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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091789
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】可搬型空気入れ
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F04B41/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066890
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2022096265の分割
【原出願日】2018-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮 耕介
(72)【発明者】
【氏名】西土 典之
(72)【発明者】
【氏名】中村 健人
(57)【要約】
【課題】様々な対象物に圧縮空気を供給可能で操作性に優れた可搬型の空気入れを提供する。
【解決手段】可搬型の空気入れ1は、モータ51、圧縮機構6、本体ハウジング2、脚部3、グリップ部4、およびトリガ41を備える。圧縮機構6は、モータ51によって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成されている。本体ハウジング2は、モータ51の電源であるバッテリ8を着脱可能なバッテリ装着部251を有するとともに、モータ51および圧縮機構6を収容する。脚部3は、下面31が載置面P上に配置された状態で、本体ハウジング2を支持する。グリップ部4は、本体ハウジング2に連結され、脚部3の下面31と略平行に延在する。トリガ41は、使用者による引き操作が可能にグリップ部4に設けられている。モータ51は、トリガ41の引き操作に応じて駆動される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の空気入れであって、
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成された圧縮機構と、
前記モータの電源であるバッテリを着脱可能なバッテリ装着部と、前記圧縮機構から吐出された圧縮空気を対象物に導くためのホースの取付け口とを有するとともに、前記モータおよび前記圧縮機構を収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから突出する脚部であって、下面を有し、前記下面が載置面上に配置された状態で、前記本体ハウジングを支持する脚部と、
前記本体ハウジングに連結されたグリップ部と、
前記空気入れの空気圧を表示するディスプレイと、を備え、
前記本体ハウジングは、前記モータを収容する長尺のモータ収容部を含み、
前記脚部の前記下面に直交する方向は、前記空気入れの上下方向を規定し、
前記上下方向に直交し、且つ、前記モータ収容部の延在方向に対応する方向は、前記空気入れの前後方向を規定し、
前記脚部は、
前記本体ハウジングから下方に突出する前側脚部と、
前記本体ハウジングから下方に突出し、前記前側脚部よりも後側に配置される後側脚部と、を含み、
前記グリップ部は、前記モータ収容部の上方に離間して、前記モータ収容部に対向して延在しており、
前記圧縮機構の少なくとも一部と前記モータの少なくとも一部との少なくともいずれかは、前記空気入れを側方からみたときに、前記前側脚部を上方に延長した第1領域と重なるように配置され、
前記バッテリ装着部の少なくとも一部は、前記空気入れを側方からみたときに、前記後側脚部を上方に延長した第2領域と重なることを特徴とする空気入れ。
【請求項2】
請求項1に記載の空気入れであって、
前記圧縮機構の少なくとも一部および前記モータの少なくとも一部は、前記空気入れを側方からみたときに、前記第1領域と重なるように配置されていることを特徴とする空気入れ。
【請求項3】
可搬型の空気入れであって、
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成された圧縮機構と、
前記モータの電源であるバッテリを着脱可能なバッテリ装着部と、前記圧縮機構から吐出された圧縮空気を対象物に導くためのホースの取付け口とを有するとともに、前記モータおよび前記圧縮機構を収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから突出する脚部であって、下面を有し、前記下面が載置面上に配置された状態で、前記本体ハウジングを支持する脚部と、
前記本体ハウジングに連結されたグリップ部と、
前記空気入れの空気圧を表示するディスプレイと、を備え、
前記本体ハウジングは、前記モータを収容する長尺のモータ収容部を含み、
前記脚部の前記下面に直交する方向は、前記空気入れの上下方向を規定し、
前記上下方向に直交し、且つ、前記モータ収容部の延在方向に対応する方向は、前記空気入れの前後方向を規定し、
前記脚部は、
前記本体ハウジングから下方に突出する前側脚部と、
前記本体ハウジングから下方に突出し、前記前側脚部よりも後側に配置される後側脚部と、を含み、
前記グリップ部は、前記モータ収容部の上方に離間して、前記モータ収容部に対向して延在しており、
前記バッテリ装着部は、前記空気入れを側方からみたときに、前記前後方向における前記前側脚部と前記後側脚部との中間点よりも後側に設けられており、
前記モータは、前記空気入れを側方からみたときに、前記モータのうち半分以上の部分が前記中間点よりも前側に配置されるように設けられており、
前記圧縮機構は、前記空気入れを側方からみたときに、前記中間点よりも前側に設けられていることを特徴とする空気入れ。
【請求項4】
可搬型の空気入れであって、
