IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特開-給湯器 図1
  • 特開-給湯器 図2
  • 特開-給湯器 図3
  • 特開-給湯器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092144
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/14 20220101AFI20240701BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20240701BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20240701BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240701BHJP
   F24H 15/365 20220101ALI20240701BHJP
【FI】
F24H1/14 B
F24H15/174
F24H15/20
F24H15/35
F24H15/365
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207872
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 俊輝
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BB03
3L034CA05
(57)【要約】
【課題】ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる場合と変化させない場合とで、フィードバック制御を使い分ける。
【解決手段】給湯器1において制御部22Aは、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を差分値として算出する第1の式を差分式として用い、この差分式を利用して微分演算を行う。制御部22Aは、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立した場合には、前回の実測回転数と今回の実測回転数との差分を差分値として算出する第2の式を差分式として用い、この差分式を利用して微分演算を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを燃焼させるガスバーナを有し、燃焼の段階が複数段階に切り替わるガスバーナ部と、
前記ガスバーナ部での前記ガスの燃焼によって生じる排気によって加熱される伝熱管を備える熱交換器と、
水を導入する入水口と前記伝熱管との間に設けられ、前記伝熱管に水を供給する入水管と、
前記伝熱管の下流側に接続され、前記伝熱管から供給される湯を流す出湯管と、
前記ガスバーナ部へ燃焼用空気を供給するファンと、
前記ファンの実測回転数を検出する検出部と、
前記ガスバーナ部の燃焼と前記ファンの回転とを制御する制御部と、
を備える給湯器であって、
前記制御部は、変化条件が成立した場合に前記ガスバーナ部の前記燃焼の段階を変化させ、ガス供給量が大きくなるほど前記ファンの目標回転数を大きくする対応関係を各々の段階毎に定めた情報に従い、前記目標回転数と前記検出部によって検出される前記実測回転数とを用いたフィードバック演算によって決定された制御量によって前記ファンの回転数をフィードバック制御し、
前記フィードバック演算は、前記目標回転数と前記実測回転数との偏差と比例ゲインとに基づいて比例制御量を決定する比例演算と、差分式で得られた差分値と微分ゲインとに基づいて微分制御量を決定する微分演算と、を含み、
前記制御部は、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を前記差分値として算出する第1の式を前記差分式として用い、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立した場合には、前回の前記実測回転数と今回の前記実測回転数との差分を前記差分値として算出する第2の式を前記差分式として用いる
給湯器。
【請求項2】
前記第1の式を用いた前記微分演算の式は、今回の前記比例制御量と前回の前記比例制御量との差分に対して微分ゲインを乗じて得られる式であり、
前記第2の式を用いた前記微分演算の式は、今回の前記実測回転数と前回の前記実測回転数との差分に対して比例ゲイン及び微分ゲインを乗じて得られる式である
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記比例演算の式は、前記比例ゲインをKとし、前記目標回転数をNとし、今回の前記実測回転数をNとし、今回の前記比例制御量をXとした場合に、X=K×(N-N)の式で表され、
前記第1の式を用いた前記微分演算の式は、前記微分ゲインをKとし、前回の前記比例制御量をXn-1とし、今回の前記微分制御量をYとした場合に、Y=K×(X-Xn-1)で表される式であり、
前記第2の式を用いた前記微分演算の式は、前記微分ゲインをKとし、前回の前記実測回転数をNn-1とし、今回の前記微分制御量をYとした場合に、Y=K×K×(Nn-1-N)で表される式である
