(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092034
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】原料流体の処理プラント、及び原料流体の処理方法
(51)【国際特許分類】
F02C 6/00 20060101AFI20240628BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20240628BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20240628BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F02C6/00 E
F02C6/18 A
F01K25/10 R
C01B3/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074778
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2023071559の分割
【原出願日】2019-03-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム事業「アンモニア利用ガスタービンの技術開発(システム及び燃焼器)」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】荒木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】谷村 聡
(72)【発明者】
【氏名】野勢 正和
(72)【発明者】
【氏名】笹原 淳
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸男
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 厚志
(57)【要約】
【課題】原料流体の処理プラントの熱効率を向上させる。
【解決手段】原料流体の処理プラントは、原料流体NHを反応させて、反応ガスRGを生成する原料反応設備40を備える。原料反応設備40は、予熱器44a,44bと、反応器45と、を有する。予熱器44a,44bは、第二熱媒体と原料流体とを熱交換させて、原料流体NHを加熱する熱交換器である。反応器45は、第二熱媒体とは異なる第一熱媒体と予熱器44a,44bで加熱された原料流体NHとを熱交換させて、原料流体NHを加熱して反応させる熱交換器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料流体を反応させて、反応ガスを生成する原料反応設備を備え、
前記原料反応設備は、前記原料流体を反応させて反応ガスを生成する反応器と、第一熱媒体が流れる第一熱媒体ラインと、を有し、
前記反応器は、前記原料流体と前記第一熱媒体とを熱交換させて、前記原料流体を反応させる熱交換器であり、
前記第一熱媒体ラインは、前記反応器に接続され、前記第一熱媒体を前記反応器に導く、
原料流体の処理プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
前記原料反応設備は、前記原料流体を予熱する予熱器と、第二熱媒体が流れる第二熱媒体ラインと、を有し、
前記第二熱媒体ラインは、前記予熱器に接続され、前記第二熱媒体を前記予熱器に導き、
前記予熱器は、前記原料流体と前記第二熱媒体とを熱交換させて、前記原料流体を加熱する熱交換器であり、
前記予熱器は、前記予熱器で予熱された前記原料流体を前記反応器に供給する、
原料流体の処理プラント。
【請求項3】
請求項2に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
前記第一熱媒体ラインを流れる前記第一熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記第二熱媒体ラインを流れる前記第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい、
原料流体の処理プラント。
【請求項4】
請求項2に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
排気ガスを発生する排気ガス発生設備と、排熱利用設備と、を備え、
前記排熱利用設備は、前記排気ガスが流れるガス枠と、前記ガス枠内に設けられ、前記第一熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記第一熱媒体を加熱する第一熱媒体加熱器と、前記ガス枠内であって、前記第一熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの下流側に配置され、前記第二熱媒体と前記排気ガスと熱交換させて前記第二熱媒体を加熱する第二熱媒体加熱器と、を有し、
前記第一熱媒体ラインは、前記第一熱媒体加熱器で加熱された前記第一熱媒体を前記反応器に導き、
前記第二熱媒体ラインは、前記第二熱媒体加熱器で加熱された前記第二熱媒体を前記予熱器に導く、
原料流体の処理プラント。
【請求項5】
請求項2に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
排気ガスを発生する排気ガス発生設備と、排熱利用設備と、を備え、
前記排熱利用設備は、前記排気ガスが流れるガス枠と、前記ガス枠内に設けられ、前記第一熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記第一熱媒体を加熱する第一熱媒体加熱器と、を有し、
前記第一熱媒体ラインは、前記第一熱媒体加熱器で加熱された前記第一熱媒体を前記反応器に導き、
前記予熱器は、前記ガス枠内で、前記第一熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの下流側に配置され、前記原料流体と前記第二熱媒体としての前記排気ガスとを熱交換させて、前記原料流体を加熱する熱交換器であり、
前記第二熱媒体ラインは、前記ガス枠の一部を有して構成されている、
原料流体の処理プラント。
【請求項6】
請求項1に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
前記反応器は、前記原料流体を反応させて反応ガスを生成する前反応器と、前記前反応器からのガスに含まれる前記原料流体を反応させる後反応器と、を有し、
前記前反応器は、前記第一熱媒体の一種である第一低温熱媒体と前記原料流体とを熱交換させ、
前記後反応器は、前記第一熱媒体の一種である第一高温熱媒体と前記前反応器からのガスとを熱交換させ、
前記第一熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体が流れる第一低温熱媒体ラインと、前記第一高温熱媒体が流れる第一高温熱媒体ラインと、を有し、
前記第一低温熱媒体ラインは、前記前反応器に接続され、前記第一低温熱媒体を前記前反応器に導き、
前記第一高温熱媒体ラインは、前記後反応器に接続され、前記第一高温熱媒体を前記後反応器に導く、
原料流体の処理プラント。
【請求項7】
請求項6に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
前記第一低温熱媒体ラインを流れる前記第一低温熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記第一高温熱媒体ラインを流れる前記第一高温熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい、
原料流体の処理プラント。
【請求項8】
請求項6記載の原料流体の処理プラントにおいて、
前記後反応器で熱交換を行った後の前記第一高温熱媒体を回収する第一高温熱媒体回収ラインを備え、
前記第一高温熱媒体回収ラインは、前記第一低温熱媒体ラインの途中に接続されて、回収した前記第一高温熱媒体を前記第一低温熱媒体ラインに送る、
原料流体の処理プラント。
【請求項9】
請求項6に記載の原料流体の処理プラントにおいて、
排気ガスを発生する排気ガス発生設備と、排熱利用設備と、
を備え、
前記排熱利用設備は、前記排気ガスが流れるガス枠と、前記ガス枠内に設けられ、前記第一熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記第一熱媒体を加熱する第一熱媒体加熱器、を有し、
前記第一熱媒体ラインは、前記第一熱媒体加熱器で加熱された前記第一熱媒体を前記反応器に導き、
前記第一熱媒体加熱器は、前記第一熱媒体の一種である前記第一低温熱媒体と前記排気ガスを熱交換させて、前記第一低温熱媒体を加熱する第一低温熱媒体加熱器と、前記第一熱媒体の一種である前記第一高温熱媒体と前記排気ガスを熱交換させて、前記第一高温熱媒体を加熱する第一高温熱媒体加熱器と、を有し、
前記第一高温熱媒体加熱器は、前記ガス枠内で、前記第一低温熱媒体加熱器よりも、前記排気ガスの流れの上流側に配置され、
前記第一熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体が流れる前記第一低温熱媒体ラインと、前記第一高温熱媒体が流れる前記第一高温熱媒体ラインと、を有し、
前記第一低温熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体加熱器に接続され、前記排気ガスで加熱された前記第一低温熱媒体を前記前反応器に導き、
前記第一高温熱媒体ラインは、前記第一高温熱媒体加熱器に接続され、前記排気ガスで加熱された前記第一高温熱媒体を前記後反応器に導く、
原料流体の処理プラント。
【請求項10】
流体を予熱する予熱器を備え、
前記予熱器は、前記流体と第二熱媒体とを熱交換させて、前記流体を加熱する熱交換器であり、
前記予熱器は、液体の前記流体を加熱して気化させる気化器を有し、
前記気化器は、前記第二熱媒体の一種である気化用第二熱媒体と前記液体の流体とを熱交換させて、前記液体の流体を加熱する熱交換器である、
流体の処理プラント。
【請求項11】
請求項10に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記予熱器は、前記気化器からの気体の前記流体を加熱するガス加熱器を有し、
前記ガス加熱器は、前記第二熱媒体の一種であるガス加熱用第二熱媒体と前記気体の流体とを熱交換させて、前記気体の流体を加熱する熱交換器である、
流体の処理プラント。
【請求項12】
請求項11に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記気化器内を流れる前記気化用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記ガス加熱器内を流れる前記ガス加熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい、
流体の処理プラント。
【請求項13】
請求項11に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記ガス加熱器の第二熱媒体出口に一端が接続されるガス加熱用第二熱媒体回収ラインと、第二熱媒体追加ラインと、を備え、
前記ガス加熱用第二熱媒体回収ラインは、前記ガス加熱器から、前記ガス加熱用第二熱媒体を回収し、
前記ガス加熱用第二熱媒体回収ラインの途中に前記第二熱媒体追加ラインが接続され、前記第二熱媒体追加ラインは前記第二熱媒体を前記ガス加熱用第二熱媒体回収ラインに供給し、
前記ガス加熱用第二熱媒体回収ラインの他端は、前記気化器に接続され、前記第二熱媒体が、気化用第二熱媒体ラインを経由して、前記気化用第二熱媒体として、前記気化器に送られる、
流体の処理プラント。
【請求項14】
請求項11に記載の流体の処理プラントにおいて、
排気ガスを発生する排気ガス発生設備と、排熱利用設備と、を備え、
前記排熱利用設備は、
前記排気ガスが流れるガス枠と、
前記ガス枠内に設けられ、前記気化用第二熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記気化用第二熱媒体を加熱する気化用第二熱媒体加熱器と、
前記ガス枠内であって、前記気化用第二熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの上流側に配置され、前記ガス加熱用第二熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記ガス加熱用第二熱媒体を加熱するガス加熱用第二熱媒体加熱器と、
前記気化用第二熱媒体加熱器で加熱された前記気化用第二熱媒体を前記気化器に導く気化用第二熱媒体ラインと、
前記ガス加熱用第二熱媒体加熱器で加熱された前記ガス加熱用第二熱媒体を前記ガス加熱器に導くガス加熱用第二熱媒体ラインと、
を有する、
流体の処理プラント。
【請求項15】
請求項10に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記気化器は、気体の前記気化用第二熱媒体を受け入れて、前記気体の気化用第二熱媒体と前記液体の原料流体とを熱交換させて、前記気体の気化用第二熱媒体を冷却して凝縮させる能力を有する、
流体の処理プラント。
【請求項16】
請求項15に記載の流体の処理プラントにおいて、
第一蒸気を発生する蒸発器と前記気化器とを接続し、前記蒸発器から前記気化器に前記気化用第二熱媒体としての前記第一蒸気を供給する第一気化用第二熱媒体ラインと、
前記気化器に接続され、前記第一蒸気が凝縮して生じた水を前記気化器から回収する加熱水回収ラインと、
を備える、
流体の処理プラント。
【請求項17】
請求項15に記載の流体の処理プラントにおいて、
蒸気タービンと前記気化器とを接続し、前記蒸気タービンから前記気化器に前記気化用第二熱媒体としての第二蒸気を供給する第二気化用第二熱媒体ラインと、
前記気化器に接続され、前記第二蒸気が凝縮して生じた水を前記気化器から回収する加熱水回収ラインと、
を備える、
流体の処理プラント。
【請求項18】
請求項10に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記気化器は、前記液体の流体を液体のまま昇温させる液相予熱器と、前記液相予熱器からの前記液体の流体を加熱して気化させる相変化予熱器と、を有し、
前記液相予熱器は、前記気化用第二熱媒体の一種である液相予熱用第二熱媒体と前記液体の原料流体とを熱交換させて、前記液体の流体を加熱する熱交換器であり、
前記相変化予熱器は、前記気化用第二熱媒体の一種である相変化予熱用第二熱媒体と前記液相予熱器からの前記液体の流体とを熱交換させ、前記液体の流体を加熱する熱交換器である、
流体の処理プラント。
【請求項19】
請求項18に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記相変化予熱器内を流れる前記相変化予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記液相予熱器内を流れる前記液相予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい、
流体の処理プラント。
【請求項20】
請求項18に記載の流体の処理プラントにおいて、
前記相変化予熱器と前記液相予熱器とを接続し、前記相変化予熱器から熱交換後の前記相変化予熱用第二熱媒体を回収して前記液相予熱用第二熱媒体として前記液相予熱器に送る第一連結第二熱媒体ラインと、
前記第一連結第二熱媒体ラインの途中から前記第二熱媒体を回収する第二熱媒体回収ラインと、
を備える、
流体の処理プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料流体を加熱して反応させて反応ガスを生成する処理を含む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保全のためCO2排出量を削減するため、燃焼してもCO2を排出しない水素を燃料として利用することが有力な選択肢となっている。しかし、例えば、ガスタービンの燃料として広く使われている液化天然ガスなどの燃料と比較して、水素は、その輸送や溜蔵は容易ではない。このため、水素に変換可能なアンモニアを燃料として利用することが検討されている。また、例えば、メタノールなども燃料として利用することが検討されている。
【0003】
以下の特許文献1,2には、ガスタービンプラントが開示されている。このガスタービンプラントは、アンモニアを加熱して、このアンモニアを水素と窒素に熱分解反応させる原料反応設備を備えている。原料反応設備は、一基の熱交換装置を有する。この一基の熱交換装置は、ガスタービンからの排気ガスが流れるガス枠と、このガス枠中に配置されている伝熱管と、を有する。この一基の熱交換装置では、伝熱管内に流入してきた液体アンモニアとガス枠内を流れている排気ガスとを熱交換させて、アンモニアを加熱して、このアンモニアを熱分解反応させ、水素と窒素とを含む反応ガスにする。この反応ガスは、ガスタービンの燃焼器に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04-342829号公報
【特許文献2】特開2018-076794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2に記載の技術では、一基の熱交換装置で、液体アンモニアと排気ガスとを熱交換させて、アンモニアを加熱して、このアンモニアを熱分解反応させているため、排気ガスの熱エネルギー損失が大きくなる。また、上記特許文献1,2に記載の技術では、反応後の反応ガスの熱を有効に活用されていない。このため、上記特許文献1,2に記載の技術では、プラントの熱効率が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、アンモニア等の原料流体を反応させるにあたって、排気ガス等の熱源の熱エネルギー損失を抑え、プラントの熱効率を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための発明に係る一態様の原料流体の処理プラントは、
原料流体を加熱して反応させて、反応ガスを生成する原料反応設備を備える。前記原料反応設備は、前記原料流体を予熱する予熱器と、前記予熱器で予熱された前記原料流体をさらに加熱して反応させて反応ガスを生成する反応器と、第一熱媒体が流れる第一熱媒体ラインと、前記第一熱媒体とは異なる第二熱媒体が流れる第二熱媒体ラインと、を有する。前記反応器は、前記原料流体と前記第一熱媒体とを熱交換させて、前記原料流体を加熱して反応させる熱交換器である。前記予熱器は、前記原料流体と前記第二熱媒体とを熱交換させて、前記原料流体を加熱する熱交換器である。前記第一熱媒体ラインは、前記第一熱媒体を前記反応器に導く。前記第二熱媒体ラインは、前記第二熱媒体を前記予熱器に導く。
【0008】
本態様では、原料流体を加熱して反応させるにあたり、先ず、第一熱媒体とは異なる第二熱媒体と原料流体とを熱交換させて、原料流体を予熱する。その後、本態様では、第一熱媒体と予熱後の原料流体とを熱交換させて、原料流体を加熱して反応させる。このため、本態様では、一つの熱媒体で、原料流体を予熱し且つ反応させる場合よりも、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができる。よって、本態様では、第一熱媒体を加熱するための排気ガス等の熱源の熱エネルギー損失を抑えることができる。
【0009】
ここで、前記一態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記第一熱媒体ラインを流れる前記第一熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記第二熱媒体ラインを流れる前記第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きくてもよい。
【0010】
本態様では、原料流体の反応のために大量の熱を必要とする反応器の温度レベルには多くの熱量を投入でき、少ない熱量で十分な予熱器の温度レベルには少ない熱量を投入することができる。このため、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。
【0011】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、熱サイクル媒体が循環する排熱利用熱サイクルを有し、熱源の熱を利用して、前記熱サイクル媒体を加熱し、加熱された前記熱サイクル媒体を利用する排熱利用設備をさらに備えてもよい。この場合、前記排熱利用設備は、前記熱源の熱を利用して、前記第一熱媒体を加熱する。前記第一熱媒体ラインは、前記熱源の熱で加熱された前記第一熱媒体を前記反応器に導く。
【0012】
本態様では、熱源の熱のうち、反応ガスの生成に用いない部分を熱サイクルで活用することができ、プラントの出力、効率を高めることができる。
【0013】
前記排熱利用設備を備える前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、排気ガスを発生する排気ガス発生設備をさらに備えてもよい。この場合、前記熱源は、前記排気ガス発生設備からの前記排気ガスである。前記排熱利用設備は、前記熱サイクル媒体を前記排気ガスと熱交換させることによって加熱する。前記排熱利用設備は、前記排気ガスが流れるガス枠と、前記ガス枠内に設けられ、前記第一熱媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、前記第一熱媒体を加熱する第一熱媒体加熱器、を有する。前記第一熱媒体ラインは、前記排熱利用設備の前記第一熱媒体加熱器に接続され、前記排気ガスの熱で加熱された前記第一熱媒体を前記反応器に導く。
【0014】
本態様では、排気ガス発生設備からの排気ガスの熱を有効活用することにより、プラントの効率を高めることができる。
【0015】
前記排気ガス発生設備を備える前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排気ガス発生設備は、前記反応ガスを燃料として利用する反応ガス利用設備であってもよい。
【0016】
本態様では、排熱利用設備とは別の反応ガス利用設備を設けることができ、反応ガスを反応ガス利用設備で利用した後の排熱を、排熱利用設備で更に利用することができるので、反応ガスの持つエネルギーを繰返し回収することができ、高効率なエネルギー利用が可能となる。
【0017】
前記第一熱媒体加熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記原料反応設備は、前記原料流体との熱交換後の前記第一熱媒体を前記反応器から前記第一熱媒体加熱器に戻す第一熱媒体回収ラインを有してもよい。
【0018】
本態様では、反応器と第一熱媒体加熱器との間で、第一熱媒体が循環する。このため、本態様では、第一熱媒体加熱器から流出する第一熱媒体の温度と、第一熱媒体加熱器に流入する第一熱媒体との温度差を最小限にすることができる。よって、本態様では、この観点からも、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができる。
【0019】
前記第一熱媒体回収ラインを有する、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記反応器は、前記原料流体との熱交換前の前記第一熱媒体と前記原料流体との熱交換後の前記第一熱媒体とで相変化させないよう構成されていてもよい。
【0020】
本態様では、第一熱媒体が反応器と第一熱媒体加熱器との間で循環する過程で、相変化しない。よって、本態様では、第一熱媒体が相変化する場合よりも、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができる。
【0021】
前記排熱利用熱サイクルを有する、いずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記第一熱媒体と前記第二熱媒体とのうち、少なくとも一方の熱媒体は、前記熱サイクル媒体と同じ物質であってもよい。
【0022】
本態様では、第一熱媒体又は第二熱媒体が、熱サイクル媒体と同じ物質であるため、第一熱媒体又は第二熱媒体の質等の管理を容易に行うことができる。
【0023】
前記第一熱媒体又は前記第二熱媒体が、熱サイクル媒体と同じ物質である前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、一方の熱媒体の圧力は、排熱利用熱サイクル内における熱サイクル媒体の最高圧力よりも低くてもよい。
【0024】
本態様では、別途の供給設備を設けることなく、容易に第一熱媒体を反応器に供給し、または、第二熱媒体を予熱器に供給することができる。特に、起動時や、シール漏れ等に起因する第一熱媒体の圧力低下時に容易に第一熱媒体を反応器に供給し、または、第二熱媒体を予熱器に供給することができる。
【0025】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記反応器は、前記予熱器で予熱された前記原料流体をさらに加熱して反応させて反応ガスを生成する前反応器と、前記前反応器からのガスをさらに加熱して、前記前反応器からのガスに含まれる前記原料流体を反応させる後反応器と、を有してもよい。この場合、前記前反応器は、前記第一熱媒体の一種である第一低温熱媒体と前記原料流体とを熱交換させて、前記原料流体を加熱する。前記後反応器は、前記第一熱媒体の一種であって前記第一低温熱媒体と異なる第一高温熱媒体と前記前反応器からのガスとを熱交換させて、前記前反応器からのガスを加熱する。前記第一熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体が流れる第一低温熱媒体ラインと、前記第一高温熱媒体が流れる第一高温熱媒体ラインと、を有する。前記第一低温熱媒体ラインは、前記前反応器に接続され、前記第一低温熱媒体を前記前反応器に導く。前記第一高温熱媒体ラインは、前記後反応器に接続され、前記第一高温熱媒体を前記後反応器に導く。
【0026】
本態様では、前反応器での反応と、後反応器での反応との二段階に分けて、原料流体の反応を実行するので、後反応器から流出する反応ガス中に含まれている残留原料の濃度を下げることができる。しかも、本態様では、後反応器で反応ガスと熱交換する第一熱媒体の温度が、前反応器で原料流体と熱交換する第一熱媒体の温度よりも高くなるため、反応のための熱を効率的に利用することができる。また、反応器を前反応器と後反応器に分割し、それぞれに熱媒体を供給することにより、それぞれの温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。
【0027】
前記排熱利用設備及び前記排気ガス発生設備を備える、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記反応器は、前記予熱器で予熱された前記原料流体をさらに加熱して反応させて反応ガスを生成する前反応器と、前記前反応器からのガスをさらに加熱して、前記前反応器からのガスに含まれる前記原料流体を反応させる後反応器と、を有してもよい。この場合、前記第一熱媒体加熱器は、前記第一熱媒体の一種である第一低温熱媒体と前記排気ガスを熱交換させて、前記第一低温熱媒体を加熱する第一低温熱媒体加熱器と、前記第一熱媒体の一種である第一高温熱媒体と前記排気ガスを熱交換させて、前記第一高温熱媒体を加熱する第一高温熱媒体加熱器と、を有する。前記第一高温熱媒体加熱器は、前記ガス枠内で、前記第一低温熱媒体加熱器よりも、前記排気ガスの流れの上流側に配置されている。前記第一熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体が流れる第一低温熱媒体ラインと、前記第一高温熱媒体が流れる第一高温熱媒体ラインと、を有する。前記第一低温熱媒体ラインは、前記第一低温熱媒体加熱器に接続され、前記排気ガスで加熱された前記第一低温熱媒体を前記前反応器に導く。前記第一高温熱媒体ラインは、前記第一高温熱媒体加熱器に接続され、前記排気ガスで加熱された前記第一高温熱媒体を前記後反応器に導く。
【0028】
本態様では、前反応器での反応と、後反応器での反応との二段階に分けて、原料流体の反応を実行するので、後反応器から流出する反応ガス中に含まれている残留原料の濃度を下げることができる。しかも、本態様では、後反応器で反応ガスと熱交換する第一熱媒体の温度が、前反応器で原料流体と熱交換する第一熱媒体の温度よりも高くなるため、反応のための熱を効率的に利用することができる。また、反応器を前反応器と後反応器に分割し、それぞれに熱媒体を供給することにより、それぞれの温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。
【0029】
前記前反応器及び前記後反応器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記排気ガスの熱を利用して水を蒸気にする排熱回収ボイラを有し、前記排熱回収ボイラは、前記ガス枠を有し、前記第一低温熱媒体及び第一高温熱媒体は、いずれも、水又は蒸気であってもよい。
【0030】
前記前反応器及び前記後反応器を有する、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記ガス枠内を流れる前記排気ガス中に、燃料を噴射して、前記燃料を燃焼させるバーナを有してもよい。この場合、前記バーナは、前記ガス枠内で、前記第一高温熱媒体加熱器よりも、前記排気ガスの流れの上流側に配置されている。前記第一高温熱媒体加熱器は、前記バーナから噴射された前記燃料の燃焼で生成される燃焼ガスと前記第一高温熱媒体とを熱交換させて、前記第一高温熱媒体を加熱する。
【0031】
本態様では、排気ガスのみで第一熱媒体を加熱する場合よりも、高温の第一熱媒体を得ることができるので、原料流体の反応を促進することができ、反応ガス中に含まれる原料流体の濃度を下げることができる。
【0032】
また、前記ガス枠を有する前記排熱利用設備を備える、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記ガス枠内を流れる前記排気ガス中に、前記燃料を噴射して、前記燃料を燃焼させるバーナを有してもよい。この場合、前記バーナは、前記ガス枠内で、前記第一熱媒体加熱器よりも、前記排気ガスの流れの上流側に配置されている。前記第一熱媒体加熱器は、前記バーナから噴射された前記燃料の燃焼で生成される燃焼ガスと前記第一熱媒体とを熱交換させて、前記第一熱媒体を加熱する。
【0033】
本態様では、排気ガスのみで第一熱媒体を加熱する場合よりも、高温の第一熱媒体を得ることができるので、原料流体の反応を促進することができ、反応ガス中に含まれる原料流体の濃度を下げることができる。
【0034】
前記第一低温熱媒体ライン及び前記第一高温熱媒体ラインを有する、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記第一低温熱媒体ラインを流れる前記第一低温熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記第一高温熱媒体ラインを流れる前記第一高温熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きくてもよい。
【0035】
本態様では、原料流体の反応のために大量の熱を必要とする反応器の温度レベルには多くの熱量を投入でき、少ない熱量で十分な予熱器の温度レベルには少ない熱量を投入することができる。このため、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。特に、大部分の原料流体の反応が前反応器で行われる場合、後反応器に投入する高温の第一高温熱媒体の必要流量を削減することができ、高温の熱を節約、熱利用効率を高めることができる。
【0036】
前記バーナを有する、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記ガス枠内における前記第一熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの上流側を、前記排気ガスの一部が流れる第一排気ガス流路と前記排気ガスの残りの部分が流れる第二排気ガス流路とに仕切る仕切り部材を有してもよい。この場合、前記バーナは、前記第一排気ガス流路内に前記燃料を噴射する。
