(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091814
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】タウ発現を低減するための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07H 21/04 20060101AFI20240628BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240628BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240628BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240628BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240628BHJP
【FI】
C07H21/04 B
A61K31/7125
A61K9/08
A61K47/02
A61K48/00
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/28
A61K31/713
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067450
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022139094の分割
【原出願日】2017-09-29
(31)【優先権主張番号】62/450,469
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/401,723
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514198367
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コルダシェヴィッチ,ホリー
(57)【要約】
【課題】タウ発現を低減するための化合物及び方法の提供。
【解決手段】細胞または動物におけるタウmRNAの量または活性を減少させるための、場合によっては、細胞または動物におけるタウタンパク質の量を減少させるための化合物、方法、及び医薬組成物が提供される。そのような化合物、方法、及び医薬組成物は、神経変性疾患の少なくとも1つの症状を改善するために有用である。そのような症状としては、記憶喪失、運動機能の喪失、及び神経原線維封入体の数及び/または体積の増加が挙げられる。そのような神経変性疾患としては、タウオパチー、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP-17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳症(CTE)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、てんかん、及びドラベ症候群が挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の組成物または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、配列表とともに電子形式で出願されている。この配列表は、2017年9月7日に作成された176KBのサイズのBIOL0285WOSEQ_ST25というファイル名として提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
細胞または動物におけるタウmRNAの量または活性を減少させるための、場合によっては、細胞または動物におけるタウタンパク質の量を減少させるための化合物、方法、及び医薬組成物が提供される。そのような化合物、方法、及び医薬組成物は、神経変性疾患の少なくとも1つの症状を改善するために有用である。そのような症状としては、記憶喪失、運動機能の喪失、及び神経原線維封入体の数及び/または体積の増加が挙げられる。そのような神経変性疾患としては、タウオパチー、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP-17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳症(CTE)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、てんかん、及びドラベ症候群が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
タウの主要機能は、有糸分裂、細胞質分裂、及び小胞輸送に関与する細胞骨格の重要な構造成分である微小管に結合し、及び微小管を安定化させることである。タウは複数の組織において見られるが、特にニューロンの軸索に豊富にある。ヒトにおいて、エクソン2、3、及び10の選択的スプライシングによって生成されるタウの6個のアイソフォームが存在する。タンパク質のN末端におけるエクソン2及び3のスプライシングは、ゼロ、1または2個の29アミノ酸酸性ドメインの封入を導き、それぞれ0N、1Nまたは2Nタウと呼ばれている。タウの機能に関するこれらのドメインの影響は完全に明確にされていないが、細胞膜との相互作用において役割を果たし得る。C末端におけるエクソン10の封入は、エクソン10によってコードされた微小管結合ドメインの封入を導く。タウにおけるいずれかの場所に3つの微小管結合ドメインが存在するので、このタウアイソフォーム(含まれているエクソン10を有する)は4Rタウと呼ばれ、ここで「R」は微小管結合ドメインのリピートの数を指す。エクソン10を有さないタウは3Rタウと呼ばれている。より多くの微小管結合ドメイン(3Rと比較して4R)は微小管に対する結合を増加させるので、4Rタウは微小管結合及び集合を顕著に増加させると推定される。3R/4Rタウの比は、3Rタウだけを発現する胎児組織及び3R/4Rタウのおおよそ等しいレベルを発現する成人組織により発生的に調節される。3R/4Rタウの正常な比からの逸脱は、神経変性FTDタウオパチーの特徴である。成体動物の後期において3R/4Rタウ比を変化させることがタウ病因にどのような影響を及ぼすかは知られていない。
【0004】
セリン-スレオニンにより誘導されたホスフェート化は、タウの微小管結合能を調節する。過剰ホスフェート化は微小管からのタウの解離を促進する。タウの他の翻訳後修飾は説明されているが、これらの有意性は不明瞭である。タウのホスフェート化はまた、胎児組織における、より高いホスフェート化及び成体における非常に低いホスフェート化により発生的に調節される。神経変性障害の1つの特徴は、異常に増加したタウホスフェート化である。微小管ネットワークは、細胞の形態を維持し、輸送機構を作動するのに必要とされる構造的完全性を含む細胞内の多くの重要なプロセスに関与する。タウの微小管への結合は微小管を安定化させるので、タウは、これらのプロセスのいくつかの重要なメディエーターである可能性があり、神経変性疾患における正常なタウの破壊はこれらの重要な細胞プロセスのいくつかを破壊し得る。タウが神経変性症候群において重要であり得る早期指標の1つは、タウがアルツハイマー病における神経原線維封入体の重要な成分であるという認識であった。実際に、神経原線維封入体は、過ホスフェート化タウタンパク質の凝集体である。アミロイドベータを含有するプラークと共に、神経原線維封入体はアルツハイマー病の特徴であり、認知機能障害と有意に相関する。ADにおけるタウ蓄積の95%は、神経突起において見出され、神経炎ジストロフィーと呼ばれている。この微小管関連タンパク質が微小管から解離され、タンパク質の蓄積を生じるプロセス(複数可)及びこのプロセスが神経毒性にどのように関連しているかは十分に理解されていない。
【0005】
ニューロンのタウ封入体は、アルツハイマー病だけでなく、前頭側頭型認知症(FTD)、PSP、及びCBDのサブセットの病理学的特徴でもある。タウと神経変性との間の関連は、タウ遺伝子における変異がFTDのサブセットを引き起こすという発見によって証明された。これらの遺伝的データはまた、タウの3R:4R比の重要性を強調している。FTDを引き起こすタウ変異体の多くは、エクソン10の選択的封入を導くタウスプライシングの変化を導くので、4Rタウの増加を導く。全体のタウレベルは正常である。タウアイソフォーム変化またはアミノ酸変化もしくはこの両方が神経変性を引き起こすかどうかは、まだ知られていない。最近のデータは、PSPもまた、増加した4R:3Rタウ比に関連し得ることを示唆している。
【0006】
神経変性に対するタウ比の影響の理解に役立つように、スプライシングタウ変異体(N279K)のうちの1つに基づいたマウスモデルが、タウプロモーター及びエクソン10の隣接イントロン配列を含むミニ遺伝子を使用して生成されている。ヒトと同様に、これらのマウスは、野生型タウを発現するトランスジェニックと比較して4Rタウのレベルが増加し、行動及び運動異常ならびに脳及び脊髄において凝集したタウの蓄積を発生することが実証されている。
【0007】
タンパク質「タウ」は、アルツハイマー病、FTD、PSP、CBD、ボクサー痴呆、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ-ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン-スパッツ病、ピック病、嗜銀性グレイン病、大脳皮質基底核変性症または前頭側頭葉変性症及びその他を含む、脳の複数の疾患に関連している。ADなどのタウ関連障害は、初老期における認知症の最も一般的な原因である。ADは世界で推定1500万人に影響を及ぼし、85歳以上の年齢で集団の40%に影響を及ぼしている。ADは2つの病理学的特徴:タウ神経原線維封入体(NFT)及びアミロイド-β(Aβ)プラークにより特徴付けられている。
【0008】
現在、神経変性疾患の治療に対する許容される選択肢が不足している。したがって、そのような疾患を治療するための方法を提供することが本明細書における目的である。
【発明の概要】
【0009】
タウmRNAの量または活性を減少させるための、ある特定の実施形態においては、細胞または動物におけるタウタンパク質の量を減少させるための化合物及び方法が提供される。ある特定の実施形態において、動物は、神経変性疾患を有する。ある特定の実施形態において、動物は、タウオパチー、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP-17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳症(CTE)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、てんかん、及びドラベ症候群を有する。ある特定の実施形態において、タウmRNAの発現を減少させるのに有用な化合物は、オリゴマー化合物である。ある特定の実施形態において、化合物814907番は、タウmRNA及び/またはタウタンパク質の発現を減少させるのに有用である。
【0010】
また、神経変性疾患の少なくとも1つの症状を予防または改善するために有用な方法も提供される。ある特定の実施形態において、そのような症状は、記憶喪失、運動機能の喪失、または神経原線維封入体の数及び/または体積の増加である。ある特定の実施形態において、予防または改善は、記憶の維持もしくは改善、運動機能の維持もしくは改善、及び/または神経原線維封入体の数及び/または体積の維持もしくは減少をもたらす。ある特定の実施形態において、そのような症状の予防または改善は、そのような症状の進行の速度の低減または発症の遅延である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述の一般的な説明と後述の詳細な説明は例示であり、説明に過ぎず、限定するものではないことを理解されたい。本明細書において、単数形の使用は、別途明確に記述されない限り、複数形を含む。本明細書で使用されるとき、「or(または)」の使用は、別途記述されない限り、「及び/または(and/or)」を意味する。さらに、「including(~を含む)」という用語、ならびに「includes(~を含む)」及び「included(含まれる)」等の他の形態の使用は、限定的なものではない。また、「要素」または「成分」等の用語は、別途明確に記述されない限り、1つのユニットを含む要素及び成分、ならびに2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
【0012】
本明細書で使用される節の見出しは、単に構成目的のものであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、及び論文を含むが、これらに限定されない本出願において引用されるすべての文書または文書の一部は、本明細書で論じられる文書の一部に対して、かつそれらの全体において参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0013】
定義
特別な定義が与えられない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医化学及び製薬化学に関連して用いられる術語、ならびにそれらの手順及び技法は、周知であり、当技術分野で一般に使用されるものである。許可される場合、本開示全体を通して言及された全ての特許、出願、公開された出願及び他の刊行物ならびに他のデータは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
別途示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0015】
定義
本明細書で使用されるとき、「2’-デオキシヌクレオシド」とは、天然に存在するデオキシリボ核酸(DNA)に見られる2’-H(H)フラノシル糖部分を含むヌクレオシ
ドを意味する。ある特定の実施形態において、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾された核酸塩基を含み得るか、またはRNA核酸塩基(ウラシル)を含み得る。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「2’-置換ヌクレオシド」とは、2’-置換糖部分を含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用されるとき、糖部分に関しての「2’-置換」とは、HまたはOH以外の少なくとも1つの2’-置換基を含む糖部分を意味する。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「投与する」とは、動物に医薬品を提供することを意味する。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「動物」とは、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因する任意の検出可能及び/または測定可能な変化を意味する。ある特定の実施形態において、アンチセンス活性は、アンチセンス化合物の不在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較して、そのような標的核酸によってコードされる標的核酸またはタンパク質の量または発現の低減である。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス化合物」とは、少なくとも1つのアンチセンス活性を達成することができるオリゴマー化合物またはオリゴマー二本鎖を意味する。
【0021】
本明細書で使用されるとき、治療に関して「改善する」とは、治療の不在下における同じ症状と比べて少なくとも1つの症状の改善を意味する。ある特定の実施形態において、改善は、症状の重症度または頻度の低減もしくは発症の遅延、あるいは症状の重症度または頻度における進行の緩徐である。ある特定の実施形態において、この症状は、記憶喪失、運動機能の喪失、または神経原線維封入体の数及び/または体積の増加である。ある特定の実施形態において、これらの症状の改善は、記憶の維持もしくは改善、運動機能の維持もしくは改善、及び/または神経原線維封入体の数及び/または体積の維持もしくは減少をもたらす。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「神経変性疾患の少なくとも1つの症状」は、記憶喪失、運動機能の喪失、または神経原線維封入体の数及び/または体積の増加を含む。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「二環式ヌクレオシド」または「BNA」とは、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用されるとき、「二環式糖」または「二環式糖部分」とは、2つの環を含む修飾された糖部分を意味し、ここでは、第2の環は、第1の環中の原子のうちの2つを連結させる架橋を介して形成され、これにより二環式構造を形成する。ある特定の実施形態において、二環式糖部分の第1の環はフラノシル部分である。ある特定の実施形態において、二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「キラル富化された集団」とは、同一分子式の複数の分子を意味し、ここでは、特定のキラル中心において特定の立体化学的配置を含有する集団内の分子の数または比率は、特定のキラル中心がステレオランダムである場合、集団内の同じ特定のキラル中心で同じ特定の立体化学的配置を含有することが予測される分子の数または比率より大きい。各分子内に複数のキラル中心を有するキラル富化された集団は、1つ以上のステレオランダムキラル中心を含有することができる。ある特定の実施形態において、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態において、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む化合物である。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「切断可能な部分」とは、生理学的条件下で、例えば細胞、動物またはヒトの内部で切断される結合または原子団を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドに関しての「相補的」とは、オリゴヌクレオチドまたはその1つ以上の領域の核酸塩基、及び別の核酸のまたはその1つ以上の核酸塩基のうちの少なくとも70%が、オリゴヌクレオチド及び他の核酸の核酸塩基が反対の方向に整列しているときに、互いに水素結合することができることを意味する。相補的核酸塩基は、互いに水素結合を形成することができる核酸塩基を意味する。相補的核酸塩基対には、アデニン(A)及びチミン(T)、アデニン(A)及びウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)、5-メチルシトシン(mC)及びグアニン(G)が挙げられる。相補的なオリゴヌクレオチド及び/または核酸は、各ヌクレオシドで核酸塩基相補性を有する必要はない。むしろ、いくつかのミスマッチが許容される。本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドに関しての「完全に相補的」または「100%相補的」とは、オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドにおいて別のオリゴヌクレオチドまたは核酸に相補的であることを意味する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「共役基」とは、オリゴヌクレオチドに直接的または間接的に結合された原子団を意味する。共役基は、共役部分と、共役部分をオリゴヌクレオチドに連結する共役リンカーとを含む。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「共役リンカー」は、共役部分をオリゴヌクレオチドに連結する少なくとも1つの結合を含む原子団を意味する。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「共役部分」は、共役リンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合される原子団を意味する。
