(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092132
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20240701BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20240701BHJP
B60P 1/04 20060101ALI20240701BHJP
B60P 1/28 20060101ALI20240701BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20240701BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240701BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240701BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240701BHJP
B60L 50/71 20190101ALI20240701BHJP
【FI】
B60K11/04 E
B60K8/00
B60P1/04 K
B60P1/28 Z
H01M8/10 101
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04014
B60L50/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207846
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠生
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB09
3D038AC02
3D038AC06
3D038AC12
3D038AC22
3D038AC24
3D038AC26
3D235AA19
3D235BB45
3D235CC01
3D235CC23
3D235FF02
3D235FF44
3D235HH02
5H125AA12
5H125AC07
5H125AC12
5H125BD12
5H125BD14
5H125FF09
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB23
5H127AB29
5H127AC14
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA32
5H127BA33
5H127BB02
5H127BB07
5H127BB12
5H127BB17
5H127BB18
5H127BB22
5H127BB32
5H127BB37
5H127EE04
5H127GG03
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】積載物の凍結による作業効率の低下を抑制しつつ、メンテナンス性の向上及びシステムの簡素化を図ることができる。
【解決手段】ダンプトラックは、車体フレームに対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディを備えるダンプトラックにおいて、水素を燃料とする駆動源と、前記駆動源の排気を前記ダンプボディに案内するダクトと、を更に備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディを備えるダンプトラックにおいて、
水素を燃料とする駆動源と、
前記駆動源の排気を前記ダンプボディに案内するダクトと、を更に備える、
ダンプトラック。
【請求項2】
前記ダクトの少なくとも一部は、前記ダンプボディに設けられる、
請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項3】
前記ダンプボディは、前記ダンプボディの一面に沿うリブを備え、
前記ダクトの少なくとも一部は、前記リブに沿って設けられる、
請求項2に記載のダンプトラック。
【請求項4】
前記駆動源は、固体高分子形燃料電池を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【請求項5】
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を清浄化するためのフィルタを更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【請求項6】
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を圧縮するためのコンプレッサと、
前記コンプレッサと前記駆動源との間に設けられ、前記コンプレッサにより圧縮された空気を冷却するためのインタークーラと、を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【請求項7】
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を加湿するための加湿器を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【請求項8】
前記排気により生成された水を回収するためのタンクを更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【請求項9】
前記排気と熱交換を行う熱交換器を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地などで水分量を多く含む物体を運搬する場合、積載物の凍結により作業効率が低下することがある。例えば、上記の問題を解決するための手段(荷台加熱機構)としては、以下の2つがある。
(1)エンジンの排気を荷台に送ることによる荷台加熱機構。
