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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092167
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】加熱処理用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240701BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65D81/34 U
F24C7/02 551B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207912
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】前本 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】八木 周和
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 仙
【テーマコード(参考)】
3E013
3L086
【Fターム(参考)】
3E013BB12
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF25
3E013BF36
3E013BF62
3E013BG15
3E013BG17
3L086AA01
3L086BF01
3L086DA24
(57)【要約】
【課題】包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制し、加熱処理後に開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのを防止することが可能な加熱処理用包装体を提供する。
【解決手段】本発明に係る加熱処理用包装体は、包装体上から外側に向かって突出するように形成された長尺状の合掌シール部を有し、合掌シール部は、合掌シール部の包装体外部側に設けられ、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない完全シール部を有する完全シール領域と、合掌シール部の包装体内部側に設けられ、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する易剥離シール領域と、合掌シール部の包装体外部側端部から易剥離シール部まで延在する複数の非シール部と、非シール部の包装体外部側端部で開口した開口部とを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を加熱処理するための包装体であって、
前記包装体上から外側に向かって突出するように形成され、前記内容物を加熱処理して蒸気により内部圧力が上昇したときにその圧力を逃がす長尺状の合掌シール部を有し、
前記合掌シール部は、前記合掌シール部の前記包装体外部側に設けられ、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない完全シール部を有する完全シール領域と、
前記合掌シール部の前記包装体内部側に設けられ、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する易剥離シール領域と、
前記合掌シール部の前記包装体外部側端部Xから前記易剥離シール部まで延在する複数の非シール部と、
複数の前記非シール部の前記包装体外部側端部Xでそれぞれ開口した複数の開口部と
を有する
加熱処理用包装体。
【請求項2】
前記開口部の開口幅Wは、2~20mmである
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項3】
前記合掌シール部の短手方向における前記非シール部の長さHは、4~25mmである
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項4】
前記合掌シール部の短手方向における前記完全シール領域の長さHは、3~20mmである
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項5】
前記合掌シール部の短手方向における前記非シール部の長さHは、前記合掌シール部の短手方向における前記完全シール領域の長さHよりも長い
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項6】
前記完全シール領域は、その中央に、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない中央完全シール部を有し、
前記非シール部は、前記合掌シール部の長手方向を左右方向としたときに、左右に少なくとも2つずつ、かつ、前記中央完全シール部を中心に左右対称に配されている
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項7】
前記中央完全シール部の最短幅Wは、10mm以上である
請求項6に記載の加熱処理用包装体。
【請求項8】
前記合掌シール部の短手方向における前記易剥離シール領域の長さHは、4~20mmである
請求項1に記載の加熱処理用包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を加熱処理する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済又は半調理済等の食品が耐熱性のプラスチック包装体に充填され、それを食する直前に電子レンジにより加熱調理する包装食品が市場に提供されている。しかし、このような包装食品を電子レンジにより加熱すると、包装体の内部の水蒸気や内部空気の熱膨張によって内部圧力が上昇し、包装体が破裂して内容物が飛散したり、電子レンジ内を汚染したりする欠点があった。
【0003】
電子レンジ調理の前に、あらかじめ包装体に小孔を開けて内部圧力の上昇を抑えることで、包装体の破裂を防止する方法が採られている。しかし、この方法では、発生した水蒸気が直ちに包装体の外へ放出されてしまい、水蒸気による蒸し調理効果が低減してしまうばかりか、包装体内部の食品の乾燥が進行して食味の劣化をきたすこともある。そこで、包装体の内部圧力が上昇した際に通蒸して圧力を逃がすイージーピール部を形成した包装体が知られている。
