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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092125
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ゲートドライブ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20240701BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207834
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】土橋 徹平
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740AA08
5H740BA11
5H740BB05
5H740BC01
5H740BC02
5H740KK04
5H740MM01
5H740MM08
5H740MM12
5J055AX32
5J055BX16
5J055CX07
5J055FX04
5J055FX06
5J055FX13
5J055GX02
(57)【要約】
【課題】 異常発生から保護動作までの遅延時間を短縮し、またパワーモジュールの故障が電力変換装置を構成する他のパワーモジュールに故障波及することを抑制する。
【解決手段】 ゲートドライブ制御装置は、スイッチング素子が収められたパワーモジュールに接続され、スイッチング素子のオンオフを制御する制御部からのゲート指令電圧をスイッチング素子に印加すると共に、スイッチング素子のゲート電圧を制御部にフィードバックし、制御部から保護信号が与えられたときはスイッチング素子の保護動作を行う。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子が収められたパワーモジュールに接続されたゲートドライブ制御装置であって、
スイッチング素子のオンオフを制御する制御部からのゲート指令電圧をスイッチング素子に印加すると共に、
スイッチング素子のゲート電圧を制御部にフィードバックし、制御部から保護信号が与えられたときはスイッチング素子の保護動作を行うゲートドライブ制御装置。
【請求項2】
スイッチング素子に流れる電流を検出し所定の電流値を超える電流が流れたとき、スイッチング素子をオフ状態とする請求項1記載のゲートドライブ制御装置。
【請求項3】
スイッチング素子の温度を検出し所定の温度を超える温度になったとき、スイッチング素子をオフ状態とする請求項1記載のゲートドライブ制御装置。
【請求項4】
ゲートドライブ制御装置は、電力変換装置を構成する複数のスイッチング素子毎に設けられると共に、
各ゲートドライブ制御装置は保護動作の信号を送受信して、他のゲートドライブ制御装置からの保護信号を受信するとスイッチング素子をオフ状態とする請求項1記載のゲートドライブ制御装置。
【請求項5】
ゲートドライブ制御装置は、スイッチング素子が収められたパワーモジュールの直上に設けられる請求項1記載のゲートドライブ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体スイッチング素子のゲートドライブ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置を構成するパワーモジュールのゲートドライブ制御装置は、上位の制御部、ゲートドライバにより構成される。パワーモジュールのスイッチングのタイミングは上位の制御部により演算し、適切なタイミングでゲート指令信号をゲートドライバに送信する。ゲートドライバは制御部からのゲート指令信号を電気的に絶縁および増幅し、半導体スイッチング素子のゲートに出力する基板である。これに加え、ゲートドライバにはパワーモジュールのゲート電圧を監視することによって、パワーモジュールで正常にスイッチングがなされたか監視するゲートフィードバック機能を有する。ゲートドライバはゲートフィードバック信号により制御部へゲートのオンないしはオフの状態を返す。制御部でのパワーモジュールの状態監視はゲート指令信号とゲートフィードバック信号の論理を比較することにより行われ、制御部からターンオンないしはターンオフ指令を送信した後、ある一定の時素が経過した際にゲート指令信号とゲートフィードバック信号の論理に不一致が認められる場合、パワーモジュールでの異常発生と判定する。
【0003】
