができる。
【0021】
また、第2の接触は、第1の接触状態で接触面が検知する当該接触面に対する第1接触面積よりも、第2の接触状態で接触面が検知する当該接触面に対する第2接触面積が大きいことであってもよい。これによれば、操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することができる。
【0022】
また、第2の接触は、接触面が検知する接触箇所の数が、第1の接触において、接触面が検知する接触箇所の数よりも多いことであってもよい。これによれば、操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することができる。
【実施例0023】
(第1実施例)
次に、本実施形態における入力装置を組み込んだナビゲーションシステムについて図1図5を参照して説明する。図1は、本発明の入力装置が搭載された自動車の室内を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示された入力装置を含むナビゲーションシステムの機能ブロック図である。
【0024】
図1図2に示すように、本実施例のナビゲーションシステム100は、自動車のダッシュボード101の下方に埋設されたナビゲーション装置10と、運転席の正面付近に設けられたヘッドアップディスプレイ装置20(以下、「HUD装置20(電子機器)」と記す)と、ダッシュボード101上部に取り付けられた液晶パネル30と、ハンドル102に設けられたタッチパッド1(操作入力部)と、をそれぞれ別体に備えて構成されている。また、タッチパッドはアクチュエータなどの振動を生じさせる機構を設けて、接触面の振動によるフィードバックを操作者に与えてもよい。操作者の指などの接触体で接触面に接触する位置情報に基づいて、操作者に振動によるフィードバックを与えることで操作感を向上させることができる。また、触感により所望のスイッチを選択することができる。なお、HUD装置20や液晶パネル30は、運転座席の後方側(後部座席側)に取り付けられていても構わない。また、本実施例において、HUD装置20を電子機器の一例として説明するが、電子機器は液晶パネル30であっても構わない。
【0025】
液晶パネル30は、ナビゲーション装置10と接続されており、ナビゲーション装置10から受信した表示制御信号に応じて、地図情報、地図関連情報、案内地点までのルート(案内経路)等の案内情報等を表示する。
【0026】
HUD装置20は、例えば、ダッシュボード101上部(天井)にフロントガラス103に向けて埋設された光を照射する光源部20aと、フロントガラス103における運転者の正面上方箇所に貼り付けて設けられ、光源部20aから照射された光を運転者に向けて反射するコンバイナ部20bと、を備えている。これにより、運転者の正面に光源部20bから照射された光を虚像V(画像)として視認させる。また、コンバイナ20bは運転者正面のダッシュボード101上に設けられていてもよい。また、光源部20aは、運転者正面のダッシュボード101内に設けられていてもよい。HUD装置20は、ナビゲーション装置10と接続されている。HUD装置20は、ナビゲーション装置10から受信した表示制御信号に応じて、光源部20aからコンバイナ部20bに向けて光を照射することで、自動車の移動速度等の状態情報や、次に曲がる交差点等までの距離及び方向などのナビゲーション情報を、車外の景色に重畳させて表示(以下、「表示部」と記す)する。
【0027】
タッチパッド1は、該タッチパッド1に加えられた圧力(例:押圧力)を計測し抵抗値などの電気信号に変換して出力する圧力センサを用いてシート状に構成されており、運転者がハンドル102から手を離さずに操作(押圧)できるように自動車のハンドル102に設けられている。タッチパッド1は、ナビゲーション装置10と接続されている。なお、タッチパッド1の操作入力に際しては、利用者の指やスタイラスペンなどの接触体が接触される。具体的には、操作入力部は、例えば運転者が指でタッチパッド1をタップしたり、指を滑らせたりした際の押圧力を検知するように構成されている。操作入力部は、検知した押圧力及びタッチパッド1上での指の動きに関する情報を含む信号を制御部10aに送信する。
【0028】
また、操作入力部は、本実施例では、表示部と異なる位置に設けられている。例えば、操作入力部は、自動車の進行方向において、運転者の右側にあるドア(側面、窓の開閉をするための操作パネル)、左側にあるコンソールボックス、カップホルダ、インパネ、ダッシュボード101などの周辺位置や、助手席又は後部座席の周辺位置に設けられていてもよい。また、操作入力部は、表示部と同じ位置に設けられていてもよい。この場合には、操作入力部は、液晶パネル30の表示面上が、タッチパッド1として機能するように構成されていてもよい。
【0029】