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成された圧縮機構と、
前記モータの電源であるバッテリを着脱可能なバッテリ装着部と、前記圧縮機構から吐出された圧縮空気を対象物に導くためのホースの取付け口とを有するとともに、前記モータおよび前記圧縮機構を収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから突出する脚部であって、下面を有し、前記下面が載置面上に配置された状態で、前記本体ハウジングを支持する脚部と、
前記本体ハウジングに連結されたグリップ部と、
前記空気入れの空気圧を表示するディスプレイと、を備え、
前記本体ハウジングは、前記モータを収容する長尺のモータ収容部を含み、
前記脚部の前記下面に直交する方向は、前記空気入れの上下方向を規定し、
前記上下方向に直交し、且つ、前記モータ収容部の延在方向に対応する方向は、前記空気入れの前後方向を規定し、
前記脚部は、前記本体ハウジングから下方に突出しており、
前記グリップ部は、前記モータ収容部の上方に離間して、前記モータ収容部に対向して延在しており、
前記バッテリ装着部は、前記空気入れを側方からみたときに、前記前後方向における前記グリップ部の前端部と前記グリップ部の後端部との中間点よりも後側に設けられており、
前記モータは、前記空気入れを側方からみたときに、前記モータのうち半分以上の部分が前記中間点よりも前側に配置されるように設けられており、
前記圧縮機構は、前記空気入れを側方からみたときに、前記中間点よりも前側に設けられていることを特徴とする空気入れ。
【請求項5】
可搬型の空気入れであって、
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成された圧縮機構と、
前記モータの電源であるバッテリを着脱可能なバッテリ装着部と、前記圧縮機構から吐出された圧縮空気を対象物に導くためのホースの取付け口とを有するとともに、前記モータおよび前記圧縮機構を収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから突出する脚部であって、下面を有し、前記下面が載置面上に配置された状態で、前記本体ハウジングを支持する脚部と、
前記本体ハウジングに連結されたグリップ部と、
前記空気入れの空気圧を表示するディスプレイと、を備え、
前記本体ハウジングは、前記モータを収容する長尺のモータ収容部を含み、
前記脚部の前記下面に直交する方向は、前記空気入れの上下方向を規定し、
前記上下方向に直交し、且つ、前記モータ収容部の延在方向に対応する方向は、前記空気入れの前後方向を規定し、
前記脚部は、前記本体ハウジングから下方に突出しており、
前記グリップ部は、前記モータ収容部の上方に離間して、前記モータ収容部に対向して延在しており、
前記本体ハウジングは、前記前後方向における前記モータ収容部の前端部および後端部を、夫々、前記グリップ部の前端部および後端部に接続する前側延在部および後側延在部を含み、
前記脚部は、前記前側延在部から下方に突出する前側脚部と、前記後側延在部から下方に突出する後側脚部とを含み、
前記圧縮機構の少なくとも一部または前記モータの少なくとも一部は、前記前側延在部に配置され、
前記バッテリ装着部の少なくとも一部は、前記後側延在部に配置されていることを特徴とする空気入れ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つに記載の空気入れであって、
前記取付け口を介して、一端部が前記圧縮機構に接続された前記ホースと、
前記取付け口から前記本体ハウジングの外部に露出する前記ホースの基端部を覆うカバー部材を更に備えたことを特徴とする空気入れ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1つに記載の空気入れであって、
前記グリップ部は、前記脚部の前記下面と略平行に延在することを特徴とする空気入れ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の空気入れであって、
前記本体ハウジングの側面には、吸気口及び排気口の少なくとも一方が設けられていることを特徴とする空気入れ。
【請求項9】
請求項8に記載の空気入れであって、
前記吸気口及び排気口の少なくとも一方は、前記空気入れを側方からみたときに、前記上下方向における前記グリップ部と前記脚部との間に配置されていることを特徴とする空気入れ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の空気入れであって、
前記吸気口は、前記バッテリ装着部に隣接して設けられていることを特徴とする空気入れ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1つに記載の空気入れであって、
前記グリップ部は、前記モータの出力シャフトの回転軸と略平行に配置されていることを特徴とする空気入れ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1つに記載の空気入れであって、
