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特開2024-92027作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092027
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A01B69/00 303F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074635
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2020188653の分割
【原出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】赤嶺 志朗
(57)【要約】
【課題】作業車両が障害物に接触することを回避することが可能な作業領域を設定する作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラムを提供する。
【解決手段】位置取得部は、作業車両の位置情報を取得する。走行軌跡生成部は、位置取得部により取得される前記位置情報に基づいて作業車両の走行軌跡R1を生成する。補完点生成部は、走行軌跡生成部により生成される走行軌跡R1を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点P1、P2、P3、P4を選択対象点として生成する。作業領域生成部は、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて作業車両の作業領域を生成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置取得部により取得される前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、
前記走行軌跡生成部により生成される前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成する補完点生成部と、
ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成する作業領域生成部と、
を備える作業領域設定システム。
【請求項2】
前記作業領域生成部は、前記第1補完点の角部で囲まれる領域を前記作業領域として生成する、
請求項1に記載の作業領域設定システム。
【請求項3】
前記選択対象点は、さらに前記走行軌跡で囲まれた領域に設定されており、
前記作業領域生成部は、前記走行軌跡内の複数の前記選択対象点で囲まれる領域を前記作業領域として生成する、
請求項1に記載の作業領域設定システム。
【請求項4】
前記選択対象点は、さらに前記走行軌跡で囲まれた領域に設定されており、
前記作業領域生成部は、前記走行軌跡内の前記選択対象点と、前記第1補完点の角部とで囲まれる領域を前記作業領域として生成する、
請求項1に記載の作業領域設定システム。
【請求項5】
前記作業領域生成部は、生成した前記作業領域に対するユーザーの所定の操作に基づいて、前記作業領域の位置及び形状の少なくともいずれかを変更する、
請求項1~4のいずれかに記載の作業領域設定システム。
【請求項6】
一又は複数のプロセッサーが、
作業車両の位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、
前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成することと、
ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、
を実行する作業領域設定方法。
【請求項7】
作業車両の位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、
前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成することと、
ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、
一又は複数のプロセッサーに実行させるための作業領域設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行する作業車両の作業領域を設定する作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行可能な作業車両の走行経路を設定する場合、作業領域となる圃場を登録する処理が行われる。具体的には、オペレータが作業車両で圃場の外周を走行し、作業車両の走行軌跡から角部を特定することにより、圃場の形状を特定する(例えば特許文献1参照)。特定された圃場が作業領域として設定され、当該作業領域を走行する走行経路が設定されると、作業車両は当該走行経路に従って作業領域を自律走行することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば圃場の角部に圃場に進入するためのスロープなどの障害物が存在する場合、作業車両は作業を行う際に当該角部を回避して走行及び作業しなければならない。しかし、従来の技術では、走行軌跡に基づいて圃場の角部が設定されるため、当該角部が前記障害物に重なった状態で作業領域が設定されてしまう。このため、前記作業領域を走行する作業車両が障害物に接触する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、作業車両が障害物に接触することを回避することが可能な作業領域を設定する作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業領域設定システムは、位置取得部と走行軌跡生成部と補完点生成部と作業領域生成部とを備える。前記位置取得部は、作業車両の位置情報を取得する。前記走行軌跡生成部は、前記位置取得部により取得される前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成する。前記補完点生成部は、前記走行軌跡生成部により生成される前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成する。前記作業領域生成部は、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成する。
