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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092078
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】巻取ユニット及び自動ワインダ
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/02 20060101AFI20240701BHJP
   B65H 54/26 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65H67/02
B65H54/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207750
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 利成
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 拓之
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112EA01
3F112EB07
3F112ED03
3F112EF01
3F112FA03
3F112GA02
3F112GA09
3F112HA01
3F112HA03
3F112LB04
3F112MA01
3F112TA04
3F112VB02
(57)【要約】
【課題】様々な状況においてトレイを取り込んだり排出したりすることができる巻取ユニットを提供する。
【解決手段】自動ワインダは、複数の巻取ユニットを備える。巻取ユニットは、給糸部20と、巻取部と、を備える。給糸部20は、第1ガイド41と、第2ガイド42と、第1モータ51と、第2モータ52と、を備える。第1ガイド41は、トレイ19を取り込む。第2ガイド42は、第1ガイド41により取り込まれたトレイ19を受け取って、糸を解舒する糸供給位置にトレイ19を位置合わせし、糸の解舒が終了した後にトレイ19を排出する。第1モータ51は、第1ガイド41を駆動する。第2モータ52は、第1モータ51と独立して動作可能であり、第2ガイド42を駆動する。第1ガイド41は、トレイ19をガイドするための単一の切欠きが形成された円板状の部材である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻取ユニットを備える自動ワインダにおいて、
前記巻取ユニットは、
給糸ボビンを直立させた状態で支持して搬送するトレイの取込み及び排出を行う給糸部と、
前記給糸部が取り込んだ前記トレイにセットされた前記給糸ボビンから糸を解舒し、当該糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取部と、
を備え、
前記給糸部は、
前記トレイを取り込む第1ガイドと、
前記第1ガイドにより取り込まれた前記トレイを受け取って、糸を解舒する糸供給位置に前記トレイを位置合わせし、糸の解舒が終了した後に前記トレイを排出する第2ガイドと、
前記第1ガイドを駆動する第1駆動源と、
前記第1駆動源と独立して動作可能であり、前記第2ガイドを駆動する第2駆動源と、
を備え、
前記第1ガイドは、前記トレイをガイドするための単一の切欠きが形成された円板状の部材であることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動ワインダであって、
前記トレイを搬送して前記巻取ユニットに供給する供給経路と、
前記巻取ユニットから排出された前記トレイを搬送する排出経路と、
前記供給経路と前記糸供給位置を接続するユニット経路を備え、
前記第1ガイドは前記第1駆動源により所定の角度範囲内で往復旋回駆動され、
前記第1ガイドは、第1方向に旋回することにより前記供給経路と前記ユニット経路とを接続し、その後に第2方向に旋回することにより前記トレイが前記糸供給位置に近づくように当該トレイを押圧することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項3】
請求項2に記載の自動ワインダであって、
前記第1ガイドは、前記ユニット経路の壁面との間に前記トレイを挟み込みながら当該トレイを前記排出経路側に向けて搬送し、
前記トレイが前記ユニット経路の壁面と前記第1ガイドに挟み込まれる状態において、前記第1ガイドにより、前記ユニット経路の前記供給経路側が閉鎖され、当該閉鎖された箇所において、前記ユニット経路の輪郭と前記第1ガイドの輪郭で形成される角度が鋭角であることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の自動ワインダであって、
前記巻取ユニット毎に設けられ、前記トレイを検出するトレイセンサと、
前記巻取ユニットを制御するユニット制御部と、
前記複数の巻取ユニットと接続された機台制御装置と、
前記巻取ユニットに供給される前記給糸ボビンの本数を調整する調整機構と、
を備え、
前記調整機構は、前記トレイセンサと、前記ユニット制御部と、前記機台制御装置と、前記第1駆動源と、を含むことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の自動ワインダであって、
前記供給経路に設けられ、前記トレイを検出するトレイセンサと、
前記巻取ユニットを制御するユニット制御部と、
前記複数の巻取ユニットと接続された機台制御装置と、
前記巻取ユニットに供給される前記給糸ボビンの本数を調整する調整機構と、
を備え、
前記調整機構は、前記トレイセンサと、前記ユニット制御部と、前記機台制御装置と、前記第1駆動源と、を含むことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記第1ガイドは、前記第1方向に旋回することにより、前記ユニット経路にある前記トレイを前記供給経路に向けて排出することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項7】
請求項2から6までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記第2ガイドは前記第2駆動源により回転駆動され、
前記糸供給位置に前記トレイを位置合わせする際の前記第2ガイドの回転方向と、前記トレイを排出する際の前記第2ガイドの回転方向とが同一であることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項8】
請求項2から7までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記給糸ボビンの軸方向で見たときに、前記第1ガイドと前記第2ガイドが異なる高さに取り付けられることにより、前記第1ガイドの動作軌跡と前記第2ガイドの動作軌跡は重なっており、当該重なっている部分において前記トレイが前記第1ガイドから前記第2ガイドに受け渡されることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項9】
請求項2から8までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記第1ガイドと前記第2ガイドが異なる高さに取り付けられることにより、前記給糸ボビンの軸方向で見たときに、前記第1ガイドの動作軌跡と前記第2ガイドの動作軌跡は重なっており、
前記第1ガイドは、前記トレイの第1部分に接触することで当該トレイを取り込み、
前記第2ガイドは、前記トレイの前記第1部分とは高さが異なる第2部分に接触することで当該トレイの位置合わせを行うことを特徴とする自動ワインダ。
【請求項10】
請求項4又は5に記載の自動ワインダであって、
前記トレイセンサは、前記供給経路のうち、複数の前記巻取ユニットに対して1つの割合で配置されていることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項11】
