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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091980
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240628BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240628BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/55
A61Q1/00
A61K8/06
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073452
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2020035165の分割
【原出願日】2020-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 豊大
(57)【要約】
【課題】優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制された使用感に優れる水中油型乳化化粧料の提供。
【解決手段】下記の成分(A)~成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤
成分(C):両性界面活性剤
成分(A)の含有量が7質量%以上30質量%以下である、水中油型乳化化粧料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤
成分(C):両性界面活性剤
成分(A)の含有量が7質量%以上30質量%以下である、水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマーである、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(C)が水添レシチンである、請求項1~3のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
紫外線吸収剤の含有量が3質量%未満である、請求項1~4のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が7.5以上75以下である、請求項1~5のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が10以上90以下である、請求項1~6のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
成分(A)の金属酸化物が、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~7のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項9】
成分(A)の疎水化処理が、シリコーン処理、アルキルアルコキシシラン処理、及び脂肪酸処理からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~8のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項10】
日焼け止め用途に用いる、請求項1~9のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線防御効果に優れた水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日常生活における紫外線からの防御の重要性が高まる中、日焼け止め化粧料のニーズも拡大している。このような市場のニーズから、さっぱりとした使用感で連用しやすい、水中油型乳化型の日焼け止め化粧料が開発されてきている。
【0003】
これらの水中油型乳化化粧料には、紫外線防御効果を高めるため、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が用いられており、特に紫外線散乱剤として、酸化亜鉛や酸化チタン等の金属酸化物粉末が用いられる。
しかしながら、金属酸化物粉末を水中油型乳化化粧料に配合すると、使用感が悪く、水中油型乳化化粧料中での金属酸化物粉末の安定性が十分でないといった問題がある。
このような問題を改善するため、例えば、特許文献1では、疎水化処理粉末を安定に含有し、高温保存時やせん断力をかけた際の乳化系の安定性に優れ、みずみずしさ等の使用感に優れる水中油型乳化組成物の提供を目的として、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が所定の範囲で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が所定の範囲であるポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル、リン脂質、疎水化処理粉末、及び水を含有し、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルのリン脂質に対する含有質量比が所定の範囲である水中油型乳化組成物が開示されている。
特許文献2では、優れた紫外線防御効果を有し、経時安定性等が良好で、かつ優れた耐摩擦性を有する水中油型乳化化粧料の提供を目的として、油溶性有機紫外線吸収剤を含む液状油剤、耐塩性水溶性高分子、及び疎水化処理微粒子金属酸化物粉末を含有し、液状油剤中にIOB値が0.10以上の成分を40質量%以上含有し、液状油剤を化粧料総量中に3質量%以上30質量%以下含有し、疎水化処理微粒子金属酸化物粉末の液状油剤に対する含有質量比が0.4以上1.0以下である、水中油型乳化化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-108994号公報
【特許文献2】特開2019-94280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紫外線防御効果を高めるために、金属酸化物粉末を水中油型乳化化粧料に多く配合する際の乳化安定性は未だ十分でなく、また、塗布時に製剤が崩れ難く、また、摩擦感を感じる場合がある。さらに、塗布後においては、つっぱり感が生じることもある。
本発明は、優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制された使用感に優れる水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、平均一次粒子径が所定の範囲である疎水化処理された微粒子金属酸化物、特定の構造を有する水相増粘剤、及び両性界面活性剤を用い、かつ疎水化処理された微粒子金属酸化物の含有量を所定の範囲とすることにより、紫外線防御能に優れ、高い乳化安定性が得られると共に、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制された使用感に優れる水中油型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤
成分(C):両性界面活性剤
成分(A)の含有量が7質量%以上30質量%以下である、水中油型乳化化粧料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制された使用感に優れる水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[水中油型乳化化粧料]
本発明の水中油型乳化化粧料(以下、「乳化化粧料」ともいう)は、下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤
成分(C):両性界面活性剤
成分(A)の含有量は7質量%以上30質量%以下である。
また、本発明において「疎水化処理された微粒子金属酸化物」とは、その表面が疎水化処理されてなる微粒子金属酸化物をいう。
【0010】
本発明の水中油型乳化化粧料は、優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制された使用感を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の乳化化粧料に含まれる微粒子金属酸化物は、100nm未満の平均一次粒子径を有し、かつその表面が疎水化処理されてなる。そして、連続相である水相を増粘させる増粘剤として2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤と両性界面活性剤とにより、水中油型乳化化粧料への適用において微粒子金属酸化物の含有量が高くても、微粒子金属酸化物を油相中に安定的に存在させることができると考えられる。その結果、乳化安定性が向上し、紫外線を効率的に散乱させ、紫外線防御能を向上させることができ、さらに塗布時においては製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制することができると考えられる。
