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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092127
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240701BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E02F9/00 C
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207838
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 翔太
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 剛
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503BB05
5G503CA11
5G503DA07
5G503DA08
5G503DA16
5G503DA19
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】バッテリから出力される電力に基づいて作業機械を動作させる場合において、バッテリの大型化及びバッテリの劣化を抑制すること。
【解決手段】作業機械は、キャパシタと、キャパシタに並列接続されるバッテリと、キャパシタの放電期間においてキャパシタから給電され、バッテリの放電期間においてバッテリから給電される電動モータと、電動モータにより駆動される対象部と、バッテリの放電期間においてキャパシタの放電と充電とを切り換える第1DC/DCコンバータと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタと、
前記キャパシタに並列接続されるバッテリと、
前記キャパシタの放電期間において前記キャパシタから給電され、前記バッテリの放電期間において前記バッテリから給電される電動モータと、
前記電動モータにより駆動される対象部と、
前記バッテリの放電期間において前記キャパシタの放電と充電とを切り換える第1DC/DCコンバータと、を備える、
作業機械。
【請求項2】
前記第1DC/DCコンバータは、前記電動モータの負荷率と前記バッテリから放電される電力とに基づいて、前記キャパシタの放電と充電とを切り換える、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第1DC/DCコンバータは、前記電動モータの負荷率が負荷率閾値以上の場合、前記バッテリから放電される電力に基づいて前記キャパシタを放電させ、前記電動モータの負荷率が負荷率閾値未満の場合、前記バッテリから放電される電力に基づいて前記キャパシタを充電する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記電動モータに加えられる電圧を検出する電圧センサを備え、
前記第1DC/DCコンバータは、前記電圧センサの検出値に基づいて、前記キャパシタの放電と充電とを切り換える、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第1DC/DCコンバータは、前記電圧センサの検出値が電圧閾値以下の場合、前記キャパシタを放電させ、前記電圧センサの検出値が電圧閾値を上回る場合、前記キャパシタを充電する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
旋回体と、
旋回体に支持される作業機と、
前記作業機を動作させる作業機シリンダと、
前記作業機シリンダに供給される作動油を吐出する油圧ポンプと、を備え、
前記対象部は、前記電動モータにより旋回する旋回体、及び前記電動モータにより作動する前記油圧ポンプの少なくとも一方を含み、
前記旋回体及び前記作業機を動作させるために操作される操作装置を備え、
前記第1DC/DCコンバータは、前記操作装置の操作状態に基づいて、前記キャパシタの放電と充電とを切り換える、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記第1DC/DCコンバータは、前記旋回体及び前記作業機が予め定められた特定動作をするように前記操作装置が操作された場合、前記キャパシタを放電させ、前記特定動作とは異なる非特定動作をするように前記操作装置が操作された場合、前記キャパシタを充電する、
請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記キャパシタは、前記バッテリからの電力及び前記電動モータからの回生電力の少なくとも一方により充電される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記電動モータに接続される電力ラインと、
前記キャパシタと前記電力ラインの第1部分とを接続する第1接続ラインと、を備え、
前記第1DC/DCコンバータは、前記第1接続ラインに配置される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項10】
前記バッテリの放電期間において、前記バッテリは、一定電力で放電する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項11】
