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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091942
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240628BHJP
【FI】
B60K1/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072358
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2021083295の分割
【原出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
(72)【発明者】
【氏名】河端 真一
(72)【発明者】
【氏名】島田 宏
(57)【要約】
【課題】フロントウエイトを省略してもトラクタの前後の重量バランスを適正化することができるトラクタを提供すること。
【解決手段】トラクタは、車体と、前記車体に設けられたボンネットと、前記ボンネットの下方に設けられた車体フレームと、前記車体を走行可能に支持する走行装置と、前記車体に搭載されて前記走行装置を駆動する電動モータと、前記車体に対して着脱可能に装着される可搬バッテリを含み、前記電動モータに供給される電力を貯蔵するバッテリと、前記可搬バッテリが着脱可能に装着される装着部とを備え、前記装着部は、前記ボンネットの外部であって前記車体フレームの前部に設けられている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられたボンネットと、
前記ボンネットの下方に設けられた車体フレームと、
前記車体を走行可能に支持する走行装置と、
前記車体に搭載されて前記走行装置を駆動する電動モータと、
前記車体に対して着脱可能に装着される可搬バッテリを含み、前記電動モータに供給される電力を貯蔵するバッテリと、
前記可搬バッテリが着脱可能に装着される装着部と、
を備え、
前記装着部は、前記ボンネットの外部であって前記車体フレームの前部に設けられているトラクタ。
【請求項2】
前記装着部は、前記ボンネットの前方に設けられている請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
前記装着部は、前記可搬バッテリを前後方向の長さより上下方向の長さが長くなる向きで装着可能である請求項1又は2に記載のトラクタ。
【請求項4】
前記装着部に装着された前記可搬バッテリの上端部は、前記ボンネットに設けられた前照灯よりも下方に位置する請求項1~3のいずれか1項に記載のトラクタ。
【請求項5】
前記装着部は、前記ボンネットの外部であって前記車体フレームの前部に設けられた一の装着部と、前記ボンネットの内部に設けられた他の装着部とを含み、
前記可搬バッテリは、前記一の装着部と前記他の装着部に装着されている請求項1~4のいずれか1項に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータにより駆動するトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータにより駆動する作業車両として、例えば、特許文献1に開示された作業車両が知られている。
【0003】
この作業車両は、左右の電動モータにより各々駆動する左右の走行装置を有する走行機体を備え、左右の電動モータを走行機体の前後方向の一側に配備する一方、左右の電動モータを駆動するバッテリと制御装置を走行機体の前後方向の他側に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3220871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような作業車両の場合、スペースの制約から大容量のバッテリを搭載することが難しいため、バッテリ容量が小さくなり、稼働時間が短くなってしまうという問題がある。一方、大容量のバッテリを搭載した場合、稼働時間が長くなるものの、エンジン駆動の車両に比べて車体コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ユーザの要望等に応じて、バッテリ容量の確保と車体コストの低減とのバランスを調整することが可能な電動モータ駆動の作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が上記課題を解決するために講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
【0008】
トラクタは、車体と、前記車体に設けられたボンネットと、前記ボンネットの下方に設けられた車体フレームと、前記車体を走行可能に支持する走行装置と、前記車体に搭載されて前記走行装置を駆動する電動モータと、前記車体に対して着脱可能に装着される可搬バッテリを含み、前記電動モータに供給される電力を貯蔵するバッテリと、前記可搬バッテリが着脱可能に装着される装着部と、を備え、前記装着部は、前記ボンネットの外部であって前記車体フレームの前部に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る作業車両によれば、電動モータに供給される電力を貯蔵するバッテリが、車体に固定された車載バッテリと、車体に対して着脱可能に装着される可搬バッテリと、を含むため、車体に装着される可搬バッテリの容量(数等)を調整することにより、ユーザの要望等に応じてバッテリ容量の確保と車体コストの低減とのバランスを調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る作業車両の一例としてユーティリティビークルを示す側面図である。
図2】切り替え機構の第1例を示す図である。
図3】切り替え機構の第2例を示す図である。
図4】切り替え機構の第3例を示す図である。
図5】第3例の切り替え機構において、ジャンクションボックスに収容されたリレーを示す図である。
図6A図5に示すリレーにおいて、第1出力ケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される第1接続状態を示す図である。
図6B図5に示すリレーにおいて、第2出力ケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される第2接続状態を示す図である。
図7】切り替え機構の第4例を示す図である。
図8】第4例の切り替え機構において、ジャンクションボックスに収容されたリレーを示す図である。
図9A図8に示すリレーにおいて、第1出力ケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される第1接続状態を示す図である。
