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特開2024-92036延長チューブポートプローブへのアクセスが改善された統合型末梢静脈内カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092036
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】延長チューブポートプローブへのアクセスが改善された統合型末梢静脈内カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074874
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2023001152の分割
【原出願日】2018-07-13
(31)【優先権主張番号】15/654,467
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ビールマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ボーンホフト
(57)【要約】
【課題】延長チューブサイドポートを介してデバイス流体通路への、および、患者の血管系内へのプローブアクセスを容易にし、さらにカテーテルアダプタの近くへのアクセス可能とし必要なプローブの長さを短くする、統合カテーテルなどの血管アクセスデバイスを得る。
【解決手段】血管アクセスデバイスである。生物学的部位に挿入するためのカテーテル、カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタであって、前記カテーテルハブは、前記カテーテルに作動可能に連結された第1の端部、前記第1の端部とは反対側にある第2の端部、およびそれらの間に内部流体通路を画定する内壁を有し、前記サイドポートは前記内部流体通路と流体連通している、カテーテルアダプタ、および前記第2の端部でシールを形成して前記サイドポートから前記第1の端部に向かって前記カテーテルハブに入るプローブの向きをそらすように構成された隔壁、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスデバイスであって、
生物学的部位に挿入するためのカテーテル、
カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタであって、前記カテーテルハブは、前記カテーテルに作動可能に連結された第1の端部、前記第1の端部とは反対側にある第2の端部、およびそれらの間に内部流体通路を画定する内壁を有し、前記サイドポートは前記内部流体通路と流体連通している、カテーテルアダプタ、および
前記第2の端部でシールを形成して前記サイドポートから前記第1の端部に向かって前記カテーテルハブに入るプローブの向きをそらすように構成された隔壁、
を備える、血管アクセスデバイス。
【請求項2】
前記隔壁が、前記第2の端部に挿入されたニードルを格納するように構成されている、請求項1に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項3】
前記隔壁が、前記サイドポート内に少なくとも部分的に延びている、請求項1に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項4】
前記内壁の少なくとも一部を画定するカテーテルウェッジをさらに備える、請求項1に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項5】
前記プローブが、90度より大きい接触角で前記カテーテルウェッジに接触する、請求項4に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項6】
前記接触角が、前記内部流体通路の長さに沿って前記第1の端部まで90度より大きい、請求項5に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項7】
前記接触角が、120度より大きい、請求項5または6に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項8】
前記サイドポートから前記カテーテルハブに入るプローブの入口角が45度未満である、請求項1~7のいずれかに記載の血管アクセスデバイス。
【請求項9】
前記サイドポートに接続され、流体連結された延長チューブをさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載の血管アクセスデバイス。
【請求項10】
前記サイドポートの内径が、前記延長チューブの内径よりも大きい、請求項9に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項11】
前記延長チューブに接続されたアクセスアダプタをさらに備え、前記アクセスアダプタは、前記サイドポートを介して前記カテーテルにプローブを挿入することを可能にする、請求項9または10に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項12】
前記アクセスアダプタが、前記延長チューブの内径よりも小さい内径のルーメンを画定している、請求項11に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項13】
前記アクセスアダプタが、ルアーアダプタ、ニードルレスコネクタ、流体制御バルブ、および非ルアー専有アクセスバルブからなる群から選択される、請求項11または12に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の血管アクセスデバイス、および
前記カテーテルアダプタの前記サイドポートを介しておよび前記カテーテルを介して挿入されるように構成されたプローブ、
を備える、システム。
【請求項15】
前記プローブが、流体を投与するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プローブが、血液を取り出すように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記プローブが、センサーの配置のために構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
請求項9に記載の血管アクセスデバイスを使用する方法であって、前記方法が、
前記延長チューブにプローブを挿入すること、
前記プローブを、前記延長チューブを介して前記サイドポート内に前進させること、
前記プローブを、前記サイドポートから前記内部流体通路を介して前記カテーテル内に前進させること、および
