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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092212
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ステープラ
(51)【国際特許分類】
   B27F 7/19 20060101AFI20240701BHJP
   B25C 5/02 20060101ALN20240701BHJP
   B25C 5/15 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
B27F7/19
B25C5/02 Z
B25C5/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207979
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀田 太志
(72)【発明者】
【氏名】進藤 拓志
【テーマコード(参考)】
3C054
3C068
【Fターム(参考)】
3C054CB04
3C054CC06
3C054CD05
3C054CE12
3C068AA04
3C068BB01
3C068CC06
3C068EE15
(57)【要約】
【課題】用紙束を挟持した状態で、テーブルリンクの剛性を変えることが可能なステープラを提供する。
【解決手段】ステープラ1は、用紙束Pにステープルを打ち込む打込部4と、用紙束Pを貫通したステープルの脚部を曲げるクリンチ部5と、打込部4と対向してクリンチ部5を支持し、クリンチ部5を打込部4と離接する第1の方向に移動させるテーブルリンク3と、打込部4、クリンチ部5及びテーブルリンク3を駆動するモータ60と、テーブルリンク3に設けられる当接部34と、当接部34と当接し、第1の方向と交差する第2の方向に移動して、テーブルリンク3の第1の方向への移動を規制する規制部30aとを備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束にステープルを打ち込む打込部と、
用紙束に打ち込まれて貫通したステープルの脚部を曲げるクリンチ部と、
前記打込部と対向する位置で前記クリンチ部を支持し、前記クリンチ部を前記打込部と離接する第1の方向に移動させるテーブルリンクと、
前記打込部を駆動するモータと、
前記テーブルリンクに当接しつつ、前記第1の方向と交差する第2の方向に移動して、前記クリンチ部が前記打込部から離間する方向への移動を規制する規制部と
を備え、
前記規制部が前記テーブルリンクと当接する位置は、前記クリンチ部と前記打込部とが離間するほど前記クリンチ部へ近づく方向へ変化する
ステープラ。
【請求項2】
前記規制部が前記テーブルリンクと当接する位置は、前記クリンチ部と前記打込部とが近づくほど前記クリンチ部から離れる方向へ変化する
請求項1に記載のステープラ。
【請求項3】
前記テーブルリンクは、一端側に前記クリンチ部が取り付けられ、他端側が軸で回転可能に支持され、前記クリンチ部と前記軸との間に、前記規制部が当接する当接部を有する
請求項2に記載のステープラ。
【請求項4】
前記規制部を有したロックプレートと、
前記ロックプレートを前記第2の方向に沿って移動可能に支持するフレーム当接部と
を備え、
前記ロックプレートは、前記フレーム当接部に誘導されるガイド部を有する
請求項3に記載のステープラ。
【請求項5】
前記ロックプレートは、前記第2の方向に沿って複数の前記ガイド部を有し、
前記規制部は、前記複数のガイド部の間に設けられる
請求項4に記載のステープラ。
【請求項6】
前記モータは、前記ロックプレートを移動させる
請求項4に記載のステープラ。
【請求項7】
前記当接部は、前記クリンチ部から離れる方向に向かう溝カムによって形成される
請求項3に記載のステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面の開示は、ステープルで用紙束を綴じるステープラに関する。
【背景技術】
【0002】
ステープルで用紙束を綴じるステープラにおいては、綴り用テーブルとステープルを打出すユニットとの間にセットされた用紙束を挟みつけ、この状態を固定した後にステープルを打ち出して用紙束を貫通させ、さらに貫通したステープルの脚部をクリンチャによって折り曲げてクリンチすることが必要である。
【0003】