【0007】
本発明に係る作業領域設定方法は、一又は複数のプロセッサーが、作業車両の位置情報を取得することと、前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成することと、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、を実行する方法である。
【0008】
本発明に係る作業領域設定プログラムは、作業車両の位置情報を取得することと、前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点を選択対象点として生成することと、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業車両が障害物に接触することを回避することが可能な作業領域を設定する作業領域設定システム、作業領域設定方法、及び作業領域設定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る自律走行システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態1に係る作業車両の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る作業車両の走行軌跡の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係る第1補完点の一例を示す図である。
図5図5は、従来のシステムにおいて生成される圃場(作業領域)の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態1に係る第1補完点及び第2補完点の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態1に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係る自律走行システムによって実行される作業領域設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9A図9Aは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図9B図9Bは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図10A図10Aは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図10B図10Bは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
図11B図11Bは、本発明の実施形態2に係る自律走行システムにおいて生成される作業領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[実施形態1]
図1に示されるように、本発明の実施形態1に係る自律走行システム1は、作業車両10と操作端末20とを含んでいる。作業車両10及び操作端末20は、通信網N1を介して通信可能である。例えば、作業車両10及び操作端末20は、携帯電話回線網、パケット回線網、又は無線LAN(インターネットなど)を介して通信可能である。
【0013】
本発明の作業車両は例えばトラクタである。なお、本発明の作業車両は、田植機、コンバイン、建設機械などであってもよい。作業車両10は、圃場F内の作業領域R2(図7等参照)を走行経路に沿って自律走行(自動走行)可能な構成を備える、所謂ロボットトラクタである。例えば、作業車両10は、測位装置14により算出される作業車両10の現在位置の位置情報に基づいて、圃場Fに対して予め生成された走行経路に沿って自律走行することが可能である。操作端末20は、オペレータ(本発明のユーザーの一例)の操作に基づいて圃場F、作業領域R2、走行経路などを設定する。
【0014】
[作業車両10]
図1及び図2に示されるように、作業車両10は、車両制御装置11、走行装置12、作業機13、及び測位装置14などを備える。車両制御装置11は、走行装置12、作業機13、及び測位装置14などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置14は、無線通信可能であってもよい。
【0015】
車両制御装置11は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。そして、車両制御装置11は、作業車両10に対する各種のユーザー操作に応じて当該作業車両10の動作を制御する。また、車両制御装置11は、後述の測位装置14により算出される作業車両10の現在位置と、予め生成される走行経路とに基づいて、当該作業車両10の自律走行処理を実行する。前記走行経路は、前記記憶メモリに記憶される。また、前記走行経路は、操作端末20の記憶部22に記憶されてもよい。
【0016】
走行装置12は、作業車両10を走行させる駆動部である。図2に示されるように、走行装置12は、エンジン121、前輪122、後輪123、トランスミッション124、フロントアクスル125、リアアクスル126、ハンドル127などを備える。なお、前輪122及び後輪123は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置12は、前輪122及び後輪123を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0017】