【0030】
本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドに関連した「連続した」とは、互いにすぐに隣接するヌクレオシド、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間結合を指す。例えば、「連続した核酸塩基」とは、配列中で互いにすぐに隣接する核酸塩基を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「ギャップマー」とは、1つ以上のヌクレオシドを有する外部領域間に位置付けられたRNASE H切断を支援する複数のヌクレオシドを有する内部領域を含む修飾されたオリゴヌクレオチドを意味し、内部領域を含むこれらのヌクレオシドは、外部領域を含むヌクレオシドまたはヌクレオシド(複数)とは化学的に異なる。この内側領域を「ギャップ」と呼び、この外側領域を「ウィング」と呼ぶことができる。別途記載のない限り、「ギャップマー」は、糖モチーフを指す。別途記載のない限り、ギャップマーのギャップのヌクレオシドの糖部分は、非修飾の2’-デオキシフラノシルである。したがって、「MOEギャップマー」という用語は、両方のウィング中の2’-MOEヌクレオシドの糖モチーフと、2’-デオキシヌクレオシドのギャップを有するギャップマーを示す。別途記載のない限り、MOEギャップマーは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合及び/または修飾された核酸塩基を含むことができ、そのような修飾は、必ずしも糖修飾のギャップマーパターンに従う必要はない。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的なオリゴヌクレオチド及び/または核酸の対合またはアニーリングを意味する。特定の機構に限定されないが、最も一般的なハイブリダイゼーション機構には水素結合が含まれ、これは、相補的核酸塩基間のワトソン・クリック水素結合、フーグスティーン水素結合、または逆フーグスティーン水素結合であり得る。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間結合」という用語は、オリゴヌクレオチド中の隣接したヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用されるとき、「修飾されたヌクレオシド間結合」とは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。「ホスホロチオエート結合」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合の非架橋酸素原子のうちの1つが、イオウ原子で置換された修飾されたヌクレオシド間結合である。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「リンカー-ヌクレオシド」とは、オリゴヌクレオチドを結合部分に直接的または間接的のいずれかで連結するヌクレオシドを意味する。リンカー-ヌクレオシドは、オリゴマー化合物の共役リンカー内に位置する。リンカー-ヌクレオシドは、たとえそれらがオリゴヌクレオチドと連続的であったとしても、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチド部分の一部とはみなされない。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「非二環式修飾された糖部分」とは、糖の2つの原子間に架橋を形成せずに第2の環を形成する、置換基などの修飾を含む修飾された糖部分を意味する。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「ミスマッチ」または「非相補的」とは、第1及び第2のオリゴマー化合物が整列しているときに、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸の対応する核酸塩基と相補的ではない第1のオリゴヌクレオチドの核酸塩基を意味する。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「MOE」とは、メトキシエチルを意味する。「2’-MOE」とは、フラノシル環の2’位における-OCH2CH2OCH3基を意味する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「モチーフ」とは、オリゴヌクレオチド内の非修飾の及び/または修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0039】
本明細書中で使用されるとき、「mRNA」とは、タンパク質をコードするRNA転写物を意味し、別途明記されない限り、プレmRNA及び成熟mRNAを含む。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基」とは、非修飾の核酸塩基または修飾された核酸塩基を意味する。本明細書で使用されるとき、「非修飾の核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)及びグアニン(G)である。本明細書で使用されるとき、「修飾された核酸塩基」は、少なくとも1つの非修飾の核酸塩基と対合することができる、非修飾のA、T、C、U、またはG以外の原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾された核酸塩基である。ユニバーサル塩基は、5つの非修飾の核酸塩基のうちのいずれか1つと対合することができる核酸塩基である。本明細書で使用されるとき、「核酸塩基配列」とは、任意の糖またはヌクレオシド間結合修飾とは独立した、核酸またはオリゴヌクレオチド内の連続した核酸塩基の順序を意味する。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド」とは、核酸塩基及び糖部分を含む化合物を意味する。核酸塩基及び糖部分は、それぞれ独立して非修飾または修飾されている。本明細書で使用されるとき、「修飾されたヌクレオシド」とは、修飾された核酸塩基及び/または修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。修飾されたヌクレオシドは、核酸塩基を欠く脱塩基ヌクレオシドを含む。「結合ヌクレオシド」は、連続した配列で連結されたヌクレオチドである(すなわち、結合されたものの間に追加のヌクレオシドが存在しない)。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「オリゴマー化合物」とは、オリゴヌクレオチド、及び任意に共役基または末端基などの1つ以上の追加の特徴部を意味する。オリゴマー化合物は、第1のオリゴマー化合物に相補的である第2のオリゴマー化合物と対合されてもよいか、または対合されなくともよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、対合されていないオリゴマー化合物である。「オリゴマー二本鎖」という用語は、相補的核酸塩基配列を有する2つのオリゴマー化合物によって形成される二本鎖を意味する。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物は、「二本鎖オリゴマー化合物」として称されてもよい。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介して連結された連結ヌクレオシドの鎖を意味し、ここでは、各ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は、修飾されていても、または非修飾であってもよい。別途記載のない限り、オリゴヌクレオチドは8~50個の結合ヌクレオシドからなる。本明細書で使用されるとき、「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、その中で少なくとも1個のヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるとき、「非修飾のオリゴヌクレオチド」とは、いかなるヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間修飾も含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される担体または希釈剤」とは、動物への投与における使用に好適な任意の物質を意味する。ある特定のそのような担体は、医薬組成物を、例えば、対象による経口摂取のための丸剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、及びトローチ剤として製剤化することを可能にする。ある特定の実施形態において、医薬的に許容される担体または希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、または滅菌緩衝液である。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される塩」とは、オリゴマー化合物などの化合物の生理学的にかつ医薬的に許容される塩、すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつそれに望ましくない毒物学的影響を与えない塩を意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」とは、対象への投与に適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、アンチセンス化合物と、滅菌水溶液とを含んでもよい。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、ある特定の細胞株における遊離型取り込みアッセイにおいて活性を示す。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「リン部分」とは、リン原子を含む原子団を意味する。ある特定の実施形態において、リン部分は、モノ-、ジ-、またはトリ-ホスフェート、またはホスホロチオエートを含む。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「プロドラッグ」とは、動物またはその細胞内で異なる形態に変換される体外での形態の治療薬を意味する。典型的には、動物体内のプロドラッグの変換は、細胞または組織中に存在する酵素(例えば、内因性またはウイルス性酵素)もしくは化学物質の作用によって、及び/または生理学的条件によって促進される。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「量または活性を低減もしくは阻害する」とは、未処理試料もしくは対照試料における転写発現または活性に対する転写発現または活性の低減もしくは遮断を意味し、必ずしも転写発現または活性の完全な消失を示すものではない。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「RNAi化合物」とは、少なくとも一部にはRISCまたはAgo2を通して作用して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するアンチセンス化合物を意味する。RNAi化合物としては、二本鎖siRNA、一本鎖RNA(ssRNA)、及びマイクロRNAミミックを含むマイクロRNAが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、RNAi化合物は、標的核酸の量、活性、及び/またはスプライシングを調節する。RNAi化合物という用語は、RNase Hを通して作用するアンチセンス化合物を除外する。
【0051】
本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドに関しての「自己相補的」とは、それ自体に少なくとも部分的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを意味する。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「標準的細胞アッセイ」とは、実施例1に記載されるアッセイ及びその妥当な変形を意味する。
【0053】
本明細書で使用されるとき、同一分子式の分子集団に関連する「ステレオランダムなキラル中心」とは、ランダムな立体化学配的配置を有するキラル中心を意味する。例えば、ステレオランダムなキラル中心を含む分子の集団において、ステレオランダムなキラル中心の(S)立体配置を有する分子の数は、ステレオランダムなキラル中心の(R)立体配置を有する分子の数と必ずしも同じである必要はない。キラル中心の立体化学的配置は、立体化学的立体配置を制御するように設計されていない合成方法の結果であるとき、ランダムであるとみなされる。ある特定の実施形態において、ステレオランダムなキラル中心は、ステレオランダムなホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「糖部分」とは、非修飾の糖部分または修飾された糖部分を意味する。本明細書で使用されるとき、「非修飾の糖部分」とは、RNA(「非修飾のRNA糖部分」)に見られるような2’-OH(H)フラノシル部分、またはDNA(「非修飾のDNA糖部分」)に見られる2’-H(H)部分を意味する。非修飾の糖部分は、1’、3’、及び4’位のそれぞれに1つの水素、3’位に酸素、ならびに5’位に2つの水素を有する。本明細書で使用されるとき、「修飾された糖部分」または「修飾された糖」とは、修飾されたフラノシル糖部分または糖代理物を意味する。本明細書で使用されるとき、修飾されたフラノシル糖部分とは、非修飾の糖部分の少なくとも1つの水素の代わりに非水素置換基を含むフラノシル糖を意味する。ある特定の実施形態において、修飾されたフラノシル糖部分は、2’-置換糖部分である。そのような修飾されたフラノシル糖部分としては、二環式糖及び非二環式糖が含まれる。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「糖代理物」とは、オリゴヌクレオチド中のヌクレオシド間結合、共役基、または末端基などの核酸塩基を別の基に連結することができるフラノシル部分以外の修飾された糖部分を意味する。糖代理物を含む修飾されたヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内の1つ以上の位置に組み込むことができ、そのようなオリゴヌクレオチドは、相補的なオリゴマー化合物または核酸にハイブリダイズすることができる。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「標的核酸」及び「標的RNA」とは、アンチセンス化合物が影響を及ぼすように設計された核酸を意味する。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「標的領域」とは、オリゴマー化合物がハイブリダイズするように設計された標的核酸の一部分を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「末端基」とは、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合した化学基または原子団を意味する。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」とは、動物に治療的利益を提供する医薬剤の量を意味する。例えば、治療有効量は、疾患の症状を改善する。
【0060】
本開示は、以下の非限定的な番号付けされた実施形態を提供する。
【0061】
実施形態1:下記式による修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0062】
【0063】
(配列番号8)。
本明細書の定義及び開示と一致して、実施形態1の化合物は、結合のいずれか、結合の全ての立体化学を意図的に制御することによって、またはいかなる結合の立体化学を意図的に制御せずに製造されてもよい。
【0064】
実施形態2:下記式:mCes mCeo Ges Tes Tes Tds Tds
mCds Tds Tds Ads mCds mCds Aes mCeo mCes mCes Teによる修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、式中、
Aは、アデニンであり、
mCは、5-メチルシトシンであり、
Gは、グアニンであり、
Tは、チミンであり、
eは、2’-MOEヌクレオシドであり、
dは、2’-デオキシヌクレオシドであり、及び
sは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、及び
oは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0065】
実施形態3:共役基を含む、実施形態2に記載のオリゴマー化合物。
【0066】
実施形態4:実施形態2または実施形態3に記載のオリゴマー化合物を含む、
オリゴマー二本鎖。
【0067】
実施形態5:実施形態1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態2または実施形態3に記載のオリゴマー化合物、または実施形態4に記載のオリゴマー二本鎖を含むか、もしくはこれらからなる、アンチセンス化合物。
【0068】
実施形態6:実施形態1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態2または実施形態3に記載のオリゴマー化合物、または実施形態4に記載のオリゴマー二本鎖もしくはその塩と、医薬的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
【0069】
実施形態7: 塩がナトリウムである、実施形態6に記載の組成物。
【0070】
実施形態8:動物に、実施形態6または実施形態7に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0071】
実施形態9:タウ関連疾患を有するか、またはタウ関連疾患を発症するそのリスクがある個体に、実施形態6または実施形態7に記載の治療有効量の医薬組成物を投与し、それによってタウ関連疾患を治療することを含むタウ関連疾患を治療する、方法。
【0072】
実施形態10:タウ関連疾患が、神経変性疾患である、実施形態9に記載の方法。
【0073】
実施形態11:神経変性疾患が、タウオパチー、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP-17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳症(CTE)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、てんかん、またはドラベ症候群のうちのいずれかである、実施形態10に記載の方法。