(2)リターダブレーキの発熱を利用した荷台加熱機構。リターダブレーキは、電動駆動式のダンプトラックにおいて、制動時に電動機を発電機として動作させ、その電動機の回生起電力を抵抗器により消費することで制動力を得る発電ブレーキである。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷台と、抵抗器と、冷却ファンと、ダクトと、を備えるダンプトラックが開示されている。抵抗器は、リターダブレーキ操作によって発生する電力を熱エネルギーに変換する。冷却ファンは、抵抗器を冷却する。ダクトは、冷却ファンから送風されて抵抗器によって暖められた暖気を案内する。荷台には、ダクトに案内された暖気を内部に流通させる通路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、エンジンの排気を荷台に送る場合、排気に含まれる成分により荷台の腐食や煤などのメンテナンスが大変である。リターダブレーキの発熱を利用する場合、暖気を送風するための冷却ファンを別途設ける必要がある。そのため、積載物の凍結による作業効率の低下を抑制しつつ、メンテナンス性の向上及びシステムの簡素化を図る上で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、積載物の凍結による作業効率の低下を抑制しつつ、メンテナンス性の向上及びシステムの簡素化を図ることができるダンプトラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るダンプトラックは、車体フレームに対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディを備えるダンプトラックにおいて、水素を燃料とする駆動源と、前記駆動源の排気を前記ダンプボディに案内するダクトと、を更に備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、積載物の凍結による作業効率の低下を抑制しつつ、メンテナンス性の向上及びシステムの簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係るダンプトラックにおいて積載物の排出時の側面図。
【
図3】実施形態に係る荷台加熱システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、荷台加熱システムを構成する作業車両として、鉱山などの作業現場を走行して積荷を運搬する運搬車両であるダンプトラックを挙げて説明する。
【0011】
<ダンプトラック>
図1は、実施形態に係るダンプトラック2の側面図である。
図2は、実施形態に係るダンプトラック2において積載物の排出時の側面図である。
図3は、実施形態に係る荷台加熱システム1のブロック図である。
図1から
図3を併せて参照し、ダンプトラック2は、車体フレーム10と、車体フレーム10に対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディ12(ベッセルに相当)と、車体フレーム10を支持する走行装置13と、を備える。例えば、ダンプトラック2は、運転者による運転操作によらずに無人で駆動する無人ダンプトラックでもよいし、運転者による運転操作に基づいて駆動する有人ダンプトラックでもよい。
【0012】
以下、ダンプトラック2の前進方向(車体前方)、後進方向(車体後方)及び車両幅方向(車体左右方向)を「車両前方(車両前後方向一方側)」、「車両後方(車両前後方向他方側)」及び「車両幅方向」と称する。車両幅方向は、「左側(車両幅方向一方側)」又は「右側(車両幅方向他方側)」と称する場合もある。ダンプトラック2が前進する方向に対して右手を右側、ダンプトラック2が前進する方向に対して左手を左側と称する。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)を単に「上下方向」、「上方」及び「下方」と称する。図の例では、ダンプトラック2は、水平面(水平な地面)に配置されている。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)は、ダンプトラック2が水平面に配置された状態の上下方向(鉛直方向)、鉛直上方及び鉛直下方とそれぞれ一致する。
【0013】
車体フレーム10は、車両前後方向に延びている。車体フレーム10は、回動部11を介して、ダンプボディ12を回動自在に支持する。回動部11は、車体フレーム10上において車両幅方向に延びる軸部(ダンプボディ12の回動中心軸に相当)を含む部分である。車体フレーム10は、走行装置13に支持されている。
【0014】
ダンプボディ12は、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合される。ダンプボディ12は、積荷が積載される部材(荷台に相当)である。ダンプボディ12の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも上方に配置される。ダンプボディ12は、ダンプ動作及び下げ動作を行うことが可能である。
【0015】
ダンプ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10から離隔させてダンプ方向に傾斜させる動作を意味する。ダンプ方向は、車体フレーム10の後方である。実施形態において、ダンプ動作は、ダンプボディ12の前端部を上昇させて、ダンプボディ12を後方に傾斜させることを含む。ダンプ動作により、ダンプボディ12の積載面は、後方に向かって下方に傾斜する。
【0016】
下げ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10に接近させる動作を意味する。下げ動作は、ダンプ動作とは逆方向の動作である。実施形態において、下げ動作は、ダンプボディ12の前端部を下降させることを含む。
