(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092100
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】流体供給装置および流体供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240701BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
F04B49/06 341Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207790
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】八木 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】家中 仁
【テーマコード(参考)】
3H145
4C100
【Fターム(参考)】
3H145AA26
3H145AA31
3H145BA20
3H145CA03
3H145DA03
3H145DA11
3H145DA47
3H145EA13
3H145EA38
3H145EA43
4C100AD01
4C100BA03
4C100BB05
4C100BC13
4C100BC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の流体室内の圧力が過不足になることを抑制することができる流体供給装置を提供する。
【解決手段】流体供給装置12は、ポンプ40と、ポンプ40からマッサージバッグに供給される流体の圧力値Pを検出する圧力センサ54と、圧力値Pに基づいてポンプを制御するポンプ制御部68とを備える。ポンプ制御部68は、流体を固定流量でポンプ40に出力させた後、目標値と圧力値Pとの差が小さくなるように、ポンプ40から出力される流体の単位時間あたりの流量を調整する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に装着されるマッサージバッグに流体を供給する流体供給装置であって、
前記流体を出力するポンプと、
前記ポンプから前記マッサージバッグに供給される前記流体の圧力値を検出する圧力センサと、
前記圧力値に基づいて前記ポンプを制御するポンプ制御部と、
を備え、
前記ポンプ制御部は、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、目標値と前記圧力値との差が小さくなるように、前記ポンプから出力される前記流体の単位時間あたりの流量を調整する、流体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体供給装置であって、
前記ポンプが接続される主流路と、
前記マッサージバッグに形成された複数の流体室の各々に対応して設けられ、前記主流路に対する前記流体室の接続と非接続とを切り換える電磁弁と、
前記圧力値が所定の閾値を超える度に複数の前記電磁弁を所定の順序で制御して、前記主流路に接続される前記流体室の数を1つずつ増やす弁制御部と、
をさらに備え、
前記流体室が前記主流路に接続される度に、前記ポンプ制御部は、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、前記流量を調整する、流体供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体供給装置であって、
前記弁制御部は、前記主流路に接続される前記流体室の数が増えるほど、低く前記閾値を設定する、流体供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の流体供給装置であって、
前記ポンプ制御部は、前記主流路に接続される前記流体室の数が増えるほど、前記目標値を低く設定する、流体供給装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の流体供給装置であって、
2つ目以降の前記流体室が前記主流路に接続される場合、前記ポンプ制御部は、単位時間あたりの前記圧力値の変化が減少から増加に切り替わるタイミング以降に前記流量の調整を開始する、流体供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の流体供給装置であって、
前記ポンプ制御部は、前記圧力値が前記目標値に近づくほど、前記流量を小さくする、流体供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載の流体供給装置であって、
前記ポンプ制御部は、前記ポンプに出力する駆動信号における前記単位時間に対する前記流体の出力時間の比率であるデューティ比を変更して、前記流量を調整する、流体供給装置。
