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特開2024-92110薬液投与装置、薬液充填方法及び薬液充填装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092110
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】薬液投与装置、薬液充填方法及び薬液充填装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20240701BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240701BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61M5/00 500
A61M5/142
A61M39/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207806
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】内山 城司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆行
(72)【発明者】
【氏名】テロ ヘイッキネン
(72)【発明者】
【氏名】マッティ パツィ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ヘイッキラ
(72)【発明者】
【氏名】マルック カッルンキ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リザーバへの薬液の供給圧力を小さくすることができるバイアルアダプタを提供する。
【解決手段】薬液投与装置10は、リザーバ20と、ガスケット240と、駆動部250とを備える。ガスケットは、リザーバ内に移動可能に設けられる。駆動部は、ガスケットを移動させるプランジャ216を有する。リザーバに薬液を充填する際、バイアル350が接続された薬液投与装置は、薬液充填装置300の保持部302に保持される。薬液がバイアルからリザーバに移される前の初期状態では、ガスケットは、プランジャから離脱した状態で、リザーバ内における充填開始位置に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットとを備え、プランジャを有する駆動部により前記ガスケットを先端方向に移動させることで、生体に前記薬液を投与する薬液投与装置であって、
前記リザーバは、前記薬液が供給される薬液入口と、前記薬液が排出される薬液出口とを有し、
前記ガスケットは、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記プランジャから離脱して、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置され、
前記ガスケットは、前記プランジャの先端部が前記リザーバの内側に配置された状態で前記リザーバに前記薬液が充填される際、前記薬液に押されて前記プランジャに近づきながら基端方向に移動することで、投与開始位置に配置される、薬液投与装置。
【請求項2】
請求項1記載の薬液投与装置において、前記リザーバの内面は、移動する前記ガスケットを案内する、薬液投与装置。
【請求項3】
請求項1記載の薬液投与装置において、前記リザーバに前記薬液が充填される前、前記薬液入口及び前記薬液出口は、前記充填開始位置に位置する前記ガスケットに閉塞される、薬液投与装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の薬液投与装置において、前記リザーバを含む第1部品と、前記駆動部を含み前記第1部品に対して取り外し可能に装着される第2部品とを備え、前記リザーバに前記薬液を充填するとき、前記第1部品に前記第2部品が装着された状態である、薬液投与装置。
【請求項5】
請求項4記載の薬液投与装置において、前記駆動部は、前記プランジャを移動させるための駆動装置と、前記駆動装置と前記プランジャとを連結するギアとを有する、薬液投与装置。
【請求項6】
薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットと、前記ガスケットを移動させるプランジャを有する駆動部とを備える薬液投与装置の前記リザーバに前記薬液を充填する薬液充填方法であって、
前記ガスケットを、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置し、且つ前記リザーバ内における前記ガスケットから離間した位置に、プランジャの先端部を配置する準備工程と、
前記リザーバ内に前記薬液を供給する充填工程と、
を有し、
前記充填工程で、前記ガスケットを、前記薬液で押して前記プランジャに近づけながら基端方向に移動させて投与開始位置に配置する、薬液充填方法。
【請求項7】