【0074】
実施形態12:神経変性疾患の少なくとも1つの症状が改善される、実施形態10または実施形態11に記載の方法。
【0075】
実施形態13:症状が、記憶喪失、運動機能の喪失、及び神経原線維封入体の数及び/または体積の増加のいずれかである、実施形態12に記載の方法。
【0076】
実施形態14:下記式:
【0077】
【0078】
(配列番号8)
またはその塩による、修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0079】
実施形態15:式のナトリウム塩である、実施形態14に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0080】
実施形態16:修飾されたオリゴヌクレオチドを含む化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、5’ウィングセグメント、中央ギャップセグメント、及び3’ウィングセグメントからなるギャップマーであり、
5’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
中央ギャップセグメントが、8個の2’-デオキシヌクレオシドからなり、
3’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
修飾されたオリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列5’-CCGTTTTCTTACCACCCT-3’(配列番号8)を有し、各シトシンが、5-メチルシトシンであり、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合が、5’から3’の方向に、sossssssssssssossであり、各sが、ホスホロチオエート結合であり、各oが、ホスホジエステル結合である、前記化合物。
【0081】
実施形態17:修飾されたオリゴヌクレオチドであって、修飾されたオリゴヌクレオチドが、5’ウィングセグメント、中央ギャップセグメント、及び3’ウィングセグメントからなるギャップマーであり、
5’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
中央ギャップセグメントが、8個の2’-デオキシヌクレオシドからなり、
3’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
修飾されたオリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列5’-CCGTTTTCTTACCACCCT-3’(配列番号8)を有し、各シトシンが、5-メチルシトシンであり、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合が、5’から3’の方向に、sossssssssssssossであり、各sが、ホスホロチオエート結合であり、各oが、ホスホジエステル結合である、前記オリゴヌクレオチド。
【0082】
実施形態18:実施形態14、15または17のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル富化集団であって、集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、前記キラル富化集団。
【0083】
実施形態19:集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態18に記載のキラル富化集団。
【0084】
実施形態20:集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態18に記載のキラル富化集団。
【0085】
実施形態21:集団が、特定の、独立して選択される、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において立体化学的配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態18に記載のキラル富化集団。
【0086】
実施形態22:集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配
置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態21に記載のキラル富化集団。
【0087】
実施形態23:集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態21に記載のキラル富化集団。
【0088】
実施形態24:集団が、1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合のそれぞれにおいて(Sp)配置を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、実施形態21に記載のキラル富化集団。
【0089】
実施形態25:集団が、5’から3’の方向に、少なくとも3個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合を、Rp、Sp、及びSp配置で有する、修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、実施形態18または実施形態21に記載のキラル富化集団。
【0090】
実施形態26:修飾されたオリゴヌクレオチドのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、実施形態1~17のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル富化集団。
【0091】
実施形態27:実施形態14、15、または17のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドと、医薬的に許容される希釈剤または担体とを含む、医薬組成物。
【0092】
実施形態28:実施形態18~26のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団と、医薬的に許容される希釈剤または担体とを含む、医薬組成物。
【0093】
実施形態29:医薬的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または人工CSF(aCSF)である、実施形態27または実施形態28に記載の医薬組成物。
【0094】
実施形態30:医薬組成物が、修飾されたオリゴヌクレオチドと、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または人工CSF(aCSF)から本質的になる、実施形態27または実施形態28に記載の医薬組成物。
【0095】
I.ある特定のオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態において、結合ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドが本明細書に提供される。オリゴヌクレオチドは、非修飾のオリゴヌクレオチド(RNAまたはDNA)であってもよく、または修飾されたオリゴヌクレオチドであってもよい。修飾されたオリゴヌクレオチドは、非修飾のRNAまたはDNAに対して少なくとも1つの修飾を含む。すなわち、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(修飾された糖部分及び/または修飾された核酸塩基を含む)及び/または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む。
【0096】
A.ある特定の修飾されたヌクレオシド
修飾されたヌクレオシドは、修飾された糖部分または修飾された核酸塩基、または修飾された糖部分及び修飾された核酸塩基の両方を含む。
【0097】
1.ある特定の糖部分
ある特定の実施形態において、修飾された糖部分は、非二環式の修飾された糖部分である。ある特定の実施形態において、修飾された糖部分は、二環式または三環式の糖部分である。ある特定の実施形態において、修飾糖部分は、糖代理物である。そのような糖代理物は、他の種類の修飾された糖部分の置換に対応する1つ以上の置換を含み得る。
【0098】
ある特定の実施形態において、修飾された糖部分は、1つ以上の置換基を有するフラノシル環を含む非二環式修飾糖部分であり、そのいずれもフラノシル環の2個の原子を架橋して二環構造を形成しない。そのような非架橋置換基は、限定されないが2’、4’、及び/または5’位での置換基を含むフラノシルの任意の位置に存在し得る。ある特定の実施形態において、非二環式の修飾された糖部分の1つ以上の非架橋置換基は、分岐している。非二環式修飾糖部分に適した2’-置換基の例としては、2’-F、2’-OCH3(「OMe」または「O-メチル」)、及び2’-O(CH2)2OCH3(「MOE」)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、2’-置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O-C1~C10アルコキシ、O-C1~C10置換アルコキシ、O-C1~C10アルキル、O-C1~C10置換アルキル、S-アルキル、N(Rm)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(Rm)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(Rm)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)またはOCH2C(=O)-N(Rm)(Rn)(式中、各Rm及びRnは、独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基)ならびにCookらの米国特許第6,531,584号、Cookらの米国特許第5,859,221号、及びCookらの米国特許第6,005,087号に記載されている2’-置換基から選択される。2’-置換基のある特定の実施形態は、中でもヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ以上の置換基でさらに置換され得る。非二環式の修飾された糖部分に適した4’-置換基の例としては、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル、及びManoharanらの国際公開第2015/106128号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。非二環式の修飾された糖部分に適した5’-置換基の例としては、5’-メチル(RまたはS)、5’-ビニル、及び5’-メトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、非二環式の修飾された糖部分は、2つ以上の非架橋糖置換基、例えば、2’-F-5’-メチル糖部分及び修飾された糖部分、ならびにMigawaらの国際公開第2008/101157号及びRajeevらの米国特許出願公開第2013/0203836号に記載されている修飾されたヌクレオシドを含む)。
【0099】
ある特定の実施形態において、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、OCH3、O(CH2)3NH2、CH2CH=CH2、OCH2CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2CH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びN-置換アセトアミド(OCH2C(=O)-N(Rm)(Rn))から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含み、式中、各Rm及びRnは、独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルである。
【0100】
ある特定の実施形態において、2’-置換ヌクレオシド非二環の修飾されたヌクレオシドは、F、OCF3、OCH3、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2CH3、O(CH2)2ON(CH3)2、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0101】
ある特定の実施形態において、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、OCH3、及びOCH2CH2OCH3から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0102】
ある特定の修飾糖部分は、フラノシル環の2つの原子を架橋して第2の環を形成し、二環式糖部分をもたらす置換基を含む。ある特定のそのような実施形態において、二環式糖部分は、4’フラノース環原子と2’フラノース環原子との間に架橋を含む。そのような4’から2’まで架橋糖置換基の例としては、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’(「LNA」)、4’-CH2-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束されたエチル」または「cEt」として称される)、4’-CH2-O-CH2-2 ’、4’-CH2-N(R)-2’、4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(「拘束されたMOE」または「cMOE」)及びその類似体(例えば、Sethらの米国特許第7,399,845号、Bhatらの米国特許第7,569,686号、Swayzeらの米国特許第7,741,457号、及びSwayzeらの米国特許第8,022,193号を参照されたい)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’及びその類似体(例えば、Sethらの米国特許第8,278,283号を参照されたい)、4’-CH2-N(OCH3)-2’及びその類似体(例えば、Prakashらの米国特許第8,278,425号を参照されたい)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、Allersonらの米国特許第7,696,345号及びAllersonらの米国特許第8,124,745号を参照されたい)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134)、4’-CH2-C(=CH2)-2’及びその類似体(例えば、Sethらの米国特許第8,278,426号を参照されたい)、4’-C(RaRb)-N(R)-O-2’、4’-C(RaRb)-O-N(R)-2 ’、4’-CH2-O-N(R)-2’、及び4’-CH2-N(R)-O-2’が挙げられるが、これらに限定されず、式中、各R、Ra及びRbは、独立して、H、保護基、またはC1~C12アルキルである(例えば、Imanishiらの米国特許第7,427,672号を参照されたい)。
【0103】
ある特定の実施形態において、そのような4’から2’への架橋は、独立して、-[C(Ra)(Rb)]n-、-[C(Ra)(Rb)]n-O-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-C(=NRa)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(Ra)2-、-S(=O)x-、及び-N(Ra)-から独立して選択される1~4個の結合した基を含み、
式中、
xは、0、1、または2であり、
nは、1、2、3、または4であり、
各Ra及びRbは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール、C5~C7脂環式基、置換C5~C7脂環式基、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)、またはスルホキシル(S(=O)-J1)であり、
各J1及びJ2は、独立して、H、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環基、置換複素環基、C1~C12アミノアルキル、置換C1~C12アミノアルキル、または保護基である。
【0104】
追加の二環式糖部分は当該分野において既知であり、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443,Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740,Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,20017,129,8362-8379、Wengelらの米国特許第7,053,207号、Imanishiらの米国特許6,268,490、Imanishiらの米国特許第6,770,748号、Imanishiらの米国特許第44,779号、Wengelらの米国特許第6,794,499号、Wengelらの米国特許第6,670,461号、Wengelらの米国特許第7,034,133号、Wengelらの米国特許第8,080,644号、Wengelらの米国特許第8,034,909号、Wengelらの米国特許第8,153,365号、Wengelらの米国特許第7,572,582号、及びRamasamyらの米国特許第6,525,191号、Torstenらの国際公開第2004/106356号、Wengelらの国際公開第1999/014226号、Sethらの国際公開第2007/134181号、Sethらの米国特許第7,547,684号、Sethらの米国特許第7,666,854号、Sethらの米国特許第8,088,746号、Sethらの米国特許第7,750,131号、Sethらの米国特許第8,030,467号、Sethらの米国特許第8,268,980号、Sethらの米国特許第8,546,556号、Sethらの米国特許第8,530,640号、Migawaらの米国特許第9,012,421号、Sethらの米国特許第8,501,805号、そして米国特許公開番号でAllersonらの米国特許出願公開第2008/0039618号及びMigawaらの米国特許出願公開第2015/0191727号を参照されたい。
【0105】
ある特定の実施形態において、二環式糖部分及びそのような二環式糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によってさらに定義される。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に記載される)は、α-L配置またはβ-D配置であり得る。
【0106】
【0107】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)またはアルファ-L-LNA二環式ヌクレオシドが、アンチセンス活性を示すオリゴヌクレオチドに組み込まれている(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。本明細書において、二環式ヌクレオシドの一般的な説明は、両方の異性体配置を含む。特定の二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)の位置が本明細書の例示的な実施形態で特定されるとき、別途特定されない限り、これらはβ-D配置にある。
