(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091783
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】農業ハウス
(51)【国際特許分類】
F24S 10/70 20180101AFI20240628BHJP
F24S 30/40 20180101ALI20240628BHJP
F24S 70/20 20180101ALI20240628BHJP
F24S 70/60 20180101ALI20240628BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20240628BHJP
F24S 20/00 20180101ALN20240628BHJP
【FI】
F24S10/70
F24S30/40
F24S70/20
F24S70/60
A01G9/24 M
F24S20/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066694
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2022073721の分割
【原出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2021132883
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】上松 康二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 明男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓記
(57)【要約】
【課題】構造が簡素化された集熱部材および農業ハウスを提供する。
【解決手段】農業ハウス70が、1又は複数の集熱部材1を内部に備える。集熱部材1は、太陽光が照射される受光面11cを形成する集熱部と、受光面11cとは反対側の下面12cと、第1端部15から第2端部16に向かって延在する中空部20とを有する本体部10と、第1端部15と第2端部16とにそれぞれ配置され、中空部20を塞ぐ一対の蓋部50A,50Bと、一対の蓋部50A,50Bのいずれかに設けられ、熱媒が中空部20に流入する流入口52と、一対の蓋部50A,50Bのいずれかに設けられ、熱媒が中空部20から流出する流出口53とを備える。少なくとも本体部10の下面12cが、断熱材を介さずに本体部10の厚さ方向において中空部20と隣接している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部から第2端部に向かって延在する中空部が形成され、太陽光が照射される受光面を有する金属押出成形物である本体部と、
前記第1端部と前記第2端部とにそれぞれ配置され、前記中空部を塞ぐ一対の蓋部と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、熱媒が前記中空部に流入する流入口と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、前記熱媒が前記中空部から流出する流出口と
を備える、集熱部材。
【請求項2】
前記中空部は、
前記第1端部から前記第2端部に向かって前記熱媒が流れる第1流路と、
前記第1流路に隔壁を介して隣り合うように配置され、前記第2端部から前記第1端部に向かって前記熱媒が流れる第2流路と
を備える、請求項1に記載の集熱部材。
【請求項3】
前記隔壁には、前記熱媒が前記流入口から前記流出口に向かって蛇行して流れるように、前記第1流路と前記第2流路とを接続する通液孔が設けられている、請求項2に記載の集熱部材。
【請求項4】
前記一対の蓋部のそれぞれには、前記熱媒が前記流入口から前記流出口に向かって蛇行して流れるように、前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続流路が設けられている
請求項2に記載の集熱部材。
【請求項5】
前記流入口と位置合わせされた前記第1流路の流路断面積が、前記第2流路の流路断面積に比べ、小さい
請求項2に記載の集熱部材。
【請求項6】
前記中空部は、隔壁を介して互いに隣り合うように配置され、前記第1端部から前記第2端部に向かって前記熱媒が流れる複数の第1流路を備える
請求項2に記載の集熱部材。
【請求項7】
前記一対の蓋部のそれぞれには、前記熱媒が前記流入口から前記複数の第1流路へと分流し、前記複数の第1流路から合流して前記流出口に向かって流れるように、前記複数の第1流路の開口端それぞれと連通する共通流路が設けられている
請求項6に記載の集熱部材。
【請求項8】
前記構造部材本体は、前記第1端部および前記第2端部に設けられ、前記複数の第1流路の端部同士を連通させる凹部を有し、前記一対の蓋部のそれぞれには、前記流入口または前記流出口を前記凹部と連通させる流入出流路が設けられている
請求項6に記載の集熱部材。
【請求項9】
前記本体部の角度を調整可能に支持する支持部をさらに備える
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項10】
前記本体部は、パネル形状に形成され、
前記本体部は、前記パネル形状の表面側に設けられ、照射された前記太陽光から集熱する集熱部と、前記パネル形状の裏面側に設けられ、照射された前記太陽光を反射する反射部とを備え、
前記支持部が、前記集熱部が上向きとなる集熱位置と、前記反射部が上向きとなる遮光位置との間で前記本体部の角度を調整可能に、前記本体部を支持する
請求項9に記載の集熱部材。
【請求項11】
前記集熱部は、前記本体部の前記表面を覆う被覆部と、前記被覆部から突出するフィンとを備える
請求項10に記載の集熱部材。
【請求項12】
前記集熱部は、黒色塗装されている
請求項10に記載の集熱部材。
【請求項13】
前記本体部が、アルミニウムないしアルミニウム合金で形成され、前記反射部が、前記裏面側を無垢とすることにより構成される
請求項10に記載の集熱部材。
【請求項14】
前記本体部は、延在方向に垂直な断面において、段差構造を有する
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項15】
前記本体部は、延在方向に垂直な断面において、湾曲部を有する
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項16】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1リブが設けられている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項17】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1凹部が設けられている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項18】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2リブが設けられている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項19】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2凹部が設けられている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項20】
前記受光面には黒色の皮膜が被膜されている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項21】
前記本体部の外面うち、前記受光面を除く前記外面に断熱材が配置されている
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項22】
前記本体部は、
板状の上壁と、
前記上壁に対向するように配置された板状の下壁と、
前記上壁の端部と前記下壁の端部とを接続する一対の側壁と
を備える
請求項1から8のいずれかに記載の集熱部材。
【請求項23】
前記上壁は、前記上壁から前記一対の側壁を超えて突出したフランジ部を備え、
前記上壁と前記フランジ部との太陽に面する上面が前記受光面である
請求項22に記載の集熱部材。
【請求項24】
前記隔壁の厚さは、前記上壁、前記下壁、および前記側壁の厚さより厚い
請求項22に記載の集熱部材。
【請求項25】
請求項1から8のいずれか1項に記載の、1又は複数の集熱部材を備える
農業ハウス。
【請求項26】
前記集熱部材の各々が、パネル形状に形成されて当該ハウスの構造部材に角度を調整可能に支持された本体部を備え、
前記本体部は、前記パネル形状の表面側に設けられ、照射された太陽光から集熱する集熱部と、前記パネル形状の裏面側に設けられ、照射された太陽光を反射する反射部とを備え、
当該ハウスが、前記複数の集熱部材の前記構造部材に対する角度を同期して変更する回転機構を備える、
請求項25に記載の集熱部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集熱部材およびこれを備える農業ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光により得られる熱を熱媒に蓄熱する集熱部材が知られている。集熱部材は、例えば、農業ハウスに設置されている。農業ハウスに設置された集熱部材は、日中に蓄熱し、夜間にその熱を利用して農業ハウス内の空気を温めるといった方法で利用されている。
【0003】
特許文献1には、透明層を有する中空の枠体と、枠体に挿入固定され、流路を有する集熱部と、断熱層とを有する集熱部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された集熱部材では、構成部品数が多く、構造が複雑である。そのため、製造工程も複雑になり、製造工数が増大するおそれがある。また、曇天時や冬季において集熱面に照射される太陽エネルギ密度が減少する場合には流体流路内を流れる流体の伝熱量が不足するおそれがある。
【0006】
本発明は、構造が簡素化された集熱部材およびこれを備える農業ハウスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態は、第1端部から第2端部に向かって延在する中空部が形成され、太陽光が照射される受光面を有する金属押出成形物である本体部と、前記第1端部と前記第2端部とにそれぞれ配置され、前記中空部を塞ぐ一対の蓋部と、前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、熱媒が前記中空部に流入する流入口と、前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、前記熱媒が前記中空部から流出する流出口とを備える、集熱部材を提供する。
【0008】
本発明に係る集熱部材によれば、金属により成形された本体部に照射された太陽光が熱に変換され熱媒に蓄えられる。また、集熱部材は、押出成形された本体部、本体部の中空部を塞ぐ蓋部、流入口、および流出口のみで構成されており、集熱部材を構成している部品数が少ない。そのため、構造が簡素化され得る。従って、製造工程も簡素化され、製造工数を短縮することができる。さらに、本体部は押出成形によって成形されているため、本体部の長さを容易に変更できる。
【0009】
前記中空部は、前記第1端部から前記第2端部に向かって前記熱媒が流れる第1流路と、前記第1流路に隔壁を介して隣り合うように配置され、前記第2端部から前記第1端部に向かって前記熱媒が流れる第2流路とを備えてもよい。
【0010】
前記の構成によれば、中空部が2つの流路を備えるため、熱媒が流れる流路が長くなり、本体部と熱媒とが接する面積が増加し得る。そのため、太陽光により加熱された本体部の熱を効率的に熱媒に伝えることができる。
【0011】
前記隔壁には、前記熱媒が前記流入口から前記流出口に向かって蛇行して流れるように、前記第1流路と前記第2流路とを接続する通液孔が設けられていてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、熱媒は蛇行して流れるため、本体部と熱媒とが接する面積を大きく確保することができ、また、接する時間が長くなり得る。従って、太陽光による熱を効率的に熱媒に蓄えることができる。また、本体部を加工し通液孔を設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、蓋部に蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、蓋部の製造が容易になり得る。
【0013】
前記一対の蓋部のそれぞれには、前記熱媒が前記流入口から前記流出口に向かって蛇行して流れるように、前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続流路が設けられていてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、熱媒は蛇行して流れるため、本体部と熱媒とが接する面積を大きく確保することができ、また、接する時間が長くなり得る。従って、太陽光による熱を効率的に熱媒に蓄えることができる。また、蓋部を加工し接続流路を設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、本体部に蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、本体部の製造が容易になり得る。
【0015】
前記流入口と位置合わせされた前記第1流路の流路断面積が、前記第2流路の流路断面積に比べ、小さくてもよい。
【0016】
前記の構成によれば、流入口と位置合わせされた第1流路で熱媒の圧力損失が生じるため、熱媒の流速が低下し、熱媒が本体部に接する時間が延びる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0017】
前記中空部は、隔壁を介して互いに隣り合うように配置され、前記第1端部から前記第2端部に向かって前記熱媒が流れる複数の第1流路を備えてもよい。
【0018】
前記の構成によれば、熱媒が複数の第1流路を通って一方向に流れるため、流量を確保することができる。
【0019】
前記構造部材本体は、前記第1端部および前記第2端部に設けられ、前記複数の第1流路の端部同士を連通させる凹部を有し、前記一対の蓋部のそれぞれには、前記流入口または前記流出口を前記凹部と連通させる流入出流路が設けられていてもよい。
【0020】
前記の構成によれば、複数の第1流路を利用して熱媒の流量を確保する構造を容易に実現することができる。
【0021】
前記一対の蓋部のそれぞれには、前記熱媒が前記流入口から前記複数の第1流路へと分流し、前記複数の第1流路から合流して前記流出口に向かって流れるように、前記複数の第1流路の開口端それぞれと連通する共通流路が設けられていてもよい。
【0022】
前記の構成によれば、複数の第1流路を利用して熱媒の流量を確保する構造を容易に実現することができる。
【0023】
前記集熱部材は、前記本体部の角度を調整可能に支持する支持部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記の構成によれば、支持部を介して受光面に太陽光が照射されるように本体部の角度を調整できる。
【0025】
前記本体部は、パネル形状に形成され、前記本体部は、前記パネル形状の表面側に設けられ、照射された前記太陽光から集熱する集熱部と、前記パネル形状の裏面側に設けられ、照射された前記太陽光を反射する反射部とを備え、前記支持部が、前記集熱部が上向きとなる集熱位置と、前記反射部が上向きとなる遮光位置との間で前記本体部の角度を調整可能に、前記本体部を支持してもよい。
【0026】
前記の構成によれば、集熱部および反射部は、選択的に上に向けられ、太陽光を受光する。支持部における角度調整機能により、集熱部で太陽光から集熱する状態と、反射部で太陽光を反射する状態とを切り換えることができる。
【0027】
前記集熱部は、前記本体部の前記表面を覆う被覆部と、前記被覆部から突出するフィンとを備えてもよい。
【0028】
前記の構成によれば、集熱部がフィンを備えるので、太陽光を受光する面積が増大する。これにより、集熱効果が向上する。
【0029】
前記集熱部は、黒色塗装されていてもよい。
【0030】
前記の構成によれば、簡易な方法で集熱部に集熱機能をもたらすことができる。
【0031】
前記本体部が、アルミニウム合金で形成され、前記反射部が、前記裏面側を無垢とすることにより構成されてもよい。
【0032】
前記の構成によれば、簡易な方法で反射部に遮光機能をもたらすことができる。
【0033】
前記本体部は、延在方向に垂直な断面において、段差構造を有してもよい。
【0034】
前記の構成によれば、段差構造で太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。
【0035】
前記本体部は、延在方向に垂直な断面において、湾曲部を有してもよい。
