(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092073
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】血圧計ユニットおよびサポータ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A61B5/022 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207735
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】西川 建吾
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB02
4C017AD01
4C017FF08
(57)【要約】
【課題】圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる、血圧計ユニットおよびサポータを提供する。
【解決手段】サポータ2の本体部20は、前腕7に沿う第1方向より周方向に伸縮しやすい。第1縫合部30は、右手首4Rの小指6e側に位置する右手首4Rの側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈5aと重ならない位置に配置されている。第1縫合部30は、左手首の小指側に位置する左手首の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置されている。本体部20には、本体部20上に血圧計1を設置可能な設置領域24が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上肢に装着されて少なくとも手首を覆うサポータと、
手首に装着可能な血圧計とを備え、
前記サポータは、
上肢に装着された装着状態において、前腕に沿う第1方向に延在する筒形状を有する本体部と、前記第1方向に延在し、前記本体部の筒形状を維持する第1縫合部と、を含み、
前記本体部は、前記第1方向の一端側に設けられた第1開口端と、前記第1方向の他端側に設けられた第2開口端とを有し、
前記本体部には、前記第1開口端と前記第2開口端との間に位置し、前記第1開口端に挿通される指以外の指が挿通され、かつ前記サポータを上肢に位置決めする指穴部が設けられており、
前記本体部は、前記第1方向より周方向に伸縮しやすく、
前記サポータを右上肢に装着した場合に、前記第1縫合部が、右手首の小指側に位置する右手首の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置され、
前記サポータを左上肢に装着した場合に、前記第1縫合部が、左手首の小指側に位置する左手首の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置され、
前記本体部には、前記第1方向において前記指穴部から前記第2開口端までの間に、前記本体部上に前記血圧計を設置可能な設置領域が設けられている、血圧計ユニット。
【請求項2】
前記第1縫合部および前記指穴部は、前記サポータを装着する前の状態において互いに対向する位置に設けられている、請求項1に記載の血圧計ユニット。
【請求項3】
前記本体部は、前記サポータを装着する前の状態において前記周方向の周長が前記第2開口端側から前記第1開口端側に向かうにしたがって長い、請求項1または請求項2に記載の血圧計ユニット。
【請求項4】
前記サポータは、前記設置領域より前記第2開口端側において、前記血圧計を前記設置領域に位置決めするための目印が設けられている、請求項1または請求項2に記載の血圧計ユニット。
【請求項5】
前記本体部は、生地を筒形状に縫合することにより構成されており、
前記目印は、前記サポータにおける前記第2開口端側に位置する前記生地の末端が折り返されて生地同士が重なった部分が前記周方向に縫合された第2縫合部である、請求項4に記載の血圧計ユニット。
【請求項6】
前記本体部は、生地を筒形状に縫合することにより構成されており、
前記生地の厚みは、0.5mm以下である、請求項1または請求項2に記載の血圧計ユニット。
【請求項7】
前記第1方向における前記本体部の全長は、170mm以上230mm以下である、請求項1または請求項2に記載の血圧計ユニット。
【請求項8】
上肢に装着された装着状態において、前腕に沿う第1方向に延在する筒形状を有する本体部と、前記第1方向に延在し、前記本体部の筒形状を維持する第1縫合部と、を備え、
前記本体部は、前記第1方向の一端側に設けられた第1開口端と、前記第1方向の他端側に設けられた第2開口端とを含み、
前記本体部には、前記第1開口端と前記第2開口端との間に位置し、前記第1開口端に挿通される指以外の指が挿通され、かつ上肢に位置決めするための指穴部が設けられており、
前記本体部は、前記第1方向より周方向に伸縮しやすく、
右上肢に装着した場合に、前記第1縫合部が、右手首の小指側に位置する右手首の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置され、
