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特開2024-92121静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
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  • 特開-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092121
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20240701BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G03G9/08
G03G9/087 325
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207829
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂元 梓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成真
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑実
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500CA03
2H500CA06
2H500EA16A
2H500EA37B
2H500EA39B
2H500EA40B
2H500EA42B
2H500EA45B
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れた静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と、樹脂粒子を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である、静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と、樹脂粒子を含有するトナー粒子を有し、
示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、
50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、
前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、
前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である、静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)が1×10Pa以上5×10Pa以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記樹脂粒子の個数平均粒径が60nm以上300nm以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記樹脂粒子の含有量が、前記トナー粒子全体に対して、2質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記架橋樹脂粒子が、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、前記結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))が、0以上0.9以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
2℃/分の昇温時における、前記トナー粒子の前記樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa以上であり、かつ、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃以上90℃以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記結着樹脂がポリエステル樹脂である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記非晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の割合が60質量%以上100質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】

式(1)においてnは4以上12以下の整数である。
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。
【請求項10】
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’が2×10Pa以上1×10Pa以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項13】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項14】
請求項12に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項15】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項12に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項16】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項12に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「熱により、画像担持体に定着するトナーであって、該トナーのレオメーターによって測定した貯蔵弾性率G’が下記の条件を満たすことを特徴とするトナー。
・昇温時の100℃における貯蔵弾性率G’が1×10~1×10Pa
・降温時の100℃における貯蔵弾性率G’が1×10~1×10Pa
でかつ100℃における貯蔵弾性率G’の値が昇温時よりも降温時の方が高いこと。」が提案されている。
特許文献2には、「少なくとも結着樹脂、着色剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂が結晶性樹脂(A)を含有し、結晶性樹脂(A)が、2種以上の結晶性樹脂(a)を含有してなり、2種以上の結晶性樹脂(a)のそれぞれの吸熱ピーク温度の全体からなる吸熱ピーク温度の組が、2つ以上の異なる吸熱ピーク温度を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。」が提案されている。
特許文献3には、「静電潜像現像用トナーであって、結着樹脂と、着色剤とを有し、前記結着樹脂が、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含有するラジカル重合性モノマーユニットから得られる非晶性樹脂と、結晶性樹脂とを有し、示差走査熱量計により測定される、0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程における結晶性樹脂に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量Q1と、0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程における結晶性樹脂に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量Q2との比(Q2/Q1)が0.85以上であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。」が提案されている。
【0003】
特許文献4には、「結着樹脂、及び、結晶性物質を含有し、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、吸熱ピークが90℃以上115℃以下に存在し、動的粘弾性測定において、115℃以上125℃以下にtanδの極大値が存在し、かつ、該tanδの極大値が1以上2以下であり、該tanδの極大値におけるG”が10以上10以下であることを特徴とする、静電荷像現像用トナー。」が提案されている。
特許文献5には、「少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着脂が非晶性脂と結晶性脂とを含有し、前記トナーの示差走査熱量計により測定される昇温時のDSC曲線において、始点のオンセット温度が100~150℃、及び終点のオンセット温度が150~200℃であり、かつ半値幅が10~40℃の吸熱ピークが存在することを特徴とする静電荷像現像用トナー。」が提案されている。
特許文献6には、「少なくとも結着樹脂と、着色剤と、離型剤を含有するトナー母体粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記静電荷像現像用トナーの温度変調による粘弾性測定において、温度45℃、60℃のときの動的粘弾性の損失正接(tanδ)をそれぞれtanδ(45℃)、tanδ(60℃)とし、tanδ(45℃)に対するtanδ(60℃)の比の値を[tanδ(60℃)/tanδ(45℃)]としたときに、[tanδ(60℃)/tanδ(45℃)]が2.5~4.0の範囲内であり、かつ、60~70℃の温度範囲において、温度に対するtanδの曲線が極大値を一つ有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。」が提案されている。
【0004】
特許文献7には、「少なくとも、離型剤と結着樹脂とを含有するトナー母体粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、少なくとも、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記静電荷像現像用トナーの温度変調による粘弾性測定において、温度45℃、50℃、55℃、及び60℃のときの動的粘弾性の正接損失(tanδ)をそれぞれ、tanδ(45℃)、tanδ(50℃)、tanδ(55℃)、及びtanδ(60℃)とし、tanδ(45℃)に対するtanδ(55℃)の比の値を[tanδ(55℃)/tanδ(45℃)]、tanδ(50℃)に対するtanδ(60℃)の比の値を[tanδ(60℃)/tanδ(50℃)]及びtanδ(55℃)に対するtanδ(60℃)の比の値を[tanδ(60℃)/tanδ(55℃)]としたときに、下記式(1)~(3)を満たし、かつ、60~70℃の温度範囲において、温度に対するtanδの曲線が極大値を一つ有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1) [tanδ(60℃)/tanδ(55℃)]<[tanδ(55℃)/tanδ(45℃)]、
式(2) 1.0≦[tanδ(55℃)/tanδ(45℃)]≦5.0、
式(3) [(tanδ(60℃)/tanδ(50℃)]≦2.5」が提案されている。
特許文献8には、「結着樹脂と、融解温度の異なる少なくとも2種類の離型剤と、を含有し、tanδの極大値が60℃以上75℃以下の範囲内に存在し、示差走査熱量測定による前記離型剤の再結晶化ピークが少なくとも三つ存在し、前記再結晶化ピークのうちの熱量が最大となるピークの温度(Tw1)が、前記tanδの極大値の温度に対して+0.1℃以上+15℃以下の温度範囲に存在する静電荷像現像用トナー。」が提案されている。
【0005】
特許文献9には、「結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該結着樹脂が、直鎖アルキル基を分子鎖末端に有する非晶性ポリエステル樹脂であり、該結晶性ポリエステル樹脂が、ジオールとジカルボン酸との縮重合体であり、該直鎖アルキル基の炭素数をCaPESとし、該ジオールの炭素数をCOHとし、該ジカルボン酸のカルボキシ基に属する炭素を除いた炭素数をCAcとしたときに、該CaPES、該COH、及び該CAcが、下記(1)及び、(2)又は(3)の関係を満たし、該トナーの示差走査熱量分析装置で測定されるガラス転移温度が、40.0℃以上55.0℃以下であることを特徴とするトナー。
(1)8≦CaPES≦20
(2)CAc/COH≧3.5、かつ、0≦|CAc-CaPES|≦3
(3)COH/CAc≧3.5、かつ、0≦|COH-CaPES|≦3」が提案されている。
特許文献10には、「少なくとも結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、少なくともスチレン・アクリル樹脂と結晶性樹脂を含有し、前記静電潜像現像用トナーの断面における前記着色剤の平均分散径が、100~400nmの範囲内であり、前記静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度が、60~85℃の範囲内であり、かつ発熱ピークの半値幅が、7℃以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。」が提案されている。
特許文献11には、「少なくとも結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性樹脂を含有するトナーであって、前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)による降温チャートにおいて、半値幅10℃以下の発熱ピークが40℃以上60℃以下の範囲に存在し、前記トナーのDSCによる昇温チャートにおける吸熱ピーク温度と、前記発熱ピーク温度との差が、0℃以上30℃以下であることを特徴とするトナー。」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-009982号公報
【特許文献2】特開2014-199423号公報
【特許文献3】特開2011-197659号公報
【特許文献4】特開2016-070956号公報
【特許文献5】国際公開第2006/035862号
【特許文献6】特開2021-117422号公報
【特許文献7】特開2020-204686号公報
【特許文献8】特開2015-172646号公報
【特許文献9】特開2019-194682号公報
【特許文献10】特開2018-087901号公報
