(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092225
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A63F7/02 326C
A63F7/02 308Z
A63F7/02 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207996
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】弁理士法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】上村 誠
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA39
2C088DA09
2C088EA41
(57)【要約】
【課題】遊技者の発射操作に伴う身体の負担を軽減することで長時間の遊技を容易に行うことが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】前側に遊技領域を配置した遊技盤と、遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射装置と、発射装置による発射強度を調整するための操作部93を備えた発射ハンドル57と、遊技盤が装着される内枠と、内枠の前側に開閉自在に配置される前扉とを備え、前扉の下部前側に、上面側に操作部を設けた前向き膨出状の下部膨出部と、前向き突出状の発射ハンドル57とを左右隣り合わせで配置した遊技機で、前扉の前側で且つ発射ハンドル57の下側近傍に、遊技者の身体の一部を支持可能な支持部を有するレスト手段58を配置し、レスト手段58に、発射ハンドル57の下側により多くの空間を確保するための凹状、開口状又は切欠状の空間形成部114を設ける。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に遊技領域を配置した遊技盤と、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射装置と、
前記発射装置による発射強度を調整するための操作部を備えた発射ハンドルと、
前記遊技盤が装着される内枠と、
前記内枠の前側に開閉自在に配置され且つ前記遊技領域の前側に対応する透明窓を有する前扉とを備え、
前記前扉の下部前側に、上面側に一又は複数の操作部を設けた前向き膨出状の下部膨出部と、前向き突出状の前記発射ハンドルとを左右隣り合わせで配置した
遊技機において、
前記前扉の前側で且つ前記発射ハンドルの下側近傍に、前記発射ハンドルを操作する遊技者の身体の一部を支持可能な支持部を有するレスト手段を配置し、
前記レスト手段に、前記発射ハンドルの下側により多くの空間を確保するための凹状、開口状又は切欠状の空間形成部を設けた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射装置を備えるとともに、その発射装置による発射強度を調整するための操作部を備えた発射ハンドルが、前扉の下部前側に突出状に配置されている。この遊技機で遊技を行う際には、遊技領域に向けて発射装置から適切な強度で遊技球が発射されるよう、遊技者は発射ハンドルを握った状態で、操作部をバネ力に抗して回転操作する必要がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の遊技機では、適切な強度で遊技球を発射し続けるためには、遊技者は発射ハンドルを握った状態で腕を安定させる必要があるが、その姿勢は腕や肩への負担が大きいため、長時間にわたって遊技を継続することが難しいという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技者の発射操作に伴う身体の負担を軽減することで長時間の遊技を容易に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前側に遊技領域を配置した遊技盤と、前記遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射装置と、前記発射装置による発射強度を調整するための操作部を備えた発射ハンドルと、前記遊技盤が装着される内枠と、前記内枠の前側に開閉自在に配置され且つ前記遊技領域の前側に対応する透明窓を有する前扉とを備え、前記前扉の下部前側に、上面側に一又は複数の操作部を設けた前向き膨出状の下部膨出部と、前向き突出状の前記発射ハンドルとを左右隣り合わせで配置した遊技機において、前記前扉の前側で且つ前記発射ハンドルの下側近傍に、前記発射ハンドルを操作する遊技者の身体の一部を支持可能な支持部を有するレスト手段を配置し、前記レスト手段に、前記発射ハンドルの下側により多くの空間を確保するための凹状、開口状又は切欠状の空間形成部を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遊技者の発射操作に伴う身体の負担を軽減することができ、長時間の遊技を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
【
図3】同パチンコ機の外枠及び内枠の分解斜視図である。
【
図4】同パチンコ機の下部前側部分の平面図である。
【
図6】同パチンコ機の演出ボタンユニットとその装着部の分解斜視図である。
【
図7】同パチンコ機の発射ハンドル及びハンドレスト周辺の斜視図である。
【
図8】同パチンコ機のハンドレスト周辺の分解斜視図である。
【
図9】同パチンコ機の発射ハンドル及びハンドレスト周辺の正面断面図である。
【
図10】同パチンコ機の発射ハンドル及びハンドレスト周辺の正面断面図である。
【
図11】同パチンコ機の発射ハンドル及びハンドレスト周辺の側面断面図である。
【
図12】同パチンコ機の遊技球循環装置の概略構成(揚上前)を示す説明図である。
【
図13】同パチンコ機の遊技球循環装置の概略構成(揚上後)を示す説明図である。
【
図15】同パチンコ機の内枠下部(球送り発射ユニットから前カバーを外した状態)の正面図である。
【
図16】同パチンコ機の内枠下部(球送り発射ユニットから前カバー及び球送り装置を外した状態)の正面図である。
【
図18】同パチンコ機の揚上装置の正面断面図である。
【
図20】同パチンコ機の揚上前第1通路部及びその周辺の背面側斜視図である。
【
図21】同パチンコ機の下部前側部分の側面断面図である。
【
図22】同パチンコ機の下部前側部分の平面断面図である。
【
図23】同パチンコ機の球送り動作を説明するための正面断面図である。
【
図24】同パチンコ機の球送り動作を説明するための側面断面図である。
【
図25】同パチンコ機の球送り発射動作に関する動作周期を示すタイムチャートである。
【
図26】同パチンコ機の発射ハンドルの回転角度と発射強度との関係を示す図である。
【
図27】同パチンコ機の可変抵抗値、発射ハンドルの回転角度、発射駆動手段に流れる電流値の各最小-最大範囲の対応関係を示す図である。
【
図28】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
【
図29】同パチンコ機の下部前側部分の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1~
図27は、本発明をいわゆるスマートパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。ここで、スマートパチンコ機とは、内部に封入した遊技球を循環させて遊技に使用するもので、遊技者が保有する遊技球の数は遊技球数データとして内部で管理される。
【0009】
図1及び
図2において、遊技機本体1は、外枠2と、この外枠2の前側に配置された前枠3とを備えている。前枠3は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第1ヒンジ4を介して外枠2に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、左右方向における第1ヒンジ4と反対側、例えば右端側に設けられた施錠手段5によって外枠2に対して閉状態で施錠可能となっている。
【0010】
前枠3は、内枠6と、その内枠6の前側に配置された前扉7とを備えている。前扉7は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第2ヒンジ8を介して内枠6に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、施錠手段5によって内枠6に対して閉状態で施錠可能となっている。なお、第1ヒンジ4と第2ヒンジ8とは例えば同一軸心となるように配置されている。
【0011】
外枠2は、
図3に示すように左右一対の縦枠材2a,2bと上下一対の横枠材2c,2dとで矩形状に形成されている。外枠2の前側下部には、前カバー部材9が、下横枠材2dの前縁に沿って左右の縦枠材2a,2bの前側下部を連結するように装着されている。前カバー部材9は、左右の縦枠材2a,2bよりも前側に突出しており、その上側に内枠6が配置されている。
【0012】
内枠6は、
