(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091803
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ガスケットリテーナ及びガスケットからなる構造体
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20240628BHJP
F16J 15/12 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F16J15/10 L
F16J15/10 C
F16J15/12 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067228
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2023015266の分割
【原出願日】2014-05-02
(31)【優先権主張番号】14/155,333
(32)【優先日】2014-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520456631
【氏名又は名称】コンパート システムズ ピーティイー.リミテッド
【氏名又は名称原語表記】COMPART SYSTEMS PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブ、キム ゴック
(57)【要約】
【課題】ガスケットリテーナは、尖った角が存在せず、リーズナブルな寸法許容差を有し、多様な製造工程で簡便に形成されることができる。
【解決手段】リテーナは、僅かな曲げから容易に復元する薄く平坦な弾性を有する材料から形成される。代表的なガスケット捕獲開口は、縁が曲がって環形状のガスケットの通過を許容するのに十分な大きさの長軸と、リテーナのシート材料と平行に平らにしたときにほぼ円形の反対の部分においてガスケットの外周の三分の一以下においてガスケットの外周の開口または溝に係合するために十分小さい短径とを備える滑らかな非凸面状の輪郭から構成される。締結部材は、類似した開口によって保持されることもできる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体運搬システムに用いられるガスケットリテーナにおいて、
平坦なシート材料により形成されるベースメンバと、
前記ベースメンバに配置され、非凸状の内周部を有するガスケット捕獲開口とを備え、
前記ガスケット捕獲開口は、円形ガスケットを通過させるのに十分な大きさの長径と、前記円形ガスケットの外周の開口または溝に係合するために十分な小ささの短径とを有し、
前記ベースメンバは、前記円形ガスケットの取り付け中に屈曲され、取り付け後にその屈曲が解放されるように構成され、前記ガスケット捕獲開口は、前記ベースメンバとともに曲げられるように構成される、ガスケットリテーナ。
【請求項2】
前記ガスケット捕獲開口は、楕円形状に形成され、かつ、滑らかな窪状をなす、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項3】
前記ベースメンバはステンレス鋼を含む、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項4】
前記ベースメンバは長方形である、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項5】
前記ガスケット捕獲開口は第1のガスケット捕獲開口を含み、前記ガスケットリテーナはさらに第2のガスケット捕獲開口を備える、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項6】
少なくとも1つの締結開口をさらに備える、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項7】
一対の締結開口をさらに備える、請求項1に記載のガスケットリテーナ。
【請求項8】
前記一対の締結開口は、前記ガスケット捕獲開口を隔てて半径方向両側に配置される、請求項7に記載のガスケットリテーナ。
【請求項9】
流体運搬システムに用いられるガスケットリテーナにおいて、
平坦なシート材料により形成されるベースメンバと、
前記ベースメンバに配置され、非凸状の内周部を有するガスケット捕獲開口と、を備え、
前記ガスケット捕獲開口は、円形ガスケットを通過させるのに十分な大きさの長径と、前記円形ガスケットの外周の開口または溝に係合するために十分な小ささの短径とを備え、直線部によって短径に沿って切り取られたより大きな楕円形の半分を含み、前記直線部の両端部は角部の湾曲に組み込まれており、前記ベースメンバは、前記円形ガスケットの取り付け中に屈曲され、取り付け後にその屈曲が解放されるように構成され、前記ガスケット捕獲開口は、前記ベースメンバとともに曲げられるように構成される、ガスケットリテーナ。
【請求項10】
前記ベースメンバはステンレス鋼を含む、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項11】
前記ガスケット捕獲開口はD字形状である、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項12】