【請求項8】
人体に装着されるマッサージバッグに流体を供給する流体供給装置を制御する方法であって、
前記流体供給装置は、
前記流体を出力するポンプと、
前記ポンプから前記マッサージバッグに供給される前記流体の圧力値を検出する圧力センサと、
前記圧力値に基づいて前記ポンプを制御するポンプ制御部と、
を備え、
前記ポンプ制御部により、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、目標値と前記圧力値との差が小さくなるように、前記ポンプから出力される前記流体の単位時間あたりの流量を調整するステップを備える、流体供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に装着されるマッサージバッグに流体を供給する流体供給装置および流体供給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ装置は、エア等の流体を利用して人体をマッサージする。マッサージ装置は、人体の一部に装着されるマッサージバッグと、マッサージバッグに流体を供給する流体供給装置とを有する。マッサージバッグは、1以上の流体室を有する。流体供給装置は、流体室への流体の供給と、流体室からの流体の排出とを行う。
【0003】
特許文献1には、複数の流体室(エアバッグ)の各々のマッサージ圧を所望の値に設定可能なエアマッサージ器が開示されている。このエアマッサージ器では、各々の流体室に、単位時間当たり一定の給気量でエアが供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポンプによって流体が供給される流体室を1つずつ増やしていく場合、各々の流体室が所望の加圧状態にならないことが懸念される。
【0006】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の態様は、人体に装着されるマッサージバッグに流体を供給する流体供給装置であって、前記流体を出力するポンプと、前記ポンプから前記マッサージバッグに供給される前記流体の圧力値を検出する圧力センサと、前記圧力値に基づいて前記ポンプを制御するポンプ制御部と、を備え、前記ポンプ制御部は、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、目標値と前記圧力値との差が小さくなるように、前記ポンプから出力される前記流体の単位時間あたりの流量を調整する。
【0008】
これにより、ポンプから出力される流量が一定の場合と比較して、主流路の圧力と、流体室内の圧力との差を小さくすることができる。その結果、複数の流体室内の圧力が過不足になることを抑制することができる。
【0009】
(2)上記(1)に記載の流体供給装置は、前記ポンプが接続される主流路と、前記マッサージバッグに形成された複数の流体室の各々に対応して設けられ、前記主流路に対する前記流体室の接続と非接続とを切り換える電磁弁と、前記圧力値が所定の閾値を超える度に複数の前記電磁弁を所定の順序で制御して、前記主流路に接続される前記流体室の数を1つずつ増やす弁制御部と、をさらに備え、前記流体室が前記主流路に接続される度に、前記ポンプ制御部は、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、前記流量を調整してもよい。
【0010】
これにより、最初の流体室が主流路に接続された以降、ポンプから出力される流量を調整し続ける場合と比較して、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【0011】
(3)上記(2)に記載の流体供給装置であって、前記弁制御部は、前記主流路に接続される前記流体室の数が増えるほど、低く前記閾値を設定してもよい。
【0012】
これにより、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【0013】
(4)上記(2)又は(3)に記載の流体供給装置であって、前記ポンプ制御部は、前記主流路に接続される前記流体室の数が増えるほど、前記目標値を低く設定してもよい。
【0014】
これにより、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【0015】
(5)上記(2)~(4)のいずれかに記載の流体供給装置であって、2つ目以降の前記流体室が前記主流路に接続される場合、前記ポンプ制御部は、単位時間あたりの前記圧力値の変化が減少から増加に切り替わるタイミング以降に前記流量の調整を開始してもよい。
【0016】
これにより、主流路に接続される2以上の流体室内の圧力が同程度になった状態から、ポンプから出力される流体の流量を調整することができる。その結果、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【0017】
