(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092109
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】贈与システム用のコンピュータプログラム、贈与システム及び贈与システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240701BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240701BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240701BHJP
A63F 13/85 20140101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0207 324
A63F13/69
A63F13/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207804
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】遠山 素樹
(72)【発明者】
【氏名】野沢 仁美
(72)【発明者】
【氏名】植松 斎永
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】贈与価値を贈る動機付けをユーザに継続的に与える。
【解決手段】複数のユーザU1~Uxのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値としてのエールを贈る贈与システムにおいて、所定のコンピュータを、複数の贈与先T1~Tn;Pxから各ユーザが選択した贈与先に贈与価値を付与する贈与手段、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段、及び少なくとも一部のユーザからの贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値Ayに基づいて、特典付与手段が付与すべき特典に変化を生じさせる特典調整手段として機能させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈る贈与システムを実現するためのコンピュータプログラムであって、所定のコンピュータを、
複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段、
各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段、及び
少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段、
として機能させる贈与システム用のコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記特典付与手段は、各贈与先が獲得した贈与価値量が大きい順に所定の対象数の贈与先が前記範囲内に含まれるようにして前記特典を付与する請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記特典調整手段は、前記指標値に基づいて前記対象数を変化させることにより、前記特典に変化を生じさせる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記特典調整手段は、前記範囲内の贈与先に付与されるべき特典の種類を前記指標値に基づいて変化させることにより、前記特典に変化を生じさせる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記特典調整手段は、前記贈与の程度が高まるほど前記対象数が増加するように前記指標値に基づいて前記対象数を変化させるとともに、前記対象数の増加に伴って新たな種類の特典が付与可能となるように、前記範囲内の贈与先に付与されるべき特典の種類を前記対象数に応じて変化させることにより、前記特典に変化を生じさせる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
各贈与先が獲得した贈与価値量の合計量が前記指標値として用いられる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記特典が付与された贈与先からの返礼を当該贈与先に対して前記贈与価値を贈与したユーザに対して提供する返礼手段として前記コンピュータをさらに機能させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記返礼は、前記贈与先に付与された特典と関連付けた内容を含むように設定される請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記指標値に応じた前記特典の変化を各ユーザに把握させるための情報を各ユーザに提供する情報提供手段として前記コンピュータをさらに機能させる請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システムであって、
複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段と、
各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段と、
少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段と、
を備えた贈与システム。
【請求項11】
複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システムの制御方法であって、
複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手順と、
各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手順と、
少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手順にて付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手順と、
を含む贈与システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を複数の贈与先の少なくとも一部に贈るための贈与システムを実現するコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介した動画の配信に関連付けられたサービスとして、視聴者たるユーザが動画の配信者に対してギフトを贈ることができ、配信者がギフトを獲得した合計量及びユーザがギフトを贈った量のそれぞれをランキングし、ランキング結果を閲覧可能としたシステムが知られている(特許文献1参照)。いわゆるクラウドファンディングのシステムとして、予め設定された目標金額を早期に達成した場合、さらなる支援を呼びかけるために目標金額を更新するシステムも知られている(非特許文献1参照)。ユーザが贈与対象となるチーム又は選手を指定して投げ銭と呼ばれる贈与価値を贈るためのシステムも知られている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”ストレッチゴールのやりかたを知りたい”[online]、株式会社MotionGallery、[令和4年12月5日検索]、インターネット〈URL:https://info.motion-gallery.net/faq/57/〉