請求項2から10までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記供給経路、前記ユニット経路、及び前記排出経路を通る経路が平面視で時計回りである構成と、前記供給経路、前記ユニット経路、及び前記排出経路を通る経路が平面視で反時計回りである構成と、の何れに対しても適用可能であることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項12】
請求項1から11までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記巻取ユニットは、前記給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記糸供給位置は、前記解舒補助装置が前記給糸ボビンの糸を解舒するときの前記トレイの位置であることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項13】
請求項1から12までの何れか一項に記載の自動ワインダであって、
前記第1ガイドによる前記トレイの取込みと、前記第2ガイドによる前記トレイの前記糸供給位置への位置合わせと、を並行して行うことが可能であることを特徴とする自動ワインダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、トレイを用いて搬送された給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ボビン搬送経路に沿ってトレイを巻取ユニットまで搬送する自動ワインダを開示する。特許文献1の自動ワインダは、給糸部を備える。給糸部は、トレイを巻取ユニットに取り込んで所定位置で保持する。給糸部は、ターンテーブルと搬送ガイドとを備える。ターンテーブルは、カム機構を介してステッピングモータにより駆動される。ターンテーブルが回転することにより、トレイが所定位置に向けて搬送される。搬送ガイドは、ターンテーブルと同様、カム機構を介してステッピングモータにより駆動される。搬送ガイドが動作することにより、トレイの取込み、トレイの排出、及びトレイの所定位置での保持が行われる。なお、ターンテーブルと搬送ガイドを駆動するステッピングモータは共通である。また特許文献2のボビン交換装置には、モータで駆動される入力ディスク20と、出力ディスク30が開示されている。入力ディスク20と、出力ディスク30にはそれぞれ複数の溝部が形成されており、これら溝部でボビンの受け渡しを行っている。また出力ディスク30には、第2曲線部33が形成された第2側壁部を有している。この第2側壁部の第2曲線部は、第1の供給経路12から来るボビンホルダ7のプレート8の進入を防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-197702号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第4015429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ターンテーブルと搬送ガイドを駆動するステッピングモータが共通であるため、様々な状況において、トレイを取り込んだり排出したりできない場合がある。例えば、トレイの取込み、トレイの排出、及びトレイの保持の何れにも搬送ガイドが用いられているため、例えばトレイの保持中にトレイの取込みやトレイの排出ができない可能性がある。また、特許文献2では2枚のディスクに設けられた溝部間でのトレイの受け渡しを実現しなければならないため、ディスクの回転位置の制御や、回転タイミングの制御を厳密に行う必要がある。また、複数の溝部が形成された複雑な形状のディスクが露出しているので、搬送時の振動などにより給糸ボビンから解き落とされた糸端がディスクに絡まってしまう危険性が有る。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、様々な状況においてトレイを取り込んだり排出したりすることができる巻取ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の自動ワインダが提供される。即ち、自動ワインダは、複数の巻取ユニットを備える。前記巻取ユニットは、給糸部と、巻取部と、を備える。前記給糸部は、給糸ボビンを直立させた状態で支持して搬送するトレイの取込み及び排出を行う。前記巻取部は、前記給糸部が取り込んだ前記トレイにセットされた前記給糸ボビンから糸を解舒し、当該糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記給糸部は、第1ガイドと、第2ガイドと、第1駆動源と、第2駆動源と、を備える。前記第1ガイドは、前記トレイを取り込む。前記第2ガイドは、前記第1ガイドにより取り込まれた前記トレイを受け取って、糸を解舒する糸供給位置に前記トレイを位置合わせし、糸の解舒が終了した後に前記トレイを排出する。前記第1駆動源は、前記第1ガイドを駆動する。前記第2駆動源は、前記第1駆動源と独立して動作可能であり、前記第2ガイドを駆動する。前記第1ガイドは、前記トレイをガイドするための単一の切欠きが形成された円板状の部材である。
【0008】
これにより、トレイの取込みを行う第1ガイドと、トレイの位置合わせ及び排出を行う第2ガイドと、をそれぞれ独立して駆動できる。その結果、様々な状況においてトレイを取り込んだり排出したりすることができる。また、第1ガイドが単一の切欠きが形成された形状であるため、不要な切欠きでトレイが搬送されたり、不要な切欠きでトレイを噛み込んだりする可能性をなくすことができる。更に、第1ガイドを円板状とすることにより、回転位相が変化しても動作軌跡が略一定であるため、第1ガイドがトレイと不意に接触する可能性を低減できる。以上により、様々な状況においてトレイを取り込んだり排出したりすることができる。
【0009】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、自動ワインダは、供給経路と、排出経路と、ユニット経路と、を備える。前記供給経路は、前記トレイを搬送して前記巻取ユニットに供給する。前記排出経路は、前記巻取ユニットから排出された前記トレイを搬送する。前記ユニット経路は、前記供給経路と前記糸供給位置を接続する。前記第1ガイドは前記第1駆動源により所定の角度範囲内で往復旋回駆動される。前記第1ガイドは、第1方向に旋回することにより前記供給経路と前記ユニット経路とを接続し、その後に第2方向に旋回することにより前記トレイが前記糸供給位置に近づくように当該トレイを押圧する。
【0010】
これにより、第1ガイドを往復旋回駆動することにより、供給経路からのトレイの取込みと、ユニット経路に沿ったトレイの搬送と、を行うことができる。また、同一方向に第1ガイドを回転させ続けると給糸ボビンの糸が第1ガイドに絡み易いが、第1ガイドを往復旋回させることにより、糸の絡みを抑えることができる。
【0011】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1ガイドは、前記ユニット経路の壁面との間に前記トレイを挟み込みながら当該トレイを前記排出経路側に向けて搬送する。前記トレイが前記ユニット経路の壁面と前記第1ガイドに挟み込まれる状態において、前記第1ガイドにより、前記ユニット経路の前記供給経路側が閉鎖され、当該閉鎖された箇所において、前記ユニット経路の輪郭と前記第1ガイドの輪郭で形成される角度が鋭角である。
【0012】
ユニット経路の輪郭と第1ガイドの輪郭で形成される角度が鋭角である状態でトレイを押圧することにより、トレイを押圧する力が、トレイを排出経路側に搬送する力に変換され易い。そのため、第1ガイドによるトレイの搬送を適切に行うことができる。
【0013】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、自動ワインダは、トレイセンサと、ユニット制御部と、機台制御装置と、調整機構と、を備える。前記トレイセンサは、前記巻取ユニット毎に設けられ、前記トレイを検出する。前記ユニット制御部は、前記巻取ユニットを制御する。前記機台制御装置は、前記複数の巻取ユニットと接続される。前記調整機構は、前記巻取ユニットに供給される前記給糸ボビンの本数を調整する。前記調整機構は、前記トレイセンサと、前記ユニット制御部と、前記機台制御装置と、前記第1駆動源と、を含む。
【0014】
