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特開2024-92053軟組織のレーザベースの治療のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092053
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】軟組織のレーザベースの治療のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/20 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B18/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076429
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2022509670の分割
【原出願日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】62/887,949
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514052601
【氏名又は名称】コンバージェント デンタル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ カーベイジ
(72)【発明者】
【氏名】アリ バドレディン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン コウイット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ネナド イェリサヴチッチ
(57)【要約】
【課題】軟組織のレーザベースの治療のためのシステムの提供。
【解決手段】本開示される発明は、軟組織の治療のため、例えば、鼾症状の治療のための改良されたシステムおよび方法に関する。本システムは、レーザ源と、ハンドピースと、レーザ源によって治療面積(例えば、口腔治療面積)に放出される放射線を指向するための、デバイスとを含むことができる。ある場合には、ハンドピースは、交換可能なカートリッジ内に搭載され、これが、治療領域へのその送達に先立ってアブレーション不可能であるように、レーザビームを変調させるように適合される、光学要素(例えば、レンズ)を含むことができる。種々の実施形態では、本システムは、従来の技法より効率的な様式において治療を実施することが可能である、COレーザを含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる、2019年8月16日に出願され、「System and Method for Laser Based Treatment of Soft Tissue」と題された、米国仮特許出願第62/887,949号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、発光デバイス(例えば、レーザ源)を使用した軟組織の治療に関し、より具体的には、例えば、鼾症状を治療するために、レーザ源によって放出される放射線を治療面積に指向することによる、軟組織の収縮および硬化に関する。
【背景技術】
【0003】
鼾は、成人人口の30%超および幼児および青年の匹敵する割合に影響を及ぼす、睡眠呼吸障害(SDB)の非常に一般的かつ概して望ましくない形態である。鼾の音は、通常、睡眠の間の部分的な上気道の圧潰によって引き起こされる、咽頭軟組織の振動の結果である。鼾は、鼾をかく人々およびその周囲の人々の両方に関して睡眠遮断を引き起こし得、患者は、心臓発作および卒中につながり得る、深刻な課題に悩まされ得る[参考文献:
A clinical approach to obstructive sleep apnea as a risk factor for cardiovascular disease, Vasc Health Risk Manage 2016; 12:85-103]。
【0004】
SDBのための種々の治療モダリティが、これらの振動を低減させるために推奨されている。これらの技法は、予防管理、口腔装置の使用、保存的治療(持続的気道陽圧(CPAP)デバイス)、および外科手術/レーザ補助療法を含む[参考文献: Fiz JA, Morera Prat J, Jane R (2009) Treatment of patients with simple snoring. Arch Bronconeumol 45:508-515]。既存の非侵襲的方法は、限定された使用であり、例えば、それらは、(例えば、CPAPデバイスの場合等)睡眠時無呼吸の原因を排除せず、非効率的であり、不快である。また、今日、利用可能である、外科手術手技は、局所麻酔または全身麻酔の必要性を伴い、術後合併症の可能性を有している。
【0005】
鼾を治療するための別の公知の技法は、レーザ療法の使用である。レーザ療法は、創傷の増大およびコラーゲン再構築を増大させることが示されている。特に、鼾の治療におけるレーザの使用は、Kamamiが、軟口蓋の組織低減をもたらす、局所麻酔下においてレーザ補助式口蓋垂口蓋形成術(LAUP)を実施するためにレーザを使用した、1990年代初期まで遡る[参考文献:Kamami YV (1990) Laser CO2 for snoring. Preliminary results. Acata Otorhinolaryngol Belg 44:451-456]。しかしながら、Kamamiのレーザ治療は、常時、患者から広範囲の組織を除去する目的のために組織をアブレートまたは切断するステップを伴っていた。
【0006】
近年では、研究によって、Er:YAGベースのレーザが、鼾の重症度を低減させることに役立ち、軟口蓋組織、主に、口腔粘膜を緊縮させることによって、麻酔の必要なく睡眠の質を改良し得ることが、示されている。組織を緊縮させるステップは、2つの主要原理、すなわち、1)コラーゲン縮小および組織緊縮において結果として生じる、コラーゲン変性、および2)新しいコラーゲンおよびエラスチンを発生させる、創傷治癒応答によって統制される。口腔粘膜は、2つの層、すなわち、1)表面に階層化された、扁平上皮と、2)タイプIおよびIIIコラーゲンおよびエラスチン線維のネットワークから成る、線維性結合組織層から成る、粘膜固有層とから成る。収縮は、熱によって誘発されるタンパク質変性、すなわち、60°Cを上回ったコラーゲンの脱水から生じる。
【0007】