左上肢に装着した場合に、前記第1縫合部が、左手首の小指側に位置する左手首の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置され、
前記本体部には、前記第1方向において前記指穴部から前記第2開口端までの間に、前記本体部上に血圧計を設置可能な設置領域が設けられている、サポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血圧計ユニットおよびサポータに関する。
【背景技術】
【0002】
手首サポータの構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2016/117084号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された手首サポータは、サポータ本体を備える。サポータ本体は、上肢に着用されて少なくとも手首を覆う。サポータ本体の一端に、手首サポータを上肢に着用する際に親指を挿通させる開口部が形成されている。サポータ本体は、高い伸縮性を有する被覆素材で形成されている。サポータ本体には、2枚の被覆素材を接合することで接ぎが形成されている。接ぎは、サポータ本体の手首サポータを上肢に着用させた状態で橈骨が位置する側に1本の線状となるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血圧計を使用者の肌に直接装着した状態で就寝中に血圧を測定する場合、汗等により血圧計が汚れることがある。この場合、血圧測定において血圧計を清潔に取り扱うために、手首に装着されたサポータ上に血圧計を装着して血圧測定をすることが考えられる。
【0005】
特許文献1に記載の手首サポータ上に血圧計を装着する場合、サポータの縫合部が動脈上に位置して血圧の測定精度に影響を及ぼす可能性がある。また、血圧計をサポータ上に設置するための領域が考慮されていないため、サポータ上に血圧計を装着することができない。この場合には、血圧計を清潔に保てないことが懸念される。さらに、特許文献1に記載の手首サポータでは、高い伸縮性を有する素材が用いられているが伸縮方向の如何によっては、就寝中のような長時間にわたって使用する場合に、使用者に圧迫感を与えることが懸念される。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる、血圧計ユニットおよびサポータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく血圧計ユニットは、サポータと、血圧計とを備える。サポータは、上肢に装着されて少なくとも手首を覆う。血圧計は、手首に装着可能である。サポータは、本体部と、第1縫合部とを含む。本体部は、上肢に装着された装着状態において、前腕に沿う第1方向に延在する筒形状を有する。第1縫合部は、上記第1方向に延在し、本体部の筒形状を維持する。本体部は、第1開口端と、第2開口端とを有する。第1開口端は、上記第1方向の一端側に設けられている。第2開口端は、上記第1方向の他端側に設けられている。本体部には、指穴部が設けられている。指穴部は、第1開口端と第2開口端との間に位置し、第1開口端に挿通される指以外の指が挿通され、かつサポータを上肢に位置決めする。本体部は、上記第1方向より周方向に伸縮しやすい。サポータを右上肢に装着した場合に、第1縫合部が、右手首の小指側に位置する右手首の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置されている。サポータを左上肢に装着した場合に、第1縫合部が、左手首の小指側に位置する左手首の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置されている。本体部には、上記第1方向において指穴部から第2開口端までの間に、本体部上に血圧計を設置可能な設置領域が設けられている。
【0008】
上記構成によれば、血圧計ユニットにおいて、上肢に対する圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる。
【0009】
本開示の一例では、第1縫合部および指穴部は、サポータを装着する前の状態において互いに対向する位置に設けられている。
【0010】
上記構成によれば、右手首および左手首のいずれに装着した場合でも、第1縫合部が橈骨動脈上に配置されにくいように構成することができる。
【0011】
本開示の一例では、本体部は、サポータを装着する前の状態において周方向の周長が第2開口端側から第1開口端側に向かうにしたがって長い。
【0012】
上記構成によれば、サポータによる手への圧迫感を低減することができる。
【0013】
本開示の一例では、サポータは、設置領域より第2開口端側において、血圧計を設置領域に位置決めするための目印が設けられている。
【0014】
上記構成によれば、サポータ上に血圧計を位置決めしやすくすることができるため、血圧測定における血圧計の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0015】