【0004】
特許文献1には、プラスチックフィルムによりその同一面側を互いに当接させてヒートシールにより合掌状に接合された合掌接合部を設け、その内部に加熱処理用の内容物を密封包装させる加熱処理用包装体であって、前記合掌接合部は、前記内容物の加熱処理時に前記内容物の上面側に位置し、加熱処理により前記加熱処理用包装体の内部圧力が上昇したときにその圧力を逃がす易開封性を有し、前記合掌接合部を構成するプラスチックフィルムの一方に、前記合掌接合部を形成するヒートシールの幅方向と垂直の方向に並んだ複数の貫通孔が設けられている加熱処理用包装体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-113132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の加熱処理用包装体では、加熱処理後に誤って蒸気口(開口部)を下に向けて持ち上げてしまうと、蒸気口から内容物が多量に漏れ出してしまう恐れや、電子レンジ内部や着衣を汚してしまう恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は、包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制し、加熱処理後に開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのを防止することが可能な加熱処理用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱処理用包装体は、内容物を加熱処理するための包装体であって、
前記包装体上から外側に向かって突出するように形成され、前記内容物を加熱処理して蒸気により内部圧力が上昇したときにその圧力を逃がす長尺状の合掌シール部を有し、
前記合掌シール部は、前記合掌シール部の前記包装体外部側に設けられ、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない完全シール部を有する完全シール領域と、
前記合掌シール部の前記包装体内部側に設けられ、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する易剥離シール領域と、
前記合掌シール部の前記包装体外部側端部Xから前記易剥離シール部まで延在する複数の非シール部と、
複数の前記非シール部の前記包装体外部側端部Xでそれぞれ開口した複数の開口部と
を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制し、加熱処理後に開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのを防止することが可能な加熱処理用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る加熱処理用包装体の構成例を示す模式図である。
図2】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の構成例を示す模式図である。
図3】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の他の構成例を示す模式図である。
図4】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の他の構成例を示す模式図である。
図5】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の他の構成例を示す模式図である。
図6】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の他の構成例を示す模式図である。
図7】比較例で用いる加熱処理用包装体の合掌シール部の構成を示す模式図である。
図8】比較例で用いる加熱処理用包装体の合掌シール部の構成を示す模式図である。
図9】比較例で用いる加熱処理用包装体の合掌シール部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る加熱処理用包装体の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る加熱処理用包装体は、電子レンジにより内容物を加熱処理する際に用いるのに好適であり、また食材を加熱処理する際に用いるのに好適である。図1は、本発明に係る加熱処理用包装体の構成例を示す模式図、図2は、本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部の構成例を示す模式図である。
【0012】
図1に示した加熱処理用包装体1は、2枚の包装体フィルム2の三辺がシールされた周縁シール部5を有し、残りの一辺にはチャックシール部10が設けられた構成を有している。このような構成を有することで、消費者がチャックシール部から食材等の内容物を投入して密封することができる。なお、チャックシール部10はなくてもよく、2枚の包装体フィルム2の四辺がシールされた構成であってもよい。
【0013】
包装体フィルム2としては、電子レンジにより加熱処理がなされることを考慮すると、電子レンジの加熱に対する耐熱性を有するプラスチック素材で形成されていることが好ましい。そのようなプラスチック素材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステル;及びこれらを形成するモノマーの共重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0014】
ポリエチレンの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン系ポリエチレンなどが挙げられる。ポリプロピレンの具体例としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンや1-ブテンとのランダム又はブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0015】
