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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092131
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】シート排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20240701BHJP
   B65H 29/22 20060101ALI20240701BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H29/22 Z
B65H29/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207844
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇
【テーマコード(参考)】
3F049
3F053
3F054
【Fターム(参考)】
3F049DA14
3F049LA11
3F049LB02
3F053HA07
3F053LA11
3F053LB02
3F054AA02
3F054AC00
3F054BA02
3F054BB12
3F054DA12
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイに排出されるシートの積載性の向上と、を実現できるシート排出装置を提供する。
【解決手段】シート排出装置1は、下シートガイド31と、排出ローラ47と、ローラ48に対して幅方向にずれた位置、かつシャフト49よりも上方の位置で排出方向D2に突出する弾性片100と、排出トレイ96と、を備える。弾性片100の下を向く面におけるシャフト49の真上に位置する部分110S、120Sは、シートSHに接触していない状態でローラ48の外周面48Aの上端48A1よりも下方に位置する。弾性片100は、シャフト49よりも排出方向D2の下流で排出トレイ96に向かって屈曲する屈曲部112を有する第1弾性片110と、第1弾性片110よりも短く、屈曲部を有しない第2弾性片120と、を有する。第1弾性片110と第2弾性片120とは幅方向において交互に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを案内する上面を有する下シートガイドと、
前記上面よりも下方に位置して前記上面に案内されるシートの搬送方向と直交する幅方向に延びるシャフトと、前記シャフトと一体回転し、前記上面に案内されるシートを排出方向に搬送するローラと、を有する排出ローラと、
前記ローラに対して前記幅方向にずれた位置、かつ前記シャフトよりも上方の位置で前記排出方向に突出する弾性片と、
前記排出ローラによって排出されるシートを支持する排出トレイと、
を備え、
前記弾性片の下を向く面における前記シャフトの真上に位置する部分は、前記上面に案内されるシートに接触していない状態で前記ローラの外周面の上端よりも下方に位置し、
前記弾性片は、前記シャフトよりも前記排出方向の下流で前記排出トレイに向かって屈曲する屈曲部を有する第1弾性片と、前記第1弾性片よりも短く、前記屈曲部を有しない第2弾性片と、を有し、
前記第1弾性片と前記第2弾性片とは、前記幅方向において交互に配置されていることを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記上面に上から対向してシートを案内する下面を有する上シートガイドを備え、
前記上面と前記下面との間に排出経路が設けられ、
前記第1弾性片及び前記第2弾性片における前記排出方向の上流端部は、前記上シートガイドに保持され、
前記第1弾性片及び前記第2弾性片は、前記上面に案内されるシートに接触していない状態で前記排出経路と交差している請求項1記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記排出トレイにおける前記排出方向の上流端に接続して前記排出方向を向きながら上向き及び前記幅方向に延び、排出されたシートを規制する規制面を備え、
前記第1弾性片の前記屈曲部は、前記規制面よりも前記排出方向の前記下流に位置している請求項1記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記ローラの前記外周面における前記排出方向の前記下流端と、前記第1弾性片の前記屈曲部とが前記排出方向において離隔する距離は、前記外周面の直径よりも小さい請求項3記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第2弾性片における前記排出方向の下流端は、前記排出方向における前記規制面から前記第1弾性片の前記屈曲部までの範囲内に位置している請求項3又は4記載のシート排出装置。
【請求項6】
2つの前記ローラが前記シャフトに固定され、
前記弾性片は、前記幅方向の一方に位置する前記ローラと、前記幅方向の他方に位置する前記ローラとの間において、前記第1弾性片のみを有している請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記弾性片は、2つの前記第2弾性片を有し、
1つの前記第2弾性片は、前記幅方向の前記一方に位置する前記ローラよりも前記幅方向の前記一方に位置し、
もう1つの前記第2弾性片は、前記幅方向の前記他方に位置する前記ローラよりも前記幅方向の前記他方に位置している請求項6記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記弾性片は、さらに2つの前記第1弾性片を有し、
1つの前記第1弾性片は、前記幅方向の前記一方に位置する前記第2弾性片よりも前記幅方向の前記一方に位置し、
もう1つの前記第1弾性片は、前記幅方向の前記他方に位置する前記第2弾性片よりも前記幅方向の前記他方に位置している請求項7記載のシート排出装置。
【請求項9】
2つの前記ローラの間に位置する前記第1弾性片の前記幅方向の長さは、他の2つの前記第1弾性片の前記幅方向の長さよりも大きい請求項8記載のシート排出装置。