【0037】
本態様では、排気ガスの一部のみに燃料を投入して燃焼させ、第一熱媒体の加熱に用いるので、少ない追焚き燃料で効果的に第一熱媒体の温度を高めることができ、追焚き燃料を節約し、プラント効率を高めることができる。
【0038】
前記反応ガス利用設備を備える、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記原料反応設備は、前記反応器で生成された前記反応ガスが流れる反応ガスラインと、前記反応ガスラインを流れる前記反応ガス中に含まれている原料流体である残留原料を除き、前記残留原料が除かれた反応ガスである処理済み反応ガスを排出する残留原料除去装置とを有してもよい。この場合、前記排気ガス発生設備は、前記反応ガスの一部である前記処理済み反応ガスを利用する。
【0039】
本態様では、反応ガス利用設備に送る反応ガス中の残留原料を少なくすることができる。
【0040】
前記残留原料除去装置を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記第二熱媒体は、前記反応ガスであり、前記第二熱媒体ラインは、前記反応ガスラインであってもよい。
【0041】
本態様では、予熱器で、原料流体と第二熱媒体としての反応ガスとが熱交換され、原料流体が加熱される一方で、反応ガスが冷却される。このため、本態様では、残留原料除去装置へ、低温の反応ガスを送ることができる。また、反応ガス冷却の排熱を有効活用することにより、プラント効率を高めることができる。
【0042】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記予熱器は、液体の前記原料流体を加熱して気化させる気化器と、前記気化器からの気体の前記原料流体を加熱するガス加熱器と、を有してもよい。この場合、前記気化器は、前記第二熱媒体の一種である気化用第二熱媒体と前記液体の原料流体とを熱交換させて、前記液体の原料流体を加熱する熱交換器である。また、前記ガス加熱器は、前記第二熱媒体の一種であって前記気化用第二熱媒体と異なるガス加熱用第二熱媒体と前記気体の原料流体とを熱交換させて、前記気体の原料流体を加熱する熱交換器である。
【0043】
本態様では、大きな熱量を必要とする原料流体の気化と、必要な熱量が小さい気体での加熱で異なる熱媒体を用いる。本態様では、原料流体の気化及び気体での加熱に対して、それぞれの温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。
【0044】
前記気化器及び前記ガス加熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記気化器内を流れる前記気化用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記ガス加熱器内を流れる前記ガス加熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きくてもよい。
【0045】
本態様では、原料流体の気化のために大量の熱を必要とする気化器の温度レベルには多くの熱量を投入でき、ガス加熱器の温度レベルには少ない熱量で十分な熱量を投入することができる。このため、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができ、熱利用効率を高めることができる。
【0046】
前記気化器及び前記ガス加熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記気化器は、気体の前記気化用第二熱媒体を受け入れて、前記気体の気化用第二熱媒体と前記液体の原料流体とを熱交換させて、前記気体の気化用第二熱媒体を冷却して凝縮させる能力を有してもよい。
【0047】
本態様では、一定の温度で凝縮する気化用第二熱媒体を熱源として、一定の温度で熱源媒体を気化させることができる。このため、本態様では、比較的低い一定の温度の熱を有効活用して原料流体を気化させ、熱利用効率を高めることができる。
【0048】
前記気化器及び前記ガス加熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記気化器は、前記液体の原料流体を液体のまま昇温させる液相予熱器と、前記液相予熱器からの前記液体の原料流体を加熱して気化させる相変化予熱器と、を有してもよい。この場合、前記液相予熱器は、前記気化用第二熱媒体の一種である液相予熱用第二熱媒体と前記液体の原料流体とを熱交換させて、前記液体の原料流体を加熱する熱交換器である。前記相変化予熱器は、前記気化用第二熱媒体の一種であって前記液相予熱用第二熱媒体と異なる相変化予熱用第二熱媒体と前記液相予熱器からの前記液体の原料流体とを熱交換させ、前記液体の原料流体を加熱する熱交換器である。
【0049】
本態様では、液相の原料流体を気化させる部分と、液相のまま原料流体を予熱する部分とに、気化器を分割する。そして、大きな熱量を必要とする原料流体の気化と、必要な熱量が小さい液相のままでの加熱とで、異なる熱媒体を用いる。よって、本態様では、原料流体の気化及び液相のままでの加熱に対して、それぞれの温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができる。
【0050】
前記液相予熱器及び前記相変化予熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記相変化予熱器内を流れる前記相変化予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積が、前記液相予熱器内を流れる前記液相予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きくてもよい。
【0051】
本態様では、原料流体の気化のために大量の熱を必要とする相変化予熱器の温度レベルには多く熱量を投入でき、少ない熱量で十分な液相予熱器の温度レベルには少ない熱量を投入することができる。このため、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができ、熱利用効率を高めることができる。
【0052】
前記液相予熱器及び前記相変化予熱器を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記相変化予熱器は、気体の前記相変化予熱用第二熱媒体を受け入れて、前記気体の相変化予熱用第二熱媒体と前記液相予熱器からの前記液体の原料流体とを熱交換させ、前記気体の相変化予熱用第二熱媒体を冷却して凝縮させる能力を有してもよい。
【0053】
本態様では、一定の温度で凝縮する相変化予熱用第二熱媒体を熱源として、一定の温度で原料流体を気化させることができる。このため、本態様では、比較的低い一定の温度の熱を有効活用して原料流体を気化させ、熱利用効率を高めることができる。
【0054】
排熱利用熱サイクルを有する、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、一以上の熱サイクルを備えてもよい。この場合、前記一以上の熱サイクルは、前記熱サイクル媒体が循環する前記排熱利用熱サイクルを含む。前記原料反応設備は、前記第二熱媒体が流れる第二熱媒体回収ラインを有する。前記第二熱媒体は、前記一以上の熱サイクルのうちの第一熱サイクル中を流れる第一熱サイクル媒体の少なくとも一部である。前記第二熱媒体ラインは、前記第一熱サイクル中の第一部を流れる前記第一熱サイクル媒体を前記第二熱媒体として前記予熱器に導く。前記第二熱媒体回収ラインは、前記第一熱サイクル中で前記第一部を流れる第一熱サイクル媒体よりも低い温度の前記第一熱サイクル媒体が流れる第二部に、前記原料流体との熱交換で冷却された前記第一熱サイクル媒体を導く。
【0055】
本態様では、第一熱サイクル中を流れる第一熱サイクル媒体を原料流体の予熱に利用することができる。
【0056】
前記第一熱サイクルを有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記第一熱サイクルは、前記排熱利用熱サイクルであってもよい。この場合、前記第一熱サイクル媒体は、前記排熱利用熱サイクル内を循環する前記熱サイクル媒体としての水又は蒸気である。
【0057】
前記ガス枠を有する前記排熱利用設備を備えている、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記ガス枠内であって、前記第一熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの下流側に配置され、前記熱サイクル媒体の少なくとも一部と前記排気ガスと熱交換させて前記熱サイクル媒体の少なくとも一部を加熱する第二熱媒体加熱器を有してもよい。この場合、前記原料反応設備は、前記第二熱媒体が流れる第二熱媒体回収ラインを有する。前記第二熱媒体ラインは、前記第二熱媒体加熱器で加熱された前記熱サイクル媒体の少なくとも一部を前記第二熱媒体として、前記予熱器に導く。前記第二熱媒体回収ラインは、前記排熱利用熱サイクル中で前記第二熱媒体加熱器中の前記熱サイクル媒体よりも低い温度の前記熱サイクル媒体が流れる部分に、前記予熱器で冷却された後の前記熱サイクル媒体を導く。
【0058】
本態様では、排熱利用熱サイクル内を循環する熱サイクル媒体の一部を排気ガスEGで加熱し、この熱サイクル媒体を第二熱媒体とする。このため、本実施形態では、第二熱媒体の質等の管理を容易に行うことができる。
【0059】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、気体の作動媒体が循環するブレイトンサイクルを備えてもよい。前記ブレイトンサイクルは、前記作動媒体を圧縮する媒体圧縮機と、前記媒体圧縮機で圧縮された作動媒体を加熱する媒体加熱器と、前記媒体加熱器で加熱された作動媒体で駆動する媒体タービンと、前記媒体タービンから排気された作動媒体を冷却する媒体冷却器と、を有する。この場合、前記原料反応設備は、前記第二熱媒体が流れる第二熱媒体回収ラインを有する。前記媒体冷却器は、前記予熱器の少なくとも一部を構成する。前記第二熱媒体ラインは、前記媒体タービンから排気された前記作動媒体を前記第二熱媒体として前記媒体冷却器に導く。前記第二熱媒体回収ラインは、前記媒体冷却器で、前記原料流体との熱交換で冷却された前記作動媒体を前記第二熱媒体として前記媒体圧縮機に導く。
【0060】
本態様では、予熱器の一部を構成する媒体冷却器で、原料流体と作動媒体とを熱交換させて、作動媒体を冷却する。よって、本態様では、原料流体の熱を利用してブレイトンサイクルを動作させることができ、プラントの出力を高めることができる。
【0061】
前記ガス枠を有する前記排熱利用設備を備えている、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記予熱器は、前記ガス枠内で、前記第一熱媒体加熱器よりも前記排気ガスの流れの下流側に配置され、前記原料流体と前記第二熱媒体としての前記排気ガスとを熱交換させて、前記原料流体を加熱する熱交換器であってもよい。この場合、前記第二熱媒体ラインは、前記ガス枠の一部を有して構成される。
【0062】
本態様では、多くの熱を奪われた排気ガス、つまり低温の排気ガスの熱を原料流体の予熱に利用する。よって、本態様では、低温の排気ガスの熱を有効利用することができる。
【0063】
前記予熱器が前記ガス枠内に配置されている、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記ガス枠内に配置され、液相の前記熱サイクル媒体と前記排気ガスとを熱交換させて、液相の前記熱サイクル媒体を気相の前記熱サイクル媒体にする一以上の蒸発器を有してもよい。この場合、前記予熱器は、前記ガス枠内で、一以上の前記蒸発器のうちで最も前記下流側の蒸発器よりも前記下流側に配置されている。前記排気ガスの流れ方向で、前記第一熱媒体加熱器と前記予熱器との間には、一以上の前記蒸発器のうちで少なくとも一の蒸発器が配置されている。
【0064】
前記残留原料除去装置を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、第三熱媒体が流れ、加熱された前記第三熱媒体を利用する熱サイクルを備えてもよい。この場合、前記原料反応設備は、前記熱サイクルに接続されている第三熱媒体ライン及び第三熱媒体回収ラインと、反応ガスを冷却する反応ガス冷却器と、を有する。前記反応ガス冷却器は、前記反応ガスライン中に設けられ、前記反応ガスラインを流れる前記反応ガスを前記第三熱媒体と熱交換させて、前記反応ガスを冷却する一方で前記第三熱媒体を加熱する。前記第三熱媒体ラインは、加熱される前の前記第三熱媒体の少なくとも一部を前記熱サイクルから前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器で加熱された後の前記第三熱媒体を前記熱サイクルに導く。前記残留原料除去装置は、前記反応ガス冷却器で冷却された前記反応ガスから前記残留原料を除く。
【0065】
本態様では、残留原料除去装置に、冷却された反応ガスRGを送ることができる。また、本態様では、反応ガス冷却の排熱を有効に活用して、熱サイクルに加熱された第三熱媒体を送ることができ、プラントの効率を高めることができる。
【0066】
前記第三熱媒体を利用する前記熱サイクルを備える、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排気ガス発生設備は、ガスタービンを有してもよい。前記ガスタービンは、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する空気圧縮機と、前記処理済み反応ガスを燃料として前記燃焼用空気中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動して前記燃焼ガスを前記排気ガスとして排出するタービンと、を有する。前記熱サイクルは、前記排気ガス発生設備に含まれる前記ガスタービンを有して構成されるガスタービンサイクルである。前記第三熱媒体ラインは、前記残留原料除去装置からの前記処理済み反応ガスを前記第三熱媒体として前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器で加熱された後の前記処理済みガスを前記燃焼器に導く。
【0067】
本態様では、反応ガス冷却器で、反応ガスと燃料としての処理済み反応ガスとを熱交換させて、反応ガスを冷却する一方で、燃料を加熱する。よって、本態様では、残留原料除去装置に冷却された反応ガスを送ることができると共に、燃焼器に予熱された燃料を送ることができ、プラントの効率を高めることができる。また、残留原料除去装置で反応ガス中に残存する残留原料を除去することにより、燃焼器に送る燃料の残留原料の濃度を低減することができ、燃料中の残留原料に起因する大気汚染物質の発生を低減することができる。
【0068】
前記第三熱媒体を利用する前記熱サイクルを備える、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排気ガス発生設備は、ガスタービンを有してもよい。前記ガスタービンは、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する空気圧縮機と、前記処理済み反応ガスを燃料として前記燃焼用空気中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動して前記燃焼ガスを前記排気ガスとして排出するタービンと、を有する。前記熱サイクルは、前記排気ガス発生設備に含まれる前記ガスタービンを有して構成されるガスタービンサイクルである。前記第三熱媒体ラインは、前記空気圧縮機からの前記燃焼用空気を前記第三熱媒体として前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器で加熱された後の前記燃焼用空気を前記燃焼器に導く。
【0069】
本態様では、反応ガス冷却器で、反応ガスと燃焼用空気とを熱交換させて、反応ガスを冷却する一方で、燃焼用空気を加熱する。よって、本態様では、残留原料除去装置に冷却された反応ガスを送ることができると共に、燃焼器に予熱された燃焼用空気を送ることができる。
【0070】
前記第三熱媒体を利用する前記熱サイクルを備える、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排気ガス発生設備は、前記処理済み反応ガスを燃料として駆動するガスタービンを有してもよい。前記排熱利用設備は、前記ガスタービンから排気された排気ガスの熱を利用して水を蒸発させる排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、前記復水器内の水を前記排熱回収ボイラに送る給水ポンプと、を有する。前記熱サイクルは、前記排熱回収ボイラと、前記蒸気タービンと、前記復水器と、前記給水ポンプとを有して構成されるランキンサイクルである。前記第三熱媒体ラインは、前記ランキンサイクル中の第一部を流れる水又は蒸気の少なくとも一部を前記第三熱媒体として前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記ランキンサイクル中で前記第一部を流れる水又は蒸気よりも高い温度の水又は蒸気が流れる第二部に、前記反応ガス冷却器で加熱された後の水又は蒸気を導く。
【0071】
本態様では、反応ガス冷却器で、反応ガスとランキンサイクルを流れる水又は蒸気とを熱交換させて、反応ガスを冷却する一方で、水又は蒸気を加熱する。よって、本態様では、残留原料除去装置に冷却された反応ガスを送ることができると共に、ランキンサイクルに加熱された水又は蒸気を戻すことができ、ランキンサイクルの熱効率を高めることができる。
【0072】
前記第三熱媒体を利用する前記熱サイクルを備える、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、水よりも沸点の低い低沸点媒体が循環する低沸点媒体ランキンサイクルを備えてもよい。前記低沸点媒体ランキンサイクルは、液相の低沸点媒体の圧力を高める媒体昇圧機と、前記媒体昇圧機で昇圧された前記液相の低沸点媒体を加熱して気相の低沸点媒体にする媒体加熱器と、前記媒体加熱器からの前記気相の低沸点媒体で駆動する媒体タービンと、前記媒体タービンから排気された前記気相の低沸点媒体を冷却して凝縮させる媒体冷却器と、を有する。前記熱サイクルは、前記低沸点媒体ランキンサイクルである。前記反応ガス冷却器は、前記媒体加熱器を成す。前記第三熱媒体ラインは、前記媒体昇圧機で昇圧された前記液相の低沸点媒体を前記第三熱媒体として、前記媒体加熱器を成す前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器からの前記気相の低沸点媒体を前記媒体タービンに導く。
【0073】
本態様では、低沸点媒体ランキンサイクルの媒体加熱器を成す反応ガス冷却器で、反応ガスと低沸点媒体とを熱交換させて、反応ガスを冷却する一方で、低沸点媒体を加熱する。よって、本態様では、反応ガスの熱を利用して低沸点媒体ランキンサイクルを動作させることができ、プラントの出力を高めることができる。
【0074】
前記第三熱媒体を利用する前記熱サイクルを備える、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、気体の作動媒体が循環するブレイトンサイクルを備えてもよい。前記ブレイトンサイクルは、前記作動媒体を圧縮する媒体圧縮機と、前記媒体圧縮機で圧縮された作動媒体を加熱する媒体加熱器と、前記媒体加熱器で加熱された作動媒体で駆動する媒体タービンと、前記媒体タービンから排気された作動媒体を冷却する媒体冷却器と、を有する。前記熱サイクルは、前記ブレイトンサイクルである。前記反応ガス冷却器は、前記媒体加熱器を成す。前記第三熱媒体ラインは、前記媒体圧縮機からの前記作動媒体を前記第三熱媒体として、前記媒体加熱器を成す前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器からの前記作動媒体を前記媒体タービンに導く。
【0075】
本態様では、ブレイトンサイクルの媒体加熱器を成す反応ガス冷却器で、反応ガスと作動媒体とを熱交換させて、反応ガスを冷却する一方で、作動媒体を加熱する。よって、本態様では、反応ガスの熱を利用してブレイトンサイクルを動作させることができ、プラントの出力を高めることができる。
【0076】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記原料反応設備は、前記原料流体を酸化反応させる酸化剤を、前記予熱器を通過した後の前記原料流体中に投入する酸化剤投入装置を有してもよい。
【0077】
本態様では、原料流体の一部が酸化剤と酸化反応して、熱を発生する。この結果、本態様では、原料流体の温度が高まって、原料流体の反応が促進し、反応ガス中の原料流体の濃度を下げることができる。
【0078】
前記酸化剤投入装置を有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記反応器は、前記予熱器で予熱された前記原料流体をさらに加熱して反応させて反応ガスを生成する前反応器と、前記前反応器からのガスに含まれる前記原料流体をさらに反応させる後反応器と、を有してもよい。この場合、前記酸化剤投入装置は、前記予熱器を通過した後であって前記前反応器から流出する前の前記原料流体と、前記前反応器を通過したガスであって前記後反応器から流出する前のガスとのうち、少なくとも一方に前記酸化剤を投入する。
【0079】
前記酸化剤投入装置を有する、以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記酸化剤投入装置は、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機を有してもよい。この場合、前記酸化剤投入装置は、前記圧縮空気を前記酸化剤として、前記予熱器を通過した後の前記原料流体中に投入する。
【0080】
前記酸化剤投入装置が前記圧縮機を有する、前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、ガスタービンをさらに備えてもよい。前記ガスタービンは、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する空気圧縮機と、前記燃焼用空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動して前記燃焼ガスを排気ガスとして排出するタービンと、を有する。前記酸化剤投入装置の前記圧縮機の少なくとも一部は、前記ガスタービンの前記空気圧縮機である。前記酸化剤投入装置は、前記空気圧縮機からの前記燃焼用空気の一部を前記酸化剤として、前記予熱器を通過した後の前記原料流体中に投入する。
【0081】
上記目的を達成するための発明に係る他の態様の原料流体の処理プラントは、
原料流体を加熱して反応させて、反応ガスを生成する原料反応設備と、第三熱媒体が流れ、加熱された前記第三熱媒体を利用する熱サイクルと、を備える。前記原料反応設備は、前記原料流体を加熱して反応させて反応ガスを生成する反応器と、前記反応器で生成された前記反応ガスが流れる反応ガスラインと、前記熱サイクルに接続されている第三熱媒体ライン及び第三熱媒体回収ラインと、前記反応ガスを冷却する反応ガス冷却器と、を有する。前記反応ガス冷却器は、前記反応ガスライン中に設けられ、前記反応ガスラインを流れる前記反応ガスを前記第三熱媒体と熱交換させて、前記反応ガスを冷却する一方で前記第三熱媒体を加熱する。前記第三熱媒体ラインは、加熱される前の前記第三熱媒体の少なくとも一部を前記熱サイクルから前記反応ガス冷却器に導く。前記第三熱媒体回収ラインは、前記反応ガス冷却器で加熱された後の前記第三熱媒体を前記熱サイクルに導く。
【0082】
本態様によれば、反応ガス冷却器の排熱で第三熱媒体を加熱し、熱サイクルで利用することができるため、排熱を有効活用し、プラントの効率を高めることができる。
【0083】
前記他の態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記反応ガス冷却器は、前記反応器の前記原料流体の入口における前記原料流体の温度よりも高い温度にまで前記第三熱媒体を加熱する能力を有してもよい。
【0084】
本態様によれば、反応器内の反応に大量の熱を必要とする場合であっても、反応ガス冷却器の排熱を活用することにより、反応器の温度レベルまで熱サイクルの媒体の温度を高めることができ、熱サイクルの効率が高まり、プラントの効率が一層高まる。
【0085】
前記他の態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記原料反応設備で生成された前記反応ガスを燃焼させて排気ガスを発生する排気ガス発生設備をさらに備えてもよい。
【0086】
本態様によれば、生成した反応ガスを有効活用し、プラントの効率が高まる。
【0087】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排気ガス発生設備は、ガスタービンを有してもよい。前記ガスタービンは、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する空気圧縮機と、前記反応ガスを燃料として前記燃焼用空気中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動して前記燃焼ガスを排気ガスとして排出するタービンと、を有する。
【0088】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記熱源として排気ガスの熱を利用して水を蒸発させる排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、前記復水器内の水を前記排熱回収ボイラに導く給水ラインと、前記給水ラインに設けられている給水ポンプと、を有してもよい。前記排熱回収ボイラは、前記排気ガスが流れる前記ガス枠を有する。
【0089】
前記給水ラインを有する前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記排熱利用設備は、前記給水ラインを流れる水と、前記蒸気タービンから抽気した蒸気とを熱交換させて、前記水を加熱する給水予熱器を有してもよい。
【0090】
本態様では、給水予熱器により、給水ラインを流れる水を加熱することができる。よって、本態様では、排熱回収ボイラに流入する給水の温度を高めることができる。排熱回収ボイラに流入する給水の温度が高くなると、排熱回収ボイラにおける各節炭器や各蒸発器や各加熱器で水や蒸気と排気ガスとの熱交換量を少なくすることができる。このため、原料流体を加熱するための熱量が少ない場合には、本態様を採用することが好ましい。
【0091】
以上のいずれかの前記態様の原料流体の処理プラントにおいて、前記原料流体は、アンモニアであってもよい。この場合、前記反応器は、前記アンモニアを加熱して熱分解反応させて、窒素と水素とを含む反応ガスを生成する。
【0092】
上記目的を達成するための発明に係る一態様の原料流体の処理方法は、
原料流体を加熱して反応させて、反応ガスを生成する原料反応工程を実行する。前記原料反応工程は、原料予熱工程と、反応実行工程と、を含む。前記原料予熱工程では、第二熱媒体と前記原料流体とを熱交換させて、前記原料流体を加熱する。前記反応実行工程では、前記原料予熱工程で加熱された原料流体と、前記第二熱媒体とは異なる第一熱媒体とを熱交換させて、前記原料流体をさらに加熱して反応させて反応ガスを生成する。
【0093】
上記目的を達成するための発明に係る他の態様の原料流体の処理方法は、
原料流体を加熱して反応させて、反応ガスを生成する原料反応工程と、第三熱媒体を流して、加熱された前記第三熱媒体を利用する熱サイクル実行工程と、を実行する。前記原料反応工程は、前記原料流体を加熱して反応させて反応ガスを生成する反応実行工程と、前記反応実行工程で生成された前記反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、を含む。前記反応ガス冷却工程では、加熱される前の前記第三熱媒体の少なくとも一部と前記反応ガスとを熱交換させて、前記反応ガスを冷却する一方で前記第三熱媒体を加熱する。前記熱サイクル実行工程では、前記反応ガス冷却工程で加熱された前記第三熱媒体を利用する。
【発明の効果】
【0094】
本発明の一態様によれば、原料流体を反応させるにあたって、排気ガス等の熱源の熱エネルギー損失を抑えて、プラントの熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明に係る第一実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図2】本発明に係る第一実施形態におけるガス利用プラントの動作を示すフローチャートである。
【
図3】参考例におけるアンモニア及び熱源のT-Q線図である。
【
図4】第一実施形態におけるアンモニア及び熱源のT-Q線図である。
【
図5】本発明に係る第二実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図6】本発明に係る第三実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図7】第三実施形態におけるアンモニア及び熱源のT-Q線図である。
【
図8】第三実施形態の変形例におけるアンモニア及び熱源のT-Q線図である。
【
図9】本発明に係る第四実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図10】第四実施形態におけるアンモニア及び熱源のT-Q線図である。
【
図11】本発明に係る第五実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図12】本発明に係る第六実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図13】本発明に係る第七実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図14】本発明に係る第八実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【
図15】本発明に係る第八実施形態におけるブレイトンサイクル、熱サイクル、及び低沸点媒体ランキンサイクルの系統図である。
【
図16】本発明に係る第九実施形態における原料流体の処理プラントの系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明に係る原料流体の処理プラントの各種実施形態及び各種変形例について、図面を参照して説明する。
【0097】
「第一実施形態」
原料流体の処理プラントの第一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0098】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、
図1に示すように、原料流体NHを反応させて、反応ガスRGを生成する原料反応設備40と、反応ガスRGを利用する反応ガス利用設備10と、反応ガス利用設備10からの排気ガスEGの熱を利用する排熱利用設備20と、を備える。
【0099】
本実施形態の原料流体NHは、アンモニアである。原料反応設備40は、原料流体NHであるアンモニアを熱分解反応させて、水素と窒素とを含む反応ガスRGを生成する。反応ガス利用設備10は、反応ガスRGを燃料とするガスタービン11を含むガスタービン設備である。なお、本実施形態における反応ガス利用設備10及び以下の各実施形態における反応ガス利用設備は、排気ガスEGを発生する排気ガス発生設備でもある。排熱利用設備20は、ガスタービン11から排気された排気ガスEGの熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラ21と、この蒸気で駆動する蒸気タービン31,32,33等と、を有する。
【0100】