【特許文献11】特開2017-090810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下である静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15未満である場合、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2以上である場合、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%未満若しくは25質量%を超える場合、トナー粒子が樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子でない場合と比較して、プリントブロッキング(画像を形成した記録媒体を重ね合わせた際に、画像同士、又は画像と記録媒体が接着し、記録媒体をはがした場合に、画像ムラ、画像抜け等の画像欠陥が生じる現象)を抑制し、かつ定着性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段には、以下の手段が含まれる。
<1> 非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と、樹脂粒子を含有するトナー粒子を有し、
示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、
50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、
前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、
前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である、静電荷像現像用トナー。
<2> 前記樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)が1×10Pa以上5×10Pa以下である<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記樹脂粒子の個数平均粒径が60nm以上300nm以下である<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記樹脂粒子の含有量が、前記トナー粒子全体に対して、2質量%以上30質量%以下である<1>~<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記架橋樹脂粒子が、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子である<1>~<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【0009】
<6> 前記非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、前記結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))が、0以上0.9以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 2℃/分の昇温時における、前記トナー粒子の前記樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa以上であり、かつ、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃以上90℃以下である<1>~<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記結着樹脂がポリエステル樹脂である<1>~<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 前記非晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の割合が60質量%以上100質量%以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。
<10> 前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<11> 昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’が2×10Pa以上1×10Pa以下である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<13> <1>~<11>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<14> <12>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【0012】
<15> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<12>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<16> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<12>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0013】
<1>に係る発明によれば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下である静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15未満である場合、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2以上である場合、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%未満若しくは25質量%を超える場合、トナー粒子が樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)が1×10Pa未満又は5×10Paを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、前記樹脂粒子の個数平均粒径が60nm未満又は300nmを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、前記樹脂粒子の含有量が、前記トナー粒子全体に対して、2質量%未満又は30質量%を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<5>に係る発明によれば、前記架橋樹脂粒子が、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
【0014】
<6>に係る発明によれば、前記非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、前記結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))が、0未満又は0.9を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<7>に係る発明によれば、2℃/分の昇温時における、前記トナー粒子の前記樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満である場合、又は、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃未満若しくは90℃を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記結着樹脂がポリエステル樹脂でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、前記非晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の割合が1質量%未満若しくは30質量%を超える場合、又は前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の割合が60質量%未満である場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<10>に係る発明によれば、前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01>R1/R2又はR1/R2>0.40である場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<11>に係る発明によれば、昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’が2×10Pa未満又は1×10Paを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
<12>、<13><14>、<15>又は<16>に係る発明によれば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15未満であるトナーを備える場合、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2以上であるトナーを備える場合、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%未満若しくは25質量%を超えるトナーを備える場合、又はトナー粒子が樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子でないトナーを備える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーを備えた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0017】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0018】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、静電荷像現像用トナーを単に「トナー」ともいう)は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と、樹脂粒子を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である。
【0019】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、プリントブロッキングが抑制され、かつ定着性に優れるされる。その理由は、次の通り推測される。
【0020】
従来、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であるトナーは、低温定着性が良好であるが、記録媒体へのトナーの定着後において降温時のトナーの硬化が遅いことがあり、温度が低下しても柔軟な状態が維持されることがある。そのため、画像を形成した記録媒体を重ね合わせた際にプリントブロッキングが生じやすいことがある。
【0021】
本実施形態に係るトナーは、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上である。そして、結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下である。そうすることで、低温定着性を保ちつつ、記録媒体へのトナーの定着後において降温時のトナーの硬化を早めることができる。
また、本実施形態に係るトナーは、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満である。そうすることで、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有しやすくなり、画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた場合、画像が変形しにくくなる。
さらに本実施形態に係るトナーは、トナー粒子が樹脂粒子を含有し、樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である。架橋性樹脂粒子は、トナーの弾性を高め易くするため、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有しやすくなる。そうすることで、画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた場合、画像が変形しにくくなると同時に、トナー粒子の定着工程において定着ロールからの剥離性が高くなり、定着ロールへのトナー粒子及びトナー定着像の移行による画像欠損を防止し、高い定着性を実現できる。また架橋性樹脂粒子は、高分子鎖が架橋していることで前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の高分子鎖が粒子内に浸透せず、相溶しないため、降温時には非晶性樹脂と結晶性樹脂の相分離速度を高める、いわゆる結晶核剤として機能し、トナーの硬化速度を高める効果を有する。
【0022】
以上のことから、本実施形態に係るトナーは、上記構成により、プリントブロッキングが抑制されると推測される。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
【0023】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
【0024】
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、樹脂粒子と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0025】
-結着樹脂-
結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有する。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを示さず、階段状の吸熱変化を示す樹脂をいう。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