前記バッテリの放電期間において、前記バッテリを一定電力で放電させる第2DC/DCコンバータを備える、
請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記電動モータに接続される電力ラインと、
前記バッテリと前記電力ラインの第2部分とを接続する第2接続ラインと、を備え、
前記第2DC/DCコンバータは、前記第2接続ラインに配置される、
請求項11に記載の作業機械。
【請求項13】
油圧ポンプを備え、
前記対象部は、前記電動モータにより作動する前記油圧ポンプを含む、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項14】
作業機と、
前記作業機を動作させる作業機シリンダと、を備え、
前記油圧ポンプは、前記作業機シリンダに供給される作動油を吐出する、
請求項13に記載の作業機械。
【請求項15】
駆動輪を有する走行体と、
前記駆動輪を回転させる走行モータと、を備え、
前記油圧ポンプは、前記走行モータに供給される作動油を吐出する、
請求項13に記載の作業機械。
【請求項16】
走行体と、
前記走行体に支持される旋回体と、を備え、
前記対象部は、前記電動モータにより旋回する旋回体を含む、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項17】
前記キャパシタは、前記旋回体を旋回させる前記電動モータの回生電圧により充電される、
請求項16に記載の作業機械。
【請求項18】
前記キャパシタは、リチウムイオンキャパシタであり、
前記バッテリは、リチウムイオンバッテリである、
請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような作業機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-139379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、バッテリの容量密度が高いほどバッテリの出力密度が低くなる。バッテリの容量密度とは、単位体積当たり又は単位質量当たりのバッテリに蓄えることができる電気エネルギーをいう。バッテリの出力密度とは、単位体積当たり又は単位質量当たりのバッテリが出力することができる電気エネルギーをいう。バッテリから出力される電力に基づいて作業機械が動作する場合、バッテリの容量密度が高いほど、作業機械は、長時間動作を実施することができる。バッテリの出力密度が高いほど、作業機械は、瞬間的な高出力動作を実施することができる。
【0005】
バッテリから出力される電力に基づいて作業機械が動作する場合、瞬間的な高出力動作に要求される電力に合わせてバッテリが選定されてしまうと、過度に大型のバッテリが作業機械に搭載されてしまう可能性がある。また、瞬間的な高出力動作のためにバッテリの負荷率が高くなると、バッテリの劣化が促進される可能性がある。キャパシタの出力密度はバッテリの出力密度よりも高いものの、キャパシタの容量密度はバッテリの容量密度よりも低い。そのため、キャパシタから出力される電気エネルギーのみでは、作業機械を長時間動作させることが困難となる。
【0006】
本開示は、バッテリから出力される電力に基づいて作業機械を動作させる場合において、バッテリの大型化及びバッテリの劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従えば、キャパシタと、キャパシタに並列接続されるバッテリと、キャパシタの放電期間においてキャパシタから給電され、バッテリの放電期間においてバッテリから給電される電動モータと、電動モータにより駆動される対象部と、バッテリの放電期間においてキャパシタの放電と充電とを切り換える第1DC/DCコンバータと、を備える、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バッテリから出力される電力に基づいて作業機械を動作させる場合において、バッテリの大型化及びバッテリの劣化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る駆動システムの駆動方法を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る操作装置の操作状態をキャパシタとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。実施形態において、作業機械1は、建設機械の一種である油圧ショベルである。図1に示すように、作業機械1は、走行体2と、走行体2に支持される旋回体3と、旋回体3に支持される作業機4と、作業機4を動作させる作業機シリンダ5とを備える。
【0012】
走行体2は、駆動輪2Aと、駆動輪2Aにより回転される履帯2Bとを有する。履帯2Bが回転することにより、作業機械1は、作業現場を走行することができる。旋回体3は、走行体2に支持された状態で旋回する。作業機4は、旋回体3に連結されるブーム4Aと、ブーム4Aに連結されるアーム4Bと、アーム4Bに連結されるバケット4Cとを含む。作業機シリンダ5は、作業機4を動作させる動力を発生する油圧シリンダである。作業機シリンダ5は、ブーム4Aを動作させるブームシリンダ5Aと、アーム4Bを動作させるアームシリンダ5Bと、バケット4Cを動作させるバケットシリンダ5Cとを含む。
【0013】
[駆動システム]
