(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091811
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】血管内の障害物を横断するための細長い血管内要素
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067390
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022526027の分割
【原出願日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/080449
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】2006665.0
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521193304
【氏名又は名称】ヴァーソノ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VERSONO MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】SSL BUILDINGS, PARKMORE WEST BUSINESS PARK, GALWAY,H91 HP4F, IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ドラン,フィンバー
(72)【発明者】
【氏名】オドナヒュー,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】コノリー,パット
(72)【発明者】
【氏名】スメッドリー,ジム
(72)【発明者】
【氏名】タルピー,ブライアン
(57)【要約】
【課題】より容易に製造することができ、より容易に病変の部位にナビゲートすることができ、より単純にかつ効果的に活性化および制御することができ、そして血管に沿った流れを容易にし、かつ後続の治療に対処することをより良好に可能にするより大きな管腔を形成しながら、病変をより効率的に横断することができる血管内要素を提供すること。
【解決手段】血管内の障害物を横断するための細長い血管内要素であって、要素が、近位セクションと、近位セクションよりも小さい直径の遠位先端セクション126と、近位セクションと遠位先端セクション126との間に延在する遠位テーパ状中間セクション130と、を備え、テーパ状中間セクション130の長さが、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数もしくは偶数分母の分数である数列λ/4、λ/8、…であり、ここで、λは、要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の障害物を横断するための細長い血管内要素であって、前記要素が、
近位セクションと、
前記近位セクションよりも小さい直径の遠位先端セクションと、
前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間に延在する遠位テーパ状中間セクションと、を備え、
前記テーパ状中間セクションの長さが、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数もしくは偶数分母の分数である数列λ/4、λ/8、…であり、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、細長い血管内要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波で活性化されたワイヤまたは他の細長い要素を使用して、血管内の遮断物を横断し、後続の治療デバイスの導入を容易にすることによる虚血の治療に関する。
【0002】
先行特許出願
本発明は、国際公開第2020/094747号として公開された当社の国際特許出願、およびその内容が参照により本明細書に組み込まれる未公開の英国特許出願第2006665.0号に記述された概念を発展させる。
【背景技術】
【0003】
血管内処置では、脈管系へのアクセスを得るのに使用するための動脈が選択され、採用される。選択は、標的部位への目的の診断または治療デバイスの通過に対応する動脈の能力、ならびに組織および患者の外傷を最小限に抑えることができる程度に基づいている。
【0004】
例えば、末梢動脈または静脈における血管再生処置では、アクセスは、大腿骨、膝窩、脛骨、および/または足動脈への外科的な切開および穿刺によって行われることが多く、これは、医学用語では、セルディンガー法として一般に知られている。アクセスが行われると、イントロデューサワイヤおよびイントロデューサシースが脈管内へ挿入され、部位に固定される。このシースは、デバイスの導入、引き抜き、および交換のためのポートとして機能し、動脈組織の擦過傷を最小限に抑える。次いで、ガイドカテーテルおよびガイドワイヤが、動脈内に導入されて、さらなる保護を提供し、標的部位へのデバイスナビゲーション、および治療の提供を支援する。
【0005】
ガイドワイヤは、脈管壁に外傷を引き起こさないように注意深く脈管の内腔に沿って押され、障害物の部位にナビゲートされる。成功した処置では、ガイドワイヤは、次に、障害物の向こう側へ、または障害物を通って押され、その場に保持されて、バルーンカテーテルおよびステントなどの診断または治療デバイスが閉塞の部位までその上をトラックされるガイドとして機能する。ガイドワイヤは、他の低侵襲処置において、他のデバイスおよび器具を脈管または体内の他の空洞内へ導入して、検査、診断、および異なるタイプの治療を可能にするために使用される。
【0006】
ガイドワイヤは、例えば、バルーン血管形成術、胃腸、泌尿器、および婦人科の処置のために使用される。そのような処置のすべては、病変の部位、または体内の病変の遠位にある、標的にされる他の組織にとってより大きくて、かつより扱いにくい場合が多いデバイスの通過を容易にするために、遮断物を通って形成される通路を必要とする。
【0007】
ガイドワイヤは、治療の介入にとって重要であり、様々な材料、すなわち、最も典型的には、ステンレス鋼、およびNiTi(ニチノール)、コバルトクロム(CoCr)などを含む様々な合金から製造され、多くの様々な設計を伴う。それらの製造には、多くの場合、例えば、その材料をワイヤに形成しながら冷間加工し、次いで、そのワイヤを様々な寸法設計に機械加工し、そして様々な熱処理を適用して所望の性能を生じさせることによる、材料の化学成分の改質、および微細構造形態学が含まれる。一例として、ワイヤの長さにわたって特定のテーパを機械加工して、ワイヤの長さに沿って示差的な度合いの可撓性を生じさせることができる。したがって、その遠位端では、ワイヤは、脈管の形状に適合するのに十分な可撓性、および先端(「先端剛性」)への力、または病変を通って横断する力を伝達するための強度を有することになる。
【0008】
従来のガイドワイヤでは、テーパセグメントは、コイルを介してワイヤの遠位先端への力の伝達を可能にしながら、テーパを通って可撓性を可能にする、コイルまたは外被材料に封止される。以下に説明されるように、本発明のワイヤでは、ワイヤがコーティングまたは外被されていない場合であっても、管腔を掘削するための力が超音波エネルギーによって伝達されるため、そのようなコイルまたは外被材料は、必須ではない。
【0009】
血管内の処置で使用されるワイヤの長さは、それらのワイヤが動作する可能性が高いと思われる距離に応じて変動する。一例として、通常、750mm~最大900mmの長さのワイヤが、大腿骨または膝窩の解剖学的構造に導入され得るか、または同側の腸骨大腿膝窩および膝窩下動脈内の遮断物までトラックし、遮断物を通る必要がある多くの末梢用途で使用される。同側および冠状動脈の用途で使用されるワイヤの長さは、1200mm、1500mm、または1700mmのオーダーの長さである傾向がある。実際、反横方向に突き止められ得るワイヤの長さは、さらに長く、おそらく、およそ2000mm~2250mmまたは2500mmもしくは3000mmであり得る。市場で最も一般的なワイヤ長は、1750mm、1950mm、および3000mmである。
【0010】
多くの事例では、延長ワイヤを使用して、オーバーザワイヤ(OTW)デバイスと称される特定の治療用デバイスの展開を容易にすることができる。この事例では、ワイヤの近位端は、特定の特徴を必要とする場合がある。
【0011】
従来の多くの血管内ワイヤは、能動部品を備えない受動機械デバイスである。受動ワイヤは、臨床医によって加えられるエネルギー以外、何も伝達しない。それらの受動ワイヤは、それらの近位端が押し付けられ、引っ張られ、またトルクを与えられることによって操作されて、遮断物部位にナビゲートし、次いで、遮断物を通ってまたはその周りで押し付けられる。それらは、異なる解剖学的構造内の病変のアクセスおよび横断を容易にするために、および異なるデバイスのために、様々な構造および設計になっている。しかしながら、非常に多くの場合、閉塞は従来のワイヤが横断するには難しすぎる。これらの受動ワイヤは、その場合、ガイドワイヤが意図したようには機能しないか、または著しく石灰化されていることもある、ほとんどもしくは完全に閉鎖された遮断物を横断しようとするときには、制限される。受動ワイヤが閉塞の周りで突き止められる状況では、例えば、内膜下の状況では、そのようなワイヤは、真の管腔に再入させることにおいて不成功に終わることが多い。
【0012】
本発明は、遮断物を横断するための、ワイヤに沿って伝達される超音波振動の使用に関する。直径の小さいカテーテルおよびアセンブリに沿った超音波振動の伝達については、米国特許第3433226号明細書に開示されている。米国特許第5971949号明細書は、異なる構成および先端形状の導波路を介した超音波エネルギーの伝達について説明している。米国特許第5427118号明細書は、超音波ガイドワイヤシステムについて説明しているが、ワイヤの近位の形状、またはそれがどのようにオーバーザワイヤ方法を介して後続のデバイスを容易にするかについては詳細に論じていない。
