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特開2024-92058含フッ素ポリマーの製造方法及びその組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092058
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】含フッ素ポリマーの製造方法及びその組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/12 20060101AFI20240628BHJP
   C08F 16/24 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 34/02 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C08L27/12
C08F16/24
C08F34/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076996
(22)【出願日】2024-05-10
(62)【分割の表示】P 2021132511の分割
【原出願日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2019199682
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠希
(72)【発明者】
【氏名】松浦 誠
(72)【発明者】
【氏名】尾形 明俊
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 倫明
(72)【発明者】
【氏名】芦田 汐未
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(57)【要約】
【課題】本開示は、含フッ素ポリマーの製造方法及びその組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%以上である、組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%以上である、組成物。
【請求項2】
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%~65質量%の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%超~65質量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非プロトン性溶媒(B)が、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロ環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の溶媒である請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記非プロトン性溶媒(B)がハイドロフルオロエーテルである請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)が400以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記非プロトン性溶媒(B)が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記非プロトン性溶媒(B)が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物
である請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環が4、5、6、又は7員環である請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1):
【化1】
[式中、Rはフッ素原子又はC1-C5のパーフルオロアルキル基を示す。]
で表される構成単位、
下記式(A2):
【化2】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位、又は
下記式(A3):
【化3】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位
を主成分として含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む
ポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)であり、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が30質量%以上である、請求項1、4~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が30質量%超である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1-1):
【化4】
で表される構成単位、
下記式(A2-1):
【化5】
で表される構成単位、
下記式(A2-2):
【化6】
で表される構成単位、又は
下記式(A3-1):
【化7】
で表される構成単位
を主成分として含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3-1)で表される構成単位を主成分として含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A1-1)で表される構成単位、前記式(A2-1)で表される構成単位、又は前記式(A2-2)で表される構成単位を主成分として含む、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項17】
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が5000~1000000の範囲内である請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が40000~500000の範囲内である請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
モノマーを重合開始剤の存在下で重合反応させて、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)を製造する方法であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記モノマーは含フッ素ポリマー(A)に主成分として含まれる構成単位に対応するモノマー(M)を含み、
前記重合反応は、非プロトン性溶媒(B)中で行われ、
前記非プロトン性溶媒(B)は、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の溶媒である、
製造方法。
【請求項20】
前記重合開始剤は、0℃~160℃の範囲内の10時間半減期温度を有し、
前記重合反応は、非プロトン性溶媒(B)中において、
前記モノマー(M)及び前記非プロトン性溶媒のいずれか低いほうの沸点より20℃高い温度以下、且つ、前記重合開始剤の10時間半減期温度より20℃高い温度以下で行われる、
請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記重合開始剤が非パーフルオロ重合開始剤である請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記重合開始剤は、
式(C1):
【化8】
[式中、R31及びR32は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフ
ェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、
式(C2):
【化9】
[式中、R33及びR34は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、
式(C3):
【化10】
[式中、R35及びR36は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC1-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、及び
無機過酸化物
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項19~21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記非プロトン性溶媒(B)がハイドロフルオロエーテルである請求項19~22のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)が400以下である請求項19~23のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記非プロトン性溶媒(B)が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである請求項19~24のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項26】
前記非プロトン性溶媒(B)が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物
である請求項19~25のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項27】
前記重合反応における前記非プロトン性溶媒(B)の量が、前記モノマー(M)の質量に対して20質量%~300質量%の範囲内である請求項19~26のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項28】
前記重合反応における前記非プロトン性溶媒(B)の量が、前記モノマー(M)の質量に対して50質量%~200質量%の範囲内である請求項19~27のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項29】
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環が4、5、6、又は7員環である請求項19~28のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項30】
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1):
【化11】
[式中、Rはフッ素原子又はC1-C5のパーフルオロアルキル基を示す。]
で表される構成単位、
下記式(A2):
【化12】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキ
ル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位、又は
下記式(A3):
【化13】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む、請求項19~29のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項31】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む、請求項19~30のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項32】
前記含フッ素ポリマー(A)は、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含むポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)である、請求項19~30のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項33】
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1-1):
【化14】
で表される構成単位、
下記式(A2-1):
【化15】
で表される構成単位、
下記式(A2-2):
【化16】
で表される構成単位、又は
下記式(A3-1):
【化17】
で表される構成単位を主成分として含む、請求項19~30のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項34】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3-1)で表される構成単位を主成分として含む、請求項31に記載の製造方法。
【請求項35】
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A1-1)で表される構成単位、前記式(A2-1)で表される構成単位、又は前記式(A2-2)で表される構成単位を主成分として含む、請求項32に記載の製造方法。
【請求項36】
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が5000~1000000の範囲内である請求項19~35のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項37】
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が40000~500000の範囲内である請求項19~36のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項38】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A3):
【化18】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記非プロトン性溶媒(B)が、非パーフルオロ溶媒である、
組成物。
【請求項39】
前記非パーフルオロ溶媒がハイドロフルオロエーテルである請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記非パーフルオロ溶媒の地球温暖化係数(GWP)が400以下である請求項38又は39に記載の組成物。
【請求項41】
前記非パーフルオロ溶媒が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである請求項38~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記非パーフルオロ溶媒が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物である請求項38~41のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素ポリマーの製造方法及びその組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性炭素-炭素二重結合及び環構成原子として酸素原子を有する含フッ素モノマーを重合して得られる含フッ素ポリマーは、フォトリソグラフィ技術において、フォトレジスト層上に形成される反射防止膜用のコーティング材料等として利用されている。
【0003】
CF=CFOCFCFCF=CFを重合して得られる含フッ素ポリマーに溶媒としてのCFCFCFCFCFCFCHCHを加えて、含フッ素ポリマーの含有量が20質量%の組成物が得られている(特許文献1の例6)。
CF=CFCFCFOCF=CFと他の含フッ素モノマーとを溶媒非存在下で共重合させて含フッ素ポリマーが得られている(特許文献2の例2)。
含フッ素ポリマーを10質量%含有する溶液組成物が得られている(特許文献3の製造例1-7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-119019号公報
【特許文献2】特開2005-314482号公報
【特許文献3】国際公開第2013/018730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、含フッ素ポリマーの製造方法及びその組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、次の態様を包含する。
項1.
含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%以上である、組成物。
項2.
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%~65質量%の範囲内である、項1に記載の組成物。
項3.
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%超~65質量%の範囲内である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
前記非プロトン性溶媒(B)が、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロ環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物か
らなる群から選択される少なくとも一種の溶媒である項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
項5.
前記非プロトン性溶媒(B)がハイドロフルオロエーテルである項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
項6.
前記非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)が400以下である項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
項7.
前記非プロトン性溶媒(B)が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
項8.
前記非プロトン性溶媒(B)が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物である項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環が4、5、6、又は7員環である項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
項10.
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1):
【化1】
[式中、Rはフッ素原子又はC1-C5のパーフルオロアルキル基を示す。]
で表される構成単位、
下記式(A2):
【化2】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位、又は
下記式(A3):
【化3】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位
を主成分として含む、項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
項11.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
項12.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含むポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)であり、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が30質量%以上である、項1、4~8のいずれか一項に記載の組成物。
項13.
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が30質量%超である、項12に記載の組成物。
項14.