前記プローブを、前記カテーテルを介して対象の末梢血管系内に前進させること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記プローブが、前記内部流体通路の長さに沿って90度より大きい角度で、前記内壁との接触角を維持する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プローブが、前記延長チューブに挿入される前にアクセスアダプタを通過し、前記アクセスアダプタが、前記延長チューブと流体連通し、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、前記サイドポートを介して前記カテーテルへの前記プローブの挿入を可能にする、請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管アクセスデバイスに関する。より具体的には、本発明は、延長チューブサイドポートを介して流体経路および/または患者の血管系へのプローブアクセスを可能にする統合カテーテルシステムの改良、および統合カテーテルシステムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢静脈内カテーテル(PIVC)は、血管系への迅速なアクセスを可能にする。プローブをカテーテルの流路内に配置し、血管系内に前進させて、流体または薬物の投与、血液の採取を可能とし、および/または、システムもしくは患者データを測定するためのセンサーを配置することができる。統合カテーテルは、多くの理由で広く普及している。統合カテーテルは、PIVCの個別の構成要素(カテーテルデバイス、延長チューブ、および無針コネクタなど)を単一の統合デバイスに組み合わせて、医療従事者のIVカテーテル障害、血液暴露、針刺しのリスクを低減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部のプローブには、統合カテーテルでのそれらの使用に制限がある。たとえば、現在、Velano Vascular PIVC血液サンプリングシステムは、非統合PIVCおよびSmartSite(商標)およびQ-Syte(商標)ニードルレスコネクタなど、遮られていない流体経路を有する特定のニードルレスコネクタとのみ互換性があるため、Nexiva(商標)またはNexiva(商標)Diffusics(商標)クローズドIVカテーテルシステムなどの統合カテーテルでは現在、動作しない。この制限は、統合カテーテルを使用して、延長チューブの端にあるルアーアダプタから、延長チューブ、カテーテルアダプタ、カテーテルを介して、および、カテーテルチップを超えて、血管系に送られるプローブに対する長さの要件に関連している。別の制限は、プローブが既存の統合カテーテルの流体経路をたどって、妨げられずに血管系に到達できないことに関する。Nexiva(商標)およびその他の統合カテーテルの場合、延長チューブを介してカテーテルアダプタに入るプローブは、システムに送り込まれている間、カテーテル内で、およびカテーテルを越えて回転することができない場合がある。
【0004】
したがって、このような支障なしに、延長チューブサイドポートを介してデバイス流体通路への、および、患者の血管系内へのプローブアクセスを容易にし、さらにカテーテルアダプタの近くへのアクセス可能とし必要なプローブの長さを短くする、統合カテーテルなどの血管アクセスデバイスを得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、血管アクセスデバイスが開示される。実施形態では、血管アクセスデバイスは統合カテーテルである。
【0006】
実施形態では、血管アクセスデバイスは、生物学的部位への挿入のためのカテーテル、ならびにカテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタを含み、カテーテルハブは、カテーテルに動作可能に連結された第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、およびそれらの間の内部流体通路を画定する内壁を有し、サイドポートは、内部流体通路と流体連通している。
【0007】
実施形態では、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの接触角が90度よりも大きい。特定の実施形態では、接触角は、内部流体通路の長さに沿って、第1の端部まで90度より大きい。実施形態では、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの入口角(entrance angle)は45度未満である。
【0008】
実施形態では、内壁とサイドポートの長手方向軸線との間の角度(すなわち、「サイドポート角度」)が90度よりも大きい。実施形態では、内壁は、第2の端部に近位の内部流体通路の大径部分と第1の端部の内部流体通路の小径部分との間の移行ステップ(transition step)を画定する。いくつかの実施形態では、移行ステップに関して、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの接触角は90度より大きい。
【0009】
態様において、血管アクセスデバイスは、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの経路を第1の端部に向けるように構成された構成要素を含む。特定の実施形態では、構成要素は、a)サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブのルーメン内に延びる突出部であり、b)少なくとも部分的に、カテーテルハブ内の隔壁、またはc)突出部と隔壁の組み合わせである。実施形態では、血管アクセスデバイスは、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、サイドポートと流体連通し、サイドポートを介してカテーテルにプローブを挿入することを可能にするアクセスアダプタを含む。
【0010】
一の態様では、血管アクセスデバイスを使用する方法が開示され、当該方法は、延長チューブ内にプローブを挿入する工程と、プローブを、延長チューブを介してサイドポート内に前進させる工程と、プローブを、サイドポートから内部流体通路を介してカテーテル内に前進させる工程と、プローブを、カテーテルを介して対象の末梢血管系内に前進させる工程とを含む。実施形態において、プローブは、内部流体通路の長さに沿って90度を超える内壁との接触角を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ニードルレスコネクタおよび空気抜きプラグを備えた統合カテーテルを示している。
図2図2は、サイドポートを備えたカテーテルアダプタを示している。
図3図3は、サイドポートとプローブを備えたカテーテルアダプタを示している。
図4図4は、サイドポート、プローブ、およびサイドポート内の突出部を備えたカテーテルアダプタを示している。
図5図5は、サイドポート、プローブ、および拡張カテーテルウェッジ(extended catheter wedge)を備えたカテーテルアダプタを示している。
図6図6は、サイドポート、プローブ、および隔壁の特徴(septum feature)を備えたカテーテルアダプタを示している。
図7図7は、サイドポート、プローブ、拡張カテーテルウェッジ、およびサイドポート内の突出部を備えたカテーテルアダプタを示している。
図8図8は、サイドポート、プローブ、およびカテーテルハブの内壁の一部を形成する凸状カテーテルウェッジを備えたカテーテルアダプタを示している。
図9図9は、カテーテルハブの内壁の一部を形成するサイドポート、プローブ、および凹状カテーテルウェッジを備えたカテーテルアダプタを示している。
図10図10は、カテーテルハブに対して浅い入口角を有するサイドポートを備えたカテーテルアダプタを示している。
図11図11は、プローブアダプタとルアーアダプタを備えた統合カテーテルを示している。
