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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091704
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240628BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240628BHJP
   G05D 1/648 20240101ALI20240628BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240628BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20240628BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240628BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240628BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
B62D6/00
A01B69/00 303A
A01B69/00 303M
G05D1/648
G05D1/43
B60W40/10
B60W50/10
B60W60/00
B62D113:00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062715
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2021190996の分割
【原出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(57)【要約】
【課題】車体の操舵にともなうユーザーの負担の軽減が必ずしも十分に実現されていない。
【解決手段】 車体を自動走行させる制御を行う制御装置と、車体の車体位置情報を取得する車体位置情報取得装置と、を備え、制御装置は、車体を走行させるとき、ステアリング角度が目標ステアリング角度と一致するように制御し、ステアリングの手動操作が行われた場合において、自動走行はキャンセルされ、目標ステアリング角速度と実際のステアリング角速度との間の差であるステアリング角速度差が所定レベルを超える状態において、手動操作が行われたと判断されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(100)を自動走行させる制御を行う制御装置(500)と、
前記車体(100)の車体位置情報を取得する車体位置情報取得装置(520)と、
を備え、
前記制御装置(500)は、前記車体(100)を走行させるとき、前記ステアリング角度が目標ステアリング角度と一致するように制御し、
ステアリングの手動操作が行われた場合において、前記自動走行はキャンセルされ、
目標ステアリング角速度と実際のステアリング角速度との間の差であるステアリング角速度差が所定レベルを超える状態において、前記手動操作が行われたと判断されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記目標ステアリング角速度は、目標ステアリング角度と実際のステアリング角度の差であるステアリング角度差から決定しており、
前記目標ステアリング角度にステアリング角度が近づいたときに、目標ステアリング角速度を減速させることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記ステアリング角速度差が前記所定レベルを超える状態が所定時間にわたって継続した場合において、前記手動操作が行われたと判断されることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
車体(100)の向きの変化に関する車体角速度を検出する車体角速度検出装置(510)と、
前記制御装置(500)は、前記車体(100)を走行させるとき、前記車体角速度検出装置(510)により前記検出された車体角速度に基づいてステアリング角度を制御し、
前記車体角速度検出装置(510)は、前記車体位置情報取得装置(520)により前記取得された車体位置情報に基づいて前記車体角速度を検出し、
前記車体角速度が、減少することにより、旋回半径(r)が減少する内回り旋回が発生するとき、前記目標ステアリング角度は小さくなるように調節し、
前記内回り旋回が発生するとき、前記目標ステアリング角度が小さくなるように調節される代わりに、ステアリング切戻しタイミングが遅くなるように前記ステアリング角度は制御されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車体へ昇降可能に取付けられた苗植付け装置と、ステアリングハンドルを駆動するステアリングモーターと、ステアリングモーターにステアリングハンドルを駆動させることにより、車体の直進制御を行う制御装置と、を有する、田植え機などのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-24541号公報
【特許文献2】特開2002-335720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、さまざまな観点からユーザーの負担を軽減することが重要であると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような作業車両については、車体の操舵にともなうユーザーの負担の軽減が必ずしも十分に実現されていない。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、車体の操舵にともなうユーザーの負担を軽減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、車体(100)を自動走行させる制御を行う制御装置(500)と、
