(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092016
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】眼科向けの光干渉断層撮影システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074346
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2022542052の分割
【原出願日】2020-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】521511575
【氏名又は名称】ハーグ-シュトライト アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ルツィオ ロブレド
(57)【要約】
【課題】 眼球内の構造を表わすデータ、詳細には横断面画像が、各々光の軌跡に沿った複数の点についての複数の反射値(r)を生成する眼球内の異なる位置にある波長掃引型OCTを用いて複数のAスキャン(A1、A2、A3)を生成することにより記録される。その後、眼球内の異なる位置におけるいくつかの反射値(r)から、組合せ値(r
c)が計算される。
【解決手段】 データの質を改善するために、眼球内の少なくとも1つの湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)のモデルが反射値にフィットされ、その後、組み合わせるべきAスキャン(A1、A2、A3)上の点を識別するために使用される。これにより、ノイズを削減しかつ構造に直交する方向で改善された分解能を得るために、湾曲構造の接線方向に沿ってデータを投影することが可能となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影を用いて眼球内の構造を表わすデータを得るための方法において、
- Aスキャン(A1、A2、A3)のセットを記録するステップであって、前記Aスキャン(A1、A2、A3)の少なくともいくつかが眼球の異なる位置で記録され、各々のAスキャン(A1、A2、A3)が、眼球を通した光の軌跡に沿った複数の点について複数の反射値(r)を生成するために使用される、ステップと、
前記眼球の少なくとも1つの湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(r)を使用するステップと、
- 複数の組合せ値(rc)を計算するステップであって、各々の組合せ値(rc)が前記眼球内の異なる位置におけるいくつかの反射値(r)から得られ、前記組合せ値(rc)を計算するために使用される前記Aスキャン(A1、A2、A3)のサブセット上の前記点を識別するために、前記モデリングされた湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)が使用されるステップと、
を含み、前記モデリングされた湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)における組合せ値(rc)を計算するために、前記方法は、
- 前記サブセット内の各々のAスキャンiについて、Aスキャンiと前記モデリングされた湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)との交差部における前記反射値(r)の推定値re(i)を決定するステップと、
- 前記組合せ値(rc)を計算するために前記推定値re(i)を使用するステップと、
を更に含む、方法。
【請求項2】
前記湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)が、角膜の前面(Ca)、角膜の後面(Cb)、水晶体の前面(La)、水晶体の後面(Lp)、および網膜(R)のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所与の深さ座標について、前記深さ座標に最も近い前記Aスキャンi上の少なくとも2つの反射値(r)を補間することによって前記サブセット内のAスキャンiの推定値re(i)を計算するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
所与の軸に沿って前記組合せ値(rc)を計算するために、
- 眼球内の少なくとも第1および第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(rc)を使用するステップであって、前記第1の湾曲構造が前記軸に沿った第1の位置に位置設定されており、前記第2の湾曲構造が前記軸に沿った第2の位置に位置設定されている、ステップ
を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
- 前記第1の位置における組合せ値(rc)を得るために、前記第1の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)に沿って、点の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの第1の複数の前記反射値(r)を組み合わせるステップ、および/または
- 前記第2の位置における組合せ値(rc)を得るために、前記第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)に沿った点の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの第2の複数の前記反射値(r)を組み合わせるステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記第1および前記第2の位置の間の第3の位置における組合せ値(rc)を得るために、異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの点の第3の複数の反射値(r)を組み合わせるステップであって、前記点が前記第1および前記第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)の間および/または近傍の領域内にあるステップ、
をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の複数の前記反射値に対応する前記点が、
- 前記第1および前記第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)から補間された曲線(C3)に沿って配設されているか、または、
- 前記第1の湾曲構造に平行な第1の曲線(C1)に沿って配設された点の第1のサブセット、および前記第2の湾曲構造に平行な第2の曲線(C2)に沿って配設された点の第2のサブセットを含み、ここで前記第1および第2の曲線(C1、C2)が前記第3の位置で交差している、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記データが、前記構造の断面ビューを示す2次元横断面を表わしており、前記断面ビュー内の前記湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)の画像点を生成するために前記組合せ値(rc)を使用するステップを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組合せ値(rc)の少なくともいくつかについて、前記組合せ値(rc)が、横断面の平面の外側の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの複数の前記反射値(r)を組み合わせることによって計算される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の組合せ値(rc)を計算する前記ステップが、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の平均を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の分位数を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の最小値または最大値を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の補間を計算するステップ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の組合せ値(rc)を計算する前記ステップが、前記組合せ値(rc)を計算するときに角膜の頂部から閾値Rsよりも小さい距離を有するAスキャンを使用しないことによって、鏡面反射を示すいかなるAスキャンの反射値も使用しないステップを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