図12図12は、ニードルレスコネクタおよびルアーアダプタを備えた統合カテーテルを示している。
図13図13は、流体制御アダプタおよびルアーアダプタを備えた統合カテーテルを示している。
図14図14は、非ルアー隔壁アダプタおよびルアーアダプタを備えた統合カテーテルを示している。
図15A図15Aは、ルアーアダプタとして単一ポートニアアクセスアダプタ(single port near access adapter)を備えて構成されたサイドポートを示し、本明細書の実施形態で使用するニアアクセスアダプタ(near access adapter)の3つの構成のうちの1つを示している。
図15B図15Bは、2つのルアーアダプタとしてデュアルポートニアアクセスアダプタ(dual port near access adapter)を備えて構成された延長チューブを示し、本明細書の実施形態で使用するニアアクセスアダプタ(near access adapter)の3つの構成のうちの1つを示している。
図15C図15Cは、ルアーアダプタとして構成されたデュアルポートニアペイシェントアクセスアダプタ(dual port near patient access adapter)および二次延長チューブを備えて構成された延長チューブを示し、本明細書の実施形態で使用するニアアクセスアダプタ(near access adapter)の3つの構成のうちの1つを示している。
図16A図16Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、統合カテーテルへのプローブの挿入のためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。
図16B図16Bは、図16Aのニアアクセスアダプタの詳細図である。
図17A図17Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、統合カテーテルへのプローブの挿入のためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。
図17B図17Bは、図17Aのニアアクセスアダプタの詳細図である。
図18図18は、統合されたSmartSite(商標)ニードルレスコネクタを含む、統合カテーテルにプローブを挿入するためのニアアクセスアダプタの別の構成を示す。
図19図19は、統合されたSmartSite(商標)ニードルレスコネクタを含む、統合カテーテルにプローブを挿入するためのニアアクセスアダプタの別の構成を示す。
図20図20は、統合されたMaxZero(商標)ニードルレスコネクタを含む、統合カテーテルにプローブを挿入するためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な実施形態は、同様の要素は、一般的に数字等で参照された図面を参照しながら説明する。実施形態の様々な要素の関係および機能は、以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解され得る。しかしながら、実施形態は、図面に示されたものに限定されない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、場合によっては、たとえば従来の製造および組み立てなど、本明細書で開示される実施形態の理解に必要ではない詳細が省略されている場合があることを理解されたい。
【0013】
本発明は、特許請求の範囲により定義され、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、実施可能な程度の開示を当業者に完全に伝えるように提供される。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において明確な別段の指示がない限り、複数の指示物を含む。本明細書において、業界標準(ASTM、ANSI、IEEE標準など)への言及は、明示的に別段の定めがない限り、これらの標準によって伝えられる単位、測定、および試験基準に関する本開示の最初の出願日時点で現在発行されている標準に準拠していると定義される。本明細書では、「近位」および「遠位」という用語は、デバイスまたは関連する物体のハンドル/ドクターエンド(doctor-end)およびデバイスまたは関連する物体のツール/患者エンド(patient-end)をそれぞれ指す一般的な使用の意味で使用される。「約」、「実質的に」、「一般的に」という用語、およびその他の程度の用語は、体積、寸法、割合、その他の定量的または定性的な値に関して使用される場合、当業者により(本分野での経験を有する医療デバイスエンジニアと同義)により理解される標準パラメータ内の明確で識別可能な値を伝えることを意図され、任意の法的均等物、軽微ではあるが機能的に重要ではない変形、標準製造公差、少なくとも数学的に有意な数字(ただし、その最大範囲ほど広い必要はない)を含むように解釈されるべきである。本明細書において値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限、ならびにその間のすべての値を含むと理解される。例えば、90~120度の範囲は、約90度~約120度の値を意味し、90度~120度の間のすべての可能な値を含むと理解される。
【0014】
本発明は、延長チューブサイドポートを介してデバイスの流体経路、および/または患者の血管系へのプローブのアクセスを可能にする統合カテーテルシステムの改良に関する。従来のプローブは、多くの理由で既存の統合カテーテルと互換性がない場合がある。まず、ルアーアダプタから、延長チューブ、カテーテルアダプタ、カテーテル、カテーテルチップを介して、およびカテーテルチップを超えて血管系に至る経路は長く、かなりの管腔内摩擦抵抗(significant intraluminal frictional resistance)が生じ、操作がより困難な長いプローブが必要である。第二に、プローブはこの流体経路に沿って数回転し、血管系に到達する前に障害物に遭遇する可能性を高める。したがって、流体経路内での急な曲がりを最小限に抑え、および/またはプローブが移動しなければならない距離を低減する統合カテーテルシステムは、延長チューブサイドポートを介する統合カテーテルでのプローブの使用を可能とするであろう。
【0015】
本明細書で使用される「血管アクセスデバイス」は、血管系への医療従事者のアクセスを可能にするように構成された任意の統合型または非統合型カテーテルを指す。本明細書で使用される「統合カテーテル」は、末梢IVカニューレの挿入中に臨床医によって通常組み立てられる個々の構成要素を統合するクローズド静脈内カテーテルシステム(closed intravenous catheter system)を指す。例えば、本明細書でさらに説明するように、統合カテーテルは、カテーテル、カテーテルアダプタ、サイドポート、および延長チューブを含んでいてもよく、追加の統合構成要素を含み得る。BD Nexiva(商標)、BD Pegasus(商標)、およびBD Intima II(商標)などの統合カテーテルに対する現在の設計には、カテーテルハブに対してある角度(通常45度)で配置されたサイドポートが含まれる。これにより、Velano Vascular血液サンプリングデバイスなどのプローブを使用する能力に制限が生じる。開示される改良は、統合カテーテルシステムでこれらのタイプのプローブの使用を可能にする。
【0016】
