(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091992
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 61/12 20060101AFI20240628BHJP
B62D 61/10 20060101ALI20240628BHJP
B62D 57/032 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B62D61/12
B62D61/10
B62D57/032 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073750
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2021101771の分割
【原出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(57)【要約】
【課題】凹凸の多い作業地や傾斜面がある作業地を走行する作業車において、作業地での走破性を向上させる。
【解決手段】機体に搭載されたエンジン2と、機体に回転自在に支持された前輪11と、機体に回転自在に支持された後輪13と、機体に回転自在に支持され且つ前輪11と後輪13との間に設けられた中間車輪12とが備えられている。エンジン2の動力によって回転する第1伝動ギヤ24aと、第1伝動ギヤ24aの動力によって回転自在な第2伝動ギヤ38bと、第2伝動ギヤの38bの動力を中間車輪12に伝達する第1伝動チェーン35と、第2伝動ギヤ38bの動力を後輪13に伝達する第2伝動チェーン40とが備えられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に搭載されたエンジンと、
前記機体に回転自在に支持された前輪と、
前記機体に回転自在に支持された後輪と、
前記機体に回転自在に支持され、且つ、前記前輪と前記後輪との間に設けられた中間車輪と、
前記エンジンの動力によって回転する第1伝動ギヤと、
前記第1伝動ギヤの動力によって回転自在な第2伝動ギヤと、
前記第2伝動ギヤの動力を前記中間車輪に伝達する第1伝動チェーンと、
前記第2伝動ギヤの動力を前記後輪に伝達する第2伝動チェーンと、を備えている作業車。
【請求項2】
前記エンジンの動力が、出力軸を介して前記第1伝動ギヤに伝達される請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記第2伝動チェーンが、前記第2伝動ギヤに対して後方に向けて延出されている請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
左右方向に沿った軸芯周りに上下揺動可能に設けられたアームが備えられ、
前記後輪が、前記アームの延出端部に設けられ、
前記第2伝動チェーンが前記アームの内部に設けられている請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記アームを上下に揺動操作する昇降機構が備えられている請求項4に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸の多い作業地や傾斜面がある作業地を走行するのに適した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
前述のような作業車の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、上下に揺動可能なアームが、機体の4箇所に取り付けられ、アームの延出端部に車輪が支持されて、4輪を備えた作業車が構成されている。作業地に応じて、4個のアームを上下に揺動操作することにより、機体を所望の姿勢に維持しながら、4輪で走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
凹凸の多い作業地や傾斜面がある作業地を走行する作業車では、作業地での走破性の向上が要望されている。
本発明は、凹凸の多い作業地や傾斜面がある作業地を走行する作業車において、作業地での走破性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の作業車は、機体と、上下揺動可能に前記機体に支持され、前又は後の一方に向けて延出された右及び左の第1アームと、上下揺動可能に前記機体に支持され、前又は後の他方に向けて延出された右及び左の第2アームと、前記右及び左の第1アームの延出端部に支持された右及び左の第1車輪と、前記機体の前後中間部の右部及び左部に支持された右及び左の中間車輪と、前記右及び左の第2アームの延出端部に支持された右及び左の第2車輪と、前記右の第1アーム及び前記右の第2アームを、上下に揺動操作可能な右の昇降機構と、前記左の第1アーム及び前記左の第2アームを、上下に揺動操作可能な左の昇降機構と、前記右の第1車輪及び前記右の第2車輪、前記右の中間車輪を、前進側及び後進側に駆動可能で、駆動速度を変更可能な右の駆動装置と、前記左の第1車輪及び前記左の第2車輪、前記左の中間車輪を、前進側及び後進側に駆動可能で、駆動速度を変更可能な左の駆動装置とが備えられている。
【0006】
本発明によると、右及び左の第1車輪、右及び左の第2車輪、右及び左の中間車輪の6輪が備えられた作業車であり、6輪が駆動される作業車であるので、走破性の高い作業車を得ることができる。
【0007】
