(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009190
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】骨強化剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240112BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240112BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240112BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240112BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20240112BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240112BHJP
A61K 36/889 20060101ALI20240112BHJP
A61K 36/39 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/10
A23L2/52
A61K31/352
A61P43/00 121
A61P19/00
A61K36/15
A61K36/185
A61K36/889
A61K36/39
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197909
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022028773の分割
【原出願日】2015-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2015093652
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 骨形成促進効果の高い骨強化剤を提供すること。
【解決手段】 イソフラボンと、大麦、甘藷、長命草、松、ターミナリア、ココヤシ、マキベリー、ケール等の植物素材などの特定の成分とを有効成分として含有することを特徴とする骨強化剤である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフラボンを骨の健康維持のための有効成分として含有し、さらに松樹皮、ターミナリア、マキベリー、ココヤシ、及び甘藷若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物素材とを含有することを特徴とする食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨強化剤に係り、詳しくは、イソフラボン及び特定の他の成分を有効成分とする骨強化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、骨粗鬆症は高齢女性を中心に増加傾向にある。この骨粗鬆症は、加齢とともに、腸からのカルシウム吸収が悪くなることや、女性ホルモンの分泌が低下することが原因といわれている。
【0003】
一方、大豆イソフラボンは、植物性エストロゲンとも呼ばれるように、女性ホルモンのエストロゲン様作用を有しており、骨の形成を促進すると共に、骨吸収(骨の破壊)を抑制することが知られている。
【0004】
このような大豆イソフラボンを利用した製剤としては、例えば、大豆イソフラボンアグリコンを含有することを特徴とする歯周病予防用製剤(特許文献1参照)や、植物発酵抽出物及びイソフラボンを含むことを特徴とする植物発酵抽出物配合物(特許文献2参照)や、乳由来塩基性タンパク質画分及び/又は乳由来塩基性タンパク質画分分解物と、大豆イソフラボンとを有効成分とする骨強化剤(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-121146号公報
【特許文献2】特開2012-240946号公報
【特許文献3】特開2013-184959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高い骨形成促進効果を有する骨強化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、イソフラボンの骨強化能について鋭意調査・研究したところ、イソフラボンと特定の他の成分とを組み合わせることにより、高い骨形成促進効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、イソフラボンと、骨形成促進能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、骨形成促進能を相乗的に向上させることができることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、イソフラボンと、下記(a)~(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを有効成分として含有することを特徴とする骨強化剤に関する。
(a)大麦、甘藷、長命草、松、ターミナリア、ココヤシ、マキベリー及びケールから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)還元麦芽糖、及びステアリン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種の添加剤 (c)アスパラギン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、セリン、及びバリンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸 (d)クロロゲン酸からなるポリフェノール
(e)ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸ナトリウム、ナイアシン、葉酸、ビタミンK、マグネシウム、鉄、セレン、及びカルシウムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類。