【0011】
<成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物>
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(A)として平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物を含有する。
成分(A)の金属酸化物は、紫外線を散乱させ、紫外線防御効果を高める観点から、好ましくは酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上である。また、これらの微粒子金属酸化物は2価以上の金属を含有させることができ、鉄、ジルコニウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、イットリウム等の金属又はその酸化物を、単独又は2種以上を適宜組み合わせて、前記金属酸化物に含有させることができる。
【0012】
成分(A)の平均一次粒子径は、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点からから、100nm未満であり、好ましくは90nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下、より更に好ましくは40nm以下、より更に好ましくは30nm以下であり、そして、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは10nm以上である。より具体的には、成分(A)の平均一次粒子径は、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは1~90nm、より好ましくは1~70nm、更に好ましくは1~50nm、より更に好ましくは5~50nm、より更に好ましくは10~50nm、より更に好ましくは10~40nm、より更に好ましくは10~30nmである。
【0013】
成分(A)の形状は、例えば、球状、薄片状、棒状、紡錘状、針状、不定形状が挙げられるが、平均一次粒子径が前記範囲にあれば任意の形状のものを使用することができる。
本発明における成分(A)の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察画像から求めることができる。具体的にはTEMにより観察倍率50,000倍の条件にて観察し、観察画像中の300個の一次粒子の最大短径を測定し、その数平均値を算出することにより求められる。ここで、最大短径とは、成分(A)が薄片状以外の形状を有する場合には、長径と直交する短径のうち、最大長を有する短径を意味する。また、成分(A)が薄片状の形状を有する場合には、上記と同様の条件で観察される観察画像中の300個の一次粒子の厚さを測定し、その数平均値を算出することにより求められる。具体的には実施例に記載の方法により測定される。
【0014】
成分(A)の疎水化処理としては、シリコーン処理;アルキルアルコキシシラン処理;脂肪酸処理;パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルコール等によるフッ素含有化合物処理;N-アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理;レシチン処理;金属石鹸処理;アルキルリン酸エステル処理;N-アシルアミノ酸金属塩(ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム)と塩化亜鉛とアルコキシチタニウムアルキレート(トリイソステアリン酸イソプロピルチタン)とによるASI処理などが挙げられる。
これらの表面処理は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
これらの中でも、成分(A)の疎水化処理は、水中油型乳化化粧料中の微粒子金属酸化物の含有量を高め、紫外線防御効果を向上させる観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、好ましくはシリコーン処理、アルキルアルコキシシラン処理、及び脂肪酸処理からなる群から選ばれる1種以上である。
【0015】
シリコーン処理に用いられる表面処理剤としては、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン/メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルステアロキシシロキサン共重合体、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体等の各種シリコーン油が挙げられる。これらの中でも、乳化化粧料中での成分(A)の分散性を高め、紫外線防御効果、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0016】
アルキルアルコキシシラン処理に用いる表面処理剤は、乳化化粧料中での成分(A)の分散性を高め、紫外線防御効果、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、炭素数6以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましく、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランがより好ましい。
【0017】
脂肪酸処理に用いる表面処理剤としては、炭素数12以上22以下の直鎖又は分岐鎖の高級脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、紫外線防御効果を向上させる観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、炭素数14以上22以下の直鎖又は分岐鎖の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16以上20以下の直鎖又は分岐鎖の高級脂肪酸がより好ましく、ステアリン酸、イソステアリン酸が更に好ましい。
前述の表面処理剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0018】
疎水化処理された微粒子酸化亜鉛の市販品としては、FINEXシリーズ(堺化学工業株式会社製)、MZシリーズ、MZYシリーズ(以上、テイカ株式会社製)等が挙げられる。
疎水化処理された微粒子酸化チタンの市販品としては、STRシリーズ(堺化学工業株式会社製)、TTO-55シリーズ、TTO-51シリーズ(以上、石原産業株式会社製)、MTシリーズ、MTYシリーズ(以上、テイカ株式会社製)等が挙げられる。
【0019】
成分(A)における疎水化処理の処理量は、乳化化粧料中での成分(A)の分散性を高め、紫外線防御効果、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、成分(A)に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
なお、本発明において、成分(A)の質量及び平均一次粒子径は、表面処理剤を含めた質量及び平均一次粒子径を意味する。
【0020】
本発明の乳化化粧料中の成分(A)の含有量は、紫外線防御効果を高める観点から、7質量%以上であり、好ましくは9質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは13質量%以上であり、そして、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、30質量%以下であり、好ましくは27質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。より具体的には、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、好ましくは9~27質量%、より好ましくは10~25質量%、更に好ましくは10~23質量%、より更に好ましくは13~20質量%である。
【0021】