【請求項10】
前記第1弾性片の少なくとも1つと、前記第2弾性片の少なくとも1つとは、一体に形成されている請求項8記載のシート排出装置。
【請求項11】
前記第1弾性片及び前記第2弾性片は、フィルム状である請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート排出装置。
【請求項12】
前記第1弾性片における上を向く面には、少なくとも前記屈曲部を補強する補強板が貼り付けられている請求項11記載のシート排出装置。
【請求項13】
前記上面に上から対向してシートを案内する下面を有する上シートガイドと、
前記排出ローラよりも前記排出方向の上流に位置し、前記上面及び前記下面に案内されるシートを前記排出ローラに向けて搬送する搬送ローラ対と、
を備え、
前記上面と前記下面との間に排出経路が設けられ、
前記搬送ローラ対は、前記下面よりも上方に位置して前記幅方向に延びる駆動シャフトと、
前記駆動シャフトと一体回転する駆動ローラと、
前記上面側に位置して前記駆動ローラと対向する従動ローラと、
を有し、
前記排出経路よりも前記幅方向の一方に位置して前記駆動シャフトと一体回転する第1ギヤと、
前記排出経路よりも前記幅方向の前記一方に位置して前記シャフトと一体回転する第2ギヤであって、前記第1ギヤと噛み合う前記第2ギヤと、
をさらに備えている請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート排出装置。
【請求項14】
前記第1弾性片が前記上面に案内されるシートに接触していない状態における前記屈曲部の上下方向の位置を初期位置とすると、
前記初期位置から所定距離上昇した前記屈曲部に上から当接する当接部を備えている請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2及び図3等に従来のシート排出装置の一例が開示されている。このシート排出装置は、第1回転軸、第2回転軸、第1排出ローラ本体、第2排出ローラ本体及びシート積載部を備えている。
【0003】
第1回転軸及び第2回転軸はそれぞれシート積載部に向かってシートが搬送される方向と直交する幅方向に延びている。第1回転軸は、第2回転軸よりも上方に位置している。第1排出ローラ本体は、第1回転軸と一体回転する。第2排出ローラ本体は、第2回転軸と一体回転する。第1排出ローラ本体は、第2排出ローラ本体に対して幅方向にずれた位置にある。第1排出ローラ本体の外周面の下端は、第2排出ローラ本体の外周面の上端よりも下方に位置している。
【0004】
第1排出ローラ本体及び第2排出ローラ本体は、シートを排出方向に搬送する。シート積載部は、排出されるシートを支持する。この際、第1排出ローラ本体及び第2排出ローラ本体は、シートを排出方向に沿って見て波形状に変形させてそのシートの剛性を高めることにより、シートの排出時の姿勢を安定させる。
【0005】
また、このシート排出装置は、排出検知センサの一部である当接フラグ部材を備えている。当接フラグ部材は、第1回転軸よりも上方の位置から排出方向に向かって下り傾斜するように延びている。当接フラグ部材は、第1排出ローラ本体及び第2排出ローラ本体を通過したシートの後端をシート積載部上に落下させる機能を兼ねている。
【0006】
このような構成により、このシート排出装置は、シート積載部に排出されるシートの積載性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-77941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のシート排出装置は、第1回転軸及び第1排出ローラ本体が第2回転軸よりも上方に位置する構成により、上下方向の薄型化を実現することが難しい。また、このシート排出装置は、当接フラグ部材が第1回転軸よりも上方の位置から排出方向に向かって下り傾斜する構成によっても、上下方向の薄型化を実現することが難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイに排出されるシートの積載性の向上と、を実現できるシート排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシート排出装置は、シートを案内する上面を有する下シートガイドと、
前記上面よりも下方に位置して前記上面に案内されるシートの搬送方向と直交する幅方向に延びるシャフトと、前記シャフトと一体回転し、前記上面に案内されるシートを排出方向に搬送するローラと、を有する排出ローラと、
前記ローラに対して前記幅方向にずれた位置、かつ前記シャフトよりも上方の位置で前記排出方向に突出する弾性片と、
前記排出ローラによって排出されるシートを支持する排出トレイと、
を備え、
前記弾性片の下を向く面における前記シャフトの真上に位置する部分は、前記上面に案内されるシートに接触していない状態で前記ローラの外周面の上端よりも下方に位置し、
前記弾性片は、前記シャフトよりも前記排出方向の下流で前記排出トレイに向かって屈曲する屈曲部を有する第1弾性片と、前記第1弾性片よりも短く、前記屈曲部を有しない第2弾性片と、を有し、
前記第1弾性片と前記第2弾性片とは、前記幅方向において交互に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のシート排出装置において、上記構成の第1弾性片及び第2弾性片は、排出ローラによって排出されるシートを排出方向に沿って見て波形状に変形させてそのシートの剛性を高めながら、そのシートをローラの外周面に押し付ける。これにより、排出ローラ、第1弾性片及び第2弾性片は、そのシートを確実性高く排出できるとともに、そのシートの排出時の姿勢を安定させることができる。
【0012】
そして、第1弾性片における屈曲部よりも排出方向の下流に位置する部分は、排出されるシートを排出トレイに向けて押さえ込んでそのシートのカールを抑制しながらそのシートを排出トレイ上に落下させる。
【0013】
さらに、排出トレイに支持されるシートの枚数の増加に伴って第1弾性片が上昇するが、屈曲部を有しない第2弾性片は、上昇することなくシートをローラの外周面に押し付ける。
【0014】