原料反応設備40は、原料反応装置41と、残留原料除去装置130と、を有する。原料反応装置41は、原料流体である液体アンモニアNHを熱分解反応させて水素と窒素と残留アンモニアとを含む反応ガスRGを生成する。残留原料除去装置130は、反応ガスRG中から残留原料(残留アンモニア)を除き、残留原料が除かれた反応ガスRGである処理済み反応ガスRGpを排出する。
【0101】
原料反応装置41は、アンモニアタンクTからの液体アンモニアNH又は気体アンモニアNHgが流れるアンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、予熱器44a,44bと、反応器45と、反応ガス冷却器46と、反応ガスライン47と、第一熱媒体ライン51と、第一熱媒体回収ライン52と、第一熱媒体昇圧機53と、を有する。アンモニアタンクTには、液体アンモニアNHが蓄えられている。液体アンモニアNHは、例えば、水素を原料として製造されたものである。この水素は、例えば、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を使って、水を電気分解することにより得られた水素、あるいは天然ガスを水蒸気改質することで得られた水素である。水素は、液化天然ガスと比較して、その輸送や溜蔵は容易ではない。このため、以上のように得られた水素を用いて、その輸送や溜蔵が容易な液体アンモニアNHを製造し、この液体アンモニアNHをアンモニアタンクTに蓄える。
【0102】
アンモニア供給ライン42は、第一アンモニア供給ライン42aと、第二アンモニア供給ライン42bと、第三アンモニア供給ライン42cと、を有する。第一アンモニア供給ライン42aの一端は、アンモニアタンクTに接続されている。予熱器44a,44bは、第一予熱器44aと第二予熱器44bとを有する。第一アンモニア供給ライン42aの他端は、この第一予熱器44aのアンモニア入口に接続されている。第一予熱器44aは、熱交換器である。この第一予熱器44aは、液体アンモニアNHと第二熱媒体とを熱交換させて、液体アンモニアNHを加熱して気体アンモニアNHgにする一方で、第二熱媒体を冷却する。第二アンモニア供給ライン42bの一端は、第一予熱器44aのアンモニア出口に接続され、この第二アンモニア供給ライン42bの他端は、第二予熱器44bのアンモニア入口に接続されている。第二予熱器44bは、熱交換器である。この第二予熱器44bは、気体アンモニアNHgと第二熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第三アンモニア供給ライン42cの一端は、第二予熱器44bのアンモニア出口に接続され、この第三アンモニア供給ライン42cの他端は、反応器45のアンモニア入口に接続されている。
【0103】
反応器45の媒体入口には、第一熱媒体ライン51が接続されている。この反応器45の媒体出口には、第一熱媒体回収ライン52が接続されている。第一熱媒体昇圧機53は、第一熱媒体回収ライン52に設けられている。反応器45は、熱交換器である。この反応器45で原料流体が通る領域内には、原料流体の熱分解反応を促進する触媒が配置されている。原料流体は、前述したように、アンモニアである。予熱器44a,44bには触媒が配置されず、反応器45に触媒が配置される。すなわち、原料流体の反応が活発に進行するのに十分高い温度となった領域にのみ触媒が配置され、触媒が配置されても反応が進行しない温度の低い領域には触媒が配置されない。以上の結果、少ない量の触媒で効果的に反応を促進することができ、触媒の費用を低減することができる。また、反応器45では原料流体が吸熱反応する。本実施形態によれば、吸熱反応に必要な熱を効率的に供給することができる。反応器45は、第二予熱器44bで加熱された気体アンモニアNHgと第一熱媒体ライン51からの第一熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgをさらに加熱する一方で、第一熱媒体を冷却する。冷却された第一熱媒体は、第一熱媒体回収ライン52に流入する。この反応器45で加熱された気体アンモニアNHgは、熱分解反応により、水素と窒素と残留アンモニアを含む反応ガスRGになる。反応ガスライン47は、第一反応ガスライン47aと第二反応ガスライン47bと第三反応ガスライン47cとを有する。第一反応ガスライン47aの一端は、反応器45の反応ガス出口に接続されている。この第一反応ガスライン47aの他端は、第二予熱器44bの第二熱媒体入口に接続されている。第二反応ガスライン47bの一端は、第二予熱器44bの第二熱媒体出口に接続され、この第二反応ガスライン47bの他端は、第一予熱器44aの第二熱媒体入口に接続されている。第三反応ガスライン47cの一端は、第一予熱器44aの第二熱媒体出口に接続され、この第三反応ガスライン47cの他端は、残留原料除去装置130に接続されている。よって、本実施形態では、反応ガスRGが第二熱媒体である。また、本実施形態では、第一予熱器44a及び第二予熱器44bに第二熱媒体である反応ガスRGを導く第二熱媒体ラインは、反応ガスライン47である。反応ガス冷却器46は、第三反応ガスライン47cに設けられている。この反応ガス冷却器46は、第三反応ガスライン47cを流れる反応ガスRGを冷却する。
【0104】
残留原料除去装置130は、吸収塔131と、再生塔132と、アンモニア水ライン133と、水ライン134と、水供給ポンプ135と、熱交換器136と、水循環ライン137と、凝縮器138と、リボイラ139と、回収アンモニアライン140と、回収アンモニア昇圧機141と、を有する。
【0105】
反応ガスライン47の他端は、吸収塔131の下部に接続されている。水ライン134の一端は、吸収塔131の上部に接続されている。吸収塔131内には、水ライン134からの水が散布されると共に、反応ガスライン47からの反応ガスRGが流入する。吸収塔131内では、水と反応ガスRGとが接触し、反応ガスRG中の残留アンモニアが水に溶解する。この結果、残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水は、吸収塔131の下部に溜まる。一方、残留アンモニアが除かれた反応ガスRGである処理済み反応ガスRGpは、吸収塔131内を上昇する。気相のアンモニアNHgが水に溶解する濃度は、吸収塔131内の温度が低い方が高くなる。このため、本実施形態では、反応器45から流出した反応ガスRGを、第二予熱器44b、第一予熱器44a、反応ガス冷却器46で順次冷却してから、吸収塔131内に導いている。
【0106】
アンモニア水ライン133は、吸収塔131の底部と再生塔132の上部とを接続する。吸収塔131内に溜まったアンモニア水は、このアンモニア水ライン133を経て、再生塔132内に導かれる。水循環ライン137の一端は、再生塔132の底部に接続され、水循環ライン137の他端は、再生塔132の下部(底部より上)に接続されている。この水循環ライン137には、リボイラ139が設けられている。リボイラ139は、排熱利用設備20からの蒸気と水循環ライン137からの水とを熱交換させ、蒸気を冷却して凝縮させて加熱水にする一方で、水循環ライン137からの水を加熱して蒸気にする。この蒸気は、水循環ライン137を経て、再生塔132内に流入する。再生塔132内では、アンモニア水が蒸気により加熱されて、アンモニア水中のアンモニアが気体アンモニアNHgとして分離蒸留される。アンモニア水中の水は、再生塔132内に溜まる。再生塔132内に溜まった水の一部は、水循環ライン137及びリボイラ139を介して、蒸気として再生塔132内に流入する。前述した水ライン134の他端は、水循環ライン137又はリボイラ139に接続されている。このため、再生塔132内に溜まった水の残りは、水ライン134を介して、吸収塔131に送られる。水供給ポンプ135は、この水供給ラインに設けられている。熱交換器136は、水ライン134を流れる水と、アンモニア水ライン133を流れるアンモニア水とを熱交換させて、水を冷却する一方で、アンモニア水を加熱する。
【0107】
回収アンモニアライン140の一端は、再生塔132の頂部に接続され、回収アンモニアライン140の他端は、気体アンモニアNHgが流れる第二アンモニア供給ライン42bに接続されている。回収アンモニアライン140には、凝縮器138及び回収アンモニア昇圧機141が設けられている。凝縮器138には、再生塔132から気体アンモニアNHg及び水分を含むガスが流入する。凝縮器138は、再生塔132からのガス中に含まれている水分を凝縮させて、この水分を再生塔132に戻す。この凝縮器138で、水分が除去され、気体アンモニアNHgの濃度が高くなったガスは、回収アンモニア昇圧機141で昇圧されてから、回収アンモニアライン140及び第二アンモニア供給ライン42bを経て、第二予熱器44bに流入する。
【0108】
反応ガス利用設備10は、前述したガスタービン11の他に、燃料ライン12と、燃料予熱器13と、を有する。
【0109】
ガスタービン11は、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する空気圧縮機11aと、燃焼用空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器11cと、燃焼ガスで駆動するタービン11dと、を有する。空気圧縮機11aは、圧縮機ロータと、この圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシングと、を有する。タービン11dは、タービンロータと、このタービンロータを覆うタービンケーシングと、を有する。圧縮機ロータとタービンロータとは、互いに連結されてガスタービンロータを成す。このガスタービンロータの端には、例えば、発電機が接続されている。
【0110】
燃料ライン12の一端は、吸収塔131の頂部に接続され、この燃料ライン12の他端は、燃焼器11cに接続されている。よって、吸収塔131内で生成された処理済み反応ガスRGpは、燃料として、燃焼器11cに送られる。この燃料ライン12には、燃料予熱器13が設けられている。この燃料予熱器13は、燃料としての処理済み反応ガスRGpを加熱する。燃料予熱器13で加熱された処理済み反応ガスRGpは、燃焼器11cに流入する。
【0111】
以上で説明した反応ガス利用設備10は、熱サイクルの一種であるガスタービンサイクルを有する。このガスタービンサイクルは、燃料ライン12、燃料予熱器13、ガスタービン11を有して構成される。
【0112】
排熱利用設備20は、前述した排熱回収ボイラ21及び蒸気タービン31,32,33の他、復水器34と、給水ライン35と、給水ポンプ36と、煙突39と、を有する。
【0113】
本実施形態の排熱利用設備20は、蒸気タービン31,32,33として、低圧蒸気タービン31、中圧蒸気タービン32、高圧蒸気タービン33を有する。各蒸気タービン31,32,33は、いずれも、タービンロータと、タービンロータを覆うタービンケーシングと、を有する。各蒸気タービン31,32,33のタービンロータは、互いに連結されて、一つの蒸気タービンロータを成す。この蒸気タービンロータの端には、例えば、発電機が接続されている。低圧蒸気タービン31には、復水器34が接続されている。復水器34は、低圧蒸気タービン31から排気された蒸気を水に戻す。給水ライン35は、復水器34と排熱回収ボイラ21とを接続する。給水ポンプ36は、給水ライン35に設けられている。この給水ポンプ36は、給水ライン35を介して、復水器34内の水を排熱回収ボイラ21に送る。
【0114】
排熱回収ボイラ21は、ガス枠22と、第一低圧節炭器23aと、第二低圧節炭器23bと、低圧蒸発器23cと、低圧過熱器23fと、中圧節炭器24aと、中圧蒸発器24bと、第一高圧節炭器25aと、第二高圧節炭器25bと、高圧蒸発器25cと、高圧過熱器25dと、中圧ポンプ24pと、高圧ポンプ25pと、第一熱媒体加熱器27と、を有する。
【0115】
ガス枠22内には、ガスタービン11から排気された排気ガスEGが流れる。このガス枠22は、入口と出口とを有する。ガス枠22の入口には、タービン11dの排気口が接続されている。このガス枠22の出口には、煙突39が接続されている。排気ガスEGは、ガス枠22内を入口から出口に向かって流れる。ここで、出口に対して入口が存在する側を上流側、その反対側を下流側とする。
【0116】
第一熱媒体加熱器27、高圧過熱器25d、高圧蒸発器25cの一部、第二高圧節炭器25b、低圧過熱器23f、中圧蒸発器24bの一部、中圧節炭器24a及び第一高圧節炭器25a、低圧蒸発器23cの一部、第二低圧節炭器23b、第一低圧節炭器23aは、以上の順で、上流側から下流側に向かって、ガス枠22内に配置されている。なお、中圧節炭器24aは、排気ガスEGの流れ方向で、第一高圧節炭器25aと実質的に同じ位置に配置されている。
【0117】
第一低圧節炭器23aには、給水ライン35が接続されている。この第一低圧節炭器23aは、給水ライン35からの水と排気ガスEGとを熱交換させて、この水を加熱する。第二低圧節炭器23bは、第一低圧節炭器23aからの水と排気ガスEGとを熱交換させて、この水をさらに加熱して低圧加熱水とする。低圧蒸発器23cは、低圧加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この低圧加熱水を加熱して蒸気にする。低圧過熱器23fは、低圧蒸発器23cからの蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気を加熱して、低圧蒸気とする。低圧過熱器23fの出口には、低圧蒸気ライン88の一端が接続されている。この低圧蒸気ライン88の他端は、低圧蒸気タービン31の入口に接続されている。
【0118】
中圧ポンプ24pは、低圧加熱水を昇圧する。中圧節炭器24aは、中圧ポンプ24pで昇圧された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱して中圧加熱水にする。中圧節炭器24aの出口には、中圧蒸発器24bの入口が接続されていると共に、中圧加熱水ライン77が接続されている。この中圧加熱水ライン77は、前述した燃料予熱器13の媒体入口に接続されている。燃料予熱器13は、中圧加熱水ライン77からの中圧加熱水と燃料としての処理済み反応ガスRGpとを熱交換させて、処理済み反応ガスRGpを加熱する一方で、中圧加熱水を冷却する。燃料予熱器13の媒体出口には、加熱水回収ライン78が接続されている。この加熱水回収ライン78は、給水ライン35に接続されている。
【0119】
中圧蒸発器24bは、中圧加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、中圧加熱水を加熱して中圧蒸気にする。中圧蒸発器24bの出口には、第一リボイラ用媒体ライン71が接続されている。この第一リボイラ用媒体ライン71は、前述したリボイラ139の媒体入口に接続されている。このリボイラ139の媒体出口には、リボイラ用媒体回収ライン73が接続されている。このリボイラ用媒体回収ライン73は、中圧節炭器24aの入口に接続されている。このリボイラ用媒体回収ライン73には、リボイラ用媒体昇圧機74が設けられている。
【0120】
高圧ポンプ25pは、低圧加熱水を昇圧する。第一高圧節炭器25aは、高圧ポンプ25pで昇圧された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱する。第二高圧節炭器25bは、第一高圧節炭器25aで加熱された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱する。高圧蒸発器25cは、第二高圧節炭器25bで加熱された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水を加熱して蒸気にする。高圧過熱器25dは、この蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気をさらに過熱して高圧蒸気にする。高圧過熱器25dの出口には、高圧蒸気ライン83の一端が接続されている。この高圧蒸気ライン83の他端は、高圧蒸気タービン33の入口に接続されている。この高圧蒸気タービン33の出口には、高圧排気蒸気ライン85の一端が接続されている。この高圧排気蒸気ライン85の他端は、中圧蒸気タービン32の入口に接続されている。この高圧排気蒸気ライン85には、第二リボイラ用媒体ライン72が接続されている。この第二リボイラ用媒体ライン72は、前述したリボイラ139の媒体入口に接続されている。よって、リボイラ139の媒体入口には、前述した第一リボイラ用媒体ライン71の他に、この第二リボイラ用媒体ライン72が接続されている。
【0121】
中圧蒸気タービン32の出口には、中圧排気蒸気ライン87の一端が接続されている。この中圧排気蒸気ライン87の他端は、低圧蒸気タービン31の入口に接続されている。よって、低圧蒸気タービン31の入口には、この中圧排気蒸気ライン87及び低圧蒸気ライン88が接続されている。
【0122】
第一熱媒体加熱器27の媒体入口には、第一熱媒体回収ライン52が接続されている。
第一熱媒体回収ライン52と、高圧蒸気ライン83とは、熱媒体補充ライン55で接続されている。ここで、第一熱媒体、熱サイクル媒体、高圧蒸気タービンの作動媒体である高圧蒸気はいずれも水蒸気であり、同じ物質である。また、第一熱媒体の圧力は排熱利用熱サイクル内における熱サイクル媒体の最高圧力よりも低い。ここでは、第一熱媒体の圧力は高圧蒸気タービン入口蒸気圧力よりも低い。この熱媒体補充ライン55には、熱媒体補充弁56が設けられている。通常、熱媒体補充弁56は閉じているが、起動時や第一熱媒体の漏れによって第一熱媒体の圧力が低下した場合等、第一熱媒体を補充する必要がある場合は、熱媒体補充弁56を開く。そして、この場合、第一熱媒体回収ライン52に、熱媒体補充ライン55及び熱媒体補充弁56を介して、適宜、高圧蒸気ライン83から高圧蒸気が第一熱媒体として供給される。第一熱媒体加熱器27の媒体出口には、第一熱媒体ライン51が接続されている。第一熱媒体加熱器27は、第一熱媒体回収ライン52からの第一熱媒体と排気ガスEGとを熱交換させて、第一熱媒体を加熱する。第一熱媒体加熱器27で加熱された第一熱媒体は、第一熱媒体ライン51を介して、反応器45に流入する。この第一熱媒体は、前述したように、この反応器45で、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却される。冷却された第一熱媒体は、第一熱媒体回収ライン52を介して、第一熱媒体加熱器27に戻る。第一熱媒体は、この過程で、第一熱媒体昇圧機53で昇圧される。なお、以下の実施形態においても、本実施形態と同様、第一熱媒体は高圧蒸気タービンの作動媒体と同じ物質、即ち水蒸気であり、第一熱媒体の圧力は高圧蒸気タービン入口圧力よりも低くてもよい。さらに、以下の実施形態においても、高圧蒸気タービン33に蒸気を送るラインと第一熱媒体回収ライン52とを接続する熱媒体補充ライン55、及び、熱媒体補充弁56を設けることが好ましい。このように、以下の実施形態においても、熱媒体補充ライン55及び熱媒体補充弁56を設けると、他に設備を設けることなく、起動時や第一熱媒体圧力低下時等必要なときに、第一熱媒体を補充することができる。
【0123】
以上で説明した排熱利用設備20は、熱サイクルの一種であるランキンサイクルを有する。このランキンサイクルは、排熱回収ボイラ21、蒸気タービン31,32,33、復水器34、給水ポンプ36を有して構成される。なお、このランキンサイクルは、排気ガスEGの熱を利用するため、排熱利用熱サイクルでもある。
【0124】
次に、以上で説明した原料流体の処理プラントの動作及び作用について説明する。
【0125】
ガスタービン11の起動時には、図示されていない起動時燃料ラインから起動時燃料が燃焼器11cに供給される。起動時燃料としては、例えば、水素や天然ガス等である。ガスタービン11の空気圧縮機11aは、前述したように、空気を圧縮して燃焼用空気を生成する。燃焼器11cは、この燃焼用空気中で起動時燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する。燃焼用空気の圧力は、例えば、約2MPaである。このため、燃焼用空気が流入した燃焼器11c内の圧力も、例えば、約2MPaである。燃焼ガスはタービン11dに供給されて、このタービン11dを駆動させる。タービン11dを駆動させた燃焼ガスである排気ガスEGは、排熱回収ボイラ21のガス枠22内に流入する。
【0126】
第一低圧節炭器23aは、給水ライン35からの水と排気ガスEGとを熱交換させて、この水を加熱する。第二低圧節炭器23bは、第一低圧節炭器23aからの水と排気ガスEGとを熱交換させて、この水をさらに加熱して低圧加熱水とする。この低圧加熱水の一部は、高圧ポンプ25pにより、昇圧された後、第一高圧節炭器25aに流入する。第一高圧節炭器25aは、高圧ポンプ25pで昇圧された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱する。第二高圧節炭器25bは、第一高圧節炭器25aで加熱された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱する。高圧蒸発器25cは、第二高圧節炭器25bで加熱された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水を加熱して蒸気にする。高圧過熱器25dは、この蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気をさらに過熱して高圧蒸気にする。この高圧蒸気は、高圧蒸気ライン83を介して、高圧蒸気タービン33に流入する。高圧蒸気タービン33は、この高圧蒸気により駆動する。
【0127】
高圧蒸気タービン33を駆動させた高圧蒸気の一部は、高圧排気蒸気ライン85を介して、中圧蒸気タービン32に流入する。また、高圧蒸気タービン33を駆動させた高圧蒸気の他の一部は、第二リボイラ用媒体ライン72を介して、リボイラ139に流入する。中圧蒸気タービン32は、高圧排気蒸気ライン85からの蒸気により駆動する。中圧蒸気タービン32を駆動させた蒸気は、中圧排気蒸気ライン87を介して、低圧蒸気タービン31に流入する。
【0128】
前述した低圧加熱水の他の一部は、低圧蒸発器23cに流入する。低圧蒸発器23cは、低圧加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この低圧加熱水を加熱して蒸気にする。低圧過熱器23fは、低圧蒸発器23cからの蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気を加熱して、低圧蒸気とする。この低圧蒸気は、低圧蒸気ライン88を介して、低圧蒸気タービン31に流入する。低圧蒸気タービン31には、低圧蒸気ライン88から流入する低圧蒸気の他、前述したように、中圧蒸気タービン32を駆動させた蒸気も流入する。低圧蒸気タービン31は、この蒸気により駆動する。
【0129】
低圧蒸気タービン31を駆動させた蒸気は、復水器34に流入する。復水器34は、低圧蒸気タービン31からの蒸気を水に戻す。この水は、給水ライン35を介して、第一低圧節炭器23aに流入する。
【0130】
前述した低圧加熱水のさらに他の一部は、中圧ポンプ24pで昇圧されてから、中圧節炭器24aに流入する。中圧節炭器24aは、中圧ポンプ24pで昇圧された加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水をさらに加熱して中圧加熱水にする。中圧加熱水の一部は、中圧加熱水ライン77を介して、燃料予熱器13に流入する。燃料予熱器13に流入した加熱水は、加熱水回収ライン78を介して、給水ライン35中に流入する。中圧加熱水の他の一部は、中圧蒸発器24bに流入する。中圧蒸発器24bは、中圧加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、中圧加熱水を加熱して中圧蒸気にする。この中圧蒸気は、第一リボイラ用媒体ライン71を介して、リボイラ139に流入する。すなわち、リボイラ139には、第一リボイラ用媒体ライン71からの蒸気の他、前述したように、第二リボイラ用媒体ライン72からの蒸気も流入する。リボイラ139に流入した蒸気は、水になってから、リボイラ用媒体回収ライン73を介して、中圧節炭器24aに流入する。
【0131】
第一熱媒体加熱器27は、蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気を昇温させる。昇温後の蒸気は、第一熱媒体ライン51を介して、反応器45に流入する。この蒸気は、相変化することなく、第一熱媒体回収ライン52を介して、第一熱媒体加熱器27に流入する。この蒸気は、第一熱媒体として、排気ガスEGがガス枠22内を流れている間、第一熱媒体加熱器27と反応器45との間で循環する。第一熱媒体が相変化せずに、第一熱媒体加熱器27と反応器45との間で循環することによって、第一熱媒体の蒸発に大きな熱量を用いる必要がなく、限られた排気ガスEGの熱で効果的に反応器45に熱を供給することができる。
【0132】
排熱利用設備20のランキンサイクル内、言い換えると、排熱利用熱サイクル内では、水又は蒸気である熱サイクル媒体が循環する。また、アンモニアタンクT内の液体アンモニアNHが原料反応設備40へ供給される。以下、
図2に示すフローチャートに従って、原料流体の処理プラントの動作について説明する。なお、原料反応設備40へ液体アンモニアNHが供給されると共に、第一熱媒体としての蒸気が反応器45に流入する。さらに、リボイラ用媒体としての蒸気がリボイラ139に流入する。
【0133】
原料反応設備40へ液体アンモニアNHが供給されると、原料反応工程(S1)が実行される。この原料反応工程(S1)では、反応ガス生成工程(S2)及び残留原料除去工程(S6)が実行される。反応ガス生成工程(S2)では、原料予熱工程(S3)、反応実行工程(S4)、反応ガス冷却工程(S5)が実行される。
【0134】
液体アンモニアNHは、沸点である-33.4℃以下の温度に冷却された状態で、且つほぼ大気圧の状態でアンモニアタンクT内に溜蔵されている。このアンモニアタンクT内の液体アンモニアNHは、原料アンモニアポンプ43により、例えば、約5MPaまで昇圧されてから、予熱器44a,44bに流入して、この予熱器44a,44bで、第二熱媒体との熱交換により予熱される(S3:原料予熱工程)。原料アンモニアポンプ43で昇圧された液体アンモニアNHは、まず、第一予熱器44aに流入し、ここで予熱される。この予熱により、液体アンモニアNHが気化して、気体アンモニアNHgになる。液体アンモニアNHは、原料アンモニアポンプ43により昇圧された圧力環境下で、90℃以上になると、気化して気体アンモニアNHgになる。このため、第一予熱器44aは、液体アンモニアNHが90℃以上になるよう、この液体アンモニアNHを予熱する。よって、第一予熱器44aは、液体アンモニアNHに対する気化器として機能する。気体アンモニアNHgは、第二予熱器44bに流入し、ここで、例えば、約400℃にまで予熱される。よって、第二予熱器44bは、気体アンモニアNHgに対するガス加熱器として機能する。
【0135】
第二予熱器44bからの気体アンモニアNHgは、反応器45に流入する。また、この反応器45には、排熱回収ボイラ21の第一熱媒体加熱器27で加熱された第一熱媒体である蒸気が第一熱媒体ライン51を介して流入する。この蒸気は、例えば、約620℃である。この反応器45では、気体アンモニアNHgと第一熱媒体との熱交換により、気体アンモニアNHgがさらに加熱される一方で、第一熱媒体が冷却される。冷却された第一熱媒体は、第一熱媒体回収ライン52を介して、第一熱媒体回収ライン52に戻る。この第一熱媒体は、反応器45と第一熱媒体加熱器27との間で循環する。第一熱媒体は、反応器45と第一熱媒体加熱器27との間で循環する過程で、相変化しない。この反応器45で加熱された気体アンモニアNHgは、以下の式に示す熱分解反応により、水素と窒素とに分解される(S4:反応実行工程)。
NH3→3/2H2+1/2N2
【0136】
但し、この反応実行工程(S4)では、反応器45に流入した気体アンモニアNHgのうちの一部が残留アンモニア(残留原料)として残る。よって、この反応実行工程(S4)の実行で得られた反応ガスRG中には、水素及び窒素の他、残留アンモニアが残る。この反応ガスRGは、約600℃である。
【0137】
この反応ガスRGは、第二予熱器44b、第一予熱器44a、反応ガス冷却器46に順次流入し、これらを通過することで、順次冷却される(S5:反応ガス冷却工程)。反応器45からの反応ガスRGは、第二熱媒体として、第二熱媒体ラインでもある反応ガスライン47を介して、第二予熱器44bに流入する。この第二予熱器44bでは、気体アンモニアNHgと反応ガスRGとの熱交換により、気体アンモニアNHgが前述したように予熱される一方で、反応ガスRGが冷却される。第一予熱器44aで冷却された反応ガスRGは、第二熱媒体として、第二熱媒体ラインでもある反応ガスライン47を介して、第一予熱器44aに流入する。この第一予熱器44aでは、液体アンモニアNHと反応ガスRGとの熱交換により、液体アンモニアNHが前述したように予熱されて気化する一方で、反応ガスRGがさらに冷却される。第一予熱器44aで冷却された反応ガスRGは、反応ガス冷却器46に流入し、さらに冷却される。この反応ガスRGの温度は、例えば、約30~50℃である。以上のように、本実施形態の第二予熱器44b及び第一予熱器44aは、アンモニアNHを予熱する予熱器として機能すると共に、反応ガスRGを冷却する反応ガス冷却器としても機能する。また、ここでの反応ガスRGは、アンモニアNHを予熱する第二熱媒体であり、アンモニアNHは、反応ガスRGを冷却する第三熱媒体である。
【0138】
以上で、反応ガス生成工程(S2)が終了する。反応ガス生成工程(S2)が終了すると、残留原料除去工程(S6)が実行される。
【0139】
残留原料除去工程(S6)では、残留原料吸収工程(S7)及び残留原料分離工程(S8)が実行される。
【0140】
残留原料吸収工程(S7)は、吸収塔131で実行される。吸収塔131には、原料反応装置41からの反応ガスRGが流入する。また、吸収塔131には、水ライン134から約30℃の水が散布される。吸収塔131内には、反応ガスRGと水とが接触し、反応ガスRG中の残留アンモニアが水に溶解する。残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水は、吸収塔131の下部に溜まる。一方、残留アンモニアが除去された反応ガスRGである処理済み反応ガスRGpは、燃料ライン12を介してガスタービン11に送られる。
【0141】
残留原料分離工程(S8)では、原料水加熱工程(S9)、原料分離実行工程(S10)及び水加熱工程(S11)が実行される。
【0142】
吸収塔131内の下部に溜まったアンモニア水(原料水)は、アンモニア水ライン133を介して、再生塔132に送られる。この過程で、アンモニア水は、熱交換器136内で加熱される(S9:原料水加熱工程)。再生塔132には、熱交換器136で加熱されたアンモニア水の他に、リボイラ139からの蒸気も流入する。アンモニア水は、この蒸気により加熱されて、アンモニア水中のアンモニアが気体アンモニアNHgとして分離蒸留される(S10:原料分離実行工程)。一方、蒸気は、液相の水に移行し、再生塔132内の下部に溜まる。この水の一部は、水循環ライン137を経てリボイラ139に流入する。リボイラ139には、中圧蒸発器24bからの中圧蒸気が第一リボイラ用媒体ライン71を介して流入すると共に、高圧蒸気タービン33から排気された蒸気が第二リボイラ用媒体ライン72を介して流入する。リボイラ139では、水循環ライン137から流入した水は、蒸気との熱交換により加熱されて蒸気になる(S11:水加熱工程)。この蒸気は、再生塔132に送られる。一方、水循環ライン137から流入した水と熱交換した蒸気は、冷却されて加熱水として、リボイラ用媒体回収ライン73を介して、中圧節炭器24aに流入する。
【0143】