【0017】
ダンプ動作及び下げ動作により、ダンプボディ12は、ダンプ姿勢及び積載姿勢に調整される。ダンプ姿勢とは、ダンプボディ12が上昇している姿勢を意味する。積載姿勢とは、ダンプボディ12が下降している姿勢を意味する。
図2の例では、積載姿勢のダンプボディ12を実線で示し、ダンプ姿勢のダンプボディ12を二点鎖線で示している。
【0018】
例えば、排土作業を実施する場合、ダンプボディ12は、積載姿勢からダンプ姿勢に変化するように、ダンプ動作する。ダンプボディ12に積荷が積載されている場合、積荷は、ダンプ動作により、ダンプボディ12の後端部から後方に排出される。一方、積込作業が実施される場合、ダンプボディ12は、積載姿勢に調整される。
【0019】
ダンプボディ12は、運転室15を上方から保護するプロテクタ16を備える。プロテクタ16は、ダンプボディ12が積載姿勢にあるときは運転室15を上方から覆うように配置される。プロテクタ16は、ダンプボディ12の前端側に設けられている。プロテクタ16は、運転室15よりも上方に配置されている。プロテクタ16は、車両幅方向に延びている。例えば、運転室15は、車両幅方向中央よりも車両左側に配置されている。
【0020】
運転室15は、プラットフォーム17に支持されている。プラットフォーム17は、オペレータの運転室15への乗降時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、ダンプトラック2の搭載機器の整備時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、プロテクタ16よりも下方に配置されている。プラットフォーム17は、車輪21,22よりも上方に配置されている。プラットフォーム17は、車両幅方向に延びている。プラットフォーム17は、車両前後方向及び車両幅方向に平行な板状に形成されている。
【0021】
走行装置13は、車体フレーム10を支持する。走行装置13は、ダンプトラック2を走行させる。走行装置13は、ダンプトラック2を前進又は後進させる。走行装置13の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも下方に配置される。走行装置13は、複数の車輪21,22を備える。複数の車輪21,22は、前輪21と、前輪21よりも後方に配置される後輪22と、を含む。
【0022】
前輪21は、ダンプトラック2の進行方向を変えるために操舵される操舵輪である。前輪21は、左右一対配置されている。左右一対の前輪21は、車体フレーム10の前部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。前輪21は、左右に1つずつ(計2つ)設けられている。
【0023】
後輪22は、駆動源35により駆動される駆動輪である。後輪22は、左右一対配置されている。左右一対の後輪22は、車体フレーム10の後部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。後輪22は、左右に2つずつ(計4つ)設けられている。
【0024】
ダンプトラック2は、水素を燃料とする駆動源35と、駆動源35の排気をダンプボディ12に案内するダクト40と、を更に備える。駆動源35及びダクト40は、荷台加熱システム1(システムの一例)を構成する。
【0025】
<荷台加熱システム>
荷台加熱システム1の構成要素は、車体フレーム10及びダンプボディ12に搭載されている。荷台加熱システム1は、フィルタ31と、コンプレッサ32と、インタークーラ33と、加湿器34と、駆動源35(FCスタックに相当)と、空気導入管39と、ダクト40と、タンク50と、熱交換器51と、を備える。
【0026】
フィルタ31、コンプレッサ32、インタークーラ33、加湿器34、駆動源35、空気導入管39及びダクト40の一部は、FCモジュール30を構成している。FCモジュール30は、車体フレーム10に搭載されている。ダクト40の一部は、ダンプボディ12に搭載されている。
【0027】
フィルタ31は、駆動源35の上流に設けられる。例えば、フィルタ31は、駆動源35に供給される空気を清浄化するためのエアフィルタである。例えば、フィルタ31は、粉塵フィルタ、ケミカルフィルタ等で構成されてもよい。例えば、フィルタ31の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0028】
例えば、フィルタ31は、FCモジュール30において最上流に設けられてもよい。例えば、FCモジュール30の外部の空気(外気)は、フィルタ31を通った後に空気導入管39内に入る。これにより、FCモジュール30の上流側から駆動源35に供給される空気を清浄化することができる。
【0029】
コンプレッサ32は、フィルタ31の下流かつ駆動源35の上流に設けられる。コンプレッサ32は、駆動源35に供給される空気を圧縮するための装置である。コンプレッサ32は、空気導入管39においてフィルタ31と駆動源35との間の部分に設けられる。これにより、フィルタ31を通った空気が圧縮されるため、清浄化した圧縮空気を駆動源35に供給することができる。
【0030】
インタークーラ33は、コンプレッサ32の下流かつ駆動源35の上流に設けられる。インタークーラ33は、コンプレッサ32により圧縮された空気を冷却するための装置である。コンプレッサ32は、空気導入管39においてコンプレッサ32と駆動源35との間の部分に設けられる。これにより、コンプレッサ32からの圧縮空気が冷却されるため、コンプレッサ32からの圧縮空気の過熱による相対湿度(空気導入管39を流れる空気中に含まれる水蒸気の量)の低下を抑制することができる。
【0031】