特に、2,940nmにおけるレーザエネルギーの使用は、咽頭軟組織および口蓋軟組織内のコラーゲン線維の縮小をもたらす、光熱効果を生産することが実証されている[参考文献:Majaron B, Srinivas SM, He H, Nelson JS (2000) Deep coagulation of dermal collagen with repetitive Er:YAG laser irradiation. Laser Surg Med 26:215-222]。[Beltram M, Drnovsek-Olup B (2004) Histological and biomolecular analysis of new collagen synthesis after “SMOOTH” mode Er;YAG laser skin resurfacing. Posters. Lasers Surg Med 34:56]。Er:YAGレーザを用いた治療は、典型的には、2~4週間の間隔において実施される、3つの治療セッションを伴い、約7ワットのパワー、約2J/cmの典型的フルエンス、および治療あたり約15,000個のパルスを用いて実施される。典型的な鼾防止治療セッションは、約30~45分を要する。
【0008】
Er:YAGレーザ治療によって実現された進歩にもかかわらず、依然として、有意な改良のための余地が、存在する。例えば、30~45分の治療時間は、長く、手技の間に手術用椅子において静止して着座することを必要とする患者にとって、煩わしくあり得る。故に、軟組織の治療のための、改善されたレーザベースの治療技法の必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述に照らして、例えば、レーザ源を使用する、効率的かつ高速の、麻酔を使用しない手技を使用して、口腔粘膜を縮小し、緊縮させ、その硬度を増加させる、軟組織治療のための改良された技法を提供することが、望ましい。本発明は、そのような技法を提供し、9μm~11μmの波長範囲内で動作するレーザ源、例えば、COレーザを使用する、軟組織の治療のための改良されたレーザベースの治療デバイスに関する。COレーザは、軟組織用途におけるEr:YAGレーザに優る、いくつかの利点を有する。例えば、COレーザは、軟組織内でのEr:YAGレーザより1桁低い吸光係数を有し、それは、これを軟組織の治療に関してより望ましくする。さらに、COレーザは、Er:YAGレーザより、軟組織の中への深い熱的効果(例えば、約200μm)を有し、したがって、コラーゲン変性に関するより大きい容量を有し、したがって、より少ない治療セッションにより低いフルエンス(例えば、0.2J/cm未満)を要求する。これは、より低いエネルギーおよび表面損傷、結果として、より迅速な治療時間をもたらす。
【0010】
本発明は、近赤外から遠赤外スペクトル(例えば、9~11μmの波長範囲)内の放射線(例えば、レーザビーム)を指向し、最適な効率、最小限の技法感度、および迅速な治療時間を伴う、口腔内の軟組織の治療を可能にする、ハンドピースを特徴とする。
【0011】
本システムは、任意の公知の走査技法、例えば、ガルバノミラーを使用して、レーザビームを走査するように適合されることができる。レーザビームは、特定のパターンを使用して、治療領域を横断して走査され、組織の損傷(熱傷または焼焦)を伴わずにコラーゲンを収縮させるために十分に局所的な光熱効果を生産する、効率的なエネルギー送達を可能にすることができる。そのようなパターンは、米国特許公開第20170319277号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)により詳細に説明される。種々の実施形態では、レーザ放射が、軟組織が、組織のさらなる損傷または焼焦を伴うことなく完全に収縮されるように、その生体力学的硬度を増加させるために十分なエネルギーを提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本システムは、ビームサイズを修正し、元のレーザビームサイズと異なる(より大きいまたはより小さい)ビームサイズを提供する、内側に挿入される光学式カートリッジを伴う、ハンドピースを含む。光学式カートリッジは、光学式カートリッジ内に搭載される、光学レンズを使用してビームサイズを修正し、故に、フルエンスおよび/またはエネルギー密度を最適化し、さらに、手技の時間を短縮させることによって、非アブレーション手技における高パワーレーザの使用を可能にする。
【0013】
本発明の種々の側面は、咽頭軟組織および口蓋軟組織の表面上での熱的加熱を誘発するが、閾値(例えば、約65℃)を超過しない、非アブレーションエネルギーレベルを伴うレーザパルスの送達を含む。
【0014】
本システムはまた、選択される治療のタイプおよび/または治療されている組織のタイプに従って放射線の1つまたはそれを上回るパラメータ(例えば、レーザパルス持続時間)を調節し得る、レーザ源コントローラを含んでもよい。例えば、治療の間に、レーザビームは、治療面積に指向され、治療面積またはその近傍における規定されるエネルギープロファイルの送達を可能にし得る。
【0015】
概して、一側面では、本発明の実施形態は、軟組織の面積を収縮させるためのシステムを特徴とする。本システムは、9μm~11μmの範囲内の波長を有するレーザビームの複数のレーザパルスを発生させるための、COレーザ源と、複数のレーザパルスを軟組織面積内の個別の組織場所に指向するための、ビーム誘導システムと、25秒以内に1cmのレートにおける軟組織面積の療法的に有効な収縮を達成するように、COレーザ源およびビーム誘導システムを制御するように適合される、コントローラとを含むことができる。
【0016】
種々の実施形態では、各レーザパルスは、0.2J/cm以下のフルエンスおよび/または0.1~5パーセントの範囲内のデューティサイクルを有する。療法的に有効な収縮は、軟組織面積の完全な収縮の少なくとも10パーセントを含むことができる。ビーム誘導システムは、複数のレーザパルスをあるパターンにおいて個別の組織場所に指向することができる。パターンは、ある数(例えば、15~1,500カ所または30~45カ所)の場所を有することができる。合計パターン時間は、0.001~0.5秒の範囲内であることができる。ある場合には、ビーム誘導システムは、複数のレーザパルスをパターンにおいて付加的な異なる軟組織面積部分に指向するステップを繰り返し、軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮を達成することができる。軟組織の面積は、喉の裏に位置し得、軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮は、3~20分の範囲内の合計治療時間の間に達成されることができる。ある場合には、パターンは、第1の組織場所と、第1の組織場所に隣接していない少なくとも1つの場所と、第1の組織場所に隣接している場所とを含むことができる。少なくとも1カ所の非隣接場所の数量が、少なくとも部分的に、軟組織の熱緩和時間に基づいて決定されることができる。