パワーモジュールにて過電流や過温度による異常が認められた際には、保護動作としてパワーモジュールをターンオフないしはソフトターンオフする。ターンオフは、通常動作と同様に主回路電流を遮断する動作で、主にパワーモジュールの過温度が発生した際や、健全なパワーモジュールへの故障波及を抑制する場合の動作である。ソフトターンオフは、パワーモジュールに過電流が流れた際に前記のターンオフに比べ低速でターンオフする動作であり、過電流遮断での電圧サージ発生によるパワーモジュールの故障を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6160707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ゲートドライバにてパワーモジュールの異常を検出し、制御部からからパワーモジュール単位でのターンオフを行う保護動作では、パワーモジュールを複数個有する電力変換装置において、異常発生後に健全モジュールへの故障波及を抑制するための保護動作を行うためには、故障モジュールのゲートドライブ制御ブロックからのアラーム信号を制御部にて一旦受信してから他の健全モジュールのゲート制御ブロックを介してターンオフさせる必要があるため、故障波及の抑制に時間を要する。特に、近年電力変換装置への適用が進むSiC-MOSFET素子を使用したパワーモジュールは、従来のIGBTモジュールに比べ高価で、短絡耐量やサージ耐量が少なくなっている。よって、電力変換装置においては遅延時間を削減し、より高速な異常検出と保護動作、および他素子への故障波及の抑制が求められる。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、異常発生から保護動作までの遅延時間を短縮し、またパワーモジュールの故障が電力変換装置を構成する他のパワーモジュールに故障波及することを抑制するゲートドライブ制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のゲートドライブ制御装置は、スイッチング素子が収められたパワーモジュールに接続され、スイッチング素子のオンオフを制御する制御部からのゲート指令電圧をスイッチング素子に印加すると共に、スイッチング素子のゲート電圧を制御部にフィードバックし、制御部から保護信号が与えられたときはスイッチング素子の保護動作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るゲートドライブの全体構成図ある。
図2図2は、ゲートドライブ制御装置がパワーモジュールの直上に設けられた状態を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態のゲートドライブ制御装置の構成図である。
図4図4は、第2の実施形態に係るゲートドライブの全体構成図である。
図5図5は、第2の実施形態のゲートドライブ制御装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るゲートドライブの全体構成図である。
図1の構成は、制御部1とゲートドライバ2とゲートドライブ制御装置3a~3cとパワーモジュール4a~4cを有する。
制御部1は、パワーモジュール4をスイッチングするゲート指令信号を生成して電力変換装置の出力電力を制御する。ゲート指令信号の信号レベルは、ゲートオン指令は正電圧、ゲートオフ指令は負電圧とする。
ゲートドライバ2は、制御部1からのゲート指令信号を電気的に絶縁およびパワーモジュール4を駆動する電圧レベルまで増幅してゲートドライブ制御装置3へ伝送する。
ゲートドライブ制御装置3は、ゲートドライバ2からのゲート駆動電圧をパワーモジュール4へ供給して、パワーモジュール4をオンオフする。
また、パワーモジュール4のゲート電圧は、ゲートドライブ制御装置3、ゲートドライバ1を介して制御部1にフィードバックされる。制御部1では、フィードバックされたゲート電圧を、パワーモジュール4の異常を判断する等の保護動作に用いる。
さらに、ゲートドライブ制御装置3は、それぞれ信号線で接続されており、各ゲートドライブ制御装置3での保護信号を共有する。保護信号は、通常時は信号レベルをHレベルに加圧し、パワーモジュールでの異常が発生した際には信号レベルをLレベルとする。これにより、信号線の断線検出も可能となる。
本実施形態においては、制御部1とゲートドライバ2は一般的なゲートドライブに用いられている構成であり、図2に示すようにゲートドライブ制御装置3がパワーモジュール4の直上に設けられ、ゲートドライバ2とパワーモジュール4との間で信号のやり取りを行う構成となっている。
【0010】
図3は、ゲートドライブ制御装置の構成図である。
ゲートドライブ制御装置は、上アーム用回路11aと下アーム用回路11bとを有し、パワーモジュールのスイッチング素子30aとスイッチング素子30bを制御する。
