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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091852
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20240628BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20240628BHJP
   A62C 13/78 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
A62C13/78 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069073
(22)【出願日】2024-04-22
(62)【分割の表示】P 2023034227の分割
【原出願日】2016-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓史
(57)【要約】
【課題】消火栓装置を簡単且つ容易に取り扱うことを可能とする。
【解決手段】前面が道路側に露出し上面が監視員通路14の路面側に露出するように、監視員通路14に埋込み設置され、ホース収納部にホースを収納する消火栓装置は、前面の上面側の一部に開口された前面扉開口33を開閉可能な前扉32と、前面扉開口33の下部に設けられ、ホースを前面扉開口33から消火栓装置の外部前方へ引き出すときに下方からガイドするホースガイドと、を備え、ホース収納部は、最上部がホースガイドよりも下側となる消火栓装置の内部下側に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通路面の路側に沿って前記第1通路面から1段高く設けられ、上段面を第2通路面とし、前記第1通路面側に面する段差側壁を有する段差部に、前面が前記段差側壁から露出し、上面が前記第2通路面から露出するように埋込み設置され、内部のホース収納部にホースを収納する消火栓装置であって、
設置状態において、前記前面の前記上面側の一部に開口された前面扉開口を開閉可能な前扉と、
前記前面扉開口の下部に設けられ、前記ホースを前記前面扉開口から前記消火栓装置の外部前方へ引き出すときに下方からガイドするホースガイドと、
を備え、
前記ホース収納部は、最上部が前記ホースガイドよりも下側となる前記消火栓装置の内部下側に設けられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置であって、
前記ホースは、前記ホース収納部に、前記消火栓装置の底面側から上面側に向けて積層するように巻き回して収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消火栓装置であって、
前記段差部は、トンネル内のトンネル壁面に沿って設けられ、道路の路面よりも一段高い路面を備えた監視員通路であり、
前記第1通路面は、道路の路面であり、
前記第2通路面は、監視員通路の路面であり、
前記前面が前記道路側に露出し、前記上面が前記監視員通路の路面側に露出するように、前記監視員通路に埋込み設置されたことを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して消火用水又は消火泡を放出させる消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置するトンネル非常用設備として消火栓装置が設けられており、消火栓装置は開放自在な消火栓扉を備え、先端にノズルを装着したホースと消火栓弁を含むバルブ類を収納している。
【0003】
消火栓装置は、一般的に、トンネル側壁に沿って例えば50メートル間隔でトンネル壁面に埋込み設置されている。火災を伴う車両事故が発生した場合には、監視員通路のあるトンネルでは、事故車両の運転者等の道路利用者は監視員通路の側面に設置されたステップ等により監視員通路に登り、トンネル壁面に設置された消火栓装置の消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【0004】
監視員通路は路面に対し高くした側壁通路として設けられ、トンネル内の車両通行を妨げることなく且つ安全にトンネル内に設置している消火栓装置を含む各種の機器の点検を行うことを可能としている。
【0005】
また、監視員通路のないトンネルにあっては、事故車両の運転者等の利用者は、トンネ
ル壁面に設置された消火栓装置に近づき、同様に、消火栓扉を前方に開放してノズル付き
のホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-181057号公報
【特許文献2】特開2008-055024号公報
【特許文献3】特開2009-285126号公報
【特許文献5】特開2003-190315号公報
【特許文献6】特開2001-009053号公報
【特許文献7】特願2016-102107号(特開2017-209135号)
【特許文献8】特願2016-102209号(特開2017-209145号)
【特許文献9】実願昭63-036438号(実開平01-140968号)のマイクロフィルム
【特許文献10】特開平11-137711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シールド工法等により作られた都市型トンネルにあっては、トンネル壁面に
消火栓装置を埋込み設置できない構造であり、監視員通路側面(壁面)に消火栓装置を埋
込み設置する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来の消火栓のように扉を前開きする消火栓装置を監視員通路に設置し
た場合には、消火栓扉が開くと建築限界を超えて道路側に飛び出す問題がある。
【0009】
一方、この問題を解決できたとしても、消火栓装置をトンネル内の道路に面した監視員
通路壁面に沿って埋込設置した場合、車両火災が発生して消火栓扉の前に車両が停止する
と、停止車両が邪魔になって、消火栓扉を開いてホースを引き出すことができない場合が
ある。更に、仮に監視員通路上から操作できる場合でも、監視員通路から消火栓扉を開く
には、体をかがめて手を伸ばす必要があり、消火栓装置の操作に手間取ってしまう場合も
ある。
【0010】
本発明は、簡単且つ容易に取り扱うことを可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(消火栓装置)
本発明は、第1通路面の路側に沿って第1通路面から1段高く設けられ、上段面を第2通路面とし、第1通路面側に面する段差側壁を有する段差部に、前面が段差側壁から露出し、上面が第2通路面から露出するように埋込み設置され、内部のホース収納部にホースを収納する消火栓装置であって、
設置状態において、前面の上面側の一部に開口された前面扉開口を開閉可能な前扉と、
前面扉開口の下部に設けられ、ホースを前面扉開口から消火栓装置の外部前方へ引き出すときに下方からガイドするホースガイドと、
を備え、
ホース収納部は、最上部がホースガイドよりも下側となる消火栓装置の内部下側に設けられたことを特徴とする。
【0012】
(ホース収納部)
また、ホースは、ホース収納部に、消火栓装置の底面側から上面側に向けて積層するように巻き回して収納される。
【0013】
(トンネル内の監視員通路への埋込み設置)
また、段差部は、トンネル内のトンネル壁面に沿って設けられ、道路の路面よりも一段高い路面を備えた監視員通路であり、
第1通路面は、道路の路面であり、
第2通路面は、監視員通路の路面であり、
前面が道路側に露出し、上面が監視員通路の路面側に露出するように、監視員通路に埋込み設置される。
【発明の効果】
【0014】
(消火栓装置の効果)
また、本発明は、第1通路面の路側に沿って第1通路面から1段高く設けられ、上段面を第2通路面とし、第1通路面側に面する段差側壁を有する段差部に、前面が段差側壁から露出し、上面が第2通路面から露出するように埋込み設置され、内部のホース収納部にホースを収納する消火栓装置であって、設置状態において、前面の上面側の一部に開口された前面扉開口を開閉可能な前扉と、前面扉開口の下部に設けられ、ホースを前面扉開口から消火栓装置の外部前方へ引き出すときに下方からガイドするホースガイドと、を備え、ホース収納部は、最上部がホースガイドよりも下側となる消火栓装置の内部下側に設けられたため、前面扉開口の開放に際し必要以上に消火栓装置内部が外部に開放されることがなく、例えばトンネル内の監視員通路に埋込み設置された場合にはトンネルに浮遊する塵埃等による消火栓装置内部の汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図
図2】通常時における消火栓収納箱の外観を示した説明図
図3図2の消火栓収納箱の外観を正面及び平面から示した説明図
図4図2の消火栓収納箱の外観を側面から示した説明図
図5】前開き機構が設けられた消火栓収納箱の前開きハンドルの部分を取り出して示した説明図
図6】第2上扉を前開きして前扉の落下によりスライド開放させる前開き機構の機構構造を示した説明図
図7】消火栓収納箱の内部構造を示した説明図
図8】道路側から操作する場合の前扉と第2上扉の開放操作を示した説明図
