(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091926
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】無線局、第2無線局、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/1268 20230101AFI20240628BHJP
【FI】
H04W72/1268
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071722
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2022529129の分割
【原出願日】2020-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】矢野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 綾介
(57)【要約】
【課題】無線リソースの割り当てにおいて、シグナリングの増大あるいは消費電力を抑制する。
【解決手段】複数のチャネルを集束したチャネル群である集束チャネルと、前記集束チャネルに関する第1情報を設定し、前記集束チャネルのデータ量と前記第1情報とに応じて第1信号の送信契機を生成するよう制御し、前記第1信号の送信契機に応じて、前記第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する制御を実施する制御部と、前記第2信号の送信契機に応じて、前記第2信号を他の無線局に送信し、前記他の無線局から無線リソースを受信する通信部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルを集束したチャネル群である集束チャネルと、前記集束チャネルに関する第1情報を設定し、前記集束チャネルのデータ量と前記第1情報とに応じて第1信号の送信契機を生成するよう制御し、前記第1信号の送信契機に応じて、前記第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する制御を実施する制御部と、
前記第2信号の送信契機に応じて、前記第2信号を他の無線局に送信し、前記他の無線局から無線リソースを受信する通信部と、
を有する無線局。
【請求項2】
前記第1情報は、前記集束チャネルのデータ量に関する第1閾値を含み、
前記制御部は、前記集束チャネルのデータ量が前記第1閾値以上であるとき、前記第1信号の送信契機を生成する
請求項1記載の無線局。
【請求項3】
前記第1信号は、データ量に関する情報を含むバッファ状態報告(BSR:Buffer Status Report)であって、
前記第2信号は、上り無線リソースを要求するスケジューリングリクエスト(SR:Scheduling request)である
請求項1または2記載の無線局。
【請求項4】
前記第1信号は、前記集束チャネルを含むチャネルのデータ量に関する情報を含む
請求項3記載の無線局。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1信号の送信契機の生成の制御を、前記集束チャネルのデータの発生に応じて実施する
請求項1または4記載の無線局。
【請求項6】
前記第1情報は、前記集束チャネルのデータ量に関する第1閾値を含み、
前記第1信号は、前記集束チャネルを構成する第1チャネルのデータ量に関する情報を含み、
前記制御部は、前記第1信号の送信契機の生成の制御を、前記第1チャネルのデータ量に応じた前記第1チャネルの前記第1信号の送信契機で実施し、前記集束チャネルのデータ量が前記第1閾値以上であるとき、前記第1信号の送信契機を生成する
請求項1記載の無線局。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1信号の送信契機の生成の制御を、前記集束チャネルを構成する第1チャネルのデータ量に応じた前記第1チャネルの前記第1信号の送信契機で実施する
請求項1または4記載の無線局。
【請求項8】
前記制御部は、さらにガードタイマを有し、前記集束チャネルのデータの蓄積開始タイミングで前記ガードタイマを起動し、前記集束チャネルのデータを送信したタイミングで前記ガードタイマを停止し、前記ガードタイマがタイムアウトしたとき、前記第1信号の送信契機を生成する
請求項1記載の無線局。
【請求項9】
前記ガードタイマのタイマ値は、前記集束チャネルのデータの許容遅延時間に応じて設定される
請求項8記載の無線局。
【請求項10】
前記通信部は、前記集束チャネル以外のチャネルに対して割り当てられた無線リソースを、前記集束チャネルのデータ送信に使用しない
請求項1記載の無線局。
【請求項11】
前記通信部は、前記集束チャネルに対して割り当てられた無線リソースを使用し、前記集束チャネル以外のチャネルのデータを送信する
請求項1記載の無線局。
【請求項12】
複数のチャネルを集束したチャネル群である集束チャネルと、前記集束チャネルに関する第1情報を設定し、前記集束チャネルのデータ量と前記第1情報とに応じて第1信号の送信契機を生成するよう制御し、前記第1信号の送信契機に応じて、前記第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する制御を実施する制御部と、
前記第2信号の送信契機に応じて、前記第2信号を他の無線局から受信し、他の無線局と通信を行う通信部と、
前記第2信号の受信に応答し、前記他の無線局に割り当てた無線リソースを送信する送信部と、
を有する無線局。
【請求項13】
第1無線局と第2無線局を有する通信システムであって、
前記第1無線局は、
複数のチャネルを集束したチャネル群である集束チャネルと、前記集束チャネルに関する第1情報を設定し、前記集束チャネルのデータ量と前記第1情報とに応じて第1信号の送信契機を生成するよう制御し、前記第1信号の送信契機に応じて、前記第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する制御を実施し,前記第2信号の送信契機に応じて、前記第2信号を前記第2無線局に送信し、
前記第2無線局は、
前記第2信号の受信に応答し、前記第1信号の上りリソースを割り当て、前記第1無線局に通知する
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。
【0004】
なお、第5世代通信規格については、3GPP(登録商標)(Third Generation Partnership Project)の作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている。(非特許文献12~40)。
【0005】
上述したように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile Broad Band)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0006】
モバイル端末などの端末装置は、通信を行うとき、無線リソースの割り当てを基地局装置に要求する。基地局装置は、端末装置の要求に応じて、無線リソースを割り当て、端末装置に通知する。そして、端末装置は、割り当てられた無線リソースを使用し、基地局装置にデータを送信する。
【0007】
なお、端末装置と基地局装置の間の通信だけではなく、V2Xも同様である。この場合は、端末装置と他の端末装置との間で通信が実施される。