位置(x、y)における組合せ値(rc)を計算するために使用される前記反射値(r)の前記位置が、前記位置(x、y)から1mm未満の距離(R)内にあるAスキャンからである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記データが、画像平面を定義する2次元画像を表わし、前記組合せ値(rc)が前記画像内の画素にアトリビュートされた色度であり、
各画素について、Aスキャンのサブセットを使用し、各Aスキャンについて、最強の反射値(r)を有する点を識別するステップと;
- 前記画像平面からの前記識別された点の距離に応じた色を、前記画素について決定するステップと;
を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
- 前記眼球の少なくとも1つの湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(r)を使用するステップは、前記眼球のいくつかの湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングすることを含み、
- 前記方法は、
- 前記いくつかの構造(Ca、Cp、La、Lp)の位置と、前記点の平均深度(d(m、n))とを比較して、前記構造のうちの1つに対する、または前記構造の間、前または後ろの空間に対する前記点のアトリビューションを行なうステップと、
- 前記アトリビューションに応じて前記色を選択するステップと、
を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画素の輝度または明度を決定するために前記点の反射値(r)の大きさを使用するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記データが、前記眼球の一次元横断面を表わすものである、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記データが、前記眼球の視軸または光学軸に平行な1次元または2次元横断面を表わすものである、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記データが、前記眼球の視軸または光学軸に直交する2次元横断面を表わすものである、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記光干渉断層撮影が、周波数ドメインOCTである、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
- 光干渉断層撮影干渉計(10~26)と、
- 請求項1から19のいずれか1項に記載の方法のすべてのステップを実施するために構造化され適応された制御ユニット(32)と、
を含む眼科用デバイス。
【請求項21】
前記光干渉断層撮影干渉計(10~26)が単一のAスキャンについて少なくとも40mmの測定範囲を有する、請求項20に記載の眼科用デバイス。
【請求項22】
前記光干渉断層撮影干渉計(10~26)が、テレセントリックプローブビームを生成する、請求項20又は21に記載の眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球内の構造を表わすデータを得るための方法ならびに、この方法を実施するための眼科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科の利用分野向けの光干渉断層撮影(OCT)システムは、例えば欧州特許第3572765号から公知である。これらのシステムは、光干渉断層撮影干渉計を含む。この干渉計は、眼球の複数のAスキャンを記録するために使用される。各々のAスキャンは、眼球を通る光の軌跡に沿った複数の点について一連の反射値からなる。これらの反射値は、その後、例えば1次元、2次元または3次元のいずれかで眼球の画像を生成するために使用可能である。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決すべき課題は、例えばより優れた分解能を有しかつ/またはよりノイズの少ない、より多くの情報を伴うデータを生成する上述のタイプの方法およびデバイスを提供することにある。
【0004】
この課題は、独立クレームの方法およびデバイスによって解決される。
【0005】
したがって、本発明は、光干渉断層撮影を用いて眼球内の構造を表わすデータ、詳細には横断面画像を表わすデータを得るための方法に関する。
【0006】
当該技術によって得られるデータは、例えば眼球の1次元または2次元横断面および/または眼球の個別のパラメータを表わし得る。
【0007】
該方法は、少なくとも以下のステップを含む:
- Aスキャンのセットを記録するステップ:これらのAスキャンの少なくともいくつかは眼球の異なる位置で記録される。各々のAスキャンは、例えば眼球内の光学的深達度の関数として、複数の反射値を生成するために使用される。
- 複数の組合せ値を計算するステップ。各々のこのような組合せ値は、眼球内の異なる位置における反射値から得られる。
【0008】
眼球内の異なる位置で得た反射値を前記組合せ値へと組み合わせることによって、以下で説明するように、追加のまたはより正確な情報を獲得することができる。
【0009】
有利には、該方法はさらに、眼球の少なくとも1つの湾曲構造をモデリングするために反射値を使用するステップを含む。この湾曲構造は、角膜または水晶体または網膜の前面または後面などの、反射値から判別可能なあらゆる構造であり得る。
【0010】
有利には、モデリングされた湾曲構造は、所与の組合せ値を計算するために使用すべきAスキャンのサブセット上の点を識別するために使用可能である。これにより、例えば、反射値を組合せ値へと組み合わせるとき湾曲構造の接線方向に沿ってAスキャンのデータを「投影する」ことが可能となり、こうして、湾曲構造の方向に直交する方向での空間分解能が向上しかつ/または、データの信号対ノイズ比が改善される。
【0011】
使用されたAスキャンのサブセットは、有利には、眼球内の異なる位置において記録されたいくつかのAスキャンを含む。
【0012】
湾曲構造において組合せ値を計算するために、該方法は有利には、少なくとも以下のステップを含み得る:
- 使用すべきAスキャンのサブグループにおいて、各々のAスキャンiについて、Aスキャンiとモデリングされた構造との交差部における反射値の推定値re(i)を決定するステップ。この推定値は例えば、交差部に最も近いAスキャンi上の測定された点の反射値であり得、あるいは交差部の位置におけるAスキャンiの反射値の補間値であってもよい。
- 組合せ値を計算するために推定値re(i)を使用するステップ。
【0013】
実施形態において、所与の軸に沿って組合せ値を計算するために、該方法は以下のステップをさらに含む:
- 眼球内の少なくとも第1および第2の湾曲構造をモデリングするために反射値を使用するステップであって、第1の構造が軸に沿った第1の位置に位置設定されており、第2の構造が軸に沿った第2の異なる位置に位置設定されている、ステップ。例えば第1の構造は水晶体(または角膜)の前面であり得、第2の構造は水晶体(または角膜)の後面であり得る。
【0014】
その場合、有利には、該方法は、以下の2つのステップのうちの少なくとも1つを含み得る:
- 第1の位置における組合せ値を得るために、接線方向に第1の湾曲構造に沿った点の異なるAスキャンからの第1の複数の反射値を組み合わせるステップ。以上の例において、これらは、接線方向に水晶体の前面に沿った反射値が組み合わされて、軸が前面と交差する位置における組合せ値を生成することを意味すると考えられる。
