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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092070
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】発熱体構造とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/12 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H05B3/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207723
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】522386585
【氏名又は名称】株式会社IBIS
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(72)【発明者】
【氏名】カンダジュン
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA10
3K092QB02
3K092QB18
3K092QB72
3K092SS12
3K092VV03
3K092VV40
(57)【要約】
【課題】発熱体と伝導体とが一体化され熱伝導率が向上された発熱体構造を提供する。
【解決手段】熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、耐熱樹脂と無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造である。熱伝導体2をなす耐熱樹脂は、絶縁性を有する耐熱樹脂であると共に、無機複合金属は、ケイ素を主体としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
耐熱樹脂と無機複合金属を混合した熱伝導体で構成され、
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項2】
前記熱伝導体をなす耐熱樹脂は、絶縁性を有する耐熱樹脂であると共に、前記無機複合金属は、ケイ素を主体としたこと、
を特徴とする請求項1に記載した発熱体構造。
【請求項3】
全体形状が半円筒状又は板状、波形状、凹凸状、十字状、楕円リング状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で全覆サンドイッチ状に射出成型されて成ること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造。
【請求項4】
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造は、ヘアーアイロン又はヘアードライヤー、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具に適用されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造。
【請求項5】
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で全覆サンドイッチ状に射出成型されて成る発熱体構造が、一層で又は複数層重ねられて成ること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造。
【請求項6】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体の外周に、
耐熱樹脂と粉状の無機複合金属を混合した熱伝導体を覆い、
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状の一体化構造となるように射出成型して発熱体構造を製造すること、
を特徴とする発熱体構造の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導率が良い発熱体構造とその製造方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばヘアケアを含む美容家電のヒーター線(MCH、PTC、MICA、ニクロム)等と熱伝導体が別パーツで組み立てられていた。
例えば、図5に示したようなヘアーアイロンaは、熱伝導体bと板状ヒータc(発熱体)をヒータマウントdを以て組み立てることにより、ヘアーアイロンとしての製品機能を有している。
【0003】
これに関連し、例えば、下記特許文献1(請求項1)には、セラミック基体と、前記セラミック基体中に内蔵された発熱抵抗体と、セラミック基体に設けられた開口部から露出し、発熱抵抗体に電気的に接続された取出電極と、取出電極の表面にロウ材によりロウ付けされたリード部材とを備え、ロウ材が3層以上の金属層からなる層構造を有するセラミックヒータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-253040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のヘアーアイロンaは、発熱体cと熱伝導体bが別パーツであるため、両者の組み立てが面倒である上、各パーツの製造コストの高騰を余儀なくされ、隙間が生じて熱伝導率が悪いといった点が問題とされている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、発熱体と伝導体とが一体化され熱伝導率が向上された発熱体構造とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
耐熱樹脂と無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記熱伝導体2をなす耐熱樹脂は、絶縁性を有する耐熱樹脂であると共に、前記無機複合金属は、ケイ素を主体としたこと、
を特徴とする請求項1に記載した発熱体構造である。
【0009】
請求項3に記載した発明は、全体形状が半円筒状又は板状、波形状、凹凸状、十字状、楕円リング状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で全覆サンドイッチ状に射出成型されて成ること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造である。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造は、ヘアーアイロン3、4又はヘアードライヤー5、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具に適用されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造である。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で全覆サンドイッチ状に射出成型されて成る発熱体構造が、一層で又は複数層重ねられて成ること、
を特徴とする請求項1又は2に記載した発熱体構造である。
【0012】
請求項6に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1の外周に、
耐熱樹脂と粉状の無機複合金属を混合した熱伝導体2を覆い、
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状の一体化構造となるように射出成型して発熱体構造を製造すること、
を特徴とする発熱体構造の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発熱体構造は、発熱体が熱伝導体に全覆される故に露出なく一体化されているので、両者間に隙間が生ぜず熱伝導率の向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】Aは、Bに示したヘアーアイロン(カール式)への適用例における本発明の円筒状の発熱体構造を破断して示した拡大図である。
図2】Aは、Bに示したヘアーアイロン(コテ式)への適用例における板状の発熱体構造を示した斜視図である。
図3】Aは、Bに示したヘアードライヤーヒーターへの適用例における十字状の発熱体構造を示した斜視図である。
図4】本発明の発熱体構造製品を構成するステンレス合金(上図)とアルミ合金(下図)の成分を示したグラフである。
図5】従来のヘアーアイロンにおける板状のヒータと熱伝導体を分解して示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の発熱体構造とその製造方法の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