【0036】
前記の構成によれば、湾曲部で太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。
【0037】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1リブが設けられていてもよい。
【0038】
前記の構成によれば、第1リブが設けられていることで、本体部と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部は押出成形物であるため、第1リブは容易に成形され得る。
【0039】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1凹部が設けられていてもよい。
【0040】
前記の構成によれば、第1凹部が設けられていることで、本体部と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部は押出成形物であるため、第1凹部は容易に成形され得る。
【0041】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2リブが設けられていてもよい。
【0042】
前記の構成によれば、第2リブが設けられていることで、太陽光が本体部に照射する面積が増加し得る。すなわち、受光面に照射された太陽光に加え、第2リブに照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部は押出成形物であるため、第2リブは容易に成形され得る。
【0043】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2凹部が設けられていてもよい。
【0044】
前記の構成によれば、第2凹部が設けられていることで、太陽光が本体部に照射する面積が増加し得る。すなわち、受光面に照射された太陽光に加え、第2凹部に照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部は押出成形物であるため、第2凹部は容易に成形され得る。
【0045】
前記受光面には黒色の皮膜が被膜されていてもよい。
【0046】
前記の構成によれば、受光面における輻射率が向上し得るため、太陽光による熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0047】
前記本体部の外面うち、前記受光面を除く前記外面に断熱材が配置されていてもよい。
【0048】
前記の構成によれば、加熱された熱媒または本体部の熱が、大気などに放出されることを抑制ないし防止できる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0049】
前記本体部は、板状の上壁と、前記上壁に対向するように配置された板状の下壁と、前記上壁の端部と前記下壁の端部とを接続する一対の側壁とを備えてもよい。
【0050】
前記上壁は、前記上壁から前記一対の側壁を超えて突出したフランジ部を備え、前記上壁と前記フランジ部との太陽に面する上面が前記受光面であってもよい。
【0051】
前記の構成によれば、太陽光の受光面積が増加し、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0052】
前記隔壁の厚さは、前記上壁、前記下壁、および前記側壁の厚さより厚くてもよい。
【0053】
前記の構成によれば、隣り合う第1流路と第2流路との熱交換が抑制され得る。そのため、例えば、第1流路を流れる熱媒と第2流路を流れる熱媒との温度を比較した際、第2流路を流れる熱媒の温度が高い場合、第2流路を流れる熱媒の熱が第1流路を流れる熱媒へ伝わることを抑制でき、第2流路における高い熱媒温度を維持することができる。
【0054】
本発明の第2の形態は、上記した1又は複数の集熱部材を備える、農業ハウスを提供する。
【0055】
前記集熱部材の各々が、パネル形状に形成されて当該ハウスの構造部材に角度を調整可能に支持された本体部を備え、前記本体部は、前記パネル形状の表面側に設けられ、照射された太陽光から集熱する集熱部と、前記パネル形状の裏面側に設けられ、照射された太陽光を反射する反射部とを備え、当該ハウスが、前記複数の集熱部材の前記構造部材に対する角度を同期して変更する回転機構を備えてもよい。
【発明の効果】
【0056】
本発明に係る集熱部材およびこれを備える農業ハウスによれば、構造が簡素化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の第1実施形態における集熱部材の斜視図。
【
図2】本発明の第1実施形態における本体部を第1端部側から見た斜視図。
【
図4】本発明の第1実施形態における本体部を第2端部側から見た斜視図。
【
図7】本発明の第1実施形態における蓋部の斜視図。
【
図8】本発明の第1実施形態における集熱部材を配置した農業ハウスの概略図。
【
図9】本発明の第1実施形態における集熱部材の設置構造の側面図。
【
図10】本発明の第1実施形態における集熱部材の設置構造の背面図。
【
図11】本発明の第1実施形態における集熱部材を配置した農業ハウスの概略構成図。
【
図12】
図8の線XII-XIIにおける変形例の断面図。
【
図13】本発明の第2実施形態における本体部の
図2と同様の斜視図。
【
図14】本発明の第2実施形態における蓋部の斜視図。
【
図15】本発明の第3実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図16】本発明の第4実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図17】本発明の第5実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図18】本発明の第5実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図19】本発明の第6実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図20】本発明の第7実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図21】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図22】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図23】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図24】本発明の第8実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図25】本発明の第9実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図26】本発明の第10実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図27】本発明の第11実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図28】本発明の第11実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図29】本発明の第12実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図30】本発明の第13実施形態における集熱部材の分解斜視図。
【
図31】本発明の第13実施形態における集熱部材の断面図。
【
図32】本発明の第14実施形態における集熱部材の断面図。
【
図33】本発明の第15実施形態における
図8と同様の概略図。
【
図34】本発明の第15実施形態における集熱部材の側面図。
【
図35】本発明の第15実施形態における回転機構の概略図。
【
図36A】本発明の第15実施形態における集熱部材が集熱位置に位置する状態を示す概略図。
【
図36B】本発明の第15実施形態における集熱部材が遮光位置に位置する状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本実施形態に係る集熱部材1は、本体部10と一対の蓋部50A,50Bとを備える。
【0059】
図2および
図4を参照すると、本体部10は、金属の押出成形によって成形され、長尺な直方体をなすパネル状の部材である。本実施形態では、本体部10は、第1端部15から第2端部16に延在するように押出成形されている。
【0060】
本実施形態では、本体部10はアルミニウム合金によって成形されている。本体部10の熱伝導率は200w/m・K以上であることが好ましい。本体部10は、アルミニウム、銅、銅合金、または銀等であってもよい。
【0061】
図6を併せて参照すると、本体部10は、平板状の上壁11と、上壁11に対向するように配置され平板状の下壁12と、上壁11と下壁12との端部を接続し延在方向に延びる一対の側壁13A,13Bを備える。また、本体部10は、本体部10の内側において上壁11と下壁12とを接続し本体部10の延在方向に沿って延びる隔壁14A,14B,14C,14D,14E,14Fを備える。隔壁14A~14Fは互いに離間して配置されている。本実施形態では、隔壁14A~14Fの離間距離dは、一定である。
【0062】
以下の説明では、第1端部15から第2端部16に向かう方向をX軸方向とし、側壁13Aから側壁13Bに向かう方向をY軸方向、これらに直交する方向をZ軸方向とする。
【0063】
本体部10は、両端が開口した中空部20を備える。
【0064】
中空部20は、本体部10の内側においてX軸方向に延在し、熱媒が第1端部15から第2端部16に向けて流れる4つの第1流路17A,17C,17E,17Gを備える。また、中空部20は、本体部10の内側においてX軸方向に延在し、熱媒が第2端部16から第1端部15に向けて流れる3つの第2流路17B,17D,17Fを備える。本実施形態では、第1流路17Aは、X軸方向に垂直な断面において上壁11、下壁12、側壁13A、および隔壁14Aによって画定された略矩形で、X軸方向に延びる空間である。第1流路17Aと同様に、第1流路17C,17E,17Gと第2流路17B,17D,17Fとは、上壁11、下壁12、隔壁14A~14F、および側壁13Bによって画定された空間である。換言すると、隔壁14A~14Fは、第1流路17A,17C,17E,17Gと第2流路17B,17D,17Fとを隔てるように設けられている。
【0065】
図3を参照すると、隔壁14Bの第1端部15側には通液孔22Bが設けられている。同様に、隔壁14D,14Fの第1端部15側には、通液孔22D,22Fが設けられている。第2流路17Bと第1流路17Cとは、通液孔22Bを介して連通している。第2流路17Dと第1流路17Eとは、通液孔22Dを介して連通している。第2流路17Fと第1流路17Gとは、通液孔22Fを介して連通している。
【0066】
図5を参照すると、隔壁14Aの第2端部16側には通液孔22Aが設けられている。同様に、隔壁14C,14Eの第2端部16側には、通液孔22C,22Eが設けられている。第1流路17Aと第2流路17Bとは、通液孔22Aを介して連通している。第1流路17Cと第2流路17Dとは、通液孔22Cを介して連通している。第1流路17Eと第2流路17Fとは、通液孔22Eを介して連通している。
【0067】
本実施形態では、通液孔22A~22Fは、押出成形された成形物に対して切削加工を施すことで成形されており、略矩形である。通液孔22A~22Fの形状は、半円形であってもよい。また、通液孔22A~22Fの面積は、第1流路17AのX軸方向に垂直な断面の面積と概略等しい。
【0068】
図1および
図7を参照すると、蓋部50A,50Bは、X軸方向に垂直な断面において本体部10と相似形であり、Y軸方向に長尺な直方体をなす、同一の構造を有する部材である。本実施形態では、蓋部50Aは第1端部15(
図2に示す)に配置され、蓋部50Bは第2端部16(
図2に示す)に配置されている。
【0069】
本実施形態では、蓋部50A,50Bは、アルミニウム合金を切削加工することによって成形されている。蓋部50A,50Bの熱伝導率は200w/m・K以上であることが好ましい。蓋部50A,50Bは、アルミニウム、銅、銅合金、または銀等であってもよい。
【0070】
図5および
図7を参照すると、蓋部50Bは中空構造の窪部51を有する。X軸方向に垂直な断面において、窪部51と本体部10とは同一形状である。窪部51に本体部10の第2端部16側が嵌合することで、第1流路17A,17C,17E,17Gの第2端部16側の開口である第2開口19A,19C,19E,19Gが塞がれている。同様に、窪部51に本体部10の第2端部16側が嵌合することで、第2流路17B,17D,17Fの第2端部16側の開口である第2開口19B,19D,19Fが塞がれている。蓋部50Bは本体部10に溶接等の任意の固定方法で固定されている。
【0071】
また、
図3および
図7を参照すると、蓋部50Aは中空構造の窪部51を有する。X軸方向に垂直な断面において、窪部51と本体部10とは同一形状である。窪部51に本体部10の第1端部15側が嵌合することで、第1流路17A,17C,17E,17Gの第1端部15側の開口である第1開口18A,18C,18E,18Gが塞がれている。同様に、窪部51に本体部10の第1端部15側が嵌合することで、第2流路17B,17D,17Fの第1端部15側の開口である第1開口18B,18D,18Fが塞がれている。蓋部50Aは本体部10に溶接等の任意の固定方法で固定されている。
【0072】
図1および
図5を参照すると、蓋部50Bには、開口19Gに位置合わせされた流出口53が設けられている。本実施形態では、流出口53を介して、熱媒が第1流路17Gから流出する。
【0073】
図1および
図3を参照すると、蓋部50Aには、開口18Aに位置合わせされた流入口52が設けられている。本実施形態では、流入口52を介して、熱媒が第1流路17Aに流入する。
【0074】
流入口52と流出口53との両方が、蓋部50Aに設けられていてもよい。この場合、図示は省略するが、本体部10は、例えば、3つの第1流路17A,17C,17Eと3つの第2流路17B,17D,17Fとを有する。また、流入口52と流出口53との両方が、蓋部50Bに設けられていてもよい。
【0075】
本実施形態における集熱部材1では、流入口52を介して集熱部材1の内部に熱媒が流入し、流出口53を介して集熱部材1の外部に熱媒が流出する。熱媒は、アルミニウム合金が錆びないように中性から弱アルカリ性のものが用いられる。具体的には熱媒はpH6~pH11のものが用いられる。
【0076】
図2および
図4を参照すると、本体部10の内部に流入した熱媒は、2点鎖線で示すように本体部10の内部を蛇行して流れる。
【0077】
具体的には、
図1、
図3、および
図5を参照すると、流入口52を介して流入した熱媒は、第1流路17Aを第1端部15から第2端部16に向かって流れ、通液孔22Aを介して第2流路17Bに流入する。第2流路17Bに流入した熱媒は、第2端部16から第1端部15に向かって流れ、通液孔22Bを介して第1流路17Cに流入する。第1流路17Cに流入した熱媒は、同様に、通液孔22C~22Fを介して第1流路17C,17E,17Gと第2流路17D,17Fとを流れ、流出口53を介して集熱部材1の外部に流出する。つまり、熱媒は、第1流路17A,17C,17E,17G、第2流路17B,17D,17F、および通液孔22A~22Fを介して流入口52から流出口53に向かって蛇行して流れる。
【0078】
図8を参照すると、本実施形態における集熱部材1は農業ハウス70に設置されている。農業ハウス70の内部では野菜などの植物が栽培されている。農業ハウス70の内部のうち、日射条件が良い南側は作物が栽培される栽培領域71で、日射条件が悪い北側は植物が栽培されていない非栽培領域72(図のハッチング部)である。非栽培領域72は、例えば通路や資材置場などである。本実施形態では、集熱部材1により生じる影が非栽培領域72に位置するように、集熱部材1は農業ハウス70の北側の上部に配置されている。集熱部材1は、上壁11の上面(受光面)11cに太陽光が照射されるように配置されている。
【0079】
図9および
図10を併せて参照すると、農業ハウス70の上部には梁73が設けられており、集熱部材1は支持部74を介して梁73に設置される。支持部74は、集熱部材1の設置角度を調整可能に支持する。具体的には、支持部74は、回転板76と脚部77とを備える。回転板76には集熱部材1が固定されており、脚部77は梁73に固定されている。脚部77に対して回転板76が回転可能に固定されることで、集熱部材1の角度が調整され、集熱部材1は、本体部10の上面11cが太陽に面するように配置されている。
【0080】
図11を参照し、本実施形態における集熱部材1の農業ハウス70における使用方法の一例を説明する。
【0081】
農業ハウス70は、タンク78、ポンプ79、制御部80、および放熱器81を備える。タンク78には熱媒が貯蔵されており、熱媒は、タンク78と流体的に接続されたポンプ79によって三方弁82を介して集熱部材1または放熱器81に送られる。