具体的には、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味し、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以下である樹脂を意味する。
【0026】
結着樹脂はポリエステル樹脂であることが好ましい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を適用することで、結着樹脂と樹脂粒子の親和性が向上し、トナー粒子中に樹脂粒子が均一に近い状態で分散されやすくなる。
【0027】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0028】
-非晶性樹脂-
非晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(中でもスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0029】
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよく、合成品を使用してもよい。
【0030】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0033】
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、溶媒にテトラヒドロフランを用いる。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0034】
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0035】
非晶性ポリエステル樹脂の形態例として、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0036】
脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族飽和ジカルボン酸及び脂肪族不飽和ジカルボン酸のいずれでもよく、脂肪族飽和ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族飽和ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖状のジカルボン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、テトラメチルコハク酸の分岐状のジカルボン酸;が挙げられる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0037】
非晶性ポリエステル樹脂の形態例として、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。式(1)で表される単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0038】
【化2】
【0039】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。nは、4以上11以下の整数であることが好ましく、4以上10以下の整数であることがより好ましく、4以上8以下の整数であることが更に好ましい。nが4未満の場合、分子としての運動性が高い分子エステル基の含有量が高くなることで、結晶性樹脂との相溶性が高くなり、相分離速度が低下し、トナーの硬化速度が低下してしまう。また樹脂の剛直性が低下し、トナー粒子においては現像機内の攪拌ストレスなどによる衝撃への耐性が低下してしまう。またnが10を超える場合、メチレン鎖部分が配向し易くなることで部分的に結晶性を有し、前記同様に耐衝撃性が低下してしまう。
【0040】
-結晶性樹脂-
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)などが挙げられる。トナーの機械的強度及び低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0041】
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよく、合成品を使用してもよい。
【0042】
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成する観点から、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0043】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、スルホン酸基を有するジカルボン酸、エチレン性二重結合を有するジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
多価アルコールは脂肪族ジオールを含むことが好ましい。多価アルコールに占める脂肪族ジオールの割合は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0046】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0047】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6000以上35000以下が好ましい。
【0048】
結晶性ポリエステル樹脂の形態例として、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0049】
脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族飽和ジカルボン酸及び脂肪族不飽和ジカルボン酸のいずれでもよく、脂肪族飽和ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族飽和ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖状のジカルボン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、テトラメチルコハク酸の分岐状のジカルボン酸;が挙げられる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0050】
結晶性ポリエステル樹脂の形態例として、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。式(2)で表される単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0051】
【化3】
【0052】
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。mは、5以上12以下の整数であることが好ましく、6以上11以下の整数であることがより好ましく、8以上10以下の整数であることが更に好ましい。mが4未満の場合、分子としての運動性が高い分子エステル基の含有量が高くなることで、非晶性樹脂との相溶性が高くなり、相分離速度が低下し、トナーの硬化速度が低下してしまう。
【0053】
-非晶性樹脂と結晶性樹脂との関係-
非晶性樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、結晶性樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
そして、非晶性ポリエステル樹脂は、上記式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、結晶性ポリエステル樹脂は、上記式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
さらに、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める上記式(1)で表される単位の割合が1質量%以上30質量%以下であり、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める上記式(2)で表される単位の割合が60質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
【0054】
本実施形態に係るトナーの結着樹脂に含まれる非晶性樹脂及び結晶性樹脂を上記構成とすることで脂肪族ジカルボン酸単位を含んでいない場合と比べて、柔軟性が高まることにより架橋性樹脂粒子がより均一に分散することができ、トナーの弾性を高めやすくするため、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有し易くなるため好ましい。
【0055】
脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める上記式(1)で表される単位の割合が4質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0056】
脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める上記式(2)で表される単位の割合が70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
【0057】
非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める上記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める上記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40であることが好ましく、0.05≦R1/R2≦0.3であることがより好ましく、0.1≦R1/R2≦0.2であることが更に好ましい。
【0058】
R1/R2を0.01以上とすることで、0.01未満である場合に比べ、非晶性樹脂と結晶性樹脂との親和性が高くなり、柔軟性が高まることにより架橋性樹脂粒子がより均一に分散することができ、トナーの弾性を高めやすくするため、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有し易くなるため好ましい。
R1/R2を0.4以下とすることで、0.4超である場合に比べ、非晶性樹脂と結晶性樹脂との親和性が適度な範囲とすることで、柔軟性が高くなり過ぎることで発生する、トナー粒子内での架橋性樹脂粒子の凝集が抑制され、より均一に分散することができ、トナーの弾性を高めやすくするため、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有し易くなるため好ましい。
【0059】
非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))は、0以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましく、0.3以上0.7以下であることが更に好ましい。
【0060】
非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差を0以上0.9以下とすることで、記録媒体へのトナーの定着後において降温時のトナーの硬化をより早めることができる。
【0061】
ここで、特定樹脂粒子の溶解度パラメータSP値(S)、及び結着樹脂の溶解度パラメ
ータSP値(R)(単位:(cal/cm1/2)は、沖津法により算出する。沖津
法については『日本接着学会誌、Vol.29、No.5(1993)』に詳細に記載さ
れている。
【0062】
結晶性樹脂の含有量は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、低温定着性の観点から、16質量%以上25質量%以下であることが好ましく、18質量%以上22質量%以下であることがより好ましい。
【0063】
-樹脂粒子-
トナー粒子は、樹脂粒子を含有する。そして、当該樹脂粒子は架橋性樹脂粒子である。
架橋性樹脂粒子とは、架橋構造を有する樹脂粒子である。
ここで、樹脂粒子が架橋構造を有するとは、樹脂粒子に含有される高分子構造中の特定の原子間に橋掛構造を有することを意味する。
樹脂粒子が有する架橋構造としては、例えば、イオン結合により架橋された架橋構造、共有結合により架橋された架橋構造等が挙げられる。これらの中でも、架橋樹脂粒子としては、共有結合により架橋された架橋構造を有することが好ましい。
【0064】
以下、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子に含有される架橋樹脂粒子を「特定樹脂粒子」と称する。
【0065】
特定樹脂粒子に用いられる樹脂の種類としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、αポリメチルスチレン等)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
特定樹脂粒子に用いられる樹脂の種類としては、上記の樹脂の中でも、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂が好ましい。
つまり、特定樹脂粒子としては、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子が好ましい。
【0066】
特定樹脂粒子として、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子を適用することで、トナー粒子がより弾性を有しやすくなる。
結晶性樹脂を含有し、低温定着性に優れたトナー粒子において、特定樹脂粒子によりトナー粒子の弾性を付与するためには、結晶性樹脂との親和性が高いことが重要となる。結晶性樹脂は、高分子鎖中に結晶性を発現する直鎖状メチレン鎖を有しており、結晶性樹脂中の直鎖状メチレン鎖と、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂中の主鎖を構成するメチレン鎖の構造の類似性から親和性が高く、弾性を有し易くなると推測される。一方で、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂を構成する(メタ)アクリル部が長鎖アルキル鎖を含有する場合、結晶性樹脂中の直鎖状メチレン鎖と側鎖部分の(メタ)アクリル部の親和性が高くなり、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂としての親和性が逆に低下してしまい、トナー粒子へ弾性を付与する効果が低下してしまう。以上の観点から、(メタ)アクリル部のアルキル鎖の炭素数は6以下が好ましい。