図3等に示すように、前カバー部材9の上側で外枠2の前縁側に略当接可能な矩形状の枠部13と、この枠部13内の上部側に設けられた遊技盤装着部14と、枠部13内の下部側に設けられた下部装着部15とを例えば一体に備えている。遊技盤装着部14には、前側に遊技領域16が配置された遊技盤17(
図5)が例えば前側から着脱自在に装着され、下部装着部15には遊技球循環装置18が配置されている。この遊技球循環装置18は、遊技領域16を含む遊技球循環経路内で遊技球を循環させるためのもので、発射装置19、揚上装置20等を備えており、発射装置19により遊技領域16に向けて遊技球を発射するとともに、遊技領域16から排出されたアウト球を回収し、揚上装置20等を介して再び発射装置19に供給するように構成されている。この遊技球循環装置18の詳細については後述する。
【0013】
遊技盤17は、
図5に示すように、ベニヤ板、ポリカーボネート等よりなるベース板21を備え、そのベース板21の前側に、発射装置19から発射された遊技球を案内するガイドレール22が環状に配置されると共に、そのガイドレール22の内側の遊技領域16に、中央表示枠ユニット23、始動入賞ユニット24、普通入賞ユニット25等のユニット部品の他、多数の遊技釘(図示省略)が配置されている。遊技領域16の左側には、ガイドレール22を構成する外レール22aと内レール22bとの間に発射案内通路26が形成され、またその発射案内通路26から遊技領域16への流入部には、遊技領域16側から発射案内通路26側への遊技球の戻りを防止する戻り防止片27が設けられている。
【0014】
また、遊技盤17の複数のユニット部品23~25上には、普通図柄始動手段31、第1特別図柄始動手段32、第2特別図柄始動手段33、大入賞手段34、複数の普通入賞手段35等の他、普通図柄表示手段36、普通保留個数表示手段37、第1特別図柄表示手段38、第2特別図柄表示手段39等の各種表示手段が配置されている。
【0015】
中央表示枠ユニット23は、ベース板21の後側に配置された液晶表示手段(画像表示手段)40の表示枠を構成するもので、遊技領域16の略中央に配置されている。発射装置19により発射され、発射案内通路26を経て遊技領域16の上部側に進入した遊技球は、この中央表示枠ユニット23の左側の左流下経路41aと右側の右流下経路41bとの何れかを流下する。なお、遊技領域16の外周上には、その右上部、即ち右流下経路41bの入口付近に返しゴム28が配置されており、遊技領域16内に高速で流入し、そのままガイドレール22に沿って遊技領域16の最上部を通過した遊技球は、返しゴム28に衝突して失速した後に右流下経路41b側に流下するようになっている。また中央表示枠ユニット23には、左流下経路41a側に、遊技球が流入可能なワープ入口42が設けられている。左流下経路41aを流下中にワープ入口42に流入した遊技球は、中央表示枠ユニット23の下部側に設けられたステージ43上で左右方向に自由に転動した後、遊技領域16の左右方向中央に対応して設けられた中央落下部44とそれ以外の部分との何れかから前側に落下する。
【0016】
普通図柄始動手段31は、普通図柄表示手段36による普通図柄の変動表示を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、遊技球の通過を検出する通過検出手段(図示省略)を備えている。この普通図柄始動手段31は、例えば中央表示枠ユニット23の右側に配置されており、右流下経路41bを流下する遊技球が通過可能となっている。
【0017】
普通図柄表示手段36は、普通図柄を変動表示するためのもので、複数(2個)のLED等により構成されており、普通図柄始動手段31が遊技球を検出することに基づいて、普通図柄を構成するそれら複数のLEDが普通変動中発光パターンで発光した後、普通図柄始動手段31による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致する場合には当り態様で、それ以外の場合にははずれ態様で変動を停止する。
【0018】
また、普通図柄表示手段36の図柄変動中と普通利益状態中とを含む普通保留期間中に普通図柄始動手段31が遊技球を検出した場合には、それによって取得された普通乱数情報が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通保留期間が終了する毎に1個ずつ消化されて普通図柄の変動が行われる。普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)は、普通保留個数表示手段37等によって遊技者に報知される。
【0019】
第1特別図柄始動手段32は、第1特別図柄表示手段38による図柄変動を開始させるためのもので、開閉手段を有しない非開閉式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えている。この第1特別図柄始動手段32は、例えば始動入賞ユニット24に設けられ、ステージ43の中央落下部44に対応してその下側に上向き開口状に配置されており、左流下経路41a側のワープ入口42からステージ43を経て入賞するルートが存在すること等により、右流下経路41bを流下してきた遊技球よりも左流下経路41aを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。第1特別図柄始動手段32に入賞した遊技球は、遊技球検出手段により検出された後、遊技盤17の後側に案内される。なお、第1特別図柄始動手段32に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数の遊技球が賞球として遊技者に付与される(本実施形態のスマートパチンコ機では、実際に遊技球が払い出されるわけではなく、遊技球数データに賞球数分が加算される。以下同じ)。
【0020】
第2特別図柄始動手段33は、第2特別図柄表示手段39による図柄変動を開始させるためのもので、開閉部33aの作動によって遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに変化可能な開閉式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えており、普通図柄表示手段36の変動後の停止図柄が当り態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉部33aが所定時間閉状態から開状態に変化するようになっている。この第2特別図柄始動手段33は、例えば中央表示枠ユニット23の右部で且つ普通図柄始動手段31の下流側に配置されており、右流下経路41bを流下してきた遊技球が入賞可能となっている。第2特別図柄始動手段33に入賞した遊技球は、遊技球検出手段により検出された後、遊技盤17の後側に案内される。なお、第2特別図柄始動手段33に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数の遊技球が賞球として遊技者に付与される。
【0021】
第1特別図柄表示手段38は、第1特別図柄を変動表示するためのもので、7セグLED等により構成されており、第1特別図柄始動手段32に遊技球が入賞することに基づいて、第1特別図柄を構成する7セグLED等による変動を開始した後、第1特別図柄始動手段32による遊技球検出時に取得された第1特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には第1大当り態様で、それ以外の場合には第1はずれ態様で変動を停止するようになっている。第1特別図柄表示手段38の変動後の停止図柄が第1大当り態様となった場合には特別利益状態が発生する。
【0022】
第2特別図柄表示手段39は、第2特別図柄を変動表示するためのもので、7セグLED等により構成されており、第2特別図柄始動手段33に遊技球が入賞することに基づいて、第2特別図柄を構成する7セグLED等による変動を開始した後、第2特別図柄始動手段33による遊技球検出時に取得された第2特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には第2大当り態様で、それ以外の場合には第2はずれ態様で変動を停止するようになっている。第2特別図柄表示手段39の変動後の停止図柄が第2大当り態様となった場合には特別利益状態が発生する。
【0023】
また、第1特別図柄表示手段38の図柄変動中、第2特別図柄表示手段39の図柄変動中及び特別利益状態中を含む特別保留期間中に第1,第2特別図柄始動手段32,33が遊技球を検出した場合には、それによって取得された第1,第2特別乱数情報が夫々予め定められた上限保留個数、例えば各4個を限度として保留記憶される。そして、特別保留期間が終了した時点で第2特別図柄側の保留記憶が1以上の場合にはその第2特別図柄の保留記憶を1個消化して第2特別図柄の変動を行い、第1特別図柄側の保留記憶のみが1以上の場合にはその第1特別図柄の保留記憶を1個消化して第1特別図柄の変動を行う。このように本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とが共に変動中になることはなく、また第1特別図柄側と第2特別図柄側との両方に保留記憶がある場合には、第2特別図柄の変動を優先的に行うようになっている。なお、第1,第2特別乱数情報の記憶個数(第1,第2特別保留個数)は、液晶表示手段40等によって遊技者に報知される。