巻取ユニット毎に設けられたトレイセンサの検出結果を用いることにより、それぞれの巻取ユニットに供給されたトレイの数を特定できる。従って、適切な個数のトレイが供給されるように第1駆動源等を制御できる。
【0015】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、自動ワインダは、トレイセンサと、ユニット制御部と、機台制御装置と、調整機構と、を備える。前記トレイセンサは、前記供給経路に設けられ、前記トレイを検出する。前記ユニット制御部は、前記巻取ユニットを制御する。前記機台制御装置は、前記複数の巻取ユニットと接続される。前記調整機構は、前記巻取ユニットに供給される前記給糸ボビンの本数を調整する。前記調整機構は、前記トレイセンサと、前記ユニット制御部と、前記機台制御装置と、前記第1駆動源と、を含む。
【0016】
供給経路に設けられたトレイセンサの検出結果を用いることにより、適切な個数のトレイが巻取ユニットに供給されるように第1駆動源等を制御できる。
【0017】
前記の自動ワインダにおいては、前記第1ガイドは、前記第1方向に旋回することにより、前記ユニット経路にある前記トレイを前記供給経路に向けて排出することが好ましい。
【0018】
これにより、第1ガイドを用いてトレイの取込みだけでなくトレイの排出を行うことができる。
【0019】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2ガイドは前記第2駆動源により回転駆動される。前記糸供給位置に前記トレイを位置合わせする際の前記第2ガイドの回転方向と、前記トレイを排出する際の前記第2ガイドの回転方向とが同一である。
【0020】
これにより、第2ガイドを一方向に回転するだけで、トレイの位置合わせとトレイの排出を行うことができる。
【0021】
前記の自動ワインダにおいては、前記給糸ボビンの軸方向で見たときに、前記第1ガイドと前記第2ガイドが異なる高さに取り付けられることにより、前記第1ガイドの動作軌跡と前記第2ガイドの動作軌跡は重なっており、当該重なっている部分において前記トレイが前記第1ガイドから前記第2ガイドに受け渡されることが好ましい。
【0022】
これにより、トレイの受渡しを容易に行うことができる。
【0023】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記給糸ボビンの軸方向で見たときに、前記第1ガイドと前記第2ガイドが異なる高さに取り付けられることにより、前記第1ガイドの動作軌跡と前記第2ガイドの動作軌跡は重なっている。前記第1ガイドは、前記トレイの第1部分に接触することで当該トレイを取り込む。前記第2ガイドは、前記トレイの前記第1部分とは高さが異なる第2部分に接触することで当該トレイの位置合わせを行う。
【0024】
これにより、第1ガイドと第2ガイドとでトレイの接触箇所が異なるので、第1ガイドと第2ガイドによりトレイを搬送する際において、第1ガイドと第2ガイドの干渉が発生しにくいので、第1ガイドと第2ガイドの位置制御及びタイミング制御に自由度を持たせることができる。
【0025】
前記の自動ワインダにおいては、前記トレイセンサは、前記供給経路のうち、複数の前記巻取ユニットに対して1つの割合で配置されていることが好ましい。
【0026】
これにより、巻取ユニット毎にトレイセンサを設ける構成と比較して、トレイセンサの個数を低減できるので、コストを低くできる。
【0027】
前記の自動ワインダにおいては、前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記供給経路、前記ユニット経路、及び前記排出経路を通る経路が平面視で時計回りである構成と、前記供給経路、前記ユニット経路、及び前記排出経路を通る経路が平面視で反時計回りである構成と、の何れに対しても適用可能であることが好ましい。
【0028】
これにより、トレイの搬送方向が異なる2種類の自動ワインダにおいて、同一の第1ガイドと第2ガイドを用いることができる。そのため、部品コストを低減できる。また、同一の第1ガイドと第2ガイドを用いることにより、給糸ボビンの交換に係る時間が略同一になるので、稼動効率の計算が容易になる。
【0029】
前記の自動ワインダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記巻取ユニットは、前記給糸ボビンの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記糸供給位置は、前記解舒補助装置が前記給糸ボビンの糸を解舒するときの前記トレイの位置である。
【0030】
これにより、トレイを糸供給位置に合わせることで、解舒補助装置を適切に作用させて糸の解舒を補助できる。
【0031】
前記の自動ワインダにおいては、前記第1ガイドによる前記トレイの取込みと、前記第2ガイドによる前記トレイの前記糸供給位置への位置合わせと、を並行して行うことが可能であることが好ましい。
【0032】
これにより、トレイの取込みと排出を順番に行う場合と比較して、作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る巻取ユニットを備えた自動ワインダの全体的な構成を示す正面図。
図2】トレイ及びこれに載置された給糸ボビンの側面断面図。
図3】巻取ユニットの側面図。
図4】解舒補助装置近傍の斜視図。
図5】チェース部の下降に追従させて可動部材を下降させる様子を説明する側面図。
図6】給糸部の平面図。
図7】第1ガイドが回転して、供給経路とユニット経路が接続されることを示す図。
図8】第1ガイドが回転して、トレイをユニット経路に取り込むことを示す図。
図9】第2ガイドが回転して、糸供給位置にあるトレイを排出することを示す図。
図10】第2ガイドの回転により、次のトレイが糸供給位置に固定されることを示す図。
図11】第1ガイドが回転して、ユニット経路にあるトレイを供給経路に排出することを示す図。
図12】第1変形例に係るトレイセンサのレイアウトを示す図。
図13】第2変形例の第2ガイドの斜視図。
図14】第3変形例の第2ガイドの斜視図。
図15】第4変形例の給糸部の平面図。
図16】隣接して配置される自動ワインダのトレイの搬送方向を示す概略平面図。
図17】第5変形例の給糸部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態に係る自動ワインダについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の自動ワインダ10の概略的な構成を示す正面図である。
【0035】
図1に示すように、自動ワインダ10は、並べて配置された複数の巻取ユニット11と、機台制御装置12と、給糸ボビン供給装置13と、玉揚装置14と、を主に備えている。
【0036】
機台制御装置12は、各巻取ユニット11と通信可能に構成されている。自動ワインダ10のオペレータは、機台制御装置12を適宜操作することにより、複数の巻取ユニット11を一括して管理することができる。
【0037】
それぞれの巻取ユニット11は、給糸ボビン15から糸16を解舒し、解舒された糸16をトラバースしながら巻取ボビンに巻き取ってパッケージ18を形成する。
【0038】
給糸ボビン供給装置13と巻取ユニット11との間には、ベルトコンベア等によって構成された図略の搬送機構が配設されている。搬送機構は、給糸ボビン15をセットしたトレイ19(図2)を巻取ユニット11まで搬送するとともに、巻取ユニット11から排出されたトレイ19を戻す経路を含んでいる。
【0039】
図2に示すように、トレイ19は、ペッグ部19aと、ボビンセット部(第1部分)19bと、ベース部(第2部分)19cと、から構成されている。ペッグ部19aは、図2に示すように、略垂直方向に突出する略円筒形状又は略円錘形状の部材である。ペッグ部19aは、給糸ボビン15の芯管15aの内側に挿入可能である。ボビンセット部19bは、ペッグ部19aと軸線を一致させた略円柱形状の部材である。ボビンセット部19bの外径は、給糸ボビン15の芯管15aの外径よりも大きい。これにより、図2に示すように、給糸ボビン15の芯管15aにペッグ部19aを挿入することにより、当該給糸ボビン15をトレイ19上に略直立状態で支持することができる。また、ベース部19cは、ボビンセット部19bと軸線を一致させた略円柱形状の部材である。ベース部19cの外径はボビンセット部19bの外径よりも大きい。また、ボビンセット部19bとベース部19cは高さ方向(軸方向)の位置が異なる。