本明細書で使用される「プローブ」または「血管プローブ」は、(チップ開口部および/または側孔の組み合わせを使用して)流体または薬物の投与、血液の取り出し、および/またはシステム(system)もしくは患者データを測定するためのセンサーの配置のために、カテーテルシステムの流体経路内に配置させ、患者の血管系内に前進させることができる装置である。センサーは、患者の診断情報、血液化学、その他の血液パラメーター、圧力、流量、薬物ID、微生物検出、または関心のある他のデータを観察するために広く配置される。プローブは、例えば、血管内超音波、光音響イメージング、または近赤外分光法と組み合わせて使用して、ほぼリアルタイムで血管動態を評価できる。したがって、プローブは、ワイヤ、カニューレ、もしくは他のチューブ、または血管系を通過することができ、(一般に)使用後に引っ込めることができる他の任意の拡張(中空または中実)構造であってもよい。
【0017】
一の態様において、血管アクセスデバイスが開示される。
【0018】
実施形態において、血管アクセスデバイスは、統合カテーテルである。
【0019】
実施形態において、血管アクセスデバイスは、生物学的部位に挿入するためのカテーテル、ならびに、カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタを含む。カテーテルハブは、カテーテルに作動可能に連結された第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、およびそれらの間の内部流体通路を画定する内壁を有していてもよく、サイドポートは、内部流体通路と流体連通していてもよい。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、サイドポートに接続され、流体連結された延長チューブをさらに含む。
【0020】
本明細書に使用される、用語「内壁」は、サイドポートのおよそ向かい側のカテーテルハブのルーメン壁を指す。言い換えれば、内壁は一般に、プローブがサイドポートの主軸と同軸に前進し、プローブが以下に説明する他の特徴によって別段向きがそらされないと仮定して、前進するプローブが最初に遭遇する、カテーテルハブの内面を指すと理解される。内壁は、カテーテルハブの一部であってもよく、または場合によっては、カテーテルハブに接する別の構成要素によって少なくとも部分的に形成されてもよいことが理解される。例えば、統合カテーテルは、しばしば、カテーテルをカテーテルアダプタに固定するためにカテーテルアダプタに挿入されるカテーテルウェッジを含む。このカテーテルウェッジは、前進するプローブが最初に遭遇する「内壁」の一部を形成し、画定してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、内壁の少なくとも一部を画定するカテーテルウェッジを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの接触角は90度より大きい。
【0022】
プローブに言及する場合、本明細書で使用される、用語「接触角」は、カテーテルハブの長軸の遠位端から測定した、接触点における、プローブの先端におけるプローブの長手方向軸線と、内壁との間の角度を指し得る。このように、「接触角」は、プローブの先端が内壁と接触する最初の瞬間での角度をとらえると理解され得る。既存の統合カテーテルでよくみられる90度の接触角は、プローブの先端に最も近いプローブの長手方向軸線が接触点で内壁に垂直である構成を明らかにする。この約90度の接触角は、カテーテルハブの内部構造だけでなく、サイドポートとカテーテルハブの間の角度によってもある程度決定される。180度の接触角は、プローブの先端に最も近いプローブの長手方向軸線が、接触点で内壁に平行であり、カテーテルハブの遠位端に向けられる(つまり、一般的にカテーテルのルーメンの方へ)構成と結びつく。
【0023】
あるいは、「サイドポート角」は、具体的に前進プローブの観点から定義されることなく、内壁とサイドポートの長手方向軸との間の角度によって定義され得る。
【0024】
上述のように、既存の統合カテーテルの1つの制限は、前進するプローブが90度の接触角で内壁に遭遇し、プローブが内壁に押し込められ、カテーテル内にそれ以上進まないリスクであるか、あるいは、90度未満の接触角で内壁に遭遇し、ニードルおよび隔壁に向かって近位に向けられ、カテーテルのルーメンから離れるかもしれないリスクである。
【0025】
プローブは、カテーテルハブの内壁と最初に接触した後、内壁に対してその経路で向きがそれ、その結果、接触角が内部流体通路の長さに沿って動的に変化することも理解される。臨床プローブは一般に、柔軟な材料と構造を用いて作られており、システム内を進むにつれてある程度のたわみを促進するかもしれない。したがって、いくつかの実施形態では、接触角は、内部流体通路の長さに沿って、第1の端部まで90度より大きい。たとえば、初期接触角は100度であり得、プローブがカテーテルの方へ向きがそれると、プローブが内壁と平行に効果的に前進し、内壁と接触することさえなくなり得るまで、そして、プローブが、カテーテルハブの第1の端部またはシステムのより遠位の部分に到達するまで、接触角は100度から180度の間で増加し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、内壁は、テーパ面を有している。
【0027】
いくつかの実施形態では、内壁は、さらに、第2の端部に近位の内部流体通路の大径部分と第1の端部の内部流体通路の小径部分との間の移行ステップを画定する。ある実施形態において、移行ステップに対する、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの接触角は90度より大きい。
【0028】
90度よりも大きい接触角により、カテーテルアダプタを介してカテーテル内へのプローブの前進が容易になる。したがって、いくつかの実施形態では、接触角は、約100、110、120、130、140、150、160、または170度より大きい。好ましい実施形態では、接触角は約120度より大きい。いくつかの実施形態では、接触角は約180度である。プローブを前進させる能力は、接触角、プローブの材料組成、すでに前進したプローブの長さ、システムの内面との摩擦係数、プローブの滑らかな状態、剛性などを含むいくつかの変数に依存する。場合によっては、穏やかな力を加えてプローブを前進させるには、90度よりわずかに大きい接触角で十分であるかもしれない。プローブの長さがより長い場合など他の場合には、前進を促進するために、105、110、115、または120度以上の大きい接触角が必要になるかもしれない。
【0029】
サイドポートおよびカテーテルハブを介してカテーテル内にプローブの経路を導くために、開示された血管アクセスデバイスへのさまざまな適応が想定され得る。これらの適応には、内壁の傾斜、形状、または向きの変更、およびプローブがカテーテルハブの内壁に接触する前にプローブの経路の向きをそらせるように構成された構成要素が含まれる。
【0030】
いくつかの実施形態では、内壁の勾配を、例えば、図6および図8に示されるように、前進するプローブとの接触角を増大させるために、カテーテルハブの長軸に対して減少させる。同様に、内壁は、例えば図9および図10に示すように、前進するプローブがプローブをカテーテルハブの第1の端部に向けるのに十分な接触角を有するように、凸または凹形状を有してもよい。