【0082】
放熱器81では、農業ハウス70内の空気と熱媒とが熱交換する。そのため、加熱された熱媒が放熱器81を流れることによって、農業ハウス70内の空気が温められ、熱媒が冷やされる。本実施形態では、放熱器81として、集熱部材1が用いられている。放熱器81として、例えば、栽培領域71にチューブを地面に這わせたものであってもよい。
【0083】
農業ハウス70は、栽培空間84と上部空間85とでなる。栽培空間84は梁73より下側の空間で、上部空間85は梁73を含む栽培空間84より上側の空間である。集熱部材1は上部空間85に配置され、放熱器81は栽培空間84に配置されている。栽培空間84と上部空間85とはカーテン83によって区切られていてもよい。カーテン83により、栽培空間84と上部空間85との間で熱の移動が妨げられ、栽培空間84の保温性が向上する。
【0084】
日中の太陽光が集熱部材1に照射している間は、制御部80によって三方弁82が制御され、タンク78に貯蔵された熱媒は、集熱部材1に向かってポンプ79によって圧送され、循環する。その間、熱媒は集熱部材1で加熱され、昇温する。そして、夜間の太陽光が集熱部材1に照射していない間は、制御部80によって三方弁82が制御され、タンク78に貯蔵された熱媒は、放熱器81に向かってポンプ79によって圧送され、循環する。その間、加熱された熱媒の熱が放熱器81を介して栽培空間84内の空気に伝えられ、栽培空間84内の温度が上昇する。そのため、夜間の温度低下による植物の生育阻害が緩和され、植物の成長率が向上し得る。
【0085】
図12を参照すると、本実施形態の変形例として、集熱部材1は、農業ハウス70の柱86に設置してもよい。変形例における柱86はH形鋼である。集熱部材1は柱86のウェブ86aの太陽光が照射される面に、上面11cが太陽と面するように設置されている。集熱部材1が柱86に設置されているため、栽培領域84に集熱部材1の影が生じることが抑制ないし防止され得る。
【0086】
本実施形態における集熱部材1によれば、金属により成形された本体部10に照射された太陽光が熱に変換され熱媒に蓄えられる。また、集熱部材1は、押出成形された本体部10、本体部10の中空部20を塞ぐ蓋部50A,50B、流入口52、および流出口53のみで構成されており、集熱部材1を構成している部品数が少ない。そのため、構造が簡素化され得る。従って、製造工程も簡素化され、製造工数を短縮することができる。さらに、本体部10は押出成形によって成形されているため、本体部10の長さを容易に変更できる。
【0087】
また、中空部20が2つの流路を備えるため、熱媒が流れる流路が長くなり、本体部10と熱媒とが接する面積が増加し得る。そのため、太陽光により加熱された本体部10の熱を効率的に熱媒に伝えることができる。
【0088】
さらに、熱媒は蛇行して流れるため、本体部10と熱媒とが接する面積を大きく確保することができ、また、接する時間が長くなり得る。従って、太陽光による熱を効率的に熱媒に蓄えることができる。また、本体部10を加工し通液孔22A~22Fを設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、蓋部50A,50Bに蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、蓋部50A,50Bの製造が容易になり得る。
【0089】
その上、支持部74を備えるため、支持部74を介して上面11cに太陽光が照射されるように本体部10の角度を調整できる。
【0090】
(第2実施形態)
図13および
図14を参照すると、第2実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0091】
図13を参照すると、本体部10には、通液孔22A~22F(
図3および
図5に示す)が設けられていない。すなわち、本体部10は、押出成形のみによって成形されている。
【0092】
図5および
図14を参照すると、蓋部50Bは、Y軸方向に長尺な直方体をなす部材で、中空構造の窪部51と中実構造の基礎部54とを備える。基礎部54には、接続流路55A,55B,55Cが設けられている。接続流路55Aは、第2開口19Aと第2開口19Bとを接続し、熱媒の流れ方向を180度曲げる。すなわち、接続流路55Aは、第1流路17Aと第2流路17Bとを連通する。同様に、接続流路55Bは、第2開口19Cと第2開口19Dとを接続し、接続流路55Cは、第2開口19Eと第2開口19Fとを接続する。すなわち、接続流路55Bは、第1流路17Cと第2流路19Dとを連通し、接続流路55Cは、第1流路17Eと第2流路17Fとを連通する。また、基礎部54には流入出流路56Bが設けられている。流入出流路56Bは、第2開口19Gと流出口53とを接続する。
【0093】
図3および
図14を参照すると、蓋部50Aは、Y軸方向に長尺な直方体をなす部材で、中空構造の窪部51と中実構造の基礎部54とを備える。基礎部54には、接続流路55D,55E,55Fが設けられている。接続流路55Dは、第1開口18Fと第1開口18Gとを接続し、熱媒の流れ方向を180度曲げる。すなわち、接続流路55Dは、第2流路17Fと第1流路17Gとを連通する。同様に、接続流路55Eは、第1開口18Dと第1開口18Eとを接続し、接続流路55Fは、第1開口18Bと第1開口18Cとを接続する。すなわち、接続流路55Eは、第2流路17Dと第1流路19Eとを連通し、接続流路55Fは、第2流路17Bと第1流路17Cとを連通する。また、基礎部54には流入出流路56Aが設けられている。流入出流路56Aは、第1開口18Aと流出口52とを接続する。
【0094】
流入口52から流入した熱媒は、蓋部50Aの流入出流路56Aを介して第1流路17Aに流入し、第1流路17Aを第1端部15から第2端部16に向かって流れ、蓋部50Bの接続流路55Aを介して第2流路17Bに流入する。第2流路17Bに流入した熱媒は、第2端部16から第1端部15に向かって流れ、蓋部50Aの接続流路55Fを介して第1流路17Cに流入する。第1流路17Cに流入した熱媒は、同様に、第1流路17C,17E,17G、第2流路17D,17F、蓋部50Aの接続流路55D,55E、および蓋部50Bの接続流路55B,55Cを流れ、流出口53から集熱部材1の外部に流出する。つまり、熱媒は、第1流路17A,17C,17E,17G、第2流路17B,17D,17F、蓋部50Aの接続流路55D~55F、および蓋部50Bの接続流路55A~55Cを介して、流入口52から流出口53に向かって蛇行して流れる。
【0095】
第2実施形態における集熱部材1によれば、蓋部50A,50Bを加工し接続流路55A~55Fを設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、本体部10に蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、本体部10の製造が容易になり得る。
【0096】
(第3実施形態)
図15を参照すると、第3実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第3実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0097】
第3実施形態における本体部10は、本体部10の延在方向に垂直な断面において、段差構造30を有する。具体的には、第2流路17Bが第1流路17Aに対して一段上がるように段差31Aが設けられている。同様に、段差31B~31Fが設けられている。
【0098】
第3実施形態における集熱部材1によれば、段差構造30で設置面積あたりの太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、集熱部材1により生じる影の面積あたりの照射面積が増加するため、影の面積の増加を抑制することができる。さらに、本体部10は押出成形物であるため、このような段差構造30を有する構造も容易に成形され得る。
【0099】
(第4実施形態)
図16を参照すると、第4実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第4実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0100】
第4実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。本体部10は、本体部10の延在方向に垂直な断面において、湾曲部32を有する。具体的には、本体部10の上壁11は下壁12に向けて凸状に湾曲しており、下壁12は上壁11に向けて凹状に湾曲している。
【0101】
第4実施形態における集熱部材1によれば、湾曲部74で太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、集熱部材1により生じる影の面積あたりの照射面積が増加するため、影の面積の増加を抑制することができる。さらに、本体部10は押出成形物であるため、このような湾曲部74を有する構造も容易に成形され得る。
【0102】
(第5実施形態)
図17を参照すると、第5実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第5実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0103】
第5実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0104】
第5実施形態における本体部10では、第1流路17Aと第2流路17Bとを隔てる隔壁14Aの厚みt1は、第2流路17Bと第1流路17Cとを隔てる隔壁14B、上壁11、下壁12、および側壁13A,13Bの厚みt2に比べ、厚くなっている。
【0105】
第5実施形態における集熱部材1によれば、隣り合う第1流路17Aと第2流路17Bとの熱交換が抑制され得る。そのため、第2流路17Bを流れる熱媒の熱が第1流路17Aを流れる熱媒へ伝わることを抑制でき、第2流路17Bにおける高い熱媒温度を維持することができる。
【0106】
図18を参照すると、第5実施形態における本体部10の変形例では、第1流路17Aを画定する部分の厚みt1が、他の部分の厚みt2に比べ厚くなっている。つまり、上壁11のうち第1流路17Aを画定する部分である第1上壁部分11aの厚みt1は、上壁11のうち第2流路17Bと第1流路17Cとを画定する第2上壁部分11bの厚みt2に比べ厚くなっている。また、下壁12のうち第1流路17Aを画定する部分である第1下壁部分12aの厚みt1は、下壁12のうち第2流路17Bと第1流路17Cとを画定する第2下壁部分12bの厚みt2に比べ厚くなっている。さらに、第1流路17Aを画定する側壁13Aの厚みt1は、側壁13Bの厚みt2に比べ厚くなっており、第1流路17Aを画定する隔壁14Aの厚みt1は、隔壁14Bの厚みt2に比べ厚くなっている。
【0107】
変形例における集熱部材1によれば、第1流路17Aと第2流路17Bとの熱交換を抑制しつつ、第1流路17Aの加熱効率を増加させることができる。第1流路17Aを画定している、第1上壁部分11a、側壁13A、第1下壁部分12a、および隔壁14Aは厚く、熱保有量が大きい。そのため、第1流路17Aは、第2流路17Bと第1流路17Cとに比べ加熱効率が向上し得る。
【0108】
(第6実施形態)
図19を参照すると、第6実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第6実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0109】
第6実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0110】
第6実施形態における本体部10では、第1流路17Aと第2流路17Bとを隔てる隔壁14Aが上壁11と側壁13Aとを接続するように設けられている。つまり、第1流路17Aの延在方向に垂直な断面の面積、すなわち、流路断面積S1は、第2流路17Bと第1流路17Cとの延在方向に垂直な断面の面積、すなわち、流路断面積S2に比べ、小さくなっている。換言すると、流入口52(
図1に示す)と位置合わせされた第1流路17Aの流路断面積S1は、第2流路17Bの流路断面積S2に比べ、小さい。第6実施形態では、第2流路17Bと第1流路17Cとの延在方向に垂直な断面の面積は等しくなっている。
【0111】
第6実施形態における集熱部材1によれば、流入口52と位置合わせされた第1流路17Aで熱媒の圧力損失が生じるため、熱媒の流速が低下し、熱媒が本体部10に接する時間が延びる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0112】
(第7実施形態)
図20を参照すると、第7実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第7実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0113】
第7実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0114】
本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ(第1リブ)33Aが互いに隙間を空けて上壁11に設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、リブ(第1リブ)33B,33Cが設けられている。リブ33A~33Cは、本体部10と一体に押出成形されている。
【0115】
第7実施形態における集熱部材1によれば、リブ33A~33Cが設けられていることで、本体部10と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部10に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、このようなリブ33A~33Cを有する構造も容易に成形され得る。
【0116】
第7実施形態の変形例における本体部10の断面図を
図21~
図23に示す。
【0117】
図21を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて下壁12に設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、リブ33B,33Cが設けられている。
【0118】
図22を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて側壁13Aに設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。また、本体部10には、第2流路17Bに向けて突出した複数のリブ33Bが互いに隙間を空けて隔壁14Aに設けられている。リブ33Bは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第1流路17Cにおいても同様に、リブ33Cが隔壁14Bに設けられている。
【0119】
図23を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて隔壁14Aに設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bにおいても同様に、リブ33Bが隔壁14Bに設けられている。また、本体部10には、第1流路17Cに向けて突出した複数のリブ33Cが互いに隙間を空けて側壁13Bに設けられている。リブ33Cは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。
【0120】
(第8実施形態)
図24を参照すると、第8実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第8実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0121】
第8実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0122】
本体部10には、第1流路17Aに面するように複数の凹部(第1凹部)42Aが互いに隙間を空けて上壁11に設けられている。凹部42Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、凹部(第1凹部)42B,42Cが設けられている。凹部42A~42Cは、本体部10と一体に押出成形されている。また、凹部42A~42Cは、下壁12または側壁13A,13Bに設けられていてもよく、上壁11、下壁12、および側壁13A,13Bの全てに設けられていてもよい。
【0123】
第8実施形態によれば、凹部42A~42Cが設けられていることで、本体部10と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部10に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、凹部42A~42Cは容易に成形され得る。