成分(A)は、肌へ塗布した際の透明性の観点からは、疎水化処理された微粒子酸化亜鉛を含むことが好ましい。成分(A)が疎水化処理された微粒子酸化亜鉛を含む場合、成分(A)中の疎水化処理された微粒子酸化亜鉛の含有量は、前記と同様の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。
成分(A)は、紫外線防御能効果の観点からは、疎水化処理された微粒子酸化チタンを含むことが好ましい。成分(A)が疎水化処理された微粒子酸化チタンを含む場合、成分(A)中の疎水化処理された微粒子酸化チタンの含有量は、前記と同様の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上である。
【0022】
<成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(B)として2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(アクリロイルジメチルタウリン酸)(以下、「アクリロイルジメチルタウリン酸」又は「AMPS」ともいう)由来の構造を含む水相増粘剤を含有する。
成分(B)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(アクリロイルジメチルタウリン酸)由来の構造を含み、連続相である水相を増粘させる作用を有るものであれば特に制限はないが、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、好ましくはアクリロイルジメチルタウリン酸由来の構成単位を含む水溶性高分子である。
アクリロイルジメチルタウリン酸由来の構成単位を含む水溶性高分子としては、アクリロイルジメチルタウリン酸の単独重合体、アクリロイルジメチルタウリン酸由来の構成単位を含む共重合体が挙げられ、アクリロイルジメチルタウリン酸(AMPS)由来の構成単位を含む共重合体が好ましい。
【0023】
AMPS由来の構成単位を含む共重合体としては、例えば、(AMPS/アクリル酸)共重合体、(AMPS/アクリルアミド)共重合体、(AMPS/アクリル酸/アクリルアミド)共重合体、(AMPS/ジメチルアクリルアミド)共重合体、(AMPS/アクリル酸ヒドロキシエチル)共重合体、(AMPS/ビニルピロリドン)共重合体、(AMPS/ビニルホルムアミド)共重合体、(AMPS/メタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル(エチレンオキシドの平均付加モル数:10~30))共重合体、及びこれらの塩が挙げられる。より具体的には、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸ヒドロキシエチル)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリン/アクリル酸/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸/アクリルアミド/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスコポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、AMPS由来の構成単位を含む共重合体は、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、AMPS由来の構成単位に加えて、AMPS以外の他のモノマーとして、アクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル(エチレンオキシドの平均付加モル数:10~30)等のアクリル系モノマー由来の構成単位を更に含む共重合体が好ましい。該アクリル系モノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
成分(B)を含む市販品としては、「SIMULGEL EG」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート 80、水)、「SEPIMAX ZEN」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマー)、「SEPINOV EMT 10」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸ヒドロキシエチル)コポリマー)、「SIMULGEL NS」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸ヒドロキシエチル)コポリマー、スクワラン、ポリソルベート 60、水)、「SIMULGEL FL」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸ヒドロキシエチル)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート60、水)、「SEPIPLUS S」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸ヒドロキシエチル)コポリマー、ポリイソブテン、PEG-7トリメチロールプロパンヤシ油アルキルエーテル、水)、「SEPIPLUS 400」((アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸/アクリルアミド/アクリル酸Na)コポリマー、ポリイソブテン、ポリソルベート20、水)(以上、SEPPIC社製);「Aristoflex AVC」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー)、「Aristoflex HMB」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー)、「Aristoflex HMS」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー)(以上、クラリアント社製)が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、成分(B)は、好ましくはAMPS由来の構成単位を含む共重合体であり、より好ましくはAMPS由来の構成単位とアクリル系モノマー由来の構成単位とを含む共重合体であり、更に好ましくは(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマーである。
【0026】
本発明の乳化化粧料中の成分(B)の含有量は、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.25質量%以上であり、そして、塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、及び塗布時の摩擦感を抑制させる観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。より具体的には、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.15~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%、より更に好ましくは0.25~0.5質量%である。
【0027】
本発明の乳化化粧料中の成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]は、塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、及び塗布時の摩擦感を抑制させる観点から、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、より更に好ましくは30以上であり、そして、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは90以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは70以下、より更に好ましくは50以下である。より具体的には、好ましくは10~90、より好ましくは15~80、更に好ましくは20~70、より更に好ましくは30~50ある。
【0028】
<成分(C):両性界面活性剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(C)として両性界面活性剤を含有する。