(6)上記(1)に記載の流体供給装置であって、前記ポンプ制御部は、前記圧力値が前記目標値に近づくほど、前記流量を小さくしてもよい。
【0018】
これにより、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【0019】
(7)上記(1)に記載の流体供給装置であって、前記ポンプ制御部は、前記ポンプに出力する駆動信号における前記単位時間に対する前記流体の出力時間の比率であるデューティ比を変更して、前記流量を調整してもよい。
【0020】
これにより、ポンプから出力される流体の流量を容易に調整することができる。
【0021】
(8)本発明の他の態様は、人体に装着されるマッサージバッグに流体を供給する流体供給装置を制御する方法であって、前記流体供給装置は、前記流体を出力するポンプと、前記ポンプから前記マッサージバッグに供給される前記流体の圧力値を検出する圧力センサと、前記圧力値に基づいて前記ポンプを制御するポンプ制御部と、を備え、前記ポンプ制御部により、前記流体を固定流量で前記ポンプに出力させた後、目標値と前記圧力値との差が小さくなるように、前記ポンプから出力される前記流体の単位時間あたりの流量を調整するステップを備える。
【0022】
これにより、ポンプから出力される流量が一定の場合と比較して、主流路の圧力と、流体室内の圧力との差を小さくすることができる。その結果、複数の流体室内の圧力が過不足になることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、各々の流体室に対して適切に加圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、マッサージ装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、マッサージ装置の流体回路を示す図である。
【
図3】
図3は、流体供給装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、ポンプから出力する流量が一定の場合に圧力センサで検出される圧力と、流体室内の圧力の変化とを示す図である。
【
図5】
図5は、ポンプ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態における圧力センサで検出される圧力と、流体室内の圧力の変化とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、マッサージ装置10の外観を示す図である。マッサージ装置10は、流体供給装置12と一対のマッサージバッグ14とを備える。但し、マッサージバッグ14の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0026】
流体供給装置12は、各々のマッサージバッグ14に流体を供給し得る。また、流体供給装置12は、各々のマッサージバッグ14に封入された流体を外部に排出し得る。流体としては、気体(エア等)と液体(水等)のいずれか一方が使用可能である。本実施形態の流体供給装置12は、エアを使用する。
【0027】
流体供給装置12は、電源スイッチ16と、開始/停止スイッチ18と、操作パネル20とを有する。開始/停止スイッチ18は、ユーザによる操作に応じて、開始信号と停止信号のいずれか一方をコントローラ60(
図3)に出力する。開始信号は、各々のマッサージバッグ14へのエアの供給の開始をコントローラ60に指示するための信号である。停止信号は、各々のマッサージバッグ14へのエアの供給の停止をコントローラ60に指示するための信号である。操作パネル20は、ユーザによる操作に応じて、設定信号をコントローラ60に出力する。操作パネル20は、タッチパネルであってもよい。設定信号は、例えば、運転モード、マッサージバッグ14の種類、マッサージバッグ14のサイズ等の設定をコントローラ60に指示するための信号である。
【0028】
流体供給装置12は、表示装置22を有する。表示装置22は、コントローラ60から出力される表示信号に対応する情報を表示する。表示装置22は、電源スイッチ16および開始/停止スイッチ18を表示してもよい。
【0029】
流体供給装置12には、一対の第1チューブ群24が接続される。各々の第1チューブ群24は、4つの第1チューブ26を有する。各々の第1チューブ群24の先端には、第1コネクタ28が取り付けられる。
【0030】
マッサージバッグ14は、人体の例えば、大腿、下腿、足底等に装着される。一対のマッサージバッグ14の各々は、左右の同じ部位に装着されてもよい。各々のマッサージバッグ14は、シート30と、複数の流体室32とを有する。シート30は、面ファスナーによって人体に装着される。複数の流体室32の各々は、シート30の内部に形成される。エアの給排に応じて流体室32が膨張と収縮とを繰り返すことによって、人体のマッサージが行われる。