この発熱体構造は、熱伝導の高いアルミ合金体がブロック状に形成され、その外周を覆って形成したステンレス合金の発熱体1及び、絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした、炭素、鉄、銅、アルミニウム等で成る粉状の無機複合金属(鉱物)を混合した熱伝導体2で構成されている。
図1に示したように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1の外周が、全て前記熱伝導体2で覆われて全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造と成っている。
前記全覆サンドイッチの全体形状は問わないが、本実施形態のように、図1に示した半円筒状や、図2に示した板状、図3に示した十字状等で好適に実施される。
【0016】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1は、時間と温度の制御が可能な発熱体である。当該ステンレス合金発熱体1にパターンを入れても良いし、球面でも良い。また、可撓性、可逆性を有し、この発熱体1は所望形状で実施できる上、正確な温度を素早くムラなく達成できる。さらに、外付けのサーミスタにより温度監視することも可能である。
【0017】
熱伝導体2は、上記のとおり、絶縁性を有する耐熱樹脂(耐熱有機物)、ケイ素を主体とした粉状の無機複合金属を混合して構成され、高温射出成型により熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と全体を覆う外層の当該熱伝導体2を一体化構造となるように射出成型する。温度は、約800度~1000度程度で焼成成型される。
なお、当該発熱体構造は、一層で実施されるほか、2層以上の複数層を重ねて実施する形態も好適に行われる。
【0018】
上述した構成により、本発熱体構造は、組み立て工程が減り、製造工程の簡略化が図れる。ヒータマウントやネジの必要がないから、パーツ及び重量減を実現できる。
しかも、図4は、上述した熱伝導の高いアルミ合金体(Al等)の外周に形成したステンレス合金(Fe、Cr、Cu、Ni等)発熱体1の成分表示をグラフで示しており、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と外装熱伝導体2の熱伝導率について、前記の特許文献1に係る従来品を備えたヘアーアイロンに比べて、約15%早い。また、使用中における温度低下を10%程度に抑えることができ、繰り返しの使用時における設定温度までの熱復元性も高い。
すなわち、180℃設定に対し、従来品は90秒で達成し、使用中、温度は約40℃度下がる。これに対し、本発熱構造体の案品は、180℃設定に対し、75秒程度で達成し、使用中、温度は約20℃ほど下がる。
【0019】
適用例として、本発熱体構造は、図1図2に示したヘアーアイロン3、4や、図3に示したヘアードライヤー5のほか、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具などにも、製品としての機能を有しそのまま使用することができる。
本発熱体構造に表面加工することも可能であり、例えば、ヘアーアイロンにおいて、有機(フッ素類)加工で撥水させ水滴表面面積を小さくし蒸発をさせにくくすることもできるし、無機(ケイ素類)加工で親水させ、水滴表面面積を大きくし蒸発をさせやすくすることもできる。
【0020】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、例えば前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が熱伝導体で全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造から発するテラヘルツ周波を、ステンレス板またはアルミ板等の反射板により振幅の変動を与える等、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0021】
1 ステンレス合金発熱体
2 熱伝導体
3 ヘアーアイロン(カール式)
4 ヘアーアイロン(コテ式)
5 ヘアードライヤー
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体で構成され、
全体形状が所望形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項2】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体で構成され、
全体形状が半円筒状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項3】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体とで構成され、
全体形状が板状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項4】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体とで構成され、
全体形状が波形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項5】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体とで構成され、
全体形状が凹凸状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項6】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体とで構成され、
全体形状が十字状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項7】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体とで構成され、
全体形状が楕円リング状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造。
【請求項8】
前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造は、ヘアーアイロン又はヘアードライヤー、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具に適用されること、
を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載した発熱体構造。
【請求項9】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体の外周に、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉状の無機複合金属を混合した熱伝導体を覆い、
全体形状が所望形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が前記熱伝導体で覆われた全覆サンドイッチ状の一体化構造となるように射出成型して発熱体構造を製造すること、
を特徴とする発熱体構造の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導率が良い発熱体構造とその製造方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばヘアケアを含む美容家電のヒーター線(MCH、PTC、MICA、ニクロム)等と熱伝導体が別パーツで組み立てられていた。
例えば、図5に示したようなヘアーアイロンaは、熱伝導体bと板状ヒータc(発熱体)をヒータマウントdを以て組み立てることにより、ヘアーアイロンとしての製品機能を有している。
【0003】
これに関連し、例えば、下記特許文献1(請求項1)には、セラミック基体と、前記セラミック基体中に内蔵された発熱抵抗体と、セラミック基体に設けられた開口部から露出し、発熱抵抗体に電気的に接続された取出電極と、取出電極の表面にロウ材によりロウ付けされたリード部材とを備え、ロウ材が3層以上の金属層からなる層構造を有するセラミックヒータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-253040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のヘアーアイロンaは、発熱体cと熱伝導体bが別パーツであるため、両者の組み立てが面倒である上、各パーツの製造コストの高騰を余儀なくされ、隙間が生じて熱伝導率が悪いといった点が問題とされている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、発熱体と伝導体とが一体化され熱伝導率が向上された発熱体構造とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が所望形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0008】