従来のステープラでは、用紙束を挟みつけた状態を固定するため、固定プレートの凸部を案内溝に沿ってスライド移動させ、用紙束の厚みに応じた位置まで移動した固定プレートの斜面が綴り用テーブルを移動させるテーブルリンクの固定ピンと楔状に係合する。このようにして、テーブルリンクがロック状態となり綴り用テーブルが開動することができなくなる構成である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-059338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のステープラは、綴り用テーブルとステープルを打出すユニットとの間にセットされた用紙束を挟みつけた後に、規定の位置まで凸部が移動し案内溝と係合することで、この状態が固定される。このとき、テーブルリンクの固定ピンが固定プレートと当接する位置とクリンチャ部との距離は、挟みつける用紙束の厚みによらず一定である。
【0006】
クリンチャ部からテーブルリンクの固定ピンが固定プレートと当接する位置までの距離が一定であると、用紙束を挟みつけた状態でのテーブルリンクの剛性は略一定となる。テーブルリンクは、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合や用紙が厚い場合などの、ステープルを用紙束に打ち込むときに必要な打出し荷重が最も必要となる場合においても、ステープルの打出し荷重に耐える剛性を保つように固定ピンの位置が設定されている。つまりテーブルリンクは想定される最大の打出し荷重に耐えられる強度設定となっている。もしもテーブルリンクがステープルの打出し荷重に耐えらない剛性であった場合には、ステープルが用紙束を貫通している最中にテーブルリンクが打出し部から離れる方向に変形してしまい、ステープルの針クラウンが用紙束から浮いた状態で打出し動作を完了してしまう可能性があるため、このような事象を生じさせない部品強度に設定されている。
【0007】
打出し部によるステープルの打出しにより用紙束へのステープルの貫通が完了した後、用紙束を貫通したステープルの脚部をクリンチャ部の動作によって用紙束に向けて折り曲げる。脚部を曲げるクリンチャ部の動作ストロークの余剰分は、テーブルリンクが変形することで吸収する。つまり、クリンチ動作ではテーブルリンクを変形させている。テーブルリンクの剛性が高いほどテーブルリンクを変形させるために必要なモータの負荷は大きくなるため、モータに流れる電流値は上昇する。
【0008】
そこで、用紙束の厚さに応じて、テーブルリンクの剛性を変えることが可能なステープラを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面は、用紙束にステープルを打ち込む打込部と、用紙束に打ち込まれて貫通したステープルの脚部を曲げるクリンチ部と、打込部と対向する位置でクリンチ部を支持し、クリンチ部を打込部と離接する第1の方向に移動させるテーブルリンクと、打込部を駆動するモータと、テーブルリンクに当接しつつ、第1の方向と交差する第2の方向に移動して、クリンチ部が打込部から離間する方向への移動を規制する規制部とを備え、規制部がテーブルリンクと当接する位置は、クリンチ部と打込部とが離間するほどクリンチ部へ近づく方向へ変化するステープラが開示される。
【0010】
ステープラは、規制部がクリンチ部から離接する方向に移動することで、規制部がテーブルリンクと当接する位置からクリンチ部までの距離が変化する。テーブルリンクは、規制部がテーブルリンクと当接する位置からクリンチ部までの距離が短いと、同距離が長い場合と比較して剛性が高くなり、同距離が長くなるに従い剛性が低くなる。つまり、規制部がテーブルリンクと当接する位置が変化することで、テーブルリンクの剛性が変化する。これにより、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い、用紙が厚いなどにより用紙束が厚いときには剛性を高く保ち、用紙の枚数が少ない、用紙が薄いなどにより用紙束が薄いときには剛性を低くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
