IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社不二工機の特許一覧

<>
  • 特開-安全弁 図1
  • 特開-安全弁 図2
  • 特開-安全弁 図3
  • 特開-安全弁 図4
  • 特開-安全弁 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092142
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】安全弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/06 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
F16K17/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207867
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚起
(72)【発明者】
【氏名】小澤 武治
(72)【発明者】
【氏名】細川 侯史
【テーマコード(参考)】
3H059
【Fターム(参考)】
3H059AA06
3H059BB05
3H059BB22
3H059CD05
3H059CE01
3H059EE01
3H059FF02
3H059FF16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開弁時に流体の放出を妨げない安全弁を提供する。
【解決手段】安全弁1は、流体の導入路24及び導入路24の内方端部周囲に形成された弁座25を備えた本体2と、外部と連通する開口を備え、本体2に固定される固定部材4と、弁座25に対して接近または離間可能な弁体3と、弁体3と固定部材4との間に配置された係止部と、固定部材4に対して弁体3を弁座側に付勢するコイルばね5と、を有し、導入路内の圧力が開弁圧を超えたとき、コイルばね5の付勢力に抗して弁体3が弁座25から離間することにより、導入路内の流体は、弁体3と本体2との間の隙間流路へと流入可能であり、係止部は、変位した弁体3と固定部材4とに挟まれて弁体3と固定部材4との軸線方向の間隔を保持することにより、弁体3と固定部材4との間に、隙間流路と開口とを連通する中間流路を形成することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の導入路及び前記導入路の内方端部周囲に形成された弁座を備えた本体と、
外部と連通する開口を備え、前記本体に固定される固定部材と、
前記弁座に対して接近または離間可能な弁体と、
前記弁体と前記固定部材との間に配置された係止部と、
前記固定部材に対して前記弁体を前記弁座側に付勢するコイルばねと、を有し、
前記導入路内の圧力が開弁圧を超えたとき、前記コイルばねの付勢力に抗して前記弁体が前記弁座から離間することにより、前記導入路内の流体は、前記弁体と前記本体との間の隙間流路へと流入可能であり、
前記係止部は、変位した前記弁体と前記固定部材とに挟まれて前記弁体と前記固定部材との軸線方向の間隔を保持することにより、前記弁体と前記固定部材との間に、前記隙間流路と前記開口とを連通する中間流路を形成することが可能である、
ことを特徴とする安全弁。
【請求項2】
前記係止部は、前記弁体の中心から径方向にシフトした位置において前記弁体に配設されたシャフトの一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の安全弁。
【請求項3】
前記シャフトは、第1軸部と、大径軸部と、前記大径軸部より小径の第2軸部とを連設してなり、前記大径軸部が前記係止部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の安全弁。
【請求項4】
前記第1軸部が、前記弁体の取付開口に圧入されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の安全弁。
【請求項5】
前記第2軸部が、前記固定部材の貫通孔に対し、前記安全弁の軸線方向に相対変位可能に挿通されており、
前記弁体が前記固定部材側へと変位したときに、前記第2軸部が前記貫通孔から突出した状態を、前記安全弁の外部から視認可能となる、
ことを特徴とする請求項3に記載の安全弁。
【請求項6】