図9】監視員通路側から操作する場合の第1上扉の開放操作を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[トンネル非常用設備の概要]
図1は自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図である。図1に示すように、シールド工法により構築されたトンネル10内は円筒形のトンネル壁面12により覆われ、床版18により仕切られることで道路15が設けられており、この例にあっては、道路15は1方向2車線としている。
【0017】
床版18で仕切られた道路15の左側のトンネル壁面12に沿って監視員通路14が設けられ、監視員通路14の下側の内部空間はダクト22として利用され、電線管等が敷設される。監視員通路14は例えば高さが90センチメートル、横幅が70センチメートルといった大きさをもつ。
【0018】
道路15が形成された床版18の下側はトンネル横方向に複数の区画に仕切られており、例えば、監視員通路14の下に位置する区画は、管理用通路20として使用され、また、管理用通路20はトンネル内での火災発生時には、緊急避難通路として使用される。管理用通路20には給水本管24が敷設されている。
【0019】
トンネル10の長手方向の50メートルおきには、消火栓設備16が設置され、消火栓設備16はホースが収納された消火栓収納箱30と放水制御機構収納部26に分離して設置されている。
【0020】
消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面及び道路15側の壁面にかけて箱形に刳り貫かれた消火栓埋込部に配置されている。放水制御機構収納部26は、消火栓収納箱30の下側となる管理用通路20に配置され、給水本管24から分岐した分岐管が引き込まれ、また、消火栓収納箱30に消火用水を供給する給水配管25が立ち上げられている。
【0021】
[消火栓設備]
図2は通常時における消火栓収納箱の外観を示した説明図、図3図2の消火栓収納箱の外観を正面及び平面から示した説明図、図4図2の消火栓収納箱の外観を側面から示した説明図である。
【0022】
(消火栓収納箱の外観構造)
図2乃至図4に示すように、消火栓設備16の消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面下の内部空間に埋込み設置されている。消火栓収納箱30は、筐体31の前面中央の上側に形成された前面扉開口33に前扉32が上下方向にスライド自在に配置されている。
【0023】
また、消火栓収納箱30の監視員通路14の路面側となる上面中央に形成された第1上面扉開口35には、前扉32と同じ横幅の第1上扉34が配置されている。更に、第1上扉34の前側中央には第2上面扉開口37が形成され、ここに第2上扉36が配置されている。
【0024】
第1上扉34は扉前縁の両側を、筐体31の上部の前縁コーナー部に配置したヒンジ46により軸支されており、図4の第1上扉34aに示すように、ヒンジ46を中心に上向きに開放させる後ろ開きができるようにしている。
【0025】
第2上扉36は扉後縁を第1上扉34の第2上面扉開口37にヒンジ42により軸支しており、図4の第2上扉36aに示すように、ヒンジ42を中心に上向きに開放させる前開きができるようにしている。
【0026】
第2上扉36の前縁にはヒンジ44により前開きハンドル38が軸支されており、前開きハンドル38のハンドル本体に設けられた前開き機構により、第2上扉36の閉鎖状態で、前扉32が図示の閉鎖状態に係止されており、利用者が道路15側から操作する場合には、前開きハンドル38を開操作すると、第2上扉36に対する前扉32の係止が解除され、前扉32は自重により筐体31の裏側に落下して前面扉開口33を開放させ、また、第2上扉36を前開きすることで、消火栓収納箱30の第2上面扉開口37を開放させる。
【0027】
ここで、第1上扉34を筐体31の前縁コーナー部に軸支させるヒンジ46と、第2上扉36の前縁に前開きハンドル38を軸支させるヒンジ44は、両者の軸心線が同軸となるように配置されており、筐体31及び前扉32を閉鎖位置に係止している前開きハンドル38を固定側として、ヒンジ44,46により第2上扉36と共に第1上扉34を後開き自在に軸支している。
【0028】
消火栓収納箱30の前面左上部には通報装置パネル48が設けられる。通報装置パネル48には、赤色表示灯50及び発信機52、応答ランプ54及び電話ジャック55が設けられている。赤色表示灯50は常時点灯し、消火栓設備の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機52を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室や監視センター等に設置された防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、応答ランプ54が点灯され、更に、赤色表示灯50が点滅される。