【0108】
ある特定の実施形態において、修飾された糖部分は、1つ以上の非架橋糖置換基及び1つ以上の架橋糖置換基(例えば、5’-置換及び4’-2’架橋糖)を含む。
【0109】
ある特定の実施形態において、修飾糖部分は、糖代理物である。ある特定のそのような実施形態において、糖部分の酸素原子は、例えば、イオウ、炭素、または窒素原子で置換される。ある特定のそのような実施形態において、そのような修飾された糖部分はまた、本明細書に記載の架橋及び/または非架橋置換基も含む。例えば、ある特定の糖代理物は、4’-イオウ原子及び2’-位(例えば、Bhatらの米国特許第7,875,733号及びBhatらの米国特許第7,939,677号を参照されたい)及び/または5’位の置換を含む。
【0110】
ある特定の実施形態において、糖代理物は、5個の原子以外を有する環を含む。例えば、ある特定の実施形態において、糖代用物は、6員テトラヒドロピラン(「THP」)を含む。そのようなテトラヒドロピランは、さらに修飾されていても、または置換されていてもよい。そのような修飾されたテトラヒドロピランを含むヌクレオシドとしては、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アニトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.& Med.Chem.2002,10,841-854)を参照されたい)、フルオロHNA:
【0111】
【0112】
(「F-HNA」は、例えば、Swayzeらの米国特許8,088,904、Swayzeらの米国特許8,440,803、Swayzeらの米国特許8,796,437、及びSwayzeらの米国特許9,005,906を参照されたい:F-HNAはまた、F-THPまたは3’-フルオロテトラヒドロピランとして称することができる)、下記式を有する追加の修飾されたTHP化合物を含むヌクレオシド:
【0113】
【0114】
式中、独立して、該修飾されたTHPヌクレオシドの各々について、
Bxは、核酸塩基部分であり、
T3及びT4は、それぞれ独立して、修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するヌクレオシド間連結基であるか、またはT3及びT4のうちの一方は修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するヌクレオシド間連結基であり、T3及びT4の他方はH、ヒドロキシル保護基、連結共役基、または5’もしくは3’末端基であり、
q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7は、それぞれ独立して、H、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、置換C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、または置換C2~C6アルキニルであり、
R1及びR2のそれぞれは、水素、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2及びCNであり(式中、Xは、O、SまたはNJ1であり、各J1、J2及びJ3は、独立して、HまたはC1~C6アルキルである)、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
ある特定の実施形態において、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7がそれぞれHである修飾されたTHPヌクレオシドが提供される。ある特定の実施形態において、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7のうちの少なくとも1つはH以外のものである。ある特定の実施形態において、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7のうちの少なくとも1つはメチルである。ある特定の実施形態において、R1及びR2のうちの一方がFである修飾されたTHPヌクレオシドが提供される。ある特定の実施形態において、R1はFであり、かつR2はHであり、ある特定の実施形態において、R1はメトキシであり、かつR2はHであり、ある特定の実施形態において、R1はメトキシエトキシであり、かつR2はHである。
【0116】
特定の実施形態において、糖代用物が、5超の原子及び1超のヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドにおけるそれらの使用が報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503-4510及びSummertonらの米国特許第5,698,685号、Summertonらの米国特許第5,166,315号、Summertonらの米国特許第5,185,444号、そしてSummertonらの米国特許第5,034,506号を参照されたい)。本明細書で使用されるとき、「モルホリノ」という用語は、以下の構造を有する糖代用物を意味する:
【0117】
【0118】
特定の実施形態において、例えば、上記モルホリノ構造の様々な置換基を付加するか改変することによって、モルホリノが修飾されていてもよい。そのような糖代用物を本明細書では「修飾モルホリノ」と称される。
【0119】
ある特定の実施形態において、糖代理物は、非環式部分を含む。そのような非環式糖代理物を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例としては、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865)、及びManoharanらの国際公開第2011/133876号に記載されているヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
修飾されたヌクレオシドに使用することができる多くの他の二環式及び三環式糖及び糖代用物環系が当該技術分野において既知である)。
【0121】
2.ある特定の修飾された核酸塩基
特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、非修飾の核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオシドと称される核酸塩基を含まない1つ以上のヌクレオシドを含む。
【0122】
ある特定の実施形態において、修飾された核酸塩基は、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキルまたはアルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、及びN-2、N-6及びO-6置換プリンから選択される。ある特定の実施形態において、修飾された核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡記号C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、
6-アゾウラシル、6-アザシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザ及び他の8-置換プリン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別塩基、サイズが拡大された塩基、及びフッ化塩基から選択される。さらに修飾された核酸塩基としては、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(Gクランプ)などの三環式ピリミ
ジンが挙げられる。修飾核酸塩基には、プリンまたはピリミジン塩基が、他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、及び2-ピ
リドンに置換される塩基も含まれ得る。さらなる核酸塩基には、Meriganらの米国特許第3,687,808号に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley&Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T. and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されるもの、及びChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166 and 442-443に開示されるものが挙げられる。
【0123】
ある特定の上記の修飾された核酸塩基ならびに他の修飾された核酸塩基の調製を教示する刊行物としては、Manoharaらの米国特許出願公開第2003/0158403号、Manoharanらの米国特許出願公開第2003/0175906号、Dinhらの米国特許第4,845,205号、Spielvogelらの米国特許第5,130,302号、Rogersらの米国特許第5,134,066号、Bischofbergerらの米国特許第5,175,273号、Urdeaらの米国特許第5,367,066号、Bennerらの米国特許第5,432,272号、Matteucciらの米国特許第5,434,257号、Gmeinerらの米国特許第5,457,187号、Cookらの米国特許第5,459,255号、Froehlerらの米国特許第5,484,908号、Matteucciらの米国特許第5,502,177号、Hawkinsらの米国特許第5,525,711号、Haralambidisらの米国特許第5,552,540号、Cookらの米国特許第5,587,469号、Froehlerらの米国特許第5,594,121号、Switzerらの米国特許第5,596,091号、Cookらの米国特許第5,614,617号、Froehlerらの米国特許第5,645,985号、Cookらの米国特許第5,681,941号、Cookらの米国特許第5,811,534号、Cookらの米国特許第5,750,692号、Cookらの米国特許第5,948,903号、Cookらの米国特許第5,587,470号、Cookらの米国特許第5,457,191号、Matteucciらの米国特許第5,763,588号、Froehlerらの米国特許第5,830,653号、Cookらの米国特許第5,808,027号、Cookらの米国特許第6,166,199号、及びMatteucciらの米国特許第6,005,096号が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
3.ある特定の修飾されたヌクレオシド間結合
ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、任意のヌクレオシド間結合を用いて一緒に連結され得る。ヌクレオシド間連結基の2つの主なクラスは、リン原子の存在または不在によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合としては、ホスホジエステル結合(「P=O」)(非修飾の、または天然由来の結合とも称される)を含有するホスフェート、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、及びホスホロチオエート(「P=S」)、ならびにホスホロジチオエート(「HS-P=S」)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な非リン含有ヌクレオシド間連結基としては、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル、チオノカルバメート(-O-C(=O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-SiH2-O-)、及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が挙げられるが、これらに限定されない。修飾されたヌクレオシド間結合は、天然発生ホスフェート結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変更する、典型的には増加させるために使用することができる。リン含有及び非リン含有ヌクレオシド間結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0125】
キラル中心を有する代表的なヌクレオシド間結合としては、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。キラル中心を有するヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、ステレオランダムなヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として、またはホスホロチオエート結合、特に立体化学的配置を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として調製することができる。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てがステレオランダムであるホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。そのような修飾されたオリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエート結合の立体化学的配置のランダム選択をもたらす合成方法を用いて生成することができる。それにもかかわらず、当業者にはよく理解されるように、各個々のオリゴヌクレオチド分子の各個々のホスホロチオエートは、規定された立体配置を有する。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、特に独立して選択された立体化学的配置において、1つ以上の特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて富化される。ある特定の実施形態において、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の分子の少なくとも65%に存在する。ある特定の実施形態において、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の分子の少なくとも70%に存在する。ある特定の実施形態において、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の分子の少なくとも80%に存在する。ある特定の実施形態において、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の分子の少なくとも90%に存在する。ある特定の実施形態において、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の分子の少なくとも99%に存在する。そのような修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル富化された集団は、当該分野において既知の合成方法、例えば、Oka et al.,JACS 125,8307(2003),Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)、及び国際公開第2017/015555号に記載される方法を用いて製造することができる。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Sp)配置で少なくとも1つの示されたホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて富化される。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Rp)配置で少なくとも1つのホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて富化される。ある特定の実施形態では、(Rp)及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、それぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は核酸塩基を示す:
【0126】
【0127】
別途記載のない限り、本明細書に記載される修飾されたオリゴヌクレオチドのキラルヌクレオシド間結合は、ステレオランダムであっても、または特定の立体化学的配置であってもよい。
【0128】
中性ヌクレオシド間結合としては、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、メトキシプロピル及びチオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、中性ヌクレオシド間結合には、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサミド、硫化物、スルホン酸エステル、及びミドを含む非イオン性結合が含まれる(例えば、Carbohydrate Modifications in Anti
sense Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series 580;Chapters 3
and 4,40-65を参照されたい)。さらに、中性ヌクレオシド間結合には、混合したN、O、S及びCH2成分部分を含む非イオン性結合が含まれる。
【0129】
B.ある特定のモチーフ
ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含む1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含む1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。そのような実施形態においては、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾された、非修飾の、及び異なって修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合は、パターンまたはモチーフを規定する。ある特定の実施形態において、糖部分、核酸塩基、及びヌクレオシド間結合のパターンは、それぞれ互いに独立している。これにより、修飾されたオリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ及び/またはヌクレオシド間結合モチーフによって説明することができる(本明細書中で使用されるとき、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列とは独立した核酸塩基に対する修飾を説明する)。
【0130】
1.ある特定の糖モチーフ
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたは糖修飾モチーフでオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配置された1つ以上のタイプの修飾糖及び/または非修飾糖部分を含む。場合によっては、そのような糖モチーフとしては、限定されるものではないが、本明細書で論議される糖修飾部のうちのいずれかが挙げられる。
【0131】
ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2つの外部領域または「ウィング」及び「ギャップ」の中央もしくは内部領域によって定義されるギャップマーモチーフを有する領域を含むか、またはそれらからなる。ギャップマーモチーフの3個の領域(5’-ウィング、ギャップ、及び3’-ウィング)は、ヌクレオシドの連続した配列を形成し、これらのウィングの各々のヌクレオシドの糖部分のうちの少なくとも一部は、このギャップのヌクレオシドの糖部分の少なくとも一部とは異なる。具体的には、少なくとも、ギャップに最も近い(5’-ウィングの最も3’側のヌクレオシド及び3’-ウ
ィングの最も5’側のヌクレオシド)各ウィングのヌクレオシドの糖部分が、隣接するギ
ャップヌクレオシドの糖部分とは異なり、それ故に、ウィングとギャップとの間の境界(すなわち、ウィング/ギャップ結合)を定義する。ある特定の実施形態において、ギャップ内の糖部分は、互いに同一である。ある特定の実施形態において、ギャップは、ギャップの1個以上の他のヌクレオシドの糖部分とは異なる糖部分を有する1個以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、2個のウィングの糖モチーフは、互いに同一である(対称性ギャップマー)。ある特定の実施形態において、5’-ウィングの糖モチーフは、3’-ウィングの糖モチーフとは異なる(非対称性ギャップマー)。
【0132】
ある特定の実施形態において、ギャップマーのウィングは、1~5個のヌクレオシドを
含む。ある特定の実施形態において、ギャップマーのウィングの各ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。
【0133】
ある特定の実施形態において、ギャップマーのギャップは、7~12個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、ギャップマーのギャップの各ヌクレオシドは、非修飾の2’-デオキシヌクレオシドである。
【0134】
ある特定の実施形態では、ギャップマーは、デオキシギャップマーである。実施形態において、各ウィング/ギャップ結合のギャップ側のヌクレオシドは、非修飾の2’-デオキシヌクレオシドであり、各ウィング/ギャップ結合のウィング側のヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。ある特定の実施形態において、ギャップの各ヌクレオシドは、非修飾の2’-デオキシヌクレオシドである。ある特定の実施形態において、ギャップマーのウィングの各ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。
【0135】
ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、完全に修飾された糖モチーフを有する領域を含むか、またはそれからなる。そのような実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの完全に修飾された領域の各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。そのような実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの完全に修飾された領域の各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、完全に修飾されたモチーフを有する領域を含むか、またはそれからなり、完全に修飾された領域内の各ヌクレオシドは、本明細書では均一の修飾された糖モチーフと称される、同一の修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態において、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドは、均一に修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態において、均一に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同一の2’-修飾を含む。
【0136】
本明細書では、ギャップマーの3つの領域の長さ(ヌクレオシドの数)は、表記法[5’-ウィング中のヌクレオシドの数]-[ギャップ中のヌクレオシドの数]-[3’-ウィング中のヌクレオシドの数]を用いて提供されてもよい。したがって、5-8-5ギャップマーは、各ウィング中の5個の結合ヌクレオシドと、ギャップ中の8個の結合ヌクレオシドとからなる。そのような用語が、特定の修飾を伴う場合、この修飾はウィング中の修飾であり、ギャップヌクレオシドは、非修飾のデオキシヌクレオシド糖を含む。したがって、5-8-5 MOEギャップマーは、5’-ウィング中の5個の結合MOE修飾ヌクレオシドと、ギャップ中の8個の結合デオキシヌクレオシドと、3’-ウィング中の5個の結合MOEヌクレオシドとからなる。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-8-5 MOEギャップマーである。
【0137】
2.ある特定の核酸塩基モチーフ
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたはモチーフでオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配置された修飾及び/または非修飾核酸塩基を含む。ある特定の実施形態において、各核酸塩基が修飾される。ある特定の実施形態において、核酸塩基のうちのいずれも修飾されない。ある特定の実施形態において、各プリンまたは各ピリミジンが修飾される。ある特定の実施形態において、各アデニンが修飾される。ある特定の実施形態において、各グアニンが修飾される。ある特定の実施形態において、各チミンが修飾される。ある特定の実施形態において、各ウラシルが修飾される。ある特定の実施形態において、各シトシンが修飾される。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のうちのいくつかもしくは全てが5-メチルシトシンである。ある特定の実施形態において、シトシン核酸塩基の全てが5-メチルシトシンであり、かつ修飾されたオリゴヌクレオチドの他の核酸塩基が、非修飾の核酸塩基である。
【0138】
ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基のブロックを含む。ある特定のそのような実施形態において、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端に存在する。ある特定の実施形態において、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端の3個のヌクレオシド内に存在する。ある特定実施形態において、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端に存在する。ある特定の実施形態において、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端の3個のヌクレオシド内に存在する。
【0139】
ある特定の実施形態において、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを含む。ある特定のそのような実施形態において、修飾核酸塩基を含む1個のヌクレオシドは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドの中央ギャップに存在する。ある特定のそのような実施形態において、該ヌクレオシドの糖部分は、2’-デオキシリボシル部分である。ある特定の実施形態において、修飾核酸塩基は、2-チオピリミジン及び5-プロピンピリミジンから選択される。
【0140】
3.ある特定のヌクレオシド間結合モチーフ
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、定義されたパターンまたはモチーフでオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配置された修飾及び/または非修飾のヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態において、各ヌクレオシド間の連結基は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合(P=O)である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間の連結基は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、独立して、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から選択される。ある特定の実施形態において、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、独立して、ステレオランダムホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート、及び(Rp)ホスホロチオエートから選択される。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、ギャップ内のヌクレオシド間結合は、全て修飾される。ある特定のそのような実施形態において、ウィング中のヌクレオシド間結合のうちのいくつかもしくは全ては、非修飾のホスフェート結合である。ある特定の実施形態において、末端ヌクレオシド間結合は、修飾される。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフはギャップマーであり、ヌクレオシド間結合モチーフは、少なくとも1つのウィングにおいて少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含み、少なくとも1つのホスホジエステル結合は、末端ヌクレオシド間結合ではなく、残りのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定のそのような実施形態において、ホスホロチオエート結合の全てが、ステレオランダムである。ある特定の実施形態において、ウィングにおけるホスホロチオエート結合の全てが、(Sp)ホスホロチオエートであり、ギャップが、少なくとも1つのSp、Sp、Rpモチーフを含む。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、そのようなヌクレオシド間結合モチーフを含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている。
【0141】
C.ある特定の長さ
オリゴヌクレオチドの長さを、活性を排除することなく増加または減少させることが可能である。例えば、Woolfら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305-7309,1992)において、13~25核酸塩基長の一連のオリゴヌクレオチドが、標的RNAの切断を誘導するその能力について、卵母細胞注入モデルで試験された。オリゴヌクレオチドの末端近くに8個または11個のミスマッチ塩基を含む25核酸塩基長のオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないオリゴヌクレオチドほどではなかったものの、標的mRNAの特異的切断を導くことができた。同様に、標的特異的切断が、13個の核酸塩基オリゴヌクレオチド(1つまたは3つのミスマッチを有するものを含む)を使用して達成された。
【0142】
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド(修飾されたオリゴヌクレオチドを含む)は、様々な範囲の長さのうちのいずれかを有することができる。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の連結したヌクレオシドからなり、ここで、Xは、その範囲の最小数のヌクレオシドを表し、Yは、その範囲の最大数のヌクレオシドを表す。ある特定のそのような実施形態において、X及びYは、X≦Yとの条件で、それぞれ独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50から選択される。例えば、ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~29、19~28、19~29、19~30、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、26~27、26~28、26~29、26~30、27~28、27~29、27~30、28~29、28~30、または29~30個の連結したヌクレオシドからなる。
【0143】
D.ある特定の修飾されたオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態において、上記修飾(糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合)は、修飾されたオリゴヌクレオチドに組み込まれる。ある特定の実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、それらの修飾モチーフ及び全体長によって特徴付けられる。ある特定の実施形態において、そのようなパラメータは各々、互いに独立している。したがって、別途記載のない限り、ギャップマー糖モチーフを有するオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、修飾されても修飾されなくてもよく、糖修飾のギャップマー修飾パターンに従ってもまたは従わなくてもよい。例えば、糖ギャップマーのウィング領域内のヌクレオシド間結合は、互いに同一であるか、または異なり得、糖モチーフのギャップ領域のヌクレオシド間結合と同一であるか、または異なり得る。同様に、そのような糖ギャップマーオリゴヌクレオチドは、糖修飾のギャップマーパターンから独立して1つ以上の修飾核酸塩基を含み得る。別途記載のない限り、全ての修飾は、核酸塩基配列から独立している。
【0144】
E.修飾されたオリゴヌクレオチドのある特定の集団
集団の修飾されたオリゴヌクレオチドの全てが同一の分子式を有する修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ステレオランダム集団またはキラル富化された集団とすることができる。修飾されたオリゴヌクレオチドの全てのキラル中心のうちの全ては、ステレオランダム集団においてステレオランダムである。キラル富化された集団において、少なくとも1つの特定のキラル中心は、集団の修飾されたオリゴヌクレオチドにおいてステレオランダムではない。ある特定の実施形態において、キラル富化された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分に対して富化されており、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てがステレオランダムである。ある特定の実施形態において、キラル富化された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分及び特定の立体化学的配置における少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の両方に対して富化されている。
【0145】
F.核酸塩基配列
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド(非修飾のまたは修飾されたオリゴヌクレオチド)は、それらの核酸塩基配列によって詳述される。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの特定された基準核酸に相補的である核酸塩基配列を有する。ある特定のそのような実施形態において、オリゴヌクレオチドの一領域は、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの特定された基準核酸に相補的である核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの一領域または全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチドまたは標的核酸などの特定された基準核酸と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0146】
II.ある特定のオリゴマー化合物
ある特定の実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチド(修飾されているか、または非修飾の)と、任意に1つ以上の共役基及び/または末端基とからなるオリゴマー化合物を提供する。共役基は、1つ以上の共役部分と、共役部分をオリゴヌクレオチドに連結する共役リンカーとからなる。共役基は、オリゴヌクレオチドの一方の末端または両末端に、及び/もしくは任意の内部において結合されてもよい。ある特定の実施形態において、共役基は、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基のオリゴヌクレオチドの2’位で結合される。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの一方の末端または両末端に結合される共役基は、末端基である。ある特定のそのような実施形態において、共役基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端で結合される。ある特定そのような実施形態において、共役基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端で結合される。ある特定の実施形態において、共役基は、オリゴヌクレオチドの3’末端の近くで結合される。ある特定のそのような実施形態において、共役基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端で結合される。ある特定の実施形態において、共役基は、オリゴヌクレオチドの5’末端の近くで結合される。
【0147】
末端基の例としては、共役基、キャッピング基、ホスフェート部分、保護基、修飾もしくは非修飾のヌクレオシド、及び独立して修飾されているか、もしくは非修飾の2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
A.ある特定の共役基
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の共役基に共有結合される。ある特定の実施形態において、共役基は、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取込、電荷及びクリアランスが挙げられるがこれらに限定されない結合されたオリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を改変する。ある特定の実施形態において、共役基は、結合されたオリゴヌクレオチドに新たな特性、例えば、オリゴヌクレオチドの検出を可能にするフルオロフォアまたはリポーター基を付与する。ある特定の共役基及び共役部分は、以前に記載されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,
Nucl.Acids Res.,1992,20,533-538)、脂肪族鎖、例え
ばドデカン-ジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et