【非特許文献2】”Engate”[online]、エンゲート株式会社、[令和4年12月5日検索]、インターネット〈URL:https://engate.jp/welcome#howto〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにギフト等を獲得した量、あるいは贈った量に応じてランキングを作成することは、ギフトを贈る動機付けをユーザに与える効果をもたらす。しかしながら、ランキングのみに依存した場合、その効果には相応の限界がある。非特許文献1のシステムにおいて、目標額に一旦達した後にこれを引き上げることによってユーザの興味が却って失われ、支援の動機付けをユーザに継続的に与えることができないおそれがある。非特許文献2のシステムも、投げ銭を贈る動機付けをユーザに与えるための仕組みが比較的単純であり、改良の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、贈与価値を贈る動機付けをユーザに継続的に与えることが可能な贈与システムを実現するためのコンピュータプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る贈与システム用のコンピュータプログラムは、複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈る贈与システムを実現するためのコンピュータプログラムであって、所定のコンピュータを、複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段、及び少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段、として機能させるものである。
【0008】
本発明の一態様に係る贈与システムは、複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システムであって、複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段と、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段と、少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段と、を備えたものである。
【0009】
本発明の一態様に係る贈与システムの制御方法は、複数のユーザのそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システムの制御方法であって、複数の贈与先から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手順と、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手順と、少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値に基づいて、前記特典付与手順にて付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手順と、を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一形態に係る贈与システムが適用された動画配信システムの概略構成を示す図。
【
図2】贈与システムが提供するサービスの仕組みの概要を示す図。
【
図3】端末装置にて表示されるトップ画面の一例を示す図。
【
図4】ユーザがエールを贈る場合に端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図5】ユーザに特典の解放状況を把握させるために端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図7】
図6のランキングバーから、特典の詳細、及びチーム内のエール獲得状況を展開して提示する例を示す図。
【
図8】贈与システムの制御系の概略構成を示すブロック図。
【
図9】エールの贈与時に端末装置及び管理サーバにて実行される処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図10】エールの合計量に基づいて特典の解放範囲を調整するために実行される特典解放処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図11】特典を確定するために実行される特典確定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図12】返礼を提供するために実行される返礼処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る贈与システムを説明する。本形態の贈与システムは、動画配信システムの一部として構成される。動画配信システムは、所定のゲームに関して設けられたリーグ内の複数のチーム同士が、あるいは各チームに所属する選手同士が、いわゆるe-スポーツ大会にて対戦する様子を動画にてユーザに配信する。贈与システムは、ユーザが贔屓のチーム又は選手にエールを贈り、かつ各チームが獲得したエールの量に基づいて、各チームに特典を付与するためのシステムとして動画配信システムに付加される。エールは、ユーザが贈る贈与価値の一例であって、その価値量は1エール、2エールといったように所定の単位で定量化可能な価値である。エールの獲得量が贈与価値量の一例に相当する。選手は実在の人物である。ただし、チーム内の少なくとも一部において、コンピュータが行動を制御する仮想的なキャラクタが選手として含まれてもよい。
【0012】
図1は動画配信システム1の概略構成の一例を示している。図示の動画配信システム1は、視聴対象の動画を配信するための配信サーバ2と、動画配信に関連した各種のサービスを提供するための管理サーバ3とを含んでいる。配信サーバ2は、例えば撮影システム4が撮影した動画を取得し、得られた動画をネットワークNTを介してユーザの端末装置5に配信する。動画の配信は、大会の進行と同時的に配信するリアルタイム配信でもよいし、収録された動画をユーザの求めに応じて配信するアーカイブ配信でもよい。配信方式は一例としてストリーミング配信であるが、ダウンロード方式であってもよい。いずれにしても、ユーザが視聴を求める動画がユーザの端末装置5に配信されるものであればよい。
【0013】
管理サーバ3は、動画の配信に関連したサービスとして、例えばユーザが入力したコメントを取得して端末装置5に配信するサービス等を提供する。管理サーバ3が提供するサービスには、エールの贈与とそれに対応する特典の付与とに関連したサービスも含まれる。したがって、管理サーバ3及び端末装置5の組み合わせが贈与システム10の一例に相当する。エールの贈与に関する詳細は後述する。配信サーバ2及び管理サーバ3は、物理的に互いに区別されたサーバユニットとして構成されることを必ずしも要しない。配信サーバ2及び管理サーバ3は論理的に区別されたサーバであってもよい。各サーバ2、3は、複数台のサーバユニットを適宜に組み合わせて構成されてもよいし、単一のサーバユニットによって構成されてもよい。クラウドコンピューティング技術を利用したクラウドサーバとして各サーバ2、3が構成されてもよい。ネットワークNTは一例としてインターネットである。サーバ2、3は適宜のルータRTaを介してネットワークNTに接続されてよい。
【0014】
撮影システム4は、例えば、動画取得用のビデオカメラ4a及びマイクロフォン4bと、得られた動画をエンコードして送信するPC(パーソナルコンピュータの略、以下同様である。)4cとを含む。撮影システム4は、動画の調整又は加工用のミキサー等の機材をさらに含んでもよいが、それらの図示は省略した。撮影システム4は、適宜の動画を撮影対象とするように設けられてよい。一例として、
図1では、イベント会場、店舗等の施設6に設置されたゲーム機7にてゲームがプレイされる様子が撮影システム4にて撮影される。ゲーム機7は、一例として、プレイ料金の支払いと引き換えにゲームをプレイさせるように構成された業務用のゲーム機である。この種のゲーム機7はアーケードゲーム機と呼ばれることもある。ただし、ゲーム機7は、常に料金を徴収するように制御されることを要しない。例えば、ゲーム大会等のイベント時において、ゲーム機7は、イベントの参加者に無償でゲームをプレイさせるように動作してもよい。ゲーム機7にて提供されるゲームは適宜に選択されてよい。撮影システム4の撮影対象はゲームのプレイに限らず、例えばスポーツ競技、コンサート等といった各種のイベントが撮影対象とされてよい。
【0015】
