(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091675
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 35/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F16K35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061186
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2023523482の分割
【原出願日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021088908
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021136007
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022008118
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】石橋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】原田 章弘
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】堀河 裕生
(72)【発明者】
【氏名】八幡 聡太
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】杉村 瞭
(57)【要約】
【課題】手動による操作時に遊び状態を設けることで不慮の弁開閉を抑制するとともに、遊び状態から回動状態にスムーズに移行することができるバルブを提供すること。
【解決手段】ステム6の他端部先端と操作用ハンドルの係合穴部42とは、対応する円周面部と該円周面部に連なる平面部とを形成し、ステム6の他端部先端及び操作用ハンドルの係合穴部42の平面部のいずれか一方は、所定角度をもった二平面から構成することで、操作用ハンドル4の一方向への回動後に他方向に回動させる際、所定の遊びが生じるようにしたバルブ1。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路及び該流体流路に配備される弁座を内部に形成したバルブボディと、
前記弁座のシート面に当接離間するダイヤフラムと、
該ダイヤフラムの周縁を前記バルブボディに固定する中空のボンネットと、
前記ダイヤフラムに当接し、弁座側に押圧するダイヤフラム押さえと、
該ダイヤフラム押さえを、作動流体又は押圧手段によって軸方向に移動させるピストン及び該ピストンを手動操作で軸方向に移動させるステムと、を備えたハイブリッドバルブであって、
シリンダの内周面に摺接するピストン本体、該ピストン本体から軸方向両側に向かって延設される押圧軸及び作動流体導入軸から構成されるピストンと、
前記ボンネットに固定され、反ボンネット側がボンネット固定側より小径の係合円筒部を形成する段付き円筒状の中間体と、
前記係合円筒部に嵌装される周面に作動流体を導入する作動流体導入孔を形成した回転体とからなり、
前記中間体は、内部に前記作動流体導入軸が嵌装される中央貫通孔を形成するとともに、前記作動流体導入軸の内部流路と前記作動流体導入孔を接続する連絡孔を形成したハイブリッドバルブ。
【請求項2】
前記ステムは、前記係合円筒部の内部に形成された手動操作空間の内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周面に形成し、一端が前記ピストンをダイヤフラム側に押圧する下部ステム及び一端部が前記下部ステムの他端に形成する係合端部に係合し、他端部が前記手動操作空間から突出して操作用ハンドルと係合する上部ステムとからなり、
前記操作用ハンドルは、操作部と前記係合円筒部の先端を覆う筒状部を備え、該筒状部の内周面には、前記係合円筒部に固定される円筒状のインジケータの溝部に係合する突起状のガイドが形成され、
前記操作用ハンドルは、付勢手段によって常時、操作用ハンドルと上部ステムとの係合が解除される方向に付勢され、
前記溝部は、円周方向溝とバルブが全閉又は全開状態のときに前記ガイドが軸方向に移動する軸方向溝とが形成されている請求項1に記載のハイブリッドバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御するバルブに関し、手動での開閉が可能な手動バルブ又はハイブリッドバルブに関し、特に振動や人為的ミスによるバルブの開閉を抑制する安全機構を備えたバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される流体制御器である開閉バルブは、空気圧によるステムの移動による自動開閉と、手動ハンドルによるステムの移動を可能にしたもので、緊急時には手動により操作ハンドルを回動させて自動開閉が不可能な状態とすることができるものである。
【0003】
図19に特許文献1に記載の流体制御器である開閉バルブ301を示す。この開閉バルブ301は、内部に流路と弁座を形成したバルブボディ302に弁体及び弁体を作動するアクチュエータを内蔵したケーシング303を固定し、ケーシング303の上端から突出した操作部材304にハンドル部材305を被せて手動による操作と、作動用流体導入孔303aから作動用流体の導入よって自動による操作を可能としている。
【0004】
図20(a)から(e)までは、手動操作による手順を示すもので、ケーシング303の上端部に設けられた案内突起311とハンドル部材305の略逆U字状案内溝314との位置関係を示している。案内溝314の取付け用案内部317は、円筒部312の下端に達するように形成されているので、
図20(a)から(c)までに示すように、取付け用案内部317の下端開口を案内突起311に嵌め合わせることにより、案内突起311が上下にのびる取付け用案内部317に案内されて、ハンドル部材305全体を下方に移動させることができる。取付け用案内部317の上部に設けた小径部318を変形させて案内突起311を通過させることでハンドル部材305がケーシング503に係合される。
【0005】
図20(c)の状態にあるハンドル部材305は、案内突起311が周方向にのびる手動回転用案内部315に案内される範囲内での回転が可能であり、ハンドル部材305の操作部313を操作することによるこの回転によって操作部材304が回転させることができる。これにより、
図20(d)に示す自動開閉不可能状態が得られる。
図20(d)に示す状態において、ハンドル部材305を持ち上げると、案内突起311は、上下にのびるロック位置移動用案内部316に案内されてロック位置移動用案内部316内を相対的に下方に移動し、ハンドル部材305は、
図20(e)に示す位置まで移動する。この状態で、ストッパ挿通部319に南京錠やワイヤロック等の停止部材を差し込むことでハンドル部材305は回転不能状態が維持される。
【0006】
しかし、ハンドル部材305を持ち上げ、停止部材をストッパ挿通部319に差し込む回転不能状態にしていない状態で作業者が現場を離れる場合も想定され、係る場合、別の作業者がハンドル部材305に当接したり、機器の振動が生じたりした場合にハンドル部材305が回動し、予期せぬバルブの開閉が行われることがある。
【0007】
特許文献2に開示される複合弁も、空気圧によるステムの移動と手動ハンドルによるステムの移動を可能にしたものである。この複合弁では、手動で操作するハンドルと係合する上部ステムと下部ステムとの連結部が、
図21に示すように立方体状の突出部401と、この突出部401の幅寸法より若干幅広の溝部402が係合することで、ハンドルの回動を上部ステムから下部ステムに伝え、下部ステムがボンネット内周面のネジ部への螺合によって、回転運動が直進運動に変換され、この直進運動によって弁体を弁座に向かって押圧することができる。
【0008】
この際、