両性界面活性剤としては、ベタイン型界面活性剤、アミンオキサイド型界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、ベタイン型界面活性剤が好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のカルボキシベタイン型;アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン系ベタイン型;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型が挙げられる。
これらの中でも、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、ホスホベタイン型両性界面活性剤が好ましく、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質を含むレシチン、又は該レシチンの水素添加物である水添レシチンがより好ましく、水添レシチンが更に好ましい。
【0029】
水添レシチンは、動植物から抽出若しくは精製した天然物又は化学合成物であるレシチンの水素添加物である。天然物としては、肌への負担軽減の観点、入手性の観点から、大豆又は卵黄等からの抽出物又は精製物である、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンが好ましく、水素添加大豆レシチンがより好ましい。
【0030】
成分(C)として水添レシチンは、紫外線防御効果を高める観点、乳化安定性及び塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、ホスファチジルコリンを含有するものが好ましい。
水添レシチン中のホスファチジルコリンの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、より更に好ましくは80質量%以下である。より具体的には、好ましくは50~95質量%、より好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~85質量%、より更に好ましく65~80質量%である。
水添レシチン中のホスファチジルコリンの含有率は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトフラフィー(HPLC)、イアトロスキャン(ヤトロン社製)等を用いた方法で分析することができる。例えば、特開2001-186898号公報に記載される水添レシチンが含まれる有機溶媒をTLCにスポットしてクロロホルム:メタノール:酢酸=65:25:10で展開し、50質量%硫酸エタノールを噴霧、加熱後デンシトメーターで水添レシチンを分析する方法が挙げられる。
【0031】
成分(C)の市販品としては、「Phospholipid PCSH70」(水素添加大豆レシチン(ホスファチジルコリン含有量:約70質量%);日本精化株式会社製)、「コートソームNC-21」(水素添加大豆レシチン;日油株式会社製)、「レシノールS-10E」、「レシノールS-10EX」(水素添加大豆レシチン;日光ケミカルズ株式会社製)等を挙げることができる。
【0032】
本発明の乳化化粧料中の成分(C)の含有量は、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、そして、塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.7質量%以下である。より具体的には、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.3~1質量%、より更に好ましくは0.3~0.7質量%である。
【0033】
本発明の乳化化粧料中の成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]は、塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、好ましくは5以上、より好ましくは7.5以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは20以上であり、そして、紫外線防御効果を高める観点、及び乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは80以下、より好ましくは75以下、更に好ましくは70以下、より更に好ましくは50以下、より更に好ましくは40以下である。より具体的には、好ましくは5~80、より好ましくは7.5~75、更に好ましくは10~70、より更に好ましくは20~50、より更に好ましくは20~40である。
【0034】
本発明の乳化化粧料中の成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]は、乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上であり、そして、塗布時の製剤の崩れ易さを向上させる観点、及び塗布時の摩擦感を抑制させる観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。より具体的には、好ましくは0.3~3、より好ましくは0.5~2、更に好ましくは0.7~1である。
【0035】
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の他、化粧料の用途に応じて使用される任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜含有してもよい。当該任意成分としては、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外の、紫外線吸収剤、油剤、界面活性剤、水溶性高分子、中和剤、pH調整剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、着色剤、キレート剤、美白剤、制汗剤、酸化防止剤、香料等が挙げられる。
【0036】
<成分(D):紫外線吸収剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、成分(D)として紫外線吸収剤を含有してもよい。前記紫外線吸収剤としては、液体状の有機紫外線吸収剤、及び固体状の有機紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
本明細書において、「液体状」とは、1気圧下、25℃の環境下において、流動性を有している状態をいい、すなわち、融点以上の温度条件の下にある状態(融点を有さない非晶性物質においては溶融点以上の温度条件の下にある状態)をいう。また、「固体状」とは、1気圧下、25℃の環境下において、流動性を有してない状態をいい、すなわち、融点未満の温度条件の下にある状態(融点を有さない非晶性物質においては溶融点未満の温度条件の下にある状態)をいう。
【0037】
液体状の有機紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ酸安息香酸アミル、パラジメチルアミノ酸安息香酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、オクトクリレン、ジメチコジエチルベンザルマロネート等が挙げられる。
【0038】
固体状の有機紫外線吸収剤としては、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸へキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0039】
これらの紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、「UVINUL MC80」(パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル)、「UVINUL A PLUS」(2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸へキシルエステル)、「TINOSORB S」(2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン)、「UVINUL T-150」(2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン)(以上、BASF社製);「ソフトシェードDH」(ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル)(味の素株式会社製);「PARSOL 1789」(4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン)、PARSOL SLX(ポリシリコーン-15(ジメチコジエチルベンザルマロネート))(以上、DSM社製)が挙げられる。