その結果、このシート排出装置は、排出トレイに排出されるシートの積載順序の入れ替わりやシート詰まりを抑制できる。
【0015】
また、このシート排出装置において、ローラよりも上方には、上記従来のシート排出装置に係る第1回転軸、第1排出ローラ本体及び当接フラグ部材に相当するものが存在しない。
【0016】
したがって、本発明のシート排出装置は、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイに排出されるシートの積載性の向上と、を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1の画像読取装置の斜視図である。
図2図2は、実施例1の画像読取装置の模式部分断面図である。
図3図3は、排出ローラ、第1、第2弾性片、排出トレイ等を示す部分斜視図である。
図4図4は、排出ローラ、第1、第2弾性片、排出トレイ等を示す部分上面図である。
図5図5は、図4のA-A断面を示す模式部分断面図である。
図6図6は、図4のB-B断面を示す模式部分断面図である。
図7図7は、図5と同様の模式部分断面図であって、当接部が屈曲部に当接した状態を示す図である。
図8図8は、図5及び図6のC-C断面を示す模式部分断面図である。
図9図9は、図8と同様の模式部分断面図であって、排出トレイに支持されるシートの枚数の増加に伴って第1弾性片が上昇した状態を示す図である。
図10図10は、実施例2の画像読取装置に係り、排出ローラ、第1、第2弾性片、排出トレイ等を示す部分上面図である。
図11図11は、実施例3の画像読取装置に係り、排出ローラ、第1、第2弾性片、排出トレイ等を示す部分上面図である。
図12図12は、実施例4の画像読取装置に係り、図5と同様の模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例1~4について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像読取装置1は、本発明のシート排出装置の具体的態様の一例である。
【0020】
図1において、画像読取装置1の操作パネル8P側が前方である。操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側が左方である。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。
【0021】
<全体構成>
図1に示すように、画像読取装置1は、本体8及びカバー9を備えている。本体8は、扁平な略箱状体である。本体8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが位置している。本体8は、その下部分に画像形成部2を収容している。画像形成部2は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。
【0022】
図2に示すように、本体8は、その上部分に画像読取部3を収容している。画像読取部3は、原稿支持面3A、読取面3B、読取センサ3S及び図示しない走査機構を有している。
【0023】
原稿支持面3Aは、本体8の上面に位置する大面積のプラテンガラスの上面である。読取面3Bは、本体8の上面において原稿支持面3Aよりも左方に位置して前後方向に細長く延びるプラテンガラスの上面である。
【0024】
原稿支持面3Aは、画像読取対象の原稿を支持する。画像読取対象の原稿は、用紙、OHPシート等のシートや書籍等である。読取面3Bは、後述する搬送部4が作動する場合に利用される。
【0025】
読取センサ3Sは、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサであり、前後方向に細長く延びている。読取センサ3Sは、原稿支持面3A及び読取面3Bの下方に位置している。
【0026】
読取センサ3Sは、画像読取部3が原稿支持面3Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない走査機構の作動により、原稿支持面3Aの左端縁の下方から右向きに、すなわち副走査方向に移動しながら、その原稿の画像を前後方向、すなわち主走査方向においてライン状に読み取る。読取センサ3Sは、原稿支持面3Aの右端縁の下方まで移動すると画像の読み取りを終了し、図示しない走査機構の作動により待機位置に復帰する。
【0027】
なお、後述する搬送部4が作動する場合、読取センサ3Sは、図示しない走査機構の作動により、読取面3Bの下方の静止読取位置に移動して静止する。
【0028】
図1に示すように、カバー9は、本体8の上方に位置している。カバー9の後端は、図示しないヒンジを介して本体8の後端に連結している。カバー9は、左右方向に延びる揺動軸心X9周りに揺動可能である。
【0029】
図2に示すように、カバー9は、樹脂製のベース部材39を有している。ベース部材39の下面は、カバー9の底面を形成している。カバー9の底面は、本体8の上面の全体を覆うことが可能な大きさを有している。カバー9は、ベース部材39の下面によって、原稿支持面3Aに載置された原稿を覆う。
【0030】
図示は省略するが、ユーザがカバー9を揺動軸心X9周りに上向きかつ後向きに揺動させることにより、カバー9が原稿支持面3Aを開放する。この状態で、ユーザは、原稿支持面3Aへの原稿の載置、及びその原稿の取り出しを行うことができる。
【0031】
図1及び図2に示すように、カバー9は、供給トレイ91及び排出トレイ96を有している。供給トレイ91及び排出トレイ96は、カバー9の右部分に位置している。
【0032】
ベース部材39の右部分の上面は、排出トレイ96を形成している。供給トレイ91は、排出トレイ96の上方に位置している。供給トレイ91は、画像読取対象であるシートSHを積層状態で支持する。
【0033】
なお、本実施例においては、原稿支持面3Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿と記載し、搬送部4により搬送しながら画像が読み取られる対象をシートSHと記載する。原稿とシートSHとは、実質的に同じものであってもよい。
【0034】