【0008】
以下、便宜上、端末装置と基地局装置間の通信として記載するが、通信を行う装置は、これには限らない。例えば、V2Xなど端末装置間の通信にも適用が可能である。この場合、例えば、「基地局装置」は「他の端末装置」と置き換えられる。
【0009】
5Gに関する技術としては、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献2】3GPP TS 36.212 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献3】3GPP TS 36.213 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献4】3GPP TS 36.300 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献5】3GPP TS 36.321 V15.8.0(2019-12)
【非特許文献6】3GPP TS 36.322 V15.3.0(2019-09)
【非特許文献7】3GPP TS 36.323 V15.5.0(2019-12)
【非特許文献8】3GPP TS 36.331 V15.8.0(2019-12)
【非特許文献9】3GPP TS 36.413 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献10】3GPP TS 36.423 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献11】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【非特許文献12】3GPP TS 37.340 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献13】3GPP TS 38.201 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献14】3GPP TS 38.202 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献15】3GPP TS 38.211 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献16】3GPP TS 38.212 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献17】3GPP TS 38.213 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献18】3GPP TS 38.214 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献19】3GPP TS 38.215 V16.0.1(2020-01)
【非特許文献20】3GPP TS 38.300 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献21】3GPP TS 38.321 V15.8.0(2019-12)
【非特許文献22】3GPP TS 38.322 V15.5.0(2019-03)
【非特許文献23】3GPP TS 38.323 V15.6.0(2019-06)
【非特許文献24】3GPP TS 38.331 V15.8.0(2019-12)
【非特許文献25】3GPP TS 38.340 V0.1.1(2019-11)
【非特許文献26】3GPP TS 38.401 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献27】3GPP TS 38.410 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献28】3GPP TS 38.413 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献29】3GPP TS 38.420 V15.2.0(2018-12)
【非特許文献30】3GPP TS 38.423 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献31】3GPP TS 38.470 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献32】3GPP TS 38.473 V16.0.0(2019-12)
【非特許文献33】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【非特許文献34】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【非特許文献35】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【非特許文献36】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【非特許文献37】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【非特許文献38】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【非特許文献39】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【非特許文献40】3GPP TR 37.324 V15.1.0(2018-09)
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019-180098号公報
【特許文献2】特表2020-501441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、端末装置は、データを送信する契機が頻繁に発生すると、無線リソースの割り当てを要求する回数および無線リソースの割り当て回数が増大、換言するとシグナリングが増大する。無線リソースの割り当ては、メッセージの送受信が発生し、端末装置の消費電力も増大する。また、例えば、端末装置が省電力状態(スリープ状態、間欠受信状態)などの場合、省電力状態の解除を繰り返すことで、端末装置の消費電力が増大する。
【0013】
そこで、一開示は、無線リソースの割り当てにおいて、シグナリングの増大あるいは消費電力を抑制する、無線局及び通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
無線局は、複数のチャネルを集束したチャネル群である集束チャネルと、前記集束チャネルに関する第1情報を設定し、前記集束チャネルの送信データ量と前記第1情報とに応じて第1信号の送信契機を生成するよう制御し、前記第1信号の送信契機に応じて、前記第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する制御を実施する制御部と、前記第2信号の送信契機に応じて、前記第2信号を他の無線局に送信する通信部と、を有する。さらに前期通信部は、他の無線局から第2信号に応じて第3の信号を受信し、第3の信号に応じて、送信データを送信する。なお、「複数のチャネル」ではなく「1つのチャネル」の場合であっても同じ手段が適用できることに留意する。よって、以降は便宜上「複数」のチャネルを集束した場合で説明するが、1つのチャネルの場合であっても、同じ意味である。