本開示の一例では、本体部は、生地を筒形状に縫合することにより構成されている。目印は、サポータにおける第2開口端側に位置する生地の末端が折り返されて生地同士が重なった部分が周方向に縫合された第2縫合部である。
【0016】
上記構成によれば、目印を本体部に印刷するまたは別の構成を本体部20に取り付ける場合と比較して容易に形成することができるため、サポータの製造コストを抑制することができる。
【0017】
本開示の一例では、本体部は、生地を筒形状に縫合することにより構成されている。生地の厚みは、0.5mm以下である。
【0018】
上記構成によれば、生地の厚みを薄く構成することができるため、血圧計1による血圧測定に対するサポータ2の生地が及ぼす影響を抑制することができる。
【0019】
本開示の一例では、上記第1方向における本体部の全長は、170mm以上230mm以下である。
【0020】
上記構成によれば、人の手の大きさまたは上腕の長さに依らず、サポータ上に血圧計を配置しつつ、血圧計ユニットを上肢に装着することができる。
【0021】
本開示に基づくサポータは、本体部と、第1縫合部とを備える。本体部は、上肢に装着された装着状態において、前腕に沿う第1方向に延在する筒形状を有する。第1縫合部は、上記第1方向に延在し、本体部の筒形状を維持する。本体部は、上記第1方向の一端側に設けられた第1開口端と、上記第1方向の他端側に設けられた第2開口端とを含む。本体部には、指穴部が設けられている。指穴部は、第1開口端と第2開口端との間に位置し、第1開口端に挿通される指以外の指が挿通され、かつ上肢に位置決めするために設けられている。本体部は、上記第1方向より周方向に伸縮しやすい。右上肢に装着した場合に、第1縫合部が、右手首の小指側に位置する右手首の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置されている。左上肢に装着した場合に、第1縫合部が、左手首の小指側に位置する左手首の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈と重ならない位置に配置されている。本体部には、上記第1方向において指穴部から第2開口端までの間に、本体部上に血圧計を設置可能な設置領域が設けられている。
【0022】
上記構成によれば、サポータ上に血圧計を配置して血圧測定をする場合に、上肢に対する圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニットを右手首に装着した状態を示す模式図である。
【
図2】本開示の一実施の形態に係るサポータの構成を示す正面図である。
【
図3】本開示の一実施の形態に係るサポータの構成を示す背面図である。
【
図4】本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニットを左手首に装着した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニットおよびサポータについて図面を参照して説明する。以下の一実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面において、前腕に沿う方向を第1方向としてのDR1方向とする。
【0026】
図1は、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニットを右手首に装着した状態を示す模式図である。
【0027】
図1に示すように、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100は、上肢3の手首4に装着することによってユーザの血圧を測定可能である。
図1においては、血圧計ユニット100を右上肢3Rの右手首4Rに装着した場合を示している。血圧計ユニット100は、後述するように左上肢3Lの左手首4Lにも装着可能である。
【0028】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100は、血圧計1と、サポータ2とを備える。
【0029】
血圧計1は、後述するカフ(流体袋)によってユーザの被測定部位を圧迫して、血圧を測定する手首式血圧計である。血圧計1は、少なくとも右手首4Rに装着可能である。
【0030】
右上肢3Rの内部には、橈骨動脈5aが走行している。橈骨動脈5aは、掌側から見て、右手首4R、右手6Rおよび右前腕7Rの内部における親指6a側を走行している。血圧計1は、橈骨動脈5aにおける血圧を測定可能である。血圧計1における血圧測定の方法は、たとえばオシロメトリック法が用いられる。
【0031】
本実施の形態における血圧計1の使用状況は、たとえばユーザの就寝中に、ユーザの血圧を測定する場面が想定される。この場合、血圧計1は、予め定められたスケジュールにしたがって、自動的に血圧測定を開始する。なお、血圧計1は、ユーザの就寝中における使用に限定されない。
【0032】
血圧計1は、測定部10と、帯状部材11とを含む。測定部10は、操作部12と、表示部13とを有する。
【0033】
操作部12は、血圧計1を操作する部分である。表示部13は、血圧測定の結果を表示する部分である。操作部12のボタンを押下して血圧測定を開始させ、血圧測定が終了すると、血圧測定の結果が表示部13に表示される。