図2は、実施形態に係る作業機械1の駆動システム6を示す図である。駆動システム6は、キャパシタ7と、キャパシタ7に並列接続されるバッテリ8と、キャパシタ7の放電期間においてキャパシタ7から給電され、バッテリ8の放電期間においてバッテリ8から給電されるポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11と、を備える。ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれは、電動モータである。キャパシタ7は、リチウムイオンキャパシタ(LiC:Lithium ion Capacitor)である。バッテリ8は、リチウムイオンバッテリ(LiB:Lithium ion Battery)である。
【0014】
また、駆動システム6は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される電力ライン13と、キャパシタ7と電力ライン13の第1部分131とを接続する第1接続ライン14と、バッテリ8と電力ライン13の第2部分132とを接続する第2接続ライン15と、キャパシタ7に接続されるDC/DCコンバータ16(第1DC/DCコンバータ)と、バッテリ8に接続されるDC/DCコンバータ17(第2DC/DCコンバータ)と、を備える。
【0015】
ポンプ駆動モータ10は、少なくともバッテリ8から供給される電力に基づいて作動する。バッテリ8が放電する期間を示すバッテリ8の放電期間において、ポンプ駆動モータ10は、バッテリ8から給電される。キャパシタ7が放電する期間を示すキャパシタ7の放電期間において、ポンプ駆動モータ10は、キャパシタ7から給電される。駆動システム6は、油圧ポンプ19を有する。ポンプ駆動モータ10は、油圧ポンプ19を作動させる動力を発生する。油圧ポンプ19は、電動モータであるポンプ駆動モータ10により作動する。油圧ポンプ19は、電動モータにより駆動される作業機械1の対象部の一例である。
【0016】
油圧ポンプ19は、作業機シリンダ5に供給される作動油を吐出する。油圧ポンプ19は、走行体2の走行モータ2Cに供給される作動油を吐出する。油圧ポンプ19から吐出された作動油は、制御弁20を介して作業機シリンダ5及び走行モータ2Cのそれぞれに供給される。作動油が作業機シリンダ5に供給されることにより、作業機シリンダ5が作動する。作動油が走行モータ2Cに供給されることにより、走行モータ2Cが作動する。走行モータ2Cは、走行体2の駆動輪2Aを回転させる油圧モータである。
【0017】
旋回モータ11は、少なくともバッテリ8から供給される電力に基づいて作動する。バッテリ8の放電期間において、旋回モータ11は、バッテリ8から給電される。キャパシタ7の放電期間において、旋回モータ11は、キャパシタ7から給電される。旋回モータ11は、旋回体3を旋回させる動力を発生する。旋回体3は、電動モータである旋回モータ11により旋回する。旋回体3は、電動モータにより駆動される作業機械1の対象部の一例である。
【0018】
電力ライン13は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される。キャパシタ7とバッテリ8とは、電力ライン13に対して相互に並列接続される。電力ライン13は、正極ライン13Aと、負極ライン13Bとを含む。電力ライン13の一部は、インバータ21を介してポンプ駆動モータ10に接続される。電力ライン13の他の一部は、インバータ22を介して旋回モータ11に接続される。
【0019】
第1接続ライン14は、キャパシタ7と電力ライン13の第1部分131とを接続する。第1接続ライン14は、正極ライン14Aと、負極ライン14Bとを含む。正極ライン14Aは、キャパシタ7の正極と正極ライン13Aの第1部分131Aとを接続する。負極ライン14Bは、キャパシタ7の負極と負極ライン13Bの第1部分131Bとを接続する。
【0020】
第2接続ライン15は、バッテリ8と電力ライン13の第2部分132とを接続する。第2接続ライン15は、正極ライン15Aと、負極ライン15Bとを含む。正極ライン15Aは、バッテリ8の正極と正極ライン13Aの第2部分132Aとを接続する。負極ライン15Bは、バッテリ8の負極と負極ライン13Bの第2部分132Bとを接続する。
【0021】
キャパシタ7は、第1接続ライン14及び電力ライン13を介して、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに給電することができる。バッテリ8は、第2接続ライン15及び電力ライン13を介して、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに給電する。
【0022】
DC/DCコンバータ16は、キャパシタ7に接続される。DC/DCコンバータ16は、キャパシタ7と電力ライン13の第1部分131との間の第1接続ライン14に配置される。キャパシタ7からの電力がDC/DCコンバータ16を介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される、DC/DCコンバータ16は、キャパシタ7の電圧を変換する。DC/DCコンバータ16は、キャパシタ7の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。DC/DCコンバータ16により昇圧されたキャパシタ7の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ21及び旋回モータ11に接続されたインバータ22のそれぞれに加えられる。
