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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091838
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】位置検出用センサ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/046 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G06F3/046 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068342
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2021530519の分割
【原出願日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2019126223
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】小堀 武
(57)【要約】
【課題】裏側に、表側からのアクセスが必要な部品を設置できる位置検出用センサを提供する。
【解決手段】絶縁基板上に偶数回巻きのループコイルで構成される位置検出用電極が複数配設されている領域が、位置指示体による指示位置を検出する有効検出領域とされる。絶縁基板には、有効検出領域内において、所定の形状の貫通孔が形成されている。位置検出用電極を構成する偶数回巻きのループコイルは、貫通孔に架かる部分では、貫通孔の形状に沿って迂回するように配設されると共に、貫通孔を迂回する部分の形状が、偶数回巻きのループコイルの貫通孔を迂回する部分を有する個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和と、貫通孔に架からない偶数回巻きのループコイルの個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和とが、ほぼ等しくなるような形状で形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に偶数回巻きのループコイルで構成される位置検出用電極が複数配設され、前記複数の前記位置検出用電極が配設されている領域が、位置指示体による指示位置を検出する有効検出領域とされる位置検出用センサにおいて、
前記絶縁基板には、前記有効検出領域内において、所定の形状の貫通孔が形成されており、
前記位置検出用電極を構成する前記偶数回巻きのループコイルは、前記貫通孔に架かる部分では、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回するように配設されると共に、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回する部分の形状が、前記偶数回巻きのループコイルの前記貫通孔を迂回する部分を有する個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和と、前記貫通孔に架からない前記偶数回巻きのループコイルの個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和とが、ほぼ等しくなるような形状で形成されている
ことを特徴とする位置検出用センサ。
【請求項2】
前記複数の前記位置検出用電極は、所定の配列ピッチで所定の方向に配設され、
前記貫通孔の大きさは、前記所定の配列ピッチよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出用センサ。
【請求項3】
前記偶数回巻きのループコイルは2分され、前記2分された前記偶数回巻きのループコイルの一方と他方とで、前記貫通孔を迂回する方向が異なるようにされている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出用センサ。
【請求項4】
筐体内に位置検出用センサが配設され、前記位置検出用センサの上方に、前記位置検出用センサに対する操作入力面を備えると共に、前記位置検出用センサの下方に所定の部品が配置される電子機器であって、
前記位置検出用センサは、
絶縁基板上に偶数回巻きのループコイルで構成される位置検出用電極が複数配設され、前記複数の前記位置検出用電極が配設されている領域が、位置指示体による指示位置を検出する有効検出領域とされる位置検出用センサであって、
前記絶縁基板には、前記有効検出領域内において、所定の形状の貫通孔が形成されており、
前記位置検出用電極を構成する前記偶数回巻きのループコイルは、前記貫通孔に架かる部分では、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回するように配設されると共に、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回する部分の形状が、前記偶数回巻きのループコイルの前記貫通孔を迂回する部分を有する個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和と、前記貫通孔に架からない前記偶数回巻きのループコイルの個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和とが、ほぼ等しくなるような形状で形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記位置指示体により前記操作入力面を通じて指示された位置を、前記位置検出用センサの前記複数の位置検出用電極からの信号に基づいて検出する位置検出装置部を備え、
前記位置検出装置部は、前記貫通孔に架かる前記位置検出用電極からの信号を補正する補正回路を備えている
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記位置指示体により前記操作入力面を通じて指示された位置を、前記位置検出用センサの前記複数の前記位置検出用電極からの信号に基づいて検出する位置検出装置部を備え、
前記位置検出装置部は、前記貫通孔の近傍及び前記貫通孔内において前記位置指示体により前記操作入力面を通じて指示された位置を検出するための位置検出回路を備えている
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出用センサ及び位置検出用センサを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯型の電子機器では、操作入力手段として位置検出用センサが用いられており、筐体の表面パネルを入力面として、電子ペンなどの指示体により指示された位置を検出することができるように構成されている。この種の携帯型の電子機器では、透明の表面パネルの直下に、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)で構成される表示装置が配置され、その表示装置の裏側に、当該表示装置の表示画面に対して重畳するように、例えば電磁誘導方式の位置検出用センサが配設されて構成されているものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
最近は、携帯型の電子機器の筐体の外周端にまで及ぶ領域を表示画面の表示領域とすることで、小型の筐体であっても、大きな表示画面を実現できるようになってきている。そして、位置検出用センサも、表示画面の表示領域のほぼ全域を、指示体による指示位置を検出する有効領域とするように構成されるようになってきている。この場合には、位置検出用センサの有効領域に対応する表示画面の全域が、電子ペンなどの指示体の操作入力面を構成することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-38714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような携帯型の電子機器の場合、電子回路部は、通常、位置検出用センサの、更に裏側のスペースに配設される。
【0006】
近年、携帯型の電子機器の高機能化が進み、電子回路部には、種々の部品が搭載されるようになっている。そして、それらの部品の中には、表示画面側から見て、遮蔽されることなく、光学的に露出させるべき部品、例えばLED(Light Emitting Diode)などの表示素子や、表示画面側から入力される生体情報などの情報を読み取る部品、例えば指の指紋を読み取る指紋センサなども用いられるようになっている。
【0007】
従来は、このような部品は、電子機器の筐体の表面パネルの下方端や上方端などの端領域に配設すると共に、位置検出用センサやLCDなどの表示画面は、その部品の上部を遮らないように避けて配設するようにしていた。このため、表示画面の大きさが小さくなると共に、位置検出用センサの有効領域もそれに合わせて小さくなってしまっていた。
【0008】
しかし、最近、表示装置の例としてのLCDの裏側に設けられても、LCDに邪魔されることなく、LCDの表面側からの操作やアクセスに対する機能が有効に働く部品も登場してきている。例えば指紋センサとして、超音波式のものが知られており、この超音波式の指紋センサを用いた場合には、LCDの裏側に設けても、LCDに影響されることなく、表面パネルに置かれた指の指紋を検出することができる。このため、この超音波式の指紋センサを用いる場合、表示装置の表示画面内の領域に指紋センサを配置することが可能であり、LCDの表示画面での画像表示は、当該指紋センサに配設されている領域でもそのまま可能となる。
【0009】
しかしながら、LCDの裏側に上述のような位置検出用センサを配設して、電子ペンなどの指示体による指示入力を可能にする電子機器の場合には、LCDの裏側に位置検出用センサが配設され、さらに、位置検出用センサの裏側に指紋センサなどが配設される電子回路を配設される。このような構成の電子機器の場合には、位置検出用センサの存在により、超音波式の指紋センサであっても、表面パネルに置かれた指の指紋を検出することができなくなってしまう恐れがあった。