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1-1):
【化4】
で表される構成単位、
下記式(A2-1):
【化5】
で表される構成単位、
下記式(A2-2):
【化6】
で表される構成単位、又は
下記式(A3-1):
【化7】
で表される構成単位
を主成分として含む、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
項15.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3-1)で表される構成単位を主成分として含む、項11に記載の組成物。
項16.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A1-1)で表される構成単位、前記式(A2-1)で表される構成単位、又は前記式(A2-2)で表される構成単位を主成分として含む、項12又は13に記載の組成物。
項17.
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が5000~1000000の範囲内である項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
項18.
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が40000~500000の範囲内である項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【0007】
項19.
モノマーを重合開始剤の存在下で重合反応させて、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)を製造する方法であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記モノマーは含フッ素ポリマー(A)に主成分として含まれる構成単位に対応するモノマー(M)を含み、
前記重合反応は、非プロトン性溶媒(B)中で行われ、
前記非プロトン性溶媒(B)は、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の溶媒である、
製造方法。
項20.
前記重合開始剤は、0℃~160℃の範囲内の10時間半減期温度を有し、
前記重合反応は、非プロトン性溶媒(B)中において、
前記モノマー(M)及び前記非プロトン性溶媒のいずれか低いほうの沸点より20℃高い温度以下、且つ、前記重合開始剤の10時間半減期温度より20℃高い温度以下で行われる、
項19に記載の製造方法。
項21.
前記重合開始剤が非パーフルオロ重合開始剤である項19又は20に記載の製造方法。
項22.
前記重合開始剤は、
式(C1):
【化8】
[式中、R31及びR32は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、
式(C2):
【化9】
[式中、R33及びR34は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、
式(C3):
【化10】
[式中、R35及びR36は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC1-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]
で表される化合物、及び
無機過酸化物
からなる群から選択される少なくとも1種である、項19~21のいずれか一項に記載の製造方法。
項23.
前記非プロトン性溶媒(B)がハイドロフルオロエーテルである項19~22のいずれか一項に記載の製造方法。
項24.
前記非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)が400以下である項19~23のいずれか一項に記載の製造方法。
項25.
前記非プロトン性溶媒(B)が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである項19~24のいずれか一項に記載の製造方法。
項26.
前記非プロトン性溶媒(B)が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物
である項19~25のいずれか一項に記載の製造方法。
項27.
前記重合反応における前記非プロトン性溶媒(B)の量が、前記モノマー(M)の質量に対して20質量%~300質量%の範囲内である項19~26のいずれか一項に記載の製造方法。
項28.
前記重合反応における前記非プロトン性溶媒(B)の量が、前記モノマー(M)の質量に対して50質量%~200質量%の範囲内である項19~27のいずれか一項に記載の製造方法。
項29.
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環が4、5、6、又は7員環である項19~28のいずれか一項に記載の製造方法。
項30.
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1):
【化11】
[式中、Rはフッ素原子又はC1-C5のパーフルオロアルキル基を示す。]
で表される構成単位、
下記式(A2):
【化12】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位、又は
下記式(A3):
【化13】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む、項19~29のいずれか一項に記載の製造方法。
項31.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む、項19~30のいずれか一項に記載の製造方法。
項32.
前記含フッ素ポリマー(A)は、前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含むポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)である、項19~30のいずれか一項に記載の製造方法。
項33.
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A1-1):
【化14】
で表される構成単位、
下記式(A2-1):
【化15】
で表される構成単位、
下記式(A2-2):
【化16】
で表される構成単位、又は
下記式(A3-1):
【化17】
で表される構成単位を主成分として含む、項19~30のいずれか一項に記載の製造方法

項34.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A3-1)で表される構成単位を主成分として含む、項31に記載の製造方法。
項35.
前記含フッ素ポリマー(A)が、前記式(A1-1)で表される構成単位、前記式(A2-1)で表される構成単位、又は前記式(A2-2)で表される構成単位を主成分として含む、項32に記載の製造方法。
項36.
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が5000~1000000の範囲内である項19~35のいずれか一項に記載の製造方法。
項37.
前記含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量が40000~500000の範囲内である項19~36のいずれか一項に記載の製造方法。
【0008】
項38.
含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)が、下記式(A3):
【化18】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記非プロトン性溶媒(B)が、非パーフルオロ溶媒である、
組成物。
項39.
前記非パーフルオロ溶媒がハイドロフルオロエーテルである項38に記載の組成物。
項40.
前記非パーフルオロ溶媒の地球温暖化係数(GWP)が400以下である項38又は39に記載の組成物。
項41.
前記非プロトン性溶媒(B)が、
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
で表わされる化合物、
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
で表わされる化合物、
(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種のハイドロフルオロエーテルである項38~40のいずれか一項に記載の組成物。
項42.
前記非パーフルオロ溶媒が、式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物である項38~41のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、非プロトン性溶媒中で高濃度(特に、20質量%以上)で溶解可能な、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマーの製造方法が提供される。本開示によれば、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマーが非プロトン性溶媒に高濃度(特に、20質量%以上)で溶解した組成物が提供される。本開示によれば、非パーフルオロ溶媒には溶解しがたいと考えられていた前記式(A3)で表される構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマーと非パーフルオロ溶媒を含む組成物であって当該含フッ素ポリマーが溶解した組成物が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態または全ての実装を記述することを意図するものではない。
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。
それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0011】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、特に断りのない限り、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
本明細書中、表記「Cn-Cm」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
本明細書中、化合物の表記は、当業者が特に規定しない限りは全ての立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体等)を包含することができる。
本明細書中、語句「式(N)で表される化合物」、語句「式(N)で表される構成単位」、及び語句「式(N)で表されるモノマー」は各々、化合物(N)、構成単位(N)、
及びモノマー(N)と称され得る。
【0012】
本明細書中、特に断りのない限り、「含フッ素脂肪族環」は、環構成原子として、複数の炭素原子、及び1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有する。「含フッ素脂肪族環」が環構成原子として複数の酸素原子を含むときは、当該酸素原子は互いに隣り合わない。
「含フッ素脂肪族環」は、フッ素原子を含有する飽和脂肪族の単環を包含する。
「含フッ素脂肪族環」は、4員以上の環(例:4員環、5員環、6員環、7員環)を包含する。
「含フッ素脂肪族環」は、パーフルオロアルキル基(例:C1-C5の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基)及びパーフルオロアルコキシ基(例:C1-C5の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルコキシ基)からなる群から選択される少なくとも1種を置換基として有していてもよい。置換基の数は、1個以上とでき、例えば、1~4個、1~3個、1~2個、1個、2個、3個、又は4個であることができる。
「含フッ素脂肪族環」において、環構成炭素原子はフッ素原子を有していてもよい。