【発明の効果】
【0015】
そこで、一開示は、無線リソースの割り当てにおいて、シグナリングの増大あるいは消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、通信システム1の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、通信システム30の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、端末装置100の構成例を表す図である。
【
図4】
図4は、基地局装置200の構成例を表す図である。
【
図5】
図5は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図7】
図7は、集束LCH制御処理S100の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図8】
図8は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図9】
図9は、個別LCH制御処理S201の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図10】
図10は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図11】
図11は、個別LCH制御処理S301の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図12】
図12は、集束LCHガードタイマがタイムアウトした時の無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図13】
図13は、個別LCHに無線リソースが割当された場合の無線リソースに使用方法の例を示す図である。
【
図14】
図14は、集束LCHに無線リソースが割当された場合の無線リソースに使用方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても、技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。
【0018】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、無線局10と他の無線局20とで構成される。無線局10と他の無線局20は、無線接続し、通信を行う。上り無線リソースは、無線局10の要求に応答し、他の無線局20が割り当てる。
【0020】
無線局10は、制御部11と通信部12を有する。制御部11及び通信部12は、例えば、無線局10が有するプロセッサが、プログラムを実行することで構築される。また、無線局10は、各データに対応する複数のチャネルを束ねた(集束した)チャネル群である集束チャネル13を設定する。集束チャネル13は、例えば、チャネル1からチャネルn(nは整数)の複数のチャネルを集束する。また、無線局10は、集束チャネル13に関する情報である第1情報を設定する。集束チャネルの設定や第1情報など、集束に関する設定は、他の無線局20から無線局10に送信される制御信号で設定される。
【0021】
制御部11は、無線局20に送信するデータが発生すると、集束チャネルの送信データ量(蓄積されているデータ量)と、第1情報とに応じて、第1信号の送信契機を生成(トリガー)できるように制御する。
【0022】
制御部11は、第1信号の送信契機の生成(トリガー)に応じて、第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する(トリガーする)。
【0023】
通信部12は、第2信号の送信契機の生成(トリガー)に応じて、第2信号を他の無線局20に送信する。さらに、他の無線局20から第3信号を受信し、第3信号に応じて、送信データを他の無線局に送信する。
【0024】
なお、「複数のチャネル」ではなく「1つのチャネル」の場合であっても同じ手段が適用できることに留意する。例えば、1つのチャネルに対し、異なるサービス品質(QoS)を有する複数のデータが多重される場合がある。
【0025】
制御部11は、1つのチャネルに多重された個々のデータについて分類を実施する。分類は、例えば、QoSに応じて実施できる。データ中の任意のヘッダを分析しQoS毎にクラス分けを実施しQoSクラス1からQoSクラスn(nは整数)の複数のQoSクラスに分類する。そして、各QoSクラスを仮想的なn本のチャネルに対応付ける。さらに、複数のチャネルを束ねた(集束した)チャネル群を集束チャネル13として設定すればよい。
【0026】
QoSは、例えば、データのスループット、遅延時間、ロス率など、通信性能に関する要求条件である。エンドツーエンドの通信性能であってもよいし、無線アクセス部の通信性能であってもよい。データが通信性能を満足することが難しい場合、高いQoSを設定し、通信性能が満足できる制御を行うようにする。
【0027】
分類はこれには限らない。例えば、データの種別・種類で分類してもよい。例えば、データが通信制御のための重要なデータか、その他のデータかによって分類できる。また、例えば、LCG(Logical Channel Group)(非特許文献21参照)に応じて分類されてもよい。
【0028】
制御部11は、第1信号の送信契機の生成(トリガー)に応じて、第1信号の上りリソースを要求する第2信号の送信契機を生成する(トリガーする)。
【0029】
通信部12は、第2信号の送信契機の生成(トリガー)に応じて、第2信号を他の無線局装置20に送信する。さらに、他の無線局から第3信号を受信し、第3信号に応じて、送信データを他の無線局に送信する。
【0030】
本実施例では、無線リソースの割り当てにおいて、集束チャネルに応じて第1信号および第2信号の生成を実施するため、個々のチャネルに応じて第1信号および第2信号を生成する場合と比較して、シグナリングの増大あるいは端末装置の消費電力を抑制するという効果を奏する。
【0031】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態について説明する。なお、以降の説明において、端末装置及び基地局装置は、無線局又は他の無線局と呼ぶ場合がある。例えば、一方の装置を無線局と呼び、もう一方の装置は他の無線局と呼ぶ場合がある。
【0032】
【0033】
通信システム30は、端末装置100、基地局装置200、及びコアネットワーク300を有する。通信システム30は、端末装置100が、コアネットワーク300上の他の通信装置と、基地局装置200を介して通信するシステムである。
【0034】
端末装置100は、基地局装置200と無線接続し、通信を行う。端末装置100は、データの送信契機が発生すると、基地局装置200に無線リソースの割り当てを要求する。
【0035】
基地局装置200は、端末装置100と他の装置との通信を中継する通信装置である。基地局装置200は、端末装置100の上りデータ用の無線リソースを管理する。また、基地局装置200は、上り及び下りのデータ用の無線リソースを管理しても良い。
【0036】
コアネットワーク300は、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスを用いて通信を行うネットワークである。コアネットワークは、例えば、インターネットやローカルネットワークである。
【0037】