【0009】
本発明の骨強化剤は、イソフラボンと(a)~(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とからなる有効成分を添加して得たものであってもよい。
【0010】
本発明の骨強化剤において、イソフラボン及び他の有効成分の配合質量比は、0.5:1~70:1の範囲であることが好ましい。
また、本発明の骨強化剤は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、又は液剤であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記本発明の骨強化剤を摂取させることを特徴とする骨強化方法(ただし、医療行為を除く)に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の骨強化剤によれば、高い骨形成促進効果を得ることができ、骨を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の骨強化剤(イソフラボン+植物素材)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図であり、左から順に、植物素材として大麦、甘藷、長命草、松を用いた場合を示す。
【
図2】本発明の骨強化剤(イソフラボン+植物素材)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図であり、左から順に、植物素材としてターミナリア、ココヤシ、マキベリーを用いた場合を示す。
【
図3】本発明の骨強化剤(イソフラボン+添加剤)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、添加剤として還元麦芽糖を用いたものであり、右のグラフが、添加剤としてステアリン酸カルシウムを用いたものである。
【
図4】本発明の骨強化剤(イソフラボン+アミノ酸)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、アミノ酸としてアスパラギンを用いたものであり、右のグラフが、アミノ酸としてシステインを用いたものである。
【
図5】本発明の骨強化剤(イソフラボン+アミノ酸)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、アミノ酸としてグルタミンを用いたものであり、右のグラフが、アミノ酸としてグルタミン酸を用いたものである。
【
図6】本発明の骨強化剤(イソフラボン+アミノ酸)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、アミノ酸としてグリシンを用いたものであり、右のグラフが、アミノ酸としてロイシンを用いたものである。
【
図7】本発明の骨強化剤(イソフラボン+アミノ酸)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、アミノ酸としてリシン-塩酸塩を用いたものであり、右のグラフが、アミノ酸としてフェニルアラニンを用いたものである。
【
図8】本発明の骨強化剤(イソフラボン+アミノ酸)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、アミノ酸としてセリンを用いたものであり、右のグラフが、アミノ酸としてバリンを用いたものである。
【
図9】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ポリフェノール)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図であり、ポリフェノールとしてクロロゲン酸を用いたものである。
【
図10】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、ビタミン類としてビタミンB1を用いたものであり、右のグラフが、ビタミン類としてビタミンB2を用いたものである。
【
図11】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、ビタミン類としてビタミンB6を用いたものであり、右のグラフが、ビタミン類としてビタミンB12を用いたものである。
【
図12】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、ビタミン類としてパントテン酸ナトリウムを用いたものであり、右のグラフが、ビタミン類としてナイアシンを用いたものである。
【
図13】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。左のグラフが、ビタミン類として葉酸を用いたものであり、右のグラフが、ビタミン類としてビタミンKを用いたものである。
【
図14】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図であり、左から順に、ミネラル類としてマグネシウム、鉄、セリンを用いた場合を示す。
【
図15】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ビタミン・ミネラル類)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図であり、左から順に、ミネラル類として卵殻カルシウム、海藻カルシウム、魚カルシウムを用いた場合を示す。
【
図16】本発明の骨強化剤(イソフラボン+ケール)を骨芽細胞株(MC3T3-E1)に適用した場合のRunx2遺伝子発現の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の骨強化剤は、イソフラボンと、下記(a)~(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(以下、他成分ということがある)とを有効成分として含有することを特徴とする。本発明の骨強化剤は、高い骨形成促進能を有し、骨量の増加を通じて、骨を強化し、ひいては骨粗鬆症の予防や治療を行うことができる。
【0015】
[イソフラボン]