【0040】
給糸ボビン供給装置13は、図略の紡績機で紡績された糸16が巻かれた給糸ボビン15を自動ワインダ10に供給する。具体的には、給糸ボビン供給装置13は、給糸ボビン15を一本ずつトレイ19にセットする。前記給糸ボビン供給装置13を設ける代わりに、紡績機と自動ワインダをリンクさせることができる。この場合、紡績機と自動ワインダの巻取ユニット11との間には、ベルトコンベア等によって構成された搬送機構が配設されている。搬送機構は、給糸ボビン15をセットしたトレイ19(図2)を巻取ユニット11まで搬送するとともに、巻取ユニット11から排出されたトレイ19を紡績機に戻す経路を含んでいる。
【0041】
玉揚装置14は、各巻取ユニット11においてパッケージ18が満巻(規定量の糸が巻き取られた状態)となった際に、当該巻取ユニット11の位置まで走行する。次に、玉揚装置14は、満巻のパッケージ18を巻取ユニット11から取り外すとともに、空の巻取ボビンを巻取ユニット11にセットする。
【0042】
次に、図3を参照して巻取ユニット11について説明する。巻取ユニット11は、給糸部20と、巻取部21と、を備えている。
【0043】
給糸部20は、トレイ19に載せられた給糸ボビン15を所定の位置で保持するように構成されている。これにより、給糸ボビン15から糸16を適切に解舒することができる。なお、給糸部20の詳細な構成は後述する。
【0044】
巻取部21は、クレードル23と、巻取ドラム17と、を備えている。
【0045】
クレードル23は一対のベアリングセンタを有しており、ベアリングセンタで巻取ボビン22を挟み込むことにより、当該巻取ボビン22を回転自在に支持する。クレードル23は、支持しているパッケージ18の外周を巻取ドラム17の外周に接触させることができる。
【0046】
巻取ドラム17は、パッケージ18の表面で糸16をトラバースさせるとともにパッケージ18を回転させる。巻取ドラム17は、図略の駆動源(電動モータなど)によって回転駆動される。パッケージ18の外周を巻取ドラム17に接触させた状態で、当該巻取ドラム17を回転駆動することにより、パッケージ18を従動回転させることができる。また、この巻取ドラム17の外周面には螺旋状の綾振溝(図略)が形成されている。給糸ボビン15から解舒された糸16は、綾振溝によって一定の幅でトラバースされながらパッケージ18の表面に巻き取られる。これにより、一定の巻幅を有するパッケージ18を形成することができる。
【0047】
また、巻取ユニット11には、給糸部20から巻取部21までの糸道に沿って、給糸部20側から順に、解舒補助装置24と、張力付与装置25と、糸継装置26と、糸品質測定器27と、が配置されている。また、巻取ユニット11は、当該巻取ユニット11が備えている各構成を制御するためのユニット制御部39を備えている。このユニット制御部39は、機台制御装置12と通信可能である。なお、以後の説明において、糸16の走行方向の上流側及び下流側を単に「上流側」及び「下流側」と称する場合がある。
【0048】
解舒補助装置24は、給糸ボビン15の芯管に被さることが可能な規制部材28を備えている。規制部材28は、略筒状の部材であり、給糸ボビン15の糸層上部に形成されたバルーンに接触するように配置されている。なお、バルーンとは、給糸ボビン15から解舒される糸16が遠心力に振り回されている部分を言う。このバルーンに対して規制部材28を接触させることにより、当該バルーンの部分の糸16に対してテンションを付与し、糸16が過度に振り回されることを防止する。これにより、当該糸16を給糸ボビン15から適切に解舒することができる。
【0049】
張力付与装置25は、走行する糸16に所定のテンションを付与する。本実施形態において、張力付与装置25は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のもので構成されている。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛み合わせ状態となるように付勢されている。噛み合わせ状態の櫛歯の間を屈曲させながら糸16を通過させることにより、当該糸16に対して適度なテンションを付与してパッケージ18の品質を高めることができる。ただし、張力付与装置25は上記ゲート式のものに限らず、例えばディスク式のものを採用することができる。
【0050】
糸継装置26は、給糸ボビン15とパッケージ18との間の糸16が何らかの理由により分断状態となったときに、給糸ボビン15側の下糸と、パッケージ18側の上糸と、を糸継ぎする。本実施形態において、糸継装置26は、圧縮空気により発生させた旋回空気流によって糸端同士を撚り合わせるスプライサ装置として構成されている。ただし、糸継装置26は上記スプライサ装置に限らず、例えば機械式のノッタ等を採用することができる。
【0051】
糸品質測定器27は、糸16の太さを適宜のセンサで監視する。糸品質測定器27の近傍には、当該糸品質測定器27が糸太さの異常を検出したときに直ちに糸16を切断するための図略のカッタが付設されている。
【0052】
糸継装置26の下側及び上側には、給糸ボビン15側の糸(下糸)を捕捉して案内する下糸捕捉パイプ29と、パッケージ18側の糸(上糸)を捕捉して案内する上糸捕捉パイプ30と、が設けられている。下糸捕捉パイプ29の先端には吸引口31が形成され、上糸捕捉パイプ30の先端にはサクションマウス32が備えられている。2つの捕捉パイプ29,30には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、吸引口31及びサクションマウス32に吸引流を作用させることができる。
【0053】
この構成で、給糸ボビン15とパッケージ18との間で糸が分断状態となったときには、下糸捕捉パイプ29によって給糸ボビン15側の糸を捕捉して糸継装置26に導入するとともに、上糸捕捉パイプ30によってパッケージ18側の糸を捕捉して糸継装置26に導入する。この状態で糸継装置26を駆動することで、上糸と下糸を糸継ぎし、給糸ボビン15とパッケージ18との間で糸16を連続状態とする。これにより、パッケージ18への糸16の巻取りを再開することができる。
【0054】
次に、図4を参照して、解舒補助装置24について詳しく説明する。
【0055】
以下の説明において、筒状に構成された規制部材28の中心軸線(解舒中心)の延長線を、仮想線70とする。
【0056】
解舒補助装置24は、規制部材28を、その軸線に沿って略鉛直方向に移動させるための図略の昇降機構を備えている。この昇降機構の動作は、ユニット制御部39によって制御されている。
【0057】
また、解舒補助装置24は、規制部材28と一体的に移動するセンサ保持部材35を備えている。このセンサ保持部材35には、給糸ボビン15の糸層の上端面(以下、チェース部と呼ぶ)を検出するための糸層センサ36が固定されている。この糸層センサ36は、投光部36aと受光部36bとを有する透過式のフォトセンサとして構成されている。即ち、この投光部36aと受光部36bとの間がチェース部によって遮られたときに、当該チェース部を検出する。この糸層センサ36の検出結果は、ユニット制御部39に送られる。
【0058】
糸巻取中において、ユニット制御部39は、糸層センサ36によってチェース部が検出できる位置まで規制部材28(及びセンサ保持部材35)を下降させるように制御を行う。これにより、図5に示すように、給糸ボビン15からの糸16が解舒されることによるチェース部の下降(給糸ボビン15の糸の減少)に追従させて、規制部材28(及びセンサ保持部材35)を下降させていくことができる。これにより、チェース部と規制部材28との位置関係を常に一定にすることができるので、バルーンに対して付与するテンションを一定に保ち、給糸ボビン15から糸16を適切に解舒することができる。
【0059】
次に、図6を参照して、給糸部20の詳細な構造について説明する。
【0060】
