(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009172
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】勃起不全治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/53 20060101AFI20240112BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240112BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240112BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K31/53
A61K47/38
A61P15/10
A61K9/20
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197785
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2019044428の分割
【原出願日】2019-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】首藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】塩田 龍吾
(72)【発明者】
【氏名】片山 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康伸
(57)【要約】
【課題】本発明は、安定性に優れたバルデナフィル含有勃起不全治療用の医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物は、バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分、並びに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分、並びに、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項2】
有効成分がバルデナフィル塩酸塩である請求項1に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項3】
有効成分がバルデナフィル塩酸塩水和物である請求項1に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項4】
更に着色剤を含む請求項1~3のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項5】
着色剤が黄色着色剤である請求項4に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項6】
架橋ポリビニルピロリドンを含まない請求項1~5のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項7】
錠剤である請求項1~6のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項8】
コーティング層を有さない請求項1~7のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
【請求項9】
バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分を含む勃起不全治療用医薬組成物に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合することを特徴とする前記有効成分の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れた勃起不全治療用の医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
cGMPホスホジエステラーゼ阻害剤であるバルデナフィル(化学名:1-{[3-(3,4-ジヒドロ-5-メチル-4-オキソ-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-2-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル}-4-エチルピペラジン)は、勃起不全治療剤の有効成分である。
バルデナフィルには種々の形態が知られているが、バルデナフィル塩酸塩の三水和物を用いることにより均一で再現性のある形で固体薬剤が得られることから、特許文献1に記載の発明では、バルデナフィル塩酸塩製剤の製造途中にバルデナフィル塩酸塩を特定の相対湿度を有する湿ったガスと接触させることにより三水和物に変換している。
また、特許文献2には、口中で迅速に崩壊するバルデナフィル塩酸塩三水和物を含む製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5173113号公報
【特許文献2】特許第5122984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、バルデナフィル塩酸塩を含む勃起不全治療用製剤は既に開発されている。
しかし本発明者らは、バルデナフィルが熱や光などにより分解され易いものであり、決して安定な化合物ではないことを実験的に見出している。
そこで本発明は、安定性に優れたバルデナフィル含有勃起不全治療用の医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特許文献1,2に記載のバルデナフィルを含む勃起不全治療用製剤は、崩壊剤として架橋ポリビニルピロリドンを含むが、これがバルデナフィルの安定性を損なう原因になることから、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いることにより医薬組成物中におけるバルデナフィルの安定性が高められることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
【0006】
[1] バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分、並びに、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする勃起不全治療用医薬組成物。
[2] 有効成分がバルデナフィル塩酸塩である上記[1]に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[3] 有効成分がバルデナフィル塩酸塩水和物である上記[1]に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[4] 更に着色剤を含む上記[1]~[3]のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[5] 着色剤が黄色着色剤である上記[4]に記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[6] 架橋ポリビニルピロリドンを含まない上記[1]~[5]のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[7] 錠剤である上記[1]~[6]のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[8] コーティング層を有さない上記[1]~[7]のいずれかに記載の勃起不全治療用医薬組成物。