前記ベースメンバは長方形である、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項13】
前記ガスケット捕獲開口は、第1のガスケット捕獲開口を含み、前記ガスケットリテーナは、さらに第2のガスケット捕獲開口を備える、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項14】
少なくとも1つの締結開口をさらに備える、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項15】
一対の締結開口をさらに備える、請求項9に記載のガスケットリテーナ。
【請求項16】
前記一対の締結開口は、前記ガスケット捕獲開口を隔てて半径方向両側に配置される、請求項15に記載のガスケットリテーナ。
【請求項17】
流体運搬システムに用いられるガスケットリテーナにおいて、
平坦なシート材料により形成されるベースメンバと、
前記ベースメンバに配置され、非凸状の内周部を有するガスケット捕獲開口と、を備え、
前記ガスケット捕獲開口は、円形ガスケットを通過させるのに十分な大きさの長径と、前記円形ガスケットの外周の開口または溝に係合するために十分な小ささの短径とを備え、大きな半径部分によって短径に沿って切り取られたより大きな楕円形の半分を含み、前記大きな半径部分の両端部は角部の湾曲に組み込まれており、前記ベースメンバは、前記円形ガスケットの取り付け中に屈曲され、取り付け後に後その屈曲が解放されるように構成され、前記ガスケット捕獲開口は、前記ベースメンバとともに曲げられるように構成される、ガスケットリテーナ。
【請求項18】
前記ガスケット捕獲開口は、第1のガスケット捕獲開口を含み、前記ガスケットリテーナは、さらに第2のガスケット捕獲開口を備える、請求項17に記載のガスケットリテーナ。
【請求項19】
一対の締結開口をさらに備える、請求項17に記載のガスケットリテーナ。
【請求項20】
前記一対の締結開口は、前記ガスケット捕獲開口を隔てて半径方向両側に配置される、請求項19に記載のガスケットリテーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスケットリテーナ及びガスケットからなる構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスケットを用いた取り外し可能な流体経路継手の実施技術はよく知られている。早期の例として、長年を経て現在の米国機械学会の管、フランジ、および、フランジ付き管継手のための標準規格(ASME B 16.5-2009)に更新および発展された1920年代の米国規格協会の仕事において述べられた管部材の接続(ASA B16e-1932)があげられる。いくつかの場合、継手の正しい組み立てを確実にするための位置決め部によって配置されたガスケットを含むサブアセンブリを備えることが求められる。TaylorおよびHailing による特許文献1は、そのような例を開示し、SpenceおよびFelberによる特許文献2は、さらに近年の例を開示する。
【0003】
代表的な流体運搬装置は、例えばファインケミカル、石油製品、または、半導体の産業用製造装置の中に見出だされ、減圧、または、加圧をかけるためのものであってもよく、または、清浄性を要求するためのものであってもよく、そしてこれらの組み合わせであってもよい。半導体の製造装置内における加工原料の操作用の部品間の流体経路は、通常、運搬される反応物質の純度を高く維持するための配慮が要求され、また、一般的に、例えば石油化学工場において使用される流体経路よりも小さな断面積を備える。半導体製造装置用の流体運搬システムは、一般的に、流体経路を含む基板に取り外し可能に取り付けられた表面実装部品を使用する。それぞれの部品と基板との間の接続部は、特有なシール設計に依存した細部構造を備える液体の導管ポートを備え、通常平らである。システムの例は、Manofsky およびFittroによる特許文献3、および、本件発明者のKim Ngoc Vuらによる特許文献4および特許文献5に開示される。
【0004】
既知の流体経路継手(いわゆる、C-シール継手型)は、ガスケットを受けるための円形のカウンタボアの凹部を表面において備える少なくとも1つの部品と、対向する装置部品との間で圧縮された複雑な形状の環形状の金属ガスケットを用いる。いくつかの実施技術においては、分離リテーナが提供され、ガスケットの外周上の開口または溝に係合するこのリテーナによって継手アセンブリが形成されている間に、ガスケットが保持および中央合わせされる。既に言及したManofskyの特許文献3のシステムの例のリテーナはSwensen らによる特許文献6において個別に見ることができる。他の分離リテーナのカウンタボアガスケットは、Inagakiらによる特許文献7において開示され、Kojima およびAoyamaらによる特許文献8によっても個別に見ることができる。さらにもう1つの分離リテーナのカウンタボアガスケットは、Itoiらの特許文献9に開示される。さらなるC-シール型継手の分離リテーナは、Doyleによる特許文献10が開示し、他のリテーナはWhitlowらによる特許文献11が開示し、本願の