【0010】
特に、電磁誘導方式の位置検出用センサの場合には、センサ基板に加えて、磁気シールド材や電磁シールド材が設けられているために、それらが邪魔をすることで、位置検出用センサの裏側に設けられる電子回路に配設される部品の、表面パネル側からの操作やアクセスに対する機能が、有効に働くなる恐れがあった。
【0011】
この点を考慮して、従来は、LCDの表示画面の表示領域内の裏側に配設することができる部品であっても、位置検出用センサは、当該部品の上部を覆わないように配設するようにしていた。このため、位置検出用センサの有効検出領域は、LCDの表示領域よりも小さくしたり、従来と同様に、前記部品を、LCDや位置検出用センサとは重ならない領域に配設するように構成する必要があった。
【0012】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置検出用センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、
絶縁基板上に偶数回巻きのループコイルで構成される位置検出用電極が複数配設され、前記複数の前記位置検出用電極が配設されている領域が、位置指示体による指示位置を検出する有効検出領域とされる位置検出用センサにおいて、
前記絶縁基板には、前記有効検出領域内において、所定の形状の貫通孔が形成されており、
前記位置検出用電極を構成する前記偶数回巻きのループコイルは、前記貫通孔に架かる部分では、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回するように配設されると共に、前記貫通孔の形状に沿って前記貫通孔を迂回する部分の形状が、前記偶数回巻きのループコイルの前記貫通孔を迂回する部分を有する個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和と、前記貫通孔に架からない前記偶数回巻きのループコイルの個々のループコイルにより囲まれる部分の面積の総和とが、ほぼ等しくなるような形状で形成されている
ことを特徴とする位置検出用センサを提供する。
【0014】
上述の構成の位置検出用センサは、有効検出領域内に、所定の形状の貫通孔が形成されている。そして、位置検出用センサにおいては、位置検出用電極が貫通孔の形状に沿って貫通孔を迂回するように形成されているので、位置検出用センサの有効検出領域は、貫通孔の部分も含んで構成されている。
【0015】
したがって、位置検出用センサの有効検出領域の裏側に、位置検出用センサにより遮蔽されることにより支障が生じる部品を配設する場合には、当該部品を、貫通孔の位置に対応する位置に配置することで何等支障を生じることなく機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明による位置検出用センサ及び位置検出回路を備える電子機器の例を示す図である。
図2図1の例の電子機器の構成例を説明するための分解斜視図である。
図3】この発明による位置検出用センサ及び位置検出回路の実施形態の回路構成例を説明するための図である。
図4】この発明による位置検出用センサの第1の実施形態の要部を説明するための図である。
図5】この発明による位置検出用センサの第1の実施形態の要部を説明するための図である。
図6】この発明による位置検出用センサの第2の実施形態の要部を説明するための図である。
図7】この発明による位置検出用センサの第3の実施形態の要部を説明するための図である。
図8】この発明による位置検出用センサの第4の実施形態の要部を説明するための図である。
図9】この発明による位置検出用センサの実施形態に接続される位置検出回路の実施形態の要部を説明するための図である。
図10】この発明による位置検出用センサ及び位置検出回路の他の実施形態の回路構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明による位置検出用センサ及び電子機器の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、位置検出用センサの一実施形態を備える電子機器の一例を示すものである。この例の電子機器1は、表示装置、この例ではLCD(Liquid Crystal Display)11の表示画面11Dを備える高機能携帯電話端末であり、LCD11の下部(裏側)に、この実施形態の位置検出用センサ2を備えていると共に、位置検出用センサ2のさらに裏側には、後述する電子回路(図1では図示を省略)を備えている。電子回路は、位置検出用センサ2に接続される位置検出回路を含む。
【0019】
そして、この例の電子機器1には、位置検出用センサ2に対して位置指示入力を行う指示体の例として、電子ペン3が付属されている。この実施形態では、電子ペン3と位置検出用センサ2との間で電磁誘導結合による信号の授受を行うことで、位置検出回路で、電子ペン3により指示された位置検出用センサ2の位置検出の有効領域内での位置を検出するようにする。この例では、LCD11の表示画面11Dの全表示領域が、位置検出用センサ2の位置検出の有効領域となるように構成されている。したがって、表示画面11Dの全表示領域が、位置検出用センサ2における入力面を構成し、使用者は、電子ペン3を、表示画面11Dの全表示領域を入力面として位置指示操作を行うことができる。
【0020】
電子機器1においては、表示画面11D上で、電子ペン3により位置指示入力操作がされると、表示画面11Dの裏側に設けられた位置検出用センサ2と電子ペン3との間で電磁誘導結合による信号のインタラクションが行われ、位置検出回路において電子ペン3により指示入力された位置が検出され、電子機器1の位置検出回路が接続されているコンピュータが、表示画面11Dでの操作位置に応じた表示処理を施す。
【0021】
図2は、この実施形態の電子機器1の構成例を説明するための分解斜視図である。この実施形態の電子機器1は、図2に示すように、筐体10内の最下層にマザーボード12が収納され、その上に位置検出用センサ2が配設され、更にその上に、表示画面11Dを上側にしてLCD11が配設される。
【0022】
そして、この実施形態では、矩形の筐体10の周囲枠で囲まれる矩形の凹部10a内に、マザーボード12、位置検出用センサ2、LCD11の順に収納され、LCD11の上側に、例えば透明の樹脂あるいは透明のガラスからなる表面パネル13が配され、この表面パネル13の周囲が筐体10に固着されることで電子機器1が構成される。表面パネル13のLCD11の表示画面11Dと対応する領域の表面は、電子ペン3による操作入力面となる。
【0023】
図1及び図2に示すように、この実施形態の電子機器1では、筐体10の矩形の凹部10aの周囲枠の厚さは薄く、LCD11の表示画面11Dは、凹部10aのほぼ全領域を占めるようにされている。したがって、位置検出用センサ2の位置検出の有効領域も、LCD11の表示領域に対応して、凹部10aのほぼ全領域を占めるようにされている。
【0024】
ここで、マザーボード12には、通信回路、表示装置11用の表示制御回路、位置検出用センサ2に信号を供給し、また、位置検出用センサ2を通じて受信される信号を受けて、電子ペン3により指示された位置を検出する位置検出回路が形成されている。なお、図2には図示しなかったが、表示装置11と位置検出用センサ2とは、マザーボード12の対応する回路部にそれぞれ接続される。
【0025】
そして、この実施形態では、電子機器1は、使用者の指紋認証により、当該電子機器1の使用開始を許可する機能を備えるように構成されている。この指紋認証のための部品として、マザーボード12上には、使用者の指紋を検出する指紋センサ14が配設されており、マザーボード12の電子回路は、指紋センサ14で読み取られた指紋の情報が供給される指紋認証回路を含むように構成されている。
【0026】
指紋センサ14は、位置検出用センサ2により遮蔽されると、表面パネル13の操作入力面の領域における操作やアクセスに応じた機能を実行できなくなる恐れがある所定の部品の一例である。この実施形態で用いられる指紋センサ14は、超音波を用いて使用者の指の指紋を認識することができるものであり、前述したように、LCD11が、当該指紋センサ14と表面パネル13との間に存在しても、指紋の読取の機能に支障が生じないものである。しかし、前述したように、この指紋センサ14と表面パネルとの間に位置検出用センサ2が存在したときには、指紋の読取の機能に支障が生じる恐れがある。
【0027】
このことに鑑み、この実施形態では、マザーボード12上に重ねられて配設される位置検出用センサ2の、マザーボード12の指紋センサ14の上空に対応する位置には、貫通孔2Hが形成されている。この実施形態では、貫通孔2Hは、図1及び図2に示すように、指紋センサ14の形状及び大きさに応じた矩形形状とされている。なお、貫通孔2Hの形状及び大きさは、指紋センサ14などの位置検出用センサ2の裏側に配設される所定の部品が、その実行すべき機能を確実に実行するのを邪魔しないようにした大きさ及び形状であればよく、形状は、矩形形状に限らず、例えば、円形、楕円形、六角形などの多角形などであってもよい。
【0028】
こうして、指紋センサ14は、LCD11の表示画面11Dの表示領域内及び位置検出用センサ2の有効領域内において、それらの裏側に、配設される。
【0029】
この実施形態の電子機器1では、上述したように、当該電子機器1の使用開始を許諾するか否かの判断に指紋認証を用いる場合には、使用者は、事前に、表面パネル13の表示画面11Dの表示領域内に指を置いて、指紋センサ14によりその指紋を読み取らせてその指の指紋を登録する。この場合に、図1に示すように、表示画面11Dの指紋センサ14に対応する位置には、指紋を読み取らせる位置であることを使用者に報知する画像14Pが表示されている。指紋センサ14は、登録された指の指紋の情報を認証参照用情報として記憶する。そして、認証参照用情報としての指の指紋の情報の登録後、電子機器1は、指紋認証アプリケーションにより、指紋認証を実行する。
【0030】