【0017】
種々の実施形態では、本システムはまた、出口オリフィスを形成し、レーザビームを軟組織面積に送達するためのビーム誘導システムに動作可能に接続される、ハンドピースを含むことができる。ある場合には、出口オリフィスは、レーザビームを、ハンドピースの長手方向軸と実質的に整合される出口軸に沿って、軟組織面積に向かって指向することができる。ハンドピースはまた、ビーム誘導システムと出口オリフィスとの間に配置される、集束光学系と、少なくとも1つのレンズ(例えば、2つのレンズ)とを含むこともできる。集束光学系および少なくとも1つのレンズは、レーザビーム(例えば、コリメートレーザビーム)の直径を拡大させるように協働することができる。いくつかの事例では、レーザビームは、1cm~5cmの範囲内の作用範囲(下記に定義される)を有する。
【0018】
概して、別の側面では、本発明の実施形態は、軟組織の面積を収縮させるための方法を特徴とする。本方法は、COレーザ源を使用して、9μm~11μmの範囲内の波長を有するレーザビームの複数のレーザパルスを発生させるステップと、軟組織面積の療法的に有効な収縮が、25秒以内に1cmのレートにおいて達成されるように、複数のレーザパルスを軟組織面積内の個別の組織場所に指向するステップとを含むことができる。
【0019】
種々の実施形態では、各レーザパルスは、0.2J/cm以下のフルエンスおよび/または0.1~5パーセントの範囲内のデューティサイクルを有する。療法的に有効な収縮は、軟組織面積の完全な収縮の少なくとも10パーセントを含むことができる。指向するステップは、複数のレーザパルスをあるパターンにおいて個別の組織場所に指向するステップを含むことができる。パターンは、ある数(例えば、15~1,500カ所または30~45カ所)の場所を有することができる。合計パターン時間は、0.001~0.5秒の範囲内であることができる。ある場合には、指向するステップは、複数のレーザパルスをパターンにおいて付加的な異なる軟組織面積部分に指向し、軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮を達成するステップを含む。軟組織の面積は、喉の裏に位置し得、軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮は、3~20分の範囲内の合計治療時間の間に達成されることができる。ある場合には、パターンは、第1の組織場所と、第1の組織場所に隣接していない少なくとも1つの場所と、第1の組織場所に隣接している場所とを含む。少なくとも1カ所の非隣接場所の数量が、少なくとも部分的に、軟組織の熱緩和時間に基づいて決定されることができる。いくつかの事例では、レーザビームは、1cm~5cmの範囲内の作用範囲(下記に定義される)を有する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
軟組織の面積を収縮させるためのシステムであって、前記システムは、
9μm~11μmの範囲内の波長を有するレーザビームの複数のレーザパルスを発生させるためのCOレーザ源と、
前記複数のレーザパルスを前記軟組織面積内の個別の組織場所に指向するためのビーム誘導システムと、
コントローラであって、前記コントローラは、25秒以内に1cmのレートにおける前記軟組織面積の療法的に有効な収縮を達成するように、前記COレーザ源および前記ビーム誘導システムを制御するように適合される、コントローラと
を備える、システム。
(項目2)
前記療法的に有効な収縮は、前記軟組織面積の完全な収縮の少なくとも10パーセントを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ビーム誘導システムは、前記軟組織への損傷を防止する、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記軟組織への損傷は、アブレーションと、熱傷と、焼焦とから成る群から選択される、項目2に記載のシステム。
(項目5)
各レーザパルスは、0.2J/cm以下のフルエンスを有する、項目1に記載のシステム。
(項目6)
各レーザパルスは、0.1~5%の範囲内のデューティサイクルを含む、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記ビーム誘導システムは、前記複数のレーザパルスをあるパターンにおいて個別の組織場所に指向するように適合される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記パターンは、15カ所超~1,500カ所の範囲内の場所の数を有する、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記場所の数は、30カ所~45カ所の範囲内である、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記パターンは、0.01~0.5秒の範囲内の合計パターン時間を含む、項目7に記載のシステム。
(項目11)
前記ビーム誘導システムは、前記複数のレーザパルスを前記パターンにおいて付加的な異なる軟組織面積部分に指向するステップを繰り返し、前記軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮を達成するように適合される、項目7に記載のシステム。
(項目12)
前記軟組織の面積は、喉の裏に位置し、前記軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮は、3~20分の範囲内の合計治療時間の間に達成される、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記パターンは、第1の組織場所と、前記第1の組織場所に隣接していない少なくとも1つの場所と、前記第1の組織場所に隣接している場所とを含む、項目7に記載のシステム。
(項目14)
少なくとも1カ所の非隣接場所の数量が、少なくとも部分的に、前記軟組織の熱緩和時間に基づいて決定される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