上アーム用回路11aは、過電流検出部12aとソフトターンオン処理部13aとターンオン処理部14aとフォトカプラ20を有する。
下アーム用回路11bは、過電流検出部12bとソフトターンオン処理部13bとターンオン処理部14bと過温度検出部15と保護信号生成部16と保護信号検出部17を有する。
過電流検出部12は、スイッチング素子30に過電流が発生したとき、ソフトターンオフ処理部14、保護信号生成部16およびフォトカプラ20に検出信号を出力する。例えば、電力変換装置の出力短絡に起因する過電流を検出する。
ソフトターンオン処理部13は、過電流検出部12からの信号を受信したときに、ゲートドライバ2からのゲート指令信号を遮断し、かつスイッチング素子30を保護するためソフトターンオフを行う。
ターンオン処理部14は、過温度検出部16の信号または保護信号を受信したときに、ゲートドライバ2からのゲート指令信号を遮断し、かつスイッチング素子のターンオフを行う。
【0011】
過温度検出部15は、パワーモジュール内またはスイッチング素子近傍に設けられた電流センサ31によりスイッチング素子30の温度を監視して、所定値を超過したときに、ターンオン処理部14および保護信号生成部16に検出信号を出力する。
保護信号生成部16は、過電流検出部12または過温度検出部15またはフォトカプラ20からの信号を受信したときに、保護信号の信号レベルを出力する。保護信号は、Lレベル信号の電位を下側スイッチング素子30bのエミッタ(ソース)とすることにより、ゲートドライブ制御装置3間を接続する保護信号線の電気的な絶縁を不要とし、フォトカプラの通過個数を最小化し、遅延時間の削減を図ることができる。また、保護信号は、1本の信号線による双方向の信号伝達、および断線検出を可能とすべく、通常時は信号レベルをHレベルに加圧し、パワーモジュールでの異常が発生したときには保護信号生成部16により信号レベルをLレベルとする。
保護信号検出部17は、保護信号の信号レベルを監視し、信号レベルがLレベルとなったときにターンオフ処理部14bおよびフォトカプラ20に信号を出力する。
フォトカプラ20は、上アーム用回路11aと下アーム用回路11bを電気的に絶縁するために設けられ、保護信号をターンオフ処理部14aに出力し、かつ過電流検出部12aからの信号を保護信号生成部16へ出力する。
【0012】
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、上アーム用回路11aは、パワーモジュールに異常が発生していないときは、ゲートドライバ2からのゲート電圧をターンオン処理部14a、ソフトターンオン処理部13aを介してスイッチング素子30aに印加して、スイッチング素子30aをオンオフさせる。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30aに過電流が発生したときは、過電流検出部12aの検出信号に基づきソフトターンオン処理部13aが動作してスイッチング素子30aをソフトターンオフさせる。さらに、過電流の検出信号は、フォトカプラ20を介して下アーム用回路11bの保護信号検出部17に出力される。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30bに過電流が発生したときは、下アーム用回路11bの過電流検出部12bの検出信号が保護信号生成部16およびフォトカプラ20を介して伝達されターンオフ処理部14aが動作してスイッチング素子30aをターンオフさせる。
【0013】
また、パワーモジュールの近傍が過温度になったときは、下アーム用回路11bの過温度検出部15の検出信号が保護信号生成部16およびフォトカプラ20を介して伝達されターンオフ処理部14aが動作してスイッチング素子30aをターンオフさせる。
次に、下アーム用回路11bは、パワーモジュールに異常が発生していないときは、ゲートドライバ2からのゲート電圧をターンオン処理部14b、ソフトターンオン処理部13bを介してスイッチング素子30bに印加して、スイッチング素子30bをオンオフさせる。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30bに過電流が発生したときは、過電流検出部12bの検出信号に基づきソフトターンオン処理部13bが動作してスイッチング素子30bをソフトターンオフさせる。さらに、過電流の検出信号は、保護信号生成部16を介してフォトカプラ20に出力される。