【0031】
一の態様において、血管アクセスデバイスは、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの経路を第1の端部に向けるように構成された構成要素を含む。
【0032】
実施形態では、構成要素は、a)サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブのルーメン内に延びる突出部、b)少なくとも部分的に、カテーテルハブ内の隔壁、またはc)突出部と隔壁の組み合わせである。
【0033】
本明細書で使用される「突出部(protrusion)」とは、前進するプローブのたわみを引き起こすための、サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブのルーメン壁に対する任意の拡張(extension)、バンプ(bump)、突出(projection)、または他の変更を指し得る。 プローブの内壁との接触角を増大させるために(すなわち、プローブをカテーテルルーメンの方に促進するために)、突出部を前述の位置に、あるいはカテーテルハブ自体に導入してもよい。 突出部は、サイドポート、延長チューブ、またはカテーテルハブの製造(例えば、成形)中に導入されてもよく、あるいは、熱かしめ、二次成形操作などの当技術分野で公知の方法を使用して、または接着剤などを使用してカテーテルハブに接合された別個の構成要素として二次的に導入されてもよい。
【0034】
統合されたカテーテルは、一般的に、統合されたニードルと、使用後にニードルを安全に格納および廃棄するための機構とを含む。これらの場合、使用済みのニードルは一般に、セルフシールセプタム(self-sealing septum)を介して引き込まれ、液漏れを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、隔壁(セプタム)は、前進プローブが隔壁によって(例えば、カテーテルハブの第1の端部に向かって)向きがそれ、前進プローブの経路内に少なくとも部分的にカテーテルアダプタ内に配置され得る。
【0035】
サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの経路を第1の端部に向ける、サイドポート、内部流体通路またはカテーテルハブの他の部分、および/または延長チューブへの他の構成要素および適応も,同様に本発明の範囲内であると想定され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、構成要素は、プローブがカテーテルハブに入るときにプローブの経路を完全に方向付け(すなわち、向きをそらす)ため、プローブは内壁に決して遭遇せず、代わりに第1の端部を直接通過してカテーテル内に入り得る。
【0037】
プローブの経路を方向付けるための他の手段も想定され得、これは、必ずしも内壁への変更および別個の構成要素を伴わない。
【0038】
一の態様では、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの入口角は約45度未満である。本明細書で使用するとき、用語「入口角」は、カテーテルハブの遠位端から測定される、前進プローブとカテーテルハブの長軸との間の角度を指し得る。あるいは、「入口角」は、カテーテルハブの遠位端から測定される、サイドポートの長手方向軸線とカテーテルハブの長軸との間の角度を指し得る。
【0039】
従来の統合カテーテルにおいて、サイドポートとカテーテルハブの長軸との間の入口角は、例えば図5に示されるように、約45度である。前述のように、サイドポートの入口角は、プローブがサイドポートを介してカテーテルハブ内に進む経路に影響を与え、その結果プローブ自体の入口角とプローブの内壁との接触角の両方に影響を及ぼす可能性がある。したがって、より浅い(より小さい)サイドポート入口角は、より大きな接触角に関連付けられ、図11に示されるように、カテーテルハブを介したプローブの前進を促進し得る。いくつかの実施形態では、サイドポートの入口角は、約45度未満、約40度未満、約35度未満、約30度未満、約25度未満、約20度未満、約15度未満、または約10度未満である。
【0040】
例えば、サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブ内の突出部を含む、プローブの経路を方向づけ、接触角を増大させるための様々な方法が、本明細書において説明されている。これらのメカニズムにより、場合によっては、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの入口角を変更するが予想される。いくつかの実施形態では、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの入口角は、約45度未満、約40度未満、約35度未満、約30度未満、約25度未満、約20度未満、約15度未満、または約10度未満である。
【0041】
血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)は、プローブが患者の血管系に到達するために移動しなければならない距離を減少させることが望ましい。最適には、血管アクセスデバイスは、別個のルアーアダプタを必要とせずに、カテーテルアダプタの近くに配置されたアクセスアダプタおよびサイドポート内へのプローブの挿入を可能にする。このようにして、プローブアクセスアダプタが、統合カテーテルを介して流体を投与または取り出すために使用されるルアーアダプタよりもカテーテルアダプタに近いため、従来の統合カテーテルと比較して、プローブ経路の全長を低減することができる。
【0042】
したがって、一の態様において、血管アクセスデバイスはさらに、サイドポートと流体連通し、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、サイドポートを介してカテーテル内にプローブを挿入することを可能にするアクセスアダプタを含む。さまざまなアクセスアダプタを使用してもよい。実施形態では、アクセスアダプタは、ルアーアダプタ、ニードルレスコネクタ、流体制御バルブ、およびプローブアクセス専用に設計された非ルアー専有アクセスバルブ(non-luer proprietary access valve)からなる群から選択される。開示された血管アクセスデバイスを使用して、アクセスアダプタは、ルアーアダプタよりもカテーテルアダプタにずっと近く配置されてもよい。このような「ニアペイシェント(near-patient)」または「ニアカテーテルアダプタ(near-catheter adapter)」アクセスを使用することにより、使用しなければより長いプローブの経路で遭遇するであろう摩擦抵抗が減少する。この「ニアペイシェント」アクセスは、前述のように、90度を超える接触角によって容易になり、場合によっては必要になるかもしれない。
【0043】
さらに、上記の特徴の1つまたは任意の組み合わせを利用して、プローブがカテーテルアダプタのサイドポートを通過してカテーテル内に入るのを容易にすることができることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、a)サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブのルーメン内に延びる突出部と、b)少なくとも部分的に、カテーテルハブ内の隔壁、c)拡張された、凹、または凸の内壁、および/またはd)45度未満のサイドポート入口角を含む。