【0067】
特定樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)は1×10Pa以上5×10Pa以下であることが好ましく、1×10Pa以上5×10Pa以下であることが更に好ましい。
【0068】
特定樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)を1×10Pa以上5×10Pa以下とすることで、特定樹脂粒子が一定以上の弾性を有しやすくなる。そのため、記録媒体へ定着されたトナーが弾性を有しやすくなり、画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた場合、画像が変形しにくくなる。
【0069】
特定樹脂粒子の個数平均粒径は60nm以上300nm以下であることが好ましく、100nm以上200nm以下であることがより好ましく、130nm以上170nm以下であることが更に好ましい。
【0070】
特定樹脂粒子の個数平均粒径を60nm以上300nm以下とすることで、トナー粒子中の特定樹脂粒子の分散性が向上する。
個数平均粒径が60nm未満の場合、樹脂粒子同士の凝集が発生し易くなるため、トナー粒子中での分散性が低下してしまう。また300nm超の場合、トナー粒径に対して内包する樹脂粒子としては、粒径が大きいため、トナー粒子中の分散性が低下してしまう。
特定樹脂粒子の結晶核剤としての機能は、粒子表面を起点として結晶性樹脂の結晶が成長することで発現すると推測され、トナー粒子中の分散性が低くなると、結晶ドメインが偏在してしまい、硬化速度を高める効果が低下する。
【0071】
特定樹脂粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定される値である。
透過型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子社製、JEM-2100plusが使用可能である。
以下、特定樹脂粒子の個数平均粒径の測定方法について具体的に説明する。
トナー粒子をミクロトームで0.1μm程度の厚さに切る。トナー粒子の断面を透過型電子顕微鏡で10000倍の写真を撮り、トナー粒子中に分散している100個の特定樹脂粒子について、個々の断面積よりその円相当径を算出する。得られた円相当径の個数基準の累積頻度における50%径(D50p)を、特定樹脂粒子の個数平均粒径とする。
【0072】
特定樹脂粒子の含有量は、トナー粒子全体に対して、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0073】
特定樹脂粒子の含有量を、トナー粒子全体に対して、2質量%以上30質量%以下とすることで、トナーが弾性をより有しやすくなる。
【0074】
特定樹脂粒子は、例えば、次のスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体をラジカル重合によって重合した樹脂が挙げられる。
【0075】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレンや、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4-フルオロスチレン、2,5-ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等が挙げられる。その中でも、スチレン、α-メチルスチレン、が好ましい。
【0076】
(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸n-メチル、(メタ)アクリル酸n-エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-βカルボキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その中でも、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸-βカルボキシエチル、が好ましい。
【0077】
架橋樹脂粒子において、樹脂を架橋するための架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル、トリメシン酸トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール-2-カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖多価アルコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ、1、3-ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル、イタコン酸ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’-チオジプロピオン酸ジビニル、trans-アコニット酸ジビニル、trans-アコニット酸トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これらの中でも、架橋剤としては炭素数6以上12以下のアルキレン鎖を有する2官能アルキルアクリレートを用いることが好ましい。アルキレン鎖の炭素数が上記範囲とすることで、架橋樹脂粒子の弾性を一定の範囲に制御することが可能となる。炭素数が6未満の場合、架橋密度が高く、架橋点間距離が短くなることで、樹脂粒子の弾性が高くなり、トナー画像の弾性が向上し、トナー画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた際の画像の変形が抑制されるが、一方でトナー粒子の定着工程においては、弾性が高くなり過ぎてしまい、定着性が悪化してしまう。炭素数が12超の場合、架橋密度が低く、架橋点間距離が長くなることで樹脂粒子の弾性が低くなり、トナー画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた際の画像変形の抑制効果が低下してしまう。
架橋密度を適度な範囲に調整する観点から、2官能アルキルアクリレートにおけるアルキレン鎖の炭素数としては、6以上が好ましく、6以上12以下がより好ましく、8以上12以下がさらに好ましい。より具体的な2官能アルキルアクリレートとしては、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールメタクリレート、1,8-オクタンジオールジアクリレート、1,8-オクタンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレートが挙げられ、その中でも1,10-デカンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレートであることが好ましい。
【0078】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0080】
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0081】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0082】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0083】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0084】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0085】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0086】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0087】
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0088】
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0089】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0090】
2℃/分の昇温時における、トナー粒子の特定樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa以上であり、かつ、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃以上90℃以下であることが好ましい。
【0091】
トナー粒子の特定樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性を当該構成とすることで、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa 未満である場合に比べて、トナーの耐熱保管性が良好であり、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70 ℃未満の場合に比べて、トナーの耐熱保管性が良好であり、また90℃超である場合に比べて、良好な定着性が得られやすいため好ましい。
【0092】
トナー粒子の特定樹脂粒子以外の成分の貯蔵弾性率G’(t)は以下の通り測定する。
具体的には、まず、トナー粒子から特定樹脂粒子を除外して除外成分のみを取り出し、除外成分をプレス成型機により、25℃で錠剤型に成形することで、測定用試料を作製する。トナー粒子から特定樹脂粒子を除外して除外成分のみを取り出す方法としては、例えば、結着樹脂を溶解し特定樹脂粒子を溶解しない溶剤にトナー粒子を浸漬し、除外成分を抽出することで取り出す方法等が挙げられる。そして、得られた測定用試料を、直径8mmのパラレルプレートに挟み、歪み量0.1%~100%で、測定温度を30℃から150℃まで2℃/分で昇温させて、以下の条件で動的粘弾性測定を実施し、貯蔵弾性率G’を求める。
-測定条件-
測定装置:レオメータARES-G2(ティー・エイ・インスツルメント社製)
測定治具:8mmパラレルプレート
ギャップ:3mmに調整
周波数:1Hz
【0093】
2℃/分の昇温時における、トナー粒子の特定樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)は1×10以上1×10以下であることがより好ましく、1×10以上5×10以下であることが更に好ましい。
【0094】
2℃/分の昇温時における、トナー粒子の特定樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度は70℃以上80℃以下であることがより好ましく、70℃以上75℃以下であることが更に好ましい。
【0095】
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0096】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0097】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0098】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0099】
(トナーの特性)
本実施形態に係るトナーは、示差走査熱量分析において結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、低温定着性の観点から、65℃以上72℃以下であることが好ましく、67℃以上70℃以下であることがより好ましい。
【0100】
結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcの測定は、以下の通り行う。
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC-60A)に測定対象のトナー10mgをセットし、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで加熱して5分間150℃で保持し、昇温過程での昇温スペクトル(DSC曲線)を得る。昇温スペクトル(DSC曲線)から、結晶性樹脂由来の吸熱ピークを特定し、当該吸熱ピークの極小値における温度を結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcとする。
【0101】
本実施形態に係るトナーは、トナーを150℃で溶融した後、吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、Q2に対するQ1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、ブロッキングの抑制の観点から、比(Q1/Q2)は0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
比(Q1/Q2)の上限値は1.0であってもよい。
【0102】
ブロッキングの抑制の観点から、吸熱量であるQ1は、2J/g以上12J/g以下であることが好ましく、4J/g以上10J/g以下であることがより好ましく、5J/g以上9J/g以下であることが更に好ましい。
【0103】
吸熱量であるQ1及びQ2は以下の通り測定する。
・Q1の測定手順
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC-60A)に測定対象のトナー10mgをセットし、150℃まで加熱してトナーを溶融させる。その後、吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持する。その後、10℃/分の昇温速度でTc-10℃から150℃まで昇温し、昇温過程での昇温スペクトル(DSC曲線)を得る。昇温スペクトル(DSC曲線)から、結晶性樹脂由来の吸熱ピークを特定し、結晶性樹脂由来の吸熱ピークの面積を吸熱量であるQ1として算出する。吸熱ピークの面積は、結晶性樹脂由来の吸熱ピークから、ASTMD3418-8(2008)に準拠し、ベースラインと吸熱ピークで囲まれる領域の面積である。
・Q2の測定手順
吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却した際の保持時間を30分に変更したこと以外はQ1の測定手順と同一の手順で測定する。