包装体フィルム2は、単層でもよいが、共押出しなどにより2層以上に積層されていてもよい。例えば、包装体フィルム2は、基材層とシーラント層からなることが好ましく、さらに基材層とシーラント層の間に他の層を有していてもよい。具体的には、包装体フィルム2として、基材層となるポリアミドフィルムと、シーラント層となるポリプロピレン系イージーオープンフィルムとを貼り合わせた積層フィルムを用いることができる。また、包装体フィルム2は、酸化アルミニウムや酸化ケイ素のような無機酸化薄膜が付与されたガスバリアー性の複合フィルムでもよい。この複合フィルムは、酸化アルミニウムや酸化ケイ素の単体又は混合物を真空下で加熱気化させ、上記のフィルムの表面に蒸着することで得ることができる。
【0016】
加熱処理用包装体1は、内容物を内部に投入して密封することができる構成であれば、その形態は問わない。すなわち、包装体フィルム2は、図1に示す三方シールの他、四方シール、スティック、ピロー、ガゼット、封筒貼り、スタンディング、合掌貼り等の形態とすることができる。加熱処理用包装体1の外縁の形状は、三角形、四角形、五角形等の多角形、円形、楕円形、及びそれらの組み合わせた形状とすることができるが、一般的には四角形である。
【0017】
加熱処理用包装体1の側部及び底部に形成される周縁シール部5のシール幅は、3~15mmとすることが好ましく、5~12mmとすることがより好ましく、7~10mmとすることがさらに好ましい。周縁シール部5は、側部に形成したシール部が底部に向かって内側に傾斜しているV字の形状、又は側部と底部のコーナーに形成したシール部が丸みをおびたU字の形状に形成されていることが好ましい。V字又はU字の形状であれば、加熱処理用包装体1の内部に食材等の内容物を充填する際に底部に形成したシール部の後退及び抜けを効果的に抑制することができ、また側部と底部のコーナーに内容物が滞留しにくくなり、加熱時に内容物が焦げることを防止することができる。
【0018】
周縁シール部5は、常温及び90℃雰囲気下において完全シールでもよいが、チャックシール部10及び後述する易剥離シール部24よりも強いシール強度であれば、易開封性を有していてもよい。周縁シール部5が易開封性を有する場合の常温及び90℃雰囲気下でのシール強度は、10~30N/15mmが好ましく、12~25N/15mmがより好ましい。なお、常温及び90℃雰囲気下でのシール強度とは、JIS Z0238「密封軟包装袋の試験方法」に従い、それぞれ常温及び90℃雰囲気下で測定された値である。
【0019】
チャックシール部10は、雄チャック及び雌チャックを有している。雄チャックを一方の包装体フィルム2に取り付け、雌チャックをもう一方の包装体フィルム2に取り付けて、雄チャックの凸部分と雌チャックの凹部分とを嵌合させることでシール(密閉)することができる。
【0020】
本発明において、一方の包装体フィルム2には、その内面側を互いに向かい合わせて接合された合掌シール部20が形成されている。こうすることで、内容物を加熱処理して加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇したときに、その圧力を合掌シール部20から逃がすことができる。この合掌シール部20は、加熱処理用包装体1(包装体フィルム2)上から外側に向かって突出するように形成されている。
【0021】
合掌シール部20は、内容物の加熱処理時に内容物の上面側に位置するように形成され、加熱処理により加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇したときにその圧力を逃がす易開封性を有するように形成される。合掌シール部20は、包装体フィルム2のうち合掌シール部20を構成する部分の内面側を互いに向かい合わせ、その間に必要に応じて易開封性フィルム(不図示)を挟み込むことで形成することができる。
【0022】
本実施形態において、合掌シール部20は、図1及び図2に示すように、長尺状をなしており、合掌シール部20の包装体外部側に設けられ、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない完全シール部211を有する完全シール領域21と、合掌シール部20の包装体内部側に設けられ、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部241を有する易剥離シール領域24と、合掌シール部20の包装体外部側端部Xから易剥離シール部241まで延在する延在する8つの非シール部22と、8つの非シール部22の包装体外部側端部Xでそれぞれ開口した8つの開口部23とを有している。本実施形態において、合掌シール部20は、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに易剥離シール部241が剥離して、非シール部22と包装体内部とが連通する構成となっている。このような構成を有することにより、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに、包装体内部の蒸気が開口部23より包装体外部へ排出されることで、加熱処理用包装体1の破裂を防止するとともに、加熱処理用包装体1内部の圧力の変動を抑制することができる。さらに、上記のような構成の複数の非シール部22を有することにより、加熱処理後に開口部23(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、非シール部22が扁平な流路であるため大気圧により非シール部22及び開口部23が閉じ、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのを防止することができる。
【0023】
完全シール領域21は、図2に示すように、合掌シール部20の包装体外部側の端部Xから易剥離シール領域24まで形成されており、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない完全シール部211を有している。完全シール部211は、周縁シール部5と同様に、常温及び90℃雰囲気下において完全シールであることが好ましいが、チャックシール部10及び後述する易剥離シール部24よりも強いシール強度であれば、易開封性を有していてもよい。なお、完全シール領域21は、合掌シール部20の包装体外部側の端部Xからではなく、端部Xよりも包装体内部側から形成されていてもよい。
【0024】