【0013】
現在の多くの単一トランスデューサシステムは、超音波によって活性化されるガイドワイヤではないが、代わりに、材料を激しく動かして焼灼するためのワイヤ部材を含む、超音波によって活性化されるカテーテルである。米国特許第6855123号明細書および米国特許第4979939号明細書に、そのようなシステムが説明されている。これらのカテーテル自体は、それらがナビゲートするのを助けるために別個のパッシブガイドワイヤを必要とし、したがって、遮断物を横断する別個のガイドワイヤを容易にするためのツールである。米国特許第9629643号明細書は、様々な遠位先端構成を有するシステムを示しているが、すべてアクセスのために別個のガイドワイヤが必要である。
【0014】
これらのデバイスは、血管再新生の代替方法を送達することを対象にし、アテローム切除デバイス、横断デバイス、または脈管調製デバイスとして説明されることが多い。限定された例外の場合、それらの装置は、デバイス送達システムとして機能する目的で病変を横断することと同一であるとは見なされない。本技術では、これらの超音波デバイスおよび再疎通ワイヤデバイスは、血管再新生を強化し、病変を形成する血小板を除去することによって病変を減量することによるアテローム切除術を提供するか、またはそれに影響を及ぼす。
【0015】
初期、その後、および現在の設計では、超音波発生器システムは、使用される音響効果のために大きくなり、複数の周波数を生成し、パルス波を制御するようにスケール変更された大きなユニットになっている。また、実用的有用性の考慮事項は、既知のシステムが一般に別個の要素を含むことを意味する。例えば、多くのシステムは、トランスデューサとは別個のユニットに収容される信号発生器を用いて設計されており、一部は、臨床環境でかなりのスペースを占める大型のトロリーユニット、コンソール、又はスタンドに取り付けられている。米国特許第6450975号明細書、米国特許出願公開第2008/0228111号明細書、および米国特許第9282984号明細書のすべてに、そのようなシステムが説明されている。
【0016】
超音波で活性化されるカテーテルおよびワイヤシステムは、過去に横断またはアテローム切除術の方法として、および血管形成術治療のための脈管を準備するために考慮されてきた。いくつかの製品が過去に市販され、一部は引き続き市場に出回っており、いくつかの新しいシステムが最近市場に出ている。そのようなカテーテルおよびワイヤシステムは、超音波発生器および超音波トランスデューサを含む場合が多い。超音波発生器は、主電源を、その電圧振幅、電流、および周波数によって定義される超音波波形に変換する。超音波トランスデューサ、および多くの場合の増幅ホーンは、電気エネルギーを、振動の周波数および振幅によって定義される高周波の機械的振動に変換する。
【0017】
小さい直径のワイヤ導波管は、トランスデューサに直接、または任意のホーンを介して、その近位端において結合され、その機械的振動をワイヤの遠位先端に伝達する。これにより、ワイヤ導波管の遠位先端が、所望の振幅および周波数で振動することを引き起こし、材料を掘削し、そして最終的に身体全体にわたって脈管および解剖学的構造の血管再新生または再疎通を容易にすることを目的とする。遠位先端の近くの組織および材料は、先端の超音波による動きとその直接的な機械的剥離との組み合わせ、圧力波成分からの焼灼およびキャビテーション、ならびに先端の周りのゾーンから焼灼された材料を除去する音響ストリーミングによって影響を受ける。
【0018】
超音波によって活性化される既知の血管内ワイヤシステムでは、ガイドワイヤの近位端は、トランスデューサに接続される。国際公開第2020/094747号として公開された本発明者らの特許出願では、ワイヤは、トランスデューサを介して進み、そこから遠位に延在するだけでなく、近位にも延在する。これにより、ユーザが任意の所望の位置でトランスデューサをワイヤに結合し、ワイヤの遠位部分の全長を、それを切断する必要がなく、調整することが可能になる。ワイヤがトランスデューサを通って移動または伸長し、複数の場所でトランスデューサに結合される能力は、ワイヤの遠位部分の全長を調整する能力、例えば、ワイヤー先端部が患者の体内を移動する必要があると予想される軌道の長さまで適応する能力から生じる非常に有用な実用上の利点を有する。また、ワイヤの制御は、活性化ソースを調整または再接続している間、脈管の管腔内のその場でその配置を保持する際に増強される。さらに、ワイヤの長さの調整可能な遠位部分は、任意の所望の周波数で遠位先端における共振を達成および最適化するのに役立つ。
【0019】
国際公開第2020/094747号に開示されている概念を発展させる際に、本発明者らは、国際公開第2020/094747号の概念とともに、または別様に使用するかどうかにかかわらず、既存の血管内ワイヤが様々な点で改良される必要があることを認識した。より容易に製造することができ、より容易に病変の部位にナビゲートすることができ、より単純にかつ効果的に活性化および制御することができ、そして血管に沿った流れを容易にし、かつ後続の治療に対処することをより良好に可能にするより大きな管腔を形成しながら、病変をより効率的に横断することができる血管内ワイヤの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第3433226号明細書
【特許文献2】米国特許第5971949号明細書
【特許文献3】米国特許第5427118号明細書
【特許文献4】米国特許第6855123号明細書
【特許文献5】米国特許第4979939号明細書
【特許文献6】米国特許第9629643号明細書
【特許文献7】米国特許第6450975号明細書、
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0228111号明細書
【特許文献9】米国特許第9282984号明細書
【特許文献10】国際公開第2020/094747号
【特許文献11】国際公開第2020/094747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概要
本発明の一態様によれば、血管内の障害物を横断するための細長い血管内要素が提供される。本要素は、
近位セクションと、
その近位セクションよりも小さい直径の遠位先端セクションと、
その近位セクションと遠位先端セクションとの間に延在する遠位テーパ状中間セクションと、を備え、
そのテーパ状中間セクションの長さは、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数もしくは偶数分母の分数である数列λ/4、λ/8、…であり、ここで、λは、その要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である。
【0023】
本発明はまた、血管内の障害物を横断するための血管内装置にも属し、その装置は、本発明の細長い血管内要素と、その障害物を横断することを容易にするために、その要素の遠位先端セクションを超音波によって励振するための、その要素に機械的に結合された超音波トランスデューサと、を備える。
【0024】
本発明はまた、細長い導波管要素の遠位先端セクションを超音波によって励振する方法にも提供し、その方法は、その要素の長手方向の共振を励振する駆動周波数で、その要素の近位セクションに超音波エネルギーを入力することと、長手方向の振動に加えて、遠位先端セクションにおいて横方向の低調波振動を生成することと、を含む。
【0025】
本発明の超音波掘削ガイドワイヤは、様々な重要な態様において、他の超音波ワイヤおよび従来のガイドワイヤとは異なる。
【0026】
本発明は、ワイヤを解剖学的構造を通ってナビゲートさせ、病変を横断させ、ワイヤもしくは球部の直径、またはワイヤの遠位端における任意の他の拡大した特徴よりも大きい直径の管腔を開口させることを支援する。この目的のために、遠位端部分は、テーパ状に、またはワイヤの近位部分よりも細い直径にすることができ、遠位領域における横方向の掘削を容易にするために裸のままにされる。従来のワイヤ、および競合する超音波ガイドワイヤでは、ワイヤの遠位端は、細い直径に向かってテーパ状に細くなり、ワイヤが曲がりくねった解剖学的構造をナビゲートするのを助ける。ただし、これらのワイヤの部分は、ばね状のコイルおよびまたはポリマー外被のスリーブに覆われて、そのような可撓性要素が解剖学的構造を押し通すことができるようにする。
【0027】
先行技術ワイヤのコイルまたは外被は、長手方向の負荷の伝達を可能にし、ワイヤの長さにわたって一定の直径を維持するという二次的な機能を有することができ、その結果、ガイドワイヤを介して脈管系に導入される後続の治療デバイスは、最大作業長を超えてそのように導入することができる。しかしながら、本発明の超音波ワイヤでは、ワイヤを介して伝達される超音波変位波形の形式のエネルギーは、ワイヤが障害物を通過することを可能にするための手段を提供し、したがって、ワイヤの遠位端部分のコイルまたは外被は必須ではない。
【0028】
閉塞材料の横方向の掘削を提供するために、本発明における遠位コイルまたは外被の不存在、ならびにテーパおよび遠位ランドの長さおよび直径の最適化は、侵食損傷、擦過傷、および焼灼の影響を及ぼすワイヤの長手方向および横方向の変位による二重掘削を提供する。本発明は、長手方向に加えて、横方向または半径方向の低調波の優先的な選択を可能にする。
【0029】
横方向のモードで掘削することになる、遠位端における低調波周波数を選択するために、ワイヤの遠位端部分は、優先的に選択された支配的な低調波共振周波数に適合させるために、本発明による形態で機械加工される。これは、そのテーパ、ならびにその遠位ランドの長さおよび直径に対する、ワイヤの成形された輪郭の設計を通じて、遠位端部分の横方向の変位を最大化する。
【0030】
弾力性、靱性、および37Cにおける特徴的な音響性能を備える機械的な特性のために選択された所与の材料の場合、全体的な長さに関するワイヤの最適な特性は、λ/4の奇数倍(n=1、3、5、…、n)であり、ここで、λは、所与の入力周波数および特定の材料特性についての、材料の波長である。
【0031】