エンジン121は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置12は、エンジン121とともに、又はエンジン121に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン121には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11及び測位装置14等の電気部品は、エンジン121の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0018】
エンジン121の駆動力は、トランスミッション124及びフロントアクスル125を介して前輪122に伝達され、トランスミッション124及びリアアクスル126を介して後輪123に伝達される。また、エンジン121の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機13にも伝達される。作業車両10が自律走行を行う場合、走行装置12は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0019】
作業機13は、例えば草刈機、耕耘機、プラウ、施肥機、又は播種機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機13各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。ここでは、作業機13は草刈機である場合を例に挙げて説明する。
【0020】
作業機13は、作業車両10において、不図示の昇降機構により昇降可能に支持されてもよい。車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機13を昇降させることが可能である。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が圃場Fの作業領域R2(図7参照)において前進する場合に作業機13を下降させ、作業車両10が後進する場合には作業機13を上昇させる。
【0021】
ハンドル127は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置12では、車両制御装置11によるハンドル127の操作に応じて、不図示の油圧式パワーステアリング機構などによって前輪122の角度が変更され、作業車両10の進行方向が変更される。
【0022】
また、走行装置12は、ハンドル127の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置12では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション124のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン121の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪122及び後輪123の回転を制動する。
【0023】
測位装置14は、制御部141、記憶部142、通信部143、及び測位用アンテナ144などを備える通信機器である。例えば、測位装置14は、図2に示されるように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置14の設置場所はキャビン18に限らない。さらに、測位装置14の制御部141、記憶部142、通信部143、及び測位用アンテナ144は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置14には前記バッテリーが接続されており、当該測位装置14は、エンジン121の停止中も稼働可能である。また、測位装置14として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0024】
制御部141は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部142は、制御部141に測位処理を実行させるためのプログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部142に記憶される。なお、前記プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して測位装置14にダウンロードされて記憶部142に記憶されてもよい。
【0025】
通信部143は、測位装置14を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して基地局サーバーなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0026】
測位用アンテナ144は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0027】
制御部141は、測位用アンテナ144が衛星から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の位置(現在位置)を算出する。例えば、作業車両10が圃場F内を自律走行する場合に、測位用アンテナ144が複数の衛星のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、制御部141は、測位用アンテナ144と各衛星との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、制御部141は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GPS測位方式、以下「RTK方式」という。)による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自律走行を行う。
【0028】
作業車両10が走行する走行経路は、例えば操作端末20により生成される。作業車両10は、操作端末20から前記走行経路のデータを取得して、前記走行経路に従って圃場F内を自律走行しながら作業機13による作業(例えば草刈作業)を行う。
