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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092160
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】インキ瓶用アダプタ
(51)【国際特許分類】
   B43L 25/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B43L25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207903
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】守屋 知巳
(57)【要約】
【課題】サイズの異なる複数のインキ瓶に適用することができるインキ瓶用アダプタを提供する。
【解決手段】本発明のインキ瓶用アダプタ9は、インキ瓶7の内部に配置され、先端にペン先を有する首部を備えた筆記具が挿し込まれるものである。インキ瓶用アダプタ9は、底壁31と側周壁10,20とを有し、側周壁10に貫通孔11が形成された有底略円筒形状の筒状体を備え、当該筒状体の一部に、その軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部3が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキ瓶の内部に配置され、ペン先を備えた首部を有する筆記具が挿し込まれるインキ瓶用アダプタであって、
底壁と側周壁とを有し、前記側周壁に貫通孔が形成された有底略円筒形状の筒状体を備え、
前記筒状体の一部に、その軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部が設けられている、インキ瓶用アダプタ。
【請求項2】
前記筒状体の内部には、前記筆記具の前記首部の先端面が当接する当接部が設けられており、
前記筒状体において、前記伸縮部が、前記当接部と前記底壁との間に位置している、請求項1に記載のインキ瓶用アダプタ。
【請求項3】
前記筒状体の開口の周縁に、外側に向かって張り出したフランジ部が設けられている、請求項2に記載のインキ瓶用アダプタ。
【請求項4】
前記筒状体の内部には、前記筆記具の前記首部の先端面が当接する当接部が設けられており、
前記筒状体において、前記伸縮部が、前記当接部と前記筒状体の前記開口との間に位置している、請求項1に記載のインキ瓶用アダプタ。
【請求項5】
前記伸縮部が蛇腹構造を有する、請求項1-4のいずれか1項に記載のインキ瓶用アダプタ。
【請求項6】
前記伸縮部がその伸縮状態を維持可能に構成されている、請求項1-4のいずれか1項に記載のインキ瓶用アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ瓶の内部に配置して用いられるインキ瓶用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
万年筆等の筆記具用インキを収容したインキ瓶は、一般に硬質のガラスで形成されている。例えば万年筆に筆記具用インキを補給するには、万年筆のペン先部をインキ瓶の口から瓶内に挿し込み、筆記具用インキを吸入して補給するが、インキ瓶内のインキが少なくなると、万年筆でうまく吸入することができず、利用できないインキが残ってしまうという問題や、万年筆のペン先を瓶の底面や内壁面に当ててしまい、ペン先を破損してしまうという問題がある。
【0003】
そのような問題を解決するために、インキ瓶の内部にアダプタを配置したものが知られている。例えば、特許文献1には、万年筆のペン先が差し込まれるペン先差し込み部を有し、瓶内に残り少なくなったインキをペン先差し込み部に導いて万年筆で吸引可能にするアダプタ(インキリザーバー)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-037085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インキ瓶には様々な形状・サイズのものが存在しているため、従来、インキ瓶内に配置して用いられるアダプタは、インキ瓶のサイズに合わせてそれぞれ設計されていた。そのため、インキ瓶のバリエーションを増やすと、それに応じた異なるアダプタを用意しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、サイズの異なる複数のインキ瓶に適用することができるインキ瓶用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、インキ瓶の内部に配置され、ペン先を備えた首部を有する筆記具が挿し込まれるインキ瓶用アダプタであって、底壁と側周壁とを有し、前記側周壁に貫通孔が形成された有底略円筒形状の筒状体を備え、前記筒状体の一部に、その軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部が設けられている、インキ瓶用アダプタを提供する(発明1)。