【0124】
(第9実施形態)
図25を参照すると、第9実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第9実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0125】
第9実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0126】
本体部10には、本体部10の外側に向けて突出した複数のリブ(第2リブ)41が互いに隙間を空けて上面11cに設けられている。リブ41は、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。リブ41は、本体部10と一体に押出成形されている。
【0127】
第9実施形態における集熱部材1によれば、リブ41が設けられていることで、太陽光が本体部10に照射する面積が増加し得る。すなわち、上面11cに照射された太陽光に加え、リブ41に照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。
【0128】
(第10実施形態)
図26を参照すると、第10実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第10実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0129】
第10実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0130】
本体部10には、本体部10の外側に面するように複数の凹部(第2凹部)43が互いに隙間をあけて上面11cに設けられている。凹部43は、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。凹部43は、本体部10と一体に押出成形されている。
【0131】
第10実施形態によれば、凹部43が設けられていることで、太陽光が本体部10に照射する面積が増加し得る。すなわち、上面11cに照射された太陽光に加え、凹部43に照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、凹部43は容易に成形され得る。
【0132】
また、第10実施形態では、凹部43は、傾斜して窪んでいる。そのため、太陽光が照射される面積が増加し得る。
【0133】
(第11実施形態)
図27および
図28を参照すると、第11実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第11実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0134】
図27を参照すると、第11実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。第1流路17A,17Cと第2流路17Bとの延在方向に垂直な断面形状は、丸形である。
【0135】
第11実施形態における集熱部材1によれば、本体部10における体積当たりの金属部分の割合が増加し得る。そのため、金属部分の熱保有量も増加し得るため、熱媒の加熱効率が向上し得る。また、断面形状が丸型であることから、第1流路17A,17Cと第2流路17Bとに空気が残ることが抑制され得る。そのため、本体部10と熱媒との接触面積が増加し、熱媒の加熱効率が増加し得る。
【0136】
図28を参照すると、第11実施形態の変形例では、第1流路17A,17Cと第2流路17Bとの延在方向に垂直な断面形状は、星形である。
【0137】
第11実施形態の変形例における集熱部材1によれば、本体部10における体積当たりの金属部分の割合が増加し得る。そのため、金属部分の熱保有量も増加し得るため、熱媒の加熱効率が向上し得る。また、断面形状が星型であることから、本体部10と熱媒との接触面積が増加し、熱媒の加熱効率が増加し得る。
【0138】
(第12実施形態)
図29を参照すると、第12実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第12実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0139】
第12実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0140】
第12実施形態における上壁11は、上壁11から一対の側壁13A,13Bを超えて突出した、すなわち、Y軸方向に沿って両方向に延長されたフランジ部34A,34Bを備える。フランジ部34Aは、太陽に面する上面(受光面)35Aを備える。また、フランジ部34Bは、太陽と面する上面(受光面)35Bを備える。第12実施形態では、上面35A,35Bは、上面11cと面一である。また、第12実施形態では、フランジ部34A,34Bは上壁11と一体に押出成形されているが、別体で成形され溶接等により上壁11と一体化されてもよい。
【0141】
また、上面35A,35Bと上面11cとには、黒色の皮膜36A,36B,36Cが被膜されている。黒色の皮膜36A~36Cは、例えば、アルミニウム合金を電解処理した高輻射率皮膜であり、太陽光のほとんど全ての波長の光を吸収する。
【0142】
第12実施形態における集熱部材1では、本体部10の外面40のうち、上面35A,35Bと上面11cとを除く外面40に断熱材37A,37B,37C,37D,37Eが配置されている。第12実施形態では、本体部40の外面40は、上面35A,35B、上面11c、フランジ部34Aの下面38A、側壁13Aの外面39A、下壁12の下面12c、側壁13Bの外面39B、およびフランジ部34Bの下面38Bを含む。断熱材37Aは、下面38Aに接するように配置され、断熱材37Bは、外面39Aに接するように配置されている。また、断熱材37Cは、下面12cに接するように配置され、断熱材37Dは、外面39Bに接するように配置されている。さらに、断熱材37Eは、下面38Bに接するように配置されている。
【0143】
第12実施形態における集熱部材1によれば、上面35A,35Bと上面11cとにおける輻射率が向上し得るため、太陽光による熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0144】
また、上面35A,35Bが設けられているため、太陽光の受光面積が増加し、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0145】
さらに、断熱材37A~37Eが設けられているため、加熱された熱媒または本体部10の熱が、大気などに放出されることを抑制ないし防止できる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0146】
(第13実施形態)
図30および
図31を参照すると、第13実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第13実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0147】
本体部10は、上壁11、下壁12、および一対の側壁13A,13Bを備え、全体としてパネル形状、すなわち、低背かつ長尺の直方体状に形成される。上壁11および下壁12は、平面視で長方形状に形成される。一対の側壁13A,13Bは、上壁11および下壁12の長辺同士を上下方向に接続し、長手方向(X方向)に延びる。本体部10は、これら4つの壁11,12,13A,13Bで画定された内部空間としての中空部20を有する。中空部20は、長手方向の両端部(すなわち、第1端部15および第2端部16)で開放されている。換言すれば、本体部10は、長手方向の両端部に、4つの壁11~14の端縁で画定された矩形状の一対の開口を有する。
【0148】
中空部20は、複数の隔壁14で仕切られている。複数の隔壁14は、短辺方向(Y方向)に間隔をおいて配置され、長手方向に延びる。各隔壁14は、上端部にて上壁11の内面に接続され、下端部にて下壁12の内面に接続される。中空部20は、短辺方向に並ぶ複数の長孔に仕切られ、各長孔は第1端部15から第2端部16に向かって本体部10の長手方向に沿って平行に延びている。本実施形態では、隔壁14が等間隔をおいて配置される。上壁11と下壁12との間の上下方向の間隔は、本体部10の全体にわたって一様である。複数の長孔は、等面積の矩形状断面を有する。図示例では、隔壁14の個数が6、長孔の個数はそれより1多い7であるが、長孔の個数は、複数であればよく特に限定されない。
【0149】
各長孔は、第1端部15で開放された第1開口18と、第2端部16で開放された第2開口19とを有している。各隔壁14の両端は、4つの壁11~14で画定された内部空間に位置づけられる。そのため、各長孔の第1開口18も第2開口19も、当該内部空間に配置される。
【0150】
本体部10は、第1端部15において、本体部10の開口を複数の第1開口18それぞれに連通させる第1凹部23を有し、第2端部16において、本体部10の開口を複数の第2開口19それぞれに連通させる第2凹部24を有する。
【0151】
第1端部15は、蓋部50Aの窪部51に液密に嵌合され、第2端部16は、蓋部50Bの窪部51に液密に嵌合される。これにより、集熱部材1が構成される。流入口52から流入した熱媒は、第1凹部23および複数の第1開口18を介し、複数の長孔それぞれに流入する。熱媒は、複数の長孔の各々において第1端部15から第2端部16に向けて流れる。すなわち、これら長孔はいずれも、熱媒を第1端部15から第2端部16に向けて流す第1流路17としての役割を果たす。各第1流路17内の熱媒は、対応する第2開口19を介して第2凹部24で合流する。第2凹部24内の熱媒は、流出口53を介して流出する。
【0152】
熱媒が蛇行して流れる第1実施形態とは異なり、本実施形態では、集熱部材1が、流出口53が配置される第2端部16から流入口52が配置される第1端部15に向けて熱媒を流す第2流路(例えば、
図3に示す流路17B,17D,17F)を備えない。集熱部材1の中空部20は、第1凹部23および第2凹部24に対して並列に接続された複数の第1流路17である。熱媒は、第1凹部23から第1流路17へと分流され、第1端部15から第2端部16に向かって一方通行で流れ、第2凹部24において合流する。
【0153】
なお、ポンプ79が始動した後には、複数の第1流路17のうち、流入口52に近いものから順に、熱媒の流れが形成される。そのため、流入口52に近い流路ほど熱媒の温度が高く、流入口52から遠い流路ほど熱媒の温度が低くなるようにして、複数の第1流路17内の熱媒の温度に勾配が付く。
【0154】
本実施形態においても、構造が簡素化された集熱部材1を提供することができる。更に、複数の第1流路17が並列接続されて熱媒が集熱部材1内を一方通行で流れることで、熱媒の流量を確保しやすい。流量が多くなると、室内が過剰に温度上昇した際には熱媒で室温を下げることも可能となり、冷房設備の補助装置として利用することも可能となる。また、熱媒の滞留時間が短縮するためポンプ79の負荷が下げることができる。
【0155】
(第14実施形態)
図32を参照すると、第14実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第14実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0156】
第13実施形態とは異なり、隔壁14の長手方向の両端部が本体部10の全体としての長手方向の端縁と略同じ位置にある。代わりに、一対の蓋部50A,50Bが、窪部51内に突出するストッパ57を有している。そのため、第1端部15が窪部51に嵌合されると、第1端部15は窪部51の内底面に到達する前にストッパ57に当接し、そこで長手方向への移動を規制される。第2端部16もこれと同様である。これにより、一対の蓋部50A,50Bには、ストッパ57よりも外側(窪部51の奥側)において、複数の第1流路17と連通する共通流路58A,58Bが設けられる。蓋部50Aの共通流路58Aは流入口52と連通し、蓋部50Bの共通流路58Bは流出口53と連通する。
【0157】
本実施形態においても、第13実施形態と同様にして、熱媒が、流入口52を介して共通流路58Aに流入し、共通流路58Bから複数の第1流路17に分流し、共通流路58Bにおいて合流し、流出口53を介して集熱部材1から流出する。これにより、第13実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0158】
(第15実施形態)
図33~
図36Bを参照すると、第15実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第15実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0159】
図33に示すように、農業ハウス70は、複数本の柱86と、柱86の上端部同士を接続する梁73と、梁73の上側に設けられて切妻状の屋根の骨格を成す合掌梁87とを備える。農業ハウス70は、平面視で長方形状の外形輪郭を有し、6本の柱86が、外形輪郭の四隅と、外形輪郭の一対の長辺の中点付近に設置されている。梁73には、外形輪郭の長辺に沿って延びる一対の長梁73aと、外形輪郭の短辺方向に並ぶ2本の柱86の上端部同士を接続する複数本の短梁73bとを有する。更に、梁73は、長梁73aおよび短梁73bで囲まれた領域内に配置された第1補助梁89aおよび第2補助梁89bを備え、第1補助梁89aは長梁73aと平行に延び、第2補助梁89bは短梁73bと平行に延びる。農業ハウス70の内部は、梁73より上方の上部空間85と、梁73より下方の栽培空間84とに大別され得る。栽培空間84は、南側の栽培領域71と、北側の非栽培領域72とに大別され得る。
【0160】
農業ハウス70は、1又は複数の集熱部材1を備える。
図33は、4つの集熱部材1を図示しているが、集熱部材1の個数は変更可能である。各集熱部材1は、長手方向(X方向)を農業ハウス70の平面視短辺方向に向けた姿勢で、梁73(特に、補助梁89a,89b)に支持されており、本実施形態では、農業ハウス70の梁73が集熱部材1を支持する支持材として機能している。4つの集熱部材1は、農業ハウス70の平面視長辺方向において等間隔をおいて配列されている。
【0161】
図34を参照して、本実施形態においても、集熱部材1は、パネル形状に形成されている。換言すれば、集熱部材1は、低背かつ長尺の直方体状に形成されている。集熱部材1は、これまでの実施形態と同様にして、本体部10と、一対の蓋部50A,50Bとを備える。集熱部材1の内部の流路は、第1実施形態のような蛇行型に構成されていてもよいし、第13実施形態のような一方通行型に構成されていてもよい。
【0162】
これまで、本体部10の外形を成す4つの壁のうち、広い長方形状の表面を有した2つを上壁11および下壁12と称してきたが、ここでは、表面側の第1壁91および裏面側の第2壁92と称する。本実施形態では、集熱部材1の回転動作により、どちらの壁91,92を上向きとするのか、選択自在であるからである。
【0163】
第1壁91の外表面上には、複数本のフィン93が設けられている。フィン93は、本体部10に一体に設けられていてもよいし、溶接などの接合手段で第1壁91に接合されてもよい。本実施形態では、各フィン93が、本体部10の短手方向(Y方向)に延び、複数本のフィン93が、本体部10の長手方向(X方向)に間隔をあけて配列されているが、これは単なる一例である。フィン93の個数、フィン93の延びる方向およびフィン93の配列方向は適宜変更可能である。
【0164】
本体部10は、第1壁91およびフィン93が設けられている表面側に集熱部94を備える。本体部10は、第2壁92が設けられている裏面側に反射部95を備える。集熱部94は、太陽光が照射されると、その太陽光から集熱する。反射部95は、太陽光が照射されると、照射された太陽光を反射する。
【0165】
集熱部94は、本体部10の第1壁91の外表面およびフィン93の表面を黒色塗装することによって構成される。本実施形態に係る本体部10は、アルミニウム合金で製作されており、反射部95はこのような本体部10を無垢(例えば、無塗装)とすることによって構成される。任意の素材に光を反射する塗料が塗装されてもよい。なお、図示例では、集熱部94の図示の便宜のため、側壁13Bが部分的に黒色塗装されているが、集熱部94は、少なくとも第1壁91の外表面に設けられていればよく、側壁13Bには設けられていなくてもよい。
【0166】
一対の蓋部50A,50Bの外表面には、集熱部材1の長手方向(X方向)に突出する一対の回転軸96が設けられている。一対の回転軸96は、互いに同軸状である。一対の回転軸96は、支持材に設けられている支承部(不図示)に回転可能に支持される。これにより、集熱部材1およびその本体部10は、回転軸96を中心にして農業ハウス70に対して角度を調整可能に支持される。本実施形態では、農業ハウス70の平面視短辺方向が東西方向に沿っており、回転軸96は東西方向に指向している。これにより、太陽高度に応じて角度を変更することで、パネル1を太陽に向けることができる。