テーパの過渡領域は、ワイヤの遠位方向に伝達される超音波エネルギーの階段利得または増幅を提供する。しかしながら、本発明者らは、支配的な低調波の自然淘汰が、テーパ長をλ/2に作製することによって、行われることができることに気づいた。また、ワイヤの最適な横方向の伝達が、遠位ランドの長さがλであることによって得られることも見出された。
【0032】
使いやすさを決定する重要な側面は、本発明のワイヤが、それらがナビゲートする動脈または他の血管の形状に適合し、かつ可撓性を有することを可能にする先端の可撓性を有し、その結果、振動の横方向モードは、有意な力の変位を引き起こすことである。したがって、0.005インチ~0.008インチの遠位ランドの直径を有するワイヤが好ましく、0.007インチは、例えば、5°C~18℃で特定のAfを有するタイプ1のニチノールワイヤにおいて最適な性能をもたらす。
【0033】
ワイヤを壊滅的に破損させる可能性のある高レベルの応力または歪みにワイヤをさらすことなく、長手方向および横方向の変位の励振確立モードを利用する必要がある。したがって、ワイヤは、超音波トランスデューサに機械的に結合され、主に、所定の周波数および変位の振幅で長手方向に励振される。ワイヤの幾何学的形状は、主にこの入力駆動周波数でまたはその近くで、長手方向モードで共振するように選択され、これにより、共振している間、その長さに沿ってワイヤに定在波が生じる。これにより、結果として、遠位先端の近くで重要な長手方向成分の振動がもたらされる。
【0034】
別の課題は、変位の横方向モードがワイヤの長さに沿って任意の場所で生じる可能性がある一方で、エネルギーを遠位端に向けて搬送および集束させることが望ましいことである。特に、システムの駆動周波数またはその近くにおける長手方向モードに加えて、解剖学上の入口に好適な長さのワイヤが励振される様々な追加の長手方向の低調波が存在することになる。さらに、ワイヤは、長手方向の一次周波数およびその低調波周波の近くに、横方向モード振動または横モード振動を有する。ワイヤの異方性もしくは形態、または幾何学的形状に導入された任意のオフセットまたは不均衡は、特にこれらの横方向モードが長手方向モードまたはその近くにある場合に、これらの横方向モードの振動を促進することになる。ただし、横方向の励振を促進して、ワイヤの遠位領域で優先的に発生させることが望ましい。
【0035】
横方向の変位は、駆動周波数または入力周波数よりも低い周波数で発生し、ワイヤにおけるそれらの動きの減衰および増幅は、駆動周波数、ならびにワイヤで使用される幾何学的形状および材料によって支配される。そのような横方向モードは、遠位領域の長手方向運動に重ね合わされ、本発明によれば、特定の設計特徴をそのワイヤに組み込むことによって優先的に選択することができる。原則として、これらの横方向変位は、ワイヤに存在することがあるが、特定の周波数および振動モードの選択は、テーパの位置および長さを含む、ワイヤの幾何学的形状を調整することによって達成することができ、動きの大きさは、ワイヤの遠位部分の直径および材料特性によって決定することができる。
【0036】
障害物を掘削するための力および変位の最適なレベルでワイヤを変位させるために、ワイヤを最適化する必要がある。したがって、本発明の最適化されたワイヤでは、ワイヤの長さに沿った異なるテーパおよび異なるランドの構築は、ワイヤの遠位端領域において異なる横方向応答および長手方向応答に影響を及ぼす可能性がある。そのとき、これらの応答は、様々な解剖学的構造および様々な種類の病変で想起される様々な使用ケースに最適化することができる。
【0037】
また、硬い石灰化病変からなる慢性完全閉塞に対して迅速にナビゲートしてそれを通り抜けることができ、かつワイヤを介して後続の治療デバイスを通過させるのを可能にするのに十分大きな管腔をそのように提供することができるガイドワイヤも必要である。したがって、本発明の目的は、血管内の閉塞材料を選択的に掘削し、かつワイヤの断面積よりも実質的に大きなアパーチャまたは管腔を開けて、後続の治療の送達を容易にすることである。この目的のために、ワイヤの遠位先端領域の掘削メカニズムは、病変の管腔を焼灼して開放するために一斉に作用する横方向運動に結合された直接の長手方向振動を含む。
この焼灼または他の掘削メカニズムは、ワイヤの遠位先端が病変に接触する場合だけでなく、そのワイヤの遠位先端がその病変を最初に貫通した後に、病変と接触する場合にも発生することがある。
【0038】
様々な相互に関連する変数が、本発明に従って修正されて、病変の掘削を最適化することができる。具体的には、ワイヤは、そのワイヤがトランスデューサに結合されている場所からワイヤの遠位端に超音波エネルギーを指向させる。ワイヤのこの遠位先端領域における掘削は、エネルギーがワイヤ内に含まれるモード(すなわち、横方向および長手方向の動き)および振幅によって、したがって、そのワイヤ長を通ってワイヤ内の超音波信号/変位を駆動する駆動周波数および振幅、ワイヤ内の音響伝達の特性、ならびにワイヤの異なるセクション、つまり、近位ランドセクション、中間テーパ状セクション、および遠位ランドセクションにおける直径によって決定されて、ワイヤが励振に応答するときに、ワイヤの長さに沿った様々な領域におけるワイヤ変位の増幅および振幅に影響を与える。
【0039】
したがって、ワイヤの寸法および均一性は、以下の点について、その応答に影響を及ぼし、それらは、ワイヤの内部組成、およびその材料の性質と、ワイヤの外形および任意の不連続性、またはワイヤの成形された特徴または形成部と、長さ全体の公差などのワイヤの形状および寸法に関するワイヤの均一性と、テーパ寸法、過渡領域セクション、および印加された超音波エネルギーに対するそれらの妥当性と、トランスデューサにおけるワイヤの近位直径からその遠位掘削ランドの直径までのワイヤの直径の変化と、ワイヤの長さ全体にわたるこの直径の減少に関連付けられた増幅と、テーパ状セクションの場所および長さ、ならびにそのテーパ状セクションが波長にどのように対応するか、である。
【0040】
ワイヤの機械的特性および設計を選択してその性能を最適化すると、これらの属性が横運動または横方向運動の物理的な兆候に関連していることがわかる。
【0041】
本発明のこれらの目的のすべては、ワイヤが使用中に通過する解剖学的構造の形状を立証するのに十分な可撓性もあるワイヤを用いて達成されなければならない。特に、ワイヤの可撓性および弾性または弾力性は、ワイヤが動脈または他の血管の管腔内に嵌合することができるかどうかを決定する。ワイヤの直径および機械的強度はまた、ワイヤが曲がりくねった解剖学的構造を通って追跡し、またはナビゲートし、したがって、血管の形状に対応することができるかどうかも決定し、解剖学的構造の形状を偏向および適合することができないことに起因する、血管の壁を詰まらせず、立ち往生させず、または血管壁を悪化させず、貫通させない。この点において、大腿骨動脈の場合、血管は太いため、血管の形状に適合するワイヤの能力は、例えば、足動脈の場合よりは困難ではなく、その屈曲は、冠状動脈の屈曲、および一部のより太い神経脈管の解剖学的構造と同程度である。
【0042】
まとめると、ワイヤ設計パラメータを選択して、どれくらいのエネルギーが長手方向モードおよび横方向モードに結合されるかを制御することができる。好ましい実施形態では、ワイヤの作業長さを画定する近位セグメントの直径と、ワイヤの掘削セクションを画定する遠位セグメントの直径との比率は、2:1~3:1であり、これは、最適な利得または増幅を与える。
【0043】
支配的な二次周波数を選択するためのテーパ状セクションの最適な長さは、λ/2であり、すなわち、テーパ状セクションの長さと、遠位ランド長の長さとの比率は、λ/2:λであり、その結合から遠位先端までのワイヤの有効長は、λ/4の奇数倍((2n+1)λ/4)である。
【0044】
ワイヤは、本発明の細長い血管内要素の一例であり、導波管または波動送達システムとして使用することができる。例えば、その要素は、ワイヤおよびカテーテルのハイブリッドとすることができる。特に、要素の近位部分、例えば、近位端から要素の1メートルは、カテーテルと同様の方法でカプセル化されたワイヤを有することができ、これに対して、遠位端に延在する要素の遠位部分は、カプセル化されていないワイヤとすることができる。本発明のワイヤまたは他の要素は、波動送達システム全体の内側構成要素とすることができる。
【0045】
伝達部材または導波管ワイヤの設計は、遠位先端までの異なる解剖学的構造を介したおよび異なる材料を介した波パターンの伝達を制御するために最適化されている。使用される材料のモルフォロジーは、重要であり、それらの材料は、「巨視的な」レベルで弾力性の大きい等方性材料モルフォロジーとして示すことができるのに対して、それらの材料は、当初のひび割れの発生を遅らせるか、またはひび割れの進行を抑制することができる異方性微量モルフォロジー特徴を有することができる。
【0046】
本実施形態で使用される材料は、広範囲に冷間加工されたステンレス鋼、ニッケルチタン合金、および/またはコバルト/クロム合金、例えば、線状弾性ニチノールである。具体的には、NiTiのみの合金の場合、破損の可能性を制限するために、含有物サイズおよび母集団にわたって、厳格な制御が実行される。他の合金では、ワイヤの早期故障を促進させるように作用し得る他のモルフォロジー特徴にわたって制御が実行される
【0047】
本発明は、近位端および遠位端において、かつその長さにわたってワイヤに機械加工されて、病変を横断するためのワイヤの能力を増強し、ワイヤを強化し、ワイヤをよりうまく制御することを可能にし、ワイヤの結合、およびワイヤを介した効率的な伝達を可能にする、特定の特徴の導入を可能にする。設計の組成は、使用する材料および使用目的によって異なる。
【0048】
ワイヤの幾何学的形状、ならびに使用される材料は、様々な適用用途の場合に最適化される。ワイヤは、欠陥を最小限に抑え、材料の長さ全体にわたって、かつ長さのセクションを通る、厳しく制御されたテーパおよび開閉溝(keying splines)を介した伝達を最適化するように機械加工される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
ここで、以下の添付図面を参照して、本発明の実施形態が、例として説明されるであろう。
【