通信システム30において、端末装置100は、無線リソースの割り当て手順において、基地局装置200に対してスケジューリングリクエスト(SR:Scheduling request)を送信する。本手順はSR手順(SR procedure)と呼称される。基地局装置200は、SRを受信すると、端末装置100による上りデータ送信を許可するULグラント(UL grant:上り送信許可)を端末装置100に送信する。端末装置100は、ULグラントを受信すると、例えば、送信するデータ量に関する情報を含むバッファ状態報告(BSR:Buffer Status Report)を送信する。BSRを受信した基地局装置200は、送信するデータ量に関する情報に応じて、上りデータ送信用の無線リソースを端末装置100に割り当て、割り当てた無線リソースを通知するULグラントを端末装置100へ送信する。端末装置100は、通知された無線リソースに応じて上りデータを基地局装置200へ送信する。
【0038】
通信システム30において、端末装置100は、集束LCH(Logical Channel)の蓄積データ量に応じて、BSRを送信するか否かを決定することができる。集束LCHは、複数の個別LCHで構成される。蓄積データ量は、例えば、基地局装置200に送信する未送信のデータ(送信するデータとして発生しているが、まだ送信していないデータ)のデータ量を示す。あるいは、技術的には「Data Available Transmission」とも呼称される。
【0039】
<端末装置100の構成例>
図3は、端末装置100の構成例を表す図である。端末装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、ストレージ120、メモリ130、及び通信回路140を有する。
【0040】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid Sate Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ120は、集束LCH制御プログラム121、個別LCH制御プログラム122、集束LCH無線リソース割当プログラム123、個別LCH無線リソース割当プログラム124、データ送信プログラム125を記憶する。
【0041】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0042】
通信回路140は、基地局装置と無線接続し、通信を行う回路である。通信回路140は、例えば、ネットワークインターフェースカードである。
【0043】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0044】
CPU110は、集束LCH制御プログラムを実行することで、制御部及び通信部を構築し、集束LCH制御処理を行う。集束LCH制御処理は、集束LCHの蓄積データ量と、集束閾値(第1閾値)に応じて、BSRを送信するための無線リソースの割当を要求するか否か(SR手順を実施するか否か)を決定する処理である。この際にBSRがトリガーされ、当該BSRが続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0045】
CPU110は、個別LCH制御プログラムを実行することで、制御部及び通信部を構築し、個別LCH制御処理を行う。個別LCH制御処理は、個別LCHの蓄積データ、集束LCHの蓄積データ、個別閾値、及び集束閾値に応じて、BSRを送信するための無線リソースの割当を要求するか否かを決定する処理である。
【0046】
CPU110は、集束LCH無線リソース割当プログラムを実行することで、制御部及び通信部を構築し、集束LCH無線リソース割当処理を行う。集束LCH無線リソース割当処理は、集束LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSRの送信を行う処理である。
【0047】
CPU110は、個別LCH無線リソース割当プログラムを実行することで、制御部及び通信部を構築し、個別LCH無線リソース割当処理を行う。個別LCH無線リソース割当処理は、個別LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSRの送信を行う処理である。
【0048】
CPU110は、データ送信プログラムを実行することで、制御部及び通信部を構築し、データ送信処理を行う。データ送信処理は、基地局装置200から割り当てられた無線リソースを使用し、データ(集束LCH、個別LCH、またはその両方)を送信する処理である。また、データ送信処理は、例えば、後述するLCP(Logical Channel Prioritization)処理を有し、送信するデータを決定する。
【0049】
制御部及び通信部の構成は、無線基地局装置200から受信する制御信号で設定することができる。例えば、制御プログラムや無線リソース割当プログラムに関する設定は、他の無線局20から無線局10に送信される制御信号で設定される。当該設定に応じて、個別および集束LCHが構成され、BSRトリガー、SR手順、BSR送信などが設定される。当該制御信号は、例えば、RRC(Radio Resource Control)信号であることが好ましいが、設定の即応性の観点では、MAC信号(MAC CE:MAC Control Element)としてもよい。
【0050】
なお、本設定の設定方法や使用するメッセージについては、全ての実施例において適用することができる。
【0051】
<基地局装置200の構成例>
図4は、基地局装置200の構成例を表す図である。基地局装置200は、CPU210、ストレージ220、メモリ230、及び通信回路240を有する。
【0052】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ220は、無線通信制御プログラム221、及び無線リソース割当プログラム222を記憶する。
【0053】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0054】
通信回路240は、端末装置100やコアネットワーク300と接続し、通信を行う回路である。端末装置100と通信する通信回路240と、コアネットワークと接続する通信回路240は、異なる複数の通信回路で構成されても良い。例えば、端末装置100と通信する通信回路240は、無線接続に対応する装置であって、コアネットワーク300と通信する通信回路240は、有線接続に対応する装置であっても良い。
【0055】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0056】
CPU210は、無線通信制御プログラムを実行することで、無線制御部及び受信部を構築し、無線通信制御処理を行う。無線通信制御処理は、端末装置100との無線通信を制御する処理である。
【0057】
CPU210は、無線リソース割当プログラムを実行することで、無線制御部及び受信部を構築し、無線リソース割当処理を行う。無線リソース割当処理は、端末装置100からSRを受信したとき、BSRの送信を許可するULグラントを送信し、また、端末装置100からBSRを受信したとき、当該BSRに含まれる情報に応じて上り無線リソースを割り当て、端末装置100に当該割当に関する情報を含むULグラントを送信し、通知する処理である。
【0058】
<無線リソース割り当て処理>
図5は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。端末装置100は、上りの送信データが発生すると、集束LCH制御処理を行う(S100)。集束LCH制御処理S100は、集束LCHの対象LCHの蓄積データの合計値と閾値を比較し、閾値を超えていれば(閾値以上であれば)、集束LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSR(集束BSRと呼ぶ場合がある)をトリガーし送信を試みる処理である。