【0167】
図35に示すように、農業ハウス70は、複数の集熱部材1を備える場合において、複数の集熱部材1の構造部材に対する取付角度を同期して変更する回転機構100を備える。回転機構100は、手動によって作動してもよいし、電気モータ等のアクチュエータにより発生される駆動力で自動的に作動してもよい。
図35は、手動式の一例を示している。
【0168】
回転機構100は、コード101、およびコード101が巻き掛けられる複数のプーリ102~104によって構成されている。コード101は、第1上方延在部101a、第1鉛直部101b、第2鉛直部101cおよび第2上方延在部101dを有する。これらの部分101a~101dは、この順で途切れずに連続している。
【0169】
第1上方延在部101aは、支持材に沿って延び、複数の集熱部材1それぞれの長手方向の端面のうち短手方向の一端部に順次に固定される。第1鉛直部101bは、第1上方延在部101aから下方へ延びる。第2鉛直部101cは、第1鉛直部101bの下端部から上方へ延びる。第2上方延在部101cは、支持材に沿って延び、複数の集熱部材1それぞれの長手方向の端面のうち短手方向の他端部に順次に固定されている。なお、一対の蓋部50A,50Bには、第1上方延在部101aおよび第2延在部101bを係止する係止部97(
図34を参照)を有する。
【0170】
第1鉛直部101bおよび第2鉛直部101cの下端部は、栽培空間73内にある。農業ハウス70の作業員が、第1鉛直部101bを下方に引くと、4つの集熱部材1が、
図35における反時計回りに同期して回転する。農業ハウス70の作業員が、第2鉛直部101cを下方に引くと、4つの集熱部材1が、
図35における時計回りに同期して回転する。集熱部材1は、この回転機構100の作用により、集熱部94が上に向けられた集熱位置と、反射部95が上に向けられた遮光位置との間で角度が同期して変更される。
【0171】
図36Aに示すように、集熱部材1が集熱位置に位置づけられているときには、反射部95が栽培空間84に臨む一方、太陽光が集熱部94に照射される。集熱部94は、太陽光から集熱し、集熱部材1の内部を流れる熱媒が加温される。フィン93が集熱部94として機能するため、集熱部材1の平面積に対して集熱部94の表面積を大きく確保することができ、集熱効率が高い。冬季に集熱部94を上に向けることで、栽培空間84の温度を栽培に適した温度で維持することが容易となる。
【0172】
図36Bに示すように、集熱部材1が遮光位置に位置づけられているときには、集熱部94が栽培空間84に臨む一方、太陽光が反射部95に照射される。反射部95は、太陽光を反射する。そのため、太陽光エネルギが熱媒の温度上昇に利用されない。他方、栽培空間84内では、対流熱伝達により、上方がより高温になりがちである。集熱部94は、栽培空間84の上部領域からの熱線を吸収する。これにより、栽培空間84が過度に温度上昇した場合に、集熱部94はこの吸熱効果によって栽培空間84内の温度を適温に調整する機能を果たす。フィン93が集熱部94として機能するため、吸熱効果は向上する。夏季に反射部95を上に向けるとともに集熱部94を下に向けて栽培空間84に臨ませることで、栽培空間84の温度を栽培に適した温度で維持することが容易となる。
【0173】
このように、本実施形態によれば、年間を通じて気温の変動が大きい地域に農業ハウス70が設置された場合において、年間を通じて栽培空間84の温度を適温に維持することが容易となる。
【符号の説明】
【0174】
1 集熱部材
10 本体部
11 上壁
11a 第1上壁部分
11b 第2上壁部分
11c 上面(受光面)
12 下壁
12a 第1下壁部分
12b 第2下壁部分
12c 下面
13A,13B 側壁
14A,14B,14C,14D,14E,14F 隔壁
15 第1端部
16 第2端部
17A,17C,17E,17G 第1流路
17B,17D,17F 第2流路
18A,18B,18C,18D,18E,18F,18G 第1開口
19A,19B,19C,19D,19E,19F,19G 第2開口
20 中空部
22A,22B,22C,22D,22E,22F 通液孔
30 段差構造
31A,31B,31C,31D,31E,31F 段差
32 湾曲部
33A,33B,33C リブ(第1リブ)
34A,34B フランジ部
35A,35B 上面(受光面)
36A,36B,36C 黒色の皮膜
37A,37B,37C,37D,37E 断熱材
38A,38B 下面
39A,39B 外面
40 外面
41 リブ(第2リブ)
42A,42B,42C 凹部(第1凹部)
43 凹部(第2凹部)
50A,50B 蓋部
51 窪部
52 流入口
53 流出口
54 基礎部
55A,55B,55C,55D,55E,55F 接続流路
56A,56B 流入出流路
70 農業ハウス
71 栽培領域
72 非栽培領域
73 梁
74 支持部
76 回転板
77 脚部
78 タンク
79 ポンプ
80 制御部
81 放熱器
82 三方弁
83 カーテン
84 栽培空間
85 上部空間
86 柱
86a ウェブ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の集熱部材を内部に備える農業ハウスであって、
前記集熱部材が、
太陽光が照射される受光面を形成して照射された太陽光から集熱する集熱部と、前記受光面とは反対側の下面と、第1端部から第2端部に向かって延在する中空部とを有する本体部と、
前記第1端部と前記第2端部とにそれぞれ配置され、前記中空部を塞ぐ一対の蓋部と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、熱媒が前記中空部に流入する流入口と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、前記熱媒が前記中空部から流出する流出口と
を備え、
少なくとも前記本体部の前記下面が、断熱材を介さず前記本体部の厚さ方向において前記中空部と隣接している、
農業ハウス。
【請求項2】
前記集熱部材が、栽培空間の上方に配置され、且つ、前記受光面を上側に向けて前記下面を前記栽培空間に臨ませる集熱位置と、前記下面を上に向けて前記受光面を前記栽培空間に臨ませる遮光位置との間で角度変更可能に支持されている、
請求項1に記載の農業ハウス。
【請求項3】
複数本の柱と、
前記柱の上端部同士を接続するよう配置された梁と、を更に備え、
前記集熱部材が、前記梁より上方の上部空間に配置される、
請求項2に記載の農業ハウス。
【請求項4】
前記本体部が、アルミニウムないしアルミニウム合金で形成された金属押出成形物である、
請求項1に記載の農業ハウス。
【請求項5】
前記本体部は、前記下面を形成して太陽光を反射する反射部を有し、
前記反射部が、無垢とすることにより構成される、
請求項4に記載の農業ハウス。
【請求項6】
前記集熱部は、黒色塗装されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項7】
前記集熱部は、黒色の皮膜で被膜されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の集熱部材。
【請求項8】
前記集熱部は、前記受光面から突出するフィンを備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項9】
前記本体部は、前記本体部の延在方向に垂直な断面において、段差構造を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項10】
前記本体部は、前記本体部の延在方向に垂直な断面において、湾曲部を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項11】
前記本体部は、
前記集熱部を構成する、板状の上壁と、
前記上壁に対向するように配置されて前記下面を形成する、板状の下壁と、
前記上壁の端部と前記下壁の端部とを接続する一対の側壁と、
前記上壁と前記下壁とを接続して前記本体部の延在方向に沿って延び、前記中空部を画定する複数の隔壁と、を備え、
前記隔壁の厚さは、前記上壁、前記下壁、および前記側壁の厚さより厚い、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項12】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1リブが設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項13】
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1凹部が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項14】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2リブが設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項15】
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2凹部が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【請求項16】
前記本体部は、
前記集熱部を構成する、板状の上壁と、
前記上壁に対向するように配置されて前記下面を形成する、板状の下壁と、
前記上壁の端部と前記下壁の端部とを接続する一対の側壁と、を備え、
前記上壁が、前記上壁から前記一対の側壁を超えて突出したフランジ部を備え、
前記受光面が、前記上壁および前記フランジ部によって形成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業ハウス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光により得られる熱を熱媒に蓄熱する集熱部材が知られている。集熱部材は、例えば、農業ハウスに設置されている。農業ハウスに設置された集熱部材は、日中に蓄熱し、夜間にその熱を利用して農業ハウス内の空気を温めるといった方法で利用されている。
【0003】
特許文献1には、透明層を有する中空の枠体と、枠体に挿入固定され、流路を有する集熱部と、断熱層とを有する集熱部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された集熱部材では、構成部品数が多く、構造が複雑である。そのため、製造工程も複雑になり、製造工数が増大するおそれがある。また、曇天時や冬季において集熱面に照射される太陽エネルギ密度が減少する場合には流体流路内を流れる流体の伝熱量が不足するおそれがある。
【0006】
本発明は、構造が簡素化された集熱部材およびこれを備える農業ハウスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、1又は複数の集熱部材を内部に備える農業ハウスであって、前記集熱部材が、太陽光が照射される受光面を形成して照射された太陽光から集熱する集熱部と、前記受光面とは反対側の下面と、第1端部から第2端部に向かって延在する中空部とを有する本体部と、前記第1端部と前記第2端部とにそれぞれ配置され、前記中空部を塞ぐ一対の蓋部と、前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、熱媒が前記中空部に流入する流入口と、前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、前記熱媒が前記中空部から流出する流出口とを備え、少なくとも前記本体部の前記下面が、断熱材を介さず前記本体部の厚さ方向において前記中空部と隣接している、農業ハウスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構造が簡素化された集熱部材およびこれを備える農業ハウスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態における集熱部材の斜視図。
【
図2】本発明の第1実施形態における本体部を第1端部側から見た斜視図。
【
図4】本発明の第1実施形態における本体部を第2端部側から見た斜視図。
【
図7】本発明の第1実施形態における蓋部の斜視図。
【
図8】本発明の第1実施形態における集熱部材を配置した農業ハウスの概略図。
【
図9】本発明の第1実施形態における集熱部材の設置構造の側面図。
【
図10】本発明の第1実施形態における集熱部材の設置構造の背面図。
【
図11】本発明の第1実施形態における集熱部材を配置した農業ハウスの概略構成図。
【
図12】
図8の線XII-XIIにおける変形例の断面図。
【
図13】本発明の第2実施形態における本体部の
図2と同様の斜視図。
【
図14】本発明の第2実施形態における蓋部の斜視図。
【
図15】本発明の第3実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図16】本発明の第4実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図17】本発明の第5実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図18】本発明の第5実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図19】本発明の第6実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図20】本発明の第7実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図21】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図22】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図23】本発明の第7実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図24】本発明の第8実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図25】本発明の第9実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図26】本発明の第10実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図27】本発明の第11実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図28】本発明の第11実施形態の変形例における
図6と同様の断面図。
【
図29】本発明の第12実施形態における
図6と同様の断面図。
【
図30】本発明の第13実施形態における集熱部材の分解斜視図。
【
図31】本発明の第13実施形態における集熱部材の断面図。
【
図32】本発明の第14実施形態における集熱部材の断面図。
【
図33】本発明の第15実施形態における
図8と同様の概略図。
【
図34】本発明の第15実施形態における集熱部材の側面図。
【
図35】本発明の第15実施形態における回転機構の概略図。
【
図36A】本発明の第15実施形態における集熱部材が集熱位置に位置する状態を示す概略図。
【
図36B】本発明の第15実施形態における集熱部材が遮光位置に位置する状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本実施形態に係る集熱部材1は、本体部10と一対の蓋部50A,50Bとを備える。
【0011】
図2および
図4を参照すると、本体部10は、金属の押出成形によって成形され、長尺な直方体をなすパネル状の部材である。本実施形態では、本体部10は、第1端部15から第2端部16に延在するように押出成形されている。
【0012】
本実施形態では、本体部10はアルミニウム合金によって成形されている。本体部10の熱伝導率は200w/m・K以上であることが好ましい。本体部10は、アルミニウム、銅、銅合金、または銀等であってもよい。
【0013】
図6を併せて参照すると、本体部10は、平板状の上壁11と、上壁11に対向するように配置され平板状の下壁12と、上壁11と下壁12との端部を接続し延在方向に延びる一対の側壁13A,13Bを備える。また、本体部10は、本体部10の内側において上壁11と下壁12とを接続し本体部10の延在方向に沿って延びる隔壁14A,14B,14C,14D,14E,14Fを備える。隔壁14A~14Fは互いに離間して配置されている。本実施形態では、隔壁14A~14Fの離間距離dは、一定である。
【0014】
以下の説明では、第1端部15から第2端部16に向かう方向をX軸方向とし、側壁13Aから側壁13Bに向かう方向をY軸方向、これらに直交する方向をZ軸方向とする。
【0015】
本体部10は、両端が開口した中空部20を備える。
【0016】