請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の燃焼段を備えた給湯器が開示されている。この給湯器は、バーナと、熱交換器と、交換器の通水量を制御する通水量制御手段と、出湯管内の湯温を検出する温度検出手段と、を備える。更に、この給湯器は、温度検出手段から得られる検出温度を設定温度に一致させる出湯温制御を実行する運転制御手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-200123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の給湯器では、例えば、設定温度と入水温度と出湯温度とに基づいてバーナに対するガス供給量を定め、設定されたガス供給量に合わせてファンの目標回転数を調整する技術が採用されている。しかし、燃焼が複数段階に切り替わるガスバーナ部を備えた給湯器では、ガスバーナ部の燃焼が特定の段階で安定している場合と、燃焼が異なる段階に移行する場合とで挙動が大きく異なるため、一律のフィードバック制御を用いると、状況に適した制御がなされない懸念がある。
【0005】
本開示の目的の一つは、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる場合と変化させない場合とで、フィードバック制御を使い分け得る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器は、
ガスを燃焼させるガスバーナを有し、燃焼の段階が複数段階に切り替わるガスバーナ部と、
前記ガスバーナ部での前記ガスの燃焼によって生じる排気によって加熱される伝熱管を備える熱交換器と、
水を導入する入水口と前記伝熱管との間に設けられ、前記伝熱管に水を供給する入水管と、
前記伝熱管の下流側に接続され、前記伝熱管から供給される湯を流す出湯管と、
前記ガスバーナ部へ燃焼用空気を供給するファンと、
前記ファンの実測回転数を検出する検出部と、
前記ガスバーナ部の燃焼と前記ファンの回転とを制御する制御部と、
を備える給湯器であって、
前記制御部は、変化条件が成立した場合に前記ガスバーナ部の前記燃焼の段階を変化させ、ガス供給量が大きくなるほど前記ファンの目標回転数を大きくする対応関係を各々の段階毎に定めた情報に従い、前記目標回転数と前記検出部によって検出される前記実測回転数とを用いたフィードバック演算によって決定された制御量によって前記ファンの回転数をフィードバック制御し、
前記フィードバック演算は、前記目標回転数と前記実測回転数との偏差と比例ゲインとに基づいて比例制御量を決定する比例演算と、差分式で得られた差分値と微分ゲインとに基づいて微分制御量を決定する微分演算と、を含み、
前記制御部は、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を前記差分値として算出する第1の式を前記差分式として用い、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立した場合には、前回の前記実測回転数と今回の前記実測回転数との差分を前記差分値として算出する第2の式を前記差分式として用いる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる場合と変化させない場合とで、フィードバック制御を使い分け得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る給湯器を概略的に例示する説明図である。
図2図2は、第1実施形態に係る給湯器の一部の電気的構成を概略的に例示する説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る給湯器で行われる出湯制御の流れを例示するフローチャートである。
図4図4は、第1実施形態に係る給湯器における、各燃焼段でのガス供給量(インプット要求量)と目標回転数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される特徴は、矛盾しない組み合わせでどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕ガスを燃焼させるガスバーナを有し、燃焼の段階が複数段階に切り替わるガスバーナ部と、
前記ガスバーナ部での前記ガスの燃焼によって生じる排気によって加熱される伝熱管を備える熱交換器と、
水を導入する入水口と前記伝熱管との間に設けられ、前記伝熱管に水を供給する入水管と、
前記伝熱管の下流側に接続され、前記伝熱管から供給される湯を流す出湯管と、
前記ガスバーナ部へ燃焼用空気を供給するファンと、
前記ファンの実測回転数を検出する検出部と、
前記ガスバーナ部の燃焼と前記ファンの回転とを制御する制御部と、
を備える給湯器であって、
前記制御部は、変化条件が成立した場合に前記ガスバーナ部の前記燃焼の段階を変化させ、ガス供給量が大きくなるほど前記ファンの目標回転数を大きくする対応関係を各々の段階毎に定めた情報に従い、前記目標回転数と前記検出部によって検出される前記実測回転数とを用いたフィードバック演算によって決定された制御量によって前記ファンの回転数をフィードバック制御し、
前記フィードバック演算は、前記目標回転数と前記実測回転数との偏差と比例ゲインとに基づいて比例制御量を決定する比例演算と、差分式で得られた差分値と微分ゲインとに基づいて微分制御量を決定する微分演算と、を含み、
前記制御部は、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を前記差分値として算出する第1の式を前記差分式として用い、前記ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立した場合には、前回の前記実測回転数と今回の前記実測回転数との差分を前記差分値として算出する第2の式を前記差分式として用いる
給湯器。
【0011】