- 第2の位置における組合せ値を得るために、接線方向に第2の湾曲構造に沿った点の異なるAスキャンからの第2の複数の反射値を組み合わせるステップ。以上の例において、これらは、接線方向に水晶体の後面に沿った反射値が組み合わされて、軸が後面と交差する位置における組合せ値を生成することを意味すると考えられる。
【0015】
したがって、第1および第2の構造は異なる構造であることから、第1および第2の位置における反射値を組み合わせるための幾何形状は、各々、表現すべきそれぞれの構造のために最適化された異なる曲線を眼球内でたどることになる。
【0016】
第1および第2の位置間の第3の位置における組合せ値を得る目的で、該方法は同様に、前記第1および第2の位置の間の第3の位置における組合せ値を得るステップを含み得る。これは、異なるAスキャンからの点の第3の複数の反射値を組み合わせることによって達成され、ここでこれらの点は、第1および第2の構造の間の領域内および/またはその近傍にある。これに関連して、「近傍に」なる用語は、有利には、それぞれの構造から500μm未満、詳細には100μm未満、詳細には10μm未満の距離を有する点を指しているものとして理解される。
【0017】
データが眼球の2次元横断面を表わす場合、角膜または水晶体の横断面など、モデリングされた構造の画像を示すためにそれを使用することができる。その場合、接線方向に構造に沿った複数の反射値を組み合わせることにより計算された組合せ値を、断面ビュー内の構造の画像点を生成するために使用することが可能である。
【0018】
有利には、組合せ値は、2次元横断面の平面の外側の異なるAスキャンからの複数の反射値を組み合わせることによって計算される。
【0019】
前述のように、「組合せ値」は、異なるAスキャンの反射値を組み合わせることによって計算される。この演算には、以下の演算のうちの少なくとも1つが含まれ得る:
- 組み合わせるべき反射値の平均、詳細には加重平均を計算する演算、
- 組み合わせるべき反射値の分位数、詳細には中央値を計算する演算、
- 組み合わせるべき反射値の最小値または最大値を計算する演算、および/または
- 組み合わせるべき反射値の補間を計算する演算。
【0020】
組合せ値を計算する場合、鏡面反射を示すAスキャンの反射値は有利には使用されない。むしろ、鏡面反射を示さない隣接するAスキャンを使用することができる。これに関連して、「鏡面反射を示す」Aスキャンとは、OCT測定により記録された鏡面反射に由来する反射値を有するAスキャンとして理解されるべきである。
【0021】
本方法は、隣接するAスキャンの組合せに依存し得ることから、このような鏡面反射するAスキャンを抑制することを可能にする。
【0022】
眼球の構造についての追加の情報を提供するために、色を用いることができる。例えば、本方法により計算された「データ」は、画像平面内の2次元画像を表わすことができ、「組合せ値」は、画像内の画素にアトリビュートされた色度であり得る。該方法は、このとき、少なくとも以下のステップを含み得る:
- 各画素について、画素に対応する点における少なくとも1つの反射値(r)を識別するステップ。
- 画像平面からの点の距離に応じた色を、画素について決定するステップ。
【0023】
これにより、横断面画像との関係における反射構造の位置に応じて、異なる色をアトリビュートすることが可能になる。
【0024】
本発明は同様に、以下のものを含む眼科用デバイスにも関する:
- 光干渉断層撮影干渉計;このOCT干渉計はAスキャンを記録するために使用される。
- 本発明中に記載の方法を実施するために構造化され適応された制御ユニット;この制御ユニットには、本発明のステップを実施するための好適なソフトウェアおよびハードウェアが具備されている。この制御ユニットは同様に、当該技術によって決定されたデータを表示し、記憶しかつ/または転送するためのディスプレイ、記憶装置、および/またはデータインタフェースも含み得る。
【0025】
本発明についての以下の詳細な説明を考慮した時点で、本発明がより良く理解され、以上に記載のもの以外の目的が明らかになるものである。このような説明には、添付図面が参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、眼科用デバイスの一実施形態の概略的セットアップを示す。
【
図2】
図2は、スキャンパターンの一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、
図2に太線で示されたAスキャンの位置についての反射値を示す。
【
図4】
図4は、一平面内の一連のAスキャンを表わす。
【
図5】
図5は、3つのAスキャンと角膜および水晶体の前面および後面の概略的表現である。
【
図6】
図6は、前水晶体面を単一の線上に設定するためにz方向に沿ってAスキャンを変位させた、
図4の画像を示す。
【
図7】
図7は、後水晶体面を単一の線上に設定するためにz方向に沿ってAスキャンを変位させた、
図4の画像を示す。
【
図8】
図8は、位置x、y、zにおける組合せ値を計算するときに、Aスキャンiのために使用すべき推定値を決定するための一実施形態の概略図である。
【
図9】
図9は、単一のAスキャンの反射値および眼球の視軸に沿った組合せ値を表わす。
【
図10】
図10は、角膜および水晶体にズームインし、角膜および水晶体の表面に沿って個別のAスキャンを投影する効果を描く、眼球の視軸に沿った一次元横断面についての組合せ値を表わす。
【
図11】
図11は、本明細書中に記載の技術を用いた屈折補正済み横断面画像を示す。
【
図12】
図12は、眼球の「正面」ビューの画像の輝度値を示す。
【
図13】
図13は、
図13の画像のさまざまな部分をエンコードするために使用される色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(註:図中の全てのグレースケール画像は、再現性をより良くするためにハーフトーニング処理されている。ハーフトーニングは典型的に、電子ディスプレイ上で画像を表現するためには使用されない。)
【0028】
デバイスの概要
図1の眼科用デバイスは、例えばOCT能力を伴う眼科用顕微鏡である。
【0029】
それは、光干渉断層撮影干渉計10~26を含む。
【0030】
干渉計は、本実施形態においては波長掃引型光源である光源10を有する。すなわちそれは、波長の調整が可能である狭帯域光を生成する。
【0031】
光源10からの光は、ビームスプリッタ12、詳細にはファイバビームスプリッタを通り、2つの干渉計アーム14、16内に送り込まれる。
【0032】
第1のアームは、一端部にミラー18を含む基準アーム14である。ミラー18に衝突した光は、ビームスプリッタ12に送り戻され、そこから、少なくとも一部分が光検出器20に送られる。
【0033】
第2のアームは、サンプルアーム16である。それは、ビームスプリッタ12から来るプローブ光をコリメートするためのコリメーション光学系22を含む。光は次に、プローブビーム28を生成するために、2つのスキャナミラー24a、24bおよび対物レンズ26を通って供給される。スキャナミラー24a、24bの位置に応じて、プローブビーム28は、デバイスの光学軸zに直交するx-y平面内で、横方向にオフセットされ得る。
【0034】
本実施形態においては、テレセントリックプローブビーム28を生成する干渉計が使用される。すなわち、さまざまなx座標およびy座標についてのプローブビーム28(例えば
図1中のビーム28およびビーム28’)は、互いに平行である。これにより、以下で説明する技術との関連において解析が単純化される。
【0035】
図示された実施形態において、プローブビームは、角膜の前面上に焦点合せされるものとして示されているが、これらのプローブビームを、特に関心のある眼球30の他の任意の部分に焦点合せすることも可能である。
【0036】
プローブビーム28は眼球30に進入し、そこで眼球の構造により反射または散乱される。このような構造から跳ね返された光は、ビームスプリッタ12に戻され、そこから少なくとも部分的に光検出器20に戻され、そこで、基準アーム14からの光と干渉し得る。
【0037】
図1のデバイスは、複数のAスキャンを記録することにより動作させられる。このようなAスキャンの各々について、プローブビーム28は、スキャナミラー24a、24bを用いて、所望のxおよびy位置へと運ばれる。その後、光源10の中心波長は、典型的には光源10からの光のスペクトル幅よりもはるかに広い所与の波長範囲全体にわたって整調される。光検出器20における光は、中心波長の関数として測定される。