図1】本発明による超音波ワイヤシステムの概略斜視図である。
【
図2】手持ち式超音波活性化ユニット、およびマーキングを配置したワイヤの斜視図である。
【
図4】本発明によるワイヤの遠位端部分の拡大側面図である。
【
図5】本発明の変形例におけるワイヤの遠位端部分の拡大図である。
【
図6】本発明のワイヤの側面図であり、励振に対するその応答を示す。
【
図6a】本発明のワイヤの側面図であり、励振に対するその応答を示す。
【
図7】斜めにオフセットされた遠位端部分を有する活性ワイヤの概略側面図である。
【
図8a】本発明のさらなる活性ワイヤの概略側面図であり、マーカーバンドを含む。
【
図8b】本発明のさらなる活性ワイヤの概略側面図であり、マーカーバンドを含む。
【
図9】本発明の別の活性ワイヤの概略側面図である。
【
図10】本発明の他の活性ワイヤの概略側面図であり、それぞれ、拡大された球状遠位先端を有する。
【
図11】本発明の他の活性ワイヤの概略側面図であり、それぞれ、拡大された球状遠位先端を有する。
【
図12】本発明のワイヤの側面図であり、ワイヤを外被する効果を示している。
【
図13a】本発明の変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【
図13b】本発明の変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【
図13c】本発明の変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【
図14a】本発明のさらなる変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【
図14b】本発明のさらなる変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【
図14c】本発明のさらなる変形例におけるワイヤの端部の部分を示している概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面のうちの
図1は、本発明によるシステムの全体構成を示し、このようなシステムのいくつかの主要な構成要素を示している。この例は、血管内ワイヤ4の形態の可撓性伝達部材が中央に位置合わせして延在する手持ち式超音波活性化ユニット2を特徴とする。
【0051】
ワイヤ4は、患者の脈管系に挿入され、横断されてその遠位端を病変の場所に持っていくことができる。ワイヤ4が横断することに抵抗する複雑な病変に遭遇すると、活性化ユニット2は、好適な長手方向の場所でワイヤ4に結合することができる。活性化されると、活性化ユニット2は、超音波振動をワイヤ4にかつそれに沿って伝達し、ワイヤ4の能力を増強して焼灼および他のメカニズムを介して病変を横断する。それによって、ワイヤ4は、血管内の閉塞を横断するための横断ワイヤとして機能し、次いで、その場に留まって後続の治療デバイスを送達して病変を治療するためのガイドワイヤとして機能する。
【0052】
典型的には、ワイヤ4の長さは、例えば、2m超~最大3mとすることができる。例えば、足の中または足を通って病変にアクセスするには、同側、反横方向、または半径方向のアプローチが選択されるかどうかに応じて、脈管系内では通常1200mm~2000mmの距離を移動するワイヤが必要であり得る。この点について、その先端における細いワイヤに遠位にテーパ状のワイヤ4は、足動脈に、および背側動脈と足底動脈との間の足の土踏まずの周りにナビゲートすることができる。ただし、本発明は、足または他の末梢用途に限定されず、例えば、冠状動脈の用途に使用することができ、その場合、蛇行した小径の動脈にナビゲートしてその内部で掘削するワイヤ4の能力もまた、有益である。
【0053】
ワイヤ4の遠位セクションの直径は、ワイヤ4の可撓性、およびそのワイヤが通過することが意図されている解剖学的構造の形状に容易に適合するワイヤの能力を決定するであろう。したがって、例えば、曲がりくねった(足または冠状動脈の)解剖学的構造では、直径0.005インチ~0.007インチの遠位セクションは、可撓性と、閉塞性材料を掘削する能力とを兼ね備える。
【0054】
活性化ユニット2は、ユーザ制御部6、および任意選択的に、表示部も含む。活性化ユニット2は、ユーザがユニット2およびワイヤ4の中心長手方向軸の周りを回転することができる遠位手動トグル8をさらに備える。特に、活性化ユニット2は、ワイヤ4上でスライドすることができ、トルクを加えてトグル8を回転させることによって、長手方向に間隔を置いた複数の場所でワイヤ4に結合することができる。結合を有効にするために、トグル8は、ワイヤ4を取り囲み、かつそれと同軸である活性化ユニット2内のコレットなどの結合に作用する。トグル8をしっかり締めると、コレットは、ワイヤ4を把持して、任意選択的にトランスデューサに結合されている増幅器ホーンを介して、活性化ユニット2内の一体化された超音波トランスデューサから超音波エネルギーを伝達する。ワイヤ4は、いくつかの実施形態では、トランスデューサに直接結合することができ、その場合には、ホーンは、省略することができる。
【0055】
トグル8は、ワイヤ4から活性化ユニット2を可逆的に解放することができる。それによって、様々な目的のために、様々な寸法、構成、または材料のワイヤ4を交換するための提供が行われる。活性化ユニット2内のトランスデューサまたはホーンを交換する可能性もある。
【0056】
図1は、超音波信号発生器10が活性化ユニット2とは別個である分解された構成を示している。この例では、超音波信号発生器10は、コネクタケーブル12によって活性化ユニット2に接続されている。別の構成では、超音波信号発生器10は、活性化ユニット2のハウジング内に組み込むことができる。
図1に示された例は、外部から電力供給される超音波信号発生器10を有し、したがって、電源の外部ソースに接続する電力ケーブル14を備える。別の実施形態は、内部バッテリーによって電力供給され得、その内部バッテリーは、例えば、超音波信号発生器ユニット10または活性化ユニット2に組み込むことができる。
【0057】
一般に、システムの構成要素は、ポータブル式であることが好ましく、手持ち式であることが、より好ましい。それらの構成要素は、無線式、再充電可能、再利用可能、およびリサイクル可能であり得る。電力または信号を搬送するための任意の外部ケーブル12、14が、スリップリングを介して結合されて、ケーブル12、14の自由な回転を可能にし、かつワイヤ4とのもつれを回避するか、またはワイヤ4の近位部分のための導管を提供することができる。
【0058】
半自動式制御システムは、ワイヤ-組織の相互作用からのフィードバックに基づいて、活性化ユニット2のトランスデューサおよびホーンに、つまり、横断するワイヤ4に加えられた発生器10からの信号を制御または変調して、伝達される信号を制御し、抑制、もしくは抵抗の増加、または加えられた力を変調することに起因する損失を調整することができる。視覚的かつ触覚的フィードバックインジケータが、デバイスのステータス、焼灼される組織の性質に関して、ユーザに視覚的、聴覚的、および/または触覚的フィードバックを提供し、組織の焼灼および破壊、ならびに横断するワイヤの進行を引き起こすように加えることができる力のレベルを示すことができる。
【0059】
本システムは、遠位先端に送達される振動の振幅の制御を支援するために、手動操作による無効化を提供する手段を含むことができる。これにより、本システムが、処置の過程でデバイスを操作するユーザによって、発生器および伝達ユニットに配置されたコントローラおよびユーザ入力機構を介して制御されるか、または自律的に制御されることが可能になる。
【0060】
以下に説明されるように、ワイヤ4の遠位端はまた、超音波画像化モードの下で解剖学的構造を通って追跡し、ならびにX線の下で位置を強調するためのマーカーバンドを有するためにも好適に最適化される。その遠位端は、ワイヤの作業長および横断する先端を示すための放射線不透性マーカーを有することができる。
【0061】
図2は、遠位の活性化を促進するワイヤ4の長さを選択する際に、ワイヤ4がどのようにエッチングされ得、そうでなければ、ユーザを誘導するための一連の最適な帯状のマーキング92でマークされ得るかを示している。次いで、ユーザは、活性化ユニット2のハウジング18上に適切に配置された他のマーキングを任意選択的に使用して、活性化ユニット2の、ワイヤ4上の帯状のマーキング92との結合を位置合わせすることができる。
このアプローチは、ワイヤ4の近位部分が活性化ユニット2のハウジング18から軸方向に現れる直線的な実施形態と、ワイヤ4の近位部分がハウジング18の長さに沿った位置で横方向に現れる他の実施形態との両方に適用される。
【0062】
マーキング92は、システムの制御における課題、つまり、超音波エネルギーがワイヤに結合される方法、および最もよく結合することになる特定の領域に接続点を配置することの重要性に対処する。ワイヤ4の近位セグメントに配置されたマーキング92は、この位置合わせが医師にとって明確であることを確実にする。これらのマーキング92はまた、医師が処置中に異なる場所で活性化ユニット2をワイヤ4に再接続することも容易にする。
【0063】
励振の視認性および位置合わせに対処するために、マーキング92は、活性化ユニット2上の基準点、例えば、最良の場所の点を示すための、ハウジング18の遠位端にある応力緩和特徴上の基準点で位置合わせすることができる。マーキング92の視覚化は、照明および/または透明もしくは半透明な窓を、例えば、ユニット2の遠位の応力緩和特徴上に位置決めされた活性化ユニット2に追加することによって改善することができる。
【0064】
マーキング92は、レーザエッチングビーズ細工、またはコーティングおよび/もしくは外被の適用などの他の手段によって適用される傾向があり、ユーザがワイヤ4の長さに沿って最良の接続点を見分けることが可能になるように、ワイヤ4の表面をマーキングする。これを達成するための最良の方法は、酸化物表面層、またはワイヤ4の仕上げを改質することが考えられる。これらのマーキングの周期または長手方向の間隔は、λ/2であり、それらの長さは、エネルギーをワイヤ4に結合させる効率の関数であり、その関数はまた、ワイヤの機械的および寸法の特性の関数でもある。