【0044】
一の態様では、血管アクセスデバイスを使用する方法が開示される。実施形態では、血管アクセスデバイスは統合カテーテルである。
【0045】
実施形態において、本方法は、血管アクセスデバイスの延長チューブにプローブを挿入する工程と、プローブを、延長チューブを介してサイドポート内に前進させる工程と、プローブを、サイドポートから内部流体通路を介してカテーテル内に前進させる工程と、プローブを、カテーテルを介して対象の末梢血管系内に前進させる工程とを含む。
【0046】
いくつかの態様において、プローブは、内部流体通路の長さに沿って90度を超える、内壁との接触角を維持する。
【0047】
いくつかの態様において、プローブは、延長チューブに挿入される前に、アクセスアダプタを通過し、アクセスアダプタは、延長チューブと流体連通し、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、サイドポートを介したカテーテルへのプローブの挿入を可能にする。
【0048】
他の実施形態では、プローブは、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、アクセスアダプタを介して直接サイドポート(延長チューブを必要としない)内に通される。
【0049】
図1は、ニードルレスコネクタ110および空気抜きプラグ111を備えた統合カテーテル100の実施形態を示す。図示のように、統合カテーテル100は、カテーテルハブ102、カテーテル103、サイドポート105、2つのラジアルウィング106、ニードルハウジング107、および延長チューブ108を備えたカテーテルアダプタ101を含む。延長チューブ108は、サイドポート105に流体連結され、yアダプタ109で終端し、Q-Syte(商標)ニードルレスコネクタ110および空気抜きプラグ111につながる。
【0050】
図2は、カテーテルハブ102、サイドポート105、ラジアルウィング106、および延長チューブ108を備えたカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示す。図示のように、サイドポート105は、ボンドポケット104で延長チューブ108と接合される。プローブが統合カテーテルを介して遠位に進むにつれて、プローブの経路内の下流の(より遠位の)通路の内径は一般に、特に接合箇所で増大する。したがって、IDS(サイドポートの内径)は一般にIDE(延長チューブの内径)より大きく、プローブの前進を容易にする。図2は、ニードルの格納に関連する隔壁201の内面をさらに示している。
【0051】
図3は、カテーテルハブ102およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示す。隔壁201の内面は、カテーテルハブ102の右側に示され、ニードル格納後の血液その他の流体漏れを防ぐシールを形成する。カテーテル103(図示せず)は、カテーテルウェッジ202でカテーテルアダプタ101に固定される。カテーテルハブ102内に内壁203が示され、カテーテルに動作可能に連結されるカテーテルハブ102の第1の端部と、第1の端部の反対側にあるカテーテルハブ102の第2の端部との間の内部流体通路204を画定する。プローブ205は、サイドポート105を介して前進し、内壁203と接触している。カテーテルウェッジ202は、この実施形態ではプローブ205が接触する部分を含む内壁203の一部を画定する。プローブ205の内壁203との接触角Aは約90度であり、プローブ205の入口角Bは約45度である。したがって、プローブ205は内壁203に接触し、カテーテル103内に容易に前進しない。
【0052】
図4は、カテーテルハブ102およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。プローブ205は突出部206(サイドポート105内)に遭遇し、カテーテルハブ102の第1の端部の方に向きがそれる(つまり、遠位方向に向きがそれる)。図示のように、図3の実施形態と比較して、プローブ205の接触角Aはそれに応じて増加し(90度超)、プローブ205の入口角Bはそれに応じて減少する(45度未満)。これにより、カテーテル103に向かって(すなわち、図4の左に)プローブの経路が促進される。図示された実施形態では、プローブ205は、(例えば、わずかな追加の力で)内壁203に接触した後、カテーテル103内に前進し得る。
【0053】
図5は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、内壁203の傾斜は、カテーテルハブ(すなわち、「拡張された」内壁)の長軸に対して減少し、プローブ205との接触角Aを増加させる。したがって、プローブ205は、内壁203に接触し、カテーテル103(図示せず)の方に向けられて示されており、これは、内壁203の傾斜の減少により促進される。
【0054】
図6は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、隔壁201は、図3、4、および5中のその位置と比較して、カテーテルハブ102内で遠位に変位している。プローブ205は、サイドポート105内を進み、隔壁201に接触し、これにより、プローブ205をカテーテルハブ102の第1の端部およびカテーテル103の方に(すなわち、図6の左側に)向けさせる。隔壁とプローブの接触点207がさらに示されている。
【0055】
図7は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、突出部206はサイドポート105のルーメン内に延び、プローブ205を、カテーテルハブ102の第1の端部の方に(すなわち、図7の左側に)向けさせる。加えて、内壁203の傾斜は、カテーテルハブ(すなわち、拡張された内壁を形成する)の長軸に対して再び減少する。これらの特徴の組み合わせにより、プローブ205との接触角Aが増加する(90度超)。したがって、プローブ205は、最初に突出部206によって向きがそれ、次に内壁203に接触し、さらにカテーテル103の方に(すなわち、図7の左に)向けられて示されている。
【0056】
図8は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、内壁203は、プローブ205との接触点に、プローブ205をカテーテルハブ102の第1の端部およびカテーテル103の方に(すなわち、図8の左側に)向けるのを助ける凸面を有する。
【0057】
図9は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、内壁203は、プローブ205との接触点に、カテーテルハブ102の第1の端部およびカテーテル103の方に(すなわち、図9の左側に)プローブ205を向けるのを助ける凹面を有する。
【0058】
図10は、カテーテルハブ102、カテーテルウェッジ202、およびサイドポート105を含むカテーテルアダプタ101の別の実施形態を示し、カテーテルウェッジ202は内壁203の一部を画定する。この実施形態では、内壁203は、図3および4に示すものと同様の傾斜を有するが、サイドポート105は、サイドポート105の入口角が減少するように傾けられている。したがって、プローブ205の入口角Bは減少し(45度未満)、プローブ205の接触角Aは増加し(90度超)、プローブ205をカテーテル103の方に(すなわち、図10の左側に)促している。