複数本の前記シャフトが前記弁体に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の安全弁。
【請求項7】
前記弁体は、周方向に沿って複数の平面を備えた略多角筒状を有し、前記平面と前記本体の内周面との間に前記隙間流路が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の安全弁。
【請求項8】
周方向に隣接する前記平面同士は、部分円筒面により接続されており、
前記部分円筒面と前記本体の内周面とが摺動可能である、
ことを特徴とする請求項7に記載の安全弁。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍サイクル内で冷媒が所定値以上に高圧となると開弁して、高圧冷媒を逃がすことにより、冷凍サイクル機器を異常高圧から保護する安全弁が知られている。
【0003】
特許文献1には、圧縮コイルばねの付勢力により弁体を弁座に向かって付勢することで、圧力導入口を閉弁する安全弁が開示されている。かかる安全弁によれば、圧力導入口の内圧が開弁圧を超えると、弁座から弁体が離れて圧力導入口が開放し、それにより圧力導入口から安全弁に進入した流体を、プレートの通口を介して外部に放出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-135817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の安全弁においては、プレートがボディにカシメ固定されているため、圧縮コイルばねの付勢力が一定となり、そのため開弁圧は略一定である。これに対し、プレートの外周に雄ねじを形成し、ボディに形成した雌ねじに螺合させることで、開弁圧を所望の値に調整することが可能となる。具体的には、ボディに対するプレートのねじ込み量を変更することで、圧縮コイルばねの付勢力が変更され、開弁圧の調整が可能になる。
【0006】
そのような安全弁においては、圧縮コイルばねを置換することなく、プレートを弁体に近接させて圧縮コイルばねの付勢力を増大させることにより高い開弁圧を実現でき、プレートを弁体から離間させて圧縮コイルばねの付勢力を減少させることにより低い開弁圧を実現できる。
【0007】
しかしながら、高い開弁圧を実現するためにプレートを弁体に接近させると、圧力導入口の内圧が過大となったときなど、弁体がプレート側に強く押されてプレートに密着することがある。かかる場合、弁体によりプレートの通口が遮蔽されるため、流体の放出が妨げられる恐れがある。同様の問題は、開弁圧一定の安全弁であっても、例えば小型化するためにプレートと弁体の距離を短縮化したときにも生じうる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、開弁時に流体の放出を妨げない安全弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の安全弁は、
流体の導入路及び前記導入路の内方端部周囲に形成された弁座を備えた本体と、
外部と連通する開口を備え、前記本体に固定される固定部材と、
前記弁座に対して接近または離間可能な弁体と、
前記弁体と前記固定部材との間に配置された係止部と、
前記固定部材に対して前記弁体を前記弁座側に付勢するコイルばねと、を有し、
前記導入路内の圧力が開弁圧を超えたとき、前記コイルばねの付勢力に抗して前記弁体が前記弁座から離間することにより、前記導入路内の流体は、前記弁体と前記本体との間の隙間流路へと流入可能であり、
前記係止部は、変位した前記弁体と前記固定部材とに挟まれて前記弁体と前記固定部材との軸線方向の間隔を保持することにより、前記弁体と前記固定部材との間に、前記隙間流路と前記開口とを連通する中間流路を形成することが可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流体漏れを抑制しつつ、安定した開弁圧を確保でき、さらに円滑な動作を可能とする安全弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる安全弁の軸線方向断面図である。
図2図2は、図1の安全弁の一部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、図1の安全弁のA-A断面図である。
図4図4は、開弁状態における安全弁の軸線方向断面図である。
