(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092107
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】鳩飛来防除具
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20240701BHJP
【FI】
A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207800
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】522501177
【氏名又は名称】水上 由美
(74)【代理人】
【識別番号】100167416
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 佳男
(72)【発明者】
【氏名】水上 由美
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB27
2B121EA21
2B121FA01
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、鳩の飛来を効果的に防除でき、着脱が容易な防除具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明に係る鳩飛来防除具は、糸と、該糸を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなり、固定部材は、糸支持体と被取付対象とを挟持して固定することを特徴とする。なお、糸はテグスを利用するとよい。また、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルに使用する場合、糸支持体の基体は薄板状とし、パネル側面枠に糸支持体を固定部材が挟持して固定するとよい。パネル上面枠に糸支持体を固定部材が挟持して固定すると、ベランダ上空からの鳩の侵入を防ぐことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸又は細紐と、
該糸又は細紐を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなり、
前記固定部材は、前記糸支持体と前記被取付対象とを挟持して固定することを特徴とする鳩飛来防除具。
【請求項2】
前記糸はテグスであり、
前記糸支持体の前記基体は薄板状であり、
集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルのパネル側面枠に前記糸支持体を前記固定部材が挟持して固定することを特徴とする請求項1に記載の鳩飛来防除具。
【請求項3】
前記糸はテグスであり、
前記糸支持体は略筒状であり該筒内に前記固定部材を内包し、かつ、前記被取付対象に当接する部分が開口していて、
集合住宅においてベランダの手すりの上面に前記糸支持体の前記開口を載せ置き、内包した前記固定部材で挟持して固定することを特徴とする請求項1に記載の鳩飛来防除具。
【請求項4】
前記糸はテグスであり、
前記糸支持体の前記基体は薄板状であり、
集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルのパネル上面枠に前記糸支持体を前記固定部材が挟持して固定することを特徴とする請求項1に記載の鳩飛来防除具。
【請求項5】
前記糸はテグスであり、前記糸支持体の前記基体は薄板状であり、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルのパネル側面枠に前記糸支持体を前記固定部材が挟持して固定し、かつ、
前記糸はテグスであり、前記糸支持体は略筒状であり該筒内に前記固定部材を内包し、かつ、前記被取付対象に当接する部分が開口していて、集合住宅においてベランダの手すりの上面に前記糸支持体の前記開口を載せ置き、内包した前記固定部材で挟持して固定することを特徴とする請求項1に記載の鳩飛来防除具。
【請求項6】
前記糸はテグスであり、前記糸支持体の前記基体は薄板状であり、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルのパネル側面枠に前記糸支持体を前記固定部材が挟持して固定し、かつ、
前記糸はテグスであり、前記糸支持体の前記基体は薄板状であり、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルのパネル上面枠に前記糸支持体を前記固定部材が挟持して固定することを特徴とする請求項1に記載の鳩飛来防除具。
【請求項7】
網目を備えたネットと、
該ネットの任意の側端部を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなり、
前記固定部材は、前記糸支持体と前記被取付対象とを挟持して固定することを特徴とする鳩飛来防除具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳩飛来防除具、特にマンションやアパート等の集合住宅のベランダに設置して鳩の飛来を防除できる、着脱が容易な鳩飛来防除具に関する。
【背景技術】
【0002】
鳩は営巣(巣を作ること)の場所として雨風が避けられる穴や物陰を選ぶ習性があり、屋根のある住宅・マンション等は、鳩にとって営巣に適した場所である。鳩は高い帰巣本能があるため、一度営巣してしまうと容易には追い払えない。鳩は人の住居周辺に巣を作るだけでなく、糞害や騒音等さまざまな被害をもたらす。
【0003】
鳩による被害を防ぐためには、鳩を周囲に寄せ付けない対策方法を取ることが重要であり、鳩用の忌避方法や対策グッズが紹介されている。