「含フッ素脂肪族環」の例は、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロオキセタン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロテトラヒドロフラン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロジオキソラン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロテトラヒドロピラン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロ-1,3-ジオキサン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロオキセパン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロ-1,3-ジオキセパン、1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロ-1,4-ジオキセパン、及び1個以上の置換基を有していてもよいパーフルオロ-1,3,5-トリオキセパンを含む。
【0013】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-C10アルキル基を包含できる。
【0014】
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
「フルオロアルキル基」の炭素数は、例えば、炭素数1~12、炭素数1~6、炭素数1~5、炭素数1~4、炭素数1~3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3、炭素数2、又は炭素数1であることができる。
「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例:1~3個、1~5個、1~9個、1~11個、1個から置換可能な最大個数)であることができる。
「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基を包含する。「パーフルオロアルキル基」は、アルキル基中の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基である。
パーフルオロアルキル基の例は、トリフルオロメチル基(CF-)、ペンタフルオロエチル基(C-)、ヘプタフルオロプロピル基(CFCFCF-)、及びヘプタフルオロイソプロピル基((CFCF-)を包含する。
「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基(CF-)、2,2,2-トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基(C-)、テトラフルオロプロピル基(例:HCFCFCH-)、ヘキサフルオロプロピル基(例:(CFCH-)、パーフルオロブチル基(例:CFCFCFCF-)、オクタフルオロペンチル基(例:HCFCFCFCFCH-)、パーフルオロペンチル基(例:CFCFCFCFCF-)及びパーフルオロヘキシル基(例:CFCFCFCFCFCF-)等が挙げられる。
【0015】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルコキシ基」は、RO-[当該式中、Rはアルキル基(例:C1-10アルキル基)である。]で表される基であることができる。
「アルコキシ基」の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、及びデシルオキシ等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-C10アルコキシ基を包含する。
【0016】
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルコキシ基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。「フルオロアルコキシ基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
「フルオロアルコキシ基」の炭素数は、例えば、炭素数1~12、炭素数1~6、炭素数1~5、炭素数1~4、炭素数1~3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3、炭素数2、又は炭素数1であることができる。
「フルオロアルコキシ基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例:1~3個、1~5個、1~9個、1~11個、1個から置換可能な最大個数)であることができる。
「フルオロアルコキシ基」は、パーフルオロアルコキシ基を包含する。「パーフルオロアルコキシ基」は、アルコキシ基中の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基である。
「パーフルオロアルコキシ基」の例は、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、及びヘプタフルオロイソプロポキシ基を包含する。
「フルオロアルコキシ基」として、具体的には、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基(例:CFCFCFO-、(CFCFO-)、及びノナフルオロブトキシ基(例:CFCFCFCFO-、(CFCO-)等が挙げられる。
【0017】
組成物
本開示の一実施態様は、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物である。当該組成物は液状であり、且つ、含フッ素ポリマー(A)は溶解していることが好ましい。
当該組成物において、前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わない。
【0018】
含フッ素ポリマー(A)
含フッ素ポリマー(A)は、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む。「構成単位を主成分として含む」とは、含フッ素ポリマー(A)中の全ての構成単位における当該構成単位の割合が50モル%以上であることを意味する。
含フッ素ポリマー(A)中の含フッ素脂肪族環を有する構成単位の割合は、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
【0019】
含フッ素ポリマー(A)中の含フッ素脂肪族環を有する構成単位の種類は1種以上であってよく、好ましくは1~3種類、より好ましくは1又は2種類、特に好ましくは1種類である。
【0020】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当
該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わない。
含フッ素脂肪族環は環構成原子として炭素原子を2個以上(例:2個、3個、4個)含み、且つ、隣接する炭素原子間で形成される炭素-炭素結合を1個以上(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)含むことができる。
含フッ素脂肪族環は、環構成原子として、2個以上の炭素原子及び1、2、又は3個の酸素原子を含み、他の原子を含まないことが好ましい。
含フッ素脂肪族環は水素原子を含まないことが好ましい。
含フッ素脂肪族環は全ての水素原子がフッ素原子で置換された脂肪族環であることが好ましい。
【0021】
含フッ素脂肪族環は、4員環、5員環、6員環、又は7員環であることができる。含フッ素ポリマー(A)の種々の物性の観点から、含フッ素脂肪族環は、好ましくは4員環、5員環、又は6員環であり、より好ましくは5員環である。
含フッ素脂肪族4員環は、環構成原子として、3個の炭素原子及び1個の酸素原子を含むことができる。含フッ素脂肪族4員環の例は、パーフルオロオキセタン環を包含する。
含フッ素脂肪族5員環は、環構成原子として、4個の炭素原子及び1個の酸素原子を含んでもよく、又は3個の炭素原子及び2個の酸素原子を含んでもよい。含フッ素脂肪族5員環の例は、パーフルオロテトラヒドロフラン環及びパーフルオロジオキソラン環を包含する。
含フッ素脂肪族6員環は、環構成原子として、5個の炭素原子及び1個の酸素原子を含んでもよく、又は4個の炭素原子及び2個の酸素原子を含んでもよい。含フッ素脂肪族6員環の例は、パーフルオロテトラヒドロピラン環及びパーフルオロ-1,3-ジオキサン環を包含する。
含フッ素脂肪族7員環は、環構成原子として、6個の炭素原子及び1個の酸素原子を含んでもよく、5個の炭素原子及び2個の酸素原子を含んでもよく、又は4個の炭素原子及び3個の酸素原子を含んでもよい。含フッ素脂肪族7員環の例は、パーフルオロオキセパン環、パーフルオロ-1,3-ジオキセパン環、パーフルオロ-1,4-ジオキセパン環、及びパーフルオロ-1,3,5-トリオキセパン環を包含する。
【0022】
含フッ素脂肪族環は、1個以上の置換基を有してもよい。置換基が複数あるときは同一でも異なっていてもよい。
置換基は、パーフルオロアルキル基(例:直鎖状又は分岐状のC1-C5パーフルオロアルキル基)及びパーフルオロアルコキシ基(例:直鎖状又は分岐状のC1-C5パーフルオロアルコキシ基)からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。置換基の数は、1個以上とでき、例えば、1~4個、1~3個、1~2個、1個、2個、3個、又は4個であることができる。
置換基としては、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、トリフルオロメトキシ、及びパーフルオロエトキシからなる群から選択される少なくとも1種の基が好ましく、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、及びパーフルオロイソプロピルからなる群から選択される少なくとも1種の基がより好ましく、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、及びトリフルオロメトキシからなる群から選択される少なくとも1種の基が特に好ましい。
【0023】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位は含フッ素脂肪族環とは別に、1又は2個のパーフルオロアルキレン基を有してもよい。当該パーフルオロアルキレン基は、含フッ素脂肪族環の環構成炭素原子と結合して、含フッ素ポリマー(A)の主鎖を形成する。
このようなパーフルオロアルキレン基の一例は、下記式(A1-1):
【化19】
で表される構成単位中の、環を構成するパーフルオロメチレンを除いた、2個の-CF-である。構成単位中のパーフルオロアルキレン基は1個でもよい。パーフルオロアルキレン基が2個含まれる場合、同一又は異なっていてよい。
パーフルオロアルキレン基の例は、-(CF)n-[式中、nは1~4の整数を示す。]で表されるアルキレン基である。
含フッ素脂肪族環を有する構成単位に含まれるパーフルオロアルキレン基は、1個以上のパーフルオロアルキル基を置換基として有してもよい。当該置換基が複数あるときは同一又は異なっていてよい。置換基の数は、1個以上とでき、例えば、1~4個、1~3個、1~2個、1個、2個、3個、又は4個とできる。
置換基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、及びヘプタフルオロイソプロピルからなる群から選択される少なくとも1種の基が好ましく、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチルからなる群から選択される少なくとも1種の基がより好ましい。
【0024】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位は、下記式(A1)~(A3)のいずれかで表される構成単位(本明細書中、各々、「構成単位(A1)」、「構成単位(A2)」、及び「構成単位(A3)」と称することがある。)であってよい。構成単位(A1)、(A2)及び(A3)は、1種単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0025】