本発明によると、右の第1アーム及び第2アームが機体に対して上下に揺動操作されることにより、右の第1車輪及び第2車輪が機体に対して昇降操作される。左の第1アーム及び第2アームが機体に対して上下に揺動操作されることにより、左の第1車輪及び第2車輪が機体に対して昇降操作される。これにより、機体を所望の姿勢に設定することができるので、作業車の走破性を向上させることができる。
【0008】
本発明によると、右の第1車輪及び第2車輪、中間車輪と左の第1車輪及び第2車輪、中間車輪とを、右及び左の駆動装置により、同じ駆動速度で駆動したり、駆動速度に差が生じるように駆動したり、互いに逆方向に駆動したりすることができる。
【0009】
これにより、右の第1車輪及び第2車輪、中間車輪と左の第1車輪及び第2車輪、中間車輪とにおいて、駆動速度に差が生じるように駆動することにより、前進及び後進しながらの右及び左への旋回が行える。一方を停止させた状態で他方を正転駆動及び逆転駆動することにより、右及び左への信地旋回が行える。両方を互いに逆方向に駆動することにより、右及び左への超信地旋回が行える。
【0010】
本発明によると、第1車輪及び第2車輪を機体に対して下降操作することにより、右又は左の中間車輪を地面から持ち上げることができ、且つ、右及び左の中間車輪の両方を地面から持ち上げることもできる。
【0011】
これにより、右のホイルベース(右の第1車輪と第2車輪との間隔)を短くしたり、左のホイルベース(左の第1車輪と第2車輪との間隔)を短くしたりできるので、例えば、信地旋回及び超信地旋回を行う場合、前述の操作を行うことにより、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0012】
本発明によると、右の中間車輪を右の第1車輪及び第2車輪よりも相対的に下方に下降操作したり、左の中間車輪を左の第1車輪及び第2車輪よりも相対的に下方に下降操作したりすることもできる。この場合、第1車輪及び第2車輪は、中間車輪よりも機体の支持荷重の配分が小さい状態で接地していてもよく、地面から持ち上げられていてもよい。
これによって、中間車輪に作用する機体の支持荷重の配分を大きくすることができるので、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0013】
本発明において、左右方向に沿って前記機体に支持された伝動ケースが備えられ、前記右及び左の中間車輪が、前記伝動ケースの右部及び左部に支持され、前記右及び左の第1アームが、前記伝動ケースの右部及び左部に上下揺動可能に支持され、前記伝動ケースの右部及び左部から前及び後の一方に向けて延出され、前記右及び左の第2アームが、前記伝動ケースの右部及び左部に上下揺動可能に支持され、前記伝動ケースの右部及び左部から前及び後の他方に向けて延出されていると好適である。
【0014】
本発明によると、伝動ケースが左右方向に沿って機体に支持された場合、中間車輪が伝動ケースに支持されており、第1アーム及び第2アームが伝動ケースに支持される。これにより、伝動ケースが、中間車輪の支持部に兼用され、第1アーム及び第2アームの支持部に兼用されるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0015】
本発明において、前記右及び左の駆動装置が、前記伝動ケースの右部及び左部に設けられ、前記右及び左の駆動装置の動力を前記右及び左の第1車輪に伝達可能な右及び左の第1伝動機構が、前記右及び左の第1アームに設けられ、前記右及び左の駆動装置の動力を前記右及び左の中間車輪に伝達可能な右及び左の中間伝動機構が、前記伝動ケースの右部及び左部に設けられ、前記右及び左の駆動装置の動力を前記右及び左の第2車輪に伝達可能な右及び左の第2伝動機構が、前記右及び左の第2アームに設けられていると好適である。
【0016】
本発明によると、右の駆動装置から3つの伝動系が分岐して、3つの伝動系が右の第1車輪及び第2車輪、中間車輪に接続される。左の駆動装置から3つの伝動系が分岐して、3つの伝動系が左の第1車輪及び第2車輪、中間車輪に接続される。
これにより、駆動装置から、第1車輪及び第2車輪、中間車輪への伝動系の簡素化の面で有利な構成である。
【0017】
本発明の作業車は、機体と、上下揺動可能に前記機体に支持され、前又は後の一方に向けて延出された右及び左の第1アームと、上下揺動可能に前記機体に支持され、前又は後の他方に向けて延出された右及び左の第2アームと、上下揺動可能に前記右及び左の第2アームの延出端部に支持され、前又は後の他方に向けて延出された右及び左の第3アームと、前記右及び左の第1アームの延出端部に支持された右及び左の第1車輪と、前記右及び左の第2アームの延出端部に支持された右及び左の第2車輪と、前記右及び左の第3アームの延出端部に支持された右及び左の第3車輪と、前記右の第1アーム、前記右の第2アーム及び前記右の第3アームを、上下に揺動操作可能な右の昇降機構と、前記左の第1アーム、前記左の第2アーム及び前記左の第3アームを、上下に揺動操作可能な左の昇降機構と、前記右の第1車輪、前記右の第2車輪及び前記右の第3車輪を、前進側及び後進側に駆動可能で、駆動速度を変更可能な右の駆動装置と、前記左の第1車輪、前記左の第2車輪及び前記左の第3車輪を、前進側及び後進側に駆動可能で、駆動速度を変更可能な左の駆動装置とが備えられている。
【0018】
本発明によると、右及び左の第1車輪、右及び左の第2車輪、右及び左の第3車輪の6輪が備えられた作業車であり、6輪が駆動される作業車であるので、走破性の高い作業車を得ることができる。
【0019】
本発明によると、右の第1アーム、第2アーム及び第3アームが機体に対して上下に揺動操作されることにより、右の第1車輪、第2車輪及び第3車輪が昇降操作される。左の第1アーム、第2アーム及び第3アームが上下に揺動操作されることにより、左の第1車輪、第2車輪及び第3車輪が機体に対して昇降操作される。これにより、機体を所望の姿勢に設定することができるので、作業車の走破性を向上させることができる。