【0024】
大入賞手段34は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板34aを備えた開閉式入賞手段で、第2特別図柄始動手段33の下流側で且つ第1特別図柄始動手段32の上流側に配置されており、左流下経路41aを流下してきた遊技球よりも右流下経路41bを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。この大入賞手段34は、第1,第2特別図柄表示手段38,39の第1,第2特別図柄が変動後に第1,第2大当り態様で停止した場合に発生する特別利益状態において、開閉板34aが一又は複数種類の開放パターンの何れかに従って前側に開放して、その上に落下してきた遊技球を内部へと入賞させるようになっている。大入賞手段34に入賞した遊技球は、遊技球検出手段(図示省略)により検出された後、遊技盤17の後側に案内される。なお、大入賞手段34に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数の遊技球が賞球として遊技者に付与される。
【0025】
普通入賞手段35は、開閉手段を有しない非開閉式入賞手段により構成され、普通入賞ユニット25上等、遊技領域16内の複数箇所に配置されており、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えている。普通入賞手段35に入賞した遊技球は、遊技球検出手段(図示省略)により検出された後、遊技盤17の後側に案内される。なお、普通入賞手段35に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数の遊技球が賞球として遊技者に付与される。
【0026】
発射装置19により発射され、遊技領域16に進入した遊技球は、上述した第1,第2特別図柄始動手段32,33、大入賞手段34等の各種入賞手段の何れかに入賞するか、遊技領域16内に一又は複数配置されるアウト口45に入球することにより、遊技領域16の外側、即ち遊技盤17の後側に案内される。
【0027】
また液晶表示手段40には、第1,第2特別図柄表示手段38,39による第1,第2特別図柄の変動表示と並行して演出図柄46を変動表示可能である他、第1,第2特別保留個数を示す第1,第2保留画像X1~X4,Y1~Y4等の各種画像を表示可能となっている。
【0028】
前扉7は、
図1,
図2に示すように、内枠6の前面側に対応する矩形状に形成された樹脂製の扉ベース51を備えている。この扉ベース51には、遊技領域16に対応してガラス窓(透明窓)52の窓孔52aが形成されると共に、例えば窓孔52aの周囲に、複数(ここでは4つ)のスピーカ53、LED基板54等の演出手段が配置され、それらスピーカ53、LED基板54等を前側から略覆う上装飾カバー55が装着されている。上装飾カバー55は、後側のLED基板54に対応して、少なくとも一部が透光性を有する発光レンズ部を構成している。
【0029】
また、扉ベース51の下部、即ち内枠6側の下部装着部15の前側に対応する部分の前側には、下部膨出部56と発射ハンドル57とが左右隣り合わせで配置されており、更に発射ハンドル57の下側にはハンドレスト(レスト手段)58が配置されている。
【0030】
下部膨出部56は、
図4に示すように、前扉7の左右両端側から中央にかけて前側への張り出しが徐々に大きくなるように形成されており、その上面側には操作パネル部59が設けられている。操作パネル部59には、演出ボタン61、音量調整操作部62、光量調整操作部63、十字操作部64の他、遊技球数表示部65、計数ボタン66等が設けられている。
【0031】
演出ボタン61は、遊技中に行われるいわゆるボタン演出等において用いられるもので、そのボタン演出の際に一定期間有効となり、その有効期間中に遊技者が押下操作した場合に、所定の操作時演出が実行されるように構成されている。音量調整操作部62は、スピーカ53からの出力音量を調整するためのもので、プラスボタンとマイナスボタンとで構成されている。光量調整操作部63は、LED基板54等に配置される各種LEDの光量を調整するためのもので、音量調整操作部62と同じくプラスボタンとマイナスボタンとで構成されている。十字操作部64は、液晶表示手段40にメニュー画面が表示された場合のメニュー項目の選択操作等、各種設定操作、選択操作等において使用されるもので、上下左右の4方向の移動ボタンを備えている。
【0032】
遊技球数表示部65は、遊技球数データとして当該遊技機の内部で管理されている遊技球数(遊技者が保有する遊技球の数)を表示するもので、所定桁数(ここでは6桁)の7セグLED等により構成されている。また計数ボタン66は、遊技球数表示部65に表示されている遊技球数を、外部の遊技球貸出装置を介してICカード等の記憶媒体に移行するための操作手段である。
【0033】
また下部膨出部56は、
図6に示すように、前部側に配置された演出ボタンユニット67と、その演出ボタンユニット67を着脱可能に支持するボタンユニット支持部68とを備えている。演出ボタンユニット67は、下向きの押下操作が可能な演出ボタン61を上部側に配置した演出ボタン本体部71と、その演出ボタン本体部71の下部側に装着される固定板金72と、演出ボタン本体部71の前側に装着される前飾りパネル73とを備えている。
【0034】
固定板金72は、演出ボタン本体部71の底面側に略水平に配置される底壁部74と、演出ボタン本体部71の背面側に立設される後壁部75と、演出ボタン本体部71の左右の側面側に立設される一対の左側壁部76、右側壁部77とを一体に備えている。底壁部74には、ボタンユニット支持部68側の第1固定操作具78aが係脱自在に係合可能な第1固定受け部79aが配置され、後壁部75には、ボタンユニット支持部68側の第2固定操作具78bが係脱自在に係合可能な第2固定受け部79bが配置されている。また、左右の側壁部76,77には、ボタンユニット支持部68側に設けられた左右一対の係合受け部80a,80aに対して前側から係合可能な係合部80b,80bが配置されている。
【0035】
下部膨出部56の前部側には、演出ボタンユニット67を収容するための空間を有するボタンユニット収容部81が、前向き及び上向きに開放された状態で形成されており、そのボタンユニット収容部81内にボタンユニット支持部68が設けられている。ボタンユニット支持部68は、ボタンユニット収容部81の内壁に沿って配置される支持板金82を備えている。この支持板金82は、下部膨出部56の底壁83に沿ってその内面側(上面側)に略水平に配置される底壁部84と、扉ベース51の前面側に沿って立設される後壁部85と、左右両側に立設される一対の左側壁部86、右側壁部87とを一体に備え、下部膨出部56の底壁83、扉ベース51等に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。
【0036】
底壁部84には、演出ボタンユニット67側の第1固定受け部79aに対応する第1固定操作具78aが配置され、後壁部85には、演出ボタンユニット67側の第2固定受け部79bに対応する第2固定操作具78bが配置されている。第1固定操作具78aは、第1固定受け部79aに対する係脱操作を下部膨出部56の下側から行うことが可能であり、第2固定操作具78bは、第2固定受け部79bに対する係脱操作を前扉7の裏側から(即ち前扉7を開放した状態で)行うことが可能となっている。また、左右の側壁部86,87には、演出ボタンユニット67側の係合部80b,80bに対応する係合受け部80a,80aが配置されている。
【0037】
演出ボタンユニット67を下部膨出部56のボタンユニット収容部81に装着する際には、演出ボタンユニット67側の固定板金72をボタンユニット支持部68側の支持板金82の内側に沿わせた状態で、演出ボタンユニット67を後向きにスライドさせる。このとき、演出ボタンユニット67側の係合部80b,80bが、ボタンユニット支持部68側の係合受け部80a,80aに対して夫々前側から係合する。そして、演出ボタンユニット67が所定の固定位置に達すると、その状態で、下部膨出部56の下側から第1固定操作具78aを操作して演出ボタンユニット67側の第1固定受け部79aに係合させ、更に前扉7の裏側から第2固定操作具78bを操作して演出ボタンユニット67側の第2固定受け部79bに係合させることで、演出ボタンユニット67の装着作業は完了する。演出ボタンユニット67を取り外す際には、以上説明した装着作業の逆の手順で行えばよい。
【0038】
発射ハンドル57は、遊技者が発射装置19を作動させるための操作を行う操作手段で、
図7,
図9~
図11等に示すように、発射ハンドルベース91、発射停止レバー92、回転操作部93、ハンドルキャップ94等を備え、下部膨出部56の右側近傍に配置されている。発射ハンドルベース91は、前後方向に配置された略円筒状の支持脚部95と、この支持脚部95の前端側に設けられた椀型部96とを一体に備え、支持脚部95の後端側が前扉7の扉ベース51に対して着脱自在に固定されている。
【0039】
発射停止レバー92は、発射装置19による発射動作を停止させるためのもので、椀型部96の前縁側の所定位置、例えば左側に設けられた切欠部から半径方向外向きに突出しており、外向きの突出量が大きい第1位置(