供給トレイ91は、サイドガイド92A、92Bを有している。サイドガイド92A、92Bは、前後方向にスライド可能である。サイドガイド92A、92Bは、互いに接近及び離隔するようにスライドすることにより、供給トレイ91に支持される様々なサイズのシートSHを前後方向において位置決めする。本実施例では、画像読取対象のシートSHに、はがきやA5~A4サイズの用紙等が含まれる。
【0035】
図2に示すように、カバー9は、搬送部4、第1搬送ガイド35、第2搬送ガイド36、下シートガイド31及び上シートガイド32を有している。搬送部4、第1搬送ガイド35、第2搬送ガイド36、下シートガイド31及び上シートガイド32は、カバー9の左部分の内部に位置している。
【0036】
搬送部4は、給送ローラ41、分離ローラ42、分離パッド42A、第1搬送ローラ対43、押圧部材44、第2搬送ローラ対45、排出ローラ47及び弾性片100を有している。第2搬送ローラ対45は、本発明の「搬送ローラ対」の一例である。
【0037】
給送ローラ41は、供給トレイ91の左端部に上から対向している。分離ローラ42及び分離パッド42Aは、給送ローラ41よりも左方に位置している。第1搬送ローラ対43は、カバー9の左方の側壁側であって、本体8の上面に近い側に位置している。押圧部材44は、読取面3Bの真上に位置している。
【0038】
第1搬送ガイド35及び第2搬送ガイド36は、カバー9の内部に位置する複数のシュート部材の一部や、カバー9の上壁部材の裏面から下向きに突出するリブ等からなる。
【0039】
第1搬送ガイド35は、シートSHを供給トレイ91の左端部から第1搬送ローラ対43まで案内する。
【0040】
第2搬送ガイド36は、シートSHを第1搬送ローラ対43から読取面3Bまで下り傾斜するように案内し、次に、押圧部材44と読取面3Bとの間を、すなわち静止読取位置にある読取センサ3Sの上方を通過させるように案内する。
【0041】
<下シートガイド及び上シートガイド>
下シートガイド31は、ベース部材39の左部分に形成されている。下シートガイド31は、上面31Gを有している。上面31Gは、上を向く傾斜面であって、読取面3Bよりも右方の位置から右向きに上り傾斜するように延び、かつ前後方向に延びている。
【0042】
上シートガイド32は、下シートガイド31よりも上方に位置している。上シートガイド32は、下面32Gを有している。下面32Gは、下シートガイド31の上面31Gに上から対向している。下面32Gは、下を向く傾斜面であって、読取面3Bよりも右方の位置から右向きに上り傾斜するように延び、かつ前後方向に延びている。
【0043】
下シートガイド31の上面31Gと上シートガイド32の下面32Gとの間には、排出経路P1が設けられている。下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gは、押圧部材44と読取面3Bとの間を通過したシートSHを排出経路P1に沿って案内する。
【0044】
下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gに案内されるシートSHの搬送方向D1は、右向きに上り傾斜する方向である。搬送方向D1と直交する幅方向は、前後方向である。本実施例では、幅方向の一方は前方であり、幅方向の他方は後方である。
【0045】
図2及び図3に示すように、下シートガイド31は、シャフト収容部31Dを有している。シャフト収容部31Dは、上面31Gの後端の近傍において下向きに凹み、かつ前後方向に延びる溝である。上面31Gは、シャフト収容部31Dよりも右方において略水平方向であって右向きの方向に短く延び、さらに下方に向かって湾曲して後端に至る。
【0046】
下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gによって搬送方向D1に案内されたシートSHは、上面31Gの後端部分において排出方向D2に案内される。排出方向D2は、略水平方向であって右向きの方向である。
【0047】
ベース部材39における下シートガイド31と排出トレイ96との間には、規制面97が形成されている。規制面97は、排出トレイ96における排出方向D2の上流端96Eに接続して排出方向D2を向きながら鉛直方向の上向き及び幅方向に延びる平坦面である。
【0048】
規制面97の上端は、上面31Gの後端に接続している。規制面97は、排出経路P1に沿って案内されて排出トレイ96に排出されたシートSHにおける排出方向D2の上流端の位置を規制する。
【0049】
上シートガイド32の後端の上面には、弾性片保持部32Hが固定されている。弾性片保持部32Hは、上シートガイド32の幅方向の一端から他端まで前後方向に長く延び、かつ幅方向に短く延びている。
【0050】
<第2搬送ローラ対>
第2搬送ローラ対45は、排出経路P1における中間部よりも排出方向D2の下流、かつ排出ローラ47よりも排出方向D2の上流に位置している。第2搬送ローラ対45は、駆動シャフト45S、駆動ローラ45A及び従動ローラ45Bを有している。
【0051】
駆動シャフト45Sは、上シートガイド32の下面32Gよりも上方に位置して幅方向に延びている。図3に示すように、2つの駆動ローラ45Aが幅方向において互いに離隔する位置で駆動シャフト45Sに固定されている。
【0052】
駆動シャフト45Sにおける幅方向の一方の端部には、第1ギヤ21が固定されている。第1ギヤ21は、下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gよりも幅方向の一方に、すなわち排出経路P1よりも幅方向の一方に位置している。
【0053】
駆動シャフト45Sは、排出経路P1よりも幅方向の他方に位置するモータM1から図示しない駆動列を経由して駆動力が伝達されることにより回転する。これにより、駆動ローラ45A及び第1ギヤ21が駆動シャフト45Sと一体回転する。
【0054】
図2に示すように、従動ローラ45Bは、下シートガイド31の上面31G側に位置して駆動ローラ45Aと対向している。付勢ばね45Cは、従動ローラ45Bを駆動ローラ45Aに向けて押圧している。
【0055】