指紋認証アプリケーションは、周知のように、電子機器1の開始しようとする使用者が、表面パネル13の表示画面11Dの表示領域内の画像14P上に指を置くと、その指の指紋を指紋センサ14で読み取り、登録されて記憶されている指の指紋と照合して一致しているか否かにより、認証が取れたか否かを確認する。そして、指紋認証アプリケーションは、認証が取れたことが確認できた場合に、当該電子機器1の使用の開始を許可するように動作する。この指紋認証アプリケーションによる指紋認証処理は、電子機器1の使用開始時にのみ行われる。
【0031】
以上のようにして、電子機器1の使用の開始が許可された後には、使用者は、位置検出用センサ2の有効領域に対応する表示画面11Dの表示領域を通じて電子ペン3により位置指示入力をすることで、電子機器に種々の機能処理を行わせるようにすることができる。
【0032】
ところで、この実施形態の位置検出用センサ2は、後述もするように、位置検出用電極、この例の場合にはループコイルが、互いに直交するX軸方向(例えば電子機器1の表示画面11Dの横方向)及びY軸方向(例えば電子機器1の表示画面11Dの縦方向)のそれぞれに複数個づつ、配設されて構成されている。X軸方向及びY軸方向の複数個のループコイルの配列ピッチは、一般的に、比較的短いものとされており、電子ペン3により指示される位置を、精細に検出することができるように構成されている。
【0033】
この実施形態の場合には、位置検出用センサ2に貫通孔2Hが有効領域内に形成された場合には、この貫通孔2Hの部分には、位置検出用電極は形成できない。貫通孔2Hの大きさが、ループコイルの配設ピッチよりも小さい場合には、貫通孔2Hを、ループコイルを構成する位置検出用電極間の空いたスペースに設けることで、位置検出に支障を生じないようにすることはできる。
【0034】
しかし、貫通孔2Hの大きさが、ループコイルの配設ピッチよりも大きい場合には、貫通孔2Hの部分に位置検出用電極が必ず架かることになる。この場合に、貫通孔2Hの部分が位置検出用電極が架かるとは、位置検出用電極を貫通孔2Hが存在していない領域と同様に配設したときに、位置検出用電極を構成する導体の一部が貫通孔2Hを跨ぐようになる状態を言う。
【0035】
すなわち、この例においては、位置検出用電極のそれぞれは、後述するように細長の矩形形状のループコイルで構成され、直線状の4辺を備えるが、その4辺の内の、長辺の一方又は両方が、直線状のままであるとしたときには貫通孔2Hを跨ぐように架かる場合に、そのループコイル、すなわち、位置検出用電極は、貫通孔2Hに架かることになる。なお、ループコイルの形状は、矩形形状に限られるものではなく、位置検出用電極を貫通孔2Hが存在していない領域と同様に配設したときに、当該ループコイルを構成する導体の少なくとも一部が貫通孔2Hを跨ぐようになってしまうものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0036】
X軸方向及びY軸方向に複数個づつのループコイルが配設されて形成された位置検出用センサ2に、後から、貫通孔2Hを穿った場合には、その貫通孔2Hの部分に架かっているループコイルは、当該貫通孔2Hにより分断され、当該貫通孔2Hに架かるループコイルが、電子ペン3により指示された位置の検出用として使用することができなくなる。
【0037】
この問題を回避するために、この実施形態では、絶縁基板に、予め貫通孔2Hを形成しておき、その絶縁基板に対して、貫通孔2Hが存在しない領域においては、従来と同様にしてループコイルを形成すると共に、貫通孔2Hに架かる部分では、当該貫通孔2Hで分断されることなく、当該貫通孔2Hの形状に沿って貫通孔2Hを迂回するようにして、ループコイルを形成して配設する。
【0038】
[位置検出用センサ2の構成例及び位置検出回路及び電子ペンの回路構成例]
図3は、位置検出用センサ2の位置検出用電極としてのループコイルの配置の概要及び位置検出用センサ2に接続される位置検出回路100と、電子ペン3の電子回路構成を示す図である。この実施形態の位置検出用センサ2は、上述したように、電磁誘導方式で電子ペン3の共振回路RCと信号のやり取り(インタラクション)を行う。
【0039】
電子ペン3の共振回路RCは、図3に示すように、コイル31とキャパシタ32と筆圧検出部で構成される可変容量キャパシタ33とが並列に接続されて構成され、この共振回路RCが位置検出用センサ2と電磁誘導結合する。
【0040】
位置検出用センサ2は、図3に示すように、X軸方向(例えば横方向)に所定のピッチで複数個が配設されたX軸方向ループコイル21と、Y軸方向(例えば縦方向)に所定のピッチで複数個が配設されたY軸方向ループコイル22とを備える。この場合に、複数個のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22は、それぞれ、ループの幅よりも狭いピッチで配設されて、高精細に電子ペン3による指示位置を検出することができるようにされていると共に、それらループコイル21,22を構成する導体が互いに同一面上で重ならないように、絶縁基板(図3では図示を省略)の表裏の両面を用いると共に、スルーホールを用いて形成されている。
【0041】
すなわち、絶縁基板上のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22のそれぞれの1個ずつを示すと図4に示すようなものとなる。図4(A)は、絶縁基板20において、貫通孔2Hに架からない位置に配置されるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の1個を示し、図4(B)は、絶縁基板20において、貫通孔2Hに架かかる位置に配置されるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の1個を示している。図4(A)及び(B)は、絶縁基板20の表面側から見た状態を示しており、絶縁基板20の表面側に配設されるループコイルの導体は実線で示し、絶縁基板20の裏面側に配設されるループコイルの導体は破線で示してある。
【0042】
図4(A)に示すように、この例においては、X軸方向ループコイル21は、縦長の長方形のループ形状を備え、その長辺の直線状の導体は、絶縁基板20の表面に形成され、短辺の直線状の導体は、スルーホール23を通じて長辺の導体と接続されて裏面に形成される。また、Y軸方向ループコイル21は、横長の長方形のループ形状を備え、その長辺の直線状の導体は、絶縁基板20の裏面に形成され、短辺の直線状の導体は、スルーホール23を通じて長辺の導体と接続されて表面に形成される。
【0043】
そして、図4(B)に示すように、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22においては、この例では、それぞれ長辺の一辺の直線状の導体が、貫通孔2Hに架かる部分で貫通孔2Hの周囲を迂回するように変形されて、迂回部分21a及び22aが形成される。
【0044】
ループコイルは、当該ループコイルによる囲まれる面積部分に鎖交する磁束に応じた起電力を生じるものであるので、ループコイルのループ形状が変形すると、当該ループコイルによる囲まれる面積が変わり、起電力も変化してしまう。このため、貫通孔2Hに架かるループコイルと、貫通孔2Hに架からないループコイルとで、電磁誘導結合による電子ペン3からの信号の受信信号レベルに差が生じてしまう。
【0045】
この実施形態では、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の迂回部分21a及び22aは、貫通孔2Hの形状に沿って、最短経路を描くように形成する。図4(B)の例では、貫通孔2Hが矩形形状であるので、迂回部分21a及び22aは、長辺の直線状の導体が貫通孔2Hの形状に沿って直角に折り曲げられた張り出し部として形成されたものとなる。
【0046】
この実施形態では、この例のように迂回部分21a及び22aを、貫通孔2Hの形状に沿って最短経路を描くように形成するので、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22のループ形状の変形を最小にすることができる。これにより、貫通孔2Hに架かるループコイルと、貫通孔2Hに架からないループコイルとで、電磁誘導結合による電子ペン3からの信号の受信信号レベルの差を最小限に抑えることができる。
【0047】
図4(B)は、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の1個の状態を示したが、形成ピッチの大きさが貫通孔2Hよりも小さい場合には、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の複数個が貫通孔2Hに架かる状態となる。この場合にも、それら貫通孔2Hに架かる複数個のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22は、貫通孔2Hを迂回することで生じるループ形状の変形ができるだけ小さくなるようにされる。
【0048】
図5に、貫通孔2Hに架かる複数個のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の導体の配設パターンの例を示す。
【0049】
図5に示すように、この例では、位置検出用センサ2の絶縁基板20には、X軸方向ループコイル21は、矩形の貫通孔2HのX軸方向の開口幅Lxよりも小さい配列ピッチτxで、順次にX軸方向に配設され、Y軸方向ループコイル22は、矩形の貫通孔2HのY軸方向の開口幅Lyよりも小さい配列ピッチτyで、順次にY軸方向に配設される。
【0050】
図5の例では、4個のX軸方向ループコイル21(図5ではX軸方向ループコイル211、212、213、214として示す)の長辺の一方が貫通孔2Hに架かっていると共に、2個のY軸方向ループコイル22(図5ではY軸方向ループコイル221,222として示す)の長辺の一方が貫通孔2Hに架かっている場合の導体の迂回パターンの例を示している。
【0051】
図5の例においては、4個のX軸方向ループコイル211~214の内の左寄りの2個のX軸方向ループコイル211及び212の長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの左側を迂回するように左側に張り出す迂回部分211a及び212aが形成され、また、右寄りの2個のX軸方向ループコイル213及び214の長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの右側を迂回するように右側に張り出す迂回部分213a及び214aが形成される。