請求項2に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が半円筒状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0009】
請求項3に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が板状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0010】
請求項4に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が波形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0011】
請求項5に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が凹凸状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0012】
請求項6に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が十字状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0013】
請求項7に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉末状の無機複合金属を混合した熱伝導体2で構成され、
全体形状が楕円リング状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造で成ること、
を特徴とする発熱体構造である。
【0014】
請求項8に記載した発明は、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で全覆サンドイッチ状に成型された一体化構造は、ヘアーアイロン3、4又はヘアードライヤー5、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具に適用されること、
を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載した発熱体構造である。
【0015】
請求項9に記載した発明は、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1の外周に、
絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした粉状の無機複合金属を混合した熱伝導体2を覆い、
全体形状が所望形状になるように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1が前記熱伝導体2で覆われた全覆サンドイッチ状の一体化構造となるように射出成型して発熱体構造を製造すること、
を特徴とする発熱体構造の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発熱体構造は、発熱体が熱伝導体に全覆される故に露出なく一体化されているので、両者間に隙間が生ぜず熱伝導率の向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】Aは、Bに示したヘアーアイロン(カール式)への適用例における本発明の円筒状の発熱体構造を破断して示した拡大図である。
図2】Aは、Bに示したヘアーアイロン(コテ式)への適用例における板状の発熱体構造を示した斜視図である。
図3】Aは、Bに示したヘアードライヤーヒーターへの適用例における十字状の発熱体構造を示した斜視図である。
図4】本発明の発熱体構造製品を構成するステンレス合金(上図)とアルミ合金(下図)の成分を示したグラフである。
図5】従来のヘアーアイロンにおける板状のヒータと熱伝導体を分解して示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の発熱体構造とその製造方法の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
この発熱体構造は、熱伝導の高いアルミ合金体がブロック状に形成され、その外周を覆って形成したステンレス合金の発熱体1及び、絶縁性を有する耐熱樹脂と、ケイ素を主体とした、炭素、鉄、銅、アルミニウム等で成る粉状の無機複合金属(鉱物)を混合した熱伝導体2で構成されている。
図1に示したように、前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1の外周が、全て前記熱伝導体2で覆われて全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造と成っている。
前記全覆サンドイッチの全体形状は問わないが、本実施形態のように、図1に示した半円筒状や、図2に示した板状、図3に示した十字状等で好適に実施される。
【0019】
熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1は、時間と温度の制御が可能な発熱体である。当該ステンレス合金発熱体1にパターンを入れても良いし、球面でも良い。また、可撓性、可逆性を有し、この発熱体1は所望形状で実施できる上、正確な温度を素早くムラなく達成できる。さらに、外付けのサーミスタにより温度監視することも可能である。
【0020】
熱伝導体2は、上記のとおり、絶縁性を有する耐熱樹脂(耐熱有機物)、ケイ素を主体とした粉状の無機複合金属を混合して構成され、高温射出成型により熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と全体を覆う外層の当該熱伝導体2を一体化構造となるように射出成型する。温度は、約800度~1000度程度で焼成成型される。
なお、当該発熱体構造は、一層で実施されるほか、2層以上の複数層を重ねて実施する形態も好適に行われる。
【0021】
上述した構成により、本発熱体構造は、組み立て工程が減り、製造工程の簡略化が図れる。ヒータマウントやネジの必要がないから、パーツ及び重量減を実現できる。
しかも、図4は、上述した熱伝導の高いアルミ合金体(Al等)の外周に形成したステンレス合金(Fe、Cr、Cu、Ni等)発熱体1の成分表示をグラフで示しており、熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体1と外装熱伝導体2の熱伝導率について、前記の特許文献1に係る従来品を備えたヘアーアイロンに比べて、約15%早い。また、使用中における温度低下を10%程度に抑えることができ、繰り返しの使用時における設定温度までの熱復元性も高い。
すなわち、180℃設定に対し、従来品は90秒で達成し、使用中、温度は約40℃度下がる。これに対し、本発熱構造体の案品は、180℃設定に対し、75秒程度で達成し、使用中、温度は約20℃ほど下がる。
【0022】
適用例として、本発熱体構造は、図1図2に示したヘアーアイロン3、4や、図3に示したヘアードライヤー5のほか、ヘアーカーラー、ヘアーブラシ、温熱美容器具などにも、製品としての機能を有しそのまま使用することができる。
本発熱体構造に表面加工することも可能であり、例えば、ヘアーアイロンにおいて、有機(フッ素類)加工で撥水させ水滴表面面積を小さくし蒸発をさせにくくすることもできるし、無機(ケイ素類)加工で親水させ、水滴表面面積を大きくし蒸発をさせやすくすることもできる。
【0023】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、例えば前記熱伝導の高いアルミ合金体の外周に形成したステンレス合金発熱体が熱伝導体で全覆サンドイッチ状に射出成型された一体化構造から発するテラヘルツ周波を、ステンレス板またはアルミ板等の反射板により振幅の変動を与える等、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0024】
1 ステンレス合金発熱体
2 熱伝導体
3 ヘアーアイロン(カール式)
4 ヘアーアイロン(コテ式)
5 ヘアードライヤー