【0029】
[操作端末20]
図1に示されるように、操作端末20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信部24などを備える情報処理装置である。操作端末20は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末で構成されてもよい。
【0030】
通信部24は、操作端末20を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して一又は複数の作業車両10などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0031】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。オペレータは、表示部に表示される操作画面において、前記操作部を操作して各種情報(後述の作業車両情報、圃場情報、作業情報、作業領域情報など)を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、前記操作部を操作して作業車両10に対する自律走行指示を行うことが可能である。さらに、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、操作端末20に表示される走行軌跡により、圃場F内を走行経路に従って自律走行する作業車両10の走行状態を把握することが可能である。
【0032】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、制御部21に後述の作業領域設定処理(図8参照)を実行させるための作業領域設定プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記作業領域設定プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末20が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。なお、前記作業領域設定プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して操作端末20にダウンロードされて記憶部22に記憶されてもよい。また、記憶部22は、作業車両10から送信される作業情報(刈取量、収穫量など)を記憶してもよい。
【0033】
また、記憶部22には、作業車両10の自律走行させるための専用アプリケーションがインストールされている。制御部21は、前記専用アプリケーションを起動させて、作業車両10に関する各種情報の設定処理、圃場Fの設定処理、作業領域の設定処理、作業車両10の走行経路の生成処理、作業車両10に対する自律走行指示などを行う。
【0034】
ここで、従来の技術によれば、作業領域を走行する作業車両10が障害物に接触する問題が生じる恐れがある。例えば、所定の領域ARにおいて圃場Fを登録する場合、オペレータは作業車両10で圃場Fとして登録したい領域の外周を走行する。制御部21は、作業車両10から位置情報を取得して走行軌跡R1を生成し、走行軌跡R1に基づいて圃場Fを登録する。例えば図4に示すように、制御部21は、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Ra及び直線Rbの延長線の交点P1と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rb及び直線Rcの延長線の交点P2と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rc及び直線Rdの延長線の交点P3と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rd及び直線Raの延長線の交点P4と生成する。前記各交点を「第1補完点」と称する。制御部21は、第1補完点P1~P4で囲まれた領域を圃場Fとして登録する(図5参照)。すなわち、第1補完点P1~P4は、圃場Fの角部となる。また、制御部21は、第1補完点P1~P4で囲まれた領域を作業領域R2として設定する。制御部21は、作業領域R2を生成すると、作業領域R2を自律走行するための走行経路を生成する。作業車両10は、生成された走行経路に従って作業領域R2を走行及び作業する。
【0035】
ここで、所定の領域ARにスロープSLなどの障害物が存在し、スロープSLの一部が圃場Fに重なる場合、図5に示すように、圃場Fの角部が前記障害物に重なった状態で作業領域R2が設定されてしまう。この場合、作業車両10が作業領域R2を走行するとスロープSLに接触してしまう問題が生じる。
【0036】
これに対して、実施形態1に係る自律走行システム1は、以下に示すように、自律走行する作業車両10が障害物に接触することを回避することが可能な作業領域を生成する構成を備える。
【0037】
具体的には、図1に示すように、操作端末20の制御部21は、車両設定部211、作業設定部212、位置取得部213、走行軌跡生成部214、圃場登録部215、補完点生成部216、表示処理部217、受付処理部218、及び作業領域生成部219などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記作業領域設定プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記作業領域設定プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0038】
車両設定部211は、作業車両10に関する情報(以下、作業車両情報という。)を設定する。車両設定部211は、作業車両10の機種、作業車両10において測位用アンテナ144が取り付けられている位置、作業機13の種類、作業機13のサイズ及び形状、作業機13の作業車両10に対する位置、作業車両10の作業中の車速及びエンジン回転数、作業車両10の旋回中の車速及びエンジン回転数等の情報について、オペレータが操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0039】