【0020】
本発明によると、右の第1車輪、第2車輪及び第3車輪と左の第1車輪、第2車輪及び第3車輪とを、右及び左の駆動装置により、同じ駆動速度で駆動したり、駆動速度に差が生じるように駆動したり、互いに逆方向に駆動したりすることができる。
【0021】
これにより、右の第1車輪、第2車輪及び第3車輪と左の第1車輪、第2車輪及び第3車輪とにおいて、駆動速度に差が生じるように駆動することにより、前進及び後進しながらの右及び左への旋回が行える。一方を停止させた状態で他方を正転駆動及び逆転駆動することにより、右及び左への信地旋回が行える。両方を互いに逆方向に駆動することにより、右及び左への超信地旋回が行える。
【0022】
本発明において、前記右及び左の昇降機構は、前記右及び左の第1アームを上下に揺動操作可能な右及び左の第1アクチュエータと、前記右及び左の第2アームを上下に揺動操作可能な右及び左の第2アクチュエータと、前記右及び左の第3アームを前記右及び左の第2アームに対して上下に揺動操作可能な第3アクチュエータとを有していると好適である。
【0023】
本発明によると、第1アクチュエータにより、第1アームが機体に対して上下に揺動操作される。第2アクチュエータにより、第2アームが機体に対して上下に揺動操作され、第3アームが第2アームと一緒に上下に揺動操作される。第3アクチュエータにより、第3アームが第2アームに対して上下に揺動操作される。
【0024】
本発明によると、右の第1車輪及び第2車輪を下降操作し、右の第3車輪を上昇操作することにより、右の第3車輪を地面から持ち上げることができる。左の第1車輪及び第2車輪を下降操作し、左の第3車輪を上昇操作することにより、左の第3車輪を地面から持ち上げることができる。
【0025】
これにより、右のホイルベース(右の第1車輪と第2車輪との間隔)を短くしたり、左のホイルベース(左の第1車輪と第2車輪との間隔)を短くしたりできるので、例えば、信地旋回及び超信地旋回を行う場合、前述の操作を行うことにより、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0026】
本発明によると、右の第2車輪を右の第1車輪及び第3車輪よりも相対的に下方に下降操作したり、左の第2車輪を左の第1車輪及び第3車輪よりも相対的に下方に下降操作したりすることもできる。この場合、第1車輪及び第3車輪は、第2車輪よりも機体の支持荷重の配分が小さい状態で接地していてもよく、地面から持ち上げられていてもよい。
これによって、中間の車輪(第1車輪と第3車輪との中間位置に配置される車輪)である第2車輪に作用する機体の支持荷重の配分を大きくすることができるので、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0027】
本発明において、左右方向に沿って前記機体に支持された伝動ケースが備えられ、前記右及び左の第1アームが、前記伝動ケースの右部及び左部に上下揺動可能に支持され、前記伝動ケースの右部及び左部から前及び後の一方に向けて延出され、前記右及び左の第2アームが、前記伝動ケースの右部及び左部に上下揺動可能に支持され、前記伝動ケースの右部及び左部から前及び後の他方に向けて延出されていると好適である。
【0028】
本発明によると、伝動ケースが左右方向に沿って機体に支持された場合、第1アーム及び第2アームが伝動ケースに支持される。これにより、伝動ケースが、第1アームの支持部に兼用され、第2アームの支持部に兼用されるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0029】
本発明において、前記右及び左の駆動装置が、前記伝動ケースの右部及び左部に設けられ、前記右及び左の駆動装置の動力を前記右及び左の第1車輪に伝達可能な右及び左の第1伝動機構が、前記右及び左の第1アームに設けられ、前記右及び左の駆動装置の動力を前記右及び左の第2車輪に伝達可能な右及び左の第2伝動機構が、前記右及び左の第2アームに設けられ、前記右及び左の第2伝動機構の動力を前記右及び左の第3車輪に伝達可能な右及び左の第3伝動機構が、前記右及び左の第3アームに設けられていると好適である。
【0030】
本発明によると、右の駆動装置から2つの伝動系が分岐して、2つの伝動系が右の第1車輪、第2車輪及び第3車輪に接続される。左の駆動装置から2つの伝動系が分岐して、2つの伝動系が左の第1車輪、第2車輪及び左第3車輪に接続される。
これにより、駆動装置から、第1車輪、第2車輪及び第3車輪への伝動系の簡素化の面で有利な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図4】第1車輪及び第2車輪、中間車輪への伝動系を示す概略図である。
【
図5】発明の実施の第1別形態における作業車の左側面図である。
【
図6】発明の実施の第1別形態における作業車の平面図である。
【
図7】発明の実施の第1別形態における作業車の正面図である。
【
図8】発明の実施の第1別形態における第1車輪、第2車輪及び第3車輪への伝動系を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~
図8に、遠隔操作型及び自律走行型の作業車が示されており、
図1~
図8において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0033】
(作業車の全体構成)