撮影システム4のPC4cは、施設6に配置されたルータRTbを介してネットワークNTに接続される。それにより、PC4cは配信サーバ2のクライアントとして動作可能である。さらに、ゲーム機7もルータRTbを介してネットワークNTに接続されてよい。ただし、ゲーム機7は配信サーバ2と接続されることを必ずしも要しない。例えば、ゲーム機7は、ゲームを管理するためのゲームサーバ(不図示)とネットワークNTを介して接続されてよい。ゲーム機7がPC4cと接続され、カメラ4a等が撮影した動画に合わせてゲーム機7に表示される画像等がPC4cに取得され、それらの動画等を合成した動画のデータが配信サーバ2に取得されてもよい。なお、視聴対象の動画は、撮影システム4によって取得される例に限らない。
【0016】
端末装置5は、ユーザの日常的な、あるいは個人的な用途に供される情報通信端末装置である。一例として、端末装置5は、通信通話機能を備えたスマートフォン5a、タブレット端末5b、あるいはPC5cが端末装置5として利用されてよい。端末装置5には、ネットワークNTを介して配信サーバ2及び管理サーバ3のクライアントとして機能することが可能な情報通信機能を備える限りにおいて適宜の情報通信端末装置が利用されてよい。端末装置5はモバイル端末であってもよいし、一定の場所に設置される据置型の端末であってもよい。端末装置5は適宜のアクセスポイントを介してネットワークNTに接続されてよい。
【0017】
次に、
図2を参照して贈与システム10が提供するサービスの仕組みの概要を説明する。贈与システム10においては、複数のユーザU1~Uxのそれぞれが、エールを購入し、そのエールを、チームT1~Tn又はいずれかのチームに所属する選手Px(図示した選手は一例である。)を贈与先に選択して贈ることが可能である。贈与先は一つに限定されず、一回の贈与で複数の贈与先が選択可能であってもよい。各ユーザがエールを取得する手段は必ずしも購入に限定されない。動画配信システム1や贈与システム10と関連付けられたゲームのプレイ、所定のサービスの利用等によってユーザがエールを取得可能であってもよい。各ユーザから贈与されたエールの量は、チームT1、T2…Tnごとの獲得量Y1、Y2…Ynに随時積算される。選手Pxを選択して贈与されたエールについては、その選手Pxが所属するチームの獲得量として計上される。
【0018】
各チームにおけるエールの獲得量は、各チームに対して付与すべき特典を定めるための基礎として利用される。特典に関する制御は、エールの獲得量の大小関係に応じて特典に差が生じるようにして少なくとも一部の範囲のチームに特典を付与する処理と、各ユーザからのエールの贈与の程度を定量化した指標値を算出し、演算された指標値に基づいて、各チームに付与されるべき特典に変化を生じさせる処理とを含む。それらの処理を実現するため、贈与システム10では、各チームのエールの獲得量Y1、Y2…Ynの大小関係に従って各チームを順位付けたランキングを作成する。図示の例では、n個のチームが存在するところ、チームT2が第1位、チームT1が第2位、チームT3が第n位といったごとく各チームが順位付けられている。ランキングは、エールの獲得量Y1、Y2…Ynのいずれかが変動する都度に更新されてもよいし、所定の時間間隔をおいて定期的に更新されてもよい。
【0019】
贈与システム10では、ランキングの作成に並行して、各ユーザからの贈与の程度を示す指標値が各チームの獲得量Y1、Y2…Ynに基づいて演算される。指標値としては、一例として、各チームの獲得量Y1、Y2…Ynの合計量(総和)Ayが演算される。ただし、指標値は合計量Ayに必ずしも限られない。一定期間内における合計量Ayの増加量、さらには合計量Ayの一定期間内における増加率といったように、各ユーザから贈与されるエールの量の時間的変動、つまりは速度的又は加速度的な変化を示す値が指標値として演算されてもよい。あるいは合計量Ayと、その時間的変動を示す値とを含んだ複合的な指標値が演算されてもよい。あるいは、エールが贈られた量に代えて、又は加えて、エールが贈られた回数、エールが贈られる頻度等が指標値として求められてもよい。いずれにしても、指標値は、少なくとも一部のユーザからのエールの贈与がどの程度に行われているかを判断する目安となり得る値であればよく、その程度は絶対量の大小、増加量や増加度の大小等の適宜の基準で評価されてよい。
【0020】
演算された合計量Ayは、特典を解放する範囲を決定するための値として利用される。すなわち、贈与システム10では、内容が異なるp種類の特典が用意されている。図示例では、レベル1の特典からレベルpの特典までp種類の特典が用意されている。特典の種類は例えばその金銭的価値に応じて区分される。レベルの数値1、2…pは特典の価値の高低を示す。例えば、レベル1の特典が最も金銭的価値が低く、以下、レベル2、3とレベル順が上がるに従って特典の金銭的価値が段階的に増加し、レベルpの特典が最も金銭的価値が高い。
【0021】
特典の種類は、金銭的価値のような客観的な基準に従って高低が区別される例に限らない。例えば、主観的要素を加味した場合には、レベル4よりもレベル3の方が高価値と受け取られる、といったように特典の価値がレベル順と必ずしも一致しない場合があってもよい。特典の種類は、例えば同一の商品であっても数量(個数及び重量の少なくともいずれか一方を含む。)を差別化することによって区別されてもよいし、同一のサービスであってもその内容を差別化することによって区別されてもよい。例えば、レベル1では商品の個数がM1、レベル2では商品の個数がM2(>M1)といったように特典の種類が区別されてもよい。特典の種類数pはチーム数nと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】
各レベルの特典には、エールの合計量Ayと対応付けて解放条件が定められている。解放条件は、各特典を解放するために必要な合計量Ayの目標値と対応付けて設定される。例えばレベル1の特典は合計量Ayが目標値X1以上の場合に解放され、レベル2の特典は合計量Ayが目標値X2以上の場合に解放され、以下順にレベルpまで解放に必要な合計量Ayの目標値が設定されている。特典の解放は、チームへの付与が許可されることを意味し、未解放の特典は付与の対象から除外される。目標値X1、X2…Xpはレベルが高い特典に対応するものほど大きくなるように差別化して設定される(X1<X2…<Xp)。したがって、合計量Ayが増加するに従ってより高いレベルの特典が段階的に解放される。
【0023】
指標値としての合計量Ayが演算されると、解放条件に照らして、演算時点で解放されるべき特典の範囲が定められる。例えば、合計量Ayがレベル6に対応する目標値X6以上でかつレベル7に対応する目標値X7未満であった場合、解放条件からレベル6以下の範囲に限って特典が解放される。解放範囲が定まると、その解放範囲の特典のレベルとランキングされた各チームの順位とが対応付けられる。図示例では、ランキングで1位のチームT2が解放範囲で最も高いレベル6と対応付けられ、2位のチームT1が次のレベル5と対応付けられ、3位のチームTnがレベル4と対応付けられるといったごとくである。解放範囲におけるレベルの数がチーム数よりも少ない場合、下位のチームとレベルとの対応付けは不可能であり、そのチームの特典はなしである。いずれかのレベルの特典と対応付けられたチームが特典付与の対象であり、その対象のチーム数が特典付与の対象数となる。したがって、各チームにおけるエールの獲得量が大きい順に所定の対象数のチームが特典付与の範囲に含まれ、かつ特典の付与の対象数は、指標値が大きくなるほど増加するように、指標値に基づいて動的に変化する。
【0024】
以上の処理は、エールの贈与が可能とされた期間内において繰り返し実行される。そして、所定の確定時期が到来すると、その時点でのランキングと特典の解放範囲との対応付けに従って各チームに付与されるべき特典が確定する。図示例の通りで確定時期が到来した場合、ランキング1位のチームT2はレベル6の特典、2位のチームT1はレベル5の特典、3位のチームはレベル4の特典、順位nのチームT3は特典なし、として確定する。確定結果に従って、チームT1~Tnのうちいずれかのレベルの特典と対応付けられたチームに限って特典が付与される。
【0025】