図1では、流体室32の数が4つの場合の例が示されている。但し、流体室32の数は4つに限定されない。
【0031】
各々のマッサージバッグ14には、第2チューブ群34が接続される。各々の第2チューブ群34は、4つの第2チューブ36を有する。各々の第2チューブ群34の先端には、第2コネクタ38が取り付けられる。
【0032】
第1コネクタ28と第2コネクタ38とは、互いに着脱可能である。第1コネクタ28と第2コネクタ38とが接続されることによって、流体供給装置12から各々の流体室32へのエアの供給と、各々の流体室32からのエアの排出とが可能になる。本実施形態では、第1チューブ26の数と第2チューブ36の数とが同じである。このため、第1コネクタ28と第2コネクタ38とが接続された状態で、各々の第1チューブ26は、いずれかの第2チューブ36に接続される。第1チューブ26と第2チューブ36とは一対一で接続される。但し、第2チューブ36の数が第1チューブ26の数より少なくてもよい。この場合、一部の第1チューブ26は、第2チューブ36に接続される。残りの第1チューブ26は、第2コネクタ38によって閉塞される。なお、流体室32の数が第1チューブ26の数より少ない場合は、第2チューブ36の数が第1チューブ26の数より少ない。
【0033】
図2は、マッサージ装置10の流体回路を示す図である。流体供給装置12は、ポンプ40と、複数の電磁弁44と、主流路46と、複数の支流路48と、複数の供給流路50と、複数の排出流路52と、圧力センサ54とを有する。
【0034】
主流路46には、複数の支流路48が接続される。各々の支流路48は、主流路46から分岐する。分岐した複数の支流路48は、複数の電磁弁44に接続される。1つの支流路48と1つの供給流路50と1つの排出流路52の各々は、1つの電磁弁44に接続される。電磁弁44、支流路48、供給流路50、排出流路52は、複数の流体室32の各々に対応して設けられる。電磁弁44、支流路48、供給流路50、排出流路52の各々の数は、本実施形態では、一対の第1チューブ群24の第1チューブ26の数と同じ8つである。8つの供給流路50は、それぞれ第1チューブ26によって形成される。
【0035】
ポンプ40は、流体を出力する装置である。ポンプ40は、例えばコンプレッサである。ポンプ40は、出力ポート40aから主流路46にエアを出力する。ポンプ40は、電動モータ42を含む。ポンプ40は、電動モータ42を用いて、ポンプ40から出力されるエアの流量を調整可能である。
【0036】
各々の電磁弁44は、第1ポート44aと第2ポート44bと第3ポート44cとを有する3ポート電磁弁である。第1ポート44aは支流路48と接続され、第2ポート44bは供給流路50と接続され、第3ポート44cは排出流路52と接続されている。なお、
図2では、一部の電磁弁44の各ポートにのみ符号が付されている。各々の電磁弁44は、電流の供給と遮断とで弁位置を変える。
【0037】
電流が遮断されると、各々の電磁弁44は、流体室32と排出ポート56とを接続する。この場合、電磁弁44の第2ポート44bと第3ポート44cとが接続され、第2ポート44bと第1ポート44aとは接続されない。
【0038】
一方、電流が供給されると、各々の電磁弁44は、流体室32と主流路46とを接続する。この場合、第2ポート44bと第1ポート44aとが接続され、第2ポート44bと第3ポート44cとは接続されない。
【0039】
このように各々の電磁弁44は、主流路46に対する流体室32の接続と非接続とを切り換える。また、各々の電磁弁44は、主流路46に流体室32が接続される場合には、排出ポート56と流体室32とを非接続とする。各々の電磁弁44は、主流路46に流体室32を接続しない場合には、排出ポート56と流体室32とを接続する。
【0040】
圧力センサ54は、ポンプ40からマッサージバッグ14に供給される流体の圧力を検出するセンサである。圧力センサ54が検出する流体は本実施形態ではエアである。圧力センサ54は、主流路46に配置される。圧力センサ54は、主流路46を流れるエアの圧力値Pを検出する。圧力センサ54は、検出した圧力値Pをコントローラ60(
図3)に出力する。
【0041】
図3は、流体供給装置12の構成を示す図である。流体供給装置12は、コントローラ60を有する。コントローラ60は、演算部62と、記憶部64とを有する。
【0042】
演算部62は、演算を実施する装置である。演算部62は、CPU、MPU等のプロセッサを含む。演算部62は、ASIC、FPGA等の集積回路であってもよい。演算部62は、弁制御部66と、ポンプ制御部68とを有する。
【0043】