図4に説明されるさらにもう1つのリテーナはMicroflexTechnologies (Anaheim, CA; www.microflexseals.com)から購入可能である。
【0005】
前述のリテーナは、薄く平坦なシート状の金属を基本的な構造材料として用い、ガスケットの外周上の開口または溝に係合するように設計される。Swensenらによる特許文献12によって開示される、関連するが非金属のリテーナは、ガスケットの円周上の凹みに弾性部品によって係合される。Bower and Chaseらによる特許文献13は、C-シールガスケット用のリテーナとして用いることのできる、一体に形成された金属の抵抗材料および絶縁性プラスチックを含む平坦なヒータを開示する。本願の発明者のKim Ngoc Vuらによる特許文献14は、C-シールガスケットの周囲の溝との係合に代わって、Z-シールガスケット(せん断作用によるシール構造のガスケットの既知の1種類)の外周の突起と重ね合わせるリテーナを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,857,572号明細書
【特許文献2】米国特許第6,409,180号明細書
【特許文献3】米国特許第6,068,016明細書
【特許文献4】米国特許第5,992,463号明細書
【特許文献5】米国特許第6,394,138明細書
【特許文献6】米国特許第5,713,582号明細書
【特許文献7】米国特許第5,797,604号明細書
【特許文献8】米国特許第5,984,318号明細書
【特許文献9】米国特許第5,771,919号明細書
【特許文献10】米国特許第6,845,984号明細書
【特許文献11】米国特許第6,945,539明細書
【特許文献12】米国特許第5,730,448号明細書
【特許文献13】米国特許第7,126,094号明細書
【特許文献14】米国特許第6,474,700明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図4に示されるものは、2つのポートが表面実装されるK1S方式の流体運搬要素に用いられ、かつMicroflex Technologies of Anaheim, Californiaから購入可能な従来技術に係るリテーナ400の平面視である。従来技術のリテーナ400は、ステンレス鋼のシート状金属の薄く平坦な四角形状メンバ410から形成され、既知のC-シールガスケット(非図示)に用いるための2つの円形のガスケット捕獲開口440,444と、約1.115インチ(約2.832cm)×1.115インチ(約2.832cm)の四角形状の流体運搬要素の角取付開口に対応した位置に配置される4つの締結開口431,432,437,438とを備える。各ガスケット捕獲開口440,444は、先端が三角形状をなすように突出した2つの突起(図示された2つのガスケットリテーナの場合においては全部で4つの突起)450,460,454,464を備える。ほぼ三角形状の各突起はガスケット捕獲開口の内周部と接するように交差する直線状の溝によって形成され、溝の一方側と、溝と交差した弧の部分によって形成される他方側とに区画され、三角形状の各基部は四角形状のメンバ410の残りの部分に連続している。ウェブ部480が1つのガスケット捕獲開口440と他のガスケット捕獲開口444との間に介在し、両捕獲開口が連続しないようになっている。各締結開口431,432,437,438は、挿入される雄ねじに係合するための一端が突出した片持ち状の突部を3つ備える。設計者は、従来品のリテーナ400が取り扱い時に引っかかるような多くの小さな尖った凸面状を備えることを認識する必要がある。
【0008】
Swensenらの特許文献6、Doyleの特許文献4、
図4のMicroflexTechnologiesの商品、および、Swensenらの特許文献12に示されたリテーナは全てC-シール型ガスケットの少なくとも1個の外周上の開口または溝に係合するために、リテーナの一端が突出した部分が用いられる。そのようなリテーナの片持ち状の部分は、いくつかの比較的尖った突出した角を備え、その結果取り扱いにくく、取り扱いによるダメージが生じやすかった。また、薄いアームや狭い溝を形成するために、特別な製造装置が必要とされる。加えて、Whitlowらの特許文献11に示されるリテーナは、その「干渉領域」において比較的尖った角を備え、ガスケットの外周の溝に係合してガスケットを保持するために寸法許容差を小さくする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1個の流体経路を含む導管ポートの継手に漏れが生じないように少なくとも1個のガスケットの平面における位置決めをするためのリテーナに関する。リテーナは、柔軟でほぼ平坦なシートであり、流体経路継手の組み立て中において相対的な位置調整を行うための少なくとも1個の円形のガスケットを取り外し可能に取り付けるための特別な形状の開口を備える。本発明は、多数の結合部材を用いる表面実装流体運搬システムの基板に取り付けられた高純度の流体を取り扱う要素に特に適しているが、この用途に限定されるものではない。
【0010】