再生塔132内の気体アンモニアNHgを含むガスは、回収アンモニアライン140を経て凝縮器138に流入する。凝縮器138では、このガスが冷却されて、このガスに含まれている水分が凝縮して液体の水になる。この水は、再生塔132内に戻る。一方、水分が除かれたガス、つまり気体アンモニア濃度の高いガスは、回収アンモニアライン140中に設けられている回収アンモニア昇圧機141で昇圧されてから、回収アンモニアライン140及び第二アンモニア供給ライン42bを介して、第二予熱器44bに流入する(S12:原料回収工程)。以上のように、本実施形態では、残留原料除去装置130で、反応ガスRGから除去された残留アンモニアが第二予熱器44bに戻るので、原料としてのアンモニア中で無駄になる量を最小限に抑えることができる。
【0144】
前述したように、処理済み反応ガスRGpは、燃料ライン12を介してガスタービン11に送られる。処理済み反応ガスRGpは、この過程で燃料予熱器13により予熱される。ガスタービン11は、この処理済み反応ガスRGpを燃料として燃焼させることで駆動する(S13:反応ガス利用工程)。ガスタービン11からの排気ガスEGは、排熱利用設備20の排熱回収ボイラ21内に流入する。
【0145】
排熱利用設備20は、この排気ガスEGの熱を利用して、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体を加熱して、加熱された熱サイクル媒体を利用する(S14:排熱利用工程)。すなわち、排熱利用設備20では、水が排気ガスEGで加熱されて、蒸気になり、この蒸気が蒸気タービン(媒体利用機器)31,32,33の駆動に利用される。この排熱利用工程(S14)では、第一熱媒体加熱工程(S15)、熱サイクル媒体加熱工程(S16)、及び熱サイクル媒体利用工程(S17)が実行される。
【0146】
ガス枠22内に流入した排気ガスEGは、第一熱媒体加熱器27で、前述したように、第一熱媒体である蒸気との熱交換により、第一熱媒体を加熱する(S14:第一熱媒体加熱工程)。第一熱媒体加熱器27で加熱された蒸気は、反応器45に送られる。反応器45では、前述したように、この時点で反応器45に流入してきた気体アンモニアNHgと、第一熱媒体である蒸気とが熱交換され、この気体アンモニアNHgが加熱される。この反応器45で加熱された気体アンモニアNHgは、熱分解反応により、反応ガスRGになる(S4:反応実行工程)。
【0147】
排熱回収ボイラ21内に流入した排気ガスEGは、前述したように、蒸気又は水である熱サイクル媒体との熱交換により、この熱サイクル媒体を加熱して、各蒸気タービン31,32,33に利用可能な蒸気にする(S16:熱サイクル媒体加熱工程)。この蒸気は、各蒸気タービン31,32,33に送られ、各蒸気タービン31,32,33を駆動させる(S17:熱サイクル媒体利用工程)。
【0148】
以上で、原料流体の処理プラントにおける一連の動作が終了する。
【0149】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態の主要な効果について説明する。なお、
図3及び
図4は、アンモニア(実線)、及びアンモニアを加熱する熱源(破線)に関するT-Q線図である。よって、
図3及び
図4中で、横軸は熱量を示し、縦軸は温度を示す。また、
図3は、先に説明した特許文献1,2と同様、一基の熱交換装置で、液体アンモニアを熱分解反応させるまでの、アンモニア及び熱源に関するT-Q線図である。一方、
図4は、本実施形態において、液体アンモニアを熱分解反応させるまでの、アンモニア及び熱源に関するT-Q線図である。
【0150】
図3及び
図4に示すように、液体アンモニアは、予熱により、熱量が増加すると共に温度が高まる。この液体アンモニアの温度が飽和温度になると、この液体アンモニアは、徐々に気化する。この気化の過程では、アンモニアの熱量が増加しても、この熱は気化熱(潜熱)として利用され、アンモニアの温度は変化しない。全ての液体アンモニアが気化して、気体アンモニアになると、予熱により、熱量が増加すると共に温度が高まる。気体アンモニアの温度がある程度高まると、熱分解反応が開始される。この熱分解反応は、吸熱反応であるため、気体アンモニアを予熱している過程と比べて、熱量の増加量に対する温度の上昇量が小さい。但し、熱分解反応が進み、アンモニアの濃度が低くなると、熱量の増加量に対する温度の上昇量が次第に大きくなる。
【0151】
一基の熱交換装置で、液体アンモニアを熱分解反応させる熱源は、この熱交換装置のガス枠内を通る排気ガスのみである。この場合、熱源としての排気ガスは、
図3に示すように、ガス枠の入口inから出口outに向かうにつれて、アンモニアとの熱交換より徐々に、熱量が減少すると共に温度が低下する。このとき、熱源としての排気ガスに関する熱量の減少量に対する温度の低下量は、アンモニアが熱分解反応していようが、液体アンモニアが気化していようが、ほぼ一定である。このため、例えば、気化しているときのアンモニアと、このアンモニアと熱交換している排気ガスとの温度差ΔT1が大きくなり、高温の排気ガスの熱を低温のアンモニアが回収することになって、排気ガスの熱利用効率が低い。
【0152】
一方、本実施形態では、液体アンモニアを熱分解反応させる熱源は、排気ガスEGで加熱された第一熱媒体と、反応ガスRGである第二熱媒体である。この第二熱媒体が流れる系統は、第一熱媒体が流れる系統と異なる。熱源の一部である第一熱媒体の熱は、アンモニアを熱分解反応させるために利用される。この熱分解反応時における第一熱媒体は、
図4に示すように、アンモニアとの熱交換により、熱量が減少すると共に温度が低下する。このとき、熱源としての第一熱媒体に関する熱量の減少量に対する温度の低下量は、ほぼ一定である。
【0153】
本実施形態では、熱源の他の一部である第二熱媒体の熱は、アンモニアを予熱するために利用される。この予熱時における第二熱媒体は、アンモニアとの熱交換により、熱量が減少すると共に温度が低下する。但し、アンモニアを予熱するために好適な流量で且つ好適な温度の第二熱媒体を用いることで、熱源としての第二熱媒体に関する熱量の変化に対する温度の変化を示すT-Q線は、アンモニアに関する熱量の変化に対する温度の変化を示すT-Q線に沿った線になる。よって、予熱時におけるアンモニアと第二熱媒体との温度差ΔT2が小さくなり、アンモニアの温度に近い第二熱媒体の熱をアンモニアが回収することになって、第二熱媒体の熱利用効率が高くなる。
【0154】
また、本実施形態では、アンモニアを熱分解反応させるにあたり、先ず、アンモニアのT-Q線上、傾きが極小Pとなる温度を含む反応域の手前まで、第二熱媒体としての反応ガスRGとアンモニアとを熱交換させて、アンモニアを予熱する。その後、本実施形態では、反応域で、第一熱媒体としての蒸気の熱でアンモニアを熱分解反応させている。このため、一つの熱媒体で、アンモニアを予熱し且つ熱分解反応させる場合よりも、本実施形態では、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができる。よって、本実施形態では、第一熱媒体を加熱するための排気ガスEGの熱エネルギー損失を抑えることができる。
【0155】
反応器45では、与えた熱の大きな部分が吸熱反応であるアンモニア分解反応に利用されるため、前述のように、アンモニアのT-Q線の傾きは小さい。一方、予熱においては、吸熱反応は発生しないため、T-Q線の傾きは平均すると大きい。そこで、反応器45の熱源である、第一熱媒体である蒸気の定圧比熱と流量との積が、第二予熱器44b、第一予熱器44aで構成される予熱器44の熱源である第二熱媒体、即ち、反応ガスRGの定圧比熱と流量の積よりも大きくなるように、第一熱媒体を循環させる。ここで、例えば、定圧比熱をkJ/kgK、流量をkg/sの単位で考えると、定圧比熱と流量との積、即ち単位時間当たりの熱媒体の熱容量はkW/Kの単位で考えることができる。定圧比熱と流量との単位は、第一熱媒体と第二熱媒体で同一の単位を用いて比較すればいかなるものでもよく、例えば、定圧比熱をkcal/molK、流量をmol/hの単位で考えて、定圧比熱と流量の積をkcal/hKで算出し、比較してもよい。反応や相変化が伴わない限り、T-Q線の傾きは定圧比熱と流量との積に反比例し、定圧比熱と流量との積が大きい程、T-Q線の傾きは小さくなる。従って、このとき、第一熱媒体である蒸気の定圧比熱と流量との積が予熱器44の熱源である第二熱媒体、即ち、反応ガスRGの定圧比熱と流量の積よりも大きくなるように、第一熱媒体を循環させる。この結果、第一熱媒体、第二熱媒体のT-Q線の傾きをアンモニアのT-Q線の傾きに近づけることができ、予熱時におけるアンモニアと第二熱媒体との温度差ΔT2を縮小し、第二熱媒体の熱を近い温度のアンモニアに回収することができ、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができる。従って、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができ、第二熱媒体の熱利用効率が高くなる。
【0156】
以上の効果は、反応と予熱とで原料流体、つまり、アンモニアのT-Q線の傾きが異なるのに対して、反応と予熱のそれぞれの熱媒体である第一熱媒体、第二熱媒体に異なる媒体を用いて、以下のa),b)のようにしたことにより得られた効果である。
a)第一熱媒体、第二熱媒体の単位時間当たりの熱容量、即ち、T-Q線の傾きが異なるようにし、第一熱媒体、第二熱媒体のT-Q線の傾きがそれぞれ、反応器でのアンモニアのT-Q線の傾きと予熱器でのアンモニアのT-Q線の傾きに近づくようにしたこと。
b)第一熱媒体、第二熱媒体として、それぞれ温度が、反応器、予熱器のアンモニアの温度に近いものを用いたこと。
【0157】
従って、以上の効果を得るために、第一熱媒体と第二熱媒体とは、互いに異なる熱媒体であることが必要である。本実施形態では、第一熱媒体は蒸気であり、第二熱媒体は反応ガスであり、両者は異なる物質であるが、必ずしも熱媒体の物質の種類が異なる必要はなく、同一物質であって、相、流量、圧力等が異なることによって、単位時間当たりの熱容量が異なっていてもよいし、温度が異なっていてもよい。単位時間当たりの熱容量が異なると、熱媒体のT-Q線の傾きを変化させ、反応器、予熱器それぞれの原料流体のT-Q線に近い傾きとすることが可能となる効果が得られる。また、温度が異なることによっては、反応器、予熱器それぞれの原料流体に近い温度の熱媒体を供給することを可能とし、低い温度の熱媒体で原料流体の反応、予熱が可能となる効果が得られる。
【0158】
また、本実施形態では、反応器45と第一熱媒体加熱器27との間で、第一熱媒体が循環する。このため、第一熱媒体加熱器27から流出する第一熱媒体の温度と、第一熱媒体加熱器27に流入する第一熱媒体との温度差を最小限にすることができる。しかも、本実施形態の第一熱媒体は、前述したように、反応器45と第一熱媒体加熱器27との間で循環する過程で、相変化しない。よって、本実施形態では、この観点からも、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができる。
【0159】
第一熱媒体を加熱するための排気ガスEGの温度は、蒸気タービン31,32,33に送る蒸気を発生させるための排気ガスEGの温度よりも高温である。よって、以上のように、第一熱媒体を加熱するための熱量を少なくすることができると、高温の排気ガスEGの熱エネルギー損失を抑えることができる。
【0160】
以上のように、本実施形態では、液体アンモニアNHを反応ガスRGにするにあって、排気ガスEGの熱エネルギー損失を抑えることができる。このため、本実施形態では、排気ガスEGの熱エネルギー中で、蒸気タービン31,32,33の駆動のために熱エネルギーを多くすることができ、プラントの熱効率を高めることができる。
【0161】
本実施形態では、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体と第一熱媒体とが同一物質である水であるため、第一熱媒体である水の質等の管理を容易に行うことができる。
【0162】
また、本実施形態では、第一熱媒体である水蒸気の圧力は排熱利用熱サイクルにおける熱サイクル媒体の最高圧力よりも低い。従って、別途の設備を要さず、起動時や第一熱媒体の圧力低下時に容易に排熱利用熱サイクルから、熱サイクル媒体の一部を第一熱媒体として第一熱媒体の系統に供給し、第一熱媒体を補充することができる。具体的には、前述したように、排熱利用熱サイクルの一部を構成する高圧蒸気ライン83から、熱媒体補充ライン55及び熱媒体補充弁56を介して、高圧蒸気を第一熱媒体として第一熱媒体回収ライン52に供給する。通常運転時は、熱媒体補充弁56は閉じている。ここで、第一熱媒体である水蒸気の圧力は、排熱利用熱サイクルにおける熱サイクル媒体である高圧蒸気の圧力よりも低い。起動時やシール漏れ等による第一熱媒体圧力低下時等、第一熱媒体を補充する必要がある場合のみ、熱媒体補充弁56を開き、高圧蒸気ライン83を流れる高圧蒸気の一部を第一熱媒体回収ライン52に導き、第一熱媒体を第一熱媒体回収ライン52等に補充する。本実施形態では、別途の設備を要さず、起動時や第一熱媒体の圧力低下時に容易に第一熱媒体を補充できる。
【0163】
以上のように、本実施形態では、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体と第一熱媒体とを同一物質とし、さらに、第一熱媒体である水蒸気の圧力を排熱利用熱サイクルにおける熱サイクル媒体の最高圧力よりも低くしたので、第一熱媒体を排熱利用熱サイクルから容易に補充できる効果を得ることができる。そこで、第二熱媒体についても、第一熱媒体と同様に、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体と同一物質とし、第二熱媒体の圧力を排熱利用熱サイクルにおける熱サイクル媒体の最高圧力よりも低くすれば、第二熱媒体を排熱利用熱サイクルから容易に補充できる効果を得ることができる。特に、第一熱媒体と第二熱媒体とのうち、少なくとも一方の熱媒体の膨張により仕事を取り出す要素を備えず、また、外部から通常運転時に媒体が流入する媒体導入口を持つことなく、熱交換要素、配管、昇圧要素で閉ループを構成する場合でも、閉ループを流れる熱媒体を熱サイクル媒体と同じ物質とし、熱媒体の圧力を排熱利用熱サイクルにおける前記熱サイクル媒体の最高圧力よりも低い圧力とすることにより、以上と同様の効果をえることができる。つまり、熱媒体を閉ループとする場合においても、別途の設備を要さず、起動時や第一熱媒体の圧力低下時に容易に第一熱媒体を補充できる効果を奏する。
【0164】
また、本実施形態の原料反応設備40は、アンモニアNHを熱分解反応させる原料反応装置41の他に、原料反応装置41からの反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアを除去する残留原料除去装置130を備える。このため、本実施形態では、反応ガス利用設備10に送るガス中に含まれる残留アンモニアの濃度を抑えることができる。
【0165】
ところで、アンモニアを含む燃料が燃焼すると、燃料中のアンモニアが燃焼によってNOxに転換され、排気ガスはNOxを含むようになる。本実施形態の原料反応設備40は、前述したように、反応ガス利用設備10に送るガス中に含まれる残留アンモニアの濃度を抑えることができる。本実施形態の反応ガス利用設備10は、原料反応設備40からのガスを燃料として燃焼させるガスタービン設備である。よって、本実施形態では、燃料の燃焼で生成される排気ガスEG中のNOx濃度を抑えることができる。さらに、本実施形態では、燃料の燃焼で生成される排気ガスEG中のCO2濃度も抑えることができる。
【0166】
「第二実施形態」
原料流体の処理プラントの第二実施形態について、
図5を参照して説明する。
【0167】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第一実施形態の原料流体の処理プラントに対して、アンモニアNHの予熱の熱源、反応ガスRGの冷却の熱源を変更したプラントである。よって、本実施形態の原料流体の処理プラントにおける一連の動作のうちの原料予熱工程が、第一実施形態の原料予熱工程(S3)と異なる。さらに、本実施形態の原料流体の処理プラントにおける一連の動作のうちの反応ガス冷却工程が、第一実施形態の反応ガス冷却工程(S5)と異なる。
【0168】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、第一実施形態と同様、原料反応設備40aと、反応ガス利用設備10と、排熱利用設備20aと、を備える。
【0169】
本実施形態の原料反応設備40aは、第一実施形態の原料反応設備40と同様、原料反応装置41aと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41aは、第一実施形態の原料反応装置41と異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、第一実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0170】
本実施形態の反応ガス利用設備10は、第一実施形態の反応ガス利用設備10と基本的に同じである。本実施形態における排熱利用設備20aを構成する個々の装置は、第一実施形態における排熱利用設備20を構成する個々の装置と同じである。但し、本実施形態における個々の装置間を接続するライン構成が第一実施形態における個々の装置間を接続するライン構成と異なる。
【0171】
本実施形態の原料反応装置41aは、第一実施形態の原料反応装置41と同様、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、予熱器44c,44dと、反応器45と、反応ガス冷却器46と、反応ガスライン47と、を有する。予熱器44c,44dは、第一実施形態と同様、第一予熱器44cと第二予熱器44dとを有する。また、反応ガス冷却器46a,46bは、第一反応ガス冷却器46aと、第二反応ガス冷却器46bと、を有する。
【0172】
アンモニア供給ライン42は、第一実施形態と同様、第一アンモニア供給ライン42aと第二アンモニア供給ライン42bと第三アンモニア供給ライン42cを有する。第一アンモニア供給ライン42aの一端は、アンモニアタンクTに接続され、第一アンモニア供給ライン42aの他端は、第一予熱器44cのアンモニア入口に接続されている。第一予熱器44cは、熱交換器である。この第一予熱器44cは、液体アンモニアNHと第二熱媒体とを熱交換させて、液体アンモニアNHを加熱して気体アンモニアNHgにする一方で、第二熱媒体を冷却する。第二アンモニア供給ライン42bの一端は、第一予熱器44cのアンモニア出口に接続され、この第二アンモニア供給ライン42bの他端は、第二予熱器44dのアンモニア入口に接続されている。第二予熱器44dは、熱交換器である。この第二予熱器44dは、気体アンモニアNHgと第二熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第三アンモニア供給ライン42cの一端は、第二予熱器44dのアンモニア出口に接続され、この第三アンモニア供給ライン42cの他端は、反応器45のアンモニア入口に接続されている。
【0173】
反応器45の媒体入口には、第一熱媒体ライン51が接続されている。この反応器45の媒体出口には、第一熱媒体回収ライン52が接続されている。第一熱媒体昇圧機53は、第一熱媒体回収ライン52に設けられている。反応器45は、熱交換器である。この反応器45は、第一実施形態の反応器45と同様、第二予熱器44dで加熱された気体アンモニアNHgと第一熱媒体ライン51からの第一熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgをさらに加熱する一方で、第一熱媒体を冷却する。冷却された第一熱媒体は、第一熱媒体回収ライン52に流入する。第一熱媒体ライン51及び第一熱媒体回収ライン52は、第一実施形態と同様、いずれも、排熱回収ボイラ21の第一熱媒体加熱器27に接続されている。
【0174】
反応ガスライン47は、第一反応ガスライン47aと第二反応ガスライン47bとを有する。第一反応ガスライン47aの一端は、反応器45の反応ガス出口に接続されている。この第一反応ガスライン47aの他端は、第二予熱器44dの第二熱媒体入口に接続されている。よって、本実施形態では、反応ガスRGが第二熱媒体の一種である。第一反応ガス冷却器46aは、この第一反応ガスライン47aに設けられている。第二反応ガスライン47bの一端は、第二予熱器44dの第二熱媒体出口に接続され、この第二反応ガスライン47bの他端は、残留原料除去装置130に接続されている。第二反応ガス冷却器46bは、この第二反応ガスライン47bに設けられている。
【0175】
排熱回収ボイラ21の高圧過熱器25dと高圧蒸気タービン33とを接続する高圧蒸気ラインは、第一高圧蒸気ライン83aと、第二高圧蒸気ライン83bとを有する。第一高圧蒸気ライン83aの一端は、高圧過熱器25dの出口に接続され、この第一高圧蒸気ライン83aの他端は、第一反応ガス冷却器46aの第三熱媒体入口に接続されている。第二高圧蒸気ライン83bの一端は、第一反応ガス冷却器46aの第三熱媒体出口に接続され、この第二高圧蒸気ライン83bの他端は、高圧蒸気タービン33の入口に接続されている。よって、本実施形態では、高圧過熱器25dからの高圧蒸気が第三熱媒体の一種である。また、第一高圧蒸気ライン83aが、第三熱媒体ラインの一種である。また、第二高圧蒸気ライン83bが第三熱媒体回収ラインの一種である。
【0176】
排熱回収ボイラ21における第二高圧節炭器25bの出口には、高圧加熱水ライン81の一端が接続されている。この高圧加熱水ライン81の他端は、燃料予熱器13の媒体入口に接続されている。この燃料予熱器13の媒体出口には、高圧加熱水回収ライン82の一端が接続されている。この高圧加熱水回収ライン82の他端は、給水ライン35に接続されている。よって、本実施形態の燃料予熱器13は、第二高圧節炭器25bからの高圧加熱水と燃料とを熱交換して、この燃料を加熱する。
【0177】
第二反応ガス冷却器46bの第三熱媒体入口には、給水ライン35から分岐した分岐給水ライン91が接続されている。第二反応ガス冷却器46bの第三熱媒体出口には、連結給水ライン92の一端が接続されている。連結給水ライン92の他端は、第一予熱器44cの第二熱媒体入口に接続されている。よって、本実施形態では、給水ライン35を流れる給水が、反応ガスRGと熱交換する第三熱媒体の一種である。また、分岐給水ライン91は、第三熱媒体ラインの一種である。また、連結給水ライン92は、第二反応ガス冷却器46bに対する第三熱媒体回収ラインの一種である。本実施形態では、連結給水ライン92から第一予熱器44cに流入する給水が第二熱媒体の一種である。また、連結給水ライン92は、第一予熱器44cに対する第二熱媒体ラインの一種である。第一予熱器44cの第二熱媒体出口には、加熱水回収ライン78の一端が接続されている。この加熱水回収ライン78の他端は、排熱回収ボイラ21の第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。よって、この加熱水回収ライン78は、第一予熱器44cに対する第二熱媒体回収ラインの一種であると共に、第二反応ガス冷却器46bに対する第三熱媒体回収ラインの一種でもある。
【0178】
低圧加熱水ライン76は、排熱回収ボイラ21の第二低圧節炭器23bと第一予熱器44cとを接続する。具体的に、低圧加熱水ライン76の一端は、第二低圧節炭器23bの出口に接続され、この低圧加熱水ライン76の他端は、第一予熱器44cの第二熱媒体入口に接続されている。第二低圧節炭器23bからの低圧加熱水の一部は、低圧加熱水ライン76を介して、第二熱媒体の一種として、第一予熱器44cに流入する。よって、この低圧加熱水ライン76は、第二熱媒体ラインの一種である。
【0179】
本実施形態の原料予熱工程でも、第一実施形態と同様、液体アンモニアNHが原料アンモニアポンプ43により昇圧されてから、予熱器44c,44dに流入して、この予熱器44c,44dで、第二熱媒体との熱交換により予熱される。
【0180】
原料アンモニアポンプ43で昇圧された液体アンモニアNHは、まず、第一予熱器44cに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換で予熱される。この結果、液体アンモニアNHは気化して、気体アンモニアNHgになる。よって、第一予熱器44cは、液体アンモニアNHに対する気化器として機能する。第一予熱器44cに流入する第二熱媒体は、第二反応ガス冷却器46bから連結給水ライン92を介して第一予熱器44cに流入する給水と、第二低圧節炭器23bから低圧加熱水ライン76を介して第一予熱器44cに流入する低圧加熱水とがある。第一予熱器44cで、液体アンモニアNHとの熱交換で冷却された第二熱媒体は、第二熱媒体回収ラインの一種であり且つ第三熱媒体回収ラインの一種である加熱水回収ライン78を介して、第二低圧節炭器23bに流入する。
【0181】
ここで、排熱回収ボイラ21、蒸気タービン31,32,33、復水器34、給水ポンプ36、及び、これらを接続する各種配管は、ランキンサイクルを構成しており、これは第一熱サイクルの一種である。第二熱媒体ラインの一種である連結給水ライン92は、第二低圧節炭器23bの出口(第一熱サイクル中の第一部)を流れる水(第一熱サイクル媒体)の一部を、低圧加熱水ライン76を介して、第二熱媒体の一種として第一予熱器44cに導く。第二熱媒体回収ラインの一種である加熱水回収ライン78は、原料流体(アンモニア)との熱交換で冷却された水を前記第一部よりも低い温度の水が流れる第二部、即ち、第二低圧節炭器23bの入口に導く。本構成により、ランキンサイクル(第一熱サイクル)中から適切な温度の熱を過不足なく予熱器に供給し、この熱を原料流体の予熱に用いることができる。このため、本実施形態では、熱利用効率が高まる。
【0182】
また、第三熱媒体ラインの一種である分岐給水ライン91は、水を、ランキンサイクルの構成要素の一つである給水ライン35(ランキンサイクル中の第一部)から、第二反応ガス冷却器46bに導く。第三熱媒体回収ラインの一種である加熱水回収ライン78は、第二反応ガス冷却器46bで反応ガスとの熱交換で加熱された水を、連結給水ライン92及び第一予熱器44cを経て、受け入れる。そして、この加熱水回収ライン78は、この水を、給水ライン35(第一部)よりも高い温度の水が流れる第二部、即ち、第二低圧節炭器23bの入口に導く。本構成により、反応ガス冷却器の排熱を適切な量の水に回収し、ランキンサイクルの適切な温度の箇所に回収することで、熱利用効率が高まる。
【0183】
第一予熱器44cからの気体アンモニアNHgは、第二予熱器44dに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。よって、第二予熱器44dは、気体アンモニアNHgに対するガス加熱器として機能する。以上で、本実施形態の原料予熱工程が終了する。第二予熱器44dに流入する第二熱媒体は、第一反応ガス冷却器46aから第一反応ガスライン47aを介して第二予熱器44dに流入する反応ガスRGである。この反応ガスRGは、第二予熱器44dで気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却される。
【0184】
第二予熱器44dからの気体アンモニアNHgは、反応器45に流入し、第一実施形態と同様に、熱分解反応により、水素と窒素とに分解され、反応ガスRGが生成される(反応実行工程)。
【0185】
反応ガス冷却工程では、反応ガスRGと第三熱媒体との熱交換で、反応ガスRGが冷却される。反応器45からの反応ガスRGは、第一反応ガス冷却器46a、第二予熱器44d、第二反応ガス冷却器46bに順次流入し、これらを通過することで、順次冷却される。
【0186】
第一反応ガス冷却器46aでは、反応器45からの反応ガスRGと、第三熱媒体である排熱回収ボイラ21の高圧過熱器25dからの高圧蒸気との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、高圧蒸気が過熱される。過熱された高圧蒸気は、第二高圧蒸気ライン83bを介して、高圧蒸気タービン33に流入し、この高圧蒸気タービン33を駆動させる。以上のように、本実施形態では、第一実施形態よりも高温の高圧蒸気が高圧蒸気タービン33に流入するため、第一実施形態よりも高圧蒸気タービン33の出力を高めることができる。
【0187】
本実施形態において、第三熱媒体ラインの一種である第一高圧蒸気ライン83aは、高圧過熱器25dの出口から流出する蒸気の全量を第一反応ガス冷却器46aに導く。高圧過熱器25dの出口は、ランキンサイクル中の第一部の一種である。第三熱媒体回収ラインの一種である第二高圧蒸気ライン83bは、第一反応ガス冷却器46aで反応ガスと熱交換されて過熱された蒸気を、高圧過熱器25dの出口(第一部)よりも高い温度の蒸気を流す第二部、即ち高圧蒸気タービン33の入口に導く。本構成により、反応ガス冷却器の排熱を適切な量の蒸気に回収し、ランキンサイクルの適切な温度の箇所に回収することで、熱利用効率が高まる。
【0188】
本実施形態のように、熱を利用して原料流体を反応させ、反応ガスとするプラントでは、原料流体の反応で、高温の熱を大量に消費するため、熱サイクル媒体の温度を十分に高めることができない恐れがある。具体的には、原料流体の反応に十分な、高い温度の熱を供給するため、第一熱媒体加熱器27は、排熱回収ボイラ21のガス枠22中で、排気ガスEGの流れに対する最も上流側で、最も温度が高い箇所に配置されている。ここで、前述したように、原料流体の反応には大量の熱が必要であるので、第一熱媒体加熱器27は、反応の熱源となる第一熱媒体の加熱量を大量に必要とする。このとき、第一熱媒体加熱器27での熱交換量が大きく、第一熱媒体加熱器27で排気ガスEGの温度は大きく低下してしまう。このため、排気ガスEGの流れから見て第一熱媒体加熱器27の下流側に設置された高圧過熱器25dで、熱源として利用可能な排気ガスEGの温度が低くなり、高圧過熱器25dで高圧蒸気を十分高い温度まで加熱することができない恐れがある。第一実施形態のように、高圧過熱器25dの出口の蒸気を直接高圧蒸気タービン33に供給する場合、高圧蒸気タービン33の入口温度は低いことなる。また、低圧蒸気タービン31の出口付近における湿分による、タービン翼のエロージョンの発生を抑制するためには、低圧蒸気タービン31の出口の湿り度を低く保つ必要があるため、低圧蒸気タービン31の出口のエンタルピーを一定以上にする必要がある。高圧蒸気タービン33の入口温度が低い場合で、低圧蒸気タービン31の出口のエンタルピーを一定以上にするため、高圧蒸気タービン33の入口から低圧蒸気タービン31の出口までの熱落差を小さく保つ必要がある。言い換えると、高圧蒸気タービン33の入口から低圧蒸気タービン31の出口までの圧力比を小さくする必要がある。よって、第一実施形態では、高圧蒸気タービン33の入口蒸気圧力を高めることはできない。
【0189】
本実施形態では、高圧過熱器25dの出口の蒸気を第三熱媒体として反応ガスを冷却する第一反応ガス冷却器46aに供給し、反応ガス冷却器46aの排熱を回収してから高圧蒸気タービン33に供給する。このため、本実施形態では、高圧蒸気タービン33の入口における蒸気温度を高めることができると共に、低圧蒸気タービン31のエントロピーを一定以上にすることができる。よって、本実施形態では、低圧蒸気タービン31の出口におけるエロージョンの発生を抑制しつつ、高圧蒸気タービン33の入口蒸気圧力、温度を高めることができる。以上のようなことから、本実施形態では、反応器45における反応や、第一熱媒体加熱器27における第一熱媒体の加熱に、高温の熱を大量に必要とする場合においても、蒸気タービンの出力を増大し、プラントの効率を高めることができるのである。
【0190】
第一実施形態及び本実施形態では、第一熱媒体が、反応器45と第一熱媒体加熱器27の間で循環している。反応器45は、第一熱媒体と原料流体を熱交換させるのであるから、反応器45の第一熱媒体出口温度と原料流体入口温度との差を、合理的な熱交換面積で達成可能な最小の温度差まで縮小することができる。また、反応器45を出た第一熱媒体は系統の圧損分を昇圧されたのみで、第一熱媒体加熱器27に入るのであるから、第一熱媒体加熱器27の第一熱媒体入口温度と反応器45の第一熱媒体出口温度の差は小さい。また、第一熱媒体加熱器27は、排気ガスEGと第一熱媒体を熱交換させるのであるから、第一熱媒体加熱器27の排気ガス出口温度と第一熱媒体加熱器27の第一熱媒体入口温度との差は、合理的な熱交換面積で達成可能な最小の温度差まで縮小することができる。さらに、第一熱媒体加熱器27の排気ガス出口温度と高圧過熱器25dの排気ガス入口温度は、実質的に等しい。よって、反応器45、第一熱媒体加熱器27の熱利用効率を高めるべく、熱交換温度差を十分低減する場合、高圧過熱器25dの排気ガス入口温度と反応器45の原料流体入口温度の温度差は小さくなる。第一実施形態のように、排気ガスの熱のみを用いて、高圧蒸気タービン33に供給する蒸気を過熱する場合、高圧蒸気タービン33の入口における蒸気温度を反応器45の原料流体入口温度よりも高めるのは困難である。