【0023】
DC/DCコンバータ16は、一次側から二次側に電力を出力可能であり、二次側から一次側に電力を出力可能な双方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ16の一次側は、低電圧側(キャパシタ7側)である。DC/DCコンバータ16の二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。DC/DCコンバータ16は、旋回モータ11の回生電圧を所定の降圧比で降圧する。DC/DCコンバータ16により降圧された旋回モータ11の回生電圧がキャパシタ7に加えられる。キャパシタ7は、旋回モータ11の回生電圧により充電される。キャパシタ7は、DC/DCコンバータ16を介して供給される旋回モータ11からの回生電力により充電される。
【0024】
DC/DCコンバータ17は、バッテリ8に接続される。DC/DCコンバータ17は、バッテリ8と電力ライン13の第2部分132との間の第2接続ライン15に配置される。バッテリ8からの電力がDC/DCコンバータ17を介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される、DC/DCコンバータ17は、バッテリ8の電圧を変換する。DC/DCコンバータ17は、バッテリ8の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。DC/DCコンバータ17により昇圧されたバッテリ8の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ21及び旋回モータ11に接続されたインバータ22のそれぞれに加えられる。
【0025】
DC/DCコンバータ17は、一次側から二次側のみに電力を出力可能な単方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ17の一次側は、低電圧側(バッテリ8側)である。DC/DCコンバータ17の二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。キャパシタ7は、バッテリ8の電圧により充電される。キャパシタ7は、DC/DCコンバータ17及びDC/DCコンバータ16を介して供給されるバッテリ8からの電力により充電される。なお、DC/DCコンバータ17は、一次側から二次側に電力を出力可能であり、二次側から一次側に電力を出力可能な双方向DC/DCコンバータでもよい。
【0026】
インバータ21は、電力ライン13の一部に接続される。インバータ21は、電力ライン13からの直流電流を三相交流電流に変換して、ポンプ駆動モータ10に供給する。ポンプ駆動モータ10は、インバータ21から供給された三相交流電流に基づいて駆動する。
【0027】
インバータ22は、電力ライン13の一部に接続される。インバータ22は、電力ライン13からの直流電流を三相交流電流に変換して、旋回モータ11に供給する。旋回モータ11は、インバータ22から供給された三相交流電流に基づいて駆動する。
【0028】
キャパシタ7の出力密度は、バッテリ8の出力密度よりも高い。キャパシタ7は、バッテリ8よりも、応答性に優れている。キャパシタ7は、バッテリ8よりも、高速に充放電できる。バッテリ8の容量密度は、キャパシタ7の容量密度よりも高い。
【0029】
バッテリ8は、駆動システム6の主動力源である。バッテリ8は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに電力を供給する。ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれは、専らバッテリ8から供給された電力により駆動する。ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれを駆動させるための電力の大部分は、バッテリ8から出力される電力により担われる。キャパシタ7から出力される電力は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれの瞬時応答性が必要なときに使用される。
【0030】
[コントローラ]
図3は、実施形態に係る作業機械1を示すブロック図である。作業機械1は、コントローラ30と、電圧センサ40と、操作装置50とを有する。
【0031】
コントローラ30は、コンピュータシステムを含む。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ31と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ32と、ストレージ33と、入出力回路を含むインタフェース34とを有する。電圧センサ40、操作装置50、DC/DCコンバータ16、及びDC/DCコンバータ17のそれぞれが、インタフェース34に接続される。
【0032】
電圧センサ40は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに加えられる電圧を検出する。図2に示すように、電圧センサ40は、正極ライン13Aと負極ライン13Bとの間の電圧を検出する。
【0033】