【0065】
本発明の一例では、ワイヤ4上のマーキング92は、活性化ユニットのハウジング18から現れるワイヤ4の遠位セクションが共振長またはその近くにあり、かつ近位セクションが共振長にない場合の複数の長さのいずれかを示すことができる。言い替えると、取り付けゾーンマーカー92は、ワイヤ4上に最適に位置決めされ、その結果、音響ソースに結合されたときに、結合点から遠位先端までの遠位部分の長さは、共振長に等しく、これに対して、結合点から近位先端までの近位部分の長さは、非共振長に等しい。実際には、これらのマーキング92は、システムに対して調整された位置に配置されて、共振応答に影響を及ぼすことがある屈曲および他の設計特徴を考慮することができる。
【0066】
超音波エネルギーを使用してワイヤ4を励振する場合には、ワイヤの遠位先端部分における変位振幅を最適化して、病変を掘削することが望ましい。逆に、ワイヤの近位端の変位または動きを最小限に抑えることが望ましく、その変位または動きは、患者の体外にあり、実際、活性化ユニット2の近位側から自由に垂れ下がることがある。
【0067】
これを達成するために、遠位先端から、活性化ユニット2がワイヤ4に結合されている場所までの、ワイヤ4の遠位長さは、超音波の波動の4分の1波長の奇数倍でなければならない。これにより、遠位先端で振動する波腹を伴う、ワイヤ内の定在波が作り出され、したがって、遠位先端における振動の振幅が最大化される。
【0068】
その結果として、ワイヤ4の遠位先端から4分の1波長の奇数倍のところにトランスデューサの遠位端を配置することが、遠位先端における振動を最大化することになる。逆に、近位セクションの長さがトランスデューサ固定位置から半波長の倍数であることを保証すると、ワイヤ4の近位端における振動が最小限に抑えられることになる。
【0069】
活性化ユニット2内の超音波トランスデューサ20に結合されると、本発明のワイヤ4は、軸方向の超音波振動を受け、長手方向または軸方向の振動下での非固定ロッドとみなすことができる。長手方向または軸方向の振動下での非固定ロッドの固有振動数は、次式によって与えられる。
【数1】
ここで、c=ワイヤ材料内の音速であり、Lは、ロッドの長さであり、ω=システムの固有振動数=2πfである。
【0070】
超音波活性化ユニット2は、一定の既知の周波数を加え、ワイヤ4の音速cは、実験的に測定するか、または次式によって近似することができる。
【数2】
ここで、E=ワイヤ材料のヤング率であり、ρ=ワイヤ材料の密度である。
【0071】
一定またはほぼ一定の周波数を適用するシステムの場合、共振が発生するワイヤ4の長さLは、次式によって与えられる。
【数3】
【0072】
実際、スルーワイヤシステムでは、ワイヤ4の接続点からトランスデューサまで、ワイヤ4は、長手方向軸の振動を受ける2つの非固定ロッドとみなすことができる。一方のロッドは、活性化ユニット2から遠位方向に延在し、他方のロッドは、近位方向に延在する。
【0073】
一例として、特定のニチノール合金の音速は、約3400m/sである。駆動周波数が40kHzの場合、波長λは、約85mmと計算することができる。したがって、共振長は、決定されて、ワイヤ4の最適な位置にマーキングすることができる。波長はさらに、ワイヤ4に沿ったテーパの場所およびテーパの長さの選択に大きな影響を及ぼす。
【0074】
図3~
図7は、ワイヤ4の様々な好ましい任意選択の特徴を示している。
【0075】
一般に、ワイヤ4は、それが手持ち式活性化ユニット2と一体化することを可能にする特徴を有する。例えば、場所マーカーは、活性化ユニット2の最適な位置決めおよび取り付けを誘導して、複数の長手方向の場所における取り付けおよび解放を容易にするために提供される。したがって、ワイヤの近位セクションのかなりの長さにわたって、一連の最適な取り付け場所がワイヤ4上にエッチングないしマーキングされて、活性化ユニット2からの遠位超音波伝達のための最適な取り付け場所を配置および選択する際に、ユーザを誘導する。活性化ユニット2のハウジング18はまた、結合の前にワイヤ4のマーキングと位置合わせすることができるマーカーを有することもできる。
【0076】
すべての血管内ワイヤと同様に、可撓性または「追従性」と、剛性または「推進性」との間のバランスが必要である。ただし、受動ワイヤとは異なり、このワイヤは、超音波エネルギーを遠位領域に伝達して、病変の横断を支援することができなければならない。このようにして、ワイヤ4は、その先端においてだけでなく、その長さの一部に沿っても掘削機として機能する。ワイヤ4は、アパーチャを開放するための横方向の掘削デバイスとして半径方向に作用する遠位ランドの長さを有する。ワイヤは、半径方向の掘削を増幅するための、遠位に成形された長さを有することができる。
【0077】
ワイヤ4は、より大きな直径からより小さな直径へ、またはより小さな直径からより大きな直径へのいずれかで直径の変化に影響を及ぼすように、幾何学的形状がテーパになる領域を含む。テーパが必要な領域、および他の場所では、セクションは、溶接されるか、または他の方法で端から端までともに接合され得る。そのような溶接または接合は、通常の屈曲モードおよび周期的疲労モードに加えて、超音波エネルギーの伝達から生じる応力に耐えることができなければならない。あるいは、ワイヤ4の全体、またはワイヤ4の一部は、研磨されるか、または同様に処理されて、所望の幾何学的形状を達成することができる。
【0078】
したがって、ワイヤ4は、端と端をつなぎ合わせて溶接されたセクションから製造することができる。例えば、近位セクションが、標準直径として機械加工されて、増幅を提供し、ならびに近位に負荷された活性化ユニット2のための標準接続を提供することができる。この近位セクションは、個別仕様の遠位端および先端を有し得る様々な直径のワイヤの選択の1つに溶接することができる。したがって、セクションは、様々な方法で選択および組み合わせることができる。いくつかの異なるワイヤ直径のセクションを組み立てて、多くの必要な構成のワイヤ4を生成することができるため、このことは、様々なワイヤ直径の在庫を保持する必要性を有効に軽減する。近位セグメントを遠位セグメントに溶接すると、後処理がワイヤに対して実行される場合に、より効率的な製造、およびより効率的な伝達が容易になり、必要に応じて、近位のNiTiベースに、様々な材料を溶接することができる。
【0079】
理想的には、テーパは、ワイヤシステムの半波長の倍数に等しいか、またはほぼ等しい長さで開始するように選択することができる。これにより、テーパの開始は、ワイヤ4内の定在波の波腹に配置されて、そこでは、振動の振幅は、最大となる。テーパ状セクションの長さは、共振システムの半波長に等しいか、またはほぼ等しくなるように選択されることが好ましい。一般に、溶接箇所または接合箇所は、応力が最小になる長手方向の位置に配置される必要がある。溶接または接合部は、応力の小さい場所にあるため、ワイヤの活性化の過程でそれらに加えられる負荷は、壊滅的な疲労破壊にはつながらないであろう。
【0080】
図3に示すワイヤ4は、病変を横断するための近位セクション124、中央または中間セクション128、および遠位掘削セクション130を備える。その中間セクション128は、近位セクション124よりも細いが、遠位セクション130よりも太い。したがって、中間セクション128は、テーパ近位過渡領域132によって近位セクション124に接合され、テーパ遠位過渡領域134によって遠位セクションに接合されている。各セクションは、それぞれの過渡領域の近位側の溶接122によって、次のセクションに溶接されている。
【0081】
近位セクション124は、
図2のものと同様に、長手方向に間隔を置いた一連の帯状のマーキング92を有しており、これは、遠位活性化を促進し、かつ近位活性化を抑止するワイヤ長を選択する際にユーザを誘導する。ワイヤ4は、処置中に患者の解剖学的構造内の中間セクション128および遠位セクション130の追跡を支援するために、放射線不透性マーカーバンド136をさらに備える。これらの様々なマーカー136は、超音波負荷に抵抗するために、例えば、スパッタリングされた金のプラズマ蒸着、原子層堆積、またはスパッタリングによって作成される傾向がある。
【0082】
近位セクション124、中間セクション128、および遠位セクション130は、それらの長さに沿って屈曲されるように実質的に可撓性を有するにしても、すべて、概して真っ直ぐであり、ワイヤの中心長手方向軸に沿って相互に位置合わせされている。ただし、ワイヤ4の複合遠位端部分138は、遠位セクション130の残りの部分において、ワイヤ4の一般軸から離れて屈曲するように設定された形状を有する。これらの屈曲またはヒートセット形状により、ワイヤ4の長手方向運動に加えて、横方向運動が強化される。
【0083】
具体的には、
図4にも示されているように、遠位端部分138は、内側に斜めの脚部140、およびその斜めの脚部140の遠位端にある外側の遠位先端126を備える。脚部140は、ワイヤ4の一般軸に対して傾斜しており、遠位先端126は、斜めの脚部140に対して傾斜している。遠位先端126は、
図4に示された25のように、球状、または他の方法で拡大した特徴とすることができ、コーティング142は、斜めの脚部140の長さに沿って途中まで延在することができ、斜めの脚部140の遠位末端、および遠位先端126は、コーティングされていないままである。
【0084】
この例では、遠位先端126は、ワイヤ4の一般軸から離れるように、斜めの脚部140よりもさらに傾斜している。したがって、遠位先端126および斜めの脚部140は、両方とも、ワイヤ4の一般軸から離れるようにおおむね同じ方向に傾斜している。しかしながら、他の例では、遠位先端126の傾斜は、斜めの脚部140よりもワイヤ4の一般軸に近い。場合によっては、遠位先端126は、遠位セクション130の残りの部分におけるワイヤ4の一般軸に対して、さらにほぼ平行とすることができる。
【0085】
要約すると、遠位先端126から、活性化ユニット2の接続点または結合部までの、ワイヤ4の遠位部分の全長は、ワイヤ4の共振長に等しくすることができる。理想的には、テーパ長は、半波長の倍数に等しい。ワイヤ4の様々なセクションの直径は、標準寸法の後続のデバイスがワイヤ4をガイドワイヤとして使用することを可能にすることに加えて、推進性と追従性との間の最適なバランスのために選択される。