【0052】
この場合に、迂回部分211a及び212a、また、迂回部分213a及び214aは、それぞれのX軸方向ループコイル211~214のループ形状の変形を最小にするために、互いに近接して形成され、配列ピッチτxは考慮せずに配設される。ただし、迂回部分211a及び212a、また、迂回部分213a及び214aは、互いに絶縁されることは勿論である。
【0053】
また、図5の例においては、2個のY軸方向ループコイル221及び222の内の上寄りのY軸方向ループコイル221の長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの上側を迂回するように上側に張り出す迂回部分221aが形成され、また、下寄りのY軸方向ループコイル222の長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの下側を迂回するように下側に張り出す迂回部分222aが形成される。
【0054】
以上のように構成されている位置検出用センサ2に対して位置検出回路100が図3に示すように接続され、この位置検出回路100において、電子ペン3により指示された位置検出用センサ2の有効領域内の位置が検出される。この例においては、位置検出回路100は、位置検出用センサ2を通じて電子ペン3の共振回路RCに対して電磁結合により信号を送信し、電子ペン3は、位置検出用センサ2から受信した信号を共振回路RCを介して、位置検出用センサ2に帰還する。
【0055】
そして、位置検出回路100では、電子ペン3の共振回路RCからの帰還信号を、位置検出用センサ2を通じて受信し、その受信した信号が検出される位置検出用センサ2のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の位置から、電子ペン3により指示された位置検出用センサ2の有効領域内の位置を検出すると共に、この例では、電子ペン3の共振回路RCから電磁結合により受信する信号の位相変化を検出することより共振回路RCの共振周波数の変化を検出して、電子ペン3に印加された筆圧を検出するようにする。
【0056】
位置検出回路100には、位置検出用センサ2のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22が接続される選択回路101が設けられている。また、位置検出回路100には、例えばコンピュータにより構成される処理制御回路110が設けられる。
【0057】
選択回路101は、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22を順次選択して、電子ペン3の共振回路RCに対して信号を送信させると共に、共振回路RCから帰還される信号を受信させる。
【0058】
選択回路101に対しては、処理制御回路110により切替制御される切替回路102が接続される。この切替回路102が送信側端子Tに接続されるときには、発振器103から交流信号がアンプ104を通じて選択回路101に供給され、受信側端子Rに接続されるときには、選択回路101からの受信信号が、アンプ105を通じて指示位置検出用回路106と、筆圧検出用回路107に供給される。
【0059】
指示位置検出用回路106は、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22に発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をディジタル信号に変換し、処理制御回路110に出力する。処理制御回路110は、指示位置検出用回路106からのデジタル信号、すなわち、各X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22に発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン3のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0060】
この場合に、この実施形態においては、処理制御回路110は、位置検出用センサ2が有効領域内に貫通孔2Hを備えることに対応する補正回路111を備えている。
【0061】
この補正回路111は、電子ペン3による指示位置が、貫通孔2H内の領域であるときに、その指示位置の座標値を、できるだけ正確に算出することができるようにする処理機能(貫通孔内指示位置算出機能)と、電子ペン3による指示位置が、貫通孔2Hの外の領域である場合であっても、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22での電子ペン3の共振回路からの帰還信号の受信信号から、座標位置を検出する必要がある場合に、より正確に指示位置の座標値を算出するように補正する機能(貫通孔外指示位置補正機能)を有する。
【0062】
前者の貫通孔内指示位置算出機能における、電子ペン3による指示位置が貫通孔2H内の領域であるときの指示位置の算出の方法は、例えば、次のようにする。
【0063】
先ず、予め、位置検出用センサ2の貫通孔2H内の領域において電子ペン3により検出精度に応じた複数位置を指示をし、その各指示位置において、貫通孔2Hに架かる1~複数個のX軸方向ループコイル21及び1~複数個のY軸方向ループコイル22から得られる信号についての指示位置検出用回路106の出力信号レベルを取得する。そして、電子ペン3の指示位置の情報と、1~複数個のX軸方向ループコイル21及び1~複数個のY軸方向ループコイル22から得られる信号についての指示位置検出用回路106の出力信号レベルとを対応付けて、第1テーブル情報として、第1テーブルメモリ112に記憶しておく。なお、第1テーブル情報としては、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22のみではなく、その周辺のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の出力信号レベルを含んでいても勿論よい。
【0064】
そして、処理制御回路110は、電子ペン3により指示された位置の検出に当たっては、その指示された位置が貫通孔2H内の領域であると判別したときには、第1テーブルメモリ112の第1テーブル情報の出力信号レベルと、その時の指示位置検出用回路106の出力信号レベルとを比較し、一致するあるいは近似する指示位置を、第1テーブルメモリ112の第1テーブル情報から取得するようにして、貫通孔2H内の領域の指示位置を検出する。なお、第1テーブルメモリ112の第1テーブル情報の出力信号レベルの複数と、その時の指示位置検出用回路106の出力信号レベルとが近似するときには、第1テーブル情報の近似する複数の出力信号レベルから、補間演算を行って、より正確な指示位置を算出するようにしてもよい。
【0065】
なお、この場合に、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22は、位置検出用センサ2において既知である。そこで、電子ペン3により指示された位置が貫通孔2Hの領域内であるか否かの判別は、指示位置検出用回路106から所定レベル以上の出力信号が得られるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22のうち、ピーク値を示しているX軸方向ループコイル及びY軸方向ループコイルが、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22か否かにより行うことができる。
【0066】
次に、後者の貫通孔外指示位置補正機能について説明する。前述したように、貫通孔2Hに架かるためにX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22は、迂回部分21a及び22aを有するため、貫通孔2Hに架からない他のX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22に対してループ形状が変形する。
【0067】
そのため、電子ペン3による指示位置が貫通孔2H内の領域ではなく、その外側の領域である場合であっても、電子ペン3の共振回路RCから帰還される信号が、当該貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22で受信される場合には、その出力信号レベルが、他の貫通孔2Hに架からないX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22とは異なってしまうことがある。
【0068】
この実施形態では、位置検出用センサのX軸方向及びY軸方向ループコイルは細長の矩形形状であり、しかも、電子ペン3が細型であって、電子ペン3から帰還される電磁エネルギーによる磁束は、電子ペン3により指示された位置の周辺に集中してループコイルと鎖交する。したがって、貫通孔2Hの大きさ(X軸方向の長さ及びY軸方向の長さ)が、ループコイルの長辺方向の長さに比較して小さい場合には、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22において、電子ペン3から帰還される電磁エネルギーによる磁束が鎖交する面積が変化するのは、電子ペン3により指示された位置が、貫通孔2Hの周囲の所定の範囲(貫通孔内は除く)の領域である。この貫通孔2Hの周囲の所定の範囲(以下、補正要範囲という)は、電子ペン3から帰還される電磁エネルギーによる磁束により、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22から得られる出力信号を検査して補正が要か否かの位置範囲を判別することで適切に設定できる。
【0069】