作業設定部212は、作業を具体的にどのように行うかに関する情報(以下、作業情報という。)を設定する。作業設定部212は、作業情報として、作業車両10(無人トラクタ)と有人の作業車両10の協調作業の有無、作業車両10が枕地において旋回する場合にスキップする作業経路の数であるスキップ数、枕地の幅、及び非耕作地の幅等を設定可能に構成されている。
【0040】
位置取得部213は、作業車両10の位置情報を取得する。具体的には、位置取得部213は、測位装置14により測位される測位情報に基づいて作業車両10の現在位置の位置情報を取得する。位置取得部213は、前記位置情報を取得すると記憶部22に登録する。例えば、位置取得部213は、圃場Fを登録する際に作業車両10を走行させた場合(図3参照)に作業車両10の位置情報を所定のサンプリング間隔で取得する。図3に示す黒丸点は各位置情報に対応する。位置取得部213は、本発明の位置取得部の一例である。
【0041】
走行軌跡生成部214は、位置取得部213により取得される前記位置情報に基づいて作業車両10の走行軌跡R1を生成する。例えば図3に示すように、走行軌跡生成部214は、圃場Fを登録する際に作業車両10が走行した外周の走行軌跡R1を生成する。走行軌跡R1は、図3に示すように、地図上に前記位置情報に対応する位置をプロットした複数の点で表される。走行軌跡生成部214は、本発明の走行軌跡生成部の一例である。
【0042】
圃場登録部215は、圃場Fを登録する。具体的には、圃場登録部215は、位置取得部213により取得される前記位置情報に基づいて圃場Fを登録する。また、圃場登録部215は、走行軌跡生成部214により生成される走行軌跡R1に基づいて圃場Fを登録する。圃場登録の具体例を以下に説明する。
【0043】
補完点生成部216は、圃場Fの角部を設定するための第1補完点を生成する。具体的には、図4に示すように、補完点生成部216は、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Ra及び直線Rbの延長線の交点(第1補完点P1)と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rb及び直線Rcの延長線の交点(第1補完点P2)と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rc及び直線Rdの延長線の交点(第1補完点P3)と、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線Rd及び直線Raの延長線の交点(第1補完点P4)と生成する。なお、前記各直線は、作業車両10が直進走行した走行軌跡R1(プロット)を結ぶ近似直線である。
【0044】
圃場登録部215は、第1補完点P1~P4を結ぶ直線で囲まれた領域を圃場Fとして登録する(図5参照)。このように、圃場登録部215は、オペレータが運転した作業車両10の走行軌跡R1に基づいて角部(第1補完点)を算出し、角部で囲まれた領域を圃場Fとして登録する。圃場登録部215は、圃場Fの情報(圃場情報)を記憶部22に記憶する。オペレータは、記憶部22に記憶された圃場Fを読み出して、作業領域R2を設定する操作を行うことが可能である。
【0045】
補完点生成部216は、さらに、作業領域R2を設定する場合に第2補完点を生成する。前記第2補完点は、作業領域R2を設定するためにオペレータが選択可能な点(選択対象点)である。具体的には、補完点生成部216は、走行軌跡R1から前記第1補完点までの領域内に第2補完点を生成する。例えば、補完点生成部216は、走行軌跡R1から前記第1補完点までの領域内における前記延長線上に一又は複数の前記第2補完点を生成する。
【0046】
例えば図6に示すように、補完点生成部216は、走行軌跡R1から第1補完点P1までの領域内における直線Raの延長線上に一又は複数の第2補完点P1aを生成し、走行軌跡R1から第1補完点P1までの領域内における直線Rbの延長線上に一又は複数の第2補完点P1bを生成する。同様に、補完点生成部216は、走行軌跡R1から第1補完点P2までの領域内における直線Rbの延長線上に一又は複数の第2補完点P2bを生成し、走行軌跡R1から第1補完点P2までの領域内における直線Rcの延長線上に一又は複数の第2補完点P2cを生成する。また、補完点生成部216は、走行軌跡R1から第1補完点P3までの領域内における直線Rcの延長線上に一又は複数の第2補完点P3cを生成し、走行軌跡R1から第1補完点P3までの領域内における直線Rdの延長線上に一又は複数の第2補完点P3dを生成する。また、補完点生成部216は、走行軌跡R1から第1補完点P4までの領域内における直線Rdの延長線上に一又は複数の第2補完点P4dを生成し、走行軌跡R1から第1補完点P4までの領域内における直線Raの延長線上に一又は複数の第2補完点P4aを生成する。補完点生成部216は、前記各延長線上に複数の前記第2補完点を等間隔に生成する。
【0047】
他の実施形態として、補完点生成部216は、走行軌跡R1の旋回経路の曲線と隣接する二本の直線の延長線とで囲まれた領域内に一又は複数の第2補完点を生成してもよい。
【0048】
以上のように、補完点生成部216は、作業領域R2を設定する際にオペレータが選択可能な前記第1補完点及び前記第2補完点を選択対象点として生成する。補完点生成部216は、本発明の補完点生成部の一例である。
【0049】
表示処理部217は、作業領域R2を設定する設定画面を表示させる。例えば、表示処理部217は、前記設定画面において、走行軌跡R1、第1補完点P1~P4、及び第2補完点P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4d、P4aを表示させる。なお、表示処理部217は、走行軌跡R1、前記第1補完点、及び前記第2補完点のそれぞれを異なる表示態様で表示させてもよい。走行軌跡R1、前記第1補完点、及び前記第2補完点は、本発明の選択対象点の一例である。