操作装置50は、旋回体3及び作業機4を動作させるために作業機械1のオペレータに操作される。操作装置50は、作業機械1の運転室に配置される。操作装置50は、左操作レバー51と、右操作レバー52とを含む。一例として、左操作レバー51が前側に倒れるように操作されることにより旋回体3が右旋回し、後側に倒れるように操作されることにより旋回体3が左旋回する。左操作レバー51が左側に倒れるように操作されることによりアーム4Bがダンプ動作し、右側に倒れるように操作されることによりアーム4Bが掘削動作する。右操作レバー52が前側に倒れるように操作されることによりブーム4Aが下げ動作し、後側に倒れるように操作されることによりブーム4Aが上げ動作する。右操作レバー52が左側に倒れるように操作されることによりバケット4Cが掘削動作し、右側に倒れるように操作されることによりバケット4Cがダンプ動作する。
【0034】
プロセッサ31は、第1制御部31Aと、第2制御部31Bと、モニタ部31Cとを有する。第1制御部31Aは、DC/DCコンバータ16を制御する制御指令を出力する。第2制御部31Bは、DC/DCコンバータ17を制御する制御指令を出力する。モニタ部31Cは、電動モータ(ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11)の負荷率をモニタすることができる。電動モータの負荷率とは、電動モータの定格出力(設計上の100%出力)のうち実際の出力の割合をいう。モニタ部31Cは、インバータ21の作動状態に基づいて、ポンプ駆動モータ10の負荷率をモニタすることができる。モニタ部31Cは、インバータ22の作動状態に基づいて、旋回モータ11の負荷率をモニタすることができる。また、モニタ部31Cは、電圧センサ40の検出値をモニタする。また、モニタ部31Cは、操作装置50の操作状態をモニタする。操作装置50が操作されることにより操作信号が生成される。モニタ部31Cは、操作装置50において生成された操作信号に基づいて、操作装置50の操作状態をモニタすることができる。
【0035】
[駆動システムの駆動方法]
図4は、実施形態に係る駆動システム6の駆動方法を説明するための図である。図4に示すグラフにおいて、縦軸は負荷率を示し、横軸は作業機械1の作業が開始されてから経過した時間を示す。ラインLmは、電動モータ(ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11)の負荷率を示す。ラインLbは、バッテリ8の負荷率を示す。ラインLcは、キャパシタ7の負荷率を示す。電動モータの負荷率は、電動モータが消費する電力に1対1で対応する。バッテリ8の負荷率は、バッテリ8から放電される電力に1対1で対応する。キャパシタ7の負荷率は、キャパシタ7から放電される電力に1対1で対応する。
【0036】
作業機械1の動作に基づいて、電動モータの負荷率が変動する。作業負荷が大きい動作を作業機械1が実施した場合、電動モータの負荷率は高くなる。作業負荷が小さい動作を作業機械1が実施した場合、電動モータの負荷率は低くなる。例えばバケット4Cに掘削物が保持された状態でブーム4Aが上げ動作する場合、作業機4に大きい負荷が掛かるため、ポンプ駆動モータ10の負荷率は高くなる。旋回体3が旋回する場合、旋回モータ11の負荷率は高くなる。作業機4を動作させない場合、ポンプ駆動モータ10の負荷率は低くなる。旋回体3を旋回させない場合、旋回モータ11の負荷率は低くなる。
【0037】
上述のように、バッテリ8は、駆動システム6の主動力源である。作業機械1の少なくとも一部が動作している動作期間において、バッテリ8は放電し続ける。すなわち、作業機械1の動作期間において、バッテリ8は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに電力を供給し続ける。作業機械1の動作期間とバッテリ8の放電期間とは、一致する。実施形態においては、ラインLbで示すように、バッテリ8の放電期間において、バッテリ8は、一定電力で放電する。第2制御部31Bは、バッテリ8が一定電力で放電するように、DC/DCコンバータ17を制御する。DC/DCコンバータ17は、バッテリ8の放電期間において、バッテリ8を一定電力で放電させる。
【0038】
なお、作業機械1の動作期間とバッテリ8の放電期間とは、一致しなくてもよい。また、バッテリ8の放電時間において、バッテリ8から放電される電力は、一定でなくてもよい。
【0039】
第1制御部31Aは、バッテリ8の放電期間において、キャパシタ7が放電と充電とを切り換えるように、DC/DCコンバータ16を制御する。DC/DCコンバータ16は、バッテリ8の放電期間においてキャパシタ7の放電と充電とを切り換える。
【0040】
第1制御部31Aは、モニタ部31Cによりモニタされた電動モータの負荷率とバッテリ8から放電される電力とに基づいて、キャパシタ7が放電と充電とを切り換えるように、DC/DCコンバータ16を制御する。第1制御部31Aは、電動モータの負荷率が予め定められた負荷率閾値Sh以上の場合、バッテリ8から放電される電力に基づいて、キャパシタ7が放電するように、DC/DCコンバータ16を制御する。すなわち、作業機械1の作業負荷が大きく、電動モータの負荷率が高い場合、DC/DCコンバータ16は、バッテリ8から放電される電力を補うようにキャパシタ7を放電させる。電動モータの負荷率が高い場合、バッテリ8及びキャパシタ7の両方から電動モータに電力が供給されるので、電動モータの電力不足が抑制される。