【0086】
この例では、ワイヤ4は、病変の場所を追跡するときに、ワイヤ4の操縦性を高めるための場所に位置決めされた斜めの部分を含む。例として、斜めの脚部140の長さは、15mm~25mmとすることができ、遠位先端126の長さは、2mm~5mmとすることができる。斜めの脚部140は、解剖学的構造を通る操縦を容易にし、これに対して、遠位先端126は、小径の病変を通って追跡することを容易にする。斜めの脚部と、遠位セクション130の残りの部分との間の角度は、通常、10°~40°である。この角度は、分岐部にナビゲートするための手段を提供するが、ワイヤ4の疲労限界を超える応力を促進するほど大きくはない。遠位先端126と斜めの脚部140との間の角度は、通常、10°~30°である。これにより、病んでいる小径の血管でのナビゲーションが可能になる。
【0087】
ワイヤ4は、例えば、先端126を機械加工および成形した後にアニールすることによって熱処理されて、その微細構造を最適化して疲労に耐えることができる。
【0088】
X線または他の画像化モードの下でのワイヤ4の視認性は、十分に確立された画像化モードの下での視認性を最適化するために選択された放射線不透性マーカーバンドまたはコーティング136の追加によって強化することができる。ワイヤ4はまた、周囲のカテーテルまたは組織との摩擦を低減するために、親水性コーティングなどのコーティング142を有することができる。
【0089】
図5は、ワイヤ4が、遠位セクション130上に取り付けられるか、または結合された遠位コイルまたはポリマー外被144を有し得ることを示している。ここに示されている外被は、遠位先端126の偏向を容易にするワイヤ4の屈曲の直前の遠位で終端している。ワイヤ4の遠位先端126は、コーティングまたは処理されて、その表面を硬化させるか、またはその焼灼特性を高めることができる。
【0090】
図6および
図6aは、実質的に真っ直ぐな近位セクションまたはランド124、遠位方向にテーパ状の中間セクション130、および病変を横断するための遠位先端部分126を提供する、実質的に真っ直ぐな掘削部分またはランドを有するワイヤ4を示している。
それらの間の中間セクション130のテーパの効力によって、遠位先端部分126は、近位セクション124よりも小さい直径を有する。例えば、近位セクション124の直径は、0.43mmとすることができ、遠位先端部分126の直径は、0.18mmまたは0.25mmとすることができる。中間セクション130内のテーパは、わずかであるため、これらの図面では、大幅に誇張されている。テーパ状の中間セクション130の長さは、λの倍数、またはλの分数にわたって延在することができ、その分数は、分子が1でかつ偶数分母であり、例えば、数列1/2、1/4、1/8…であることが好ましく、一方、遠位先端部分126の長さは、λ/2、もしくはλ/2の倍数、またはλ/4などのλ/2の分数とすることができる。
【0091】
規格上の直径および長さ、ならびにシステムの駆動周波数を含むワイヤ4の幾何学的形状全体は、ワイヤの材料に特有の音速によって決定される。この特性は、その材料の特性、およびその幾何学的形状の関数である。ワイヤの真っ直ぐなセクションおよびテーパ状のセクションの寸法は、波長の機能的間隔で機械加工されている。
【0092】
ヤング率が約75GPaであるニチノールの例として、この例では、λ、λ/2、およびλ/4が、84mm、42mm、および21mmであると決定される。選択した周波数は、ワイヤの長さに沿って高調波を生成し、ワイヤの先端の負荷は、特徴のない病変のための定在波を確立するのを支援する。遠位セクション126は、その長さに沿ってテーパ状にすることができるか、またはその直径を均一にすることができる。システムは、駆動周波数の範囲から離れた周波数の範囲にわたって横方向および長手方向の変位を生成することができ、多くの場合、遠位セクション126の周波数の低調波を発生する。
【0093】
一例として、これは、他の寸法値を排除するものではないが、コア断面直径が0.43mmのワイヤは、遠位ワイヤ直径が0.18mmに移行するように最適に配置されたテーパ状セクション130を有する。ワイヤの各セクションの長さは、40kHzなどの駆動周波数またはその近くに長手方向の共振モードを有するように選択することができ、20kHz、10kHz、もしくはその他のもの、またはそれらの近くに強力な低調波を有する。適切な設計を通じて、40kHzおよび20kHzなどの近くに隣接する横方向モードが存在する。約2.4または他の好適な値の因数によってテーパを横断する増幅が存在する場合がある。ワイヤがカテーテルまたはシースから現れると、追加の低周波数の横方向振動が、カンチレバーの作動を介して誘発される場合がある。
【0094】
その結果、ワイヤの材質、幾何学的形状、および遠位の設計上の特徴の適切な選択を通じて、ワイヤが長手方向の振動で駆動されている場合であっても、望ましい横方向モードが活性化されるであろう。同時に、長手方向および横方向の両方の振動が、病変の掘削に寄与し、その結果、ワイヤが、内径がワイヤの直径よりも実質的に大きい病変内に、アパーチャまたは管腔を開口することになる。
【0095】
長さに関しては、ワイヤの全長は、λ/4の奇数倍の関数であり得る。近位接続点からワイヤの遠位先端までの距離である有効長はまた、λ/4の奇数倍の関数でもあり得る。
【0096】
テーパ状過渡領域130の目的は、利得を提供し、ワイヤを通るエネルギーの伝達を維持することである。テーパ状セクションはまた、横方向モードの変位がワイヤの遠位ランドセクション126においてどのように確立することができるかにも影響を及ぼすであろう。
【0097】
テーパが導入される点はまた、ワイヤのある部分と、別の部分との間の材料の変更を容易にすることにも役立つことができ、この変更は、遠位セグメントと近位セグメントとの間の波長の差を作り出すことができる。
【0098】
テーパ状過渡領域の直径は、階段型、指数関数型、放射型、または直線型に変更することができる。増幅の目的のために、断面積の変化は、ワイヤの横方向および長手方向の両方の変位振幅の利得レベルを表す。遠位セクション126の長さおよび直径は、軸方向および半径方向の変位のモードおよび大きさを決定するであろう。
【0099】
活性化されたワイヤ4の目的が病変を横断および掘削することであるため、その寸法は、所与の入力で可能な限り大きなアパーチャを掘削するという目的で最適化される。この点において、
図6は、ワイヤ4の遠位セクション126が活性化されると、その遠位セクションは、一次長手方向モードで移動し、内外に移動し、またワイヤ4の長手方向の動きを介して遠位端におけるより大きな体積を計画および掘削する半径方向にも移動することを示している。ワイヤ4の遠位セクション126はまた、活性化周波数、さらにまた遠位セクション126の長さに応じて、駆動周波数、および微分高調波の二次モードまたはその近くで、横方向および波状の動きを介して移動するように見られる。これらの波形は、互いに干渉し、様々な瞬間に材料を掘削することは、多かれ少なかれ、有効であり得る。
【0100】
図6は、ワイヤ4の遠位端セクション126が、直径がワイヤの直径よりも大きいアパーチャをどのように掘削し、したがって、治療が病変に導入され得るより大きな管腔をどのように作り出すかをさらに示している。この例でも、カテーテルスリーブまたはポリマー外被144は、ワイヤの外被されていない遠位セクション130の前で終端している。
ワイヤ4の遠位セクション126が活性化されると、その遠位セクションは、一次長手方向モードで移動し、内外に移動し、またワイヤ4の長手方向の動きを介して遠位端におけるより大きな体積を計画および掘削する半径方向にも移動する。ワイヤ4の遠位セクション126はまた、活性化周波数、遠位セクションの長さ、および解剖学的構造のねじれに応じて、共振波146、および微分高調波の二次モードの下で横方向および波状の動きを介する他のモードで移動するように見られる。
【0101】
したがって、超音波エネルギーを用いて活性化されると、ワイヤ4は、長手方向の動きの効力によって、次いで、横方向のオフセットを提供する、脈管系内のワイヤ4のオフセットされた並進運動または横方向運動を介して、ワイヤ4の遠位先端に向かって遠位方向の材料を掘削するための掘削ツールとして機能する。したがって、ワイヤ4は、正にその遠位先端においてだけでなく、遠位先端から近位に延在するその長さの一部に沿っても閉塞の内面を侵食し、したがって、ワイヤ4上の後続の治療デバイスの通路のためのより広いアパーチャを形成する。ワイヤ4が病変の遠位端を越えて延在するときに、横方向の変位は、病変の体内で掘削し続け、したがって、より大きな管腔を形成する。
【0102】
図7は、病変を横断するための、斜めにオフセットされた遠位掘削セクションを有するように形成または成形されたワイヤ4を示している。この実施形態では、遠位セクションは真っ直ぐではなく、ヒートセット形状の先端126によって角度が付けられている。先端126の寸法は、病変へのステアリングおよび病変の掘削に関して改善されたパフォーマンスを提供するように最適化されている。特に、遠位セクションの長手方向軸に対する先端126の角度、および先端126の長さは、特定の側岐血管に転回するワイヤ4の能力を決定する。先端126の角度および長さはまた、ワイヤ4が活性化されると、そのワイヤが狭窄した材料のセクションを掘削することになる方法にも影響を及ぼす。先端126の寸法が、例えば、長さがλ/8または約11mmの高調波の特性を示している場合、ワイヤ4は、例えば、25mmの先端セクションよりもかなり大きなトンネルを病変内に開口するであろう。波形の振幅およびワイヤ4の遠位セクションが石灰性セクションを通過する回数が、掘削されるトンネルの直径を決定する。
【0103】
ワイヤ4は、その先端において必ずしも成形または傾斜されている必要はないが、ワイヤがその先端において成形されている、または傾斜している場合、その角度は、慎重に選択される。先端126の角度が大きすぎる場合、レバーアームが大きくなり、ワイヤ4を過度に疲労させる可能性がある。逆に、先端126の角度が小さすぎる場合、ワイヤ4は効果的にステアリング可能ではない可能性がある。この点に関して、