出口オリフィスを形成し、前記レーザビームを前記軟組織面積に送達するための前記ビーム誘導システムに動作可能に接続されるハンドピースをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記出口オリフィスは、前記レーザビームを、前記ハンドピースの長手方向軸と実質的に整合される出口軸に沿って、前記軟組織面積に向かって指向するように適合される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記ハンドピースはさらに、前記ビーム誘導システムと前記出口オリフィスとの間に配置される集束光学系と、少なくとも1つのレンズとを備える、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記少なくとも1つのレンズは、2つのレンズを含む、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記集束光学系および前記少なくとも1つのレンズは、前記レーザビームの直径を拡大させるように協働する、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記集束光学系および前記少なくとも1つのレンズはさらに、コリメートレーザビームを発生させるように協働する、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記レーザビームは、1cm~5cmの範囲内の長さを有する作用範囲を有する、項目1に記載のシステム。
(項目22)
前記レーザパルスは、パルスあたり最大3.3ミリ秒のレートにおいて送達される、項目1に記載のシステム。
(項目23)
軟組織の面積を収縮させるための方法であって、前記方法は、
COレーザ源を使用して、9μm~11μmの範囲内の波長を有するレーザビームの複数のレーザパルスを発生させるステップと、
前記軟組織面積の療法的に有効な収縮が、25秒以内に1cmのレートにおいて達成されるように、前記複数のレーザパルスを前記軟組織面積内の個別の組織場所に指向するステップと
を含む、方法。
(項目24)
前記療法的に有効な収縮は、前記軟組織面積の完全な収縮の少なくとも10パーセントを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記指向するステップは、前記軟組織への損傷を防止するステップを含む、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記軟組織への損傷は、アブレーションと、熱焼と、焼焦とから成る群から選択される、項目24に記載の方法。
(項目27)
各レーザパルスは、0.2J/cm以下のフルエンスを有する、項目23に記載の方法。
(項目28)
各レーザパルスは、0.1~5%の範囲内のデューティサイクルを含む、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記複数のレーザパルスは、あるパターンにおいて個別の組織場所に指向される、項目23に記載の方法。
(項目30)
前記パターンは、15カ所超~1,500カ所の範囲内の場所の数を有する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記場所の数は、30カ所~45カ所の範囲内である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記パターンは、0.01~05秒の範囲内の合計パターン時間を含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記指向するステップはさらに、前記複数のレーザパルスを前記パターンにおいて付加的な異なる軟組織面積部分に指向し、前記軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮を達成するステップを含む、項目29に記載の方法。
(項目34)
前記軟組織の面積は、喉の裏に位置し、前記軟組織面積の全ての療法的に有効な収縮は、3~20分の範囲内の合計治療時間の間に達成される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記パターンは、第1の組織場所と、前記第1の組織場所に隣接していない少なくとも1つの場所と、前記第1の組織場所に隣接している場所とを含む、項目29に記載の方法。
(項目36)
少なくとも1カ所の非隣接場所の数量が、少なくとも部分的に、前記軟組織の熱緩和時間に基づいて決定される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記レーザビームは、1cm~5cmの範囲内の長さを有する作用範囲を有する、項目23に記載の方法。
(項目38)
前記レーザパルスは、パルスあたり最大3.3ミリ秒のレートにおいて送達される、項目23に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図の全体を通して同一の部分を指す。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0021】
図1図1は、種々の実施形態による、一直線のハンドピースおよび光学式カートリッジの側面断面概略図である。
【0022】
図1B図1Bは、種々の実施形態による、舌圧子を含む、一直線のハンドピースの側面断面概略図である。
【0023】
図2図2は、種々の実施形態による、ビームがコリメートされる、ネイティブビームの作用範囲を画定する、ビームサイズ直径の例示的プロットである。
【0024】
図3図3は、種々の実施形態による、レーザ照射の前および後の鶏の皮膚の軟組織の縮小を図示する、顕微鏡画像である。
【0025】
図4a図4a-4bは、種々の実施形態による、それぞれ、パワーおよびレーザ照射時間の関数としての、コラーゲン収縮対完全な収縮の割合の例示的プロットである。
図4b図4a-4bは、種々の実施形態による、それぞれ、パワーおよびレーザ照射時間の関数としての、コラーゲン収縮対完全な収縮の割合の例示的プロットである。
【0026】
図4c図4cは、図4aおよび4bに示されるデータを組み合わせた、例示的3Dプロットである。
【0027】
図5図5は、種々の実施形態による、動物研究における、レーザ照射群の切除されたラット組織の、対照群と比較された、測定された硬度の生体力学データの例示的プロットである。
【0028】
図6図6は、種々の実施形態による、動物研究における、レーザ照射群の切除されたラット組織の、対照群と比較された、コラーゲン収縮の組織学データのプロットである。
【0029】
図7図7は、種々の実施形態による、例示的なレーザおよび治療パラメータ値を提供する、チャートである。