請求項6記載の薬液充填方法において、前記薬液投与装置は、前記リザーバを有する第1部品と、前記プランジャを含む駆動部を有し且つ前記第1部品に対して取り外し可能に装着される第2部品とを備え、前記第1部品に前記第2部品を装着した状態で前記充填工程を行う、薬液充填方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の薬液充填方法において、前記駆動部は、前記プランジャを移動させるための駆動装置と、前記駆動装置と前記プランジャとを連結するギアとを有し、前記駆動部が駆動されていない状態で前記充填工程を行う、薬液充填方法。
【請求項9】
薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットと、前記ガスケットを移動させるプランジャを有する駆動部とを備え、バイアルアダプタを介してバイアルと接続される薬液投与装置の前記リザーバに前記薬液を充填する薬液充填装置であって、
前記ガスケットは、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記プランジャから離脱して、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置されており、
前記薬液充填装置は、
前記薬液投与装置を保持する保持部と、
前記バイアルアダプタと接続される接続部と、
前記バイアルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、
を備え、
前記薬液が収容された前記バイアルが前記バイアルアダプタを介して前記薬液投与装置に接続され、前記薬液投与装置が前記保持部に保持され、前記バイアルアダプタが前記接続部に接続され、且つ前記プランジャの先端部が前記リザーバの内側に配置された状態で、前記圧縮空気供給部により前記バイアルに圧縮空気を供給すると、前記薬液が前記バイアルから前記リザーバへと移送され、前記ガスケットは前記薬液に押されて前記プランジャに近づきながら基端方向に移動して投与開始位置に到達する、薬液充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に薬液を投与する薬液投与装置に関する。また、本発明は、薬液投与装置のリザーバに薬液を充填する薬液充填方法及び薬液充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、携帯型の薬液投与装置は、筐体と、筐体内に設けられたリザーバ(特許文献1での名称は「バイアル22」)とを有する。リザーバには、ガスケットが収容されている。筐体には、ガスケットを移動させるためのプランジャを含む駆動部が収容される。
【0003】
特許文献1記載の薬液投与装置は、薬液が予め充填されたプレフィルド型のリザーバを用いた薬液投与装置である。一方、薬液がリザーバに予め充填されていない場合、ユーザは、薬液投与装置の使用に先立って、バイアルからリザーバに適切な量の薬液を移す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010-540156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイアルからリザーバに薬液を移送する際にガスケットとプランジャ(駆動部)とが連結されている場合、ガスケットによって駆動部が基端方向に押圧される。これによって駆動部に好ましくない負荷が作用する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一実施形態によれば、薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットとを備え、プランジャを有する駆動部により前記ガスケットを先端方向に移動させることで、生体に前記薬液を投与する薬液投与装置であって、前記リザーバは、前記薬液が供給される薬液入口と、前記薬液が排出される薬液出口とを有し、前記ガスケットは、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記プランジャから離脱して、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置され、前記ガスケットは、前記プランジャの先端部が前記リザーバの内側に配置された状態で前記リザーバに前記薬液が充填される際、前記薬液に押されて前記プランジャに近づきながら基端方向に移動することで、投与開始位置に配置される、薬液投与装置が提供される。
【0008】
従来技術においては、プランジャにガスケットが装着された状態でリザーバに薬液が充填される。このため、薬液のリザーバ内への流入に伴ってガスケット及びプランジャが移動可能となるように、薬液を高圧でリザーバ内に供給する必要がある。又は、駆動部を駆動させてプランジャを移動させる必要がある。いずれの場合も、駆動部に負荷が作用する。
【0009】
これに対し、上記した構成によれば、リザーバに薬液を充填するとき、プランジャは位置決めされて移動せず、ガスケットのみが移動する。従って、薬液の充填に応じて駆動部を移動させる必要がない。このため、駆動部に大きな負荷が作用することが回避される。これにより、駆動部が、薬液の充填によって生じる負荷から保護される。