前記モータおよび前記バッテリ装着部は、前記グリップ部よりも下方に配置されていることを特徴とする空気入れ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の空気入れに関し、より詳細には、バッテリ駆動式の可搬型空気入れに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気によって駆動される所謂エアツールに圧縮空気を供給するためのエアコンプレッサが知られている。例えば、特許文献1には、様々な場所への持ち運びを容易とするために、小型化された簡易型のエアコンプレッサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012―112282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエアコンプレッサは、専らエアツールへの圧縮空気の供給を目的として最適化されている。例えば、モータの駆動およびその停止は、設定された空気圧と実際の空気圧とに基づいて適切に制御される。一方、圧縮空気が利用される対象物は、エアツールに限られず、例えば、自動車や自転車のタイヤ、ボール等の様々な対象物が存在する。そこで、様々な対象物に圧縮空気を供給可能な、より一般的な装置が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる状況に鑑み、様々な対象物に圧縮空気を供給可能で操作性に優れた可搬型の空気入れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様において、可搬型の空気入れが提供される。この空気入れは、モータと、圧縮機構と、本体ハウジングと、脚部と、グリップ部と、操作部材とを備えている。圧縮機構は、モータによって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成されている。本体ハウジングは、モータの電源であるバッテリを着脱可能なバッテリ装着部を有する。また、本体ハウジングは、モータおよび圧縮機構を収容する。脚部は、下面を有し、下面が載置面上に配置された状態で、本体ハウジングを支持するように構成されている。グリップ部は、本体ハウジングに連結されている。また、グリップ部は、脚部の下面と略平行に延在する。操作部材は、使用者による操作が可能にグリップ部に設けられている。モータは、操作部材の操作に応じて駆動されるように構成されている。なお、本態様でいう操作部材として、例えば、使用者によって引き操作されるトリガや、使用者によって押圧操作される押しボタンスイッチが挙げられる。
【0007】
本態様の可搬型空気入れは、脚部の下面が載置面上に配置されて使用されるのに適した、いわゆる載置型の空気入れである。グリップ部は、脚部の下面と略平行に延在するため、空気入れが載置面に載置された場合、使用者は、手首に負担がかかりにくい自然な姿勢でグリップ部を把持することができる。また、本態様の空気入れでは、操作部材の操作に応じて、圧縮機構が圧縮空気を吐出する。よって、使用者は、対象物の状態(例えば、対象物の膨らみ具合、実際の空気圧の表示等)を確認しつつ、操作部材の操作を通じて圧縮空気の供給量を容易に調整することができる。このように、本態様によれば、複数種類の対象物に圧縮空気を供給するのに使用することが可能で、操作性に優れた可搬型の空気入れが提供される。
【0008】
本発明の一態様において、本体ハウジングは、モータを収容するモータ収容部を含んでいてもよい。そして、グリップ部は、モータ収容部の上方に離間して、モータ収容部に対向して延在していてもよい。本態様によれば、比較的重量が大きいモータを収容したモータ収容部がグリップ部の下方に位置するため、空気入れを載置して使用する時の安定性を高めることができる。また、使用者がグリップ部を把持し、下方へ力をかけつつ操作を行えることで、安定性を更に高めることができる。なお、本態様において、グリップ部は、モータの出力シャフトの回転軸と略平行に配置されていると好ましい。この場合、モータ収容部とグリップ部との配置をコンパクトにすることができる。
【0009】
本発明の一態様において、モータ、圧縮機構、およびバッテリ装着部は、グリップ部よりも下方に配置されていてもよい。本態様によれば、空気入れにおける重量物であるモータ、圧縮機構、およびバッテリ装着部がすべてグリップ部よりも下方に配置されているため、バッテリが装着されたときの空気入れの重心を、グリップ部よりも低い位置に設定しやすくなる。これにより、空気入れを載置して使用する時の安定性を更に高めることができる。
【0010】
本発明の一態様において、バッテリ装着部は、バッテリがバッテリ装着部に対して下方向にスライドされることで装着され、上方向にスライドされることで取り外されるように構成されていてもよい。本態様によれば、空気入れが載置面に載置された状態でも、使用者はバッテリの着脱を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の一態様において、本体ハウジングは、圧縮機構から吐出された圧縮空気を対象物に導くためのホースの取付け口を有していてもよい。この場合に、取付け口およびバッテリ装着部は、グリップ部の延在方向において、グリップ部に対して互いに反対側に設けられていてもよい。本態様によれば、ホースが取付け口に取り付けられた状態でも、使用者はバッテリを容易に着脱することができる。
【0012】
本発明の一態様において、空気入れは、ホースを更に備えていてもよい。ホースは、取付け口を介して、一端部が圧縮機構に接続される。そして、取付け口からのホースの突出方向は、グリップ部の延在方向と略平行であってもよい。本態様によれば、空気入れが載置面に載置された場合、取付け口からのホースの突出方向は、載置面と略平行となる。よって、ホースを対象物に接続する操作等、ホースの取り回しが容易となる。
【0013】
本発明の一態様において、空気入れは、ホースと、カバー部材とを更に備えていてもよい。ホースは、取付け口を介して、一端部が圧縮機構に接続される。カバー部材は、取付け口から本体ハウジングの外部に露出するホースの基端部を覆う。本態様によれば、カバー部材によって、ホースの基端部が折れ曲がって劣化しやすくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】使用者がトリガに指をかけた状態の空気入れの全体斜視図である。
図2】空気入れの断面図である。
図3】空気入れの上面図である。