上記の仕組みによれば、特典付与の対象となるチーム数が指標値である合計量Ayの増加に伴って段階的に増加し、かつ合計量Ayがより上位のレベルの解放条件を満たすたびに、各チームが獲得する特典のレベルも高まる。つまり、合計量Ayが増えるに従って、特典付与の対象数が増加し、かつその対象数の増加に伴って各順位のチームが獲得する特典の種類がより高いレベルへと変化する。したがって、ユーザU1~Uxに対しては、贔屓のチーム又は選手のランキングを上昇させてより高レベルの特典を獲得可能とすること、及び贔屓のチームが獲得する特典のレベルを上昇させることの2つの異なった目的でエールを贈る動機付けを与えることができる。仮に、ランキングが変動し難い状態に至った場合でも、ランキングの各順位と特典のレベルとの対応付けの変更によって、贔屓のチームにより高いレベルの特典を獲得させることが可能である。一方、全ての特典が解放された後でも、ランキングの上昇に伴って贈与先のチームが獲得する特典のレベルを上昇させることが可能である。それらの仕組みが相補的に作用することにより、ユーザU1~Uxにエールを贈る動機付けを継続的に与えることができる。
【0026】
チームT1~Tnに対する特典の付与と並行して、エールを贈与したユーザU1~Uxに対して返礼が提供されてもよい。返礼が提供される機会を設けることにより、エールの贈与に関してさらなる動機付けをユーザに与えることができる。返礼は、エールを贈った全てのユーザに対して等しく提供されてもよいし、一定の条件を満たしたユーザに限って返礼が提供されてもよい。例えば、特典を獲得したチームに対してエールを贈ったユーザに限って返礼が提供されてもよい。所定の基準値以上の量のエールを贈ったユーザに限って返礼が提供されてもよい。その基準値は、チームが獲得した特典のレベルに応じて異なる値に設定されてもよい。返礼の対象となるユーザの選択や絞り込みにおいて抽選が利用されてもよい。
【0027】
返礼の内容は、返礼を提供する対象となったユーザ間で互いに等しく設定されてもよいし、ユーザ間で差別化されてもよい。例えば、ユーザが贈ったエールの量が多いほど価値の高い返礼が提供されるといったように返礼の内容が差別化されてもよい。あるいは、エールの贈与先となったチームに付与された特典と関連付けられた内容を含むように返礼が設定されてもよい。例えば、一のチームに付与された特典が特定の商品であった場合、少なくとも一部のユーザに対して同一商品が返礼として提供されてもよい。その場合、ユーザに提供される商品の数量をチームに付与される商品の数量よりも少なく設定するといったように数量的な制限が設定されてもよい。チームに所属する選手が商品を受領し、あるいは商品を消費又は使用する様子を撮影した動画、あるいは特典獲得に対して感謝を示す動画、メッセージ等が、チームに付与される特典と関連付けられた返礼として、そのチームにエールを贈ったユーザの少なくとも一部に提供されてもよい。特典と関連付けられた内容を含むように返礼が設定されることにより、特典の付与に関してユーザに体験を共有する効果を生じさせることが可能である。そのような共有体験を得ることを目的の一つとして、エールを贈るさらなる動機付けをユーザに与えることができる。
【0028】
次に、
図3~
図7を参照して特典付与の仕組みのさらなる具体例を説明する。
図3~
図7は、動画配信システム1が提供する各種のサービスを享受するために端末装置5にて表示されるユーザインターフェース画面群の一例である。各ユーザインターフェース画面は、端末装置5に実装されるソフトウエアとしての端末用アプリケーションプログラムに従って表示される。図示の画面群は、端末装置5としてスマートフォン5aを想定した場合の例である。端末装置5の種類に応じてインターフェース画面群の縦横比、画面構成等は適宜に変更されてよい。
【0029】
図3は階層的に構成されたインターフェース画面群のうち、最上位階層の画面として表示されるトップ画面100の一例を示している。トップ画面100には、上から順にメニュー部101、動画表示部102、及びコンテンツ選択部103が設けられる。メニュー部101は、ユーザがトップ画面100から移動可能なインターフェース画面を選択するためのものであり、選択肢としての各画面を象徴するアイコン104が左右に並べて表示される。各アイコン104に対応する選択肢は図示の通りであり、その選択肢の一つとして「エールを贈る」の選択肢が用意されている。動画表示部102は、視聴対象の動画が表示される領域である。コンテンツ選択部103は、動画表示部102に表示される動画と関連付けて用意された各種のコンテンツをユーザが選択するための領域である。
【0030】
図3のメニュー部101にて「エールを贈る」が選択された場合、端末装置5の表示は
図4に示すエール選択画面110へと変化する。エール選択画面110には、
図3と同様のメニュー部101に加えて、説明部111、チーム選択部112、選手選択部113、エール選択部114及び決済指示ボタン115が設けられる。説明部111をユーザがタップ等の手法を用いて選択すると、贈与システム10の仕組みを説明する画面が表示される。チーム選択部112をユーザが選択すると、エールの贈与先の候補としてのチームt1~Tnが表示され、贈与先のチームを選択可能となる。選手選択部113をユーザが選択すると、エールの贈与先として選択されたチーム内の選手群が表示され、ユーザが贈与先の選手を選択可能となる。ただし、エールを贈るにあたって、選手の選択は必須ではなく、チームのみを贈与先として選択することも許容される。図示例では、「チーム全員」が選択肢として用意されることにより、選手を指定しない選択も可能とされている。
【0031】
エール選択部114をユーザが選択すると、エールの購入に関する選択肢が表示される。例えば、購入するエール数(エール量)とその購入に必要な代金とを対応付けた複数の選択肢が表示される。ユーザがエールの贈与先となるチーム、又はチーム及び選手を選択し、エールの購入数を選択した上で、決済指示ボタン115をタップ操作すると、エール選択画面110から決済画面120へと端末装置5の表示が切り替わる。決済画面120には、上述したメニュー部101及び説明部111に加えて、決済部121が設けられている。決済部121には、ユーザが所持する購入原資の一例としての電子マネーの残高と、ユーザが選択したエールの購入数及びその代金とが表示される。ユーザが決済部121をタップ操作すると決済内容が確定し、別途の決済システム(不図示)に対して決済が指示される。決済が承認されて購入が成立すると、ユーザが選択したチーム又は選手に対してユーザが購入した数量のエールが贈与され、その贈与が行われた旨を示す完了画面130が表示される。図示の例では、ユーザがチームTxの選手Bに12エールを贈ったことが示されている。なお、決済画面120から戻りボタン122をタップ操作すれば、一つ前のエール選択画面110へと表示が戻される。
【0032】
図5は、エールの合計量に応じた特典の変化をユーザに把握させるために表示される特典情報画面140の一例を示している。
図3のトップ画面100のメニュー部101から、例えば「エールdeマニュフェスト」が選択された場合に特典情報画面140が表示される。特典情報画面140には、メニュー部101に加えて状況表示部141が設けられている。状況表示部141には、贈与システム10にて予め用意されている複数種類の特典と1対1で対応付けられた複数のランキングバー142が上下に並べて表示される。図示の例では、レベル1~レベル8までの8種類の特典のそれぞれに対応するランキングバー142と、特典なしを意味するランキング外に対応するランキングバー143とが上下に並べて表示される。ランキングバー142、143の並び順は、特典のレベルが高いほど上位となるように設定される。ランキング外に対応するランキングバー143は最下段である。
【0033】
ランキングバー142の詳細を
図6に示す。ランキングバー142の表示態様には、解放条件が満たされない場合の第1の態様と、解放条件が満たされている場合の第2の態様の2種類がある。
図6(a)は第1の態様のランキングバー142であり、同図(b)は第2の態様のランキングバー142である。ランキングバー142は、特典セクション145と、チームセクション146とを含む。第1の態様では、チームセクション146がグレーアウトされかつ特典セクション145の背後にほぼ隠れるように配置される。それにより、チームセクション146の内容は確認不能である。特典セクション145は、特典のランクを示すランクマーク部145aと、特典内容を提示する特典タイトル部145bと、特典解放に必要な目標値を示す目標値部145cとを含む。特典のランクは、レベルが高い特典から順に1位、2位…と設定されるものであって、ランクマーク部145aには特典レベルのランクを示す数値、例えばランク5の特典であれば「5」の数値が表示される。ランクマーク部145aで示される順位は、特典が解放されているか否かに関わりなく、予め用意されている特典間におけるレベルの高低によって定まる順位である。