以上のことを踏まえて、この実施形態では、電子ペン3の共振回路RCから帰還される信号を、当該貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22で受信したときの指示位置検出用回路106からの検出出力レベルは、電子ペン3により指示された位置が上記補正要範囲内であるときには補正をして、貫通孔2Hの迂回部分による面積変化が無い場合と同様に取り扱えるようにしている。そのための補正信号を、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22のそれぞれの上記補正要範囲内である各位置に対応付けた第2テーブル情報を記憶する第2テーブルメモリ113を、処理制御回路110は備えている。
【0070】
処理制御回路110は、電子ペン3により指示された位置が補正要範囲においては、電子ペン3の共振回路RCから帰還される信号を、当該貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22で受信したときの指示位置検出用回路106からの検出出力レベルは、第2テーブルメモリ113の第2テーブル情報の補正信号を用いて、電子ペン3により指示されている位置に応じて補正をして、座標位置の検出処理に用いるようにする。
【0071】
なお、位置検出用センサにおいて、例えば矩形のループコイルの長手方向の大きさが大きい貫通孔が形成される場合には、当該ループコイル内における電子ペン3により指示された位置に関係なく、電子ペン3から帰還される電磁エネルギーによる磁束が鎖交する面積は、貫通孔を迂回する迂回部分を備えることで変化する面積の影響を受ける。
【0072】
このような場合には、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22で受信したときの指示位置検出用回路106からの検出出力レベルは、電子ペン3による指示位置に関係なく、補正を行うようにする。
【0073】
筆圧検出用回路107は、受信アンプ105の出力信号を発振器103からの交流信号で同期検波して、それらの間の位相差(周波数偏移)に応じたレベルの信号を得、その位相差(周波数偏移)に応じた信号をデジタル信号に変換して処理制御回路110に出力する。処理制御回路110は、筆圧検出用回路107からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との位相差(周波数偏移)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペン3に印加されている筆圧を検出する。
【0074】
処理制御回路110は、筆圧検出用回路107で検出した筆圧の情報を受けて、指示位置検出用回路106からの出力信号から検出した電子ペン3の指示位置の座標情報に対応付けて保持すると共に、必要に応じて外部回路に出力する。
【0075】
以上説明したように、この実施形態の位置検出用センサ2は、その位置検出の有効領域の裏側に配設される指紋センサ14に対応して、有効領域内に貫通孔2Hを設けるようにしたので、表面パネル13において載置される指の指紋を、位置検出用センサ2の裏側に配設されている指紋センサ14により読み取ることができ、支障を生じない。
【0076】
そして、位置検出用センサ2には、貫通孔2Hの部分においては、当該貫通孔2Hに架かるループコイルの導体は、当該貫通孔2Hの形状に沿って迂回するように配設されるので、位置検出用センサ2の貫通孔2Hの部分のために、有効領域内での電子ペン3による指示位置の検出ができないという問題は生じない。
【0077】
そして、この実施形態の位置検出用センサ2では、貫通孔2Hに架かるループコイルの当該貫通孔2Hの迂回部分は、貫通孔2Hを最短の経路で迂回するように形成されているので、迂回部分によるループコイルのループ形状の変化によるループに囲まれる面積変化を最小にすることができて、鎖交する磁束による起電力の変化を小さくすることができる。また、貫通孔2Hに架かるループコイルが複数個、存在する場合には、それら複数個のループコイルの迂回部分は、互いに近接するようにして配設したので、それら複数個のループコイルのそれぞれについても、迂回部分によるループコイルの変形によるループの面積変化を小さくすることができ、鎖交する磁束による起電力の変化を小さくすることができる。
【0078】
そして、上述の実施形態の位置検出回路では、当該貫通孔2Hに架かるループコイルから得られる受信信号の信号レベルを、貫通孔2Hの周囲の補正要範囲では、第2テーブルメモリ133の第2テーブル情報からなる補正信号により、貫通孔2Hを迂回する迂回部分による変化が無いループコイルから得られる受信信号の信号レベルと同等となるように補正してしているので、有効領域内に貫通孔2Hを設けてあっても、電子ペン3により指示された位置の座標の精度の劣化を最小限に抑えることができる。
【0079】
また、上述の実施形態の位置検出回路では、ループコイルは貫通孔2Hを迂回する迂回部分を備えていると共に、当該貫通孔2H内の領域における指示位置を算出するための第1テーブル情報を記憶しているので、貫通孔2H内の領域において、電子ペン3により位置指示があったとしても、上述したように、電子ペン3による指示位置を検出することができる。
【0080】
なお、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22は、1回巻きに限らず、複数回巻きとしてもよい。
【0081】
[位置検出用センサの第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、上述したように、貫通孔2Hに架かるループコイルは、直線状の導体により最短経路を描くように貫通孔2Hを迂回する迂回部分を形成するように構成したので、貫通孔2Hに架からない他のループコイルとは、ループで囲まれる面積が異なる。このため、貫通孔2Hに架かるループコイルと、貫通孔2Hに架からないループコイルとで、電磁誘導結合による電子ペン3からの信号の受信信号レベルの差を、第2テーブル情報を用いて補正することで、位置検出用センサ2の有効領域内での電子ペン3により指示された位置の検出精度のバラツキを最小限に抑えるようにしている。
【0082】
しかし、貫通孔2Hに架かるループコイルと貫通孔2Hに架からない他のループコイルとで、ループで囲まれる面積の差がゼロであれば第2テーブル情報による補正は不要になる。また、貫通孔2Hに架かるループコイルと貫通孔2Hに架からない他のループコイルとで、ループで囲まれる面積の差を、より小さくすることができれば、第2テーブル情報による補正は、当該小さい差に応じたものとなるので、位置検出の精度が向上する。
【0083】
以下に示す第2の実施形態では、位置検出用センサ2の貫通孔2Hに架かるループコイルの形状を工夫することで、貫通孔2Hの迂回部分による面積変化分を相殺する、あるいは、減殺することができるようにして、上述した第2テーブル情報による補正を不要とする、あるいは、第2テーブル情報による補正を最小限にして、より位置検出の精度を向上させるようにする例である。
【0084】
図6(A)は、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aの要部を説明するために、絶縁基板20に形成されている貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21Aの1個を示したものである。
【0085】
図6(A)に示すように、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aにおいては、X軸方向ループコイル21Aは、これを形成する導体の貫通孔2Hの周囲における形状が、第1の実施形態の位置検出用センサ2における迂回部分21aに対応する迂回部分21Aaによるループにより囲まれる面積の増減(図6(A)の場合には面積減)を補うような形状に形成されている。
【0086】
すなわち、図6(A)に示すように、X軸方向ループコイル21Aを構成する導体は、貫通孔2Hの周囲においては、X軸方向ループコイル21Aの直線状の長辺に対して右側に張り出して貫通孔2Hを迂回する迂回部分21Aaを形成するように配設されると共に、この迂回部分21Aaによるループコイル21Aにより囲まれる部分の面積の増減をキャンセルするように、貫通孔2Hに架かる直前及び直後の部分において、X軸方向ループコイル21Aの直線状の長辺に対して、迂回部分21Aaとは逆方向である左側に張り出すように変形された逆張り出し部21Ab及び21Acを形成するように配設されている。
【0087】
この例の場合には、X軸方向ループコイル21Aの貫通孔2Hに架かる直前及び直後の逆張り出し部21Ab及び21AcがX軸方向ループコイル21Aの直線状の長辺に対して左側に張り出している部分の合計の面積が、迂回部分21AaのX軸方向ループコイル21Aの直線状の長辺に対して右側に張り出している部分の面積とほぼ等しくなるように構成される。
【0088】
なお、図6(A)では、X軸方向ループコイル21Aの貫通孔2Hに架かる直前及び直後の逆張り出し部21Ab及び21Acは、同様の面積となるように形成されている。もっとも、逆張り出し部21Ab及び21Acは、その面積の合計が、迂回部分21Aaの面積とほぼ等しくなるように形成すれば、逆張り出し部21Ab及び21Acは同様の面積を有するように形成する必要はない。また、X軸方向ループコイル21Aの貫通孔2Hに架かる直前及び直後の両方の逆張り出し部21Ab及び21Acを設けることも必須ではなく、X軸方向ループコイル21Aの貫通孔2Hに架かる直前の逆張り出し部21Abまたは直後の逆張り出し部21Acの一方のみを設けてもよい。
【0089】
図6(A)には、第2の実施形態におけるX軸方向ループコイル21Aの1個のみを示して、第2の実施形態におけるY軸方向ループコイル22Aについては、図示を省略したが、Y軸方向ループコイル22Aについても、その迂回部分22Aa(図示は省略)の面積とほぼ等しくなるように、貫通孔2Hに架かる直前及び/または直後に逆張り出し部を設けることで、X軸方向ループコイル21Aと同様に構成される。
【0090】
なお、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aにおいても、X軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22の配列ピッチτx及びτyが、貫通孔2Hの横の長さLx及び縦の長さLyよりも小さい場合には、貫通孔2Hに架かるX軸方向ループコイル21及びY軸方向ループコイル22が複数個となる。