ステープラは、ステープルで綴じる用紙の枚数や厚さに応じて、テーブルリンクの剛性を変えることができる。これにより、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合には、テーブルリンクの剛性を高めることで、打込部がステープルを用紙束に打ち込むタイミングで、ステープルの針クラウンが用紙束から浮かないようにすることができる。また、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合には、テーブルリンクの剛性を低くすることで、脚部を曲げるクリンチ部が動作するタイミングで、テーブルリンクの撓みを許容して、モータに流れる電流値の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本実施の形態のステープラの一例を示す側面図である。
図1B】本実施の形態のステープラの一例を示す側面図である。
図1C】本実施の形態のステープラの一例を示す側面図である。
図2】本実施の形態のステープラの一例を示す斜視図である。
図3A】駆動部の一例を示すステープラの斜視図である。
図3B】駆動部の一例を示す要部斜視図である。
図3C】駆動部の一例を示す要部斜視図である。
図3D】駆動部の一例を示す要部正面図である。
図4A】ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
図4B】ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
図4C】ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
図5A】ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
図5B】ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
図5C】ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のステープラの実施の形態について説明する。
【0014】
<本実施の形態のステープラの構成例>
図1A図1B図1Cは、本実施の形態のステープラの一例を示す側面図で、図1A図1Bは、ステープラ1の内部構成を示し、図1Aは、後述するロックプレート30を透過して内部構造を示している。また、図2は、本実施の形態のステープラの一例を示す斜視図である。
【0015】
ステープラ1は、本体部2と、本体部2に対して移動可能に支持されるテーブルリンク3を備える。また、ステープラ1は、テーブルリンク3を移動させるロックプレート30と、ロックプレート30を移動させるクランプロックリンク31を備える。
【0016】
ステープラ1は、図示しないステープルが収容されるカートリッジ10が、本体部2に着脱可能に取り付けられる。
【0017】
本体部2は、カートリッジ10に収容された図示しないステープルを用紙束Pに打ち込む打込部4を備える。また、本体部2は、用紙束Pを挟持する第1のテーブル20を備える。第1のテーブル20は、本体部2の筐体21において、テーブルリンク3の一方の端部と対向する部位で構成される。また、第1のテーブル20は、本体部2に取り付けられると筐体21の一部と、筐体21に露出するカートリッジ10の一部で構成され、打込部4から打ち込まれる図示しないステープルが通過する通過口20aが露出する。打込部4は、ステープルを打ち出す図示しないドライバ、ドライバを駆動する機構、カートリッジ10において、ドライバで打ち出されるステープルが通過する通路などを含む。
【0018】
テーブルリンク3には、用紙束Pを貫通した図示しないステープルの脚部を曲げるクリンチ部5が取り付けられる。また、テーブルリンク3には、用紙束Pを挟持する第2のテーブル32が取り付けられる。
【0019】
テーブルリンク3は、打込部4及び第1のテーブル20と対向した位置に、一端側にクリンチ部5と第2のテーブル32が取り付けられる。クリンチ部5は通過口20aと対向する位置に取り付けられる。また、テーブルリンク3は、他端側が軸33で本体部2に回転可能に支持される。
【0020】
テーブルリンク3は、軸33を支点として回転することにより、クリンチ部5及び第2のテーブル32を、本体部2の打込部4及び第1のテーブル20に対して離接する第1の方向に沿って移動させる。テーブルリンク3は、クリンチ部5及び第2のテーブル32が打込部4及び第1のテーブル20に対して近づく方向に、コイルバネ等の付勢部材3aにより付勢される。
【0021】