図1,2,3に示すように、エンジン2及び伝動ケース3、油圧機器9が機体1に搭載されており、右及び左の第1車輪11、右及び左の第2車輪12、右及び左の中間車輪10が、機体1に設けられて、作業車の全体が構成されている。
【0034】
(機体の構成)
図1,2,3に示すように、前後方向に沿った右及び左のフレーム4と、左右方向に沿った前及び後のフレーム5とが連結されて、平面視で長方形状の枠体が構成されている。正面視でチャンネル状の前及び後のフレーム6が、フレーム4の前部及び後部に連結されている。
【0035】
前後方向に沿った右及び左のフレーム7が、フレーム6に亘って連結されている。伝動ケース3がフレーム7に連結されており、伝動ケース3が左右方向に沿って機体1に支持されている。
【0036】
図4に示すように、伝動ケース3に、中央ケース3aと、中央ケース3aの右部及び左部に連結された右及び左の変速ケース3bと、変速ケース3bに連結された右及び左のギヤケース3cとが設けられている。
【0037】
図1,2,3に示すように、支持台8がフレーム7の前部に連結されており、エンジン2が支持台8に支持されている。油圧機器9が、機体1の後部に支持されている。
以上のように、機体1に、エンジン2及び伝動ケース3、フレーム4~7及び支持台8が設けられている。
【0038】
荷物等を搭載することができる枠状部材14が、機体1の上部に連結されている。枠状部材14に、前後方向に沿った右及び左の第1部分14a、第1部分14aの前部及び後部に亘って接続された第2部分14b、第1部分14aの前後中間部に亘って接続された第3部分14cが設けられており、枠状部材14の第3部分14cが機体1のフレーム4に連結されている。
【0039】
(第1車輪、中間車輪及び第2車輪の支持の構成)
図1~
図4に示すように、右の中間車輪10が、伝動ケース3の右のギヤケース3cに支持されており、左の中間車輪10が、伝動ケース3の左のギヤケース3cに支持されている。これにより、右及び左の中間車輪10が、機体1の前後中間部の右部及び左部に支持され、伝動ケース3の右部及び左部に支持されている。
【0040】
右及び左の第1アーム21が、伝動ケース3のギヤケース3cの前部に、左右方向に沿った軸芯P1周りに上下揺動可能に支持され、伝動ケース3のギヤケース3cから前方(前又は後の一方に相当)に向けて延出されている。右及び左の第1車輪11が、第1アーム21の延出端部に支持されている。
【0041】
複動型の右及び左の油圧シリンダ31(昇降機構に相当)(第1アクチュエータに相当)が、機体1のフレーム4と第1アーム21とに亘って接続されている。油圧機器9から油圧シリンダ31に作動油が給排操作されるのであり、油圧シリンダ31が伸縮操作されることにより、右及び左の第1アーム21が互いに独立に機体1に対して上下に揺動操作され、右及び左の第1車輪11が互いに独立に機体1に対して昇降操作される。
【0042】
右及び左の第2アーム22が、伝動ケース3のギヤケース3cの後部に、左右方向に沿った軸芯P2周りに上下揺動可能に支持され、伝動ケース3のギヤケース3cから後方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されている。右及び左の第2車輪12が、第2アーム22の延出端部に支持されている。
【0043】
複動型の右及び左の油圧シリンダ32(昇降機構に相当)(第2アクチュエータに相当)が、機体1のフレーム4と第2アーム22とに亘って接続されている。油圧機器9から油圧シリンダ32に作動油が給排操作されるのであり、油圧シリンダ32が伸縮操作されることにより、右及び左の第2アーム22が互いに独立に機体1に対して上下に揺動操作され、右及び左の第2車輪12が互いに独立に機体1に対して昇降操作される。
【0044】
(伝動ケースの内部の伝動系の構成)
図4に示すように、伝動ケース3の中央ケース3aの前部の上部に、入力軸15が前向きに突出しており、エンジン2の出力軸2aと入力軸15とに亘って、伝動軸16が接続されている。伝動ケース3の中央ケース3aの内部に、伝動軸17が左右方向に沿って支持されており、入力軸15のベベルギヤ15aと伝動軸17のベベルギヤ17aとが咬合している。
【0045】
静油圧式の右及び左の無段変速装置18(駆動装置に相当)が、伝動ケース3の変速ケース3bに収容されており、右及び左の無段変速装置18が伝動ケース3の右部及び左部に設けられている。
【0046】
無段変速装置18は、可変容量型のアキシャルプランジャ型の油圧ポンプ19及びアキシャルプランジャ型の油圧モータ20を有しており、伝動軸17が油圧ポンプ19に接続されている。無段変速装置18は、前進側及び後進側に無段階に変速可能に構成されている。
【0047】
右及び左の無段変速装置18(油圧モータ20)の出力軸24が、伝動ケース3のギヤケース3cの内部に挿入されている。右及び左の車軸25が、伝動ケース3のギヤケース3cに支持されており、出力軸24の伝動ギヤ24aと、車軸25の伝動ギヤ25aとが咬合している。車軸25に、中間車輪10が取り付けられている。
これにより、右及び左の出力軸24(中間伝動機構に相当)、右及び左の車軸25(中間伝動機構に相当)が、伝動ケース3の右部及び左部に設けられている。
【0048】
(第1アーム及び第2アームの内部の伝動系の構成)
図4に示すように、伝動ケース3のギヤケース3cの内部に、右及び左の伝動軸27が軸芯P1の位置に支持されている。車軸25と伝動軸27との間に伝動ギヤ26が配置されており、車軸25の伝動ギヤ25aと伝動ギヤ26とが咬合し、伝動軸27の伝動ギヤ27aと伝動ギヤ26とが咬合している。
【0049】