【0059】
図6は、集束LCHの例を示す図である。例えば、端末装置100は、4つのLCHを有し、それぞれ送信するデータ種別が定義される。
図6に示すように、LCH_1~3は、eMBBデータを送信するチャネルであり、LCH_4は、URLLCデータを送信するチャネルである。端末装置100は、例えば、同種のデータ種別を送信するLCH_1~3を、集束LCHと設定する。そして、端末装置100は、データ1~3の蓄積データ量の合計値と閾値を比較し、当該集束LCHのデータ送信のための無線リソースの割当を要求するか否かを決定する。
【0060】
なお、例えば、eMBBデータは、URLLCデータと比較し、許容遅延時間が長い。
図6では、許容遅延時間が長いデータのLCHを集束LCHとし、閾値を大きくすることでBSR送信の回数を抑制できるため、データ1~3の送信のための無線リソースの割当手順の実施回数を抑制することができる。
【0061】
図7は、集束LCH制御処理S100の処理フローチャートの例を示す図である。端末装置100は、送信データが発生するのを待ち受ける(S100-1のNo)。端末装置100は、送信データが発生すると(S100-1のYes)、当該送信データが、集束LCHの対象データか否かを確認する(S100-2)。
【0062】
端末装置100は、当該送信データが集束LCHの対象データでない場合(S100-2のNo)、個別LCH無線リソース割当処理を実行し(S2000)、再度送信データの発生を待ち受ける(S100-1)。
【0063】
個別LCH無線リソース割当処理S2000は、個別のLCHごとに無線リソースを要求するか否かを制御する処理である。端末装置100は、個別LCH無線リソース割当処理S2000において、例えば、あるLCHの蓄積データ量が、個別閾値を超えた(あるいは以上となった)場合、当該LCHのデータを送信するための無線リソースを要求する。個別閾値は、例えば、個別のLCHごとに設定された閾値であり、LCHごとに異なってもよい。以下、「以上」は「超えた」を包含するため「以上」で説明する。
【0064】
端末装置100は、当該送信データが集束LCHの対象データである場合(S100-2のYes)、集束LCHとしての蓄積データ量の合計値を算出する(S100-3)。そして、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上か否かを判定する(S100-4)。
【0065】
端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上でない場合(S100-4のNo)、再度送信データの発生を待ち受ける(S100-1)。
【0066】
一方、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上である場合(S100-4のYes)、集束LCH無線リソース割当処理を行う(S1000)。集束LCH無線リソース割当処理は、集束LCHのデータを送信するための無線リソースを要求する処理である。集束閾値は、集束LCHの蓄積データの合計値と比較する閾値であって、例えば、各LCHの個別閾値の合計値や、当該合計値に基づく値である。また、集束閾値は、集束LCHのデータが発生する頻度や、無線リソースの割当手順を実行する頻度などに応じて決定されてもよい。
【0067】
そして、端末装置100は、再度送信データが発生するのを待ち受ける(S100-1)。
【0068】
図5のシーケンスに戻り、端末装置100は、集束LCH制御処理S100において、集束LCHの蓄積データ量(例えば、データ1~3の合計値)が集束閾値以上であると判定する(
図7のS100-4のYes)。この際にBSRがトリガーされ、当該BSRが続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0069】
端末装置100は、集束LCH無線リソース割当処理S1000において、SRを基地局装置200に送信する(S101)。当該SRは、集束BSRを送信するためのSRであり、BSRトリガーによってトリガーされる。基地局装置200は、SRを受信すると、上りデータの送信を許可するULグラントを送信する(S102)。
【0070】
端末装置100は、ULグラントを受信すると(S102)、集束BSRを、基地局装置200に送信する(S103)。基地局装置200は、BSRを受信すると(S103)、当該BSRに含まれる情報に応じて割り当てた無線リソースに関する情報を含むULグラントを送信する(S104)。
【0071】
端末装置100は、ULグラントを受信すると(S104)、LCP処理を実施し(S105)、MAC PDUを生成し、割り当てられた無線リソースで集束LCHの蓄積したデータ1~3を基地局装置200に送信する(S106)。
【0072】
このように、第2の実施の形態における端末装置100は、複数の個別のLCHを束ねた集束LCHを設定し、集束LCHの蓄積データ量に応じて、無線リソースの割当を要求するか否かを決定する。これにより、個別LCHごとに無線リソースを要求する方式と比べ、ある程度のデータ量が蓄積したタイミングで無線リソースを要求するため、無線リソース割当手順の実行を抑制することができ、端末装置100の消費電力を抑制することができる。
【0073】
以下の記載は、本実施例に限らず他の実施例にも当てはまる記載である。そのため、実施例2以降では、特に断りがない限り記載を省略する。
【0074】
なお、本実施例及び以降の実施例は、第1の実施の形態を具象化した実施例と捉えることができる。例えば、第1の実施例の「無線局10」は端末装置端末装置100に対応し「他の無線局20」は「基地局装置200」に対応付けることができる。第1実施例の「集束チャネル」は「集束LCH」に、「第1情報」は「第1閾値」に、「制御信号」は「RRC信号またはMAC信号」に、「第1信号」は「SR」に、「第2信号」は「BSR」に、それぞれ対応付けることができる。
【0075】
また、「複数のチャネル」ではなく「1つのチャネル」の場合であっても同じ手段が適用できることに留意する。端末装置100は、1つのチャネルに多重された個々のデータについて分類を実施する。分類は、例えば実施の形態1で記載したように、QoSに応じて実施できる。データ中の任意のヘッダを分析しQoS毎にクラス分けを実施しQoSクラス1からQoSクラスn(nは整数)の複数のQoSクラスに分類する。IPヘッダ中のToSフィールドや、SDAPヘッダのQIF(QoS Flow ID)フィールドやPFIフィールド(ID of the PC5 QoS flow)を解析すればよい(非特許文献40参照)。そして、各QoSクラスを仮想的なn本のチャネルに対応付ける。さらに、複数のチャネルを束ねた(集束した)チャネル群を集束LCHとして設定すればよい。なお、分類はQoSによる分離には限らない。データの種別・種類によっても分類できる。また、分類は、データサイズやパケットサイズに応じて実施されてもよい。さらに、分類は、データの蓄積量(滞留量)に応じて実施されてもよい。すなわち、「複数のチャネル」ではなく「1つのチャネル」で同じ手段を適用する場合、上述したように、1つのチャネル内で分類された複数のクラスを集束した集束クラスを、集束チャネルと同様に取り扱ってもよい。
【0076】