図5図5は、図4の安全弁の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、ここでは本発明を、主としてカーエアコンなどの冷凍サイクルに使用される安全弁に適用した例を説明するが、本発明に係る安全弁は、冷凍サイクル以外にも様々なものに適用することができる
【0013】
図1は、本実施形態の閉弁状態における安全弁1の軸線方向断面図である。図2は、図1の安全弁1の一部を拡大して示す断面図である。図3は、図1の安全弁1のA-A断面図であるが、矢視A方向の構成は実線で示し、矢視Aと反対方向にある構造は二点鎖線で示している。図4は、開弁状態における安全弁1の軸線方向断面図である。図5は、図4の安全弁1の一部を拡大して示す断面図である。安全弁1の中心線を軸線Lとする。
【0014】
図1において、安全弁1は、本体2と、弁体3と、ねじ部材(固定部材)4と、コイルばね5とからなる。金属製(例えば真鍮製)である本体2は、図3を参照して外周が六角筒状であり内周が円筒状である周壁21と、周壁21の一端を遮蔽する端壁22と、端壁22の中央に植設された軸部23とから連設されてなる。軸部23の周囲には、雄ねじ23aが形成されている。
【0015】
軸線Lに沿って、軸部23及び端壁22を貫通する導入路24が形成されている。導入路24は、本体2内に開口している。導入路24の内方端部周囲における端壁22の弁体3に対向する面には、テーパ状の弁座25が形成されている。
【0016】
本体2の周壁21は、端壁22側の縮径内周部21aと、端壁22とは反対側の端部側の拡径内周部21bとを有する。縮径内周部21aと拡径内周部21bとは、テーパ内周部により接続されていてよい。拡径内周部21bには、雌ねじ21cが形成されている。
【0017】
縮径内周部21a内に弁体3が、軸線Lに沿って摺動可能に配置されている。金属製(例えば真鍮製)である弁体3は、図3を参照して外周が略四角筒状である胴部31と、導入路24側から離間するにつれて拡径する円錐部32とを連設してなる。弁体3は略四角筒状に限らず、略三角筒状又は五角形以上の略多角筒状であってよい。
【0018】
図3において、胴部31の外周を構成する4つの平面31aのうち周方向に隣接するもの同士は、軸線Lに同軸な部分円筒面31bにより接続されている。この部分円筒面31bが縮径内周部21aに対して摺動可能な摺動面となっている。
【0019】
図1において、円錐部32の導入路24側の端部は、組付けられた状態で導入路24内に進入する平坦面となっており、その中央に円錐状の凹部32aが形成されている。
【0020】
胴部31の導入路24側とは反対側の端面には、4つ(図1では2つのみ図示)の袋穴31cが、周方向に等間隔に形成されている。取付開口を構成する袋穴31cには、共通する形状のシャフト33がそれぞれ植設されている。シャフト33は、複数本配設されると好ましい。
【0021】
図2において、円柱状のシャフト33は、袋穴31cに圧入される短軸部(第1軸部)33aと、短軸部33aより大径であると好ましい大径軸部(係止部)33bと、大径軸部33bより小径の長軸部(第2軸部)33cとを同軸に連設してなり、弁体3の中心に対して径方向にシフトして配置される。短軸部33aと長軸部33cの径は等しいと好ましいが、異なっていてもよい。袋穴31cに短軸部33aを圧入したときに、大径軸部33bの端部が胴部31の端面に当接する。長軸部33cは、軸線Lに平行して延在する。
【0022】
図1、2において、短円筒状のねじ部材4は、弁体3側の面に円筒孔41を形成し、外側を向いた面に、不図示の工具を係合可能な六角筒状の係合孔42を、円筒孔41と連通して有する。円筒孔41と係合孔42が、外部に対して連通する開口を形成する。ねじ部材4の外周には、雄ねじ43が形成されている。
【0023】
さらにねじ部材4は、円筒孔41の径方向外方にて、軸線Lに沿って貫通し周方向に等間隔に形成された4つ(図1では2つのみ図示)の貫通孔44を有する。貫通孔44内には、シャフト33の長軸部33cが軸線方向に相対移動可能に挿通されている。長軸部33cの端部は、貫通孔44内に位置する(突出していない)と好ましい。貫通孔44の内径は、大径軸部33bの外径より小さい。図1、2に示す閉弁状態では、大径軸部33bとねじ部材4とは離間している。
【0024】