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、伸縮部の軸方向の長さが可変になっていることにより、筒状体の底壁から開口までの軸方向の長さを調節することができるので、瓶底から瓶口までの長さが異なっても、それぞれのインキ瓶に合わせて使用することができるインキ瓶用アダプタが実現される。なお、本発明においては、有底略円筒形状の筒状体の一部に伸縮部が設けられているため、伸縮部も略円筒形状を呈することとなり、また、伸縮部の軸方向は筒状体の軸方向と一致している。
【0009】
上記発明(発明1)において、前記筒状体の内部には、前記筆記具の前記首部の先端面が当接する当接部が設けられており、前記筒状体において、前記伸縮部が、前記当接部と前記底壁との間に位置していてもよい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明2)においては、前記筒状体の開口の周縁に、外側に向かって張り出したフランジ部が設けられていることが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明1)において、前記筒状体の内部には、前記筆記具の前記首部の先端面が当接する当接部が設けられており、前記筒状体において、前記伸縮部が、前記当接部と前記筒状体の前記開口との間に位置していてもよい(発明4)。
【0012】
上記発明(発明1-4)においては、前記伸縮部が蛇腹構造を有していてもよい(発明5)。
【0013】
上記発明(発明1-4)においては、前記伸縮部がその伸縮状態を維持可能に構成されていてもよい(発明6)。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインキ瓶用アダプタは、サイズの異なる複数のインキ瓶(特に、瓶底から瓶口までの長さが異なる複数のインキ瓶)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るインキ瓶用アダプタの全体構造を示す説明図である。
図2】同実施形態に係るインキ瓶用アダプタの内部構造を示す説明図である。
図3】同実施形態に係るインキ瓶用アダプタをインキ瓶に取り付けた状態を示す説明図(その1)である。
図4】同実施形態に係るインキ瓶用アダプタをインキ瓶に取り付けた状態を示す説明図(その2)である。
図5】本発明の第2実施形態に係るインキ瓶用アダプタの全体構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するために記載された例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るインキ瓶用アダプタ9の全体構造を示す説明図である。また、図2はインキ瓶用アダプタ9の内部構造を示す説明図であり、(a)はインキ瓶用アダプタ9を上方からみた平面図、(b)は(a)の平面図におけるA-A断面図、(c)は(a)の平面図におけるB-B断面図である。インキ瓶用アダプタ9は、インキ瓶の内部に配置され、先端にペン先を有する首部を備えた筆記具(万年筆)が挿し込まれるものであり、筆記具のペン先を保護しつつ、筆記具による瓶内のインキの吸入を容易にするために用いられるものである。
【0018】
インキ瓶用アダプタ9は、図1及び図2に示すように、円筒形状の太径部1と、太径部1の下側に連続して設けられ、太径部1よりも外径がやや小さい細径部2と、細径部2の下側に連続して設けられ、軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部3とを備える。太径部1の上部には、万年筆の先端部を挿し込むための開口4が設けられている。ここで、伸縮部3の軸方向の長さとは、伸縮部3の中心軸に沿った方向の長さであり、すなわち伸縮部3の太径部1側の端部から細径部2側の端部までの距離(高さ)のことである。
【0019】
太径部1は、その外径及び内径が一定の円筒形状を有し、太径部1の側周壁10には、太径部1の内部から外部へと貫通した平面視正円形状の貫通孔11が2つ設けられている。2つの貫通孔11はいずれも同じ大きさであり、また、2つの貫通孔11は対向するように、同じ高さに設けられている。太径部1の下部には、細径部2の内部へと連通する連結開口12が中央部に形成された円環状の底面13が設けられている。太径部1の上部の開口4の周縁には、外側に向かって張り出した円環状のフランジ部14が設けられており、フランジ部14の外径は太径部1の側周壁10の外径よりも大きくなっている。