本発明の骨強化剤の有効成分となるイソフラボンは、マメ科植物、特に大豆に多く含まれるフラボノイド化合物であり、本発明におけるイソフラボンとしては、大豆由来の大豆イソフラボンが好ましい。イソフラボンとしては、アグリコンであっても配糖体であってよい。また、イソフラボンは精製されたものであってもよいが、原料(例えば大豆)の他の成分との混合物であってもよい。大豆イソフラボンは、市販されており、市販品を用いることができる。
【0016】
[他成分]
【0017】
(a)植物素材
本発明の骨強化剤においては、イソフラボンと共に、有効成分として、大麦、甘藷、長命草、松、ターミナリア、ココヤシ、マキベリー、及びケールから選ばれる少なくとも1種の植物素材を用いることが好ましい。
【0018】
これらの植物素材は、葉、茎、根、花、実、幹、枝等、植物のいずれの部位であってもよく、植物素材そのもの(乾燥物を含む)の他、その粉砕物、搾汁、抽出物等の植物素材処理物を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することに得ることができ、溶媒としては、例えば、水(熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。これらの植物素材は、市販されているものを使用することができる。
【0019】
大麦としては、二条大麦、六条大麦等を用いることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、茎、葉が好ましく、特に若葉が好ましい。
【0020】
甘藷とは、ヒルガオ科に属する植物をいい、一般にサツマイモと呼ばれる。甘藷の品種は、特に限定されるものではなく、例えば、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキ等を挙げることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、茎、葉が好ましく、特に若葉が好ましい。
【0021】
長命草は、セリ科カワラボウフウ属に属するボタンボウフウとも呼ばれる多年草植物である。本発明の植物素材として用いる部位としては、葉、根が好ましい。
【0022】
松としては、例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ等を挙げることができ、これらの中でも、プロアントシアニジンが豊富に含まれるフランス海岸松(Pinus Martima)が好ましい。本発明の植物素材として用いる部位としては樹皮が好ましく、この松樹皮から得られる抽出物が特に好ましい。この抽出物には、プロアントシアニジンの他、オリゴメリックプロアントシアニジンが高濃度で含まれており、例えば、抽出物の乾燥質量に対してオリゴメリックプロアントシアニジンを20質量%以上含むものが好ましい。
【0023】
ターミナリアとしては、例えば、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia catappa、Terminali tomentosa、Terminalia citrina、Terminalia phellocarpa、Terminalia copelandii、Terminalia brassi、Terminalia ivorensis、Terminalia superba、Terminalia arjuna、Terminalia chebula等を挙げることができ、これらの中でも、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia chebulaが好ましい。本発明の植物素材として用いる部位としては、果実が好ましい。
【0024】
ココヤシは、ヤシ科の植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、果実(胚乳)が好ましい。
【0025】
マキベリーは、チリのパタゴニアを原産地とするポルトノキ科の植物であり、学術名は、Aristotellia chilensisである。本発明の植物素材として用いる部位としては、果実が好ましい。
【0026】
ケールは、アブラナ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、葉、茎が好ましい。具体的に、ケールを乾燥し粉砕したもの、ケールのスラリー又は搾汁液を乾燥し粉末化したもの、ケール又はその乾燥物から得られた抽出物が好ましい。特にケールは、収穫後直ちに乾燥、抽出等の処理を施したものが好ましい。処理までに時間を要する場合には、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。ケールの品種としては、特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。
【0027】
(b)添加剤
本発明の骨強化剤においては、イソフラボンと共に、有効成分として、還元麦芽糖、及びステアリン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種の添加剤を用いることが好ましい。還元麦芽糖及びステアリン酸カルシウムは、錠剤等の製造において用いられる添加剤であり、還元麦芽糖は賦形剤として、ステアリン酸カルシウムは滑沢剤として通常用いられる。
【0028】
(c)アミノ酸
本発明の骨強化剤においては、イソフラボンと共に、有効成分として、アスパラギン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、セリン、及びバリンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸(塩を含む)を用いることが好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、塩酸塩等を挙げることができる。
【0029】
(d)ポリフェノール
本発明の骨強化剤においては、イソフラボンと共に、有効成分として、クロロゲン酸からなるポリフェノールを用いることが好ましい。
【0030】
(e)ビタミン・ミネラル類