本明細書の背景部分において認識された上述の問題について、発明者は尖った角を有さず、リーズナブルな寸法許容差を備え、多様な製造工程によって簡便に作成できるガスケットリテーナを開発した。本リテーナは、わずかな曲げから容易に形状が復元する薄く平坦な弾力性を有する材料から作られ、したがって金属または要求を満たす代替の材料が用いられる。本発明のガスケットリテーナの一例は、少なくとも1個のガスケット捕獲開口と、少なくとも2個の締結開口を備える。それぞれのガスケット捕獲開口は、円形の対向する部分においてそれぞれガスケットの円周の三分の一以下においてそれぞれのガスケットの外周上の空間開口または溝に係合する。
【0011】
一例のリテーナは、C-シール型ガスケットが縁で曲がって通過することを許容するのに十分に大きい長径と、リテーナ材料のシートに平行になるように平らにしたときにC-シール型ガスケットの外周上の空間または溝に係合するのに十分に小さい短径とを備える楕円の輪郭を有する、滑らかな窪状の長円形状のガスケット捕獲開口を提供する。他の例では、前記楕円形状の開口の輪郭が楕円形状と数学的に対応する。これらのタイプの開口は、2回転対称性を有し、左右対称と、さらに上下対称を有する。
【0012】
さらなるリテーナの例は、内周部が少なくとも1つのほぼ直線の部分を備え、さらに非凸面状を有し、C-シール型ガスケットが縁で曲がって通過することを許容するのに十分に大きい長寸法と、リテーナ材料シートに平行になるように平らにしたときにC-シール型ガスケットの外周上の空間または溝に係合するのに十分に小さい短寸法とを備える開口が楕円形状のガスケット捕獲開口を提供する。他の例では、楕円形開口のガスケット捕獲開口の内周部の少なくとも1箇所は、対向する部分よりもかなり屈曲している。これらのD字状型の開口は、回転対称性を欠き、左右対称性のみを有する(または、名目上の向きに依存して上下対称性のみを有するが、左右対称性および上下対称性の両方を同時には有しない)。
【0013】
さらに別の例のリテーナは、3つの同じ形に形成された周辺部が、ほぼ直線状であるか、比較的大きな曲率の曲線である、滑らかな非凸面状の輪郭を備えるガスケット捕獲開口を提供する。3つのほぼ直線の部分を有する開口は、対応する頂点を半径の先端を頂点とする正三角形として表される。比較的大きな曲率の曲線の3つの頂点を有する開口は、自動車のレーシングコースのトライオーバルの形状に類似した、半径先端を頂点とする、ルーローの三角形状として表れる。これらの三角形状型の開口は、3回転対称性を備え、頂点と反対側の部分との二等分線による左右対称性のみを有する(または、名目上の向きに依存して上下対称性のみを有するが、左右対称性と上下対称性の両方を同時には有しない)。三角形状の頂点を示す半径は、同じ形に形成された開口の周辺部の縁を曲がってC-シール型ガスケットの通過を許容するために十分に明確な隙間を形成するために十分に小さなものが選ばれる。
【0014】
リテーナの非凸面状のガスケット捕獲開口のそれぞれは、弾力性を有するリテーナ材料の一時的な弾性屈曲によってガスケットと同一平面上に強制的に位置させることができる。典型的なガスケットのためのリテーナのガスケット捕獲開口への挿入工程は、ガスケットの周辺溝の最深部に開口の短径部の内周縁を結合するステップ、すなわち、開口の長径部の両端部を互いに近づけさせるように持ち、同時に開口の対向する短径部の内周縁をガスケットの外径を通過するために広げることによって3次元的にリテーナ材料を曲げるステップを含む。その後、ガスケットは、リテーナの部分、既にガスケット外周溝の内部において結合された部分と同一平面上に配置され、リテーナの屈曲はガスケット捕獲開口の対向する短径部の内周縁がガスケット外周溝への結合を許容されることによって開放される。
【0015】
多くの状況において、嵌めあい導管ポートの間を継手することを目的とする締結部材のねじ付き部に係合するように設計されたガスケットリテーナにおいて、締結開口を備えることは有用である。そのようなリテーナとねじ付き部の係合は、リテーナ、締結部材、少なくとも1個のガスケット、および、1つの嵌め合い導管ポートのサブアセンブリとして大まかに保持されることによって、流体経路の結合工程が簡略化される。リテーナの一例は、内方に凸面状を有しない内周部と、締結部材のねじ付き部の外径の通過が許容されるために十分に大きな長径、および、曲げられることなく締結部材のねじ付き部の溝に係合するために充分に小さな短径を備えた楕円形の締結開口を供給する。ガスケット捕獲開口に適用することができるどのような内方に凸面状を有しない開口形状であっても、適切な寸法のスケーリングの後に締結開口用に用いることができる。したがって、締結開口は、楕円形状、数学的な楕円形状、D字形状、三角形状、または、トライオーバル形状、また例えば、これらのいくつかの組み合わせであってもよい。締結開口と外周の(雄)ねじ付き締結部材との結合の典型的な工程は、締結部材が、締結開口の短径が嵌め合い(雌)内周ねじとして機能して締結開口と噛み合うことを許容するためにねじ軸まわりに回転する工程を含む。
【0016】
本発明の1つの側面は、ほぼ平面なシート材料によって形成されたベースメンバおよび前記ベースメンバに配置されるガスケット捕獲開口を備える流体運搬システムに用いられるガスケットリテーナを供給する。好ましくは、ガスケット捕獲開口は、少なくとも円形要素の通過が許容される長径と、円形要素の外周部の開口、溝、またはねじ付き部に結合するために充分に小さい短径とを備える部分に沿った内周の楕円を少なくとも備える。好ましくは、少なくとも2つの締結開口が、ガスケット捕獲開口に対して反対側に配置される。楕円の内周は、特定の例において、楕円形状に数学的に対応する滑らかな窪状部である。