前記車体(100)の車体位置情報を取得する車体位置情報取得装置(520)と、
を備え、
前記制御装置(500)は、前記車体(100)を走行させるとき、前記ステアリング角度が目標ステアリング角度と一致するように制御し、
ステアリングの手動操作が行われた場合において、前記自動走行はキャンセルされ、
目標ステアリング角速度と実際のステアリング角速度との間の差であるステアリング角速度差が所定レベルを超える状態において、前記手動操作が行われたと判断されることを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、前記目標ステアリング角速度は、目標ステアリング角度と実際のステアリング角度の差であるステアリング角度差から決定しており、
前記目標ステアリング角度にステアリング角度が近づいたときに、目標ステアリング角速度を減速させることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、前記ステアリング角速度差が前記所定レベルを超える状態が所定時間にわたって継続した場合において、前記手動操作が行われたと判断されることを特徴とする第1または第2の本発明の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、車体(100)の向きの変化に関する車体角速度を検出する車体角速度検出装置(510)と、
前記制御装置(500)は、前記車体(100)を走行させるとき、前記車体角速度検出装置(510)により前記検出された車体角速度に基づいてステアリング角度を制御し、
前記車体角速度検出装置(510)は、前記車体位置情報取得装置(520)により前記取得された車体位置情報に基づいて前記車体角速度を検出し、
前記車体角速度が、減少することにより、旋回半径(r)が減少する内回り旋回が発生するとき、前記目標ステアリング角度は小さくなるように調節し、
前記内回り旋回が発生するとき、前記目標ステアリング角度が小さくなるように調節される代わりに、ステアリング切戻しタイミングが遅くなるように前記ステアリング角度は制御されることを特徴とする第1から第3の何れか1項の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明により、車体の旋回にともなうユーザーの負担を軽減することが可能である。
【0012】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、作業車両の制御に関する正確性を向上することが可能である。
【0013】
第3の本発明により、第1または第2の本発明の効果に加えて、作業車両の制御に関する利便性を向上することが可能である。
【0014】
第4の本発明により、第1から第3の何れか1項の本発明の効果に加えて、作業車両の仕様に関する融通性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
図2】本発明における実施の形態の田植え機のブロック図
図3】本発明における実施の形態の田植え機の平面図
図4】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その一)
図5】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その二)
図6】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その三)
図7】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その四)図
図8】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その五)
図9】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その六)
図10】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その七)
図11】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その八)
図12】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その九)
図13】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その十)
図14】本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その十一)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態、および本発明に関連した発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0018】
(1)はじめに、図1から3を参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0019】
ここに、図1は本発明における実施の形態の田植え機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の田植え機のブロック図であり、図3は本発明における実施の形態の田植え機の平面図である。