【0091】
図6(B)に、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aにおける貫通孔2Hに架かる複数個のX軸方向ループコイル21A及びY軸方向ループコイル22Aの配設パターンの例を示す。この図6(B)は、上述した第1の実施形態の位置検出用センサ2の図5に対応する図である。この図6(B)において、図5に示した第1の実施形態の位置検出用センサ2と同様の部分は、同一参照符号を付して、その説明は省略する。
【0092】
この図6(B)の例では、4個のX軸方向ループコイル211A、212A、213A、214Aの長辺の一方が貫通孔2Hに架かっていると共に、2個のY軸方向ループコイル221A,222Aの長辺の一方が貫通孔2Hに架かっている。
【0093】
そして、図6(B)の例においては、4個のX軸方向ループコイル211~214のそれぞれの内の左寄りの2個のX軸方向ループコイル211A及び212Aの長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの左側を迂回するように左側に張り出す迂回部分211Aa及び212Aaが形成されると共に、この例では、貫通孔2Hに架かる直前及び/または直後には右側に張り出す逆張り出し部211Ab及び212Abが形成される。この場合に、図に示すように、逆張り出し部211Abの方が、逆張り出し部212Abよりも張り出し量が大きくなっている。
【0094】
また、右寄りの2個のX軸方向ループコイル213A及び214Aの長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの右側を迂回するように右側に張り出す迂回部分213Aa及び214Aaが形成されると共に、この例では、貫通孔2Hに架かる直前及び/または直後には左側に張り出す逆張り出し部213Ab及び214Abが形成される。この場合に、図に示すように、逆張り出し部214Abの方が、逆張り出し部213Abよりも張り出し量が大きくなっている。
【0095】
また、この図6(B)の例の場合には、2個のY軸方向ループコイル221A及び222Aの内の上寄りのY軸方向ループコイル221Aの長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの上側を迂回するように上側に張り出す迂回部分221Aaが形成されると共に、この例では、貫通孔2Hに架かる直前及び/または直後には下側に張り出す逆張り出し部221Abが形成される。また、下寄りのY軸方向ループコイル222Aの長辺の一辺の直線状の導体には、貫通孔2Hの下側を迂回するように下側に張り出す迂回部分222Aaが形成されると共に、この例では、貫通孔2Hに架かる直前及び/または直後には上側に張り出す逆張り出し部222Abが形成される。
【0096】
図6(B)に示すように、複数個のX軸方向ループコイル211A~214A及びY軸方向ループコイル221A,222Aにおいては、互いに導体が接触しないように逆張り出し部を構成する必要があるので、それぞれの逆張り出し部は、それぞれの迂回部分21Aa及び22Aaの面積と同様の面積を有することは困難となる。そのため、このような場合には、貫通孔2Hに架かる複数個のX軸方向ループコイル21A(211A~214A)及びY軸方向ループコイル22A(221A,222A)のそれぞれについて、前述した第2テーブル情報による補正は、併せて用いられる。ただし、前述したように、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aの場合における第2テーブル情報の補正値の値は、第1の実施形態のそれよりも小さくすることができ、位置検出の精度が向上するのは、上述した通りである。
【0097】
以上のように、この第2の実施形態の位置検出用センサ2Aにおいては、貫通孔2Hに架かるループコイルには、貫通孔を迂回する迂回部分により囲まれる部分の面積の増減を補うように、逆張り出し部が形成されるので、貫通孔2Hに架かるループコイルと、貫通孔2Hに架からないループコイルの面積の差を無くす、あるいは、小さくすることができるので、第2テーブル情報による補正を省略することができる、あるいは、第2テーブル情報による補正値を小さくして、より位置検出精度の劣化を抑制することができるという効果がある。
【0098】
なお、この第2の実施形態においても、第1テーブル情報を生成して記憶しておき、貫通孔2H内の領域が電子ペンにより指示されたときの位置検出を行うようにするのは、第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0099】
なお、X軸方向ループコイル21A及びY軸方向ループコイル22Aは、1回巻きに限らず、複数回巻きとしてもよい。
【0100】
[位置検出用センサの第3の実施形態]
第3の実施形態も、位置検出用センサ2の貫通孔2Hに架かるループコイルの形状を工夫することで、貫通孔2Hの迂回部分による面積変化分を相殺する、あるいは、減殺することができるようにして、上述した第2テーブル情報による補正を不要とする、あるいは、第2テーブル情報による補正を最小限にして、より位置検出の精度を向上させるようにする例である。
【0101】
上述の第1の実施形態及び第2の実施形態の位置検出用センサ2及び2Aにおいては、X軸方向ループコイル21及び21A並びにY軸方向ループコイル22及び22Aは、1回巻きに限らず、複数回巻きの場合にも、全てのループ導体部分が同様の方向に張り出すように、貫通孔2Hの迂回部分21a及び21Aa、並びに、迂回部分22a及び22Aaを形成するようにした。
【0102】
しかしながら、X軸方向ループコイル及びY軸方向ループコイルの巻き数が、偶数である場合には、その偶数回巻きの半分ずつを、互いに張り出し方向が異なるように迂回部分を形成することで、貫通孔に架かるループコイルと、貫通孔に架からないループコイルとで、ループ形状が占める面積の差を無くす、あるいは、小さくすることが可能である。
【0103】
図7(A)及び(B)は、この第3の実施形態の位置検出用センサ2Bの要部を説明するために、絶縁基板20に形成されている貫通孔2HBに架かるX軸方向ループコイル21Bの1個を示したものである。図7(A)の例の位置検出用センサ2Bにおいては、X軸方向ループコイル21B及びY軸方向ループコイル22B(図示は省略)は、それぞれ2回巻きの構成とされている。そして、この図7(A)の例においては、貫通孔2HBの形状は、中心を通る直線が、線対称の対象軸となる円形状とされている。
【0104】
図7(A)に示す例においては、直線状のX軸方向ループコイル21Bが、貫通孔2HBを迂回しないときには円形状の貫通孔2HBの中心を通るような状態で、貫通孔2HBに架かるように配設されている。
【0105】
そして、この2回巻きのX軸方向ループコイル21Bの内の半分の、例えば第1回目巻き部分21B1の導体は、図7(A)に示すように、貫通孔2HBの左側を、当該貫通孔2HBに沿って最短経路の迂回部分21B1aを形成して配設され、残りの半分の、第2回目巻き部分21B2の導体は、図7(A)に示すように、貫通孔2HBの右側を、当該貫通孔2HBに沿って最短経路の迂回部分21B2aを形成して配設されている。
【0106】
この図7(A)の場合、X軸方向ループコイル21Bは、迂回しない場合には、その直線状の導体が円形状の貫通孔2HBの中心位置を通るような状態で貫通孔2HBに架かるので、迂回部分21B1a及び迂回部分21B2aは、X軸方向ループコイル21Bの直線状の導体に対して左右対称に貫通孔2HBの半円周分を迂回するものとなっている。このため、迂回部分21B1a及び迂回部分21B2aのそれぞれが、X軸方向ループコイル21Bの直線状の導体に対して左右に張り出している面積は、貫通孔2HBの半円の領域の面積とほぼ等しくなる。そして、迂回部分21B1aにより、第1回目巻き部分21B1の面積が増加するようになり、また、迂回部分21B2aにより、第2回目巻き部分21B2の面積が減少するようになり、互いに面積の増減を相殺するようになる。
【0107】
前述したように、この実施形態では、貫通孔2HBに架かっていて迂回部分21B1a及び迂回部分21B2aが形成されている2回巻きのX軸方向ループコイル21Bにおいて、貫通孔2HBの周囲領域(前述した補正要範囲の領域に対応)の外側の領域においては、電子ペン3からの電磁エネルギーによる電磁誘導により生じる起電力は、図7(B)の曲線E0に示すようなものとなる。
【0108】
そして、補正要範囲内では、電子ペン3からの電磁エネルギーによる電磁誘導により生じる起電力は、2回巻きのX軸方向ループコイル21Bのうち、迂回部分21B1aを有する第1回目巻き部分21B1に電磁誘導により生じる起電力は、図7(C)の曲線E1に示すようなものとなり、また、迂回部分21B2aを有する第2回目巻き部分21B2に電磁誘導により生じる起電力は、図7(C)の曲線E2に示すようなものとなる。
【0109】
したがって、第1回目巻き部分21B1と、第2回目巻き部分21B2とからなる貫通孔2HBに架かるX軸方向ループコイル21Bに電磁誘導により生じる起電力は、図7(C)において、曲線E1で示される起電力と、曲線E2で示される起電力とを合成した破線E3で示すような起電力となり、図7(B)に示した貫通孔2HBの周囲領域(前述した補正要範囲の領域に対応)の外側の領域において2回巻きのX軸方向ループコイル21Bに電磁誘導により生じる曲線E0(図7(B)で示される起電力とほぼ等しくなる。
【0110】
したがって、図7(A)に示すような状態で2回巻きのX軸方向ループコイル21Bが貫通孔2HBに架かる場合には、当該X軸方向ループコイル21Bに誘起される起電力に対する第1テーブル情報による補正は不要となる。
【0111】
ただし、X軸方向ループコイル21Bが、その直線状の導体の延長方向が円形の貫通孔2HBの中心位置を通る状態からずれた位置において、貫通孔2HBに架かる場合には、迂回部分21B1aの張り出し部の面積と迂回部分21B2aの張り出し部の面積とには差が生じるので、その場合には、当該X軸方向ループコイル21Bに誘起される起電力に対する第1テーブル情報による補正は、実行するようにした方が良い。