クリンチ部5及び第2のテーブル32は、テーブルリンク3が軸33を支点に一の方向に回転すると、本体部2の打込部4及び第1のテーブル20に対して近づく矢印A1方向に移動する。矢印A1方向は、クリンチ部5及び第2のテーブル32が打込部4及び第1のテーブル20に対して離接する第1の方向のうちの一方の方向である。また、クリンチ部5及び第2のテーブル32は、テーブルリンク3が軸33を支点に一の方向と反対向きの他の方向に回転すると、矢印A1と反対向きで、本体部2の打込部4及び第1のテーブル20に対して離れる矢印A2方向に移動する。矢印A2方向は、クリンチ部5及び第2のテーブル32が打込部4及び第1のテーブル20に対して離接する第1の方向のうちの他方の方向である。
【0022】
ロックプレート30は、テーブルリンク3と当接する規制部30aを備える。規制部30aは、第1の方向と交差する第2の方向に沿って移動して、クリンチ部5に対して離接する。そこで、ロックプレート30は、矢印B1、B2で示す第2の方向に沿って移動可能に、本体部2に支持される。
【0023】
本体部2は、ロックプレート30を移動可能に支持するフレーム当接部22aを備える。フレーム当接部22aは、本体部2の外装を構成するフレーム22に、第2の方向に沿って延伸する長穴状の開口を設けて構成される。
【0024】
ロックプレート30は、フレーム当接部22aに誘導されるスライドガイド30bを備える。スライドガイド30bはガイド部の一例で、第2の方向に沿った長円状の凸部で構成され、ロックプレート30から側方へ突出する。また、スライドガイド30bは、第2の方向に沿った複数個所、本実施形態では2か所に設けられる。
【0025】
ロックプレート30は、スライドガイド30bがフレーム当接部22aに嵌合することで、スライドガイド30bがフレーム当接部22aに誘導され、規制部30aがクリンチ部5に対して離れる矢印B1方向、及び、矢印B1方向と反対向きで、規制部30aがクリンチ部5に対して近づく矢印B2方向に移動可能に、本体部2に支持される。矢印B1方向は、クリンチ部5及び第2のテーブル32が打込部4及び第1のテーブル20に対して離接する第1の方向と交差する第2の方向のうちの一方の方向である。また、矢印B2方向は、第1の方向と交差する第2の方向のうちの他方の方向である。
【0026】
ロックプレート30は、スライドガイド30bが第2の方向に沿った2か所に設けられることで、ロックプレート30の移動方向に沿った前後の2か所でフレーム当接部22aにスライドガイド30bが支持される。これにより、ロックプレート30は、一方のスライドガイド30bなどを支点として回転することが抑制される。
【0027】
また、ロックプレート30は、2か所のスライドガイド30bの間の中央付近に規制部30aが設けられる。これにより、規制部30aに力が掛かった場合に、2か所のスライドガイド30bに略均等に力が掛かり、ロックプレート30が一方のスライドガイド30bなどを支点として回転することが抑制される。さらに、一方のスライドガイド30bのみ摩耗することを抑制することができる。
【0028】
テーブルリンク3は、規制部30aが当接する当接部34を備える。当接部34は、テーブルリンク3の表裏を貫通すると共に、テーブルリンク3の一端側から他端側に向けて、クリンチ部5から離れる方向に向かい、規制部30aが入る形状の長穴が略V字型につながる溝カムで形成される。本実施の形態では、当接部34はテーブルリンク3の内部に長穴として構成しているが、テーブルリンク3の外形形状を当接部34として構成しても良い。
【0029】
当接部34は、軸33を支点としてテーブルリンク3が回転することで、本体部2に対するテーブルリンク3の回転角度に応じて、ロックプレート30の移動方向に対して傾斜し、規制部30aの移動経路と斜めに交差する。
【0030】
テーブルリンク3は、規制部30aが図1Aに示す待機位置に位置していると、クリンチ部5及び第2のテーブル32が、打込部4及び第1のテーブル20から離れた待機位置に位置する。規制部30aが待機位置に位置した状態では、規制部30aは当接部34の矢印A2方向の面と当接し、付勢部材3aによる付勢力では、クリンチ部5及び第2のテーブル32が、打込部4及び第1のテーブル20に対して近づく方向にテーブルリンク3が回転せず、待機位置で保持される。
【0031】
規制部30aは、ロックプレート30が矢印B1方向に移動すると、待機位置から移動してテーブルリンク3の当接部34を押すこと及び付勢部材3aによる付勢力との協動によって軸33を支点にテーブルリンク3を回転させ、クリンチ部5及び第2のテーブル32を、打込部4及び第1のテーブル20に対して近づく矢印A1方向に移動させる。また、規制部30aは、ロックプレート30が矢印B2方向に移動すると、クリンチ部5及び第2のテーブル32を、打込部4及び第1のテーブル20に対して離接する第1の方向と交差する第2の方向に沿ってクリンチ部5から離れる矢印A2方向に移動させる。