【0020】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、制御装置500などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0021】
本実施の形態の田植え機は、車体100の操縦装置230における手動操縦操作または自動操縦操作のための制御装置500の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で走行しながら、整地ローター部材261および整地フロート部材262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け具241および苗載せ台242を有する苗植付け装置240により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0022】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置300および副変速装置400などを介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0023】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の例である。
【0024】
車体100を旋回させる旋回制御を行う制御装置500は、車体100を旋回させるとき、車体100の向きの変化に関する車体角速度を検出する車体角速度検出装置510により検出された車体角速度に基づいてステアリング角度を制御する。
【0025】
(1A)車体角速度に基づいたステアリング角度の制御などについて具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0026】
車体100の旋回が旋回半径rの旋回として旋回中心Oの周りで行われるとき、旋回中心Oを基準とした旋回角度θの変化は車体100の向きの変化を表す。望ましくは、このような車体100の旋回において、車体角速度に基づいてステアリング角度を制御することにより、目標線λを基準としたずれδはゼロになる。
【0027】
たとえば、旋回アシスト機能の改良を目指して、スリップが発生したことが旋回中の車体角速度から判断され、ステアリング切戻し制御が行われる。
【0028】
旋回開始時のステアリング角速度は、車速も考慮し、変動させられてもよい。ステアリング回動操作が完了するまでに変化する車体方位は車速に依存してしばしば異なるが、ステアリング角速度をうまく調節することにより、ステアリング回動操作が完了するまでに変化する車体方位は安定させられる。
【0029】
具体的には、車速および車体角速度がスリップにともなって減少し、旋回半径rが減少する内回り旋回が発生するとき、ステアリング切戻しタイミングが遅くなるようにステアリング角度を制御することにより、旋回半径rを補償することがしばしば望ましい。ステアリング切戻しタイミングが遅くなるようにステアリング角度を制御する代わりに、旋回中のステアリング規定位置により与えられる目標旋回ステアリング角度が、小さくなるように調節されてもよい。旋回スタート車速が小さいときステアリング角速度は小さくなるように調節されてもよく、旋回スタート車速が大きいときステアリング角速度は大きくなるように調節されてもよい。
【0030】
車体角速度検出装置510は、車体100の車体位置情報を取得する車体位置情報取得装置520により取得された車体位置情報に基づいて車体角速度を検出する。
【0031】
車速が主変速装置300のHSTレバーのレバー操作位置を利用して検出され、検出された車速も考慮し、ステアリング角速度が変更されてもよい。
【0032】
制御装置500は、車体100を旋回させるとき、ステアリング角度があらかじめ定められた目標旋回ステアリング角度と一致するように、検出された車体角速度とあらかじめ定められた理想旋回車体角速度との間の比較に基づいてステアリング角度を制御する。
【0033】
目標旋回ステアリング角度は、調節可能である。
【0034】
たとえば、目標旋回ステアリング角度を与える旋回中のステアリング規定位置は、操縦装置230における液晶モニターのダイヤルにより任意に設定可能である。ダイヤル回動操作により、オペレーターは、旋回幅とも呼ばれる旋回半径rを任意に調節することができる。
【0035】
目標旋回ステアリング角度は、車体100のホイールベースおよびトレッドの内の少なくとも一方に応じて調節可能である。
【0036】
たとえば、目標旋回ステアリング角度を与える旋回中のステアリング規定位置は車体100のホイールベースおよびトレッドの両方に応じて変更され、派生型式対応が実現される。
【0037】
ステアリング角度、車体方位、車体角速度および車速、ならびに液晶モニターにおいて設定可能である値に応じて、旋回中のステアリング目標値としての目標旋回ステアリング角度などを調節する思想は、旋回アシスト機能の改良における骨子であるとも言える。このような調節は、旋回前にあらかじめ行われてもよいし、旋回中にリアルタイムで行われてもよい。
【0038】
旋回中の目標旋回ステアリング角度の決定のために利用される計算式が車体100のホイールベースおよびトレッドに応じて変更されることにより、派生型式対応が実現される。
【0039】
目標旋回ステアリング角度は、苗を植付ける苗植付け装置240の苗植付け条数に応じて調節可能である。
【0040】
目標旋回ステアリング角度の決定のために利用される計算式が車体100の苗植付け条数に応じて変更されることにより、苗植付け条数が7または6である型式に適した派生型式対応が実現される。
【0041】