【化20】
[式中、Rはフッ素原子又はC1-C5のパーフルオロアルキル基を示す。]
【0026】
【化21】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
【0027】
【化22】
[式中、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
【0028】
構成単位(A1)において、Rは、フッ素原子あるいはC1-C4の直鎖状又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基とできる。Rは、フッ素原子、トリフルオロメチル、又はパーフルオロエチルが好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチルがより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0029】
構成単位(A1)の好ましい例は、下記式(A1-1)で表される構成単位(本明細書中、「構成単位(A1-1)」と称することがある。)を包含する。
【化23】
【0030】
構成単位(A2)において、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C3の直鎖状又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、あるいはC1-C3の直鎖状又は分岐鎖状のパーフルオロアルコキシ基とできる。R~Rはそれぞれ独立して、は、フッ素原子、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、又はトリフルオロメトキシが好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシがより好ましい。
【0031】
好ましい構成単位(A2)は、式(A2)において、R及びRがそれぞれ独立して、フッ素原子、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシを示し、R及びRがそれぞれ独立して、フッ素原子又はトリフルオロメチルを示す、構成単位である。
【0032】
より好ましい構成単位(A2)は、式(A2)において、Rがフッ素原子を示し、Rがフッ素原子、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシを示し、R及びRがそれぞれ独立して、フッ素原子又はトリフルオロメチルを示す、構成単位である。
【0033】
特に好ましい構成単位(A2)は、式(A2)において、Rがフッ素原子を示し、Rがフッ素原子又はトリフルオロメトキシを示し、R及びRが同一に、フッ素原子又はトリフルオロメチルを示す、構成単位である。
【0034】
構成単位(A2)の好ましい例は、下記式で表される構成単位(各々、本明細書中、「構成単位(A2-1)」、「構成単位(A2-2)」と称することがある。)を包含する。
【化24】
【0035】
構成単位(A3)において、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C3の直鎖状又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、あるいはC1-C3の直鎖状又は分岐鎖状のパーフルオロアルコキシ基とできる。R~Rはそれぞれ独立して、は、フッ素原子、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、又はトリフルオロメトキシが好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシがより好ましい。
【0036】
好ましい構成単位(A3)は、式(A3)において、R~Rはそれぞれ独立して、フッ素原子又はトリフルオロメチルを示す、構成単位である。
【0037】
より好ましい構成単位(A3)は、式(A3)において、
~Rはフッ素原子を示す、
~Rはフッ素原子を示し、Rはトリフルオロメチルを示す、
はトリフルオロメチルを示し、R~Rはフッ素原子を示す、あるいは
及びはトリフルオロメチルを示し、R及びRはフッ素原子を示す、
構成単位である。
【0038】
構成単位(A3)の好ましい例は、下記式で表される構成単位(本明細書中、「構成単位(A3-1)」と称することがある。)を包含する。
【化25】
【0039】
含フッ素ポリマー(A)は、主成分として含まれる含フッ素脂肪族環を有する構成単位に加えて、他の構成単位を含むことができる。含フッ素ポリマー(A)中の全ての構成単位における当該他の構成単位の割合は50モル%以下とでき、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、0モル%が特に好ましい。
【0040】
他の構成単位としては、下記式(A11):
【化26】
[式中、R111は、フッ素原子、C1-C6のパーフルオロアルキル基、又はC1-C
6のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位(本明細書中、「構成単位(A11)」と称することがある。)が挙げられるが、これに限定されない。
例えば、含フッ素ポリマー(A)は、構成単位(A2-1)及び下記式(A11-1):
【化27】
で表される構成単位(本明細書中、「構成単位(A11-1)」と称することがある。)を含むことができる。
【0041】
111は、フッ素原子、直鎖状又は分岐状のC1-C6パーフルオロアルキル基、あるいは直鎖状又は分岐状のC1-C6パーフルオロアルコキシ基とできる。
好ましいR111は、フッ素原子、直鎖状又は分岐状のC1-C4パーフルオロアルキル基、あるいは直鎖状又は分岐状のC1-C4パーフルオロアルコキシ基である。
より好ましいR111は、フッ素原子、直鎖状又は分岐状のC1-C3パーフルオロアルキル基、あるいは直鎖状又は分岐状のC1-C3パーフルオロアルコキシ基である。
特に好ましいR111は、フッ素原子又はトリフルオロアルキルである。
【0042】
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量は、例えば、5000~1000000の範囲内、10000~1000000の範囲内、10000~500000の範囲内、90000~350000の範囲内等とでき、10000~750000の範囲内が好ましく、40000~500000の範囲内がより好ましく、70000~350000の範囲内が特に好ましい。
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量の下限は、例えば、5000以上とでき、10000以上が好ましく、40000以上がより好ましく、70000以上が特に好ましい。含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量の上限は、例えば、1000000以下とでき、750000以下が好ましく、500000以下がより好ましく、350000以下が特に好ましい。前記下限と上限とは適宜組み合わせられてよい。
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法(特に、実施例に記載のGPC法)により特定される値である。
【0043】
本開示の組成物において、前記組成物質量に対する含フッ素ポリマー(A)の含有量は20質量%以上とできる。好ましくは20質量%~65質量%の範囲内、より好ましくは20質量%超~65質量%の範囲内、特に好ましくは20質量%超~50質量%の範囲内とできる。
【0044】
なお、構成単位(A3)を主成分として含むポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)とは、前記含フッ素ポリマー(A)のうち、構成単位(A3)を主成分として含むポリマーではないポリマーを意味する。換言すると、構成単位(A3)を主成分として含むポリマー以外の前記含フッ素ポリマー(A)とは、含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含み、当該含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わない、含フッ素ポリマー(A)に該当し、且つ、構成単位(A3)を主成分として含むポリマーに該当しないポリマーを意味する。
【0045】
含フッ素ポリマー(A)は、公知の方法により合成できる。例えば、含フッ素ポリマーの構成単位に対応するモノマーを重合することにより合成することができる。重合方法と
しては、ラジカル重合、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。含フッ素ポリマー(A)が高濃度で溶媒に溶解できる点で、本開示の含フッ素ポリマー(A)の製造方法が特に好ましい。
【0046】
非プロトン性溶媒(B)
本開示の組成物は、非プロトン性溶媒(B)を含有する。非プロトン性溶媒としては、パーフルオロ溶媒及び非パーフルオロ溶媒からなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
パーフルオロ溶媒は、非プロトン性溶媒のうち、フッ素原子及び炭素原子を含み水素原子を含まない溶媒である。パーフルオロ溶媒としては、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテルなどが挙げられる。パーフルオロ溶媒は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
非パーフルオロ溶媒は、非プロトン性溶媒のうち、フッ素原子、炭素原子及び水素原子を含む溶媒である。非パーフルオロ溶媒としては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物などが挙げられる。非パーフルオロ溶媒は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。非パーフルオロ溶媒は、地球温暖化係数が概してパーフルオロ溶媒より低いため、環境負荷の点からすれば、好ましい溶媒である。一方で、非パーフルオロ溶媒は、フッ素ポリマーを溶解させる性能が低いと考えられていたが、構成単位(A3)を主成分として含むポリマーを溶解できることを本発明者らは見出した。
【0047】
パーフルオロ芳香族化合物は、例えば、1個以上のパーフルオロアルキル基を有してもよいパーフルオロ芳香族化合物である。パーフルオロ芳香族化合物が有する芳香環はベンゼン環、ナフタレン環、及びアントラセン環からなる群から選択される少なくとも1種の環であってよい。パーフルオロ芳香族化合物は芳香環を1個以上(例:1個、2個、3個)有してもよい。
置換基としてのパーフルオロアルキル基は、例えば直鎖状又は分岐状の、C1-C6、C1-C5、又はC1-C4パーフルオロアルキル基であり、直鎖状又は分岐状のC1-C3パーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルがより好ましい。
置換基の数は、例えば1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個である。置換基が複数あるときは同一又は異なっていてよい。
パーフルオロ芳香族化合物の例は、パーフルオロベンゼン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、パーフルオロナフタレンを包含する。
パーフルオロ芳香族化合物の好ましい例は、パーフルオロベンゼン、パーフルオロトルエンを包含する。
【0048】
パーフルオロトリアルキルアミンは、例えば、3つの直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基で置換されたアミンである。当該パーフルオロアルキル基の炭素数は例えば1~10であり、好ましくは1~5、より好ましくは1~4である。当該パーフルオロアルキル基は同一又は異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