図2に示すように、ナビゲーション装置10は、制御部10aと、通信部10bと、ナビゲーション部10cと、記録装置10dと、オーディオ・ビデオ再生部(A・V再生部)10eと、表示出力I/F10fと、操作入力I/F10gと、データI/F10hとを備えている。
【0030】
制御部10aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成されている。制御部1
0aは、ナビゲーション装置10の全体制御を司るとともに、ヘッドアップディスプレイ装置20や液晶パネル30への各種情報の表示の制御を行う。また、ナビゲーション部10cを制御して、目的地までのルート(案内経路)の検索などのナビゲーションの動作を行う。
【0031】
通信部10bは、制御部10aから制御により、例えば、移動体通信に用いられる公衆無線通信回線などを介して遠隔地にあるサーバとの間で通信を行い、自身(ナビゲーショ
ン装置10が搭載されている自動車)の現在位置を示す情報をサーバに送信するとともに、例えば、渋滞等の現在位置付近の道路状況等の情報などを受信する。
【0032】
ナビゲーション部10cは、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、現在の位置情報を求めて制御部10aに出力する。
【0033】
記録装置10dは、例えばハードディスクや不揮発性メモリなどで構成され、制御部10aがナビゲーション装置10を制御するためのプログラムやデータ、ヘッドアップディスプレイ装置20や液晶パネル30に表示される地図情報及び地図関連情報、及び、目的地へのルートを検索するために用いられる検索用データ等が格納されている。また、記録装置10dには、オーディオ・ビデオ再生部10eで再生されるオーディオデータやビデオデータなどの、コンテンツデータが格納される。このコンテンツデータは、データI/F18を介して例えばUSBメモリ、携帯型端末装置等から入力したデータ、あるいは通信部10bを介して、サーバ等から配信を受けたデータなどである。
【0034】
オーディオ・ビデオ再生部10eは、制御部10aの制御により、後述のようにタッチパッド1の操作とヘッドアップディスプレイ装置20の表示によるGUI(グラフィカルユーザインタフェース)で選択されたコンテンツの再生を行う。
【0035】
表示出力I/F10fは、制御部10aからの表示制御信号をヘッドアップディスプレイ装置20や液晶パネル30に送信する。なお、本実施例において、表示出力I/F10fとヘッドアップディスプレイ装置20及び液晶パネル30はワイヤハーネス等の有線を用いて通信可能に接続されているものを想定しているが、これに代えて、例えば、無線LAN等の無線通信規格を用いて通信可能に接続されていてもよい。
【0036】
操作入力I/F10gは、アナログ-デジタル変換機能を備えており、例えば、ワイヤハーネスなどによりタッチパッド1に接続されている。操作入力I/F10gは、タッチパッド1からの電気信号(即ち押圧力の情報)を受信すると、該電子信号を量子化して制御部10aに伝える。なお、本実施例において、操作入力I/F10gとタッチパッド1はワイヤハーネス等の有線で接続されているものを想定しているが、これに代えて、例えば、操作入力I/F10gとタッチパッド1とに通信機能を実装して、これらが有線又は無線を用いて通信可能に接続されていてもよい。
【0037】
次に、上述した構成のナビゲーション装置10の制御部10aの動作の一例を、図3及び図4を参照して説明する。図3は、制御部10aの動作の第1実施例を示すフローチャートである。図4図5は、電子機器により表示される表示の一例を示す図である。以下の動作は、車室内の空気調節を制御するとともに、設定温度を最小値に設定する際の動作である。
【0038】
図3のフローチャートを示す動作を開始するにあたり、表示部には、空気調節を制御するための3つの領域が横方向(第1方向)に並んで表示されている。3つの領域として、第1領域11には温度ゲージが設けられ、第2領域12には、予め設定された快適な温度に車室内の温度を近付ける「AUTO」アイコンが設けられ、第3領域13には、車室内の空気調節を停止する「OFF」アイコンが表示されている。
【0039】
3つの領域は、第1領域11、第2領域12、第3領域13の順で、横方向に隣接する位置に並んで表示されている。これら第1領域11、第2領域12、第3領域13は、所望の領域内にタッチ(接触)した際に、当該領域が、アクティブ(選択対象)になるように構成されている。ここで、「アクティブになる」とは、第1領域11をアクティブにし
た場合には、後述するようにスライドバー15上のノブ14を移動させることで車室内の設定温度(設定候補)を、所望の値に設定可能な状態にすることであり、第2領域12をアクティブにした場合には、空気調節が「AUTO」設定となり、第3領域13をアクティブにした場合には、空気調節が「OFF」設定となることである。
【0040】