al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えばジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチル-アンモニウム1,2-ジヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan
et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969-973)もしくはアダマンタン酢酸のパルミチル部分(Mishra et
al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロー
ル部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al
.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220;及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスタ(例えば、国際公開
第2014/179620号)である。
【0149】
1.共役部分
共役部分としては、インターカレーター、リポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸塩、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び染料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
ある特定の実施形態において、共役部分は、活性原薬、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フフォリン酸、ベンゾサイアジアザイド、クロロサイアザイド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬または抗生物質を含む。
【0151】
2.共役リンカー
共役部分は、共役クリンカーを通してオリゴヌクレオチドに結合される。ある特定のオリゴマー化合物において、共役リンカーは、単一の化学結合である(すなわち、共役部分は、単結合を通してオリゴヌクレオチドに直接結合される)。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、ヒドロカルビル鎖などの鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシド、もしくはアミノ酸単位などの繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0152】
ある特定の実施形態において、共役リンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つ以上の基を含む。ある特定のそのような実施形態において、共役リンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、アルキル及びアミド基から選択される基を含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定実施形態において、共役リンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、少なくとも1つホスフェート基を含む。ある特定の実施形態において、共役は、少なくとも1つの中性連結基を含む。
【0153】
ある特定の実施形態において、上述の共役リンカーを含む共役リンカーは、二官能性連結部分、例えば、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドなどの親化合物に共役基を結合させるために有用であることが当該技術分野において既知であるものである。一般には、二官能性連結部分は、少なくとも2つの官能基を含む。官能基のうちの1つは、親化合物の特定部位に結合するように選択され、他方は、共役基に結合するように選択される。二官能性連結部分で使用される官能基の例としては、求核基と反応するための求電子物質及び求電子基と反応するための求核物質が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0154】
共役リンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸スクシンイミジル(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限定されない。他の共役リンカーとしては、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル、置換もしくは非置換のC2~C10アルケニル、または置換もしくは非置換のC2~C10アルキニルが挙げられるが、これらに限定されず、好ましい置換基の非限定的なリストとしては、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが挙げられる。
【0155】
ある特定の実施形態において、共役リンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、2~5個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、正確に3個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、TCAモチーフを含む。ある特定の実施形態において、そのようなリンカーヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである。ある特定の実施形態において、そのようなリンカーヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態において、リンカーヌクレオシドは、非修飾である。ある特定の実施形態において、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、または置換ピリミジンから選択される任意に保護された複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデ
ニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。典型的には、リンカーヌクレオシドが、オリゴマー化合物が標的組織に達した後に、オリゴマー化合物から切断されることが望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは、典型的には、切断可能な結合を通して、互いに、そしてオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態において、そのような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0156】
本明細書では、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部としては見なされない。したがって、オリゴマー化合物が特定の数または範囲の連結したヌクレオシド及び/または基準核酸に対して特定のパーセントの相補性からなるオリゴヌクレオチドを含み、オリゴマー化合物がまた、リンカーヌクレオシドを構成する共役リンカーを含む共役基も含む実施形態において、これらのリンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの長さのうちには入らず、基準核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補性パーセントの決定においては使用されない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドと、(2)修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続する1~10個のリンカーヌクレオシドを含む共役基とを含むことができる。そのようなオリゴマー化合物における連続する連結したヌクレオシドの総数は、30個を超える。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなり、共役基を含まない修飾されたオリゴヌクレオチドを含んでもよい。そのようなオリゴマー化合物における連続する連結したヌクレオシドの総数は、30個以下である。別途指示がない限り、共役リンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、共役リンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0157】
ある特定の実施形態において、共役基がオリゴヌクレオチドから切断されることが望ましい。例えば、ある特定の状況において、特定の共役部分を含むオリゴマー化合物は、特定の細胞型によって良好に取り込まれるが、一旦オリゴマー化合物が取り込まれると、共役基が切断されて、非共役のオリゴヌクレオチドまたは親オリゴヌクレオチドを放出することが望ましい。したがって、ある特定の共役リンカーは、1つ以上の切断可能部分を含んでもよい。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、1個、2個、3個、4個、または4個以上の切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞または細胞内コンパートメント内で選択的に切断される。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内因性酵素によって選択的に切断される。
【0158】
ある特定の実施形態において、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、ホスフェートエステル、カルバメート、またはジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態において、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステルである。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、ホスフェートまたはホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドと共役部分または共役基との間のホスフェート結合である。
【0159】
ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、またはそれからなる。ある特定のそのような実施形態において、1つ以上のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合を通して、互いに、及び/またはオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態において、そのような切断可能な結合は、非修飾のホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態において、切断可能な部分は、ホスフェートヌクレオシド間結合によって、オリゴヌクレオチドの3’または5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合され、そしてホスフェートまたはホスホロチオエート結合によって、共役リンカーまたは共役部分の残部に共有結合される、2’-デオキシヌクレオシドである。ある特定のそのような実施形態において、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0160】
B.ある特定の末端基
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、1つ以上の末端基を含む。ある特定のそのような実施形態において、オリゴマー化合物は、安定化された5’-ホスフェートを含む。安定化された5’-ホスフェートとしては、限定されるものではないが5’-ビニルホスホネートが含まれる5’-ホスファネートが挙げられるが、これに限定されない。ある特定の実施形態において、末端基は、1つ以上脱塩基ヌクレオシド及び/または逆方向ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、末端基は、1つ以上の2’結合ヌクレオシドヌクレオシドを含む。ある特定のそのような実施形態において、2’結合ヌクレオシドは、脱塩基ヌクレオシドである。
【0161】
III.オリゴマー二本鎖
ある特定の実施形態において、本明細書に記載のオリゴマー化合物は、核酸塩基配列の標的核酸のものに対する相補性を有するオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、第2のオリゴマー化合物と対をなして、オリゴマー二本鎖を形成する。そのようなオリゴヌクレオチド二本鎖は、標的核酸に対する領域相補性を有する第1のオリゴマー化合物と、第1のオリゴマー化合物に対する領域相補性を有する第2のオリゴマー化合物とを含む。ある特定の実施形態において、オリゴマー二本鎖の第1のオリゴマー化合物は、(1)修飾されているか、または非修飾のオリゴヌクレオチド及び任意に共役基と、(2)第2の、修飾されているか、または非修飾のオリゴヌクレオチド及び任意に共役基とを含むか、またはそれらからなる。オリゴマー二本鎖のいずれかまたは両方のオリゴマー化合物は、共役基を含んでもよい。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドは、非相補性オーバーハンギングヌクレオシドを含んでもよい。
【0162】
IV.アンチセンス活性
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、標的核酸にハイブリダイズすることができ、少なくとも1つのアンチセンス活性をもたらし、そのようなオリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、アンチセンス化合物である。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、これらが標準細胞アッセイにおいて標的核酸の量または活性を25%またはそれ以上低減または阻害する場合、アンチセンス活性を有する。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に影響を及ぼす。そのようなアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸にハイブリダイズして、1つ以上の所望のアンチセンス活性をもたらし、非標的核酸にはハイブリダイズしないか、または著しく望ましくないアンチセンス活性をもたらすような方法で1つ以上の非標的核酸とはハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0163】
ある特定のアンチセンス活性において、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、標的核酸のRNase Hにより媒介された切断をもたらす。RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。そのようなRNA:DNA二本鎖中のDNAは、非修飾のDNAである必要はない。ある特定の実施形態において、RNase H活性を引き出すのに十分に「DNA様」であるアンチセンス化合物が本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、ギャップマーのギャップ中の1つ以上の非DNA様ヌクレオシドが許容される。
【0164】
ある特定のアンチセンス活性において、アンチセンス化合物またはアンチセンス化合物の一部は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)中に充填され、最終的に標的核酸の切断をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによって、標的核酸の切断をもたらす。RISC中に充填されるアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(SiRNA)または一本鎖(ssRNA)であってもよい。
【0165】
ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらさない。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸スプライシングの変更をもたらす。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸とタンパク質または他の核酸との間の結合相互作用の阻害をもたらす。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸の翻訳の変更をもたらす。
【0166】
アンチセンス活性は、直接的または間接的に観察されてもよい。ある特定の実施形態において、アンチセンス活性の観察または検出は、標的核酸またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量における変化、核酸またはタンパク質のスプライス変異体の比における変化、及び/または細胞もしくは動物における表現型の変化の観察または検出を伴う。
【0167】
V.ある特定の標的核酸
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、標的核酸に相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態において、標的核酸は、内因性RNA分子である。ある特定の実施形態において、標的核酸は、タンパク質をコードする。ある特定のそのような実施形態において、標的核酸は、イントロン領域、エクソン領域、及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びプレmRNAから選択される。ある特定の実施形態において、標的RNAは成熟mRNAである。ある特定の実施形態において、標的核酸は、成熟mRNAである。ある特定の実施形態において、標的核酸は、プレmRNAである。ある特定のそのような実施形態において、標的領域は、完全にイントロン内にある。ある特定の実施形態において、標的領域は、イントロン/エクソン接合部にまたがる。ある特定の実施形態において、標的領域は、少なくとも50%イントロン内にある。
【0168】
A.標的核酸に対する相補性/ミスマッチ
ミスマッチ塩基を、活性を排除することなく導入することが可能である。例えば、Gautschiら(J.Natl.Cancer Inst.93:463-471,March 2001)は、bcl-2 mRNAに対して100%の相補性を有し、かつbcl-xL mRNAに対して3つのミスマッチを有するオリゴヌクレオチドが、in vitro及びin vivoでbcl-2とbcl-xL両方の発現を低減できることを実証した。さらに、このオリゴヌクレオチドは、インビボでの強力な抗腫瘍活性を実証した。Maher及びDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341-3358,1988)は、ウサギ網赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を阻止するそれらの能力について、一連のタンデムの14核酸塩基オリゴヌクレオチドを試験し、28及び42核酸塩基オリゴヌクレオチドが、それぞれタンデムオリゴヌクレオチドのうちの2つまたは3つの配列から構成された。3つの14核酸塩基オリゴヌクレオチドのそれぞれは単独で、28核酸塩基オリゴヌクレオチドまたは42核酸塩基オリゴヌクレオチドよりもレベルは低かったものの、翻訳を阻害することができた。