【0040】
本発明の乳化化粧料中の成分(D)の含有量は、肌への負担軽減の観点から、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0質量%、すなわち成分(D)は含有しないことである。
本発明の乳化化粧料は、成分(D)の含有量が前記の範囲であっても、優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時の製剤の崩れ易さが良好で、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制された使用感に優れる効果を発現することができる。当該観点から、本発明の乳化化粧料は、肌に優しい化粧料として近年注目されている、有機紫外線吸収剤が配合されていないノンケミカルタイプの日焼け止め化粧料に適用することができる。
【0041】
<成分(E):成分(D)以外の他の油剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(A)を取り込んで、乳化安定性を良好なものとする観点から、成分(E)として、成分(D)以外の他の油剤が更に含有することが好ましい。
成分(E)は、好ましくは不揮発性油であり、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、高級アルコール、高級脂肪酸等が挙げられる。
前記不揮発性油は、25℃で、液体状、固体状のものが挙げられるが、25℃で液体状のものを含むことが好ましい。「液体状」及び「固体状」の定義は、前記のとおりである。
なお、本明細書における「不揮発性」とは、以下の方法により測定される、25℃、6時間での蒸発量が20%未満であることを意味する。
測定方法:直径120mmのガラス製シャーレの中に、直径90mmの濾紙を入れ、濾紙にサンプルを1gのせて、65%RHの室内(25℃)に6時間保存する。保存前後のサンプルの質量を測定し、下記式により蒸発量を算出する。
蒸発量(%)=(保存前サンプル質量-保存後サンプル質量)/保存前サンプル質量×100
【0042】
不揮発性の液体状のエステル油としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ジエチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、及び安息香酸アルキル(C12~15)等の安息香酸アルキルからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0043】
上記の中でも、不揮発性の液体状のエステル油は、成分(A)を取り込んで、乳化安定性を良好なものとする観点から、好ましくは、炭素数8以上18以下の分岐脂肪酸と炭素数2以上22以下の分岐アルコールとのモノエステル、炭素数6以上18以下の分岐脂肪酸とグリセリンとのトリエステル、炭素数2以上18以下のジカルボン酸と炭素数2以上18以下の分岐アルコールとのジエステル、炭素数6以上18以下の脂肪酸と炭素数2以上10以下の分岐ジアルコールとのジエステル、及び安息香酸アルキル(C12~15)(例えば、「フィンソルブTN」(Innospec Active Chemicals LLC製))からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは炭素数8以上18以下の分岐脂肪酸と炭素数2以上22以下の分岐アルコールとのモノエステルであり、更に好ましくはイソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸イソトリデシルからなる群から選ばれる1種以上である。
【0044】
不揮発性の液体状のシリコーン油は、成分(A)を取り込んで、乳化安定性を良好なものとする観点から、好ましくはジメチルポリシロキサンであり、より好ましくは25℃における動粘度が20mm2/s以下のジメチルポリシロキサンである。
前記シリコーン油の25℃における動粘度は、ASTM D 445-46T又はJIS Z 8803に準じて、ウベローデ粘度計により測定することができる。
【0045】
不揮発性の液体状の炭化水素油としては、流動パラフィン、水添ポリイソブテン(流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン)、シクロパラフィン、流動オゾケライト、スクワレン、スクワラン、プリスタン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
【0046】
不揮発性の液体状の高級アルコールとしては、例えば、炭素数12以上24以下の高級アルコールが挙げられ、具体的には、オレイルアルコール、2-デシルテトラデシノール、ドデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。
不揮発性の液体状の高級脂肪酸としては、例えば、炭素数12以上22以下の脂肪酸が挙げられ、具体的には、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられる。
【0047】
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、乳化安定性を良好なものとする観点から、成分(E)として用いられる不揮発性油は、25℃で固体状の不揮発性油を更に含むことが好ましい。
25℃で固体状の不揮発性油としては、モノステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル等の固体状のエステル油;アルキル変性シリコーン等の固体状のシリコーン油;ワセリン等の固体状の炭化水素油;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の固体状の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の固体状の高級脂肪酸などが挙げられる。
【0048】
これらの中でも、成分(E)は、成分(A)を取り込んで、乳化安定性を良好なものとする観点から、好ましくはエステル油、シリコーン油及び高級アルコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
上記の油剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0049】
本発明の乳化化粧料中の成分(E)の含有量は、成分(A)を取り込んで、乳化安定性を良好なものとする観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましく10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは17質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは27質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。より具体的には、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~27質量%、更に好ましくは15~25質量%、より更に好ましくは17~25質量%である。
【0050】
<成分(F):水溶性高分子>
本発明の水中油型化粧料は、良好な乳化安定性を得る観点から、成分(F)として、成分(B)以外の増粘作用を有する水溶性高分子を更に含有することが好ましい。
成分(F)としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、天然高分子、半合成高分子、成分(B)以外の合成高分子のいずれも使用することができる。
【0051】
天然高分子の例としては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられる。中でも、良好な乳化安定性を得る観点から、キサンタンガムが好ましい。
半合成高分子としては、例えば、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等の変性多糖類が挙げられる。
成分(B)以外の合成高分子としては、例えば、カルボマー(架橋ポリアクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)共重合体等の成分(B)以外のアクリル系ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0052】