【0191】
本実施形態では、繰り返すことになるが、反応ガス冷却器46aの排熱を利用して高圧蒸気の温度を高める。第一熱媒体加熱器27において、排気ガス入口温度と、第一熱媒体出口温度、つまり反応器45の第一熱媒体入口温度との差は、合理的な熱交換面積で達成可能な最小の温度差まで縮小することができる。反応器45において、反応器45の第一熱媒体入口温度と反応ガス出口温度との差は合理的な熱交換面積で達成可能な最小の温度差まで縮小することができる。また、反応ガス冷却器46aでは第三熱媒体である高圧蒸気タービン33に供給する蒸気と反応器45出口の反応ガスとが熱交換するのであるから、反応器45の出口における反応ガス温度と高圧蒸気タービン33の入口蒸気温度との差は合理的な熱交換面積で達成可能な最小の温度差まで縮小することができる。従って、本実施形態では、高圧蒸気タービン33の入口蒸気温度を第一熱媒体加熱器27における排気ガス入口温度に近い温度まで高めることができる。第一熱媒体加熱器27、第一熱媒体、反応器45を介して、第一熱媒体加熱器27の排気ガス出口における排気ガスEGと、反応器45の原料流体入口における原料流体とが熱交換していることから、反応器45の原料流体入口温度は、第一熱媒体加熱器27の排気ガス出口よりも温度が低いこととなる。前述の通り、第一熱媒体加熱器27で排気ガス温度は大きく低下することを考慮すると、第一熱媒体加熱器27における排気ガス入口温度は、反応器45の原料流体入口温度よりも大幅に高い。このため、第二実施形態では、反応ガスを冷却する反応ガス冷却器の排熱を活用することにより、比較的容易に、第三熱媒体(高圧蒸気タービン33の入口蒸気)を、原料流体の反応器入口における温度よりも高い温度まで加熱することができる。
【0192】
また、反応器45では、反応器45の第一熱媒体出口における第一熱媒体から反応器45の原料流体入口における原料流体に熱を与えている。このため、反応器45の第一熱媒体出口温度は、反応器45の原料流体入口温度よりも高い。よって、反応ガス冷却の排熱を用いずに、高圧蒸気タービン33に、反応器45の第一熱媒体出口温度よりも高温の第三熱媒体(高圧蒸気タービン33の入口蒸気)を供給することは一層困難である。しかし、前述のように、本実施形態の構成を用いれば、比較的容易に、このように高い温度の蒸気を高圧蒸気タービン33に供給することができる。
【0193】
本実施形態では、以上のように、反応ガス冷却の排熱を用いて、第三熱媒体を反応器45の第一熱媒体出口温度よりも高い温度まで加熱してから、この第三媒体を熱サイクルに供給することで、熱サイクル(ここでは蒸気タービン)の出力増大効果、及びプラント効率向上効果を特に高めることができる。
【0194】
第二予熱器44dでは、前述したように、第一反応ガス冷却器46aで冷却された反応ガスRGと、気体アンモニアNHgとの熱交換により、反応ガスRGがさらに冷却される一方で、気体アンモニアNHgが予熱される。よって、この第二予熱器44dは、気体アンモニアNHgを予熱する予熱器として機能すると共に、反応ガスRGを冷却する反応ガス冷却器としても機能する。また、ここでの反応ガスRGは、気体アンモニアNHgを予熱する第二熱媒体であり、気体アンモニアNHgは、反応ガスRGを冷却する第三熱媒体である。
【0195】
第二反応ガス冷却器46bでは、第二予熱器44dで冷却された反応ガスRGと第三熱媒体としての給水との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、給水が加熱される。加熱された給水は、第二熱媒体として、第一予熱器44cに流入する。この第一予熱器44cには、前述したように、第二熱媒体として、低圧加熱水も流入する。
【0196】
以上で、反応ガス冷却工程が終了する。第二反応ガス冷却器46bで冷却された反応ガスRGは、残留原料除去装置130に流入し、第一実施形態と同様に、反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアが除去される。
【0197】
以上のように、アンモニアNHとの熱交換により、アンモニアNHを予熱する第二熱媒体は、反応ガスRGでもよいし、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体としての水又は蒸気であってもよい。また、反応ガスRGとの熱交換により、反応ガスRGを冷却する第三熱媒体は、アンモニアNHであってもよいし、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体としての水又は蒸気であってもよい。
【0198】
また、本実施形態においては、液相の原料流体、即ち液体アンモニアを第一予熱器(気化器)44cで気化した後、第二予熱器(ガス加熱器)44dに送る。また、第一予熱器(気化器)44cには、気化用第二熱媒体として、給水及び加熱水が供給され、第二予熱器(ガス加熱器)44dには、ガス加熱用第二熱媒体として、反応ガスが供給される。特に、第一予熱器(気化器)44cには、第二反応ガス冷却器46bから連結給水ライン92を介して第一予熱器44cに流入する給水と、第二低圧節炭器23bから低圧加熱水ライン76を介して第一予熱器44cに流入する低圧加熱水とが合流した大量の水が、気化用第二熱媒体として供給されている。このため、本実施形態では、第一予熱器(気化器)44c内を流れる気化用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積が、第二予熱器(ガス加熱器)44d内を流れるガス加熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きくなる。すなわち、本実施形態では、原料流体の気化のために多くの熱量を必要とする第一予熱器(気化器)44cには、この第一予熱器44cで必要な温度レベルで大量の熱量を供給し、少ない熱量で十分な第二予熱器(ガス加熱器)44dには、この第二予熱器44で必要な温度レベルで少量の熱量を供給する。このため、本実施形態では、温度レベル毎に必要とされる熱量を過不足なく投入することができ、温度レベルに応じて効果的に熱を利用することができ、熱利用効率を高めることができる。なお、定圧比熱と流量の単位は、気化用第二熱媒体とガス加熱用第二熱媒体で同一の単位を用いて比較すればいかなるものでもよいのは、第一実施形態の説明と同様である。
【0199】
本実施形態において、予熱器における熱利用効率を高める効果は、気化用第二熱媒体と、ガス加熱用第二熱媒体にそれぞれ異なる媒体を供給することにより得られた効果である。本実施形態では、気化用第二熱媒体として水を用い、ガス加熱用第二熱媒体として反応ガスを用いており、両者は異なる物質である。しかしながら、両者は異なる物質である必要はなく、同一物質であって、相、流量、圧力等が異なることによって、単位時間当たりの熱容量が異なっていてもよいし、温度が異なっていてもよい。単位時間当たりの両者の熱容量が異なると、より大きな熱量を必要とする気化の温度レベルに、原料流体ガスの昇温よりも大きな熱量を供給することが可能となる。また、気化用第二熱媒体の温度とガス加熱用第二熱媒体の温度とが異なると、原料流体気化器と原料流体ガス加熱器とのそれぞれに、原料流体に近い温度の熱媒体を供給することが可能となる。このため、比較的低い温度の熱媒体で原料流体の気化及び昇温が可能となる上に、原料流体の温度レベルに応じて予熱に必要な熱を供給することが可能となり、熱利用効率が高まり、プラントの効率が高まる。
【0200】
なお、本実施形態において、第一予熱器(気化器)44cに、低圧蒸発器23cや低圧蒸気タービン31の中間段から水蒸気を供給させて、この第一予熱器44cにおいて、水蒸気の凝縮による熱で、液相の原料流体、即ち液体アンモニアを蒸発させてもよい。流体の気化熱や凝縮熱、即ち潜熱は、一般に温度の変化に伴う熱、即ち顕熱よりも大きい。従って、このような構成によると、容易に大きな熱量が得られる凝縮熱で、大量の熱を必要とする気化熱を供給することができる。この場合、一定の温度で凝縮する気化用第二熱媒体を熱源として、一定の温度で熱源媒体を気化させることができ、比較的低い一定の温度の熱を有効活用して原料流体を気化させ、熱利用効率を高めることができる。
【0201】
「第三実施形態」
原料流体の処理プラントの第三実施形態について、
図6~
図8を参照して説明する。
【0202】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、第一実施形態の原料流体の処理プラントに対して、アンモニアNHの予熱の熱源、反応ガスRGの冷却の熱源を変更したプラントである。よって、本実施形態の原料流体の処理プラントにおける一連の動作のうちの原料予熱工程が、第一実施形態の原料予熱工程(S3)と異なる。さらに、本実施形態の原料流体の処理プラントにおける一連の動作のうちの反応ガス冷却工程が、第一実施形態の反応ガス冷却工程(S5)と異なる。
【0203】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、
図6に示すように、以上の実施形態と同様、原料反応設備40bと、反応ガス利用設備10と、排熱利用設備20bと、を備える。
【0204】
本実施形態の原料反応設備40bは、以上の実施形態の原料反応設備と同様、原料反応装置41bと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41bは、以上の実施形態の原料反応装置と異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、第一実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0205】
本実施形態の反応ガス利用設備10は、以上の実施形態の反応ガス利用設備10と基本的に同じである。また、本実施形態の排熱利用設備20bは、以上の実施形態の排熱利用設備と異なる。
【0206】
本実施形態の排熱利用設備20bは、以上の実施形態と同様、排熱回収ボイラ21bと、低圧蒸気タービン31と、中圧蒸気タービン32と、高圧蒸気タービン33と、復水器34と、給水ライン35と、給水ポンプ36と、煙突39と、を有する。
【0207】
排熱回収ボイラ21bは、以上の実施形態と同様、ガス枠22と、第一低圧節炭器23aと、第二低圧節炭器23bと、低圧蒸発器23cと、低圧過熱器23fと、中圧蒸発器24bと、第一高圧節炭器25aと、中圧節炭器24aと、第二高圧節炭器25bと、高圧蒸発器25cと、第一高圧過熱器25dと、高圧ポンプ25pと、第一熱媒体加熱器27と、を有する。本実施形態の排熱回収ボイラ21は、さらに、第二高圧過熱器25eと、第一高圧再熱器26aと、第二高圧再熱器26bと、を有する。
【0208】
第一熱媒体加熱器27、第二高圧再熱器26b、第二高圧過熱器25e、第一高圧過熱器25d及び第一高圧再熱器26a、高圧蒸発器25cの一部、第二高圧節炭器25b、低圧過熱器23f、中圧蒸発器24bの一部、中圧節炭器24a、第一高圧節炭器25a、低圧蒸発器23cの一部、第二低圧節炭器23b、第一低圧節炭器23aは、以上の順で、上流側から下流側に向かって、ガス枠22内に配置されている。なお、第一高圧再熱器26aは、排気ガスEGの流れ方向で、第一高圧過熱器25dと実質的に同じ位置に配置されている。第二高圧再熱器26bは、第一高圧再熱器26aで過熱された蒸気をさらに過熱する。この第二高圧再熱器26bの出口は、高圧再熱蒸気ライン84により、高圧蒸気タービン33の入口と接続されている。
【0209】
本実施形態の原料反応装置41bは、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、予熱器44e~44iと、反応器45と、反応ガス冷却器46c,46dと、反応ガスライン47と、を有する。本実施形態の予熱器44e~44iは、第一予熱器44eと、第二予熱器44fと、第三予熱器44gと、第四予熱器44hと、第五予熱器44iと、を有する。また、本実施形態の反応ガス冷却器46c,46dは、第一反応ガス冷却器46cと、第二反応ガス冷却器46dと、を有する。
【0210】
アンモニア供給ライン42は、第一アンモニア供給ライン42aと、第二アンモニア供給ライン42bと、第三アンモニア供給ライン42cと、第四アンモニア供給ライン42dと、第五アンモニア供給ライン42eと、第六アンモニア供給ライン42fと、を有する。
【0211】
第一アンモニア供給ライン42aの一端は、アンモニアタンクTに接続され、第一アンモニア供給ライン42aの他端は、第一予熱器44eのアンモニア入口に接続されている。第一予熱器44eは、熱交換器である。この第一予熱器44eは、液体アンモニアNHと第二熱媒体とを熱交換させて、液体アンモニアNHを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第二アンモニア供給ライン42bの一端は、第一予熱器44eのアンモニア出口に接続され、この第二アンモニア供給ライン42bの他端は、第二予熱器44fのアンモニア入口に接続されている。第二予熱器44fは、熱交換器である。この第二予熱器44fは、第一予熱器44eで加熱された液体アンモニアNHと第二熱媒体とを熱交換させて、液体アンモニアNHを加熱して気体アンモニアNHgにする一方で、第二熱媒体を冷却する。第三アンモニア供給ライン42cの一端は、第二予熱器44fのアンモニア出口に接続され、この第三アンモニア供給ライン42cの他端は、第三予熱器44gのアンモニア入口に接続されている。この第三アンモニア供給ライン42cには、回収アンモニアライン140が接続されている。第三予熱器44gは、熱交換器である。この第三予熱器44gは、気体アンモニアNHgと第二熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第四アンモニア供給ライン42dの一端は、第三予熱器44gのアンモニア出口に接続され、この第四アンモニア供給ライン42dの他端は、第四予熱器44hのアンモニア入口に接続されている。第四予熱器44hは、熱交換器である。この第四予熱器44hは、気体アンモニアNHgと第二熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第五アンモニア供給ライン42eの一端は、第四予熱器44hのアンモニア出口に接続され、この第五アンモニア供給ライン42eの他端は、第五予熱器44iのアンモニア入口に接続されている。第五予熱器44iは、熱交換器である。この第五予熱器44iは、気体アンモニアNHgと第二熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第二熱媒体を冷却する。第六アンモニア供給ライン42fの一端は、第五予熱器44iのアンモニア出口に接続され、この第六アンモニア供給ライン42fの他端は、反応器45のアンモニア入口に接続されている。
【0212】
以上の各実施形態と同様、反応器45の媒体入口には、第一熱媒体ライン51が接続されている。この反応器45の媒体出口には、第一熱媒体回収ライン52が接続されている。第一熱媒体昇圧機53は、第一熱媒体回収ライン52に設けられている。反応器45は、熱交換器である。この反応器45は、第五予熱器44iで加熱された気体アンモニアNHgと第一熱媒体ライン51からの第一熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgをさらに加熱する一方で、第一熱媒体を冷却する。冷却された第一熱媒体は、第一熱媒体回収ライン52に流入する。第一熱媒体ライン51及び第一熱媒体回収ライン52は、第一実施形態と同様、いずれも、排熱回収ボイラ21bの第一熱媒体加熱器27に接続されている。
【0213】
反応ガスライン47の一端は、反応器45の反応ガス出口に接続され、反応ガスライン47の他端は、残留原料除去装置130に接続されている。第一反応ガス冷却器46c及び第二反応ガス冷却器46dは、この反応ガスライン47に設けられている。
【0214】
第二予熱器44fの第二熱媒体入口には、低圧加熱水ライン76の一端が接続されている。この低圧加熱水ライン76の他端は、排熱回収ボイラ21bにおける第二低圧節炭器23bの出口に接続されている。よって、この低圧加熱水ライン76は、第二熱媒体ラインの一種である。第二予熱器44fの第二熱媒体出口には、第一連結加熱水ライン78eの一端が接続されている。この第一連結加熱水ライン78eの他端は、第一予熱器44eの第二熱媒体入口に接続されている。よって、この第一連結加熱水ライン78eは、第二予熱器44fに対する第二熱媒体回収ラインの一種であり、第一予熱器44eに対する第二熱媒体ラインの一種である。第二予熱器44fの第二熱媒体出口には、さらに、第二加熱水回収ライン78bの一端が接続されている。この第二加熱水回収ライン78bの他端は、第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。よって、この第二加熱水回収ライン78bは、第二予熱器44fに対する第二熱媒体回収ラインの一種である。第一予熱器44eの第二熱媒体出口には、第一加熱水回収ライン78aの一端が接続されている。この第一加熱水回収ライン78aの他端は、給水ライン35に接続されている。よって、この第一加熱水回収ライン78aは、第二熱媒体回収ラインの一種である。
【0215】
第四予熱器44hの第二熱媒体入口には、高圧加熱水ライン81の一端が接続されている。この高圧加熱水ライン81の他端は、排熱回収ボイラ21bの第二高圧節炭器25bの出口に接続されている。よって、この高圧加熱水ライン81は、第二熱媒体ラインの一種である。第四予熱器44hの第二熱媒体出口には、第二連結加熱水ライン78fの一端が接続されている。この第二連結加熱水ライン78fの他端は、第三予熱器44gの第二熱媒体入口に接続されている。よって、この第二連結加熱水ライン78fは、第四予熱器44hに対する第二熱媒体回収ラインの一種であり、第三予熱器44gに対する第二熱媒体ラインの一種である。第三予熱器44gの第二熱媒体入口には、さらに、中圧加熱水ライン77の一端が接続されている。この中圧加熱水ライン77の他端は、中圧節炭器24aの出口に接続されている。よって、この中圧加熱水ライン77は、第三予熱器44gに対する第二熱媒体ラインの一種である。第三予熱器44gの第二熱媒体出口には、第三加熱水回収ライン78cの一端が接続されている。この第三加熱水回収ライン78cの他端は、第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。よって、この第三加熱水回収ライン78cは、第二熱媒体回収ラインの一種である。
【0216】
第五予熱器44iの第二熱媒体入口には、高圧蒸気ライン83の一端が接続されている。この高圧蒸気ライン83の他端は、第二高圧過熱器25eの出口に接続されている。よって、この高圧蒸気ライン83は、第二熱媒体ラインの一種である。第五予熱器44iの第二熱媒体出口には、高圧蒸気回収ライン86の一端が接続されている。この高圧蒸気回収ライン86の他端は、第一高圧再熱器26aの入口に接続されている。よって、この高圧蒸気回収ライン86は、第二熱媒体回収ラインの一種である。
【0217】
燃料ライン12は、第一燃料ライン12aと第二燃料ライン12bとを有する。第一反応ガス冷却器46cの第三熱媒体入口には、第一燃料ライン12aの一端が接続されている。この第一燃料ライン12aの他端は、残留原料除去装置130に接続されている。この第一燃料ライン12aには、残留原料除去装置130で生成された処理済み反応ガスRGpが流れる。第一反応ガス冷却器46cは、熱交換器である。この第一反応ガス冷却器46cは、反応ガスライン47を流れてきた反応ガスRGと第一燃料ライン12aを流れてきた燃料としての処理済み反応ガスRGpとを熱交換させて、反応ガスRGを冷却する一方で、処理済み反応ガスRGpを加熱する。このため、本実施形態の第一反応ガス冷却器46cは、反応ガスRGを冷却する反応ガス冷却器として機能すると共に、ガスタービン11の燃料である処理済み反応ガスRGpを予熱する燃料予熱器としても機能する。よって、燃料予熱器としても機能する第一反応ガス冷却器46cは、原料反応装置41bの構成要素であると共に、反応ガス利用設備10の構成要素でもある。
【0218】
処理済み反応ガスRGpは、第一反応ガス冷却器46cで反応ガスRGを冷却する第三熱媒体の一種である。よって、処理済み反応ガスRGpが流れる第一燃料ライン12aは、第三熱媒体ラインの一種である。第一反応ガス冷却器46cの第三熱媒体出口には、第二燃料ライン12bの一端が接続されている。この第二燃料ライン12bの他端は、燃焼器11cに接続されている。
【0219】
第二反応ガス冷却器46dの第三熱媒体入口には、分岐給水ライン91の一端が接続されている。分岐給水ライン91の他端は、給水ライン35に接続されている。よって、給水は、第二反応ガス冷却器46dに対する第三熱媒体の一種である。また、分岐給水ライン91は、第三熱媒体ラインの一種である。第二反応ガス冷却器46dは、熱交換器である。この第二反応ガス冷却器46dは、反応ガスライン47を流れてきた反応ガスRGと分岐給水ライン91を流れてきた給水とを熱交換させて、反応ガスRGを冷却する。第二反応ガス冷却器46dの第三熱媒体出口には、給水回収ライン75の一端が接続されている。この給水回収ライン75の他端は、給水ライン35に接続されている。よって、この給水回収ライン75は、第三熱媒体回収ラインの一種である。
【0220】
本実施形態の原料予熱工程でも、以上の実施形態と同様、液体アンモニアNHが原料アンモニアポンプ43により昇圧されてから、予熱器44e~44iに流入して、この予熱器44e~44iで、第二熱媒体との熱交換により予熱される。
【0221】
原料アンモニアポンプ43で昇圧された液体アンモニアNHは、まず、第一予熱器44eに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換で予熱される。第一予熱器44eに流入する第二熱媒体は、第二予熱器44fから第一連結加熱水ライン78eを介して第一予熱器44eに流入する加熱水である。第一予熱器44eで、液体アンモニアNHとの熱交換で冷却された加熱水は、第一加熱水回収ライン78aを介して、給水ライン35に流入する。
【0222】
第一予熱器44eで予熱された液体アンモニアNHは、第二予熱器44fに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱され、気体アンモニアNHgになる。よって、本実施形態では、第一予熱器44eと第二予熱器44dとが、液体アンモニアNHに対する気化器として機能する。また、第一予熱器44eは、液体アンモニアNHに対する液相予熱器として機能し、第二予熱器44dは、液体アンモニアNHに対する相変化予熱器として機能する。第二予熱器44fに流入する第二熱媒体は、第二低圧節炭器23bから低圧加熱水ライン76を介して第二予熱器44fに流入する低圧加熱水である。第二予熱器44fで、液体アンモニアNHとの熱交換で冷却された加熱水の一部は、前述したように、第一連結加熱水ライン78eを介して、第一予熱器44eに流入する。この加熱水の他の一部は、第二加熱水回収ライン78bを介して、第二低圧節炭器23bに流入する。
【0223】
第二予熱器44fで生成された気体アンモニアNHgは、第三予熱器44gに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。第三予熱器44gに流入する第二熱媒体は、第四予熱器44hから第二連結加熱水ライン78fを介して第三予熱器44gに流入する加熱水と、中圧節炭器24aから中圧加熱水ライン77を介して第三予熱器44gに流入する中圧加熱水とである。第三予熱器44gで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された加熱水は、第三加熱水回収ライン78cを介して、第二低圧節炭器23bに流入する。
【0224】
第三予熱器44gで予熱された気体アンモニアNHgは、第四予熱器44hに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。第四予熱器44hに流入する第二熱媒体は、第二高圧節炭器25bから高圧加熱水ライン81を介して第四予熱器44hに流入する高圧加熱水である。第四予熱器44hで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された加熱水は、前述したように、第二連結加熱水ライン78fを介して、第三予熱器44gに流入する。
【0225】
第四予熱器44hで予熱された気体アンモニアNHgは、第五予熱器44iに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。よって、本実施形態では、第三予熱器44gと第四予熱器44hと第五予熱器44iとが、気体アンモニアNHgに対するガス加熱器として機能する。以上で、本実施形態の原料予熱工程が終了する。第五予熱器44iに流入する第二熱媒体は、第二高圧過熱器25eから高圧蒸気ライン83を介して第五予熱器44iに流入する高圧蒸気である。第五予熱器44iで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された蒸気は、高圧蒸気回収ライン86を介して、第一高圧再熱器26aに流入する。第一高圧再熱器26aは、第五予熱器44iからの蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気を過熱する。第二高圧再熱器26bは、第一高圧再熱器26aからの蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、この蒸気を加熱して高圧再熱蒸気にする。この高圧再熱蒸気は、前述したように、高圧再熱蒸気ライン84を介して、高圧蒸気タービン33に流入する。高圧蒸気タービン33は、この高圧再熱蒸気により駆動する。高圧蒸気タービン33から排気された蒸気の一部は、前述したように、高圧排気蒸気ライン85を介して中圧蒸気タービン32に流入する。高圧蒸気タービン33から排気された蒸気の他の一部は、第二高圧排気蒸気ライン85bを介してリボイラ139に流入する。
【0226】
第五予熱器44iからの気体アンモニアNHgは、反応器45に流入し、以上の実施形態と同様に、熱分解反応により、水素と窒素とに分解され、反応ガスRGが生成される(反応実行工程)。
【0227】
反応ガス冷却工程では、反応ガスRGと第三熱媒体との熱交換で、反応ガスRGが冷却される。反応器45からの反応ガスRGは、第一反応ガス冷却器46c、第二反応ガス冷却器46dに順次流入し、これらを通過することで、順次冷却される。
【0228】
第一反応ガス冷却器46cでは、反応器45からの反応ガスRGと、第三熱媒体である残留原料除去装置130からの処理済み反応ガスRGpとの熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、処理済み反応ガスRGpが加熱される。第一反応ガス冷却器46cで加熱された処理済み反応ガスRGpは、燃料として燃焼器11cに流入する。よって、第一反応ガス冷却器46cは、前述したように燃料予熱器としても機能する。
【0229】
第一反応ガス冷却器46cで冷却された反応ガスRGは、第二反応ガス冷却器46dに流入する。第二反応ガス冷却器46dでは、この反応ガスRGと分岐給水ライン91からの給水との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、給水が加熱される。第二反応ガス冷却器46dで加熱された給水は、給水回収ライン75を介して給水ライン35に流入する。
【0230】
以上で、反応ガス冷却工程が終了する。第二反応ガス冷却器46dで冷却された反応ガスRGは、残留原料除去装置130に流入し、以上の実施形態と同様に、反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアが除去される。
【0231】
以上のように、アンモニアNHとの熱交換により、アンモニアNHを予熱する第二熱媒体は、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体としての水又は蒸気であってもよい。また、反応ガスRGとの熱交換により、反応ガスRGを冷却する第三熱媒体は、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体としての水であってもよい。また、第三熱媒体は、燃料としての処理済み反応ガスRGpであってもよい。
【0232】
本実施形態では、第一熱媒体加熱器27からの第一熱媒体を反応器45で利用し、第二高圧過熱器25eからの第二熱媒体(高圧蒸気)を第五予熱器44iで利用し、第二高圧節炭器25bからの第二熱媒体(高圧加熱水)を第四予熱器44hで利用し、中圧節炭器24aからの第二熱媒体(中圧加熱水)を第三予熱器44gで利用し、第二低圧節炭器23bからの第二熱媒体(低圧加熱水)を第二予熱器44fで利用する。
【0233】
ここで、各熱媒体の必要な温度の高低関係は、以下の通りである。
反応器45で利用する第一熱媒体の必要温度
>第五予熱器44iで利用する第二熱媒体の必要温度
>第四予熱器44hで利用する第二熱媒体の必要温度
>第三予熱器44gで利用する第二熱媒体の必要温度
>第二予熱器44fで利用する第二熱媒体の必要温度
【0234】
以上のように、本実施形態では、原料アンモニアNHを反応ガスRGにするために、原料アンモニアNHの加熱を複数の熱交換器で実行する。しかも、複数の熱交換器毎に、アンモニアNHを加熱するために必要十分な温度の熱媒体を供給する。このため、本実施形態では、熱を有効に利用して、原料アンモニアNHを反応ガスRGにすることができる。よって、本実施形態では、極力低い温度の熱を有効に用いて原料アンモニアNHを反応ガスRGにすることができる。
【0235】
また、本実施形態では、原料流体、即ち、アンモニアNHの反応に比較的高温の熱を大量に消費する場合においても、ガスタービン11に投入する燃料であって、第三熱媒体の一種である処理済み反応ガスRGpを、第一反応ガス冷却器46cでの高温の排熱を用いて、高い温度まで昇温することができる。このため、本実施形態では、ガスタービン11の必要燃料流量を低減し、プラントの効率を高めることができる。さらに、本実施形態では、以上のことから、液体アンモニアNHを反応ガスRGにするにあたって、結果として、排気ガスEGの熱利用効率が高まり、この観点からもプラントの効率を高めることができる。
【0236】
本実施形態における原料流体の加熱について、
図7を参照して説明する。なお、
図7は、
図4と同様、アンモニア(実線)、及びアンモニアを加熱する熱源(破線)に関するT-Q線図である。また、
図7中で、横軸は熱量を示し、縦軸は温度を示す。
【0237】
第一予熱器(液相予熱器)44eでは、前述したように、液体アンモニアNHと液相予熱用第二熱媒体とが熱交換され、液体アンモニアNHが液体のまま加熱される。第二予熱器(相変化予熱器)44fでは、前述したように、第一予熱器(液相予熱器)44eからの液体アンモニアNHと相変化予熱用第二熱媒体とが熱交換され、液体アンモニアNHが加熱されて気化し、気体アンモニアNHgになる。この気体アンモニアNHgは、第三予熱器(ガス加熱器)44g、第四予熱器(ガス加熱器)44h、第五予熱器(ガス加熱器)44iのそれぞれで順次加熱される。
図7では、この気体アンモニアNHgの加熱(予熱)過程での熱量変化に対する温度変化を簡略化して、一直線で描いている。
【0238】
第二予熱器(相変化予熱器)44fには、第二低圧節炭器23bから低圧加熱水ライン76を介して第二予熱器44fに流入する低圧加熱水が、相変化予熱用第二熱媒体として供給される。また、第一予熱器(液相予熱器)44eには、第二予熱器(相変化予熱器)44fから流出した相変化予熱用第二熱媒体の一部が液相予熱用第二熱媒体として供給される。よって、相変化予熱用第二熱媒体の流量と液相予熱用第二熱媒体の流量とは、異なる。さらに、第二予熱器(相変化予熱器)44fの入口における相変化予熱用第二熱媒体の温度と、第一予熱器(液相予熱器)44eの入口における液相予熱用第二熱媒体の温度とは、異なる。よって、相変化予熱用第二熱媒体と液相予熱用第二熱媒体とは、いずれも水であるが、互いに異なる第二熱媒体である。