【0038】
このとき、所与のAスキャンについてのz軸に沿った眼球30の反射値を生成するために、光検出器20からの信号のスペクトル解析、詳細にはフーリエ変換を使用することができる。反射値は、上述の通り、反射され散乱した光に関連するように意図されている。OCT画像化において慣習となっているように、反射値は、反射強度に正比例する値または反射強度の対数に正比例する値、あるいは例えば他のレンジ圧縮された値によって表わされ得ると考えられる。より一般的に言うと、「反射値」は、Aスキャンに沿った一定の位置から戻された光量を標示する。有利には、それは、光量に対して線形であってもまたはその対数であっても、あるいはその任意の他の関数であってもよい。
【0039】
このタイプのOCT測定は、当業者にとって公知であり、例えば欧州特許第3572765号およびその中に引用された参照文献中に記載されている。
【0040】
デバイスはさらに、例えばマイクロプロセッサ34およびメモリ36ならびにディスプレイ38が具備され得る制御ユニット32を含む。メモリ36は、該方法のステップを実施するために必要とされるデータならびにプログラム命令を保持し得る。ディスプレイ38は例えば、それによって決定されたデータを示すため、詳細には本明細書中に記載の技術を用いて導出されたあらゆる横断面画像を表示するために使用され得る。
【0041】
有利には、OCT干渉計10~26の測定範囲(単一のAスキャンについて)は、少なくとも典型的な眼球の角膜から網膜まで延在する。換言すると、単一のAスキャンで(すなわち、光源の一回の掃引でのSS-OCTについて)、少なくとも40mm(空中)にわたって深度分解された情報を得ることができる。これにより、例えば異なる測定値を組み合わせるためにステッチングを適用する必要なく、軸方向の眼球の長さ全体にわたり、以下で説明する技術を適用することが可能になる。
【0042】
図2は、測定において使用されるスキャンパターンについての一例を示す。すなわち、これは、さまざまなAスキャン中のx-y平面内のプローブビーム38の位置を示す。このタイプのパターンは、欧州特許第3021071号に記載されている。例えば、欧州特許第3217144号または米国特許第8705048号に記載のスキャンパターンなどの、他のスキャンパターンも同様に使用可能である。
【0043】
図3は、
図2に示されている脂肪スキャン点についてのz座標およびスキャン点指数の関数としての反射値r(未加工データ)を示す。この図面中、より高い反射値はより暗いスポットで表わされている。見れば分かるように、このデータはかなりノイズが多い。
【0044】
眼球運動補正
このようにして記録されたAスキャンは、任意には眼球運動について、例えば少なくとも以下のステップを使用することによって補正可能である:
1. Aスキャン内で少なくとも1つの所与の眼球構造(例えば前角膜面)の反射を識別するステップ、
2. 構造の形状および構造の運動を描写するモデルを、識別された反射の位置にフィットさせるステップ。このモデルは、例えば構造の幾何学的パラメータ(例えば曲率)ならびに運動パラメータ(例えばx、yおよびz座標での3次元の位置および速度)を有することができる。
【0045】
フィッティングステップ2において得られたパラメータは次に、OCT測定値を眼球の枠で固定される座標系へと変換するために使用可能である。
【0046】
好適な運動補正技術は、例えば国際公開第2013/107649号または米国特許第7452077号中に記載されている。
【0047】
Aスキャンの組合せ
上述のステップは、眼球の異なるx-yの位置において記録されたAスキャンセットを生成する。各Aスキャンは、眼球内の光の軌跡に沿った複数の反射値r(zij)を含み、ここでiはAスキャンの指数(Aスキャンのxおよびy位置を識別する)であり、zi1・・・ziNは、Aスキャンi内に記録された通りの眼球の深度に沿ったz位置を示す。
【0048】
前述したように、反射値r(zij)は、絶対必要というわけではないものの有利には、運動補正される。
【0049】
本技術は、眼球の構造を描写するデータの獲得に基づいている。データは、例えば、眼球の1次元または2次元横断面を表わすことができ、または、例えば眼球の3次元ボリュメトリック画像を表わすこともできる。
【0050】
所与の位置における眼球を表わすデータを計算する目的で、本技術は、「組合せ値」rcを計算し、ここで、これらの組合せ値の少なくともいくつかは各々、眼球の異なる位置について記録されたいくつかの反射値r(zij)から得られるものである。
【0051】
以下では、このような組合せ値を計算するためのいくつかの方法について説明する。
【0052】
眼球の構造に沿った投影
ここで説明される技術の1つは、眼球の少なくとも1つの湾曲構造をモデリングし、その後、この湾曲構造に沿って接線方向に異なるAスキャンの反射値を組み合わせることに基づいている。
【0053】
これは、平面内の一連のAスキャンを表わす
図4に例示されている。画像は明らかに、角膜の前面および後面Ca、Cpならびに、水晶体の前面および後面La、Lpを示している。それは同様に、網膜Rも示している。(眼球の視軸または光学軸に対して平行に(眼球の外側で)延在するテレセントリックAスキャンについて、Aスキャンは、網膜の1つの点において交差することから、網膜は、全てのAスキャンについて実質的に同じz座標で出現する)。
【0054】
例えば各Aスキャンに対しエッジ検出技術を用いて、これらの表面のいずれかのz位置(光の軌跡に沿った軸方向位置)を推定して、例えばこれらの表面の各々に対応するx-y-z空間内の4つの点セットを得ることができる。
【0055】
次のステップでは、これらの表面の各々のモデルのパラメータを、例えば従来のフィッティング技術を用いて計算することができる。
【0056】
例えば、表面は、中心と半径によって定義される球面によってモデリングされ得、あるいは、例えば二次の多項式表面によってこれらをモデリングすることができる。
【0057】
モデルのパラメータがひとたび計算されたならば、所与のx-y座標についての一つの表面における精緻な「組合せ値」を計算すること、すなわち前記表面に沿ったいくつかのAスキャンの反射値を投影し、例えば平均化または以下でさらに説明される別の数学的演算によってこれらの反射値を数学的に組み合わせることによって計算することができる。
【0058】
このプロセスは、フィッティングによって得られる4つの表面Ca、Cp、LaおよびLpならびに3つのAスキャンA1、A2、A3を示す
図5の中で、図式的に例示されている。Aスキャンに沿ったドット/円は、反射値r(z
ij)が測定されたz位置z
ijを表わす。
【0059】
例えば、AスキャンA2と表面Caとの交差部で精緻な組合せ反射値rcを得るために、表面Caに沿った3つのAスキャンA1、A2、A3の反射値を組み合わせることができる。
【0060】
例えば、単純なアルゴリズムが、各Aスキャンについて、表面Caに最も近い測定位置(すなわちz位置)LCa1、LCa2、LCa3を識別し、それらの反射値r(LCa1)、r(LCa2)、r(LCa3)を組み合わせることができる。
【0061】
より精緻なアルゴリズムは、表面Caに最も近い位置LCa1、LCa2、LCa3を識別するだけでなく、例えば2番目に近い位置をも識別し、各Aスキャンについて、これらの最も近い位置の反射値を補間して、Aスキャンと表面Caの交差部における反射値のより優れた推定値を得、その後これらの推定値を数学的に組合せることができる。
【0062】
より一般的に言うと、眼球の構造(例えば表面Ca、Cp、La、Lpのうちの1つ)の上の所与の位置x、yにおける反射値rcを推定するためには、以下のステップを実施することができる:
- ステップ1(モデリング)。Aスキャンにより測定された反射値に対して眼球の少なくとも1つの湾曲構造をモデリングする。このモデリングステップのためには、以下のステップ2のAスキャンサブセットのみを使用してよく、あるいは、より大きなAスキャンセットを使用してもよい。
- ステップ2(サブセットの選択):組合せ値rcを計算するために位置(軸)x、yのまわりのAスキャンのサブセットを選択する。このサブセットは、x、yに近いAスキャン、例えばx、yから値Rよりも小さい距離を有するAスキャンを含む。Rが大きいものとして選択された場合、ノイズ抑制が改善されるが、xおよびyの分解能は劣化する。Rが小さいものとして選択された場合、ノイズは増大するものの、分解能は向上する。典型的には、Rは例えば1mmまたは0.5mmであってよい。