上記〔1〕の給湯器は、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を上記差分値として算出する第1の式を差分式として用い、微分ゲインに基づいて微分制御量を決定するように微分演算を行うことができる。一方で、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合には、前回の前記実測回転数と今回の実測回転数との差分を差分値として算出する第2の式を差分値として用い、微分ゲインに基づいて微分制御量を決定するように微分演算を行うことができる。このように、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる場合と変化させない場合とで、フィードバック制御を使い分け得ることができる。また、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(相対的に燃焼の変化が小さくなりやすい場合)には、前回と今回の比例制御量との差分を反映し、比例制御量の変化に基づく微分演算を行うことができる。一方で、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合(相対的に燃焼の変化が大きくなりやすい場合)には、前回の実測回転数と今回の実測回転数との差分を反映し、実測回転数の変化に基づく微分演算を行うことができる。
【0012】
〔2〕前記第1の式を用いた前記微分演算の式は、今回の前記比例制御量と前回の前記比例制御量との差分に対して微分ゲインを乗じて得られる式であり、
前記第2の式を用いた前記微分演算の式は、今回の前記実測回転数と前回の前記実測回転数との差分に対して比例ゲイン及び微分ゲインを乗じて得られる式である
〔1〕に記載の給湯器。
【0013】
上記〔2〕の給湯器は、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(相対的に燃焼の変化が小さくなりやすい場合)には、今回と前回の比例制御量の差分に対して微分ゲインを乗じるように微分制御量を求めることができる。よって、ファンの回転数をより早く目標回転数に近づけやすい。一方で、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合(相対的に燃焼の変化が大きくなりやすい場合)には、今回と前回の実測回転数との差分に対して比例ゲインを乗じ、この値に対して微分ゲインを乗じるように微分制御量を求めることができるため、燃焼の段階が変化することに起因してガス供給量が急に変化しても、微分制御量が極端に変化することを抑えやすい。よって、燃焼の段階が変化することに起因して実測回転数が目標回転数よりも大きく逸脱するオーバーシュートやアンダーシュートを抑制しやすい。
【0014】
〔3〕前記比例演算の式は、前記比例ゲインをKとし、前記目標回転数をNとし、今回の前記実測回転数をNとし、今回の前記比例制御量をXとした場合に、X=K×(N-N)の式で表され、
前記第1の式を用いた前記微分演算の式は、前記微分ゲインをKとし、前回の前記比例制御量をXn-1とし、今回の前記微分制御量をYとした場合に、Y=K×(X-Xn-1)で表される式であり、
前記第2の式を用いた前記微分演算の式は、前記微分ゲインをKとし、前回の前記実測回転数をNn-1とし、今回の前記微分制御量をYとした場合に、Y=K×K×(Nn-1-N)で表される式である
〔2〕に記載の給湯器。
【0015】
上記〔3〕の給湯器は、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(相対的に燃焼の変化が小さくなりやすい場合)にファンの回転数をより早く目標回転数に近づけやすく、ガスバーナ部の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合(相対的に燃焼の変化が大きくなりやすい場合)に微分制御量が極端に変化することを抑えやすいフィードバック制御を、より正確に行うことができる。
【0016】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
(基本構成)
図1で示す給湯器1は、浴槽60や出湯口18への給湯機能と浴槽内の水の加熱機能とを備えた風呂・給湯システムとして構成され、主として、給湯側回路2と風呂側回路3とを備える。給湯側回路2は、入水管12、出湯管10、ガスバーナ部4、給湯側熱交換器6(熱交換器)などを備え、外部から供給された水道水を加熱し出湯させる経路として機能する。風呂側回路3は、ガスバーナ54(風呂側バーナ)、風呂側熱交換器56、配管66、循環ポンプ62、サーミスタ64,65などを備え、自動湯張りの際の循環加熱、風呂の追い炊き等に利用される。
【0017】
給湯側回路2では、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路が給湯側通水路として機能する。入水管12は、入水口16からの水が流れ込む経路として構成され、出湯管10は、伝熱管7aの下流側に接続され、伝熱管7aから供給される湯を出湯口18へ送り出す経路として構成される。ガスバーナ部4は、ガス(燃焼ガス)を燃焼させて排気ガスを発生させる部分である。給湯側熱交換器6は、熱交換器の一例に相当し、給湯側通水路(入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路)を通る水にガスバーナ部4で生じた熱を伝達して湯を沸かす部分であり、給湯側通水路の途中の位置に設けられ、給湯側通水路の内部を通る水に対してガスバーナ部4での燃焼によって生じた熱を伝えるように機能する。給湯側熱交換器6は、ガスバーナ部4でのガスの燃焼によって生じる排気によって加熱される。給湯側熱交換器6は、一次熱交換器7及び二次熱交換器8を備え、一次熱交換器7は、給湯燃焼室90内においてガスバーナ部4の燃焼排気経路の上流側に配置され、二次熱交換器8は、給湯燃焼室90内において燃焼排気経路の下流側に配置されている。
【0018】