中空部20は、本体部10の内側においてX軸方向に延在し、熱媒が第1端部15から第2端部16に向けて流れる4つの第1流路17A,17C,17E,17Gを備える。また、中空部20は、本体部10の内側においてX軸方向に延在し、熱媒が第2端部16から第1端部15に向けて流れる3つの第2流路17B,17D,17Fを備える。本実施形態では、第1流路17Aは、X軸方向に垂直な断面において上壁11、下壁12、側壁13A、および隔壁14Aによって画定された略矩形で、X軸方向に延びる空間である。第1流路17Aと同様に、第1流路17C,17E,17Gと第2流路17B,17D,17Fとは、上壁11、下壁12、隔壁14A~14F、および側壁13Bによって画定された空間である。換言すると、隔壁14A~14Fは、第1流路17A,17C,17E,17Gと第2流路17B,17D,17Fとを隔てるように設けられている。
【0017】
図3を参照すると、隔壁14Bの第1端部15側には通液孔22Bが設けられている。同様に、隔壁14D,14Fの第1端部15側には、通液孔22D,22Fが設けられている。第2流路17Bと第1流路17Cとは、通液孔22Bを介して連通している。第2流路17Dと第1流路17Eとは、通液孔22Dを介して連通している。第2流路17Fと第1流路17Gとは、通液孔22Fを介して連通している。
【0018】
図5を参照すると、隔壁14Aの第2端部16側には通液孔22Aが設けられている。同様に、隔壁14C,14Eの第2端部16側には、通液孔22C,22Eが設けられている。第1流路17Aと第2流路17Bとは、通液孔22Aを介して連通している。第1流路17Cと第2流路17Dとは、通液孔22Cを介して連通している。第1流路17Eと第2流路17Fとは、通液孔22Eを介して連通している。
【0019】
本実施形態では、通液孔22A~22Fは、押出成形された成形物に対して切削加工を施すことで成形されており、略矩形である。通液孔22A~22Fの形状は、半円形であってもよい。また、通液孔22A~22Fの面積は、第1流路17AのX軸方向に垂直な断面の面積と概略等しい。
【0020】
図1および
図7を参照すると、蓋部50A,50Bは、X軸方向に垂直な断面において本体部10と相似形であり、Y軸方向に長尺な直方体をなす、同一の構造を有する部材である。本実施形態では、蓋部50Aは第1端部15(
図2に示す)に配置され、蓋部50Bは第2端部16(
図2に示す)に配置されている。
【0021】
本実施形態では、蓋部50A,50Bは、アルミニウム合金を切削加工することによって成形されている。蓋部50A,50Bの熱伝導率は200w/m・K以上であることが好ましい。蓋部50A,50Bは、アルミニウム、銅、銅合金、または銀等であってもよい。
【0022】
図5および
図7を参照すると、蓋部50Bは中空構造の窪部51を有する。X軸方向に垂直な断面において、窪部51と本体部10とは同一形状である。窪部51に本体部10の第2端部16側が嵌合することで、第1流路17A,17C,17E,17Gの第2端部16側の開口である第2開口19A,19C,19E,19Gが塞がれている。同様に、窪部51に本体部10の第2端部16側が嵌合することで、第2流路17B,17D,17Fの第2端部16側の開口である第2開口19B,19D,19Fが塞がれている。蓋部50Bは本体部10に溶接等の任意の固定方法で固定されている。
【0023】
また、
図3および
図7を参照すると、蓋部50Aは中空構造の窪部51を有する。X軸方向に垂直な断面において、窪部51と本体部10とは同一形状である。窪部51に本体部10の第1端部15側が嵌合することで、第1流路17A,17C,17E,17Gの第1端部15側の開口である第1開口18A,18C,18E,18Gが塞がれている。同様に、窪部51に本体部10の第1端部15側が嵌合することで、第2流路17B,17D,17Fの第1端部15側の開口である第1開口18B,18D,18Fが塞がれている。蓋部50Aは本体部10に溶接等の任意の固定方法で固定されている。
【0024】
図1および
図5を参照すると、蓋部50Bには、開口19Gに位置合わせされた流出口53が設けられている。本実施形態では、流出口53を介して、熱媒が第1流路17Gから流出する。
【0025】
図1および
図3を参照すると、蓋部50Aには、開口18Aに位置合わせされた流入口52が設けられている。本実施形態では、流入口52を介して、熱媒が第1流路17Aに流入する。
【0026】
流入口52と流出口53との両方が、蓋部50Aに設けられていてもよい。この場合、図示は省略するが、本体部10は、例えば、3つの第1流路17A,17C,17Eと3つの第2流路17B,17D,17Fとを有する。また、流入口52と流出口53との両方が、蓋部50Bに設けられていてもよい。
【0027】
本実施形態における集熱部材1では、流入口52を介して集熱部材1の内部に熱媒が流入し、流出口53を介して集熱部材1の外部に熱媒が流出する。熱媒は、アルミニウム合金が錆びないように中性から弱アルカリ性のものが用いられる。具体的には熱媒はpH6~pH11のものが用いられる。
【0028】
図2および
図4を参照すると、本体部10の内部に流入した熱媒は、2点鎖線で示すように本体部10の内部を蛇行して流れる。
【0029】
具体的には、
図1、
図3、および
図5を参照すると、流入口52を介して流入した熱媒は、第1流路17Aを第1端部15から第2端部16に向かって流れ、通液孔22Aを介して第2流路17Bに流入する。第2流路17Bに流入した熱媒は、第2端部16から第1端部15に向かって流れ、通液孔22Bを介して第1流路17Cに流入する。第1流路17Cに流入した熱媒は、同様に、通液孔22C~22Fを介して第1流路17C,17E,17Gと第2流路17D,17Fとを流れ、流出口53を介して集熱部材1の外部に流出する。つまり、熱媒は、第1流路17A,17C,17E,17G、第2流路17B,17D,17F、および通液孔22A~22Fを介して流入口52から流出口53に向かって蛇行して流れる。
【0030】
図8を参照すると、本実施形態における集熱部材1は農業ハウス70に設置されている。農業ハウス70の内部では野菜などの植物が栽培されている。農業ハウス70の内部のうち、日射条件が良い南側は作物が栽培される栽培領域71で、日射条件が悪い北側は植物が栽培されていない非栽培領域72(図のハッチング部)である。非栽培領域72は、例えば通路や資材置場などである。本実施形態では、集熱部材1により生じる影が非栽培領域72に位置するように、集熱部材1は農業ハウス70の北側の上部に配置されている。集熱部材1は、上壁11の上面(受光面)11cに太陽光が照射されるように配置されている。
【0031】
図9および
図10を併せて参照すると、農業ハウス70の上部には梁73が設けられており、集熱部材1は支持部74を介して梁73に設置される。支持部74は、集熱部材1の設置角度を調整可能に支持する。具体的には、支持部74は、回転板76と脚部77とを備える。回転板76には集熱部材1が固定されており、脚部77は梁73に固定されている。脚部77に対して回転板76が回転可能に固定されることで、集熱部材1の角度が調整され、集熱部材1は、本体部10の上面11cが太陽に面するように配置されている。
【0032】
図11を参照し、本実施形態における集熱部材1の農業ハウス70における使用方法の一例を説明する。
【0033】
農業ハウス70は、タンク78、ポンプ79、制御部80、および放熱器81を備える。タンク78には熱媒が貯蔵されており、熱媒は、タンク78と流体的に接続されたポンプ79によって三方弁82を介して集熱部材1または放熱器81に送られる。
【0034】
放熱器81では、農業ハウス70内の空気と熱媒とが熱交換する。そのため、加熱された熱媒が放熱器81を流れることによって、農業ハウス70内の空気が温められ、熱媒が冷やされる。本実施形態では、放熱器81として、集熱部材1が用いられている。放熱器81として、例えば、栽培領域71にチューブを地面に這わせたものであってもよい。
【0035】
農業ハウス70は、栽培空間84と上部空間85とでなる。栽培空間84は梁73より下側の空間で、上部空間85は梁73を含む栽培空間84より上側の空間である。集熱部材1は上部空間85に配置され、放熱器81は栽培空間84に配置されている。栽培空間84と上部空間85とはカーテン83によって区切られていてもよい。カーテン83により、栽培空間84と上部空間85との間で熱の移動が妨げられ、栽培空間84の保温性が向上する。
【0036】
日中の太陽光が集熱部材1に照射している間は、制御部80によって三方弁82が制御され、タンク78に貯蔵された熱媒は、集熱部材1に向かってポンプ79によって圧送され、循環する。その間、熱媒は集熱部材1で加熱され、昇温する。そして、夜間の太陽光が集熱部材1に照射していない間は、制御部80によって三方弁82が制御され、タンク78に貯蔵された熱媒は、放熱器81に向かってポンプ79によって圧送され、循環する。その間、加熱された熱媒の熱が放熱器81を介して栽培空間84内の空気に伝えられ、栽培空間84内の温度が上昇する。そのため、夜間の温度低下による植物の生育阻害が緩和され、植物の成長率が向上し得る。
【0037】
図12を参照すると、本実施形態の変形例として、集熱部材1は、農業ハウス70の柱86に設置してもよい。変形例における柱86はH形鋼である。集熱部材1は柱86のウェブ86aの太陽光が照射される面に、上面11cが太陽と面するように設置されている。集熱部材1が柱86に設置されているため、栽培領域84に集熱部材1の影が生じることが抑制ないし防止され得る。
【0038】
本実施形態における集熱部材1によれば、金属により成形された本体部10に照射された太陽光が熱に変換され熱媒に蓄えられる。また、集熱部材1は、押出成形された本体部10、本体部10の中空部20を塞ぐ蓋部50A,50B、流入口52、および流出口53のみで構成されており、集熱部材1を構成している部品数が少ない。そのため、構造が簡素化され得る。従って、製造工程も簡素化され、製造工数を短縮することができる。さらに、本体部10は押出成形によって成形されているため、本体部10の長さを容易に変更できる。
【0039】
また、中空部20が2つの流路を備えるため、熱媒が流れる流路が長くなり、本体部10と熱媒とが接する面積が増加し得る。そのため、太陽光により加熱された本体部10の熱を効率的に熱媒に伝えることができる。
【0040】
さらに、熱媒は蛇行して流れるため、本体部10と熱媒とが接する面積を大きく確保することができ、また、接する時間が長くなり得る。従って、太陽光による熱を効率的に熱媒に蓄えることができる。また、本体部10を加工し通液孔22A~22Fを設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、蓋部50A,50Bに蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、蓋部50A,50Bの製造が容易になり得る。
【0041】
その上、支持部74を備えるため、支持部74を介して上面11cに太陽光が照射されるように本体部10の角度を調整できる。
【0042】
(第2実施形態)
図13および
図14を参照すると、第2実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0043】
図13を参照すると、本体部10には、通液孔22A~22F(
図3および
図5に示す)が設けられていない。すなわち、本体部10は、押出成形のみによって成形されている。
【0044】
図5および
図14を参照すると、蓋部50Bは、Y軸方向に長尺な直方体をなす部材で、中空構造の窪部51と中実構造の基礎部54とを備える。基礎部54には、接続流路55A,55B,55Cが設けられている。接続流路55Aは、第2開口19Aと第2開口19Bとを接続し、熱媒の流れ方向を180度曲げる。すなわち、接続流路55Aは、第1流路17Aと第2流路17Bとを連通する。同様に、接続流路55Bは、第2開口19Cと第2開口19Dとを接続し、接続流路55Cは、第2開口19Eと第2開口19Fとを接続する。すなわち、接続流路55Bは、第1流路17Cと第2流路19Dとを連通し、接続流路55Cは、第1流路17Eと第2流路17Fとを連通する。また、基礎部54には流入出流路56Bが設けられている。流入出流路56Bは、第2開口19Gと流出口53とを接続する。
【0045】
図3および
図14を参照すると、蓋部50Aは、Y軸方向に長尺な直方体をなす部材で、中空構造の窪部51と中実構造の基礎部54とを備える。基礎部54には、接続流路55D,55E,55Fが設けられている。接続流路55Dは、第1開口18Fと第1開口18Gとを接続し、熱媒の流れ方向を180度曲げる。すなわち、接続流路55Dは、第2流路17Fと第1流路17Gとを連通する。同様に、接続流路55Eは、第1開口18Dと第1開口18Eとを接続し、接続流路55Fは、第1開口18Bと第1開口18Cとを接続する。すなわち、接続流路55Eは、第2流路17Dと第1流路19Eとを連通し、接続流路55Fは、第2流路17Bと第1流路17Cとを連通する。また、基礎部54には流入出流路56Aが設けられている。流入出流路56Aは、第1開口18Aと流出口52とを接続する。
【0046】
流入口52から流入した熱媒は、蓋部50Aの流入出流路56Aを介して第1流路17Aに流入し、第1流路17Aを第1端部15から第2端部16に向かって流れ、蓋部50Bの接続流路55Aを介して第2流路17Bに流入する。第2流路17Bに流入した熱媒は、第2端部16から第1端部15に向かって流れ、蓋部50Aの接続流路55Fを介して第1流路17Cに流入する。第1流路17Cに流入した熱媒は、同様に、第1流路17C,17E,17G、第2流路17D,17F、蓋部50Aの接続流路55D,55E、および蓋部50Bの接続流路55B,55Cを流れ、流出口53から集熱部材1の外部に流出する。つまり、熱媒は、第1流路17A,17C,17E,17G、第2流路17B,17D,17F、蓋部50Aの接続流路55D~55F、および蓋部50Bの接続流路55A~55Cを介して、流入口52から流出口53に向かって蛇行して流れる。
【0047】
第2実施形態における集熱部材1によれば、蓋部50A,50Bを加工し接続流路55A~55Fを設けることで、熱媒が蛇行して流れる流路が成形され得る。そのため、本体部10に蛇行流路を成形するための加工を必要とせず、本体部10の製造が容易になり得る。
【0048】
(第3実施形態)
図15を参照すると、第3実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第3実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0049】
第3実施形態における本体部10は、本体部10の延在方向に垂直な断面において、段差構造30を有する。具体的には、第2流路17Bが第1流路17Aに対して一段上がるように段差31Aが設けられている。同様に、段差31B~31Fが設けられている。
【0050】
第3実施形態における集熱部材1によれば、段差構造30で設置面積あたりの太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、集熱部材1により生じる影の面積あたりの照射面積が増加するため、影の面積の増加を抑制することができる。さらに、本体部10は押出成形物であるため、このような段差構造30を有する構造も容易に成形され得る。
【0051】
(第4実施形態)
図16を参照すると、第4実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第4実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0052】
第4実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。本体部10は、本体部10の延在方向に垂直な断面において、湾曲部32を有する。具体的には、本体部10の上壁11は下壁12に向けて凸状に湾曲しており、下壁12は上壁11に向けて凹状に湾曲している。
【0053】
第4実施形態における集熱部材1によれば、湾曲部74で太陽光の照射面積が増加するため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、集熱部材1により生じる影の面積あたりの照射面積が増加するため、影の面積の増加を抑制することができる。さらに、本体部10は押出成形物であるため、このような湾曲部74を有する構造も容易に成形され得る。
【0054】
(第5実施形態)
図17を参照すると、第5実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第5実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0055】
第5実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0056】
第5実施形態における本体部10では、第1流路17Aと第2流路17Bとを隔てる隔壁14Aの厚みt1は、第2流路17Bと第1流路17Cとを隔てる隔壁14B、上壁11、下壁12、および側壁13A,13Bの厚みt2に比べ、厚くなっている。
【0057】