【0030】
図8図8は、種々の実施形態による、歯科レーザシステムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本発明の種々の実施形態は、例えば、効果的な療法効果を達成するために要求され、組織を損傷させる、または患者への疼痛を引き起こすことを伴わない、改良されたエネルギー送達、治療時間、および治療の回数を伴う、従来の軟組織治療デバイスの欠点を克服する、改良されたレーザ治療デバイスを対象とする。本デバイスは、(i)療法的に有効な収縮への損傷を伴わずに組織を加熱する、レーザパルスと、(ii)長い作用範囲(下記に定義される)を有するレーザビームと、(iii)口腔治療領域に対する冷却体(空気、水等)とを送達する、ハンドピースを含むことができる。口腔治療面積は、例えば、軟口蓋、口蓋垂、口蓋扁桃、および後舌面を含み得るが、しかしながら、これらは、非限定的な実施例である。一般に、任意の好適な組織領域が、治療されることができる。
【0032】
いくつかの用途に関して、9~11μmの範囲内(例えば、9.3μm、10.6μm)の波長において動作する、COレーザ源が、そのような治療のために望ましい。例えば、COレーザは、ハンドピース1を使用して送達されることができる。図1に示されるように、ハンドピースは、口内の厄介な場所へのアクセスを可能にし得る、一直線の構成を有することができる。ある場合には、例えば、図1Bに示されるように、ハンドピースは、統合された舌圧子を含むことができる。ハンドピース1は、効率的に、かつ迅速な治療時間を用いて、かつ麻酔の必要なく、治療を遂行することができる。従来の方法に優る、本明細書に説明されるレーザ療法のいくつかの利点は、最小限の疼痛または感覚を伴う、増加される組織硬度につながる、拡大されるコラーゲンの収縮と、再発生とを含む。さらに、本明細書に説明されるレーザ療法を使用した罹患面積の治療は、従来の技法より長い継続的効果(例えば、組織の収縮が、より長い時間にわたって継続すること)を有し、これは必要とされる治療の回数を(例えば、年あたり2、3、4、5、または6回未満の治療に)低減させることができる。
【0033】
レーザは、あるパターンにおいてパルス化および走査され、口腔粘膜および他の軟組織の最適なコラーゲン収縮および最低限の熱蓄積を可能にする。いくつかの実施形態では、コリメートレーザビームの送達が、光学式カートリッジ2を受容するように構造化および設計され得る、ハンドピース1によって達成される。光学式カートリッジ2は、それを通して通過するレーザビームを変調させるための、少なくとも1つの光学レンズを含むことができる。例えば、図1に示されるように、光学式カートリッジは、上流光学レンズ3と、下流光学レンズ4とを含むことができる。光学式カートリッジ2は、任意の公知の技法を使用して、例えば、ねじ切り6を用いてハンドピース1に搭載されることができる。光学式カートリッジ2を交換または除去するための能力が、アブレーションモードから非アブレーション等への(および逆もまた同様)治療モード間でレーザを切り替えるステップを可能にする。加えて、ハンドピース内の管類5が、組織表面の冷却を提供し、任意の汚染物質が光学系に到達しないように回避するために、冷却流体(例えば、空気、水、およびそれらの組み合わせ)を送達するために使用されてもよい。管5は、公知の技法を使用してシールされることができる。
【0034】
加えて、光学式カートリッジ2は、長い作用範囲を有する、レーザビームを提供することができる。本明細書で使用されるように、用語「作用範囲」は、レーザビームが、組織を治療することが可能である(例えば、組織を完全に収縮させることが可能である)、フルエンスを有するレーザビームの長さに沿った、距離を意味する。従来のデバイスは、典型的には、レーザの長さに沿っていかなるエネルギーも浪費しないという所望から、厳密にレーザビームの焦点の周囲に集束される、比較的に短い作用範囲を有する。本発明のレーザ治療デバイスは、いくつかの実施形態では、オペレータが、その手(および対応するレーザビーム)を移動させながら、依然として、治療面積を治療することを可能にするように、より長い作用範囲を許容することができる。作用範囲の概念は、米国特許公開第20160143703号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)における語句「治療の深度」(「作用範囲」と置換され得る)と関連してより詳細に説明される。言い換えると、ある実施形態では、標的組織上のエネルギーの量は、手の移動およびハンドピースのユーザによる保持の変動性に適応し、ヒト要因に適応するために、比較的に長い距離(例えば、0.5cm超、1cm超、1.5cm超、2cm超、3cm超、4cm超))にわたって変化するものではない。図2は、例えば、ハンドピース1の端部からある距離における例示的ビーム径測定値を示す、プロットである。示されるように、本実施例では、ビーム径は、25mmの範囲にわたって変化しない。
【0035】
種々の実施形態では、レーザパラメータ(例えば、図7に示される、パワー、繰り返しレート、パルス持続時間、および/またはレーザビーム重複)が、損傷を伴わずに効率を最適化し、組織に接触するために選択され得る。また、レーザ源が、異なる場所において異なるパルスエネルギーを提供するために空間的に走査されてもよい。
【0036】
図3は、COレーザを用いたレーザ照射の前および後の鶏の組織の2つの顕微鏡画像を示す。組織の表面上の特徴は、組織の至る所における、熱によって誘発された収縮の結果として、ともにより近接するように収縮される。コラーゲン原線維間の架橋結合が、破壊され、より低いエントロピ状態へのコラーゲン原線維の圧潰をもたらす。
【0037】