パーフルオロトリアルキルアミンの例は、パーフルオロトリメチルアミン、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリイソプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリsec-ブチルアミン、パーフルオロトリtert-ブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリイソペンチルアミン、パーフルオロトリネオペンチルアミンを包含する。
パーフルオロトリアルキルアミンの好ましい例は、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミンを包含する。
【0049】
パーフルオロアルカンは、例えば、直鎖状、分岐状、又は環状のC3-C12(好まし
くはC3-C10、より好ましくはC3-C6)パーフルオロアルカンである。
パーフルオロアルカンの例は、パーフルオロペンタン、パーフルオロ-2-メチルペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ-2-メチルヘキサン、パーフルオロへプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(メチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(ジメチルシクロヘキサン)(例:パーフルオロ(1,3-ジメチルシクロヘキサン))、パーフルオロデカリンを包含する。
パーフルオロアルカンの好ましい例は、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロへプタン、パーフルオロオクタンを包含する。
【0050】
ハイドロフルオロカーボンは、例えば、C3-C8ハイドロフルオロカーボンである。
ハイドロフルオロカーボンの例は、CFCHCFH、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、CFCFCFCFCHCH、CFCFCFCFCFCHF、及びCFCFCFCFCFCFCHCHを包含する。
ハイドロフルオロカーボンの好ましい例は、CFCHCFH、CFCHCFCHを包含する。
【0051】
パーフルオロ環状エーテルは、例えば、1個以上のパーフルオロアルキル基を有してもよいパーフルオロ環状エーテルである。パーフルオロ環状エーテルが有する環は3~6員環であってよい。パーフルオロ環状エーテルが有する環は環構成原子として1個以上の酸素原子を有してよい。当該環は、好ましくは1又は2個、より好ましくは1個の酸素原子を有する。
置換基としてのパーフルオロアルキル基は、例えば直鎖状又は分岐状の、C1-C6、C1-C5、又はC1-C4パーフルオロアルキル基である。好ましいパーフルオロアルキル基は直鎖状又は分岐状のC1-C3パーフルオロアルキル基である。
置換基の数は、例えば1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個である。置換基が複数あるときは同一又は異なっていてよい。
パーフルオロ環状エーテルの例は、パーフルオロテトラヒドロフラン、パーフルオロ-5-メチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ-5-エチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ-5-プロピルテトラヒドロフラン、パーフルオロ-5-ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロテトラヒドロピランを包含する。
パーフルオロ環状エーテルの好ましい例は、パーフルオロ-5-エチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ-5-ブチルテトラヒドロフランを包含する。
【0052】
ハイドロフルオロエーテルは、例えば、フッ素含有エーテルである。
ハイドロフルオロエーテルの地球温暖化係数(GWP)は600以下が好ましく、400以下がより好ましく、300以下が特に好ましい。ハイドロフルオロエーテルの地球温暖化係数(GWP)の下限は1以上であっても5以上であってもよい。
ハイドロフルオロエーテルの例は、CFCFCFCFOCH3、CFCFCF(CF)OCH3、CFCF(CF)CFOCH3、CFCFCFCFOC、CFCHOCFCHF、CCF(OCH)C、(CFCHOCH、(CFCFOCH、CHFCFOCHCF、CHFCFCHOCFCHF、CFCHFCFOCH、CFCHFCFOCF、トリフルオロメチル1,2,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(HFE-227me)、ジフルオロメチル1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチルエーテル(HFE-227mc)、トリフルオロメチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(HFE-227pc)、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(HFE-245mf)、2,2-ジフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル(HFE-245pf)、1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエー
テル(CFCHFCFOCH)、1,1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(CHFCFOCHCF)、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン((CFCHOCH)を含む。
ハイドロフルオロエーテルの好ましい例は、CFCFCFCFOCH3、CFCFCFCFOC、CFCHOCFCHF、CCF(OCH)C、1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CFCHFCFOCH)、1,1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(CHFCFOCHCF)、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン((CFCHOCH)を包含する。
【0053】
ハイドロフルオロエーテルは、下記式(B-1)で表わされる化合物、下記式(B-2)で表される化合物、下記式(B-3)で表わされる化合物、下記式(B-4)で表される化合物、(CFCHOCH、(CFCFOCH、CFCHFCFOCH、及びCFCHFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であってよい。
式(B-1):
F(CFO(CHH (B-1)
[式中、pは1~6の整数であり、qは1~4の整数である。]
式(B-2):
H(CFO(CFF (B-2)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
式(B-3):
H(CFO(CHH (B-3)
[式中、p及びqは前記と同意義である。]
式(B-4):
X(CFCHO(CFH (B-4)
[式中、Xはフッ素原子又は水素原子を表し、p及びqは前記と同意義である。]
【0054】
ハイドロフルオロエーテルは、下記式(B-5):
21-O-R22 (B-5)
[式中、R21は、一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されている直鎖状又は分岐鎖状のプロピル又はブチルであり、R22は、メチル又はエチルである。]
で表される化合物がより好ましい。式(B-5)で表わされる化合物は、R21がパーフルオロブチルであり、R22がメチル又はエチルである、化合物であってよい。
【0055】
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、その構造中に少なくとも1つの塩素原子を含むC2-C4(好ましくはC2-C3)オレフィン化合物である。少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、二重結合を1又は2個(好ましくは1個)有する、炭素数2~4の炭化水素において、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが塩素原子に置換された化合物である。
塩素原子の数は、1~置換可能な最大の数である。塩素原子の数は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個等とできる。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、少なくとも1つ(例えば、1個、2個、3個、4個、5個等)のフッ素原子を含んでもよい。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物の例は、CH=CHCl、CHCl=CHCl、CCl=CHCl、CCl=CCl、CFCH=CHCl、CHFCF=CHCl、CFHCF=CHCl、CFCCl=CFCl、CFHCl=CFCl、CFHCl=CFClを包含する。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物の好ましい例はCHCl=CHCl
、CHFCF=CHCl、CFCH=CHCl、CFCCl=CFClを包含する。
【0056】
非プロトン性溶媒(B)としては、使用時の環境負荷が小さく、ポリマーからの留去が容易なことから、ハイドロフルオロエーテルが好ましい。
【0057】
非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)は600以下、400以下等とでき、375以下が好ましく、350以下がより好ましく、0が特に好ましい。非プロトン性溶媒(B)の地球温暖化係数(GWP)の下限は1以上であっても5以上であってもよい。
【0058】
本開示の組成物において、前記組成物質量に対する非プロトン性溶媒(B)の含有量は80質量%以下とできる。好ましくは35質量%~80質量%の範囲内、より好ましくは35質量%~80質量%未満の範囲内、特に好ましくは50質量%~80質量%未満の範囲内とできる。
【0059】
その他の成分
本開示の組成物は、含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)に加えて、原料モノマー、原料モノマーから形成されたオリゴマー、重合開始剤、原料に由来する不純物などを含有してもよい。組成物に含有される前記の各種成分の量は、例えば含フッ素ポリマー(A)の製造条件(例:温度、時間、原料モノマー種及び量、溶媒種及び量、重合開始剤種及び量)を設定することにより調整し得る。また、当該各種成分の量は、含フッ素ポリマー(A)の製造後の精製により調整し得る。
【0060】
含フッ素ポリマー(A3)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物(A3)
「含フッ素ポリマー(A3)」は、含フッ素ポリマー(A)の一形態であって、構成単位(A3)を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)を意味する。
「組成物(A3)」は、これまで説明した本開示の組成物の一形態であって、構成単位(A3)を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物である。
含フッ素ポリマー(A3)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物(A3)は、本開示の組成物の一実施態様である。したがって、組成物(A3)については、これまでに説明した事項が適用できるだけでなく、これに代えて又は加えて、本項において説明する事項を適用してもよい。
【0061】
組成物(A3)において、含フッ素ポリマー(A3)の含有量は、例えば20質量%以上、30質量%以上、30質量%超、31質量%以上とでき、好ましくは20質量%~65質量%の範囲内、20質量%超~65質量%の範囲内、20質量%~50質量%の範囲内であり、より好ましくは30質量%~65質量%の範囲内、30質量%超~65質量%の範囲内、31質量%~65質量%の範囲内であり、特に好ましくは30質量%~50質量%の範囲内、30質量%超~50質量%の範囲内、31質量%~50質量%の範囲内である。