給湯側回路2において、二次熱交換器8の入口には、水道水を供給する構成で入水管12が接続されている。入水管12には、入水管12を通る水の温度(即ち、通水管における熱交換器よりも上流側の位置の水温)を検出する水温検出部としてのサーミスタ25と、入水管12内の通水量(即ち、通水管を流れる水の量)を検出する水量検出部としての水量センサ34とが設けられている。入水管12の下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aが接続され、更にその下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aと一次熱交換器7の伝熱管7aとを連結する配管20が接続される。この配管20に連結された構成で一次熱交換器7の伝熱管7aが接続され、一次熱交換器7の出口には、一次熱交換器7で加熱された湯を出湯する構成で出湯管10が接続されている。出湯管10には、出湯管10内の水の温度を検出するサーミスタ26が設けられている。本構成では、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10が通水管の一例に相当し、給湯器1の外部に設けられた図示しない水道から導入された水を通す流路として機能する。
【0019】
給湯側熱交換器6は、一次熱交換器7によって燃焼排気の顕熱を回収した後、二次熱交換器8によって潜熱を回収するように機能する。具体的には、一次熱交換器7は、一次熱交換器7内の通水経路となる伝熱管7aを備えており、伝熱管7a内を通る水に対してガスバーナ部4で発生した燃焼排気に含まれる燃焼熱を伝熱し、顕熱の熱エネルギーを通水に伝達する形で熱交換する。また、二次熱交換器8は、二次熱交換器8内の通水経路となる伝熱管8aを備えており、伝熱管8a内を通る水に対し、ガスバーナ部4で発生した燃焼排気が一次熱交換器7を通過した後の燃焼熱を伝熱し、潜熱の熱エネルギーを通水に伝達するように熱交換する。
【0020】
入水管12と出湯管10との間をバイパスする通水経路として、給湯側熱交換器6とは異なる通水経路として構成されたバイパス路14が設けられている。バイパス路14には、バイパス路14の通水を遮断した閉塞状態から開放状態(閉塞状態よりも開度を増大させた状態)に変化させ得る構成(例えば、無段階に変化させ得る構成)をなすバイパス弁32が設けられている。入水管12において、バイパス路14が連結する分岐位置よりも上流側には、通水量制御弁33が設けられている。通水量制御弁33は、制御部22Aからの指示を受けて駆動軸の回転角度が制御されるモータを備え、入水管12を閉塞状態と全開状態との間で様々な開度に連続的に変更できる構成となっている。本構成では、通水量制御弁33が、通水管を流れる水の量を調節するように機能する。
【0021】
ガスバーナ部4へガスを供給するガス流路40には、上流側からガス元電磁弁42、給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46,46・・が夫々設けられている。ガス流路40は、上流端がガス供給源側に接続された本流路40Aと、本流路40Aの下流端に接続され本流路40Aから各ガスバーナ部4に向けて分岐された分岐流路40B,40B・・とを含む。ガス元電磁弁42は、第1電磁弁の一例に相当し、本流路40Aに設けられ、本流路40A(ガス流路40)を開放した開放状態と、本流路を閉塞した閉塞状態とに切り替わる。ガス元電磁弁42が開放状態のときには、ガス元電磁弁42の上流側から下流側へとガスが流れ得る。ガス元電磁弁42が閉塞状態のときには、ガス元電磁弁42の上流側から下流側へとガスが流れない。給湯切替電磁弁46,46・・は、各分岐流路40B,40B・・に設けられる。給湯切替電磁弁46,46・・の各々は、第2電磁弁の一例に相当し、ガス元電磁弁42よりも下流側の位置においてガス流路40を開放した開放状態と閉塞した閉塞状態とに切り替わる。給湯切替電磁弁46が開放状態のときには当該給湯切替電磁弁46の上流側から下流側へとガスが流れ得る。給湯切替電磁弁46が閉塞状態のときには、当該給湯切替電磁弁46の上流側から下流側へとガスが流れない。給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46は、ガスバーナ部4へのガス量を調整するように機能する。ガスバーナ54(風呂側バーナ)に接続されるガス流路40からの風呂側分岐流路40Cには、切替電磁弁53が設けられている。
【0022】
給湯器1は、給湯点火プラグ35と、給湯フレームロッド36と、風呂点火プラグ37と、風呂フレームロッド38とを備える。
【0023】
給湯器1は、ファン48を備える。ファン48は、複数の羽根を備えた羽根部と、この羽根部を回転させるファンモータ49とを備える。ファン48は、送風機の一例に相当し、給湯側熱交換器6内に空気を送り込む動作を行う。ファン48は、給湯燃焼室90の下方に設けられており、燃焼用空気を各ガスバーナ部4(バーナ)及びガスバーナ54(風呂側バーナ)へ供給する。即ち、ファン48から送り出された空気の移動先にガスバーナ部4やガスバーナ54が存在する。ファンモータ49は、上記羽根部に固定された駆動軸を有し、コントローラ22は、ファン48の駆動軸の回転を制御する。
【0024】
風呂側回路3において、配管66は、浴槽60側からの水を風呂側熱交換器56側へと導くための往き配管67と、風呂側熱交換器56側からの水を浴槽60側へと導くための戻り配管68と、往き配管67と戻り配管68とに連結されて風呂側熱交換器56内を通る中間配管69とを備える。風呂側熱交換器56は、風呂一次熱交換器57と風呂二次熱交換器58とを備え、配管66を通る水にガスバーナ54(風呂側バーナ)で生じた熱を伝達するように機能する。往き配管67には、循環ポンプ62と往き配管67を通る水の
温度を検出するサーミスタ64(風呂サーミスタ)が設けられている。循環ポンプ62は、配管66内の水を流動させる装置である。戻り配管68には、出湯管10から分岐された落とし込み管70が接続され、落とし込み管70には、給湯用電磁弁72及び落とし込み水量センサ74が設けられている。落とし込み管70は、給湯側回路2の給湯側通水路から風呂側回路3の配管66(循環路)へと湯を通す経路となっている。