【0112】
Y軸方向ループコイル22Bについても、図示及び説明は省略するが、同様となる。
【0113】
なお、2回巻きのループコイルの第1回目巻き部分と、第2回目巻き部分とで、貫通孔を迂回する迂回部分の張り出し方向を異ならせることで、張り出し部分の面積の増減の相殺効果が大きいのは、ループコイルが貫通孔の中央付近において架かる場合である。貫通孔の形状の周辺部分で当該貫通孔に架かるループコイルでは、上述の第1の実施形態または第2の実施形態のように、貫通孔の形状に沿って最短経路を迂回するように配設した方が、かえって、貫通孔に架からないループコイルの面積に対する変化を小さくすることができる。
【0114】
例えば、2回巻きのX軸方向ループコイル21Bが配設ピッチτxで配設される場合において、図7(D)に示すように、貫通孔2HBに対して3個のX軸方向ループコイル21B(図7(D)では、211B、212B、213Bとして区別して示す)が架かる場合を例に説明する。
【0115】
この図7(D)の例においては、貫通孔2HBに架かる3個X軸方向ループコイル211B,212B,213Bの内、中央のX軸方向ループコイル212Bは、その直線状の導体の延長方向が円形の貫通孔2HBの中心位置を通る状態となっている。そして、他のX軸方向ループコイル211B及び213Bは、その直線状の導体の延長方向が円形の貫通孔2HBの中心位置は通らず、かつ、X軸方向ループコイル211B及び213Bの貫通孔2HBに架かるものと架からないものの面積の変化が、2回巻きのX軸方向ループコイル211B及び213Bの第1回目巻き部分と、第2回目巻き部分とで、貫通孔2HBを迂回する迂回部分の張り出し方向を異ならせた場合のX軸方向ループコイル211B及び213Bの面積の変化よりも、貫通孔2HBの形状に沿って最短経路を迂回する迂回部分を設けた方が小さくなるような位置に配設されている状態となっている。
【0116】
3個のX軸方向ループコイル211B,212B,213Bが、以上のような位置関係で貫通孔2HBに対して架かっていることを考慮して、図7(D)の例においては、中央のX軸方向ループコイル212Bの第1回目巻き部分212B1は左側に張り出すように迂回部分212B2aが形成されて配設され、第2回目巻き部分212B2は右側に張り出すように迂回部分212B2aが形成されて配設されて、貫通孔2HBを迂回する迂回部分の張り出し方向が異ならせられる。
【0117】
また、図7(D)の例において、左側のX軸方向ループコイル211Bの第1回目巻き部分211B1及び第2回目巻き部分211B2は、貫通孔2HBの円形状に沿って左側を最短経路で迂回する迂回部分211B1a及び211B2aが形成されて配設される。さらに、図7(D)の例において、右側のX軸方向ループコイル213Bの第1回目巻き部分213B1及び第2回目巻き部分213B2は、貫通孔2HBの円形状に沿って右側を最短経路で迂回する迂回部分213B1a及び213B2aが形成されて配設される。
【0118】
なお、X軸方向ループコイル211Bの第1回目巻き部分211B1及び第2回目巻き部分211B2と、X軸方向ループコイル213Bの第1回目巻き部分213B1及び第2回目巻き部分213B2とについて、上述した第2の実施形態のように、張り出し部である迂回部分の面積変化を相殺する逆張り出し部を形成するように構成しても勿論よい。
【0119】
この図7(D)の例の位置検出用センサ2Bに対応する位置検出回路においては、貫通孔2HBに架かる3個のX軸方向ループコイル211B,212B,213Bの内、中央のX軸方向ループコイル212Bについては、第2テーブル情報は不要(第2テーブル情報を設けてもよい)であり、また、X軸方向ループコイル211B,213Bについては、第2テーブル情報を用意して、その起電力を補正するようにする。
【0120】
なお、図7の例では、貫通孔2HBが円形状の場合であったが、第3の実施形態の位置検出用センサ2Bに形成される貫通孔2HBの形状はどのようなものであってもよい。ただし、貫通孔2HBの形状が線対称の対象軸を有する形状である場合には、ループコイルの直線状の導体の延長方向が、貫通孔2HBの対象軸に重なるような場合に、左右または上下に張り出し方向が異なる迂回部分のそれぞれにより形成される張り出し部分の面積が等しくなるのを利用することができる。しかし、このような線対称の対象軸を有しない形状の貫通孔2HBであっても、左右(X軸方向ループコイルの配列ピッチ方向)あるいは上下(Y軸方向ループコイルの配列ピッチ方向)に張り出し方向を異ならせることで、面積の増減を相殺するようにすることができれば、どのような形状であってもよい。
【0121】
なお、図7(D)の例のように、貫通孔2HBに複数個のループコイルが架かる場合において、それら複数個のループコイルのそれぞれについて、図7(A)に示すように、第1回目巻き部分については面積が増加するように迂回部分を形成し、第2回目巻き部分については面積が減少するように迂回部分を形成するようにする場合には、迂回部分を絶縁基板の同一面上に形成しようとすると、互いの迂回部分の一部が交差する状態となる。そのため、当該迂回部分の交差を避けるため、迂回部分においても、スルーホールを利用して、絶縁基板の表面と裏面の両面に導体を設けるようにするものである。
【0122】
以上説明した図7の例は、2回巻きのループコイルの場合であるが、第3の実施形態の位置検出用センサ2Bに形成するループコイルの巻き数は、左右(X軸方向ループコイルの配列ピッチ方向)あるいは上下(Y軸方向ループコイルの配列ピッチ方向)に張り出し方向を異ならせることができるように、2分することができる偶数であれば、2以上であっても勿論よい。
【0123】
なお、この第3の実施形態においても、第1テーブル情報を生成して記憶しておき、貫通孔2HB内の領域が電子ペンにより指示されたときの位置検出を行うようにするのは、第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0124】
[位置検出用センサの第4の実施形態]
第4の実施形態は、位置検出用センサ2の貫通孔2Hに架かるループコイルを工夫することで、貫通孔2Hの迂回部分による面積変化分を、できるだけ小さくすることができるようにして、第1テーブル情報による補正を最小限にして、より位置検出の精度を向上させるようにする例である。
【0125】
この例の位置検出用センサにおいては、X軸方向ループコイル及びY軸方向ループコイルは、前述したように、絶縁基板の上に、所定幅の直線状の導体を、例えば矩形形状に這わせることで配設される。このように、ループコイルを構成する導体は、所定の幅を有するので、その幅分の領域が貫通孔を迂回する際に必要になる。特に、ループコイルが複数回巻きのものとして形成される場合には、互いに電気的な絶縁を保ちながら、迂回部分においても近接して配設されるが、導体の幅が大きいほど、迂回部分により変化する面積が大きくなってしまう。
【0126】
この点に鑑み、第4の実施形態においては、貫通孔に架かるループコイルの貫通孔の迂回部分における導体の幅を、他の部分の導体の幅よりも小さくすることで、迂回部分により変化する面積の大きさをできるだけ抑制するようにする。
【0127】
図8は、この第4の実施形態の位置検出用センサ2Cの絶縁基板の有効領域に形成された貫通孔2HCに架かるX軸方向ループコイル21Cに形成される迂回部分を説明するための図である。この例では、X軸方向ループコイル21Cは、2回巻きのループコイルとされ、第1回目巻き部分21C1と第2回目巻き部分21C2とからなる。また、貫通孔2HCは、第3の実施形態と同様に円形形状を有している。なお、貫通孔2HCの形状は、円形形状に限らず、どのような形状でもよいことは、前述の例と同様である。
【0128】
図8に示すように、この第4の実施形態では、X軸方向ループコイル21Cの第1回目巻き部分21C1と第2回目巻き部分21C2とには、貫通孔2HCを最短経路で迂回する迂回部分21C1a及び21C2aが形成される。そして、この実施形態では、X軸方向ループコイル21Cの第1回目巻き部分21C1及び第2回目巻き部分21C2は、迂回部分21C1a及び21C2aを除く部分における導体の幅は、所定の幅d0とされると共に、迂回部分21C1a及び21C2aの導体の幅は、幅d0よりも小さく、X軸方向ループコイル21Cを形成するために最小限の幅d1(<d0)とされる。
【0129】
これにより、迂回部分21C1a及び21C2aは、X軸方向ループコイル21Cの導体の幅が、幅d0である場合よりも、貫通孔2HCの周縁に、より近い位置とすることができ、そのため、迂回部分21C1a及び21C2aが張り出す長さが小さくなり、張り出し部分による面積も小さくなる。したがって、貫通孔2HCに架かるループコイルと貫通孔2HCに架からないループコイルとの間の面積の差を小さくすることができて、第2テーブル情報による補正値を小さくすることができるので、より位置検出精度の劣化を抑制することができるという効果がある。
【0130】
なお、この第4の実施形態の位置検出用センサ2Cにおいても、上述した第2の実施形態や、第3の実施形態を適用することができる。すなわち、第4の実施形態に第2の実施形態を適用した場合には、逆張り出し部及び迂回部分の導体の幅を細くする、あるいは、逆張り出し部の導体の幅は変えずに、迂回部分の導体の幅を細くするようにする。また、第4の実施形態に第3の実施形態を適用した場合には、ループコイルが2回巻きの場合には、第1回目巻き部分の迂回部分及び第2回目巻き部分の迂回部分の導体の幅を細くするようにする。
【0131】
なお、上述の説明では、複数回巻きのループコイルの例について説明したが、これは、図8の例の効果がより大きく得られるからであり、1回巻きのループコイルについても、面積の変化の大きさを小さくすることができるという効果が得られることは言うまでもない。
【0132】
なお、この第4の実施形態においても、第1テーブル情報を生成して記憶しておき、貫通孔2HC内の領域が電子ペンにより指示されたときの位置検出を行うようにするのは、第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0133】