本発明の骨強化剤においては、イソフラボンと共に、有効成分として、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸ナトリウム、ナイアシン、葉酸、ビタミンK、マグネシウム、鉄、セレン、及びカルシウムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類を用いることが好ましい。なお、本発明のミネラル類としての鉄、セレン、マグネシウム、及びカルシウムは、これらの金属を含む化合物の形態を含む。
【0031】
本発明の骨強化剤は、イソフラボン及び所定の他成分を含有し、骨強化に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに骨強化作用(骨形成促進作用)の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、飼料等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「骨の健康維持に」、「骨の健康が気になる方に」、「骨が脆くなるのを防ぐ」等を表示したものを例示することができる。
【0032】
本発明の骨強化剤の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。具体的には、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末飲料、インスタント顆粒飲料を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0033】
本発明の骨強化剤におけるイソフラボン及び他成分(有効成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0034】
一般的には、本発明の骨強化剤が医薬品やサプリメント(錠剤,カプセル剤)の場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~85質量%含まれていることがより好ましく、0.5~70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0035】
本発明の骨強化剤が容器詰飲料(液剤)である場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.01~15質量%含まれていることが好ましく、0.03~12.5質量%含まれていることがより好ましく、0.05~10質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0036】
また、本発明の骨強化剤がインスタント粉末飲料(粉末剤)、インスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.1~80質量%含まれていることが好ましく、0.5~70質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、有効成分が乾燥質量換算で本発明の骨強化剤全体(水分を除く)の80%以上含まれていることが好ましく、90%以上含まれていることがより好ましく、95%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。さらに、本発明の骨強化剤が成分(a)~(e)のいずれかを含有する場合、その含有される成分は、本発明における有効成分のみで構成されることが好ましい。すなわち、本発明の骨強化剤が例えば成分(a)(植物素材)を含む場合には、大麦、甘藷、長命草、松、ターミナリア、ココヤシ、マキベリー、ケール以外の植物素材を含まないように構成することが好ましい。
【0038】
本発明の骨強化剤の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1日当たりの有効成分の摂取量が、0.1mg/日以上となるように摂取することが好ましく、1mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、10mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は特に制限されないが、例えば、8g/日であり、好ましくは4g/日である。また、本発明の骨強化剤摂取によるイソフラボンの摂取量が、30mg/日以下(アグリコン換算)となるように摂取することが好ましい。
【0039】
本発明の骨強化剤は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0040】
イソフラボン及び他成分の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.5:1~70:1の範囲であることが好ましく、0.75:1~60:1の範囲であることがより好ましく、1:1~60:1の範囲であることがさらに好ましく、1:1~50:1の範囲であることが特に好ましい。イソフラボン及び他成分の配合比が、上記範囲であることにより、本発明の効果をより有効に発揮することができる。
【0041】
本発明の骨強化剤は、必要に応じて、経口用として許容される有効成分以外の成分を添加して、公知の製剤方法によって製造することができる。
【0042】
また、本発明の骨強化剤としては、有効成分を含有する骨強化用食品の他、食品に対して有効成分を添加して得た骨強化用食品を挙げることができ、例えば、本発明の有効成分を通常含まない食品に対して有効成分を添加したものを挙げることができる。有効成分の添加は、それぞれの成分を別々に添加してもよいし、同時に添加してもよく、また、有効成分以外の他の成分と共に添加してもよい。
【0043】
本発明の骨強化用食品としては、例えば、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、スムージー、青汁等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及びその加工食品;ソース、醤油等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、牛丼、ハヤシライス、オムライス、おでん、マーボドーフ、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール、各種ソース、各種スープ等のレトルトパウチ食品などを挙げることができる。