その一つに「CDを吊るす」ことがある。軒下や木の枝からヒモでCDを吊るすと、風に揺られながらキラキラ輝く円盤面が陽光を反射し、鳩が怖がって近づかなくなる理屈である。しかし、CDを吊るしたばかりであれば、鳩はCDを怖がるものの、光っているだけの物体と分かると安心して近寄ってきて長期的には効果が薄い方法である。
次に、鳩対策に使われる剣山があげられる。当該剣山は、土台から上向きについた針が何本もあり、一定の面積を針でカバーできるアイテムである。窓の手すり部分や室外機上部に剣山を設置することで、鳩が来ても居つくことができず、巣を作られにくいとされる。設置方法によって効果はあるものの、針に隙間があると鳩が留まりやすくなり、巣を作られる可能性がある。また、剣山は鳩が寄り付きやすい場所・営巣しやすい場所へ重点的に設置する必要がある。
また、鳩が居付きやすいベランダや軒下にネットを設置することも、効果的な対策方法として知られている。ベランダ全面にネットを張り巡らせても、縄張り意識が強い鳩は無理やりにでも入ろうと侵入を試みる。ネットの網目が粗かったり、縁に隙間があったりすれば、鳩は簡単に中へと入ってしまう。
【0004】
上記ネットについては、いくつかの発明や考案が提案されている。
特許文献1では、ベランダ等における鳥害防止用ネットの張設方法を提案している。この方法は、下面にネット張設用の紐条の挿通部を貫設したネット保持用の複数個の接着部材と、複数本の紐条と、上記接着部材の取付棒と、強力接着剤と、鳩などの鳥が侵入できない程度の大きさの網目を備えたネットとを、少なくともネットの張設部材に用いて、ベランダ等の外側開放部の上方位置の下面に上記複数個の接着部材を上記取付棒により加圧接着する工程と、外側開放部の下方位置の上面に上記上方位置の各接着部材と対応させて、複数個の接着部材を手で加圧接着する工程と、これらの各対設接着部材を介して、各紐条の一端部をネットの上縁に結着してネットを引上げる工程と、各紐条の他端部をネットの下縁に結着する工程とから構成されている
また、特許文献2では、軽量で現場での施工が可能な、高層建築のベランダの開口部を効果的に塞ぎ且つ視界を妨げることの少ない柵状防鳩ネットを提供する。
特許文献3では、建屋の上面あるいは先端にその長さ方向に適当間隔をあけて設けられる複数個の糸受け台と、この糸受け台に支持されて糸受け台どうしの間に一定高さで張りわたされる糸とからなる鳩公害防止設備を提案している。糸受け台は上部で糸を支持する糸受け部と埋め込みボルトとで構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-25956号公報
【特許文献2】特開2001-227057号公報
【特許文献3】実開平07-11182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1ないし3のネットは、固定化されるため、大規模修繕の折りには、取り外し、再度の施工が必要となり、煩雑な上費用負担も大きい。また、特許文献1ないし3に係る防除具取付けには一定の施工を必要とするため、マンション等集合住宅管理組合の規定により共用部分についての施工制限がある場合や賃貸住宅の場合などは、採用が困難である。
すなわち、鳩害を防止するためには、着脱がだれでも容易にできるものが求められているが、上述の先行技術では、抜本的な課題は解決しないものである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、鳩の飛来を効果的に防除でき、着脱が容易な防除具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鳩飛来防除具は、糸と、該糸を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなり、固定部材は、糸支持体と被取付対象とを挟持して固定することを特徴とする。
【0009】
なお、糸はテグスを利用するとよい。また、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルに使用する場合、糸支持体の基体は薄板状とし、パネル側面枠に糸支持体を固定部材が挟持して固定するとよい。パネル上面枠に糸支持体を固定部材が挟持して固定すると、ベランダ上空からの鳩の侵入を防ぐことができる。
なお、前述糸の代わりに紐を用いることもできる。さらに、鳩飛来防除具1は、網目を備えたネットの任意の側端部を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなるようにしてもよい。
【0010】
集合住宅においてベランダの手すりに使用する場合、糸支持体は略筒状であり該筒内に固定部材を内包し、かつ、被取付対象に当接する部分が開口した部材を使用するとよい。この場合、ベランダの手すりの上面に糸支持体の開口を載せ置き、内包した固定部材で挟持して固定することができる。
【0011】
また、上述した垂直設置の鳩飛来防除具と平面設置の鳩飛来防除具とを組み合わせたり、垂直設置の鳩飛来防除具と手すり設置の鳩飛来防除具とを組み合わせたり、三つのタイプの飛来防除具を採用してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る鳩飛来防除具は、特にマンションやアパート等の集合住宅のベランダに設置して鳩の飛来を防除できる効果がある。また、着脱が容易であるので、だれでも簡単に取付け取外しできる利便性がある。さらに、テグス等透明な糸をネットに採用すれば眺望を阻害することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を示すである。
【
図2】本発明の実施例1に係る固定部材11を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を隣接パネルのパネル側面枠に固定した状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を隣接パネルのパネル上面枠に固定した状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る鳩飛来防除具2を示すである。