図7は、先端126がワイヤ4の長手方向軸から約15°~45°だけオフセットされ得、先端126が病変のより大きいボリュームを粉砕および掘削することを可能にすることを示している。先端126は、例えば、500°Cを超えて10分未満の間、好適に熱処理されると、ひび割れの伝搬に対して、およびしたがって、疲労に対して確実に耐性のある微細構造を作り出す。
【0104】
図8aおよび
図8bは、患者の体内のワイヤ4の場所の視認性が、例えば、金のマーカーバンド194を使用することによって、どのように強化され得るのかを示している。そのようなマーカーバンド194は、例えば、ワイヤ4の遠位先端126に近い(例えば、遠位先端126から約3mmの)場所に、また、テーパ状の中間セクション186の開始直前に、近位セクション184の遠位端からも固定され得る。マーカーバンド194は、ワイヤ4を使用する際の最小負荷の場所に配置される。これにより、マーカーバンド194が切り離される可能性、またはワイヤ4がそれらの場所で故障する可能性が最小限に抑えられる。マーカーバンド194は、ワイヤ4の周りに研磨された円周方向の溝にフラッシュフィットする傾向がある。
【0105】
図9は、ワイヤ4の遠位先端126が丸みを帯びており、鋭い過渡領域がない変形例を示している。例として、この例では、近位セクション184は1800mmの長さであり得、テーパ状の中間セクション186は84mmの長さであり得、遠位セクション188は10mmの長さであり得る。この場合も、マーカーバンド194は、ワイヤ4の遠位先端126および近位セクション184の遠位端に近いワイヤ4を取り囲む。
【0106】
図10および
図11は、それぞれが球状の遠位先端198を有するワイヤ4の他の変形例を示しており、これは、鋭利な過渡領域を回避するために丸く加工されているが、逆に面取りまたはファセットされ得、好ましくは、ファセット間に鈍角を有し、解剖学的構造を通るワイヤの通過を容易にする、遠位方向に集束するファセットを有する。球部などの拡大部が、遠位先端に配置され得、かつ/または遠位先端からわずかに間隔を置いて配置され得、放射線不透性コイルまたは他の材料をカバーすることができる。
【0107】
球状の先端198は、例えば、3mm~4mmの長さであってもよく、ちょうど0.4mmを超える直径、または、例えば、0.010インチ~0.035インチの直径を有してもよい。その球状の先端198を除いて、
図10に示されるワイヤは、他の点では、
図9に示されるワイヤ4に類似している。この場合も、
図10および
図11に示されるワイヤ4は、ワイヤ4の周りに研磨された円周方向の溝にフラッシュフィットされ得る円周方向のマーカーバンド194を有する。都合のいいことに、図に示すように、球状の先端198は、マーカーバンド194のうちの1つによって取り囲むことができる。
【0108】
図11に示された例では、ワイヤは、真っ直ぐなセクション200および遠位方向にテーパ状のセクション202を含む近位部分を有する。この真っ直ぐなセクション200は、図に示すように、リッジ加工ないしテクスチャ加工した表面を有して、活性化デバイスとの係合を改善することができる。近位部分は、ワイヤ4の長さの大部分を構成する中間部分に溶接されている。この中間部分はまた、真っ直ぐなセクション204および短くて遠位方向にテーパ状のセクション206も含む。マーカーバンド194は、中間部分194の、遠位方向にテーパ状のセクション206に近い真っ直ぐなセクション204を取り囲むように示されている。最後に、短くて細い遠位セクション208が、中間部分186から球状先端198まで遠位に延在している。
【0109】
図12は、例えば、ポリマー外被またはコイル144を用いて、ワイヤを外被すること、または厚くコーティングすることにより、図に示すように、どのように所望の遠位の長さを透明のまま、または外被しないままに、横方向に自由に振動する方法を例示している。外被またはコーティングの効果はまた、ワイヤ4の周りのカテーテルによって真似ることができる。外被の遠位範囲により、ワイヤ4の遠位掘削セクション130によって作成されたアパーチャを制御することが見出された。ワイヤ4は、外被144の遠位端のカラーまたは縁端部148まで病変を掘削する。ワイヤの外被のない遠位の長さが十分に長くない場合、ワイヤの直径ほど大きくないアパーチャが、病変に作成され、閉塞を介したワイヤの進行であっても、抑制する可能性があることが見出された。
【0110】
特に、ワイヤ4を、共振長または高調波長を下回るかまたは上回って外被すると、その結果、外被144の遠位縁端部148は、共振長または高調波長と一致せず、アパーチャの形成を妨げる。逆に、ワイヤ4を共振長または高調波長まで外被すると、その結果、外被144の遠位縁端部148は、共振長または高調波長と実質的に一致し、ワイヤ4がさらに大きなアパーチャを掘削することを可能にする。
【0111】
図13a、
図13b、および
図13cは、遠位先端126の構成の選択を示している。
図13aは、放射線不透性バンド136によって取り囲まれ、例えば、ベリリウムの丸く加工された凸先端150を提供されたワイヤ4を示している。
図13bは、ワイヤ4の遠位先端セクション126の周りを溶接された放射線不透性コイル151を示している。
図13cは、長い石灰化セクションを横断するときの、有効性を高めるための特大のベリリウム先端152を示している。遠位先端セクション126は、熱処理されて、その疲労耐性を高めることができる。
【0112】
図14a、
図14b、
図14cは、遠位先端126の他の構成を示している。
図14aは、先端に限定されるのではなく、ループにわたる穴あけまたは掘削を最適化するためにコーティング、または他の方法で改質された外面を有するループ状の先端154を示している。このループはまた、閉塞部位へのナビゲーションにも役立つことができる。
図14bは、ダイアモンドでコーティングされた先端のバリ156を示している。
図14cは、ダイアモンドおよび/またはカーバイドコーティングを用いてコーティングされた穴あけ端部先端158またはセグメントを示している。これらのようなコーティングおよび硬化材料は、病変の積極的な機械加工を提供する。
【0113】
一般に、本発明のワイヤ4は、ニチノール(ニッケルチタン)などの超弾性合金でできている傾向があり、この超弾性合金は、可撓性および推進性のバランスを提供しながら、超音波の伝達において優先的な特性を有することが知られている。ニッケルおよびチタンの合金の処理の進歩から生まれた線形弾性ニチノールはまた、ベータチタンと同様に、本発明のワイヤにも使用することができる。ワイヤ4に適用される表面仕上げおよびコーティングには、摩擦を軽減するための、弾力性のあるフッ素ポリマーおよび親水性のコーティングが含まれ得る。
【0114】
本発明の概念の中には、他の多くのバリエーションが可能である。例えば、ワイヤの長さの中央セクションをコーティングして、掘削のために、また活性化ユニットを締め付けを行うために、ワイヤの遠位端部分および近位端部分をそれぞれコーティングせずに残したままにすることなどによって、コーティングを、ワイヤの個別のセグメントに沿って提供することができる。ワイヤの長さに沿ったコーティングの連続セグメントおよび断続セグメントにより、所望の位置における、活性化ユニットの選択的な締め付けおよび非締め付けが可能になり得る。
【0115】
PTFEまたは代替ポリマー外被を使用して、ガイドカテーテルの内部への摩擦、および損傷のリスクを軽減することができる。
【0116】
ポリマー外被は、放射線不透過性を改善するために、より一般的には、ワイヤに沿って潤滑性を提供するか、またはマーキング点を提供して活性化ユニットのトランスデューサに接続するために、遠位セクションで使用することができる。
【0117】
表面改質は、細溝またはぎざぎざを遠位端部分の表面に追加することを含み、石灰化病変をさらに破砕して、掘削を支援し、損傷に耐えることができる。そのような形成部は、指向性を有しているため、運動の方向を利用し、かつ閉塞材料の切断または摩耗の効率を増幅することができる。それにもかかわらず、個々の形成部は、鋭利な輪郭ではなく、平滑な輪郭を有しているため、血管壁を損傷させないようにすることができる。同様に、様々な材料が、ワイヤに適用されて、追加の摩耗表面を作り出し、材料の掘削を支援する。
そのような材料は、病変に接触しているワイヤの面積を有効に減らして、切断を促進し、石灰化した材料がワイヤの振動および動きを妨げるのを防ぐことができる。
【0118】
引き抜き充填管(DFT)を使用した場合、NiTiコアは、異なる特性を有する第2の金属、例えば、ステンレス鋼によって、取り囲まれている。その二次層の相対的な厚さを制御することができるため、それを使用して、ワイヤの結合もしくは成形のためか、または横方向の抑制を促進するために、マーカーバンドを作成することができる。
【0119】
成形された合金の外被は、ナビゲーションおよび/または不透明度を提供することができる。より延性のある規格準拠した外側の外被を使用することにより、ニチノールの冷間作業、および後プロセスの熱処理の必要性を回避することができる。
【0120】
潜在的に、ワイヤの遠位先端または端部領域の複数のランドによって画定される複数の切断面が存在する可能性がある。これは、相異し、かつ潜在的にさらに解剖学的に最適な遠位端の獲得、ならびに、病変においてさらに良好に働くために、恐らくさらに大きな直径の第2の近位ランドを容易にする可能性がある。これは、複数の横方向の掘削ゾーンを作り出すことの1つの方法であり、他のゾーンは、異なる断面直径、異なるテーパ、および異なる掘削ランド輪郭である。
【0121】
上記の様々な実施形態の多くの特徴は、それらの特定の実施形態のみに限定されるものではないことに注意されたい。当業者は、この発明が技術的に可能であり、実用的な観点から理にかなっている場合はいつでも、1つの実施形態からの特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせることができるであろう。
【0122】
(本実施形態のまとめ)
以下、上記において説明した実施形態のまとめを以下に記載する。
【0123】