右及び左の車軸28が、第1アーム21の延出端部に支持されており、車軸28に第1車輪11が取り付けられている。伝動軸27が第1アーム21の内部に挿入されており、伝動軸27のスプロケット27bと車軸28のスプロケット28aとに亘って、伝動チェーン29が取り付けられている。
【0050】
伝動ケース3のギヤケース3cの内部に、右及び左の伝動軸30が軸芯P2の位置に支持されている。車軸25と伝動軸30との間に伝動ギヤ36が配置されており、車軸25の伝動ギヤ25aと伝動ギヤ36とが咬合し、伝動軸30の伝動ギヤ30aと伝動ギヤ36とが咬合している。
【0051】
右及び左の車軸34が、第2アーム22の延出端部に支持されており、車軸34に第2車輪12が取り付けられている。伝動軸30が第2アーム22の内部に挿入されており、伝動軸30のスプロケット30bと車軸34のスプロケット34aとに亘って、伝動チェーン35が取り付けられている。
【0052】
これにより、右及び左の伝動軸27(第1伝動機構に相当)、右及び左の車軸28(第1伝動機構に相当)、右及び左の伝動チェーン29(第1伝動機構に相当)が、右及び左の第1アーム21の内部に設けられている。
右及び左の伝動軸30(第2伝動機構に相当)、右及び左の車軸34(第2伝動機構に相当)、右及び左の伝動チェーン35(第2伝動機構に相当)が、右及び左の第2アーム22の内部に設けられている。
【0053】
(第1車輪、中間車輪及び第2車輪の駆動状態)
前述の(伝動ケースの内部の伝動系の構成)及び
図4に示すように、エンジン2の動力が、伝動軸16、入力軸15及び伝動軸17を介して、右及び左の無段変速装置18の油圧ポンプ19に伝達される。無段変速装置18により変速された動力が、無段変速装置18の油圧モータ20、出力軸24及び車軸25を介して中間車輪10に伝達される。
【0054】
無段変速装置18により変速された動力が、無段変速装置18の油圧モータ20、出力軸24、車軸25、伝動ギヤ26、伝動軸27、伝動チェーン29及び車軸28を介して第1車輪11に伝達される。
【0055】
無段変速装置18により変速された動力が、無段変速装置18の油圧モータ20、出力軸24、車軸25、伝動ギヤ36、伝動軸30、伝動チェーン35及び車軸34を介して第2車輪12に伝達される。
【0056】
右の第1車輪11及び第2車輪12、中間車輪10は、同じ駆動速度で、同じ前進側及び後進側に駆動される。左の第1車輪11及び第2車輪12、中間車輪10は、同じ駆動速度で、同じ前進側及び後進側に駆動される。右の第1車輪11及び第2車輪12、中間車輪10と、左の第1車輪11及び第2車輪12、中間車輪10とは、互いに独立に駆動される。
【0057】
右及び左の無段変速装置18が別々に前進側及び後進側に無段階に変速操作されることにより、機体1の前進及び後進、停止、前進及び後進しながらの右及び左への旋回、信地旋回及び超信地旋回が行われる。
【0058】
(作業車の走行状態)
作業車が平地を走行する場合、
図1,2,3に示すように、第1車輪11及び第2車輪12、中間車輪10が接地するように、機体1に対する第1車輪11及び第2車輪12の昇降位置を設定すればよい。
【0059】
高い棚等の荷物を作業車に移して搭載する場合や、作業車に搭載された荷物を高い棚等に移す場合、作業車の停止状態において、右及び左の第1車輪11を下降操作し、右及び左の第2車輪12を下降操作して、機体1を
図1に示す高さから上昇させればよい。
【0060】
作業車が階段や傾斜地を登ったり下ったりする場合、階段や傾斜地の山側(上側)となる右及び左の第1車輪11を上昇操作し、階段や傾斜地の谷側(下側)となる右及び左の第2車輪12を下降操作すればよい。又は、階段や傾斜地の谷側(下側)となる右及び左の第1車輪11を下降操作し、階段や傾斜地の山側(上側)となる右及び左の第2車輪12を上昇操作すればよい。これにより、機体1を水平に近い姿勢に維持しながら、階段や傾斜地を登ったり下ったりすることができる。
【0061】
作業車が傾斜地の等高線に沿って走行する場合、傾斜地の谷側(下側)となる右の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作すればよい。又は、傾斜地の谷側(下側)となる左の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作すればよい。これにより、機体1を水平に近い姿勢に維持しながら、傾斜地の等高線に沿って走行することができる。
【0062】
右の第1アーム21及び第2アーム22が下方に揺動操作されると、右の第1車輪11は下降しながら後方に移動し、右の第2車輪12は下降しながら前方に移動して、右の中間車輪10は地面から持ち上げられる。これにより、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)が短くなる。
【0063】
右への信地旋回を行う場合、前述のように右の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作して、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、右への信地旋回が行い易くなる。
【0064】
左の第1アーム21及び第2アーム22が下方に揺動操作されると、左の第1車輪11は下降しながら後方に移動し、左の第2車輪12は下降しながら前方に移動して、左の中間車輪10は地面から持ち上げられる。これにより、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)が短くなる。
【0065】