【0034】
帯状部材11は、外側カバー部材と内側カバー部材とが重ね合わされてそれらの周縁がバイアステープによって覆われた状態で接合(たとえば縫合や溶着等)されることで袋状に形成されている。
【0035】
帯状部材11は、手首4を周方向に沿って取り巻くように、手首4に巻き付け可能に設けられている。帯状部材11は、たとえば、図示しない面ファスナなどによって手首4に巻き付け可能である。
【0036】
帯状部材11には、手首4を圧迫するためのカフ(流体袋)が内包されている。当該カフとして、シングルカフ構造が採用されてもよいし、ダブルカフ構造が採用されてもよい。カフに圧力を加えることによって、橈骨動脈5aを圧迫可能である。
【0037】
サポータ2は、上肢3に装着されて少なくとも手首4を覆う。具体的には、サポータ2は、右手首4Rを覆いつつ、右手6Rの各指の付け根から右前腕7RにおけるDR1方向の中程までを覆っている。
【0038】
図2は、本開示の一実施の形態に係るサポータの構成を示す正面図である。
図3は、本開示の一実施の形態に係るサポータの構成を示す背面図である。
【0039】
図1~
図3に示すように、サポータ2は、本体部20と、第1縫合部30と、第2縫合部31と、第3縫合部32とを含む。
【0040】
本体部20は、上肢3に装着された装着状態において、前腕7に沿う第1方向(DR1方向)に延在する筒形状を有している。本体部20は、生地を筒形状に縫合することにより構成されている。
【0041】
本体部20は、第1方向(DR1方向)より周方向に伸縮しやすい。本体部20の生地は、1種類の伸縮性生地で構成されてもよいし、複数の種類の伸縮性生地を組み合わせて構成されてもよい。本体部20の生地としては、たとえばポリエステルまたはポリウレタンなどから選ばれる繊維を組み合わせた編地もしくは織物などを用いることができる。
【0042】
本体部20における生地の厚みは、たとえば0.5mm以下である。なお、本体部20における生地の厚みは、0.5mm以下に限定されず、血圧計1による橈骨動脈5aの血圧測定に影響を及ぼさない程度であれば、0.5mmより厚くてもよい。
【0043】
第1方向(DR1方向)における本体部20の全長L1は、170mm以上230mm以下である。これにより、人により手6の大きさまたは前腕7の長さが異なる場合でもサポータ2を上肢3に装着することができる。本実施の形態における第1方向(DR1方向)における本体部20の全長L1は、たとえば200mmである。
【0044】
本体部20は、第1開口端21と、第2開口端22とを有する。また、本体部20には、指穴部23と、血圧計1の設置領域24とが設けられている。
【0045】
第1開口端21は、第1方向(DR1方向)の一端側(指先側)に設けられている。第1開口端21は、指および手のひらを挿通可能である。本実施の形態における第1開口端21には、人差し指6b、中指6c、薬指6d、小指6eおよび掌の一部が挿通されている。
【0046】
第2開口端22は、第1方向(DR1方向)の他端側(肘側)に設けられている。第2開口端22は、右前腕7Rを挿通可能である。
【0047】
第1開口端21における周方向の周長L2は、150mm以上170mm以下である。本実施の形態における周長L2は、たとえば160mmである。第2開口端22における周方向の周長L3は、140mm以上160mm以下である。本実施の形態における周長L3は、たとえば150mmである。
【0048】
本体部20は、サポータ2を装着する前の状態において周方向の周長が第2開口端22側から第1開口端21側に向かうにしたがって長い。このように、DR1方向における肘側から指先側に向かってテーパ形状を有している。
【0049】
なお、本体部20の周長は、DR1方向における第2開口端22側から第1開口端21側に向かうにしたがって必ずしも次第に長くなっていなくてもよい。本体部20の周長は、DR1方向における第2開口端22側から第1開口端21側に向かうにしたがって段階的に周長が長くなる構成であってもよい。
【0050】
指穴部23は、第1開口端21と第2開口端22との間に位置している。指穴部23には、第1開口端21に挿通される指以外の指が挿通される。本実施の形態においては、指穴部23には、親指6aが挿通されている。
【0051】
指穴部23は、サポータ2を上肢3に位置決めするために設けられている。指穴部23に親指6aが挿通され、第1開口端21に親指6a以外の指が挿通されることによって、親指6aに対して指穴部23の位置がDR1方向に拘束される。これにより、サポータ2を右手6Rに引っ掛けることができるため、サポータ2が右上肢3Rに位置決めされる。
【0052】
サポータ2が右上肢3Rに位置決めされることによって、就寝中に血圧計ユニット100を使用する場合、上肢3に対する血圧計ユニット100の位置ずれを防止することができる。また、血圧計1の帯状部材11を筒状に巻き付けた状態で、上肢3を帯状部材11の内側に挿入して血圧計1を装着する場合がある。この場合、上肢3にサポータ2が位置決めされているため、血圧計1の装着による移動に伴うサポータ2の位置ずれを防止することができる。