【0025】
給湯器1には、図1図2で示すコントローラ22が設けられる。図2で示すコントローラ22は、例えば、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部22Aと、公知の半導体メモリ等として構成されるメモリ22Bと、外部との通信を行うためのインタフェースとして構成される通信部22Cとを備える。コントローラ22は、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成され、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る。
【0026】
図2のように、複数のリモートコントローラ80は、コントローラ22と通信し得る構成で配置される。図1図2の例では、複数のリモートコントローラ80として、浴室内に設けられる第1リモートコントローラ81と、浴室とは異なる場所(例えば台所等)に設けられる第2リモートコントローラ82とが設けられる。図2のように、第1リモートコントローラ81は、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部81Aと、液晶表示装置等として構成される表示部81Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部81Cと、コントローラ22や第2リモートコントローラ82と通信を行う通信部81Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部81Eとを備える。操作部81Cは、複数の操作部によって構成されており、電源のオンオフ状態を切り替える入力操作、設定温度を切り替える入力操作などに用いられる。第2リモートコントローラ82も同様であり、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部82Aと、液晶表示装置等として構成される表示部82Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部82Cと、第2リモートコントローラ82で生成された信号等をコントローラ22に伝達するための通信部82Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部82Eとを備える。
【0027】
(給湯制御)
制御部22Aは、例えば図3のような流れで給湯制御を行う。制御部22Aは、電源投入後に図3の給湯制御を実行し、ステップS11にて燃焼開始条件が成立したか否かを判断する。燃焼開始条件は、例えば「水量センサ34によって検出された水量(例えば単位時間当たりの水量)(以下、単に「水量」ともいう)が所定の閾値以上であること」であってもよいし、別の条件であってもよい。制御部22Aは、燃焼開始条件が成立するまでは待機状態となり、この待機状態では、ステップS11でのNoの判断を繰り返す。
【0028】
制御部22Aは、ステップS11において燃焼開始条件が成立したと判断した場合(S11:Yes)、ステップS12にて点火処理を実行する。制御部22Aは、ステップS12の点火処理において、図示しないイグナイタを作動させて給湯点火プラグ35から放電させるとともに、ガス元電磁弁42及び給湯切替電磁弁46,46・・を開き、給湯ガス比例制御弁44を緩点火動作とし、ガスバーナ部4に点火させる。制御部22Aは、このようにガスバーナ部4を点火させる動作を行った後、給湯フレームロッド36によってガスバーナ部4の燃焼が検知されたか否かを判断し、燃焼が検知されたと判断した場合には、緩点火動作を終了させて、点火処理(S12)を終了する。
【0029】
制御部22Aは、ステップS12の点火処理の終了後、ステップS13にて燃焼終了条件が成立したか否かを判断する。燃焼終了条件は、例えば「水量センサ34によって検出された水量(例えば単位時間当たりの水量)が所定の閾値未満であること」であってもよいし、別の条件(給湯器1に対して燃焼の終了を指示する所定操作が行われたこと、燃焼を停止させる条件として予め定められた停止条件が成立したこと等)であってもよい。
【0030】
制御部22Aは、ステップS13において燃焼終了条件が成立していないと判断した場合(S13:No)、ステップS14において、ガス供給量(インプット要求量)を算出する。制御部22Aは、ステップS14では、ステップS14の実行時点又は実行直前での、水量センサ34によって検出された水量(入水量)と、目標温度として設定された設定温度と、サーミスタ26によって検出される温度(出湯温度)とに基づいて、公知の演算方法でガス供給量(インプット要求量)を算出する。ガス供給量(インプット要求量)の算出方法は、出湯温度を設定温度に近づけるようなフィードバック演算であればよく、例えば、特開2010-117053号公報に開示されるような方法であってもよく、特開2018-200123号公報に開示されるような方法であってもよく、その他の公知の方法であってもよい。
【0031】
更に、制御部22Aは、ステップS14では、上記演算によってガス供給量(インプット要求量)を算出するとともに、算出したガス供給量(インプット要求量)に基づいて、目標回転数を決定する。
【0032】