図21に示す上部ステム端部の突出部401と、下部ステム端部の溝部402の間に所定の隙間があるため上部ステムは所定角度(図例角度α)回動しただけでは、ハンドル及び上部ステムの回動が下部ステムには伝達されない。この所定角度の所謂遊びによって、作業者がハンドルに不意に当接したり機器に振動が生じたりした場合などでも、予期せぬバルブの開閉を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-016599号公報
【特許文献2】特開2020-112206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の複合弁の上部ステムと下部ステムの係合は、突出部401の角部が溝部402の面部に当接することでなされる。そのため、当接は線接触となり、当接部の摩耗が進むことで開閉に支障をきたすおそれがある。また、線接触による当接からの回動であり、無負荷の遊び状態から負荷のかかる回動状態への移行が作業者の感覚的にスムーズに行われないという問題があった。
【0011】
本発明は、係る点に鑑みてなされたもので、部品点数を増やすことなく、手動による操作時に遊び状態を設けることで不慮の弁開閉を抑制するとともに、遊び状態から回動状態にスムーズに移行することができるバルブを提供することを目的とする。また、全閉全開時のストッパ機能を、操作用ハンドルを持ち上げる作業を行うことなく実現するようにしたバルブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明(1)に係るバルブは、流体流路及び該流体流路に配備される弁座を内部に形成したバルブボディと、前記弁座のシート面に当接離間するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの周縁を前記バルブボディに固定する中空のボンネットと、前記ダイヤフラムに当接し、弁座側に押圧するダイヤフラム押さえと、一端部は前記ボンネットの内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周面に形成し、他端部は前記ボンネットから突出し、操作用ハンドルの内面中央部に形成した係合穴部と係合するステムと、を備えたバルブであって、前記ステムの他端部先端と前記係合穴部とは、対応する円周面部と該円周面部に連なる平面部とを形成し、前記ステムの他端部先端及び前記係合穴部の平面部のいずれか一方は、所定角度をもった二平面から構成することで、前記操作用ハンドルの一方向への回動後に他方向に回動させる際、所定の遊びが生じるようにしたバルブである。
【0013】
本発明(2)のバルブは、前記ステムの他端部先端には、前記係合穴部と係合する筒状の係合部材を取り付けることができる。
【0014】
本発明によると、部品点数を増やすことなく、ステムと操作用ハンドルとの係合部分に所定の遊びを設けることで不慮の弁開閉を抑制することができる。
【0015】
この場合において、本発明(3)の前記操作用ハンドルは、操作部と前記ボンネットを覆う筒状部を備え、該筒状部の内周面には、前記ボンネットに固定される円筒状のインジケータの溝部に係合する突起状のガイドが形成され、前記操作用ハンドルは、付勢手段によって常時、前記操作用ハンドルと前記ステムとの係合が解除される方向に付勢され、前記溝部は、円周方向溝とバルブが全閉又は全開状態のときに前記ガイドが軸方向に移動する軸方向溝とを形成することができる。
【0016】
操作用ハンドルは、ガイドが円周方向溝に沿って回動するとともに、バルブが全閉又は全開状態のときガイドが軸方向溝に位置し、付勢手段によって円周方向溝から離れ操作用ハンドルの回動を阻止する。この際、軸方向溝は、操作用ハンドルがステムから外れない位置でガイドの移動を阻止する天面部を備え、ガイドの移動を停止させる。
【0017】
また、本発明(4)のバルブは、前記ダイヤフラム押さえと前記ステムとの間には、作動用流体によって軸方向に移動するピストンとシリンダを配備することができる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた本発明(5)に係るバルブは、
流体流路及び該流体流路に配備される弁座を内部に形成したバルブボディと、
前記弁座のシート面に当接離間するダイヤフラムと、
該ダイヤフラムの周縁を前記バルブボディに固定する中空のボンネットと、
前記ダイヤフラムに当接し、弁座側に押圧するダイヤフラム押さえと、
前記ボンネットの内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周面に形成した下部ステムと、
一端部が前記下部ステムに係合し、他端部が前記ボンネットから突出し操作用ハンドルと係合する上部ステムと、を備えたバルブであって
前記上部ステムと下部ステムとの係合部は、いずれか一方の端面に、対となる中心側が円弧状の扇形当接部を形成し、他方の端面に、前記扇形当接部の円弧の弧長より弧長が長い略扇形の対となる欠落部と前記扇形当接部の平面状側面と面接触する立設面とを有する突出部を形成したバルブである。
【0019】
本発明のバルブは、上部ステムと下部ステムとの係合部の当接が面接触でスムーズな開閉に寄与する。
【0020】
この場合において、本発明(6)の前記操作用ハンドルは、操作部と前記ボンネットを覆う筒状部を備え、該筒状部の内周面には、前記ボンネットに固定される円筒状のインジケータの溝部に係合する突起状のガイドが形成され、操作用ハンドルは、付勢手段によって常時、操作用ハンドルと上部ステムとの係合が解除される方向に付勢され、前記溝部は、操作用ハンドルの回動を許容する円周方向溝とバルブが全閉又は全開状態のときに前記ガイドが軸方向に移動する軸方向溝とを形成することができる。
【0021】
操作用ハンドルは、ガイドが円周方向溝に沿って回動するとともに、バルブが全閉又は全開状態のときガイドが軸方向溝に位置し、付勢手段によって円周方向溝から離れ操作用ハンドルの回動を阻止する。この際、軸方向溝は、操作用ハンドルがステムから外れない位置でガイドの移動を阻止する天面部を備え、ガイドの移動を停止させる。
【0022】
上記課題を解決するためになされた本発明(8)に係るハイブリッドバルブは、
流体流路及び該流体流路に配備される弁座を内部に形成したバルブボディと、
前記弁座のシート面に当接離間するダイヤフラムと、
該ダイヤフラムの周縁を前記バルブボディに固定する中空のボンネットと、
前記ダイヤフラムに当接し、弁座側に押圧するダイヤフラム押さえと、
該ダイヤフラム押さえをダイヤフラム側に押圧する作動流体又は押圧手段によって軸方向に移動するピストン及び該ピストンを手動操作で軸方向に移動させるステムと、を備えたハイブリッドバルブであって、
シリンダの内周面に摺接するピストン本体、該ピストン本体から軸方向両側に向かって延設される押圧軸及び作動流体導入軸から構成されるピストンと、
前記ボンネットに固定され、反ボンネット側がボンネット固定側より小径の係合円筒部を形成する段付き円筒状の中間体と、
前記係合円筒部に嵌装される、周面に作動流体を導入する作動流体導入孔を形成した回転体とからなり、
前記中間体は、内部に前記作動流体導入軸が嵌装される中央貫通孔を形成するとともに、前記作動流体導入軸の内部流路と前記作動流体導入孔を接続する連絡孔を形成している。
【0023】
図19の開閉バルブ301を作動流体によって開閉させるために、作動用流体導入孔303aと作動流体供給源とを配管で接続する必要がある。手動操作を必要としない場合には、作動用流体導入孔を上部に設けることで配管は容易に行うことができるものの、ハイブリッドバルブの場合はボディの周面にしか作動用流体導入孔を設けることができない。
図19の作動用流体導入孔303aの周辺に空間が広く取られる状態であれば問題はないものの、集積化ガスシステムに使用する場合等においては、バルブ同士やその他の流体制御機器と開閉バルブ301は近接し、作動用流体導入孔303aに配管を接続する作業は困難な場合が多い。
【0024】
本発明(8)は、係る点に鑑みてなされたもので、集積化ガスシステムに使用する場合等、作動用流体導入孔の周辺の空間が狭い場合であっても、容易に配管の接続を可能とするハイブリッドバルブを提供することができる。
【0025】
本発明(8)のハイブリッドバルブは、中間体の係合円筒部に嵌装される回転体に作動流体導入孔を形成しているから、作動流体導入孔は360°任意の位置とすることができる。
【0026】