【0032】
これにより、規制部30aは、第2の方向に沿って移動することで、クリンチ部5が打込部4に対して離接する第1の方向に沿ってテーブルリンク3を回転させる。また、規制部30aは、第2の方向に沿って移動することで、テーブルリンク3の当接部34と当接する位置が、クリンチ部5と打込部4との間の距離に応じて変化する。さらに、規制部30aは、第2の方向に沿って移動することで、テーブルリンク3の当接部34と当接する位置が、クリンチ部5と打込部4との間の距離に応じて変化した状態で、テーブルリンク3の第1の方向への移動を規制して、クリンチ部5が打込部4から離間する矢印A2方向への移動を規制する。
【0033】
クランプロックリンク31は、部品の中心位置から離れた位置にある軸31aを支点として回転可能に本体部2に支持される。クランプロックリンク31は、部品の中心位置から軸31aに支持される側と反対側に離れた位置に係合部31bを備える。係合部31bは、クランプロックリンク31の外周から、軸31aに支持される側と反対方向に突出する。クランプロックリンク31は、軸31aを支点とした回転動作で、係合部31bが矢印B1方向及び矢印B2方向に往復移動する。クランプロックリンク31は、係合部31bが矢印B1方向へ移動する方向に、コイルスプリング等の付勢部材31dにより付勢される。
【0034】
ロックプレート30は、クランプロックリンク31の係合部31bと係合する被係合部30cを備える。被係合部30cは、係合部31bが係合する形状の凹部で構成される。
【0035】
図3Aは、駆動部の一例を示すステープラの斜視図、図3B図3Cは、駆動部の一例を示す要部斜視図、図3Dは、駆動部の一例を示す要部正面図である。
【0036】
ステープラ1は、テーブルリンク3、打込部4及びクリンチ部5などを駆動する駆動部6を備える。駆動部6は、モータ60と、モータ60に駆動されて回転する駆動軸61を備える。駆動軸61は、テーブルリンク3を駆動するクランプカム62と、打込部4の図示しないドライバを、ステープルを打ち出す方向に駆動すると共に、クリンチ部5を駆動するドライバクリンチカム63と、打込部4の図示しないドライバを、ステープルを打ち出す方向と反対方向に駆動するドライバリターンカム64と、駆動軸61を回転させる駆動力が伝達される駆動ギア65を備える。
【0037】
クランプカム62は板金で構成される。クランプカム62は、クランプロックリンク31の係合凸部31cと係合し、駆動軸61の回転で係合凸部31cを押し、クランプロックリンク31を回転させることで、ロックプレート30を移動させ、ロックプレート30を介してテーブルリンク3を駆動する。
【0038】
ドライバクリンチカム63は樹脂で構成される。ドライバクリンチカム63は、打込部4の図示しないドライバと連結されるドライバリンク40と係合するカムと、クリンチ部5と連結されるクリンチリンク50と係合するカムが一体で構成される。また、ドライバクリンチカム63は、クランプカム62の支持部63aと、軸受け部63bが一体に構成される。ドライバクリンチカム63は、駆動軸61に圧入される。また、クランプカム62は、ドライバクリンチカム63の支持部63aに圧入される。これにより、クランプカム62及びドライバクリンチカム63がガタつくことが抑制される。
【0039】
駆動軸61は、延伸方向の中央付近に駆動ギア65が設けられ、駆動ギア65を挟んで一方の側に、駆動ギア65から順にドライバリターンカム64、ドライバクリンチカム63及びクランプカム62が設けられる。また、駆動軸61は、駆動ギア65を挟んで他方の側に、駆動ギア65から順にドライバクリンチカム63及びクランプカム62が設けられる。
【0040】
駆動軸61は、延伸方向の一方の端部側が、一方のドライバクリンチカム63の軸受け部63bを介して一方のフレーム22に支持される。また、駆動軸61は、延伸方向の他方の端部側が、他方のドライバクリンチカム63の軸受け部63bを介して他方のフレーム22に支持される。これにより、駆動軸61は、駆動ギア65を挟んだ両側がフレーム22に支持される。
【0041】
また、駆動部6は、モータ60のギア60aと噛み合う第1の中間ギア66と、第1の中間ギア66及び駆動ギア65と噛み合う第2の中間ギア67を備える。
【0042】
第1の中間ギア66は、図示しない軸の延伸方向の両側が、筐体21に支持される。また、第2の中間ギア67は、軸67aの軸の延伸方向の両側が、フレーム22に支持される。
【0043】