また、パワーモジュールの近傍が過温度になったときは、過温度検出部15の検出信号に基づきターンオフ処理部14bが動作してスイッチング素子30bをターンオフさせる。さらに、過温度の検出信号は、保護信号生成部16を介してフォトカプラ20に出力される。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30aに過電流が発生したときは、上アーム用回路11aの過電流検出部12aの検出信号がフォトカプラ20および保護信号検出部17を介して伝達されターンオフ処理部14bが動作してスイッチング素子30bをターンオフさせる。
【0014】
以上のように、本実施形態によれば、パワーモジュール近傍にゲートドライブ制御装置を設けることにより、制御部を介することなく保護動作を行うことができ、異常発生から保護動作までの遅延時間を短縮すると共に、パワーモジュールの故障が電力変換装置を構成する他のパワーモジュールに故障波及することを抑制することが可能となる。
また、既存のゲートドライブに対して、本ゲートドライブ制御装置を組み込むことにより、従来のゲートドライバの設計や電力変換装置における電気的構成を変更することなくパワーモジュールの異常検出から保護機能までの機能の付加を実現することが可能となる。
【0015】
次に、第2の実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
図4は第2の実施形態に係るゲートドライブの全体構成図であり、図5は第2の実施形態のゲートドライブ制御装置の構成図である。本実施形態においては、図4に示すように上側アーム用回路および下側アーム用回路で保護信号線が並列に接続されており、また上側アーム用回路と下側アーム用回路との接続は、いずれかの回路間、図4においては一番上の回路間でフォトカプラを介して行うことで、絶縁して接続される構成となっている。
図5のゲートドライブ制御装置は、第1の実施形態のゲートドライブ制御装置に対して、上側アーム用回路のフォトカプラ21の代わりに保護信号生成部21と保護信号検出部22とを備える構成となっている。なお、図5ではフォトカプラ29も備えた構成としているが、先に記載したようにいずれかの回路間で絶縁されていれば良く、全ての回路に設ける必要はない。
【0016】
ゲートドライブ制御装置は、上アーム用回路11aと下アーム用回路11bとを有し、パワーモジュールのスイッチング素子30aとスイッチング素子30bを制御する。
上アーム用回路11aは、過電流検出部12aとソフトターンオン処理部13aとターンオン処理部14aと保護信号生成部21と保護信号検出部22とフォトカプラ29を有する。
下アーム用回路11bは、過電流検出部12bとソフトターンオン処理部13bとターンオン処理部14bと過温度検出部15と保護信号生成部16と保護信号検出部17を有する。
過電流検出部12は、スイッチング素子30に過電流が発生したとき、ソフトターンオフ処理部14、保護信号生成部16およびフォトカプラ20に検出信号を出力する。例えば、電力変換装置の出力短絡に起因する過電流を検出する。
【0017】
ソフトターンオン処理部13は、過電流検出部12からの信号を受信したときに、ゲートドライバ2からのゲート指令信号を遮断し、かつスイッチング素子30を保護するためソフトターンオフを行う。
ターンオン処理部14は、過温度検出部16の信号または保護信号を受信したときに、ゲートドライバ2からのゲート指令信号を遮断し、かつスイッチング素子のターンオフを行う。
保護信号生成部21は、過電流検出部12の信号を受信したときに、保護信号の信号レベルを出力する。保護信号のグランド電位はスイッチング素子30aのコレクタ(ドレイン)とする。
保護信号検出部22は、保護信号の信号レベルを監視し、信号レベルがLレベルとなったときにターンオフ処理部14bに信号を出力する。
【0018】
フォトカプラ29は、上アーム用回路11aと下アーム用回路11bを電気的に絶縁するために設ける。なお、フォトカプラは、例えば図4の一番上にある上側アーム用回路と下側アーム用回路との接続を行うゲートドライブ制御装置にあれば良く、全てのゲートドライブ制御装置に設ける必要はない。
過温度検出部15は、パワーモジュール内またはスイッチング素子近傍に設けられた電流センサ31によりスイッチング素子30の温度を監視して、所定値を超過したときに、ターンオン処理部14および保護信号生成部16に検出信号を出力する。
保護信号生成部16は、過電流検出部12または過温度検出部15またはフォトカプラ29からの信号を受信したときに、保護信号の信号レベルを出力する。
保護信号検出部17は、保護信号の信号レベルを監視し、信号レベルがLレベルとなったときにターンオフ処理部14bおよびフォトカプラ29に信号を出力する。
【0019】