[9] バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分を含む勃起不全治療用医薬組成物に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合することを特徴とする前記有効成分の安定化方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物は、有効成分であるバルデナフィルの安定性が高い。よって本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物は、バルデナフィルを含む勃起不全治療用医薬組成物の一つの形態として、産業上非常に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物は、バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物からなる群より選択される有効成分、並びに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0009】
バルデナフィルは、化学名が1-{[3-(3,4-ジヒドロ-5-メチル-4-オキソ-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-2-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル}-4-エチルピペラジンであり、以下の化学構造を有するcGMPホスホジエステラーゼ阻害剤である。バルデナフィルは、PDE5(phosphodiesterase 5)を選択的に阻害することによりcGMP量を増加させ、陰茎を勃起させる作用を有する。
【0010】
【0011】
バルデナフィルは、塩の形態で医薬組成物に配合されていてもよい。バルデナフィルと塩を形成する酸は、薬学上許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸などの無機酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、グルタミン酸やアスパラギン酸などの酸性アミノ酸などの有機酸が挙げられる。塩としては、塩酸塩とメタンスルホン酸塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。
【0012】
バルデナフィルおよびその塩は、水和物の形態で医薬組成物に配合されていてもよい。水和物としては一水和物や三水和物が挙げられ、三水和物が好ましい。以下、バルデナフィル、その塩、その水和物、およびその塩の水和物を「バルデナフィル等」という。
【0013】
原料であるバルデナフィル等の大きさは、適宜調整すればよい。例えば平均粒子径を5μm以上、20μmとすることができる。よって、バルデナフィル等は、事前に粉砕することが好ましい。なお、本開示において平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定するものとする。
【0014】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物におけるバルデナフィル等の量や割合は、バルデナフィルがその作用効果を発揮可能な範囲で適宜調整すればよい。例えば錠剤の場合、1錠あたりのバルデナフィル等の量としては、1mg以上、30mg以下とすることができ、5mg以上、25mg以下が好ましい。また、医薬組成物におけるバルデナフィル等の割合としては、1質量%以上、25質量%以下が好ましく、5質量%以上、15質量%以下がより好ましい。
【0015】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、グルコース環の水酸基の一部がヒドロキシプロポキシ基で置換されたセルロース誘導体をいう。セルロースを構成するグルコース環には3個の水酸基が存在し、当該グルコース環あたりのヒドロキシプロポキシ基の数をモル置換度(MS)といい、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのモル置換度は0.2以上、0.4以下である。
【0016】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物において低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、崩壊剤として配合される。崩壊剤は、水分を取り込んで製剤の崩壊を促進させ、有効成分が放出され易くするために配合される成分である。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、水に不溶であるが水により膨潤するため、水の存在により医薬組成物の崩壊を促進することができる。本発明においては、有効成分としてバルデナフィル等を含む勃起不全治療用医薬組成物に、バルデナフィル等の安定性を損なわない崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合している。
【0017】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの大きさは、適宜調整すればよい。例えば平均粒子径を10μm以上、60μm以下とすることができる。また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、粉末状であっても繊維状であってもよい。
【0018】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物における崩壊剤の量や割合は、組成物が服用後に良好に崩壊する範囲で適宜調整すればよい。例えば1錠あたりの崩壊剤の量としては、1mg以上、50mg以下とすることができる。当該量としては、30mg以下または20mg以下が好ましく、10mg以下がより好ましい。また、医薬組成物における崩壊剤の割合としては、1質量%以上、30質量%以下が好ましい。当該割合としては、20質量%以下または10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0019】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含んでいればよく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤と組み合わせてもよいが、架橋ポリビニルピロリドンを含まないものが好ましい。本発明者らの実験的知見によれば、架橋ポリビニルピロリドンはバルデナフィル等の安定化を損なう。架橋ポリビニルピロリドンは、クロスポビドンと略される場合がある。また、本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物としては、不可避的不純物や不可避的混入物以外、崩壊剤としては低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのみを含むものが好ましい。
【0020】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物としては、着色剤を含むものが好ましい。バルデナフィル等の色は白色から微黄色または微褐色とされているが、この微黄色と微褐色は、バルデナフィルの分解物などに起因するとも考えられる。そこで、組成物に着色剤を配合することにより、光によるバルデナフィルへの影響を低減し、且つバルデナフィルの分解に起因する組成物の着色を目立たなくすることが好ましい。
【0021】
着色剤としては、バルデナフィル等の色から、黄色のものが好ましい。黄色着色剤としては、薬学上許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色三二酸化鉄を挙げることができ、黄色三二酸化鉄が好ましい。
【0022】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物における着色剤の量や割合は、適宜調整すればよい。例えば錠剤の場合、1錠あたりの着色剤の量としては、0.01mg以上、1mg以下とすることができ、0.05mg以上、0.5mg以下が好ましい。また、医薬組成物における着色剤の割合としては、0.05質量%以上、0.5質量%以下が好ましい。