【0010】
また、リザーバへの薬液の供給圧力を小さくすることができる。このため、例えば、薬液を加圧する加圧装置等を薬液投与装置に設ける必要がない。
【0011】
(2)上記項目(1)において、前記ガスケットは、前記リザーバの内面に案内されて移動することが好ましい。換言すれば、前記リザーバの内面は、移動する前記ガスケットを案内してもよい。
【0012】
この場合、ガスケットをリザーバの内面で案内するので、ガスケットが移動するときに該ガスケットを案内する案内部材等が不要である。このため、リザーバ内の部品点数が増加することが回避される。
【0013】
(3)上記項目(1)又は(2)において、前記リザーバに前記薬液が充填される前、前記薬液入口及び前記薬液出口を、前記充填開始位置に位置する前記ガスケットで閉塞してもよい。
【0014】
この場合、薬液入口又は薬液出口からリザーバ内に大量の空気が流入することが回避される。従って、リザーバに充填される薬液に大量の空気が混入することを抑制することが可能である。
【0015】
(4)上記項目(1)~(3)のいずれか1項において、薬液投与装置は、前記リザーバを含む第1部品と、前記プランジャを含み前記第1部品に対して取り外し可能に装着される第2部品とを備えてもよい。この構成において、前記リザーバに前記薬液を充填するとき、前記第1部品に前記第2部品を装着する。
【0016】
第2部品を第1部品に装着した状態でリザーバに薬液が充填されるので、充填終了後、薬液投与装置を即座に使用することが可能である。すなわち、薬液投与装置は利便性に優れる。また、薬液投与装置の使用の都度第1部品を交換する場合であっても、駆動部を有する第2部品を再使用することが可能である。これにより、薬液投与装置のランニングコストの低減を図ることができる。
【0017】
(5)上記項目(4)において、前記駆動部は、前記プランジャを移動させるための駆動装置と、前記駆動装置と前記プランジャとを連結するギアとを有してもよい。
【0018】
この場合、プランジャ、駆動装置及びギアが第2部品に配置される。薬液のリザーバへの充填中又は薬液の患者への投与中、プランジャ、駆動装置及びギアが薬液に接触することはない。従って、患者に薬液を投与した後、第2部品を第1部品から取り外して再使用することが可能である。第2部品の再使用においては、該第2部品が新たな第1部品に装着され、この状態で、新たな第1部品のリザーバに薬液が充填される。このように、薬液に接触する部品を有する第1部品を、薬液投与装置を使用する都度交換することにより、薬液投与装置を良好な衛生状態に保つことができる。
【0019】
(6)本発明の別の一実施形態によれば、薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットと、前記ガスケットを移動させるプランジャを有する駆動部とを備える薬液投与装置の前記リザーバに前記薬液を充填する薬液充填方法であって、前記ガスケットを、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置し、且つ前記リザーバ内における前記ガスケットから離間した位置に、プランジャの先端部を配置する準備工程と、前記リザーバ内に前記薬液を供給する充填工程と、を有し、前記充填工程で、前記ガスケットを、前記薬液で押して前記プランジャに近づけながら基端方向に移動させて投与開始位置に配置する、薬液充填方法が提供される。
【0020】
これにより、上記項目(1)と同様の効果が得られる。
【0021】
(7)上記項目(6)において、前記薬液投与装置は、前記リザーバを有する第1部品と、前記プランジャを含む駆動部を有し且つ前記第1部品に対して取り外し可能に装着される第2部品とを備えてもよい。この場合、前記第1部品に前記第2部品を装着した状態で前記充填工程を行う。
【0022】
これにより、上記項目(4)と同様の効果が得られる。
【0023】
(8)上記項目(6)又は(7)において、前記駆動部は、前記プランジャを移動させるための駆動装置と、前記駆動装置と前記プランジャとを連結するギアとを有してもよい。この場合、前記駆動部が駆動されていない状態で前記充填工程を行う。
【0024】
これにより、上記項目(5)と同様の効果が得られる。
【0025】
(9)本発明のさらに別の一実施形態によれば、薬液が充填されるリザーバと、前記リザーバ内に移動可能に設けられたガスケットと、前記ガスケットを移動させるプランジャを有する駆動部とを備え、バイアルアダプタを介してバイアルと接続される薬液投与装置の前記リザーバに前記薬液を充填する薬液充填装置であって、前記ガスケットは、前記リザーバに前記薬液が充填される前の初期状態で、前記プランジャから離脱して、前記リザーバ内における可動範囲の先端側である充填開始位置に配置されており、前記薬液充填装置は、前記薬液投与装置を保持する保持部と、前記バイアルアダプタと接続される接続部と、前記バイアルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、を備え、前記薬液が収容された前記バイアルが前記バイアルアダプタを介して前記薬液投与装置に接続され、前記薬液投与装置が前記保持部に保持され、前記バイアルアダプタが前記接続部に接続され、且つ前記プランジャの先端部が前記リザーバの内側に配置された状態で、前記圧縮空気供給部により前記バイアルに圧縮空気を供給すると、前記薬液が前記バイアルから前記リザーバへと移送され、前記ガスケットは前記薬液に押されて前記プランジャに近づきながら基端方向に移動して投与開始位置に到達する、薬液充填装置が提供される。