【0104】
本実施形態に係るトナーは、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、ブロッキングの抑制の観点から、1.1以下であることが好ましい。
50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最小値は0.5以上、好ましくは0.8以上であってもよい。
【0105】
トナーの50℃以上70℃以下における損失係数tanδ(t)はレオメーターを用いて測定される値である。
レオメーターとしては、例えば、TA Instruments製の製品名「ARES-G2」が使用可能である。
以下、トナーの50℃以上70℃以下における損失係数tanδ(t)の測定手順について具体的に説明する。
測定対象であるトナーをプレス成型機を用いて25℃で成形することで、錠剤形(厚さ3.0mm、直径8.0mmの円盤状)の測定サンプルを調製する。そしてこの測定サンプルを使用して、レオメーターにより、以下の条件で損失係数を測定する。
測定サンプルが50℃以上70℃以下の時に測定される損失係数を、トナーの50℃以上70℃以下における損失係数tanδ(t)とする。
・条件
測定装置:レオメーターARES(ティー・エイ・インスツルメント社製)
測定治具:8mmパラレルプレート
ギャップ:3mmに調整
周波数:1Hz
【0106】
昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’は2×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましく、2×10Pa以上5×10Pa以下であることがより好ましい。
【0107】
昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’を2×10Pa以上1×10Pa以下とすることで、2×10Pa未満である場合、記録媒体へ定着されたトナーの粘度が低く、画像が形成された記録媒体同士を重ね合わせた場合、画像がブロッキングし易くなってしまう。また1×106 Pa超である場合、定着時のトナーの溶融性が低下し、定着性が低下してしまうため、上記範囲に制御することが好ましい。
【0108】
トナーの75℃における貯蔵弾性率G’の測定は以下の通り行う。
測定対象となるトナーに対して圧力を付与することで、厚さ2mm、直径8mmの円盤状試料を作製し、測定用試料として使用する。そして、得られた測定用試料である円盤状試料を、直径8mmのパラレルプレートに挟み、歪み量0.1~100%で、測定温度を23℃から80℃まで2℃/分で昇温させて、以下の条件で動的粘弾性測定を実施する。測定により得られた貯蔵弾性率及び損失弾性率の各曲線から、75℃における貯蔵弾性率G’を求める。
-測定条件-
測定装置:レオメーターARES-G2(ティー・エイ・インスツルメント社製)
ギャップ:3mmに調整
周波数:1Hz
【0109】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0110】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0111】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる結着樹脂粒子が分散された結着樹脂粒子分散液、及び特定樹脂粒子となる樹脂粒子が分散された特定樹脂粒子分散液を準備する工程(分散液準備工程)と、分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、結着樹脂粒子、及び特定樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0112】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、離型剤及び着色剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、離型剤及び着色剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、離型剤及び着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0113】
-分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる結着樹脂粒子が分散された結着樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0114】
ここで、結着樹脂粒子分散液は、例えば、結着樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0115】
結着樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0116】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニ
オン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0117】
結着樹脂粒子分散液において、結着樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、結着樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて結着樹脂粒子分散液中に結着樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0118】
結着樹脂粒子分散液中に分散する結着樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、結着樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー波形式粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコールター社製、LS-13 320)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0119】
結着樹脂粒子分散液に含まれる結着樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0120】
なお、結着樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、結着樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0121】
・特定樹脂粒子分散液の調製
特定樹脂粒子分散液の調製方法としては、例えば、乳化重合法、バンバリーミキサーやニーダー等を用いる溶融混練法、懸濁重合法、噴霧乾燥法等、公知の方法が適用されるが、乳化重合法が好ましい。
【0122】
損失係数を好ましい範囲内とする観点から、単量体としてスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を用い、架橋剤存在下で重合することが好ましい。
また、特定樹脂粒子の製造において、複数回の乳化重合を行うことが好ましい。
以下、特定樹脂粒子の製造方法についてより具体的に説明する。
【0123】
特定樹脂粒子分散液の調製方法は、
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を含む乳化液を得る工程(乳化液調製工程)と、
乳化液に対して重合開始剤を添加し、加熱することで単量体を重合する工程(乳化重合工程)と、を含むことが好ましい。
【0124】
・乳化液調製工程
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を含む乳化液を得る工程である。
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を、乳化機により乳化することで乳化液を得ることが好ましい。
乳化機としては、例えば、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の撹拌羽根を備えた回転式攪拌機、スタティックミキサー等の静止型混合器、ホモジナイザー、クレアミックス等のローター・ステーター型乳化機、磨砕機能を備えたミル型乳化機、マントンゴーリン式圧力乳化機等の高圧乳化機、高圧下でキャビテーションを発生させる高圧ノズル型乳化機、マイクロフルイダイザー等の高圧下で液同士を衝突させることによりせん断力を与える高圧衝突型乳化機、超音波でキャビテーションを発生させる超音波乳化機、細孔を通して均一乳化を行う膜乳化機等が例示される。
【0125】
単量体としてはスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を用いることが好ましい。
架橋剤としては既述のものが適用される。
【0126】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。これらの中でも、アニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0127】
乳化液は連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤としては特に制限はないが、チオール成分を有する化合物を用いることができる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。
【0128】
・乳化重合工程
乳化液に対して重合開始剤を添加し、加熱することで単量体を重合する工程である。
ここで、重合する際、重合開始剤を含んだ乳化液(反応溶液)を撹拌機により撹拌することが好ましい。
撹拌機としては、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の撹拌羽根を備えた回転式撹拌機が挙げられる。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
【0129】
乳化重合工程において、単量体の転化率95%が以上となった時に界面活性剤を添加して製造することが好ましい。転化率が95%以上となった時に界面活性剤を添加することで、樹脂粒子表面に界面活性剤が配置され、樹脂粒子の分散性が高くなる。それにより、トナー粒子中において樹脂粒子同士の凝集が抑制され、分散性が向上する。転化率95%未満で界面活性剤を添加して製造した場合、樹脂粒子内部に界面活性剤が浸入し、樹脂粒子の分散性を向上する効果が低下してしまう。
【0130】
転化率の測定は以下の通り行う。
重合反応中の特定樹脂粒子分散液をフラスコ内からサンプリングし、水分計(エーアンドデイ社製MX50)も使用して、固形分量を測定する。測定した固形分量を特定樹脂粒子分散液の仕込み固形分量で除した値を転化率とした。
【0131】
界面活性剤としては、既述のものが適用可能である。
【0132】
以上の工程を経て、特定樹脂粒子分散液を製造することが好ましい。
【0133】
-凝集粒子形成工程-
次に、結着樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、樹脂粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、結着樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子と樹脂粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、結着樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子と樹脂粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0134】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0135】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0136】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0137】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、結着樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば結着樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0138】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、結着樹脂粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに結着樹脂粒子及び離型剤粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0139】
-アニール処理工程-
本実施形態に係るトナーは、融合・合一工程の後、アニール処理工程(加熱処理)を行うことが好ましい。
アニール処理工程は、例えば、得られたトナー粒子を40℃以上70℃以下の温度まで加熱し、その温度で0.5時間以上15時間以下の範囲で保持する工程である。
【0140】
-その他の工程-