【0239】
ここで、相変化予熱用第二熱媒体の流量は、液相予熱用第二熱媒体の流量よりも多い。また、相変化予熱用第二熱媒体の定圧比熱と液相予熱用第二熱媒体の定圧比熱とは、同等である。よって、相変化予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積は、液相予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい。相変化や化学反応を伴わない媒体に関するT-Q線の傾きは、定圧比熱と流量との積、即ち、単位時間当たりの熱容量に反比例する。従って、
図7において、相変化予熱用第二熱媒体のT-Q線の傾きは、液相予熱用第二熱媒体のT-Q線の傾きよりも小さい。アンモニアが気化する際は、熱を受取りつつ、一定の温度で蒸発するため、アンモニアのT-Q線は横軸に平行となり、相変化予熱用第二熱媒体とアンモニアとは、一定に近い小さな温度差を保ったまま熱交換する。一方、第一予熱器(液相予熱器)44eでは、液体アンモニアが液体のまま予熱されるため、このアンモニアのT-Q線は傾きを持っている。また、液相予熱用第二熱媒体は、前述したように、定圧比熱と流量との積、即ち、単位時間当たりの熱容量が小さいから、この液相予熱用第二熱媒体のT-Q線の傾きは大きい。
【0240】
第二加熱水回収ライン78bを経由して、第二低圧節炭器23bに返す水の流量を加減すると、液相予熱用第二熱媒体の流量を調整することができる。このため、液相予熱用第二熱媒体の単位時間当たりの熱容量、即ち定圧比熱と流量との積を、液体アンモニアの単位時間当たりの熱容量、即ち定圧比熱と流量との積と同等にして、液体アンモニアと液相予熱用第二熱媒体のT-Q線の傾きを同等とすることが可能である。そこで、本実施形態では、液相予熱用第二熱媒体の流量を調整することで、液体アンモニアと液相予熱用第二熱媒体のT-Q線の傾きを同等にして、液体アンモニアと液相予熱用第二熱媒体との温度差を一定に保ったまま、両者間で熱交換させる。この結果、本実施形態では、最小限の流量の液相予熱用第二熱媒体で液体アンモニアを予熱することができ、熱を効果的に利用することができる。
【0241】
また、本実施形態では、前述したように、相変化予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積は、液相予熱用第二熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい。よって、本実施形態では、大きな熱量が必要な液体アンモニアの気化には、この液体アンモニアに大きな熱量を供給し、小さな熱量で十分な相変化を伴わない気体アンモニアの予熱には小さな熱量を供給することができる。
【0242】
以上のことから、本実施形態では、第二熱媒体のT-Q線をアンモニア(原料流体)のT-Q線に沿わせることができる。このため、本実施形態では、第二熱媒体とアンモニア(原料流体)の温度差を縮小し、温度レベル毎に必要な熱量を過不足なく供給し、熱利用効率を高め、プラント効率を高めることができる。
【0243】
なお、相変化予熱用第二熱媒体と液相予熱用第二熱媒体とは異なる媒体である必要があるが、両者が異なる物質である必要はなく、定圧比熱と流量の積、即ち熱容量や、温度が異なっていればよい。
【0244】
また、第二予熱器(相変化予熱器)44fに、相変化予熱用第二熱媒体として気相の熱媒体を供給し、この第二予熱器(相変化予熱器)44fで相変化予熱用第二熱媒体を凝縮させてもよい。第二予熱器(相変化予熱器)44fで、気相の相変化予熱用第二熱媒体を凝縮させ、その際の凝縮熱により、液体アンモニア(原料流体)を気化させると、
図8に示すように、相変化予熱用第二熱媒体と原料流体との両者の温度を一定に維持し、且つ両者の温度差ΔT2を小さくした状態で、両者を熱交換させることができる。このように、第二予熱器(相変化予熱器)44fに、気相の相変化予熱用第二熱媒体を供給し、ここで、この相変化予熱用第二熱媒体を凝縮させることで、熱利用効率を高め、プラント効率を高めることができる。このような気相の第二気化用第二熱媒体としては、後ほど、第六実施形態で説明するように、低圧蒸発器23dで蒸発した水蒸気や、低圧蒸気タービン31の中間段から抽気した水蒸気等がある。
【0245】
「第四実施形態」
原料流体の処理プラントの第四実施形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0246】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第三実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。本実施形態の原料流体の処理プラントでは、第三実施形態の原料流体の処理プラントよりも、アンモニアNHの熱分解反応を促進している。よって、本実施形態の原料流体の処理プラントにおける一連の動作のうちの反応実行工程が、第三実施形態の反応実行工程と異なる。
【0247】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、以上の実施形態と同様、
図9に示すように、原料反応設備40cと、反応ガス利用設備10と、排熱利用設備20cと、を備える。
【0248】
排熱利用設備20cの排熱回収ボイラ21cは、第三実施形態の排熱回収ボイラ21bと同様、ガス枠22と、第一低圧節炭器23aと、第二低圧節炭器23bと、低圧蒸発器23cと、低圧過熱器23fと、中圧節炭器24aと、中圧蒸発器24bと、第一高圧節炭器25aと、第二高圧節炭器25bと、高圧蒸発器25cと、第一高圧過熱器25dと、第二高圧過熱器25eと、第一高圧再熱器26aと、第二高圧再熱器26bと、高圧ポンプ25pと、第一熱媒体加熱器27a,27bと、を有する。本実施形態の排熱回収ボイラ21cは、さらに、第三高圧再熱器26cと、バーナ28と、を有する。本実施形態の第一熱媒体加熱器27a,27bは、第一低温熱媒体加熱器27aと、第一高温熱媒体加熱器27bと、を有する。
【0249】
バーナ28、第一高温熱媒体加熱器27b、第三高圧再熱器26c、第一低温熱媒体加熱器27aは、ガス枠22内で、第二高圧再熱器26bよりも、上流側に配置されている。排熱回収ボイラ21cは、ガス枠22内における第一高温熱媒体加熱器27bよりも排気ガスEGの流れの上流側を、排気ガスEGの一部が流れる第一排気ガス流路29aと排気ガスEGの残りの部分が流れる第二排気ガス流路29bとに仕切る仕切り部材29を有している。バーナ28、第一高温熱媒体加熱器27b、第三高圧再熱器26cは、以上の順で、上流側から下流側に向かって、第一排気ガス流路29a内に配置されている。バーナ28には、燃料ライン12から分岐した分岐燃料ライン12cが接続されている。バーナ28は、分岐燃料ライン12cからの燃料としての処理済み反応ガスRGpを、第一排気ガス流路29a内を流れる排気ガスEG中に噴射する。ガス枠22内に噴射された燃料は、燃焼する。この結果、燃焼ガスが生成され、第一排気ガス流路29a内では高温のガスが流れる。ガス枠22内で、仕切り部材29よりも下流側では、第一排気ガス流路29aを流れる燃焼ガスと、第二排気ガス流路29bを流れる排気ガスEGとが合流する。ガス枠22内で、仕切り部材29よりも下流側には、第一低温熱媒体加熱器27a、第二高圧再熱器26bが、以上の順序で、配置されている。
【0250】
原料反応設備40cにおける原料反応装置41cの反応器45a,45bは、前反応器45aと後反応器45bとを有する。
【0251】
前反応器45aの第一熱媒体入口には、第一低温熱媒体ライン51aの一端が接続されている。この第一低温熱媒体ライン51aの他端は、第一低温熱媒体加熱器27aの出口に接続されている。前反応器45aの第一熱媒体出口には、第一低温熱媒体回収ライン52aの一端が接続されている。この第一低温熱媒体回収ライン52aの他端は、第一低温熱媒体加熱器27aの入口に接続されている。第一低温熱媒体加熱器27aの入口には、さらに、第二高圧再熱器26bの出口が接続されている。第一低温熱媒体回収ライン52aには、第一熱媒体昇圧機53が設けられている。
【0252】
第一低温熱媒体加熱器27aの出口には、さらに、第三高圧再熱器26cの入口が接続されている。この第三高圧再熱器26cの出口には、高圧再熱蒸気ライン84の一端が接続されている。この高圧再熱蒸気ライン84の他端は、高圧蒸気タービン33の入口に接続されている。
【0253】
第一低温熱媒体加熱器27aの出口には、さらに、第一高温熱媒体加熱器27bの入口が接続されている。この第一高温熱媒体加熱器27bの出口には、第一高温熱媒体ライン51bの一端が接続されている。この第一高温熱媒体ライン51bの他端は、後反応器45bの第一熱媒体入口に接続されている。この後反応器45bの第一熱媒体出口には、第一高温熱媒体回収ライン52bの一端が接続されている。この第一高温熱媒体回収ライン52bの他端は、前反応器45aの第一熱媒体入口に接続されている。
【0254】
第一低温熱媒体加熱器27aには、第二高圧再熱器26bで過熱された蒸気と、第一低温熱媒体回収ライン52aからの蒸気とが流入する。第一低温熱媒体加熱器27aは、これら蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて、これら蒸気を過熱する。
【0255】
第一低温熱媒体加熱器27aで過熱された蒸気の一部は、第一低温熱媒体として、第一低温熱媒体ライン51aを介して、前反応器45aに流入する。第一低温熱媒体加熱器27aで過熱された蒸気の他の一部は、第三高圧再熱器26cに流入する。第三高圧再熱器26cには、高温の燃焼ガスが接する。ガスタービン11からの排気ガスEG中には、バーナ28からの燃料が投入され、この燃料が燃焼して高温の燃焼ガスが生成される。第三高圧再熱器26cには、この高温の燃焼ガスが接する。第三高圧再熱器26cは、この高温の燃焼ガスと蒸気とを熱交換させて、この蒸気を過熱する。この蒸気は、高圧再熱蒸気ライン84を介して、高圧蒸気タービン33に流入し、この高圧蒸気タービン33を駆動させる。よって、本実施形態の高圧蒸気タービン33に流入する蒸気の温度は、第三実施形態の高圧蒸気タービン33に流入する蒸気の温度よりも高くなる。このため、本実施形態では、高圧蒸気タービン33の出力を高めることができる。
【0256】
第一低温熱媒体加熱器27aで過熱された蒸気の残りは、第一高温熱媒体加熱器27bに流入する。第一高温熱媒体加熱器27bは、前述の高温混合ガスと蒸気とを熱交換させて、この蒸気を過熱する。この蒸気は、第一高温熱媒体として、第一高温熱媒体ライン51bを介して、後反応器45bに流入する。この第一高温熱媒体の温度は、第一低温熱媒体の温度よりも高い。
【0257】
本実施形態の反応実行工程でも、以上の実施形態と同様、気体のアンモニアNHと第一熱媒体とを熱交換させて、気体のアンモニアNHを加熱して熱分解反応させて、反応ガスRGを生成する。
【0258】
第五予熱器44iで予熱された気体アンモニアNHgは、前反応器45aに流入する。この前反応器45aには、第一低温熱媒体として、後反応器45bから第一高温熱媒体回収ライン52bを介して蒸気が流入する。さらに、この前反応器45aには、第一低温熱媒体として、第一低温熱媒体加熱器27aから第一低温熱媒体ライン51aを介して蒸気が流入する。前反応器45aは、気体アンモニアNHgと第一低温熱媒体とを熱交換させて、気体アンモニアNHgを加熱する一方で、第一低温熱媒体を冷却する。冷却された第一低温熱媒体である蒸気は、第一低温熱媒体回収ライン52aを介して、第一低温熱媒体加熱器27aに流入する。また、加熱された気体アンモニアNHgは、その一部が熱分解反応して、水素と酸素とアンモニアとを含む反応ガスRGになる。
【0259】
前反応器45aで生成された反応ガスRGは、後反応器45bに流入する。この後反応器45bには、第一高温熱媒体として、第一高温熱媒体加熱器27bで過熱された蒸気が流入する。後反応器45bは、前反応器45aからの反応ガスRGと第一高温熱媒体とを熱交換させて、反応ガスRGを加熱する一方で、第一高温熱媒体を冷却する。冷却された第一高温熱媒体である蒸気は、第一高温熱媒体ライン51bを介して、第一低温熱媒体として前反応器45aに流入する。加熱された反応ガスRG中に含まれている気体アンモニアNHgは、その一部が熱分解反応して、水素と酸素とアンモニアNHを含む反応ガスRGになる。
【0260】
本実施形態における原料流体の加熱について、
図10を参照して説明する。なお、
図10は、
図4等と同様、アンモニア(実線)、及びアンモニアを加熱する熱源(破線)に関するT-Q線図である。また、
図10中で、横軸は熱量を示し、縦軸は温度を示す。
【0261】
アンモニアの熱分解反応は、この反応環境の温度が高いほど促進される。また、
図10に示すように、熱分解反応中、アンモニアの濃度が低くなると、熱量の増加量に対する温度の上昇量が次第に大きくなる。本実施形態では、前述したように、まず、気体アンモニアNHgを前反応器45aに流入させ、第一低温熱媒体と熱交換させて、水素と酸素とアンモニアとを含む反応ガスRGにする。本実施形態では、さらに、この反応ガスRGを後反応器45bに流入させ、第一低温熱媒体よりも高温の第一高温熱媒体と熱交換させ、反応ガスRG中に含まれているアンモニアを熱分解反応させる。よって、本実施形態では、後反応器45bから流出する反応ガスRGに含まれている残留アンモニアの濃度を、以上の実施形態における反応器45から流出する反応ガスRGに含まれている残留アンモニアの濃度よりも低くすることができる。
【0262】
第一、第二及び第三実施形態では、ガスタービン11の排気ガスEGのみを熱源として、アンモニア(原料流体)の熱分解反応に用いる第一熱媒体を生成している。このため、第一、第二及び第三実施形態では、ガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度を上回る温度の第一熱媒体を得、ガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度を上回る温度で、原料流体を反応させることはできない。一方、本実施形態では、排気ガスEGに燃料を投入、追焚きしているので、反応ガス利用設備(排気ガス発生設備)であるガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度を上回る温度の第一熱媒体を得て、反応ガス利用設備(排気ガス発生設備)であるガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度を上回る温度で、原料流体を反応させることができる。また、本実施形態では、ガスタービン11の排気ガスEGを分流し、その一部のみに燃料を追加投入し、燃焼させている。このため、少ない追加投入燃料で排気ガスの温度を上昇させることができる。従って、プラント効率を高めることができる。
【0263】
また、本実施形態では、後反応器45bで使用後の第一高温熱媒体に第一低温熱媒体加熱器27aから供給された蒸気を加えたものが、第一低温熱媒体として前反応器45aに供給される。従って、本実施形態では、前反応器45aの熱源である第一低温熱媒体の流量は第一高温熱媒体よりも大きい。第一低温熱媒体と第一高温熱媒体は同等の圧力であり、定圧比熱も同等であるので、第一低温熱媒体の定圧比熱と流量との積、つまり、単位時間当たりの熱容量は、第一高温熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい。相変化や化学反応を伴わない媒体においてはT-Q線の傾きは定圧比熱と流量の積、即ち、単位時間当たりの熱容量に反比例する。従って、
図10に示すように、前反応器45aにおける第一低温熱媒体のT-Q線の傾きは、後反応器45bにおける第一高温熱媒体のT-Q線の傾きよりも小さい。
【0264】
前反応器45aの温度レベルは、アンモニア(原料流体)の反応が最も活発に進行する温度付近であり、反応に大きな熱量を必要とするため、前反応器45a内でのアンモニアのT-Q線の傾きは小さい。一方、後反応器45b内では、残存するアンモニアの量が減少して、反応量が減少、反応に必要な熱量も減少するので、少ない熱量で温度が上昇するようになる。従って、後反応器45b内でのアンモニアのT-Q線の傾きは大きい。
【0265】
第一低温熱媒体加熱器27aから、第一低温熱媒体ライン51aを介して、後反応器45bを経由せずに前反応器45aに供給される蒸気の流量を加減すると、第一低温熱媒体と第一高温熱媒体の熱容量とを独立して調整することができる。そこで、第一低温熱媒体の熱容量を調節することにより、この第一低温熱媒体のT-Q線の傾きを前反応器45a内のアンモニア及び反応ガスのT-Q線の傾きに近付けることができる。さらに、第一高温熱媒体の熱容量を調節することにより、この第一高温熱媒体のT-Q線の傾きを、後反応器45b内のアンモニア及び反応ガスのT-Q線の傾きに近付けることができる。
【0266】
本実施形態では、前述したように、第一低温熱媒体の定圧比熱と流量との積が、第一高温熱媒体の定圧比熱と流量との積よりも大きい。よって、本実施形態では、反応が活発に進行し、必要熱量が大きい前反応器45aには大きな熱量を供給し、必要熱量が小さい後反応器45bには小さな熱量を供給することができる。
【0267】
以上のことから、本実施形態では、第一低温熱媒体、第一高温熱媒体それぞれのT-Q線を、前反応器45a、後反応器45bそれぞれにおけるアンモニア及び反応ガスのT-Q線に沿わせることができる。このため、本実施形態では、第一熱媒体とアンモニア(原料流体)及び反応ガスとの温度差を縮小し、温度レベル毎に必要な熱量を過不足なく供給し、熱利用効率を高め、プラント効率を高めることができる。
【0268】
なお、第一低温熱媒体と第一高温熱媒体とは異なる媒体である必要があるが、両者が異なる物質である必要はなく、定圧比熱と流量の積、即ち熱容量や、温度が異なっていればよい。
【0269】
また、本実施形態では、前述したように、反応ガスRGに含まれている残留アンモニアの濃度を低くすることができるので、残留原料除去装置130での消費エネルギーを抑えることができる。
【0270】
本実施形態では、高温の第一高温熱媒体を用いて、後反応器45bで反応ガスの温度をさらに高めているので、第一反応ガス冷却器46cの入口における反応ガスRGの温度は第三実施形態よりも高い。従って、第一反応ガス冷却器46cにおいて、燃料である処理済み反応ガスRGpを第三実施形態よりも高い温度まで予熱して、ガスタービン11の燃焼器11cに投入することができる。従って、本実施形態では、ガスタービン11の燃料消費量を低減し、プラント効率をさらに高めることができる。ガスタービン11は熱サイクルの一種であり、処理済み反応ガスRGpは熱サイクルで利用される第三熱媒体の一種である。従って、高温の第三熱媒体を熱サイクルで利用することが可能となり、前述したように、プラント効率が高まる。本実施形態では、反応ガス利用設備(排気ガス発生設備)の一種であるガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度よりも高い温度で、後反応器45bでの反応を実現することが可能である。このため、反応ガス利用設備(排気ガス発生設備)の一種であるガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度よりも高い温度まで第三熱媒体の温度を高めることができる。よって、本実施形態において、このように構成することで、プラント効率をさらに高めることができる。
【0271】
本実施形態では、反応器が前反応器45aと後反応器45bとを有し、第一熱媒体加熱器が第一低温熱媒体加熱器27aと第一高温熱媒体加熱器27bとを有する。しかしながら、以上の実施形態と同様、反応器が一つで、第一熱媒体加熱器も一つであってもよい。
【0272】
本実施形態では、ガス枠22内を二つの排気ガス流路29a,29bに分割している。しかしながら、ガス枠22内を二つの排気ガス流路に分割しなくてもよい。この場合、一つの第一熱媒体加熱器は、ガスタービン11からの排気ガスEG中にバーナ28から投入された燃料の燃焼で形成された燃焼ガスと第一熱媒体とを熱交換させて、第一熱媒体を加熱する。一つの第一熱媒体加熱器で加熱された第一熱媒体は、一つの反応器45に流入して、気体アンモニアNHgを加熱し、この気体アンモニアNHgを熱分解反応させる。
【0273】
また、処理済み反応ガスRGpが流れる燃料ライン12に、天然ガスNGが流れる天然ガスライン15を接続してもよい。この天然ガスライン15は、例えば、燃料ライン12中で、燃料予熱器(第一反応ガス冷却器46c)の上流側に接続される。以上のように、燃料ライン12に天然ガスライン15を接続することで、例えば、起動時や低負荷時で反応ガスの発生に必要な温度のガスタービン排気ガスが得られない場合に、天然ガスNGのみで運転することができる。なお、他の実施形態においても、燃料ライン12に、天然ガスNGが流れる天然ガスライン15を接続してもよい。また、図示していないが、バーナ28には処理済み反応ガスRGではなく、天然ガスを供給することとしてもよい。このようにすると、バーナ28の出口の燃焼ガスの温度制御が容易となる。なお、他の実施形態においても、バーナを追加する場合には、このバーナに、処理済み反応ガスRGを供給してもよいし、天然ガスを供給してもよい。また、燃料ライン12に、天然ガス等、反応ガスRGや、処理済み反応ガスRGp以外の燃料のみを供給することもできる。この場合、ガスタービン11は排気ガス発生設備であるが、反応ガス利用設備ではないこととなる。
【0274】
「第五実施形態」
原料流体の処理プラントの第五実施形態について、
図11を参照して説明する。
【0275】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第二実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。本実施形態の原料流体の処理プラントでは、アンモニアの一部を自己熱分解反応させる。
【0276】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、以上の実施形態と同様、原料反応設備40dと、反応ガス利用設備10dと、排熱利用設備20dと、を備える。
【0277】
本実施形態の原料反応設備40dは、以上の実施形態の原料反応設備と同様、原料反応装置41dと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41dは、第二実施形態の原料反応装置41aと異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、以上の実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0278】
本実施形態の反応ガス利用設備10dは、以上の実施形態の反応ガス利用設備10と基本的に同じある。但し、反応ガス利用設備10dにおける燃料予熱器は、第一燃料予熱器13aと、第二燃料予熱器13bと、を有する。また、本実施形態の排熱利用設備20dは、以上の実施形態の排熱利用設備と異なる。
【0279】
本実施形態の排熱利用設備20dは、以上の実施形態と同様、排熱回収ボイラ21と、低圧蒸気タービン31と、中圧蒸気タービン32と、高圧蒸気タービン33と、復水器34と、給水ライン35と、給水ポンプ36と、煙突39と、を有する。本実施形態の排熱利用設備20dは、さらに、給水を予熱する給水予熱器37を有する。この給水予熱器37は、給水ライン35に設けられている。給水予熱器37の媒体入口には、抽気蒸気ライン95の一端が接続されている。この抽気蒸気ライン95の他端は、低圧蒸気タービン31のケーシングに接続されている。給水予熱器37の媒体出口には、抽気蒸気回収ライン94の一端が接続されている。この抽気蒸気回収ライン94の他端は、給水ライン35中で給水予熱器37よりも復水器34側の位置に接続されている。排熱回収ボイラ21は、第二実施形態の排熱回収ボイラ21と同じである。なお、本実施形態における排熱回収ボイラ21の高圧過熱器25dの出口には、高圧蒸気ライン83の一端が接続されている。この高圧蒸気ライン83の他端は、高圧蒸気タービン33の入口に接続されている。よって、本実施形態では、第一実施形態と同様、高圧過熱器25dからの高圧蒸気が、高圧蒸気ライン83を介して、高圧蒸気タービン33に流入する。
【0280】
本実施形態の原料反応装置41dは、第二実施形態の原料反応装置41aと同様、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、第一予熱器44cと、第二予熱器44dと、反応器45a,45bと、第一反応ガス冷却器46aと、第二反応ガス冷却器46bと、反応ガスライン47と、を有する。但し、本実施形態の反応器45a,45bは、前反応器45aと、後反応器45bと、を有する。本実施形態の原料反応装置41dは、さらに、酸化剤を原料流体NHであるアンモニアNHに投入する酸化剤投入装置60を有する。
【0281】
本実施形態における酸化剤は、空気である。酸化剤投入装置60は、気体の酸化剤が流れる酸化剤受入れライン61と、この酸化剤受入れライン61からの酸化剤を冷却する酸化剤冷却器62と、酸化剤冷却器62で冷却された酸化剤を圧縮する酸化剤圧縮機63と、酸化剤圧縮機63で圧縮された酸化剤を加熱する酸化剤加熱器64と、酸化剤加熱器64で加熱された酸化剤を反応器45に導く酸化剤投入ライン65と、を有する。
【0282】
ガスタービン11は、この空気圧縮機11aにおける吐出口と燃焼器11cの圧縮空気入口とを接続する燃焼用空気通路11bを有する。この燃焼用空気通路11bには、空気圧縮機11aからの燃焼用空気が流れる。酸化剤受入れライン61の一端は、この燃焼用空気通路11bに接続されている。この酸化剤受入れライン61の他端は、酸化剤圧縮機63の入口に接続されている。酸化剤冷却器62は、この酸化剤受入れライン61に設けられている。酸化剤冷却器62は、熱交換器である。この酸化剤冷却器62の媒体入口には、高圧給水ライン79の一端が接続されている。この高圧給水ライン79の他端は、排熱回収ボイラ21における高圧ポンプ25pの吐出口に接続されている。酸化剤冷却器62の媒体出口には、高圧給水回収ライン80の一端が接続されている。この高圧給水回収ライン80の他端は、排熱回収ボイラ21における高圧蒸発器25cの入口に接続されている。酸化剤圧縮機63は、酸化剤冷却器62で冷却された酸化剤を反応器45a,45bに投入可能な圧力にまで昇圧する。酸化剤加熱器64は、熱交換器である。この酸化剤加熱器64の媒体入口には、第二高圧加熱水ライン81aの一端が接続されている。この第二高圧加熱水ライン81aの他端は、排熱回収ボイラ21における第二高圧節炭器25bの出口に接続されている。酸化剤加熱器64の媒体出口には、第二高圧加熱水回収ライン82aの一端が接続されている。この第二高圧加熱水回収ライン82aの他端は、排熱回収ボイラ21における中圧節炭器24aの入口に接続されている。酸化剤投入ライン65は、第一酸化剤投入ライン65bと第二酸化剤投入ライン65cとを有する。第一酸化剤投入ライン65bの一端及び第二酸化剤投入ライン65cの一端は、いずれも、酸化剤加熱器64の酸化剤出口に接続されている。第一酸化剤投入ライン65bの他端は、前反応器45aに接続されている。また、第二酸化剤投入ライン65cの他端は、後反応器45bに接続されている。
【0283】
前反応器45aには、酸化剤投入装置60からの酸化剤の他、第二予熱器44dからの気体アンモニアNHgが流入する。この前反応器45aの媒体入口には、第一熱媒体ライン51の一端が接続されている。この第一熱媒体ライン51の他端は、第一熱媒体加熱器27の出口に接続されている。前反応器45aの媒体出口には、第一熱媒体回収ライン52の一端が接続されている。この第一熱媒体回収ライン52の他端は、第二熱媒体加熱器の入口に接続されている。後反応器45bには、酸化剤投入装置60からの酸化剤の他、前反応器45aからの反応ガスRGが流入する。
【0284】
後反応器45bには、第一反応ガスライン47aが接続されている。この第一反応ガスライン47aには、第二実施形態と同様、第一反応ガス冷却器46aが設けられている。また、第二反応ガスライン47bは、第二実施形態と同様、第二反応ガス冷却器46bが設けられている。
【0285】
反応ガス利用設備10dにおける第一燃料予熱器13aには、残留原料除去装置130からの処理済み反応ガスRGpが流入する。第一燃料予熱器13aの媒体入口には、第二実施形態の燃料予熱器13と同様、高圧加熱水ライン81の一端が接続されている。第一燃料予熱器13aの媒体出口には、第二実施形態の燃料予熱器13と同様、高圧加熱水回収ライン82の一端が接続されている。第二燃料予熱器13bには、第一燃料予熱器13aで予熱された処理済み反応ガスRGpが流入し、この処理済み反応ガスRGpをさらに予熱する。第二燃料予熱器13bで予熱された処理済み反応ガスRGpは、燃焼器11cに流入する。
【0286】
前述の第一反応ガス冷却器46aの第三熱媒体入口には、第一高圧排気蒸気ライン85aの一端が接続されている。この第一高圧排気蒸気ライン85aの他端は、高圧蒸気タービン33の出口に接続されている。第一反応ガス冷却器46aの第三熱媒体出口には、第二高圧排気蒸気ライン85bの一端が接続されている。この第二高圧排気蒸気ライン85bの他端は、第二燃料予熱器13bの媒体入口に接続されている。第二燃料予熱器13bの媒体出口には、第三高圧排気蒸気ライン85cの一端が接続されている。この第三高圧排気蒸気ライン85cの他端は、中圧蒸気タービン32の入口に接続されている。
【0287】
ガスタービン11の空気圧縮機11aからの燃焼用空気の一部は、酸化剤受入れライン61を介して、酸化剤として酸化剤冷却器62に流入する。この酸化剤冷却器62には、排熱回収ボイラ21の高圧ポンプ25pからの高圧給水が、高圧給水ライン79を介して流入する。空気圧縮機11aからの燃焼用空気の温度は、例えば、約450℃で、この燃焼用空気の圧力は、例えば、約2MPaである。酸化剤冷却器62は、酸化剤としての燃焼用空気と高圧給水とを熱交換させ、燃焼用空気を冷却する一方で、高圧給水を加熱する。加熱された高圧給水は、高圧給水回収ライン80を介して、排熱回収ボイラ21の高圧蒸発器25cに流入する。
【0288】
酸化剤圧縮機63は、酸化剤冷却器62で冷却された燃焼用空気を圧縮して、昇圧する。第一予熱器44cに流入する液体アンモニアNHの圧力は、原料アンモニアポンプ43により昇圧されて、前述したように、約5MPaである。このため、前反応器45a及び後反応器45b内の圧力も、約5MPaである。酸化剤圧縮機63は、酸化剤を前反応器45a及び後反応器45bに投入可能な圧力にまで昇圧する。酸化剤冷却器62は、この酸化剤圧縮機63での圧縮動力を低減するために、酸化剤圧縮機63に流入する前の酸化剤を冷却する。
【0289】
酸化剤圧縮機63で圧縮された燃焼用空気は、酸化剤加熱器64に流入する。この酸化剤加熱器64には、第二高圧節炭器25bからの高圧加熱水が第二高圧加熱水ライン81aを介して流入する。酸化剤加熱器64は、酸化剤としての燃焼用空気と高圧加熱水とを熱交換させ、燃焼用空気を加熱する一方で、高圧加熱水を冷却する。酸化剤加熱器64で冷却された高圧加熱水は、第二高圧加熱水回収ライン82aを介して、中圧節炭器24aに流入する。酸化剤加熱器64は、前反応器45a及び後反応器45bに、酸化剤として燃焼用空気と共に熱を供給することで、少ない量の酸化剤で、少ない酸化対象ガスの酸化反応量であっても、前反応器45a及び後反応器45b内の温度を高めて、前反応器45a及び後反応器45b内での反応を活性化させる。具体的に、酸化剤加熱器64は、酸化剤としての燃焼用空気の温度を各反応器45a,45bに流入する酸化対象ガスの温度近く、若しくはこの温度以上にまで高める。
【0290】
前反応器45aには、第二予熱器44dからの気体アンモニアNHgと酸化剤投入装置60からの燃焼用空気とが流入する。前反応器45a内では、気体アンモニアNHgの一部が燃焼用空気と酸化反応(燃焼)する。この酸化反応により生じた熱は、気体アンモニアNHgを加熱する。さらに、気体アンモニアNHgは、第一熱媒体加熱器27で加熱されて第一熱媒体との熱交換で加熱される。よって、この前反応器45a内では、第二実施形態の反応器45内よりも、気体アンモニアNHgが加熱されて、高温になり、気体アンモニアNHgの熱分解反応が促進される。