図10に二点鎖線で示す)とそれよりも突出量が小さい第2位置(
図10に実線で示す)とに切替可能に支持されるとともに第1位置側に付勢されている。発射停止レバー92が第1位置(OFF)のときには、発射装置19を作動させるための作動スイッチがONとなって発射装置19による発射動作が許容され、発射停止レバー92が第2位置(ON)のときには、作動スイッチがOFFとなって発射装置19による発射動作が停止するようになっている。即ち、発射停止レバー92が操作されていないこと(第1位置(OFF)にあること)が、発射動作が許容されるための条件の一つとなっている。
【0040】
回転操作部(操作部)93は、発射装置19による発射強度を調整するためのもので、椀型部96の前縁側に対応する略円環状に形成されるとともに、その外周側には複数、例えば3つの指掛け部93aが一体に突設されている。この回転操作部93は、最小回転角度(原点位置)θ0と、この最小回転角度θ0から時計廻りに所定角度回転した最大回転角度θMAXとの間で回転可能な状態で支持されており、その回転角度に応じて可変抵抗器97の抵抗値が変化するように構成されるとともに、最小回転角度(原点位置)θ0側に向けて反時計方向に付勢されている。また回転操作部93は、例えばその外表面全体に導電性メッキが施されることにより、タッチセンサ98の電極として機能するようになっている。遊技者が回転操作部93に触れることによってタッチセンサ98がONになっている場合に、発射装置19による発射操作が許容される。即ち、遊技者が回転操作部93に触れていること(タッチセンサ98がONであること)が、発射動作が許容されるための条件の一つとなっている。なお、可変抵抗器97、タッチセンサ98等は椀型部96内に配置されている(
図10)。
【0041】
また、回転操作部93が最小回転角度(原点位置)θ0から回転角度θ1までの範囲内にあるとき、発射停止レバー92はその回転操作部93と連動して第2位置(ON)に保持されるようになっている(
図26参照)。なお、回転操作部93を最小回転角度θ0側に付勢する力(第1付勢力)は、発射停止レバー92を第1位置(OFF)側に付勢する力(第2付勢力)よりも大きくなっているため、回転操作部93が操作されていない状態、即ち第1付勢力により最小回転角度(原点位置)θ0に保持されている状態では、発射停止レバー92はその回転操作部93から受ける第1付勢力によって第2位置(ON)に保持され、作動スイッチはOFFとなる。その状態から遊技者が回転操作部93を把持して時計方向に回転させると、その回転角度がθ1に達したとき、発射停止レバー92は第1付勢力から解放され、第2付勢力によって第2位置(ON)から第1位置(OFF)に移動して作動スイッチがONとなり、発射装置19による発射動作が許容される。なお、この発射ハンドル57の操作に基づく発射制御については後述する。
【0042】
ハンドルキャップ94は、回転操作部93等を操作する際に遊技者が掌を預ける部分で、合成樹脂により略半球状に形成されており、回転操作部93の前側に配置され、回転操作部93等の動作の障害とならない状態で発射ハンドルベース91側に固定されている。
【0043】
ハンドレスト58は、発射ハンドル57を操作する遊技者の身体の一部、具体的には腕から手首を経て手(掌を含む)に至る範囲の所定部位を支持するレスト手段の一例であって、発射ハンドル57の下側で且つ下部膨出部56の側方(右側)に配置されている。このハンドレスト58は、
図7~
図11に示すように、ベース部101と、裏カバー部102と、表カバー部103と、レスト部(支持部)104とを備えている。
【0044】
ベース部101は、合成樹脂製で、例えば前後方向に長い平面視略長方形の薄板状に形成されており、扉ベース51の下縁部に沿ってその前側に略水平に配置されている。ベース部101は、上面側が僅かに前下がりの傾斜状に形成されるとともに、下面側は略水平に形成されていることにより、上下方向の厚さ(板厚)は後部側よりも前部側の方が小さくなっている。またベース部101には、発射ハンドル57の先端部の下側に対応する後部側所定位置に、上下方向貫通状の第1開口部105aが設けられ、またその第1開口部105aよりも前側に、同じく上下方向貫通状の第2開口部105bが設けられている。
【0045】
ベース部101は、
図8等に示すように、その左側縁部に沿って上向きに立設される側壁部106と、同じく後側縁部に沿って上向きに立設される後壁部107とを一体に備えたハンドレストベース108を形成している。ハンドレストベース108の側壁部106は、下部膨出部56の右側壁を構成するもので、ボタンユニット支持部68の支持板金82における右側壁部87に沿ってその右側に配置されており(
図9)、右側壁部87に対してねじ止め等により固定されている。演出ボタンユニット67をボタンユニット収容部81に装着したとき、演出ボタンユニット67側の前飾りパネル73がこの側壁部106の前縁側に連結される。
【0046】
またハンドレストベース108の後壁部107は、扉ベース51の前面側に沿って配置され、扉ベース51等に対してねじ止め等により固定されている。この後壁部107には、発射ハンドル57に対応する挿通孔109が形成されており、発射ハンドル57はその後端側を挿通孔109に挿通させた状態で扉ベース51側に固定されている。
【0047】
以上のように、ハンドレスト58は、ベース部101の後端部が後壁部107を介して扉ベース51側に固定され、ベース部101の左側部が側壁部106を介して下部膨出部56側に固定されている。このようにハンドレスト58は、後部側だけでなく、後部側から側部側に跨がる平面視L字型の範囲で前扉7に支持されているため、遊技者による乱暴な取り扱いに対しても十分な強度を確保することが可能である。ここで、ハンドレストベース108の後壁部107が、ハンドレスト58の後部を支持する後部支持手段の一例であり、ハンドレストベース108の側壁部106が、ハンドレスト58の側部を支持する側部支持手段の一例である。
【0048】
裏カバー部102は、ベース部101を補強するためのもので、ベース部101の下面側に設けられた凹部内に下側から嵌め込まれ、ベース部101に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。裏カバー部102には、
図8等に示すように、ベース部101側の第1開口部105aに対応するベース側凹部110と、ベース部101側の第2開口部105bに対応するレスト支持部111とが夫々一体に形成されている。
【0049】
ベース側凹部110は、
図9,
図11等に示すように、第1開口部105aの内側の領域に対応してその下側に下向き凹入状に形成されている。ベース側凹部110には、その底壁110a上の所定位置、例えば後部側に、所定形状、例えば略矩形状のベース側開口部112が形成されている。なお、ベース側凹部110の底壁110aは略水平で、ベース部101の底面に沿って配置されており、その底壁110aの周囲の周壁部110bは底壁110a側に向けて徐々に低くなる傾斜状に形成されている。またレスト支持部111は、レスト部104を固定するためのもので、第2開口部105bに対応する形状で上向き突出状に形成されており、第2開口部105bに対して下側から嵌合している。なお、ここでは第2開口部105b及びこれに嵌合するレスト支持部111の形状を略矩形状とするが、円形その他の任意の形状としてもよい。
【0050】
表カバー部103は、ベース部101側の第1開口部105a周辺を上側からカバーするもので、
図8,
図9,
図11等に示すように、裏カバー部102側のベース側凹部110の内面(上面)に沿って形成されたカバー側凹部114を備え、ベース部101の第1開口部105aに対して上側から装着され、裏カバー部102に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。
【0051】
カバー側凹部114には、その底壁114a上に、ベース側凹部110のベース側開口部112に対応するカバー側開口部115が形成されている。このカバー側開口部115は、複数の長孔115aで構成されており、それら長孔115aが全てベース側開口部112の領域内に対応するように配置されている。なお、カバー側開口部115は、一又は複数の円孔等、任意個数、任意形状の孔で形成することが可能である。また、ベース側開口部112についても、カバー側開口部115と同様、一又は複数の円孔等、任意個数、任意形状の孔で形成することが可能であるが、カバー側開口部115が全てベース側開口部112の範囲内に含まれるか、若しくは両者が完全に一致するように構成することが望ましい。
【0052】
このカバー側凹部114が、発射ハンドル57の下側により多くの空間を確保するための空間形成部の一例である。カバー側凹部(空間形成部)114が存在することで、発射ハンドル57の下側にハンドレスト58を設けているにも拘わらず空間に余裕が生まれ、遊技者の発射ハンドル57の操作が窮屈になることを防止できる。このカバー側凹部114の配置位置は、遊技者が右手で発射ハンドル57を把持した場合の実際の手首の位置等を考慮して決められている。即ち、カバー側凹部114は、
図9に示すように、その左右方向の中心位置を、発射ハンドル57の中心軸から若干外側(右側)にずらした状態で配置されており、