これにより、駆動ギア65、第1の中間ギア66及び第2の中間ギア67のそれぞれが、軸の両側が支持される構成で、軸に偏った力が掛かることによる軸の撓みを抑制することができる。また、駆動ギア65、第1の中間ギア66及び第2の中間ギア67のそれぞれを、左右のフレーム22の内側に設けることができ、各ギアがフレーム22の外側に設けられる構成と比較して、ステープラ1の小型化が可能である。
【0044】
<本実施の形態のステープラの動作例>
図4A図4B図4Cは、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図で、図4A図4Bは、ステープラ1の内部構成を示し、図4Aは、ロックプレート30を透過して内部構造を示している。また、図5A図5B図5Cは、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合における本実施の形態のステープラの動作の一例を示す側面図で、図5A図5Bは、ステープラ1の内部構成を示し、図5Aは、ロックプレート30を透過して内部構造を示している。
【0045】
次に、各図を参照して、本実施の形態のステープラの動作の一例について説明する。ステープラ1は、モータ60が回転することで、クランプカム62が回転すると、クランプロックリンク31が付勢部材31dとの協動で軸31aを支点に矢印C1方向に回転する。クランプロックリンク31が矢印C1方向に回転すると、クランプロックリンク31の係合部31bと被係合部30cが係合したロックプレート30が矢印B1方向に移動する。
【0046】
ロックプレート30が矢印B1方向に移動すると、ロックプレート30と一体に移動する規制部30aが、テーブルリンク3の当接部34を押す。テーブルリンク3は、当接部34が規制部30aの移動経路と斜めに交差することで、矢印B1方向に移動する規制部30aに当接部34の傾斜した部位が押される。
【0047】
テーブルリンク3は、当接部34が規制部30aにより矢印B1方向に押されると、軸33を支点に、クリンチ部5及び第2のテーブル32が打込部4及び第1のテーブル20に近づく矢印A1方向に付勢部材3aとの協動で回転する。
【0048】
テーブルリンク3が矢印A1方向に回転すると、第1のテーブル20と第2のテーブル32の間に用紙束Pが挟持される。
【0049】
また、ロックプレート30が矢印B1方向に移動して、矢印A1方向にテーブルリンク3が回転する動作で、規制部30aと当接部34が当接する位置が、クリンチ部5から離れる方向に移動する。つまり、規制部30aと当接部34が当接する位置からクリンチ部5までの距離が、クリンチ部5と打込部4との間の距離に応じて変化する。
【0050】
ステープラ1は、図示しないステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合、第1のテーブル20と第2のテーブル32の間に挟持される用紙束Pの厚さが、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合と比較して薄くなる。
【0051】
これにより、ステープラ1は、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合と比較して、クリンチ部5と打込部4との間の距離が短くなる。
【0052】
ステープラ1は、図4A図4B図4Cに示すように、クリンチ部5と打込部4との間の距離が短くなると、規制部30aが当接部34と当接する位置からクリンチ部5までの距離L1が、図5A図5B図5Cに示すように、クリンチ部5と打込部4との間の距離が長い場合の同距離L2に比較して長くなる。
【0053】
ステープラ1は、第1のテーブル20と第2のテーブル32の間に用紙束Pが挟持された後、さらにモータ60が回転することにより、打込部4の動作で図示しないステープルが用紙束Pに打ち込まれる。
【0054】
ステープラ1は、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合には、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合と比較して、ステープルの脚部が用紙束Pを貫通する際に、脚部と用紙束とが接触する面が大きくなる。
【0055】
これにより、ステープラ1は、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合に、用紙束Pにステープルを打ち込む動作で、ステープルの脚部を用紙束Pに貫通させるために必要な力が大きくなる。
【0056】