カルボマーの市販品としては、「カーボポール910」、「カーボポール934」、「カーボポール940」、「カーボポール941」、「カーボポール980」、「カーボポール981」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)共重合体の市販品としては、「カーボポール1382」、「カーボポールETD2020」、「PEMULEN TR-1」、「PEMULEN TR-2」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
ポリアクリルアミドの市販品としては、「SEPIGEL305」(SEPPIC社製)等が挙げられる。
【0053】
本発明の乳化化粧料中の成分(F)の含有量は、良好な乳化安定性を得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、使用感を良好にする観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。より具体的には、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、更に好ましくは0.1~1質量%である。
【0054】
(水性媒体)
本発明の水中油型乳化化粧料は、水性媒体として少なくとも水を含有する。
水以外の水性媒体としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1以上3以下の飽和1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量650未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(平均分子量650未満)、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、好ましくは多価アルコールであり、より好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上である。これらのアルコールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
本発明の乳化化粧料中の水性媒体の含有量は、水中油型の化粧料となりうる範囲であればよく、乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは47質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。より具体的には、好ましくは40~90質量%であり、より好ましくは45~80質量%、更に好ましくは47~75質量%である。
本発明の乳化化粧料が多価アルコールを含む場合、該乳化化粧料中の多価アルコールの含有量は、乳化安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。より具体的には、好ましくは0.5~7質量%であり、より好ましくは1~5質量%、更に好ましくは2~4質量%である。
【0056】
本発明の乳化化粧料は、シャンプー、リンス、コンディショナー等の毛髪化粧料;洗顔料、クレンジング化粧料、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料等の皮膚化粧料として好適に利用できる。これらの中でも、本発明の乳化化粧料は、紫外線防御効果に優れるため、日焼け止め用途として、日焼け止め化粧料(化粧水、クリーム、乳液、美容液等)、サンタン、化粧下地化粧料、ファンデーション等に適用することが好ましい。
本発明の乳化化粧料の剤形としては、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状等に適応が可能であり、さらにシート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できる。
【0057】
(水中油型乳化化粧料の製造方法)
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず、水中油型乳化化粧料の剤形に応じて公知の方法を適宜用いることができる。例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び必要に応じて前述の任意成分を配合し、ホモミキサー等により均一に混合する工程を含む方法が挙げられる。
【0058】
本発明の乳化化粧料の製造方法としては、中でも、乳化化粧料中での成分(A)の分散性を高め、紫外線防御効果、乳化安定性、及び塗布時の製剤の崩れ壊し易さを向上させる観点、並びに塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感を抑制させる観点から、成分(C)及び必要に応じて前述の油溶性の任意成分を含む油相成分に成分(A)を分散させた分散物と、成分(B)、水性媒体及び必要に投じて前述の水溶性の任意成分を含む水相成分の調製物とを混合及び乳化させる工程を含む方法が好ましく、下記の工程I~工程IIIを含む方法がより好ましい。
工程I:成分(C)及び必要に応じて前述の油溶性の油相成分に成分(A)を加え、均一に混合し、成分(A)を分散させた分散物(i)を得る工程
工程II:成分(B)、水性媒体、及び必要に応じて前述の水溶性の任意成分を含む水相成分を均一に混合して調製物(ii)を得る工程
工程III:工程IIで得られた調製物(ii)に工程Iで得られた分散物(i)を加え、均一に混合し、乳化させて、水中油型乳化化粧料を得る工程
【0059】
工程Iは、乳化化粧料中での成分(A)の分散性を高める観点から、下記の工程I-1及び工程I-2を含むことが好ましい。
工程I-1:成分(C)及び必要に応じて前述の油溶性の任意成分を含む油相成分を均一に混合して調製物(i’)を得る工程
工程I-2:工程I-1で得られた調製物(i’)に成分(A)を加え、均一に混合し、成分(A)を分散させた分散物(i)を得る工程
【0060】
工程I-1における油相成分の混合、及び工程IIにおける水相成分の混合は、それぞれ、好ましくは40℃以上90℃以下の温度範囲で加熱しながら撹拌して行うことが好ましい。
工程IIにおいて、得られる調製物(ii)は、好ましくは15℃以上35℃以下の温度範囲に冷却した後、更に均一に混合して得ることが好ましい。
また、工程IIIにおいて、工程IIで得られた調製物(ii)を撹拌しながら、工程Iで得られた分散物(i)を好ましくは40℃以上90℃以下に保持して加え、均一に混合し、乳化させることが好ましい。
【0061】
上述の実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
【0062】
<1> 下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が1nm以上70nm以下の疎水化処理された酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位とアクリル系モノマー由来の構成単位とを含む共重合体
成分(C):ベタイン型界面活性剤
成分(A)の含有量が9質量%以上27質量%以下である、水中油型乳化化粧料。
<2> 下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が5nm以上50nm以下の疎水化処理された酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位とアクリル系モノマー由来の構成単位とを含む共重合体
成分(C):ベタイン型界面活性剤
成分(A)の含有量が13質量%以上20質量%以下である、水中油型乳化化粧料。
【0063】
<3> 前記アクリル系モノマーが、アクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル(エチレンオキシドの平均付加モル数:10~30)からなる群から選ばれる1種以上である、前記<1>又は<2>に記載の水中油型乳化化粧料。
<4> 成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上である、前記<1>~<3>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<5> 成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマーである、前記<1>~<4>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<6> 成分(C)が水添レシチンである、前記<1>~<5>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料