【0050】
受付処理部218は、オペレータによる作業領域R2を設定する操作を受け付ける。例えば、圃場FにスロープSL(図6参照)の一部が重なる場合に、オペレータは、作業領域R2がスロープSLに重ならないように、第1補完点P1と第2補完点P2bと第2補完点P2cと第1補完点P3と第1補完点P4とを選択する。すなわち、オペレータは、圃場Fの右下の角部について、第1補完点P2に代えて、第2補完点P2b及び第2補完点P2cを選択する。
【0051】
作業領域生成部219は、オペレータにより選択される前記選択対象点に基づいて作業車両10の作業領域R2を生成する。具体的には、作業領域生成部219は、前記第1補完点又は前記第2補完点の角部で囲まれる領域を作業領域R2として生成する。例えば、オペレータが第1補完点P1と第2補完点P2bと第2補完点P2cと第1補完点P3と第1補完点P4とを選択した場合、作業領域生成部219は、図7に示すように、これらの点を直線で結んで囲まれた領域を作業領域R2として生成する。このように、作業領域R2の各角部は、前記第1補完点又は前記第2補完点で構成される。これにより、圃場Fの右下の角部では、第2補完点P2bと第2補完点P2cとを結ぶ斜め方向の直線で作業領域R2が区画されるため、作業領域R2からスロープSLを除外することができる。
【0052】
受付処理部218は、作業領域生成部219が作業領域R2を生成すると、オペレータから作業領域R2における作業車両10の作業開始位置及び作業終了位置を設定する操作を受け付ける。受付処理部218がオペレータから作業開始位置及び作業終了位置を指定する操作を受け付けると、作業領域生成部219は、作業領域R2に作業開始位置及び作業終了位置を設定する。作業領域生成部219は、生成した作業領域R2の情報を記憶部22に記憶する。なお、オペレータは、記憶部22から作業領域R2を読み出して編集することも可能である。作業領域生成部219は、本発明の作業領域生成部の一例である。
【0053】
制御部21は、さらに、前記設定情報に基づいて、作業車両10を自律走行させる経路である走行経路を生成する。具体的には、制御部21は、設定された作業領域R2において前記作業開始位置から前記作業終了位置に向かって走行する走行経路を生成する。制御部21は、生成した走行経路の情報を作業車両10に出力する。また、制御部21は、通信部24を介して制御信号を作業車両10に送信することにより、作業車両10に対して自律走行の開始及び停止等を指示することができる。これにより、作業車両10を自律走行させることが可能となる。
【0054】
作業車両10は、操作端末20において生成された前記走行経路のデータが作業車両10に転送され、車両制御装置11の記憶メモリに記憶されるとともに、測位用アンテナ144により作業車両10の現在位置を検出しつつ前記走行経路に沿って自律的に走行可能に構成されている。例えば作業車両10の現在位置が作業開始位置と一致している場合にオペレータが操作画面において作業開始ボタンを押下して「作業開始」の指示が与えられると、作業車両10は自律走行を開始する。車両制御装置11は、操作端末20から取得する前記走行経路に基づいて、作業車両10を作業開始位置から作業終了位置まで自律走行させる。また、車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了すると、作業終了位置から圃場Fの入口まで自律走行させてもよい。
【0055】
ここで、作業車両10が自律走行している場合、制御部21は、作業車両10の状態(位置、走行速度等)を作業車両10から受信して操作表示部23に表示させることができる。
【0056】
なお、操作端末20は、サーバー(不図示)が提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。この場合、操作端末20は、制御部21によってブラウザプログラムが実行されることにより、前記サーバーの操作用端末として機能することが可能である。そして、前記サーバーは、制御部21における上述の各処理部を備え、各処理を実行する。
【0057】
上述の構成によれば、図7に示すように、障害物(例えばスロープSL)を回避した作業領域R2を生成することができる。よって、作業車両10が作業領域R2を自律走行する際に障害物に接触することを回避することが可能になる。
【0058】
[作業領域設定処理]
以下、図8を参照しつつ、操作端末20の制御部21によって実行される前記作業領域設定処理の一例について説明する。例えば、前記作業領域設定処理は、制御部21がオペレータから圃場F及び作業領域を設定する指示を受け付けた場合に制御部21によって開始される。
【0059】
なお、本願発明は、制御部21が前記作業領域設定処理の一部又は全部を実行する作業領域設定方法の発明、又は、当該作業領域設定方法の一部又は全部を制御部21に実行させるための作業領域設定プログラムの発明として捉えてもよい。また、前記作業領域設定処理は、一又は複数のプロセッサーが実行してもよい。
【0060】
ステップS1において、制御部21は、圃場Fを登録する際にオペレータが運転する作業車両10の現在位置の位置情報を取得する。例えば、オペレータは、圃場対象の領域の外周を作業車両10で走行する。制御部21は、測位装置14により測位される測位情報に基づいて、作業車両10の位置情報を所定の間隔で取得する。
【0061】
次に、ステップS2において、制御部21は、前記位置情報に基づいて走行軌跡R1を生成する。例えば図3に示すように、制御部21は、作業車両10が走行した外周の走行軌跡R1を生成する。
【0062】
次に、ステップS3において、制御部21は、圃場Fの登録を開始する。具体的には、ステップS4において、制御部21は、図4に示すように、走行軌跡R1を結ぶ隣接する直線の延長線の交点(第1補完点P1~P4)を生成する。そして、制御部21は、第1補完点P1~P4で囲まれた領域を圃場Fとして登録する(図5参照)。制御部21は、圃場Fの登録情報を記憶部22に記憶する。