合掌シール部20の短手方向における完全シール領域21域の長さHは、3~20mmであることが好ましく、4~18mmであることがより好ましく、5~15mmであることがさらに好ましい。これにより、加熱処理をした際に、合掌シール部20の不本意な位置に開口部(開口部23とは異なる開口部)が形成されることをより確実に防止することができ、開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのをより確実に防止することができる。
【0025】
本実施形態において、完全シール領域21は、その中央に、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに剥離しない中央完全シール部211aを有している。
中央完全シール部211aの最短幅Wは、10mm以上であることが好ましく、10~50mmであることがより好ましく、10~40mmであることがさらに好ましい。これにより、加熱処理をした際に、内圧の集中しやすい合掌シール部20の中央に不本意な開口部(開口部23とは異なる開口部)が形成されることをより確実に防止することができ、開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのをより確実に防止することができる。
【0026】
非シール部22は、合掌シール部20の包装体外部側の端部Xから易剥離シール領域24の易剥離シール部241まで延在している。すなわち、非シール部22は、完全シール領域21を分断するように、合掌シール部の長手方向と垂直な方向に延在している。
複数の非シール部22は、シールがされておらず、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇した際に、包装体外へ蒸気を逃がすための蒸気の流路として機能する。各非シール部22の間は、上述した完全シール部211で構成されている。
【0027】
本実施形態では、図2に示すように、8つの非シール部22が設けられている。そして、8つの非シール部22は、合掌シール部20の長手方向を左右方向(図2中の左右方向)としたときに、左右に4つずつ、かつ、中央完全シール部211aを中心に左右対称に配されている。なお、図示の構成では、非シール部22は左右に4つずつ配されているが、左右に2つずつ配されていてもよく(例えば、図4)、左右に3つずつ配されていてもよく(例えば、図3)、特に、左右に4つずつ以上配されていることが好ましい。これにより、包装体内部の蒸気をより確実に包装体外部へ排出することができ、加熱処理用包装体1の破裂を効果的に防止することができる。また、本実施形態の構成のように、中央完全シール部211aを中心に、左右2つずつ以上の非シール部22を配することで、加熱処理時に加熱処理用包装体1が不均一に膨らんだ際に、少なくとも左右の一方側の非シール部22を介して開口部23から蒸気を排出することができるため、加熱処理用包装体1の破裂をより確実に防止することができる。
【0028】
なお、非シール部22は、本実施形態のように中央完全シール部211aを中心に左右対称に配されていなくてもよく、図5に示すように、奇数個の非シール部22が合掌シール部20の長手方向に配列した構成であってもよいし、図6に示すように、複数の非シール部22が合掌シール部20の左右の一方側に偏って配列した構成であってもよいし、複数の非シール部22がランダムに形成されている構成であってもよい。
【0029】
合掌シール部20の短手方向における非シール部22の長さHは、4~25mmであることが好ましく、5~19mmであることがより好ましく、6~16mmであることがさらに好ましい。これにより、蒸気をより確実に外部に排出するとともに、開口部23(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのをより確実に防止することができる。
【0030】
また、合掌シール部20の短手方向における非シール部22の長さHは、合掌シール部20の短手方向における完全シール領域21の長さHよりも長いことが好ましい。すなわち、非シール部22の包装体内部側の端部と易剥離シール領域24との境界は、完全シール領域21と易剥離シール領域24との境界よりも包装体内部側にあることが好ましい。これにより、加熱処理して内部圧力が上昇したときに非シール部22と包装体内部とをより確実に連通させることができ、加熱処理用包装体1の破裂をより確実に防止することができる。
隣接する非シール部22同士の最短間隔Dは、非シール部22の数によっても異なるが、1~40mmであることが好ましく、2~30mmであることがより好ましく、3~20mmであることがさらに好ましい。
【0031】
開口部23は、非シール部22の包装体外部側の端部Xにおいて開口している。これにより、蒸気を確実に外部に排出することができ、加熱処理用包装体1の破裂を防止することができる。
開口部23の開口幅Wは、2~20mmであることが好ましく、3~15mmであることがより好ましく、4~10mmであることがさらに好ましい。これにより、蒸気をより確実に外部に排出するとともに、開口部23(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、食材等の内容物が蒸気口から漏れ出すのをより確実に防止することができる。
【0032】
易剥離シール領域24は、合掌シール部20の包装体内部側に設けられており、易剥離シール部241を有している。易剥離シール部241は、内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離し、包装体内部と非シール部22とを連通させる機能を備えている。
易剥離シール部241は、90℃雰囲気下において周縁シール部5やチャックシール部10よりも弱いシール強度を有していることが好ましい。これにより、内容物を加熱処理して加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇した際に、周縁シール部5及びチャックシール部10が開封する前に易剥離シール部241が剥がれ、包装体内部と非シール部22とが連通し、その圧力を開口部23からより確実に逃がすことができる。
【0033】