本発明(8)のハイブリッドバルブによれば、作動流体の供給源と接続する作動流体導入孔を360°任意の位置にすることができるから、集積化ガスシステムに使用する場合でも、容易に配管を接続することが可能なハイブリッドバルブを提供することができる。
【0027】
この場合において、本発明(9)の前記ステムは、前記係合円筒部の内部に形成された手動操作空間の内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周面に形成し、一端が前記ピストンをダイヤフラム側に押圧する下部ステム及び一端部が前記下部ステムの他端に形成する係合端部に係合し、他端部が前記手動操作空間から突出して操作用ハンドルと係合する上部ステムとからなり、前記操作用ハンドルは、操作部と前記係合円筒部の先端を覆う筒状部を備え、該筒状部の内周面には、前記係合円筒部に固定される円筒状のインジケータの溝部に係合する突起状のガイドが形成され、操作用ハンドルは、付勢手段によって常時、操作用ハンドルと上部ステムとの係合が解除される方向に付勢され、インジケータの溝部は、円周方向溝とバルブが全閉又は全開状態のときに前記ガイドが軸方向に移動する軸方向溝とが形成することができる。
【0028】
操作ハンドルは、ガイドが円周方向溝に沿って回動するとともに、バルブが全閉又は全開状態のときガイドが軸方向溝に位置し、付勢手段によって円周方向溝から離れ操作用ハンドルの回動を阻止する。この際、軸方向溝は、操作用ハンドルがステムから外れない位置でガイドの移動を阻止する天面部を備え、ガイドの移動を停止させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のバルブによれば、部品点数を増やすことなく、手動による操作時に遊び状態を設けることで不慮の弁開閉を抑制するとともに、遊び状態から回動状態にスムーズに移行することができるとともに、ステムと操作用ハンドルとが係合する部分が面接触であるため摩耗などによる劣化を有効に防止するバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明のバルブを示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図2】同バルブの操作用ハンドルを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X断面図である。
【
図3】同バルブの部品を示し、(a)は操作用ハンドルの斜視図、(b)はボンネットに固定するインジケータの斜視図、(c)は係合部材の斜視図、(d)は係合部材の別の例の斜視図である。
【
図4】同バルブの操作用ハンドルの別の例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のY-Y断面図である。
【
図5】(a1)から(a3)は、
図3(c)の係合部材と
図2の操作用ハンドルとの係合状態、(b1)から(b3)は、
図3(d)の係合部材と
図4の操作用ハンドルとの係合状態を示し、それぞれ(a1)(b1)は、操作用ハンドルの回動前で係合部材の平面部と操作用ハンドルの平面部が当接した状態、(a2)(b2)は、操作用ハンドルの回動を開始し10°動かした状態、(a3)(b3)は、さら90°回動させた状態を示す
図1のZ-Z断面図である。
【
図6】本発明のバルブの別の例を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図7】本第2実施形態のバルブの別の例を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図8】本発明のバルブを示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図9】同バルブの操作用ハンドルを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X断面図である。
【
図10】同バルブの部品を示し、(a)は操作用ハンドルの斜視図、(b)はボンネットに固定するインジケータの斜視図、(c)はハンドル係合部材の斜視図である。
【
図11】同バルブのステムの係合部を示し、(a1)は、係合前の状態を示す一部切り欠きの斜視図、(a2)は係合状態を示す一部切り欠きの斜視図、(b)は別の実施例の係合前の状態を示す一部切り欠きの斜視図、(c1)は上部ステム(操作用ハンドル)回動前の状態を、(c2)は回動を開始し、突出部の立設面と扇形当接部の平面状側面が当接した状態を、(c3)はさらに90°回動させた状態を示す係合部の平面図である。
【
図12】本発明のバルブの別の例を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図13】本第2発明のバルブの別の例を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図14】本発明のハイブリッドバルブを示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図15】同バルブの操作用ハンドルを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X断面図である。
【
図16】同バルブの部品を示し、(a)は操作用ハンドルの斜視図、(b)はボンネットに固定するインジケータの斜視図、(c)はハンドル係合部材の斜視図である。
【
図17】同バルブのステムの係合部を示し、(a1)は、係合前の状態を示す一部切り欠きの斜視図、(a2)は係合状態を示す一部切り欠きの斜視図、(b)は別の実施例の係合前の状態を示す一部切り欠きの斜視図、(c1)は上部ステム(操作用ハンドル)回動前の状態を、(c2)は回動を開始し、突出部の立設面と扇形当接部の平面状側面が当接した状態を、(c3)はさらに90°回動させた状態を示す係合部の平面図である。
【
図18】本発明のハイブリッドバルブの別の実施形態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図19】従来のバルブを示し、(a)はハンドル部材の取り付け前の斜視図、(b)はハンドル部材を取り付けた状態の斜視図である。
【
図20】同従来のバルブを示し、(a)はハンドル部材の取り付け前の状態、(b)はケーシングの案内突起がハンドル部材の案内溝に係合した状態、(c)は案内突起が案内溝の小径部に到達した状態、(d)は案内突起が小径部を通過し手動回転用案内部に到達した状態、(e)は案内突起がロック位置移動用案内部に到達した状態を示す図である。
【
図21】別の従来のバルブの上部ステムと下部ステムの係合部の遊びを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るバルブの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を示す。
図1は、本発明のバルブ1の一部切り欠きの正面断面図である。本発明のバルブ1は、流入路20Aと流出路20Bからなる流体流路20及び流入路20Aの内部開放端周縁に配備される弁座21を内部に形成したバルブボディ2と、弁座21のシート面に当接離間するダイヤフラム8と、このダイヤフラム8の周縁をバルブボディ2に固定する中空のボンネット3と、ダイヤフラム8に当接し、弁座21側に押圧するダイヤフラム押さえ7と、一端部はボンネット3の内周面に形成された雌ねじ部31に螺合する雄ねじ部61を外周面に形成し、他端部はボンネットから突出し、操作用ハンドル4の内面中央部に形成した係合穴部42と係合するステム6とを備えたバルブである。
【0033】
ステム6は、上述したように他端部はボンネットから突出し、後述する操作用ハンドル4の係合穴部42に挿通され、係合穴部42の天面との間にスプリング等の付勢手段10によってバルブボディ2側に付勢されている。また、ボンネット3から突出するステム6の他端部先端と操作用ハンドル4の係合穴部42とは、対応する円周面部と該円周面部に連なる平面部とを形成する。本第1実施形態においては、ステム6の他端部先端の平面部50は、係合穴部42の平面部42aに当接することで、操作用ハンドル4の回転をステム6に伝達するようにしている(
図5参照)。
【0034】