図11に示すように、前後方向の中心位置を、発射ハンドル57の先端側の把持操作部57aの前後方向位置と略一致させるように配置されている。なお、発射ハンドル57の把持操作部57aは、発射ハンドル57のうち、遊技者が実際に把持し操作する部分、即ちハンドルキャップ94とその後側の回転操作部93とで構成される部分である。
【0053】
また
図11に示すように、カバー側凹部114の前後幅は発射ハンドル57の把持操作部57aの前後幅よりも大きく、カバー側凹部114の前端部は発射ハンドル57の先端部よりも前側に位置している。また、カバー側開口部115は、カバー側凹部114の前後方向の中心位置よりも後方にずらして、例えば回転操作部93の前後方向位置と略一致するように配置されている。
【0054】
レスト部(支持部)104は、遊技者の身体の一部、即ち腕から手首を経て手(掌を含む)に至る範囲の所定部位を下側から支持するためのもので、
図8,
図10,
図11等に示すように、遊技者の腕等を直接的に支持するレストカバー部116と、このレストカバー部116が装着されるレストベース部117とで構成されている。レストカバー部116は、遊技者が腕等を乗せたときにその荷重を分散しつつ確実に支持できるように、しなやかな弾力性としっかりとした剛性を併せ持つTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)素材で形成されている。このレストカバー部116は、第2開口部105bに対応する形状(ここでは略矩形状)に形成された板状の上壁部116aと、この上壁部116aの外周に沿って設けられ且つレストベース部117をその外周側から巻き込むように下向きに延設された周壁部116bとを一体に備えている。レストカバー部116をレストベース部117に嵌め合わせた状態では、レストカバー部116の上壁部116aとレストベース部117との間に空間が形成され、その空間によってレストカバー部116の上壁部116aの変形が許容されるようになっている。
【0055】
レスト部104は、ベース部101の第2開口部105bに対して上側から嵌め込まれ、レストカバー部116の上部側をベース部101の上面よりも上側に突出させた状態で、レストベース部117を裏カバー部102側のレスト支持部111に対して下側からねじ止めすることにより着脱自在に固定されている。なお、このレスト部104は、
図10等に示すように、その左右方向の中心位置が発射ハンドル57の中心軸と左右方向に略一致するように配置されている。
【0056】
続いて、
図12~
図24を参照しつつ、内枠6側に設けられた遊技球循環装置18の構成について説明する。遊技球循環装置18は、
図12,
図13等に示すように、遊技球を遊技領域16に向けて発射可能な発射装置19と、遊技領域16から排出されたアウト球を案内する揚上前通路121と、この揚上前通路121によって案内されてきた遊技球を発射装置19による発射位置よりも高い位置まで揚上する揚上装置20と、揚上装置20によって揚上された遊技球を発射装置19に向けて案内する揚上後通路122と、揚上後通路122によって案内されてきた遊技球を発射装置19の発射動作と同期して1個ずつ発射装置19側に供給する球送り装置120と、発射装置19により発射されたにも拘わらず遊技領域16に到達しなかった遊技球(ファール球)を揚上装置20に向けて案内するファール球通路123と、揚上前通路121の経路上に設けられるアウト球スイッチ124、過多位置検出スイッチ125、過少位置検出スイッチ126、揚上入口スイッチ127と、揚上後通路122の経路上に設けられる揚上出口スイッチ128と、球送り装置120に設けられる球送りスイッチ129と、ファール球通路123の経路上に設けられるファール球スイッチ130と、揚上装置20に設けられる揚上位置検出スイッチ131とを備え、発射装置19、遊技領域16、揚上前通路121、揚上装置20、揚上後通路122、球送り装置120等よりなる遊技球循環経路内で遊技球を循環させるように構成されている。
【0057】
発射装置19は、球送り装置120等とともに球送り発射ユニット132(
図14~
図16,
図24参照)上に設けられ、内枠6の下部装着部15における左右方向略中央に配置されており、
図16等に示すように、遊技盤17と略平行に配置され且つ球送り発射ユニット132のケース背面板を構成する発射ベース板133と、発射ベース板133の前面側に左上がりの傾斜状に配置された発射レール134と、発射ベース板133の前面側に装着され且つ発射用の遊技球を発射レール134の後端側の発射保持位置に保持する球保持部135と、発射ベース板133の前面側で前後方向の駆動軸136a廻りに揺動自在に支持される打撃槌136と、発射ベース板133の背面側に配置され且つ打撃槌136を駆動軸136aを介して打撃方向(ここでは時計廻り)に駆動するロータリソレノイド等の発射駆動手段137とを備え、発射ハンドル57の回転操作部93の操作量(回転角度)に応じて発射駆動手段137により打撃槌136を打撃方向に間欠的に連続駆動するようになっている。これにより、発射レール134上に1個ずつ供給される遊技球が発射レール134に沿って遊技盤17の遊技領域16に向けて発射される。
【0058】
揚上装置20は、内枠6の下部装着部15において発射装置19の側方(ここでは右側)に配置されており、
図12,
図13,
図17~
図19等に示すように、回転軸を上下方向に向けた状態で配置されるスクリュー部材141と、そのスクリュー部材141の近傍(ここでは前側近傍)にスクリュー部材141と平行に配置される研磨部材142と、揚上モータ143と、この揚上モータ143の駆動力をスクリュー部材141及び研磨部材142に伝達するための揚上駆動力伝達手段144とを備えている。
【0059】
スクリュー部材141は、上下方向の回転軸に沿って配置されるらせん状の張り出し部145を一体に備えている。研磨部材142は、上下方向の回転軸に沿って、円筒状に形成されたフェルト製その他の研磨部146を備えている。なお、研磨部材142は、研磨部146が摩耗した場合には交換する必要があるため、その軸方向中央付近に着脱用ハンドル147が設けられている。
【0060】
揚上モータ143は、スクリュー部材141及び研磨部材142の下部側近傍(ここでは左側近傍)に駆動軸を例えば下側に向けた状態で配置されている。揚上駆動力伝達手段144は、揚上モータ143の駆動軸とスクリュー部材141及び研磨部材142の各回転軸の間を連結する複数のギヤで構成されており、揚上モータ143が作動すると、その駆動軸の回転が揚上駆動力伝達手段144によりスクリュー部材141及び研磨部材142の各回転軸に伝達され、それによってスクリュー部材141と研磨部材142は同じ回転速度で互いに逆向き(スクリュー部材141は平面視時計廻り、研磨部材142は平面視反時計廻り)に回転するようになっている。
【0061】
スクリュー部材141と研磨部材142の間には、上下方向の揚上通路148が設けられており、その揚上通路148の下端側には揚上入口148aが、上端側には揚上出口148bが夫々設けられている。揚上入口148aを経て揚上通路148の下端側に流入した遊技球は、揚上モータ143の駆動により回転するスクリュー部材141の張り出し部145に押し上げられ、揚上通路148内を上昇する。その際、遊技球は、揚上モータ143の駆動により回転する研磨部材142により表面が研磨される。スクリュー部材141によって揚上通路148内を上昇し、揚上通路148の上端側に達した遊技球は、揚上出口148bから排出される。
【0062】
なお、揚上位置検出スイッチ131は、揚上モータ143の駆動制御に必要なスクリュー部材141の回転位置を検出するためのもので、フォトセンサ等により構成され、揚上駆動力伝達手段144を構成する複数のギヤのうちの何れかに設けられたドグを検出することにより、スクリュー部材141の回転位置を検出可能となっている。
【0063】
揚上前通路121は、遊技領域16から排出されたアウト球を揚上装置20の揚上入口148aに向けて案内するもので、
図12等に示すように、発射装置19よりも後側に配置される揚上前第1通路部121a及び揚上前第2通路部121bと、その揚上前第2通路部121bの下流側に接続され且つ発射装置19と揚上装置20との間に配置される揚上前第3通路部121cと、揚上前第3通路部121cの下流側に接続され且つ揚上装置20の前側を経て揚上入口148aに接続される揚上前第4通路部121dとで構成されている。
【0064】
揚上前第1通路部121aは、アウト球を発射装置19の後側で揚上前第2通路部121bとの連結部150まで流下させるもので、内枠6の下部装着部15の後側に遊技盤17のベース板21と略平行に配置された裏ベース板149の背面側に配置されており、
図12,
図20,
図21等に示すように、2つの左傾斜部151,153とその間の右傾斜部152とを2箇所の折り返し部154,155で接続した正面視略S字状に形成されている。そして、揚上前第1通路部121aの左傾斜部151の上流端側がアウト球案内部156に接続され、左傾斜部153の下流端側が連結部150に接続されている。
【0065】
アウト球案内部156は、
図21等に示すように、遊技盤17の裏側下部に設けられたアウト球排出口157の下側に配置され、揚上前第1通路部121aの上流端側に向けて例えば後ろ下がりの傾斜状に形成されており、アウト球排出口157から排出されるアウト球を揚上前第1通路部121aの左傾斜部151に案内するように構成されている。