第2搬送ローラ対45は、下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gに案内されるシートSHを排出ローラ47に向けて搬送する。
【0056】
<排出ローラ>
図2図4に示すように、排出ローラ47は、シャフト49及びローラ48を有している。シャフト49は、下シートガイド31のシャフト収容部31Dに収容され、上面31Gよりも下方に位置して幅方向に延びている。
【0057】
図3に示すように、2つのローラ48が幅方向において互いに離隔する位置でシャフト49に固定されている。ローラ48はゴム製であり、本実施例では、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)製である。ローラ48の外周面48Aは、幅方向において段差や凹凸なく延びる円筒面である。
【0058】
ローラ48の外周面48Aにおける幅方向の両端には、パドル48Pが形成されている。パドル48Pは、互いに間隔を空けて外周面48Aの周方向に並ぶ複数の凸部を有している。パドル48Pは、ローラ48がシートSHを搬送し終えるときに、凸部によってそのシートSHの後端に当接し、そのシートSHを蹴り出すことができる。
【0059】
シャフト49における幅方向の一方の端部には、第2ギヤ22が固定されている。第2ギヤ22は、排出経路P1よりも幅方向の一方に位置し、第1ギヤ21と噛み合っている。
【0060】
駆動シャフト45Sから第1ギヤ21を経由して第2ギヤ22に駆動力が伝達されることにより、第2ギヤ22及びローラ48がシャフト49と一体回転する。
【0061】
ローラ48は、下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gに案内されるシートSHを排出方向D2に搬送して、排出トレイ96に排出する。ローラ48の上下方向の位置は従動ローラ45Bの位置よりも高いので、その分、排出トレイ96のシートSHの積載量は増加している。
【0062】
<弾性片>
図2図4に示すように、弾性片100は、ローラ48に対して幅方向にずれた位置、かつシャフト49よりも上方の位置で排出方向D2に突出する板状片である。
【0063】
本実施例では、弾性片100はフィルム状であり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等から切り出されることにより製造される。弾性片100は、シートSHに当接するときに折れ曲がったりしない程度の剛性を発揮可能な厚みを有しており、本実施例では25μmの厚みのPETフィルムで構成されている。
【0064】
図3及び図4に示すように、弾性片100は、第1弾性片110及び第2弾性片120を有している。
【0065】
図5に示すように、第1弾性片110における排出方向D2の上流端部110Eは、弾性片保持部32Hの上面に貼り付けられている。第1弾性片110の端部110Eは、弾性片保持部32Hを介して上シートガイド32に保持されている。
【0066】
第1弾性片110は、端部110Eから排出方向D2に向かって僅かに下り傾斜するように突出している。第1弾性片110は、下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態で排出経路P1と交差している。
【0067】
第1弾性片110の下を向く面におけるシャフト49の真上に位置する部分110Sは、下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態でローラ48の外周面48Aの上端48A1よりも下方に位置している。
【0068】
第1弾性片110は、屈曲部112を有している。屈曲部112は、シャフト49よりも排出方向D2の下流に位置して排出トレイ96に向かって屈曲している。第1弾性片110の屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aは、排出トレイ96に向かって平板状に延びており、排出方向D2に向かって下り傾斜している。より詳しくは、屈曲部112は、規制面97よりも排出方向D2の下流に位置している。
【0069】
ローラ48の外周面48Aにおける排出方向D2の下流端48A2と、第1弾性片110の屈曲部112とが排出方向D2において離隔する距離L1は、外周面48Aの直径L2よりも小さい。
【0070】
図6に示すように、第2弾性片120における排出方向D2の上流端部120Eも、第1弾性片110の端部110Eと同様に、弾性片保持部32Hの上面に貼り付けられている。第2弾性片120の端部120Eも、弾性片保持部32Hを介して上シートガイド32に保持されている。
【0071】
第2弾性片120も、第1弾性片110と同様に、端部120Eから排出方向D2に向かって僅かに下り傾斜するように突出している。第2弾性片120も、下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態で排出経路P1と交差している。
【0072】
第2弾性片120の下を向く面におけるシャフト49の真上に位置する部分120Sも、第1弾性片110の上述した部分110Sと同様に、下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態でローラ48の外周面48Aの上端48A1よりも下方に位置している。
【0073】
第2弾性片120は、シャフト49よりも排出方向D2の下流で排出トレイ96に向かって屈曲する屈曲部を有していない。また、第1弾性片110における排出方向D2の上流端部110Eから屈曲部112までの部分の下り傾斜角度と、第2弾性片120における排出方向D2の上流端部120Eから排出方向D2の下流端120Fまでの下り傾斜角度とは、同一である。
【0074】
第2弾性片120における排出方向D2の下流端120Fは、排出方向D2における規制面97から第1弾性片110の屈曲部112までの範囲A1内に位置している。本実施例では、第2弾性片120における排出方向D2の下流端120Fは、排出方向D2において第1弾性片110の屈曲部112と同じ位置にある。つまり、第2弾性片120は、第1弾性片110よりも短い。
【0075】
図3及び図4に示すように、弾性片100は、幅方向の一方に位置するローラ48と、幅方向の他方に位置するローラ48との間において、第1弾性片110のみを有している。