【0023】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形製剤を挙げることができ、錠剤がより好ましい。散剤は粉末状の製剤であり、顆粒剤は散剤よりも粒が大きく、大きさも揃っている。
【0024】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物には、その剤形に応じて、一般的に配合される成分を配合してもよい。例えば固形製剤の場合、乳糖、白糖、マンニトール、結晶セルロース、でんぷんなどの賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの結合剤;軽質無水ケイ酸などの流動化剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、水素添加植物油などの滑沢剤などを配合してもよい。なお、乳糖、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などは、崩壊剤として錠剤に配合されることもあるが一般的ではなく、本発明においてこれらは賦形剤として比較的多く配合する。
【0025】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物における賦形剤の量としては、例えば錠剤の場合、1錠あたり50mg以上、150mg以下とすることができ、医薬組成物における賦形剤の割合としては、50質量%以上、90質量%以下が好ましい。また、本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物が錠剤の場合、1錠あたりの滑沢剤の量としては、例えば、0.5mg以上、5mg以下とすることができ、1錠あたりの滑沢剤の割合としては、0.5質量%以上、5質量%以下が好ましい。
【0026】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物は、常法により製造することができる。例えば錠剤の場合、構成成分を混合した後に、打錠機により打錠すればよい。錠剤を着色する場合には、例えば配合量が比較的多い1以上の賦形剤に着色剤の溶液または分散液を噴霧した後に乾燥することにより、事前に着色しておいてもよい。また、成分の混合中、篩過などにより所望の粒径に随時整粒してもよい。
【0027】
本発明に係る勃起不全治療用医薬組成物の大きさは、バルデナフィル等の配合量などに応じて適宜調整すればよい。例えば錠剤の場合、形状は経口で服用し易い円盤形やレンズ形などとし、その直径を3mm以上、10mm以下、最大厚さを2mm以上、5mm以下とすることができる。
【0028】
本発明に係る勃起不全治療用錠剤は、コーティング層を有さないことが好ましい。コーティング層の形成には、コーティング剤溶液の素錠への噴霧と乾燥という工程が必要であるが、本発明に係る勃起不全治療用錠剤はコーティング層を有さなくても安定性が高いため、コーティング層を設ける必要が無い。
【実施例0029】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0030】
実施例1
表1に示す組成で、バルデナフィル塩酸塩水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および軽質無水ケイ酸をポリエチレン袋に入れ、十分混合した。次に、ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠用粉末を得た。前記打錠用粉末をロータリー式打錠機により打錠し、直径8mmの錠剤を得た。なお、表1に示す各成分の量は、錠剤1錠あたりの量である。
【0031】
比較例1
表1に示す組成で、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにクロスポビドンを用いた以外は実施例1と同様にして、直径8mmの錠剤を得た。
【0032】
【0033】
試験例1: 安定性試験
実施例1および比較例1で製造した錠剤を密閉容器に入れ、70℃で貯蔵した。試験開始から3日目、6日目および9日目に試料錠剤を取得し、以下の条件で有効成分であるバルデナフィルの類縁物質量を測定した。また、試験開始前の錠剤についても同様に測定した。
各試料錠剤を水:アセトニトリル=4:1(容量比)の混合溶媒(80mL)に懸濁し、メンブランフィルターで濾過して試料溶液を得、以下の条件の液体クロマトグラフィーにより分析した。
カラム: 「XTerra RP18」Waters社製,3.0mm×25cm,5μm
カラム温度: 約40℃
検出器: 紫外吸光光度計
測定波長: 242nm
移動相: リン酸二水素カリウム1.3gと無水リン酸水素二ナトリウム0.56gを水に溶解して1000mLとした溶液とアセトニトリルの混合比を変えて濃度勾配制御した。
得られたクロマトグラムにおける各ピーク面積を自動積分法により算出し、面積百分率法によりバルデナフィル類縁物質の割合を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
【0035】
表2に示される結果の通り、崩壊剤としてクロスポビドンを含む比較例1の錠剤では、有効成分であるバルデナフィルが経時的に分解して特にN-オキシド体が増えており、バルデナフィル類縁物質の総量も経時的に増えている。
それに対して崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む実施例1の錠剤では、N-オキシド体を含めバルデナフィル類縁物質の生成量が明らかに少なく、バルデナフィル類縁物質の総量が比較例1の錠剤に比べて顕著に抑制されている。
以上の結果より、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いるのみで、バルデナフィル錠剤の安定性が顕著に高まることが示された。
【0036】
実施例2
表3に示す組成で、バルデナフィル塩酸塩水和物、結晶セルロース、乳糖水和物、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、および軽質無水ケイ酸をコンテナミキサーに投入し、十分混合した。次に、ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠用粉末を得た。前記打錠用粉末をロータリー式打錠機により打錠し、直径8mmの錠剤を得た。なお、表3に示す各成分の量は、錠剤1錠あたりの量である。
【0037】
実施例3
乳糖水和物を流動層造粒機に投入し、黄色三二酸化鉄を精製水に分散した分散液をスプレーした後、乾燥および整粒し、着色乳糖整粒末を得た。なお、表3に示す通り、乳糖水和物65.00mgに対する黄色三二酸化鉄の量の割合は0.17mgである。
白色の乳糖水和物の代わりに上記の着色乳糖整粒末を用いた以外は実施例2と同様にして、直径8mmの錠剤を得た。
【0038】
【0039】
試験例2: 光安定性試験
実施例2,3の錠剤に対して、D2ランプまたはキセノンランプを用い、120万Luxの光を照射した。次いで、試験例1と同様の条件でバルデナフィル類縁物質の割合を求めた。なお、D2ランプは重水素ランプともいわれ、紫外光から可視光を発し、キセノンランプも紫外光から可視光を発するが、その光は自然昼光に極めて近いものである。結果を表4に示す。
【0040】
【0041】
表4に示す結果の通り、錠剤を着色することにより、紫外光などエネルギーの高い光に対してもバルデナフィルの安定性がより一層高まることが示された。
【0042】
実施例4
組成を表5に示すものに変更すること以外、実施例3と同様にして錠剤を得た。但し、20mg錠の直径は8mmであるが、10mg錠の直径は6.5mmとした。
【0043】