【0017】
好ましくは、楕円形状の長軸寸法は、短軸寸法の約1.15倍(115%)であり、より好ましくは、短軸寸法の約1.25倍(125%)である。ベースメンバは、好ましくは、ステンレス鋼を含み、長さおよび幅を備え、ガスケット捕獲開口の長径および短径のそれぞれがベースメンバの長さおよび幅の一方に対して約15度回転している。
【0018】
1つの特徴的な例は、ガスケット捕獲開口は、D字形状を有し、直線部によって短径に沿って切り取られたより大きな楕円のほぼ半分を含み、前記直線部の両端部は角部の湾曲に組み込まれている。
【0019】
いくらかの例では、ガスケット捕獲開口の内周部は、内方に凸面状を有しない。
本発明の他の態様では、ほぼ平坦なシート材料によって形成されたベースメンバと、滑らかにして凸面状を有することがなく、連続的に屈曲しない内周部を備えるガスケット捕獲開口を備える流体運搬システムに用いられるガスケットリテーナを供給する。内周は、3つのほぼ同一の形状の内周部と、3つのほぼ同一の形状の内周部のそれぞれの両端部が結合した3つの曲がった半径によって開口の外観上がほぼ三角形状に形成される。前記開口はほぼ三角形状に表され、前記開口は、円形要素を通過させる十分な開口サイズによって定義され、前記ほぼ同一の形状の内周部および反対側の開口の内周部の半径のそれぞれの間において、円形要素の通過を許容するのに十分な大きさであり、同時に隣り合う一対の同一の大きな曲率の内周部の間において前記円形要素の外周の開口、溝、または、ねじ付き部と結合するために十分小さな隙間が維持される。
【0020】
好ましくは、ガスケットリテーナは、ガスケット捕獲開口に対して対向する位置に配置される少なくとも2つの締結開口をさらに備える。いくつかの例において、3つのほぼ同一の形状の内周部は、ほぼ直線状をなす比較的大きな湾曲部を備える。非凸面状の開口は、特定の例において、ルーローの三角形状またはトライオーバル形状として表される。
【0021】
付加的な特徴および利点を有する本発明は、添付の例示図面と以下に述べる説明を参照することによって理解される。これらの添付図面において、各図を通して同様な部分は同様な参照符号によって示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aは、ガスケットが挿入された代表的なリテーナの斜視図である。
【
図1D】
図1Dは、
図1Aのようにガスケットが挿入された状態のガスケット捕獲開口の短軸を通過する断面図である。
【
図1E】
図1Eは、
図1Aのようにガスケットが挿入された状態のガスケット捕獲開口の長軸を通過する断面図である。
【
図1F】
図1Fは、既知のC-シールガスケットと
図1に示す代表的なリテーナの組み立てのための工程を示す斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、ガスケットと締結部材(ただし、流体通路要素は明確性のために取り除いた)および
図1Aに示す代表的なリテーナの斜視図である。
【
図3】
図3は、D字形状のガスケット捕獲開口を備える代表的なリテーナの斜視図である。
【
図4】
図4は、購入可能な従来技術のリテーナの斜視図である。
【
図5】
図5は、2つのポートを備える表面実装流体運搬要素のためのリテーナの平面視である。
【
図6】
図6は、3つのポートを備える表面実装流体運搬要素のためのリテーナの平面視である。
【
図7A】
図7Aは、三角形状のガスケット捕獲開口を備えるリテーナの斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、トライオーバル形状のガスケット捕獲開口を備えるリテーナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、一例として
図1Aに示される取り外し可能に捕獲されたC-シール型ガスケットおよびガスケットリテーナのいくつかの視点および実施例を説明し、いくつかの視点および実施例を通じて一致または対応する部分は同様の参照番号で示す。ガスケットリテーナ100は、薄く平坦な長方形のシート片の材料または部材10から形成されている。リテーナ100は、内部に既知の構造のC-シールガスケット90を取り外し可能に保持する楕円形の開口のガスケット捕獲開口50を含む。一対の締結開口31,32は、ガスケットに対して径方向で対向する位置に配置される。半導体装置の流体運搬システムに用いるためのリテーナ100の設計のための代表的な薄い平坦な長方形の材料10の寸法と開口31,32、および、50の相対的な位置は、
図1B,1C,2Aおよび2Bに示される。このようなシート材料の流体システムでは、シート材料は、一般的に0.0030(+/-0.0002)インチ(約0.00762(+/-0.000508)cm)の薄さのフルハードの300シリーズのステンレス鋼であるが、プラスチックまたはヒータ複合物のような構造であってもよい。長方形状のリテーナ100は、K1S表面実装システムにおける2つのボルトフランジの接続に用いられるために適合させるように約0.510(約1.2954cm)×1.115インチ(約2.832cm)とすることができる。なお、寸法は本発明の範囲内で変更することができる。開口は、薄く平坦なフルハードの300シリーズのステンレス鋼を化学的なエッチング、精密打抜き、レーザ加工、および、類似の一般的な製造工程によって開けることができる。