【0029】
[前開き機構]
図5は前開き機構が設けられた消火栓収納箱の前開きハンドルの部分を取り出して示した説明図であり、図5(A)は正面を示し、図5(B)は図5(A)のX-Xから見た側面を示す。図6は第2上扉を前開きして前扉の落下によりスライド開放させる前開き機構の機構構造を示した説明図であり、図6(A)は閉鎖状態を示し、図6(B)は前開きハンドルを開操作した状態を示す。
【0030】
図5に示すように、消火栓収納箱30の上面に配置された第2上扉36の先端にヒンジ44で軸支された前開きハンドル38のハンドル本体38aの両側には、前開き機構の軸部材56が取り出されおり、第2上扉36の閉鎖状態で軸部材56の先端は、前扉32の裏側に配置された軸受部材58の軸穴に挿入されており、これにより第2上扉36に前扉32が係止され、閉鎖位置に保持されている。
【0031】
軸部材56は前開きハンドル38をリフトアップすると、内側に引き込まれ、軸受部材58の軸穴から抜けることで、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライドしながら落下して前面扉開口33を開放させる。
【0032】
図6(A)に示すように、前開き機構60は、ハンドル本体38a内に、一対の屈曲したリンク62の一端が移動支点64で連結され、リンク62の屈曲位置が回動支点66としてハンドル本体38a側に固定され、リンク62の他端はスライド支点70として、軸部材56の軸端の支点68に連結されており、更に、移動支点64はスプリング72により図示で上方向に付勢されている。
【0033】
前開きハンドル38を操作していない場合、スプリング72の力を受けて、リンク62は外側に回動することで、軸部材56を軸受部材58の軸穴58aに嵌め入れ、第2上扉36に前扉32を係止させている。
【0034】
前開きハンドル38をリフトアップすると、図6(B)に示すように、図示しないリンク機構を介して移動支点64がスプリング72に抗して下側に移動し、これによりリンク62は内側に回動し、軸部材56を内側に引き込むことで、軸受部材58の軸穴58aから軸部材56の先端を引き外し、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライドしながら落下して前面扉開口33を開放させる。
【0035】
なお、前開き機構60は図6のリンク機構に限定されず、前開きハンドル38のリフトアップにより軸部材56を内側に引き込んで軸受部材58の軸穴58aから引き外す適宜のリンク機構が含まれる。
【0036】
[消火栓収納箱の内部構造]
図7は消火栓収納箱の内部構造を示した説明図であり、図7(A)は正面を示し、図7(B)は図7(A)のY-Y断面から見た平面を示す。
【0037】
図7に示すように、消火栓収納箱30における筐体31の内部下側はホース収納部74となっており、保形構造のホース76を水平回りに重ねて内巻きしている。
【0038】
筐体31の平面からみた長方形は、横幅は約1.4メートル程度、奥行きは約0.35メートル程度であることから、ホース収納部74にホース76を内巻きした場合、ホース76の内巻き形状は、2つの平行線と2つの半円からなる角丸長方形となり、平面長方形の筐体31内に内巻きされたホース76の1ターンの長さは概ね3.5メートル程度となり、ホース長さは30メートル以上必要とすることから、ホース76は9ターン以上重ねて内巻きすればよい。
【0039】
ここで、筐体31内に角丸長方形に内巻きされたホース76を、平行線ホース部分76a,76c及び半円ホース部分76b,76dで示している。
【0040】
筐体31の中央前面側には、筐体31内に角丸長方形に内巻きされるホース76の前面側の平行線ホース部分76aを内側に変形させるホースガイド構造80が設けられる。
【0041】
ホースガイド構造80は金属パイプを用いた4本のガイドパイプ80a,80b,80c,80dを底板81に起立させており、両端のガイドパイプ80a,80dは筐体31の内面に沿って起立され、中央のガイドパイプ80b,80cは所定長さ内側に離して起立させ、ホース76をホースガイド構造80のガイドパイプ80a,80b,80c,80dに沿って内巻きすることで、ホース76の前面側の平行線ホース部分76aが内側に変形されて略ひょうたん形に近い形状となり、この変形によりホース76の変形された平行線ホース部分76aには外側に広がろうとする反発力が発生している。