第1領域11にある温度ゲージは、例えば温度調節を行う等、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付ける際に用いるスライドバー15を含んで構成される入力用オブジェクトである。このスライドバー15は、選択候補としての可変量を、例えば、左端を最小値として、右端を最大値として、操作者が当該可変量を変化させる操作入力を受け付ける。スライドバー15上にあるノブ14は、現在の値を示している。第1領域11は、温度ゲージを表示の一例として説明していたが、可変量を変化させる入力を受け付ける際に用いるスライドバー15を含んで構成される入力用オブジェクトであれば、音量調節を示す表示であってもよい。
【0041】
操作入力部は、図4に示すように、タッチパッド1からの位置情報に基づく入力の位置が、スライドバー15のノブ14上で移動した際に、ノブ14の位置を移動させるように構成されている。なお、「ノブ14」とは、スライドバー15を構成する複数のパーツの一部であり、このノブ14は、表示位置や全体における割合などを示すものとして機能するとともに、ノブ14を摘んで(ホールド状態で)移動させる(即ち、ドラッグする)ことで、表示位置や全体における割合等を可変にすることができる。また、スライドバー15は、図4に示すように、20度から30度まで一度ずつ、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付けるものであるが、図5に示すスライドバーのように、ノブ14を適宜な位置に移動させることで、入力を受け付けるものであってもよい。
【0042】
制御部10aは、図4に示すように、表示部に、第1領域11、第2領域12、及び第3領域13を表示した状態である。ここで、図3に示すように、制御部10aは、操作入力部からの入力に基づいて、第1領域11をアクティブ(選択対象)にする(ステップS11)。次に、制御部10aは、操作者が指でノブ14に接触し、この接触状態(第1の接触状態)のまま、ノブ14がスライドバー15上を移動したことを検知する(ステップS12)。次に、ノブ14が、スライドバー15の最小値(最端部)まで移動したか否かを判定する(ステップS13)。そして、ノブ14が、スライドバー15の最小値に位置したことを検知した場合には(ステップS13でY)、ステップS14に進む。ステップS13において、ノブ14が、スライドバー15の最小値に位置したことを検知しない場合には(ステップS13でN)、ステップS12に戻る。
【0043】
次に、制御部10aは、第2領域12において第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS14)。ここでいう、第2の接触とは、第1の接触状態から、一旦非接触となり、タッチパッド1の第2領域12に接触することである。そして、第2の接触を検知した場合には(ステップS14でY)、第2領域12をアクティブにする(ステップ15)。即ち、制御部10aは、第1領域11から第2領域12に選択対象を切り替える。そして、第2の接触を検知しない場合には(ステップS14でN)、ノブ14をスライドバー15の最小値(最端部)に位置させる(ステップS16)。
【0044】
なお、上述した実施例では、タッチパッド1はアクチュエータなどの振動を生じさせる機構を設けて、接触面の振動によるフィードバックを操作者に与えてもよい。操作者の指などの接触体で接触面に接触する位置情報に基づいて、操作者に振動によるフィードバックを与えることで操作感を向上させることができる。また、ノブ14が、スライドバー15の最小値(最端部)まで移動したか否かを判定する(ステップS13)時に接触面に振動を生じさせてもよい。第2領域12において第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS14)段階であることを触覚的に操作者にフィードバックすることができる。
表示部とタッチパッド1が異なる位置に設けられている場合に特に有効である。
【0045】
なお、上述した実施例では、車室内の空気調節を制御するとともに、選択候補としての設定温度を最小値に設定する際の動作について説明したが、設定温度を最大値に設定する際の動作についても、第2領域12が第1領域11の右側(最大値側)に隣接する位置にある場合には、本実施例と同様の作用が奏される。
【0046】
また、上述した実施例では、第1領域11と第2領域12とが、横方向(第1方向)に隣接する位置に並んで表示された場合を表示の一例として説明した。換言すると、第1領域11と第2領域12とが接する位置に並んで表示された場合を表示の一例として説明していたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1領域11と第2領域12とが接しない位置に並んで表示されていてもよい。即ち、第1領域11と第2領域12とが、近い位置にあれば、第1領域11と第2領域12とが、接する位置にあろうとも、接しない位置にあろうとも本発明の範囲に含むものとする。