図2に示した特典のレベルの順位は解放範囲内における相対的な順位であって、ランクマーク部145aのランクは、
図2の解放条件で記述される全ての特典を対象として設定される絶対的な順位である。
【0034】
特典タイトル部145bには、図示例ではランク5の特典が
図2におけるレベル4の特典であることに対応して特典Lv.4と表記されているが、実際には特典内容を簡潔に表現した語句が表示される。一例として、レベル4の特典が特定の菓子類の詰め合わせによって構成されている場合、「お菓子詰め合わせ」といった語句が特典タイトル部145bに表示される。目標値部145cに表示される目標値は、特典の解放条件で設定された目標値であって、
図2の目標値X1~Xpのうち、特典セクション145にて表示すべき特典のレベルに対応する目標値である。
【0035】
ランキングバー142にて表示される特典の解放条件が満たされた場合には表示態様が
図6(b)の第2の態様に切り替わる。第2の態様では、特典セクション145の下方にチームセクション146が引き出されるようにして表示される。また、第2の態様ではチームセクション146のグレーアウトが解除され、チームセクション146の表示内容の確認が可能となる。チームセクション146は、チーム識別部146aと、チームにおけるエールの獲得量(
図2の獲得量Y1~Ynに対応する量である。)を示す獲得量提示部146bと、エールの獲得量の一定期間内における変化量、例えば前日比での増加量を示す変動マーク部146cとを含む。チーム識別部146aには、特典セクション145にて示された特典に対応付けられたチームを識別するために必要なチーム名、ロゴ、マーク等の識別情報が表示される。
【0036】
チーム識別部146aに表示されるチームは、
図2で示したランキングと解放済のレベルとの対応付けに従って定められる。例えば、
図2においてレベル4の特典にランキング3位のチームTnが対応付けられている場合、レベル4の特典に対応するランキングバー142、言い換えれば特典セクション145のランクマーク部145aにて5位が示されているランキングバー142のチームセクション146では、チームTnの名称等が例えば「チームAA」のごとく表示される。それにより、解放済の特典のそれぞれに対して、どのチームが対応付けられているかを把握することが可能である。解放条件が満たされている特典に対応するランキングバー142には、その特典が解放済みであることを示すための達成マーク147が付加される。達成マーク147は、一例としてチームセクション146に沿うように表示されるが、その表示位置はランキングバー142との対応関係が判別可能である限り、適宜の位置でよい。
【0037】
図5に戻って、ランキング外に対応する最下段のランキングバー143については、ランキング外であることを示す語句等の情報が表示される。また、ランキングバー143に関してもチームセクション146が付加される。その場合のチームセクション146は、解放済の特典に対応するランキングバー142と同様に、ランキングバー143の下部に引き出された視認可能な状態で表示される。ただし、複数のチームがランキング外に位置付けられる場合がある。そのような場合、ランキングバー143では、タップ操作、フリック操作等の操作に応じて、あるいは一定周期で自動的に、ランキング外の複数のチームのそれぞれに対応するチームセクション146が選択的に表示されてよい。
【0038】
ランキングバー142、143は、特典の詳細、及びチーム内のエールの獲得状況の詳細を確認するための操作部としても利用される。例えば、ランキングバー142が第2の態様にて表示されている場合において、
図7に示すように、特典セクション145をタップ操作すれば、その特典タイトル部145bにて特定されている特典の詳細を示す特典情報145dが表示される。図示例では、エールの合計量が600エールに達したことにより、特典ランク5に対応するチームに「○○商品」が「Z個」贈られることが示されている。チームセクション146をタップ操作した場合には、そのチーム識別部146aにて特定されるチームのエール獲得量及び変化量、並びに選手ごとのエール獲得量をランキング形式で示すチーム内情報146dが表示される。
【0039】
図5に戻って、特典情報画面140には、さらに、状況表示部141の最下段に隣接するようにしてエール量表示部148が設けられている。エール量表示部148には、表示時点における最新のエール量が表示される。図示の例では、エールの総合計エールが、例えば「みんなの総合計エール 679」といった態様で表示される。総合計エールは
図2で示したエールの合計量Ayに対応する。エール量表示部148に表示されるエール量は合計量Ayに限らない。例えば、エール量表示部148に対するタップ操作やフリック操作等の適宜の操作により、ユーザ自身が贈ったエールの合計量に切り替えて表示することが可能である。
【0040】
さらに、特典情報画面140には、各特典の解放に関する進捗状況、又は達成状況を示すための進捗ゲージ150も表示される。進捗ゲージ150は、特典情報画面140の状況表示部141及びエール量表示部148に対する背景画像として重ねて表示される。進捗ゲージ150は、エールの合計量Ayを示すためのゲージバー151を含む。ゲージバー151は、特典情報画面140の下端を原点としたときの上方への長さによって合計量Ayを表現する棒グラフ状の指標として表示される。進捗ゲージ150では、ランキングバー142、143が目盛として活用される。ゲージバー151は色、模様等の表示要素によってその範囲がゲージバー151以外の領域から区別して表示される。
【0041】
合計量Ayが各レベルの特典の目標値に達したときに、ゲージバー151の上端がその目標値に達したレベルに対応するランキングバー142の概ね上端に達するようにゲージバー151の長さが変化する。
図5では、ランキングバー142、143との重複領域にて進捗ゲージ150が隠れているが、ランキングバー142、143は半透明のオブジェクトとして描画される。それにより、解放済の特典に対応するランキングバー142は進捗ゲージ150によって塗り潰される。一方、進捗ゲージ150の上端位置はランキングバー142、143を透過して視認可能であり、かつ未解放の特典に対応するランキングバー142の少なくとも一部には、進捗ゲージ150が重なっていない範囲が生じる。
【0042】
したがって、ランキングバー142の第1の態様から第2の態様への表示の変化、達成マーク147の付加に加えて、進捗ゲージ150によっても、各レベルの特典が解放又は未解放のいずれであるかを把握することができる。しかも、ゲージバー151の長さが合計量Ayに応じて随時変化するため、ゲージバー151の上端とランキングバー142との距離を手掛かりとして、未解放の特典の目標値とエールの合計量Ayとの差の大小を感覚的に把握することが可能である。
【0043】
以上の説明から明らかなように、特典情報画面140では、エールの合計量に応じた特典の変化をユーザに把握させるために必要な情報の一例として、エールの贈与の程度、及びその程度に応じて設定される特典の対応付けの状況が表示される。例えば、ランキングバー142の特典セクション145を通じてどのような特典が用意されているかを把握することができ、かつ各特典の解放に必要なエール量も把握可能である。特典情報145dから特典の詳細も確認できる。また、ランキングバー142が第1の態様又は第2の態様のいずれで表示されているかを確認することにより、どの範囲の特典が解放されているかを把握することができる。解放済の特典に対していずれのチームが対応付けられているかをチームセクション146の表示を介して把握することができる。チームセクション146に表示されるエール獲得量の比較を通じてランキングの上昇に必要なエール量の程度を把握することもできる。特典セクション145に表示される解放の目標値と、エール量表示部148に表示されるエールの合計量との対比、あるいは進捗ゲージ150の表示を手掛かりとして、未解放の特典を解放させるために必要なエール量も把握することができる。チーム内情報146dを通じてチーム内のエール獲得の詳細を把握することもできる。