加湿器34は、インタークーラ33の下流かつ駆動源35の上流に設けられる。加湿器34は、駆動源35に供給される空気を加湿するための機器である。加湿器34は、空気導入管39においてインタークーラ33と駆動源35との間の部分に設けられる。これにより、インタークーラ33からの空気が加湿されるため、駆動源35に供給される空気の相対湿度を所定湿度に保つことができる。
【0032】
例えば、燃料電池(駆動源35の一例)の中でも固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池等の電解質膜は、電気を通すために水を含んでいる必要がある。例えば、加湿器34は、電解質膜に必要な相対湿度を保つことができるように構成されているとよい。
【0033】
駆動源35は、空気導入管39の下流端に設けられる。駆動源35は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する燃料電池(FC)を含む。例えば、燃料電池は、複数の単位セルが積層されたスタック構造を有する。例えば、燃料電池は、外気に含まれる酸素を利用して発電する。なお、燃料電池は、酸化ガス供給装置(不図示)により酸素を含む空気が供給されてもよい。
【0034】
本実施形態の駆動源35は、燃料電池として固体高分子形燃料電池を含む。一般的に、固体高分子形燃料電池の排気の温度は60度から80度である。そのため、排気の熱によりダンプボディ12が過熱する可能性は低い。本実施形態では、駆動源35の排気を冷却するための冷却装置を別途設けていない。
【0035】
一般的に、燃料電池の排気の圧力は、200kPaから300kPaであり、大気圧よりも高い。そのため、冷却ファン等を使用せずにシステムを構築することができる。
【0036】
なお、駆動源35は、水素を燃料とする内燃機関である水素エンジンを含んでもよい。例えば、水素エンジンは、ダンプボディ12のダンプ動作又は下げ動作を行う動力を発生してもよい。例えば、水素エンジンは、前輪21を操舵する動力を発生してもよい。例えば、水素エンジンが発生した動力(回転力)は、走行装置13の後輪22に伝達されてもよい。
【0037】
なお、荷台加熱システム1は、燃料である水素を水素タンク60に充填するための水素充填系と、水素タンク60内の水素を駆動源35に供給するための水素供給系と、を含んでもよい。例えば、水素タンク60は、車体フレーム10に搭載されてもよい。例えば、水素充填系及び水素供給系は、車体フレーム10に搭載されてもよい。
【0038】
なお、ダンプトラック2は、バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池)を含んでいてもよい。例えば、バッテリは、燃料電池において発生した電力を蓄える。例えば、バッテリは、燃料電池と同様、ダンプトラック2の電源として機能してもよい。
【0039】
<ダクト>
ダクト40は、駆動源35の排気をダンプボディ12に案内する配管である。本実施形態では、ダクト40の少なくとも一部は、ダンプボディ12に設けられる。ダクト40は、車体フレーム10に設けられる第1配管部分41と、ダンプボディ12に設けられる第2配管部分42と、を含む。
【0040】
第1配管部分41の上流端は、駆動源35に接続されている。例えば、第1配管部分41は、駆動源35から回動部11の近傍まで延びている。例えば、ダクト40において第1配管部分41と第2配管部分42とを回動部11の近傍で結合する部分は、屈曲自在又は伸縮自在に構成されてもよい。
【0041】
第2配管部分42は、ダンプボディ12に設けられる。ダンプボディ12は、ダンプボディ12の一面に沿うリブ20を備える。例えば、リブ20は、ダンプボディ12の補強部材として機能する。第2配管部分42(ダクト40の少なくとも一部に相当)は、リブ20に沿って設けられる。例えば、リブ20は、矩形断面形状を有してもよい。例えば、第2配管部分42は、リブ20の内部空間に配置されてもよい。
【0042】
図1の例では、リブ20は、ダンプボディ12の下面(ダンプボディ12の一面に一例)の側縁に沿って設けられる。例えば、リブ20は、ダンプボディ12の下面に複数設けられてもよい。例えば、リブ20は、ダンプボディ12の前面及び左右側面(下面以外の面)に設けられてもよい。例えば、リブ20の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0043】
図1の例では、第2配管部分42は、ダンプボディ12の下面の側縁に沿うリブ20内に設けられる。本実施形態では、ダンプボディ12の既存のリブ20を利用して第2配管部分42(ダクト40の一部)を設置している。本実施形態では、既存のリブ20以外(新たなリブ)を別途設けていない。
【0044】
<タンク>
タンク50は、駆動源35の排気により生成された水を回収するための容器である。タンク50は、駆動源35の下流に設けられる。タンク50は、第1配管部分41において駆動源35と回動部11との間の部分に設けられる。タンク50は、車体フレーム10に搭載されている。
【0045】
<熱交換器>
熱交換器51は、駆動源35の排気と熱交換を行うための機器である。熱交換器51は、駆動源35の下流に設けられる。熱交換器51は、第1配管部分41においてタンク50(具体的には、第1配管部分41からタンク50へ分岐する部分)と回動部11との間の部分に設けられる。熱交換器51は、車体フレーム10に搭載されている。例えば、熱交換器51は、空気の断熱膨張により排気の温度を低下させるように構成されてもよい。
【0046】
なお、熱交換器51は、車体フレーム10に搭載されることに限らない。例えば、ダンプボディ12自体を熱交換器51として機能させてもよい。これにより、駆動源35の排気が冷却されるため、排気の熱によりダンプボディ12が過熱することを抑制することができる。
【0047】
<システムの構成要素の配置>
図1を併せて参照し、FCモジュール30は、ダンプボディ12の前部下端よりも車体前方に配置されている。FCモジュール30は、プラットフォーム17よりも下方に配置されている。
【0048】