- ステップ3(個別のAスキャン反射推定値を決定する):サブセット内の各Aスキャンiについて、モデリングされた構造とAスキャンの交差部における反射値の推定値re(i)を計算する。このステップには、例えばモデル構造とAスキャンiの交差点の計算、そして次に、例えば推定値re(i)としての交差部に最も近い点についての測定反射値の使用、が含まれ得る。あるいは、このステップには、(間接的に、少なくとも交差点に最も近いスキャン位置における反射値ならびに少なくとも1つのさらなる反射値も同様に使用することになる)交差点におけるAスキャンの反射値の補間値を計算することが含まれ得る。
4. サブセット内のAスキャンの推定値re(i)を、組合せ値rcへと組み合わせるステップ。この組合せは、以下でより詳細に説明するさまざまな数学的演算を使用することができる。
【0063】
上述のステップは、所与の眼球の構造における組合せ値r
cをどのように計算するかを説明している。これらのステップは、同様に眼球のあらゆる構造から離れた任意の所与の位置x、y、z、例えば
図5の位置x、y、z1における反射値r
cを推定するために一般化することが可能である。
【0064】
【0065】
図6は、
図4のAスキャンを示すが、各々のAスキャンは、水晶体の前面Laに対応するそれらの反射ピークが同じz位置に来るように方向zに沿ってオフセットされている。同様にして、
図7は、
図4のAスキャンを示すが、各Aスキャンは、水晶体の前面Lpに対応するそれらの反射ピークが同じz位置に来るように方向zに沿ってオフセットされている。
【0066】
その場合、水晶体の前面および後面La、Lpの間の所与のz位置における組合せ値r
c(z)を計算するために、所与のAスキャンiについての推定値r
e(i)は例えば、
図6のAスキャンiの反射値r’(i、z)および
図7の反射値r’’(i、z)Aスキャンiの加重平均であり得る。重みは、一定の距離を伴って、それぞれLaおよびLpからの点zの距離d1、d2に応じて線形的に選択される、すなわち:
【数1】
【0067】
換言すると、2つのAスキャンセットは、第1のセットが第1の構造とアライン整列され(being aligned)、第2のセットが第2の構造と整列された(being aligned)状態で、zに沿ってAスキャンをオフセットすることによって計算される。その後、これらの構造の間の所与の位置zにおける所与のAスキャンiについての推定値re(i)を計算するために、等式(1)を用いて、2つのセット内のAスキャンiの反射値r’およびr’’が組み合わされる。
【0068】
図8には、第2の方法が例示されている。ここでは、所与の位置x、y、zについての組合せ値は、x、y、zに近いAスキャンのサブセットから計算されるものと仮定されている。図は、Aスキャンi(Aiとして記されている)に沿ったどの位置z(i)を使用すべきかを例示している。すなわち、Aスキャンiのために使用すべき推定値r
e(i)は、以下のように決定される:
- 位置x、yにおける2つの眼球構造(ここでは構造LaおよびLp)のz位置z1およびz2が、Aスキャンiのx-yの位置における2つの眼球構造のz位置z1(i)およびz2(i)においてと同様に計算される。
- z1およびz2、z1(i)およびz2(i)からAスキャンi上の位置z(i)が計算され、これには、zがz1およびz2の間にあるのと同様にして、z(i)がz1(i)とz2(i)の間になければならないということが考慮に入れられる。例えば、z(i)を計算するために、以下の関係式を使用することができる:
【数2】
- 次に、位置z(i)における推定値r
e(i)を計算することができる。例えば、z(i)に最も近い測定点におけるAスキャンiの反射値を使用してこれを計算することができ、あるいは、位置z(i)におけるAスキャンiの反射値の補間からそれを計算することができる。
【0069】
さらに一般的に言うと、位置z1とz2の間の位置zにおける組合せ値を計算するために、該方法は、眼球の2つのモデリングされた構造の間の領域内および/またはその近傍にあるAスキャン点の「第3の複数の」反射値(r)を組み合わせることができる。上述の通り、「~の近傍に」なる用語は有利には、それぞれの構造から500μm未満、詳細には100μm未満、詳細には10μm未満の距離を有する点を指すものとして理解される。「~の近傍に」のケースは、例えば以下のb)で定義されている技術を使用する場合にあてはまる可能性があり、その場合、「第3の複数の」値のうちのいくつかは、2つのモデリングされた構造の外側に存在し得る。(このような構造は、8mm以上の典型的な曲率半径を有することができ、第3の複数の反射値に対応する点の距離は、最大ほぼ3mm、恐らくはそれより短いものであり得、その結果として500μmという「近傍」の最大定義がもたらされる。)
【0070】
「第3の複数」とは、例えば、以下のうちの1つの形で定義され得る:
a) 等式(1)の技術を使用する場合、この「第3の複数」の反射値は例えば、使用されたAスキャン上の点の第1および第2のサブセットの反射値を含むものとして定義され得る:すなわち
- 第1のサブセットの点は、第1のモデリングされた構造(
図8中のLa)に平行な第1の(有利には3次元の)曲線C1に沿って接線方向に配設され、この第1の曲線は座標x、y、zにある点と交差するようにオフセットされている。
- 第2のサブセットの点は、第2のモデリングされた構造(
図8中のLp)に平行な第2の(有利には3次元の)曲線C2に沿って接線方向に配設され、この第2の曲線は同様に、座標x、y、zにある点と交差するようにオフセットされている。
【0071】
換言すると、第1および第2の曲線C1、C2は点zで交差する。
【0072】
b) 等式(2)の技術を使用する場合、「第3の複数の」反射値は、例えば、第1および第2のモデリングされた構造(
図8中のLa、Lp)から補間された曲線C3(有利には3次元曲線)に沿って接線方向に延在する使用されたAスキャン上の点についての反射値として定義され得る。
【0073】
この「眼球構造に沿った投影」の節の中で説明されている技術は、眼球の頂点または視軸または光学軸から離れたx-y位置における組合せ値rcを計算するため、および/または、Aスキャンの幾何学的に広いサブセット上の組合せ、すなわち大きなR値についての組合せを計算するために極めて有利であり、その理由はこれらの場合には、そうしなければ構造の曲率および/または勾配によって組合せ値の計算の際に大きな誤差が導入されると考えられるからである。
【0074】
組合せ値の計算
Aスキャンサブセット内の全てのAスキャンiの推定値re(i)がひとたび決定されたならば、位置x、y、zにおける組合せ値rcを評価することができる。上述のように、組合せ値rcは、例えば以下の値のうちの1つであり得る:
- 個別のAスキャンの推定値re(i)の平均。有利には、加重平均が使用され、ここで、所与の推定値re(i)の重みは、ガウスの重みを用いて位置x、yからのAスキャンiの距離により左右される。
- 推定値re(i)の分位数、例えば中央値。
- 推定値re(i)の最小値または最大値。
- 独立変数としてAスキャンiのxおよびy座標を用いて、推定値re(i)を通して一次または二次の多項式rc(x、y)をフィットさせることなどによる、推定値re(i)の補間。
【0075】
有利には、デバイスは、ユーザが推定値re(i)をどのように組合せるかを選択できるようにするユーザインタフェースを含む。ユーザは、分位点の表示を望む場合、例えば、最小値、中央値および最大値の間の値を連続的にまたは段階的に選択できる可能性がある。
【0076】
鏡面反射の抑制
典型的には、眼球の頂点に近いAスキャンは、考慮対象のサブセット内の他のAスキャンから獲得した情報をオーバライドする傾向を有し得る強い鏡面反射を示す。
【0077】
したがって、一実施形態においては、組合せ値を計算するときに、鏡面反射を示すあらゆるAスキャンの反射値を抑制することができる。これは、例えばRsが0.1mmなどであるものとして、角膜の頂部から閾値Rsよりも小さい距離を有するあらゆるAスキャンを使用しないことによって達成可能である。
【0078】
横断面の計算
上述の技術は、例えば、眼球の1次元または2次元横断面を計算するために使用可能である。
【0079】