【0047】
また、上述した実施例では、第1方向として横方向を一例として説明したが、本発明はこれに限定されず、第1方向は上下方向であっても構わない。
【0048】
また、上述した実施例では、第3領域13として「OFF」アイコンを表示したが、「OFF」アイコンは、省略しても構わない。また、上述した実施例では、第3領域13、第2領域12、第1領域11の順で表示されていたが、温度ゲージである第1領域11を真ん中に設け、第1領域11の左右の両側に任意のアイコン(第2領域12)を設けても構わない。
【0049】
上述した実施例によれば、操作者は、指等の接触体をタッチパッド1(接触面)に接触させた状態で、第1領域11から第2領域12まで指を移動した際に、操作者が意図せずに、第2領域12に選択対象が切り替わることを抑制できる。このように操作者が意図しない操作が入力されてしまうことを抑制することで、操作性の向上を図ることができる。
【0050】
また、第1領域11は、横方向(第1方向)に選択候補が並んで表示され、第2領域1が、第1領域11の第1方向に並置されている。このように、第1領域11が、第1方向に並んで表示された選択候補を有し、第2領域12が、第1領域11の第1方向に並置する位置にある場合には、操作者が意図しない操作が入力され易いため、本実施形態は有効である。
【0051】
また、第1領域11が、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付けるスライドバー15から構成されている。これによれば、スライドドバー15のノブ14の位置を変更する際に、操作者が意図しない操作が入力され易いため、本実施形態は有効である。
【0052】
(第2実施例)
次に、上述した構成のナビゲーション装置10の制御部10aの動作の他の一例を、図6及び図7を参照して説明する。図6は、制御部の動作の第2実施例を示すフローチャートである。図7は、電子機器により表示される表示の一例を示す図である。以下の動作は、記録装置10dに記載された複数の楽曲A~Z(複数の選択項目)から、所望の楽曲を選択する際の動作である。
【0053】
以下では、複数の楽曲A~Zの中から、所望の楽曲Zを選択する際の動作を一例に説明するが、ここでいう複数の項目とは、テレビの番組や、ラジオの番組であり、これらを選択するものであってもよい。また、複数の項目は、カーナビゲーションの目的地であり、複数の目的地を選択するものあってもよい。また、複数の項目は、車両の各種制御対象に
対応するものであり、複数の制御対象から所望の制御対象を選択するものであってもよい。
【0054】
表示部には、図7に示すように、複数の楽曲A~Zが上下方向(第2方向)並び、複数(図示例では5)の楽曲が循環表示されるようにリスト表示されている。そして、操作者の指がタッチパッド1に接触した状態で上方又は下方へのスライドした際に、このスライド移動量に応じて、任意の5つの楽曲が表示されるように制御部10aにより制御されている。即ち、指のスライド移動に伴って、表示される任意の5つの楽曲は、楽曲A~楽曲E(図7(A)に示す)、楽曲B~楽曲F、楽曲C~楽曲G、・・・、楽曲V~楽曲Z(図7(B)に示す)、楽曲W~楽曲A(図7(C)(D)に示す)に変化する。なお、図7(A)~(C)に示すように、楽曲A~Zとは、各領域に表示された文字であり、以下では、リストの一段目の領域を第1領域21、二段目の領域を第2領域22、三段目の領域を第3領域23、四段目の領域を第4領域24、五段目の領域を第5領域25、と記す場合がある。なお、第3領域をアクティブ(選択対象)に固定し、操作者の指がタッチパッド1に接触した状態で上方又は下方へのスライドした際に、このスライド移動量に応じて楽曲が上下方向にスライドしてもよい。
【0055】
図6のフローチャートを示す動作を開始するにあたり、図7(C)に示すように、制御部10aは、第1領域21に楽曲Wを表示し、第2領域22に楽曲Xを表示し、第3領域23に楽曲Yを表示し、第4領域24に楽曲Zを表示し、第5領域25に楽曲Aを表示した状態である。ここで、図6に示すように、制御部10aは、指がタッチパッド1に接触した状態(第1の接触状態)で下方にスライド移動したことを検知する(ステップS21)。この後、制御部10aは、この状態(第1の接触状態)のまま、スライド移動量に応じて楽曲Z(第4領域24)がアクティブ(選択対象)であるか否かを判定する(ステップS22)。楽曲Zがアクティブである場合には(ステップS22でY)、ステップS23に進む。ステップS22において、楽曲Zがアクティブであることを検知しない場合には(ステップS22でN)ステップS21に戻る。
【0056】