円筒孔41の内側において、コイルばね5が配置されている。コイルばね5の内方端は、胴部31の端面に当接し、その外方端は、円筒孔41と係合孔42の段部に当接している。コイルばね5は、ねじ部材4を介して、本体2に対して円錐部32を導入路24に向う側に付勢している。かかる付勢力に応じて、円錐部32の外周面は弁座25に着座し、これにより導入路24が遮蔽される。
【0025】
安全弁1の組付け時には、まず弁体3に各シャフト33の短軸部33aを袋穴31cに圧入により嵌合させてシャフト33を弁体3に固定し、さらに4本のシャフト33の内側にコイルばね5を配置し、弁体3に向かってねじ部材4を接近させ、長軸部33cを貫通孔44に挿通する。コイルばね5が自由長の状態で、長軸部33cが貫通孔44から脱落しない寸法とすることが好ましい。
【0026】
このようにして組み合わされた弁体3とねじ部材4を、弁体3側から本体2の周壁21内に挿入し、コイルばね5を圧縮しながら、ねじ部材4の雄ねじ43を雌ねじ21cに螺合させる。このとき、ねじ部材4に対してシャフト33を介して連結された弁体3は、不図示の工具を介して回動されるねじ部材4とともに螺進して、円錐部32の外周面を弁座25に着座させる。その後、開弁圧調整を経て、ねじ部材4は本体2に対して固定され、図1に示す閉弁状態となる。このとき、円錐部32は、弁座25に対してコイルばね5の初期付勢力で押圧される。なお、ねじ部材4は本体2に対して封止剤等で封止固定されると好ましく、その場合には封止剤等は貫通孔44を遮蔽しないことが望ましい。ただし、ねじ部材4は、カシメにより本体2に対して固定されてもよい。
【0027】
(安全弁の動作)
冷凍サイクルの動作時に、冷媒の圧力が高まると導入路24の内圧が増大する。該内圧が開弁圧を超えると、コイルばね5の付勢力に抗して、縮径内周部21aに対して胴部31の摺動面31b(部分円筒面)が摺動しつつ、本体2に対して弁体3が図1で右方(開弁方向)に変位させられる。それにより弁座25に対して円錐部32が離間し、その間の隙間を介して冷媒が流出する。流出した冷媒は、縮径内周部21aと胴部31の平面31aとの間に形成される隙間流路CL(図2、3)を通過して、ねじ部材4側に向かう。
【0028】
(シャフトによる弁体の回動阻止)
本実施形態によれば、4本のシャフト33を介して、弁体3とねじ部材4とが連結され、さらにねじ部材4が本体2に固定されている。このため、例えば導入路24から弁体3に向かう冷媒が渦を巻くことにより弁体3に対し軸線L回りに回転させる回転力が付与された場合でも、シャフト33が回転力を支持することにより、弁体3の回転を抑制することができる。それにより、円錐部32の外周面と弁座25の間の摩耗等を抑制できる。なお、シャフト33は、弁体3の回転を阻止するためには、少なくとも1本あれば足りる。
【0029】
ただし、1本のシャフト33により弁体3の回転を阻止する為には、シャフト33が弁体3の中心から外れた位置にある必要がある。
【0030】
(大径軸部による中間流路形成)
ここで、導入路24内の圧力が過大である場合、その圧力により図4に示すように、弁体3がねじ部材4に向かって押圧される。かかる場合、本実施形態によれば、図5に示すように、弁体3とともにシャフト33がねじ部材4側に変位して、大径軸部33bがねじ部材4の貫通孔44の周囲における端面に当接する。すなわち、大径軸部33bが弁体3とねじ部材4との間に挟まれ、それ以上の弁体3の変位を阻止することができる。かかる場合、大径軸部33bが弁体3とねじ部材4との間隔を確保するため、隙間流路CLを通過した冷媒は、図5の矢印Bで示すように、隣接する大径軸部33bの間に(少なくとも大径軸部33bに隣接して)形成される流路断面が比較的大きい中間流路IM(図3、5)をスムーズに通過して、ねじ部材4の円筒孔41及び係合孔42を介して外部へと流出することが可能になる。弁体3の押圧力を均等に支持するため、複数の大径軸部33bが、周方向に等間隔に配置されていると好ましい。
【0031】
(長軸部を用いた開弁状態の検出)
閉弁状態(図2)と開弁状態(図5)とを比較すると明らかであるが、ねじ部材4に対し弁体3が軸線方向に変位するため、両状態における貫通孔44から突出するシャフト33の長軸部33cの突出量が異なる。例えば流体が気体であるときは、安全弁1から流出する流体を直接視認できない場合もあり、そのため安全弁1が開弁状態にあることの確認が遅れることもある。これに対し本実施形態によれば、安全弁1が開弁状態となると、長軸部33cが貫通孔44より安全弁1の外部に向かって突出するため、例えば検査者により肉眼で視認可能である。これにより、安全弁1が開弁状態にあることを直ちに認識でき、冷凍サイクル内の圧力異常を迅速に把握することが可能となる。