【0044】
以上のように、エールの合計量に応じた特典の変化をユーザに把握させるための情報がユーザに提供されることにより、エールを贈る動機付けをユーザに確実に与えることが可能である。ただし、特典情報画面140は端末装置5のアプリケーションプログラムの機能によって表示されることを必ずしも要しない。動画配信システム1、あるいはその贈与システム10を運用する事業者により、別途、Webページ、SNS等の情報伝達手段を用いてエールの贈与の程度、及びその程度に応じた特典の状況がユーザに周知されてもよい。
図3に示したトップ画面100にて動画をリアルタイムで配信している間に、特典情報画面140を併せて表示することにより、動画の対象のイベント等と同時進行でエールの獲得状況等をユーザに提示してもよい。
【0045】
次に、上述した贈与システム10の制御系の構成及びその処理の一例を説明する。
図8は贈与システム10を構成する管理サーバ3及び端末装置5の制御系の概略構成を示している。管理サーバ3は制御ユニット30を備えている。制御ユニット30は、CPU及びその動作に必要な記憶装置等の各種の周辺装置を含んだコンピュータとして構成されている。管理サーバ3には、動画配信システム1に関連した各種のサービスを提供するためのサーバプログラムPg1が実装される。サーバプログラムPg1は、贈与システム10を実現するために必要な各種の機能を管理サーバ3に付与するエール管理プログラムPg2を含む。
【0046】
管理サーバ3の制御ユニット30には、そのコンピュータハードウエアとエール管理プログラムPg2との組み合わせによって実現される論理的装置として、エール管理部31が設けられる。エール管理部31は、ユーザが贈与したエールを集計するエール集計部32、及びエール集計部32の集計結果に基づいて特典の解放、各チームへの割り当て等を制御するための特典制御部33を含む。また、制御ユニット30には、エール管理部31が適宜に参照し、あるいは適宜に更新する管理データD1として、解放条件データd1、エール量データd2、ランキングデータd3及び解放データd4とが保持される。それらのデータd1~d4は、管理サーバ3の不揮発性の外部記憶装置、又は揮発性の内部記憶装置に確保された作業領域に適宜に記憶され、必要に応じてエール管理部31に読み込まれ、あるいはエール管理部31にて書き換えられる。
【0047】
解放条件データd1は、
図2に示した解放条件の特典レベルごとの目標値X1、X2…Ypを指定するデータに相当する。エール量データd2は、
図2におけるチームごとのエールの獲得量Y1、Y2…Yn、指標値としての合計量Ayを示すデータに相当する。エール量データd2には、選手ごとのエールの獲得量、及びユーザごとのエールの贈与量がさらに記録されてよい。ランキングデータd3は
図2におけるチーム間のエール獲得量に基づくランキングを示すデータに相当する。解放データd4は、
図2における特典の解放範囲とチームの対応付けとを記述したデータに相当する。データd1~d4は、必要に応じて端末装置5に適宜に提供されてもよい。
【0048】
次に、端末装置5は制御ユニット50と、入力装置51と、表示装置52とを備えている。制御ユニット50は、CPU及びその動作に必要な記憶装置等の各種の周辺装置を含んだコンピュータとして構成されている。入力装置51は、例えばスマートフォン5aやタブレット端末5bの場合には、表示装置52の表示画面上に重ねて配置されるタッチパネル型の入力装置が主として用いられる。PC5cn場合には、キーボード、マウス等の汎用的な入力装置が用いられてよい。その他にも、押釦、レバー等の物理的な操作部材を備えた入力装置が利用されてもよい。表示装置52も適宜のものが用いられてよい。
【0049】
制御ユニット50には各種のアプリケーションプログラムが実装される。贈与システム10に必要な各種の機能を端末装置5に付与するための端末プログラムPg3もアプリケーションプログラムの一種として端末装置5に実装される。端末装置5の制御ユニット50には、そのコンピュータハードウエアと端末プログラムPg3との組み合わせによって実現される論理的装置として、エール処理部53が設けられる。エール処理部53は、例えば、
図5~
図7に例示したインターフェース画面を表示装置52に表示し、入力装置51を介してユーザの操作を取得して管理サーバ3に提供する入出力インターフェース機能、あるいは管理サーバ3と協働して贈与システム10のサービスの提供に必要な演算処理を実行する機能を提供する。
【0050】
次に、
図9~
図12を参照して、上述した贈与システム10の仕組みを実現するために管理サーバ3及び端末装置5にて実行される処理の一例を説明する。
図9は、ユーザがエールを贈る場合に端末装置5及び管理サーバ3のそれぞれが実行する処理の一例を示している。いずれかの端末装置5のユーザが
図7のトップ画面100のメニュー部101から「エールを贈る」を選択すると、そのユーザの端末装置5のエール処理部53はエール贈与処理を開始する。エール贈与処理において、エール処理部53は、
図4のエール選択画面110を端末装置5に表示させ、そのエール選択画面110を通じて、エールの贈与先となるべきチームをユーザに選択させ(ステップS101)、選択したチーム内で贈与先となるべき選手を選択させる(ステップS102)。選手の選択では、チームの全員、すなわち特定の選手を選択せず、チームを贈与先として指定することも可能である。
【0051】
贈与先の選択が完了すると、エール処理部53はステップS103のエール購入処理へと進む。エール購入処理は、
図4のエール選択画面110にて、購入するエール数をユーザに選択させ、続いて決済画面120を通じて決済を完了させる処理である。エール購入処理では、端末装置5と決済処理のために別途設けられている決済システムとが、管理サーバ3を通じて、又は管理サーバ3を経由せずに直接に接続されて、決済処理が行われる。決済システムにて決済が承認されると、エール処理部53は管理サーバ3に対してエールの贈与先、及び贈与されたエール量を通知し(ステップS104)、その後に
図4の完了画面130を表示してエール贈与処理を終える。なお、ユーザごとのエールの贈与量を集計する場合には、贈与したユーザを特定するために必要な情報、例えばユーザID等がステップS104にて管理サーバ3に通知されてもよい。ユーザが別途購入し、あるいはゲームをプレイする等して予めエールを取得している場合には、ステップS103の購入処理を省略し、ユーザが所持するエール量の少なくとも一部をユーザが選択した贈与先に贈与可能としてもよい。
【0052】
ステップS104の通知に対応して、管理サーバ3のエール集計部32はエール集計処理を開始し、ユーザが選択した贈与先のエール獲得量に対してユーザが購入したエールの量(エール数)が加算され、かつエールの合計量にもユーザが贈与したエール量が加算されるように、
図8に示したエール量データd2を更新する(ステップS111)。ユーザが贈ったエールの量をユーザごとに集計する必要がある場合には、ユーザごとのエール量の集計値もステップS104の通知に対応して更新される。ステップS111の処理は、各端末装置5にてステップS101~S104の処理が行われるごとに随時実行される。それにより、エール量データd2には、
図2に示したエールのチームごとの獲得量Y1…Yn、及び全チームの合計量Ayが記録される。
【0053】
図10は、エール量データd2に記録されたエールの獲得量及び合計量に基づいて特典の解放状況を制御するために実行される特典解放処理の一例を示している。特典解放処理は、一例として、管理サーバ3の特典制御部33が実行する。特典解放処理は、エール集計部32がエールの獲得量等を更新するごとに実行されてもよいし、一定の周期で定期的に実行されてもよい。特典制御部33は、特典解放処理を開始すると、まずエール量データd2に記録されたチームごとのエールの獲得量、及び指標値の一例としてのエールの合計量を取得する(ステップS121)。続いて、特典制御部33は、ランキングデータd3に記録されたチーム間のランキングを、ステップS121で取得したチームごとのエールの獲得量に従って更新する(ステップS122)。ランキングに変動がなければ従前のランキングデータd3が維持される。