【0291】
後反応器45bには、前反応器45aからの反応ガスRGと酸化剤投入装置60からの燃焼用空気とが流入する。後反応器45b内では、前反応器45aからの反応ガスRG中に含まれている気体アンモニアNHgの一部や前反応器45a内での熱分解反応で生成された水素の一部が燃焼用空気と酸化反応(燃焼)する。この酸化反応により生じた熱は、気体アンモニアNHgを加熱する。よって、この後反応器45b内では、前反応器45aからの反応ガスRG中に含まれている気体アンモニアNHgが加熱されて、この気体アンモニアNHgの熱分解反応がさらに促進される。
【0292】
以上のように、本実施形態では、各反応器45a,45b内に酸化剤を投入することで、各反応器45a,45b内の気体アンモニアNHgの一部が酸化反応することで、各反応器45a,45b内での熱分解反応の環境温度を高めることができる。このため、本実施形態では、各反応器45a,45bから流出する反応ガスRG中のアンモニア濃度を低くすることができる。
【0293】
本実施形態では、酸化剤として、ガスタービン11の空気圧縮機11aからの燃焼用空気を用いる。この燃焼用空気は、空気圧縮機11aで既に圧縮された空気であるため、大気よりも高圧の空気である。酸化剤圧縮機63は、この燃焼用空気を前反応器45a及び後反応器45bに投入可能な圧力にまで昇圧する。このため、酸化剤圧縮機63で大気を前反応器45a及び後反応器45bに投入可能な圧力にまで昇圧する場合よりも、本実施形態の方が酸化剤圧縮機63の駆動力を抑えることができる。
【0294】
後反応器45bからの反応ガスRGは、反応ガスライン47を介して、第一反応ガス冷却器46aに流入する。第一反応ガス冷却器46aには、高圧蒸気タービン33から排気された高圧蒸気が、第三熱媒体として、第一高圧排気蒸気ライン85aを介して流入する。第一反応ガス冷却器46aでは、後反応器45bからの反応ガスRGと、高圧蒸気タービン33から排気された高圧蒸気との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、高圧蒸気が過熱される。
【0295】
第二予熱器44dでは、第二実施形態と同様、第一反応ガス冷却器46aで冷却された反応ガスRGと、気体アンモニアNHgとの熱交換により、反応ガスRGがさらに冷却される一方で、気体アンモニアNHgが予熱される。
【0296】
第二反応ガス冷却器46bは、第二実施形態と同様、第二予熱器44dで冷却された反応ガスRGと第三熱媒体としての給水との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、給水が加熱される。加熱された給水は、第二熱媒体として、第一予熱器44cに流入する。
【0297】
第二反応ガス冷却器46bで冷却された反応ガスRGは、残留原料除去装置130に流入し、第二実施形態と同様に、反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアが除去される。
【0298】
残留原料除去装置130からの処理済み反応ガスRGpは、燃料として、燃料ライン12を介して、燃焼器11cに流入する。処理済み反応ガスRGpは、この過程で、第一燃料予熱器13a、第二燃料予熱器13bにより順次予熱される。第一燃料予熱器13aは、第二実施形態の燃料予熱器13と同様、第二高圧節炭器25bからの高圧加熱水と処理済み反応ガスRGpとを熱交換させて、処理済み反応ガスRGpを加熱する。第二燃料予熱器13bには、第一燃料予熱器13aで加熱された処理済み反応ガスRGpが流入する。第二燃料予熱器13bには、さらに、第一反応ガス冷却器46aで過熱された蒸気が、第二高圧排気蒸気ライン85bを介して流入する。第二燃料予熱器13bでは、第一燃料予熱器13aで加熱された処理済み反応ガスRGpと第一反応ガス冷却器46aからの蒸気との熱交換により、処理済み反応ガスRGpを加熱する一方で、蒸気を冷却する。第二燃料予熱器13bで冷却された蒸気は、第三高圧排気蒸気ライン85cを介して、中圧蒸気タービン32に流入し、この中圧蒸気タービン32を駆動させる。第二燃料予熱器13bで加熱された処理済み反応ガスRGpは、燃焼器11cに流入する。
【0299】
以上のように、本実施形態では、各反応器45にアンモニアNHの酸化剤を導入して、このアンモニアNHの一部を燃焼させ、各反応器45内での熱分解反応の環境温度をたかめているため、反応ガスライン47を流れる反応ガスRG中のアンモニア濃度を低くすることができる。このため、本実施形態でも、第四実施形態と同様、残留原料除去装置130での消費エネルギーを抑えることができる。
【0300】
本実施形態では、酸化剤を前反応器45aと後反応器45bとに投入する。しかしながら、前反応器45aと後反応器45bとのうち、一方の反応器45に酸化剤を投入するようにしてもよい。なお、酸化剤を前反応器45aのみに投入する場合、後反応器45bは不要である。
【0301】
本実施形態では、高圧蒸気タービン33から排気された高圧蒸気に、第一反応ガス冷却器46aにおける高温の排熱を回収させる。そして、この高圧蒸気の熱を第二燃料予熱器13bで利用した後、この高圧蒸気を中圧蒸気タービン32に流入させている。よって、本実施形態では、第二燃料予熱器13bで高い温度まで昇温された処理済み反応ガスRGpをガスタービン11に供給することができるため、ガスタービン11の効率が高まると共に、中圧蒸気タービン32の入口にも高温の蒸気を供給することができるので、蒸気タービンの出力が増大し、プラントの効率を増大することができる。
【0302】
ガスタービン11の排気ガスEGのみを熱源として、アンモニアNHを分解反応させ、ガスタービン11に投入される燃料を予熱し、蒸気タービンを駆動する場合、アンモニアの反応温度、ガスタービン11に投入される燃料の温度、蒸気タービンの入口蒸気温度は、いずれもガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度よりも低くなる。しかしながら、本実施形態では、各反応器45a,45bにおいて、酸化剤によってアンモニアや反応ガスの一部を酸化させることによって、これらのガスを昇温しているので、原料流体(ここでは、アンモニア)の反応温度を反応ガス利用設備(又は排気ガス発生設備(ここでは、ガスタービン11))の出口における排気ガスEGの温度よりも高くすることができる。従って、反応器45の出口における反応ガス中(ここでは、アンモニア分解ガス)の残存原料(ここでは、アンモニア)の濃度を低減することができる。さらに、本実施形態では、ガスタービン11の出口における排気ガスEGよりも高温の反応ガスを冷却する排熱を用いて、ガスタービン投入燃料、蒸気タービン入口蒸気を昇温することができる。このため、本実施形態では、ガスタービン投入燃料温度、蒸気タービン入口蒸気温度を、ガスタービン11の出口における排気ガスEGの温度よりも高めることが可能であり、このような場合には特に高いプラント効率が得られる。つまり、反応ガス利用設備(又は排気ガス発生設備、ここではガスタービン11)の出口における排気ガスEGの温度よりも高い温度まで第三熱媒体(ここでは、高圧蒸気タービン33から排気された高圧蒸気)の温度を高めることができる。よって、本実施形態において、このように構成することで、プラント効率をさらに高めることができる。
【0303】
本実施形態では、原料流体NHの酸化剤として、燃焼用空気を用いる。しかしながら、酸化剤は燃焼用空気に限定されず、例えば、大気、酸素等、原料流体NHを酸化反応させることができる気体であれば、如何なる気体であってもよい。
【0304】
本実施形態では、給水予熱器37により、復水器34からの給水が低圧蒸気タービン31から抽気された蒸気との熱交換で加熱される。低圧蒸気タービン31から抽気された蒸気は、給水との熱交換により、凝縮して水になる。この水は、給水中に流入する。よって、本実施形態では、排熱回収ボイラ21に流入する給水の温度を高めることができる。排熱回収ボイラ21に流入する給水の温度が高くなると、排熱回収ボイラ21における各低圧節炭器23a,23bの入口及び出口の水温が高まり、低圧加熱水ライン76を介して第一予熱器44cに供給される水温も高まる。そこで、予熱器でアンモニアを加熱するための熱量が少ない場合には、本実施形態のように、給水予熱器37を設けると、予熱器に十分な量の熱を供給することが可能になる。よって、本実施形態のように、予熱器でアンモニアを加熱するための熱量が少ない場合には、給水予熱器37を設けることが好ましい。
【0305】
「第六実施形態」
原料流体の処理プラントの第六実施形態について、
図12を参照して説明する。
【0306】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第三実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。本実施形態の原料流体の処理プラントでは、第五実施形態と同様、アンモニアNHの一部を自己熱分解反応させる。
【0307】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、以上の実施形態と同様、原料反応設備40eと、反応ガス利用設備10と、排熱利用設備20eと、を備える。
【0308】
本実施形態の原料反応設備40eは、以上の実施形態の原料反応設備と同様、原料反応装置41eと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41eは、第三実施形態の原料反応装置41bと異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、以上の実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0309】
本実施形態の反応ガス利用設備10は、第三実施形態の反応ガス利用設備10と同じある。また、本実施形態の排熱利用設備20eは、第三実施形態の排熱利用設備20bと基本的に同じである。但し、原料反応装置41eを第三実施形態と異ならせた関係で、排熱利用設備20eを構成する各機器に接続されているライン構成等が第三実施形態と異なる。また、排熱回収ボイラ21eの構成も、第三実施形態の構成と異なる。
【0310】
本実施形態の排熱回収ボイラ21eは、基本的に、第三実施形態の排熱回収ボイラ21bと同様である。但し、本実施形態の排熱回収ボイラ21eは、低圧蒸発器として、第一低圧蒸発器23dと、第二低圧蒸発器23eとを有する。第一低圧蒸発器23dは、第一低圧節炭器23aと第二低圧節炭器23bとの間に配置されている。第二低圧蒸発器23eは、第二低圧節炭器23bと第一高圧節炭器25aとの間に配置されている。第一低圧蒸発器23dは、第一低圧節炭器23aからの水の一部と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱する。第二低圧節炭器23bは、第一低圧節炭器23aからの水の他の一部と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱する。第二低圧蒸発器23eは、第二低圧節炭器23bからの加熱水と排気ガスEGとを熱交換させて、この加熱水を加熱して蒸気にする。この蒸気は、低圧過熱器23fでさらに過熱されて低圧蒸気になる。
【0311】
本実施形態の原料反応装置41eは、第三実施形態の原料反応装置41bと同様、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、第一予熱器44eと、第二予熱器44fと、第三予熱器44gと、第四予熱器44hと、第五予熱器44iと、反応器45a,45bと、第一反応ガス冷却器46cと、第二反応ガス冷却器46dと、反応ガスライン47と、を有する。但し、本実施形態の反応器45a,45bは、第五実施形態と同様、前反応器45aと、後反応器45bと、を有する。本実施形態の原料反応装置41eは、さらに、第五実施形態と同様、酸化剤をアンモニアに投入する酸化剤投入装置60eを有する。
【0312】
本実施形態における酸化剤も、第五実施形態と同様、空気である。酸化剤投入装置60eは、第五実施形態と同様、酸化剤受入れライン61と、酸化剤冷却器62a,62bと、酸化剤圧縮機63と、酸化剤加熱器64と、酸化剤投入ライン65と、を有する。但し、本実施形態の酸化剤冷却器62a,62bは、第一酸化剤冷却器62aと、第二酸化剤冷却器62bと、を有する。
【0313】
酸化剤受入れライン61の一端は、ガスタービン11の燃焼用空気通路11bに接続されている。この酸化剤受入れライン61の他端は、酸化剤圧縮機63の入口に接続されている。第一酸化剤冷却器62a及び第二酸化剤冷却器62bは、この酸化剤受入れライン61に設けられている。
【0314】
第一酸化剤冷却器62aの媒体入口には、高圧給水ライン79の一端が接続されている。この高圧給水ライン79の他端は、排熱回収ボイラ21eにおける高圧ポンプ25pの吐出口に接続されている。第一酸化剤冷却器62aの媒体出口には、高圧給水回収ライン80の一端が接続されている。この高圧給水ライン79の他端は、排熱回収ボイラ21eにおける高圧蒸発器25cの入口に接続されている。第二酸化剤冷却器62bの媒体入口には、第二分岐給水ライン91aの一端が接続されている。この第二分岐給水ライン91aの他端は、給水ライン35に接続されている。第二酸化剤冷却器62bの媒体出口には、第二給水回収ライン75aの一端が接続されている。この第二給水回収ライン75aの他端は、給水ライン35中で、第二分岐給水ライン91aと給水ライン35との接続位置よりも排熱回収ボイラ21e側の位置である。
【0315】
本実施形態における第二予熱器44fの第二熱媒体入口には、低温低圧蒸気ライン88aの一端及び低圧抽気蒸気ライン90の一端が接続されている。低温低圧蒸気ライン88aの他端は、排熱回収ボイラ21eにおける第一低圧蒸発器23dの出口に接続されている。低圧抽気蒸気ライン90の他端は、低圧蒸気タービン31のケーシングに接続されている。第二予熱器44fの第二熱媒体出口には、連結低圧加熱水ライン78eの一端が接続されている。この連結低圧加熱水ライン78eの他端は、第一予熱器44eの第二熱媒体入口に接続されている。第二予熱器44fの第二熱媒体出口には、さらに、第二加熱水回収ライン78bの一端が接続されている。この第二加熱水回収ライン78bの他端は、第一低圧蒸発器23dの入口及び第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。第一予熱器44eの第二熱媒体出口には、第一加熱水回収ライン78aの一端が接続されている。この第一加熱水回収ライン78aの他端は、給水ライン35に接続されている。
【0316】
第四予熱器44hの第二熱媒体入口には、中圧抽気蒸気ライン93の一端が接続されている。この中圧抽気蒸気ライン93の他端は、中圧蒸気タービン32のケーシングに接続されている。第四予熱器44hの第二熱媒体出口には、連結中圧蒸気ライン89の一端が接続されている。この連結中圧蒸気ライン89の他端は、第三予熱器44gの第二熱媒体入口に接続されている。第三予熱器44gの第二熱媒体入口には、さらに、第二中圧排気蒸気ライン87aの一端が接続されている。この第二中圧排気蒸気ライン87aの他端は、中圧蒸気タービン32の出口に接続されている。第三予熱器44gの第二熱媒体出口には、第三加熱水回収ライン78cの一端が接続されている。この第三加熱水回収ライン78cの他端は、第一低圧蒸発器23dの入口及び第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。
【0317】
第五予熱器44iの第二熱媒体入口には、第三実施形態と同様、高圧蒸気ライン83の一端が接続されている。この高圧蒸気ライン83の他端は、第二高圧過熱器25eの出口に接続されている。第五予熱器44iの第二熱媒体出口には、第三実施形態と同様、高圧蒸気回収ライン86の一端が接続されている。この高圧蒸気回収ライン86の他端は、第一高圧再熱器26aの入口に接続されている。
【0318】
原料アンモニアポンプ43で昇圧された液体アンモニアNHは、第三実施形態と同様、第一予熱器44eに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換で予熱される。第一予熱器44eに流入する第二熱媒体は、第二予熱器44fから第一連結加熱水ライン78eを介して第一予熱器44eに流入する加熱水である。第一予熱器44eで、液体アンモニアNHとの熱交換で冷却された加熱水は、第一加熱水回収ライン78aを介して、給水ライン35に流入する。
【0319】
第一予熱器44eで予熱された液体アンモニアNHは、第二予熱器44fに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱され、気体アンモニアNHgになる。第二予熱器44fに流入する第二熱媒体は、第一低圧蒸発器23dから低温低圧蒸気ライン88aを介して第二予熱器44fに流入する低温低圧蒸気と、低圧蒸気タービン31から低圧抽気蒸気ライン90を介して第二予熱器44fに流入する低圧抽気蒸気である。この第二予熱器44fでは、アンモニアが液体から気体に一定の温度で相変化すると共に、このアンモニアとの熱交換対象である水も気体から液体に一定の温度で相変化する。このように、アンモニアとその熱交換対象との双方が一定の温度で相変化するため、
図8を用いて前述したように、双方の温度差を小さくすることができ、熱利用効率を高めることができる。この第二予熱器44fで、液体アンモニアNHとの熱交換で生成された加熱水の一部は、前述したように、連結低圧加熱水ライン78eを介して第一予熱器44eに流入する。また、この第二予熱器44fで、液体アンモニアNHとの熱交換で生成された加熱水の残りは、第二加熱水回収ライン78bを介して、第一低圧蒸発器23d及び第二低圧節炭器23bに流入する。
【0320】
第二予熱器44fで生成された気体アンモニアNHgは、第三予熱器44gに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。第三予熱器44gに流入する第二熱媒体は、第四予熱器44hから連結中圧蒸気ライン89を介して第三予熱器44gに流入する蒸気と、中圧蒸気タービン32から第二中圧排気蒸気ライン87aを介して第三予熱器44gに流入する蒸気とである。第三予熱器44gで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された蒸気は、凝縮して加熱水になる。この加熱水は、第三加熱水回収ライン78cを介して、第一低圧蒸発器23d及び第二低圧節炭器23bに流入する。
【0321】
第三予熱器44gで予熱された気体アンモニアNHgは、第四予熱器44hに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。第四予熱器44hに流入する第二熱媒体は、中圧蒸気タービン32から抽気され、中圧抽気蒸気ライン93を介して第四予熱器44hに流入する抽気中圧蒸気である。第四予熱器44hで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された蒸気は、前述したように、連結中圧蒸気ライン89を介して第三予熱器44gに流入する。
【0322】
第四予熱器44hで予熱された気体アンモニアNHgは、第五予熱器44iに流入し、ここで第二熱媒体との熱交換でさらに予熱される。第五予熱器44iに流入する第二熱媒体は、第三実施形態と同様、第二高圧過熱器25eから高圧蒸気ライン83を介して第五予熱器44iに流入する高圧蒸気である。第五予熱器44iで、気体アンモニアNHgとの熱交換で冷却された蒸気は、第三実施形態と同様、高圧蒸気回収ライン86を介して、第一高圧再熱器26aに流入する。
【0323】
ここで、排熱回収ボイラ21、蒸気タービン31,32,33、復水器34、給水ポンプ36、及び、これらを接続する各種配管は、ランキンサイクルを構成しており、これは第一熱サイクルの一種である。また、中圧蒸気タービン32の中間段、中圧蒸気タービン32の出口は、それぞれ、第一熱サイクル中の第一部の一種である。これらの箇所から取得された蒸気(第一熱サイクル媒体)は、それぞれ、第二熱媒体ラインの一種である、中圧抽気蒸気ライン93、第二中圧排気蒸気ライン87aによって、第四予熱器44h、第三予熱器44gに導かれる。第四予熱器44h及び第三予熱器44gで、原料流体(ここではアンモニア)との熱交換で冷却された各蒸気が凝縮して生じた水は、第二熱媒体回収ラインの一種である第三加熱水回収ライン78cによって、前記第一熱サイクル中の第一部よりも低い温度の水(第一熱サイクル媒体)が流れる第一低圧節炭器23aの出口(第二部)に導かれる。第二熱媒体ラインの一種である低圧抽気蒸気ライン90は、低圧蒸気タービン31の中間段(第一熱サイクル中の第一部)を流れる蒸気(第一熱サイクル媒体)の一部を第二予熱器44fに導く。また、第二熱媒体ラインの一種である低温低圧蒸気ライン88aは、第一低圧蒸発器23dで発生した蒸気の一部を第二予熱器44fに導く。第二熱媒体回収ラインの一種である第一加熱水回収ライン78aは、第二予熱器44f及び第一予熱器44eで原料流体(ここではアンモニア)と熱交換して冷却された蒸気が凝縮して生じた水を前記第一部よりも低い温度の水(第一熱サイクル媒体)が流れる給水ライン35(第二部)に導く。本構成により、熱サイクル中から適切な温度の熱を過不足なく予熱器に供給、原料流体の予熱に用いることができる。このため、本実施形態では、熱利用効率が高まる。
【0324】
ガスタービン11の空気圧縮機11aからの燃焼用空気の一部は、酸化剤受入れライン61を介して、酸化剤として第一酸化剤冷却器62a及び第二酸化剤冷却器62bに流入する。第一酸化剤冷却器62aには、第五実施形態の酸化剤冷却器62と同様、排熱回収ボイラ21eの高圧ポンプ25pからの高圧給水が、高圧給水ライン79を介して流入する。第一酸化剤冷却器62aは、酸化剤としての燃焼用空気と高圧給水とを熱交換させ、燃焼用空気を冷却する一方で、高圧給水を加熱する。加熱された高圧給水は、第五実施形態と同様、高圧給水回収ライン80を介して、排熱回収ボイラ21eの高圧蒸発器25cに流入する。第二酸化剤冷却器62bには、第一酸化剤冷却器62aで冷却された燃焼用空気が流入する。この第二酸化剤冷却器62bには、第二分岐給水ライン91aを介して給水も流入する。第二酸化剤冷却器62bは、酸化剤としての燃焼用空気と給水とを熱交換させ、燃焼用空気を冷却する一方で、給水を加熱する。加熱された給水は、第二給水回収ライン75aを介して、給水ライン35に流入する。
【0325】
酸化剤圧縮機63は、第二酸化剤冷却器62bで冷却された燃焼用空気を圧縮して、昇圧する。本実施形態では、第二酸化剤冷却器62bで、第一酸化剤冷却器62aで冷却された燃焼用空気をさらに給水で冷却しているため、酸化剤圧縮機63に流入する燃焼用空気の温度を第五実施形態よりも低くすることができる。よって、本実施形態では、第五実施形態よりも、酸化剤圧縮機63の駆動力を抑えることができる。酸化剤圧縮機63で圧縮された燃焼用空気は、酸化剤加熱器64に流入する。この酸化剤加熱器64には、第五実施形態と同様、第二高圧節炭器25bからの高圧加熱水が第二高圧加熱水ライン81aを介して流入する。酸化剤加熱器64は、酸化剤としての燃焼用空気と高圧加熱水とを熱交換させ、燃焼用空気を加熱する一方で、高圧加熱水を冷却する。酸化剤加熱器64で冷却された高圧加熱水は、第五実施形態と同様、第二高圧加熱水回収ライン82aを介して、中圧節炭器24aに流入する。酸化剤加熱器64は、前反応器45a及び後反応器45b内での反応を活性化させるため、燃焼用空気の温度を各反応器45a,45bに流入する酸化対象ガスの温度近く、若しくはこの温度以上にまで高める。
【0326】
前反応器45aには、第五予熱器44iからの気体アンモニアNHgと酸化剤投入装置60eからの燃焼用空気とが流入する。前反応器45a内では、気体アンモニアNHgの一部が燃焼用空気と酸化反応(燃焼)する。この酸化反応により生じた熱は、気体アンモニアNHgを加熱する。さらに、気体アンモニアNHgは、第一熱媒体加熱器27で加熱された第一熱媒体との熱交換で加熱される。よって、この前反応器45a内では、第三実施形態の反応器45内よりも、気体アンモニアNHgが加熱されて、高温になり、アンモニアの熱分解反応が促進される。
【0327】
後反応器45bには、前反応器45aからの反応ガスRGと酸化剤投入装置60eからの燃焼用空気とが流入する。後反応器45b内では、前反応器45aからの反応ガスRG中に含まれている気体アンモニアNHgの一部が燃焼用空気と酸化反応(燃焼)する。この酸化反応により生じた熱は、残っている気体アンモニアNHgを加熱する。よって、この後反応器45b内では、前反応器45aからの反応ガスRG中に含まれている気体アンモニアNHgが加熱されて、この気体アンモニアNHgの熱分解反応が促進される。
【0328】
以上のように、本実施形態でも、第五実施形態と同様、各反応器45a,45b内に酸化剤を投入することで、各反応器45a,45b内のアンモニアNHの一部が酸化反応することで、各反応器45a,45b内での熱分解反応の環境温度を高めることができる。このため、本実施形態は、各反応器45a,45bから流出する反応ガスRG中のアンモニア濃度を低くすることができる。
【0329】
後反応器45bからの反応ガスRGは、反応ガスライン47、第一反応ガス冷却器46c、第二反応ガス冷却器46dを介して、残留原料除去装置130に流入し、第三実施形態と同様に、反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアが除去される。
【0330】
「第七実施形態」
原料流体の処理プラントの第七実施形態について、
図13を参照して説明する。
【0331】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第二実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。本実施形態の原料流体の処理プラントは、アンモニアNHの予熱時の熱交換対象である第二熱媒体を排気ガスEGにしたプラントである。
【0332】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、以上の実施形態と同様、原料反応設備40fと、反応ガス利用設備10fと、排熱利用設備20fと、を備える。
【0333】
本実施形態の原料反応設備40fは、以上の実施形態の原料反応設備と同様、原料反応装置41fと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41fは、第二実施形態の原料反応装置41aと異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、以上の実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0334】
本実施形態の反応ガス利用設備10fは、以上の実施形態の反応ガス利用設備と基本的に同じある。本実施形態の排熱利用設備20fは、前述したように、アンモニアNHの予熱時の熱交換対象である第二熱媒体を排気ガスEGにした関係上、第二実施形態の排熱利用設備20aと異なる。
【0335】
本実施形態の原料反応装置41fは、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、第一予熱器44jと、第二予熱器44kと、第三予熱器44mと、反応器45と、第一反応ガス冷却器46eと、第二反応ガス冷却器46fと、反応ガスライン47と、を有する。
【0336】
アンモニア供給ライン42は、アンモニアタンクTと反応器45とを接続する。第一予熱器44j、第二予熱器44k、第三予熱器44mは、いずれも、このアンモニア供給ライン42に設けられている。
【0337】
本実施形態の第一予熱器44j及び第二予熱器44kは、伝熱管を有している。第一予熱器44jの伝熱管及び第二予熱器44kの伝熱管は、排熱回収ボイラ21のガス枠22内に配置されている。第一予熱器44jは、排気ガスEGの流れ方向で、第一低圧節炭器23aと実質的に同じ位置に配置されている。第二予熱器44kは、排気ガスEGの流れ方向で、第一低圧節炭器23aと第二低圧節炭器23bとの間に配置されている。よって、第二予熱器44kは、第一予熱器44jよりも、排気ガスEGの流れ方向の上流側に配置されている。また、第一予熱器44j及び第二予熱器44kは、複数の蒸発器のうち、最も下流側の蒸発器である低圧蒸発器23cよりも下流側に配置されている。一方、第一熱媒体加熱器27は、複数の蒸発器のうち、最も上流側の蒸発器である高圧蒸発器25cよりも上流側に配置されている。よって、第一予熱器44j及び第二予熱器44kと第一熱媒体加熱器27との間には、全ての蒸発器が配置されている。
【0338】
第一予熱器44jの伝熱管内及び第二予熱器44kの伝熱管内には、アンモニアNHが流れる。本実施形態で、伝熱管内のアンモニアNHと熱交換する第二熱媒体は、ガス枠22内を流れる排気ガスEGである。よって、ガス枠22の一部は、第二熱媒体が流れる第二熱媒体ラインを構成する。言い換えると、第二熱媒体ラインは、ガス枠22の一部を有して構成されている。
【0339】
反応ガスライン47は、第一反応ガスライン47aと第二反応ガスライン47bとを有する。第一反応ガスライン47aの一端は、反応器45の反応ガス出口に接続されている。この第一反応ガスライン47aの他端は、第三予熱器44mの第二熱媒体入口に接続されている。よって、本実施形態では、反応ガスRGが第二熱媒体の一種である。第一反応ガス冷却器46eは、この第一反応ガスライン47aに設けられている。第二反応ガスライン47bの一端は、第二予熱器44kの第二熱媒体出口に接続され、この第二反応ガスライン47bの他端は、残留原料除去装置130に接続されている。第二反応ガス冷却器46fは、この第二反応ガスライン47bに設けられている。
【0340】
第一反応ガス冷却器46eの第三熱媒体入口には、第一燃焼用空気ライン14aの一端が接続されている。よって、第一反応ガス冷却器46eで反応ガスRGと熱交換する第三熱媒体は、燃焼用空気である。この第一燃焼用空気ライン14aの他端は、ガスタービン11の燃焼用空気通路11bに接続されている。第一反応ガス冷却器46eの第三熱媒体出口には、第二燃焼用空気ライン14bの一端が接続されている。この第二燃焼用空気ライン14bの他端は、燃焼器11cに接続されている。
【0341】
以上のように、第一反応ガス冷却器46eの入口には、第一燃焼用空気ライン14aの一端が接続されており、第二実施形態のように、高圧蒸気ライン83は接続されていない。本実施形態では、高圧過熱器25dの出口と高圧蒸気タービン33の入口とを高圧蒸気ライン83で直接接続する。
【0342】
第二反応ガス冷却器46fの第三熱媒体入口には、給水ライン35から分岐している分岐給水ライン91が接続されている。よって、第二反応ガス冷却器46fで反応ガスRGと熱交換する第三熱媒体は、給水である。第二反応ガス冷却器46fの第三熱媒体出口には、加熱水回収ライン78の一端が接続されている。この加熱水回収ライン78の他端は、第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。
【0343】
原料アンモニアポンプ43で昇圧された液体アンモニアNHは、まず、第一予熱器44jに流入し、ここで第二熱媒体としての排気ガスEGとの熱交換で予熱される。第一予熱器44jで予熱された液体アンモニアNHは、第二予熱器44kに流入し、ここで、第二熱媒体としての排気ガスEGとの熱交換でさらに予熱される。この結果、液体アンモニアNHは気化して、気体アンモニアNHgになる。
【0344】
第二予熱器44kで生成された気体アンモニアNHgは、第三予熱器44mに流入する。第三予熱器44mには、第一反応ガス冷却器46eから第一反応ガスライン47aを介して反応ガスRGも流入する。第三予熱器44mでは、気体アンモニアNHgと反応ガスRGとの熱交換により、気体アンモニアNHgがさらに予熱される一方で、反応ガスRGが冷却される。よって、この第二予熱器44kは、アンモニアを予熱する予熱器として機能すると共に、反応ガスRGを冷却する反応ガス冷却器としても機能する。
【0345】