【0026】
この構成によれば、薬液を患者に投与するためのプランジャを含んだ薬液投与装置を薬液充填装置に保持することができる。この状態で、薬液投与装置のリザーバに薬液が充填される。従って、リザーバに薬液を充填した後、即座に薬液投与装置を使用することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、薬液投与装置を構成するリザーバに薬液を充填するとき、ガスケットが移動するのに対し、プランジャは位置決めされて移動しない。従って、薬液をリザーバに充填する際、プランジャを含む駆動部を駆動する必要がない。このため、駆動部に大きな負荷が作用することが回避される。これにより、駆動部が負荷から保護される。
【0028】
また、リザーバへの薬液の供給圧力を小さくすることができる。このため、例えば、薬液を加圧する加圧装置等を薬液投与装置に設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、薬液投与装置を保持した状態の薬液充填装置の概略斜視図である。
図2図2は、薬液投与装置が取り外された状態の薬液充填装置の概略斜視図である。
図3図3は、バイアルアダプタが装着された薬液投与装置の斜視図である。
図4図4は、薬液充填装置に保持された薬液投与装置の概略全体正面図である。
図5図5は、薬液が充填される前のリザーバの概略断面図である。
図6図6は、薬液が充填されている途中におけるリザーバの概略断面図である。
図7図7は、薬液の充填が終了したリザーバの概略断面図である。
図8図8は、患者の皮膚に貼付された薬液投与装置の概略全体断面図である。
図9図9は、患者に薬液を投与している途中における薬液投与装置の概略全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下における「ユーザ」は、図4に示す薬液投与装置10のリザーバ20に薬液Lを充填する者を指す。ユーザの典型例は患者であるが、これに限らない。
【0031】
図1は、薬液充填装置300の概略斜視図である。薬液充填装置300のハウジング301には、鉛直方向に沿って延びる装填スロット302が形成されている。装填スロット302には、薬液投与装置10が挿入される。薬液投与装置10には、バイアルアダプタ310を介して、薬液Lが収容されたバイアル350が予め連結される。従って、装填スロット302に薬液投与装置10が挿入されることに基づき、薬液投与装置10及びバイアル350が薬液充填装置300に一体的に装填(保持)される。このように、装填スロット302は保持部である。バイアル350の薬液入出口には、自己封止能を備えるセプタムを有する栓部材352が挿入される。なお、この態様では、いわゆる瓶形状のバイアル350を例示しているが、バイアル350は、これに限定されない。例えば、バイアル350は、インスリンペン用のカートリッジであってもよい。
【0032】
図2は、装填スロット302から薬液投与装置10を取り外した状態における薬液充填装置300の概略斜視図である。ハウジング301において、装填スロット302の近傍には、レセプタクル部303が設けられる。レセプタクル部303は、バイアルアダプタ310と接続される接続部である。薬液充填装置300は、ハウジング301に設けられたレバー304と、レセプタクル部303内に設けられた給気管部306とを有する。レバー304及び給気管部306は、手動ポンプを構成する。給気管部306は、バイアル350に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部である。圧縮空気を生成するポンプは、電動式であってもよい。
【0033】
レバー304は、ユーザによってハウジング301側に押し込まれる。このように、レバー304は、ユーザに操作される操作部である。ユーザがレバー304を押し込む(操作する)ことに伴い、所定量の空気が圧縮されて給気管部306から排出される。
【0034】
バイアルアダプタ310の構成につき、図3を参照して概略説明する。バイアルアダプタ310は、バイアル装着部312と、半筒部314と、ソケット部316とを有する。半筒部314及びソケット部316は、装置装着部318を構成する。バイアル装着部312と半筒部314との間には、隔壁320が設けられる。隔壁320は、栓部材352を受容する。
【0035】