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、上アーム用回路11aは、パワーモジュールに異常が発生していないときは、ゲートドライバ2からのゲート電圧をターンオン処理部14a、ソフトターンオン処理部13aを介してスイッチング素子30aに印加して、スイッチング素子30aをオンオフさせる。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30aに過電流が発生したときは、過電流検出部12aの検出信号に基づきソフトターンオン処理部13aが動作してスイッチング素子30aをソフトターンオフさせる。さらに、過電流の検出信号は、保護信号生成部21を介して他の上下アーム用回路に出力される。
【0020】
また、パワーモジュールのうち、他のスイッチング素子に過電流が発生したときは、保護信号検出部22が保護信号を検出することでターンオフ処理部14aが動作してスイッチング素子30aをターンオフさせる。
また、パワーモジュールの近傍が過温度になったときは、保護信号検出部22が保護信号を検出することでターンオフ処理部14aが動作してスイッチング素子30aをターンオフさせる。
【0021】
次に、下アーム用回路11bは、パワーモジュールに異常が発生していないときは、ゲートドライバ2からのゲート電圧をターンオン処理部14b、ソフトターンオン処理部13bを介してスイッチング素子30bに印加して、スイッチング素子30bをオンオフさせる。
また、パワーモジュールのうち、スイッチング素子30bに過電流が発生したときは、過電流検出部12bの検出信号に基づきソフトターンオン処理部13bが動作してスイッチング素子30bをソフトターンオフさせる。さらに、過電流の検出信号は、保護信号生成部16を介して他の上下アーム用回路に出力される。
【0022】
また、パワーモジュールの近傍が過温度になったときは、過温度検出部15の検出信号に基づきターンオフ処理部14bが動作してスイッチング素子30bをターンオフさせる。さらに、過温度の検出信号は、保護信号生成部16を介して他の上下アーム用回路に出力される。
また、パワーモジュールのうち、他のスイッチング素子30に過電流が発生したときは、保護信号検出部17が保護信号を検出することでターンオフ処理部14bが動作してスイッチング素子30bをターンオフさせる。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、パワーモジュール近傍にゲートドライブ制御装置を設けることにより、制御部を介することなく保護動作を行うことができ、異常発生から保護動作までの遅延時間を短縮すると共に、パワーモジュールの故障が電力変換装置を構成する他のパワーモジュールに故障波及することを抑制することが可能となる。
また、既存のゲートドライブに対して、本ゲートドライブ制御装置を組み込むことにより、従来のゲートドライバの設計や電力変換装置における電気的構成を変更することなくパワーモジュールの異常検出から保護機能までの機能の付加を実現することが可能となる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、三相交流の電力変換装置だけでなく、単相交流のインバータやコンバータを組み合わせた電力変換装置に用いても良い。このとき、ゲートドライブ制御装置の基板は、適宜枚数を変更することで対応することができる。
【0025】
また、パワーモジュールの異常検出は、過電流や過温度に限らず、例えばスイッチング素子のゲート電圧およびコレクタ(ドレイン)~エミッタ(ソース)間電圧を検出して動作させる処理部を追加することで、素子特性を監視して保護動作を行うこともできる。
また、監視する対象はパワーモジュールのみに限らず、電力変換装置を構成する部品に流れる電流や印加される電圧や筐体内温度等を検出して、ゲートドライブ制御装置に通知することでスイッチング素子の保護動作を行うこともできる。
【0026】
また、上側アーム用回路と下側アーム用回路とは、同一の基板に設けても良く、別の基板に設けても良い。例えば、上下のスイッチング素子を1つのパッケージに収めたパワーモジュールでは同一の基板に設け、上下のスイッチング素子を異なるパッケージに収めたパワーモジュールでは異なる基板に設けても良い。
【符号の説明】
【0027】
1…制御部
2…ゲートドライバ
3…ゲートドライブ制御装置
4…パワーモジュール
11…アーム用回路
12…過電流検出部
13…ソフトターンオフ処理部
14…ターンオフ処理部
15…過温度検出部
16…保護信号生成部
17…保護信号検出部
20…フォトカプラ
21…保護信号生成部
22…保護信号検出部
29…フォトカプラ
図1
図2
図3
図4
図5