【0076】
弾性片100は、2つの第2弾性片120を有している。1つの第2弾性片120は、幅方向の一方に位置するローラ48よりも幅方向の一方に位置している。もう1つの第2弾性片120は、幅方向の他方に位置するローラ48よりも幅方向の他方に位置している。
【0077】
2つの第2弾性片120が幅方向において離隔する距離は、はがきやA5サイズの用紙の幅方向の長さよりも小さい。これにより、2つの第2弾性片120は、搬送部4がはがきやA5~A4サイズの用紙であるシートSHを搬送するときに、全てのサイズのシートSHに当接する。
【0078】
弾性片100は、さらに2つの第1弾性片110を有している。1つの第1弾性片110は、幅方向の一方に位置する第2弾性片120よりも幅方向の一方に位置している。もう1つの第1弾性片110は、幅方向の他方に位置する第2弾性片120よりも幅方向の他方に位置している。
【0079】
つまり、第1弾性片110と第2弾性片120とは、幅方向において交互に配置されている。
【0080】
図4に示すように、2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110の幅方向の長さWL1Aは、他の2つの第1弾性片110の幅方向の長さWL1Bよりも大きい。第2弾性片120の幅方向の長さWL2は、他の2つの第1弾性片110の幅方向の長さWL1Bと略等しい。
【0081】
図5に示すように、第1弾性片110が下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態における屈曲部112の上下方向の位置を初期位置H1とする。
【0082】
画像読取装置1は、当接部98を備えている。当接部98は、供給トレイ91の裏面の一部を構成する部材の下を向く面である。図7に示すように、当接部98は、初期位置H1から所定距離H2上昇した屈曲部112に上から当接する。
【0083】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1において、画像読取部3が供給トレイ91に支持されたシートSHの画像を読み取る場合、搬送部4の給送ローラ41、分離ローラ42及び分離パッド42Aは、供給トレイ91に支持されたシートSHを1枚ずつ搬送する。
【0084】
次に、第1搬送ローラ対43は、第1搬送ガイド35及び第2搬送ガイド36に案内されるシートSHを搬送して静止読取位置にある読取センサ3Sの上方を通過させる。これにより、読取センサ3Sは、そのシートSHの表面の画像を読み取る。
【0085】
その後、第2搬送ローラ対45は、下シートガイド31の上面31G及び上シートガイド32の下面32Gに案内されるシートSHを排出ローラ47に向けて搬送する。排出ローラ47のローラ48、第1弾性片110及び第2弾性片120は、そのシートSHを排出方向D2に搬送して、排出トレイ96に排出する。
【0086】
ここで、図8に示すように、第1弾性片110及び第2弾性片120は、排出ローラ47によって排出されるシートSHを排出方向D2に沿って見て波形状に変形させてそのシートSHの剛性を高めながら、そのシートSHをローラ48の外周面48Aに押し付ける。
【0087】
これにより、排出ローラ47、第1弾性片110及び第2弾性片120は、仮に第2搬送ローラ対45までしかない場合に比べて、シートSHの積載量を増加させ、そのシートSHを確実性高く排出できるとともに、そのシートSHの排出時の姿勢を安定させることができる。
【0088】
そして、図5に示すように、第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aは、排出されるシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させる。
【0089】
さらに、図7に示すように、排出トレイ96に支持されるシートSHの枚数の増加に伴って第1弾性片110が上昇するが、図6及び図9に示すように、屈曲部を有しない第2弾性片120は、上昇することなくシートSHをローラ48の外周面48Aに押し付ける。
【0090】
その結果、この画像読取装置1は、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載順序の入れ替わりやシートSHの詰まりを抑制できる。
【0091】
また、この画像読取装置1において、ローラ48よりも上方には、上記従来のシート排出装置に係る第1回転軸、第1排出ローラ本体及び当接フラグ部材に相当するものが存在しない。
【0092】
したがって、実施例1の画像読取装置1は、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載性の向上と、を実現できる。
【0093】
また、この画像読取装置1において、図5及び図6に示すように、第1、第2弾性片110、120における排出方向D2の上流端部110E、120Eは、弾性片保持部32Hを介して上シートガイド32に保持されている。そして、第1弾性片110及び第2弾性片120は、下シートガイド31の上面31Gに案内されるシートSHに接触していない状態で排出経路P1と交差している。この構成により、第1、第2弾性片110、120は、排出ローラ47によって排出されるシートSHを排出方向D2に沿って見て波形状に変形させてそのシートSHの剛性を高めながら、そのシートSHをローラ48の外周面48Aに押し付けることを確実性高く実現できる。
【0094】
さらに、この画像読取装置1において、図5に示すように、第1弾性片110の屈曲部112は、規制面97よりも排出方向D2の下流に位置している。この構成により、排出トレイ96に排出されたシートSHの積載高さを確保し易い。
【0095】
また、この画像読取装置1において、ローラ48の外周面48Aにおける排出方向D2の下流端48A2と、第1弾性片110の屈曲部112とが排出方向D2において離隔する距離L1は、外周面48Aの直径L2よりも小さい。この構成により、排出トレイ96に排出されたシートSHの積載高さを確保しつつ、第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aによって、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載順序の入れ替わりを抑制できる。