そして、ステム6の他端部先端及び係合穴部42の平面部のいずれか一方は、所定角度をもった二平面から構成することで、操作用ハンドル4の一方向への回動後に他方向に回動させる際、所定の遊びが生じるように形成している。
【0035】
また、ステム6の他端部先端の平面部は、
図6に示すように、ステム6に直接形成しても良いが、本第1実施形態においては、
図1に示すように、
図3(c)(d)に示す筒状の係合部材5を、ステム6の他端部先端に挿通し止めネジで固定するように取り付ける。係合部材5を使用することで操作用ハンドル4の回動位置を任意に調節して取り付けることができる。
【0036】
本第1実施形態においては、
図3(c)に示すように係合部材5の平面部50を所定角度をもった二平面から構成し、該平面部50と
図2(a)に示す係合穴部42の平面部42aとが操作用ハンドル4の回動時に当接するように形成することで、操作用ハンドル4の一方向への回動後に他方向に回動させる際、所定の遊びが生じる。係合部材5の平面部50の二平面は、例えば、筒状の係合部材5に10°ずつ面取りを行うことで形成するのが好ましい。
【0037】
<変形例>
また、本第1実施形態の変形例として、
図4(a)に示すように係合穴部42の平面部42bを所定角度をもった二平面から構成し、
図3(d)に示す係合部材5の平面部51とが操作用ハンドル4の回動時に当接するように形成することができる。このように構成することで、操作用ハンドル4の一方向への回動後に他方向に回動させる際、第1実施形態と同様に所定の遊びが生じる。
【0038】
上述したように、ステム6の他端部先端(係合部材5)及び操作用ハンドルの係合穴部42の平面部のいずれか一方に、所定角度をもった二平面から構成することで、操作用ハンドル4の一方向への回動後に他方向に回動させる際、所定の遊びを生じることで、不慮のバルブの開閉を抑制するとともに、遊び状態から回動状態にスムーズに移行することができる。また、ステム6と操作用ハンドル4とが係合する部分が面接触であるため摩耗などによる劣化を有効に防止することができる。さらには、本発明の構成により、特に部品点数を増やすことなく目的の効果を発揮できる。
【0039】
ステム6は、上述したように、一端部はボンネット3の内周面に形成された雌ねじ部31に螺合する雄ねじ部61を外周面に形成するとともに、ダイヤフラム押さえ7と当接する当接部62が形成されている。ステム6が操作ハンドル4によって回動されたときネジピッチに応じた距離だけ上下に移動する。これによって、ダイヤフラム押さえ7をダイヤフラム8側に押圧し、ダイヤフラム8が弁座21と当接して流体の流れを阻止することができ、また、ステム6が上昇するとダイヤフラム押さえ7によるダイヤフラム8の押圧が解除され、ダイヤフラム8の自己復元力と流入路20A内の流体圧によってダイヤフラム8は弁座21から離間し、流体の流れを許容する。
【0040】
バルブボディ2は、集積用システムに配備されるバルブの例を示し、下面に流入路20A及び流出路20Bの開放端が形成される例を示すが、もちろんこれに限られるものではない。また、上面側はボンネット3を固定する凹所が形成され凹所内周面には、ボンネット3の外周面に形成される雄ねじ部30が螺合する雌ねじ部22が形成されている。
【0041】
中空のボンネット3は、一端側の外周面に雄ねじ部30を形成し、バルブボディ2の凹所に内周面に形成した雌ねじ部22に螺合する。そして、この一端側端部の外周縁部が、ダイヤフラム8の周縁部に当接する円環状のダイヤフラム固定部材32を押圧することでダイヤフラム8をバルブボディ2に固定するようにしている。なお、ダイヤフラム固定部材32を省略し、ボンネット3の端部で直接ダイヤフラム8を押圧固定するようにしても構わない。
【0042】
また、ボンネット3の他端側には、後述する操作用ハンドル4のガイド43を案内する円周方向溝90aと軸方向溝90b、90cを周面に形成したインジケータ9が固定されている。インジケータ9の天面には[OPEN][CLOSE]の文字が印字され、操作用ハンドル4の窓部45からバルブ1の開閉状態が視認できるようになっている。そのため、インジケータ9は、ボンネット3に対して回動自在で、かつ、任意の位置で止めネジによって固定され、バルブ開閉時に印字された文字が正しく表示されるように構成されている。
【0043】
操作用ハンドル4は、内部にステム6の一端部(係合部材5)との係合部を形成した操作部40とボンネット3を覆う筒状部41から構成された樹脂製であるが、樹脂製に限るものではない。操作部40にはストッパを挿通する円筒状の挿通口44が形成されている。内部の係合部は、ステム6の一端部(係合部材5)が挿通される係合穴部42で、一部にステム6の円柱状の一端部(係合部材5)に形成した平面部50、51に対応した係合用の平面部42a、42bを形成している。筒状部41の内周面には、ボンネット3に固定される円筒状のインジケータ9の溝部90に係合する突起状のガイド43が形成されている。このガイド43は、
図2(b)に示すように、上部に内側に向かって突出した係合面43aを形成し、その内側が面取りされ、更に下方に向かった傾斜面43bを形成している。
【0044】
操作用ハンドル4は、付勢手段10によって常時、操作用ハンドル4とステム6(係合部材5)との係合が解除される方向に付勢されているが、ガイド43が溝部90の円周方向溝90aの上面又は軸方向溝90bの上部天面に係合し、操作用ハンドル4とステム6(係合部材5)との係合が解除されることはない。また、操作用ハンドル4の適所(本第1実施形態ではガイド43の上部)に窓部45が形成され、上述したインジケータ9の天面に記載された文字が外部から視認されるように構成されている。
【0045】
インジケータ9の溝部90は、
図3(b)に示すように、インジケータ9の下端側に円周方向溝90aと、円周方向溝90aの両端に上端側に向かって伸びる軸方向溝90b、90cとが形成されている。バルブが全閉又は全開状態のときにガイド43が軸方向に移動する軸方向溝は、全閉位置の軸方向溝90bと全開位置の軸方向溝90cとがあり、それぞれガイド43の上方への移動を規制する天面を備えている。この天面が、ガイド43の係合面43aと係合してストッパとなる。軸方向溝90b、90cとの間にある天面を有しない軸方向溝90dは、操作用ハンドル4を取り付ける際にガイド43が通過する軸方向溝でその幅は他の軸方向溝よりも狭くガイド43の幅より僅かに広い程度である。またその溝深さも浅く、取り付け時に操作用ハンドルを弾性変形させながら取り付けることで通常の操作では操作用ハンドル4が脱落することを防止するようにしている。
【0046】
バルブ1は、ボンネット3の内部に係合状態のステム6とダイヤフラム押さえ7を配備し、ダイヤフラム8とダイヤフラム固定部材32とをバルブボディ2の弁座21上に載置した状態でボンネット3をバルブボディ2に螺合し固定する。この際、ステム6を全閉位置から45°開放位置に回動させた状態となるようにしておく。その後、インジケータ9及び係合部材5の回動位置を調整し、それぞれボンネット3及びステム6に取り付け、付勢手段10を配設した状態で、操作用ハンドル4の係合穴部42の平面部42a、42bがステム6(係合部材5)の平面部50、51に沿うように取り付ければ、操作用ハンドル4のガイド43がインジケータ9の軸方向溝のうち取り付け用の軸方向溝90dに沿って取り付けることができる。ガイド43が円周方向溝90aに到達すれば操作用ハンドル4を全閉又は全開位置に回動させ、バルブ1の組み立てが完了する。
【0047】
次に、本発明のバルブ1の回動動作について説明する。
【0048】
本第1実施形態において、
図5(a1)~(a3)を参照して説明する。まず、ステム6の他端部先端に取り付けた係合部材5と操作用ハンドル4との係合部では、
図5(a1)の位置からスタート(バルブ全閉状態)する。まず、操作用ハンドル4を、付勢手段10に抗って押し込み、同(a1)から同(a2)へと反時計回りに10°回動させる間、係合部材5に回転方向の力は加わることはなく、係合部材5は回動することなく係合部材5及びステム6は上下方向への移動もなされない。この遊びがあることによって、ガイド43が軸方向溝90b、90cから外れた状態であって、開閉作業ではないときに作業者の身体がぶつかったり、振動が生じたりすることによって操作用ハンドル4が若干回動しても係合部材5及びステム6は回動することなく、ダイヤフラム8と弁座21との位置関係に変化はなく、流体が予期せずに流れたり遮断されたりすることはない。