代表例では、ガスバーナ部4を構成するバーナ群4A,4B,4Cは、互いに数が異なる複数のバーナからなる。バーナ群4A,4B,4Cのうち、バーナ群4Aのガスバーナの数が最も多く、バーナ群4Bのガスバーナの数が最も少なく、バーナ群4Cのガスバーナの数は、バーナ群4Aよりも少なく、バーナ群4Bよりも多い。出湯温制御では、コントローラ22は、バーナの数が最小となるバーナ群4Bのみの単独燃焼を1段、次にバーナの数が多いバーナ群4Cのみの単独燃焼を2段、次にバーナの数が多くなるバーナ群4B,4Cの同時燃焼を3段、次にバーナの数が多くなるバーナ群4Aの単独燃焼を4段、バーナの数が最大となるバーナ群4A~4Cの全燃焼を5段として、必要なガス供給量(インプット要求量)に応じてガスバーナ部4の燃焼の段階(以下、燃焼段階又は燃焼段ともいう)を5段階に切り替える切替制御を実行する。
【0033】
代表例では、図4のように、各燃焼段ごとに、ガス供給量(インプット要求量)とファンの目標回転数との対応関係が予め定められており、いずれの燃焼段の上記対応関係においても、ガス供給量(インプット要求量)が大きいほど目標回転数を大きくするように定めている。各燃焼段の各対応関係の情報は、ガス供給量(インプット要求量)に基づいて目標回転数を定める演算式やテーブルなどとしてメモリ22Bなどに記憶されており、燃焼段とガス供給量とが定まれば、上記情報によって、燃焼段及びガス供給量に対応する目標回転数が特定されるようになっている。
【0034】
例えば、上記情報では、1段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第1上限値)は、2段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第2下限値)よりも大きく、2段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第2上限値)は、3段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第3下限値)よりも大きく、3段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第3上限値)は、4段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第4下限値)よりも大きく、4段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第4上限値)は、5段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第5下限値)よりも大きい。上記情報において、1段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第1上限値)のときの目標回転数は、2段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第2下限値)のときの目標回転数よりも大きい。2段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第2上限値)のときの目標回転数は、3段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第3下限値)のときの目標回転数よりも大きい。3段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第3上限値)のときの目標回転数は、4段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第4下限値)のときの目標回転数よりも大きい。4段目の燃焼段のインプット要求量の上限値(第4上限値)のときの目標回転数は、5段目の燃焼段のインプット要求量の下限値(第5下限値)のときの目標回転数よりも大きい。
【0035】
制御部22Aは、ステップS14で算出したガス供給量が、このステップS14の時点での燃焼段のガス供給量(インプット要求量)の範囲内である場合(具体的には、当該燃焼段でのインプット要求量と目標回転数との対応関係を定めた対応情報において、インプット要求量の下限値以上且つ上限値以下である場合)、燃焼段を切り替えず、ステップS14の時点での燃焼段に対応付けて定められたガス供給量と目標回転数との対応関係に基づいて目標回転数を決定する。例えば、ステップS14の時点での燃焼段が2段目であり、ステップS14で算出されたガス供給量が2段目のガス供給量の範囲の下限値以上且つ上限値以下である場合、燃焼段を2段目から切り替えず、ステップS14の時点での燃焼段(2段目)に対応付けて定められたガス供給量と目標回転数との対応関係(図4における符号L2の関係を示す演算式等の情報)に基づき、当該対応関係においてステップS14で算出されたガス供給量に対応付けられた目標回転数を決定する。
【0036】
一方、ステップS14で算出したガス供給量が、このステップS14の時点での燃焼段のガス供給量の範囲外である場合、原則として燃焼段を切り替え、切り替えられた燃焼段に対応付けて定められたガス供給量と目標回転数との対応関係に基づいて目標回転数を決定する。例えば、ステップS14の時点での燃焼段が2段目であり、ステップS14で算出されたガス供給量が2段目のガス供給量の範囲の下限値未満であり、1段目のガス供給量の範囲内である場合、燃焼段を1段目に切り替え、切り替えられた燃焼段(1段目)に対応付けて定められたガス供給量と目標回転数との対応関係(図4における符号L1の関係を示す演算式等の情報)に基づき、当該対応関係においてステップS14で算出されたガス供給量に対応付けられた目標回転数を決定する。或いは、ステップS14の時点での燃焼段が2段目であり、ステップS14で算出されたガス供給量が2段目のガス供給量の範囲の上限値を超え、3段目のガス供給量の範囲内である場合、燃焼段を3段目に切り替え、切り替えられた燃焼段(3段目)に対応付けて定められたガス供給量と目標回転数との対応関係(図4における符号L3の関係を示す演算式等の情報)に基づき、当該対応関係においてステップS14で算出されたガス供給量に対応付けられた目標回転数を決定する。
【0037】
