(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092155
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240701BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q11/00
A61K8/42
A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207887
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 真実
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC432
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC862
4C083CC41
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE31
4C083EE34
(57)【要約】
【課題】特定の性殺菌剤とともにニコチン酸を含有しながらも使用中及び使用後の苦味がマスキングされ、かつ口腔内のすっきり感や口臭除去効果の実感が得られる口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】冷感剤として知られる特定の成分の組合せを含有する、口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2-(4-methylphenoxy)-N-(1H-pyrazol-3-yl)-N-(thiophen-2-ylmethyl)acetamide、
(B)N-ethyl 2-isopropyl-5-methylcyclohexanecarboxamide及び/又はN-((ethoxycarbonyl)methyl)-p-menthane-3-carboxamide、
(C)イソプロピルメチルフェノール及び/又は塩化セチルピリジニウム、並びに、
(D)ニコチン酸
を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分の含有量が0.00005~0.005質量%である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(A)成分1質量部に対する(B)成分の含有比が、0.1~100質量部である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(A)成分及び(B)成分の合計1質量部に対する、(C)成分及び(D)成分の合計含有比が、10~1000質量部である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物は一般的に、口腔内の汚れを除去して口腔内を清潔にする目的、口腔内のすっきり感を得る目的、口臭を除去・予防する目的等のために用いられる。前記目的を達成するために、口腔用組成物には殺菌剤が配合されることがある。しかし、カチオン性殺菌剤をはじめとした殺菌剤の中には特有の苦味を有するものも多い。このため、殺菌剤を含有する口腔用組成物においては、使用中及び使用後(吐き出し後)に不快感を生じ得て、嗜好性の観点で好ましくないという問題が起こり得る。これまでに、香料や甘味剤によって、殺菌剤特有の苦味をマスキングする方法が検討されている。例えば、特許文献1ではカチオン性殺菌剤と、l-メントール、クロロブタノール、及びアネトールを組み合わせる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、殺菌剤の中には特有の苦味を呈するものがあることが知られている。本発明者は、特定の殺菌剤とともに、前記殺菌剤の殺菌作用を補助し得るニコチン酸を配合した場合に、前記苦味がさらに増強され得ることを新たに見出した。そこで本発明者は、特定の殺菌剤とともにニコチン酸を含有しながらも使用中及び使用後の苦味がマスキングされ、かつ口腔内のすっきり感や口臭除去効果の実感が得られる口腔用組成物を提供することを主な目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、冷感剤として知られる特定の成分を組み合せて配合することにより、特定の殺菌剤とともにニコチン酸を含有しながらも使用中及び使用後の苦味がマスキングされ、かつ口腔内のすっきり感や口臭除去効果の実感が得られる口腔用組成物が提供される可能性を見出した。そして、さらに改良を重ねて本開示を完成させるに至った。
【0006】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)2-(4-methylphenoxy)-N-(1H-pyrazol-3-yl)-N-(thiophen-2-ylmethyl)acetamide、
(B)N-ethyl 2-isopropyl-5-methylcyclohexanecarboxamide及び/又はN-((ethoxycarbonyl)methyl)-p-menthane-3-carboxamide、
(C)イソプロピルメチルフェノール及び/又は塩化セチルピリジニウム、並びに、
(D)ニコチン酸
を含有する口腔用組成物。
項2.
(A)成分の含有量が0.00005~0.005質量%である、項1に記載の口腔用組成物。
項3.
(A)成分1質量部に対する(B)成分の含有比が、0.1~100質量部である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4.