図9B図8に示すリレーにおいて、第2出力ケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される第2接続状態であって、一のケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される一の状態を示す図である。
図9C図8に示すリレーにおいて、第2出力ケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される第2接続状態であって、他のケーブルと供給ケーブルとが電気的に接続される他の状態を示す図である。
図10】複数の装着部を備えた作業車両の一例としてユーティリティビークルを示す図である。
図11】複数の装着部を備えた作業車両の一例としてトラクタを示す側面図である。
図12】複数の装着部を備えた作業車両の一例としてバックホーを示す側面図である。
図13A】可搬バッテリの装着方法の例を示す図である。
図13B】可搬バッテリの装着方法の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る作業車両の好適な実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る作業車両の一実施形態を示す側面図である。
【0013】
図1では、作業車両1の一例としてユーティリティビークル(多目的作業車)が示されている。ユーティリティビークルは、農作業や運搬作業等の多様な作業に使用される作業車両である。
【0014】
但し、本発明に係る作業車両は、ユーティリティビークルには限定されず、例えば、トラクタ、バックホー、ローダ作業機(ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等)などであってもよい。
【0015】
作業車両1は、車体2と、車体2を走行可能に支持する走行装置3とを備えている。
【0016】
車体2には、運転者が着座する座席4と、運搬物を載せるための荷台5が設けられている。荷台5は、車体2の後部(座席4の後方)に設けられている。荷台5は、ダンプシリンダ(図示略)の駆動により前部を上昇させて傾けることができる。
【0017】
走行装置3は、車体2の前部に設けられた前輪3Fと、車体2の後部に設けられた後輪3Rとを有している。前輪3Fと後輪3Rは、車体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。つまり、走行装置3は、4つの車輪を有している。
【0018】
車体2には、走行装置3を駆動する電動モータ6が搭載されている。電動モータ6は、荷台5の下方に配置されている。電動モータ6の動力は、前輪3Fと後輪3Rとに伝達される。つまり、本実施形態の作業車両1は、4輪駆動型の作業車両である。但し、作業車両1は、後輪駆動型又は前輪駆動型であってもよい。
【0019】
車体2には、電動モータ6に供給される電力を貯蔵する複数のバッテリ7が備えられている。複数のバッテリ7は、車体2に固定された車載バッテリ8と、車体2に対して着脱可能に装着される可搬バッテリ9と、を含む。
【0020】
車載バッテリ8は、車体2に対して固定されている。車載バッテリ8は、原則として車体2から取り外されないが、修理時や交換時には車体2から取り外すことができる。車載バッテリ8は、座席4の下方に配置されている。車載バッテリ8は、複数のバッテリモジュールを一体化したバッテリパックとして構成されている。
【0021】
可搬バッテリ9は、車体2に備えられた装着部10に対して着脱可能に装着される。
【0022】
可搬バッテリ9は、例えば、ねじにより装着部10に対して装着することができる。図13A図13Bは、可搬バッテリ9の装着方法の例を示す図であって、2つ以上のねじ11を用いた装着方法を示している。図13Aに示す例では、直方体形状の可搬バッテリ9の平面視における対角線上に位置する2つの角部が、ねじ11により装着部10に固定されている。図13Bに示す例では、直方体形状の可搬バッテリ9の平面視における対角線上に突出部12が形成されており、この突出部12がねじ11により車体2に固定されている。これらの例では、ねじ11を外すことによって可搬バッテリ9を装着部10から取り外すことができる。但し、可搬バッテリ9の装着方法は、ねじを用いた装着方法には限定されない。例えば、可搬バッテリ9は、篏合や係合等の方法によって、装着部10に対して着脱可能に装着されてもよい。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の場合、装着部10は、荷台5の上部(具体的には、荷台5の前上部)に設けられている。そのため、可搬バッテリ9は、荷台5の上部(具体的には、荷台5の前上部)に装着されている。但し、装着部10の位置は荷台5の上部に限定されるものではなく、装着部10の位置は適宜変更することができる。また、作業車両1が備える装着部10の数は、1つであってもよいし複数であってもよい。
【0024】
可搬バッテリ9は車載バッテリ8よりも小型で軽量であるため、車載バッテリ8に比べて装着位置の制限が少ない。そのため、可搬バッテリ9は、車載バッテリ8の装着が困難な位置にも装着することができる。また、複数の可搬バッテリ9を複数の装着部10に分けて装着することも容易となる。
【0025】
可搬バッテリ9は、車載バッテリ8とは異なり、修理時や交換時以外にも必要に応じて車体2に対して着脱される。そのため、可搬バッテリ9は、車載バッテリ8よりも車体2から容易に取り外すことができるように装着部10に装着されている。
【0026】
可搬バッテリ9は、1つのバッテリモジュールからなるバッテリパック又は複数のバッテリモジュールを一体化したバッテリパックとして構成されている。可搬バッテリ9を構成するバッテリモジュールの数は、車載バッテリ8を構成するバッテリモジュールの数よりも少ない。そのため、可搬バッテリ9は、車載バッテリ8に比べて小型且つ軽量である。これにより、運転者が可搬バッテリ9を容易に持ち運びすることが可能となる。
【0027】
車体2に装着される可搬バッテリ9の数は、1つであってもよいし複数であってもよい。好ましくは、複数の可搬バッテリ9が車体2に装着される。複数の可搬バッテリ9を車体2に装着する場合、1つの装着部10に複数の可搬バッテリ9を装着してもよいし、複数の可搬バッテリ9を複数の装着部10に分けて装着してもよい。
【0028】
複数の可搬バッテリ9が車体2に装着される場合、例えば、1つの可搬バッテリ9の容量を車載バッテリ8の容量よりも小さくし、複数の可搬バッテリ9の合計容量を車載バッテリ8の容量以上とすることができる。
【0029】