(1B)車体角速度に基づいたステアリング角度の制御などについてより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0042】
上述された理想旋回車体角速度は、スリップの発生などがないと仮定される理想的なモデルにおいて、ステアリング角度および車速が与えられれば、理想的な旋回中の車体角速度として理論的に予測される。
【0043】
予測された車体角速度と実測された車体角速度との間の差は車体100の疑似的なスリップとして判断され、このような差がより大きいほどスリップはより多く発生していると想定される。
【0044】
目標旋回ステアリング角度が予測された車体角速度と実測された車体角速度との間の差に応じて調節されることにより、ステアリングはスリップの発生にともなって制御される。一定値である目標旋回ステアリング角度そのものが調節されてもよいし、たとえば、ステアリング切戻しタイミングが遅くなるように、ステアリング角度が制御されてもよい。
【0045】
旋回中のステアリング規定位置からの目標旋回ステアリング角度の調節としては、ステアリング旋回半径とも呼ばれる旋回半径rが増加するように、目標旋回ステアリング角度が減少させられる向きへの調節のみが許容されてもよい。これは、スリップ発生にともなう内回り旋回が発生して車体100が旋回内側に入込んだとき、旋回半径rが大きくなるようにステアリング角度が制御されることがしばしば望ましいためである。
【0046】
目標旋回ステアリング角度の調節量は、液晶モニターの旋回アシスト調節画面などを利用することにより設定される、目標旋回ステアリング角度に応じて増加されてもよい。すなわち、設定された目標旋回ステアリング角度がより大きいほど、ステアリングハンドル戻し量のようなステアリング操作量がより大きくなるように、目標旋回ステアリング角度の調節量はより大きくてもよい。
【0047】
このような設定された目標旋回ステアリング角度の値が最小値である場合において、目標旋回ステアリング角度の調節量は、ゼロであってもよい。たとえば、液晶モニターの旋回アシスト調節画面などを利用することにより設定された目標旋回ステアリング角度が「-10(狭く)」である場合において、車体角速度に基づいたステアリング角度の制御は行われず、目標旋回ステアリング角度は一定値であるように維持される。
【0048】
ステアリング状態が旋回終了のために直進状態に戻されるとき、ステアリング戻し開始タイミングが車体角速度に応じて調節されてもよい。
【0049】
ステアリング戻し開始タイミングの決定のために利用される計算式が車体100のホイールベースおよびトレッドに応じて変更されることにより、派生型式対応が実現される。
【0050】
ステアリング戻し開始タイミングの決定のために利用される計算式が車体100の苗植付け条数に応じて変更されることにより、苗植付け条数が7または6である型式に適した派生型式対応が実現される。
【0051】
ステアリング戻し開始タイミングは、液晶モニターの旋回アシスト調節画面などを利用することにより設定される値に応じて調節されてもよい。これは、苗植付け条数が7または6である型式においては、旋回が終了されるときの目標方位ラインが苗植付けラインと平行にならず、車体100が旋回内側に入込むことがあるためである。
【0052】
(1C)車体角速度に基づいたステアリング角度の制御などについてさらにより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0053】
旋回アシスト中にステアリングが手動で操作された場合において、旋回アシストは、キャンセルされる。
【0054】
旋回中のステアリング角速度の実測値は、監視される。旋回中のステアリング規定位置からのずれを表す、ステアリング角度の規定角度からの値のずれが何度であるのかを単純に利用する判断方法も考えられるが、ステアリング角度が、ステアリングモーター動作によってのみならず、手動操作によっても変化していることを見出すために、ステアリング角速度の実測値を観測することにより、ステアリングモーターが動作している状態においても手動操作を認識することができる。
【0055】
ステアリング角速度の目標値である目標旋回ステアリング角速度と、ステアリング角速度の実測値である、実測されたステアリング角速度と、の間の差が所定レベルを超える状態が所定時間にわたって継続した場合において、手動操作が行われたと判断される。
【0056】
目標旋回ステアリング角速度と実測されたステアリング角速度との間のこのような差が、たとえば、目標旋回ステアリング角速度の値の最大値より大きい場合において、手動操作が行われたと判断されてもよい。モーター動作スピード最大値を利用する判断方法も考えられるが、旋回途中での車輪のスタックのためにステアリングを行うことができない場合においても、モーター動作スピードの値はモーター動作スピード最大値へ到達しないので、旋回アシストがしばしば意図されずキャンセルされる。旋回アシストのこのような意図されないキャンセルを回避するために、たとえば、モーター動作スピード最大値を超えるステアリング操作を観測することにより、手動操作を認識することができる。
【0057】
(2)つぎに、図2を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0058】
制御装置500は、選択可能に設けられた手動制御モードおよび自動制御モードに対応している。
【0059】
このようなモード選択は、たとえば、車体100の遠隔的な操作を行うリモートコントローラー530を利用して行われる。リモートコントローラー530と制御装置500などとの間の確実な無線通信が保証されるように、リモートコントローラー530が周辺への電波の発信を少なくとも定期的に行うことが望ましい。
【0060】