【0054】
次に、特典制御部33は、ステップS121で取得したエールの合計量と解放条件データd1とを対比して解放データd4に記録された特典の解放範囲を更新する(ステップS123)。解放範囲に変動がなければ従前の解放範囲が維持される。さらに、特典制御部33は、ステップS122で更新した最新のチーム間のランキングと、ステップS123で更新した最新の解放範囲とに基づいて、解放範囲とチームとの対応付けを更新する(ステップS124)。その処理は、解放範囲内の特典のうち、最もレベルが高い特典をランキング1位のチームに対応付け、次にレベルが高い特典をランキング2位のチームに対応付けるといったように、チームの順位が高いほど高レベルの特典を対応付けるように行われる。ステップS123及びS124の処理結果は解放データd4に記録される。さらに、特典制御部33は更新された情報を端末装置5に提供し(ステップS125)、その後に特典解放処理を終える。
【0055】
なお、ステップS125の処理は、
図10の処理とは異なる適宜のタイミングで端末装置5に提供されてもよい。例えば、ユーザがトップ画面100のメニュー部101から「エールdeマニュフェスト」を選択して、特典情報画面140の閲覧が端末装置5から管理サーバ3に要求された場合に、特典制御部33が端末装置5に対してエール量データd2や解放データd4を送信してもよい。端末装置5のエール処理部53は、送信された最新のデータd2、d4に基づいて特典情報画面140を表示させる。ただし、特典情報画面140の表示内容の更新は、一定周期で行われてもよい。
図9の処理に連動して
図10の処理を実行し、それらの処理で更新されたデータd2、d4を端末装置5に送信することにより、ユーザがエールを贈った場合にその結果を特典情報画面140に即時に反映させてもよい。
【0056】
図11は、エールの贈与が可能な期間が経過して所定の確定時期が到来した場合に実行される特典確定処理の一例を示している。特典解放処理は、一例として、管理サーバ3の特典制御部33が実行する。特典制御部33は、
図11の特典確定処理を開始すると、その時点でエール量データd2に記録されているチームごとのエール獲得量に従ってランキングデータd3を更新し、更新結果に従ってチーム間のランキングを確定させる(ステップS131)。続いて、特典制御部33は、その時点でエール量データd2に記録されているエールの合計量に従って解放データd4の解放範囲を更新し、解放済の特典とチーム間のランキングとに従って各チームに付与すべき特典を確定させ、その確定結果を記録する(ステップS132)。その後、特典制御部33は
図11の処理を終える。なお、各チームへの実際の特典の付与は、特典の配送、特典の手渡しによる授与、オンラインによる提供等の種々の形態を取り得るが、そのために必要な手配の少なくとも一部が
図11の処理に続けて実行されてもよい。いずれの場合でも、ステップS132の処理により、対象となったチームに対して特典が付与されたものと見做してよい。
【0057】
図12は、チームへの特典の付与に並行してユーザに返礼を提供する場合に行われる返礼処理の一例を示している。返礼処理は、一例として、管理サーバ3の特典制御部33が実行する。特典制御部33は、
図12の返礼処理を開始すると、返礼を決定するために参照すべき実績のデータを取得する(ステップS141)。ここで取得するデータは、例えば、各チームに付与された特典の内容、特典を獲得したチームにエールを贈ったユーザを特定する情報、ユーザごとのエールの贈与量等が適宜に選択されてよい。続いて、特典制御部33は、返礼を提供する対象者としてのユーザを判別し、かつ対象者のユーザに提供すべき返礼を判別する(ステップS142)。例えば、特典を獲得したチームにエールを贈ったユーザ群、あるいは当該ユーザ群内で所定量以上のエールを贈ったユーザ、さらにはユーザ群から抽選されたユーザが対象者として判別されてよい。返礼の内容は、上述したようにチームが獲得した特典と関連付けられたものであってもよく、その場合にはチームが獲得した特典を判別し、その判別結果に従って返礼内容が決定されてもよい。
【0058】
次に、特典制御部33は返礼をユーザに提供するために必要は手配処理を実行し(ステップS143)、その後に
図12の処理を終える。ユーザへの返礼の提供は、返礼の配送、オンラインによる提供等の種々の形態を取り得るが、そのために必要な手配の少なくとも一部がステップS143にて実行されてよい。特典を獲得したチームの選手が特典を受け取り、あるいは利用する様子を記録した動画をユーザに返礼として提供する場合には、そのような動画が利用可能となった時点でユーザに返礼が提供されるように、返礼の提供がステップS143にて予約されてもよい。
【0059】
以上の実施形態においては、管理サーバ3のエール集計部32が
図9のステップS111の処理を実行することによって贈与手段の一例として機能し、特典制御部33が
図10のステップS123、S124の処理を実行することにより特典調整手段の一例として機能し、特典制御部33が
図11のステップS132の処理を実行することにより特典付与手段の一例として機能する。また、特典制御部33は
図12のステップS142及びS143の処理を実行することにより返礼手段の一例として機能し、
図10のステップS125の処理を実行することにより情報提供手段の一例として機能する。
【0060】
本発明は上述した形態に限定されることなく、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてもよい。例えば、
図10の処理は、管理サーバ3の特典制御部33にて実行することを必ずしも要しない。
図9の集計結果を管理サーバ3から端末装置5に随時に提供し、各端末装置5のエール処理部53にて
図10の処理を実行することも可能である。解放条件データd1が予め各端末装置5に保持されていれば、チームごとのエールの獲得量を端末装置5に送信し、各端末装置5にてエールの合計量を演算して特典の解放範囲を判別し、かつチーム間のランキングを判別して、解放済の特典との対応関係を特定することが可能である。
【0061】
上記の形態では、エールを贈ることが可能な全てのユーザを対象として、チームごとのエールの獲得量及び合計量を求めるものとしたが、エールの獲得量及び合計量は少なくとも一部のユーザから贈与されたエールに限定して演算されてもよい。例えば、一又は複数のユーザを集計単位として設定し、集計単位ごとに区別してチームの獲得量及び各チームの合計量を演算し、チーム間のランキング及び特典の解放範囲を集計単位ごとに区別して制御してもよい。
【0062】
上記の形態では1種類の特典に対して1チームを対応付けるようにしたが、特典の種類とチームとの対応付けは1対1に必ずしも限定されない。例えば、同一種類の特典に対して複数チームが対応付けられてもよい。例えば、レベルが低い特典ほど対応するチーム数が増加するといった形態で特典の種類と特典付与の対象者数とが対応付けられてもよい。特典と対応付けられる対象者はチームであることを必ずしも要しない。例えば、選手ごとのエールの獲得量に基づいて特典と選手とを対応付けるといったように、特典と対応付けるべき対象者は適宜の単位で区分されてよい。
【0063】
また、上記の形態では、指標値としてのエールの合計量に基づいて特典の解放範囲を変化させることによって特典に変化を生じさせたが、特典の変化は必ずしもそのような形態に限定されない。例えば、合計量が増加するに従って、上位の特典に対応付けられるべきチーム数を段階的に増加させるといった形態で各チームと特典との対応関係を変化させてもよい。この場合、例えば最もレベルの高い特典が当初は1チームに限定され、合計量が増加するに従って最上位のレベルの特典の対象チーム数が段階的に増加するといった変化を生じさせてもよい。あるいは、上記の形態に従って特典の解放範囲を段階的に拡大し、最上位のレベルの特典が解放された後は、これに対応付けられるチーム数を段階的に増加させるといったように対象チームと特典との対応関係を変化させてもよい。合計量が増加するに従って、少なくともいずれかのレベルの特典の内容それ自体をより高価値のものに差し替えるといった形態で特典に変化を生じさせてもよい。この場合も、例えば最上位のレベルの特典が解放された後に、特典の内容それ自体を変化させてもよいし、特典解放範囲の変化、対象チーム数の変化、及び特典内容の変化を適宜に組み合わせて特典の付与を複合的に変化させてもよい。指標値に関しては、上述したようにエールの合計量に限定されず、贈与の程度を定量的に表現可能な適宜の統計値が単独で又は複合して用いられてよい。