複数の可搬バッテリ9は、全てが同じ容量のものであってもよいし、一部に異なる容量のものを含んでいてもよいし、全てが異なる容量のものであってもよい。これは、後述する第1例~第4例(図2図4図7)の場合も同様である。
【0030】
可搬バッテリ9は、車載バッテリ8よりも優先的に使用される。可搬バッテリ9の残存容量が所定量以上ある場合には可搬バッテリ9を使用し、可搬バッテリ9の残存容量が所定量未満となった場合に車載バッテリ8が使用される。車体2に対して着脱可能な可搬バッテリ9を優先的に使用することにより、バッテリの交換作業を容易に行うことが可能となる。可搬バッテリ9の使用と車載バッテリ8の使用との切り替えは、後述する切り替え機構13により手動又は自動で行うことができる。
【0031】
作業車両1には、発電機を搭載することができる。発電機の発電により発生した電力は、電動モータ6に供給してもよいし、車載バッテリ8及び/又は可搬バッテリ9に充電してもよい。但し、発電機は、必ずしも作業車両1に搭載する必要はなく、別の場所(例えば、充電スタンド、駐車場など)に設置してもよい。
【0032】
作業車両1は、車載バッテリ8から電動モータ6へと電力を供給する第1状態と、可搬バッテリ9から電動モータ6へと電力を供給する第2状態とを切り替え可能な切り替え機構13を備えている。
【0033】
図2は、切り替え機構13の第1例を示す図である。
【0034】
第1例の切り替え機構13は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15と入力コネクタ16とを有している。
【0035】
第1出力コネクタ14は、車載バッテリ8から電力を取り出し可能に設けられている。第2出力コネクタ15は、可搬バッテリ9から電力を取り出し可能に設けられている。第2出力コネクタ15は、複数の可搬バッテリ9のそれぞれに設けられている。
【0036】
入力コネクタ16は、電動モータ6に電力を供給可能に設けられている。電動モータ6にはインバータ17が接続されており、入力コネクタ16はインバータ17に接続されている。これにより、入力コネクタ16から入力された電力は、インバータ17を介して電動モータ6に供給される。
【0037】
入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15とを選択的に接続可能である。入力コネクタ16と第1出力コネクタ14又は第2出力コネクタ15との接続は、作業車両1の運転者等の作業者が人手で行うことができる。
【0038】
入力コネクタ16を第1出力コネクタ14と接続した場合、車載バッテリ8から取り出した電力を電動モータ6に供給することができる。入力コネクタ16を第2出力コネクタ15と接続した場合、可搬バッテリ9から取り出した電力を電動モータ6に供給することができる。そのため、車載バッテリ8を使用する場合は、入力コネクタ16を第1出力コネクタ14と接続し、可搬バッテリ9を使用する場合は、入力コネクタ16を第2出力コネクタ15と接続すればよい。
【0039】
第2出力コネクタ15は複数の可搬バッテリ9のそれぞれに設けられているため、複数の可搬バッテリ9の中から使用する可搬バッテリ9を選択し、選択された可搬バッテリ9に設けられた第2出力コネクタ15を入力コネクタ16と接続することができる。これにより、複数の可搬バッテリ9の中から、使用したい可搬バッテリ9を選択して使用することができる。
【0040】
尚、図2では、可搬バッテリ9が複数(4つ)設けられている場合を示しているが、可搬バッテリ9の数は1つであってもよい。可搬バッテリ9の数が1つの場合、第2出力コネクタ15の数は1つであるため、使用される可搬バッテリ9は1つに特定される。
【0041】
切り替え機構13は、発電機18から電力を取り出し可能な第3コネクタ19を備えている。第3コネクタ19は、入力コネクタ16、第1出力コネクタ14、第2出力コネクタ15と接続可能である。第3コネクタ19を入力コネクタ16と接続した場合、発電機18から取り出された電力はインバータ17を介して電動モータ6に供給される。第3コネクタ19を第1出力コネクタ14と接続した場合、発電機18から取り出された電力は車載バッテリ8に充電される。第3コネクタ19を第2出力コネクタ15と接続した場合、発電機18から取り出された電力は可搬バッテリ9に充電される。
【0042】
図3は、切り替え機構13の第2例を示す図である。
【0043】
第2例の切り替え機構13は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15と入力コネクタ16と中継ケーブル20とを有している。
【0044】
第1出力コネクタ14は、車載バッテリ8から電力を取り出し可能に設けられている。第2出力コネクタ15は、可搬バッテリ9から電力を取り出し可能に設けられている。第2出力コネクタ15は、複数の可搬バッテリ9のそれぞれに設けられている。
【0045】
入力コネクタ16は、電動モータ6に電力を供給可能に設けられている。電動モータ6にはインバータ17が接続されており、入力コネクタ16はインバータ17に接続されている。
【0046】
入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15とを選択的に接続可能である。尚、後述するように、入力コネクタ16と第2出力コネクタ15とは、中継ケーブル20及び中継コネクタ(第1中継コネクタ21,第2中継コネクタ22)を介して間接的に接続される。
【0047】
中継ケーブル20は、第2出力コネクタ15から出力された電力を入力コネクタ16へと供給するケーブルである。中継ケーブル20は、第1中継コネクタ21と第2中継コネクタ22とを有している。第1中継コネクタ21は、入力コネクタ16と接続可能である。第2中継コネクタ22は複数設けられている。複数の第2中継コネクタ22は、複数の第2出力コネクタ15のそれぞれと接続可能である。複数の第2中継コネクタ22と複数の第2出力コネクタ15とは一対一で対応している。
【0048】
入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と第1中継コネクタ21とを選択的に接続可能である。入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と直接的に接続可能であり、第1中継コネクタ21及び中継ケーブル20を介して第2出力コネクタ15と接続可能である。そのため、入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15とを選択的に接続可能であるといえる。入力コネクタ16と第1出力コネクタ14又は第1中継コネクタ21との接続は、作業車両1の運転者等の作業者が人手で行うことができる。
【0049】