また、無線端末と基地局装置の間の通信だけではなく、V2Xも同様である。この場合は、端末装置と他の端末装置との間で通信が実施される。上述した第2の実施の形態では「端末装置」と「基地局装置」の間での無線通信の例を記載したが、V2Xにおける「端末装置」と「他の端末装置」の間の無線通信にも適用できる。
【0077】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の端末装置100は、集束LCHを、個別LCHの有効性の制御またはBSRの有効性の制御に用いる。
【0078】
<無線リソース割り当て処理>
図8は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。端末装置100において、個別LCH(例えばLCH_1)のデータの送信契機が発生する(S200)。この、個別LCHのデータの送信契機は、例えば、個別LCH無線リソース割当処理S2000において、LCH_1の蓄積データ量が、LCH_1の個別閾値を以上となった場合を示す。
【0079】
端末装置100は、上りの送信データの送信契機が発生すると(S200)、個別LCH制御処理を行う(S201)。個別LCH制御処理S201は、個別LCHの蓄積データ量と閾値を比較し、閾値を超えていれば(閾値以上であれば)、当該個別LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSR(個別BSRと呼ぶ場合がある)の送信を試みる処理である。当該処理において、BSRがトリガーされ、当該BSRが続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0080】
図9は、個別LCH制御処理S201の処理フローチャートの例を示す図である。端末装置100は、個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S201-1のNo)。端末装置100は、個別LCHのデータ送信契機が発生すると(S201-1のYes)、当該個別LCHが、集束LCHの対象であるか否かを確認する(S201-2)。
【0081】
端末装置100は、当該個別LCHが集束LCHの対象でない(S201-2のNo)、個別LCH無線リソース割当処理を実行し(S2000)、再度個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S201-1)。なお、個別LCH無線リソース割当処理S2000は、第2の実施の形態における個別LCH無線リソース割当処理S200と同じであってもよいし、処理S201-1で個別LCHのデータ送信契機か否かを判定しているため、当該処理S201-1に相当する処理は、省略されてもよい。
【0082】
端末装置100は、当該個別LCHが集束LCHの対象である場合(S201-2のYes)、集束LCHとしての蓄積データ量の合計値を算出する(S201-3)。そして、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上か否かを判定する(S201-4)。
【0083】
端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上でない場合(S201-4のNo)、再度個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S201-1)。この際に、当該個別LCHは無効であると判断される制御が実施される。
【0084】
一方、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上である場合(S201-4のYes)、個別LCH無線リソース割当処理を行う(S2000)。この際に、当該個別LCHは有効でないと判断される制御が実施される。
【0085】
そして、端末装置100は、再度、個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S201-1)。
【0086】
図8のシーケンスに戻り、端末装置100は、個別LCH制御処理S201において、集束LCHの蓄積データ量(例えば、データ1~3の合計値)が集束閾値以上であると判定する(
図9のS201-4のYes)。この際に、当該個別LCHは有効だと判断される制御が実施される。
【0087】
端末装置100は、個別LCH無線リソース割当処理S2000において、SRを基地局装置200に送信する(S202)。基地局装置200は、SRを受信すると、上りデータの送信を許可するULグラントを送信する(S203)。
【0088】
端末装置100は、ULグラントを受信すると(S203)、個別LCH(LCH_1)の蓄積データ量(データ1の蓄積量)に関する情報を含むBSRを、基地局装置200に送信する(S204)。基地局装置200は、BSRを受信すると(S204)、当該BSRに含まれる情報に応じて割り当てた無線リソースに関する情報を含むULグラントを送信する(S205)。
【0089】
端末装置100は、ULグラントを受信すると(S205)、LCPを実施し(S206)、MAC PDUを生成し、割り当てられた無線リソースで個別LCH(LCH_1)の蓄積したデータ1を、基地局装置200に送信する(S207)。
【0090】
このように、第2の実施の形態における端末装置100は、集束LCHの蓄積データ量及び集束閾値を、個別LCHの有効性の判定に使用する。個別LCHの有効性の判定とは、当該LCHがトリガーしたBSRの有効性の判定、ともいえる。
【0091】
なお、端末装置100は、個別LCH制御処理S201において、蓄積データ量が集束閾値以上でない場合、集束LCHの蓄積データ量以外の情報(例えば、無線リソースに使用状況、蓄積されているデータの緊急度など)に基づき、当該個別LCHのBSRが有効(アクティベーション)または無効(ディアクティベーション)のいずれであるかの判定をさらに行い、有効であれば個別LCH無線リソース割当処理S2000を行ってもよい。
【0092】
ここまで、個別LCHの有効性に関して説明した。しかし、BSRの有効性という観点で本実施例を説明する。個別LCHがトリガーしたBSRについて、当該BSRの有効・無効判定(有効化・無効化)を経て、当該BSRが有効と判定されれば、続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0093】
端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上でない場合(S201-4のNo)、トリガーされたBSRは無効であると判定される(デアクティベートされる)。その結果、当該BSRは無効化され、続くSR手順を実施するためのトリガーとはならない。無効化された当該トリガーは保留BSR(Pending BSR)とし、有効になるまで端末装置100が保有できる。
【0094】
一方、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上である場合(S201-4のYes)、トリガーされた当該BSRは有効であると判定される(アクティベートされる)。その結果、当該BSRは有効化され、続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0095】
本実施例においても、無線リソース割当手順の実行を抑制することができ、シグナリングの増大あるいは端末装置100の消費電力を抑制することができる。