【0053】
なお、指穴部23には、親指6aだけでなく、親指以外の指を含めた複数の指が挿通されていてもよい。この場合、指穴部23に挿通された指以外の指は、第1開口端21に挿通される。
【0054】
指穴部23は、DR1方向において、たとえば50mm以上60mm以下の範囲で開口している。また、指穴部23は、周方向において、たとえば25mm以上35mm以下の範囲で開口している。指穴部23は、指穴部23の第1開口端21に対して最も近接している部分において、第1開口端21に対し、たとえば20mmの間隔をあけて配置されている。
【0055】
設置領域24は、第1方向(DR1方向)において指穴部23から第2開口端22までの間に設けられている。設置領域24は、DR1方向における血圧計1の帯状部材11の幅よりも広い幅を有している。これにより、血圧計1を設置領域24上に配置することができる。すなわち、本体部20上に血圧計1が設置可能である。
【0056】
第1縫合部30は、第1方向(DR1方向)に延在している。第1縫合部30は、本体部20の筒形状を維持するためにサポータ2の生地が縫合された部分である。
【0057】
第1縫合部30は、サポータ2を右上肢3Rに装着した場合に、右手首4Rの小指6e側に位置する右手首4Rの側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈5aと重ならない位置に配置されている。
【0058】
第1縫合部30および指穴部23は、サポータ2を装着する前の状態において互いに対向する位置に設けられている。
図2および
図3に示すように、サポータ2を装着する前の状態において、サポータ2は、正面側または背面側から見て、第1方向(DR1方向)に直交する方向の中央付近に指穴部23が配置されるように折り畳まれている。この状態で、第1縫合部30と指穴部23とが上記中央付近で正面方向に対向して配置されている。このように、サポータ2は、第1方向に直交する方向の中央を基準として、左右対称の形状を有している。この構成により、サポータ2を右手首4Rもしくは左手首4Lの兼用で使用する場合に、第1縫合部30が橈骨動脈5aに重ならない位置を確保しやすい。
【0059】
サポータ2には、目印が設けられている。目印は、設置領域24より第2開口端22側において、血圧計1を設置領域24に位置決めするために設けられている。本実施の形態における目印は、第2縫合部31である。
【0060】
第2縫合部31は、サポータ2における第2開口端22側に位置する生地の末端が折り返されて生地同士が重なった部分が周方向に縫合された部分である。
【0061】
なお、目印は、血圧計1を配置する位置を特定することができればよく、本体部20に印刷されることによって形成されてもよいし、本体部20に別の構成を貼り付けるなどによって本体部20に固定されて形成されていてもよい。
【0062】
本実施の形態のように、目印として上記第2縫合部31を採用した場合には、本体部20における末端の生地を折り返して縫合することによって形成することができる。このため、上述の本体部20に印刷するまたは別の構成を本体部20に貼り付ける場合と比較して目印を容易に形成することができ、サポータ2の製造コストを抑制することができる。
【0063】
第3縫合部32は、サポータ2における第1開口端21側に位置する生地の末端が折り返されて生地同士が重なった部分が周方向に縫合された部分である。上肢3に対するサポータ2を装着した時の違和感がないように、第3縫合部32の厚みはできるだけ薄い方が望ましい。
【0064】
図4は、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニットを左手首に装着した状態を示す模式図である。
【0065】
図4に示すように、血圧計ユニット100は、左上肢3Lの左手首4Lにも装着可能である。血圧計1は、橈骨動脈5bにおける血圧を測定可能である。
【0066】
サポータ2は、左手首4Lを覆いつつ、左手6Lの各指の付け根から左前腕7LにおけるDR1方向の中程までを覆っている。
【0067】
本体部20は、左上肢3Lに装着された装着状態において、左前腕7Lに沿っている。第1開口端21は、人差し指6g、中指6h、薬指6j、小指6kおよび手のひらの一部が挿通されている。第2開口端22には、左前腕7Lが挿通されている。
【0068】
サポータ2が左上肢3Lに装着された装着状態においては、指穴部23に親指6fが挿通され、第1開口端21に親指6f以外の指が挿通されることによって、親指6fに対して指穴部23の位置がDR1方向に拘束される。これにより、サポータ2を左手6Lに引っ掛けることができるため、サポータ2が左上肢3Lに位置決めされる。
【0069】
サポータ2が左上肢3Lに装着された装着状態においても、サポータ2が右上肢3Rに装着された装着状態と同様に、設置領域24において血圧計1を設置可能である。これにより、サポータ2の本体部20上に血圧計1を設置可能である。
【0070】
第1縫合部30は、サポータ2を左上肢3Lに装着した場合に、左手首4Lの小指6k側に位置する左手首4Lの側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈5bと重ならない位置に配置されている。