入力コネクタ16を第1出力コネクタ14と接続した場合、車載バッテリ8から取り出した電力を電動モータ6に供給することができる。入力コネクタ16を第1中継コネクタ21及び中継ケーブル20を介して第2出力コネクタ15と接続した場合、可搬バッテリ9から取り出した電力を電動モータ6に供給することができる。
【0050】
第2出力コネクタ15は複数の可搬バッテリ9のそれぞれに設けられているため、複数の可搬バッテリ9の中から使用する1又は複数の可搬バッテリ9を選択し、選択された可搬バッテリ9に設けられた第2出力コネクタ15を、当該第2出力コネクタ15と対応する第2中継コネクタ22と接続することができる。これにより、選択された1又は複数の可搬バッテリ9に貯蔵された電力を電動モータ6に供給することができる。
【0051】
切り替え機構13は、発電機18から電力を取り出し可能な第3コネクタ19を備えている。第3コネクタ19は、入力コネクタ16、第1出力コネクタ14、第1中継コネクタ21と接続可能である。第3コネクタ19を入力コネクタ16と接続した場合、発電機18から取り出された電力はインバータ17を介して電動モータ6に供給される。第3コネクタ19を第1出力コネクタ14と接続した場合、発電機18から取り出された電力は車載バッテリ8に充電される。第3コネクタ19を第1中継コネクタ21と接続した場合、発電機18から取り出された電力は、中継ケーブル20及び第2出力コネクタ15を介して可搬バッテリ9に充電される。
【0052】
図4は、切り替え機構13の第3例を示す図である。
【0053】
第3例の切り替え機構13は、第1出力ケーブル23、第2出力ケーブル24、供給ケーブル25、ジャンクションボックス26を有している。
【0054】
第1出力ケーブル23は、車載バッテリ8から電力を取り出すケーブルである。第2出力ケーブル24は、可搬バッテリ9から電力を取り出すケーブルである。供給ケーブル25は、電動モータ6に電力を供給するケーブルである。ジャンクションボックス26には、少なくともリレーを含む電気回路や電気配線が収容されている。
【0055】
第1出力ケーブル23は、ジャンクションボックス26と車載バッテリ8とを接続するケーブルである。第2出力ケーブル24は、ジャンクションボックス26と可搬バッテリ9とを接続するケーブルである。第2出力ケーブル24は、1又は複数のコネクタ40を有している。コネクタ40は、可搬バッテリ9に設けられたコネクタ41と接続可能である。
【0056】
図4に示す例では、第2出力ケーブル24は複数のコネクタ40を有しており、可搬バッテリ9は複数である。そして、複数の可搬バッテリ9にそれぞれコネクタ41が設けられている。複数のコネクタ40は、複数のコネクタ41のそれぞれと接続可能である。複数のコネクタ40と複数のコネクタ41とは一対一で対応している。複数のコネクタ40と複数のコネクタ41とを接続することにより、第2出力ケーブル24は複数の可搬バッテリ9から電力を取り出すことができる。
【0057】
電動モータ6にはインバータ17が接続されており、供給ケーブル25の一端側はインバータ17に接続されている。これにより、供給ケーブル25に入力された電力は、インバータ17を介して電動モータ6に供給される。供給ケーブル25の他端側はジャンクションボックス26に接続されている
図5は、ジャンクションボックス26に収容されたリレー27を示す図である。
【0058】
リレー27は、第1出力ケーブル23と供給ケーブル25とが電気的に接続される第1接続状態(図6A参照)と、第2出力ケーブル24と供給ケーブル25とが電気的に接続される第2接続状態(図6B参照)とを切り替え可能である。
【0059】
リレー27が第1接続状態にあるとき、第1出力ケーブル23と供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、車載バッテリ8に貯蔵された電力が第1出力ケーブル23から取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。リレー27が第2接続状態にあるとき、第2出力ケーブル24と供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、可搬バッテリ9に貯蔵された電力が第2出力ケーブル24から取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。
【0060】
図4に示すように、切り替え機構13は、リレー27の動作を制御する制御部28を備えている。制御部28は、CPU、電気電子回路、記憶部等から構成されている。記憶部は、RAMやROM等から構成されている。記憶部には所定の制御プログラムが記憶されており、CPUは制御プログラムに基づいてリレー27の動作の制御を実行する。
【0061】
制御部28は、可搬バッテリ9の残存容量が所定量以上であるときにはリレー27を第2接続状態とし、可搬バッテリ9の残存容量が所定量未満であるときにはリレー27を第1接続状態とする。
【0062】
可搬バッテリ9の残存容量(充電された電力の残量)は、可搬バッテリ9に設けられた容量検出装置(図示略)により検出され、検出された残存容量の数値データは制御部28に送信される。制御部28は、残存容量の数値データに基づいて可搬バッテリ9の残存容量が所定量以上であるか所定量未満であるかを判断する。
【0063】
切り替え機構13は、発電機18から電力を取り出し可能なコネクタ42を備えている。コネクタ42は、第2出力ケーブル24に設けられたコネクタ40と接続可能である。コネクタ42をコネクタ40と接続した場合、発電機18から取り出された電力は、ジャンクションボックス26からインバータ17を介して電動モータ6に供給される。
【0064】
図7は、切り替え機構13の第4例を示す図である。
【0065】
第4例の切り替え機構13は、第1出力ケーブル23、第2出力ケーブル24、供給ケーブル25、ジャンクションボックス26を有している。
【0066】
第1出力ケーブル23は、車載バッテリ8から電力を取り出すケーブルである。第2出力ケーブル24は、可搬バッテリ9から電力を取り出すケーブルである。供給ケーブル25は、電動モータ6に電力を供給するケーブルである。ジャンクションボックス26には、少なくともリレーを含む電気回路や電気配線が収容されている。
【0067】
第1出力ケーブル23は、ジャンクションボックス26と車載バッテリ8とを接続するケーブルである。第2出力ケーブル24は、ジャンクションボックス26と可搬バッテリ9とを接続するケーブルである。
【0068】