【0020】
細径部2は、太径部1の下側に連続して設けられ、その外径及び内径が一定の円筒形状を有する側周壁20のみから形成されている。細径部2の上部は太径部2の連結開口12にそのまま連結されており、つまり、細径部2の内径と連結開口12の内径とは略同一になっている。
【0021】
伸縮部3は、細径部2の下側に連続して設けられ、その外径及び内径が徐々に小さくなっていく逆円錐筒形状(中空の逆円錐台形状)の複数の第1構造と、その外径及び内径が徐々に大きくなっていく逆円錐筒形状(中空の逆円錐台形状)の複数の第2構造とが繰り返し連結されて構成された、いわゆる蛇腹構造を有している。伸縮部3の当該蛇腹構造において外径が最大となる部分(すなわち、第2構造と第1構造とが上側からこの順に連結された部分)の外径は、細径部2の外径と略同一になっており、当該部分の内径は、細径部2の内径と略同一になっている。
【0022】
太径部1、細径部2及び伸縮部3は内部が中空になっており、この内部の空間がインキの溜まる収容空間Sとして機能する。また、伸縮部3の下側の底面31は閉塞しており、収容空間Sの底壁として機能している。すなわち、インキ瓶用アダプタ9の収容空間Sは、太径部1の側周壁10及びその底面13と、細径部2の側周壁20と、蛇腹構造の伸縮部3及びその底面31とによって形成されており、インキ瓶用アダプタ9は、部分的に見れば異なる外径を有する箇所があるものの、全体としては有底略円筒形状の筒状体になっている。
【0023】
本実施形態において、インキ瓶用アダプタ9の太径部1、細径部2及び伸縮部3は同一の材料で一体に形成されている。その材料は特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミックス材料等を用いることができる。例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)等の熱可塑性合成樹脂材料をブロー成形することにより、太径部1、細径部2及び伸縮部3を一体に形成してもよいし、銅やアルミ、ステンレス合金等の金属材料を鋳造や射出成形することによって形成してもよい。また、インキ瓶用アダプタ9の太径部1、細径部2及び伸縮部3を異なる材料で別個に形成してもよい。
【0024】
インキ瓶用アダプタ9は、図3に示すようにインキ瓶7に取り付けて用いられる。具体的には、インキ瓶7の蓋を外してインキ瓶用アダプタ9をインキ瓶7の口から内部に入れ、インキ瓶用アダプタ9の伸縮部3の底面31をインキ瓶7の底面71上に載置し、インキ瓶用アダプタ9の太径部1の上部がインキ瓶7の口に嵌め込まれた状態でインキ瓶7の内部に略垂直状態の姿勢で配置される(図3(a)の状態)。この状態で蓋70を閉め(図3(b)の状態)、インキ瓶7をひっくり返して蓋70が下側になるようにすると、インキ瓶7内のインキがインキ瓶用アダプタ9の太径部1の貫通孔11から収容空間Sに流れ込む。その後、インキ瓶7を再度ひっくり返して蓋70が上側になるようにすると、インキ瓶用アダプタ9に流れ込んだインキが収容空間Sに滞留したままの状態になるので、インキ瓶7から蓋70を外し、万年筆の先端側をインキ瓶用アダプタ9に挿し込み、万年筆のペン先からインキを吸入することが可能になる(図3(c)の状態)。
【0025】
太径部1、細径部2及び伸縮部3の内部の収容空間Sには、図2に示すように、複数のリブ5が設けられている。これらの複数のリブ5は、インキ瓶用アダプタ9の開口4からペン先を備えた首部を有する筆記具が挿し込まれると、当該筆記具の首部の先端面が当接する当接部として機能するものである。本実施形態においては、細径部2の側周壁20の内周面からインキ瓶用アダプタ9(の太径部1、細径部2及び伸縮部3)の中心軸方向に延設された(すなわち、太径部、細径部2及び伸縮部3の径方向内側に向かって突出した)3つの板状の突起部材がリブ5a、5b、5cとして配置されている。3つのリブ5a、5b、5cは同じ形状を有し、細径部2の側周壁20の内周面において周方向に等間隔に配置されており、また、同じ高さに配置されている。
【0026】
なお、本実施形態において、3つのリブ5a、5b、5cは、太径部1、細径部2及び伸縮部3と同じ材料で、細径部2と一体に形成されているが、これに限られるものではなく、細径部2と同じ材料で形成されたリブや異なる材料で形成されたリブを、接着、溶接等の公知の固着手段を用いて細径部2の側周壁20の内周面に固着させていてもよい。また、リブを太径部1の側周壁10の内周面に配置してもよいし、太径部1の側周壁10の内周面から細径部2の側周壁20の内周面に跨るように配置してもよい。なお、当接部を4つ以上のリブで構成してもよいが、リブの数を増やせば増やすほど安定的に筆記具を支持することができるものの、リブの数が増えると、それだけ収容空間Sの容積が小さくなるので、必要なインキの収容量が確保できなくなるおそれが出てくる。また、リブの数が増えると、筆記具のペン先が嵌ってしまい、筆記具の先端部の抜き挿しが速やかにできなくなるおそれもある。一方、リブが2つの場合は、筆記具を安定的に垂直に支持できないおそれがあるので、当接部を複数のリブで構成する場合、リブを3つにすることが最も好ましい。