【0096】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態の端末装置100は、個別LCHのデータ送信契機発生時に、集束LCHの蓄積データ量を含むBSRを送信するか否かを判定する。すなわち、第4の実施の形態における端末装置100は、個別LCHの蓄積データ量に応じたデータ送信契機と、集束LCHの蓄積データ量に応じたデータ送信契機の両方を満たす条件において、集束LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSRを送信する。
【0097】
<無線リソース割り当て処理>
図10は、無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。端末装置100において、個別LCH(例えばLCH_1)のデータの送信契機が発生する(S300)。
【0098】
端末装置100は、上りの送信データの送信契機が発生すると(S300)、個別LCH制御処理を行う(S301)。個別LCH制御処理S301は、個別LCHの蓄積データ量と閾値を比較し、閾値を超えていれば(閾値以上であれば)、集束LCHの蓄積データ量に関する情報を含む、BSRの送信を試みる処理である。当該処理において、BSRがトリガーされ、当該BSRが続くSR手順を実施するためのトリガーとなる。
【0099】
図11は、個別LCH制御処理S301の処理フローチャートの例を示す図である。端末装置100は、個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S301-1のNo)。端末装置100は、個別LCHのデータ送信契機が発生すると(S301-1のYes)、当該個別LCHが、集束LCHの対象であるか否かを確認する(S301-2)。
【0100】
端末装置100は、当該個別LCHが集束LCHの対象でない場合(S301-2のNo)、個別LCH無線リソース割当処理を実行し(S2000)、再度個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S301-1)。
【0101】
端末装置100は、当該個別LCHが集束LCHの対象である場合(S301-2のYes)、集束LCHとしての蓄積データ量の合計値を算出する(S301-3)。そして、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上か否かを判定する(S301-4)。
【0102】
端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上でない場合(S301-4のNo)、再度個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S301-1)。その際、第3の実施の形態と同様に、個別LCHあるいはBSRの無効判定の制御が実施されてもよい。
【0103】
一方、端末装置100は、蓄積データ量が集束閾値以上である場合(S301-4のYes)、集束LCH無線リソース割当処理を行う(S1000)。その際、第3の実施の形態と同様に、個別LCHあるいはBSRの有効判定の制御が実施されてもよい。
【0104】
そして、端末装置100は、再度、個別LCHのデータ送信契機が発生するのを待ち受ける(S301-1)。
【0105】
図10のシーケンスに戻り、端末装置100は、個別LCH制御処理S301において、集束LCHの蓄積データ量(例えば、データ1~3の合計値)が集束閾値以上であると判定する(
図11のS301-4のYes)。その際、第3の実施の形態と同様に、個別LCHあるいはBSRの有効判定の制御が実施されてもよい。
【0106】
端末装置100は、集束LCH無線リソース割当処理S1000において、SRを基地局装置200に送信する(S302)。基地局装置200は、SRを受信すると、上りデータの送信を許可するULグラントを送信する(S303)。以降の処理S303~処理S307は、
図5における処理S102~処理S106と同様である。
【0107】
第4の実施の形態の端末装置100は、個別LCHの蓄積データ量と、集束LCHの蓄積データ量の、両方のデータ量とも送信契機(個別LCHは個別閾値以上、集束LCHは集束閾値以上)を満たす場合、集束LCHの蓄積データ量に関する情報を含むBSRを送信する。これにより、無線リソースの割り当ての要求数を抑制でき、シグナリングの増大あるいは端末装置100の消費電力を抑制することができる。
【0108】
なお、例えば、
図11における分岐処理S301~4のNoのパスにおいて、個別無線リソース割当処理S2000を行っても良い。例えば、端末装置100の電力が充分な場合や、端末装置100が充電器に接続している場合など、端末装置100の消費電力を考慮する必要性が低い場合がある。この場合、当該処理を行うことで、個別LCHの蓄積データ量と、集束LCHの蓄積データ量のいずれかが閾値以上となった場合、無線リソースの割当処理が実行されるので、より即時性を有するデータ送信を行うことが可能となる。
【0109】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態について説明する。上述した第1から第4の実施の形態において、集束LCHの蓄積データ量に基づき無線リソースの割当処理を行う場合、集束LCHのデータが蓄積されるのが遅い場合(集束LCHのデータの発生頻度が低い場合)、データが送信されるまでの時間が長くなり、遅延が生じる場合がある。そこで、第5の実施の形態では、集束LCHガードタイマ(タイマ)を設け、所定時間以上に集束LCHのデータが送信されない場合、集束LCH無線リソース割当処理S1000を実行する。
【0110】
<無線リソース割り当て処理>
図12は、集束LCHガードタイマがタイムアウトした時の無線リソース割り当て処理のシーケンスの例を示す図である。端末装置100において、集束LCHガードタイマのタイムアウトが発生する(S400)。端末装置100は、集束LCHガードタイマのタイムアウトが発生すると(S400)、集束LCH無線リソース割当処理S1000を実行する。以降の処理S401~処理S406は、
図5における処理S101~処理S106と同様である。
【0111】
集束LCHガードタイマ(ガードタイマ)は、例えば、集束LCHの蓄積データ量が0の時(集束LCHの蓄積データを送信した後で、集束LCHの対象データが新たに発生していない状態)に、集束LCHの対象データが発生したタイミングで起動される。また、集束LCHガードタイマは、例えば、集束LCHの蓄積データを送信した時に、停止される。
【0112】
集束LCHガードタイマのタイマ値は、例えば、端末装置間や、アプリケーション間などのエンドトゥーエンドで許容される遅延時間を考慮して設定される。端末装置100は、当該許容遅延時間を超えない程度の時間を、タイマ値として設定する。
【0113】
また、集束LCHガードタイマのタイマ値は、例えば、ディスカードタイマ(PDCP Discard Timer)に基づき設定されても良い。ディスカードタイマは、例えば、PDCPレイヤで当該データを保持して良い時間(送信まで許容される時間)である。当該時間が満了すると、対応するデータ(PDCP SDU)は廃棄される。端末装置100は、ディスカードタイマのタイマ値を超えないように、集束LCHガードタイマのタイマ値を設定する。なお、ディスカードタイマは、データの重要性(例えば、クリティカルなデータであるか否か)や、許容遅延時間などに基づき設定されるので、端末装置100は、集束LCHのデータの重要性や許容遅延時間などに基づき、考慮する(参考にする)ディスカードタイマのタイマ値を選択する必要がある。また、当該ガードタイマの値は、RRC信号で設定することができる。