【0059】
プローブ205をカテーテル103内に導くための前述の特徴のいずれか(それらの任意の組み合わせを含む)は、所与の血管アクセスデバイスまたは統合カテーテルに存在し得ることが意図される。
【0060】
図11~14は、開示された血管アクセスデバイスとともに使用するための、ニアペイシェントアクセスアダプタの様々な構成を示している。
【0061】
図11は、カテーテルハブ102、カテーテル103、サイドポート105、ウィング106、ニードルハウジング107、および延長チューブ108を備えた統合カテーテルを示す。この構成では、延長チューブ108は、プローブアダプタ301およびルアーアダプタ303を備えたデュアルポートyアダプタ109で終端する。図示のように、プローブアダプタ301は、ニアペイシェントアクセスを得るために構成され、示されるように、延長チューブ108内、そしてサイドポート105、カテーテルハブ102、およびカテーテル103を介したプローブ205の挿入を可能にする。ルアーアダプタが表示されているが、統合アダプタは、このアクセス用にルアーアダプタなしで構成することもできる。
【0062】
図12は、カテーテルハブ102、カテーテル103、サイドポート105、ウィング106、ニードルハウジング107、延長チューブ108、およびクランプ304を備えた統合カテーテルを示す。この構成では、延長チューブ108は、取り外し可能なニードルレスコネクタ305と、ルアーアダプタ303につながる二次延長チューブ302を備えたデュアルポートyアダプタ109で終端する。
【0063】
図13は、カテーテルハブ102、カテーテル103、サイドポート105、ウィング106、ニードルハウジング107、および延長チューブ108を備えた統合カテーテルを示す。この構成では、延長チューブ108は、流体制御アダプタ306と、ルアーアダプタ303につながる二次延長チューブ302を備えたデュアルポートyアダプタ109で終端する。
【0064】
図14は、カテーテルハブ102、カテーテル103、サイドポート105、ウィング106、ニードルハウジング107、および延長チューブ108を備えた統合カテーテルを示す。この構成では、延長チューブ108は、非ルアー隔壁アダプタ307と、ルアーアダプタ303につながる二次延長チューブ302を備えたデュアルポートyアダプタ109で終端する。
【0065】
開示された血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)は、ニアペイシェントアクセスのために、任意の数の他の構成で使用され得ることが理解される。
【0066】
したがって、図15A、15B、および15Cは、本明細書の実施形態で使用するためのニアアクセスアダプタの3つの構成を示している。図に示すように、図15Aは、ルアーアダプタ303として単一ポートニアアクセスアダプタを備えて構成される延長チューブ108に接続するサイドポート105を示す。図15Bは、2つのルアーアダプタ303としてデュアルポートニアアクセスアダプタを備えて構成された延長チューブ108を示す。図15Cは、ルアーアダプタ303として構成されたデュアルポートニアペイシェントアクセスアダプタおよび二次延長チューブ302を備えて構成された延長チューブ108を示す。
【0067】
図16Aは、本明細書中の、いくつかの実施形態による、血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)内へのプローブの挿入のためのニアアクセスアダプタの詳細図を示す。示されるように、延長チューブ108は、プローブ205の挿入のためのアクセスアダプタ305で終端するデュアルポートyアダプタ109および二次延長チューブ302を介して接続されたルアーアダプタ303を備えて構成される。図16の右側には、円錐形の取り付け具(ラベルなし)も示されている。これにより、プローブ205のアクセスアダプタ305への挿入が容易になる。図示されるように、延長チューブ108の内径IDTは、システムを介したプローブ205の通過を容易にするために、yアダプタ109のルーメンの内径IDLよりも大きい(図16B)。
【0068】
図17Aは、血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)内にプローブを挿入するためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。図示のように、デュアルポートyアダプタ109は、この場合、統合Q-Syte(商標)ニードルレスコネクタ110として構成されたニアアクセスアダプタで終端する。二次延長チューブ302は、別個のQ-Syte(商標)ニードルコネクタ110および空気抜きプラグ111で終端する別個のデュアルポートyアダプター109につながっている。この実施形態では、ニアアクセスアダプタのサイドポート105への接近は明らかであり、従来の設計よりもはるかに短いプローブ長を可能にする。図17Bは、図17Aに示されるニアアクセスアダプタの詳細図を示す。
【0069】
図18および図19は、血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)内へのプローブ205の挿入のためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。示されるように、デュアルポートyアダプタ109は、別個の二次延長チューブ302を備えた、統合されたSmartSite(商標)ニードルレスコネクタ308で終端する。図18において、プローブ205は、下流の延長チューブ108の内径が増大するとともに、統合されたSmartSite(商標)ニードルレスコネクタ308を介してシステム内に前進するように示されている。
【0070】
図20は、プローブ205を血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)内に挿入するためのニアアクセスアダプタの別の構成を示している。示されるように、デュアルポートyアダプタ109は、yポートアダプタ109に直接結合された(すなわち、二次延長チューブなし)別個のルアーアダプタ303を備えた、統合されたMaxZero(商標)ニードルレスコネクタ309で終端する。プローブ205は、ルアーアダプタ303を介してシステム内を進み、下流の延長チューブ108の内径が大きくなるように示されている。この場合、プローブ205は、MaxZero(商標)ニードルレスコネクタ309を通過できない。というのもMaxZero(商標)には、プローブが遮られずにyアダプタ109および延長チューブ108内を通過できる開口およびスリットがないからである。したがって、プローブ205はルアーアダプタ303を通過する必要がある。
【0071】
本明細書において、血管アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、取り外し可能なニードルレスコネクタとの使用のために記載されているが、他の実施形態および構成では、取り外し不可能なニードルレスコネクタを使用してもよい。
【0072】
したがって、様々なシングルまたはデュアルポートニアアクセスアダプタは、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、開示された血管アクセスデバイス(例えば、統合カテーテル)内へのプローブの通過を可能にする。