可搬バッテリ9は、一の可搬バッテリ9Aと他の可搬バッテリ9Bとを含む。一の可搬バッテリ9Aは、1つ又は複数の可搬バッテリ9から構成されている。図7では、一の可搬バッテリ9Aは複数(2つ)の可搬バッテリ9から構成されている。他の可搬バッテリ9Bは、1つ又は複数の可搬バッテリ9から構成されている。図7では、他の可搬バッテリ9Bは複数(2つ)の可搬バッテリ9から構成されている。一の可搬バッテリ9Aを構成する可搬バッテリ9の数と他の可搬バッテリ9Bを構成する可搬バッテリ9の数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、一の可搬バッテリ9Aを構成する可搬バッテリの合計容量と他の可搬バッテリ9Bを構成する可搬バッテリ9の合計容量は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
第2出力ケーブル24は、一の可搬バッテリ9Aから電力を取り出す一のケーブル24Aと、他の可搬バッテリ9Bから電力を取り出す他のケーブル24Bとを含む。一のケーブル24Aは、1又は複数のコネクタ43を有している。コネクタ43は、一の可搬バッテリ9Aに設けられたコネクタ44と接続可能である。他のケーブル24Bは、1又は複数のコネクタ45を有している。コネクタ45は、他の可搬バッテリ9Bに設けられたコネクタ46と接続可能である。
【0070】
複数のコネクタ43は、複数のコネクタ44のそれぞれと接続可能である。複数のコネクタ43と複数のコネクタ44とは一対一で対応している。複数のコネクタ43と複数のコネクタ44とを接続することにより、一のケーブル24Aは複数の一の可搬バッテリ9Aから電力を取り出すことができる。
【0071】
複数のコネクタ45は、複数のコネクタ46のそれぞれと接続可能である。複数のコネクタ45と複数のコネクタ46とは一対一で対応している。複数のコネクタ45と複数のコネクタ46とを接続することにより、他のケーブル24Bは複数の他の可搬バッテリ9Bから電力を取り出すことができる。
【0072】
電動モータ6にはインバータ17が接続されており、供給ケーブル25の一端側はインバータ17に接続されている。これにより、供給ケーブル25に入力された電力は、インバータ17を介して電動モータ6に供給される。供給ケーブル25の他端側はジャンクションボックス26に接続されている
図8は、ジャンクションボックス26に収容されたリレー27を示す図である。
【0073】
リレー27は、第1出力ケーブル23と供給ケーブル25とが電気的に接続される第1接続状態(図9A参照)と、第2出力ケーブル24と供給ケーブル25とが電気的に接続される第2接続状態(図9B図9C参照)とを切り替え可能である。
【0074】
リレー27が第1接続状態にあるとき、第1出力ケーブル23と供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、車載バッテリ8に貯蔵された電力が第1出力ケーブル23から取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。リレー27が第2接続状態にあるとき、第2出力ケーブル24と供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、可搬バッテリ9に貯蔵された電力が第2出力ケーブル24から取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。
【0075】
リレー27は、第2接続状態として、一のケーブル24Aと供給ケーブル25とが電気的に接続される一の状態(図9B参照)と、他のケーブル24Bと供給ケーブル25とが電気的に接続される他の状態(図9C参照)を切り替え可能である。
【0076】
リレー27が一の状態にあるとき、一のケーブル24Aと供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、一の可搬バッテリ9Aに貯蔵された電力が一のケーブル24Aから取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。リレー27が他の状態にあるとき、他のケーブル24Bと供給ケーブル25とが電気的に接続されるため、他の可搬バッテリ9Bに貯蔵された電力が他のケーブル24Bから取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。
【0077】
一の状態と他の状態との切り替えは、作業車両1に設けられた操作スイッチを運転者が操作することにより行ってもよいし、制御部28によって自動的に行うように構成してもよい。制御部28は、例えば、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときにはリレー27を第2接続状態の一の状態とし、一の可搬バッテリの残存容量が所定量未満であるときにはリレー27を第2接続状態の他の状態とし、他の可搬バッテリ9Bの残存容量が所定量未満であるときにはリレー27を第1接続状態とする。
【0078】
また、図示していないが、リレー27は、第2接続状態として、一のケーブル24Aと供給ケーブル25とが電気的に接続され且つ他のケーブル24Bと供給ケーブル25とが電気的に接続される状態(第3の状態)への切り替えが可能であってもよい。つまり、リレー27は、第2接続状態として、一の状態と他の状態と第3の状態とを切り替え可能であってもよい。第3の状態に切り替えた場合、一の可搬バッテリ9Aに貯蔵された電力が一のケーブル24Aから取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給され、他の可搬バッテリ9Bに貯蔵された電力が他のケーブル24Bから取り出されて供給ケーブル25を介して電動モータ6に供給される。
【0079】
一の状態と他の状態と第3の状態の切り替えは、作業車両1に設けられた操作スイッチを運転者が操作することにより行ってもよいし、制御部28によってリレー27の動作を制御することにより自動的に行うように構成してもよい。
【0080】
尚、図5図9において、Nは-側の配線を表し、Pは+側の配線を表している。図5図9に示したリレー27において、N(-)側のリレーを省略してP(+)側のリレーのみとしてもよい。
【0081】
作業車両1は、可搬バッテリ9を装着可能な装着部10を複数備えていることが好ましい。装着部10は、車体2の前方、車体2の後方、車体2に設けられたボンネット29内部、車体2に搭載された座席4の下方、座席4上方の屋根31、車体2に設けられた荷台5の上部又は下部の少なくとも1箇所以上に設けられることが好ましい。また、装着部10は、これらの位置以外の位置に設けてもよい。
【0082】
図10は、複数の装着部10を備えた作業車両1の一例を示している。
【0083】