特に有利な横断面は、例えば、眼球の視軸または光学軸に沿った一次元横断面、すなわち中央Aスキャンである。これは、例えば、頂点から例えば1mm未満の横方向距離を有する全てのAスキャンのサブセットを使用することによって得ることができ、任意には、例えば頂点から0.1mmより近いあらゆるAスキャンを排除して、上述の通りの鏡面反射信号を抑制することによって得ることができる。
【0080】
このような横断面を、組合せ値r
c(z)のグラフとして描いたものが、
図9に一例として示されている。この図の中のドットは、個別のAスキャンを示し、一方、連続線は、頂点から0.1~1.0mmの距離を有する
図3のこれらのAスキャンについての
図6および7に例示された方法によって得られた組合せ値r
c(z)である。ここで分かるように、組合せ値r
cは、個別のAスキャンよりもはるかに低いノイズを有する。
【0081】
図10は、眼球の前部のみを示す、眼球の視軸に沿った別の一次元横断面である。プロットには、次の2つの曲線が含まれる:
- 点曲線は、角膜または水晶体の湾曲した表面に沿ったAスキャンの反射率値を投影せずにサブセット内のAスキャンから得た組合せ値r
c(z)を示す。むしろ、組合せ値r
c(z)は、同じz座標におけるAスキャンのそれぞれの値を(例えば中央値を使用することによって)単に組み合わせることによって得られた(すなわちサブグループ内のAスキャンは、眼球の視軸上に直角に投影された)。
- 実曲線は、上述の等式(1)を用いた組合せおよび湾曲した表面に沿って投影技術を用いてサブセット内のAスキャンから得られた組合せ値r
c(z)を示す。
【0082】
例えば角膜の両方の表面(
図10中の点CaおよびCp)ならびに水晶体の後面(
図10中の点Lp)について見られるように、実曲線は、追加の詳細および構造を明らかにしている。
【0083】
さらに、点線は、表面Ca、Cp、およびLaについては右に、そして表面Lpについては左にオフセットされている。このことは、表面の頂部で使用されている場合に「直角」投影が系統的なオフセット誤差を生成するという事実を反映している。補正後の(確実な)データはこれらの誤差を示さない。
【0084】
図9および10の断面データは、角膜の深度、眼球の前房の深度、水晶体の厚み、眼球の全長および/または眼球の他の構造の寸法、例えば前水晶体嚢複合体または角膜上皮の厚みなどを測定するために使用可能である。優れたS/N比により正確な結果を得ることが可能である。個別の散乱構造の最大値を特定するために、ピークフィッティングを使用することができる。
【0085】
眼球の視軸または光学軸以外の点について、すなわち任意のx-y位置について、このタイプのさらなる一次元スキャンを得ることができ、これらのスキャンは、例えば角膜の厚み、角膜上皮の厚みおよび/または前房の深度の色分けされた深度図を生成するために使用可能である。
【0086】
このタイプのいくつかの一次元スキャンは同様に、例えば子午横断面画像の生成のために、眼球の視軸または光学軸に平行な横断面平面についての二次元横断面データを生成するため、組み合わせ可能である。
【0087】
例えばグレーレベル値として組合せ値rcをエンコードすることによって、横断面画像を生成するために2次元横断面データを使用することができる。
【0088】
有利には、このような横断面データを生成するとき、「組合せ値の計算」の節で説明した他の技術が同様に使用可能であっても、組合せ値rcは、使用されるサブグループ内のAスキャンの対応する位置の反射値の最大値から計算される。
【0089】
図11は、平均化を使用したこのような(ジャーヴィスハーフトーニングされた)横断面画像を示す。画像は、Aスキャンが眼球を通過するにつれてのそれらの屈折を考慮に入れて、屈折補正されている。
【0090】
2次元横断面データを生成するとき、組み合わせるべきAスキャンのサブグループの選択は、横断面平面との関係において非対称であり得る。例えば、水平横断面(すなわちy=0)を生成する場合、一定の座標x0における組合せ値rcは、Δy>Δx、例えばΔy=2mmおよびΔx=0.5mmとして、エリアx=x0±Δxおよびy=±Δy内部のAスキャンのサブグループを用いて計算可能である。
【0091】
より一般的に言うと、所与の横断面平面についての横断面データを計算する場合、所与の座標x、y、zにおける組合せ値rcを計算するために使用されるAスキャンのサブグループは、平面に平行ないずれの方向よりも平面に直交する方向でより大きい空間体積内のAスキャンのみを含む。
【0092】
深度のエンコーディング
本発明のさらに別の態様は、画像平面からの構造の距離をエンコードするために色が用いられる、カラーエンコーディングされた画像の生成に関する。
【0093】
この方法は、以下で、眼球の「正面」画像、すなわち、前方から見た(すなわち方向zに沿って外側から見た)眼球を表わす画像について説明される。しかしながら、これは同様に、あらゆるタイプの断面画像を生成するためにも使用可能である。
【0094】
当該概念の普遍性を限定することなく、1つの画像についての「画像平面」は、ビューイング方向に直交するあらゆる平面であり得る。
【0095】
上述のものと同様、この態様において、該方法は、画像内の各点について、Aスキャンまたはその上のデータ点のサブセットを使用し、それらの反射値を組み合わせて、この場合色度である組合せ値を生成する。
【0096】
結果としての正面画像の一例が、
図12および13に示されている。実際には、すなわちデバイスの電子ディスプレイ38上に表示されているように、この画像は、カラー画像となる。しかしながら、本明細書中のそれを表わすために、
図12は、グレーレベル(すなわち輝度または明度)を示し、
図13は、その一定のエリア内で使用される可能性のある色を(文字で)示している。
【0097】
x-y平面内にある、すなわちAスキャンの軸に直交する平面内にあるこの画像は、例えば以下のように計算可能である:
1. 画像の画素を表わす3つの二次元アレイがセットアップされ、ゼロに初期化される。第1のアレイD(m、n)は、距離値を記憶する。第2のアレイR(m、n)は、反射率値を記憶する。第3のアレイW(m、n)は重み値を記憶する。
【0098】
2. 問題の各Aスキャンiについて、以下の演算が実施される:
2a. Aスキャンi上の最大の反射値の振幅r(i)およびz位置z(i)を決定する。
2b. 少なくとも1つの画像画素のサブセット全体にわたって反復する。各々の画像画素m、n(x-y平面内の位置x(m)、y(m)に対応する)について、重みwが計算される。例えば、
【数3】
ここで、x(i)、y(i)は、Aスキャンiの中心のxおよびy座標であり、g(r、σ)は所与の分散σを伴うガウス関数である。分散σは、Aスキャンiの直径により左右される。
【0099】
重みw(m、n)は、第3のアレイW(m、n)に加えられ、w(m、n)・z(i)は第1のアレイD(m、n)に加えられる。w(m、n)・r(i)は第2のアレイR(m、n)に加えられる。
【0100】
3. 全てのAスキャンi(またはAスキャンの所望のサブセット)がひとたびこのように処理された時点で、以下の演算が、画像の各々の画素m、nについて実施される:
3a)
【数4】
が、例えば
【数5】
を用いて決定される。式中、εはゼロによる除算を回避するための小さい数である。
3b)
【数6】
が、例えば
【数7】
を用いて決定される。
3c)
【数8】
は、例えば、色または色相を決定するために使用される。これは、例えば、平均深度の関数として色を提供するルックアップテーブルを用いて実装可能である。RGB色空間の中で、この色は、例えばそのRGB成分によって表わされ得る。
3d)
【数9】
は、例えば、色または色相の輝度を設定するために使用される。RGB色空間において、これは例えば、平均反射率をRGB成分に乗じ、その後RGB値を正規化することによって実装され得る。
【0101】
ステップ3cおよび3dの手法による色は、画素n、mにアトリビュートされる。
【0102】
例えば、
図12および13の例において、画像の上部部分内の構造は、まぶたからの反射である。これらは、ビューワに最も近いことから、第1の色1(または色範囲)を有することになる。虹彩に由来する反射はビューワからさらに離れており、第2の色2の中に現われる。
【0103】
瞳孔内に見える反射は、例えば角膜、前水晶体面、後水晶体面、または眼球内のより深い構造における反射に由来する。これらの反射は、それらがどこから来るものであるかに応じて、異なる色3、4などを担持することになる。