FCモジュール30は、車体フレーム10の上に搭載されている。FCモジュール30は、車体フレーム10の車両幅方向の範囲内に配置されていることが好ましい。これにより、FCモジュール30が車体下方から車体フレーム10によって覆われる。そのため、FCモジュール30に対して車体下方から外乱(例えば、飛び石等)が及ぶことを抑制することができる。
【0049】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態のダンプトラック2は、車体フレーム10に対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディ12を備える。ダンプトラック2は、水素を燃料とする駆動源35と、駆動源35の排気をダンプボディ12に案内するダクト40と、を更に備える。
この構成によれば、ダクト40により、水素を燃料とする駆動源35の排気がダンプボディ12に案内される。そのため、排気の熱により、積載物の凍結による作業効率の低下を抑制することができる。加えて、水素を燃料とする駆動源35の排気はエンジンの排気よりも清浄であるため、腐食や煤などのメンテナンス性が向上する。加えて、水素を燃料とする駆動源35の排気の圧力は大気圧よりも高いため、暖気を送風するための冷却ファンを別途設ける必要がない。したがって、積載物の凍結による作業効率の低下を抑制しつつ、メンテナンス性の向上及びシステムの簡素化を図ることができる。
【0050】
本実施形態では、ダクト40の少なくとも一部は、ダンプボディ12に設けられる。
この構成によれば、ダクト40の全部がダンプボディ12とは別の部材に設けられる場合と比較して、排気の熱がダンプボディ12に伝わりやすい。したがって、積載物の凍結による作業効率の低下をより効果的に抑制することができる。
【0051】
本実施形態では、ダンプボディ12は、ダンプボディ12の一面に沿うリブ20を備える。ダクト40の少なくとも一部は、リブ20に沿って設けられる。
この構成によれば、ダンプボディ12のリブ20に沿って排気の熱がダンプボディ12の一面に伝わるため、積載物の凍結による作業効率の低下をより効果的に抑制することができる。加えて、ダンプボディ12の既存のリブ20を利用してダクト40を設置する場合は、新たなリブを別途設ける必要がないため、更なる簡素化を図ることができる。
例えば、リブ20そのものをダクト40としてもよい。例えば、ダンプボディ底板と矩形リブとにより形成される内部空間自体をダクト40の内部空間(排気の案内通路)としてもよい。これにより、リブ20とは別部材の配管を用いる場合と比較して、伝熱しやすくすることができる。
【0052】
本実施形態では、駆動源35は、固体高分子形燃料電池を含む。
この構成によれば、一般的に固体高分子形燃料電池の排気の温度は60度から80度であるため、排気の熱によりダンプボディ12が過熱する可能性は低い。したがって、駆動源35の排気を冷却するための冷却装置を別途設ける必要がないため、更なる簡素化を図ることができる。
一般的に、固体酸化物形燃料電池の排気の温度は800度から1000度、リン酸形燃料電池の排気の温度は190度から200度、溶融炭酸塩型燃料電池の排気の温度は600度から700度である。本実施形態によれば、駆動源35が固体高分子形燃料電池を含むことで、上記の固体酸化物形燃料電池などを備える場合と比較して、排気の熱によりダンプボディ12が過熱する可能性は低い。
【0053】
本実施形態では、ダンプトラック2は、駆動源35の上流に設けられ、駆動源35に供給される空気を清浄化するためのフィルタ31を更に備える。
この構成によれば、駆動源35に供給される空気がフィルタ31を通ることにより、駆動源35の排気を更に清浄化することができる。したがって、メンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0054】
本実施形態では、ダンプトラック2は、駆動源35の上流に設けられ、駆動源35に供給される空気を圧縮するためのコンプレッサ32と、コンプレッサ32と駆動源35との間に設けられ、コンプレッサ32により圧縮された空気を冷却するためのインタークーラ33と、を更に備える。
この構成によれば、インタークーラ33によりコンプレッサ32からの圧縮空気が冷却されるため、コンプレッサ32からの圧縮空気の過熱による相対湿度の低下を抑制することができる。したがって、相対湿度の低下に起因する駆動源35の性能低下を抑制することができる。
【0055】
本実施形態では、ダンプトラック2は、駆動源35の上流に設けられ、駆動源35に供給される空気を加湿するための加湿器34を更に備える。
この構成によれば、加湿器34により駆動源35に供給される空気が加湿されるため、駆動源35の性能向上を図ることができる。
【0056】
本実施形態では、ダンプトラック2は、排気により生成された水を回収するためのタンク50を更に備える。
この構成によれば、排気により生成された水がタンク50で回収されるため、回収した水を利用することができる。
【0057】
本実施形態では、ダンプトラック2は、排気と熱交換を行う熱交換器51を更に備える。
この構成によれば、熱交換器51により排気が冷却されるため、排気の熱によりダンプボディ12が過熱することを抑制することができる。
また、熱交換器51で交換した熱を別の部位で利用してもよい。例えば、固体酸化形燃料電池など排気温度が高い電池などでは、排熱を回収し、温水にするといった活用をすることができる。
【0058】
<変形例>
上述した実施形態では、ダクトの少なくとも一部は、ダンプボディに設けられる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダクトの全部は、ダンプボディとは別の部材に設けられてもよい。例えば、ダクトの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0059】