第三予熱器44mで予熱された気体アンモニアNHgは、反応器45に流入する。反応器45には、第二実施形態と同様、第一熱媒体も流入する。反応器45では、第一熱媒体と気体アンモニアNHgとの熱交換により、気体アンモニアNHgが加熱される。この結果、気体アンモニアNHgは熱分解反応して、反応ガスRGになる。
【0346】
反応器45で生成された反応ガスRGは、第一反応ガス冷却器46eに流入する。この第一反応ガス冷却器46eには、ガスタービン11の空気圧縮機11aから燃焼用空気通路11b及び第一燃焼用空気ライン14aを介して、燃焼用空気が第三熱媒体として流入する。第一反応ガス冷却器46eでは、反応ガスRGと燃焼用空気との熱交換で、反応ガスRGが冷却される一方で、燃焼用空気が加熱される。よって、第一反応ガス冷却器46eは、反応ガスRGを冷却する反応ガス冷却器として機能すると共に、燃焼用空気を加熱する空気予熱器としても機能する。反応ガス利用設備10fは、ガスタービン11の他、この空気予熱器としても機能する第一反応ガス冷却器46eを有する。
【0347】
第一反応ガス冷却器46eで冷却された反応ガスRGは、前述したように、第一反応ガスライン47aを介して、第三予熱器44mに流入する。この第三予熱器44mでは、前述したように、反応ガスRGがアンモニアNHとの熱交換でさらに冷却される。
【0348】
第三予熱器44mで冷却された反応ガスRGは、第二反応ガスライン47bを介して、第二反応ガス冷却器46fに流入する。第二反応ガス冷却器46fには、分岐給水ライン91から給水が第三熱媒体として流入する。第二反応ガス冷却器46fでは、反応ガスRGと給水との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、給水が加熱される。第二反応ガス冷却器46fで冷却された反応ガスRGは、第二反応ガスライン47bを介して、残留原料除去装置130に流入し、ここで、反応ガスRG中に含まれている残留アンモニアが除去される。また、第二反応ガス冷却器46fで加熱された給水は、加熱水回収ライン78を介して、第二低圧節炭器23bに流入する。
【0349】
本実施形態では、全ての蒸発器や過熱器等で多くの熱を奪われた排気ガスEG、つまり低温の排気ガスEGの熱をアンモニアNHの予熱に利用する。よって、本実施形態では、低温の排気ガスEGの熱を有効利用することができる。
【0350】
本実施形態では、燃焼器11cに流入する燃焼用空気を反応ガスRGの熱を利用して、予熱する。このため、燃焼器11cに流入する燃焼用空気の温度が高まり、ガスタービン11の効率を高めることができる。
【0351】
「第八実施形態」
原料流体の処理プラントの第八実施形態について、
図14及び
図15を参照して説明する。
【0352】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、第五実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。本実施形態の原料流体の処理プラントでは、第五実施形態に対して、アンモニアNHを予熱する第二熱媒体、及び、反応ガスRGを冷却する第三熱媒体を、変更した。
【0353】
本実施形態の原料流体の処理プラントも、以上の実施形態と同様、
図14に示すように、原料反応設備40gと、反応ガス利用設備10と、排熱利用設備20gと、を備える。
【0354】
本実施形態の原料反応設備40は、以上の実施形態の原料反応設備40と同様、原料反応装置41gと、残留原料除去装置130と、を有する。本実施形態の原料反応装置41gは、第二熱媒体及び第三熱媒体を第五実施形態に対して変更した関係で、第二実施形態の原料反応装置41dと異なる。一方、本実施形態の残留原料除去装置130は、以上の実施形態の残留原料除去装置130と同じである。
【0355】
本実施形態の反応ガス利用設備10は、以上の実施形態の反応ガス利用設備と基本的に同じある。本実施形態の排熱利用設備20gは、第五実施形態の排熱利用設備20dと基本的に同じである。但し、本実施形態の排熱利用設備20gは、高圧蒸気タービン33の出口と中圧蒸気タービン32の入口とを高圧排気蒸気ライン85で直接接続している点で、第五実施形態の排熱利用設備20dと異なる。
【0356】
本実施形態の原料反応装置41gは、アンモニア供給ライン42と、原料アンモニアポンプ43と、第一予熱器44cと、第二予熱器44dと、第三予熱器44nと、前反応器45aと、後反応器45bと、第一反応ガス冷却器46gと、第二反応ガス冷却器46hと、第三反応ガス冷却器46iと、第四反応ガス冷却器46jと、第一反応ガスライン47aと、第二反応ガスライン47bと、酸化剤投入装置60gと、ブレイトンサイクル100と、熱サイクル110と、ランキンサイクル120と、を有する。
【0357】
第一予熱器44c、第二予熱器44d、及び第三予熱器44nは、いずれも、アンモニア供給ライン42に設けられている。第一予熱器44cの第二熱媒体入口には、第二実施形態及び第五実施形態の第一予熱器44cと同様、低圧加熱水ライン76の一端が接続されている。この低圧加熱水ライン76の他端は、第二低圧節炭器23bの出口に接続されている。第一予熱器44cの第二熱媒体出口には、第二実施形態及び第五実施形態の第一予熱器44cと同様、加熱水回収ライン78の一端が接続されている。この加熱水回収ライン78の他端は、第二低圧節炭器23bの入口に接続されている。第二予熱器44dの第二熱媒体入口には、第二実施形態及び第五実施形態の第二予熱器44dと同様、第一反応ガスライン47aの一端が接続されている。この第一反応ガスライン47aの他端は、後反応器45bに接続されている。第二予熱器44dの第二熱媒体出口には、第二実施形態及び第五実施形態の第二予熱器44dと同様、第二反応ガスライン47bの一端が接続されている。この第二反応ガスライン47bの他端は、残留原料除去装置130に接続されている。
【0358】
第三予熱器44nは、第五実施形態の原料反応装置41dに新たに追加した予熱器である。この第三予熱器44nの第二熱媒体入口及び第二熱媒体出口は、いずれも、ブレイトンサイクル100に接続されている。このブレイトンサイクル100については、後ほど詳細に説明する。
【0359】
酸化剤投入装置60gは、第五実施形態の酸化剤投入装置60と基本的に同様である。但し、実施形態の酸化剤投入装置60gの酸化剤投入ライン65は、主酸化剤投入ライン65aと、第一酸化剤投入ライン65bと、第二酸化剤投入ライン65cと、を有する。主酸化剤投入ライン65aの一端は、酸化剤圧縮機63に接続されている。主酸化剤投入ライン65aの他端には、第三反応ガス冷却器46iの第三熱媒体入口に接続されている。この第三反応ガス冷却器46iの第三熱媒体出口には、第一酸化剤投入ライン65bの一端及び第二酸化剤投入ライン65cの一端が接続されている。第一酸化剤投入ライン65bの他端は、第五実施形態と同様、前反応器45aに接続されている。また、第二酸化剤投入ライン65cの他端は、第五実施形態と同様、後反応器45bに接続されている。よって、酸化剤投入装置60gからの酸化剤は、第五実施形態と同様、前反応器45aと後反応器45bとに投入される。
【0360】
第一反応ガス冷却器46g、第二反応ガス冷却器46h、及び第三反応ガス冷却器46iは、第一反応ガスライン47aに設けられている。第一反応ガス冷却器46gの第三熱媒体入口及び第三熱媒体出口は、いずれも、前述のブレイトンサイクル100に接続されている。第二反応ガス冷却器46hの第三熱媒体入口及び第三熱媒体出口は、いずれも、熱サイクル110に接続されている。この熱サイクル110については、後ほど詳細に説明する。
【0361】
第三反応ガス冷却器46iの第三熱媒体入口には、前述したように、主酸化剤投入ライン65aが接続されている。この第三反応ガス冷却器46iの第三熱媒体出口には、第一酸化剤投入ライン65b及び第二酸化剤投入ライン65cが接続されている。この第三反応ガス冷却器46iは、主酸化剤投入ライン65aからの酸化剤と第一反応ガスライン47aを流れる反応ガスRGとを熱交換させて、酸化剤を加熱する一方で、反応ガスRGを冷却する。よって、第三反応ガス冷却器46iは、反応ガスRGに対しては反応ガス冷却器として機能し、酸化剤に対しては酸化剤加熱器として機能する。
【0362】
第四反応ガス冷却器46jは、第二反応ガスライン47bに設けられている。この第四反応ガス冷却器46jの第三熱媒体入口及び第三熱媒体出口は、いずれも、ランキンサイクル120に接続されている。このランキンサイクル120については、後ほど詳細に説明する。
【0363】
ブレイトンサイクル100内を循環するブレイトンサイクル媒体は、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、空気等のガスである。ブレイトンサイクル媒体は、ブレイトンサイクル100内を循環する過程で相変化しない。このブレイトンサイクル100は、熱サイクルの一種で、
図15に示すように、ブレイトンサイクル媒体を圧縮する媒体圧縮機101と、媒体圧縮機101で圧縮されたブレイトンサイクル媒体を加熱する媒体加熱器102と、媒体加熱器102で加熱されたブレイトンサイクル媒体で駆動する媒体タービン103と、媒体タービン103から排気されたブレイトンサイクル媒体を冷却して媒体圧縮機101に戻す媒体冷却器104とを有する。
【0364】
媒体加熱器102は、前述の第一反応ガス冷却器46gである。この第一反応ガス冷却器46gには、媒体圧縮機101で圧縮されたブレイトンサイクル媒体が第三熱媒体入口から流入する。第一反応ガス冷却器46gでは、反応ガスRGとブレイトンサイクル媒体との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、ブレイトンサイクル媒体が加熱される。よって、第一反応ガス冷却器46gは、反応ガスRGに対しては反応ガス冷却器として機能し、ブレイトンサイクル媒体に対しては媒体加熱器として機能する。第一反応ガス冷却器46gの第三熱媒体出口からは、この第一反応ガス冷却器46gで加熱されたブレイトンサイクル媒体が流出する。このブレイトンサイクル媒体は、媒体タービン103に流入する。媒体冷却器104は、前述の第三予熱器44nである。この第三予熱器44nには、媒体タービン103から排気されたブレイトンサイクル媒体が第三熱媒体入口から流入する。第三予熱器44nでは、アンモニアとブレイトンサイクル媒体との熱交換により、アンモニアが加熱される一方で、ブレイトンサイクル媒体が冷却される。よって、第三予熱器44nは、アンモニアに対しては予熱器として機能し、ブレイトンサイクル媒体に対しては媒体冷却器として機能する。
【0365】
熱サイクル110内を循環する熱サイクル媒体は、例えば、二酸化炭素である。この熱サイクル110は、熱サイクル媒体が循環する過程で凝縮する場合にはランキンサイクルであり、熱サイクル媒体が循環する過程で凝縮しない場合にはブレイトンサイクルである。この熱サイクル110は、
図15に示すように、熱サイクル媒体の圧力を高める媒体昇圧機111と、媒体昇圧機111で昇圧された熱サイクル媒体を加熱する媒体加熱器112と、媒体加熱器112で加熱された熱サイクル媒体で駆動する媒体タービン113と、媒体タービン113から排気された熱サイクル媒体を冷却して媒体昇圧機111に戻す媒体冷却器114と、再生熱交換器115と、を有する。
【0366】
再生熱交換器115は、媒体昇圧機111で昇圧された熱サイクル媒体と媒体タービン113から排気された熱サイクル媒体とを熱交換させ、媒体昇圧機111で昇圧された熱サイクル媒体を加熱する一方で、媒体タービン113から排気された熱サイクル媒体を冷却する。この再生熱交換器115で加熱された熱サイクル媒体は、媒体加熱器112に流入し、ここでさらに加熱される。また、この再生熱交換器115で冷却された熱サイクル媒体は、媒体冷却器114に流入し、ここでさらに冷却される。この熱サイクルの媒体加熱器112は、前述の第二反応ガス冷却器46hである。この第二反応ガス冷却器46hには、媒体昇圧機111で昇圧された後に再生熱交換器115で加熱された熱サイクル媒体が第三熱媒体入口から流入する。第二反応ガス冷却器46hでは、反応ガスRGと熱サイクル媒体との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、熱サイクル媒体が加熱される。よって、第二反応ガス冷却器46hは、反応ガスRGに対しては反応ガス冷却器として機能し、熱サイクル媒体に対しては媒体加熱器として機能する。
【0367】
ランキンサイクル120内を循環するランキンサイクル媒体は、例えば、ヘキサン、ペンタン、アンモニア等、水よりも沸点が低い低沸点媒体である。よって、このランキンサイクル120は、低沸点媒体ランキンサイクルである。この低沸点媒体ランキンサイクル120は、熱サイクルの一種で、
図15に示すように、低沸点媒体を昇圧する媒体昇圧機121と、媒体昇圧機121で昇圧された低沸点媒体を加熱して気化させる媒体加熱器122と、媒体加熱器122で気化した低沸点媒体で駆動する媒体タービン123と、媒体タービン123から排気された低沸点媒体を冷却して凝縮させてから媒体昇圧機121に戻す媒体冷却器124と、再生熱交換器125と、を有する。
【0368】
再生熱交換器125は、媒体昇圧機121で昇圧された低沸点媒体と媒体タービン123から排気された低沸点媒体とを熱交換させ、媒体昇圧機121で昇圧された低沸点媒体を加熱する一方で、媒体タービン123から排気された低沸点媒体を冷却する。この再生熱交換器125で加熱された低沸点媒体は、媒体加熱器122に流入し、ここでさらに加熱されて気化する。また、この再生熱交換器125で冷却された低沸点媒体は、媒体冷却器124に流入し、ここでさらに冷却されて凝縮する。この低沸点媒体ランキンサイクル120の媒体加熱器122は、前述の第四反応ガス冷却器46jである。この第四反応ガス冷却器46jには、媒体昇圧機121で昇圧された後に再生熱交換器125で加熱された低沸点媒体が第三熱媒体入口から流入する。第四反応ガス冷却器46jでは、反応ガスRGと低沸点媒体との熱交換により、反応ガスRGが冷却される一方で、低沸点媒体が加熱される。よって、第四反応ガス冷却器46jは、反応ガスRGに対しては反応ガス冷却器として機能し、低沸点媒体に対しては媒体加熱器として機能する。
【0369】
本実施形態では、アンモニアNHを加熱する熱及び反応ガスRGを冷却する熱でブレイトンサイクル100を駆動させることができるので、プラントの出力を高めることができる。また、本実施形態では、反応ガスRGを冷却する熱で熱サイクル110や低沸点媒体ランキンサイクル120を駆動させることができるので、プラントの出力をさらに高めることができる。
【0370】
また、本実施形態では、第三反応ガス冷却器46iにおいて、反応ガスRGとの熱交換で酸化剤を加熱して、この酸化剤の温度を高めることができる。このため、本実施形態では、各反応器45a,45b内で熱分解反応の環境温度を高めることができ、反応ガスRG中の残留アンモニアの濃度を低くすることができる。
【0371】
本実施形態のプラントは、第五実施形態のプラントに、アンモニアを予熱すると共に反応ガスRGを冷却するために一つの熱サイクル110を追加すると共に、反応ガスRGを冷却するために二つの熱サイクル100,120を追加したプラントである。しかしながら、以上の三つの熱サイクル100,110,120のうち、いずれか一つ又は二つの熱サイクルのみを追加してもよい。
【0372】
「第九実施形態」
原料流体の処理プラントの第九実施形態について、
図16を参照して説明する。
【0373】
本実施形態の原料流体の処理プラントは、
図9を参照して説明した第四実施形態の原料流体の処理プラントの変形例である。第四実施形態における処理プラントの排熱利用設備20cは、排熱回収ボイラ21cと、この排熱回収ボイラ21cからの蒸気を利用する蒸気利用設備としての蒸気タービン31,32,33及び復水器34と、を備える。本実施形態における処理プラントの排熱利用設備20hは、第四実施形態と同様の排熱回収ボイラ21cと、この排熱回収ボイラ21cからの蒸気を利用する蒸気利用設備としての複数の蒸気利用器151,152,153と、を備える。すなわち、本実施形態における処理プラントの排熱利用設備20hは、第四実施形態における処理プラントの蒸気タービン31,32,33及び復水器34の替わりに、複数の蒸気利用器151,152,153と、を備える。
【0374】
本実施形態では、複数の蒸気利用器151,152,153として、高圧蒸気利用器153と、中圧蒸気利用器152と、低圧蒸気利用器151と、を有する。
【0375】
高圧蒸気利用器153の蒸気入口は、排熱回収ボイラ21cの第三高圧再熱器26cの出口と高圧再熱蒸気ライン84により接続されている。高圧蒸気利用器153の蒸気出口は、中圧蒸気利用器152の蒸気入口と高圧排気蒸気ライン85により接続されている。この高圧排気蒸気ライン85には、減圧弁154が設けられている。高圧排気蒸気ライン85中で、減圧弁154よりも中圧蒸気利用器側の位置からは、第二高圧排気蒸気ライン85bが分岐している。この第二高圧排気蒸気ライン85bは、第四実施形態と同様、残留原料除去装置130のリボイラ139に接続されている。中圧蒸気利用器152の蒸気出口は、低圧蒸気利用器151の蒸気入口と中圧排気蒸気ライン87により接続されている。この中圧排気蒸気ライン87には、減圧弁156が設けられている。中圧排気蒸気ライン87中で、減圧弁156よりも、低圧蒸気利用器側の位置には、低圧蒸気ライン88の一端が接続されている。この低圧蒸気ライン88の他端は、第四実施形態と同様、排熱回収ボイラ21cにおける低圧過熱器23fの出口に接続されている。低圧蒸気利用器151の出口は、排熱回収ボイラ21cと給水ライン35により接続されている。なお、低圧蒸気利用器151では、蒸気入口から流入した蒸気が凝縮し、液相の水として、出口から流出する。本実施形態では、この際発生する凝縮熱も利用する。
【0376】
本実施形態では、排熱回収ボイラ21cと、複数の蒸気利用器151,152,153と、を有して、排熱利用熱サイクルを構成する。
【0377】
本実施形態のように、蒸気タービン31,32,33及び復水器34の替わりに、複数の蒸気利用器151,152,153を設けても、原料流体の反応に必要な熱や、この反応に伴って発生する熱と、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体(蒸気又は水)の熱との間で、温度レベルに応じた熱回収又は熱利用することができる。
【0378】
なお、本実施形態は、第四実施形態の変形例であるが、他の実施形態及びその変形例においても、本実施形態と同様、蒸気タービン31,32,33及び復水器34の替わりに、複数の蒸気利用器151,152,153を設けてもよい。この場合においても、本実施形態と同様、原料流体の反応に必要な熱や、この反応に伴って発生する熱と、排熱利用熱サイクル内を流れる熱サイクル媒体の熱との間で、温度レベルに応じた熱回収又は熱利用することができる。以上のように、本発明における熱サイクル、あるいは、排熱利用熱サイクルは、動力を取り出すものに限られず、熱利用を目的として熱媒体を循環させるサイクルであってもよい。
【0379】
「変形例」
第二実施形態のプラント(
図5)では、高圧過熱器25dからの高圧蒸気の全量を第一反応ガス冷却器46aで昇温した後、高圧蒸気タービン33に供給している。しかしながら、第一反応ガス冷却器46aの排熱のみで十分な熱量が得られない場合、高圧過熱器25dからの高圧蒸気の一部のみを第一反応ガス冷却器46aで昇温した後、高圧蒸気タービン33に供給してもよい。この場合、排熱回収ボイラ21のガス枠22内の高圧過熱器25dと第一熱媒体加熱器27との間の位置に第三高圧過熱器を設ける。高圧過熱器25dを出た蒸気のうち、一部の蒸気を第一反応ガス冷却器46aに送り、残りの蒸気を第三高圧過熱器に送って、第三高圧過熱器で過熱する。第三高圧過熱器で過熱された蒸気は、第三高圧蒸気ラインを介して、第二高圧蒸気ライン83bに合流し、第一反応ガス冷却器46aで昇温された蒸気と混合して高圧蒸気タービン33に供給される。
【0380】
第二実施形態では、前述したように、第三熱媒体ラインの一種である第一高圧蒸気ライン83aが、高圧過熱器25dの出口(ランキンサイクル中の第一部)から流出する蒸気の全量を第一反応ガス冷却器46aに導く。また、第三熱媒体回収ラインの一種である第二高圧蒸気ライン83bは、第一反応ガス冷却器46aで反応ガスと熱交換されて過熱された蒸気を、高圧過熱器25dの出口(第一部)よりも高い温度の蒸気を流す高圧蒸気タービン33(第二部)の入口に導く。しかしながら、以上で説明した第二実施形態の変形例のように、第三熱媒体ラインの一種である第一高圧蒸気ライン83aが、高圧過熱器25dの出口(ランキンサイクル中の第一部)から流出する蒸気の一部を第一反応ガス冷却器46aに導いてもよい。第二実施形態の変形例では、高圧過熱器25で過熱された高圧蒸気の残りを前記第三高圧過熱器でさらに過熱し、この蒸気を、前記第三高圧蒸気ラインを介して高圧蒸気タービン33に導く。この変形例において、第三熱媒体回収ラインの一種である第二高圧蒸気ライン83bは、第一反応ガス冷却器46aで反応ガスと熱交換されて過熱された蒸気を、高圧過熱器25dの出口(第一部)よりも高い温度の蒸気が流れる前記第三高圧蒸気ライン(第二部)に導く。前記第三高圧過熱器で過熱された蒸気、及び第一反応ガス冷却器46aで過熱された蒸気は、前述したように、高圧蒸気タービン33に供給される。
【0381】
第四実施形態のプラントは、バーナ28からの燃料の燃焼で形成された燃焼ガスと第一熱媒体とを熱交換させて、第一熱媒体を加熱するアシスト媒体加熱機構を,第三実施形態のプラントに追加したプラントである。しかしながら、このアシスト媒体加熱機構を他の実施形態のプラントに追加してもよい。
【0382】
第五実施形態のプラントは、第二実施形態のプラントに、酸化剤投入装置60を追加したプラントである。また、第六実施形態のプラントは、第三実施形態のプラントに、酸化剤投入装置60eを追加したプラントである。しかしながら、酸化剤投入装置を他の実施形態のプラントに追加してもよい。
【0383】
以上の各実施形態では、反応器内で、原料流体(アンモニア)を高温の第一熱媒体(水蒸気)と熱交換させて加熱することを必須としている。しかしながら、原料流体を加熱する方法として、原料流体を第一熱媒体と熱交換させ加熱する方法を必須としなくてもよい。例えば、第五実施形態のプラントに設置されていたような酸化剤投入装置を設け、反応器45に酸化剤を投入し、原料流体や反応ガスを酸化させることのみで、原料流体や反応ガスを加熱する方法を採用してもよい。また、反応器内の原料流体に高温の媒体を混合させることで、反応器内の原料流体を加熱する方法を採用してもよい。いずれの加熱方法によっても、反応器の出口における反応ガスを高温とすることができ、当該反応ガスと燃料や熱サイクル媒体を熱交換させることによって、燃料や熱サイクル媒体の温度を高め、プラント効率を高めることができる。
【0384】
第八実施形態のプラントは、第五実施形態のプラントに、前述の三つの熱サイクル100,110,120を追加したプラントである。しかしながら、三つの熱サイクル100,110,120のうち、少なくとも一つの熱サイクルを他のプラントに追加してもよい。
【0385】
第五実施形態及び第八実施形態のプラントは、給水予熱器37を備えている。一方、第一から第四実施形態、第六実施形態、第七実施形態のプラントは、給水予熱器37を備えていない。しかしながら、第一から第四実施形態、第六実施形態、第七実施形態のプラントに給水予熱器37を追加してもよい。
【0386】
以上の各実施形態では、反応ガスRG中から残留アンモニアを除く方法として、吸収塔131において、反応ガスRGと水とを接触させる方法を採用している。しかしながら、反応ガスRG中から残留アンモニアを除く方法として、圧力変動吸着法(PSA)を採用してもよい。
【0387】
反応ガスRGに含まれている残留アンモニアの濃度が低い場合、この反応ガスRGを燃料としてガスタービン11に送っても、燃料の燃焼で生成される排気ガスEG中のNOx濃度はあまり高くならない。仮に、このNOx濃度が規制値以下の場合には、以上の各実施形態における原料反応設備40中の残留原料除去装置130を省くことができる。残留原料除去装置130を省くことができれば、設備コストを抑えることができる。また、残留原料除去装置130を省くことができれば、残留原料除去装置130でのアンモニア除去を促進するために反応ガスRGを冷却する必要がなくなる上に、残留原料除去装置130からの反応ガスRGを加熱してから、ガスタービン11に送る必要もなくなる。よって、残留原料除去装置130を省くことができれば、反応ガスRGの冷却及び加熱に利用する熱エネルギーを例えば、蒸気タービン31,32,33の駆動等のために有効活用することができる。
【0388】
以上の本実施形態の反応ガス利用設備は、ガスタービン設備である。しかしながら、原料流体を反応させて、この反応で得られた反応ガスを利用することができれば、ガスタービン設備に限定されず、例えば、レシプロ式ガスエンジン設備や燃料電池設備やボイラ設備であってもよい。また、反応ガス利用設備は、化学合成の原料として反応ガスを利用してもよい。さらに、得られた反応ガスを貯蔵、輸送等して用いることとしてもよい。
【0389】
以上の各実施形態の排気ガス発生設備は、ガスタービン設備である。しかしながら、稼働に伴い排気ガスが発生する設備であれば、ガスタービン設備に限定されず、例えば、レシプロ式ガスエンジン設備や燃料電池設備、ボイラ設備であってもよい。また、排気ガス発生設備は反応ガスや処理済み反応ガスを利用し、この排気ガス発生設備が反応ガス利用設備を兼ねていてもよい。この場合、反応ガスや処理済み反応ガス以外の天然ガスや石油、石炭等の燃料を排気ガス発生設備に供給してもよい。この場合、排気ガス発生設備は、天然ガスや石油、石炭等の燃料と、反応ガスや処理済み反応ガスと併用してよい。なお、排気ガス発生設備には、反応ガスや処理済み反応ガス以外の天然ガスや石油、石炭等の燃料のみを供給してもよい。この場合、排気ガス発生設備は反応ガス利用設備ではない。
【0390】
以上の実施形態のプラントでは、反応ガス利用設備と排熱利用設備のボイラとが別個に存在する。しかしながら、燃料を燃焼させ、その結果生成された排気ガスの熱を利用する一般的なボイラで、反応ガス利用設備と排熱利用設備のボイラとを構成するようにしてもよい。
【0391】
以上の各実施形態の原料流体は、液体アンモニアである。しかしながら、原料流体は、熱分解反応等の反応で得られる反応ガスを、何らかの反応ガス利用設備で利用できれば、例えば、メタノールや、ジメチルエーテル等であってもよい。メタノールは、熱分解反応により水素と一酸化炭素とに分解する。また、メタノール及びジメチルエーテルは、吸熱反応を伴う水蒸気改質反応により、水素と二酸化炭素とが生成される。なお、水蒸気改質反応を行う場合、各実施形態が備えている、排熱利用設備の、例えば高圧過熱器出口等から反応に必要な水蒸気を用いてもよい。
【符号の説明】
【0392】
10,10d,10f:反応ガス利用設備
11:ガスタービン
11a:空気圧縮機
11b:燃焼用空気通路
11c:燃焼器
11d:タービン
12:燃料ライン
12a:第一燃料ライン
12b:第二燃料ライン
12c:分岐燃料ライン
13:燃料予熱器
13a:第一燃料予熱器
13b:第二燃料予熱器
14a:第一燃焼用空気ライン
14b:第二燃焼用空気ライン
15:天然ガスライン
20,20a,20b,20c,20e,20f,20h:排熱利用設備
21,21b,21c,21e,21f:排熱回収ボイラ
22:ガス枠
23a:第一低圧節炭器
23b:第二低圧節炭器
23c:低圧蒸発器
23d:第一低圧蒸発器
23e:第二低圧蒸発器
23f:低圧過熱器
24a:中圧節炭器
24b:中圧蒸発器
24p:中圧ポンプ
25a:第一高圧節炭器
25b:第二高圧節炭器
25c:高圧蒸発器
25d:高圧過熱器(第一高圧過熱器)
25e:第二高圧過熱器
25p:高圧ポンプ
26a:第一高圧再熱器
26b:第二高圧再熱器
26c:第三高圧再熱器
27:第一熱媒体加熱器
27a:第一低温熱媒体加熱器
27b:第一高温熱媒体加熱器
28:バーナ
29:仕切り部材
29a:第一排気ガス流路
29b:第二排気ガス流路
31:低圧蒸気タービン
32:中圧蒸気タービン
33:高圧蒸気タービン
34:復水器
35:給水ライン
36:給水ポンプ
37:給水予熱器
39:煙突
40,40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g:原料反応設備
41,41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g:原料反応装置
42:アンモニア供給ライン
42a:第一アンモニア供給ライン
42b:第二アンモニア供給ライン
42c:第三アンモニア供給ライン
42d:第四アンモニア供給ライン
42e:第五アンモニア供給ライン
42f:第六アンモニア供給ライン
43:原料アンモニアポンプ
44:予熱器
44a,44c,44e,44j:第一予熱器
44b,44d,44f,44k:第二予熱器
44g,44m,44n:第三予熱器
44h:第四予熱器
44i:第五予熱器
45:反応器
45a:前反応器
45b:後反応器
46:反応ガス冷却器
46a,46c,46e,46g:第一反応ガス冷却器
46b,46d,46f,46h:第二反応ガス冷却器
46i:第三反応ガス冷却器
46j:第四反応ガス冷却器
47:反応ガスライン
47a:第一反応ガスライン
47b:第二反応ガスライン
47c:第三反応ガスライン
51:第一熱媒体ライン
51a:第一低温熱媒体ライン
51b:第一高温熱媒体ライン
52:第一熱媒体回収ライン
52a:第一低温熱媒体回収ライン
52b:第一高温熱媒体回収ライン
53:第一熱媒体昇圧機
55:熱媒体補充ライン
56:熱媒体補充弁
60,60e,60g:酸化剤投入装置
61:酸化剤受入れライン
62:酸化剤冷却器
62a:第一酸化剤冷却器
62b:第二酸化剤冷却器
63:酸化剤圧縮機
64:酸化剤加熱器
65:酸化剤投入ライン
65a:主酸化剤投入ライン
65b,65d:第一酸化剤投入ライン
65c,65e:第二酸化剤投入ライン
71:第一リボイラ用媒体ライン
72:第二リボイラ用媒体ライン
73:リボイラ用媒体回収ライン
74:リボイラ用媒体昇圧機
75:給水回収ライン
75a:第二給水回収ライン
76:低圧加熱水ライン
77:中圧加熱水ライン
78:加熱水回収ライン
78a:第一加熱水回収ライン
78b:第二加熱水回収ライン
78c:第三加熱水回収ライン
78d:連結低圧加熱水ライン
78e:第一連結加熱水ライン(連結低圧加熱水ライン)
78f:第二連結加熱水ライン
79:高圧給水ライン
80:高圧給水回収ライン
81:高圧加熱水ライン
81a:第二高圧加熱水ライン
82:高圧加熱水回収ライン
82a:第二高圧加熱水回収ライン
83:高圧蒸気ライン
83a:第一高圧蒸気ライン
83b:第二高圧蒸気ライン
84:高圧再熱蒸気ライン
85:高圧排気蒸気ライン
85a:第一高圧排気蒸気ライン
85b:第二高圧排気蒸気ライン
85c:第三高圧排気蒸気ライン
86:高圧蒸気回収ライン
87:中圧排気蒸気ライン
87a:第二中圧排気蒸気ライン
88:低圧蒸気ライン
88a:低温低圧蒸気ライン
89:連結中圧蒸気ライン
90:低圧抽気蒸気ライン
91:分岐給水ライン
91a:第二分岐給水ライン
92:連結給水ライン
93:中圧抽気蒸気ライン
94:抽気蒸気回収ライン
95:抽気蒸気ライン
100:ブレイトンサイクル
101:媒体圧縮機
102:媒体加熱器
103:媒体タービン
104:媒体冷却器
110:熱サイクル
120:低沸点媒体ランキンサイクル
111,121:媒体昇圧機
112,122:媒体加熱器
113,123:媒体タービン
114,124:媒体冷却器
115,125:再生熱交換器
130:残留原料除去装置
131:吸収塔
132:再生塔
133:アンモニア水ライン
134:水ライン
135:水供給ポンプ
136:熱交換器
137:水循環ライン
138:凝縮器
139:リボイラ
140:回収アンモニアライン
141:回収アンモニア昇圧機
151:低圧蒸気利用器
152:中圧蒸気利用器
153:高圧蒸気利用器
154,156:減圧弁
T:アンモニアタンク
EG:排気ガス
NH:原料流体(アンモニア)
NHg:気体アンモニア(又は気相のアンモニア)
RG:反応ガス
RGp:処理済み反応ガス
NG:天然ガス