【0066】
揚上前第1通路部121aの経路上には、例えば一つ目の折り返し部154に対応してアウト球スイッチ124が配置されている。アウト球スイッチ124は、いわゆる近接スイッチで、揚上前第1通路部121aを流下する遊技球が折り返し部154を通過する際に当該遊技球を検出するようになっている。
【0067】
揚上前第2通路部121bは、揚上前第1通路部121a側から流下してきた遊技球を、発射装置19の後側で揚上装置20に向けて流下させるもので、
図12,
図21,
図22等に示すように、裏ベース板149の前面に沿ってその前側に右下がりの傾斜状に配置されており、その上流端側が、裏ベース板149に形成された連結部150に連結されている。
【0068】
揚上前第2通路部121bの経路上には、例えばその下流端側近傍に過多位置検出スイッチ125が配置されている。この過多位置検出スイッチ125は、機械式センサで、通路上の遊技球の有無によって姿勢が変化(揺動)する可動検出片125aと、この可動検出片125aの姿勢変化に応じてON/OFFを切り替えることによって遊技球の有無を検出するフォトセンサ125bとで構成されている。
【0069】
揚上前第3通路部121cは、揚上前第2通路部121b側から流下してきた遊技球を、発射装置19の後側から前向きに流下させるもので、
図12,
図22等に示すように、発射装置19と揚上装置20との間に前下がりの傾斜状に配置されており、その上流端側が揚上前第2通路部121bの下流端側に接続されている。
【0070】
揚上前第4通路部121dは、揚上前第3通路部121cによって発射装置19と揚上装置20との間を前向きに流下してきた遊技球を、揚上装置20の前側を経て揚上入口148aに流下させるもので、
図12,
図15,
図16,
図22等に示すように、揚上装置20の前側に配置される右傾斜部158と、揚上装置20の右側に配置される後傾斜部159とを備えており、右傾斜部158の上流端側が揚上前第3通路部121cに、後傾斜部159の後端側が揚上入口148aに夫々接続されている。
【0071】
また、揚上前第4通路部121dの経路上には、例えば右傾斜部158の上流端側近傍に過少位置検出スイッチ126が配置されている。この過少位置検出スイッチ126は、過多位置検出スイッチ125と同様の機械式センサで、通路上の遊技球の有無によって姿勢が変化(揺動)する可動検出片126aと、この可動検出片126aの姿勢変化に応じてON/OFFを切り替えることによって遊技球の有無を検出するフォトセンサ126bとで構成されている。
【0072】
また、揚上前第4通路部121dの経路上には、例えば後傾斜部159の下流端側近傍に揚上入口スイッチ127が配置されている。揚上入口スイッチ127は、いわゆる近接スイッチで、揚上前第4通路部121dを流下する遊技球が後傾斜部159を通過して揚上入口148aに流入する直前に当該遊技球を検出するようになっている。
【0073】
ファール球通路123は、ファール球を揚上前通路121に流入させることによって揚上装置20側に案内するためのもので、
図12,
図21,
図22等に示すように、発射装置19の後側で且つ揚上前第2通路部121bの前側に配置されており、上流端側がファール球受け部161に、下流端側が揚上前第2通路部121bの所定位置に夫々接続されている。なお、ファール球受け部161は、ファール球を受けて下流側のファール球通路123側に案内するためのもので、発射レール134の下流側(左側)に配置されている。
【0074】
ファール球通路123は、ファール球受け部161側から揚上前第2通路部121b側に向けて後下がりの傾斜状に配置されるファール球第1通路部123aと、ファール球第1通路部123aの下流側に接続され且つ揚上前第2通路部121bの前側に略平行に配置されるファール球第2通路部123bとを備え、ファール球第1通路部123aの上流端側がファール球受け部161に接続され、ファール球第2通路部123bの下流端側が揚上前第2通路部121bに斜めに合流している。
【0075】
ファール球第1通路部123aの経路上には、例えばファール球受け部161との接続部近傍にファール球スイッチ130が配置されている。ファール球スイッチ130は、いわゆる近接スイッチで、ファール球がファール球受け部161を経てファール球通路123に流入する際に当該遊技球を検出するようになっている。このファール球スイッチ130が遊技球を検出する毎に、遊技球数データが1加算され、これによって発射時(球送り時)に減算された分が遊技者に返却される。
【0076】
図22に示すように、ファール球第2通路部123bから揚上前第2通路部121bに対する合流口162は、遊技球の流下方向に沿って遊技球複数個分程度の広幅に形成されているが、その合流口162の最も下流側を合流点162aとすると、(ファール球スイッチ130から合流点162aまでの距離)>(合流点162aから過多位置検出スイッチ125までの距離)となっている。
【0077】
揚上後通路122は、揚上装置20により揚上され、揚上出口148bから流出してきた遊技球を発射装置19に向けて案内するもので、
図13等に示すように、揚上出口148bから発射装置19側に向けて左右方向に配置される揚上後第1通路部122aと、この揚上後第1通路部122aの下流側に接続され且つ発射装置19と揚上装置20との間を経て前向きに配置される揚上後第2通路部122bと、その揚上後第2通路部122bの下流側に接続され且つ発射装置19の前側に左右方向に配置される揚上後第3通路部122cとで構成されている。
【0078】
揚上後第1通路部122aは、
図13,
図17,
図18,
図23等に示すように、揚上出口148bから左下がりの傾斜状に配置されており、その経路上の所定位置、例えば下流端側には揚上出口スイッチ128が配置されている。揚上出口スイッチ128は、いわゆる近接スイッチで、揚上装置20により揚上され、揚上出口148bから揚上後通路122に流出してきた遊技球を検出するようになっている。
【0079】
揚上後第2通路部122bは、揚上後第1通路部122a側から流下してきた遊技球を発射装置19の前側まで前向きに流下させるもので、
図13,
図15,
図16等に示すように、発射装置19と揚上装置20との間に前下がりの傾斜状に配置されている。揚上後第3通路部122cは、揚上後第2通路部122bによって発射装置19と揚上装置20との間を前向きに流下してきた遊技球を、発射装置19の前側の球送り装置120まで流下させるもので、
図13,
図15,
図23等に示すように、発射装置19の前側に左下がりの傾斜状に配置されている。なお、揚上後通路122の一部、即ち揚上後第2通路部122bの途中から揚上後第3通路部122cにわたる部分は、発射装置19、球送り装置120とともに球送り発射ユニット132上に設けられている。
【0080】
球送り装置120は、
図23,
図24等に示すように、揚上後第2通路部122b側から流下してきた遊技球を発射レール134側に案内する球送り案内通路171と、揚上後第2通路部122b側からの遊技球を1個ずつ球送り案内通路171側に流下させるための球送りレバー172及びその球送りレバー172を駆動する球送り駆動手段173と、球送り案内通路171を通過する遊技球を検出する球送りスイッチ129とを備えている。なお、球送り装置120の上流側近傍には、揚上後第2通路部122b内の遊技球を抜き取るための球抜き通路174と、この球抜き通路174への入口を開閉可能に閉鎖する球抜きレバー175とが配置されている。
【0081】
球送り案内通路171は、揚上後第2通路部122bの下流側端部近傍に後下がりの傾斜状に配置されており、その上流側端部(前端部)は揚上後第2通路部122bの下流側端部に対して遊技球半個分程度低い位置に配置され、また下流側端部(後端部)は発射レール134の発射保持位置に対応してその上方に配置されている。また、この球送り案内通路171には球送りスイッチ129が配置されている。球送りスイッチ129は、いわゆる近接スイッチで、遊技球が球送り案内通路171を通過して発射レール134上に流下する際に当該遊技球を検出するようになっている。この球送りスイッチ129が遊技球を検出する毎に、遊技球数データが1減算される。
【0082】
なお、この球送りスイッチ129による遊技球の検出位置は、
図24に示すように、発射レール134の発射保持位置に対して遊技球1個分以上上流側に位置している。即ち、発射レール134上に遊技球が残っている状態で次の遊技球が球送りされたとしても、その遊技球が球送りスイッチ129による検出位置に留まることのないように構成されている。
【0083】
球送りレバー172は、左右方向の一端側(右端側)に遊技球を1個収容可能な略コの字型の遊技球保持部172aを備え、揚上後第2通路部122bの下流端側近傍に、遊技球保持部172aを揚上後第2通路部122b側(即ち右側)に向けた状態で配置され、左右方向の他端側(左端側)に設けられた前後方向の回転軸172b廻りに揺動可能な状態で支持されている。なお、遊技球保持部172aの下面側は球送り案内通路171側に向けて後ろ下がりの傾斜状に形成されている。
【0084】
球送りレバー172は、電磁ソレノイド等よりなる球送り駆動手段173の駆動により、揚上後第2通路部122b側の遊技球を遊技球保持部172a内に1個受け入れる球送り準備位置(