【0062】
組成物(A3)において、非プロトン性溶媒の含有量は、例えば80質量%以下、70質量%以下、70質量%未満、69質量%以下とでき、好ましくは35質量%~80質量%の範囲内、35質量%~80質量%未満の範囲内、50質量%~80質量%の範囲内であり、より好ましくは35質量%~70質量%の範囲内、35質量%~70質量%未満の範囲内、35質量%~69質量%の範囲内であり、特に好ましくは50質量%~70質量%の範囲内、50質量%~70質量%未満の範囲内、50質量%~69質量%の範囲内である。
【0063】
含フッ素ポリマー(A3)及び非プロトン性溶媒(B)としての非パーフルオロ溶媒を含有する組成物(A3-2)
本開示の組成物の他の側面は、含フッ素ポリマー(A3)及び非プロトン性溶媒(B)としての非パーフルオロ溶媒を含有する組成物(A3-2)である。組成物(A3-2)において含フッ素ポリマー(A3)は、溶媒が非パーフルオロ溶媒であるにもかかわらず溶解していてもよい。
組成物(A3-2)については、本項以外で説明した事項が適用できるが、含フッ素ポリマー(A3)の濃度は20質量%未満であってもよい。
【0064】
含フッ素ポリマー(A)の製造方法
含フッ素ポリマー(A)はモノマーを重合開始剤の存在下で重合反応させて製造される。
前記モノマーは、含フッ素ポリマー(A)に主成分として含まれる構成単位に対応するモノマー(M)を含む。
前記重合反応は、非プロトン性溶媒(B)中で行われる。
前記非プロトン性溶媒(B)は、パーフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリアルキルアミン、パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の溶媒である。
【0065】
本開示の含フッ素ポリマー(A)の製造方法では、含フッ素ポリマー(A)含量又は溶解量の高い非プロトン性溶媒(B)が得られる。このため、本開示の製造方法を、本開示の組成物を製造する方法として好適である。
【0066】
モノマー
「モノマー(M)」は、含フッ素ポリマー(A)に主成分として含まれる構成単位に対応するモノマーである。モノマーとしては、モノマー(M)に加え、これとは別のモノマーを使用することができる。本明細書において、含フッ素ポリマー(A)に含まれる構成単位であって、主成分として含まれる構成単位以外の構成単位に対応するモノマーを、「その他のモノマー」と称することがある。
【0067】
当業者は、特定のモノマーを重合反応させることにより、このモノマーに対応した構成単位を有する含フッ素ポリマー(A)が得られることを理解できる。したがって、当業者は、所望の含フッ素ポリマー(A)を製造するために、適切なモノマーを選択できる。
例えば、構成単位(A1-1)、構成単位(A2-1)、構成単位(A2-2)、構成単位(A3-1)、及び構成単位(A11-1)に対応するモノマーは、各々、以下に示す、式(M1-1)、式(M2-1)、式(M2-2)、式(M3-1)、及び式(M11-1)で表されるモノマー(本明細書中、各々、「モノマー(M1-1)」、「モノマー(M2-1)」、「モノマー(M2-2)」、「モノマー(M3-1)」、及び「モノマー(M11-1)」と称することがある。)とできる。
【化28】
【0068】
モノマー(M)は1種単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、モノマー(M)とその他のモノマーとを組み合わせて使用できる。例えば、モノマー(A2-1)及びモノマー(A11-1)を組み合わせて、構成単位(A2-1)及び構成単位(A11-1)を含む含フッ素ポリマー(A)を製造できる。
【0069】
非プロトン性溶媒(B)
本開示の製造方法では、非プロトン性溶媒(B)中でモノマーを重合する。非プロトン性溶媒(B)の詳細については、特に断りのない限り、本開示の組成物における非プロトン性溶媒(B)に関する記載が参照される。
【0070】
重合開始剤
本開示の製造方法では、重合開始剤の存在下でモノマーを重合反応させる。重合開始剤は、モノマー(M)を重合できるものであればいずれも使用でき、例えば、ラジカル重合開始剤である。重合開始剤は、0℃~160℃の範囲内の10時間半減期温度を有することが好ましい。
【0071】
重合開始剤は、含フッ素ポリマー(A)含量の高い液状組成物を得られることから、好ましくは、フッ素原子を含む。重合開始剤は、非パーフルオロ重合開始剤がより好ましい。非パーフルオロ重合開始剤は、水素原子及びフッ素原子を含む重合開始剤である。したがって、非パーフルオロ重合開始剤は、パーフルオロ化合物を包含しない。
重合開始剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0072】
重合開始剤としては、下記式(C1)、(C2)及び(C3)で表される化合物(本明細書中、各々、「化合物(C1)」、「化合物(C2)」、及び「化合物(C3)」と称することがある。)、並びに無機過酸化物が挙げられる。化合物(C1)~化合物(C3)、及び無機過酸化物は、1種単独又は組み合わせて使用できる。
【化29】
[式中、R31及びR32は、同一又は異なって、
パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び
直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基
である。]、
【化30】
[式中、R33及びR34は、同一又は異なって、パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に
置換された基である。]、及び
式(C3):
【化31】
[式中、R35及びR36は、同一又は異なって、パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC1-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、及び直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基である。]。
【0073】
31及びR32は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル
、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、
パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、及びパーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0074】
31及びR32において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数であり、特に好ましくは置換可能な最大個数である。
31及びR32は、より好ましくは、同一又は異なって、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、2-エチルヘキシル、及び4-tertブチルシクロヘキシルである。
31及びR32は、特に好ましくは、同一又は異なって、プロピル及びイソプロピルである。
【0075】
化合物(C1)の好ましい例は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4-tertブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを包含する。
特に好ましい化合物(C1)は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートである。
【0076】
33及びR34は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル
、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、
パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,
4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、及びパーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0077】
33及びR34において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数である。
33及びR34は、より好ましくは、同一又は異なって、イソプロピル、2,4,4-トリメチルペンチル、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘキシル、ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロオクチル、フェニル、及び3-メチルフェニルである。
【0078】
化合物(C2)の好ましい例は、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm-メチルベンゾイルパーオキサイド、及びm-トルオイルパーオキサイドを包含する。
特に好ましい化合物(C2)は、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、及びベンゾイルパーオキサイドである。
【0079】
35及びR36は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、及びパーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0080】
35及びR36において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数であり、特に好ましくは置換可能な最大個数である。
35及びR36は、より好ましくは、同一又は異なって、イソプロピル、2-フェニ
ル-2-プロピル、tert-ブチル、2-メチル-2-ペンチル、2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、2-ヘプチル、2-メチル-2-オクチル、フェニル、及び3-メチルフェニルである。
【0081】
化合物(C3)の好ましい例は、パーオキシネオデカン酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシル、パーオキシ炭酸OO-tert-ブチルO-イソプロピル、及びパーオキシ酢酸tert-ブチルを包含する。
特に好ましい化合物(C3)は、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシルである。
【0082】
無機過酸化物の好ましい例は、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸、過マンガン酸の、アンモニウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩を包含する。
特に好ましい無機過酸化物は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムである。
無機過酸化物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、無機化酸化物は、サルファイト系還元剤(例:亜ジチオン酸ナトリウム)、亜硫酸塩還元剤(例:亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、及び亜硫酸水素ナトリウム)のような還元剤と組み合わせて用いてもよい。
【0083】
重合開始剤の好ましい例は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムを包含する。
特に好ましい重合開始剤は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシル、過硫酸アンモニウムである。
【0084】