(A)成分及び(B)成分の合計1質量部に対する、(C)成分及び(D)成分の合計含有比が、10~1000質量部である、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、特定の殺菌剤とともにニコチン酸を含有しながらも使用中及び使用後の苦味がマスキングされ、かつ口腔内のすっきり感や口臭除去効果の実感が得られる口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、口腔用組成物、及び口臭除去・予防・改善のための口腔用組成物、並びにその用途及びその製造方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
【0009】
本開示に包含される口腔用組成物は(A)2-(4-methylphenoxy)-N-(1H-pyrazol-3-yl)-N-(thiophen-2-ylmethyl)acetamide、(B)N-ethyl 2-isopropyl-5-methylcyclohexanecarboxamide及び/又はN-((ethoxycarbonyl)methyl)-p-menthane-3-carboxamide、(C)イソプロピルメチルフェノール及び/又は塩化セチルピリジニウム、並びに、(D)ニコチン酸を含有する。以下、当該口腔用組成物を「本開示の口腔用組成物」と表記することがある。また、前記(A)~(D)の各成分を「(A)成分」、「(B)成分」、「(C)成分」、「(D)成分」等と表記することがある。
【0010】
(A)成分:2-(4-methylphenoxy)-N-(1H-pyrazol-3-yl)-N-(thiophen-2-ylmethyl)acetamideは、冷感剤としての用途が知られる化合物である。なお、(A)成分は本開示において「Coolant A」と表記されることもある。Coolant Aの構造を以下に示す。
【0011】
【0012】
特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(A)成分を0.00001~0.01質量%含有することができ、当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.00005、0.0001、0.00015、0.0002、0.00025、0.0003、0.00035、0.0004、0.00045、0.0005、0.00055、0.0006、0.00065、0.0007、0.00075、0.0008、0.00085、0.0009、0.00095、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、0.0075、0.008、0.0085、0.009、又は0.0095質量%であってもよい。当該範囲は0.00005~0.005質量%であることが好ましく、0.0001~0.001質量%であることがより好ましい。
【0013】
(B)成分:N-ethyl 2-isopropyl-5-methylcyclohexanecarboxamide(本開示において「Coolant B1」と表記されることがある)及びN-((ethoxycarbonyl)methyl)-p-menthane-3-carboxamide(本開示において「Coolant B2」と表記されることがある)もまた、冷感剤としての用途が知られる化合物である。(B)成分は1種単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。Coolant B1の構造を以下に示す。
【0014】
【0015】
Coolant B2の構造を以下に示す。
【0016】
【0017】
特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(B)成分を0.0001~0.1質量%含有することができ、当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.0005、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、0.0075、0.008、0.0085、0.009、0.0095、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、又は0.095質量%であってもよい。当該範囲は0.0002~0.05質量%であることが好ましく、0.0005~0.01質量%であることがより好ましい。
【0018】
(C)成分:イソプロピルメチルフェノール(本開示において「IMP」と表記されることがある)及び塩化セチルピリジニウム(本開示において「CPC」と表記されることがある)は、いずれも殺菌剤として口腔用組成物において頻用される成分である。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(C)成分を0.01~1質量%含有することができ、当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、又は0.95質量%であってもよい。当該範囲は0.01~0.5質量%であることが好ましく、0.02~0.3質量%であることがより好ましい。
【0020】
(D)成分:ニコチン酸は、本開示の組成物において(C)成分の殺菌作用を補助、すなわち増強し得る。
【0021】
特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(D)成分を0.01~1質量%含有することができ、当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、又は0.95質量%であってもよい。当該範囲は0.01~0.5質量%であることが好ましく、0.02~0.3質量%であることがより好ましい。
【0022】
本開示の効果が損なわれない限り特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(A)成分1質量部に対して(B)成分を0.01~1000質量部含有することができる。当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、又は900質量部であってもよい。当該範囲は0.01~100質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましい。
【0023】
本開示の効果が損なわれない限り特に制限されないが、本開示の口腔用組成物は、(A)成分及び(B)成分の合計1質量部に対して、(C)成分及び(D)成分を合計で1~2000質量部含有することができる。当該範囲の上限又は下限は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、又は1950質量部であってもよい。当該範囲は1~1500質量部であることが好ましく、10~1000質量部であることがより好ましい。
【0024】
本開示の口腔用組成物には、本開示の効果を損なわない範囲において、口腔用組成物に含有させることができる公知の成分を含ませてもよい。
【0025】
このような公知の成分としては、例えば、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤、香料、甘味剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、安定化剤、矯味剤、収れん剤、増粘剤、(C)成分及び(D)成分以外の薬効成分等が挙げられる。なお、このような公知の成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂、生体活性ガラス等を用いることができる。
【0027】
湿潤剤として、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、グリセリン、プロピレングリコール、キシリット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0028】
界面活性剤として、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種以上をさらに配合することができる。具体的には、アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、脂肪族モノカルボン酸塩、N-長鎖アシルアミノ酸塩、、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。アニオン性界面活性剤を含有する場合、その対イオンは特に制限されず、ナトリウム(Na)塩、カリウム(K)塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等のいずれであってもよい。ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8~10、アルキル基の炭素数が13~15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、アルキル基の炭素数が8~16のアルキルグルコシド等が例示される。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N-ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が例示される。また、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミドベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン及びN-ヤシ油脂肪酸アシルL-アルギニンエチルdl-ピロリドンカルボン酸塩等も好ましく例示される。これらの界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0029】