【0096】
さらに、この画像読取装置1において、図6に示すように、第2弾性片120における排出方向D2の下流端120Fは、排出方向D2における規制面97から第1弾性片110の屈曲部112までの範囲A1内に位置している。この構成により、第2弾性片120は、排出トレイ96に支持されるシートSHの枚数の増加にかかわらず、シートSHをローラ48の外周面48Aに押し付けることを確実性高く実現できる。
【0097】
また、この画像読取装置1において、図4に示すように、弾性片100は、幅方向の一方に位置するローラ48と、幅方向の他方に位置するローラ48との間において、第1弾性片110のみを有している。この構成により、2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110は、排出されるシートSHのサイズの大小にかかわらず、そのシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させることを確実性高く実現できる。
【0098】
さらに、この画像読取装置1において、弾性片100は、2つの第2弾性片120を有し、1つの第2弾性片120は、幅方向の一方に位置するローラ48よりも幅方向の一方に位置し、もう1つの第2弾性片120は、幅方向の他方に位置するローラ48よりも幅方向の他方に位置している。この構成により、2つの第2弾性片120は、排出されるシートSHのサイズの大小にかかわらず、シートSHをローラ48の外周面48Aに押し付けることを確実性高く実現できる。
【0099】
また、この画像読取装置1において、弾性片100は、さらに2つの第1弾性片110を有し、1つの第1弾性片110は、幅方向の一方に位置する第2弾性片120よりも幅方向の一方に位置し、もう1つの第1弾性片110は、幅方向の他方に位置する第2弾性片120よりも幅方向の他方に位置している。この構成により、2つのローラ48に対して幅方向の外側に位置する2つの第1弾性片110は、排出されるシートSHのサイズが大きい場合に、そのシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させることを確実性高く実現できる。
【0100】
さらに、この画像読取装置1において、2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110の幅方向の長さWL1Aは、他の2つの第1弾性片110の幅方向の長さWL1Bよりも大きい。この構成により、2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110は、排出されるシートSHがはがき等の腰が強い小サイズのシートSHである場合に、そのシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させることを確実性高く実現できる。
【0101】
また、この画像読取装置1は、弾性片100の第1弾性片110及び第2弾性片120がフィルム状であることにより、第1弾性片110及び第2弾性片120を安価、かつ容易に製造できる。
【0102】
さらに、この画像読取装置1は、図3に示すように、排出経路P1よりも幅方向の一方に位置して駆動シャフト45Sと一体回転する第1ギヤ21と、排出経路P1よりも幅方向の一方に位置してシャフト49と一体回転する第2ギヤ22であって、第1ギヤ21と噛み合う第2ギヤ22と、をさらに備えている。このように、互いに回転方向が逆である第2搬送ローラ対45の駆動ローラ45Aと排出ローラ47とを第1ギヤ21と第2ギヤ22とによって直結する構成により、部品点数を削減と、駆動ギヤ列の簡素化と、を実現できる。
【0103】
また、この画像読取装置1は、図7に示すように、初期位置H1から所定距離H2上昇した屈曲部112に上から当接する当接部98を備えている。第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110AがシートSHを押さえ込む力は、排出トレイ96に支持されるシートSHの枚数の増加に伴って所定距離H2上昇した屈曲部112に当接部98が上から当接することにより増加する。その結果、第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aは、排出トレイ96に支持されるシートSHの枚数の増加にかかわらず、排出されるシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させることを確実性高く実現できる。
【0104】
(実施例2)
図10に示すように、実施例2の画像読取装置は、実施例1の画像読取装置1に係る3つの第1弾性片110のうち、2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110について、他の2つの第1弾性片110と同一形状のものを2つ幅方向において並べるように変更している。
【0105】
また、実施例2は、実施例1に係る2つの第2弾性片120における排出方向D2の下流端120Fについて、範囲A1内で第1弾性片110の屈曲部112よりも排出方向D2の上流に位置するように変更している。
【0106】
さらに、実施例2は、実施例1に係る弾性片保持部32Hの上面に、各第1弾性片110及び各第2弾性片120を位置決めするためのリブ32H1を設けている。リブ32H1は上面視略C字形状であり、各第1、第2弾性片110、120の端部110E、120Eを後方、かつ幅方向の外側から囲う。これにより、各第1、第2弾性片110、120を弾性片保持部32Hの上面に貼り付けるときに位置決め精度を向上させることができる。
【0107】
実施例2のその他の構成は実施例1と同様であるので、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
このような実施例2の画像読取装置も、実施例1の画像読取装置1と同様に、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載性の向上と、を実現できる。