【0024】
図1Cに示される代表的な楕円形状のガスケット捕獲開口50は、縁を曲がって進むC-シール型ガスケットを通過させるのに十分な長軸60と、リテーナ材料シート10と平行になるように平らにしたときにC-シール型ガスケットの外周の開口または溝に結合するのに十分な短軸40とを含む楕円の輪郭の滑らかな窪状部を備える。発明者は、0.340インチ(約0.8636cm)の長径と0.272インチ(約0.69088cm)の短径を備える開口が、既知のC-シールガスケット90に応じた機能を果たすガスケット捕獲開口50を提供することを発見した。CAD(computer aided design)の手法を用いることによって真の数学的な楕円は、ガスケット捕獲開口50を簡便に描くことができる。長軸の寸法が少なくとも短軸の寸法の1.15倍、好ましくは短軸の寸法の約1.25倍(125%)の楕円は、
図1Cに示される代表的な開口と対応する。ガスケット捕獲開口の軸40,60は、後述する薄く平坦な長方形状の部材10の座標系に関してそれぞれ約15度有意に回転していてもよい。
【0025】
既知のガスケット90は、開口の短径の内部の縁42がガスケット外周部の溝91(
図1D)の最深部まで挿入されて結合することによって代表的なリテーナのガスケット捕獲開口50に挿入されることができ(
図1F参照)、開口の反対の短径の内部の縁41をガスケットの最大外径99が通り越せるように広げられるのと同時に、リテーナ材料10を三次元的に曲げ、開口の長径の端部61,62を互いに近づけるようにする。ガスケット90は、このとき、既にガスケットの外周の溝91と結合したリテーナの部分42(
図1Fにおいては非図示)と同一平面上に位置し、そして、リテーナ材料10の屈曲が解放された後、ガスケット捕獲開口50の反対側の短径の内部の縁41もガスケット外周溝91に結合される。ガスケットの保持の詳細は、反対側に位置する小径部の内部縁41,42に挿入されるガスケット外周溝91をよく示した
図1Dの断面図を考慮することによってより全体を理解することができる。ガスケットの取り外しは、反対側に位置する大径部の内部縁61,62からガスケットの最大外径99が離れていることを考慮することによってより全体を理解することができる。
【0026】
本発明のガスケットリテーナの他の実施例は、取り外し可能に捕獲されたC-シール型ガスケットとともに
図3の斜視図に示される。リテーナ300は、シート材料の薄く平坦な長方形状の部材310によって形成される。代表的なリテーナ300は、既知の構造のC-シールガスケット390を取り外し可能に保持するD字形状のガスケット捕獲開口350、および、実質的にガスケットの両端に隣り合う位置に位置する一対の締結開口331,332を備える。熟練した設計者は、このD字形状の開口の周辺部が適当な半径の湾曲した角部361,362に組み入れられる直線部342によってその短軸に沿って切り取られた大きな楕円の半分であると認識する。ガスケット390は、リテーナ材料310を3次元的に屈曲し、楕円の狭い半径部分341をガスケットの外周溝391の最深部に挿入して係合することによって、代表的なリテーナのガスケット捕獲開口350に挿入させることができる。これによって、開口の直線部の縁342がガスケットの最大外径399を通過させるために広げられるのと同時に、切り取られた楕円の角部361,362が互いに向かって近づく。この後、ガスケット390は、既にガスケットの外周溝391に係合したリテーナの部分341と同一平面上になるようにされ、それによって開口の直線部の縁342のガスケット外周部の溝391への係合が許容されるためにリテーナ材料310の屈曲が解放される。
【0027】
本発明のガスケットリテーナのさらに他の例は、他のハードウェアが係合していない
図7Aの斜視図に明らかに示される。リテーナ700は、シート材料の薄く平坦な部材710によって形成される。代表的なリテーナ700は、ほぼ直線状をなす3つの同一形状の外周部741,742,743および適当な大きさの半径747,748,749の先端を頂点とする正三角形状を含む滑らかな非凸面状の輪郭を備えるガスケット捕獲開口750を備える。ガスケット(非図示)は、一対の隣り合う直線部741,742がガスケット外周部の溝(非図示)の最深部に係合されることによって、代表的なリテーナのガスケット捕獲開口750に挿入されることができる。この挿入は、リテーナ材料710を3次元的に曲げることによって引き起こされ、ガスケットの最大外径(非図示)を通過させるために3つ目の直線部の縁743を広げるのと同時に、端部の半径747,748が互いに近づくように移動させる。この動作は、さらにガスケットを既にガスケット外周部の溝に係合したガスケット捕獲開口の部分741,742と同一平面上にし、リテーナ材料710の屈曲を開放することによって、3つ目の直線部の縁743をガスケット外周部の溝への係合を許容する。
【0028】