図4図2の部分拡大図である(但し、ホースの一部の図示は省略)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る空気入れ1について説明する。図1に示す空気入れ1は、チャック9にアダプタ90を選択的に取り付けることで、複数種類の対象物に圧縮空気を供給可能な可搬型の電動ツールである。圧縮空気の供給対象物としては、例えば、自動車および自転車のタイヤ、スポーツ用のボール(サッカーボール、バスケットボール、バレーボール等)、ならびに膨らませて使用するレジャー用品(浮き輪、ビーチボール等)が挙げられる。
【0016】
まず、図1および図2を参照して、空気入れ1の概略構成について説明する。空気入れ1は、載置面P(例えば、地面、床、天板、図2参照)に載置された状態での使用を前提として構成されている。よって、以下では、説明の便宜上、空気入れ1が、平面である載置面Pに載置されたときの姿勢を基準として、空気入れ1の上下方向を規定する。つまり、載置面P上に配置される側が空気入れ1の下側であり、載置面Pから離れる側が上側である。
【0017】
図1および図2に示すように、空気入れ1は、本体ハウジング2と、脚部3と、グリップ部4と、ホース7とを備えている。本体ハウジング2は、モータ51等(図2参照)を収容する筐体として構成されている。脚部3は、載置面P上に配置されて、本体ハウジング2を支持するように構成されている。本実施形態では、2つの脚部3が、本体ハウジング2から下方に突出している。脚部3は、矩形箱状に形成されており、夫々、載置面P上に配置される下面31を有する。本体ハウジング2のうち、モータ51を収容する部分であるベース部21は、長尺状に形成されている。ベース部21は、下面31と(つまり、空気入れ1が載置面Pに載置された場合、載置面Pと)略平行に延在する。ベース部21の延在方向において、本体ハウジング2の一端には、開口201が設けられている。開口201は、圧縮空気を対象物へ導くためのホース7の取付け口として構成されており、開口201からはホース7が突出している。更に、ベース部21の延在方向における本体ハウジング2の他端には、電源としてのバッテリ8を着脱可能なバッテリ装着部251が設けられている。
【0018】
グリップ部4は、持ち運び時、および、対象物への圧縮空気の供給時に使用者によって把持される部位である。グリップ部4は、長尺の筒状に形成されている。グリップ部4は、ベース部21の上方に離間して対向し、ベース部21に対して略平行に延在する。また、グリップ部4は、使用者による引き操作(押圧操作)が可能なトリガ41を有する。ホース7が対象物に接続された状態で、トリガ41が引き操作されると、圧縮空気がホース7を介して対象物に供給される。
【0019】
以下、空気入れ1の詳細構成について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、上下方向に直交し、且つ、グリップ部4(ベース部21)の延在方向に対応する方向を空気入れ1の前後方向と規定し、ホース7の取付け側(開口201側)を前側、バッテリ8の装着側(バッテリ装着部251側)を後側と規定する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を左右方向と規定する。
【0020】
まず、本体ハウジング2およびその内部構造について説明する。図1および図2に示すように、本体ハウジング2は、全体としては略U字状に形成されており、ベース部21と、前側延在部23と、後側延在部25とを含む。
【0021】
上述のように、ベース部21は、本体ハウジング2のうち、前後方向に延在する部分である。前側延在部23および後側延在部25は、夫々、ベース部21の前端部および後端部に接続し、上下方向に延びている。前側延在部23および後側延在部25は、ベース部21よりも上方に突出している。前側延在部23および後側延在部25の上端部には、夫々、グリップ部4の前端部および後端部が接続している。これにより、本体ハウジング2およびグリップ部4は、側面視で略D字状のループを形成している。また、2つの脚部3は、夫々、前側延在部23および後側延在部25の下端部から下方に突出している。なお、本実施形態では、本体ハウジング2、脚部3およびグリップ部4は、左右の半割体が結合されることで、一体的に形成されている。
【0022】
本体ハウジング2には、本体ハウジング2の内部と外部とを連通する通気口が設けられている。より詳細には、ベース部21の後端部から後側延在部25の下端部にかけて、本体ハウジング2の左右の側面には、複数の吸気口202が設けられている。また、前側延在部23の上下方向における中央部の左右の側面には、複数の排気口203が設けられている。更に、ベース部21後端部の左側面には、電源スイッチ207が設けられている。図3に示すように、ベース部21の右側面には、ホースホルダ209が設けられている。
【0023】
図4に示すように、ベース部21には、モータ51が収容されている。より詳細には、モータ51は、ベース部21の前側部分に配置されている。また、モータシャフト511の回転軸A1は、脚部3の下面31と平行に、前後方向に延びている。モータシャフト511の前端部は、前側延在部23内に突出している。モータシャフト511の前端部には、駆動ギア513が固定されている。モータシャフト511の後端部(モータ本体部(ステータおよびロータ)の後側)には、ファン52が固定されている。ファン52は、モータ51の駆動に伴ってモータシャフト511と一体的に回転する。
【0024】
前側延在部23の下側部分には、圧縮機構6が収容されている。圧縮機構6は、モータ51によって駆動され、空気を圧縮して吐出するように構成された機構(エアポンプともいう)である。本実施形態では、圧縮機構6は、クランクシャフト61と、連結ロッド63と、ピストン65と、シリンダ67とを主体として構成されている。このような圧縮機構6の構成は周知であるため、ここでは簡単に説明する。
【0025】