記憶部64は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用される。揮発性メモリには、処理又は演算に必要なデータ等が一時的に記憶される。揮発性メモリとして、例えばRAM等が挙げられる。不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用される。不揮発性メモリには、プログラム、テーブル、マップ等が記憶される。不揮発性メモリとして、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。記憶部64の少なくとも一部は、上述のプロセッサ、集積回路等に備えられてもよい。
【0044】
弁制御部66およびポンプ制御部68は、記憶部64に記憶されているプログラムを演算部62のプロセッサが実行することで実現されてもよい。また、弁制御部66およびポンプ制御部68の少なくとも1つが、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって構成されてもよい。
【0045】
弁制御部66は、各々の電磁弁44を制御する。例えば、弁制御部66は、各々の電磁弁44の駆動回路に制御信号を出力する。電磁弁44の駆動回路は、制御信号に応じて電磁弁44のソレノイドに供給する電流を制御する。電磁弁44の駆動回路は、コントローラ60に設けられてもよいし、コントローラ60の外部に設けられてもよい。
【0046】
弁制御部66は、1つのマッサージバッグ14毎に、複数の流体室32の各々に流体を供給する。この場合、弁制御部66は、複数の電磁弁44を所定の順序で制御して、主流路46に接続される流体室32の数を1つずつ増やす。
【0047】
例えば、1つのマッサージバッグ14に形成される4つの流体室32のうち、1番目に主流路46に接続される流体室32は第1流体室32_1とする。また、2番目に主流路46に接続される流体室32は第2流体室32_2とし、3番目に主流路46に接続される流体室32は第3流体室32_3とし、4番目に主流路46に接続される流体室32は第4流体室32_4とする。
【0048】
まず、弁制御部66は、第1流体室32_1に対応する電磁弁44の第2ポート44bと第1ポート44aとを接続して、第1流体室32_1を主流路46に接続する。これにより、ポンプ40から主流路46に出力されるエアが第1流体室32_1に供給される。第1流体室32_1にエアの供給が開始された以降、圧力センサ54によって検出される圧力値Pが徐々に増加する。
【0049】
圧力センサ54によって検出される圧力値Pが所定の閾値を超えると、弁制御部66は、第2流体室32_2に対応する電磁弁44の第2ポート44bと第1ポート44aとを接続して、第2流体室32_2を主流路46に接続する。この場合、弁制御部66は、第1流体室32_1と主流路46との接続状態を維持する。これにより、ポンプ40から主流路46に出力されるエアは、第1流体室32_1とともに第2流体室32_2に供給される。この場合、圧力センサ54によって検出される圧力値Pは、第2流体室32_2にエアの供給が開始されてから一時的に減少し、その後に増加する。
【0050】
弁制御部66は、圧力センサ54によって検出される圧力値Pが所定の閾値を超える度に、上述の第2流体室32_2と同様に、第3流体室32_3および第4流体室32_4を順次主流路46に接続する。すなわち、弁制御部66は、既に主流路46に接続された第1流体室32_1および第2流体室32_2の接続状態を維持したまま、第3流体室32_3を主流路46に接続する。同様に、弁制御部66は、既に主流路46に接続された第1流体室32_1~第3流体室32_3の各々の接続状態を維持したまま、第4流体室32_4を主流路46に接続する。
【0051】
なお、弁制御部66は、主流路46に接続される流体室32の数が増えるほど、圧力センサ54によって検出される圧力値Pと比較する上記の閾値を低く設定してもよい。
【0052】
図4は、ポンプ40から出力する流量が一定の場合に圧力センサ54で検出される圧力と、流体室32内の圧力の変化とを示す図である。本実施形態では、圧力センサ54は、流体室32に設けられるのではなく、主流路46に設けられている。さらに、主流路46に接続される流体室32の数が増える。したがって、主流路46で検出される圧力値Pと、当該主流路46から流入するエアによって加圧される流体室32内の圧力との間に大きな差が生じ易い。その結果、主流路46で検出される圧力値Pに基づいて、ポンプ40をオンオフ制御するだけでは、各々の流体室32内の圧力が過不足になる傾向がある。そこで、本実施形態では、ポンプ制御部68は、ポンプ40から出力されるエアの流量を調整して、主流路46で検出される圧力値Pと流体室32内の圧力との間の差を小さくする。
【0053】