テーブルリンク3は、クリンチ部5と軸33との間で、当接部34に規制部30aが当接する。これにより、テーブルリンク3は、規制部30aが当接部34と当接する位置からクリンチ部5までの距離が短いと、同距離が長い場合と比較して剛性が高くなる。
【0057】
図5A図5B図5Cに示すように、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合、規制部30aが当接部34と当接する位置からクリンチ部5までの距離L2が、図00Aに示すステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合に比較して短くなる。
【0058】
したがって、ステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合に、ステープルを打込部4で用紙束Pに打ち込む動作でテーブルリンク3が撓むことを抑制でき、ステープルの針クラウンが用紙束から浮かないように、ステープルを打ち込むことができる。
【0059】
また、ステープラ1は、ステープルが用紙束に打ち込まれた後、さらにモータ60が回転することにより、クリンチ部5の動作で図示しないステープルの脚部が曲げられる。
【0060】
ステープラ1は、用紙束Pを貫通したステープルの脚部をクリンチ部で曲げる動作では、クリンチ部5が脚部を押す力の反力で、矢印A2方向へテーブルリンク3を回転させようとする力が掛かる。
【0061】
ステープラ1は、用紙束Pを挟持するテーブルリンク3の動作と、ステープルの脚部を曲げるクリンチ部5の動作が連動しており、第1のテーブル20と第2のテーブル32の間に用紙束Pを挟持した状態で、モータ60の回転が継続する。
【0062】
規制部30aと当接部34とが当接し矢印A2方向へのテーブルリンク3の回転が規制された状態で、ステープルの脚部を曲げるクリンチ部5の動作が行われることによって、矢印A2方向へテーブルリンク3を回転させようとする力が掛かる。クリンチ部5の動作ストロークの余剰分は、テーブルリンク3が変形することで吸収する。
【0063】
ステープラ1は、テーブルリンク3の剛性が高いほどテーブルリンク3を変形させるために必要な荷重が増加する。このとき、駆動部6を介してモータ60に掛かる荷重が増加し、モータ60に流れる電流値が上昇する。
【0064】
図4A図4B図4Cに示すように、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合、規制部30aが当接部34と当接する位置からクリンチ部5までの距離L1が、図5A図5B図5Cに示すステープルで綴じる用紙の枚数が多い場合、また、用紙が厚い場合の同距離L2に比較して長くなる。
【0065】
テーブルリンク3は、規制部30aが当接部34と当接する位置からクリンチ部5までの距離が長いと、同距離が短い場合と比較して剛性が低下する。テーブルリンク3の剛性が低下すると、矢印A2方向へテーブルリンク3を回転させようとする力が掛かった場合に、テーブルリンク3が撓むことができる。
【0066】
したがって、ステープルで綴じる用紙の枚数が少ない場合、また、用紙が薄い場合は、ステープルの脚部をクリンチ部5が曲げる動作時に、矢印A2方向へテーブルリンク3を回転させようとする力が掛かった場合、テーブルリンク3を撓ませることができ、モータ60に流れる電流値の増加を抑えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・ステープラ、2・・・本体部、20・・・第1のテーブル、21・・・筐体、22・・・フレーム、22a・・・フレーム当接部、3・・・テーブルリンク、3a・・・付勢部材、30・・・ロックプレート、30a・・・規制部、30b・・・スライドガイド(ガイド部)、30c・・・被係合部、31・・・クランプロックリンク、31a・・・軸、31b・・・係合部、31c・・・係合凸部、31d・・・付勢部材、32・・・第2のテーブル、33・・・軸、34・・・当接部、4・・・打込部、40・・・ドライバリンク、5・・・クリンチ部、50・・・クリンチリンク、6・・・駆動部、60・・・モータ、61・・・駆動軸、62・・・クランプカム、63・・・ドライバクリンチカム、63a・・・支持部、63b・・・軸受け部、64・・・ドライバリターンカム、65・・・駆動ギア、66・・・第1の中間ギア、67・・・第2の中間ギア、10・・・カートリッジ
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C