上述した搬送機構は、供給経路61と、ユニット経路62と、排出経路63と、を備える。供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63は、板金のカバー部材により形成されている。具体的には、カバー部材を並べて配置し、カバー部材同士の隙間を空けることにより、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63が形成される。
【0061】
供給経路61は、トレイ19を巻取ユニット11に供給するための経路である。ユニット経路62は巻取ユニット11毎に形成されている。それぞれのユニット経路62は、供給経路61と接続されている。ユニット経路62は、糸供給位置を通る経路である。糸供給位置とは、給糸ボビン15の糸16を解舒する際のトレイ19の位置である。本実施形態では、解舒補助装置24が給糸ボビン15の糸16を解舒するときのトレイ19の位置が糸供給位置に相当する。
【0062】
糸供給位置での給糸ボビン15の糸16の解舒が終了した後に、トレイ19は糸供給位置から排出経路63に排出される。排出経路63は、ユニット経路62から排出されたトレイ19を搬送する経路である。排出経路63により搬送されたトレイ19の給糸ボビン15は回収され、給糸ボビン供給装置13により新たな給糸ボビン15がトレイ19にセットされる。
【0063】
図6に示すように、給糸部20は、第1ガイド41と、第2ガイド42と、トレイセンサ43と、トレイ抑え部44と、を備える。
【0064】
第1ガイド41は、ユニット経路62のうち供給経路61との交点の近傍に配置されている。第1ガイド41は円板状であり、円板の中心である回転軸41aを中心として旋回可能に取り付けられている。第1ガイド41は、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を形成するカバー部材の下方に配置されている。
【0065】
第1ガイド41は、第1モータ(第1駆動源)51により旋回駆動される。第1モータ51は、回転位相(回転回数)を制御可能であって、正逆回転が可能なモータである。第1モータ51は、例えばステッピングモータである。第1モータ51は、例えば図略のモータドライバを介してユニット制御部39により制御されている。この構成により、ユニット制御部39は、第1ガイド41の回転位相を制御可能である。
【0066】
第1ガイド41には、切欠き41bが形成されている。第1ガイド41は切欠き41bを用いてトレイ19をガイドする。詳細には、切欠き41bの内部にトレイ19が入り込んだ状態において、ユニット制御部39が第1ガイド41を旋回させることにより、切欠き41bの壁部がトレイ19(詳細にはボビンセット部19b)を押圧する。その結果、トレイ19が所定位置までガイドされる。なお、本実施形態において第1ガイド41は真円の円板を用いて構成したが、楕円形であってもよい。また真円の一部に真円軌道を外れた凹凸が形成された円弧部を含んでもよい。
【0067】
第2ガイド42は、ユニット経路62のうち第1ガイド41よりも下流側に配置されている。第2ガイド42は、細長い板状であり、それぞれの端部がガイド片42bである。第2ガイド42は、中心である回転軸42aを回転中心として回転可能に取り付けられている。第2ガイド42は、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を形成するカバー部材の下方に配置されている。
【0068】
第2ガイド42は、第2モータ(第2駆動源)52により回転駆動される。第2モータ52は、回転位相(回転回数)を制御可能である。第2モータ52は、例えばステッピングモータである。第1モータ51と第2モータ52は異なるモータであるため、個別に動作可能である。第2モータ52は、例えば図略のモータドライバを介してユニット制御部39により制御されている。この構成により、ユニット制御部39は、第1ガイド41と第2ガイド42の回転位相を独立して制御可能である。
【0069】
第2ガイド42は、ガイド片42bを用いてトレイ19をガイドする。詳細には、第2ガイド42が回転することにより、第2ガイド42のガイド片42bがトレイ19(詳細にはベース部19c)を押圧する。その結果、トレイ19が所定位置までガイドされる。
【0070】
第1ガイド41と第2ガイド42は、高さ方向(回転軸方向)における位置が異なる。そのため、高さ方向で見た図(図6)において、第1ガイド41の動作軌跡と第2ガイド42の動作軌跡が重なっても両者は干渉しない。従って、第1ガイド41と第2ガイド42の衝突を回避する制御や調整が不要である。また、第1ガイド41がトレイ19のボビンセット部19bを押圧するのに対し、第2ガイド42はトレイ19のベース部19cを押圧する。このように、第1ガイド41と第2ガイド42は、トレイ19を押圧する箇所(トレイ19に接触する箇所)が異なる。そのため、第1ガイド41と第2ガイド42が同時にトレイ19を押圧することが容易となる。本実施形態では、第1ガイド41の下方に第2ガイド42が配置されているが、第1ガイド41の上方に第2ガイド42が配置されてもよい。
【0071】
トレイセンサ43は、トレイ19がユニット経路62に進入したことを検出する。トレイセンサ43は、固定部43aと可動部43bとを備える。可動部43bは、固定部43aを回転中心として回転可能である。可動部43bは例えば磁石を含んでおり、可動部43bの下方にはマグネットセンサが固定されている。この構成により、トレイセンサ43は、可動部43bが移動したことを検出可能である。可動部43bは、ユニット経路62を通過するトレイ19と接触可能な位置に配置されている。これにより、トレイ19が可動部43bに接触したか否かに基づいて、トレイ19がユニット経路62に進入したことを検出する。トレイセンサ43の検出結果はユニット制御部39に出力される。
【0072】
なお、このセンサは一例であり、例えば光学センサによりトレイ19を検出してもよい。光学センサとは、例えば投光部と受光部を有し、投光部から検出領域(例えば、供給経路61又はユニット経路62の上方の領域)に向けて光を照射する。検出領域にトレイ19が存在した場合、受光部は、トレイ19で反射した光を検出する。従って、受光部の受光量に基づいて、検出領域にトレイ19が存在するか否かを検出できる。光学センサは上述した反射型に限られず、透過型であってもよい。
【0073】
本実施形態では、ユニット経路62にトレイ19を供給するか否か、及び/又は、ユニット経路62に供給するトレイ19の数を調整する調整機構100を備える。調整機構100は、トレイセンサ43、ユニット制御部39、機台制御装置12、及び、第1ガイド41を含んで構成される。調整機構100の具体的な処理については後述する。
【0074】
トレイ抑え部44は、トレイ19を糸供給位置に位置合わせするための部材である。トレイ抑え部44は、搖動軸44aと、本体44bと、レール44cと、接触部44dと、を備える。本体44bは、搖動軸44aを搖動中心としてレール44cに沿って揺動可能である。また、本体44bは、図略の付勢部材により、上流側に向けて付勢されている。接触部44dは本体44bに取り付けられており、トレイ19に接触する部分である。接触部44dは、例えば樹脂製である。付勢部材の付勢力により、接触部44dはトレイ19を上流側に押圧してトレイ19を抑える。なお、トレイ抑え部44がトレイ19を糸供給位置に位置合わせする動作の詳細については後述する。また、トレイ抑え部44の構成は一例であり、トレイ19の位置を保持可能であれば別の構成で同じ機能を実現してもよい。
【0075】
次に、図7から図10を参照して、供給経路61からユニット経路62にトレイ19を取り込んで糸16を解舒し、トレイ19を排出経路63に排出するまでの流れについて説明する。
【0076】
図7及び図8には、ユニット経路62にトレイ19を取込む際の第1ガイド41の動作が示されている。図7の上図では、第1ガイド41はユニット経路62を閉鎖しているため、トレイ19はユニット経路62に取り込まれない。このとき、第1ガイド41の縁部は供給経路61の一部を構成する。
【0077】