【0049】
次に、同(a2)の状態となったとき、操作用ハンドルの係合穴部42の平面部42aが、係合部材5の平面部50(二平面のうちの一面)に当接する。同(a2)から(a3)へとさらに反時計回りに90°回動させることで、係合部材5との係合は面接触での係合となり、係合部材5の平面部50が係合穴部42の平面部42aから受ける反力は、線接触の場合と比べ面全体に分散され小さくなる。このため、操作用ハンドル4による操作はスムーズで、回動に遊びがあることを作業者に感じさせることがない。
【0050】
また、同(a2)から(a3)へとさらに反時計回りに90°回動させることで、係合部材5及びステム6も90°回動する。これによって、ボンネット3の雌ねじ部31に螺合しているステム6の雄ねじ部61が90°回動したピッチ分だけ上方に移動し当接部62がダイヤフラム押さえ7から離間し、ダイヤフラム8の自己復元力と流入路20A内の流体圧によってダイヤフラム8は弁座21から離間した全開状態となる。
【0051】
<実施形態2>
図7に、本発明の第2の実施形態を示す。本発明の第2の実施形態は、ダイヤフラム押さえ7とステム6との間には、エア等による作動用流体によって軸方向に移動するピストン11とシリンダ12を配備した自動及び手動で作動可能ないわゆるハイブリッドバルブである。
【0052】
ハイブリッドバルブでは、通常、ピストン11はスプリング等の押圧手段13によってダイヤフラム押さえ7を押圧するノーマルクローズタイプと、スプリング等の押圧手段13によってダイヤフラム押さえ7への押圧を開放するノーマルオープンタイプに分かれ、ピストン11の押圧手段13によって負荷のかかる面と逆の面に作動用流体が流れ込み、ノーマルクローズタイプの場合、作動用流体の流入によって開弁、ノーマルオープンタイプの場合、作動用流体の流入によって閉弁がなされる。作動用流体は、中間ステム14及びピストン11の内部流路15を介し、作動用流体流入孔16から供給される。図に示すバルブはノーマルクローズタイプのハイブリッドバルブである。
【0053】
そして、ハイブリッドバルブでは作動中に、作動用流体が何らかの原因で止まらないときや、作動用流体が何らかの原因で流れないときに、手動で弁を開閉することができるものである。しかし、上述したように、ステムと操作用ハンドルとの係合に遊びがないと操作用ハンドルに作業者が当たるなどしたときに予期せぬ流体の停止が発生する場合がある。
【0054】
そこで、本発明の第2の実施形態であるハイブリットバルブにおいても第1の実施形態と同様に、ステムと操作用ハンドルとの係合部に遊びを設けることで上述した問題を解消するようにした。
【0055】
<実施形態3>
図8~
図11に、本発明の第3の実施形態を示す。
図8は、本発明のバルブ101の一部切り欠きの正面断面図である。本発明のバルブ101は、流入路120Aと流出路120Bからなる流体流路120及び流入路120Aの内部開放端周縁に配備される弁座121を内部に形成したバルブボディ102と、弁座121のシート面に当接離間するダイヤフラム108と、このダイヤフラム108の周縁をバルブボディ102に固定する中空のボンネット103と、ダイヤフラム108に当接し、弁座121側に押圧するダイヤフラム押さえ107と、ボンネット103の内周面に形成された雌ねじ部131に螺合する雄ねじ部161を外周面に形成した下部ステム106と、一端部が下部ステム106に係合し、他端部がボンネット103から突出し、操作用ハンドル104と係合する上部ステム105とを備えたバルブである。
【0056】
そして、上部ステム105と下部ステム106との係合部は、いずれか一方の端面、本実施形態においては下部ステム106に、対となる円弧状の扇形当接部160、160を形成し、他方の端面、本実施形態においては上部ステム105に、扇形当接部160の円弧の弧長より弧長が長い略扇形の対となる欠落部150b、150bと扇形当接部160の平面状側面160a、160aと面接触する立設面150a、150aとを有する突出部150を形成している。扇形当接部160及び突出部150は共に
図11(b)に示すように扇形の場合、中心部は他方の通過を許容する所定の隙間を設ける必要がある。また、円弧状の扇形当接部160は、中心側も円弧状面160bとすることが好ましい(
図11(a1)参照)。欠落部150bの弧長と扇形当接部160の弧長の差が遊びとなり、本実施形態では20°となるようにしている。
【0057】
上部ステム105は、上述したように、一端に下部ステム106と係合する突出部150を形成するとともに、他端は後述する操作用ハンドル104の穴部142に挿通され、穴部142の天面との間にスプリング等の付勢手段によって下部ステム6側に付勢されている。また、この穴部142の平面部142aと当接する平面部を形成し、操作用ハンドル104の回動を上部ステム105に伝達するようにしている。この平面部は、
図12に示すように、上部ステム105に直接形成してもいいが、
図8に示すように、
図10(c)に示す筒状の係合片155を、ステム105に挿通し止めネジで固定するようにしても良い。係合片155を使用することで操作用ハンドル4の回動位置を任意に調節して取り付けることができる。
【0058】
下部ステム106は、上述したように、一端に上部ステム105と係合する扇形当接部160を形成するとともに、他端にダイヤフラム押さえ107と当接する当接部162が形成されている。また、下部ステム106の周面にはボンネット103の内面に形成される雌ねじ部131に螺合する雄ねじ部161が形成されており、上部ステム105が操作用ハンドル104によって回動されたときネジピッチに応じた距離だけ上下に移動する。これによって、ダイヤフラム押さえ107をダイヤフラム8側に押圧し、ダイヤフラム108が弁座121と当接して流体の流れを阻止することができ、また、下部ステム106が上昇するとダイヤフラム押さえ107によるダイヤフラム8の押圧が解除され、ダイヤフラム108の自己復元力と流入路120A内の流体圧によってダイヤフラム108は弁座121から離間し、流体の流れを許容する。
【0059】
バルブボディ102は、集積用システムに配備されるバルブの例を示し、下面に流入路120A及び流出路120Bの開放端が形成される例を示すが、もちろんこれに限られるものではない。また、上面側はボンネット103を固定する凹所が形成され凹所内周面には、ボンネット103の外周面に形成される雄ねじ部130が螺合する雌ねじ部122が形成されている。
【0060】
中空のボンネット103は、一端側の外周面に雄ねじ部130を形成し、バルブボディ102の凹所に内周面に形成した雌ねじ部122に螺合する。そして、この一端側端部の外周縁部が、ダイヤフラム108の周縁部に当接する円環状のダイヤフラム固定部材132を押圧することでダイヤフラム108をバルブボディ102に固定するようにしている。なお、ダイヤフラム固定部材132を省略し、ボンネット103の端部で直接ダイヤフラム108を押圧固定するようにしても構わない。
【0061】
また、ボンネット103の他端側には、後述する操作用ハンドル104のガイド143を案内する円周方向溝190aと軸方向溝190b、190cを周面に形成したインジケータ109が固定されている。インジケータ109の天面には[OPEN][CLOSE]の文字が印字され、操作用ハンドル104の窓部145からバルブ101の開閉状態が視認できるようになっている。そのため、インジケータ109は、ボンネット103に対して回動自在で、かつ、任意の位置で止めネジによって固定され、バルブ開閉時に印字された文字が正しく表示されるように構成されている。
【0062】
操作用ハンドル104は、内部に上部ステム105との係合部を形成した操作部140とボンネット103を覆う筒状部141から構成された樹脂製であるが、樹脂製に限るものではない。操作部140にはストッパを挿通する円筒状の挿通口144が形成されている。内部の係合部は、上部ステム105の一端部が挿通される係合用の穴部142で、一部に上部ステム105の円柱状の一端部に形成した平面部に対応した係合用の平面部142aを形成している。筒状部141の内周面には、ボンネット103に固定される円筒状のインジケータ109の溝部190に係合する突起状のガイド143が形成されている。このガイド143は、