【0041】
第1制御部31Aは、電動モータの負荷率が負荷率閾値Sh未満の場合、バッテリ8から放電される電力に基づいて、キャパシタ7が充電されるように、DC/DCコンバータ16を制御する。すなわち、作業機械1の作業負荷が小さく、電動モータの負荷率が低い場合、バッテリ8から放電された電力が余る。第1制御部31Aは、バッテリ8から放電された電力でキャパシタ7が充電されるように、DC/DCコンバータ16を制御する。DC/DCコンバータ16は、バッテリ8からの余剰電力でキャパシタ7を充電する。
【0042】
なお、DC/DCコンバータ16は、電圧センサ40の検出値に基づいて、キャパシタ7の放電と充電とを切り換えてもよい。電動モータの負荷率が高い場合、電圧センサ40の検出値が低くなる。電動モータの負荷率が低い場合、電圧センサ40の検出値が高くなる。DC/DCコンバータ16は、電圧センサ40の検出値が予め定められた電圧閾値以下の場合、キャパシタ7を放電させる。キャパシタ7から放電された電力は、バッテリ8から放電された電力とともに電動モータに供給される。DC/DCコンバータ16は、電圧センサ40の検出値が電圧閾値を上回る場合、バッテリ8からの余剰電力でキャパシタ7を充電する。
【0043】
図5は、実施形態に係る操作装置50の操作状態をキャパシタ7との関係を示す図である。図5に示すように、DC/DCコンバータ16は、操作装置50の操作状態に基づいて、キャパシタ7の放電と充電とを切り換えてもよい。DC/DCコンバータ16は、旋回体3及び作業機4が予め定められた特定動作をするように操作装置50が操作された場合、キャパシタ7を放電させる。DC/DCコンバータ16は、旋回体3及び作業機4が特定動作とは異なる非特定動作をするように操作装置50が操作された場合、キャパシタ7を充電させる。特定動作は、作業負荷が大きい作業機械1の動作である。非特定動作は、作業負荷が小さい作業機械1の動作である。特定動作として、ブーム4Aが上げ動作しながら旋回体3が旋回する動作が例示される。非特定動作として、作業機4が停止している状態で旋回体3が停止又は低速で旋回する動作が例示される。
【0044】
<効果>
以上説明したように、実施形態において、作業機械1は、キャパシタ7と、キャパシタ7に並列接続されるバッテリ8と、キャパシタ7の放電期間においてキャパシタ7から給電され、バッテリ8の放電期間においてバッテリ8から給電される電動モータ(ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11)と、電動モータにより駆動される対象部と、バッテリ8の放電期間においてキャパシタ7の放電と充電とを切り換えるDC/DCコンバータ16と、を備える。
【0045】
バッテリ8の容量密度は、キャパシタ7の容量密度よりも高い。そのため、バッテリ8の放電が継続されることにより、作業機械1は、長時間動作を実施することができる。キャパシタ7の出力密度は、バッテリ8の出力密度よりも高い。キャパシタ7は、バッテリ8よりも、応答性に優れている。キャパシタ7は、バッテリ8よりも、高速に充放電できる。そのため、バッテリ8の放電期間において、作業機械1が瞬間的に高出力動作した場合、作業機械1の瞬間的な高出力動作に合わせてキャパシタ7が放電することにより、バッテリ8の負荷率の上昇が抑制された状態で、電動モータにおける電力不足が抑制される。バッテリ8の負荷率の上昇が抑制されるので、バッテリ8の劣化が抑制される。作業機械1が瞬間的な高出力動作を実施した場合、バッテリ8から放電される電力にキャパシタ7から放電される電力が補われるので、過度に大型のバッテリ8を作業機械1に搭載しなくても済む。そのため、バッテリ8の大型化が抑制される。
【0046】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、作業機械1が油圧ショベルであることとした。作業機械1は、作業機を有するブルドーザでもよいし、作業機を有するホイールローダでもよい。また、作業機械1は、運搬車両の一種であるダンプトラックでもよい。ダンプトラックにおいては、降坂時における走行モータからの回生電力によりバッテリが充電される。
【符号の説明】
【0047】
1…作業機械、2…走行体、2A…駆動輪、2B…履帯、2C…走行モータ、3…旋回体、4…作業機、4A…ブーム、4B…アーム、4C…バケット、5…作業機シリンダ、5A…ブームシリンダ、5B…アームシリンダ、5C…バケットシリンダ、6…駆動システム、7…キャパシタ、8…バッテリ、10…ポンプ駆動モータ(電動モータ)、11…旋回モータ(電動モータ)、13…電力ライン、13A…正極ライン、13B…負極ライン、14…第1接続ライン、14A…正極ライン、14B…負極ライン、15…第2接続ライン、15A…正極ライン、15B…負極ライン、16…DC/DCコンバータ(第1DC/DCコンバータ)、17…DC/DCコンバータ(第2DC/DCコンバータ)、19…油圧ポンプ、20…制御弁、21…インバータ、22…インバータ、30…コントローラ、31…プロセッサ、31A…第1制御部、31B…第2制御部、31C…モニタ部、32…メインメモリ、33…ストレージ、34…インタフェース、40…電圧センサ、50…操作装置、51…左操作レバー、52…右操作レバー、131…第1部分、131A…第1部分、131B…第1部分、132…第2部分、132A…第2部分、132B…第2部分。
図1
図2
図3
図4
図5