隔壁320には、送液管330及び給気針332の一端部が貫挿される。半筒部314は、給気針332を覆って保護する。給気針332は、圧縮空気をバイアル350に供給するための針である。圧縮空気は、上記したように、ユーザがレバー304を操作することで得られる。また、送液管330は、薬液Lをバイアル350からリザーバ20に移すための針である。
【0036】
半筒部314は、円筒が軸線方向に沿って略半分に切り欠かれたような形状をなす。すなわち、この態様では、半筒部314は半円筒形状である。図3から理解されるように、バイアルアダプタ310が薬液投与装置10に装着されたとき、薬液投与装置10は、半筒部314を閉塞するように覆う。
【0037】
半筒部314及びソケット部316には、図示しない係合突起が設けられる。係合突起は、薬液投与装置10に設けられた図示しない係合孔に係合される。この係合により、バイアルアダプタ310が薬液投与装置10に保持される。
【0038】
ソケット部316は、半筒部314の軸線方向における一端部から延出する。ソケット部316の内部には、管挿入孔334が設けられる。管挿入孔334の底部は、閉塞壁336である。この閉塞壁336には、針係合孔338が形成されている。針係合孔338は、閉塞壁336を貫通している。給気針332の他端部は、針係合孔338に挿入されている。ソケット部316において、半筒部314から離間する側の端部には、シール部356が設けられる。シール部356は、薬液投与装置10に向かって突出し、挿入孔286及び留置部32をシールする。
【0039】
次に、薬液投与装置10の具体的構成につき説明する。図4は、薬液投与装置10の全体概略正面図である。なお、図3では、薬液充填装置300に装填された状態の薬液投与装置10を示している。薬液投与装置10は、装置本体200と、装置本体200を覆う粘着シート202とを有する。使用前の薬液投与装置10において、粘着シート202は剥離紙204で覆われている。
【0040】
装置本体200は、第1部品であるカートリッジ210と、第2部品であるポンプユニット212とを備える。図3に示すように、ポンプユニット212は、粘着シート202が貼付されたカートリッジ210に対して着脱可能である。すなわち、粘着シート202は、ポンプユニット212には貼付されていない。
【0041】
カートリッジ210は、筐体230を有する。筐体230は、ベース部材232と、カバー部材280とを有する。薬液投与装置10が患者の皮膚SK(図8参照)に貼付されたとき、ベース部材232は、患者の身体を向く。粘着シート202は、ベース部材232に貼付される。カバー部材280は、ベース部材232の約半分を覆う。カバー部材280は、透明又は半透明である。従って、ユーザは、カバー部材280の外観を見て、筐体230内の収容物を視認することが可能である。
【0042】
ベース部材232において、カバー部材280に覆われない残り半分には、ポンプユニット212が配置される。筐体230内には、ポンプユニット212を保持するための図示しないホルダ部が設けられる。
【0043】
筐体230の内部には、穿刺部材30が収容される。穿刺部材30は、筐体230の略中心に位置する留置部32(カニューレ)と、留置部32の一端部に設けられる不図示の挿入針及び針ハブ44とを有する。ベース部材232の底部において、留置部32に対応する位置には開孔254が形成される。開孔254は、ベース部材232の底部の外面から内面にわたって貫通する。開孔254を介して、留置部32の針先端が筐体230の外部に突出する。
【0044】
なお、筐体230の内部には、ベース部材232の底部からカバー部材280に向かって延びる不図示のガイド部が設けられている。ガイド部には、ガイド部の延在方向に沿って延びるガイド孔が形成されている。穿刺部材30は、このガイド孔に移動可能に挿入されている。ガイド孔は、開孔254に連通する。
【0045】
カバー部材280には、挿入孔286が形成される。挿入孔286は、カバー部材280の内面から外面にわたって延びる貫通孔である。挿入孔286は、前記ガイド孔に重なる。すなわち、開孔254、ガイド孔及び挿入孔286は、ベース部材232の略中心において仮想直線上に並ぶ。
【0046】
筐体230には、リザーバ20が収容される。リザーバ20は、開放端26及び閉塞端28を有するシリンジである。閉塞端28には、薬液入口22及び薬液出口24が形成される。薬液入口22は、リザーバ20において、ベース部材232を向く面で開口している。薬液入口22には、バイアルアダプタ310(図1及び図3参照)に設けられた送液管330が挿入される。バイアル350内の薬液Lは、上記の操作によって、薬液入口22に挿入された送液管330を介してリザーバ20に流入する。閉塞端28における側部からは、筒状突部34が突出する。筒状突部34において、筐体230の内部を向く面には、薬液出口24が開口する。
【0047】
リザーバ20の内部には、ガスケット240が収容される。ガスケット240は、係合凹部242を有する。
【0048】
ポンプユニット212は、駆動部250を有する。駆動部250は、駆動装置としてのモータ218と、ギア220と、回転シャフト222と、プランジャ216とを有する。モータ218と回転シャフト222とは、ギア220を介して連結される。モータ218が駆動されることに伴って、ギア220及び回転シャフト222が回転する。