ここでアニール工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0141】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0142】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0143】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0144】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0145】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0146】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0147】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0148】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0149】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0150】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0151】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0152】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0153】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0154】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0155】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0156】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0157】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0158】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
【0159】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0160】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0161】
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0162】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0163】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0164】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0165】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0166】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0167】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0168】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0169】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0170】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0171】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例0172】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0173】
<非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製>
・テレフタル酸 :74.5モル部
・フマル酸 :3.0モル部
・アジピン酸 :3.8モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :86.9モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 :71.1モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を200℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.1部を投入した。生成する水を留去しながら5時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。
【0174】
反応物を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した濃度0.33質量%のアンモニア水を、熱交換器で150℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件でキャビトロンCD1010を運転し、体積平均粒径70nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。該樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を30質量%に調整して、非晶性樹脂粒子分散液とした。
【0175】
<非晶性樹脂粒子分散液(2)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を135℃に変更した以外は同様の方法で作製し、非晶性樹脂粒子分散液(2)を得た。
【0176】
<非晶性樹脂粒子分散液(3)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を120℃、及び圧力を3kg/cm2に変更した以外は同様の方法で作製し、非晶性樹脂粒子分散液(3)を得た。
【0177】
<非晶性樹脂粒子分散液(4)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を120℃、及び圧力を2kg/cm2に変更した以外は同様の方法で作製し、非晶性樹脂粒子分散液(4)を得た。
【0178】
<非晶性樹脂粒子分散液(A1)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・テレフタル酸 :82.3モル部
・フマル酸 :0.2モル部
・アジピン酸 :0.3モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :80.6モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 :77.4モル部
に変更した以外は同様の方法で作製し、
非晶性樹脂粒子分散液(A1)を得た。
【0179】
<非晶性樹脂粒子分散液(A2)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・テレフタル酸 :81.3モル部
・フマル酸 :0.6モル部
・アジピン酸 :0.7モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :80.6モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 :77.4モル部
に変更した以外は同様の方法で作製し、
非晶性樹脂粒子分散液(A2)を得た。
【0180】
<非晶性樹脂粒子分散液(A3)の調製>
非晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・テレフタル酸 :58.1モル部
・フマル酸 :8.7モル部
・アジピン酸 :11.0モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :99.5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 :58.5モル部
に変更した以外は同様の方法で作製し、
非晶性樹脂粒子分散液(A3)を得た。
【0181】
<非晶性樹脂粒子分散液S1の調製>
・スチレン : 72部
・n-ブチルアクリレート : 27部
・アクリル酸β-カルボキシエチル :1.3部
・ドデカンチオール : 2部
上記の材料を混合して溶解した混合物を、アニオン性界面活性剤(TaycaPowe
r、テイカ(株)製)1.2質量部をイオン交換水100質量部に溶解した界面活性剤溶
液に、フラスコ中で分散及び乳化した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら20分間かけ
て、過硫酸アンモニウム6質量部をイオン交換水50質量部に溶解した水溶液を投入した
。次いで、窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が75℃になるまでオ
イルバスで加熱し、75℃に4時間維持して乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒
径160nm、重量平均分子量56000の非晶性スチレンアクリル樹脂の樹脂粒子が分
散した樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を3
1.4質量%に調整して、非晶性樹脂粒子分散液S1とした。
【0182】
<結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製>
・ドデカン二酸 :225部
・1,6-ヘキサンジオール :115部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、ジブチル錫オキサイド0.8質量部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間脱水縮合反応を継続した。その後、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間撹拌を行った。その後、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
結晶性ポリエステル樹脂を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した濃度0.33質量%のアンモニア水を、熱交換器で90℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件でキャビトロンCD1010を運転し、結晶性樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。該樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を30質量%に調整して、結晶性樹脂粒子分散液(1)とした。
【0183】
<結晶性樹脂粒子分散液(2)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を105℃に変更した以外は同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(2)を得た。
【0184】
<結晶性樹脂粒子分散液(3)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を130℃に変更した以外は同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(3)を得た。
【0185】
<結晶性樹脂粒子分散液(4)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を80℃、及び圧力を3kg/cmに変更した以外は同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(4)を得た。
【0186】
<結晶性樹脂粒子分散液(5)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、キャビトロンCD1010への移送後の温度を80℃、及び圧力を2kg/cmに変更した以外は同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(5)を得た。
【0187】
<結晶性樹脂粒子分散液(B1)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :225部
・エチレングリコール :60部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(B1)を得た。
【0188】
<結晶性樹脂粒子分散液(B2)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・セバシン酸 :197部
・1,6-ヘキサンジオール :115部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(B2)を得た。
【0189】
<結晶性樹脂粒子分散液(B3)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :137部
・1,9-ノナンジオール :156部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(B3)を得た。
【0190】
<結晶性樹脂粒子分散液(B4)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,12-ドデカンジカルボン酸 :253部
・1,10-デカンジオール :170部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(B4)を得た。
【0191】
<結晶性樹脂粒子分散液(C1)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :180部
・テレフタル酸 :45部
・1,6-ヘキサンジオール :124部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(C1)を得た。
【0192】
<結晶性樹脂粒子分散液(C2)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :164部
・テレフタル酸 :61部
・1,6-ヘキサンジオール :127部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(C2)を得た。
【0193】
<結晶性樹脂粒子分散液(C3)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :137部
・テレフタル酸 :88部
・1,6-ヘキサンジオール :133部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(C3)を得た。
【0194】
<結晶性樹脂粒子分散液(C4)の調製>
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、材料を
・1,10-ドデカン二酸 :133部