効率的な治療のために、損傷または焼焦を伴わない、軟組織の収縮が、望ましい。組織緊縮の臨床的効果の基礎となる主要な機序の1つは、コラーゲン縮小を引き起こす、熱エネルギーによって誘発される、コラーゲンポリマーの構造的変化である。コラーゲンは、軟組織内に最も豊富に存在するタンパク質であり、これは、水素結合によってともに保持される鎖を伴う、三重螺旋として存在する、ポリマーである。十分な熱エネルギーが、コラーゲンに送達されると、偶発的コイルパターンへのコラーゲン三重螺旋の変性が、生じる。熱安定性の分子間架橋結合が、新しいコラーゲン構成内に維持され、これは、構造が、縮小し、肥大化するにつれてのコラーゲン内の張力の増加につながる。組織の熱処理は、3つの位相を含む、創傷治癒応答を誘起する。第1の増殖相では、コラーゲンI-IIIが、産生され、第2の相では、繊維芽細胞が、筋線維芽細胞に分化し、組織収縮を引き起こし、第3の再構築相では、組織が、より小型の状態になり、コラーゲンの拡大が、生じる。熱誘発コラーゲン変性は、送達される熱出力の量(図4a参照)および熱処理の時間量(図4b参照)の両方に依存する。あまりに高い熱出力が、組織に送達された場合、損傷閾値が、超過され、組織が、アブレート、熱傷、または焼焦される。本明細書で使用されるように、損傷閾値は、組織をアブレート、熱傷、または焼焦させる、レーザ治療パラメータの任意の組み合わせを指す。本明細書で使用されるように、一実施形態では、用語「完全な収縮」は、組織の損傷閾値の所定の割合以内の収縮を指し、これは、ある場合には、概して、パワーおよびレーザ照射時間のうちの少なくとも一方の関数として、損傷閾値における組織の収縮であることができる。完全な収縮が損傷閾値にある所定の割合は、種々の実施形態では、25%~0.01%の範囲内、20%~1%の範囲内、15%~3%の範囲内、および10%~5%の範囲内(例えば、25%、20%、15%、10%、7%、5%、3%、1%、0.5%、0.3%、0.1%、0.07%、0.05%、0.03%、および0.01%)であることができる。ある商業的用途では、組織は、患者への潜在的な害または不快感を回避するために、損傷閾値のある安全マージン内でのみ収縮されるであろう。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「療法的に有効な収縮」は、完全な収縮の所定の割合にある、収縮の量を指す。完全な収縮の所定の割合は、種々の実施形態では、5%~100%の範囲内、10%~95%の範囲内、15%~90%の範囲内、20%~85%の範囲内、25%~80%の範囲内、30%~75%の範囲内、35%~70%の範囲内、40%~65%の範囲内、45%~60%の範囲内、および50%~55%の範囲内であることができる。実施例として、種々の実施形態では、完全な収縮の所定の割合は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、および少なくとも99%であることができる。一般に、療法的に有効な収縮は、療法的かつ商業的に有効な時間周期(例えば、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月、1年、数年、またはより長い期間)にわたって継続する、鼾の低減をもたらす。
【0039】
図4aは、収縮率に及ぼすレーザ放射パワーの効果を示す、例示的データを伴うプロットである。本実施例では、1.5ワットの最適な平均パワー照射が、損傷閾値を下回ったまま、完全な収縮をもたらすことができる。しかしながら、例えば、異なる動作条件またはレーザパラメータを伴う他の実施形態では、異なる平均パワー量も、使用されることができる。例えば、平均パワーは、0.1ワット~5ワット、0.5ワット~4.5ワット、1ワット~4ワット、1.5ワット~3.5ワット、および2ワット~3ワットの範囲内であることができる。種々の実施形態では、平均パワーは、約0.5ワット、1ワット、1.5ワット、2ワット、2.5ワット、3ワット、3.5ワット、4ワット、4.5ワット、および5ワットであることができる。図4bは、単一の治療場所における、収縮率に及ぼすレーザ照射時間の効果を示す、例示的データを伴うプロットである。本実施例では、約1.8秒の最適なレーザ照射時間が、損傷閾値を下回ったまま、1cmの組織部分の完全な収縮をもたらすことができる。しかしながら、例えば、異なる動作条件またはレーザパラメータを伴う他の実施形態では、異なるレーザ照射時間も、使用されることができる。例えば、レーザ照射時間は、0.1秒~2分、1秒~90秒、5秒~60秒、7秒~55秒、9秒~50秒、11秒~45秒、13秒~40秒、15秒~35秒、17秒~30秒、20秒~25秒、0.1秒~5秒、0.5秒~4.5秒、1秒~4秒、1.5秒~3.5秒、および2秒~3秒の範囲内であることができる。種々の実施形態では、レーザ照射時間は、0.5秒以下、1秒以下、以下、1.5秒以下、1.6秒以下、1.7秒以下、1.8秒以下、1.9秒以下、2秒以下、2.5秒以下、3秒以下、3.5秒以下、4秒以下、4.5秒以下、5秒以下、7秒以下、10秒以下、15秒以下、20秒以下、25秒以下、30秒以下、40秒以下、50秒以下、1分以下、90秒以下、2分以下であることができる。
【0040】
上記のレーザ照射時間は、軟組織の1cmの部分の治療のための例示的レーザ照射時間範囲である。しかしながら、本願において使用されるように、本開示は、治療のレートに関する支援、すなわち、開示されるレーザ照射時間が、1cmの部分を治療するために要するであろう時間量であるが、その治療のレートが、より小さいまたはより大きい面積を治療するためにも使用され得ることを意味するものとして解釈されるべきである。一実施例として、25秒以内のレーザ照射時間の本開示は、25秒以内に1cmのレートにおける治療に関する支援として解釈されるべきである。本治療のレートは、より小さい面積、例えば、0.25秒内で1mm、またはより大きい面積、例えば、250秒内で10cmを治療するために要求される時間量を決定するために、下方または上方に外挿されることができる。また、治療のレートが、時間の尺度あたりの2次元面積の単位として表現される場合でも、種々の実施形態では、支援された治療のレートが、従来の幾何学的および数学的転換技法を使用した、1次元部分と、3次元部分とを含む、軟組織の任意の部分を治療するために使用されることができる。例えば、支援される治療のレートは、軟組織の離散点、線(線形および非線形)、円形周囲、体積、および任意の他の部分を治療するために使用されることができる。図4cは、図4aおよび4bに示されるデータを組み合わせた、3Dプロットである。時間およびパワーが変動されるにつれて一定に保持された、他のレーザパラメータが、図4c上のチャートに示されている。
【0041】
種々の実施形態では、療法的に有効な収縮は、所定の数のパルスが、療法的に有効な収縮を遂行するために十分な所定の時間周期の間に送達されるように、レーザを動作させることによって、達成されることができる。例えば、レーザパルスは、以下のレート、すなわち、0.1ミリ秒~49ミリ秒、1ミリ秒~45ミリ秒、2ミリ秒~40ミリ秒、3ミリ秒~35ミリ秒、4ミリ秒~30ミリ秒、5ミリ秒~25ミリ秒、6ミリ秒~20ミリ秒、7ミリ秒~15ミリ秒、および8ミリ秒~10ミリ秒の範囲内における15個のパルスのシーケンスにおいて送達されることができる。前述の説明は、治療の種々のレート(秒/パルス)に関する支援を提供し、公知の数学的技法を使用して、任意の数のパルスの送達に関して上方または下方に外挿されることができる。ある場合には、外挿は、パルス間の等しい時間間隔(例えば、49ミリ秒内の15個のパルスは、パルスあたり3.3ミリ秒のレートである)に基づくことができる。別の例示的実施形態では、レーザパルスは、0.118秒内に37個のパルス(すなわち、パルスあたり3.2ミリ秒)のレートにおいて送達されることができる。他の場合では、外挿は、パルス間の異なる時間間隔に基づくことができる。