図9(b)に示すように、上部に内側に向かって突出した係合面143aを形成し、その内側が面取りされ、更に下方に向かった傾斜面143bを形成している。
【0063】
操作用ハンドル104は、付勢手段110によって常時、操作用ハンドル104と上部ステム105との係合が解除される方向に付勢されているが、ガイド143が溝部190の円周方向溝190aの上面又は軸方向溝190bの上部天面に係合し、操作用ハンドル104と上部ステム105との係合が解除されることはない。また、操作用ハンドル104の適所(本実施例ではガイド143の上部)に窓部145が形成され、上述したインジケータ109の天面に記載された文字が外部から視認されるように構成されている。
【0064】
インジケータ109の溝部190は、
図10(b)に示すように、インジケータ109の下端側に円周方向溝190aと、円周方向溝190aの両端に上端側に向かって伸びる軸方向溝190b、190cとが形成されている。バルブが全閉又は全開状態のときにガイド143が軸方向に移動する軸方向溝は、全閉位置の軸方向溝190bと全開位置の軸方向溝190cとがあり、それぞれガイド143の上方への移動を規制する天面を備えている。この天面が、ガイド143の係合面143aと係合してストッパとなる。軸方向溝190b、190cとの間にある天面を有しない軸方向溝190dは、操作用ハンドル104を取り付ける際にガイド143が通過する軸方向溝でその幅は他の軸方向溝よりも狭くガイド143の幅より僅かに広い程度である。またその溝深さも浅く、取り付け時に操作用ハンドルを弾性変形させながら取り付けることで通常の操作では操作用ハンドル104が脱落することを防止するようにしている。
【0065】
バルブ101は、ボンネット103の内部に係合状態の上部ステム105及び下部ステム106とダイヤフラム押さえ107を配備し、ダイヤフラム108とダイヤフラム固定部材132とをバルブボディ102の弁座121上に載置した状態でボンネット103をバルブボディ102に螺合し固定する。この際、ステムを全閉位置から45°開放位置に回動させた状態となるようにしておく。その後、インジケータ109及び係合片155の回動位置を調整し、それぞれボンネット103及び上部ステム5に取り付け、付勢手段110を配設した状態で、操作用ハンドル104の穴部142の平面部142aが上部ステム5の平面部(係合片155の平面部155a)に沿うように取り付ければ、操作用ハンドル104のガイド143がインジケータ109の軸方向溝のうち取り付け用の軸方向溝190dに沿って取り付けることができる。ガイド143が円周方向溝190aに到達すれば操作用ハンドル4を全閉又は全開位置に回動させ、バルブ101の組み立てが完了する。
【0066】
次に、本発明のバルブ101の回動動作について説明する。
【0067】
まず、上部ステム105と下部ステム6の係合部では、
図11(c1)よりも時計回りに10°回動した位置からスタート(バルブ全閉状態)する。まず、操作用ハンドル104を、付勢手段110に抗って押し込み、同(c1)から反時計回りに10°(当初状態から20°)回動させる間、上部ステム105は操作用ハンドル104に伴って回動するものの、下部ステム106に回転方向の力は加わることはなく、下部ステム106は回動することなく上下方向への移動もなされない。この遊びがあることによって、ガイド143が軸方向溝190b、190cから外れた状態であって、開閉作業ではないときに作業者の身体がぶつかったり、振動が生じたりすることによって操作用ハンドル104が若干回動しても下部ステム106は回動することなく、ダイヤフラム108と弁座121との位置関係に変化はなく、流体が予期せずに流れたり遮断されたりすることはない。
【0068】
次に、同(c2)の状態となったとき、上部ステム105の突出部150の立設面150aが、下部ステム106の扇形当接部160の平面状側面160aに当接する。このとき、上部ステム105と下部ステム106との係合は面接触での係合となり、同(c2)の状態よりも反時計回りに回動させたとき立設面150aが平面状側面160aから受ける反力は、線接触の場合と比べ面全体に分散され小さくなる。このため、操作用ハンドル104による操作はスムーズで、回動に遊びがあることを作業者に感じさせることがない。
【0069】
そして、同(c2)の状態から90°反時計回りに回動させることで、下部ステム106も90°回動する。これによって、ボンネット103の雌ねじ部131に螺合している下部ステム106の雄ねじ部161が90°回動したピッチ分だけ上方に移動し当接部162がダイヤフラム押さえ107から離間し、ダイヤフラム108の自己復元力と流入路120A内の流体圧によってダイヤフラム108は弁座121から離間した全開状態となる。
【0070】
<実施形態4>
図13に、本発明の第4の実施形態を示す。本発明の第4の実施形態は、ダイヤフラム押さえ107と下部ステム106との間には、エア等による作動用流体によって軸方向に移動するピストン111とシリンダ112を配備した、いわゆるハイブリッドバルブである。
【0071】
ハイブリッドバルブでは、通常、ピストン111はスプリング等の押圧手段113によってダイヤフラム押さえ107を押圧するノーマルクローズタイプと、スプリング等の押圧手段によってダイヤフラム押さえへの押圧を開放するノーマルオープンタイプに分かれ、ピストン111の押圧手段によって負荷のかかる面と逆の面に作動用流体が流れ込み、ノーマルクローズタイプの場合、作動用流体の流入によって開弁、ノーマルオープンタイプの場合、作動用流体の流入によって閉弁がなされる。作動用流体は、中間ステム114及びピストン111の内部流路115を介し、作動用流体流入孔116から供給される。図に示すバルブはノーマルクローズタイプのハイブリッドバルブである。
【0072】
そして、ハイブリッドバルブは、ノーマルクローズタイプでは作動用流体が何らかの原因で止まらないとき、ノーマルオープンタイプでは作動用流体が何らかの原因で流れないとき、手動で閉弁することができるものである。しかし、上述したように、上部ステムと下部ステムとの係合に遊びがないと操作用ハンドルに作業者が当たるなどしたときに予期せぬ流体の停止が発生する場合がある。
【0073】
そこで、本発明の第4の実施形態であるハイブリットバルブでは、上述したストッパ機能とステム係合部に遊びを設けることで上述した問題を解消するようにした。
【0074】
<実施形態5>
図14~
図17に、本発明の第5の実施形態を示す。
図14は、本発明のハイブリッドバルブ201の一部切り欠きの正面断面図である。本発明のハイブリッドバルブ201は、流入路220Aと流出路220Bからなる流体流路220及び流入路220Aの内部開放端周縁に配備される弁座221を内部に形成したバルブボディ202と、弁座221のシート面に当接離間するダイヤフラム208と、このダイヤフラム208の周縁をバルブボディ202に固定する中空のボンネット203と、ダイヤフラム208に当接し、弁座221側に押圧するダイヤフラム押さえ207と、ダイヤフラム押さえ207をダイヤフラム208側に押圧する作動流体又は押圧手段213によって軸方向に移動するピストン211及びピストン211を手動操作で軸方向に移動させる上部ステム205及び下部ステム206とを備えたハイブリッドバルブである。
【0075】
そして、本ハイブリッドバルブ201は、シリンダ212の内周面に摺接するピストン本体211a、当該ピストン本体211aから軸方向両側に向かって延設される押圧軸211b及び作動流体導入軸211cから構成されるピストン211と、ボンネット203に固定され、反ボンネット側がボンネット固定側より小径の係合円筒部215Aを形成する段付き円筒状の中間体215と、この中間体15と同軸で係合円筒部215Aに嵌装される周面に作動流体を導入する作動流体導入孔216aを形成した筒状の回転体216とを備えている。
【0076】
<中間体>
中間体215は、内部にボンネット側から径の異なる押圧手段収納空間215b、中央貫通孔215a及び手動操作空間215cが連続して形成され、中央貫通孔215aに挿通されるピストン211の作動流体導入軸211cの端面に開口端を有する内部流路211dに、作動流体導入孔216aから供給される作動流体を導入する連絡孔215dを備えている。