【0071】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100およびサポータ2においては、サポータ2を第1方向(DR1方向)よりも周方向に伸縮しやすくすることによって、上肢3への圧迫感を軽減することができる。
【0072】
また、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100およびサポータ2においては、サポータ2を右手首4Rおよび左手首4Lのいずれに装着した場合でも、第1縫合部30を橈骨動脈5に重ならないように配置することによって、サポータ2の生地が縫合されて本体部20より厚い第1縫合部30を避けて血圧計1を橈骨動脈5上に配置することができるため、血圧計1による血圧の測定精度に対するサポータ2の影響を抑制することができる。
【0073】
さらに、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100およびサポータ2においては、サポータ2の本体部20において血圧計1を設置する設置領域24を設けることによって、上肢3に装着されたサポータ2上に血圧計1を装着することができる。これにより、帯状部材11に汗等が付着することが抑制されるため、血圧計1を清潔な状態で使用することができる。特に、ユーザが就寝中に血圧を測定する際に汗を拭うことができない場合でも、サポータ2上に血圧計1を装着することによって帯状部材11に汗等が付着することが抑制されるため、血圧計1を清潔な状態で使用することができる。
【0074】
上述のように、本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100およびサポータ2においては、上肢3に対する圧迫感を軽減し、血圧の測定精度に対する影響を抑制しつつ、血圧計を清潔に保つことができる。ひいては、就寝中にサポータ2を装着した状態でサポータ2上に血圧計1を装着して血圧を測定する場合において、血圧計1による血圧測定に対するサポータ2の影響が抑制され、就寝に影響(違和感)が無いようにすることができる。サポータ2は、血圧計1とは別々であるため、サポータ2を洗濯可能であり、サポータ2を清潔に保つことができる。
【0075】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、第1縫合部30および指穴部23がサポータ2を装着する前の状態において互いに対向する位置に設けられていることによって、右手首4Rおよび左手首4Lのいずれに装着した場合でも、サポータ2の生地が縫合されて本体部20より厚い第1縫合部30が橈骨動脈5上に配置されにくいように構成することができる。
【0076】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、肘側である第2開口端22の本体部20の周方向の周長L3に対して、指先側である第1開口端21側における本体部20の周方向の周長L2を長くすることによって、サポータ2による手6への圧迫感を低減することができる。
【0077】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、設置領域24より第2開口端22側において、血圧計1を設置領域24に位置決めするための目印が設けられていることによって、サポータ2上に血圧計1を位置決めしやすくすることができる。これにより、橈骨動脈5の血圧測定において血圧計1の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0078】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、設置領域24に血圧計1を容易に位置決めするための目印を第2縫合部31にすることによって、目印を本体部20に印刷するまたは別の構成を本体部20に取り付ける場合と比較して容易に形成することができるため、サポータ2の製造コストを抑制することができる。
【0079】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、サポータ2における生地の厚みを0.5mm以下にすることによって、生地の厚みを薄く構成することができるため、血圧計1による血圧測定に対するサポータ2の生地が及ぼす影響を抑制することができる。
【0080】
本開示の一実施の形態に係る血圧計ユニット100においては、サポータ2の第1方向(DR1方向)における本体部20の全長L1を170mm以上230mm以下にすることによって、人の手6の大きさまたは前腕7の長さに依らず、サポータ2上に血圧計1を配置しつつ、血圧計ユニット100を上肢3に装着することができる。
【0081】
[付記]
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0082】
[構成1]
上肢(3)に装着されて少なくとも手首(4)を覆うサポータ(2)と、
手首(4)に装着可能な血圧計(1)とを備え、
前記サポータ(2)は、