【0114】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態について説明する。上述した第1から第4の実施の形態の端末装置100は、LCP処理において、個別BSRに対する無線リソースは個別LCHのデータの送信に使用し、集束BSRに対する無線リソースは集束LCHのデータの送信に使用している。しかし、LCP処理は、例えば、あらかじめ決められたアルゴリズムで実施される設計事項であって、端末装置100が基地局装置200から受信したULグラントで指定された無線リソースは、どのLCHのデータを送信にも使われる可能性がある。例えば、
図5のシーケンスのMAC PDUにおいて、ULグラントは、データ1~3以外のデータ4の送信に使用されてもよい。換言すると、ULグラントは、端末装置100を最小単位として割り当てられるのであって、特定のLCHのデータ送信のために占有的に割り当てられるのではない。また、例えば、
図8のシーケンスのMAC PDUにおいて、ULグラントは、データ1以外のデータ2~4の送信に使用されてもよい。
【0115】
第6の実施の形態における端末装置100は、LCP処理において、割り当てられた無線リソースの使用方法を規定する。
【0116】
図13は、端末装置100がLCP処理を実施した結果、個別LCHに無線リソースが割当された場合の無線リソースに使用方法の例を示す図である。
図13では、端末装置100が個別LCH(LCH_4)のBSRに対してSR手順を実施しULグラントを受信する。端末装置100は、LCP処理において、無線リソースが当該個別LCHに対して割当られるように制御するため、集束LCHのデータを送信することを禁止する(あるいは制約する)制御を実施する。例えば、LCH_4は、URLLCデータのLCHであり、eMBBと比較して許容遅延時間が短い。そのため、LCH_4は、集束LCHよりも優先して送信されることが好ましい。よって、端末装置100は、例えば、優先度の高いデータの個別LCHに割り当てられた無線リソースを、集束LCHのデータ送信に使用しないようにすることで、優先度の高いデータの送信遅延を抑制する。このような制御は、例えば、LCP処理を拡張し、当該制約を実施するアルゴリズムを導入する。
【0117】
図14は、端末装置100がLCP処理を実施した結果、集束LCHに無線リソースが割当された場合の無線リソースに使用方法の例を示す図である。
図14では、端末装置100が集束LCHのBSRに対してSR手順を実施しULグラントを受信する。端末装置100は、LCP処理において、無線リソースが集束LCHに対して割当られないように制御し、個別LCH(LCH_4)のデータ4を送信することを許可する。上述したように、LCH_4のような、集束LCHのデータよりも優先して送信されるデータが存在する場合、端末装置100は、集束LCHに割り当てられた無線リソースであっても、優先度の高い個別LCHのデータの送信を許可する。これにより、優先度の高いLCHのデータを、先行して送信することができる。このような制御は、例えば、LCP処理を拡張し、当該制約を実施するアルゴリズムを導入する。
【0118】
なお、これらの例において、優先度が高いLCHのデータに無線リソースが割り当てられた後、無線リソースが余っている(余裕がある)場合には、集束LCHに無線リソースを割り当ててもよい。
【0119】
[その他の実施の形態]
各実施の形態は、それぞれ組み合わせてもよい。LCP処理で送信するデータや、BSRに含む情報は、それぞれ各実施の形態におけるものを他の実施の形態で使用してもよい。
【0120】
また、集束LCHによる制御と、個別LCHによる制御は、使い分けられてもよい。端末装置100は、例えば、無線品質、データの発生頻度、許容遅延時間などに応じて、個別LCHで制御するか、集束LCHとして制御するかを決定してもよい。また、基地局装置200が、いずれの制御を使用するかを、端末装置100に通知してもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 :通信システム
10 :無線局
11 :制御部
12 :通信部
13 :集束チャネル
20 :他の無線局
30 :通信システム
100 :端末装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :集束LCH制御プログラム
122 :個別LCH制御プログラム
123 :集束LCH無線リソース割当プログラム
124 :個別LCH無線リソース割当プログラム
125 :データ送信プログラム
130 :メモリ
140 :通信回路
200 :基地局装置
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :無線通信制御プログラム
222 :無線リソース割当プログラム
230 :メモリ
240 :通信回路
300 :コアネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リソースを取得するための第2信号の送信契機を生成する制御ができる制御部と、
前記送信契機に応じて、前記第2信号を他の無線局に送信し、前記他の無線局から前記無線リソースを受信することができる通信部と、を有し、
前記制御部は、集束チャネルのデータ量と、前記集束チャネルに関する第1の情報と、に応じて前記送信契機を生成する、又は、前記集束チャネルに対応するタイマが満了したときに前記送信契機を生成するように制御し、
前記無線リソースは、前記集束チャネルのデータに割り当てられ、前記集束チャネルに含まれないチャネルのデータに割り当てられない
無線局。
【請求項2】
前記集束チャネルは、複数のチャネルを集束したチャネル群である、
請求項1記載の無線局。
【請求項3】
前記通信部は、前記集束チャネルに含まれないチャネルのデータが発生した場合、前記チャネルの送信のための無線リソースを取得するための信号を送信する
請求項1記載の無線局。
【請求項4】
前記通信部は、前記集束チャネルの設定の情報である第3の情報を含む制御信号であるRRCの信号を受信する
請求項1に記載の無線局。
【請求項5】
前記通信部は、前記第1の情報を含む制御信号であるRRCの信号を受信する
請求項1に記載の無線局。
【請求項6】
前記タイマの値は、RRCの信号を介して、設定される、
請求項1に記載の無線局。
【請求項7】
集束チャネルのデータ量と、前記集束チャネルに関する第1の情報と、に応じて生成される又は、前記集束チャネルに対応するタイマが満了したときに生成される、無線リソースを取得するための第2信号の送信契機に応じて送信された、前記第2信号を他の無線局から受信する受信部と、
前記他の無線局に前記無線リソースを送信することができる送信部と、を有し、
前記無線リソースは、前記集束チャネルのデータに割り当てられ、前記集束チャネルに含まれないチャネルのデータに割り当てられない
第2無線局。
【請求項8】
無線リソースを取得するための第2信号の送信契機を生成する制御ができ、前記送信契機に応じて、前記第2信号を送信する第1無線局と、
前記第2信号を受信し、前記無線リソースを前記第1無線局に送信する第2無線局と、を有する無線通信システムであって、
前記第1無線局は、集束チャネルのデータ量と、前記集束チャネルに関する第1の情報と、に応じて前記送信契機を生成する又は、前記集束チャネルに対応するタイマが満了したときに前記送信契機を生成するように制御し、
前記無線リソースは、前記集束チャネルのデータに割り当てられ、前記集束チャネルに含まれないチャネルのデータに割り当てられない
無線通信システム。