クランクシャフト61は、クランク円板611と、偏心ピン613とを有する。クランク円板611の外周部には、駆動ギア513に噛合するギア歯が形成されている。なお、クランクシャフト61の回転軸は、モータシャフト511の回転軸A1の下方で、平行に延在する。偏心ピン613は、クランクシャフト61の回転軸から偏心した位置に設けられ、クランク円板611から前方へ突出している。連結ロッド63は、概ね上下方向に延在するように配置されている。連結ロッド63の下端部は、偏心ピン613に対して回転可能に連結されている。連結ロッド63の上端部には、ピストン65が一体的に設けられている。
【0026】
シリンダ67は、前側延在部23の中央部内に固定されており、ピストン65は、シリンダ67内で上下に摺動可能である。ピストン65の上側には、圧縮室671が形成されている。圧縮室671から圧縮空気を外部へ吐出するための吐出口673は、前方に開口している。吐出口673の前側には、本体ハウジング2の開口201が対向している。
【0027】
また、図3および図4に示すように、前側延在部23の上端部には、操作部27が設けられている。操作部27は、操作ボタン271、272と、ディスプレイ275と、制御部(制御回路ともいう、図示略)とを備えている。操作ボタン271、272は、何れも目標空気圧の設定用の操作機器であって、夫々、設定されている目標空気圧を増加または減少させるために押圧される。ディスプレイ275は、目標空気圧、または圧縮室671内で圧縮された空気の実際の空気圧を表示する表示機器である。なお、圧縮室671の上側(圧縮室671と操作部27の間)には、圧縮室671内の実際の空気圧を検出するための圧力センサ69が設けられている。操作部27の制御部は、操作ボタン271、272、ディスプレイ275、圧力センサ69、モータ51の制御部53に電気的に接続されている。操作部27の制御部は、操作ボタン271、272の操作に応じて、設定された目標空気圧を、ディスプレイ275に表示させる。また、操作部27の制御部は、モータ51の駆動中は、圧力センサ69によって検出された実際の空気圧をディスプレイ275に表示させる。更に、操作部27の制御部は、実際の空気圧が目標空気圧に達した場合に、特定の信号をモータ51の制御部53に出力する。
【0028】
図4に示すように、後側延在部25の下側部分の後端には、バッテリ装着部251が設けられている。より詳細には、バッテリ装着部251は、モータ51の後側で、モータシャフト511の回転軸A1上に配置されている。本実施形態のバッテリ装着部251は、充電式のバッテリ8を着脱可能な周知の構成を有する。
【0029】
簡単に説明すると、バッテリ装着部251は、一対のガイドレールと、フック係合部と、端子とを備えている。一対のガイドレールは、バッテリ8に設けられた一対のガイド溝にスライド係合可能に構成されている。なお、本実施形態では、ガイドレールは、後側延在部25の左後端と右後端に設けられて上下方向に延在している。フック係合部は、バッテリ8に出没自在に設けられたフックに係合可能な凹部として、バッテリ装着部251の上部に設けられている。このような構成により、バッテリ8は、バッテリ装着部251に対して下方向にスライドされることで装着され、上方向にスライドされることで取り外される。なお、バッテリ8が所定位置まで下方向にスライドされると、フックがフック係合部に係合し、且つ、バッテリ8の端子とバッテリ装着部251の端子とが電気的に接続して、装着が完了する。
【0030】
また、後側延在部25において、バッテリ装着部251の上側には、アダプタホルダ253が設けられている。上述のように、本実施形態の空気入れ1では、チャック9および複数種類のアダプタ90(具体的には、自転車タイヤ用アダプタ91、ボール用アダプタ92、レジャー用品用アダプタ93)のうち1つが選択的に使用される。自転車タイヤ用アダプタ91は、常時チェーン910によってホース7に接続されている。そこで、アダプタホルダ253は、ボール用アダプタ92およびレジャー用品用アダプタ93を保持可能に構成されており、ボール用アダプタ92およびレジャー用品用アダプタ93が夫々嵌合可能な2つの凹部を有する。
【0031】
次に、脚部3について説明する。図4に示すように、2つの脚部3は、夫々、本体ハウジング2の下前端部および下後端部(より詳細には、前側延在部23および後側延在の25の下端部)から下方に延びている。なお、圧縮機構6の下端部(詳細には、クランク円板611の一部)は、前側の脚部3の内部に配置されている。これにより、本体ハウジング2内に圧縮機構6の全体が収容される場合に比べ、本体ハウジング2全体としての上下方向の高さを抑えることができる。また、脚部3の底部には、エラストマ製の弾性部材33が取り付けられている。本実施形態では、弾性部材33の下面が、載置面P上に配置される下面31を構成する。
【0032】
グリップ部4およびその内部構造について説明する。図4に示すように、グリップ部4は、前側延在部23および後側延在部25の上端部に接続され、ベース部21に対して略平行に(つまり、概ね前後方向に)延在している。よって、モータ51、圧縮機構6、およびバッテリ装着部251は、グリップ部4より下側に位置する。なお、バッテリ装着部251にバッテリ8が装着された場合、バッテリ8も、グリップ部4より下側に位置する。つまり、空気入れ1では、比較的重量の大きいモータ51、圧縮機構6、およびバッテリ8が、すべてグリップ部4よりも下側に配置されている。このような配置により、バッテリ8が装着された状態の空気入れ1の重心は、グリップ部4よりも下側に位置する。
【0033】
トリガ41は、グリップ部4の前下端部に、上下方向に移動可能に保持されている。トリガ41は、初期状態では、図示しない付勢部材(例えば、圧縮コイルバネ)によって、グリップ部4から最大限下方に突出した位置(初期位置ともいう)に配置されており、使用者の引き操作に応じて、上方に移動される。グリップ部4の内部には、スイッチ43が収容されている。スイッチ43は、トリガ41が引き操作され、初期位置から所定の位置(オン位置ともいう)まで移動されると、オフ状態からオン状態に切り替えられる。スイッチ43は、モータ51の制御部53に電気的に接続されている。