【0077】
また、手動操作空間215cの内周面に形成された雌ねじ部215eに螺合する雄ねじ部261を外周面に形成した下部ステム206及び一端部が下部ステム206の係合端部に係合し、他端部が手動操作空間215cから突出して操作用ハンドル204と係合する上部ステム205を備え、下部ステム206の反係合側端部である当接部262が、ピストン211をダイヤフラム208側に押圧するようにしている。
【0078】
下部ステム206の当接部262は、中央貫通孔215aとの間でシール構造を構成することで直接作動流体導入軸211cの端面を押圧するように構成しても構わないが、本実施形態では、下部ステム206とピストン211との間に周面にシール構造を備えた押圧体214を配設するようにしている。この押圧体214は、作動流体導入軸211cの端面との接触端面周面に面取りを施している。周面に面取りを施すことで、連絡孔215dが導入される作動流体によって押圧体214を下部ステム206側に押し上げ作動流体をスムーズに内部流路211に導入することができる。また、周面の面取りに替え端面に中心を通過する溝を形成するようにしても構わない。
【0079】
そして、上部ステム205と下部ステム206との係合部は、いずれか一方の端面、本実施形態においては下部ステム206に、対となる円弧状の扇形当接部260、260を形成し、他方の端面、本実施形態においては上部ステム205に、扇形当接部260の円弧の弧長より弧長が長い略扇形の対となる欠落部250b、250bと扇形当接部260の平面状側面260a、260aと面接触する立設面250a、250aとを有する突出部250を形成している。扇形当接部260及び突出部250は共に
図17(b)に示すように扇形の場合、中心部は他方の通過を許容する所定の隙間を設ける必要がある。また、円弧状の扇形当接部260は、中心側も円弧状面260bとすることが好ましい(
図17(a1)参照)。欠落部250bの弧長と扇形当接部260の弧長の差が遊びとなり、本実施形態では20°となるようにしている。
【0080】
上部ステム205は、上述したように、一端に下部ステム206と係合する突出部250を形成するとともに、他端は後述する操作用ハンドル204の穴部242に挿通され、穴部242の天面との間にスプリング等の付勢手段によって下部ステム206側に付勢されている。また、この穴部242の平面部242aと当接する平面部を形成し、操作ハンドル204の回動を上部ステム205に伝達するようにしている。この平面部は、
図18に示すように、上部ステム205に直接形成してもいいが、
図14に示すように、
図16(c)に示す筒状の係合片255を、上部ステム205に挿通し止めネジで固定するようにしても良い。係合片255を使用することで操作用ハンドル204の回動位置を任意に調節して取り付けることができる。
【0081】
下部ステム206は、上述したように、一端に上部ステム205と係合する扇形当接部260を形成するとともに、他端にダイヤフラム押さえ207との間に介在する押圧体214と当接する当接部262が形成されている。上述したように中央貫通孔215aとの間でシール構造を構成することで、当接部262は直接作動流体導入軸211cの端面を押圧するように構成しても構わない。また、下部ステム206の周面には中間体215の係合円筒部215A内面に形成される雌ねじ部215eに螺合する雄ねじ部261が形成されており、上部ステム205が操作ハンドル204によって回動されたときネジピッチに応じた距離だけ上下に移動する。これによって、ダイヤフラム押さえ7をダイヤフラム8側に押圧し、ダイヤフラム208が弁座221と当接して流体の流れを阻止することができ、また、下部ステム206が上昇するとダイヤフラム押さえ207によるダイヤフラム208の押圧が解除され、ダイヤフラム208の自己復元力と流入路220A内の流体圧によってダイヤフラム8は弁座221から離間し、流体の流れを許容する。
【0082】
バルブボディ202は、集積用システムに配備されるバルブの例を示し、下面に流入路220A及び流出路220Bの開放端が形成される例を示すが、もちろんこれに限られるものではない。また、上面側はボンネット203を固定する凹所が形成され凹所内周面には、ボンネット203の外周面に形成される雄ねじ部230が螺合する雌ねじ部222が形成されている。
【0083】
中空のボンネット203は、一端側の外周面に雄ねじ部230を形成し、バルブボディ202の凹所に内周面に形成した雌ねじ部222に螺合する。そして、この一端側端部の外周縁部が、ダイヤフラム208の周縁部に当接する円環状のダイヤフラム固定部材232を押圧することでダイヤフラム208をバルブボディ202に固定するようにしている。なお、ダイヤフラム固定部材232を省略し、ボンネット203の端部で直接ダイヤフラム8を押圧固定するようにしても構わない。
【0084】
また、ボンネット203の他端側には、上述した中間体215の雄ねじ部215fが螺合する雌ねじ部233を形成し、ボンネット203と中間体215とは固定される。雄ねじ雌ねじの関係は逆であってもよく、図例ボンネット203の内周面に形成しているシリンダ212を中間体215の内周面に形成し、押圧部材213によってピストン211をダイヤフラム208から離間する方向に付勢するいわゆるノーマルオープン型に構成することもできる。
【0085】
<回転体>
回転体216は、周面に作動流体を導入する作動流体導入孔216aを形成し、中間体215と同軸となる中空の円筒体で、中間体215の係合円筒部215Aに嵌装される内径部216bを備えている。回転体216と中間体215との間には、作動流体導入孔16aから供給される作動流体が外部に漏洩しないように、シール部材、例えば、Oリングが軸方向上下に配設されている。図例中間体215の大径部に合わせた段付きの内径としているが特に形状を限定するものではなく、作動流体の外部への漏洩を抑制するシール部材を配設する空間を確保できれば段付きとする必要はない。
【0086】
回転体216の周面に形成する作動流体導入孔216aには、作動流体供給源と接続する配管を取り付ける構造、例えば、雌ねじ部やワンタッチ継手の雌部等が形成されている。
【0087】
係合円筒部215Aの先端は、回転体216から突出し、後述する操作用ハンドル204のガイド243を案内する円周方向溝290aと軸方向溝290b、290cを周面に形成したインジケータ209が固定されている。インジケータ209の天面には[OPEN][CLOSE]の文字が印字され、操作用ハンドルの窓部245からバルブ201の開閉状態が視認できるようになっている。そのため、インジケータ209は、ボンネット203に対して回動自在で、かつ、任意の位置で止めネジによって固定され、バルブ開閉時に印字された文字が正しく表示されるように構成されている。
【0088】
操作用ハンドル204は、内部に上部ステム205との係合部を形成した操作部240とボンネット203を覆う筒状部241から構成された樹脂製であるが、樹脂製に限るものではない。操作部240にはストッパを挿通する円筒状の挿通口244が形成されている。内部の係合部は、上部ステム205の一端部が挿通される係合用の穴部242で、一部に上部ステム205の円柱状の一端部に形成した平面部に対応した係合用の平面部242aを形成している。筒状部241の内周面には、ボンネット203に固定される円筒状のインジケータ9の溝部290に係合する突起状のガイド243が形成されている。このガイド243は、
図15(b)に示すように、上部に内側に向かって突出した係合面243aを形成し、その内側が面取りされ、更に下方に向かった傾斜面243bを形成している。
【0089】
操作用ハンドル204は、付勢手段210によって常時、操作用ハンドル204と上部ステム205との係合が解除される方向に付勢されているが、ガイド243が溝部290の円周方向溝290aの上面又は軸方向溝290bの上部天面に係合し、操作用ハンドル204と上部ステム205との係合が解除されることはない。また、操作用ハンドル204の適所(本実施例ではガイド243の上部)に窓部245が形成され、上述したインジケータ209の天面に記載された文字が外部から視認されるように構成されている。
【0090】