上述した実施形態では、ダンプボディは、ダンプボディの一面に沿うリブを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプボディは、リブを備えなくてもよい。例えば、リブの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0060】
上述した実施形態では、ダクトの少なくとも一部は、リブに沿って設けられる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダクトの少なくとも一部は、ダンプボディの一面に沿って設けられてもよい。例えば、ダンプボディに対するダクトの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0061】
上述した実施形態では、駆動源は、固体高分子形燃料電池を含む例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、駆動源は、固体高分子形燃料電池を含まなくてもよい。例えば、駆動源は、固体酸化物形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池を含んでもよい。例えば、駆動源の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0062】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、駆動源の上流に設けられ、駆動源に供給される空気を清浄化するためのフィルタを更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、フィルタを備えなくてもよい。例えば、フィルタの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0063】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、駆動源の上流に設けられ、駆動源に供給される空気を圧縮するためのコンプレッサと、コンプレッサと駆動源との間に設けられ、コンプレッサにより圧縮された空気を冷却するためのインタークーラと、を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、インタークーラを備えなくてもよい。例えば、インタークーラの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、駆動源の上流に設けられ、駆動源に供給される空気を加湿するための加湿器を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、加湿器を備えなくてもよい。例えば、加湿器の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0065】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、排気により生成された水を回収するためのタンクを更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、タンクを備えなくてもよい。例えば、タンクの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、排気と熱交換を行う熱交換器を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、熱交換器を備えなくてもよい。例えば、熱交換器の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0068】
(付記1)
車体フレームに対して回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディを備えるダンプトラックにおいて、
水素を燃料とする駆動源と、
前記駆動源の排気を前記ダンプボディに案内するダクトと、を更に備える、
ダンプトラック。
【0069】
(付記2)
前記ダクトの少なくとも一部は、前記ダンプボディに設けられる、
付記1に記載のダンプトラック。
【0070】
(付記3)
前記ダンプボディは、前記ダンプボディの一面に沿うリブを備え、
前記ダクトの少なくとも一部は、前記リブに沿って設けられる、
付記2に記載のダンプトラック。
【0071】
(付記4)
前記駆動源は、固体高分子形燃料電池を含む、
付記1から3の何れかに記載のダンプトラック。
【0072】
(付記5)
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を清浄化するためのフィルタを更に備える、
付記1から4の何れかに記載のダンプトラック。
【0073】
(付記6)
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を圧縮するためのコンプレッサと、
前記コンプレッサと前記駆動源との間に設けられ、前記コンプレッサにより圧縮された空気を冷却するためのインタークーラと、を更に備える、
付記1から5の何れかに記載のダンプトラック。
【0074】
(付記7)
前記駆動源の上流に設けられ、前記駆動源に供給される空気を加湿するための加湿器を更に備える、
付記1から6の何れかに記載のダンプトラック。
【0075】
(付記8)
前記排気により生成された水を回収するためのタンクを更に備える、
付記1から7の何れかに記載のダンプトラック。
【0076】
(付記9)
前記排気と熱交換を行う熱交換器を更に備える、
付記1から8の何れかに記載のダンプトラック。
【符号の説明】
【0077】
2…ダンプトラック、10…車体フレーム、12…ダンプボディ、20…リブ、31…フィルタ、32…コンプレッサ、33…インタークーラ、34…加湿器、35…駆動源、40…ダクト、50…タンク、51…熱交換器