[その他の実施形態及び変形例]
<位置検出の補正用の第1テーブル情報及び第2テーブル情報について>
上述した第1の実施形態~第4の実施形態における位置検出回路に設けられる第2テーブルメモリ及び第2テーブルメモリのそれぞれに記憶される第1テーブル情報及び第2テーブル情報は、一般的には、電子ペン3が位置検出用センサの入力面(表面パネル13の上面)に対して垂直である場合を想定して形成される。
【0134】
しかし、通常の使用態様においては、図9(A)に示すように、電子ペン3は、位置検出用センサの入力面(表面パネル13の表面)に対して、所定の角度θの傾斜角で傾いた状態で使用される。そして、このように傾いた使用状態では、電子ペン3がどの方向に傾いているかにより、位置検出用センサにおいて電子ペン3による指示位置の検出用に出力信号が利用されるループコイルが変化することになる。
【0135】
そのため、第1テーブル情報及び第2テーブル情報は、それぞれ、電子ペン3の傾き角θと、その傾き方向φに応じて用意するようにした方が、位置検出の精度の向上につながる。そこで、例えば、電子ペン3の予め定めた複数の傾き角θと、複数の傾き方向φとを定め、それぞれの傾き角θ及び傾き方向φのそれぞれに対応する第1テーブル情報及び第2テーブル情報を生成して、それぞれの傾き角θ及び傾き方向φに対応付けて、第1テーブルメモリ及び第2テーブルメモリに記憶するようにする。
【0136】
図9(B)は、ある一つの傾き角θ1における複数の傾き方向φとして、4通りの場合を示す図である。すなわち、図9(B)において矢印で示すように、位置検出用センサの入力面(表面パネル13の表面)において、下方から上方向に向かう方向を0度の方向とする。そして、この0度の方向に対して、右側にずれる角度を+角度と、左側にずれる角度を-角度として、図9(B)に示すように、この例は、φ1=+45度、φ2=-45度、φ3=+135度、φ4=-135度、の4通りの方向を既定する。そして、各傾き方向角度φ1、φ2、φ3、φ4のときの第1テーブル情報及び第2テーブル情報を生成して、傾き角θ1に対応付けて、第1テーブルメモリ及び第2テーブルメモリに記憶するようにする。
【0137】
そして、電子ペン3の傾き角θについても、θ1、θ2、θ3・・・というように、複数通りを設定して、各傾き角θ1、θ2、θ3・・・に状態において、各傾き方向角度φ1、φ2、φ3、φ4のときの第1テーブル情報及び第2テーブル情報を生成して、各傾き角θ1、θ2、θ3・・・に対応付けて、第1テーブルメモリ及び第2テーブルメモリに記憶するようにする。なお、傾き角θ=90度のときには、傾き方向角度φ1、φ2、φ3、φ4を考慮する必要はないので、第1テーブル情報及び第2テーブル情報は一つで良く、傾き方向角度φ1、φ2、φ3、φ4についての第1テーブル情報及び第2テーブル情報は不要である。
【0138】
一方、電子ペン3には、傾き角θ及び傾き方向φを検出するための手段を設けると共に、位置検出回路に電子ペン3の傾き角θ及び傾き方向φの検出機能を設けるようにする。この電子ペン3の傾き角θ及び傾き方向φを検出するための手段と、位置検出回路の電子ペン3の傾き角θ及び傾き方向φの検出機能は、周知の技術を用いることができるので、ここでは、その構成についての説明は省略する。
【0139】
そして、実際の使用時には、位置検出回路では、電子ペン3の傾き角θ及び傾き方向φを検出し、その検出した傾き角θ及び傾き方向φに対応する第1テーブル情報及び第2テーブル情報を用いて補正処理をするようにする。この場合に、位置検出回路で検出された電子ペン3の傾き角θ及び傾き方向φが、予め第1テーブル情報及び第2テーブル情報が用意されている角度の中間のときには、その検出した角度を中間とする2つの角度の第1テーブル情報及び第2テーブル情報を用いて、検出した角度に応じて補間処理をすることで補正が可能となる。
【0140】
<静電結合方式の場合の例>
以上の実施形態は、電磁誘導方式の電子ペン、位置検出用センサ及び位置検出回路の場合であるが、この発明は、電磁誘導方式に限らず、静電結合方式の電子ペン、位置検出用センサ及び位置検出回路の場合にも適用可能である。
【0141】
図10は、この例の場合の静電結合方式の電子ペン3D、位置検出用センサ2D及び位置検出回路100Dの構成例を説明するための図である。
【0142】
電子ペン3Dは、所定の信号を発信する信号発信回路30Sを備えると共に、導電性の芯体34を備え、信号発信回路30Sからの信号が芯体34から、静電結合によって位置検出用センサ2Dに供給される構成を有する。
【0143】
位置検出用センサ2Dは、この例では、貫通孔2HDを備える絶縁基板20Dの裏側に、第1の導体群24が形成され、表面側に第2の導体群25が形成されて構成される。貫通孔2HDは、第1の導体群24及び第2の導体群25で形成される位置検出の有効領域内に設けられている。なお、
第1の導体群24は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の直線状導体24Y、24Y、…、24Y(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、縦方向(Y軸方向)に配置したものである。そして、貫通孔2HDに架かる第1の直線状導体24Yは、上述した第1の実施形態~第4の実施形態のいずれか、あるいはそれらの組み合わせにより貫通孔2HDを迂回する迂回部分を形成するように配設される。
【0144】
また、第2の導体群25は、第1の直線状導体24Y、24Y、…、24Yの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の直線状導体25X、25X、…、25X(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。そして、貫通孔2HDに架かる第2の直線状導体25Xは、上述した第1の実施形態~第4の実施形態のいずれか、あるいはそれらの組み合わせにより貫通孔2HDを迂回する迂回部分を形成するように配設される。
【0145】
この例の位置検出用センサ2Dは、電子機器のLCDなどからなる表示装置の表示画面の上に、表示画面の表示領域の大きさに対応した大きさの有効領域を指示入力面とするように構成され、第1の導体群211と第2の導体群212とは光透過性を有するように形成されている。なお、第1の直線状導体24Y及び第2の直線状導体25Xは、位置検出用電極を構成するものである。
【0146】
なお、第1の導体群24と第2の導体群25は、絶縁基板20Dの同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよい。
【0147】
位置検出回路100Dは、位置検出用センサ2Dとの入出力インターフェースとされる選択回路121と、増幅回路122と、バンドパスフィルタ123と、検波回路124と、サンプルホールド回路125と、AD(Analog to Digital)変換回路126と、処理制御回路130とからなる。
【0148】
選択回路121は、処理制御回路130からの制御信号に基づいて、第1の導体群24および第2の導体群25の中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路121により選択された導体は増幅回路122に接続され、電子ペン3Dからの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路122により増幅される。この増幅回路122の出力はバンドパスフィルタ123に供給されて、電子ペン3Dから送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0149】
バンドパスフィルタ123の出力信号は検波回路124によって検波される。この検波回路124の出力信号はサンプルホールド回路125に供給されて、処理制御回路130からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路126によってデジタル値に変換され、処理制御回路130に供給される。
【0150】
処理制御回路130は、サンプルホールド回路125、AD変換回路126、および選択回路121に、それぞれ制御信号を送出すると共に、AD変換回路226からのデジタルデータから、電子ペン3Dによって指示された位置検出用センサ2D上の位置座標を算出し、その位置座標のデータを、例えば他の処理プロセッサ等に出力する。
【0151】
そして、この例においても、処理制御回路130は、貫通孔2HDに架かる第1の直線状導体24Y及び第2の直線状導体25Xからの出力を補正すると共に、貫通孔2HD内の領域が電子ペン3Dにより指示されたときに、その指示位置を検出するための処理を行う補正回路131を備えている。そして、この補正回路131に対して貫通孔2HDに架かる第1の直線状導体24Y及び第2の直線状導体25Xからの出力の補正処理を行うための第1テーブル情報を記憶する第1テーブルメモリ132と、貫通孔2HD内の領域の指示位置を検出するための第2テーブル情報を記憶する第2テーブルメモリ133とが、処理制御回路130に設けられている。
【0152】
この構成により、処理制御回路130では、上述した第1の実施形態~第4の実施形態における処理制御回路110と同様にして、貫通孔2HDを備える図10の例の位置検出用センサ2Dを用いる場合においても、貫通孔2HDを含む有効領域内の電子ペン3Dによる指示位置を支障なく検出することができる。
【0153】
[その他の変形例]
なお、上述の実施形態では、直線状の導体により位置検出用電極が形成される場合について説明したが、例えば絶縁基板が円形や楕円形を有し、位置検出用電極が曲線状に形成される場合であって、その円形や楕円形の絶縁基板の有効領域内に貫通孔が形成される場合にも、この発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0154】
1…電子機器、2,2A,2B,2C,2D…位置検出用センサ、2H,2HB,2HC,2HD…貫通孔、3,3D…電子ペン、23…スルーホール、21a,22a…迂回部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10