【0034】
本実施形態では、グリップ部4の前後方向の長さは、成人男性の平均的な手の大きさに適した長さに設定されている。また、グリップ部4の太さは、スイッチ43を収容可能でありつつも、できるだけ小径に設定されている。更に、図1に示すように、上述の操作部27の操作ボタン271、272は、使用者がトリガ41に人差し指をかけてグリップ部4を把持した状態で、親指によって操作できる位置に配置されている。このように、グリップ部4は、グリップ部4を把持した状態でのトリガ41の操作を考慮して、最適な構成とされている。
【0035】
ホース7について説明する。図4に示すように、ホース7の一端には、コネクタ70が取り付けられている。ホース7は、コネクタ70を介して圧縮機構6の吐出口673に接続されている。図1および図2に示すように、ホース7は、本体ハウジング2の開口(取付け口)201を通じて、本体ハウジング2の前方へ導出されている。開口201から本体ハウジング2の外部に露出するホース7の基端部は、カバー部材75によって覆われている。本実施形態では、カバー部材75は、樹脂で螺旋状に形成された部材であって、ある程度の伸縮と曲げが許容されている。なお、ホース7は可撓性を有しており、使用者が自由に曲げることが可能である。但し、ホース7の基端部は、カバー部材75によって、開口201から概ね前方へ突出する状態に保持されている。使用者は、空気入れ1の収納時には、ホース7を、ベース部21の右側面に設けられたホースホルダ209(図3参照)に保持させることができる。なお、ホースホルダ209は、上下方向に対向配置された突起を有し、ホース7を挟み込んで保持するように構成されている。
【0036】
ホース7の先端部(自由端部)には、自動車のタイヤのバルブに係合可能なチャック9が固定されている。チャック9は、ロック位置(図に示す位置)とアンロック位置(図示略)との間で回動可能なレバー901を有する。使用者は、レバー901をアンロック位置に配置した状態でチャック9を自動車のタイヤのバルブに係合させた後、レバー901をロック位置に回動させることで、チャック9をバルブに固定することができる。また、チャック9は、アダプタ90にも係合可能である。使用者は、同様にレバー901を操作することで、圧縮空気の供給対象物に応じて適切なアダプタ90をチャック9に取り付けて使用することができる。
【0037】
以下、空気入れ1の動作について説明する。本実施形態では、トリガ41が引き操作されてオン位置まで移動し、スイッチ43がオン状態とされると、モータ51の制御部53は、モータ51に通電することでモータ51を駆動する。なお、電源スイッチ207がオフ状態の場合は、モータ51の制御部53は、トリガ41が引き操作されてもモータ51を駆動せず、電源スイッチ207がオン状態の場合にのみ、モータ51を駆動する。
【0038】
モータ51の駆動に伴って、モータシャフト511がファン52および駆動ギア513と共に回転される。これにより、空気が吸気口202を通って本体ハウジング2に流入する。また、駆動ギア513によって、クランクシャフト61が回転される。偏心ピン613がクランクシャフト61の回転軸回りを公転すると、連結ロッド63の上端部に固定されたピストン65が、シリンダ67内で上下に往復動する。これに伴い、空気の吸入と圧縮とが繰り返される。なお、本体ハウジング2に流入した空気は、その一部が圧縮機構6に吸入され、残りが圧縮機構6の周囲を流れて排気口203から排出される。吸気口202から排気口203へ至る空気流は、モータ51および圧縮機構6を冷却する冷却風として機能する。
【0039】
圧縮室671で圧縮された空気(圧縮空気)は、吐出口673に接続されたホース7へ導入され、チャック9またはアダプタ90を介して対象物に供給される。モータ51の制御部53は、トリガ41の引き操作が解除され、スイッチ43がオフ状態とされると、モータ51の駆動(通電)を停止する。なお、上述のように、本実施形態では、使用者は、操作ボタン271、272を介して目標空気圧を設定することが可能である。モータ51の制御部53は、操作部27の制御部から、圧力センサ69によって検出された実際の空気圧が目標空気圧に達したことを示す特定の信号を受け付けた場合、スイッチ43がオン状態であっても、モータ51の駆動を停止する。つまり、モータ51の制御部53は、スイッチ43がオフ状態に切り替わった場合、または実際の空気圧が目標空気圧に達した場合、モータ51の駆動を停止するように構成されている。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態の空気入れ1は、脚部3の下面31が載置面P上に配置されて使用されるのに適した、いわゆる載置型の空気入れである。グリップ部4は、下面31と略平行に延在するため、空気入れ1が載置面Pに載置された場合、載置面Pと略平行となる。よって、使用者は、手首に負担がかかりにくい自然な姿勢でグリップ部4を把持することができる。また、空気入れ1では、トリガ41の引き操作(スイッチ43のオン状態)に応じて、圧縮機構6が圧縮空気を吐出する。よって、使用者は、対象物の状態(例えば、対象物の膨らみ具合、ディスプレイ275に表示された実際の空気圧等)を確認しつつ、トリガ41の引き操作を通じて圧縮空気の供給量を容易に調整することができる。つまり、使用者は、トリガ41の引き操作によって対象物への圧縮空気の供給を開始し、対象物に適切な量の圧縮空気が供給されたと判断した場合、トリガ41の引きを解除するだけでよい。このように、本態様によれば、複数種類の対象物に圧縮空気を供給するのに使用することが可能で、操作性に優れた可搬型の空気入れが提供される。
【0041】