調整機構100を構成する機台制御装置12及びユニット制御部39は、ユニット経路62にトレイ19を取り込む必要があるか否かを判断する。例えば、ユニット制御部39は、現時点で糸16の解舒中の給糸ボビン15の糸残量又はユニット経路62にストックしているトレイ19が少ない場合、新たなトレイ19を取り込む必要性が高いと判定する。また、機台制御装置12は、供給経路61を流れるトレイ19の数の多さに基づいて、ユニット経路62にストックすべきトレイ19の数を算出してもよい。特に、機台制御装置12は、ロットの終了が近い場合は、特定の巻取ユニット11が多数のトレイ19をストックし過ぎないように、ユニット経路62にストックすべきトレイ19の数を算出してもよい。
【0078】
機台制御装置12及びトレイ19により、新たなトレイ19を取り込むべきと判断された場合、ユニット制御部39は第1モータ51を制御して第1ガイド41を時計回り(第1方向)に旋回させる(図7の下図)。ユニット制御部39は、第1ガイド41の切欠き41bが、供給経路61とユニット経路62の交点に位置した時点で第1ガイド41の旋回を停止させる。これにより、供給経路61とユニット経路62が接続される。言い換えれば、供給経路61を搬送されるトレイ19を切欠き41bの内部に取り込むことができる(図8の上図)。
【0079】
トレイ19が第1ガイド41の切欠き41bに取り込まれることにより、トレイセンサ43がトレイ19を検出する。ユニット制御部39は、トレイセンサ43によるトレイ19の検出を受けて、第1ガイド41を反時計回り(第2方向)に旋回させる(図8の下図)。これにより、トレイ19をユニット経路62の下流側に搬送することができる。
【0080】
また、図8の下図には、第1ガイド41がトレイ19を下流側に搬送する状態の拡大図が付記されている。この拡大図に示すように、第1ガイド41は、ユニット経路62の壁面との間にトレイ19を挟み込みながら、トレイ19を下流側に搬送する。このとき、トレイ19が挟み込まれる箇所の上流側のユニット経路62は、第1ガイド41により閉鎖されている。そして、この閉鎖される箇所において、ユニット経路62の輪郭と第1ガイド41の輪郭で形成される角度を角度θとする(図8を参照)。本実施形態では角度θが鋭角であるため、トレイ19が第1ガイド41から受ける力は、トレイ19を下流側に搬送する力に変換される。以上により、本実施形態では、第1ガイド41がトレイ19を容易に搬送できる。なお、ユニット経路62の輪郭又は第1ガイド41の輪郭が曲線を含む場合は、曲線を直線に近似して角度θを算出すればよい。また、閉鎖される箇所において、ユニット経路62の輪郭又は第1ガイド41の輪郭が折れ線を含んでおり適切な角度θが算出できない場合は、トレイ19と接触している箇所の輪郭を延長して、角度θを算出すればよい。
【0081】
その後、再びトレイ19を取り込む必要が生じた場合、ユニット制御部39は第1ガイド41を第1方向(時計回り)に旋回させる。つまり、本実施形態では、第1ガイド41は第1方向と第2方向に交互に旋回する。つまり、第1モータ51は、第1ガイド41を所定の角度範囲内で往復旋回駆動する。従って、仮に糸屑が付着した場合であっても、糸屑が第1ガイド41に絡みにくい。なお、第1ガイド41を一方向のみに回転させてもよい。
【0082】
次に、第2ガイド42の動作について説明する。図9の上図には、第1ガイド41によりトレイ19が搬送された後の状態が示されている。また、第2ガイド42は、トレイ抑え部44とともに、トレイ19を糸供給位置に固定している。具体的には、上述したように、付勢部材の付勢力により、トレイ抑え部44はトレイ19(ボビンセット部19b)を上流側に押圧する。一方、第2ガイド42のガイド片42bは、トレイ19(ベース部19c)を下流側に押圧する。これにより、トレイ19を挟み込んで固定することができる。また、第2ガイド42のガイド片42bは、トレイ19の一番面積の大きいベース部19cを押圧しているので、ガイド片42bによる押圧力が安定的にトレイ19に伝えられる。この構成を採用することにより、トレイ19がガイド片42bの押圧力により傾いてしまうことがない。更に、トレイ抑え部44と第2ガイド42のガイド片42bはトレイ19の異なる高さを押圧できるように異なる高さに配置されている。それゆえ、トレイ抑え部44と第2ガイド42のガイド片42bは、鉛直方向から見たときに互いに重なって配置されていたとしても、互いに接触することがないため、レイアウトの自由度が向上する。
【0083】
その後、糸供給位置にあるトレイ19の糸16の解舒が終了した後に、ユニット制御部39は第2ガイド42を反時計回りに回転させる。付勢部材の付勢力を超える力で第2ガイド42を回転させることにより、ガイド片42bがトレイ抑え部44を押しのけるようにしてトレイ19を下流側に排出できる(図9の下図)。
【0084】
トレイ19の排出と同時に、他のガイド片42bが上流側のトレイ19を下流側に搬送する。上述したように、このトレイ19は第1ガイド41による搬送が完了しているため、第1ガイド41と第2ガイド42が重なる部分において、第2ガイド42がトレイ19に接触して、当該トレイ19が搬送される。これにより、このトレイ19が糸供給位置まで搬送され、第2ガイド42とトレイ抑え部44により挟み込まれて糸供給位置に位置合わせされる(図10)。その後、再び給糸ボビン15の糸16の解舒が開始される。
【0085】
このように、本実施形態の第2ガイド42は複数のガイド片42bを用いて、糸供給位置にあるトレイ19の排出と、それより上流側にあるトレイ19を糸供給位置への搬送と、を同時に行うことができる。従って、本実施形態の給糸部20は作業効率が高い。また、第2ガイド42は、第1ガイド41とは異なり、一方向にのみ回転駆動される。また、上述したように、本実施形態では第1ガイド41と第2ガイド42は互いに干渉せず、駆動源も独立しているため、第1ガイド41の動作の完了を待つことなく第2ガイド42によるトレイ19の搬送を開始することも可能である。そのため、第1ガイド41によるトレイ19の取込みと並行して、第2ガイド42によるトレイ19の位置合わせ等を行うことも可能である。
【0086】
次に、第1ガイド41を用いた別の機能について図11を参照して説明する。上述したように、第1ガイド41は供給経路61を搬送されるトレイ19をユニット経路62に取り込む機能を有する。それに加えて、ユニット経路62にあるトレイ19を供給経路61に排出する(戻す)機能を有していてもよい。
【0087】
例えば、ユニット制御部39は、ユニット経路62にトレイ19があり、当該トレイ19が切欠き41bの内部にある状況(図11の上図)において、トレイ19を供給経路61に排出する必要があると判定したとする。その場合、ユニット制御部39は、第1ガイド41を反時計回りに旋回させることにより、トレイ19を供給経路61に排出する(図11の下図)。更に第2ガイド42と協働することにより、図9の上図のように第1ガイド41によりトレイ19が搬送された後のトレイ19を、供給経路61に排出する事もできる。具体的には第2ガイド42を反時計方向に回転させて第1ガイド41の切欠き41bにトレイ19を挿入し、更にユニット制御部39は、第1ガイド41を反時計回りに旋回させることにより、トレイ19を供給経路61に排出することができる。
【0088】
これにより、例えば特定の巻取ユニット11のユニット経路62にトレイ19が集中してしまった場合において、その事態を解消することができる。なお、本実施形態の第1ガイド41には単一の切欠き41bが形成されている。第1ガイド41に複数の切欠き41bが形成されると、前述のユニット経路62にあるトレイ19を供給経路61に排出する(戻す)機能が実現できなくなるので、単一の切欠き41bのみとするのが好ましい。
【0089】
次に、上記実施形態の第1変形例を説明する。図12は、変形例に係るトレイセンサ43のレイアウトを示す図である。なお、以後の変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0090】
上記実施形態では、巻取ユニット11毎にトレイセンサ43が設けられている。これに代えて、第1変形例では、所定数の巻取ユニット11(以下、1グループの巻取ユニット11)に対して1つのトレイセンサ43が設けられている。1グループを構成する巻取ユニット11の数は、2以上の整数であるが、例えば5以上20以下であることが好ましい。
【0091】