易剥離シール部241の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、12N/15mm以下であることが好ましく、8N/15mm以下であることがより好ましい。易剥離シール部24の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、0N/15mmでも構わないが、1N/15mm以上であることが好ましい。なお、易剥離シール部241は、常温においては完全シールでもよく、易開封性を有していてもよい。易剥離シール部241の常温でのシール強度は、0.5~30N/15mmが好ましく、1~25N/15mmがより好ましい。
なお、常温では完全シール、90℃雰囲気下でのヒートシール強度が12N/15mm以下となる易剥離シール部241は、易開封性フィルムとして、ポリオレフィン(例えば、融点120℃以下(好ましくは110℃以下)のポリエチレンや融点140℃以下(好ましくは130℃以下)のポリプロピレンを、合掌シール部20を構成する包装フィルム2の間に挟み込むことで実現できる。なお、融点は、ASTM2117に基づいて測定した値である。
【0034】
なお、易剥離シール部241は、図示の構成のように、易剥離シール部領域24全面に設けられていてもよいが、全面ではなく一部でもよく、少なくとも、通常時(加熱処理前)において、非シール部22が包装体内部と連通しない範囲で設けられていればよい。
合掌シール部20の短手方向における易剥離シール領域24の長さHは、4~20mmであることが好ましく、5~18mmであることがより好ましく、5~15mmであることがさらに好ましい。
【0035】
合掌シール部20の長手方向の長さLは、100~300mmであることが好ましく、100~280mmであることがより好ましく、100~250mmであることがさらに好ましい。また、合掌シール部20の短手方向の長さLは、7~40mmであることが好ましく、9~36mmであることがより好ましく、10~30mmであることがさらに好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0036】
<実施例1>
図1及び図2に示す構成の加熱処理用包装体(縦190mm×横150mm)を作製した。なお、用いた包装体フィルムの構成は、ONY(二次延伸ナイロン)/CPP(無延伸ポリプロピレン)である。なお、易剥離シール部は、PP系イージーオープンテープを挿入し、図2に示す形状となるようにヒートシールすることにより形成した。合掌シール部の各部位の寸法は、W=7mm、W=25mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmである。
【0037】
<実施例2>
合掌シール部を図5に示す形状となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0038】
<実施例3>
合掌シール部を図6に示す形状(図2の中央から左側の形状)となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0039】
<実施例4>
合掌シール部を図3に示す形状となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、W=25mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0040】
<実施例5>
合掌シール部を図4に示す形状となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、W=25mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0041】
<比較例1>
合掌シール部を図7に示す形状(中央に1つの非シール部を有する形状)となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、H=10mm、H=6.5mm、H=13.5mm、L=150mm、L=20mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0042】
<比較例2>
合掌シール部を図8に示す形状(完全シール領域が形成されていない形状)となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=15mm、H=10mm、H=20mm、L=150mm、L=20mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0043】
<比較例3>
合掌シール部を図9に示す形状(完全シール領域が形成されていない以外は図2と同様の形状)となるように形成し、合掌シール部の各部位の寸法を、W=7mm、W=25mm、H=10mm、H=20mm、L=150mm、L=20mm、D=5mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0044】
<評価>
得られた加熱処理用包装体の内部に、300gの水を投入し、電子レンジ600Wで7分加熱をした。加熱終了後に電子天秤で重さを量り「加熱直後重量」とした。
重量計測後、開口部(蒸気口)を下に向けた状態で加熱処理用包装体を30秒間把持した。
その後、再度電子天秤で重さを量り「把持後重量」とし、以下の式にて残存率を算出した。なお、残存率が高いほど、漏れにくい加熱処理用包装体であると判断した。
残存率[%]=(把持後重量[g])/(加熱直後重量[g])×100
これらの評価結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から、実施例の加熱処理用包装体では、加熱処理後に開口部(蒸気口)を下に向けて持ち上げたとしても、内容物が蒸気口から漏れ出すのが抑制されていることが解る。これに対して、比較例では、満足いく結果が得られなかった。
また、各実施例及び各比較例の加熱処理用包装体の開口幅Wを5mm及び10mmに変更した加熱処理用包装体を作成し、上記と同様の評価を行ったところ、7mmの場合とほぼ同様の傾向の結果が得られた。
【符号の説明】
【0047】
1 加熱処理用包装体
2 包装体フィルム
5 周縁シール部
10 チャックシール部
20 合掌シール部
21 完全シール領域
211 完全シール部
211a 中央完全シール部
22 非シール部
23 開口部
24 易剥離シール領域
241 易剥離シール部
X 端部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9