【0049】
プランジャ216は中空体であり、中空内部に回転シャフト222が挿入される。回転シャフト222の外周壁には、ねじ部223が形成されている。すなわち、回転シャフト222は送りねじである。回転シャフト222のねじ部223には、ナット224が螺合されている。プランジャ216は、ナット224に装着されている。従って、回転シャフト222が回転した場合、ナット224及びプランジャ216が回転シャフト222に沿って一体的に移動する。このようにして、ギア220の回転運動が、プランジャ216の直進運動に変換される。すなわち、プランジャ216が直線的に移動する。
【0050】
プランジャ216は、ヘッド部226を有する。後述するように、薬液Lがリザーバ20に充填される前、ヘッド部226はガスケット240から離間している。この状態から、不図示のリモートコントローラーから送信される指示に基づき、プランジャ216がガスケット240に向かって移動することにより、ヘッド部226は、ガスケット240の係合凹部242に係合される。
【0051】
穿刺部材30を構成する針ハブ44は、リザーバ20の薬液出口24に対し、送液チューブ50を介して接続される。薬液Lは、リザーバ20に貯留された後、送液チューブ50及び針ハブ44を介して留置部32に移動する。留置部32は、例えば、硬質プラスチックからなり、図示しないルーメンを有する。薬液Lは、ルーメン内を流通して患者に投与される。
【0052】
次に、薬液投与装置10の使用方法につき、リザーバ20に薬液Lを充填する充填方法との関係で説明する。なお、以下では、リザーバ20に薬液Lを満充填する場合を例示する。
【0053】
薬液投与装置10を使用可能な状態とするには、カートリッジ210内のリザーバ20に薬液Lを充填する。このため、ユーザは、図3に示すように、ポンプユニット212をカートリッジ210に取り付ける。これにより、装置本体200が構成される。なお、粘着シート202及び剥離紙204はベース部材232に予め貼付されている。また、バイアルアダプタ310はカートリッジ210に予め装着されている。バイアルアダプタ310とベース部材232との間には、粘着シート202及び剥離紙204が挟まれている。
【0054】
ユーザは、次に、バイアルアダプタ310が装着された薬液投与装置10を薬液充填装置300(図1及び図2参照)の装填スロット302に挿入する。この挿入に伴い、バイアルアダプタ310のソケット部316が、薬液充填装置300のレセプタクル部303(図2参照)に挿入される。その結果、ソケット部316の前記管挿入孔334に、給気管部306が挿入される。これにより、給気管部306と給気針332とは、ソケット部316の内部空間を介して連通する。
【0055】
薬液投与装置10のリザーバ20に薬液Lを充填する充填方法は、薬液充填装置300を用いて実施することができる。充填方法は、準備工程と、充填工程とを有する。
【0056】
準備工程では、図4及び図5に示すように、リザーバ20に薬液Lは充填されていない。以下、リザーバ20への薬液Lの充填が開始される前の状態を初期状態と呼ぶ。初期状態では、ガスケット240は、リザーバ20内において、充填開始位置に位置する。充填開始位置は、リザーバ20内におけるガスケット240の可動範囲の先端側である。この態様では、充填開始位置は、ガスケット240が薬液入口22及び薬液出口24を閉塞する位置(リザーバ20内でガスケット240が最も前進した位置)である。
【0057】
プランジャ216のヘッド部226は、リザーバ20内において、開放端26に近い初期位置に位置する。リザーバ20に薬液Lを充填する最中、モータ218は駆動されない。従って、ヘッド部226は、リザーバ20内の初期位置に位置した状態を維持する。このように、準備工程では、ガスケット240が充填開始位置に配置され、且つリザーバ20内においてガスケット240から離間した位置に、プランジャ216の先端部(ヘッド部226)が配置される。
【0058】
その後、ユーザは、バイアルアダプタ310のバイアル装着部312にバイアル350を装着する。このとき、バイアル350の薬液入出口を鉛直下方に向け、且つバイアル350の底部を鉛直上方に向ける。この装着に伴い、バイアルアダプタ310に設けられた給気針332及び送液管330の各一端部が栓部材352のセプタムを貫通する。なお、給気針332及び送液管330の各々の先端には、穿刺針が設けられる。このため、給気針332及び送液管330がセプタムを貫通することは容易である。
【0059】
この状態で、充填工程を実施する。具体的には、ユーザが手でレバー304を押し込むと、所定量の空気が圧縮されて給気管部306から排出される。圧縮空気は、ソケット部316の内部空間を流通した後、給気針332からバイアル350内に流入する。これにより、バイアル350内の薬液Lが空気に押される。その結果、薬液Lの一部が送液管330の中空内部を通過して、薬液入口22からリザーバ20内に流入する。
【0060】