更に、本実施形態の空気入れ1では、使用者は、操作部27を介して所望の目標空気圧を設定することができる。そして、モータ51の制御部53は、圧力センサ69によって検出された圧縮空気の空気圧が目標空気圧に達した場合、トリガ41の引き操作にかかわらず(スイッチ43がオン状態であっても)、モータ51の駆動を停止する。よって、自動車のタイヤに空気入れ1を使用する場合には、適切な目標空気圧を設定し、モータ51の駆動が自動的に停止されるようにすることができる。一方、使用者は、例えば、自転車のタイヤ、ボール、またはレジャー用品に空気入れ1を使用する場合には、目標空気圧を必要よりも高く設定しておき、トリガ41の引き操作とその解除によって、圧縮空気の供給量を調整することができる。このように、本実施形態の空気入れ1によれば、使用者が、対象物に応じてモータ51の駆動停止方法を選択できるため、利便性が向上する。
【0042】
本実施形態では、グリップ部4は、モータ51を収容するベース部21の上方に離間して、ベース部21に対向して延在している。比較的重量が大きいモータ51を収容したベース部21がグリップ部4の下方に位置するため、空気入れ1を載置面Pに載置して使用する時の安定性を高めることができる。更には、モータ51以外の重量物である圧縮機構6およびバッテリ装着部251も、グリップ部4よりも下方に配置されている。このような配置により、バッテリ8が装着されたときの空気入れ1の重心が、グリップ部4よりも低い位置に設定されているため、空気入れ1の使用時の安定性を更に高めることができる。また、本実施形態の空気入れ1によれば、使用者が、載置面Pと概ね平行に延在するグリップ部4を把持し、下方へ力をかけつつ操作を行うことが可能となる。このような使用態様により、空気入れ1の使用時の安定性をより一層高めることができる。
【0043】
本実施形態では、バッテリ装着部251は、バッテリ8がバッテリ装着部251に対して下方向にスライドされることで装着され、上方向にスライドされることで取り外されるように構成されている。よって、空気入れ1が載置面Pに載置された状態でも、使用者はバッテリ8の着脱を容易に行うことができる。更に、ホース7の取付け口としての開口201およびバッテリ装着部251は、前後方向において、グリップ部4に対して互いに反対側に(つまり、前側と後側に)設けられている。よって、ホース7が取り付けられた状態においても、使用者はバッテリ8を容易に着脱することができる。
【0044】
更に、ホース7は、グリップ部4と略平行に、開口201から前方へ突出している。よって、空気入れ1が載置面Pに載置された状態において、ホース7は、開口201から載置面Pと略平行に突出することになる。よって、ホース7を対象物に接続する操作等、ホース7の取り回しが容易となる。また、トリガ41はグリップ部4の前端部に設けられているため、使用者は、トリガ41の引き操作時には、空気入れ1の前方を向くことになる。このとき、ホース7も同じ方向に突出しているため、ホース7やホース7を介して接続された対象物を見ながらの作業が容易となる。
【0045】
更に、開口201から本体ハウジング2の外部に露出するホース7の基端部は、カバー部材75によって覆われている。よって、カバー部材75によって、ホース7の基端部が折れ曲がって劣化しやすくなるのを防止することができる。また、上述のように、吸気口202から本体ハウジング2に流入して排気口203へ至る冷却風によって、圧縮機構6は効果的に冷却されるが、ホース7の先端部に比べると、吐出口673に近いホース7の基端部では、圧縮空気の温度が高くなる。よって、カバー部材75は、使用者が直接ホース7の基端部に触れるのを防止するという機能も発揮することができる。
【0046】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る空気入れは、例示された空気入れ1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す空気入れ1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0047】
例えば、本体ハウジング2、脚部3、およびグリップ部4の形状は、適宜変更されてもよい。例えば、本体ハウジング2、脚部3およびグリップ部4は、一体的に形成されている必要はなく、夫々が別個に形成され、互いに連結されていてもよい。脚部3は、載置面P上に配置される下面を有し、本体ハウジング2を支持可能である限り、上記実施形態に例示したように本体ハウジング2と区別可能な部位である必要はない。例えば、本体ハウジング2の下端部が脚部を構成していてもよい。また、上記実施形態では、滑り止めおよびクッションとして、脚部3に、下面31を有する弾性部材33が設けられているが、弾性部材33は省略され、脚部3の下面が載置面P上に配置される構成であってもよい。
【0048】
上記実施形態では、モータ51の駆動用の操作部材として、トリガ41が採用されているが、トリガ41に代えて、例えば、モーメンタリ式の押しボタンスイッチ(押圧されている間のみオン状態となるスイッチ)が採用されてもよい。この場合、押しボタンスイッチは、例えば、グリップ部4の上部に、使用者がグリップ部4を把持した状態で、手のひらや親指で押圧操作可能に設けられることが好ましい。特に、手のひらで押圧操作が可能な場合には、下方に力をかけながらグリップ部4を把持するだけで、モータ51を駆動させることができ、また、空気入れ1の使用時の安定性をより一層高めることができる。
【0049】
また、モータ51、圧縮機構6、バッテリ装着部251の構成および配置位置は、適宜、変更されてよい。例えば、モータ51には、ブラシレスモータが採用されてもよい。圧縮機構6の種類は、上記実施形態で例示したレシプロ式に限られず、例えば、スクロール式であってもよい。バッテリ装着部251は、バッテリ8が左右方向にスライドされることで着脱されるように構成されていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、ホース7は、開口201を介して一端部が圧縮機構6に接続された状態で、本体ハウジング2に組み付けられている。しかしながら、ホース7は、本体ハウジング2および圧縮機構6に対して着脱可能であってもよい。ホース7のカバー部材75は、隙間を有する螺旋状ではなく、ホース7の基端部を完全に覆うように構成されていてもよい。