【0027】
軸方向の長さが可変になっている伸縮部3をインキ瓶用アダプタ9が有することにより、インキ瓶用アダプタ9は、サイズの異なる複数のインキ瓶、特に、瓶底から瓶口までの長さが異なる複数のインキ瓶に適用することができる。図4(a)に示すように、インキ瓶用アダプタ9を、図3のインキ瓶7よりも背の低いインキ瓶7aに取り付けて用いた場合、インキ瓶7の高さに合わせた状態のインキ瓶用アダプタ9では、インキ瓶7aの口からインキ瓶用アダプタ9の太径部1の上部が突出した状態になってしまう。ここで、蓋70でインキ瓶用アダプタ9の太径部1の上部をインキ瓶7aの口に押し込みながら蓋70をインキ瓶7aの口に取り付けようとすると、伸縮部3の軸方向の長さが可変になっていることにより、伸縮部3は太径部1及び細径部2によって下方向に圧縮され、インキ瓶用アダプタ9全体の長さ(高さ)もインキ瓶7aの高さに合わせたものとなる(図4(b)の状態)。その結果、インキ瓶用アダプタ9を内部に配置した状態でインキ瓶7aの口に蓋70を取り付けることができるので、図3のインキ瓶7と同様に、インキ瓶用アダプタ9を使って万年筆のペン先からインキを吸入することが可能になる(図4(c)の状態)。
【0028】
本実施形態では、伸縮部3を蛇腹構造とすることで、軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部3を実現しているが、これに限られるものではなく、例えば複数の径の異なる円筒の端部を重ねるようにして連結した構造を採用してもよいし、伸縮性のあるゴム等の材料を用いて伸縮部を形成してもよい。
【0029】
また、伸縮部3がその伸縮状態を維持可能に構成されていてもよい。例えば、伸縮部3が複数の第1構造と複数の第2構造とが繰り返し連結されて構成された蛇腹構造を有している場合、第1構造の軸方向の長さと第2構造の軸方向の長さとを異なるものとすることで、蛇腹構造の伸縮状態を維持することができる構造が知られている。このような伸縮状態を維持可能に構成された伸縮部3をインキ瓶用アダプタ9が有していれば、図4(b)に示す状態のインキ瓶7aから蓋70を外した際に、伸縮部3が元の長さに戻ってしまうことでインキ瓶用アダプタ9全体の長さが元の状態(図4(a)に示す状態)に戻ってしまうことを防止することができる。インキ瓶用アダプタ9がインキ瓶7aの内部に配置された状態を維持されれば、インキ瓶7a内のインキが付着したインキ瓶用アダプタ9がインキ瓶7aの外部に露出することもなくなる。
【0030】
なお、本実施形態においては、インキ瓶用アダプタ9において、伸縮部3が、当接部として機能する複数のリブ5の上端(面)と、底面31との間に位置している。このような構造を有するインキ瓶用アダプタ9の場合、筆記具を開口4から挿し込み、その首部の先端面がリブ5の上端に当接した状態で、筆記具をさらに下方向に押し込む方向に力が働くと、インキ瓶用アダプタ9の伸縮部3が縮んでいってしまい、インキ瓶用アダプタ9の開口4がインキ瓶7の口からその内部に移動していってしまう。このような事態を避けるべく、太径部1の上部の開口4の周縁にフランジ部14が設けられている。すなわち、筆記具の首部の先端面がリブ5の上端に当接した状態で筆記具をさらに下方向に押し込むように力が働いたとしても、このようなフランジ部14がインキ瓶7の口の周端面に当接することで、インキ瓶用アダプタ9の開口4の位置がインキ瓶7の口の近傍に限定されることになる。
【0031】
以上説明してきたインキ瓶用アダプタ9によれば、伸縮部3の軸方向の長さが可変になっていることにより、太径部1、細径部2及び伸縮部3から構成される筒状体の底壁(伸縮部3の底面31)から開口4までの軸方向の長さを調節することができるので、瓶底から瓶口までの長さが異なっても、それぞれのインキ瓶に合わせて使用することができる。
【0032】
<第2実施形態>
図5は本発明の第2実施形態に係るインキ瓶用アダプタ9Aの内部構造を示す説明図である。インキ瓶用アダプタ9Aは、円筒形状の太径部1Aの上側に、軸方向の長さが伸縮自在に構成された伸縮部3Aが連続して設けられており、また、太径部1Aの下側に、太径部1Aよりも外径がやや小さい細径部2Aが連続して設けられている。伸縮部3Aの上部には、万年筆の先端部を挿し込むための開口4Aが設けられている。ここで、伸縮部3Aの軸方向の長さとは、伸縮部3Aの中心軸に沿った方向の長さであり、すなわち伸縮部3Aの開口4A側の端部から太径部1A側の端部までの距離(高さ)のことである。