【0169】
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドの全長にわたって標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に99%、95%、90%、85%、または80%相補的である。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸にオリゴヌクレオチドの全長にわたって少なくとも80%相補的であり、標的核酸に完全に相補的である領域を含む。ある特定の実施形態において、完全な相補性の領域は、6~20、10~18、または18~20の核酸塩基長である。
【0170】
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸と比較して、1つ以上のミスマッチの核酸塩基を含む。ある特定の実施形態において、標的に対するアンチセンス活性は、そのようなミスマッチによって低減されるが、非標的に対する活性は、より大きな量までは低減されない。このようにして、ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物の選択性が改善される。ある特定の実施形態において、ミスマッチは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチド内に特異的に位置付けられる。ある特定の実施形態において、ミスマッチは、ギャップ領域の5’末端から1、2、3、4、5、6、7、または8位にある。ある特定の実施形態において、ミスマッチは、ギャップ領域の3’末端から9、8、7、6、5、4、3、2、1位にある。ある特定の実施形態において、ミスマッチは、ウィング領域の5’末端から1、2、3、または4位にある。ある特定の実施形態において、ミスマッチは、ウィング領域の3’末端から4、3、2、または1位にある。
【0171】
B.タウ
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、標的核酸に相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、この標的核酸はタウである。ある特定の実施形態において、タウ核酸は、配列番号1に記載された配列を有する(GENBANK登録番号NT 010783.14、ヌクレオチド2624000~2761000からの短縮型)。
【0172】
ある特定の実施形態において、細胞を配列番号1に相補的なオリゴマー化合物と接触させると、タウmRNAの量を低減させ、ある特定の実施形態においては、タウタンパク質の量を低減させる。ある特定の実施形態において、動物における細胞を配列番号1に相補的なオリゴマー化合物と接触させると、神経変性疾患の1つ以上の症状を改善する。ある特定の実施形態において、この症状としては、記憶喪失、運動機能の喪失、または神経原線維封入体の数及び/または体積の増加が挙げられる。ある特定の実施形態において、動物における細胞を、配列番号1に相補的なオリゴヌクレオチドと接触させると、記憶の維持もしくは改善、運動機能の維持もしくは改善、及び/または神経原線維封入体の数及び/または体積の維持もしくは減少をもたらす。
【0173】
C.ある特定の組織におけるある特定の標的核酸
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、標的核酸に相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、この標的核酸は、中枢神経系(CNS)中で発現される。
【0174】
VI.ある特定の医薬組成物
ある特定の実施形態において、1つ以上のオリゴマー化合物またはその塩を含む医薬組成物が本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、医薬的に許容される希釈剤または担体を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、滅菌生理食塩溶液及び1つ以上のオリゴマー化合物を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、滅菌生理食塩溶液及び1つ以上のオリゴマー化合物からなる。ある特定の実施形態において、滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び滅菌水を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つのオリゴマー化合物及び滅菌水からなる。ある特定の実施形態において、滅菌水は、医薬品グレードの水である。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び滅菌PBSからなる。ある特定の実施形態において、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSである。
【0175】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び1つ以上の賦形剤を含む。ある特定実施形態において、賦形剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアホスフェートマグネシウム、滑石、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0176】
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、医薬組成物または製剤を調製するために薬剤的に許容される活性及び/または不活性物質と混合され得る。組成物及び医薬組成物を製剤化するための方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むが、これらに限定されないいくつかの基準に依存する。
【0177】
ある特定の実施形態において、オリゴマー化合物を含む医薬組成物は、オリゴマー化合物の任意の医薬的に許容される塩、オリゴマー化合物のエステル、またはそのようなエステルの塩を包含する。ある特定の実施形態において、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を含む医薬組成物は、ヒトを含む動物への投与時に、生物学的に活性な代謝物またはその残渣を(直接的または間接的に)提供することができる。したがって
、例えば、本開示は、オリゴマー化合物の医薬的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの医薬的に許容される塩、及び他の生物学的等価物をも対象とする。好適な医薬的に許容される塩には、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、プロドラッグは、オリゴヌクレオチドに結合された1つ以上の共役基を含み、この共役基は、体内で内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0178】
脂質部分は、様々な方法で核酸療法において用いられている。ある特定のそのような方法において、オリゴマー化合物などの核酸は、カチオン性脂質と中性脂質との混合物から作られた事前形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。ある特定の方法において、モノまたはポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質の存在なしで形成される。ある特定の実施形態において、脂質部分は、特定の細胞または組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態において、脂質部分は、脂肪組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態において、脂質部分は、筋肉組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。
【0179】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、送達系を含む。送達系の例として、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の送達系は、疎水性化合物を含む医薬組成物を含むある特定の医薬組成物の調製に有用である。ある特定の実施形態において、ジメチルスルホキシド等のある特定の有機溶媒が用いられる。
【0180】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、特定の組織または細胞型に本開示の1つ以上の医薬品を送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態において、医薬組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0181】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、共溶媒系を含む。ある特定のそのような共溶媒系は、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相を含む。ある特定の実施形態において、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に用いられる。そのような共溶媒系の非限定的な例にはVPD共溶媒系があり、これは、3重量/体積%のベンジルアルコール、8重量/体積%の非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、及び65重量/体積%のポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解度及び毒性特性を著しく変化させることなく大幅に変化し得る。さらに、共溶媒成分の同一性は変化し得、例えば、他の界面活性剤をポリソルベート80(商標)の代わりに使用してもよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは変化し得、他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコール、例えば、ポリビニルピロリドンに取って代わり得、他の糖または多糖は、デキストロースと置き換わり得る。
【0182】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、経口投与のために調製される。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、口腔投与のために調製される。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、注入による投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、脳
室内等)のために調製される。ある特定のそのような実施形態において、医薬組成物は、
担体を含み、水溶液、例えば、水または生理学的に相溶性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水緩衝液等の中で製剤化される。ある特定の実施形態において、他の成分(例えば、溶解に役立つか、または防腐剤の役目を果たす成分)が含まれる。ある特定の実施形態において、注入可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁化剤等を用いて調製される。注入用のある特定の医薬組成物は、単位剤形で、例えば、アンプル単位で提供されるか、または多用量容器内に提供される。注入用のある特定の医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤等の製剤化剤を含有し得る。注入用の医薬組成物における使用に好適なある特定の溶媒には、親油性溶媒及び脂肪油、例えば、ゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、及びリポソームが含まれるが、これらに限定されない。水性懸濁注射液が含まれてもよい。
【0183】
VII.特定の化合物
ある特定の実施形態において、化合物814907番は、(5’から3’の方向に)CCGTTTTCTTACCACCCT(本明細書では、配列番号8として組み込まれる)を有する5-8-5 MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~5及び14~18のそれぞれが2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド6~13のそれぞれが2’-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2とヌクレオシド3との間及びヌクレオシド15~ヌクレオシド16の間のヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド間結合の残部がホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンが5-メチルシトシンである。
【0184】
ある特定の実施形態において、化合物814907番は、下記の化学表記:mCes mCeo Ges Tes Tes Tds Tds mCds Tds Tds Ads mCds mCds Aes mCeo mCes mCes Teによって特徴付けられ、式中、
Aは、アデニンであり、
mCは、5-メチルシトシンであり、
Gは、グアニンであり、
Tは、チミンであり、
eは、2’-MOEヌクレオシドであり、
dは、2’-デオキシヌクレオシドであり、
sは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、及び
oは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0185】
特定の実施形態では、化合物814907番は、以下の化学構造によって特徴付けられる:
【0186】
【0187】
(配列番号8)。
構造1.化合物814907番
【0188】
VIII.ある特定のベンチマーク
ある特定の実施形態において、最初に国際公開第2015/010135号で記載された、化合物623782番(本明細書では以下の実施例1で特性化される)は、ベンチマークである。化合物623782番は、効力、有効性、及び忍容性に関して国際公開第2015/010135号で記載された化合物の中でも最優秀であった。化合物623782番は、本明細書の以下の実施例1及び実施例2で記載される比較試験において、化合物623782番と比較して、化合物814907番の優れた有効性及び耐容性(本明細書では以下の実施例1で特性化される)を実証するために、ベンチマークとして提供される。
【0189】
実施例1で実証されたように、化合物814907番は、30μg、100μg、500μgで処置されたタウトランスジェニックマウスにおいて25μgのED50を達成し、これに対し、化合物623782番は、10μg、30μg、100μg、300μg、700μgで処置されたタウトランスジェニックマウスにおいて94μgのED50を達成した。このように、化合物814907番は、化合物623782番よりも有効である。
【0190】
実施例2で実証されたように、化合物814907番の野生型マウスへの投与は、プルキンエ細胞喪失をもたらさなかったが、これに対して、化合物623782番の投与は、11匹の動物のうちの3匹で、カルビンジン染色された小脳切片においてプルキンエ細胞喪失をもたらした。したがって、化合物814907番は、化合物623782番よりも耐容性が高い。
【0191】
参照による非限定的な開示及び組み込み
本明細書に列挙される文献及び特許公報の各々は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0192】
本明細書に記載のある特定の化合物、組成物及び方法が、ある特定の実施形態に従った特異性を持って記載されたが、以下の実施例は、本明細書に記載の化合物を例示するためだけに機能し、その化合物を限定することを意図するものではない。本出願に引用される参考文献、受入番号等の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0193】
本出願に添付される配列表が必要に応じて各配列を「RNA」または「DNA」のいずれか一方と特定するが、実際には、それらの配列は、化学修飾の任意の組み合わせで修飾され得る。当業者であれば、修飾オリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」または「DNA」のそのような指定が、ある特定の事例において、任意であることを容易に認識するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾された糖を有するDNA(DNAの1つの2’-Hに代えて2’
-OH)または修飾された塩基を有するRNA(RNAウラシルに代えて、チミン(メチル
化ウラシル))と記載され得る。したがって、配列表中のものを含むが、これらに限定されない本明細書に提供される核酸配列は、修飾核酸塩基を有するそのような核酸を含むが、これらに限定されない天然または修飾RNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含有する核酸を包含するよう意図される。さらなる例であって制限するものではなく、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有するオリゴマー化合物は、修飾または非修飾にかかわらず、RNA塩基、例えば、配列「AUCGAUCG」を有するオリゴマー化合物、ならびに「AUCGATCG」等のいくつかのDNA塩基及びいくつかのRNA塩基を有するオリゴマー化合物、ならびに「ATmCGAUCG」等の他の修飾核酸塩基を有するオリゴヌクレオチドを含むそのような化合物を含むが、これらに限定されないそのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴヌクレオチドを包含し、式中、mCは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す。
【0194】
本明細書に記載のある特定の化合物(例えば、修飾されたオリゴヌクレオチド)は、1つ以上の不斉中心を含有し、それ故に、絶対立体化学の点で、(R)もしくは(S)、糖アノマー等の場合、αもしくはβ、またはアミノ酸等の場合(D)もしくは(L)と定義され得る、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体配置を生じさせる。ある特定の立体異性体配置を有すると描写または記載される本明細書に提供される化合物には、指示された化合物のみが含まれる。未定義の立体化学を用いて描写または記載される本明細書に提供される化合物には、別途指定されない限り、それらのステレオランダム及び任意に純粋な形態を含む全てのそのような可能な異性体が含まれる。同様に、本明細書の化合物の互変異性型も、別途記載のない限り含まれる。別途記載のない限り、本明細書に記載のオリゴマー化合物及び修飾されたオリゴヌクレオチドは、対応する塩形態を含むことを意図する。