上記実施形態では、トレイセンサ43は、該当の巻取ユニット11の第1ガイド41がトレイ19を取り込んだか否かを判定するために用いる。これに対し、第1変形例では、グループを構成する巻取ユニット11がトレイ19を取り込んだか否かを判定するために用いる。例えば、グループ構成する1つの巻取ユニット11にトレイ19を取り込む必要性が生じたとする。その場合、該当の巻取ユニット11のみが第1ガイド41を回転させて供給経路61とユニット経路62を接続し、同じグループの他の巻取ユニット11は第1ガイド41によりユニット経路62を閉鎖する。そして、トレイセンサ43がトレイ19を検出して所定時間が経過した場合、ユニット制御部39は、該当の巻取ユニット11にトレイ19が取り込まれたと判定する。所定時間は、トレイセンサ43がトレイ19を検出してから、該当の巻取ユニット11にトレイ19が到達するまでにタイムラグがあるために設定する時間である。
【0092】
本変形例では、上記実施形態と比較して、トレイセンサ43の個数を低減できるのでコストを低減できる。
【0093】
次に、図13及び図14を参照して、第2変形例及び第3変形例について説明する。図13は、第2変形例の第2ガイド42の斜視図である。図14は、第3変形例の第2ガイド42の斜視図である。
【0094】
上記実施形態の第2ガイド42は平板状であるが、第2変形例及び第3変形例の第2ガイド42は、一部に折曲げ部42cが形成された形状である。折曲げ部42cは、第2ガイド42の端部を略直角に折り曲げた部分である。折曲げ部42cは、ガイド片42bを避けた位置、言い換えれば、ガイド片42bよりも回転中心側に形成されている。折曲げ部42cが形成されることにより、第2ガイド42の強度を高くすることができる。折曲げ部42cの折曲げ向きは、上側であってもよいし、下側であってもよい。また、図14に示すように、折曲げ部42cの長手方向の両側に凹部42dを形成してもよい。
【0095】
次に、図15を参照して、第4変形例について説明する。図15は、第4変形例の第2ガイド42を含む給糸部20の平面図である。
【0096】
上記実施形態の第2ガイド42には、2つのガイド片42bが形成されている。これに対し、第4変形例の第2ガイド42には、4つのガイド片42bが形成されている。言い換えれば、第4変形例の第2ガイド42は、4つの切欠きが形成された円板状の部材である。なお、ガイド片42bが形成される数は上記実施形態及び第4変形例で示した数に限られず、例えば、1つ、3つ、又は、5つ以上であってもよい。
【0097】
次に、図16及び図17を参照して、第5変形例について説明する。図16は、隣接して配置される自動ワインダ10のトレイ19の搬送方向を示す概略平面図である。図17は、第5変形例の給糸部20の平面図である。
【0098】
繊維工場では複数の自動ワインダ10が並べて配置される。複数の自動ワインダ10を備える構成を繊維処理設備と称する。図16に示すように、複数の自動ワインダ10は、装置前面同士が対向するように、言い換えれば、装置後面同士が対向するように配置される。装置前面とは、機台制御装置12の入力キー又はディスプレイが配置される側の面である。これにより、自動ワインダ10の装置前面同士の間をオペレータの通路として用いることで、オペレータによる作業を効率よく行うことができる。また、対向して配置される自動ワインダ10は、巻取ユニット11の並列方向の同じ側の端部に機台制御装置12が位置する。
【0099】
対向するようにして配置される2つの自動ワインダ10は、トレイ19の搬送方向が異なる。図16に示すように、一方を第1自動ワインダ10aと称し、他方を第2自動ワインダ10bと称する。第1自動ワインダ10aは、平面視において、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を通る経路が反時計回りである(言い換えれば、供給経路61が装置後面側)。第2自動ワインダ10bは、平面視において、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を通る経路が時計回りである(言い換えれば、供給経路61が装置前面側)。
【0100】
図17に示すように、第5変形例の給糸部20は、上記実施形態とはトレイ19の搬送方向が異なる。そのため、第5変形例と上記実施形態では、ユニット経路62の形状が異なる。しかし、第5変形例の第1ガイド41及び第2ガイド42は、上記実施形態の第1ガイド41及び第2ガイド42と同一である。同一とは、実質的に同一であることを含み、機能及びおおよその形状が同一であればよく、厳密に同一であることまでは要求されない。つまり、第1ガイド41及び第2ガイド42は、第1自動ワインダ10aと第2自動ワインダ10bの何れにも適用可能である。
【0101】
第1ガイド41は、切欠き41bの内部にトレイ19が位置した状態で旋回することにより、当該トレイ19をユニット経路62に沿って下流側に搬送できる。そのため、平面視で第1ガイド41(詳細には切欠き41b)の移動軌跡とユニット経路62の一部が重なっていれば、様々な形状のユニット経路62に適用できる。第2ガイド42は、トレイ19を押圧可能な部分が大きいため、第2ガイド42の移動軌跡とユニット経路62の一部が重なっていれば、様々な形状のユニット経路62に適用できる。以上により、本実施形態の第1ガイド41及び第2ガイド42は、第1自動ワインダ10a及び第2自動ワインダ10bの何れにも適用可能である。
【0102】
第1自動ワインダ10aと第2自動ワインダ10bで同一の第1ガイド41及び第2ガイド42を用いることにより、製造及び管理する部品の種類が減るため、部品コストを低減できる。また、トレイ19をユニット経路62に沿って糸供給位置に搬送したり、ユニット経路62からトレイ19を排出するために掛かる時間を、第1自動ワインダ10aと第2自動ワインダ10bで同一にすることができる。そのため、第1自動ワインダ10aと第2自動ワインダ10bとで、トレイ19の搬送のために必要な時間を略同一にすることができる。その結果、第1自動ワインダ10aの作業効率の算出方法を流用して、第2自動ワインダ10bの作業効率を算出できる。
【0103】
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダ10は、複数の巻取ユニット11を備える。巻取ユニット11は、給糸部20と、巻取部21と、を備える。給糸部20は、給糸ボビン15を直立させた状態で支持して搬送するトレイ19の取込み及び排出を行う。巻取部21は、給糸部20が取り込んだトレイ19にセットされた給糸ボビン15から糸16を解舒し、糸16を巻き取ってパッケージ18を形成する。給糸部20は、第1ガイド41と、第2ガイド42と、第1モータ51と、第2モータ52と、を備える。第1ガイド41は、トレイ19を取り込む。第2ガイド42は、第1ガイド41により取り込まれたトレイ19を受け取って、糸16を解舒する糸供給位置にトレイ19を位置合わせし、糸16の解舒が終了した後にトレイ19を排出する。第1モータ51は、第1ガイド41を駆動する。第2モータ52は、第1モータ51と独立して動作可能であり、第2ガイド42を駆動する。第1ガイド41は、トレイ19をガイドするための単一の切欠きが形成された円板状の部材である。
【0104】
これにより、トレイ19の取込みを行う第1ガイド41と、トレイ19の位置合わせ及び排出を行う第2ガイド42と、をそれぞれ独立して駆動できる。その結果、様々な状況においてトレイ19を取り込んだり排出したりすることができる。また、第1ガイド41が単一の切欠きが形成された形状であるため、不要な切欠きでトレイ19が搬送されたり、不要な切欠きでトレイ19を噛み込んだりする可能性をなくすことができる。更に、第1ガイド41を円板状とすることにより、回転位相が変化しても動作軌跡が略一定であるため、第1ガイド41がトレイ19と不意に接触する可能性を低減できる。以上により、様々な状況においてトレイ19を取り込んだり排出したりすることができる。
【0105】
本実施形態の自動ワインダ10は、供給経路61と、排出経路63と、ユニット経路62と、を備える。供給経路は、トレイ19を搬送して巻取ユニット11に供給する。排出経路63は、巻取ユニット11から排出されたトレイ19を搬送する。ユニット経路62は、供給経路61と糸供給位置を接続する。第1ガイド41は第1モータ51により所定の角度範囲内で往復旋回駆動される。第1ガイド41は、第1方向に旋回することにより供給経路61とユニット経路62とを接続し、その後に第2方向に旋回することによりトレイ19が糸供給位置に近づくように当該トレイ19を押圧する。