【0063】
次に、ステップS5において、制御部21は、作業領域R2を設定するための第2補完点を生成する。具体的には、制御部21は、走行軌跡R1から前記第1補完点までの領域内に第2補完点を生成する。例えば、補完点生成部216は、走行軌跡R1から前記第1補完点までの領域内における前記延長線上に前記第2補完点を生成する。例えば図6に示すように、制御部21は、圃場Fの各角部に対応する第1補完点P1~P4のそれぞれに対応する第2補完点P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4d、P4aを生成する。
【0064】
次に、ステップS6において、制御部21は、操作端末20の設定画面に作業領域R2を設定するための選択対象点を表示させる。例えば図6に示すように、制御部21は、走行軌跡R1、第1補完点P1~P4、及び第2補完点P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4d、P4aを表示させる。走行軌跡R1、第1補完点P1~P4、及び第2補完点P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4d、P4aは、本発明の選択対象点の一例である。
【0065】
次に、ステップS7において、制御部21は、オペレータから前記選択対象点を選択する操作の受け付けを開始する。オペレータが走行軌跡R1、第1補完点P1~P4、及び第2補完点P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4d、P4aのうち2点を選択すると、制御部21は、2点を結ぶ直線を表示させる。さらにオペレータが3点目の前記選択対象点を選択すると、制御部21は3点を直線で結び3点で囲まれた領域を表示させる。制御部21は、オペレータの選択操作に応じて、選択された各選択対象点で囲まれた領域を生成して表示させる。オペレータによる前記選択対象点の選択操作が終了すると(S8:Yes)、処理はステップS9に移行する。
【0066】
ステップS9において、制御部21は、作業領域R2を設定する。具体的には、制御部21は、オペレータにより選択された各選択対象点で囲まれた領域を作業領域R2として設定する。例えばオペレータが第1補完点P1と第2補完点P2bと第2補完点P2cと第1補完点P3と第1補完点P4とを選択した場合に、制御部21は、図7に示すように、これらの点を直線で結んで囲まれた領域を作業領域R2に設定する。以上のようにして、制御部21は、圃場Fに対応する作業領域R2を設定する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る自律走行システム1は、作業車両10の位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて作業車両10の走行軌跡R1を生成する。また自律走行システム1は、生成した走行軌跡R1を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点と、走行軌跡R1から前記第1補完点までの領域内の第2補完点とを選択対象点として生成し、オペレータにより選択される前記選択対象点に基づいて作業車両10の作業領域R2を生成する。
【0068】
これにより、例えば圃場F内に障害物が存在する場合に、オペレータは当該障害物を回避する作業領域R2を生成することができる。このように生成した作業領域R2によれば、作業車両10は、前記障害物を回避しながら作業領域R2を自律走行することが可能になる。
【0069】
[実施形態2]
自律走行システム1は、実施形態1の構成に加えて実施形態2の構成を備えてもよい。実施形態2に係る自律走行システム1において、実施形態1に係る自律走行システム1と同一の構成については説明を省略する。
【0070】
実施形態2に係る自律走行システム1は、圃場F内(走行軌跡R1内)において任意の位置及び形状の作業領域R2を設定可能な構成を備えている。また、自律走行システム1は、一つの圃場F内に複数の作業領域R2を設定可能である。
【0071】
具体的には、受付処理部218は、登録された圃場Fにおいて、オペレータから圃場F内の任意の位置を選択する操作を受け付ける。なお、制御部21は、圃場F内に前記選択対象点を新たに設定する。圃場F内の前記選択対象点は、所定の間隔で設定される。オペレータは、操作表示部23において画面を指でタッチすることにより前記選択対象点を選択することが可能である。作業領域生成部219は、オペレータにより選択される前記選択対象点に基づいて作業車両10の作業領域R2を生成する。具体的には、作業領域生成部219は、走行軌跡R1内の複数の前記選択対象点で囲まれる領域を作業領域R2として生成する。
【0072】
例えば図9Aに示すように、オペレータが圃場F内に新たに追加した前記選択対象点のうち点Pa、Pb、Pc、Pdを選択(タッチ)すると、作業領域生成部219は、これらの点を直線で結んで囲まれた領域を作業領域R2として生成する。作業領域生成部219は、生成した作業領域R2の情報を記憶部22に記憶する。
【0073】
なお、オペレータは、記憶部22から作業領域R2を読み出して編集することも可能である。例えばオペレータが記憶部22から読み出された図9Aに示す作業領域R2の点Pdの位置を移動させると、作業領域生成部219は、図9Bに示すように作業領域R2を、点Pdが移動した後の位置に応じた形状に変更する。なお、オペレータは操作表示部23において指を画面にタッチして点Pdの位置を移動させる操作(移動操作)が可能である。
【0074】
また、オペレータは、作業領域R2の形状を維持したまま拡大又は縮小させることもできる。例えば図10Aに示す作業領域R2が設定された場合において、オペレータが操作表示部23の画面において作業領域R2内の2点をタッチして2点の間隔を広げる操作(ピンチアウト操作)を行うと、作業領域生成部219は、図10Bに示すように、作業領域R2を拡大させる。また、オペレータが操作表示部23の画面において作業領域R2内の2点をタッチして2点の間隔を狭める操作(ピンチイン操作)を行うと、作業領域生成部219は、作業領域R2を縮小させる。