【
図6】本発明の実施例2に係る糸支持体20を示す図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る鳩飛来防除具2をベランダの手すりに固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本発明を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本発明は下記に示される実施例に限られるものではない。
【実施例0015】
実施例1を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を示す図である。
鳩飛来防除具1は、糸12と、糸12を引っ掛けるための複数のフック101を適当間隔をあけて基体100の上面に設けられた一対の糸支持体10と、被取付対象に糸支持体10を着脱容易に固定する固定部材11とからなる。フック101同士の間隔は任意であるが、鳩の大きさを考えれば10cm程度が適当と思われる。また、固定部材11は、糸支持体10と被取付対象とを挟持し締め付けて固定するとよいが、脱着可能な構造であれば特に限定されない。糸は透明又は半透明な糸を採用することが好ましいが、特に限定されない。テグスを用いると好適である。また、フックの形状については、特に限定しない。
なお、前述糸の代わりに紐を用いることもできる。さらに、鳩飛来防除具1は、網目を備えたネットの任意の側端部を引っ掛けるための複数のフックを適当間隔をあけて基体上面に設けられた一対の糸支持体と、被取付対象に該糸支持体を着脱容易に固定する固定部材とからなるようにしてもよい。
【0016】
図2は、本発明の実施例1に係る固定部材11を示す図である。
図2(a)を参照すると、固定部材11は、平面視において薄板をコの字状に折り曲げた形状で、糸支持体10と被取付対象を挟持した際、一対の糸支持体10が対面する面に一のフック111を備えている。
図2(b)を参照すると、固定部材11は、フック111を備えた面の裏側となる面に固定調整つまみ113を備えている。
図2(c)を参照する。
図2(c)は、固定部材11の平面図である。上述したとおり、固定部材11はコの字形状であり、コの字の内側に締め付け部112を備え、コの字の外側に固定調整つまみ113とフック111とを備える。
すなわち、固定部材11のコの字の開放した側に糸支持体10と被取付対象とを挟み込み、締め付け部112で締め付け固定するとよい。
【0017】
糸支持体10や固定部材11は、耐候性があり軽量の樹脂、例えば、ポリプロピレン等を用いるとよいが、特に限定されず、錆びにくい金属板、木製板等を選択することができる。樹脂を採用する場合は、金型成形するとよい。
また、糸支持体10の基体100の長さは70cm~100cmが好適であるが、使用者の所望の長さを採用するとよい。
【0018】
図3は、本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を隣接パネルのパネル垂直枠に固定した状態を示す図である。
集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルに、鳩飛来防除具1を使用する場合、糸支持体10の基体100は薄板状とし、パネルPの側面枠Pfに一対の糸支持体10のフック101が対向するように取付け、それぞれを固定部材11で挟持して締め付け固定するとよい。そして、テグス等透明糸12をフック111、複数のフック101に引っ掛けて、ネットを形成することができる。
鳩は、マンションのベランダの床に直接降りてくる場合もあるし、ベランダの手すりや隣部屋との隣接パネル上面に留まる場合もあるが、このようなネットが形成されることにより、該ネットにより逃げにくいことを察知した鳩は、ネットを張設したベランダには寄り付かないようになる。
なお、集合住宅において、片方のみ隣部屋があって隣接パネルが一つのみの場合は、隣接パネルに代替する構造物にもよるが、例えば、移動可能な物干し台の物干し竿を支持するポールや突っ張り棒等に固定部材を使って、本発明に係る糸支持体を着脱可能に取り付けてもよい。
【0019】
図4は、本発明の実施例1に係る鳩飛来防除具1を隣接パネルのパネル上面枠に固定した状態を示す図である。図は床から空を見上げる方向で示し、図に向かって下方が住宅側、上方が外側を示している。
図3と同じ要領で、集合住宅において隣接するベランダ境界に設置された隣接パネルPの上面枠Pf2に一対の糸支持体10のフック101が対向するように取付け、それぞれを固定部材11で挟持して締め付け固定するとよい。そして、テグス等透明糸12をフック111、複数のフック101に引っ掛けて、ネットを形成することができる。
鳩は、マンションのベランダの床に直接降りてくる場合もあるし、ベランダの手すりや隣部屋との隣接パネル上面に留まる場合もあるが、このように2つの隣接パネルを利用してネットを張設することで、鳩が上方からベランダ床に降り立つことを防ぐことができる。
【0020】
固定調整つまみ113により固定部材11は着脱が容易であるので、使用者の事情、例えば集合住宅の外壁工事やベランダの清掃の必要性等により、簡単にネットを取り外し撤去することができる。
糸支持体20や固定部材21は、耐候性があり軽量の樹脂、例えば、ポリプロピレン等を用いるとよいが、特に限定されず、錆びにくい金属板、木製板等を選択することができる。樹脂を採用する場合は、金型成形するとよい。
以上、本発明に係る鳩飛来防除具における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。