図10に示す作業車両1は、ユーティリティビークルであって、座席4の下方に車載バッテリ8を備えている。作業車両(ユーティリティビークル)1は、7つの装着部10を備えている。以下、7つの装着部10を、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10D、第5装着部10E、第6装着部10F、第7装着部10Gという。但し、作業車両(ユーティリティビークル)1は、これら7つの装着部10を全て備える必要はなく、少なくとも1つ以上(好ましくは2つ以上)の装着部10を備えていればよい。
【0084】
第1装着部10Aは、荷台5の上部に設けられている。第2装着部10Bは、荷台5の下部に設けられている。第3装着部10Cは、車体2の前部(ボンネット29の内部)に設けられている。第4装着部10Dは、車体2の下部(座席4前方のステップ30の下方)に設けられている。第5装着部10Eは、座席4の上方の屋根31に設けられている。第6装着部10Fは、車体2の後方(荷台5の後方)に設けられている。第7装着部10Gは、車体2の前方(ボンネット29の前方(車体フレーム32の前部))に設けられている。また、図示していないが、装着部10は、座席4の下方に設けてもよい。
【0085】
第1装着部10A~第7装着部10Gのうちの1つ又は複数には、可搬バッテリ9が着脱可能に装着される。複数の可搬バッテリ9が装着される場合、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9を最も優先的に使用することが好ましい。また、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9、第2装着部10Bに装着した可搬バッテリ9、第3装着部10Cに装着した可搬バッテリ9、第4装着部10Dに装着した可搬バッテリ9、第5装着部10Eに装着した可搬バッテリ9、第6装着部10Fに装着した可搬バッテリ9、第7装着部10Gに装着した可搬バッテリ9の順番に、優先的に使用することが好ましい。これは、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10D、第5装着部10E、第6装着部10F、第7装着部10Gの順番に、可搬バッテリ9の着脱を容易に行うことができるためである。
【0086】
作業車両1が上述した第4例の切り替え機構13を備えている場合、一の可搬バッテリ9Aを第1装着部10A(荷台5の上部)に装着し、他の可搬バッテリ9Bを第1装着部10A以外の装着部に装着することが好ましい。この場合、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態(図9B参照)を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態(図9C参照)を選択するように動作する。このリレー27の動作は、制御部28によるリレー27の動作制御により実行される。これにより、第1装着部10A(荷台5の上部)に装着された可搬バッテリ9を他の装着部に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0087】
図11は、複数の装着部10を備えた作業車両1の別の例を示している。
【0088】
図11に示す作業車両1は、トラクタであって、ボンネット29の内部に車載バッテリ8を備えている。ボンネット29の内部には、電動モータ6も搭載されている。作業車両(トラクタ)1は、7つの装着部10を備えている。以下、7つの装着部10を、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10D、第5装着部10E、第6装着部10F、第7装着部10Gという。但し、作業車両(トラクタ)1は、これら7つの装着部10を全て備える必要はなく、少なくとも1つ以上(好ましくは2つ以上)の装着部10を備えていればよい。
【0089】
第1装着部10Aは、ボンネット29の内部に設けられている。第2装着部10Bは、車体2の下部(前輪3Fと後輪3Rの間)に設けられている。第3装着部10Cは、車体2の後部(後輪3Rの上方を覆うフェンダ36)に設けられている。第4装着部10Dは、キャビン33の屋根31に設けられている。第5装着部10Eは、車体2の前方(ボンネット29の前方(車体フレーム32の前部))に設けられている。第6装着部10Fは、車体2の後方に設けられている。第7装着部10Gは、キャビン33の内部に設けられている。また、図示していないが、装着部10は、座席4の下方に設けてもよい。
【0090】
第1装着部10A~第7装着部10Gのうちの1つ又は複数には、可搬バッテリ9が着脱可能に装着される。複数の可搬バッテリ9が装着される場合、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9を最も優先的に使用することが好ましい。また、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9、第2装着部10Bに装着した可搬バッテリ9、第3装着部10Cに装着した可搬バッテリ9、第4装着部10Dに装着した可搬バッテリ9、第5装着部10Eに装着した可搬バッテリ9、第6装着部10Fに装着した可搬バッテリ9、第7装着部10Gに装着した可搬バッテリ9の順番に、優先的に使用することが好ましい。これは、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10D、第5装着部10E、第6装着部10F、第7装着部10Gの順番に、可搬バッテリ9の着脱を容易に行うことができるためである。
【0091】
作業車両1が上述した第4例の切り替え機構13を備えている場合、一の可搬バッテリ9Aを第1装着部10A(ボンネット29の内部)に装着し、他の可搬バッテリ9Bを第1装着部10A以外の装着部に装着することが好ましい。この場合、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態(図9B参照)を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態(図9C参照)を選択するように動作する。このリレー27の動作は、制御部28によるリレー27の動作制御により実行される。これにより、第1装着部10A(ボンネット29の内部)に装着された可搬バッテリ9を他の装着部に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0092】
図12は、複数の装着部10を備えた作業車両1のさらに別の例を示している。
【0093】
図12に示す作業車両1は、バックホーであって、ボンネット29の内部に車載バッテリ8を備えている。作業車両(バックホー)1は、4つの装着部10を備えている。以下、4つの装着部10を、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10Dという。但し、作業車両(バックホー)1は、これら4つの装着部10を全て備える必要はなく、少なくとも1つ以上(好ましくは2つ以上)の装着部10を備えていればよい。