本発明によって設計されるガスケットリテーナのさらなる例は、明確にするために係合する他のハードウェアを省略した
図7Bの斜視図に示される。リテーナ701は、シート材料の薄く平坦な部材711によって形成される。リテーナ101は、自動車のレーシングコースのトライオーバル形状に類似した、適当な大きさの半径767,768,769の先端を頂点とするルーローの三角形状として表現される、相対的に大きな湾曲の3つの同一の形状の外周部761,762,763が滑らかな非凸面状の輪郭を備えるガスケット捕獲開口751を備える。既知のガスケット(非図示)構造は、一対の隣り合う直線部761,762のガスケット外周の溝(非図示)の最深部への挿入による係合によって代表的なリテーナのガスケット捕獲開口751に挿入することができる。この挿入は、リテーナ材料711を端部の半径767,768を互いに近づけるように三次元的に屈曲させ、同時にガスケット最大外径(非図示)を通過させるために3つ目の直線部の縁763を広げる。この動作は、一方、ガスケットを既にガスケット外周の溝に係合されたガスケット捕獲開口の部分761,762と同一平面上にし、リテーナ材料711の屈曲を開放し、3つ目の開口の直線部の縁763もガスケットの外周の溝に係合することを許容する。
【0029】
熟練した設計者は、本発明の長円の凸面状(開口の内部から外方に見たとき)のガスケット捕獲開口の周辺形状は、数学的な楕円によって定義されるような連続的に変化する湾曲を必要としないことを認知し得る。適切に一部が切り欠かれた数学的な楕円形状は、
図3に示されるD字形状の開口に見られる機能的な開口を形成するのに十分である。機能的な開口は、例えば、
図7Aに示される開口に見ることのできるような湾曲した角を有する三角形状を極端なケースとして、直線によって係合される短い円弧部分によって形成されてもよい。
【0030】
図7Bに示される一般的なトライオーバル形状の開口のケース、または、
図1Cに示される楕円の輪郭を有する開口のケースさえも、円弧部分のそれぞれは異なる半径を有してもよく、またはほぼ同一の形状を有していてもよい。加えて、リテーナの薄い平坦なシート材料の軟性および弾力性、縁をめくってC-シール型ガスケットの通過を許容するのに十分に大きな長径とC-シール型ガスケットの外周の開口または溝と係合するために十分に小さな短径とを備えるガスケット捕獲開口は、リテーナの設計上考慮すべき主要な点がある。大きな長径は、最初のガスケットの外周溝と開口の縁との係合を許容するために必要であり、小さな短径は、ガスケットが開口に挿入された後にガスケットを保持するために必要である。
【0031】
図4に示されるMicroflexTechnologies (Anaheim, CA; www.microflexseals.com)から購入可能なリテーナを含む、本明細書の背景部分において述べたリテーナについて考察すると、これらの設計の全てが少なくとも1個の取扱い時に引っかかるような小さな尖った局在的な凸面部を備え、そして、全てが本発明の有用な窪状部を欠く。
【0032】
熟練した設計者は、一般に締結部材とリテーナとを一時的なサブアセンブリとして共に保持するために設けられている締結部材のねじ付き部分と係合するために設計されたガスケットリテーナにおいて、締結開口を備える有用性をさらに評価する。これは、流体通路接続工程を簡単にする。ガスケット捕獲開口に適合されるどのような開口の形状であっても、適切な寸法のスケーリングの後に締結開口用に用いることができる。したがって、典型的な締結開口は、楕円形状、数学的な楕円形状、D形状、三角形状、または、トライオーバル形状であってもよい。既に述べた開口の選択のいかなる組み合わせも、個々のリテーナの設計において用いることができる。
【0033】
上述したように、
図1Aに示す最初の例のリテーナ100は、ガスケット捕獲開口50に対して径方向で対向する一対の長円形状の締結開口31,32を備える。
図2Aに示されるとおり、右の締結開口31は、楕円の輪郭が滑らかな窪状部をなし、締結部材のねじ付き部の外径の通過を許容するのに十分に大きい長径35と、ねじ付き部の根元の部分に拘束されずに、ねじ付き部に係合するために十分に小さい短径33とを備える。締結開口軸33,35は、また、材料のウェブ部の幅等の他の考慮すべき設計を調整するために、薄く平坦な長方形状の部材10の座標系において、それぞれ有意に回転させてもよい。
図2Bに示されるように、左の締結開口32は、ねじ付き部の外径の通過を許容するために十分に大きな長径36と、ねじ付き部の根元の部分に拘束されることなくねじ付き部に係合するために十分な小ささの短径34とを備える楕円の輪郭の滑らかな窪状部を同様に有する。2つの締結開口の長軸35,36は、互いに直角をなすが、他の相関的な関係は要求される設計によって選ばれてもよい。
【0034】
発明者は、長径が0.718インチ(約1.82372cm)、短径が0.142インチ(約0.36068cm)の締結開口31,32がUNC-#8-32およびM4x0.7の雄ねじの両方の調整の間において好適に機能することを発見した。真の数学的な楕円は、CAD(computer aided design)手法が用いられる場合、締結開口31,32を簡便に描くことができる。短軸の寸法の約1と1/4(1.25=125%)倍のサイズの長軸を備える数学的な楕円は、