・テレフタル酸 :92部
・1,6-ヘキサンジオール :133部
に変更した以外は、同様の方法で作製し、結晶性樹脂粒子分散液(C4)を得た。
【0195】
上記手順で作製した非晶性樹脂粒子分散液及び結晶性樹脂粒子分散液の、非晶性樹脂粒子及び結晶性樹脂粒子の体積平均粒径について、下記表1-1及び表1-2に示す。
なお、非晶性樹脂粒子及び結晶性樹脂粒子の体積平均粒径の測定は、既述のトナー粒子の体積平均粒径の測定手順と同一とした。
【0196】
【表1-1】
【0197】
【表1-2】
【0198】
<特定樹脂粒子分散液(1)の作製>
・スチレン:48部
・ブチルアクリレート:52部
・アクリル酸カルボキシエチル:0.3部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1):0.8部
・1.10-デカンジオールジアクリレート:1.8部
上記原料を混合溶解し、イオン交換水60部を加えてフラスコ中で分散、乳化し、乳化液を作製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)1.3部をイオン交換水90部に溶解させ、その中に前記乳化液1部加え、さらに、過硫酸アンモニウム5.4部を溶解したイオン交換水10部を投入した。フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで65℃になるまで加熱し、その後、乳化液の残りを3時間かけて投入し、7時間そのまま乳化重合を継続した。単量体(すなわち、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸カルボキシエチル及びデカンジオールジアクリレート)の転化率が98.1%であることを確認し、液温が65℃の状態でアニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を1.0部添加し、1時間保持した後、30℃まで急冷し、特定樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0199】
<特定樹脂粒子分散液(2)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料のアニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)の量を1.8部に変更し、転化率が98.1%であることを確認した後に添加するアニオン性界面活性剤を、添加しなかったこと以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(2)を得た。
【0200】
<特定樹脂粒子分散液(3)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料のスチレンの量を42部、ブチルアクリレートの量を58部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(3)を得た。
【0201】
<特定樹脂粒子分散液(4)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料のスチレンの量を38部、ブチルアクリレートの量を62部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(4)を得た。
【0202】
<特定樹脂粒子分散液(5)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料のスチレンの量を51部、ブチルアクリレートの量を49部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(5)を得た。
【0203】
<特定樹脂粒子分散液(6)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料のスチレンの量を55部、ブチルアクリレートの量を45部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(6)を得た。
【0204】
<特定樹脂粒子分散液(7)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液1部を加える、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を添加したイオン交換水90部の、アニオン性界面活性剤の量を2.0部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(7)を得た。
【0205】
<特定樹脂粒子分散液(8)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液1部を加える、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を添加したイオン交換水90部の、アニオン性界面活性剤の量を2.3部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(8)を得た。
【0206】
<特定樹脂粒子分散液(9)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液1部を加える、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を添加したイオン交換水90部の、アニオン性界面活性剤の量を0.7部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(9)を得た。
【0207】
<特定樹脂粒子分散液(10)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液1部を加える、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を添加したイオン交換水90部の、アニオン性界面活性剤の量を0.5部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(10)を得た。
【0208】
<特定樹脂粒子分散液(11)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料の1.10-デカンジオールジアクリレートの量を0部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(11)を得た。
【0209】
<特定樹脂粒子分散液(12)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料の1.10-デカンジオールジアクリレートの量を1.2部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(12)を得た。
【0210】
<特定樹脂粒子分散液(13)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料の1.10-デカンジオールジアクリレートの量を0.8部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(13)を得た。
【0211】
<特定樹脂粒子分散液(14)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料の1.10-デカンジオールジアクリレートの量を2.5部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(14)を得た。
【0212】
<特定樹脂粒子分散液(15)の作製>
特定樹脂粒子分散液(1)の調製において、原料の1.10-デカンジオールジアクリレートの量を3.1部に変更した以外は同様の方法で作製し、特定樹脂粒子分散液(15)を得た。
【0213】
<特定樹脂粒子分散液(P1)の作製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:160部
・ブチルアクリレート:102部
・10%アンモニア水溶液:2.6部
上記成分とイオン交換水321部を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー
(IKA社製、ウルトラタラックスT50)の回転数を10000rpmにして10分間
分散して混合した。その後、2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備え
た重合釜に原料分散液を移し、窒素雰囲気下で攪拌回転数を200rpmにしてマントル
ヒーターにて加熱し始め、65℃にて30分保持した。その後、過硫酸カリウム:1.8
部とイオン交換水:120部の混合液を送液ポンプにより120分かけて滴下した後、7
5℃で210分保持した。液温を50℃まで下げた後、アニオン性界面活性剤(ダウケミ
カル社製、Dowfax2A1):4.4部を加えて、特定樹脂分散液樹脂P1の粒子分散液である特定樹脂粒子分散液P1を得た。
【0214】
上記手順で作製した特定樹脂粒子分散液の、特定樹脂粒子の体積平均粒径について、下記表1-3に示す。
なお、特定樹脂粒子の体積平均粒径の測定は、既述のトナー粒子の体積平均粒径の測定手順と同一とした。
【0215】
【表1-3】
【0216】
<着色剤分散液の調製>
・C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業): 70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製ネオゲンRK) : 5部
・イオン交換水 :200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径170nmの着色剤粒子が分散された着色剤分散液を得た。
【0217】
<離型剤分散液の調製>
・合成ワックス(日本精蝋社製、FNP92RF、融解温度:92℃):50部
・アニオン性界面活性剤(テイカ(株)製TaycaPower) :1部
・イオン交換水 :150部
上記の材料を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、離型剤粒子が分散された離型剤分散液(固形分量30質量%)を得た。離型剤粒子の体積平均粒径は250nmであった。
【0218】
<実施例1>
(仕込み)
・非晶性樹脂粒子分散液(1):165部
・特定樹脂粒子分散液(1):49部
・結晶性樹脂粒子分散液(1):70部
・離型剤分散液:25部
・着色剤分散液:33部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1):4.8部
液温を10℃に調整した上記原料を3Lの円筒ステンレス容器に入れた。
【0219】
(凝集粒子形成工程)
ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら2分間分散して混合した。次いで、凝集剤として10%硫酸アルミニウム水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を10000rpmにして10分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、攪拌回転数を550rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Mの硝酸や1Mの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2から3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
【0220】
(コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程)
次に、非晶性樹脂粒子分散液(1):48部追添加し、30分間保持し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。光学顕微鏡及びマルチサイザー3で粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。
【0221】
(融合・合一工程)
その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.8に調整し、15分間保持した。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、85℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、2時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。
【0222】
(アニール処理工程)
液温が30℃に到達した後に、1.0℃/分の昇温速度で第1アニール温度である67℃に昇温し、67℃に到達した後に5.0℃/分の降温速度で第2アニール温度である50℃に降温し、50℃に到達した後に1.0℃/分の昇温速度で第3アニール温度である61℃に昇温し、アニール時間として3時間保持した後に加熱を止め、室温まで徐冷した。
【0223】
(その他の工程)
その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機を用いて、乾燥温度40℃で乾燥してトナー粒子を得た。
【0224】
(トナー及び現像剤の作製)
得られたトナー粒子100部とジメチルシリコーンオイル処理シリカ粒子(日本アエロジル社製RY200)0.7部とを、ヘンシェルミキサーにより混合し、トナーを得た。
そして、得られたトナー8部と下記手順で作成したキャリア100部とを混合して、現像剤を得た。
【0225】
-キャリアの作製-
・フェライト粒子(平均粒径50μm) 100部
・トルエン 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比15/85) 3部
・カーボンブラック 0.2部
フェライト粒子を除く上記成分をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、攪拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
【0226】
<実施例2~42、比較例1~6>
「使用した非晶性樹脂粒子分散液、結晶性樹脂粒子分散液、及び特定樹脂粒子分散液の種類並びに添加量」、「アニール処理工程の実施の有無」、「アニール処理工程におけるアニール温度」、「トナー乾燥温度」を表2-1及び表2-2の通りに変更したこと以外は実施例1と同一の手順でトナー及び現像剤を作製した。