【0064】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0065】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数のユーザ(U1~Ux)のそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈る贈与システム(10)を実現するためのコンピュータプログラム(Pg2)であって、所定のコンピュータ(30)を、複数の贈与先(T1~Tn;Px)から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段(32、S111)、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段(33、S132)、及び少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値(Ay)に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段(33、S123、S124)、として機能させるものである。
【0066】
本発明の一態様に係る贈与システムは、複数のユーザ(U1~Ux)のそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システム(10)であって、複数の贈与先(T1~Tn;Px)から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手段(32、S111)と、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手段(33、S132)と、少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値(Ay)に基づいて、前記特典付与手段が付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手段(33、S123、S124)、とを備えたものである。
【0067】
本発明の一態様に係る贈与システムの制御方法は、複数のユーザ(U1~Ux)のそれぞれが、所定の単位で定量化可能な贈与価値を贈るための贈与システム(10)の制御方法であって、複数の贈与先(T1~Tn;Px)から各ユーザが選択した贈与先に前記贈与価値を付与する贈与手順(S111)と、各贈与先が獲得した贈与価値量の贈与先間における大小関係に応じた差が生じるようにして前記複数の贈与先の少なくとも一部の範囲内にて特典を付与する特典付与手順(S132)と、少なくとも一部のユーザからの前記贈与価値の贈与の程度を定量化した指標値(Ay)に基づいて、前記特典付与手順にて付与すべき前記特典に変化を生じさせる特典調整手順(S123、S124)と、を含むものである。
【0068】
上記の各態様によれば、贈与先が獲得した贈与価値量の大小関係に応じて差が生じるように特典が付与されるので、贈与先により大きい贈与価値量を獲得させることを目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることができる。一方、贈与の程度を定量化した指標値に基づいて特典に変化を生じさせるため、贈与先に所望の特典が付与されることを目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることもできる。このように2つの異なった目的で贈与価値を贈る動機付けを与えることができるため、いずれか一方による動機付けの効果が相対的に弱まっても他方がそれを補うような相補的な関係を生じさせることが可能である。したがって、贈与価値を贈る動機付けをユーザに継続的に与えることができる。
【0069】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0070】
上記態様において、前記特典付与手段は、各贈与先が獲得した贈与価値量が大きい順に所定の対象数の贈与先が前記範囲内に含まれるようにして前記特典を付与してもよい。これによれば、特典付与の対象となる贈与先を、贈与価値量が相対的に大きい一部の贈与先に限定する手段として対象数を機能させることができる。それにより、所望の贈与先により大きい量の贈与価値を獲得させることを目的として、贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることが可能である。
【0071】
前記特典調整手段は、前記指標値に基づいて前記対象数を変化させることにより、前記特典に変化を生じさせてもよい。これによれば、指標値を介して贈与の程度の高低を対象数の変化と関連付けることにより、特典の変化を目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることができる。
【0072】
前記特典調整手段は、前記範囲内の贈与先に付与されるべき特典の種類を前記指標値に基づいて変化させることにより、前記特典に変化を生じさせてもよい。これによれば、指標値を介して贈与の程度の高低を特典の種類と関連付けることにより、特典の種類の変化を目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることができる。
【0073】
前記特典調整手段は、前記贈与の程度が高まるほど前記対象数が増加するように前記指標値に基づいて前記対象数を変化させるとともに、前記対象数の増加に伴って新たな種類の特典が付与可能となるように、前記範囲内の贈与先に付与されるべき特典の種類を前記対象数に応じて変化させることにより、前記特典に変化を生じさせてもよい。これによれば、対象数の増加、及び新たな種類の特典の付与を目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに与えることができる。
【0074】
上記態様においては、各贈与先が獲得した贈与価値量の合計量が前記指標値として用いられてもよい。これによれば、各贈与先が獲得した贈与価値量の合計量に応じて特典を変化させることが可能である。したがって、特典の変化を目的として贈与価値を贈る動機付けをユーザに継続的に与えることができる。
【0075】
前記特典が付与された贈与先からの返礼を当該贈与先に対して前記贈与価値を贈与したユーザに対して提供する返礼手段(33、S142、S143)として前記コンピュータをさらに機能させてもよい。これによれば、ユーザに返礼を提供することにより、贈与価値の贈与に関して、さらなる動機付けをユーザに与えることができる。
【0076】
前記返礼は、前記贈与先に付与された特典と関連付けた内容を含むように設定されてもよい。特典と関連付けられた内容の返礼がユーザに提供されることにより、特典の付与に関してユーザに体験を共有する効果を生じさせることが可能であり、そのような共有体験を得ることを目的の一つとして贈与価値を贈るさらなる動機付けをユーザに与えることができる。
【0077】
前記指標値に応じた前記特典の変化を各ユーザに把握させるための情報(一例として
図5の情報)を各ユーザに提供する情報提供手段(33、S125)として前記コンピュータをさらに機能させてもよい。そのような情報をユーザに提供することにより、贈与の程度、あるいはそれに応じた特典の設定状況等をユーザに認識させて、贈与価値を贈る継続的な動機付けをユーザにより確実に与えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 動画配信システム
2 配信サーバ
3 管理サーバ
5 端末装置
10 贈与システム
30 制御ユニット
32 エール集計部(贈与手段)
33 特典制御部(特典付与手段、特典調整手段、返礼手段、情報提供手段)
100 トップ画面
110 エール選択画面
120 決済画面
130 完了画面
140 特典情報画面
142、143 ランキングバー
145 特典セクション
146 チームセクション
148 エール量表示部
150 進捗ゲージ