次に、制御部10aは、楽曲A(第5領域25)において第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS23)。ここでいう、第2の接触とは、第1の接触状態から、一旦非接触となり、タッチパッド1の第5領域25に接触することである。そして、第2の接触を検知した場合には(ステップS23でY)、制御部10aは、図7(D)に示すように、楽曲Aをアクティブ(選択対象)にする(ステップS24)。即ち、選択対象を楽曲A(先頭に位置する選択項目)に切り替える。そして、第2の接触を検知しない場合には(ステップS23でN)、制御部10aは、図7(C)に示すように、楽曲Zをアクティブ(選択対象)にする(ステップS25)。
【0057】
上述した実施例では、タッチパッド1はアクチュエータなどの振動を生じさせる機構を設けて、接触面の振動によるフィードバックを操作者に与えてもよい。操作者の指などの接触体で接触面に接触する位置情報に基づいて、操作者に振動によるフィードバックを与えることで操作感を向上させることができる。また、楽曲Z(第4領域24)がアクティブ(選択対象)であるか否かを判定(ステップS22)した後に接触面に振動を生じさせてもよい。楽曲A(第5領域25)において第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS23)段階であることを触覚的に操作者にフィードバックすることができる。表示部とタッチパッド1が異なる位置に設けられている場合に特に有効である。
【0058】
なお、上述した実施例では、指がタッチパッド1(接触面)に接触した状態(第1の接触状態)で下方へのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が、楽曲Z(最後尾に位置する選択項目)まで到達するのを検知した際、第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、楽曲A(隣接する先頭に位置する選択項目)に選択対象を切り替える制御
の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。指がタッチパッド1(接触面)に接触した状態(第1の接触状態)で上方へのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が、楽曲A(先頭に位置する選択項目)まで到達するのを検知した際、第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、楽曲Z(隣接する最後尾に位置する選択項目)に選択対象を切り替えるように制御されていてもよい。
【0059】
また、上述した実施例では、複数の楽曲A~Z(複数の選択項目)から、所望の楽曲を選択する際の動作について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の選択項目が、車室内の空気調節をする際の設定温度であり、温度ゲージが循環表示されるようにリスト表示されていれていてもよい。この場合には、指がタッチパッド1(接触面)に接触した状態(第1の接触状態)で上方へのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が、設定温度の最小値(先頭に位置する選択項目)まで到達するのを検知した際、第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、設定温度の最大値(隣接する最後尾に位置する選択項目)に選択対象を切り替えるように制御されていてもよく、指がタッチパッド1(接触面)に接触した状態(第1の接触状態)で下方へのスライド移動に伴って、そのスライド移動量が、設定温度の最大値(最後尾に位置する選択項目)まで到達するのを検知した際、第1の接触状態と異なる第2の接触を検知した場合に、設定温度の最小値(隣接する先頭に位置する選択項目)に選択対象を切り替えるように制御されていてもよい。
【0060】
また、上述した実施例では、スライド方向が上下方向である場合を一例として説明したが、本発明はこれに限定されず、スライド方向は横方向(車幅方向)であっても構わない。
【0061】
上述した実施例によれば、操作者は、指等の接触体を接触面に接触させた第1の接触状態で、所定の方向へスライド移動した際、そのスライド移動量が最後尾(先頭)に位置する選択項目まで到達するのを検知した場合に、操作者が意図せずに、最後尾(先頭)に位置する選択項目から先頭(最後尾)に位置する選択項目に選択対象が切り替わることを抑制できる。
【0062】
(第3実施例)
を説明する。以下の動作は、車室内の空気調節を制御するとともに、車室内を所望の設定温度に設定する際の動作である。
【0063】