【0094】
第1装着部10Aは、ボンネット29の内部(車体2の後部)に設けられている。第2装着部10Bは、座席4の側方に設けられた側部カバー34の内部に設けられている。第3装着部10Cは、座席4の上方の屋根31に設けられている。第4装着部10Dは、走行装置(クローラ)3のフレーム35に設けられている。また、図示していないが、装着部10は、座席4の下方に設けてもよい。
【0095】
第1装着部10A~第4装着部10Dのうちの1つ又は複数には、可搬バッテリ9が着脱可能に装着される。複数の可搬バッテリ9が装着される場合、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9を最も優先的に使用することが好ましい。また、第1装着部10Aに装着した可搬バッテリ9、第2装着部10Bに装着した可搬バッテリ9、第3装着部10Cに装着した可搬バッテリ9、第4装着部10Dに装着した可搬バッテリ9の順番に、優先的に使用することが好ましい。これは、第1装着部10A、第2装着部10B、第3装着部10C、第4装着部10Dの順番に、可搬バッテリ9の着脱を容易に行うことができるためである。
【0096】
作業車両1が上述した第4例の切り替え機構13を備えている場合、一の可搬バッテリ9Aを第1装着部10A(ボンネット29の内部)に装着し、他の可搬バッテリ9Bを第1装着部10A以外の装着部に装着することが好ましい。この場合、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態(図9B参照)を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態(図9C参照)を選択するように動作する。このリレー27の動作は、制御部28によるリレー27の動作制御により実行される。これにより、第1装着部10A(ボンネット29の内部)に装着された可搬バッテリ9を他の装着部に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0097】
作業車両1が複数の可搬バッテリ9を備えている場合、車載バッテリ8に近い位置に装着された可搬バッテリ9を他の可搬バッテリ9Bに優先して使用するように構成することができる。この場合、車載バッテリ8にアクセスするときと近い位置で、優先して使用する可搬バッテリ9に対してアクセスすることができる。そのため、優先して使用する可搬バッテリ9に対するアクセス性が良好となる。
【0098】
図10に示す作業車両(ユーティリティビークル)1は、第1装着部10Aに装着された可搬バッテリ9と第2装着部10Bに装着された可搬バッテリ9とが、他の装着部に装着された可搬バッテリ9よりも車載バッテリ8に近い位置に装着されている。
【0099】
この場合、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ(第1装着部10Aに装着された可搬バッテリ9と第2装着部10Bに装着された可搬バッテリ9)の残存容量が所定量以上であるときには一の状態(図9B参照)を選択し、当該一の可搬バッテリの残存容量が所定量未満であるときには他の状態(図9C参照)を選択するように動作する。このリレー27の動作は、制御部28によるリレー27の動作制御により実行される。これにより、車載バッテリ8に近い位置(第1装着部10A、第2装着部10B)に装着された可搬バッテリ9を他の装着部に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0100】
図11に示す作業車両(トラクタ)1及び図12に示す作業車両(バックホー)1は、第1装着部10Aに装着された可搬バッテリ9が、他の装着部に装着された可搬バッテリ9よりも車載バッテリ8に近い位置に装着されている。
【0101】
この場合、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ(第1装着部10Aに装着された可搬バッテリ9)の残存容量が所定量以上であるときには一の状態(図9B参照)を選択し、当該一の可搬バッテリの残存容量が所定量未満であるときには他の状態(図9C参照)を選択するように動作する。このリレー27の動作は、制御部28によるリレー27の動作制御により実行される。これにより、車載バッテリ8に近い位置(第1装着部10A)に装着された可搬バッテリ9を他の装着部に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0102】
本発明において、制御部28は、走行装置3が駆動しているときには、上述した第1接続状態と第2接続状態との切り替えを実行しないことが好ましい。これにより、作業車両1が走行しているときに、第1接続状態と第2接続状態との切り替えによって走行が中断されることを防止できる。
【0103】
上記した作業車両1の構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0104】
作業車両1は、車体2と、車体2を走行可能に支持する走行装置3と、車体2に搭載されて走行装置3を駆動する電動モータ6と、電動モータ6に供給される電力を貯蔵する複数のバッテリ7と、を備え、複数のバッテリ7は、車体2に固定された車載バッテリ8と、車体2に対して着脱可能に装着される可搬バッテリ9と、を含む。
【0105】
この構成によれば、車体2に装着される可搬バッテリ9の容量(数等)を調整することにより、ユーザの要望等に応じてバッテリ容量の確保と車体コストの低減とのバランスを調整することが可能となる。即ち、バッテリ容量が大きいことを重視する場合には、可搬バッテリ9の容量(数等)を増やすことにより、大きいバッテリ容量を確保することができる。一方、車体コストの低減を重視する場合には、可搬バッテリ9の容量(数等)を減らすことにより、車体コストの低減を実現することができる。
【0106】
また、作業車両1は、車載バッテリ8から電動モータ6へと電力を供給する第1状態と、可搬バッテリ9から電動モータ6へと電力を供給する第2状態とを切り替え可能な切り替え機構13を備えている。
【0107】
この構成によれば、切り替え機構13によって、車載バッテリ8の使用と可搬バッテリ9の使用とを容易に切り替えることが可能となる。
【0108】
また、切り替え機構13は、車載バッテリ8から電力を取り出し可能に設けられた第1出力コネクタ14と、可搬バッテリ9から電力を取り出し可能に設けられた第2出力コネクタ15と、電動モータ6に電力を供給可能に設けられた入力コネクタ16と、を有し、入力コネクタ16は、第1出力コネクタ14と第2出力コネクタ15とを選択的に接続可能である。
【0109】