【0064】
<7> 紫外線吸収剤の含有量が3質量%未満である、前記<1>~<6>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<8> 紫外線吸収剤の含有量が1質量%未満である、前記<1>~<6>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<9> 成分(B)の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である、前記<1>~<8>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<10> 成分(B)の含有量が0.25質量%以上0.5質量%以下である、前記<1>~<8>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<11> 成分(C)の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である、前記<1>~<10>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<12> 成分(C)の含有量が0.3質量%以上0.7質量%以下である、前記<1>~<10>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【0065】
<13> 成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が7.5以上75以下である、前記<1>~<12>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<14> 成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が20以上40以下である、前記<1>~<12>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<15> 成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が10以上90以下である、前記<1>~<14>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<16> 成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が30以上50以下である、前記<1>~<14>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<17> 成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]が0.3以上3以下である、前記<1>~<16>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<18> 成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]が0.7以上1以下である、前記 <1>~<16>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【0066】
<19> 成分(A)が、疎水化処理された微粒子酸化亜鉛を含み、成分(A)中の疎水化処理された微粒子酸化亜鉛の含有量が60質量%以上である、前記<1>~<18>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<20> 成分(A)が、疎水化処理された微粒子酸化チタンを含み、成分(A)中の疎水化処理された微粒子酸化チタンの含有量が50質量%以上である、前記<1>~<18>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<21> 成分(A)の疎水化処理が、シリコーン処理、アルキルアルコキシシラン処理、及び脂肪酸処理からなる群から選ばれる1種以上である、前記<1>~<20>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<22> 日焼け止め用途に用いる、前記<1>~<21>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【0067】
<23> 下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が1nm以上70nm以下の疎水化処理された酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上
成分(B):(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上
成分(C):水添レシチン
成分(A)の含有量が9質量%以上27質量%以下であり、
紫外線吸収剤の含有量が3質量%未満であり
日焼け止め用途に用いる、水中油型乳化化粧料。
<24> 下記の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が5nm以上50nm以下の疎水化処理された酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上
成分(B):(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上
成分(C):水添レシチン
成分(A)の含有量が13質量%以上20質量%以下であり、
紫外線吸収剤の含有量が1質量%未満であり、
日焼け止め用途に用いる、水中油型乳化化粧料。
【0068】
<25> 成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が7.5以上75以下である、前記<23>又は<24>に記載の水中油型乳化化粧料。
<26> 成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が20以上40以下である、前記<23>又は<24>に記載の水中油型乳化化粧料。
<27> 成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が10以上90以下である、前記<23>~<26>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<28> 成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が30以上50以下である、前記<23>~<26>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<29> 成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]が0.3以上3以下である、前記<23>~<28>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
<30> 成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]が0.7以上1以下である、前記<23>~<28>のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【実施例0069】
以下、実施例及び比較例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
(成分(A)の平均一次粒子径)
成分(A)の平均一次粒子径は以下の方法により測定した。
測定試料が板状以外の形状を有する場合には、予め調製した測定試料の分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM1400Plus」、日本電子(株)製)の試料台に載せて、風乾させた後、TEMにより観察倍率50,000倍の条件で観察した画像中の300個の一次粒子の最大短径を測定し、その数平均値をそれぞれの平均一次粒子径とした。ここで、最大短径とは、長径と直交する短径のうち、最大長を有する短径を意味する。
測定試料が板状の形状を有する場合には、上記と同様の方法及び観察倍率の条件で観察した画像中の300個の一次粒子の厚さを測定し、その数平均値をそれぞれの平均一次粒子径とした。
なお、測定試料の分散液は、測定試料5gに溶媒としてエタノール95gを加えて超音波分散して調製した。