【0042】
このようなホースガイド構造80が設けられたことで、筐体31内に重ねて内巻きされたホース76は、角丸長円形の平行線ホース部分76aがホースガイド構造80により内側に変形されることで、外側に広がろうとする反発力が発生し、筐体31の内壁側に押し付ける力が発生することで、重ねて内巻きしたホース76の平行線ホース部分76a,76cが長くなっても内側に崩れてしまうことを確実に防止可能とする。
【0043】
ここで、ホースガイド構造80はホース76の前面側の平行線ホース部分76aを内側に変形させ、背面側の平行ホース部分76cは内側に変形させていないが、平行線ホース部分76aの内側へ変形により、ホース76全体として外側に広がろうとする力が増加し、内側に変形させていない背面側の平行ホース部分76cについても、内側に崩れてしまうことを確実が防止可能となる。
【0044】
また、前扉32及び第2上扉36又は第1上扉34を開いてホース76を外部に引き出す場合には、ホース76の半径ホース部分76b,76dの変形によるホースを押し出そうとする力に加え、ホース76の平行線ホース部分76aについても、ホースガイド構造80による内側への変形でホース76を押し出そうとする力が発生し、ホース76の引き出し力を低減可能とする。
【0045】
ホースガイド構造80の上部には、図1及び図2に示した前面扉開口33、第1上面扉開口35及び第2上面扉開口37の内側を囲むように、ガイドパイプ82a~82c及びガイドパイプ84a,84bが配置され、ホース76を外部に引き出す際にガイドパイプ82a~82又はガイドパイプ84a,84bに摺接させることで、ホース76の損耗を防止すると共にホース引き出し力を低減させている。
【0046】
また、第2上扉36の裏面にはノズルホルダー86によりホース76の先端に連結された泡ノズル78が着脱自在に係止されている。本実施形態のノズルホルダー86は、泡ノズル78を第2上扉36の裏面に軸支して懸垂状態に吊り下げることで係止しており、第2上扉36を図4の第2上扉36aに示すように前開きした場合、又は、第1上扉34を第2上扉36と一体に図4の第1上扉34aに示すように後ろ開きした場合にも、第2上扉36の扉裏面にノズルホルダー86が泡ノズル78を懸垂した状態で係止している。
【0047】
このため第2上扉36を前開き又は第1上扉34を第2上扉36と共に後開きすると、扉裏面に懸垂状態に保持されている泡ノズル78が消火栓収納箱30の上部に現れることになる。
【0048】
第2上扉36の前開きで扉裏面に保持されている泡ノズル78が現れる位置は、路面15から概ね0.9~1.3メートルの範囲のいずれかとなり、これは路面15に立った利用者の腰から肩までの範囲に相当し、目の前に泡ノズル78が出現することから、泡ノズル78の取出しが容易にできる。
【0049】
また、第1上扉34の後開きで扉裏面に保持されている泡ノズル78が現れる位置は、監視員通路14の路面から概ね0.2~0.4メートルの範囲のいずれかとなり、監視員通路14に体をかがめて後開きハンドル40を操作している利用者の目の前に泡ノズル78が出現し、利用者は監視員通路14側から泡ノズル78を容易に取り出すことができる。
【0050】
なお、ノズルホルダー86は、懸垂型以外に、扉裏面に固定されて泡ノズル78を着脱自在に係止させる引き外し側に開いた分割リング形状のノズルホルダーとしても良い。
【0051】
また、筐体31の上面開口の右側内部には操作箱が配置され、操作箱には消火栓弁開閉レバーが設けられ、操作箱の内部に設けられている手動パイロット弁を開閉操作させるようにしているが、図示を省略している。消火栓弁開閉レバーを開操作すると、手動パイロット弁が開放され、図1に示した放水制御機構収納部26に分離配置された消火栓弁を遠隔的に開放させることができる。
【0052】
また、操作箱や手動パイロット弁、消火栓開閉レバーのうち、1または複数をホースガイド構造80によって確保される空きスペースに配置しても良い。また、手動パイロット弁と消火栓開閉レバー間の接続部材や、手動パイロット弁から消火栓弁までの配管の一部を空きスペースに配置しても良い。
【0053】
上記のように空きスペースに適宜の部材を配置することで、スペースの限られる監視員通路に配置される消火栓収納箱の空間を有効活用することができる。
【0054】
[道路側から第2上扉及び前扉を開放させる操作]
図8は道路側から操作する場合の前扉と第2上扉の開放操作を示した説明図である。
【0055】