【0109】
(実施例3)
図11に示すように、実施例3の画像読取装置は、実施例1の画像読取装置1に係る2つのローラ48よりも幅方向の外側に位置する2組の第1弾性片110及び第2弾性片120のそれぞれについて、第1弾性片110と第2弾性片120とを排出方向D2の上流端部110E、120E側で連結して一体に形成するように変更している。これにより、1枚のフィルム状の素材から第1弾性片110と第2弾性片120とを共に切り出し、第1弾性片110を屈曲部112で折り曲げるだけで容易に製造できる。同様に、全ての第1弾性片110と第2弾性片120を端部110E、120E側で連結して一体とすることもできる。
【0110】
また、実施例3は、実施例1に係る弾性片保持部32Hの上面に、各第1弾性片110及び各第2弾性片120を位置決めするための複数の円柱32H2を設けている。各円柱32H2は、幅方向において互いに離隔しつつ、幅方向に一直線に並んでいる。
【0111】
2つのローラ48の間に位置する第1弾性片110には、幅方向において互いに離隔する丸穴115A及び長穴115Bが形成されている。丸穴115A及び長穴115Bに円柱32H2を嵌入させることにより、その第1弾性片110を弾性片保持部32Hの上面に貼り付けるときに位置決め精度を向上させることができる。
【0112】
2つのローラ48よりも幅方向の外側に位置する2組の第1弾性片110及び第2弾性片120のそれぞれについても、丸穴115A及び長穴115Bと同様の丸穴及び長穴が形成されている。
【0113】
実施例3のその他の構成は実施例1と同様であるので、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
このような実施例3の画像読取装置も、実施例1、2の画像読取装置1と同様に、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載性の向上と、を実現できる。
【0115】
(実施例4)
図12に示すように、実施例4の画像読取装置は、実施例1の画像読取装置1に係る3つ第1弾性片110における上を向く面に、補強板119を貼り付けている。補強板119は、第1弾性片110のうちの少なくとも屈曲部112を補強している。本実施例では、補強板119は樹脂製であり、規制面97の真上の位置から第1弾性片110における排出方向D2の先端までにおいて、第1弾性片110を補強している。
【0116】
実施例4のその他の構成は実施例1と同様であるので、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0117】
このような実施例4の画像読取装置も、実施例1~4の画像読取装置1と同様に、簡易な構成により、上下方向の薄型化と、排出トレイ96に排出されるシートSHの積載性の向上と、を実現できる。
【0118】
また、この画像読取装置において、第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aは、補強板119に補強されることにより、排出されるシートSHを排出トレイ96に向けて押さえ込んでそのシートSHのカールを抑制しながらそのシートSHを排出トレイ96上に落下させることを確実性高く実現できる。
【0119】
以上において、本発明を実施例1~4に即して説明したが、本発明は上記実施例1~4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0120】
実施例1~4では、第1、第2弾性片110、120における排出方向D2の上流端部110E、120Eは、弾性片保持部32Hを介して上シートガイド32に保持されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1、第2弾性片における排出方向の上流端部は、上シートガイドに直接保持されていてもよい。
【0121】
実施例4では、補強板119は、第1弾性片110における屈曲部112よりも排出方向D2の下流に位置する部分110Aの全部を補強しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、補強板は、第1弾性片110における屈曲部よりも排出方向の下流に位置する部分110Aの一部を補強してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は例えば、画像読取装置、画像形成装置、又は、画像形成機能及び画像読取機能を備えた複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1…シート排出装置(画像読取装置)、SH…シート
31…下シートガイド、31G…下シートガイドの上面
D1…搬送方向、49…シャフト、D2…排出方向
48…ローラ、47…排出ローラ、96…排出トレイ
100……弾性片、110…第1弾性片、120…第2弾性片
110S、120S…弾性片の下を向く面におけるシャフトの真上に位置する部分
48A…ローラの外周面、48A1…ローラの外周面の上端
112…屈曲部、32…上シートガイド
32G…上シートガイドの下面、P1…排出経路
110E…第1弾性片における排出方向の上流端部
120E…第2弾性片における排出方向の上流端部
96E…排出トレイにおける排出方向の上流端、97…規制面
48A2…ローラの外周面における排出方向の下流端
L1…ローラの外周面における排出方向の下流端と第1弾性片の屈曲部とが排出方向において離隔する距離
L2…外周面の直径、120F…第2弾性片における排出方向の下流端
A1…排出方向における規制面から第1弾性片の屈曲部までの範囲
WL1A…2つのローラの間に位置する第1弾性片の幅方向の長さ
WL1B…他の2つの第1弾性片の幅方向の長さ
119…補強板、45…搬送ローラ対(第2搬送ローラ対)
45S…駆動シャフト、45A…駆動ローラ
45B…従動ローラ、21…第1ギヤ、22…第2ギヤ
H1…初期位置、H2…所定距離、98…当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12