このように、制御部22Aは、ステップS14で得られたガス供給量(インプット要求量)と上記対応情報とに基づいて目標回転数Nを決定する。Nは、ステップS14で決定した目標回転数である。
【0038】
制御部22Aは、ステップS14でガス供給量と目標回転数Nを決定した後、処理をステップS15に進め、ステップS14において燃焼段を切り替える決定がなされたか否かを判定する。制御部22Aは、ステップS15において、燃焼段を切り替えない決定がなされたと判定した場合、処理をステップS16に進め、第1のフィードバック演算によって制御量(操作量)を決定する。制御部22Aは、ステップS15において、燃焼段を切り替える決定がなされたと判定した場合、処理をステップS17に進め、第2のフィードバック演算によって制御量(操作量)を決定する。ファンモータ49が例えば直流モータであり、印加電圧の増大に応じて回転数が増大するモータであれば、制御量(操作量)は、モータに印加する電圧であってもよく、PWM制御によって駆動するモータであり、デューティの増大に応じて回転数が増大するモータであれば、制御量(操作量)はデューティであってもよい。
【0039】
代表例では、ファン48の回転数を検出する回転数センサ50が設けられており、ファン48の回転数を実測可能とされている。回転数センサ50は、検出部の一例に相当する。回転数センサ50が検出するファン48の回転数が実測回転数の一例に相当する。回転数センサ50は、ファン48の回転数を検出可能な構成であれば、公知の様々なセンサが採用され得る。
【0040】
制御部22Aは、ステップS16では、ステップS14で決定された目標回転数Nと、現在のステップS16の時点又はこのステップS16の直前に回転数センサ50(検出部)によって検出される実測回転数Nと、を用いた第1のフィードバック演算によって制御量を算出する。制御量は、ファンモータ49の回転数を増減する指標の値である。第1のフィードバック演算は、目標回転数Nと実測回転数Nとの偏差(N-N)と比例ゲインKとに基づいて比例制御量Xを決定する比例演算と、差分式で得られた差分値と微分ゲインKとに基づいて微分制御量Yを決定する微分演算と、積分演算を含む。
【0041】
上記比例演算の式は、予め定められた固定値である比例ゲインK、直近のステップS14で決定された目標回転数N、現在のステップS16又はこのステップS16の直前に検出された今回の実測回転数N、に基づいて、以下の(数1)の式で今回の比例制御量Xが表される。
=K×(N-N)・・・(数1)
【0042】
微分演算の式の一つである第1の式は、予め定められた固定値である微分ゲインK、今回のステップS16の演算で得られた今回の比例制御量X、今回のステップS16の演算の前回に行われたフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)で算出された前回の比例制御量Xn-1、に基づいて、以下の(数2)の式で今回の微分制御量Yが表される。
=K×(X-Xn-1)・・・(数2)
【0043】
上記積分演算の式は、今回のステップS16の演算の前回に行われたフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)で算出された前回の積分制御量Zn-1、今回のステップS16の演算で得られた今回の微分制御量Y、予め定められた固定値である積分ゲインK、今回のステップS16の演算で得られた今回の比例制御量X、に基づいて、以下の(数3)の式で今回の積分制御量Zが表される。
=Zn-1+Y+K×(X-Zn-1)・・・(数3)
【0044】
ステップS16の第1のフィードバック演算では、上記の数1、数2、数3の式で用いられるZ、Y、X、Zn-1、Kと、予め定められた固定値である各係数K、Kとに基づいて以下の(数4)の式により制御量(操作量)Pを求める。Pn-1は、今回のステップS16の演算の前回に行われたフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)で算出された前回の制御量(操作量)である。
=K×(K×Z+Y+K×(X-Zn-1))+Pn-1・・・(数4)
【0045】
制御部22Aは、ステップS17では、ステップS14で決定された目標回転数Nと、現在のステップS17の時点又はこのステップS17の直前に回転数センサ50(検出部)によって検出される実測回転数Nとを用いた第2のフィードバック演算によって制御量(操作量)を算出する。第2のフィードバック演算も、目標回転数Nと実測回転数Nとの偏差(N-N)と比例ゲインKとに基づいて比例制御量を決定する比例演算と、差分式で得られた差分値と微分ゲインKとに基づいて微分制御量を決定する微分演算と、積分演算を含む。
【0046】
第2のフィードバック演算でも、上記の数1の式によって比例制御量Xを求める。一方で、上記の数2の式に代えて、上記比例ゲインK、上記微分ゲインK、現在のステップS17の時点又はこのステップS17の直前に回転数センサ50(検出部)によって検出された今回の実測回転数N、現在のステップS17の前回のフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)の時点又はその直前に回転数センサ50(検出部)によって検出された前回の実測回転数Nn-1と、を用いた以下の数5の式により微分制御量Yを求める。
=K×K×(Nn-1-N)・・・(数5)
【0047】
第2のフィードバック演算では、上記の数1、数5の式によって得られるX、Y、今回のステップS17の演算の前回に行われたフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)で算出された前回の積分制御量Zn-1、上記積分ゲインK、に基づいて、以下の(数3)の式で今回の積分制御量Zを求める。Z=Zn-1+Y+K×(X-Zn-1)・・・(数3)
【0048】