【0051】
上記実施形態では、空気入れ1は、目標空気圧を設定するための操作部27を有しており、モータ51の駆動が、目標空気圧および実際の空気圧に基づいて停止される場合がある。しかしながら、このような制御は必ずしも行われる必要はない。つまり、モータ51の駆動停止は、トリガ41の引き操作の解除(つまり、スイッチ43のオフ状態への切り替え)のみに応じて行われてもよい。この場合、操作部27や圧力センサ69は省略されてもよい。あるいは、圧力センサ69によって検出された空気圧の表示のみが、ディスプレイ275において行われてもよい。また、モータ51の駆動停止がトリガ41の引き操作の解除のみに応じて行われる第1のモードと、モータ51の駆動停止が、トリガ41の引き操作の解除に応じて、または、目標空気圧および実際の空気圧に基づいて行われる第2のモードとが、操作部27を介して選択可能とされてもよい。また、目標空気圧を設定するための操作機器は、押圧式の操作ボタン271、272に限られず、例えば、回動式のダイアルであってもよい。
【0052】
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。空気入れ1は、本発明の「空気入れ」の一例である。モータ51、モータシャフト511、回転軸A1は、夫々、本発明の「モータ」、「出力シャフト」、「回転軸」の一例である。圧縮機構6は、本発明の「圧縮機構」の一例である。本体ハウジング2、ベース部21は、夫々、本発明の「本体ハウジング」、「モータ収容部」の一例である。バッテリ装着部251、バッテリ8は、夫々、本発明の「バッテリ装着部」、「バッテリ」の一例である。脚部3(弾性部材33)、下面31は、夫々、本発明の「脚部」、「下面」の一例である。グリップ部4、トリガ41は、夫々、本発明の「グリップ部」、「操作部材」の一例である。開口201、ホース7、カバー部材75は、夫々、本発明の「取付け口」、「ホース」、「カバー部材」の一例である。
【0053】
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、実施形態に示す空気入れ1、上記変形例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記操作部材は、使用者が前記グリップ部を把持した状態で指による引き操作または押圧操作が可能に構成されている。
[態様2]
前記モータの駆動を制御するように構成された制御部を更に備え、
前記制御部は、前記操作部材が引き操作または押圧操作されている間のみ、前記モータを駆動するように構成されている。
[態様3]
前記圧縮機構は、圧縮空気を吐出する吐出口を有し、
前記吐出口は、前記グリップ部の延在方向において前記取付け口に対向している。
[態様4]
前記圧縮機構および前記バッテリ装着部は、前記出力シャフトの前記回転軸上に配置されている。
[態様5]
前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態の前記空気入れの重心は、前記グリップ部より下側に位置する。
[態様6]
目標空気圧を設定するための設定操作部と、
前記圧縮機構によって圧縮された空気の空気圧を検出するように構成された圧力センサと、
前記モータの駆動を制御するように構成された制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記操作部材の操作が解除された場合、または、前記圧力センサによって検出された前記空気圧が、前記設定操作部を介して設定された前記目標空気圧に達した場合、前記モータの駆動を停止するように構成されている。
なお、操作部27(操作ボタン271、272)は、本態様における「設定操作部」の一例である。圧力センサ69は、本態様における「圧力センサ」の一例である。モータ51の制御部53は、本態様における「制御部」の一例である。
[態様7]
前記グリップ部の延在方向を前後方向と規定した場合、前記操作部材は、前記グリップ部の前端部に配置されており、
前記取付け口は、前記本体ハウジングの前端部に設けられている。
[態様8]
前記操作部材および前記設定操作部は、前記使用者が前記グリップ部を把持した状態で、人差し指および親指で夫々操作可能な位置に配置されている。
[態様9]
前記ホースは、着脱可能なアダプタを介して、複数種類の対象物に選択的に接続可能に構成されている。
なお、アダプタ90は、本態様における「アダプタ」の一例である。
【符号の説明】
【0054】
1:空気入れ
2:本体ハウジング
201:開口
202:吸気口
203:排気口
207:電源スイッチ
209:ホースホルダ
21:ベース部
23:前側延在部
25:後側延在部
251:バッテリ装着部
253:アダプタホルダ
27:操作部
271:操作ボタン
272:操作ボタン
275:ディスプレイ
3:脚部
31:下面
33:弾性部材
4:グリップ部
41:トリガ
43:スイッチ
45:スイッチ
51:モータ
511:モータシャフト
513:駆動ギア
52:ファン
53:制御部
6:圧縮機構
61:クランクシャフト
611:クランク円板
613:偏心ピン
63:連結ロッド
65:ピストン
67:シリンダ
671:圧縮室
673:吐出口
69:圧力センサ
7:ホース
70:コネクタ
75:カバー部材
8:バッテリ
9:チャック
901:レバー
90:アダプタ
91:自転車タイヤ用アダプタ
910:チェーン
92:ボール用アダプタ
93:レジャー用品用アダプタ
A1:回転軸
P:載置面
図1
図2
図3
図4