【0042】
より低いパワーレベルのレーザを用いた軟組織の照射は、増加された硬度および収縮をもたらす。例えば、ある動物研究が、行われ、これらの特性を測定した。動物研究は、2つの異なるラットの群を含んだ。レーザで照射された、レーザ照射群と、いかなるレーザ照射にも暴露されていない、対照群とが、存在した。レーザ照射群の照射が、1回のセッションにおいて、ラットあたり10秒の周期にわたって、1.5ワットの平均COレーザパワーを用いて実施された。フルエンスは、ナイフエッジ技法によって測定される、2mm(1/e)のネイティブビーム径によって達成された、約0.16J/cmであった。ネイティブビームは、具体的なパラメータ、例えば、実施例のためのものとして、図7に列挙されるものの組み合わせを伴う、あるパターンにおいて走査された。パターンのサイズは、部分的に、標的組織の変化を可視化するために十分に大きいために選定された、7mmであった。
【0043】
コラーゲン縮小(収縮)および生体力学的組織硬度が、レーザ照射群(n=10)および対照群(n=5)毎に、照射セッション後24時間、21日、および35日の3つの異なる時点において測定された。時点のそれぞれにおいて、軟口蓋のある区分が、切除され、2つのサンプル、すなわち、コラーゲン変性を定量化するための組織学データを取得するための1つの区分と、ヤング係数(KPa)を測定することによって生体力学特性を定量化するための硬度データを取得するための別の区分とに分割された。図5は、上記に言及された3つの時点における、レーザ照射群および対照群の両方からの切除された組織の硬度結果を示す。示されるように、レーザ照射群は、各時点において、対照群より10倍の硬度の増加を呈した。本例示的実験では、対照群に関する平均硬度値は、1日目において1.0±0.17kPa、21日目において1.7±0.17kPa、および35日目において1.6±0.63kPaであった。3つの対照群間に、有意な差異(p>0.05)は、見出されなかった。治療群に関する平均硬度値は、1日目に関して25±18kPa、21日目に関して29±19kPa、および35日目に関して97±113kPaであった。3つの治療された群間に、有意な差異(p>0.05)は、見出されなかった。治療された動物組織の硬度の増加は、対照のものより1桁を上回って維持された(各時点においてp≦0.002)。本データは、達成可能な結果の一実施例である。種々の実施形態では、本明細書に説明されるような軟組織のレーザ治療は、1.1倍~250倍、1.1倍~100倍、1.5倍~95倍、2倍~90倍、5倍~85倍、7倍~80倍、10倍~70倍、12倍~60倍、15倍~40倍、および20倍~30倍の範囲内の組織の硬度増加をもたらすことができる。例えば、レーザ治療は、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、および少なくとも250倍の組織の硬度増加をもたらすことができる。種々の実施形態では、本明細書に説明されるようなレーザ治療を受ける軟組織は、2週間~6週間(例えば、1ヶ月)の範囲内の周期にわたって、1.1倍~10倍、2倍~9倍、3倍~8倍、4倍~7倍、および5倍~6倍の範囲内の硬度の増加を受けることができる。例えば、レーザ治療は、少なくとも1.1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、および少なくとも10倍の治療された組織の硬度増加をもたらすことができる。
【0044】
2週間~6週間の範囲にわたる硬度の測定された増加は、軟組織の生体力学的変化が、線維症または創傷治癒プロセスによって別様に改変されたコラーゲン構造の持続時間に基づき得る、再構築相に存続することを確認する。したがって、増加された硬度は、有意な劣化を伴わず、有意により長い周期にわたって維持されることができる。例えば、種々の実施形態では、硬度値は、治療に続く2週間~6週間の範囲内に測定される、硬度の増加に続いて、以下の時間周期、すなわち、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、および少なくとも24ヶ月のうちのいずれかにわたって、0.1%~30%、2%~25%、3%~20%、4%~15%、および6%~10%の範囲内、例えば、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、および1%未満だけ減少し得る。
【0045】
同様に、組織学データも、図6に示されるように、レーザ照射群に関する増加されたコラーゲン縮小を示し、3つの時点にわたって対照のものより高いままである。本例示的実験では、対照群に関する平均コラーゲン織病理学値は、1日目に関して0.20±0.45、および21日目および35日目において0であった。3つの対照群間に、有意な差異(p>0.05)は、見出されなかった。レーザ照射群に関する平均コラーゲン織病理学値は、1日目に関して2.7±1.0、21日目に関して1.9±0.78、および35日目に関して2.8±0.63であった。3つの治療された群間に、有意な差異(p>0.05)は、見出されなかった。ベースラインからの全体的変化が、炎症段階(1日目)を通して、組織再構築段階(21日目および35日目)まで存続した。本データは、達成可能な結果の一実施例である。種々の実施形態では、本明細書に説明されるような軟組織のレーザ治療は、1.1倍~250倍、1.1倍~100倍、1.1倍~50倍、1.5倍~47倍、2倍~45倍、4倍~43倍、6倍~40倍、8倍~35倍、10倍~30倍、12倍~25倍、および14倍~20倍の範囲内の組織の組織病理学値増加をもたらすことができる。例えば、レーザ治療は、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、および少なくとも250倍の組織の組織病理学値増加をもたらすことができる。種々の実施形態では、本明細書に説明されるようなレーザ治療を受ける軟組織は、2週間~6週間(例えば、1ヶ月)の範囲内の周期にわたって、1.02倍~10倍、1.05倍~9倍、1.1倍~8倍、1.5倍~7倍、2倍~6倍、3倍~5倍、1.02倍~1.1倍、1.03倍~1.09倍、1.04倍~1.08倍、および1.05倍~1.07倍の範囲内の組織病理学値の増加を受けることができる。