【0032】
導入路24内の冷媒圧力が低下して、開弁圧が閾値を下回ると、弁座25と円錐部32とが当接するため、安全弁1を介する冷媒の流出は停止される。
【0033】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。例えば、上述の実施形態では、係止部は、弁体3とは別部材であるシャフト33を弁体3側に取り付けることで設けられたが、他の例では、係止部が弁体3と一体に形成されてもよい。ここでいう係止部が弁体と一体に形成されるとは、係止部及び弁体が単一の部材で形成されることである。また、他の例では、係止部がねじ部材(固定部材)4に設けられてもよい。係止部は、ねじ部材と一体に形成されてもよいし、または、ねじ部材4に対して別部材として形成されてねじ部材4に固定されてもよい。この例としては、シャフトの短軸部を切断し、ねじ部材の貫通孔に長軸部を圧入するなどして、係止部としての大径軸部をねじ部材側に取り付けてもよい。ここでいう係止部がねじ部材と一体に形成されるとは、係止部及びねじ部材が単一の部材で形成されることである。
【0034】
なお、シャフトの外に出る部分に目印を設け、この目印によって、外部から視認することで弁開度がわかるようにしてもよい。その一例としては、目印としてシャフトに目盛り(ペイントや打刻等)を記載し、この目盛りを視認することで、弁開度がわかるようにできる。その他の例としては、シャフトの外に出る部分が長さ方向に複数の領域にわかれており、各領域に異なる色を塗布することにより、シャフトの外に出る部分の根元の色に応じて、弁開度がわかるようにできる。
【0035】
本明細書は、以下の発明の開示を含む。
(第1の形態)
流体の導入路及び前記導入路の内方端部周囲に形成された弁座を備えた本体と、
外部と連通する開口を備え、前記本体に固定される固定部材と、
前記弁座に対して接近または離間可能な弁体と、
前記弁体と前記固定部材との間に配置された係止部と、
前記固定部材に対して前記弁体を前記弁座側に付勢するコイルばねと、を有し、
前記導入路内の圧力が開弁圧を超えたとき、前記コイルばねの付勢力に抗して前記弁体が前記弁座から離間することにより、前記導入路内の流体は、前記弁体と前記本体との間の隙間流路へと流入可能であり、
前記係止部は、変位した前記弁体と前記固定部材とに挟まれて前記弁体と前記固定部材との軸線方向の間隔を保持することにより、前記弁体と前記固定部材との間に、前記隙間流路と前記開口とを連通する中間流路を形成することが可能である、
ことを特徴とする安全弁。
【0036】
(第2の形態)
前記係止部は、前記弁体の中心から径方向にシフトした位置において前記弁体に配設されたシャフトの一部である、
ことを特徴とする第1の形態の安全弁。
【0037】
(第3の形態)
前記シャフトは、第1軸部と、大径軸部と、前記大径軸部より小径の第2軸部とを連設してなり、前記大径軸部が前記係止部である、
ことを特徴とする第2の形態の安全弁。
【0038】
(第4の形態)
前記第1軸部が、前記弁体の取付開口に圧入されている、
ことを特徴とする第3の形態の安全弁。
【0039】
(第5の形態)
前記第2軸部が、前記固定部材の貫通孔に対し、前記安全弁の軸線方向に相対変位可能に挿通されており、
前記弁体が前記固定部材側へと変位したときに、前記第2軸部が前記貫通孔から突出した状態を、前記安全弁の外部から視認可能となる、
ことを特徴とする第3の形態又は第4の形態の安全弁。
【0040】
(第6の形態)
複数本の前記シャフトが前記弁体に取り付けられている、
ことを特徴とする第3の形態~第5の形態のいずれかの安全弁。
【0041】
(第7の形態)
前記弁体は、周方向に沿って複数の平面を備えた略多角筒状を有し、前記平面と前記本体の内周面との間に前記隙間流路が形成される、
ことを特徴とする第1の形態~第6の形態のいずれかの安全弁。
【0042】
(第8の形態)
周方向に隣接する前記平面同士は、部分円筒面により接続されており、
前記部分円筒面と前記本体の内周面とが摺動可能である、
ことを特徴とする第7の形態の安全弁。
【符号の説明】
【0043】
1 安全弁
2 本体
24 導入路
25 弁座
3 弁体
33 シャフト
33b 大径軸部
4 ねじ部材
41 円筒孔
42 係合孔
5 コイルばね
CL 隙間流路
IM 中間流路
L 軸線

図1
図2
図3
図4
図5