血管内の障害物を横断するための細長い血管内要素であって、前記要素が、
近位セクションと、
前記近位セクションよりも小さい直径の遠位先端セクションと、
前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間に延在する遠位テーパ状中間セクションと、を備え、
前記テーパ状中間セクションの長さが、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数もしくは偶数分母の分数である数列λ/4、λ/8、…であり、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、細長い血管内要素。
【0124】
前記細長い血管内要素は、前記要素の近位セクションが、前記遠位先端セクションの最適な活性化のために活性化ユニットを結合する際に、ユーザを誘導するための、長手方向に間隔を置いた一連の場所マーカーを用いてマーキングされている、と好適である。
【0125】
前記細長い血管内要素は、前記場所マーカーが、実質的に、λ/2の距離だけ互いに離間されており、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、と好適である。
【0126】
前記細長い血管内要素は、前記場所マーカーが、前記要素の表面層もしくは仕上げを改質することによって、または、前記要素にコーティングもしくは外被を適用することによって、前記要素に適用される、と好適である。
【0127】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの長さが、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数であり、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、と好適である。
【0128】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの長さが、実質的に、λである、と好適である。
【0129】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの直径が、前記近位セクションの直径の1/8~1/2である、と好適である。
【0130】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションの直径が、0.014インチ~0.035インチ(約0.36mm~約0.89mm)である、と好適である。
【0131】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの直径が、0.003インチ~0.014インチ(約0.08mm~約0.36mm)である、と好適である。
【0132】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの直径が、0.005インチ~0.008インチである、と好適である。
【0133】
前記細長い血管内要素は、前記要素の遠位先端セクションの直径が、実質的に、0.007インチである、と好適である。
【0134】
前記細長い血管内要素は、(2n+1)λ/4の関数または倍数である全長を有し、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、と好適である。
【0135】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションの長さが、λ/4+nλ/2であり、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、と好適である。
【0136】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションの長さが、λ/4の奇数倍であり、ここで、λは、前記要素に長手方向の共振を生成する駆動周波数の波長である、と好適である。
【0137】
前記細長い血管内要素は、前記セクションのうちの少なくとも2つの間に、少なくとも1つの溶接された接合部を備える、と好適である。
【0138】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションが、遠位末端において球状、またはその他の方法で拡大された特徴を備える、と好適である。
【0139】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションが、ワイヤの長手方向軸に対して斜めにオフセットされている遠位部分を備える、と好適である。
【0140】
前記細長い血管内要素は、マーカーバンドが、少なくとも前記遠位先端セクションを取り囲む、と好適である。
【0141】
前記細長い血管内要素は、全長が、500mm~3000mmである、と好適である。
【0142】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションが、その長さに沿って実質的に均一な直径のものである、と好適である。
【0143】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションの長さが、500mm~2900mmである、と好適である。
【0144】
前記細長い血管内要素は、前記遠位セクションが、その長さに沿ってテーパ状になっているか、または一定の直径のものである、と好適である。
【0145】
前記細長い血管内要素は、前記セクションの各々の長さが、λ/4の関数または倍数であり、ここで、λは、ワイヤの長手方向の共振を引き起こす駆動周波数の波長である、と好適である。
【0146】
前記細長い血管内要素は、遠位先端部分の上、および前記近位セクションの遠位端の近くに位置決めされたマーカーバンドをさらに備える、と好適である。
【0147】
前記細長い血管内要素は、遠位先端部分が、部分的に外被もしくはコーティングされているか、またはカテーテルによって部分的に覆われており、その遠位先端まで延在する前記要素の長さが、外被またはコーティングされていないままである、と好適である。
【0148】
前記細長い血管内要素は、前記外被、コーティング、またはカテーテルが、前記要素の共振長または高調波長まで延在する、と好適である。
【0149】
前記細長い血管内要素は、前記要素の前記長さの中央セクションが、外被またはコーティングされ、前記近位セクションの少なくとも一部が、外被またはコーティングされていない、と好適である。
【0150】
前記細長い血管内要素は、前記近位セクションが、不連続で、長手方向に断続した外被またはコーティングを有する、と好適である。
【0151】
前記細長い血管内要素は、前記遠位先端セクションの少なくとも遠位部分が、外被またはコーティングされていない、裸のワイヤを備える、と好適である。
【0152】
血管内の障害物を横断するための血管内装置であって、前記装置が、前述のいずれかに記載の細長い血管内要素と、前記障害物を横断することを容易にするために、前記要素の前記遠位先端セクションを超音波によって励振するための、その要素に機械的に結合された超音波トランスデューサと、を備える、血管内装置。
【0153】
前記血管内装置は、前記要素と前記トランスデューサとの間に結合を備え、波長がλである駆動周波数で前記要素に超音波エネルギーを入力するように構成されている、と好適である。
【0154】
前記血管内装置は、前記結合が、前記要素の遠位先端から、実質的に、λ/4の奇数倍に位置決めされている、と好適である。
【0155】
前記血管内装置は、前記結合が、前記要素の遠位先端から、実質的に、(2n+1)λ/4の距離に位置決めされている、と好適である。
【0156】
前記血管内装置は、前記結合から近位に延在するワイヤの近位部分の長さが、実質的に、λ/2の倍数である、と好適である。
【0157】
前記血管内装置は、前記セクションの各々が、前記駆動周波数の1/2および1/4もしくはその近くにおいて、それぞれ、第1および第2の低調波を有する前記駆動周波数もしくはその近くにおける長手方向の共振モードを有するように選択された長さを有する、と好適である。
【0158】
前記血管内装置は、活性化ユニットが、場所マーカーまたは照明との位置合わせのための基準点、および/または前記場所マーカーを視覚化するための窓である、少なくとも1つの視覚化特徴を備える、と好適である。
【0159】
細長い導波管要素の遠位先端セクションを超音波によって励振する方法であって、前記方法が、
前記要素の長手方向の共振を励振する駆動周波数で、前記要素の近位セクションに超音波エネルギーを入力することと、
長手方向の振動に加えて、前記遠位先端セクションにおいて横方向の低調波振動を生成することと、を含む、方法。
【0160】
前記方法は、前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間で前記超音波エネルギーを増幅することを含む、と好適である。
【0161】
前記方法は、前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間に延在する、遠位テーパ状中間セクションに沿って前記エネルギーを搬送することによって、前記超音波エネルギーを増幅することを含み、中間セクションの長さが、実質的に、λ/2、またはλ/2の倍数もしくは偶数分母の分数である数列λ/4、λ/8、…であり、ここで、λは、前記駆動周波数の波長である、と好適である。
【0162】
前記方法は、前記遠位先端セクションに対して近位に前記要素の横方向の振動を減衰させることを含む、と好適である。
【0163】
前記方法は、前記要素に結合された長手方向に振動するトランスデューサを用いて、前記超音波エネルギーを前記近位セクションに入力することを含む、と好適である。
【0164】
前記方法は、前記遠位先端セクションを遮断物などの障壁に対して押し付けること、および前記遠位先端セクションの前記横方向および長手方向の振動の効力によって、前記障壁を通る管腔を掘削することを含む、と好適である。
【0165】
前記方法は、前記管腔内に配設された前記遠位先端セクションの横方向および長手方向の振動の効力によって、前記管腔を拡大することを含む、と好適である。