ポンプ制御部68は、パルス信号である駆動信号をポンプ40の電動モータ42に出力する。ポンプ制御部68は、駆動信号におけるデューティ比を変更して、ポンプ40から出力されるエアの流量を調整する。デューティ比は、単位時間に対するエアの出力時間の比率である。例えば、1パルス周期(単位時間)のなかでパルスがオンしている間、ポンプ40は、エアを出力する。
【0054】
ポンプ制御部68は、1つのマッサージバッグ14毎に、ポンプ制御処理を実行する。
図5は、ポンプ制御処理の手順を示すフローチャートである。ポンプ制御処理は、弁制御部66による電磁弁44の制御によって主流路46に流体室32が接続される度に開始され、ステップS1に移行する。
【0055】
ステップS1において、ポンプ制御部68は、電動モータ42への駆動信号の出力を開始する。この場合、ポンプ制御部68は、予め定められたデューティ比の駆動信号を電動モータ42に出力して、エアを固定流量でポンプ40に出力させる。駆動信号の出力が開始されると、ポンプ制御処理は、ステップS2に移行する。
【0056】
ステップS2において、ポンプ制御部68は、第1流体室32_1の加圧か否かを判定する。例えば、各々の流体室32に対応するフラグのうち、第1流体室32_1に対応するフラグのみがオン状態である場合、ポンプ制御部68は、第1流体室32_1の加圧であると判定する。第1流体室32_1の加圧である場合(ステップS2:YES)、ポンプ制御処理は、ステップS3に移行する。
【0057】
ステップS3において、ポンプ制御部68は、圧力センサ54から圧力値Pを取得する。圧力値Pが取得されると、ポンプ制御処理は、ステップS4に移行する。
【0058】
ステップS4において、ポンプ制御部68は、圧力値Pと比較する閾値を設定する。主流路46に接続される流体室32の数に対応する複数の閾値が記憶部64に記憶される場合、ポンプ制御部68は、複数の閾値の1つを設定する。この場合、ポンプ制御部68は、主流路46に現在接続されている流体室32の数に対応する閾値を選択する。閾値が設定されると、ポンプ制御処理は、ステップS5に移行する。
【0059】
ステップS5において、ポンプ制御部68は、ステップS3で取得した圧力値Pを、ステップS4で設定した閾値と比較する。圧力値Pが閾値以下である場合(ステップS5:NO)、ポンプ制御処理は、ステップS6に移行する。
【0060】
ステップS6において、ポンプ制御部68は、ポンプ40のフィードバック制御を実行する。まず、ポンプ制御部68は、ステップS5で取得した圧力値Pと、所定の目標値との差が小さくなるように、ポンプ40の電動モータ42に出力する駆動信号のデューティ比を算出する。
【0061】
例えば、圧力値Pの目標値をTGとし、デューティ比の下限値をLLとし、係数をCFとすると、ポンプ制御部68は、(TG-P)×CF+LLによりデューティ比を算出する。
【0062】
ポンプ制御部68は、主流路46に接続される流体室32の数が増えるほど、目標値を低く設定してもよい。この場合、主流路46に接続される流体室32の数に対応する複数の目標値が記憶部64に記憶される。ポンプ制御部68は、複数の目標値の中から、主流路46に現在接続されている流体室32の数に対応する目標値を選択して設定する。デューティ比が算出されると、ポンプ制御処理は、ステップS7に移行する。
【0063】
ステップS7において、ポンプ制御部68は、駆動信号の現在のデューティ比を、ステップS6で算出したデューティ比に変更する。デューティ比が変更されると、ポンプ制御処理は、ステップS8に移行する。
【0064】
ステップS8において、ポンプ制御部68は、ステップS7でデューティ比を変更した後、所定の待機期間が経過するまで待機する。待機期間が経過すると、ポンプ制御処理は、ステップS3に戻る。
【0065】
ポンプ制御部68は、ステップS3で取得した圧力値PがステップS4で設定した閾値を超えるまで、ポンプ40のフィードバック制御を実行する。圧力値Pが閾値を超えると(ステップS5:YES)、ポンプ制御処理はステップS9に移行する。
【0066】
ステップS9において、ポンプ制御部68は、ポンプ40の電動モータ42への駆動信号の出力を停止してポンプ40を停止する。ポンプ40への駆動信号の出力が停止されると、ポンプ制御処理は終了する。
【0067】
上述のステップS2において、例えば、各々の流体室32に対応するフラグのうち、2以上の流体室32に対応するフラグがオン状態である場合、ポンプ制御部68は、第1流体室32_1の加圧でないと判定する。第1流体室32_1の加圧でない場合(ステップS2:NO)、ポンプ制御処理は、ステップS10に移行する。
【0068】
ステップS10において、ポンプ制御部68は、圧力センサ54から圧力値Pを取得した後、所定の待機期間が経過するまで待機する。所定の待機期間が経過すると、ポンプ制御処理は、ステップS11に移行する。
【0069】