【0073】
当業者であれば、本明細書に明示的に示されていない実施形態が、異なる実施形態に対して本明細書で記載されている特徴(feature)が、特許請求の範囲内にとどまりながら、互いにおよび/または現在知られているもしくは将来開発される技術と組み合わされ得ることを含めて、本発明の範囲内で実施され得ることを理解されるであろう。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、文脈、用法、またはその他の明示的な指示によって特に定義されていない限り、限定の目的ではない。したがって、前述の詳細な説明は、限定するのでなく例示するものとみなされることが意図される。また、全ての均等物を含む添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲を規定することを意図していることを理解されたい。さらに、上記の利点は、本発明の唯一の利点では必ずしもなく、記載されている全ての利点が本発明のあらゆる実施形態により達成されることは必ずしも期待されない。参照によって組み込まれる文書と一致しない本願からの矛盾する開示または定義の場合は、本明細書の開示または定義が優先するものとみなす。
【0074】
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
[1]血管アクセスデバイスであって、
生物学的部位に挿入するためのカテーテル;ならびに
カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタを含み、
前記カテーテルハブは、前記カテーテルに動作可能に連結された第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、およびそれらの間の内部流体通路を画定する内壁を有し、前記サイドポートは、前記内部流体通路と流体連通しており、
前記サイドポートから前記カテーテルハブに入るプローブの接触角は90度より大きいことを特徴とする、血管アクセスデバイス。
[2]前記接触角が、前記内部流体通路の長さに沿って、第1の端部まで90度よりも大きいことを特徴とする、前記1に記載の血管アクセスデバイス。
[3]前記接触角が、120度よりも大きいことを特徴とする、前記1または2に記載の血管アクセスデバイス。
[4]前記サイドポートから前記カテーテルハブに入るプローブの経路を前記第1の端部に向けるように構成された構成要素をさらに備え、前記構成要素は、a)サイドポート、内部流体通路、および/または延長チューブのルーメン内に延びる突出部、b)少なくとも部分的に、カテーテルハブ内の隔壁、またはc)突出部および隔壁の組み合わせを含むことを特徴とする、前記1、2、または3に記載の血管アクセスデバイス。
[5]前記サイドポートから前記カテーテルハブに入るプローブの入口角が45度未満であることを特徴とする、前記4に記載の血管アクセスデバイス。
[6]内壁の少なくとも一部を画定するカテーテルウェッジをさらに含むことを特徴とする、前記1、2、3、または4に記載の血管アクセスデバイス。
[7]前記サイドポートに接続され、流体連結された延長チューブをさらに備えることを特徴とする、前記1、2、3、4、または6に記載の血管アクセスデバイス。
[8]前記サイドポートと流体連通し、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、前記サイドポートを介して前記カテーテルへのプローブの挿入を可能にするアクセスアダプタをさらに備えることを特徴とする、前記1、2、3、4、6、または7に記載の血管アクセスデバイス。
[9]前記アクセスアダプタが、ルアーアダプタ、ニードルレスコネクタ、流体制御バルブ、および非ルアー専有アクセスバルブからなる群から選択されることを特徴とする、前記8に記載の血管アクセスデバイス。
[10]統合カテーテルであって、
生物学的部位に挿入するためのカテーテル;
カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタを含み、
前記カテーテルハブは、前記カテーテルに動作可能に連結された第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、およびそれらの間に内部流体通路を画定する内壁を有し、前記サイドポートは、前記内部流体通路と流体連通しており、
前記内壁と前記サイドポートの長手方向軸線の間の角度は90度より大きいことを特徴とする、統合カテーテル。
[11]前記サイドポートの長手方向軸線の入口角は、カテーテルハブの長軸に対して45度未満であることを特徴とする、前記10に記載の統合カテーテル。
[12]内壁の少なくとも一部を画定するカテーテルウェッジをさらに含むことを特徴とする、前記10または11に記載の統合カテーテル。
[13]サイドポートの向かい側の内壁がテーパ面を有していることを特徴とする、前記10、11、または12に記載の統合カテーテル。
[14]サイドポートの向かい側の内壁が凸面または凹面を有していることを特徴とする、前記10、11、または12に記載の統合カテーテル。
[15]統合カテーテルであって、
生物学的部位に挿入するためのカテーテル;
カテーテルハブおよびサイドポートを有するカテーテルアダプタを含み、
前記カテーテルハブは、前記カテーテルに動作可能に連結された第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、およびそれらの間に内部流体通路を画定する内壁を有し、前記サイドポートは、前記内部流体通路と流体連通しており、
前記内壁は、第2の端部に近位の内部流体通路の大径部分と第1の端部の内部流体通路の小径部分との間の移行ステップをさらに画定し、
前記移行ステップに関して、サイドポートからカテーテルハブに入るプローブの接触角は90度より大きいことを特徴とする、統合カテーテル。
[16]前記サイドポート内に少なくとも部分的に、さらにプローブを含むことを特徴とする、前記15に記載の統合カテーテル。
[17]前記移行ステップが、内部流体通路を介して前記カテーテルのルーメン内にサイドポートからプローブの通過を容易にするように構成されていることを特徴とする、前記15または16に記載の統合カテーテル。
[18]前記7に記載の血管アクセスデバイスを使用する方法であって、
延長チューブにプローブを挿入する工程と、
前記プローブを、前記延長チューブを介してサイドポート内に前進させる工程と、
前記プローブを、前記サイドポートから前記内部流体通路を介して前記カテーテル内に前進させる工程と、
前記プローブを、前記カテーテルを介して対象の末梢血管系内に前進させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
[19]前記プローブが、前記内部流体通路の長さに沿って90度を超える、内壁との接触角を維持することを特徴とする、前記18に記載の方法。
[20]前記プローブが、前記延長チューブに挿入される前にアクセスアダプタを通過し、前記アクセスアダプタが、前記延長チューブと流体連通し、別個のルアーアダプタの有無にかかわらず、前記サイドポートを介して前記カテーテルへの前記プローブの挿入を可能にすることを特徴とする、前記18または19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20