表2-1及び表2-2中、アニール温度の下欄に記載された温度の記載が、矢印を含む3つの数値で記載されている場合、一番左から、第1アニール温度、第2アニール温度及び第3アニール温度である。1つの数値のみ記載されている場合、その温度でアニール時間の間アニール処理していることを意味する。
【0227】
【表2-1】
【0228】
【表2-2】
【0229】
<評価>
(プリントブロッキング性評価)
定着器を取り出したカラー複写機Versant 3100i Press(富士フイルムビジネスイノベーション(株)社製)の現像器に得られた現像剤を充填し、トナー載り量が0.100mg/cm、画像サイズは100mm×150mmとなるように調整して定着画像を両面に出力した。記録媒体としては富士フイルムビジネスイノベーション(株)社製の印刷用紙であるOSコート紙W(坪量157g/m)A4サイズを用いた。
28℃、95RH%環境下で500枚プリントし、排出トレイに重ね合わせた後、一晩放置した。
重ね合わせた用紙を一枚ずつ剥離し、画像欠損の有無を確認し、欠損有の枚数により、プリントブロッキング性を評価した。なお評価基準は下記の通りである。
-評価基準-
G1:画像欠損が全く見られなかった。
G2:画像欠損有の枚数が1以上5未満である。
G3:画像欠損有の枚数が5以上10未満である。
G4:画像欠損有の枚数が10以上である。
【0230】
(定着性評価)
定着器を取り出したカラー複写機ApeosPortIV C3370(富士フイルムビジネスイノベーション(株)社製)の現像器に、得られた現像剤を充填し、トナー載り量が0.45mg/cmとなるように調整して未定着画像を出力した。記録媒体としては富士フイルムビジネスイノベーション(株)社製のP[厚口]紙A4サイズ(坪量78gsm)を用いた。出力画像は50mm×50mmの画像密度100%となる画像である。
未定着画像を定着装置により記録媒体に定着し、定着画像に対して、重りを用いて折り曲げた後、折り曲げ部を不織布ベンコットM-3II(旭化成(株)社製)に50gの重りを載せた状態で3回摺擦し、その部分の画像欠損面積により画質を評価した。定着評価用装置としては、富士フイルムビジネスイノベーション(株)社製ApeosPortIV C3370の定着器を取り外し、定着温度が変更できるように改造したものを使用した。定着器温度は130℃、プロセス速度は225mm/secであった。
評価基準は以下の通りである。
G1:画像欠損が全く見られなかった
G2:画像欠損がみられたが、軽微である
G3:画像欠損がわずかにみられたが、許容範囲である
G4:画像欠損が見られた
【0231】
【表3-1】
【0232】
【表3-2】
【0233】
【表4-1】
【0234】
【表4-2】
【0235】
表3-1、表3-2、表4-1及び表4-2中の略称は以下の通りである。
・「樹脂粒子の種類」:St/Acはスチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子を意味する。PESはポリエステルを意味する。
・「結着樹脂の種類」:PEはポリエステルを意味する。St/Acはスチレンアクリル樹脂を意味する。
・「結晶性樹脂の含有量」:非晶性樹脂及び結晶性樹脂の総量に対する結晶性樹脂の含有量を意味する。
・75℃における貯蔵弾性率G’、50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)、及び50℃における貯蔵弾性率G’(t)については指数表示である。
【0236】
上記結果から、本実施例のトナーは、プリントブロッキングが抑制され、かつ定着性に優れることがわかる。
【0237】
(((1))) 非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と、樹脂粒子を含有するトナー粒子を有し、
示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15以上であり、
50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2未満であり、
前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%以上25質量%以下であり、
前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子である、静電荷像現像用トナー。
(((2))) 前記樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)が1×10Pa以上5×10Pa以下である(((1)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((3))) 前記樹脂粒子の個数平均粒径が60nm以上300nm以下である(((1)))又は(((2)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((4))) 前記樹脂粒子の含有量が、前記トナー粒子全体に対して、2質量%以上30質量%以下である(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((5))) 前記架橋樹脂粒子が、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子である(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【0238】
(((6))) 前記非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、前記結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))が、0以上0.9以下である(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((7))) 2℃/分の昇温時における、前記トナー粒子の前記樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa以上であり、かつ、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃以上90℃以下である(((1)))~(((6)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((8))) 前記結着樹脂がポリエステル樹脂である(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((9))) 前記非晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の割合が60質量%以上100質量%以下である(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【0239】
【化4】
【0240】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。
(((10))) 前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、(((9)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((11))) 昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’が2×10Pa以上1×10Pa以下である、(((1)))~(((10)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
(((12))) (((1)))~(((11)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
(((13))) (((1)))~(((11)))のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
(((14))) (((12)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【0241】
(((15))) 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
(((12)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
(((16))) 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
(((12)))に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【0242】
(((1)))に係る発明によれば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下である静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc--10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15未満である場合、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2以上である場合、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%未満若しくは25質量%を超える場合、トナー粒子が樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、前記樹脂粒子の50℃における貯蔵弾性率G’(Rp)が1×10Pa未満又は5×10Paを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、前記樹脂粒子の個数平均粒径が60nm未満又は300nmを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、前記樹脂粒子の含有量が、前記トナー粒子全体に対して、2質量%未満又は30質量%を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、前記架橋樹脂粒子が、スチレン(メタ)アクリル系共重合樹脂粒子でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
【0243】
(((6)))に係る発明によれば、前記非晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Amo)と、前記結晶性樹脂の溶解度パラメータSP値(Cry)と、の差(SP値(Amo)-SP値(Cry))が、0未満又は0.9を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、2℃/分の昇温時における、前記トナー粒子の前記樹脂粒子以外の成分の動的粘弾性測定において、50℃における貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満である場合、又は、貯蔵弾性率G’(t)が1×10Pa未満に達する温度が70℃未満若しくは90℃を超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、前記結着樹脂がポリエステル樹脂でない場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((9)))に係る発明によれば、前記非晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の割合が1質量%未満若しくは30質量%を超える場合、又は前記脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の割合が60質量%未満である場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((10)))に係る発明によれば、前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01>R1/R2又はR1/R2>0.40である場合と比較して、プリントブロッキングを抑制するトナーが提供される。
(((11)))に係る発明によれば、昇温時のトナーの75℃における貯蔵弾性率G’が2×10Pa未満又は1×10Paを超える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーが提供される。
(((12)))、(((13)))(((14)))、(((15)))又は(((16)))に係る発明によれば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子を有し、示差走査熱量分析において前記結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度Tcが60℃以上75℃以下であり、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して1分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ1とし、トナーを150℃で溶融した後、前記吸熱ピーク温度Tc-10℃まで冷却して30分保持後、示差走査熱量分析を行うことで求められる前記結晶性樹脂由来の吸熱量をQ2としたときの、前記Q2に対する前記Q1の比(Q1/Q2)が0.15未満であるトナーを備える場合、50℃以上70℃以下における損失係数tanδの最大値が1.2以上であるトナーを備える場合、前記結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂及び前記結晶性樹脂の総量に対して、15質量%未満若しくは25質量%を超えるトナーを備える場合、又はトナー粒子が樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子が架橋性樹脂粒子でないトナーを備える場合と比較して、プリントブロッキングを抑制し、かつ定着性に優れたトナーを備えた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
【符号の説明】
【0244】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
図1
図2