左への信地旋回を行う場合、前述のように左の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作して、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、左への信地旋回が行い易くなる。
【0066】
右及び左への超信地旋回を行う場合、前述のように、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くし、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、右及び左への超信地旋回が行い易くなる。
【0067】
信地旋回や超信地旋回を行う際に、右の中間車輪10を右の第1車輪11及び第2車輪12よりも相対的に下方に下降操作してもよく、左の中間車輪10を左の第1車輪11及び第2車輪12よりも相対的に下方に下降操作してもよい。この場合、第1車輪11及び第2車輪12は、中間車輪10よりも機体1の支持荷重の配分が小さい状態で接地していてもよく、地面から持ち上げられていてもよい。これにより、中間車輪10に作用する機体1の支持荷重の配分を大きくすることができるので、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0068】
(発明の実施の第1別形態)
作業車を
図5~
図8に示すように構成してもよい。
【0069】
(発明の実施の第1別形態における作業車の全体構成)
図5,6,7に示すように、エンジン2及び伝動ケース3、油圧機器9が機体1に搭載されており、右及び左の第1車輪11、右及び左の第2車輪12、右及び左の第3車輪13が、機体1に設けられて、作業車の全体が構成されている。機体1に、エンジン2及び伝動ケース3、
図1,2,3と同様なフレーム4,5,6,7、支持台8及び枠状部材14が設けられている。
【0070】
伝動ケース3が、が左右方向に沿って機体1の前部に支持されている。
図8に示すように、伝動ケース3に、
図4と同様な中央ケース3a、右及び左の変速ケース3b、右及び左のギヤケース3cが設けられている。エンジン2が支持台8に支持されて、機体1の略中央に配置されており、油圧機器9が機体1の後部に支持されている。
【0071】
(発明の実施の第1別形態における第1車輪、第2車輪及び第3車輪の支持の構成)
図5~
図8に示すように、右のギヤケース37が、伝動ケース3の右のギヤケース3cの右の横側部に連結され、左のギヤケース37が、伝動ケース3の左のギヤケース3cの左の横側部に連結されている。
【0072】
右及び左の第1アーム21が、ギヤケース37の前部に、左右方向に沿った軸芯P1周りに上下揺動可能に支持され、ギヤケース37から前方(前又は後の一方に相当)に向けて延出されている。これにより、右及び左の第1アーム21が、ギヤケース37を介して伝動ケース3の右部及び左部に上下揺動可能に支持されており、右及び左の第1車輪11が、第1アーム21の延出端部に支持されている。
【0073】
複動型の右及び左の油圧シリンダ31(昇降機構に相当)(第1アクチュエータに相当)が、機体1のフレーム4と第1アーム21とに亘って接続されている。油圧機器9から油圧シリンダ31に作動油が給排操作されるのであり、油圧シリンダ31が伸縮操作されることにより、右及び左の第1アーム21が互いに独立に機体1に対して上下に揺動操作され、右及び左の第1車輪11が互いに独立に機体1に対して昇降操作される。
【0074】
右及び左の第2アーム22が、ギヤケース37の後部に、左右方向に沿った軸芯P2周りに上下揺動可能に支持され、ギヤケース37から後方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されている。これにより、右及び左の第2アーム22が、ギヤケース37を介して伝動ケース3の右部及び左部に上下揺動可能に支持されており、右及び左の第2車輪12が、第2アーム22の延出端部に支持されている。
【0075】
複動型の右及び左の油圧シリンダ32(昇降機構に相当)(第2アクチュエータに相当)が、機体1のフレーム4と第2アーム22とに亘って接続されている。油圧機器9から油圧シリンダ32に作動油が給排操作されるのであり、油圧シリンダ32が伸縮操作されることにより、右及び左の第2アーム22が互いに独立に機体1に対して上下に揺動操作され、右及び左の第2車輪12が互いに独立に機体1に対して昇降操作される。
【0076】
右及び左の第3アーム23が、第2アーム22の後部(第2アーム22の延出端部に相当)に、左右方向に沿った軸芯P3周りに上下揺動可能に支持され、第2アーム22から後方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されている。右及び左の第3車輪13が、第3アーム23の延出端部に支持されている。
【0077】
複動型の右及び左の油圧シリンダ33(昇降機構に相当)(第3アクチュエータに相当)が、第2アーム22と第3アーム23とに亘って接続されている。油圧機器9から油圧シリンダ33に作動油が給排操作されるのであり、油圧シリンダ33が伸縮操作されることにより、右及び左の第3アーム23が互いに独立に第2アーム22に対して上下に揺動操作され、右及び左の第3車輪13が互いに独立に機体1に対して昇降操作される。
【0078】
(発明の実施の第1別形態における伝動ケースの内部の伝動系の構成)
図8に示すように、伝動ケース3に、
図4と同様な入力軸15、伝動軸16、伝動軸17、静油圧式の右及び左の無段変速装置18、出力軸24が設けられており、右及び左の無段変速装置18が、伝動ケース3の右部及び左部に設けられている。
【0079】