例えば、レーザ治療は、少なくとも1.02倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、および少なくとも10倍の治療された組織の硬度増加をもたらすことができる。2週間~6週間の範囲にわたる組織病理学値の測定された増加は、軟組織の生体力学的変化が、線維症または創傷治癒プロセスによって別様に改変されたコラーゲン構造の持続時間に基づき得る、再構築相に存続することを確認する。したがって、増加された組織病理学値は、有意な劣化を伴わず、有意により長い周期にわたって維持されることができる。例えば、種々の実施形態では、硬度値は、治療に続く2週間~6週間の範囲内に測定される、組織病理学値の増加に続いて、以下の時間周期、すなわち、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、および少なくとも24ヶ月のうちのいずれかにわたって、0.1%~30%、2%~25%、3%~20%、4%~15%、および6%~10%の範囲内、例えば、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、および1%未満だけ減少し得る[参考文献: Von Den Hoff J.W., Maltha J.C., Kuijpers-Jagtman A.M. (2006) Palatal Wound Healing:The Effects of Scarring on Growth. In: Berkowitz S. (eds) Cleft Lip and Palate. Springer, Berlin, Heidelberg. https://doi.org/10.1007/3-540-30020-1_20]。
【0046】
21日と35日との間の硬度および/または組織病理学値の測定された増加は、創傷治癒プロセスの増殖相の間の新しいコラーゲンの形成を示すため、重要である。加えて、測定された結果は、コラーゲンの収縮/破壊によって最初に引き起こされた、組織の増加された硬度が、組織が構造を変化するにつれて、軟化または分解するのではなく、炎症相を通して組織再構築相まで存続したことを示す。経時的に、コラーゲンが、補充され、成熟した線維症を示す、粘膜固有層の肥大化を引き起こした。これは、効果が、数ヶ月および最大1~2年またはそれを上回る期間にわたって継続し得ることを意味する[参考文献:F Wherhan, S Schultze-Mosgau, H Schliephake 「Salient Features of The Oral Mucosa」 Essential Tissue Healing of The Face & Neck]。線維症のような形成物は、鼾振動の低減の継続する恩恵を提供するような、所望の結果であり得る。
【0047】
いくつかの変形例では、レーザ源によって放出される放射線が、霧および/または空気を伴うハンドピースを通して透過されてもよい。冷却が、ハンドピース1に沿って延設され、光学式カートリッジ2を迂回する、管類5を通して行われる。冷却は、例えば、ハンドピースが、同一の場所において長い時間にわたって滞留し、喉の裏に沿って移動されていない場合と同様に、組織のいかなる意図しない加熱を低減させるためにも有用であり得る。
【0048】
ある実施形態では、COレーザは、標的組織上のレーザビームの場所の誘導物としての役割を果たす、マーキングビーム(例えば、色が緑色)を伴う。他の実施形態では、レーザの照射は、あるパターンから成ってもよい。視覚またはソナーのフィードバックが、本システム内で統合され、ユーザに、新しい標的面積まで移動する必要性を示すことができる。新しい標的面積にわたって移動するための視覚フィードバックは、定常誘導ビームを含むことができる(例えば、緑色の点が、組織上に見え得る)。例えば、組織が、レーザに暴露されている間、あるパターンが、組織上に表示される。十分な線量のエネルギーが、あるパターンにおいて送達され、コラーゲンを収縮させると、レーザは、走査を停止することができ、点オブジェクトが、標的組織上に投影されることができる。代替として、ソナーフィードバックは、パターンまたはエネルギー線量のシーケンスが、送達されると、本システムから出現する、音を含むことができる。
【0049】
図7は、例示的レーザと、動作パラメータとを含む、チャートである。レーザパラメータ(例えば、パワー、繰り返しレート、パルス持続時間、およびレーザビーム重複)は、材料(すなわち、光学式カートリッジ2)自体を損傷させることなく、罹患組織または骨を除去するための最適な効率の成果を有するように設計されてもよい。しかしながら、レーザ源は、当業者によって理解されるであろうように、異なる場所において異なるパルスエネルギーを提供するために空間的に走査されてもよい。
【0050】
図8は、本願において説明されるレーザ治療に関して使用され得る、例示的レーザ治療システム100の概略図である。示されるように、いくつかの実施形態では、治療システム100は、レーザ源8と、ビーム誘導システム9とを含むことができる。本システムはまた、レーザ源8およびビーム誘導システム9の両方を制御するための、コントローラ7を含むこともできる。レーザ治療システム100に関する付加的な詳細が、米国特許公開第2014/0363784A1号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0051】
本明細書に提示される各数値は、対応するパラメータに関する範囲内の最小値または最大値を表すと考えられる。故に、請求項に追加されると、数値は、本明細書における教示に従って、その数値を上回る、または下回って存在し得る、範囲を請求するための表現支援を提供する。(図7に示されるチャート内を含む)本明細書に提示される、各数値範囲内の最小値と最大値との間のあらゆる値が、各特定の範囲内で表現される、有効桁の数に準拠して、本明細書において明示的に支援されると考えられる。
【0052】
本明細書において、本発明の例証的実施形態を説明したが、当業者は、上記に具体的に説明されるものを除き、本発明の種々の他の特徴および利点を理解するであろう。したがって、前述のものが、本発明の原理の例証にすぎないこと、および種々の修正および追加が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって成され得ることを理解されたい。故に、添付の請求項は、示され、説明されている特定の特徴によって限定されるものではなく、いかなる明白な修正およびその均等物も網羅すると解釈されるものとする。
図1
図1B
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】