第5実施形態における集熱部材1によれば、隣り合う第1流路17Aと第2流路17Bとの熱交換が抑制され得る。そのため、第2流路17Bを流れる熱媒の熱が第1流路17Aを流れる熱媒へ伝わることを抑制でき、第2流路17Bにおける高い熱媒温度を維持することができる。
【0058】
図18を参照すると、第5実施形態における本体部10の変形例では、第1流路17Aを画定する部分の厚みt1が、他の部分の厚みt2に比べ厚くなっている。つまり、上壁11のうち第1流路17Aを画定する部分である第1上壁部分11aの厚みt1は、上壁11のうち第2流路17Bと第1流路17Cとを画定する第2上壁部分11bの厚みt2に比べ厚くなっている。また、下壁12のうち第1流路17Aを画定する部分である第1下壁部分12aの厚みt1は、下壁12のうち第2流路17Bと第1流路17Cとを画定する第2下壁部分12bの厚みt2に比べ厚くなっている。さらに、第1流路17Aを画定する側壁13Aの厚みt1は、側壁13Bの厚みt2に比べ厚くなっており、第1流路17Aを画定する隔壁14Aの厚みt1は、隔壁14Bの厚みt2に比べ厚くなっている。
【0059】
変形例における集熱部材1によれば、第1流路17Aと第2流路17Bとの熱交換を抑制しつつ、第1流路17Aの加熱効率を増加させることができる。第1流路17Aを画定している、第1上壁部分11a、側壁13A、第1下壁部分12a、および隔壁14Aは厚く、熱保有量が大きい。そのため、第1流路17Aは、第2流路17Bと第1流路17Cとに比べ加熱効率が向上し得る。
【0060】
(第6実施形態)
図19を参照すると、第6実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第6実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0061】
第6実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0062】
第6実施形態における本体部10では、第1流路17Aと第2流路17Bとを隔てる隔壁14Aが上壁11と側壁13Aとを接続するように設けられている。つまり、第1流路17Aの延在方向に垂直な断面の面積、すなわち、流路断面積S1は、第2流路17Bと第1流路17Cとの延在方向に垂直な断面の面積、すなわち、流路断面積S2に比べ、小さくなっている。換言すると、流入口52(
図1に示す)と位置合わせされた第1流路17Aの流路断面積S1は、第2流路17Bの流路断面積S2に比べ、小さい。第6実施形態では、第2流路17Bと第1流路17Cとの延在方向に垂直な断面の面積は等しくなっている。
【0063】
第6実施形態における集熱部材1によれば、流入口52と位置合わせされた第1流路17Aで熱媒の圧力損失が生じるため、熱媒の流速が低下し、熱媒が本体部10に接する時間が延びる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0064】
(第7実施形態)
図20を参照すると、第7実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第7実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0065】
第7実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0066】
本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ(第1リブ)33Aが互いに隙間を空けて上壁11に設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、リブ(第1リブ)33B,33Cが設けられている。リブ33A~33Cは、本体部10と一体に押出成形されている。
【0067】
第7実施形態における集熱部材1によれば、リブ33A~33Cが設けられていることで、本体部10と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部10に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、このようなリブ33A~33Cを有する構造も容易に成形され得る。
【0068】
第7実施形態の変形例における本体部10の断面図を
図21~
図23に示す。
【0069】
図21を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて下壁12に設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、リブ33B,33Cが設けられている。
【0070】
図22を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて側壁13Aに設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。また、本体部10には、第2流路17Bに向けて突出した複数のリブ33Bが互いに隙間を空けて隔壁14Aに設けられている。リブ33Bは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第1流路17Cにおいても同様に、リブ33Cが隔壁14Bに設けられている。
【0071】
図23を参照すると、本体部10には、第1流路17Aに向けて突出した複数のリブ33Aが互いに隙間を空けて隔壁14Aに設けられている。リブ33Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bにおいても同様に、リブ33Bが隔壁14Bに設けられている。また、本体部10には、第1流路17Cに向けて突出した複数のリブ33Cが互いに隙間を空けて側壁13Bに設けられている。リブ33Cは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。
【0072】
(第8実施形態)
図24を参照すると、第8実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第8実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0073】
第8実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0074】
本体部10には、第1流路17Aに面するように複数の凹部(第1凹部)42Aが互いに隙間を空けて上壁11に設けられている。凹部42Aは、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。第2流路17Bと第1流路17Cとにおいても同様に、凹部(第1凹部)42B,42Cが設けられている。凹部42A~42Cは、本体部10と一体に押出成形されている。また、凹部42A~42Cは、下壁12または側壁13A,13Bに設けられていてもよく、上壁11、下壁12、および側壁13A,13Bの全てに設けられていてもよい。
【0075】
第8実施形態によれば、凹部42A~42Cが設けられていることで、本体部10と熱媒とが接する面積が増加している。そのため、本体部10に照射され変換された太陽光による熱が、効率的に熱媒に伝わり蓄えられ得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、凹部42A~42Cは容易に成形され得る。
【0076】
(第9実施形態)
図25を参照すると、第9実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第9実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0077】
第9実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0078】
本体部10には、本体部10の外側に向けて突出した複数のリブ(第2リブ)41が互いに隙間を空けて上面11cに設けられている。リブ41は、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。リブ41は、本体部10と一体に押出成形されている。
【0079】
第9実施形態における集熱部材1によれば、リブ41が設けられていることで、太陽光が本体部10に照射する面積が増加し得る。すなわち、上面11cに照射された太陽光に加え、リブ41に照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。
【0080】
(第10実施形態)
図26を参照すると、第10実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第10実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0081】
第10実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0082】
本体部10には、本体部10の外側に面するように複数の凹部(第2凹部)43が互いに隙間をあけて上面11cに設けられている。凹部43は、本体部10の延在方向に沿って、第1端部15(
図2に示す)から第2端部16(
図2に示す)まで延びている。凹部43は、本体部10と一体に押出成形されている。
【0083】
第10実施形態によれば、凹部43が設けられていることで、太陽光が本体部10に照射する面積が増加し得る。すなわち、上面11cに照射された太陽光に加え、凹部43に照射された太陽光によって熱媒が加熱され得る。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。すなわち、太陽エネルギ密度の減少に対応できる。また、本体部10は押出成形物であるため、凹部43は容易に成形され得る。
【0084】
また、第10実施形態では、凹部43は、傾斜して窪んでいる。そのため、太陽光が照射される面積が増加し得る。
【0085】
(第11実施形態)
図27および
図28を参照すると、第11実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第11実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0086】
図27を参照すると、第11実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。第1流路17A,17Cと第2流路17Bとの延在方向に垂直な断面形状は、丸形である。
【0087】
第11実施形態における集熱部材1によれば、本体部10における体積当たりの金属部分の割合が増加し得る。そのため、金属部分の熱保有量も増加し得るため、熱媒の加熱効率が向上し得る。また、断面形状が丸型であることから、第1流路17A,17Cと第2流路17Bとに空気が残ることが抑制され得る。そのため、本体部10と熱媒との接触面積が増加し、熱媒の加熱効率が増加し得る。
【0088】
図28を参照すると、第11実施形態の変形例では、第1流路17A,17Cと第2流路17Bとの延在方向に垂直な断面形状は、星形である。
【0089】
第11実施形態の変形例における集熱部材1によれば、本体部10における体積当たりの金属部分の割合が増加し得る。そのため、金属部分の熱保有量も増加し得るため、熱媒の加熱効率が向上し得る。また、断面形状が星型であることから、本体部10と熱媒との接触面積が増加し、熱媒の加熱効率が増加し得る。
【0090】
(第12実施形態)
図29を参照すると、第12実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第12実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0091】
第12実施形態における本体部10は、第1流路17A,17Cおよび第2流路17Bのみで構成されている。
【0092】
第12実施形態における上壁11は、上壁11から一対の側壁13A,13Bを超えて突出した、すなわち、Y軸方向に沿って両方向に延長されたフランジ部34A,34Bを備える。フランジ部34Aは、太陽に面する上面(受光面)35Aを備える。また、フランジ部34Bは、太陽と面する上面(受光面)35Bを備える。第12実施形態では、上面35A,35Bは、上面11cと面一である。また、第12実施形態では、フランジ部34A,34Bは上壁11と一体に押出成形されているが、別体で成形され溶接等により上壁11と一体化されてもよい。
【0093】
また、上面35A,35Bと上面11cとには、黒色の皮膜36A,36B,36Cが被膜されている。黒色の皮膜36A~36Cは、例えば、アルミニウム合金を電解処理した高輻射率皮膜であり、太陽光のほとんど全ての波長の光を吸収する。
【0094】
第12実施形態における集熱部材1では、本体部10の外面40のうち、上面35A,35Bと上面11cとを除く外面40に断熱材37A,37B,37C,37D,37Eが配置されている。第12実施形態では、本体部40の外面40は、上面35A,35B、上面11c、フランジ部34Aの下面38A、側壁13Aの外面39A、下壁12の下面12c、側壁13Bの外面39B、およびフランジ部34Bの下面38Bを含む。断熱材37Aは、下面38Aに接するように配置され、断熱材37Bは、外面39Aに接するように配置されている。また、断熱材37Cは、下面12cに接するように配置され、断熱材37Dは、外面39Bに接するように配置されている。さらに、断熱材37Eは、下面38Bに接するように配置されている。
【0095】
第12実施形態における集熱部材1によれば、上面35A,35Bと上面11cとにおける輻射率が向上し得るため、太陽光による熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0096】
また、上面35A,35Bが設けられているため、太陽光の受光面積が増加し、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0097】
さらに、断熱材37A~37Eが設けられているため、加熱された熱媒または本体部10の熱が、大気などに放出されることを抑制ないし防止できる。そのため、熱媒の加熱効率が向上し得る。
【0098】
(第13実施形態)
図30および
図31を参照すると、第13実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第13実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0099】
本体部10は、上壁11、下壁12、および一対の側壁13A,13Bを備え、全体としてパネル形状、すなわち、低背かつ長尺の直方体状に形成される。上壁11および下壁12は、平面視で長方形状に形成される。一対の側壁13A,13Bは、上壁11および下壁12の長辺同士を上下方向に接続し、長手方向(X方向)に延びる。本体部10は、これら4つの壁11,12,13A,13Bで画定された内部空間としての中空部20を有する。中空部20は、長手方向の両端部(すなわち、第1端部15および第2端部16)で開放されている。換言すれば、本体部10は、長手方向の両端部に、4つの壁11~14の端縁で画定された矩形状の一対の開口を有する。
【0100】
中空部20は、複数の隔壁14で仕切られている。複数の隔壁14は、短辺方向(Y方向)に間隔をおいて配置され、長手方向に延びる。各隔壁14は、上端部にて上壁11の内面に接続され、下端部にて下壁12の内面に接続される。中空部20は、短辺方向に並ぶ複数の長孔に仕切られ、各長孔は第1端部15から第2端部16に向かって本体部10の長手方向に沿って平行に延びている。本実施形態では、隔壁14が等間隔をおいて配置される。上壁11と下壁12との間の上下方向の間隔は、本体部10の全体にわたって一様である。複数の長孔は、等面積の矩形状断面を有する。図示例では、隔壁14の個数が6、長孔の個数はそれより1多い7であるが、長孔の個数は、複数であればよく特に限定されない。
【0101】
各長孔は、第1端部15で開放された第1開口18と、第2端部16で開放された第2開口19とを有している。各隔壁14の両端は、4つの壁11~14で画定された内部空間に位置づけられる。そのため、各長孔の第1開口18も第2開口19も、当該内部空間に配置される。
【0102】
本体部10は、第1端部15において、本体部10の開口を複数の第1開口18それぞれに連通させる第1凹部23を有し、第2端部16において、本体部10の開口を複数の第2開口19それぞれに連通させる第2凹部24を有する。
【0103】
第1端部15は、蓋部50Aの窪部51に液密に嵌合され、第2端部16は、蓋部50Bの窪部51に液密に嵌合される。これにより、集熱部材1が構成される。流入口52から流入した熱媒は、第1凹部23および複数の第1開口18を介し、複数の長孔それぞれに流入する。熱媒は、複数の長孔の各々において第1端部15から第2端部16に向けて流れる。すなわち、これら長孔はいずれも、熱媒を第1端部15から第2端部16に向けて流す第1流路17としての役割を果たす。各第1流路17内の熱媒は、対応する第2開口19を介して第2凹部24で合流する。第2凹部24内の熱媒は、流出口53を介して流出する。