図2Aおよび
図2Bに示される代表的な締結開口31,32に一致する。外部の(雄)ねじ付き部の締結部材71,72と締結開口31,32とを係合させるための典型的な工程は、嵌め合い内周(雌)ねじ付き部のようにした締結開口の短径33,34への噛み合いを許容するためのねじ付き部の軸に沿う締結部材の回転を含む。最初の例のリテーナ100において、締結部材71,72、ガスケット90、および、リテーナの長方形状の部材10の間の関係は、明確にするために図から液体流路要素が取り除かれた
図2Cに示される道具が組み立てられた斜視図によってさらに理解される。
図2Dの断面詳細図は、どのように締結開口31の短径33が1つの外周にねじ付き部を有する締結部材71のピッチ円直径におおよそ係合するかを示す。
図2Eの断面詳細図は、どのように締結開口32の長径36が他の挿入された外周にねじ付き部を有する締結部材72の長径を通過させるために十分な大きさであるかを示す。
【0035】
複数の流体導管ポートを備える表面実装流体運搬システムの要素はよく知られ、複数のガスケット捕獲開口を備える本発明のガスケットリテーナは適切な開口の配置によって有益な効果を得られる。
図5において示されるのは、2つのポートを備える表面実装K1S方式の流体運搬要素に用いられるリテーナ500の平面視である。リテーナ500は、薄く平坦な四角形状の部材510から形成され、既知のC-シールガスケット(非図示)用の2つの長円形状のガスケット捕獲開口550,554、および、弁または類似の要素が設けられる角と対応した位置に配置される4つの締結開口531,532,537,538を備える。シート材料は、一般的に0.0030(+/-0.0002)インチ(約0.00762(+/-0.000508)cm)の薄さのフルハード300シリーズのステンレス鋼であって、四角形状は、約1.115インチ(約2.8321cm)×1.115インチ(約2.8321cm)である。もちろん、これら寸法は、典型的なものであり、発明の概念を実施するために必ずしも必要とされるものではない。それぞれのガスケット捕獲開口550,554は、既に議論したリテーナ100に類似する呼称寸法が0.340インチ(約0.8636cm)の長軸560,564、および、呼称寸法が0.272インチ(約0.69088cm)の短軸540,544を備える。隣接するガスケット捕獲開口550,554の不適切な配置は、流体導管ポートが、典型的に0.305インチ(約0.7747cm)離れた間隔を有しているため、相互の交差、および、それらの間の材料のウェブ部580の損失を生じ得る。発明者は、それぞれのガスケット捕獲開口550,554の同方向における約15度の回転が単に短軸540,544を一列に並べる場合と比較して、材料のウェブ部580の幅の好ましい改善を提供することを発見したことに加えて、開口の軸540,544および560,564が一直線状に並べられるよりは単に平行になるため、取り扱い上の利点が生じる。したがって、1つのガスケットを挿入するときに、隣接したガスケットの保持を妨げにくい。
【0036】
図6において示されるものは、他の3つのポートを備える表面実装K1S方式の流体運搬要素に用いられるリテーナ600の例の平面視である。リテーナ600は、シート材料の薄く平坦な四角形状の部材610から形成され、既知のC-シールガスケット(非図示)に用いられる長円形状のガスケット捕獲開口650,654と、弁または類似の要素の開口が設けられる角部に対応する位置において配置される4つの締結開口631,632,637,638を備える。シート材料は、典型的に0.0030(+/-0.0002)インチ(約0.00762(+/-0.000508)cm)の薄さのフルハード300シリーズのステンレス鋼で、四角形状は約1.115インチ(約2.8321cm)×1.115インチ(約2.8321cm)である。それぞれのガスケット捕獲開口650,654,658は、既に議論したリテーナ100と類似した呼称寸法が0.340インチ(約0.8636cm)の長軸660,664,668、および、呼称寸法が0.272インチ(約0.69088cm)の短軸640,644,648を備える。隣り合うガスケット捕獲開口650,654,658の不適切な配置は、流体の導管ポートが特に0.305インチ(約0.7747cm)離れているので、相互の交差、および、それらの間の材料のウェブ部680,681の損失を招くこともある。発明者は、それぞれのガスケット捕獲開口650,654,658の同方向における約15度の回転が単に短軸640,644,648を一直線状に配置する場合と比較して、材料のウェブ部680,681の間の幅の望ましい改善を提供することを発見した。加えて、開口の軸650,654,658、および、660,664,668が一直線上に並べられるよりは単に平行になるため、1つのガスケットの挿入が隣り合うガスケットの保持を阻害しにくいので、取扱い上の利点が生じる。
【0037】
本発明のそれぞれの種々の特徴的な例および実施例を述べてきたが、その焦点を逸脱しない範囲で種々の修正がなされると解されるべきである。それゆえ、上記の説明は発明を限定するものとして解されるものではなく、単にその好ましい具体化およびその実施例に過ぎないものとして、発明を以下請求の範囲内において種々に実施することができる。