重合反応に用いるモノマー(M)の量は、所望の含フッ素ポリマー(A)における、モノマー(M)に対応する構成単位の割合等に応じて適宜決定できる。例えば、全ての原料モノマーの総モル数に対し、50モル%以上であり、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
モノマー(M)に加えその他のモノマーを使用する場合、その他のモノマーの量は、所望の含フッ素ポリマー(A)における、その他のモノマーに対応する構成単位の割合等に応じて適宜決定できる。例えば、全ての原料モノマーの総モル数に対し、50モル%以下であり、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、0モル%が特に好ましい。
【0085】
重合反応に用いる非プロトン性溶媒(B)の量は、モノマー(M)の量を100質量%とした場合、20質量%~300質量%の範囲内とでき、好ましくは35質量%~250質量%の範囲内とでき、より好ましくは50質量%~300質量%の範囲内とできる。 重合反応に用いる重合開始剤の量は、例えば、反応に供される全てのモノマー(つまり、モノマー(M)とその他のモノマーの合計量)の1gに対して、0.0001g~0.05gの範囲内とでき、好ましくは0.0001g~0.01gの範囲内であり、より好ましくは0.0005g~0.008gの範囲内であってよい。
【0086】
重合反応の温度は、例えば、-10℃~160℃の範囲内とでき、好ましくは0℃~160℃の範囲内であり、より好ましくは0℃~100℃の範囲内であってよい。
重合反応は、含フッ素ポリマー(A)の主成分となる構成単位に対応するモノマー(M)及び前記非プロトン性溶媒のいずれか低いほうの沸点より20℃高い温度以下、且つ、前記重合開始剤の10時間半減期温度より20℃高い温度以下で行われてもよい。この場合、温度の下限は、例えば-10℃とでき、好ましくは0℃とできる。
【0087】
重合反応の反応時間は、好ましくは、0.5時間~72時間の範囲内、より好ましくは、1時間~48時間の範囲内、さらに好ましくは3時間~30時間の範囲内であってよい。
【0088】
重合反応は、不活性ガス(例:窒素ガス)の存在下又は不存在下で実施され得、好適には存在下で実施され得る。
【0089】
重合反応は、減圧下、大気圧下、又は加圧条件下にて実施され得る。
【0090】
重合反応は、重合開始剤を含む非プロトン性溶媒(B)にモノマーを添加することで実施され得る。また、モノマーを含む非プロトン性溶媒(B)に重合開始剤を添加することで実施され得る。
【0091】
重合反応で生成した含フッ素ポリマー(A)は、所望により、抽出、溶解、濃縮、フィルターろ過、析出、脱水、吸着、クロマトグラフィー等の慣用の方法、又はこれらの組み合わせにより単離、又は精製できる。
【0092】
含フッ素ポリマー(A)は、通常、非プロトン性溶媒(B)に対する溶解性が低い。このため、含フッ素ポリマー(A)を高濃度で含むコーティング膜等の形成が難しかった。しかし、本開示の製造方法では、非プロトン性溶媒(B)中に高濃度で含フッ素ポリマー(A)が溶解した液を製造できる。例えば、含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)の合計質量に対し、含フッ素ポリマー(A)の溶解量が20質量%以上、好ましくは20質量%~65質量%の範囲内、より好ましくは20質量%超~65質量%の範囲内、特に好ましくは20質量%超~50質量%の範囲内である液を製造できる。
当該液から、含フッ素ポリマー(A)を精製して単離してもよい。別の実施態様において、当該液をそのまま、含フッ素ポリマー(A)を要する用途に使用してもよい。
【0093】
含フッ素ポリマー(A)が含フッ素ポリマー(A3)であるときは、含フッ素ポリマー(A3)及び非プロトン性溶媒(B)の合計質量に対し、含フッ素ポリマー(A3)の溶解量は、例えば20質量%以上、30質量%以上、30質量%超、31質量%以上とでき、好ましくは20質量%~65質量%の範囲内、20質量%超~65質量%の範囲内、20質量%~50質量%の範囲内であり、より好ましくは30質量%~65質量%の範囲内、30質量%超~65質量%の範囲内、31質量%~65質量%の範囲内であり、特に好ましくは30質量%~50質量%の範囲内、30質量%超~50質量%の範囲内、31質量%~50質量%の範囲内である。
【0094】
含フッ素ポリマー(A)が含フッ素ポリマー(A3)であり、非プロトン性溶媒が非パーフルオロ溶媒であるときは、含フッ素ポリマー(A3)の溶解量は、上記の範囲に加え、20質量%未満であってもよく、例えば1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、30質量%超、31質量%以上とでき、好ましくは20質量%~65質量%の範囲内、20質量%超~65質量%の範囲内、20質量%~50質量%の範囲内であり、より好ましくは30質量%~65質量%の範
囲内、30質量%超~65質量%の範囲内、31質量%~65質量%の範囲内であり、特に好ましくは30質量%~50質量%の範囲内、30質量%超~50質量%の範囲内、31質量%~50質量%の範囲内である。
【0095】
本開示の製造方法で製造された含フッ素ポリマー(A)は、従来知られている含フッ素ポリマー(A)の用途で使用することができる。このような用途としては、リソグラフィ工程において使用されるフォトマスク上に形成されるペリクル膜などが挙げられる。
【0096】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能であることが理解されるであろう。
【実施例0097】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0098】
実施例中の記号及び略称は、以下の意味で用いられる。
PMMA:ポリメチルメタクリレート
開始剤溶液(1):ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:40℃)を50質量%含有するメタノール溶液
開始剤溶液(2):ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド(10時間半減期温度:15℃)を7質量%含有するパーフルオロヘキサン溶液
含フッ素ポリマー(A3-1):構成単位(A3-1)で構成されたポリマー
【0099】
GPC分析方法
<サンプル調整法>
ポリマーをパーフルオロベンゼンに溶解させて2wt%ポリマー溶液を作製し、メンブレンフィルター(0.22μm)を通しサンプル溶液とする。
<測定法>
分子量の標準サンプル:PMMA
検出方法:RI(示差屈折計)
【0100】
ポリマー溶解度の判断基準
組成物中のポリマーの溶解有無の判断は以下のように行った。
調製した組成物を目視で確認し、未溶解のポリマーが確認されず、かつ室温中で組成物全体が均一に流動する場合を溶解していると判断した。
【0101】
実施例 1:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの15g、開始剤溶液(1)の0.017gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.5g(Mw:273268)を36wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物(ここで、不純物とはHF、4,4,5-トリフルオロ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン、2-(ジフルオロメチル)-2,4,4,5-テトラフルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン、4,4,5-トリフルオロ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-カルボン酸等を意味し、他の実施例においても同様である。)を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0102】
実施例 2:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの20g、開始剤溶液(1)の0.030gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.8g(Mw:143514)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0103】
実施例 3:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの20g、開始剤溶液(1)の0.041gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.1g(Mw:107403)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0104】
実施例 4:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの30g、開始剤溶液(1)の0.017gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.0g(Mw:147399)を23wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0105】
実施例 5:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの60g、開始剤溶液(1)の0.013gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)7.4g(Mw:99273)を11wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0106】
実施例 6:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの80g、開始剤溶液(1)の0.013gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)6.1g(Mw:82991)を7wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0107】
実施例 7:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテル(沸点:76℃)の5g、開始剤溶液(1)の0.020gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.7g(Mw:114791)を64wt%含む組成物を製造し
た。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0108】
実施例 8:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの12g、開始剤溶液(1)の0.015gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.3g(Mw:150609)を44wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0109】
実施例 9:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの12g、開始剤溶液(1)の0.035gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.7g(Mw:127901)を45wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0110】
実施例 10:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの12g、開始剤溶液(1)の0.054gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.7g(Mw:113366)を45wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0111】