【0044】
本発明の骨強化方法としては、上記説明した本発明の骨強化剤を摂取させることを特徴とするが、医療行為は含まれない。本発明の方法としては、例えば、レストラン等の飲食店において、本発明の骨強化用食品を提供することにより、骨の強化を図る方法を挙げることができる。
【実施例0045】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
培養培地(MEMa;Alpha modification of Eagle’s Minimum Essential Media,10%FBS,1%PS)で培養した骨芽細胞株(MC3T3-E1)を5×103/wellの量で96well plateへ播種した。
【0046】
その後、0.5μg/mLのイソフラボンを0.1mL、又はこれに表1~表5に示す他成分を所定濃度溶解させた溶解液を加え、48時間培養し、Runx2の遺伝子発現をリアルタイムPCRにて測定した(事前にWSTにてコントロールに比べ90%以上の細胞が生存する濃度であることを確認した)。なお、Runx2遺伝子は、骨芽細胞分化に必須な転写因子であり、骨芽細胞分化を誘導し、骨形成を促進させることが知られている。
【0047】
その結果を表1~表5、及び
図1~
図15に示す。図中の各グラフは、左から、「コントロール-(添加なし)」、「コントロール+(0.5μg/mLイソフラボンの単独添加)」、「他成分の単独添加」、「0.5μg/mLイソフラボン+他成分添加」の結果を表す。また、グラフ下部の説明における数値は、サンプル濃度を示し、例えば、
図1グラフの大麦の「250-」は、大麦250(μg/mL)を示す。添加成分の濃度単位は、すべてのグラフにおいて、μg/mLである。グラフは、コントロール+の値を1としたときの相対値で表した。
【0048】
【0049】
大麦については、若葉の乾燥粉砕末を用いた。
甘藷については、若葉の乾燥粉砕末を用いた。
長命草については、葉の乾燥粉砕末を用いた。
松については、フランス海岸松の樹皮の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
ターミナリアについては、果実の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
ココナッツについては、市販のココナッツミルクを乾燥後、油分を除いたものを用いた。
マキベリーについては、市販品の果実の乾燥粉末を用いた。
ケールについては、葉の乾燥粉砕末を用いた。
ヨモギについては、生葉の微粉砕末を用いた。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
表1~表5、及び
図1~
図15に示すように、イソフラボンと、本発明の特定の他成分を組み合わせることにより、骨芽細胞株のRunx2遺伝子の発現量が相乗的に増加した。したがって、本発明の骨強化剤によれば、骨形成が促進され、有効に骨を強化することができる。
【0055】
[実施例2](錠剤の製造)
大豆イソフラボン25mg、アスパルテーム10mg、還元麦芽糖50mg、ステアリン酸カルシウム200mg、システイン10mg、リシン-塩酸塩5mg、フェニルアラニン5mg、セリン0.1mg、ナイアシン5mg、葉酸0.05mg、ビタミンK 0.1mg、鉄0.01mg、マグネシウム0.02mg、マキベリー50mg、松樹皮抽出物0.2mg、フィッシュカルシウム50mgからなる混合物を打錠し、錠剤を製造した。
【0056】
[実施例3](カプセル剤の製造)
大豆イソフラボン50mg、アスパルテーム180mg、還元麦芽糖50mg、ステアリン酸カルシウム350mg、システイン10mg、リシン-塩酸塩5mg、フェニルアラニン5mg、セリン0.1mg、ナイアシン5mg、葉酸0.05mg、ビタミンK 0.1mg、鉄0.01mg、マグネシウム0.02、ココナッツ50mg、海藻カルシウム0.2mgからなる混合物をソフトカプセルに封入し、カプセル剤を製造した。
【0057】
[実施例4](インスタント粉末剤1の製造)
大豆イソフラボン50mg、アスパルテーム180mg、還元麦芽糖200mg、麦芽糖200mg、ステアリン酸カルシウム200mg、アスパラギン250mg、グルタミン25mg、グルタミン酸25mg、グリシン20mg、ロイシン20mg、クロロゲン酸10mg、ビタミンB1 0.1mg、ビタミンB2 0.1mg、ビタミンB6 0.1mg、ビタミンB12 0.05mg、パントテン酸ナトリウム0.05mg、葉酸0.2mg、ビタミンK 0.1mg、難消化性デキストリン2000mg、大麦若葉末2000mg、ケール末2000mg、煎茶微粉砕末500mg、貝カルシウム250mgを混合し、粉末剤を製造した。本粉末剤は水100mlに溶解した場合、溶解性が良いものであった。
【0058】
[実施例5](インスタント粉末剤2の製造)
大豆イソフラボン100mg、還元麦芽糖1000mg、麦芽糖1200mg、砂糖300mg、難消化性デキストリン2000mg、アスパラギン250mg、グルタミン25mg、グルタミン酸25mg、グリシン20mg、ロイシン20mg、クロロゲン酸10mg、ビタミンB1 0.1mg、ビタミンB2 0.1mg、ビタミンB6 0.1mg、ビタミンB12 0.05mg、パントテン酸ナトリウム0.05mg、葉酸0.2mg、ビタミンK 0.1mg、甘藷若葉末2000mg、ケール末2000mg、煎茶微粉砕末500mg、サンゴ未焼成カルシウム10mgを混合し、粉末剤を製造した。
本粉末剤は水200mlに溶解した場合、溶解性が良いものであった。
【0059】
[実施例6](PETボトル液剤の製造)
大豆イソフラボン75mg、還元麦芽糖2500mg、アスパラギン350mg、グルタミン50mg、グルタミン酸50mg、グリシン50mg、ロイシン20mg、バリン20mg、クロロゲン酸20mg、ビタミンB1 0.2mg、ビタミンB2 0.2mg、ビタミンB6 0.2mg、ビタミンB12 0.2mg、パントテン酸ナトリウム0.1mg、葉酸0.2mg、ビタミンK 0.1mg、大麦若葉末2500mg、甘藷若葉末2500mg、長命草1000mg、松樹皮抽出物50mg、ターミナリアベリリカ250mg、サンゴ未焼成カルシウム500mg、水500mlをペットボトルに充填して密封し、液剤を製造した。