しかしながら、省エネルギー性を目指すリモートコントローラー530の省電力プログラムの推進のために、安全性を考慮しながら、リモートコントローラー530から周辺へのこのような電波の発信は抑制されることもある。
【0061】
車体100の遠隔的な操作を行うリモートコントローラー530から周辺への電波の発信について具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0062】
手動制御モードが選択されていても、車体100の遠隔的な操作を行うリモートコントローラー530から周辺への電波の発信は所定の条件が満足される場合において行われる。
【0063】
これは、緊急の無線通信などが要求される可能性は手動制御モードの選択にともなって低くなるけれども、リモートコントローラー530から周辺への電波の発信は、必要性があれば、行われてもよいためである。
【0064】
自動制御モードが選択されていても、車体100の遠隔的な操作を行うリモートコントローラー530から周辺への電波の発信は所定の条件が満足される場合において行われない。
【0065】
これは、緊急の無線通信などが要求される可能性は自動制御モードの選択にともなって高くなるけれども、リモートコントローラー530から周辺への電波の発信は、必要性がなければ、行われなくてもよいためである。
【0066】
通常の田植え機の操作が可能な「手動走行モード」が選択されているとき、リモートコントローラー530の無操作時は電波を発信しない制御が行われる。しかしながら、リモートコントローラー530で田植え機の設定を変更する操作のような操作が行われた場合において、1周期分の電波を発信する制御が行われ、変更されたデータのブロックのみ電波を発信する制御が行われる。
【0067】
通常の田植え機の操作が可能な「手動走行モード」が選択されているとき、田植え機の無操作時は電波を発信しない制御が行われる。しかしながら、田植え機でリモートコントローラー530へ送信するデータを変更する操作のような操作が行われた場合において、1周期分の電波を発信する制御が行われ、変更されたデータのブロックのみ電波を発信する制御が行われる。
【0068】
通常の田植え機の操作が可能な「遠隔操作モード」が選択されているとき、リモートコントローラー530の無操作時は電波を発信しない制御が行われる。しかしながら、リモートコントローラー530で田植え機の設定を変更する操作のような操作が行われた場合において、1周期分の電波を発信する制御が行われ、変更されたデータのブロックのみ電波を発信する制御が行われる。
【0069】
通常の田植え機の操作が可能な「遠隔操作モード」が選択されているとき、田植え機の無操作時は電波を発信しない制御が行われる。しかしながら、田植え機でリモートコントローラー530へ送信するデータを変更する操作のような操作が行われた場合において、1周期分の電波を発信する制御が行われ、変更されたデータのブロックのみ電波を発信する制御が行われる。
【0070】
通常の田植え機の操作が可能な「自動走行モード」が選択されているとき、あぜよせ操作エリアではリモートコントローラー530の無操作時は電波を発信しない制御が行われる。しかしながら、リモートコントローラー530で田植え機の設定を変更する操作のような操作または田植え機を動かす操作が行われた場合において、1周期分の電波を発信する制御が行われ、リモートコントローラー530で田植え機の設定を変更する操作のような操作または田植え機を動かす操作が行われた場合において、変更されたデータのブロックのみ電波を発信する制御が行われる。
【0071】
(3)つぎに、図4から14を参照しながら、本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0072】
ここに、図4から14は、本発明に関連した発明における実施の形態の田植え機のロボット田植機簡易操作ガイドの説明図(その一から十一)である。
【0073】
[A]装置の名称とはたらき
●リモコン(図4参照)
液晶画面の表示で田植機の状態を確認できる。走行モードの変更や自動走行の開始・停止などの操作を行う。田植機から降りた状態で遠隔操作や機能設定の変更をすることもできる。
【0074】
●ロボットモードスイッチ(図5参照)
ロボットモードのON・OFFを切り替える。
【0075】
リモコンで操作を行う際は必ずこのスイッチをONにする。OFFの状態ではリモコンからの操作を全て拒否する。
【0076】
●3色灯(図6参照)
自動走行の状態を表示する。
【0077】
●GNSSアンテナ(図7参照)
GNSS受信感度と作業精度は図の通りである。
【0078】
[B-1]ロボット田植機での田植え作業の流れ
ロボット田植機での田植え作業は、(丸付き数字1)ティーチング(手動植付)、(丸付き数字2)自動走行(自動植付)、(丸付き数字3)枕地作業(手動植付)の順で行う。簡易ガイドでは、基本的な圃場形状における操作要領を紹介する。
【0079】
[1]準備(図8参照)
ティーチングを開始できる状態にする。
【0080】
(丸付き数字1)苗・肥料を補給し、植付深さ、苗取量、油圧感度・ロータ高さを適切な値に設定する。(「リモコン・モニタパネル簡易操作ガイド」参照)
(丸付き数字2)ロボットモードスイッチをONにする。
【0081】
(丸付き数字3)リモコンの電源をいれる。
【0082】
(丸付き数字4)GNSS受信レベルが「2」以上であることを確認する。
【0083】
(丸付き数字5)2m直進で走行する。方位角を確定させる。※ほ場に入る前に行うと、ほ場を荒らすことなくティーチングを開始できる。
【0084】
[2]ティーチング(図9参照)
ほ場の外周を手動で植付して、自動走行を開始できる状態にする。
【0085】