ステップS11において、ポンプ制御部68は、待機期間経過後の圧力値P(P2)を圧力センサ54から取得し、待機期間経過後の圧力値P(P2)を、待機期間経過前の圧力値P(P1)と比較する。
【0070】
待機期間経過後の圧力値P(P2)が待機期間経過前の圧力値P(P1)よりも小さい場合、ポンプ制御処理は、ステップS10に戻る。一方、待機期間経過後の圧力値P(P2)が待機期間経過前の圧力値P(P1)よりも大きい場合、ポンプ制御処理は、ステップS3に移行する。
【0071】
このように、第2流体室32_2、第3流体室32_3又は第4流体室32_4の加圧である場合、ポンプ制御部68は、単位時間あたりの圧力値Pの変化が減少から増加に切り替わるタイミングを検出する。その後、ポンプ制御部68は、上述のステップS3~ステップS9の各種処理を実行する。
【0072】
図6は、本実施形態における圧力センサ54で検出される圧力値Pと、流体室32内の圧力の変化とを示す図である。
【0073】
主流路46に第1流体室32_1が接続されると、まず、ポンプ制御部68は、流体を固定流量でポンプ40に出力させる。その後、ポンプ制御部68は、圧力センサ54によって検出される圧力値Pが閾値を超えるまで、ポンプ40のフィードバック制御を実行する(
図6のFBA参照)。この場合、ポンプ制御部68は、圧力センサ54によって検出される圧力値Pと目標値との差が小さくなるように、ポンプ40から出力される流体の単位時間あたりの流量を調整する。これにより、ポンプ40から出力される流量が一定の場合(
図4参照)と比較して、主流路46の圧力と、流体室32内の圧力との差を小さくすることができる。その結果、複数の流体室32内の圧力が過不足になることを抑制することができる。
【0074】
主流路46に第2流体室32_2が接続される場合、主流路46への第1流体室32_1の接続が維持されている。同様に、主流路46に第3流体室32_3が接続される場合、主流路46への第1流体室32_1および第2流体室32_2の接続が維持されている。また、主流路46に第4流体室32_4が接続される場合、主流路46への第1流体室32_1~第3流体室32_3の接続が維持されている。したがって、2つ目以降の流体室32が主流路46に接続されると、圧力センサ54によって検出される圧力値Pは減少する(
図6のPD参照)。その後、主流路46に接続される2以上の流体室32内の圧力が同程度になると、圧力値Pは増加し始める(
図6のT参照)。
【0075】
本実施形態では、2つ目以降の流体室32が主流路46に接続された場合、ポンプ制御部68は、単位時間あたりの圧力値Pの変化が減少から増加に切り替わるタイミング以降にフィードバック制御を開始する(
図6のFBB参照)。これにより、主流路46に接続される2以上の流体室32内の圧力が同程度になった状態から、ポンプ40から出力される流体の流量を調整することができる。その結果、各々の流体室32に対して適切に加圧することができる。
【0076】
また、本実施形態では、流体室32が主流路46に接続される度に、ポンプ制御部68は、流体を固定流量でポンプ40に出力させた後、当該ポンプ40から出力される流体の流量を調整する。これにより、最初の流体室32が主流路46に接続された以降、ポンプ40から出力される流量を調整し続ける場合と比較して、各々の流体室32に対して適切に加圧することができる。
【0077】
また、本実施形態では、ポンプ制御部68は、圧力値Pが目標値に近づくほど、流量を小さくする。これにより、各々の流体室32に対して適切に加圧することができる。
【0078】
また、本実施形態では、ポンプ制御部68は、ポンプ40に出力する駆動信号のデューティ比を変更して流量を調整している。これにより、ポンプ40から出力される流体の流量を容易に調整することができる。
【0079】
本実施形態において、弁制御部66は、主流路46に接続される流体室32の数が増えるほど、圧力値Pと比較する閾値を低く設定してもよい。同様に、ポンプ制御部68は、主流路46に接続される流体室32の数が増えるほど、圧力値Pと比較する目標値を低く設定してもよい。これにより、各々の流体室32に対して適切に加圧することができる。その結果、末梢の血液を適切に心臓へ戻すことができる。また、マッサージバッグ14に圧力センサを配置しなくても、流体室32の圧力を適切に管理できる。そのため、マッサージバッグ14が安価に使い捨て可能に提供される。その結果、マッサージバッグ14の複数患者への使い回しを防止して、病院内での感染症対策が可能となる。つまり、性能の高いマッサージ器を安価に提供ですることで、医療安全に貢献可能といえる。
【0080】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0081】
12…流体供給装置 14…マッサージバッグ
32…流体室 40…ポンプ
44…電磁弁 46…主流路
48…支流路 54…圧力センサ
66…弁制御部 68…ポンプ制御部