香料としては、例えば、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、シオネール、チモール、丁字油、ユーカリ油、ローズマリー油、セージ油、レモン油、オレンジ油、オシメン油、シトロネロール、メチルオイゲノール等が挙げられる。
【0030】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、α-メトキシシンナミックアルデヒド、キシリット、スクラロース、パラチノース、ステビアフィン等が挙げられる。
【0031】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
【0032】
着色剤としては、例えば、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等が挙げられる。
【0033】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、フィチン酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、又はこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0034】
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0035】
矯味剤としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
収れん剤としては、例えば、重曹、乳酸アルミニウム、亜鉛化合物等が挙げられる。
【0037】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム、ローカストビンガム、カラギーナン、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、増粘性シリカ、アルミニウムシリカゲル、ビーガム等の無機粘結剤、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、寒天、ゼラチン、大豆多糖類、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
薬効成分として、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン等の非イオン性殺菌剤、ヒノキチオール等が挙げられる。またさらに、殺菌剤以外の薬効成分を配合することもできる。例えば、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、又はニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、フッ化ナトリウム、β-グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム等を配合してもよい。薬効成分は単独又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0039】
なお、これら公知の成分の配合量は、本開示の効果を妨げない範囲で、通常の口腔用組成物に配合されている程度の量を参考に適宜調整することができる。
【0040】
本開示の口腔用組成物は、公知の方法又は公知の方法から当業者が容易に想到できる方法により製造することができる。また、本開示の口腔用組成物は、例えば医薬品、医薬部外品、化粧品としても用いることができる。また、本開示の口腔用組成物の形態は特に限定されず、例えば軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、塗布剤等の形態(剤形)であってもよい。
【0041】
本開示の口腔用組成物においては、(A)成分及び(B)成分が含有されることにより、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味が効果的に抑制され、かつ口腔内のすっきり感や口臭除去効果の実感が得られ得る。
【0042】
本開示は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を組み合わせて用いることを含む、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味のマスキング方法、並びに、(A)成分~(D)成分を組成物に含有させることを含む、口腔用組成物製造方法をも包含する。
【0043】
またさらに、本開示は、(A)成分及び(B)成分からなる、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味のマスキング剤をも包含する。
【0044】
また本開示は、(A)成分~(D)成分を含有する、口腔用組成物用担体も包含する。当該口腔用組成物用担体は、用途が口腔用組成物用担体であるという点を除けば、その構成は基本的に上記口腔用組成物と同様である。
【0045】
当該口腔用組成物用担体に更に口腔用組成物に許容される成分(例えば上記公知の成分)を加えることにより、好適な口腔用組成物を製造することができる。
【0046】
なお、本明細書において「含む」とは、「含有する」の他に、「実質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term “comprising” includes “substantially consisting of” and ”consisting of.“)。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0047】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、数値、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0048】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。なお、以下に記載される各成分の配合量値は特に断らない限り「質量%」を示す。
【0049】
1.口腔用組成物(洗口液)の調製
表1の組成(数値は質量%を示す)に従い、洗口液を調製した。具体的には、各成分をビーカーに加えた後、ガラス棒を用いた手動撹拌、あるいはディスパーミキサーを用いた撹拌によってこれらを混合した。この際、必要に応じて加温を行った。
【0050】
2.官能評価
試験例1で調製した洗口液10mLで20秒間洗口した後の、刺激性、苦味の後残り、及びお口のすっきり感を評価した。具体的には、専門のパネリスト4名が下記の評価基準に基づいて評価を行い、平均値を算出した。
[刺激性・苦味の後残りの評価基準]
0:刺激性/苦味の後残りなし
1:ほとんど刺激性/苦味の後残りなし
2:わずかに刺激性/苦味の後残りあり
3:刺激性/苦味の後残りあり
4:非常に強い刺激性/苦味の後残りあり
[お口のすっきり感の評価基準]
0:全くすっきりしない
1:ほとんどすっきりしない
2:ややすっきりする
3:すっきりする
4:非常にすっきりする
【0051】
算出した平均値から、以下の基準に基づいて各評価項目について判定した。
[刺激・苦味の後残りの判定基準]
◎:2点未満
○:2点以上2.5点未満
△:2.5点以上3点未満
×:3点以上
[お口のすっきり感の判定基準]
◎:3点以上
○:2.5点以上3点未満
△:2点以上2.5点未満
×:2点未満
【0052】
結果を表1に示す。
【0053】
【0054】
比較例4の結果から明らかなように、(C)成分及び(D)成分を含有する口腔用組成物は強い苦味を有する。表1に示す通り、(A)成分又は(B)成分のどちらか一方のみを含有する比較例1~3組成物においては、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味が十分にマスキングされなかった。一方、(A)成分及び(B)成分を含有する実施例1~5組成物においては、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味が十分にマスキングされた。以上の結果から、(A)成分及び(B)成分の組合せによって、(D)成分との併用により増強された(C)成分に特有の苦味が効果的にマスキングされることが判明した。
【0055】
さらに、(A)成分及び(B)成分を含有する実施例1~5組成物においては、刺激性が強くなく、かつ使用後にお口のすっきり感が得られることが判明した。なお、お口のすっきり感が得られる組成物においては、同時に口臭除去効果の実感も得られるものと考えられる。