図23(a)、
図24(a))と、揚上後第2通路部122b側の次の遊技球の流下を阻止しつつ、遊技球保持部172a内に保持した遊技球を球送り案内通路171側に流下させる球送り実行位置(
図23(b)、
図24(b))とに切り替え可能となっている。球送りレバー172が球送り準備位置にあるとき(
図23(a)、
図24(a))、遊技球保持部172aは球送り案内通路171に対して上側にずれているため、遊技球保持部172a内の遊技球は球送り案内通路171側への移動が阻止される。球送りレバー172が球送り実行位置に移動すると(
図23(b)、
図24(b))、遊技球保持部172aが球送り案内通路171の上流側と一致するため、遊技球保持部172a内の遊技球は球送り案内通路171側に流下する。このとき、遊技球保持部172aは揚上後第2通路部122bの下流端側に対して下側にずれているため、後続の遊技球の流下は阻止される。
【0085】
発射装置19による発射動作と同期して球送りレバー172を球送り準備位置と球送り実行位置とに交互に切り替えることにより、揚上後第2通路部122bにより流下してきた遊技球を発射レール134上の発射保持位置に1個ずつ送ることが可能である。
【0086】
以上のような遊技球循環装置18では、発射装置19により発射され、遊技領域16に進入した遊技球は、第1,第2特別図柄始動手段32,33、大入賞手段34等の各種入賞手段の何れかに入賞するか、アウト口45に入球することにより、遊技領域16から遊技盤17の後側に案内され、遊技盤17の裏側下部に設けられたアウト球排出口157から排出される。アウト球排出口157から排出された遊技球(アウト球)は、アウト球案内部156を経て揚上前通路121に流入し、揚上入口148aに向けて流下する。
【0087】
アウト球がこの揚上前通路121を流下する際には、揚上前第1通路部121aにおいてアウト球スイッチ124を通過し、揚上前第2通路部121bにおいて過多位置検出スイッチ125を通過し、揚上前第4通路部121dにおいて過少位置検出スイッチ126を通過する。また、ファール球については、ファール球受け部161及びファール球通路123を経て揚上前第2通路部121bに合流することにより揚上入口148aに向けて流下するが、その際、ファール球通路123においてファール球スイッチ130を通過し、合流後の揚上前第2通路部121bにおいて過多位置検出スイッチ125を通過し、揚上前第4通路部121dにおいて過少位置検出スイッチ126を通過する。
【0088】
ここで、揚上前通路121上に所定距離離して配置される過多位置検出スイッチ125と過少位置検出スイッチ126は、遊技球循環装置18内に封入されている遊技球の個数が適正か否かを判定するためのもので、予め定められた過少/過多検出タイミングにおいて、過多位置検出スイッチ125が遊技球を検出しておらず、且つ過少位置検出スイッチ126が遊技球を検出している場合、即ち過少位置検出スイッチ126の検出位置には遊技球が存在し、且つ過多位置検出スイッチ125の検出位置には遊技球が存在しない場合は、封入されている遊技球の個数が適正であると判定される。一方、予め定められた過少/過多検出タイミングにおいて、過少位置検出スイッチ126が遊技球を検出していない場合には封入されている遊技球の個数が少ない(過少)と判定され、過多位置検出スイッチが遊技球を検出している場合には封入されている遊技球の個数が多い(過多)と判定される。
【0089】
なお、過少/過多検出タイミングは、電源投入時の他、遊技停止状態(特別利益状態(大当り)中でなく、図柄変動中でなく、遊技者が発射ハンドル57から手を離している状態)となってから所定時間経過時等に設定することが望ましい。これは、電源投入後、トラブル解消等の目的でホール担当者が前枠3を開放した際に、封入されている遊技球の個数が変化する可能性があるためである。
【0090】
上述したように、過多位置検出スイッチ125や過少位置検出スイッチ126は、通路内に滞留している遊技球が夫々の検出位置に達しているか否かを検出するものであるから、遊技球が検出位置に達した状態が継続される限り、通路内の遊技球の位置がずれても安定的にON状態が維持される必要がある。一方、揚上前通路121は、揚上装置20に供給される遊技球が滞留するため、揚上装置20がどのような状態で停止しているかによって、揚上前通路121内に滞留する遊技球の位置は変化する(一定ではない)。従って、過多位置検出スイッチ125や過少位置検出スイッチ126については、近接スイッチのように、検出位置を超えて遊技球が滞留している場合でも遊技球の位置によってはOFFになる可能性のあるセンサではなく、安定的にON状態が維持される機械式センサを採用している。
【0091】
揚上前通路121上の遊技球は、揚上装置20が作動することにより、揚上入口148aを経て揚上装置20に流入し、揚上通路148を上昇する。なお、揚上装置20の上流側に遊技球が存在するか否かは、揚上入口スイッチ127の検出信号に基づいて判定される。揚上装置20の作動によって揚上通路148を上昇した遊技球は、揚上出口148bから流出して揚上後通路122を流下し、球送り装置120の上流側に滞留して発射待ちの状態となる。
【0092】
揚上後通路122上には揚上出口スイッチ128が配置されており、この揚上出口スイッチ128のON状態が継続することにより、発射待ちの遊技球が所定個数に達しているものと判断できる。揚上装置20は、揚上入口スイッチ127がON、揚上出口スイッチ128がOFFである場合に作動し、揚上出口スイッチ128がONになって発射待ちの遊技球が所定個数に達したものと判定された場合に停止するように制御される。
【0093】
なお、この揚上出口スイッチ128は、過多位置検出スイッチ125や過少位置検出スイッチ126と同様、通路上に滞留する遊技球を検出するためのものではあるが、揚上出口スイッチ128の検出対象である揚上後通路122に滞留する遊技球は、揚上前通路121に滞留する遊技球とは異なり、球送り装置120の動作(球送り準備位置と球送り実行位置)に応じて夫々決まった位置に停止し、しかも夫々の停止位置のズレは小さいため、大きな設置スペースを必要とする機械式センサではなく近接スイッチを採用するとともに、その近接スイッチを適切な位置に配置することで、遊技球が揚上出口スイッチ128の位置を超えて滞留しているにも拘わらずOFF状態が継続することのないようにすることが可能である。
【0094】
続いて、スマートパチンコ機である本遊技機の発射制御について説明する。
図25は、本スマートパチンコ機における発射制御のタイムチャートを示したものである。この
図25に示すように、本実施形態の発射制御では、所定時間(ここでは600ms)で完了する1周期分の球送り発射動作が繰り返し行われるように構成されており、所定の発射条件(例えば制御部から発射を許可する発射制御信号が出力されており、タッチセンサ98により遊技者が発射ハンドル57に触れていることが検出され、発射停止レバー92が操作されていないこと)を満たす場合に球送り発射動作の周期(以下、「動作周期」という)が開始され、発射条件が満たされなくなった場合(例えば遊技者が発射ハンドル57から手を離した場合)には、実行中の動作周期が終了した時点で球送り発射動作が停止されるようになっている。即ち、動作周期の途中でその実行が停止されることはない。
【0095】
この球送り発射動作では、1周期の開始と略同時(
図25のT1)に球送り駆動手段173がOFF→ONとなり、それによって球送りレバー172が球送り実行位置(
図23(b)、
図24(b))から球送り準備位置(
図23(a)、
図24(a))へと変化することにより、揚上後通路122に滞留している遊技球のうち、最下流側の1個が球送りレバー172の遊技球保持部172aに収容される。
【0096】
続いてその所定時間(例えば128ms)後に(
図25のT2)、球送り駆動手段173がON→OFFとなり、それによって球送りレバー172が球送り準備位置(
図23(a)、
図24(a))から球送り実行位置(
図23(b)、
図24(b))へと変化することにより、球送りレバー172の遊技球保持部172aに収容されていた1個の遊技球が球送り案内通路171側に流下し、発射レール134上に供給される。その際、球送り案内通路171を通過する遊技球を球送りスイッチ129が検出し(
図25のT3)、それによって遊技球数データが1減算される。このように本実施形態では、動作周期の開始直後に、遊技球を発射装置19側に供給する球送り動作を実行するように構成されている。
【0097】
なお
図25に示すように、球送り発射動作の新たな周期の開始時(
図25のT1)に発射装置19側から減算基準信号が出力されるようになっており、この減算基準信号の出力から所定時間(例えば500ms)以内に球送りスイッチ129による検出がなければ異常と判定され、その異常が所定回数(例えば10回)続くとエラー状態となってエラー報知が行われる。このエラー報知は、液晶表示手段40への表示と枠側のLED点滅等により行われる。またこのエラー状態は、球送りスイッチ129による検出があった場合に解除される。
【0098】
その後、1周期の終了直前(例えば1周期の開始から約550ms経過後)に(