第2のフィードバック演算では、上記の数1、数3、数5の式で用いられるZ、Y、X、Zn-1、Kと、上記係数K、Kとに基づいて以下の数4の式により制御量Pを求める。Pn-1は、今回のステップS17の演算の前回に行われたフィードバック演算(ステップS16又はステップS17のいずれか)で算出された前回の制御量(操作量)である。
=K×(K×Z+Y+K×(X-Zn-1))+Pn-1・・・(数4)
【0049】
このように、制御部22Aは、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(ステップS15でNoの場合)には、前回の比例制御量Xn-1と今回の比例制御量Xとの差分を差分値として算出する第1の式を用いた微分演算の式(具体的には、今回の比例制御量と前回の比例制御量との差分に対して微分ゲインKを乗じて得られる式)であるY=K×(X-Xn-1)の式によって、微分制御量Yを算出する。一方、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立した場合(ステップS15でYesの場合)には、前回の実測回転数Nn-1と今回の実測回転数Nとの差分を差分値として算出する第2の式を用いた微分演算の式(具体的には、今回の実測回転数と前回の実測回転数との差分に対して比例ゲインK及び微分ゲインKを乗じて得られる式)であるY=K×K×(Nn-1-N)の式によって、微分制御量Yを算出する。
【0050】
制御部22Aは、ステップS16又はステップS17の後、処理をステップS18に進め、ステップS16又はステップS17で決定された制御量(操作量)Pでファン48を回転させ、ステップS14で決定されたガス供給量(インプット要求量)となるように、給湯切替電磁弁46,46・・及び給湯ガス比例制御弁44を調節する。制御部22Aは、ステップS18においてファン回転数やガス供給量の調整を開始した後、処理をステップS13に戻し、燃焼終了条件が成立したか否かを判定する。制御部22Aは、ステップS13において燃焼終了条件が成立したと判定した場合、処理をステップS19に進め、ガス元電磁弁42及び給湯切替電磁弁46,46・・を閉塞状態とし、燃焼動作を停止させる。
【0051】
3.効果の例
給湯器1は、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合には、前回の比例制御量と今回の比例制御量との差分を上記差分値として算出する第1の式を差分式として用い、微分ゲインに基づいて微分制御量を決定するように微分演算を行うことができる。一方で、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合には、前回の前記実測回転数と今回の実測回転数との差分を差分値として算出する第2の式を差分値として用い、微分ゲインに基づいて微分制御量を決定するように微分演算を行うことができる。このように、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる場合と変化させない場合とで、フィードバック制御を使い分け得ることができる。また、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(相対的に燃焼の変化が小さくなりやすい場合)には、前回と今回の比例制御量との差分を反映し、比例制御量の変化に基づく微分演算を行うことができる。一方で、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合(相対的に燃焼の変化が大きくなりやすい場合)には、前回の実測回転数と今回の実測回転数との差分を反映し、実測回転数の変化に基づく微分演算を行うことができる。
【0052】
給湯器1は、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立していない場合(相対的に燃焼の変化が小さくなりやすい場合)には、今回と前回の比例制御量の差分に対して微分ゲインを乗じるように微分制御量を求めることができる。よって、ファンの回転数をより早く目標回転数に近づけやすい。一方で、ガスバーナ部4の燃焼の段階を変化させる条件が成立している場合(相対的に燃焼の変化が大きくなりやすい場合)には、今回と前回の実測回転数との差分に対して比例ゲインを乗じ、この値に対して微分ゲインを乗じるように微分制御量を求めることができるため、燃焼の段階が変化することに起因してガス供給量が急に変化しても、微分制御量が極端に変化することを抑えやすい。よって、燃焼の段階が変化することに起因して実測回転数が目標回転数よりも大きく逸脱するオーバーシュートやアンダーシュートを抑制しやすい。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0054】
上記実施形態では、第1の式や第2の式の一例が示されたが、これらの式はそのまま用いられてもよく、何らかの補正演算によって補正がなされた上で用いられてもよい。
【0055】
本明細書において、「変化させる条件が成立している場合」は、「変化させることが確定した場合」としてもよく、「変化させることが確定した場合」と「変化させる可能性が高まった場合」とを含めてもよい。この例において、「変化させる可能性が高まった場合」は、例えば、算出されたインプット要求量が、変化前の段階のインプット要求量の範囲内であり且つ他の段階のインプット要求量の範囲内でもある場合などが挙げられる。
【0056】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 :給湯器
4 :ガスバーナ部
6 :給湯側熱交換器(熱交換器)
7a :伝熱管
8a :伝熱管
10 :出湯管
12 :入水管
16 :入水口
22A :制御部
48 :ファン
50 :回転数センサ(検出部)
図1
図2
図3
図4