図8のフローチャートを示す動作を開始するにあたり、表示部には、空気調節を制御するための温度ゲージが表示されている。この温度ゲージは、図4に示す例えば温度調節を行う等、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付ける際に用いるスライドバー15を含んで構成される入力用オブジェクトである。
【0064】
制御部10aは、操作入力部からの入力に基づいて、温度ゲージをアクティブにする(ステップS31)。次に、制御部10aは、操作者が指でノブ14に接触し、この接触状態(第1の接触状態)のまま、ノブ14がスライドバー15上を移動したことを検知する(ステップS32)。次に、ノブ14が、スライドバー15の最小値(一方の最端部)まで移動したか否かを判定する(ステップS33)。そして、ノブ14が、スライドバー15の最小値に位置したことを検知した場合には(ステップS33でY)、ステップS34に進む。ステップS33において、ノブ14が、スライドバー15の最小値に位置したことを検知しない場合には(ステップS33でN)、ステップS32に戻る。
【0065】
次に、制御部10aは、第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS34)。ここでいう、第2の接触とは、第1の接触状態から、一旦非接触となり、タッチパッド1
の第2領域12に接触することである。そして、第2の接触を検知した場合には(ステップS34でY)、ノブ14をスライドバー15の最大値(他方の最端部)に位置させる(ステップ35)。即ち、制御部10aは、一方の最端部に位置する選択候補から他方の最端部に位置する選択候補へ、選択候補を切り替える。そして、第2の接触を検知しない場合には(ステップS34でN)、ノブ14をスライドバー15の最大値(他方の最端部)に位置させる(ステップS36)。
【0066】
また、スライドバー15は、初期状態では、図4に示すように、20度(一方の最端部に位置する選択候補)から30度(他方の最端部に位置する選択候補)まで一度ずつ、選択候補としての可変量を変化させる入力を受け付ける。そして、第2の接触を検知した場合には、(ステップS34でY)、制御部10aは、一方の最端部に位置する選択候補を20度から30度に設定温度を切り替えるとともに、他方の最端部に位置する選択候補を30度から20度に設定温度を切り替える。
【0067】
なお、上述した実施例では、タッチパッド1はアクチュエータなどの振動を生じさせる機構を設けて、接触面の振動によるフィードバックを操作者に与えてもよい。操作者の指などの接触体で接触面に接触する位置情報に基づいて、操作者に振動によるフィードバックを与えることで操作感を向上させることができる。また、ノブ14が、スライドバー15の最小値(一方の最端部)まで移動したか否かを判定する(ステップS33)時に接触面に振動を生じさせてもよい。ここで、第2の接触を検知したか否かを判定する(ステップS34)段階であることを触覚的に操作者にフィードバックすることができる。表示部とタッチパッド1が異なる位置に設けられている場合に特に有効である。
【0068】
以上、3つの実施例を挙げて本願発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述した3つの実施例では、第2の接触が、第1の接触状態から、一旦非接触となり、再度接触したことを動作の一例として説明したが、第2の接触としては、第1の接触状態でタッチパッド1(接触面)が検知する第1押圧力よりも、第2の接触状態でタッチパッド1(接触面)が検知する第2押圧力が大きいことを検知することであってもよい。これによれば、上述した実施例と同様の効果が奏される。また、第2の接触としては、第1の接触状態でタッチパッド1(接触面)が検知する当該接触面に対する第1接触面積よりも、第2の接触状態でタッチパッド1(接触面)が検知する当該接触面に対する第2接触面積が大きいことを検知することであってもよい。これによれば、上述した実施例と同様の効果が奏される。さらに、第2の接触としては、タッチパッド1(接触面)が検知する接触箇所の数が、第1の接触において、タッチパッド1(接触面)が検知する接触箇所の数よりも多いことを検知することであってもよい。これによれば、上述した実施例と同様の効果が奏される。
【0069】
なお、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々改変して実施することができる。かかる改変によってもなお本発明の入力装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 タッチパッド(接触面、操作入力部)
10a 制御部
11 第1領域
12 第2領域
20 HUD装置(電子機器)
15 スライドバー
A~Z 複数の楽曲(複数の選択項目)
A 楽曲A(先頭に位置する選択項目)
Z 楽曲Z(最後尾に位置する選択項目)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9