【0071】
実施例1~10、比較例1~5
表1に示した配合に従い、以下の方法により各水中油型乳化化粧料を得た。
表1に示す成分9~14を均一に混合し、80℃に加熱し、溶解させて、調製物(i’)を得た(工程I-1)。次いで、得られた調製物(i’)を80℃に保持しつつ、表1に示す成分1~4を加え、均一に混合し、分散させて、分散物(i)を得た(工程I-2)。
別途、表1に示す成分5~8,15~18を40℃で加熱し、溶解させて、25℃まで自然冷却した後、均一に混合して、調製物(ii)を得た(工程II)。
得られた調製物(ii)を撹拌しながら、80℃に保持した前記分散物(i)を加え、ホモミキサーで均一に混合し、乳化させて水中油型乳化化粧料を得た(工程III)。
【0072】
得られた水中油型乳化化粧料を用いて、下記に示す(1)紫外線防御能、(2)乳化安定性、及び(3)使用感(塗布時の製剤の崩れ易さ、塗布時の摩擦感の無さ、塗布後のつっぱり感の無さ)を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(1)紫外線防御能
表1に示した水中油型乳化化粧料を正方形のPMMA板(HelioScreen社製「HD6」)上に1.3mg/cm2の塗布量にて均一に塗布し、15分間乾燥させて、測定用試料とした。同様にグリセリンをPMMA板に塗布し、15分間乾燥させたものを対照用試料とした。SPFアナライザー「UV-2000S」(Labsphere社製)を用いて、吸収スペクトル(測定波長290~450nm)の測定結果よりin vitro SPF値を算出し、各試料の9箇所のin vitro SPF値の平均を紫外線防御能(SPF値)とした。
【0074】
(2)乳化安定性
表1に示した水中油型乳化化粧料の調製直後及び40℃で1ヶ月保存した後の外観を目視により観察し、下記判定基準により判定した。
〔判定基準〕
A:化粧料調製直後に分離及びゲル化が見られず、40℃で1ヶ月保存した後においても分離及びゲル化が見られない。
B:化粧料調製直後に分離及びゲル化が見られず、40℃で1ヶ月保存した後にわずかな分離又はゲル化が見られる。
C:化粧料調製直後に分離及びゲル化が見られなかったが、40℃で1ヶ月保存した後に明らかな分離又はゲル化が見られる。
D:化粧料調製直後から分離又はゲル化が見られる。
【0075】
(3)使用感(塗布時の製剤の崩れ易さ、塗布時の摩擦感の無さ、塗布後のつっぱり感の無さ)
表1に示した水中油型乳化化粧料を専門パネラー10名に使用してもらった。25℃、57%RH下で前腕内側に直径3cmの円を描くように、各水中油型乳化化粧料を0.02mL塗布し、1分間かけて塗り延ばした際の使用感として、「塗布時の製剤の崩れ易さ」、「塗布時の摩擦感の無さ」、「塗布後のつっぱり感の無さ」をそれぞれ下記評価基準に基づき評価し、10名の平均値から下記判定基準に基づきそれぞれ判定した。
また、塗り伸ばした後の透明性を目視で確認したところ、実施例1~3は、実施例4と比べて透明性がより高かった。
〔評価基準〕
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
〔判定基準〕
A:4.0点以上5.0点以下
B:3.0点以上4.0点未満
C:2.0点以上3.0点未満
D:1.0点以上2.0点未満
【0076】
【表1】
【0077】
表1において用いた成分の詳細を以下に示す。
*1:テイカ株式会社製「MZY-303M2O」(疎水化処理微粒子酸化亜鉛、平均一次粒子径30nm)
*2:堺化学工業株式会社製「STR-100W-OTS」(疎水化処理微粒子酸化チタン、平均一次粒子径10nm)
*3:大東化成工業株式会社製「BCASI TIO2 MP-701」(疎水化処理顔料級酸化チタン、平均一次粒子径270nm)
*4:堺化学工業株式会社製「STR-100W(G)」(親水化処理微粒子酸化チタン、平均一次粒子径10nm)
*5:SEPPIC社製「SIMULGEL EG」((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン酸Na)コポリマー、有効分37.5質量%)
*6:クラリアント社製「Aristoflex HMB」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、有効分100質量%)
*7:SEPPIC社製「SEPIMAX ZEN」((アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマー、有効分100質量%)
*8:3V SIGMA社製「シンタレンK」
*9:日本精化株式会社製「PhosphoLipid PCSH70」
*10:日光ケミカルズ株式会社製「NIKKOL HCO-60」(非イオン性界面活性剤)
*11:信越化学工業株式会社製「KF-96A-6CS」
【0078】
表1から、本発明の実施例に係る水中油型乳化化粧料は、比較例の水中油型乳化化粧料と比べて、優れた紫外線防御効果を有し、乳化安定性に優れ、塗布時に製剤として崩れ易く、塗布時の摩擦感及び塗布後のつっぱり感が抑制されていることがわかる。
比較例1は、水中油型乳化化粧料中の成分(A)の含有量が7質量%未満であるため、紫外線防御効果が低い。
比較例2は、金属酸化物粉末として疎水化処理された顔料級酸化チタンを用いているため、紫外線防御効果が低く、乳化安定性が不十分である。
比較例3は、金属酸化物粉末として親水化処理された微粒子酸化チタンを用いているため、紫外線防御効果が低く、使用感(塗布時の製剤の崩れ易さ、塗布時の摩擦感の無さ、塗布後のつっぱり感の無さ)が劣る。
比較例4及び比較例5は、水中油型乳化化粧料中に2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤又は両性界面活性剤が含まれないため、紫外線防御効果が低く、乳化安定性が不十分である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び成分(E)を含有する、水中油型乳化化粧料であって、
成分(A):平均一次粒子径が100nm未満の疎水化処理された微粒子金属酸化物
成分(B):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸由来の構造を含む水相増粘剤
成分(C):両性界面活性剤
成分(E):紫外線吸収剤以外の他の油剤
成分(A)の含有量が7質量%以上30質量%以下であり、
成分(E)の含有量が15質量%以上30質量%以下であり、
紫外線吸収剤を含有しない、水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ラウレス-4)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)が、(アクリロイルジメチルタウリンNa/アクリル酸Na)コポリマーである、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(C)が水添レシチンである、請求項1~3のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(A)の成分(C)に対する含有質量比[(A)/(C)]が7.5以上75以下である、請求項1~のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(A)の成分(B)に対する含有質量比[(A)/(B)]が10以上90以下である、請求項1~のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
成分(B)の成分(C)に対する含有質量比[(B)/(C)]が0.3以上3以下である、請求項1~6のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
成分(A)の金属酸化物が、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~7のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項9】
成分(A)の疎水化処理が、シリコーン処理、アルキルアルコキシシラン処理、及び脂肪酸処理からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~8のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項10】
日焼け止め用途に用いる、請求項1~9のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。