薬液入口22に到達した薬液Lにより、ガスケット240が押圧される。この押圧により、図6に示すように、ガスケット240がリザーバ20の開放端26に向かって移動する。換言すれば、ガスケット240は、前記初期位置で待機しているヘッド部226に近づくように、基端方向に移動する。薬液Lの一部は、薬液入口22から送液チューブ50内に流入する。しかしながら、送液チューブ50の下流に位置する留置部32の先端開口は、シール部356によってシールされている。このシールに基づき、この時点において留置部32から薬液Lが漏洩することが防止される。
【0061】
上記のようにしてガスケット240が移動することにより、薬液入口22が開放される。従って、薬液Lが、薬液入口22からリザーバ20内に容易に流入する。初期状態ではガスケット240が薬液入口22及び薬液出口24を閉塞しているので、薬液Lに空気が混入することが抑制される。なお、ユーザは、カバー部材280の外方から、リザーバ20内に貯留された薬液Lの量を目視によって確認することができる。
【0062】
ガスケット240が上記のように移動する際、該ガスケット240は、リザーバ20の内面に案内される。従って、ガスケット240を案内する案内部材等をリザーバ20内に設ける必要は特にない。このため、リザーバ20内の部品点数が増加することが回避される。
【0063】
ユーザがレバー304から手を離すと、レバー304が元の位置に戻る。薬液Lの量が不十分である場合、ユーザは、レバー304の押し込みを繰り返す。以上により、図7に示すように、リザーバ20内に薬液Lが満充填される。ユーザは、この状態を確認し、レバー304の押し込みを終了する。これにより、バイアル350からリザーバ20への薬液Lの移動も終了する。
【0064】
リザーバ20内に薬液Lが満充填されたとき、本実施形態では、薬液Lに押圧されて移動したガスケット240は、リザーバ20の基端側(開放端26の近傍)に到達する。リザーバ20への薬液の充填完了時のガスケット240の位置は、投与開始位置である。投与開始位置は、ガスケット240がプランジャ216に接続される位置、あるいは、ガスケット240がプランジャ216に近接する位置である。
【0065】
ここで、ガスケット240には係合凹部242が形成されている。リザーバ20内の初期位置(開放端26の近傍)で待機しているヘッド部226は、例えば、図7に示すように、係合凹部242に挿入される。この場合、ガスケット240がプランジャ216(ヘッド部226)に装着される。その結果、ガスケット240がプランジャ216と一体的に移動可能となる。なお、ガスケット240が投与開始位置に到達したとき、ガスケット240はプランジャ216のヘッド部226に係合(接触)しなくてもよい。すなわち、ガスケット240が投与開始位置に到達したとき、ガスケット240とヘッド部226との間には隙間が存在してもよい。
【0066】
薬液Lを、満充填よりも少ない量でリザーバ20に充填する場合、ユーザは、初期状態において制御装置を操作し、モータ218を駆動させる。これにより、プランジャ216が閉塞端28に近づくように移動する。プランジャ216は、制御装置に設定された量の薬液Lが貯留される位置に到達したとき、制御装置の制御によって自動的に停止する。この状態で、上記と同様にしてリザーバ20に薬液Lが充填される。
【0067】
ガスケット240及びプランジャ216は、薬液Lのリザーバ20への充填が終了したときの位置を保つ。後述するように、患者への薬液Lの投与が開始されると、ガスケット240及びプランジャ216は、リザーバ20の閉塞端28(薬液入口22及び薬液出口24)に向かって移動する。従って、薬液Lのリザーバ20への充填が終了したときのガスケット240の位置は、投与開始位置でもある。投与開始位置は、ガスケット240の可動範囲の後端側である。すなわち、ガスケット240の可動範囲は、充填開始位置を先端方向とし、且つ投与開始位置を後端方向とする。
【0068】
以上から理解されるように、薬液Lをリザーバ20に充填する過程において、ガスケット240が移動することで該ガスケット240がプランジャ216に装着される。従って、プランジャ216を移動させる必要はない。このため、薬液Lを充填するために駆動部250を駆動する必要もない。これにより、駆動部250に大きな負荷が作用することが回避される。その結果、駆動部250が負荷から保護される。
【0069】
また、ガスケット240及びプランジャ216を薬液Lの圧力で移動させる場合、薬液Lの供給圧力を大きくする必要がある。これに対し、本実施形態では、ガスケット240のみを移動させる。ガスケット240のみを移動させるときに必要な薬液Lの圧力は、ガスケット240及びプランジャ216を移動させるときに必要な薬液Lの圧力よりも小さい。このため、薬液Lの供給圧力を小さくすることが可能である。
【0070】
ユーザは、次に、バイアルアダプタ310を介してバイアル350が装着された状態の薬液投与装置10を、装填スロット302から取り外す。その後、ユーザは、バイアルアダプタ310からバイアル350を取り外し、さらに、薬液投与装置10からバイアルアダプタ310を取り外す。
【0071】