【0033】
伸縮部3Aは、第1実施形態と同様の蛇腹構造を有している。伸縮部3Aの当該蛇腹構造において外径が最大となる部分(すなわち、第2構造と第1構造とが上側からこの順に連結された部分)の外径は、太径部1Aの外径と略同一になっており、当該部分の内径は、太径部1Aの内径と略同一になっている。
【0034】
太径部1Aは、その外径及び内径が一定の円筒形状を有し、太径部1Aの側周壁10Aには、太径部1Aの内部から外部へと貫通した平面視正円形状の貫通孔11Aが2つ設けられている。2つの貫通孔11Aはいずれも同じ大きさであり、また、2つの貫通孔11Aは対向するように、同じ高さに設けられている。太径部1Aの下部には、細径部2Aの内部へと連通する連結開口12Aが中央部に形成された円環状の底面13Aが設けられている。
【0035】
細径部2Aは、太径部1Aの下側に連続して設けられ、その外径及び内径が一定の円筒形状を有する側周壁20Aのみから形成されている。細径部2Aの上部は太径部2Aの連結開口12Aにそのまま連結されており、つまり、細径部2Aの内径と連結開口12Aの内径とは略同一になっている。
【0036】
伸縮部3A、太径部1A及び細径部2Aは内部が中空になっており、この内部の空間がインキの溜まる収容空間SAとして機能する。また、細径部2Aの下側の底面21Aは閉塞しており、収容空間SAの底壁として機能している。すなわち、インキ瓶用アダプタ9Aの収容空間SAは、蛇腹構造の伸縮部3Aと、太径部1Aの側周壁10A及びその底面13Aと、細径部2Aの側周壁20A及びその底面21Aとによって形成されており、インキ瓶用アダプタ9Aは、部分的に見れば異なる外径を有する箇所があるものの、全体としては有底略円筒形状の筒状体になっている。
【0037】
インキ瓶用アダプタ9Aの開口4Aからペン先を備えた首部を有する筆記具が挿し込まれると、当該筆記具の首部の先端面は太径部1Aの底面13Aに当接することになる。すなわち、本実施形態においては、太径部1Aの底面13Aが当接部として機能することになり、伸縮部3Aが当該当接部とインキ瓶用アダプタ9Aの開口4Aとの間に位置していることになる。この場合、筆記具を開口4Aから挿し込み、その首部の先端面が太径部1Aの底面13Aに当接した状態で、筆記具をさらに下方向に押し込む方向に力が働いたとしても、伸縮部3Aが太径部1Aの底面13A(当接部)よりも上側にあるので、伸縮部3Aが縮むことはない。そのため、第2実施形態の構造では開口4Aの周縁にフランジ部を設けていない。
【0038】
なお、インキ瓶用アダプタ9Aの各部の材質や形成方法は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、インキ瓶用アダプタ9Aを、図3に示すインキ瓶7や、図4に示すインキ瓶7aに取り付けて使用する方法や流れも第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
以上説明してきたインキ瓶用アダプタ9Aによれば、伸縮部3Aの軸方向の長さが可変になっていることにより、伸縮部3A、太径部1A及び細径部2Aから構成される筒状体の底壁(細径部2Aの底面21A)から開口4までの軸方向の長さを調節することができるので、瓶底から瓶口までの長さが異なっても、それぞれのインキ瓶に合わせて使用することができる。
【0040】
本発明に係るインキ瓶用アダプタについて図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、第1実施形態におけるインキ瓶用アダプタ9は太径部1、細径部2及び伸縮部3を有する筒状体を備えるように構成されていたが、これに限られるものではなく、例えば円筒形状の本体部と伸縮部のみを有する筒状体を備えるように構成されていてもよいし、筒状体の一部に径が漸減していくテーパ形状部を有していてもよい。また、例えば太径部の途中に伸縮部が設けられていてもよいし、伸縮部を複数有する筒状体としてもよい。筒状体を構成する各部は、外径が一定で内径が変化するような構造を有していてもよいし、内径が一定で外径が変化するような構造を有していてもよい。インキ瓶内にインキ瓶用アダプタを安定的に配置させることができるように、インキ瓶用アダプタの最下部に円板形状の脚部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
9 インキ瓶用アダプタ
1 太径部
11 貫通孔
2 細径部
3 伸縮部
4 開口
5a、5b、5c リブ(当接部)
S 収容空間
9A インキ瓶用アダプタ
1A 太径部
11A 貫通孔
2A 細径部
3A 伸縮部
4A 開口
SA 収容空間
7、7a インキ瓶
図1
図2
図3
図4
図5