この構成によれば、入力コネクタ16と第1出力コネクタ14とを接続することにより、車載バッテリ8から電力を取り出して電動モータ6に電力を供給可能となる。また、入力コネクタ16と第2出力コネクタ15とを接続することにより、可搬バッテリ9から電力を取り出して電動モータ6に電力を供給可能となる。従って、コネクタを繋ぎ変えるという簡単な操作によって、車載バッテリ8の使用と可搬バッテリ9の使用とを容易に切り替えることが可能となる。
【0110】
また、切り替え機構13は、第2出力コネクタ15から出力された電力を入力コネクタ16へと供給する中継ケーブル20を有し、可搬バッテリ9は車体2に複数装着されており、第2出力コネクタ15は、複数の可搬バッテリ9のそれぞれに設けられた複数の第2出力コネクタ15を含み、中継ケーブル20は、入力コネクタ16と接続可能な第1中継コネクタ21と、複数の第2出力コネクタ15のそれぞれと接続可能な複数の第2中継コネクタ22とを有する。
【0111】
この構成によれば、複数の第2出力コネクタ15のうちの1つ又は複数を第2中継コネクタ22と接続し、入力コネクタ16と第1中継コネクタ21とを接続することにより、使用したい1つ又は複数の可搬バッテリ9から電力を取り出して中継ケーブル20を介して入力コネクタ16へと導くことができる。そのため、1つ又は複数の可搬バッテリ9を任意に選択して使用することができる。
【0112】
また、切り替え機構13は、車載バッテリ8から電力を取り出す第1出力ケーブル23と、可搬バッテリ9から電力を取り出す第2出力ケーブル24と、電動モータ6に電力を供給する供給ケーブル25と、第1出力ケーブル23と供給ケーブル25とが電気的に接続される第1接続状態と、第2出力ケーブル24と供給ケーブル25とが電気的に接続される第2接続状態とを切り替え可能なリレー27と、を有している。
【0113】
この構成によれば、リレー27により第1接続状態と第2接続状態とを切り替えることによって、車載バッテリ8から電力を取り出して電動モータ6に供給する状態と、可搬バッテリ9から電力を取り出して電動モータ6に供給する状態とを切り替えることができる。そのため、人手によるコネクタの抜き差しを必要とせずに、車載バッテリ8の使用と可搬バッテリ9の使用とを自動的に切り替えることが可能となる。
【0114】
また、可搬バッテリ9は、車体2に複数装着されており、第2出力ケーブル24は、複数の可搬バッテリ9から電力を取り出す。
【0115】
この構成によれば、人手によるコネクタの抜き差しを必要とせずに、車載バッテリ8の使用と複数の可搬バッテリ9の使用とを自動的に切り替えることが可能となる。
【0116】
また、可搬バッテリ9は、一の可搬バッテリ9Aと他の可搬バッテリ9Bとを含み、第2出力ケーブル24は、一の可搬バッテリ9Aから電力を取り出す一のケーブル24Aと、他の可搬バッテリ9Bから電力を取り出す他のケーブル24Bとを含み、リレー27は、第2接続状態として、一のケーブル24Aと供給ケーブル25とが電気的に接続される一の状態と、他のケーブル24Bと供給ケーブル25とが電気的に接続される他の状態を切り替え可能である。
【0117】
この構成によれば、リレー27により一の状態と他の状態とを切り替えることによって、一の可搬バッテリ9Aから電力を取り出して電動モータ6に供給する状態と、他の可搬バッテリ9Bから電力を取り出して電動モータ6に供給する状態とを切り替えることができる。そのため、複数の可搬バッテリ9を備えた作業車両1において、一の可搬バッテリ9Aを使用する状態と他の可搬バッテリ9Bを使用する状態とを自動的に切り替えることができる。
【0118】
また、作業車両1は、可搬バッテリ9が着脱可能に装着される装着部10を備え、装着部10は、車体2の前方、車体2の後方、車体2に設けられたボンネット29内部、車体2に搭載された座席4の下方、座席4上方の屋根31、車体2に設けられた荷台5の上部又は下部の少なくとも1箇所以上に設けられている。
【0119】
この構成によれば、作業車両1の少なくとも1箇所以上の適当な位置に可搬バッテリ9を着脱可能に装着することができる。そのため、1つ又は複数の可搬バッテリ9を車体2に対して容易に着脱することが可能となる。
【0120】
また、一の可搬バッテリ9Aは、車体2に設けられた荷台5の上部に装着され、他の可搬バッテリ9Bは、荷台5の上部以外の位置に装着され、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態を選択する。
【0121】
この構成によれば、荷台5を備えた作業車両1(例えば、ユーティリティビークル等)において、着脱作業が容易である荷台5の上部に装着された可搬バッテリ9を、他の位置に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。
【0122】
また、一の可搬バッテリ9Aは、車体2に設けられたボンネット29の内部に装着され、他の可搬バッテリ9Bは、ボンネット29の内部以外の位置に装着され、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態を選択する。
【0123】
この構成によれば、ボンネット29を備えた作業車両1(例えば、トラクタやバックホー等)において、ボンネット29の内部に装着された可搬バッテリ9を、他の位置に装着された可搬バッテリ9に優先して使用することができる。ボンネット29は開閉可能であるため、優先して使用される可搬バッテリ9の着脱作業が容易となる。
【0124】
また、一の可搬バッテリ9Aは、他の可搬バッテリ9Bよりも車載バッテリ8に近い位置に装着され、リレー27は、第2接続状態として、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量以上であるときには一の状態を選択し、一の可搬バッテリ9Aの残存容量が所定量未満であるときには他の状態を選択する。
【0125】
この構成によれば、車載バッテリ8にアクセスするときと近い位置で、優先して使用する可搬バッテリ9に対してアクセスすることができる。そのため、優先して使用する可搬バッテリ9に対するアクセス性が良好となる。
【0126】
また、作業車両1は、リレー27の動作を制御する制御部28を備え、制御部28は、走行装置3が駆動しているときには、第1接続状態と第2接続状態との切り替えを実行しない。
【0127】
この構成によれば、作業車両1が走行しているときに、第1接続状態と第2接続状態との切り替えによって走行が中断されることを防止できる。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
1 トラクタ
2 車体
3 走行装置
6 電動モータ
7 バッテリ
9 可搬バッテリ
10 装着部
29 ボンネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13A
図13B