ユーザは、次に、剥離紙204を粘着シート202から引き剥がす。これにより、粘着シート202の粘着面が現れる。ユーザは、次に、図8に示すように、粘着面を患者の所定部位の皮膚SKに貼付する。このとき、ベース部材232が患者の身体を向く。なお、所定部位としては腹部が例示される。また、薬液投与装置10は、一般的に、横長の長方形となる姿勢で皮膚SKに貼付される。
【0072】
本実施形態では、カートリッジ210にポンプユニット212を装着した状態で、リザーバ20に薬液Lを充填する。すなわち、薬液投与装置10を組み立てた後、リザーバ20に薬液Lを充填している。このため、ユーザが、薬液投与装置10の組立と、リザーバ20への薬液Lの充填とを誤りなく実施することが容易である。しかも、この場合、薬液充填装置300の装填スロット302から薬液投与装置10を取り外した後、該薬液投与装置10を即座に患者の皮膚SKに貼付することができる。
【0073】
ユーザは、次に、穿刺部材30を構成する留置部32を、患者の皮膚SKを介して身体に穿刺する。穿刺には、例えば、図8に示す穿刺装置370が用いられる。穿刺装置370は、装置本体200の全体を覆う。穿刺装置370は、プッシュロッド372を備える。穿刺装置370が装置本体200を覆ったとき、プッシュロッド372は、挿入孔286の上方に位置する。このとき、穿刺部材30は移動する前の状態である。この状態では、針ハブ44の頂部が挿入孔286内に挿入されている。
【0074】
ユーザが穿刺装置370に対して所定の操作を行うと、プッシュロッド372が穿刺装置370から突出し、挿入孔286内に進入する。プッシュロッド372は、挿入孔286内の針ハブ44の頂部を、ベース部材232の開孔254に向かって押し下げる。これに伴い、穿刺部材30が患者の皮膚SKに向かって移動する。留置部32の針先端は、開孔254から突出して患者の身体に穿刺される。
【0075】
留置部32は、患者の身体に留置される。薬液投与装置10から穿刺装置370を離脱させた後、ユーザは、制御装置を操作する。これにより、モータ218が駆動される。これに伴ってギア220が回転を開始し、且つ回転シャフト222が追従回転を開始する。ギア220及び回転シャフト222の回転運動は、ナット224を介してプランジャ216の直進運動に変換される。その結果、プランジャ216のヘッド部226がガスケット240を押圧する。これにより、図9に示すように、プランジャ216及びガスケット240がリザーバ20の閉塞端28に近づくように一体的に移動する。
【0076】
プランジャ216及びガスケット240が移動することにより、リザーバ20内の薬液Lがガスケット240に押される。従って、薬液Lが薬液出口24から流出する。薬液Lは、前記送液チューブ50に沿って移動し、留置部32のルーメンを流通する。薬液Lは、さらに、ルーメンから患者に持続的に投与される。
【0077】
薬液Lの投与が終了した場合、装置本体200は、粘着シート202が貼付されたカートリッジ210と、ポンプユニット212とに分離される。粘着シート202及びカートリッジ210は、衛生上の理由により、医療廃棄物として処分される。ポンプユニット212は、例えば、充電された後、図4と同様にして、新しいカートリッジ210に装着される。すなわち、ポンプユニット212は再使用される。
【0078】
上記から理解されるように、薬液Lのリザーバ20への充填中又は薬液Lの患者への投与中、駆動部250を構成するモータ218、ギア220、回転シャフト222、ナット224及びプランジャ216に薬液Lが接触することはない。従って、ポンプユニット212を再使用した場合であっても、衛生面の懸念は特にない。これに対し、カートリッジ210では、リザーバ20、ガスケット240、送液チューブ50及び留置部32が薬液Lに接触する。従って、薬液投与装置10を使用する都度、カートリッジ210を交換することにより、薬液投与装置10を良好な衛生状態に保つことができる。また、駆動部250を有するポンプユニット212を再使用することで、薬液投与装置10のランニングコストの低減を図ることができる。
【0079】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0080】
10…薬液投与装置 20…リザーバ
22…薬液入口 24…薬液出口
26…開放端 28…閉塞端
30…穿刺部材 32…留置部
44…針ハブ 50…送液チューブ
200…装置本体 210…カートリッジ
212…ポンプユニット 216…プランジャ
218…モータ 220…ギア
222…回転シャフト 224…ナット
226…ヘッド部 230…筐体
240…ガスケット 242…係合凹部
250…駆動部 254…開孔
286…挿入孔 300…薬液充填装置
302…装填スロット 303…レセプタクル部
304…レバー 306…給気管部
310…バイアルアダプタ 330…送液管
332…給気針 334…管挿入孔
350…バイアル 352…栓部材
370…穿刺装置 372…プッシュロッド
L…薬液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9