【0104】
したがって、
図12および13に示された画像は、眼球内の異なる散乱構造を容易に区別できるようにする。
【0105】
同じ技術は、眼球の正面ビューについてのみならず、他の方向からの仮想ビューについても活用可能である。その場合、上述のステップ2は、Aスキャンについて実施されず、例えば画像平面に直交して延在する円筒形または角柱領域について実施される。
【0106】
註:平均反射率を使用する代りに、以上のステップ3において、該方法は同様に、例えば最大反射率およびその深度などの使用といった他の任意の組合せを使用することもできる。
【0107】
有利には、色の決定(上述のステップ3c)には、眼球内のモデリングされた表面すなわち表面Ca、Cp、LaおよびLpならびに網膜Rの位置と
【数10】
とを比較するステップおよびこの決定に依存する関数として色をアトリビュートするステップが関与する。これにより、反射が由来している構造に応じて画素を色付けすることが可能になる。
【0108】
より一般的に言うと、本方法によって計算される「データ」は、画像平面を定義する2次元画像を表わしていてよく、「組合せ値」は、画像内の画素にアトリビュートされる色度であってよい。該方法は、このとき、少なくとも以下のステップを含む:
- (例えば点は、画像に直交して延在し画素に対応する横断面を有する空間体積内にあることから、任意には眼球の界面における屈折を考慮に入れて)、各画素について、その画素に対応する一点における少なくとも1つの反射値を識別するステップ。
- 色が画像平面からの点の距離に依存するものとして、画素についての色を決定するステップ。
【0109】
有利には、各画素について、画素に対応する最強の反射値を有する点が、色を決定するときに使用される。
【0110】
さらに、画素に対応する点の反射値の大きさを用いて、画素の輝度または明度を決定してもよい。
【0111】
画素の色を決定するステップには、有利には、以下のサブステップが関与する:
- 前記距離を、反射値に対しモデリングされたいくつかの構造Ca、Cp、La、Lpの位置と比較するステップ。これにより、構造のうちの1つの中または、構造の間、前または後ろの空間に対する「点」の「アトリビューション」を行なうことが可能になる。例えば、角膜の前の空間、角膜自体、角膜と水晶体の間の空間、水晶体の前面、水晶体の内部、水晶体の後面、水晶体と網膜の間の空間または網膜に対して、点をアトリビュートすることができる。例えば角膜をより細かく解像すること(角膜の前面、角膜の内部または角膜の後面に対して点をアトリビュートすること)によるか、または水晶体をより粗く解像すること(水晶体全体に対して点をアトリビュートすること)によるアトリビューションも同様に可能である。
- このアトリビューションに応じて色を選ぶステップ。
【0112】
これにより、例えば、所与の構造が画像平面との関係において湾曲している場合でも、この構造からの全ての反射に対して同じ色をアトリビュートすることが可能になる。
【0113】
註
本明細書中に記載されている技術は、眼球の視軸または光学軸に平行な横断面を表わすデータを決定するために特に好適である。この横断面は、1次元横断面、例えば視軸または光学軸に沿った線形横断面であってよく、または、例えば横断面画像として表わされた2次元横断面であってもよい。
【0114】
別の実施形態においては、データは、図示されているように、眼球の視軸または光学軸に直交する2次元横断面または画像を表わすものであってよい。
【0115】
しかしながら、データは例えば、眼球の他の部分、例えば眼球の単一点、眼球の体積全体、または一定のパラメータ(例えば眼球の長さなど・・・、以上の例を参照のこと)を表わすものでもあり得る。
【0116】
当該技術は、あらゆる種類のOCT、詳細にはタイムドメインOCTならびに周波数ドメインOCTのために使用可能である。しかしながら、Aスキャンを迅速に得るその能力のため、周波数ドメインOCT、特に波長掃引型OCTが有利である。
【0117】
本発明の現在好まれている実施形態が図示され説明されてきたが、本発明はそれに限定されず、以下のクレームの範囲内で、他の形でさまざまに具体化および実践可能であるということをはっきりと理解すべきである。
上述の実施形態は下記の例のように記載され得るが、下記の例に限定されない。
[例1]
光干渉断層撮影を用いて、眼球内の構造を表わすデータ、詳細には横断面画像を表わすデータを得るための方法において、
- Aスキャン(A1、A2、A3)のセットを記録するステップであって、前記Aスキャン(A1、A2、A3)の少なくともいくつかが眼球の異なる位置で記録され、各々のAスキャン(A1、A2、A3)が、眼球を通した光の軌跡に沿った複数の点について複数の反射値(r)を生成するために使用される、ステップと、
- 複数の組合せ値(rc)を計算するステップであって、各々の組合せ値(rc)が前記眼球内の異なる位置におけるいくつかの反射値(r)から得られる、ステップと、
を含む方法。
[例2]
前記眼球の少なくとも1つの湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(r)を使用するステップを含む、例1に記載の方法。
[例3]
前記組合せ値(rc)を計算するために使用すべき前記Aスキャン(A1、A2、A3)のサブセット上の前記点を識別するために、前記モデリングされた湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)を使用するステップを含む、例2に記載の方法。
[例4]
前記湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)における組合せ値(rc)を計算するために、
- 前記サブセット内の各々のAスキャンiについて、Aスキャンiとモデリングされた構造との交差部における前記反射値(r)の推定値re(i)を決定するステップと、
- 前記組合せ値(rc)を計算するために前記推定値re(i)を使用するステップと、
を含む、例2または3のいずれか1項に記載の方法。
[例5]
所与の深さ座標について、前記深さ座標に最も近い前記Aスキャンi上の少なくとも2つの反射値(r)を補間することによって前記サブグループ内のAスキャンiの推定値re(i)を計算するステップを含む、例3または4のいずれか1項に記載の方法。
[例6]
前記湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)が、角膜の前面(Ca)、角膜の後面(Cb)、水晶体の前面(La)、水晶体の後面(Lp)、および網膜(R)のうちの1つである、例2ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[例7]
所与の軸に沿って前記組合せ値(rc)を計算するために、
- 眼球内の少なくとも第1および第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(rc)を使用するステップであって、前記第1の構造が前記軸に沿った第1の位置に位置設定されており、前記第2の構造が前記軸に沿った第2の位置に位置設定されている、ステップ
を含む、例2ないし6のいずれか1項に記載の方法。
[例8]
- 前記第1の位置における組合せ値(rc)を得るために、前記第1の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)に沿って接線方向に、点の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの第1の複数の前記反射値(r)を組み合わせるステップ、および/または
- 前記第2の位置における組合せ値(rc)を得るために、接線方向に前記第2の湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)に沿った点の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの第2の複数の前記反射値(r)を組み合わせるステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、例7に記載の方法。
[例9]