右及び左の伝動軸38が、伝動ケース3のギヤケース3cに支持されて、出力軸24の伝動ギヤ24aと、伝動軸38の伝動ギヤ38aとが咬合しており、伝動軸38がギヤケース37に挿入されている。
【0080】
(発明の実施の第1別形態における第1アーム及び第2アームの内部の伝動系の構成)
図8に示すように、右及び左の伝動軸27が、ギヤケース37の内部における軸芯P1の位置に支持されており、伝動軸38の伝動ギヤ38bと伝動軸27の伝動ギヤ27aとが咬合している。第1アーム21において、
図4と同様な車軸28及び伝動チェーン29が設けられており、車軸28に第1車輪11が取り付けられている。
【0081】
右及び左の伝動軸30が、ギヤケース37の内部における軸芯P2の位置に支持されており、伝動軸38の伝動ギヤ38bと伝動軸30の伝動ギヤ30aとが咬合している。第2アーム22において、
図4と同様な車軸34及び伝動チェーン35が設けられて、車軸34が第2アーム22の軸芯P3の位置に支持されており、車軸34に第2車輪12が取り付けられている。
【0082】
右及び左の車軸39が、第3アーム23の延出端部に支持されており、車軸39に第3車輪13が取り付けられている。車軸34が第3アーム23の内部に挿入されており、車軸34のスプロケット34bと車軸39のスプロケット39aとに亘って、伝動チェーン40が取り付けられている。
【0083】
これにより、右及び左の伝動軸27(第1伝動機構に相当)、右及び左の車軸28(第1伝動機構に相当)、右及び左の伝動チェーン29(第1伝動機構に相当)が、右及び左の第1アーム21の内部に設けられている。
右及び左の伝動軸30(第2伝動機構に相当)、右及び左の車軸34(第2伝動機構に相当)、右及び左の伝動チェーン35(第2伝動機構に相当)が、右及び左の第2アーム22の内部に設けられている。
右及び左の車軸34(第3伝動機構に相当)、右及び左の車軸39(第3伝動機構に相当)、右及び左の伝動チェーン40(第3伝動機構に相当)が、右及び左の第3アーム23の内部に設けられている。
【0084】
(発明の実施の第1別形態における第1車輪、第2車輪及び第3車輪の駆動状態)
図8に示すように、エンジン2の動力が、伝動軸16、入力軸15及び伝動軸17を介して、右及び左の無段変速装置18の油圧ポンプ19に伝達される。
【0085】
無段変速装置18により変速された動力が、無段変速装置18の油圧モータ20、出力軸24、伝動軸38、伝動軸27、伝動チェーン29及び車軸28を介して第1車輪11に伝達される。
【0086】
無段変速装置18により変速された動力が、無段変速装置18の油圧モータ20、出力軸24、伝動軸38、伝動軸30、伝動チェーン35及び車軸34を介して第2車輪12に伝達される。車軸34の動力が、伝動チェーン40及び車軸39を介して第3車輪13に伝達される。
【0087】
右の第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13は、同じ駆動速度で、同じ前進側及び後進側に駆動される。左の第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13は、同じ駆動速度で、同じ前進側及び後進側に駆動される。右の第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13と、左の第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13とは、互いに独立に駆動される。
【0088】
右及び左の無段変速装置18が別々に前進側及び後進側に無段階に変速操作されることにより、機体1の前進及び後進、停止、前進及び後進しながらの右及び左への旋回、信地旋回及び超信地旋回が行われる。
【0089】
(発明の実施の第1別形態における作業車の走行状態)
作業車が平地を走行する場合、
図5,6,7に示すように、第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13が接地するように、機体1に対する第1車輪11、第2車輪12及び第3車輪13の昇降位置を設定すればよい。
【0090】
高い棚等の荷物を作業車に移して搭載する場合や、作業車に搭載された荷物を高い棚等に移す場合、作業車の停止状態において、右及び左の第1車輪11を下降操作し、右及び左の第3車輪13を下降操作して、機体1を
図5に示す高さから上昇させればよい。
この場合、右及び左の第2車輪12は地面から持ち上げられ、第1車輪11と第3車輪13とに亘る比較的長いホイルベースにより、機体1が安定する。
【0091】
作業車が階段や傾斜地を登ったり下ったりする場合、階段や傾斜地の山側(上側)となる右及び左の第1車輪11を上昇操作し、階段や傾斜地の谷側(下側)となる右及び左の第2車輪12、右及び左の第3車輪13を下降操作すればよい。又は、階段や傾斜地の谷側(下側)となる右及び左の第1車輪11を下降操作し、階段や傾斜地の山側(上側)となる右及び左の第2車輪12、右及び左の第3車輪13を上昇操作すればよい。これにより、機体1を水平に近い姿勢に維持しながら、階段や傾斜地を登ったり下ったりすることができる。
【0092】
作業車が傾斜地の等高線に沿って走行する場合、傾斜地の谷側(下側)となる右の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作し、右の第3車輪13を少し上昇して、右の第1車輪、第2車輪12及び第3車輪13が接地するようにすればよい。又は、傾斜地の谷側(下側)となる左の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作し、左の第3車輪13を少し上昇して、左の第1車輪、第2車輪12及び第3車輪13が接地するようにすればよい。これにより、機体1を水平に近い姿勢に維持しながら、傾斜地の等高線に沿って走行することができる。