実施例 11:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの20g、開始剤溶液(1)の0.041gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.0g(Mw:97533)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0112】
実施例 12:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの30g、開始剤溶液(1)の0.041gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.6g(Mw:63291)を22wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0113】
実施例 13:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの60g、開始剤溶液(1)の0.020gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)7.0g(Mw:73154)を10wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0114】
実施例 14:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのエチルノナフルオロブチルエーテルの80g、開始剤溶液(1)の0.020gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)5.5g(Mw:52838)を6wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0115】
実施例 15:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としての3-メトキシトリデカフルオロヘキサン(沸点:98℃)の20g、開始剤溶液(1)の0.034gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.9g(Mw:131202)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0116】
実施例 16:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロトリプロピルアミン(沸点:128℃)の15g、開始剤溶液(1)の0.052gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.9g(Mw:158427)を37wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0117】
実施例 17:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロトリプロピルアミンの10g、開始剤溶液(1)の0.052gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.5g(Mw:213475)を49wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0118】
実施例 18:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロ-5-ブチルテトラヒドロフラン(沸点:102℃)の15g、開始剤溶液(1)の
0.025gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.0g(Mw:158992)を38wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0119】
実施例 19:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロヘキサン(沸点:56℃)の10g、開始剤溶液(1)の0.025gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.2g(Mw:128122)を45wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0120】
実施例 20:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロベンゼン(沸点:80℃)の10g、開始剤溶液(1)の0.031gを仕込んだ後、内温が40℃になるように加熱しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)4.7g(Mw:45323)を32wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0121】
実施例 21:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの20g、開始剤溶液(2)の0.010gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.3g(Mw:217533)を32wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0122】
実施例 22:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのメチルノナフルオロブチルエーテルの20g、開始剤溶液(2)の0.022gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.6g(Mw:109215)を32wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0123】
実施例 23:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
20mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒としてのパーフルオロトリプロピルアミンの15g、開始剤溶液(2)の0.017gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.6g(Mw:163900)を36wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モ
ノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0124】
実施例 24:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテルの15g、開始剤溶液(1)の0.041gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.3g(Mw:99264)を37wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0125】
実施例 25:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテルの20g、開始剤溶液(1)の0.037gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.9g(Mw:80192)を30wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0126】
実施例 26:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテルの20g、開始剤溶液(2)の0.025gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.4g(Mw:102931)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0127】
実施例 27:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの15g、開始剤溶液(1)の0.040gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.9g(Mw:110481)を36wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0128】
実施例 28:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの20g、開始剤溶液(1)の0.034gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.6g(Mw:97423)を29wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モ
ノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0129】
実施例 29:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの20g、開始剤溶液(2)の0.023gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)9.2g(Mw:126345)を31wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0130】
実施例 30:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンの15g、開始剤溶液(1)の0.040gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.4g(Mw:78016)を34wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0131】
実施例 31:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンの20g、開始剤溶液(1)の0.036gを仕込んだ後、内温が40℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)7.9g(Mw:70127)を26wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0132】
実施例 32:構成単位(A3-1)を主成分として含む組成物の製造
50mLのガラス製容器に、モノマー(M3-1)の10gと、溶媒として1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンの20g、開始剤溶液(2)の0.022gを仕込んだ後、内温が15℃になるように温調しながら20時間重合反応を行い、含フッ素ポリマー(A3-1)8.9g(Mw:84829)を30wt%含む組成物を製造した。ポリマーの溶解度については目視で判断し、完全に均一な溶液であることを確認した。
組成物中のポリマーの重量は、重合反応終了後に未反応の原料や溶媒、開始剤残渣、モノマーに微量含まれる不純物を120℃の真空乾燥により留去して測定した。
【0133】
実施例にて得られた結果を表1及び2に示した。
【表1】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素脂肪族環を有する構成単位を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)及び非プロトン性溶媒(B)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A)の含フッ素脂肪族環は、環構成原子として1、2、又は3個のエーテル性酸素原子を有し、当該含フッ素脂肪族環が当該エーテル性酸素原子を複数含むときは当該エーテル性酸素原子は互いに隣り合わず、
前記組成物質量に対する前記含フッ素ポリマー(A)の含有量が20質量%以上である、組成物。