【0106】
これにより、第1ガイド41を往復旋回駆動することにより、供給経路61からのトレイ19の取込みと、ユニット経路62に沿ったトレイ19の搬送と、を行うことができる。また、同一方向に第1ガイド41を回転させ続けると給糸ボビン15の糸16が第1ガイド41に絡み易いが、第1ガイド41を往復旋回させることにより、糸16の絡みを抑えることができる。
【0107】
本実施形態の自動ワインダ10において、第1ガイド41は、ユニット経路62の壁面との間にトレイ19を挟み込みながらトレイ19を排出経路63側に向けて搬送する。トレイ19がユニット経路62の壁面と第1ガイド41に挟み込まれる状態において、第1ガイド41により、ユニット経路62の供給経路61側が閉鎖され、当該閉鎖された箇所において、ユニット経路62の輪郭と第1ガイド41の輪郭で形成される角度θが鋭角である。
【0108】
ユニット経路62の輪郭と第1ガイド41の輪郭で形成される角度が鋭角である状態でトレイを押圧することにより、トレイを押圧する力が、トレイ19を排出経路63側に搬送する力に変換され易い。そのため、第1ガイド41によるトレイ19の搬送を適切に行うことができる。
【0109】
本実施形態の自動ワインダ10は、トレイセンサ43と、ユニット制御部39と、機台制御装置12と、調整機構100と、を備える。トレイセンサ43は、巻取ユニット11毎に設けられ、トレイ19を検出する。ユニット制御部39は、巻取ユニット11を制御する。機台制御装置12は、前記複数の巻取ユニット11と接続される。調整機構100は、巻取ユニット11に供給される給糸ボビン15の本数を調整する。調整機構100は、トレイセンサ43と、ユニット制御部39と、機台制御装置12と、第1モータ51と、を含む。
【0110】
巻取ユニット11毎に設けられたトレイセンサ43の検出結果を用いることにより、それぞれの巻取ユニット11に供給されたトレイ19の数を特定できる。従って、適切な個数のトレイ19が供給されるように第1モータ51等を制御できる。
【0111】
本変形例の自動ワインダ10は、トレイセンサ43と、ユニット制御部39と、機台制御装置12と、調整機構100と、を備える。トレイセンサ43は、供給経路61に設けられ、トレイ19を検出する。ユニット制御部39は、巻取ユニット11を制御する。機台制御装置12は、前記複数の巻取ユニット11と接続される。調整機構100は、巻取ユニット11に供給される給糸ボビン15の本数を調整する。調整機構100は、トレイセンサ43と、ユニット制御部39と、機台制御装置12と、第1モータ51と、を含む。
【0112】
供給経路61に設けられたトレイセンサ43の検出結果等の情報を用いることにより、適切な個数のトレイ19が供給されるように第1モータ51等を制御できる。
【0113】
本実施形態の自動ワインダ10において、第1ガイド41は、第1方向に回転することにより、ユニット経路62にあるトレイ19を供給経路61に向けて排出する。
【0114】
これにより、第1ガイド41を用いてトレイ19の取込みだけでなくトレイ19の排出を行うことができる。
【0115】
本実施形態の自動ワインダ10において、第2ガイド42は第2モータ52により回転駆動される。糸供給位置にトレイ19を位置合わせする際の第2ガイド42の回転方向と、トレイ19を排出する際の第2ガイド42の回転方向とが同一である。
【0116】
これにより、第2ガイド42を一方向に回転するだけで、トレイ19の位置合わせとトレイ19の排出を行うことができる。
【0117】
本実施形態の自動ワインダ10において、給糸ボビン15の軸方向で見たときに、第1ガイド41の動作軌跡と第2ガイド42の動作軌跡は重なっており、当該重なっている部分においてトレイ19が第1ガイド41から第2ガイド42に受け渡される。
【0118】
これにより、トレイ19の受渡しを容易に行うことができる。
【0119】
本実施形態の自動ワインダ10において、給糸ボビン15の軸方向で見たときに、第1ガイド41の動作軌跡と第2ガイド42の動作軌跡は重なっている。第1ガイド41は、トレイ19のボビンセット部19bに接触することでトレイ19を取り込む。第2ガイド42は、トレイ19のボビンセット部19bとは高さが異なるベース部19cに接触することでトレイ19の位置合わせを行う。
【0120】
これにより、第1ガイド41と第2ガイド42とでトレイ19の接触箇所が異なるので、第1ガイド41と第2ガイド42によりトレイ19を搬送する際において、第1ガイド41と第2ガイド42の干渉が発生しにくいので、第1ガイド41と第2ガイド42の位置制御及びタイミング制御に自由度を持たせることができる。
【0121】
本変形例の自動ワインダ10において、トレイセンサ43は、供給経路61のうち、複数の巻取ユニット11に対して1つの割合で配置されている。
【0122】
これにより、巻取ユニット11毎にトレイセンサ43を設ける構成と比較して、トレイセンサ43の個数を低減できるので、コストを低減できる。
【0123】
本実施形態の自動ワインダ10において、巻取ユニット11は、給糸ボビン15の糸16の解舒を補助する解舒補助装置24を備える。糸供給位置は、解舒補助装置24が給糸ボビン15の糸16を解舒するときのトレイ19の位置である。
【0124】
本実施形態の自動ワインダ10において、第1ガイド41及び第2ガイド42は、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を通るユニット経路62が平面視で時計回りである構成(第2自動ワインダ10b)と、供給経路61、ユニット経路62、及び排出経路63を通るユニット経路62が平面視で反時計回りである構成(第1自動ワインダ10a)と、の何れに対しても適用可能である。
【0125】
これにより、トレイ19の搬送方向が異なる2種類の自動ワインダ10において、同一の第1ガイド41と第2ガイド42を用いることができる。そのため、部品コストを低減できる。また、同一の第1ガイド41と第2ガイド42を用いることにより、給糸ボビンの交換に係る時間が略同一になるので、稼動効率の計算が容易になる。
【0126】
これにより、トレイ19を糸供給位置に合わせることで、解舒補助装置24を適切に作用させて糸16の解舒を補助できる。
【0127】
本実施形態の自動ワインダ10において、第1ガイド41によるトレイ19の取込みと、第2ガイド42によるトレイ19の糸供給位置への位置合わせと、を並行して行うことが可能である。
【0128】
これにより、トレイ19の取込みと排出を順番に行う場合と比較して、作業効率を向上できる。
【0129】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0130】
上記実施形態では、第1ガイド41及び第2ガイド42は回転駆動されるが、直線駆動される構成であってもよい。この場合、モータに代えてシリンダ等を第1駆動源又は第2駆動源として用いることもできる。
【0131】
上記実施形態では、第2ガイド42が、トレイ19の糸供給位置までの搬送、トレイ19の位置合わせ、及びトレイ19の排出を行う。これに代えて、トレイ19の糸供給位置までの搬送を別のガイドにより行ってもよい。
【0132】
例えば解舒補助装置24は必須の構成要素ではなく省略することもできる。この場合、糸供給位置は、巻取ユニット11のフレーム又は別の部材を基準として予め定められた所定の位置であってもよい。
【0133】
上記実施形態では、自動ワインダ10が複数の巻取ユニット11を有するが、自動ワインダ10が1つの巻取ユニット11から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10 自動ワインダ
11 巻取ユニット
20 給糸部
21 巻取部
41 第1ガイド
42 第2ガイド
43 トレイセンサ
44 トレイ抑え部
51 第1モータ(第1駆動源)
52 第2モータ(第2駆動源)
61 供給経路
62 ユニット経路
63 排出経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17