(丸付き数字1)ほ場に入り、リモコンの走行モードボタンを押して、ティーチングモードに切り替える。
【0086】
(丸付き数字2)植付部を下げる、または植付「入り」にすると開始点を取得する。開始点を間違えて取得した場合は、Fボタンを長押しして開始点を消去し、再度取得する。
【0087】
(丸付き数字3)外周3辺を手動で植付走行して、自動走行する範囲を機械に認識させる。※苗・資材補給を行う1辺を除く外周の3辺(2辺以上)を走行する。
【0088】
(丸付き数字4)外周3辺の植付が完了したら、リモコンの走行モードボタンを押して、自動走行モードに切り替える。以上でティーチングが完了し、自動走行経路が生成される。
【0089】
[B-2]ロボット田植機での田植え作業の流れ
[3]自動走行(図10参照)
自動で植付走行をする。必要に応じて苗と肥料の補給をする。
【0090】
[復路行程](図11参照)
(丸付き数字1)苗・肥料を補給した後、自動走行モードであることを確認し、リモコンの(丸付きアルファベットF)+開始ボタンを長押しして自動走行を開始する。
【0091】
(丸付き数字2)自動走行で往復した後、あぜの3m手前で田植機が一時停止する。前進ボタンを押してあぜ際まで走行させる。
【0092】
(丸付き数字3)あぜよせ後、必要に応じて苗・肥料の補給を行う。
【0093】
(丸付き数字4)(丸付きアルファベットF)+開始ボタン長押しして自動走行を再開する。
【0094】
(丸付き数字5)(丸付き数字1)~(丸付き数字4)を繰り返します。※リモコンに「条数調整」と表示されている時は、植え幅を調整するため、自動的に条止めや空走行を行っている。
【0095】
[内周行程]
(丸付き数字6)必要に応じて苗取量、植付深さ、ロータ高さ、油圧感度を調整する。
(「リモコン・モニタパネル簡易操作ガイド」参照)
(丸付き数字7)(丸付きアルファベットF)+開始ボタンを長押しして、内周工程の自動走行を開始する。
【0096】
(丸付き数字8)内周工程が完了すると、あぜから3m手前で自動走行が終了する。あぜよせを行い、必要に応じて苗・肥料補給を行う。
【0097】
[4]枕地作業
苗補給した外周の辺を手動で植付して、田植え作業を完了させる。
【0098】
(丸付き数字1)リモコンの走行モードボタンを押して、手動走行モードに切り替える。※主変速レバー操作でも手動モードに切り替えることができる。
【0099】
(丸付き数字2)枕地を手動で植付して田植え作業を完了する。
【0100】
[C]ほ場形状を考慮したティーチング方法
往復工程は最後に走行した辺を基準に作成されるため、ティーチングの方向に留意する必要がある。
【0101】
[1]台形ほ場(図12参照)
図のような台形ほ場を左周りにティーチングした場合、往復工程は斜めに作成される。右回りにティーチングすると、苗補給側と直角になる往復工程を作成することができる。
【0102】
[2]サブ経路が作成されるほ場(図13参照)
図のようなティーチングを行うとサブ経路が作成される。サブ経路は往復工程では走行しないため、手動走行モードまたは遠隔操作モードでサブ経路開始位置に移動してから自動走行モードに切り替える必要がある。
【0103】
以下の対応策により、サブ経路の作成を防ぎ、連続作業が可能になる。
【0104】
(1)外周行程で囲む部分が出ないよう、ティーチングの方向を変える。
【0105】
(2)先に張り出し部分で植付部を下げ、植付ボタン切のまま空走認識でティーチングを行う。
【0106】
[3]苗補給側に張り出し形状のあるほ場(図14参照)
張り出し形状のあるほ場で通常通りティーチングを行うと田植機が障害物に衝突する恐れがある。初めに苗補給の辺を植付ボタン切のまま空走認識でティーチングすることで、張り出し形状を認識させることができる。
【0107】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0108】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0109】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0110】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0111】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0112】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0113】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0114】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明における作業車両は、車体の旋回にともなうユーザーの負担を軽減することができ、田植え機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0116】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操縦装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
242 苗載せ台
250 施肥装置
260 整地装置
261 整地ローター部材
262 整地フロート部材
300 主変速装置
400 副変速装置
500 制御装置
510 車体角速度検出装置
520 車体位置情報取得装置
530 リモートコントローラー
λ 目標線
O 旋回中心
r 旋回半径
θ 旋回角度
δ ずれ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14