- 前記第1および前記第2の位置の間の第3の位置における組合せ値(rc)を得るために、異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの点の第3の複数の反射値(r)を組み合わせるステップであって、前記点が前記第1および前記第2の構造(Ca、Cp、La、Lp)の間および/または近傍の領域内にあるステップ、
をさらに含む、例7または8のいずれか1項に記載の方法。
[例10]
前記第3の複数の前記反射値に対応する前記点が、
- 前記第1および前記第2の構造(Ca、Cp、La、Lp)から補間された曲線(C3)に沿って接線方向に配設されているか、または、
- 前記第1の構造に平行な第1の曲線(C1)に沿って接線方向に配設された点の第1のサブセット、および前記第2の構造に平行な第2の曲線(C2)に沿って接線方向に配設された点の第2のサブセットを含み、ここで前記第1および第2の曲線(C1、C2)が前記第3の位置で交差している、
例9に記載の方法。
[例11]
前記データが、前記構造の断面ビューを示す2次元横断面を表わしており、前記断面ビュー内の前記湾曲構造(Ca、Cp、La、Lp)の画像点を生成するために前記組合せ値(rc)を使用するステップを含む、例2ないし10のいずれか1項に記載の方法。
[例12]
前記組合せ値(rc)の少なくともいくつかについて、前記組合せ値(rc)が、横断面の平面の外側の異なるAスキャン(A1、A2、A3)からの複数の前記反射値(r)を組み合わせることによって計算される、例11に記載の方法。
[例13]
複数の組合せ値(rc)を計算する前記ステップが、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の平均、詳細には加重平均を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の分位数、詳細には中央値を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の最小値または最大値を計算するステップ、
- 組み合わせるべき前記反射値(r)の補間を計算するステップ、
のうちの少なくとも1つを含む、例1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
[例14]
複数の組合せ値(rc)を計算する前記ステップが、前記組合せ値(rc)を計算するときに鏡面反射を示すいかなるAスキャンの反射値も使用しないステップを含む、例1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
[例15]
組合せ値(rc)を組み合わせるために使用される前記反射値(r)の前記位置が、前記軸から1mm未満、詳細には0.5mm未満の距離(R)内にある、例1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
[例16]
前記データが、画像平面を定義する2次元画像を表わし、前記組合せ値(rc)が前記画像内の画素にアトリビュートされた色度であり、
- 各画素について、前記画素に対応する点における少なくとも1つの反射値(r)を識別するステップと;
- 前記画像平面からの前記点の前記距離に応じた色を、前記画素について決定するステップと;
を含む、例1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
[例17]
各画素について、前記色を決定するときに、この画素に対応する最強の反射値(r)を有する点が使用される、例16に記載の方法。
[例18]
- 前記眼球のいくつかの構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(r)を使用するステップと、
- 前記いくつかの構造(Ca、Cp、La、Lp)の位置と、前記画像平面からの前記点の距離を比較して、前記構造のうちの1つに対する、または前記構造の間、前または後ろの空間に対する前記点のアトリビューションを行なうステップと、
- 前記アトリビューションに応じて前記色を選択するステップと、
を含む例16または17のいずれか1項に記載の方法。
[例19]
前記画素の輝度または明度を決定するために前記点の反射値(r)の大きさを使用するステップを含む、例1ないし18のいずれか1項に記載の方法。
[例20]
前記データが、前記眼球の一次元横断面を表わすものである、例1ないし19のいずれか1項に記載の方法。
[例21]
前記データが、前記眼球の視軸または光学軸に平行な1次元または2次元横断面を表わすものである、例1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
[例22]
前記データが、前記眼球の視軸または光学軸に直交する2次元横断面を表わすものである、例1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
[例23]
前記光干渉断層撮影が、周波数ドメインOCT、詳細には波長掃引型OCTである、例1ないし22のいずれか1項に記載の方法。
[例24]
前記干渉計(10~26)が単一のAスキャンについて少なくとも40mmの測定範囲を有する、例1ないし23のいずれか1項に記載の方法。
[例25]
前記干渉計(10~26)が、テレセントリックプローブビームを生成する、例1ないし24のいずれか1項に記載の方法。
[例26]
- 光干渉断層撮影干渉計(10~26)と、
- 例1ないし25のいずれか1項に記載の方法を実施するために構造化され適応された制御ユニット(32)と、
を含む眼科用デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影を用いて、眼球内の構造を表わすデータを表わすデータを得るための方法において、
- Aスキャン(A1、A2、A3)のセットを記録するステップであって、前記Aスキャン(A1、A2、A3)の少なくともいくつかが眼球の異なる位置で記録され、各々のAスキャン(A1、A2、A3)が、眼球を通した光の軌跡に沿った複数の点について複数の反射値(r)を生成するために使用される、ステップと、
- 複数の組合せ値(rc)を計算するステップであって、各々の組合せ値(rc)が前記眼球内の異なる位置におけるいくつかの反射値(r)から得られる、ステップと、
を含み、
前記データが、画像平面を定義する2次元画像を表わし、前記組合せ値(r
c
)が前記画像内の画素にアトリビュートされた色度であり、
- 各画素について、前記画素に対応する点における少なくとも1つの反射値(r)を識別するステップと;
- 前記画像平面からの前記点の距離に応じた色を、前記画素について決定するステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
各画素について、前記色を決定するときに、この画素に対応する最強の反射値(r)を有する点が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記眼球のいくつかの構造(Ca、Cp、La、Lp)をモデリングするために前記反射値(r)を使用するステップと、
- 前記いくつかの構造(Ca、Cp、La、Lp)の位置と、前記画像平面からの前記点の距離を比較して、前記構造のうちの1つに対する、または前記構造の間、前または後ろの空間に対する前記点のアトリビューションを行なうステップと、
- 前記アトリビューションに応じて前記色を選択するステップと、
を含む請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記画素の輝度または明度を決定するために前記点の反射値(r)の大きさを使用するステップを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記光干渉断層撮影が、周波数ドメインOCTである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
- 光干渉断層撮影干渉計(10~26)と、
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法のすべてのステップを実施するために構造化され適応された制御ユニット(32)と、
を含む眼科用デバイス。
【請求項7】
前記光干渉断層撮影干渉計(10~26)が単一のAスキャンについて少なくとも40mmの測定範囲を有する、請求項6に記載の眼科用デバイス。
【請求項8】
前記光干渉断層撮影干渉計(10~26)が、テレセントリックプローブビームを生成する、請求項6または7に記載の眼科用デバイス。