図25のT4)、発射駆動手段137が作動(ソレノイドON)し、それによって打撃槌136が揺動して、発射レール134上の遊技球が遊技領域16側に向けて所定の発射強度で発射される。このように本実施形態では、動作周期の開始直後に発射レール134上に供給された遊技球を、その動作周期の終了直前に発射するように構成されているため、発射レール134上に供給された遊技球が発射保持位置で安定するための十分な時間を発射前に確保することができ、後述するように動作周期の終了時点で発射レール134上に球が残らないようにしつつ、発射強度にばらつきのない安定した発射が可能となる。発射駆動手段137の作動終了(ソレノイドOFF)により600msの動作周期は終了し、同時に次の動作周期が開始される(
図25のT1)。
【0099】
なお、発射駆動手段137作動(ソレノイドON)時の発射強度は、その時点(
図25のT4)の回転操作部93の回転角度に応じて決まるようになっている。従って、球送り動作後に、回転操作部93の回転角度はそのままで発射停止レバー92が押された場合には、回転操作部93の回転角度に応じた発射強度で発射が行われる。
【0100】
図26は、回転操作部93の回転角度(原点位置の回転角度をθ0とする)と、それに対する発射強度(発射駆動手段137に流れる電流値A)の対応関係を示したものである。同図に示すように、回転操作部93の回転角度がθ2(>θ0)のとき、発射強度は最低発射強度(MIN)となり、回転操作部93の回転角度がθ6のとき、発射強度は最高発射強度(MAX)となり、回転操作部93の回転角度がθ2~θ6の間では、回転操作部93の回転角度と発射強度は比例関係となるように設定されている。なお、回転角度θ3は、発射した遊技球が戻り防止片27にちょうど到達する発射強度に対応しており、例えば回転角度<θ3であれば遊技球は戻り防止片27を通過することなくファール球となり、回転角度≧θ3であれば遊技球は戻り防止片27を通過して遊技領域16に到達するようになっている。また、回転角度θ4は、発射した遊技球が中央表示枠ユニット23の頂点にちょうど到達する発射強度に対応しており、例えば回転角度<θ4であれば遊技球は左流下経路41a側に流下し、回転角度≧θ4であれば遊技球は右流下経路41b側に流下するようになっている。また本実施形態では、回転角度θ2を、回転操作部93側からの第1付勢力によって発射停止レバー92がON(第2位置)となる角度範囲の最大値である回転角度θ1よりも大としているが、回転角度θ2は回転角度θ1と略同じでもよいし、回転角度θ1よりも小であってもよい。
【0101】
ここで、最低発射強度(MIN)は、発射した遊技球が遊技領域16に到達しない(回転操作部93の回転角度がθ3のときの発射強度よりも低い)発射強度で、更に好ましくは、発射した遊技球が少なくとも発射レール134を超える発射強度、即ち確実にファールとなる発射強度に設定されている。また最高発射強度(MAX)は、発射した遊技球が返しゴム28にちょうど到達する発射強度(回転操作部93の回転角度がθ5のときの発射強度)よりも高い発射強度(回転角度がθ6(>θ5)のときの発射強度)に設定されている。これは、最高発射強度(MAX)を、発射した遊技球が返しゴム28にちょうど到達する発射強度に設定した場合(即ちθ6=θ5とした場合)、遊技機毎の個体差によって、最高発射強度(MAX)で発射しても返しゴム28に到達しない場合が考えられるためである。なお、最高発射強度(MAX)は、返しゴム28にちょうど到達する発射強度よりも少し高ければ十分である。
【0102】
また、回転操作部93の回転角度がθ0~θ2の範囲では、対応する発射強度は最低発射強度(MIN)で一定となるように設定されている。即ち、回転操作部93を原点位置(回転角度θ0)に戻しても、回転角度θ2となった時点で発射強度が底打ちし、それより低くはならない(可変抵抗値の変化に基づくVR値は変化するが、電流値が底打ちして横這いになる)ようになっている。従って、発射駆動手段137作動(ソレノイドON)時における回転操作部93の回転角度がθ0(原点位置)の場合、発射レール134上の遊技球は、遊技領域16に到達しない発射強度、更に好ましくは少なくとも発射レール134を超える発射強度で発射される。上述したように、本実施形態の球送り発射動作では、動作周期の途中で遊技者が発射ハンドル57から手を離したような場合でも、その動作周期は最後まで実行されるため、そのような場合でも発射レール134上に遊技球が残らない(ファールにして遊技者に返却する)ようにするためである。
【0103】
また、回転操作部93の回転角度がθ6~θMAX(最大回転角度)の範囲では、対応する発射強度は最高発射強度(MAX)で一定となるように設定されている。即ち、回転操作部93の回転角度がθ6に達すると、そこで発射強度は頭打ちとなり、それより高くはならない(可変抵抗値の変化に基づくVR値は変化するが、電流値が頭打ちとなって横這いになる)ようになっている。電流値を上げすぎると発射駆動手段137が熱を持つため、必要以上に電流値を上げないためである。なお本実施形態では、
図27に示すように、発射ハンドル57の回転操作部93の回転可能範囲(θ0~θMAX)は、可変抵抗値の抵抗範囲のうち、MIN側とMAX側の一部を除く範囲に対応するように構造的に制限することで誤差による影響を抑制している。
【0104】
図28,
図29は、本発明を、いわゆるスマートパチンコ機ではなく、遊技球を内部で循環させない非封入式の従来型パチンコ機に適用した第2の実施形態を例示し、その従来型パチンコ機に、第1の実施形態と同様のハンドレスト58を搭載した例を示している。
【0105】
図28,
図29に示す本実施形態の従来型パチンコ機が、第1の実施形態のスマートパチンコ機と外観上異なるのは、下部膨出部56に上皿201、下皿202を配置している点である。即ち、本実施形態の従来型パチンコ機では、下部膨出部56の上部側に、払い出し手段から払い出された遊技球を貯留して発射手段に供給するための上皿201が配置され、下部膨出部56の下部側には、その上皿201が満杯のときの余剰球等を貯留する下皿202が配置されている。
【0106】
それ以外の、例えば演出ボタンユニット67及びその周辺に関する下部膨出部56の構成やハンドレスト58の構成、下部膨出部56とハンドレスト58との関係等については第1の実施形態と略同じである。そして、ハンドレスト58は、いわゆるドル箱の上げ下げや前扉7の開閉等をスムーズに行うためのスペースを下側に確保すべく、第1の実施形態と同様、下面側が下部膨出部56の下面側と略同じ高さとなるように配置されている。このように、第1の実施形態で示したハンドレスト58は、いわゆるスマートパチンコ機だけでなく、非封入式の従来型パチンコ機にも同様に搭載することが可能である。
【0107】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態のハンドレスト58は、ベース部101に対してレスト部104の位置が固定されている(非可動)が、ベース部101に対してレスト部104が所定方向、即ち前後方向、左右方向の何れか又は両方に移動するように構成してもよい。また、ベース部101に対するレスト部104の高さ、或いはベース部101の高さを変更可能に構成してもよい。これにより、遊技者の体型や遊技姿勢に応じた最適な位置で腕等をサポートできる。
【0108】
レスト部104の素材としては、遊技者が腕等を乗せたときにその荷重を分散できるものであることが望ましく、実施形態で示したTPU素材に限らず、クッション性或いは低反発性のあるウレタン素材、ジェル素材等を採用してもよい。
【0109】
ハンドレスト58上或いはその近傍に、振動装置、送風装置等の可動演出装置を配置してもよい。振動装置を配置する場合、レスト部104内に配置してそのレスト部104を直接振動させるように構成してもよいし、レスト部104以外の位置(ハンドレスト58上でもよいしハンドレスト58の近傍のハンドレストベース108上等でもよい)に配置して間接的にレスト部104等を振動させるように構成してもよい。送風装置を配置する場合には、レスト部104内に配置してそのレスト部104上に乗せられた遊技者の腕等に向けて風を送るように構成してもよいし、レスト部104以外の位置(ハンドレスト58上でもよいしハンドレスト58の近傍のハンドレストベース108上等でもよい)に配置して、遊技者の腕等の任意箇所に向けて風を送るように構成してもよい。
【0110】
また、操作パネル部59に配置されている各種操作手段(演出ボタン61、音量調整操作部62、光量調整操作部63、十字操作部64、計数ボタン66)の少なくとも一部を、ハンドレスト58上或いはその近傍に配置してもよい。
【0111】
ハンドレスト58の少なくとも一部、例えばレスト部104に対して抗菌処理を施してもよい。
【0112】
また、本発明はパチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の遊技機においても同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
6 内枠
7 前扉
16 遊技領域
17 遊技盤
19 発射装置
52 ガラス窓(透明窓)
56 下部膨出部
57 発射ハンドル
58 ハンドレスト(レスト手段)
93 回転操作部(操作部)
104 レスト部(支持部)
106 側壁部(側部支持手段)
107 後壁部(後部支持手段)
114 カバー側凹部(空間形成部)