インジケータ209の溝部290は、
図16(b)に示すように、インジケータ209の下端側に円周方向溝290aと、円周方向溝290aの両端に上端側に向かって伸びる軸方向溝290b、290cとが形成されている。バルブが全閉又は全開状態のときにガイド243が軸方向に移動する軸方向溝は、全閉位置の軸方向溝290bと全開位置の軸方向溝290cとがあり、それぞれガイド243の上方への移動を規制する天面を備えている。この天面が、ガイド243の係合面243aと係合してストッパとなる。軸方向溝290b、290cとの間にある天面を有しない軸方向溝290dは、操作用ハンドル204を取り付ける際にガイド243が通過する軸方向溝でその幅は他の軸方向溝よりも狭くガイド243の幅より僅かに広い程度である。またその溝深さも浅く、取り付け時に操作用ハンドルを弾性変形させながら取り付けることで通常の操作では操作用ハンドル204が脱落することを防止するようにしている。
【0091】
バルブ201は、ボンネット203の内部にダイヤフラム押さえ207を配備し、ダイヤフラム208とダイヤフラム固定部材232とをバルブボディ202の弁座221上に載置した状態でボンネット203をバルブボディ202に螺合し固定する。その後、ピストン211、押圧部材213をボンネット203に取り付け、中間体215をボンネット203に螺合して固定する。中央貫通孔215aに押圧体214を配備し、下部ステム206を中間体215に螺合する。図例のハイブリッドバルブ201は、ノーマルクローズ型であるため、押圧部材213を配備して中間体215をボンネット203に固定した状態でダイヤフラム押さえ7はダイヤフラム208をシート221側に押圧した状態である。この状態で、ステムを全開位置から45°閉鎖位置に回動させた状態となるようにしておく。その後、インジケータ209及び係合片255の回動位置を調整し、回転体216を中間体215の係合円筒部215Aに嵌装し、係合円筒部215Aの端部近傍に形成した溝部に止め輪218を係合することによって抜け落ちを防止する。止め輪218と回転体216の端面との間にはワッシャ等を介在させる。特にこのワッシャの表面は摺動性が高い摩擦係数の低い材質を選択し、回転体216の回転をスムーズに行えるようにすることが好ましい。
【0092】
操作用ハンドル204の穴部242の平面部242aが上部ステム205の平面部(係合片255の平面部255a)に沿うように取り付ければ、操作用ハンドル204のガイド243がインジケータ209の軸方向溝のうち取付用の軸方向溝290dに沿って取り付けることができる。ガイド243が円周方向溝290aに到達すれば操作用ハンドル204を全閉又は全開位置に回動させ、ハイブリッドバルブ201の組み立てが完了する。
【0093】
上記構成におけるハイブリッドバルブ201は、回転体216は中間体215と同軸で作動流体導入孔216aは周上360°任意の位置に向けることができる。これによって、バルブを含む流体制御機器等が密集して構成される集積化ガスシステムに使用する場合であっても、無理なく作動流体供給源と配管接続を行うことができる。
【0094】
次に、本ハイブリッドバルブ201の手動操作時の回動動作について説明する。
【0095】
まず、上部ステム205と下部ステム206の係合部では、
図17(c1)よりも時計回りに10°回動した位置からスタート(バルブ全閉状態)する。まず、操作用ハンドル204を、付勢手段210に抗って押し込み、
図17(c1)から反時計回りに10°(当初状態から20°)回動させる間、上部ステム205は操作用ハンドル204に伴って回動するものの、下部ステム206に回転方向の力は加わることはなく、下部ステム206は回動することなく上下方向への移動もなされない。この遊びがあることによって、ガイド243が軸方向溝290b、290cから外れた状態であって、開閉作業ではないときに作業者の身体がぶつかったり、振動が生じたりすることによって操作用ハンドル204が若干回動しても下部ステム206は回動することなく、ダイヤフラム208と弁座221との位置関係に変化はなく、作業流体が予期せずに流れたり遮断されたりすることはない。
【0096】
次に、
図17(c2)の状態となったとき、上部ステム205の突出部250の立設面250aが、下部ステム206の扇形当接部260の平面状側面260aに当接する。このとき、上部ステム205と下部ステム206との係合は面接触での係合となり、
図17(c2)の状態よりも反時計回りに回動させたとき立設面250aが平面状側面260aから受ける反力は、線接触の場合と比べ面全体に分散され小さくなる。このため、操作用ハンドル204による操作はスムーズで、回動に遊びがあることを作業者に感じさせることがない。
【0097】
そして、
図17(c2)の状態から90°反時計回りに回動させることで、下部ステム6も90°回動する。これによって、中間体215の係合円筒部215A内面に形成される雌ねじ部215eに螺合している下部ステム206の雄ねじ部261が90°回動したピッチ分だけ上方に移動し当接部262がダイヤフラム押さえ207から離間し、ダイヤフラム208の自己復元力と流入路220A内の流体圧によってダイヤフラム208は弁座221から離間した全開状態となる。
【0098】
<実施形態6>
図18に、本発明の第6の実施形態のハイブリッドバルブ201Aを示す。このハイブリッドバルブ201Aは、ボンネット203の他端側(反ボディ側)と中間体215のボンネットとを螺合するねじ雄を実施形態5と反転させ、
図14に示すボンネット203の内周面に形成しているシリンダ212を中間体215の内周面に形成し、押圧部材213によってピストン211をダイヤフラム208から離間する方向に付勢するいわゆるノーマルオープン型のハイブリッドバルブである。中間体215の押圧手段収納空間215bは、ボンネット203の内部空間と共同して押圧部材213の収納空間を構成するとともに周面はシリンダ212を構成する。
【0099】
その他の構成は実施形態5と同様であり、説明を省略する。本実施形態の廃部濾度バルブ201Aは、実施形態5のハイブリッドバルブ201とは、ボンネット203、シリンダ211、中間体215及び押圧手段213以外は同じ部品で構成することができる。押圧手段213としてのスプリングは、押圧手段収納空間215bの軸方向長さを調整することで同じ部品とすることもできる。
【0100】
本発明(8)に係るハイブリッドバルブは、作動用流体供給源と接続する配管の接続作業が困難狭い空間であっても容易に接続することができるから、設置空間が狭い、例えば集積化ガスシステムに使用するハイブリッドバルブとして好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るバルブは、作動用流体の予期せぬ停止や流出を有効に防止することができるから、例えば、半導体製造装置に用いる集積型ガス供給装置用のバルブとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 バルブ
2 バルブボディ
20 流体流路
21 弁座
3 ボンネット
30 雄ねじ部
31 雌ねじ部
4 操作用ハンドル
42 係合穴部
42a 平面部
42b 平面部
5 係合部材
50 平面部
51 平面部
6 ステム
61 雄ねじ部
62 当接部
7 ダイヤフラム押さえ
8 ダイヤフラム
9 インジケータ
90 溝部
101 バルブ
102 バルブボディ
120 流体流路
121 弁座
103 ボンネット
130 雄ねじ部
131 雌ねじ部
104 操作用ハンドル
105 上部ステム
150 突出部
150a 立設面
106 下部ステム
160 扇形当接部
160a 平面状側面
161 雄ねじ部
162 当接部
107 ダイヤフラム押さえ
108 ダイヤフラム
109 インジケータ
190 溝部
201 バルブ
211 ピストン
212 シリンダ
213 押圧部材
214 押圧体
215 中間体
215A 係合円筒部
215a 中央貫通孔
216 回転体
216a 作動流体導入孔
202 バルブボディ
220 流体流路
221 弁座
203 ボンネット
230 雌ねじ部
204 操作用ハンドル
205 上部ステム
206 下部ステム
261 雄ねじ部
262 当接部
207 ダイヤフラム押さえ
208 ダイヤフラム