【0075】
また、図11Aに示す矩形の作業領域R2が設定された場合において、オペレータが点Pdをタッチして右下側に移動させた場合に、作業領域生成部219は、図11Bに示すように、各角部の角度を90度に維持したまま作業領域R2の形状を変更させる。これにより、所望の大きさの矩形の作業領域R2を容易に生成することができる。
【0076】
また、オペレータが、生成された作業領域R2をタッチして所望の位置に移動させた場合に、作業領域生成部219は、作業領域R2を当該位置に移動させる。すなわち、作業領域生成部219は、圃場F内において、作業領域R2をオペレータの操作に応じた位置に動作させることが可能である。
【0077】
このように、作業領域生成部219は、生成した作業領域R2に対するオペレータの所定の操作に基づいて、作業領域R2の位置及び形状の少なくともいずれかを変更してもよい。
【0078】
また、作業領域生成部219は、一つの圃場F内に複数の作業領域R2を生成してもよい。複数の作業領域R2は、同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。オペレータは、一つの圃場Fにおいて、作業内容などに応じて異なる複数の作業領域R2を設定することができる。
【0079】
また、作業領域生成部219は、圃場F内の選択対象点と前記第1補完点と前記第2補完点とで囲まれる領域を作業領域R2として生成してもよい。すなわち、作業領域生成部219は、走行軌跡R1内の前記選択対象点と、前記第1補完点又は前記第2補完点の角部とで囲まれる領域を作業領域R2として生成してもよい。例えば、オペレータが図11Aに示す画面において、圃場F内の点Pdと、第1補完点P1と、第2補完点P2bと、第2補完点P2cと、第1補完点P3とを選択した場合に、作業領域生成部219は、これらの点を直線で結んで囲まれた領域を作業領域R2として生成する。
【0080】
実施形態2に係る構成によれば、オペレータは、一度圃場Fを登録することにより、圃場F内において、所望の位置に作業領域R2を設定することができる。このため、オペレータは、圃場F内に作業領域R2を生成する場合に、作業車両10を再度走行させて走行軌跡R1を生成する必要がない。このように、作業領域R2の設定自由度を向上させることができる。
【0081】
なお、制御部21は、圃場F内で選択可能な前記選択対象点に所定の条件を設定してもよい。例えば、制御部21は、前記選択対象点の選択可能な上限数を設定してもよい。これにより、複雑な作業領域R2が生成されることを防ぐことができる。
【0082】
実施形態2に係る自律走行システム1は、実施形態1に示した前記第2補完点を生成する構成を備えていなくてもよい。すなわち、本発明に係る作業領域設定システムは、実施形態2に示した構成のみを備えてもよい。また、実施形態2に係る自律走行システム1は、圃場Fの角部等に障害物が存在する場合にのみ、実施形態1に示した前記第2補完点を生成する構成を備えてもよい。例えば、実施形態2に係る自律走行システム1は、設定した圃場Fの角部が障害物に重なる否かを判定し、圃場Fの角部が障害物に重なる場合に前記第2補完点を生成し、ユーザーから前記第2補完点を選択する操作を受け付けて作業車両10の作業領域R2を生成する。
【0083】
本発明に係る作業領域設定システムは、位置取得部と走行軌跡生成部と補完点生成部と作業領域生成部とを備える。前記位置取得部は、作業車両の位置情報を取得する。前記走行軌跡生成部は、前記位置取得部により取得される前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成する。前記補完点生成部は、前記走行軌跡生成部により生成される前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点と、前記走行軌跡から前記第1補完点までの領域内の第2補完点とを選択対象点として生成する。前記作業領域生成部は、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成する。
【0084】
本発明に係る作業領域設定方法は、一又は複数のプロセッサーが、作業車両の位置情報を取得することと、前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点と、前記走行軌跡から前記第1補完点までの領域内の第2補完点とを選択対象点として生成することと、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、を実行する方法である。
【0085】
本発明に係る作業領域設定プログラムは、作業車両の位置情報を取得することと、前記位置情報に基づいて前記作業車両の走行軌跡を生成することと、前記走行軌跡を結ぶ隣接する二本の直線の延長線の交点である第1補完点と、前記走行軌跡から前記第1補完点までの領域内の第2補完点とを選択対象点として生成することと、ユーザーにより選択される前記選択対象点に基づいて前記作業車両の作業領域を生成することと、一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0086】
1 :自律走行システム
10 :作業車両
20 :操作端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :操作表示部
211 :車両設定部
212 :作業設定部
213 :位置取得部
214 :走行軌跡生成部
215 :圃場登録部
216 :補完点生成部
217 :表示処理部
218 :受付処理部
219 :作業領域生成部
F :圃場
P1~P4 :第1補完点(選択対象点)
P1a、P1b、P2b、P2c、P3c、P3d、P4a、P4d :第2補完点(選択対象点)
R1 :走行軌跡
R2 :作業領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B