上肢(3)に装着された装着状態において、前腕(7)に沿う第1方向に延在する筒形状を有する本体部(20)と、前記第1方向に延在し、前記本体部(20)の筒形状を維持する第1縫合部(30)と、を含み、
前記本体部(20)は、前記第1方向の一端側に設けられた第1開口端(21)と、前記第1方向の他端側に設けられた第2開口端(22)とを有し、
前記本体部(20)には、前記第1開口端(21)と前記第2開口端(22)との間に位置し、前記第1開口端(21)に挿通される指以外の指が挿通され、かつ前記サポータ(2)を上肢(3)に位置決めする指穴部(23)が設けられており、
前記本体部(20)は、前記第1方向より周方向に伸縮しやすく、
前記サポータ(2)を右上肢(3R)に装着した場合に、前記第1縫合部(30)が、右手首(4R)の小指(6e)側に位置する右手首(4R)の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈(5a)と重ならない位置に配置され、
前記サポータ(2)を左上肢(3L)に装着した場合に、前記第1縫合部(30)が、左手首(4L)の小指(6k)側に位置する左手首(4L)の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈(5b)と重ならない位置に配置され、
前記本体部(20)には、前記第1方向において前記指穴部(23)から前記第2開口端(22)までの間に、前記本体部(20)上に前記血圧計(1)を設置可能な設置領域(24)が設けられている、血圧計ユニット。
【0083】
[構成2]
前記第1縫合部(30)および前記指穴部(23)は、前記サポータ(2)を装着する前の状態において互いに対向する位置に設けられている、構成1に記載の血圧計ユニット。
【0084】
[構成3]
前記本体部(20)は、前記サポータ(2)を装着する前の状態において前記周方向の周長が前記第2開口端(22)側から前記第1開口端(21)側に向かうにしたがって長い、構成1または構成2に記載の血圧計ユニット。
【0085】
[構成4]
前記サポータ(2)は、前記設置領域(24)より前記第2開口端(22)側において、前記血圧計(1)を前記設置領域(24)に位置決めするための目印が設けられている、構成1から構成3のいずれか1つに記載の血圧計ユニット。
【0086】
[構成5]
前記本体部(20)は、生地を筒形状に縫合することにより構成されており、
前記目印は、前記サポータ(2)における前記第2開口端(22)側に位置する前記生地の末端が折り返されて生地同士が重なった部分が周方向に縫合された第2縫合部(31)である、構成4に記載の血圧計ユニット。
【0087】
[構成6]
前記本体部(20)は、生地を筒形状に縫合することにより構成されており、
前記生地の厚みは、0.5mm以下である、構成1から構成5のいずれか1つに記載の血圧計ユニット。
【0088】
[構成7]
前記第1方向における前記本体部(20)の全長(L1)は、170mm以上230mm以下である、構成1から構成6のいずれか1つに記載の血圧計ユニット。
【0089】
[構成8]
上肢(3)に装着された装着状態において、前腕(7)に沿う第1方向に延在する筒形状を有する本体部(20)と、前記第1方向に延在し、前記本体部(20)の筒形状を維持する第1縫合部(30)と、を備え、
前記本体部(20)は、前記第1方向の一端側に設けられた第1開口端(21)と、前記第1方向の他端側に設けられた第2開口端(22)とを含み、
前記本体部(20)には、前記第1開口端(21)と前記第2開口端(22)との間に位置し、前記第1開口端(21)に挿通される指以外の指が挿通され、かつ上肢(3)に位置決めするための指穴部(23)が設けられており、
前記本体部(20)は、前記第1方向より周方向に伸縮しやすく、
右上肢(3R)に装着した場合に、前記第1縫合部(30)が、右手首(4R)の小指(6e)側に位置する右手首(4R)の側面側に位置し、かつ右掌側から見た場合に橈骨動脈(5a)と重ならない位置に配置され、
左上肢(3L)に装着した場合に、前記第1縫合部(30)が、左手首(4L)の小指(6k)側に位置する左手首(4L)の側面側に位置し、かつ左掌側から見た場合に橈骨動脈(5b)と重ならない位置に配置され、
前記本体部(20)には、前記第1方向において前記指穴部(23)から前記第2開口端(22)までの間に、前記本体部(20)上に血圧計(1)を設置可能な設置領域(24)が設けられている、サポータ(2)。
【0090】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 血圧計、2 サポータ、3 上肢、3L 左上肢、3R 右上肢、4 手首、4L 左手首、4R 右手首、5,5a,5b 橈骨動脈、6 手、6L 左手、6R 右手、6a,6f 親指、6b,6g 人差し指、6c,6h 中指、6d,6j 薬指、6e,6k 小指、7 前腕、7L 左前腕、7R 右前腕、10 測定部、11 帯状部材、12 操作部、13 表示部、20 本体部、21 第1開口端、22 第2開口端、23 指穴部、24 設置領域、30 第1縫合部、31 第2縫合部、32 第3縫合部、100 ユニット、L1 全長、L2,L3 周長。