【0093】
右の第1アーム21及び第2アーム22が下方に揺動操作されると、右の第1車輪11は下降しながら後方に移動し、右の第2車輪12は下降しながら前方に移動する。右の第3アーム23が上方に揺動操作されると、右の第3車輪13は地面から持ち上げられる。これによって、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)が短くなる。
【0094】
右への信地旋回を行う場合、前述のように右の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作し、右の第3車輪13を上昇操作して、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、右への信地旋回が行い易くなる。
【0095】
左の第1アーム21及び第2アーム22が下方に揺動操作されると、左の第1車輪11は下降しながら後方に移動し、左の第2車輪12は下降しながら前方に移動する。左の第3アーム23が上方に揺動操作されると、左の第3車輪13は地面から持ち上げられる。これによって、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)が短くなる。
【0096】
左への信地旋回を行う場合、前述のように左の第1車輪11及び第2車輪12を下降操作し、左の第3車輪13を上昇操作して、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、左への信地旋回が行い易くなる。
【0097】
右及び左への超信地旋回を行う場合、前述のように、右のホイルベース(右の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くし、左のホイルベース(左の第1車輪11と第2車輪12との間隔)を短くすることにより、右及び左への超信地旋回が行い易くなる。
【0098】
信地旋回や超信地旋回を行う際に、右の第2車輪12を右の第1車輪11及び第3車輪13よりも相対的に下方に下降操作してもよく、左の第2車輪12を左の第1車輪11及び第3車輪13よりも相対的に下方に下降操作してもよい。この場合、第1車輪11及び第3車輪13は、第2車輪12よりも機体1の支持荷重の配分が小さい状態で接地していてもよく、地面から持ち上げられていてもよい。これにより、中間の車輪である第2車輪12に作用する機体1の支持荷重の配分を大きくすることができるので、信地旋回及び超信地旋回が行い易くなる。
【0099】
(発明の実施の第2別形態)
無段変速装置18に代えて、電動モータ(図示せず)を駆動装置として設けてもよい。油圧シリンダ31,32,33に代えて、電動モータ(図示せず)又は電動シリンダ(図示せず)を、昇降機構、第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータとして設けてもよい。
【0100】
前述の構成によると、エンジン2は不要になり、エンジン2に代えてバッテリ(図示せず)を搭載すればよい。伝動ケース3は不要になり、右及び左の駆動装置である電動モータを、機体1の右部及び左部に設ければよい。
【0101】
(発明の実施の第3別形態)
図1~
図4に示す構成において、エンジン2の側を機体1の後部とし、油圧機器9の側を機体1の前部とした場合、右及び左の第1アーム21が、伝動ケース3のギヤケース3cから後方(前又は後の一方に相当)に向けて延出されることになる。右及び左の第2アーム22が、伝動ケース3のギヤケース3cから前方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されることになる。
【0102】
(発明の実施の第4別形態)
図5~
図8に示す構成において、伝動ケース3の側を機体1の後部とし、油圧機器9の側を機体1の前部とした場合、右及び左の第1アーム21が、伝動ケース3のギヤケース3c(ギヤケース37)から後方(前又は後の一方に相当)に向けて延出されることになる。右及び左の第2アーム22が、伝動ケース3のギヤケース3c(ギヤケース37)から前方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されることになる。右及び左の第3アーム23が、第2アーム22から前方(前又は後の他方に相当)に向けて延出されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、凹凸の多い作業地や傾斜面がある作業地を走行するのに適した作業車に適用できるのであり、作業者が搭乗可能な作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1 機体
3 伝動ケース
10 中間車輪
11 第1車輪
12 第2車輪
13 第3車輪
18 無段変速装置(駆動装置)
21 第1アーム
22 第2アーム
23 第3アーム
24 出力軸(中間伝動機構)
25 車軸(中間伝動機構)
27 伝動軸(第1伝動機構)
28 車軸(第1伝動機構)
29 伝動チェーン(第1伝動機構)
30 伝動軸(第2伝動機構)
31 油圧シリンダ(昇降機構、第1アクチュエータ)
32 油圧シリンダ(昇降機構、第2アクチュエータ)
33 油圧シリンダ(昇降機構、第3アクチュエータ)
34 車軸(第2伝動機構、第3伝動機構)
35 伝動チェーン(第2伝動機構)
39 車軸(第3伝動機構)
40 伝動チェーン(第3伝動機構)