【0104】
熱媒が蛇行して流れる第1実施形態とは異なり、本実施形態では、集熱部材1が、流出口53が配置される第2端部16から流入口52が配置される第1端部15に向けて熱媒を流す第2流路(例えば、
図3に示す流路17B,17D,17F)を備えない。集熱部材1の中空部20は、第1凹部23および第2凹部24に対して並列に接続された複数の第1流路17である。熱媒は、第1凹部23から第1流路17へと分流され、第1端部15から第2端部16に向かって一方通行で流れ、第2凹部24において合流する。
【0105】
なお、ポンプ79が始動した後には、複数の第1流路17のうち、流入口52に近いものから順に、熱媒の流れが形成される。そのため、流入口52に近い流路ほど熱媒の温度が高く、流入口52から遠い流路ほど熱媒の温度が低くなるようにして、複数の第1流路17内の熱媒の温度に勾配が付く。
【0106】
本実施形態においても、構造が簡素化された集熱部材1を提供することができる。更に、複数の第1流路17が並列接続されて熱媒が集熱部材1内を一方通行で流れることで、熱媒の流量を確保しやすい。流量が多くなると、室内が過剰に温度上昇した際には熱媒で室温を下げることも可能となり、冷房設備の補助装置として利用することも可能となる。また、熱媒の滞留時間が短縮するためポンプ79の負荷が下げることができる。
【0107】
(第14実施形態)
図32を参照すると、第14実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第14実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0108】
第13実施形態とは異なり、隔壁14の長手方向の両端部が本体部10の全体としての長手方向の端縁と略同じ位置にある。代わりに、一対の蓋部50A,50Bが、窪部51内に突出するストッパ57を有している。そのため、第1端部15が窪部51に嵌合されると、第1端部15は窪部51の内底面に到達する前にストッパ57に当接し、そこで長手方向への移動を規制される。第2端部16もこれと同様である。これにより、一対の蓋部50A,50Bには、ストッパ57よりも外側(窪部51の奥側)において、複数の第1流路17と連通する共通流路58A,58Bが設けられる。蓋部50Aの共通流路58Aは流入口52と連通し、蓋部50Bの共通流路58Bは流出口53と連通する。
【0109】
本実施形態においても、第13実施形態と同様にして、熱媒が、流入口52を介して共通流路58Aに流入し、共通流路58Bから複数の第1流路17に分流し、共通流路58Bにおいて合流し、流出口53を介して集熱部材1から流出する。これにより、第13実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0110】
(第15実施形態)
図33~
図36Bを参照すると、第15実施形態に係る集熱部材1の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第15実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0111】
図33に示すように、農業ハウス70は、複数本の柱86と、柱86の上端部同士を接続する梁73と、梁73の上側に設けられて切妻状の屋根の骨格を成す合掌梁87とを備える。農業ハウス70は、平面視で長方形状の外形輪郭を有し、6本の柱86が、外形輪郭の四隅と、外形輪郭の一対の長辺の中点付近に設置されている。梁73には、外形輪郭の長辺に沿って延びる一対の長梁73aと、外形輪郭の短辺方向に並ぶ2本の柱86の上端部同士を接続する複数本の短梁73bとを有する。更に、梁73は、長梁73aおよび短梁73bで囲まれた領域内に配置された第1補助梁89aおよび第2補助梁89bを備え、第1補助梁89aは長梁73aと平行に延び、第2補助梁89bは短梁73bと平行に延びる。農業ハウス70の内部は、梁73より上方の上部空間85と、梁73より下方の栽培空間84とに大別され得る。栽培空間84は、南側の栽培領域71と、北側の非栽培領域72とに大別され得る。
【0112】
農業ハウス70は、1又は複数の集熱部材1を備える。
図33は、4つの集熱部材1を図示しているが、集熱部材1の個数は変更可能である。各集熱部材1は、長手方向(X方向)を農業ハウス70の平面視短辺方向に向けた姿勢で、梁73(特に、補助梁89a,89b)に支持されており、本実施形態では、農業ハウス70の梁73が集熱部材1を支持する支持材として機能している。4つの集熱部材1は、農業ハウス70の平面視長辺方向において等間隔をおいて配列されている。
【0113】
図34を参照して、本実施形態においても、集熱部材1は、パネル形状に形成されている。換言すれば、集熱部材1は、低背かつ長尺の直方体状に形成されている。集熱部材1は、これまでの実施形態と同様にして、本体部10と、一対の蓋部50A,50Bとを備える。集熱部材1の内部の流路は、第1実施形態のような蛇行型に構成されていてもよいし、第13実施形態のような一方通行型に構成されていてもよい。
【0114】
これまで、本体部10の外形を成す4つの壁のうち、広い長方形状の表面を有した2つを上壁11および下壁12と称してきたが、ここでは、表面側の第1壁91および裏面側の第2壁92と称する。本実施形態では、集熱部材1の回転動作により、どちらの壁91,92を上向きとするのか、選択自在であるからである。
【0115】
第1壁91の外表面上には、複数本のフィン93が設けられている。フィン93は、本体部10に一体に設けられていてもよいし、溶接などの接合手段で第1壁91に接合されてもよい。本実施形態では、各フィン93が、本体部10の短手方向(Y方向)に延び、複数本のフィン93が、本体部10の長手方向(X方向)に間隔をあけて配列されているが、これは単なる一例である。フィン93の個数、フィン93の延びる方向およびフィン93の配列方向は適宜変更可能である。
【0116】
本体部10は、第1壁91およびフィン93が設けられている表面側に集熱部94を備える。本体部10は、第2壁92が設けられている裏面側に反射部95を備える。集熱部94は、太陽光が照射されると、その太陽光から集熱する。反射部95は、太陽光が照射されると、照射された太陽光を反射する。
【0117】
集熱部94は、本体部10の第1壁91の外表面およびフィン93の表面を黒色塗装することによって構成される。本実施形態に係る本体部10は、アルミニウム合金で製作されており、反射部95はこのような本体部10を無垢(例えば、無塗装)とすることによって構成される。任意の素材に光を反射する塗料が塗装されてもよい。なお、図示例では、集熱部94の図示の便宜のため、側壁13Bが部分的に黒色塗装されているが、集熱部94は、少なくとも第1壁91の外表面に設けられていればよく、側壁13Bには設けられていなくてもよい。
【0118】
一対の蓋部50A,50Bの外表面には、集熱部材1の長手方向(X方向)に突出する一対の回転軸96が設けられている。一対の回転軸96は、互いに同軸状である。一対の回転軸96は、支持材に設けられている支承部(不図示)に回転可能に支持される。これにより、集熱部材1およびその本体部10は、回転軸96を中心にして農業ハウス70に対して角度を調整可能に支持される。本実施形態では、農業ハウス70の平面視短辺方向が東西方向に沿っており、回転軸96は東西方向に指向している。これにより、太陽高度に応じて角度を変更することで、パネル1を太陽に向けることができる。
【0119】
図35に示すように、農業ハウス70は、複数の集熱部材1を備える場合において、複数の集熱部材1の構造部材に対する取付角度を同期して変更する回転機構100を備える。回転機構100は、手動によって作動してもよいし、電気モータ等のアクチュエータにより発生される駆動力で自動的に作動してもよい。
図35は、手動式の一例を示している。
【0120】
回転機構100は、コード101、およびコード101が巻き掛けられる複数のプーリ102~104によって構成されている。コード101は、第1上方延在部101a、第1鉛直部101b、第2鉛直部101cおよび第2上方延在部101dを有する。これらの部分101a~101dは、この順で途切れずに連続している。
【0121】
第1上方延在部101aは、支持材に沿って延び、複数の集熱部材1それぞれの長手方向の端面のうち短手方向の一端部に順次に固定される。第1鉛直部101bは、第1上方延在部101aから下方へ延びる。第2鉛直部101cは、第1鉛直部101bの下端部から上方へ延びる。第2上方延在部101cは、支持材に沿って延び、複数の集熱部材1それぞれの長手方向の端面のうち短手方向の他端部に順次に固定されている。なお、一対の蓋部50A,50Bには、第1上方延在部101aおよび第2延在部101bを係止する係止部97(
図34を参照)を有する。
【0122】
第1鉛直部101bおよび第2鉛直部101cの下端部は、栽培空間73内にある。農業ハウス70の作業員が、第1鉛直部101bを下方に引くと、4つの集熱部材1が、
図35における反時計回りに同期して回転する。農業ハウス70の作業員が、第2鉛直部101cを下方に引くと、4つの集熱部材1が、
図35における時計回りに同期して回転する。集熱部材1は、この回転機構100の作用により、集熱部94が上に向けられた集熱位置と、反射部95が上に向けられた遮光位置との間で角度が同期して変更される。
【0123】
図36Aに示すように、集熱部材1が集熱位置に位置づけられているときには、反射部95が栽培空間84に臨む一方、太陽光が集熱部94に照射される。集熱部94は、太陽光から集熱し、集熱部材1の内部を流れる熱媒が加温される。フィン93が集熱部94として機能するため、集熱部材1の平面積に対して集熱部94の表面積を大きく確保することができ、集熱効率が高い。冬季に集熱部94を上に向けることで、栽培空間84の温度を栽培に適した温度で維持することが容易となる。
【0124】
図36Bに示すように、集熱部材1が遮光位置に位置づけられているときには、集熱部94が栽培空間84に臨む一方、太陽光が反射部95に照射される。反射部95は、太陽光を反射する。そのため、太陽光エネルギが熱媒の温度上昇に利用されない。他方、栽培空間84内では、対流熱伝達により、上方がより高温になりがちである。集熱部94は、栽培空間84の上部領域からの熱線を吸収する。これにより、栽培空間84が過度に温度上昇した場合に、集熱部94はこの吸熱効果によって栽培空間84内の温度を適温に調整する機能を果たす。フィン93が集熱部94として機能するため、吸熱効果は向上する。夏季に反射部95を上に向けるとともに集熱部94を下に向けて栽培空間84に臨ませることで、栽培空間84の温度を栽培に適した温度で維持することが容易となる。
【0125】
このように、本実施形態によれば、年間を通じて気温の変動が大きい地域に農業ハウス70が設置された場合において、年間を通じて栽培空間84の温度を適温に維持することが容易となる。
【0126】
本開示は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
1又は複数の集熱部材を内部に備える農業ハウスであって、
前記集熱部材が、
太陽光が照射される受光面を形成して照射された太陽光から集熱する集熱部と、前記受光面とは反対側の下面と、第1端部から第2端部に向かって延在する中空部とを有する本体部と、
前記第1端部と前記第2端部とにそれぞれ配置され、前記中空部を塞ぐ一対の蓋部と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、熱媒が前記中空部に流入する流入口と、
前記一対の蓋部のいずれかに設けられ、前記熱媒が前記中空部から流出する流出口と
を備え、
少なくとも前記本体部の前記下面が、断熱材を介さず前記本体部の厚さ方向において前記中空部と隣接している、
農業ハウス。
(態様2)
前記集熱部材が、栽培空間の上方に配置され、且つ、前記受光面を上側に向けて前記下面を前記栽培空間に臨ませる集熱位置と、前記下面を上側に向けて前記受光面を前記栽培空間に臨ませる遮光位置との間で角度変更可能に支持されている、
態様1に記載の農業ハウス。
(態様3)
複数本の柱と、
前記柱の上端部同士を接続するよう配置された梁と、を更に備え、
前記集熱部材が、前記梁より上方の上部空間に配置される、
態様1又は2に記載の農業ハウス。
(態様4)
前記本体部が、アルミニウムないしアルミニウム合金で形成された金属押出成形物である、
態様1から3のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様5)
前記本体部が、前記下面を形成して太陽光を反射する反射部を有し、
前記反射部が、無垢とすることにより構成される、
態様4に記載の農業ハウス。
(態様6)
前記集熱部は、黒色塗装されている、
態様1から5のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様7)
前記集熱部は、黒色の皮膜で被膜されている、
態様1から5のいずれか1つに記載の集熱部材。
(態様8)
前記集熱部は、前記受光面から突出するフィンを備える、
態様1から7のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様9)
前記本体部は、前記本体部の延在方向に垂直な断面において、段差構造を有する、
態様1から8のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様10)
前記本体部は、前記本体部の延在方向に垂直な断面において、湾曲部を有する、
態様1から8のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様11)
前記本体部は、
前記集熱部を構成する、板状の上壁と、
前記上壁と対向するように配置されて前記下面を形成する、板状の下壁と、
前記上壁の端部と前記下壁の端部をと接続する一対の側壁と、
前記上壁と前記下壁とを接続して前記本体部の延在方向に沿って延び、前記中空部を画定する複数の隔壁と、を備え、
前記隔壁の厚さが、前記上壁、前記下壁、および前記側壁の厚さよりも厚い、
請求項1から10のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様12)
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1リブが設けられている、
請求項1から11のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様13)
前記中空部には、前記中空部が延在する方向に沿って第1凹部が設けられている、
請求項1から12のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様14)
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2リブが設けられている、
態様1から13のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様15)
前記受光面には、前記本体部が延在する方向に沿って第2凹部が設けられている、
態様1から14のいずれか1つに記載の農業ハウス。
(態様16)
前記本体部は、
前記集熱部を構成する、板状の上壁と、
前記上壁と対向するように配置されて前記下面を形成する、板状の下壁と、
前記上壁の端部と前記下壁の端部をと接続する一対の側壁と、を備え、
前記上壁が、前記上壁から前記一対の側壁を超えて突出するフランジ部を備え、
前記受光面が、前記上壁および前記フランジ部によって形成される、
態様1から15のいずれか1つに記載の農業ハウス。
【符号の説明】
【0127】
1 集熱部材
10 本体部
11 上壁
11a 第1上壁部分
11b 第2上壁部分
11c 上面(受光面)
12 下壁
12a 第1下壁部分
12b 第2下壁部分
12c 下面
13A,13B 側壁
14A,14B,14C,14D,14E,14F 隔壁
15 第1端部
16 第2端部
17A,17C,17E,17G 第1流路
17B,17D,17F 第2流路
18A,18B,18C,18D,18E,18F,18G 第1開口
19A,19B,19C,19D,19E,19F,19G 第2開口
20 中空部
22A,22B,22C,22D,22E,22F 通液孔
30 段差構造
31A,31B,31C,31D,31E,31F 段差
32 湾曲部
33A,33B,33C リブ(第1リブ)
34A,34B フランジ部
35A,35B 上面(受光面)
36A,36B,36C 黒色の皮膜
37A,37B,37C,37D,37E 断熱材
38A,38B 下面
39A,39B 外面
40 外面
41 リブ(第2リブ)
42A,42B,42C 凹部(第1凹部)
43 凹部(第2凹部)
50A,50B 蓋部
51 窪部
52 流入口
53 流出口
54 基礎部
55A,55B,55C,55D,55E,55F 接続流路
56A,56B 流入出流路
70 農業ハウス
71 栽培領域
72 非栽培領域
73 梁
74 支持部
76 回転板
77 脚部
78 タンク
79 ポンプ
80 制御部
81 放熱器
82 三方弁
83 カーテン
84 栽培空間
85 上部空間
86 柱
86a ウェブ