図8に示すように、利用者が道路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、前開きハンドル38をリフトアップすると、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライド落下し、前面扉開口33が開放される。
【0056】
続いて、利用者が第2上扉36を奥行方向に開く前開き操作を行うと、図6(A)(B)に示したように、ハンドル本体38aの両側に配置されている軸部材56が前扉32の裏面の軸受部材58から抜き出され、第2上扉36はヒンジ42を中心に前開きされ、第2上面扉開口37が開放される。
【0057】
このとき図7(A)に示したように、第2上扉36の裏側に配置されているノズルホルダー86は、道路にいる利用者の目の前に位置し、ノズルホルダー86に係止されている泡ノズル78が利用者の目の前に出現し、容易に泡ノズル78を取り出してホース76を引き出すことができる。
【0058】
[監視員通路側から上扉を開放させる操作]
図9は監視員通路側から操作する場合の第1上扉の開放操作を示した説明図である。
【0059】
図9に示すように、利用者が監視員通路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、利用者が監視員通路から体をかがめて後開きハンドル40をリフトアップすると、第1上扉34の後縁側の筐体31側に対する係止が解除され、前縁コーナー部のヒンジ46を中心に、第1上扉34は後開きされ、第1上面扉開口35が開放される。
【0060】
このとき第1上扉34と一体に第2上扉36もヒンジ44を中心に後開きされ、ヒンジ44で軸支された前開きハンドル38は動くことがなく、前開きハンドル38に設けられた図6に示した前開き機構60の軸部材56の先端は前扉32の裏面に配置された軸受部材58の軸穴58aに嵌め込まれた状態を維持しており、前扉32の閉鎖状態への係止を保持したまま、第2上扉36は第1上扉34と一体に後開きされる。
【0061】
第1上扉34の後開きにより第1上面扉開口35が開放されると、図6(A)に示したように、第2上扉36の裏側に配置されているノズルホルダー86に係止された泡ノズル78が、監視員通路で体をかがめている利用者の目の前に出現し、容易に泡ノズル78を取り出してホース76を引き出すことができる。
【0062】
[本発明の変形例]
(前開き機構)
上記の実施形態に示した第2上扉の前開き機構は一例であり、第2上扉が第1上扉と共に閉鎖位置にある場合に、前扉の上部を係止して閉鎖位置に保持させ、前開きハンドルを操作した場合に、前扉の係止解除によりスライド落下させて前面扉開口を開放させると共に第2上扉の前開き操作による第1上扉に形成された扉開口の開放を可能とする機能であれば、適宜の機構が含まれる。
【0063】
(泡消火栓設備)
上記の実施形態は、消火泡を放出させる泡消火栓設備を例にとっているが、これに限定されず、消火用水を放水させる消火栓設備としても良い。
【0064】
(その他)
上記の実施形態は、扉開口時に信号を送出することに触れていないが、扉開口時に信号を送出するようにしてもよい。扉開口時は火災発生と考えられ、また火災発生でない場合には悪戯等で消火栓扉が開口していると考えられ、いずれの場合においても対応が必要である。信号は火災信号や消火栓を管理する防災受信盤に送信されることが好適であるが、適宜の機器に信号を送出してよい。第1上面扉開口時と第2上面扉開口時でそれぞれ異なる信号を送出するようにしても良い。
【0065】
上記の実施形態は、トンネル消火栓設備を例にとっているが、これに限定されず、例えば高さの異なる2つの通路面や、例えば体育館や舞台などの壇上とその下のような、それぞれ人が歩行可能な高さの異なる面とその面に接する壁面において本願消火栓収納箱を適用することが出来る。
【0066】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0067】
10:トンネル
12:トンネル壁面
14:監視員通路
15:道路
16:消火栓設備
18:床版
20:管理用通路
22:ダクト
24:給水本管
24a:分岐配管
25:給水配管
26:放水制御機構収納部
30:消火栓収納箱
31:筐体
32:前扉
33:前面扉開口
34:第1上扉
35:第1上面扉開口
36:第2上扉
37:第2上面扉開口
38:前開きハンドル
40:後開きハンドル
42,44,46:ヒンジ
48:通報装置パネル
56:軸部材
58:軸受部材
58a:軸穴
60:前開き機構
74:ホース収納部
76:ホース
78:泡ノズル
80:ホースガイド構造
80a~80d,82a~82c,84a,84b:ガイドパイプ
86:ノズルホルダー
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9