【0195】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の原子が、指示した元素の非放射性同位体または放射性同位体で置き換えられている変形例を含む。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物は、1H水素原子のそれぞれに対する全ての可能な重水素置換を包含する。本明細書の化合物によって包含される同位体置換としては、1Hの代わりに2Hまたは3H、12Cの代わりに13Cまたは14C、14Nの代わりに15N、16Oの代わりに17Oまたは18O、及び32Sの代わりに33S、34S、35S、または36Sが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、非放射性同位体置換は、治療用または研究用ツールとして使用するために有益である新しい特性をオリゴマー化合物に付与することができる。ある特定の実施形態において、放射性同位体置換は、化合物を撮像などの研究または診断目的に好適なものにすることができる。
【実施例0196】
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を例証するものであり、限定するものではない。さらに、特定の実施形態が提供される場合、本発明者らは、それらの特定の実施形態の一般的適用を企図している。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示は、そのモチーフまたは同様のモチーフを有するさらなるオリゴヌクレオチドへの合理的な支持を提供する。同様に、例えば、特定の高親和性修飾が特定の位置に出現する場合、同一の位置での他の高親和性修飾は、別途示されない限り、好適であると見なされる。
【0197】
実施例1:修飾されたオリゴヌクレオチドのトランスジェニックマウスにおけるヒトタウmRNAに及ぼす効果
以下の表に示した修飾されたオリゴヌクレオチドは、ヒトタウプレmRNAに100%相補的である(本明細書で配列番号1と表記された、GENBANK登録番号NT 010783.14、ヌクレオチド2624000~2761000からの短縮型)。修飾されたオリゴヌクレオチドの有効性を、ヒトタウトランスジェニックマウスで試験した(Duff et al.,Neurobiology of Disease 7:87-98,2000)。各マウスは、以下の表に列挙された修飾されたオリゴヌクレオチドの用量、またはPBSビヒクルのみを、ICVボーラス注射によって受けた。各処置群は、2~4匹のマウスからなった。オリゴヌクレオチド投与から数日後に、マウスを殺処分し、組織を採集した。皮質からRNAを抽出し、ヒトタウmRNAレベルを決定するために、RT-qPCRによって分析した。以下の配列を有するプライマープローブセットRTS3104を使用した:フォワードプライマー5’-AAGATTGGGTCCCTGGACAAT-3’、本明細書では配列番号5と表記;リバースプライマー5’-AGCTTGTGGGTTTCAATCTTTTTATT-3’、本明細書では配列番号6と表記;プローブ5’-CACCCACGTCCCTGGCGGA-3’、本明細書では配列番号7と表記。結果は、ビヒクル処置群と比較した各処理群についてのヒトタウmRNA発現の平均パーセント阻害として以下の表に提示される。各々の修飾されたオリゴヌクレオチドについての50%最大有効量(ED50)を、非線形回帰分析を用いて算出した。
【0198】
【0199】
下付き文字:「e」は、2’-MOEヌクレオシドを表し、「d」は、2’-デオキシヌクレオシドを表し、「o」はホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、及び「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。「C」の前の上付き文字「m」は、シトシンが5-メチルシトシンであることを示す。
【0200】
実施例2:ヒトタウを標的とする修飾されたオリゴヌクレオチドの耐容性
実施例1に記載した修飾されたオリゴヌクレオチドの耐容性を、野生型マウスで試験した。各マウスは、化合物623782番または化合物814907の700μg用量での、もしくはPBSビヒクル単独の700μgの注射を受けた。修飾されたオリゴヌクレオチド投与から8週間後に、マウスを殺処分し、組織を採集した。組織病理学検査を、H&E、IBA1、GFAP、及びカルビンジン染色を用いて小脳の切片で行ったところ、化合物814907番で処置されたマウスについて、ビヒクル処置されたマウスと比べて異常は観察されなかった。同等な実験において、プルキンエ細胞喪失が、化合物623782番で処置された11匹の動物のうち3匹で、カルビンジン染色された小脳切片中で観察された。
【0201】
実施例3:13週間の反復投与髄腔内注射後のカニクイザイルにおける化合物814907番の効果
カニクイザイルを化合物814907番で処置し、13週間の反復髄腔内腰椎ボーラス注射後に、局所及び全身耐容性ならびに薬物動態を3つの用量レベルにおいて決定した。化合物814907番は、サルタウmRNAとの完全な配列相同性を共有し、この種における薬理学的活性を立証した。
【0202】
処置
2~4歳の年齢の範囲のカニクイザルを、ビヒクル対照(n=12)または化合物814907番で髄腔内(L3~L4の間)で処置した。動物には、1、14、28、56、及び84日目に投与した。処置群は、化合物814907番の4mg(n=6)、12mg(n=6)、または35mg(n=14)を受けた。動物を98日目または155日目(ビヒクル対照群からの4匹の動物及び35mg処置群からの4匹の動物)のいずれかで殺処分した。
【0203】
耐容性
耐容性の評価は、臨床的観察、体重、摂食量、身体検査ならびに神経学的検査、神経行動学的観察(修正Irwinテスト(Irwin,1968))、心電図(ECG)ならびに血圧評価、眼科的検査、凝固、血液学的検査、臨床化学(血液及び脳脊髄液[CSF])、細胞計数(CSFのみ)、血液ガス評価、尿検査、及び解剖病理学評価に基づいた。完全な剖検を、いかなる肉眼的異常も記録して行った。臓器重量を計測し、顕微鏡検査を行った。補足検査用に血液を採集した。加えて、血液、CSF、及び組織(剖検において)を毒物動態学的評価用に採集した。
【0204】
4mg、12mg、または35mgの化合物814907番の13週間の髄腔内投与(最初の月は隔週で、それ以降1ヶ月に1回)は、全ての試験した投与レジメンで、雄及び雌のカニクイザルにおいて良好な局所及び全身耐容性を示した。
活性
【0205】
脳及び脊髄組織を、カニクイザルのタウmRNAの阻害について分析した。脳切片及び脊髄試料を採集し、液体窒素中で急速冷凍し、凍結保存した(-60℃~-90℃)。サンプリング時に、2mmの生検パンチを用いて、RNA分析用に凍結脳切片から試料を採集した。パンチは、複数の脊髄及び脳領域から採取した。
【0206】
対照または化合物814907番で処置したカニクイザルからの脳及び脊髄試料に由来する総RNAを、Life Technologies mini-RNA精製キットを用いて精製し、リアルタイムPCR分析にかけた。サルのプライマープローブセットrhMATPT LTS01278(フォワード配列AGGACAGAGTGCAGTCGAAGATC、本明細書では配列番号9と表記;リバース配列AGGTCAGCTTGTGGGTTTCAA、本明細書では配列番号10と表記;プローブ配列CACCCATGTCCCTGGCGGAGG、本明細書では配列番号11と表記)を用いて、RNAレベルを測定した。次いで、タウRNAをハウスキーピング遺伝子シクロフィリンAに対して正規化した。全てのqPCR反応は、三通りで行った。データは、人工CSFで処置した動物におけるmRNAレベルに対して報告する。
【0207】
以下の表に示すように、対照処置のサルと比べて、化合物814907番による処置後に、脊髄及び複数のCNS領域においてタウRNAレベルの有意かつ用量反応的減少があった。
【0208】
【0209】
実施例4:化合物814907番による第I~IIa相ヒト臨床試験
化合物814907番の複数用量漸増を、無作為抽出、二重盲検、プラセボ対照試験において評価し、50~74歳の年齢の軽度アルツハイマー病(AD)の患者において安全性、耐容性、薬物動態及び薬力学を評価する。適格患者は、ADについての臨床基準を満たすことに加えて、アミロイド及びタウ病理を証明するCSF ADバイオマーカーを有するであろう。軽度AD患者の4回漸増用量レベルコホートを順次登録し、化合物814907番またはプラセボを受けるために3:1に無作為化するであろう。各患者は、化合物814907号またはプラセボの4回投与を、投与間の28日の間隔で受けることになる。患者は、3ヶ月の治療期間中に、4週間の間隔で化合物814907番の髄腔内(IT)ボーラスの4回投与を受けることになる(1、29、57、85日目に)。化合物814907番の各用量またはプラセボは、単回の20mLのITボーラス注射として投与されることになる。投与は、L3/L4空間中に挿入された小ゲージの針を用いる腰椎穿刺を介するものであろう。
【0210】
安全性及び耐容性評価
患者の安全性は、試験中に厳密に監視されるであろう。安全性及び耐容性評価としては、身体的検査ならびに標準神経学的評価(眼底を含む)、バイタルサイン(HR、BP、起立性の変化、体重)、ECG、AEならびに併用薬、コロンビア自殺評価スケール(C-SSRS)、CSF安全性検査(細胞計数、タンパク質、グルコース)、血漿検査試験(臨床化学的検査、血液学的検査)、尿検査が挙げられ、神経画像評価は、3T MRIスキャナーを用いて行われるであろう。臨床的及び容積的神経画像測定は、予想外の悪化を監視するために使用されるであろう。
【0211】
薬物動態評価
CSF試料は、各投与日(1、29、57、85日目)の投与前に、処置後期間中に、PK分析用に採集されるであろう。
【0212】
探索的評価
生化学的、神経画像、日常生活活動を行うための機能/能力、認知、及び神経精神病学的パラメータが評価されるであろう。
【0213】
生化学的パラメータとしては、ターゲットエンゲージメント、神経細胞及びシナプス損傷マーカー、自然免疫活性化マーカー、補体成分、ならびに脂質関連バイオマーカーが含まれる潜在的CSF及び血液/血漿バイオマーカーが挙げられる。
【0214】
神経画像パラメータとしては、構造的MRI(海馬、全脳、及び心室容積)、動脈スピンラベリング(ASL)、拡散テンソル画像(DTI)、及びFDG-PET(コホートC及びDのみ)が挙げられる。
【0215】
日常生活活動を行うための機能/能力パラメータとしては、機能活動調査票(FAQ)による評価が挙げられる。
【0216】
認知パラメータとしては、神経心理状態反復性バッテリー(RBANS)及び精神状態短時間検査(MMSE)による評価が挙げられる。
【0217】
神経精神病学的パラメータとしては、神経精神目録-質問票(NPI-Q)が挙げられる。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]下記式による修飾されたオリゴヌクレオチド:
【化9-1】
(配列番号8)。
[態様2]下記式:mCes mCeo Ges Tes Tes Tds Tds mCds Tds Tds Ads mCds mCds Aes mCeo mCes mCes Teによる修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニンであり、
mCが、5-メチルシトシンであり、
Gが、グアニンであり、
Tが、チミンであり、
eが、2’-MOEヌクレオシドであり、
dが、2’-デオキシヌクレオシドであり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、及び
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
[態様3]共役基を含む、態様2に記載のオリゴマー化合物。
[態様4]態様2または態様3に記載のオリゴマー化合物を含む、オリゴマー二本鎖。
[態様5]態様1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、態様2または態様3に記載のオリゴマー化合物、または態様4に記載のオリゴマー二本鎖を含むか、もしくはこれらからなる、アンチセンス化合物。
[態様6]態様1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、態様2または態様3に記載のオリゴマー化合物、または態様4に記載のオリゴマー二本鎖もしくはその塩と、医薬的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
[態様7]前記塩がナトリウムである、態様6に記載の組成物。
[態様8]動物に、態様6または態様7に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[態様9]タウ関連疾患を有するか、またはタウ関連疾患を発症するそのリスクがある個体に、態様6または態様7に記載の治療有効量の医薬組成物を投与し、それによって前記タウ関連疾患を治療することを含むタウ関連疾患を治療する、方法。
[態様10]前記タウ関連疾患が、神経変性疾患である、態様9に記載の方法。
[態様11]前記神経変性疾患が、タウオパチー、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP-17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳症(CTE)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、てんかん、またはドラベ症候群のうちのいずれかである、態様10に記載の方法。
[態様12]前記神経変性疾患の少なくとも1つの症状が改善される、態様10または態様11に記載の方法。
[態様13]前記症状が、記憶喪失、運動機能の喪失、及び神経原線維封入体の数及び/または体積の増加のいずれかである、態様12に記載の方法。
[態様14]下記式:
【化9-2】
(配列番号8)
またはその塩による、修飾されたオリゴヌクレオチド。
[態様15]前記式のナトリウム塩である、態様14に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
[態様16]修飾されたオリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、5’ウィングセグメント、中央ギャップセグメント、及び3’ウィングセグメントからなるギャップマーであり、
前記5’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
前記中央ギャップセグメントが、8個の2’-デオキシヌクレオシドからなり、
前記3’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列5’-CCGTTTTCTTACCACCCT-3’(配列番号8)を有し、各シトシンが、5-メチルシトシンであり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ヌクレオシド間結合が、5’から3’の方向に、sossssssssssssossであり、各sが、ホスホロチオエート結合であり、各oが、ホスホジエステル結合である、前記化合物。
[態様17]修飾されたオリゴヌクレオチドであって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、5’ウィングセグメント、中央ギャップセグメント、及び3’ウィングセグメントからなるギャップマーであり、
前記5’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
前記中央ギャップセグメントが、8個の2’-デオキシヌクレオシドからなり、
前記3’ウィングセグメントが、5個の2’-MOEヌクレオシドからなり、
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列5’-CCGTTTTCTTACCACCCT-3’(配列番号8)を有し、各シトシンが、5-メチルシトシンであり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ヌクレオシド間結合が、5’から3’の方向に、sossssssssssssossであり、各sが、ホスホロチオエート結合であり、各oが、ホスホジエステル結合である、前記オリゴヌクレオチド。
[態様18]態様14、15または17のいずれか一に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル富化集団であって、前記集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、前記キラル富化集団。
[態様19]前記集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、態様18に記載のキラル富化集団。
[態様20]前記集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化されている、態様18に記載のキラル富化集団。
[態様21]前記集団が、特定の、独立して選択される、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において立体化学的配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、態様18に記載のキラル富化集団。
[態様22]前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、態様21に記載のキラル富化集団。
[態様23]前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、態様21に記載のキラル富化集団。
[態様24]前記集団が、1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合において前記(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合のそれぞれにおいて前記(Sp)配置を有する、修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、態様21に記載のキラル富化集団。
[態様25]前記集団が、5’から3’の方向に、少なくとも3個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合を、Sp、Sp、及びRp配置で有する、修飾されたオリゴヌクレオチドに対して富化される、態様18または態様21に記載のキラル富化集団。
[態様26]前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、態様1~17のいずれか一に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル富化集団。
[態様27]態様14、15、または17のいずれか一に記載の前記修飾されたオリゴヌクレオチドと、医薬的に許容される希釈剤または担体とを含む、医薬組成物。
[態様28]態様18~26のいずれか一に記載の前記修飾されたオリゴヌクレオチドの集団と、医薬的に許容される希釈剤または担体とを含む、医薬組成物。
[態様29]前記医薬的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または人工CSF(aCSF)である、態様27または態様28に記載の医薬組成物。
[態様30]前記医薬組成物が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドと、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または人工CSF(aCSF)から本質的になる、態様27または態様28に記載の医薬組成物。